JP2008177382A - 熱伝導基板とその製造方法及びこれを用いた回路モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、リード線の機械強度の低下を防止することを目的とする。
【解決手段】金属板14と、その上に固定したシート状の伝熱層13と、そこに一部以上を埋め込んだリードフレーム12と、からなる熱伝導基板の前記リードフレーム12の一部を、前記伝熱層13から剥離し、折り重ねて多層リード線11とすることで、リードフレーム12が肉薄化した場合でも、プリント配線板18に形成した孔19に、多層リード線11を挿入するときに、リード線部分が折れ曲がったり、歪んだりしにくい熱伝導基板を実現する。
【選択図】図1
【解決手段】金属板14と、その上に固定したシート状の伝熱層13と、そこに一部以上を埋め込んだリードフレーム12と、からなる熱伝導基板の前記リードフレーム12の一部を、前記伝熱層13から剥離し、折り重ねて多層リード線11とすることで、リードフレーム12が肉薄化した場合でも、プリント配線板18に形成した孔19に、多層リード線11を挿入するときに、リード線部分が折れ曲がったり、歪んだりしにくい熱伝導基板を実現する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器のパワー半導体等を用いた電源回路等に使用される熱伝導基板とその製造方法及びこれを用いた回路モジュールに関するものである。
近年、電子機器の高性能化、小型化の要求に伴い、パワー半導体等を用いた電源回路には、更なる小型化が求められている。しかしパワー系電子部品(例えばパワー半導体素子等)は大電流、高発熱を伴うため、大電流、高放熱に対応する熱伝導基板の上に実装する必要がある。こうしたパワー系電子部品に比べ、信号系電子部品(例えば、信号系半導体素子や各種チップ部品等)は、それほど発熱を伴わないため、高密度に実装することができる。そのため従来よりパワー系電子部品を高放熱基板に実装しこれを熱部品ユニット(例えば後述する図10の熱部品ユニット1)、信号系電子部品は一般的なプリント配線板(例えば後述する図10のプリント配線板8)に実装し、これらを複数の基板間を電気的に接続して、一つの回路モジュールとすることが、特許文献1等で提案されている。次に図10〜図11を用いて、従来の回路モジュールの一例について説明する。
図10は、従来の回路モジュールを説明する斜視図であり、例えばプラズマディスプレイ装置に使われる回路モジュールの一つである。この回路モジュールは、熱部品ユニット1と、その上に複数本のリード線5を介して固定されたプリント配線板8とから構成されている。
図10において、熱部品ユニット1は、金属板2の上に固定した絶縁体3、金属パターン4、リード線5等から形成されている。そして金属パターン4の上には、発熱部品6が端子7を介して半田付けされている。またプリント配線板8の一部には孔9が形成されており、前記リード線5が一括して挿入可能な状態となっている。そして熱部品ユニット1と、プリント配線板8を、リード線5を介して接続することで、一つの回路モジュールを構成する。次に熱部品ユニット1にプリント配線板8を差し込む様子の説明について、図10の矢印10から見た断面図として、図11で示す。
図11(A)(B)は、ともにプリント配線板8と、熱部品ユニット1を接続して従来の回路モジュールを作成する様子を説明する断面図である。図11(A)はプリント配線板8と、熱部品ユニット1を一括して接続する時の課題を説明する断面図、図11(B)はリード線が曲がってしまう課題を説明する断面図に相当する。
図11(A)において、金属パターン4の一部は、絶縁層3に埋め込まれ、その一部が任意の位置で略垂直に折れ曲がり、多数本のリード線5aを形成している。そして矢印10に示すようにして、プリント配線板8の孔9に、リード線5aを挿入し、回路モジュールを形成することとなる。ここでリード線5aが曲がっていると、図11(A)に示すように、プリント配線板8の孔9にリード線5aを挿入することが難しくなる。これは複数本のリード線5aを一括して挿入する必要があるためである。一般的な回路モジュールの場合、リード線5aは、複数本(例えば10本から100本程度)が、少なくとも2列に形成されている。その結果、リード線5aの一部が曲がってしまうと、プリント配線板8に挿入できなくなる。
一方、電子機器の小型化のニーズに対応するためには、回路モジュールの小型化が求められる。ここで熱部品ユニット1を小型化するには、熱部品ユニット1において所定の配線パターンを形成する金属パターン4やリード線5aのファインパターン化が求められる。しかし金属パターン4やリード線5aをファインパターン化するためには、金属パターン4やリード線5aを構成する配線材料の肉薄化する必要がある。そして肉薄のリード線5aは機械的強度が低下するため、例えば図11(B)に示すように、変形しやすいため孔9への挿入が更に困難となる。
特開2006−308620号公報
図11(B)に示した構成のように、熱部品ユニット1を小型化するためには、金属パターン4やリード線5bをファインパターンで形成するために肉薄の金属部材を使う必要があり、肉薄で強度の低い金属部材は曲がりやすいため、プリント配線板8に形成した孔9、リード線5bとして複数本を一括して挿入することが難しくなる。
そこで本発明は、リード線の機械強度の低下を防止することを目的とする。
そしてこの本発明は、上記目的を達成するために、金属板と、前記金属板の上に固定したシート状の伝熱層と、前記伝熱層に一部以上を埋め込んだリードフレームと、からなる熱伝導基板であって、前記リードフレームの一部を折り重ねてリード線部を構成したものである。
以上のように本発明によれば、熱伝導基板に形成したリード線を介して、熱伝導基板を他のプリント配線板に接続する場合、前記リード線の機械強度の低下を防止できるため、熱伝導基板を肉薄で、ファインパターンの形成が可能な金属部材で形成することができる。その結果、各種回路モジュールや電子機器の小型化を実現する。
なお本発明の実施の形態に示された一部の製造工程は、成形金型等を用いて行われる。但し説明するために必要な場合以外は、成形金型は図示していない。また図面は模式図であり、各位置関係を寸法的に正しく示したものではない。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における熱伝導基板について、図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態における熱伝導基板について、図面を参照しながら説明する。
図1(A)(B)は、ともに本発明の実施の形態における熱伝導基板の斜視図である。図1(A)(B)において、11は多層リード線、12はリードフレーム、13は伝熱層、14は金属板、15は矢印、16は発熱部品、17は端子、18はプリント配線板、19は孔、20は先端部、21は溝部である。図1(A)は、熱伝導基板を、その一部に形成した多層リード線11を用いて、プリント配線板18の孔19に挿入する様子を示す斜視図である。また図1(B)は、熱伝導基板に形成した多層リード線11の拡大図である。
図1(A)において、金属板14の上には、シート状の伝熱層13がリードフレーム12の一部を埋め込むようにして固定されている。そしてリードフレーム12の一部を、シート状の伝熱層13から引き剥がし、更に略垂直に折り曲げて多層リード線11としている。そして多層リード線11を、プリント配線板18に形成した複数個の孔19に、矢印15に示すようにして、一括して挿入し、目的の回路モジュールとする。なお図1(A)において、プリント配線板18の配線パターン(表層や内層)、ソルダーレジスト、実装部品等は図示していない。またプリント配線板18に形成した孔19を、スルーホールとする、あるいは孔19の側面にスルーホールめっきを形成することで、孔19と多層リード線11の隙間に半田を流し込みやすくなり、プリント配線板18との電気的な接続を安定化できる。
図1(A)において、発熱部品16の一部には端子17が形成されている。伝熱層13にその一部以上を埋め込んだリードフレーム12の表面に実装している。そして端子17を介して、発熱部品16をリードフレーム12に実装する。なお図1(A)において、リードフレーム12の表面等に形成したソルダーレジストや半田等は図示していない。
図1(B)は、図1(A)の多層リード線11の拡大図(あるいは斜視図)である。図1(B)に示すように、多層リード線11は、リードフレーム12の一部を、多層に折り返して(あるいは折り重ねて)形成したものである。図1(B)に示すように、金属板14の上には、シート状の伝熱層13が固定されている。またそして伝熱層13に、その一部以上を埋め込んだリードフレーム12の一部を、引き剥がし(引き剥がした跡が、溝部21となる)、伝熱層13や金属板14に対して略垂直になるように折り上げ、多層リード線11とする。図1(B)に示すように、リードフレーム12の一部を、多層に折り曲げ(あるいは折り重ねて)多層リード線11とする。こうしてリード線部分の強度アップと、リード線とリードフレーム12との接続箇所を無くす。
なお必要に応じて多層リード線11の先端部20を尖らすことで、プリント配線板18の孔19への挿入性を高めることができる。なお図1(A)(B)において、多層リード線11は、伝熱層13や金属板14から略垂直に折り曲げているが、これはプリント配線板18と多層リード線11との接続が複数個所(あるいは複数列)となるためである。
次に図2を用いて、熱伝導基板の製造方法の一例について説明する。図2(A)(B)は、熱伝導基板の製造方法の一例を説明する断面図である。図2(A)(B)において、22はプレス、23はフィルムであり、汚れ防止用のものである。まず図2(A)に示すように、プレス22に、金属板14や、伝熱層13や汚れ防止用のフィルム23をセットする。なお図2(A)(B)において、プレス22にセットする金型等は図示していない。またリードフレーム12は、所定の配線材料を配線パターン状に打抜き加工したものである。ここでリードフレーム12は、所定形状に打抜いた後、所定部分を折り曲げても良い(後述する図6では、折り曲げた状態のリードフレーム12を伝熱層13にその一部分以上を埋め込んでいる)が、図2(A)においては、リードフレーム12は折り曲げ部分等は図示していない。そして図2(A)に示すように、伝熱層13や金属板14を、プレス22を用いて矢印15の方向にプレスし積層、一体化する。ここで伝熱層13としては、後述する伝熱材料を例えばシート状に予備成形したものであり、熱硬化等によって伝熱層13となる。なお図2(A)において、伝熱層13は、プレス時に空気を抜けやすくするために、中央部を僅かに凸状としても良い。
図2(B)は、プレスが終了した後の様子を説明する断面図である。図2(B)に示すように、フィルム23を用いることで、プレス22や金型(図示していない)の表面に、伝熱層13が汚れとして付着しない。またフィルム23をプレス22や金型と、リードフレーム12との間の緩衝材(あるいは、パッキング、あるいはシール材)とすることで、リードフレーム12の表面への、伝熱層13の回り込みを防止したり、プレス圧力を高めることができる。
なお図2(A)(B)において、伝熱層13をプレス時に加熱し、軟化することで、金属板14との密着効果を高めたり、複数本のリードフレーム12間に形成された狭い隙間に回り込ませることができる。
そして図2(B)に示すように、一体化成形した後、フィルム23を、伝熱層13の表面から引き剥がす。そして金属板14の上に、リードフレーム12を埋め込んで一体化した伝熱層13を、加熱装置の中で加熱し、硬化させ、図1(A)(B)等で示した伝熱層13とする。なおフィルム23を剥離した状態で、加熱することで、フィルム23の熱収縮(シワ発生)が、伝熱層13の硬化に影響を与えなくできる。
ここでシート状の伝熱層13としては、熱硬化性樹脂とフィラーとからなる伝熱性のコンポジット材料を用いることができる。例えば無機フィラー70重量%以上95重量%以下と、熱硬化性樹脂5重量%以上30重量%以下の部材が望ましい。ここで無機フィラーは略球形状で、その直径は0.1μm以上100μm以下が適当である(0.1μm未満の場合、樹脂への分散が難しくなり、また100μmを超えると伝熱層13の厚みが厚くなり熱拡散性に影響を与える)。そのため伝熱層13における無機フィラーの充填量は、熱伝導率を上げるために70から95重量%と高濃度に充填している。特に、本実施の形態では、無機フィラーは、平均粒径3μmと平均粒径12μmの2種類のアルミナを混合したものを用いている。この大小2種類の粒径のアルミナを用いることによって、大きな粒径のアルミナの隙間に小さな粒径のアルミナを充填できるので、アルミナを90重量%近くまで高濃度に充填できるものである。この結果、伝熱層13の熱伝導率は5W/(m・K)程度となる。なお無機フィラーとしてはアルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種以上を含んでもよい。
なお無機フィラーを用いると、放熱性を高められるが、特に酸化マグネシウムを用いると線熱膨張係数を大きくできる。また酸化ケイ素を用いると誘電率を小さくでき、窒化ホウ素を用いると線熱膨張係数を小さくできる。こうして伝熱層13としての熱伝導率が1W/(m・K)以上20W/(m・K)以下のものを形成することができる。なお熱伝導率が1W/(m・K)未満の場合、熱伝導基板の放熱性に影響を与える。また熱伝導率を20W/(m・K)より高くしようとした場合、フィラー量を増やす必要があり、プレス時の加工性に影響を与える場合がある。
なお熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂の内、少なくとも1種類の樹脂を含んでいる。これらの樹脂は耐熱性や電気絶縁性に優れている。伝熱層13の厚みは、薄くすれば、リードフレーム12の熱を金属板14に伝えやすいが、逆に絶縁耐圧が問題となる。また伝熱層13の厚みが厚すぎると、熱抵抗が大きくなるので、絶縁耐圧と熱抵抗を考慮して最適な厚さである50μm以上1000μm以下に設定すれば良い。
なお伝熱層13としては、また無機フィラーと樹脂(熱硬化性、あるいは熱軟化性)樹脂からなる、キャスティング法等で作成した熱伝導性のフィルム状に成形したものを用いることもできる。
次にリードフレーム12の材質について説明する。ここでリードフレーム12の材料としては、銅を主体とするもの(例えば銅箔や銅板)が望ましい。これは銅が熱伝導性と導電率が共に優れているためである。リードフレーム12用の銅板としては、例えば厚み50、100、200、300μm、400μm等を利用できる。こうしたリードフレーム用の銅板としては、例えばタフピッチ銅(合金記号:C1100)や無酸素銅(合金記号:C1020)等を用いることが望ましい。
なお銅板の厚みを薄くするほど、リードフレーム12やリード線部分のファインパターン化が可能になる。そのため、リードフレーム材の厚みは50μm以上400μm以下(望ましくは300μm以下)が望ましい。50μm未満の場合は、複数回折り重ねて多層リード線11としても、所定の強度が得られない場合がある。また400μmより厚い場合、折り重ねなくてもリード線としての強度を確保することが可能である。なお厚みは100μm〜300μmの範囲であれば、リードフレーム12のファインパターン化が容易となり、このリードフレーム12の一部を、伝熱層13から剥離し、複数枚を折り重ねて多層リード線11とすることで、機械的な強度も向上できる。その結果、プリント配線板18に形成した孔19への挿入性を改善する。
ここでリードフレーム12に用いる銅材料は、例えば原料の電気銅を溶解して製造したものである。ここでタフピッチ銅は、銅中に酸素を残した精錬銅であり、電気伝導性や加工性に優れている。タフピッチ銅は例えばCu99.90wt%以上、無酸素銅は例えばCu99.96wt%以上が望ましい。銅の純度が、これら数字未満の場合、不純物(例えば酸素の影響によるCu2Oの含有量が大きくなるので)の影響によって、加工性のみならず熱伝導性や電気伝導性に影響を受ける場合がある。こうした部材は安価であり、量産性に優れている。なおリードフレーム12のパターニング方法としては、エッチングでも良いが、プレス22(あるいは金型)による打抜きがパターンの同一性、量産性の面から適している。
更に必要に応じて各種銅合金を選ぶこともできる。例えば、リードフレーム12として、加工性や、熱伝導性を高めるためには、銅素材に銅以外の少なくともSn、Zr、Ni、Si、Zn、P、Fe等の群から選択される少なくとも1種類以上の材料とからなる合金を使うことも可能である。例えばCuを主体として、ここにSnを加えた、銅材料(以下、Cu+Snとする)を用いることができる。Cu+Sn銅材料(あるいは銅合金)の場合、例えばSnを0.1重量%以上0.15重量%未満添加することで、その軟化温度を400℃まで高められる。比較のためSn無しの銅(Cu>99.96重量%)を用いて、リードフレーム12を作成したところ、導電率は低いが、出来上がった熱伝導基板において特に形成部等に歪みが発生する場合があった。そこで詳細に調べたところ、その材料の軟化点が200℃程度と低いため、後の部品実装時(半田付け時)に変形する可能性があることが予想された。一方、Cu+Sn>99.96重量%の銅系の材料を用いた場合、実装された各種部品の発熱の影響は特に受けなかった。また半田付け性やダイボンド性にも影響が無かった。そこでこの材料の軟化点を測定したところ、400℃であることが判った。このように、銅を主体として、いくつかの元素を添加することが望ましい。銅に添加する元素として、Zrの場合、0.015重量%以上0.15重量%以下の範囲が望ましい。添加量が0.015重量%未満の場合、軟化温度の上昇効果が少ない場合がある。また添加量が0.15重量%より多いと電気特性に影響を与える場合がある。また、Ni、Si、Zn、P等を添加することでも軟化温度を高くできる。この場合、Niは0.1重量%以上5重量%未満、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%未満、Pは0.005重量%以上0.1重量%未満が望ましい。そしてこれらの元素は、この範囲で単独、もしくは複数を添加することで、銅素材の軟化点を高くできる。なお添加量がここで記載した割合より少ない場合、軟化点上昇効果が低い場合がある。またここで記載した割合より多い場合、導電率への影響の可能性がある。同様に、Feの場合0.1重量%以上5重量%以下、Crの場合0.05重量%以上1重量%以下が望ましい。これらの元素の場合も前述の元素と同様である。
なおこれらリードフレーム12に使う銅材料の引張り強度は、600N/平方mm以下が望ましい。引張り強度が600N/平方mmを超える材料の場合、これらリードフレーム12の加工性に影響を与える場合がある。一方、引張り強度が600N/平方mm以下(更にこれらリードフレーム12に微細で複雑な加工が必要な場合、望ましくは400N/平方mm以下)とすることでスプリングバック(必要な角度まで曲げても圧力を除くと反力によってはねかえってしまうこと)の発生を抑えられ、形成精度を高められる。このようにこれらリードフレーム12の材料としては、Cuを主体とすることで導電率を下げられ、更に柔らかくすることで加工性を高められ、更にこれらリードフレーム12による放熱効果も高められる。なおこれらリードフレーム12に使う銅合金の引張り強度は、10N/平方mm以上が望ましい。これは一般的な鉛フリー半田の引張り強度(30〜70N/平方mm程度)に対して、これらリードフレーム12に用いる銅合金はそれ以上の強度が必要なためである。これらリードフレーム12に用いる銅合金の引張り強度が、10N/平方mm未満の場合、これらリードフレーム12の上に発熱部品16等を半田付け実装する場合、半田部分ではなくてこれらリードフレーム12の部分で凝集破壊する可能性がある。
なおリードフレーム12の発熱部品16等の実装面に、予め半田付け性を改善するように半田層や錫層を形成しておくことも有用である。なおリードフレーム12の伝熱層13に接する面には、半田層は形成しないことが望ましい。このように伝熱層13と接する面に半田層や錫層を形成すると、半田付け時にこの層が柔らかくなり、リードフレーム12と、伝熱層13との接着性(もしくは結合強度)に影響を与える場合がある。
また金属板14は、熱伝導の良いアルミニウム、銅またはそれらを主成分とする合金からできている。特に本実施の形態では、金属板14の厚みを1mm(望ましくは0.1mm以上50mm以下の厚み)としているが、その厚みは製品仕様に応じて設計できる(なお金属板14の厚みが0.1mm以下の場合、放熱性や強度的に不足する可能性がある。また金属板14の厚みが50mmを超えると、重量面で不利になる)。金属板14としては、単なる板状のものだけでなく、より放熱性を高めるため、伝熱層13を積層した面とは反対側の面に、表面積を広げるためにフィン部(あるいは凹凸部)を形成しても良い。全膨張係数は8〜20ppm/℃としており、本発明の熱伝導基板や、これを用いた電源ユニット全体の反りや歪みを小さくできる。またこれらの部品を表面実装する際、互いに熱膨張係数をマッチングさせることは信頼性的にも重要となる。
次に図3を用いて、熱伝導基板に電子部品を実装した後、多層リード線11を形成する様子を説明する。図3(A)(B)は、熱伝導基板に多層リード線11を形成する様子を説明する断面図である。図3(A)(B)において、24は点線であり、補助線に相当する。図3(A)(B)は、熱伝導基板の上に発熱部品16等を実装した後、多層リード線11を形成する様子を説明する断面図である。図3(A)は電子部品の実装前、図3(B)は電子部品の実装後に、多層リード線11を形成する様子を示す断面図である。まず図3(A)の矢印15aに示すようにして、発熱部品16等を半田付け等で実装し、図3(B)の状態とする。その後、図3(B)に示すように、伝熱層13に埋め込まれたリードフレーム12の一部を矢印15b(あるいは点線24)に示すように伝熱層13から引き剥がし、その一部を折り曲げ、多層リード線11とする。
なお熱伝導基板において、多層リード線11を、基板から略垂直に折り上げる場合、発熱部品16等を実装した後で、行うことが望ましい。これは発熱部品16等の実装前に多層リード線11を略垂直に折り上げると、部品実装の邪魔になるためである。
次に図4を用いて、多層リード線11を用いて熱伝導基板とプリント配線板18とを接続し、回路モジュールを作成する様子を説明する。図4(A)(B)は、ともに熱伝導基板と、プリント配線板18とを積層し、回路モジュール化する様子を説明する断面図である。図4(A)において、リードフレーム12の一部は、伝熱層13から引き剥がされた後、複数層に折り曲げられ、多層リード線11を構成している。そのため図4(A)の矢印15aが示すように、プリント配線板18の孔19に差し込む際に、多層リード線11が曲がったり歪んだりすることを防止できる。
次に図5〜図6を用いて、多層リード線11の形成方法について説明する。図5(A)(B)は、リードフレーム12の一部を折り曲げ、多層リード線11とする様子を説明する拡大断面図である。図5(A)において、リードフレーム12は、金属板14の上に固定した伝熱層13に埋め込んでいる。次に、矢印15aに示すようにして、伝熱層13に埋め込んだリードフレーム12の一部を引き剥がす。なお後述する図7〜図8で説明するように、引き剥がして、多層リード線11とする部分のリードフレーム12の側面に、隙間25(隙間の詳細は、後述する図7〜図8で説明する)を形成しておくことで、安定して引き剥がすことができる。
図5(B)は、引き剥がしたリードフレーム12の一部を、複数回折り上げ、多層リード線11とする様子を示す断面図である。図5(B)より、リードフレーム12の一部が、多層リード線11となっていることが判る。図5(B)に示すように多層リード線11を複数層化すること(あるいは折り重ねて多層化すること)で、プリント配線板(図示していない)との接続強度を高めることができる。また多層リード線11の折り上げ部分を、熱伝導基板の内側とすることで、その信頼性を高める効果も得られる。
なお図5(B)における矢印15bは、多層リード線11と金属板14(あるいは基板の周縁部)との沿面距離を示すものである。熱伝導基板において、絶縁性を高める(あるいは強化絶縁を行う)ためには、一定以上の沿面距離を確保することが望ましい。この場合、リードフレーム12を伝熱層13から引き剥がし、多層リード線11とすることで、その引き剥がした分を沿面距離として確保することができ、熱伝導基板の電気的信頼性を高める。
図6(A)(B)は、その一部を折り曲げた状態で、伝熱層13に埋め込んだリードフレーム12を用いて、多層リード線11を形成する様子を説明する拡大断面図である。図6(A)において、リードフレーム12は、その一部を折り曲げた状態で、根本部分は伝熱層13に埋め込んだ状態としている。その後、図6(A)の矢印15aに示すように、リードフレーム12の一部を、伝熱層13から引き剥がし、略垂直に折り曲げ、多層リード線11を形成する。図6(A)(B)の構造とすることで、多層リード線11と伝熱層13の接着力を高めることができる。
次に図7〜図8を用いて、多層リード線11の形状について説明する。図7は、プリント配線板18に形成した孔19への挿入性を高めた多層リード線11の形状の一例を示す斜視図である。図7において、25は隙間、26は肩部である。リードフレーム12の一部分以上を伝熱層13に埋め込み、一体化する際、リードフレーム12の側面に形成する伝熱層13との間に一部、隙間25を形成しておくことで、リードフレーム12を伝熱層13から引き剥がしやすくなる。これは隙間25によって、リードフレーム12と伝熱層13の接着力が低下するためである。また肩部26を設けることで、プリント配線板18の孔19を、この肩部26の部分で保持することができ、プリント配線板18と熱伝導基板との間隔を一定に保つことができる。なおプリント配線板18と熱伝導基板とは略平行に保つことが望ましい。略平行とすることで、電気的にも構造的にも安定させられる。
図8は、プリント配線板18に形成した孔19の挿入性を高めた多層リード線11の形状の一例を示す斜視図である。図8において多層リード線11の先端部20を尖らせることで、プリント配線板18の孔19に対する多層リード線11の挿入性を高めている。なお図7〜図8において、多層リード線11は、肉薄のリードフレーム12の所定部分を多層化した、局所的に強度アップしたものである。
次に図9を用いて、リードフレーム12の折り曲げ方について説明する。図9(A)〜(D)は、リードフレーム12の折り曲げ方を説明する斜視図である。図9(A)〜(D)において、点線24a、24bは折り曲げる部分を示す。図9(B)の矢印15aが示すように、リードフレーム12の一部を折り曲げ、図9(C)の形状とする。その後、必要に応じて、図9(D)に示すように折り曲げ、多層リード線11とすることができる。このように折り曲げ位置、折り曲げ方向(長手方向に折り曲げる、幅方向に折り曲げる等)を工夫することで、多層リード線11の強度を高めることができる。なお図9(A)〜(D)において、伝熱層13へのリードフレーム12の埋め込み工程等は図示していないが適宜、伝熱層13へ埋め込むことができる。
以上のようにして、金属板14と、前記金属板14の上に固定したシート状の伝熱層13と、前記伝熱層13に一部以上を埋め込んだリードフレーム12と、リード線と、からなる熱伝導基板であって、折重状態で前記伝熱層13に埋め込まれた前記リードフレーム12の一部を、前記伝熱層13から剥離し、多層リード線11とした熱伝導基板とすることで、リードフレーム12のファインパターン化と、リード線部分の高強度化という相反する特性を改善でき、熱伝導基板の高性能化、小型化が可能となる。
金属板14と、前記金属板14の上に固定したシート状の伝熱層13と、前記伝熱層13に一部以上を埋め込んだリードフレーム12と、リード線と、からなる熱伝導基板部であって、前記リードフレーム12の一部を前記熱伝導層から剥離し、一部が折り重ねてなる多層リード線11としている熱伝導基板とすることで、リードフレーム12のファインパターン化と、リード線部分の高強度化という相反する特性を改善でき、熱伝導基板の高性能化、小型化が可能となる。
伝熱層13は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びイソシアネート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種類以上の樹脂と、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化珪素及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種類以上の無機フィラーと、を含む熱伝導基板とすることで、熱伝導基板の高放熱化を実現する。
リードフレーム12及び多層リード線11は、銅箔、タフピッチ銅もしくは無酸素銅である熱伝導基板とすることで、リードフレーム部分やリード線部分の加工性、熱伝導性を改善でき、熱伝導基板の高性能化を実現する。
リードフレーム12及び多層リード線11は、Snは0.1重量%以上0.15重量%以下、Zrは0.015重量%以上0.15重量%以下、Niは0.1重量%以上5重量%以下、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%以下、Pは0.005重量%以上0.1重量%以下、Feは0.1重量%以上5重量%以下である群から選択される少なくとも一種以上を含む、銅を主体とする金属材料である熱伝導基板とすることで、リードフレーム12部分やリード線部分の加工性、熱伝導性を改善でき、熱伝導基板の高性能化を実現する。
金属板14と、前記金属板14の上に固定したシート状の伝熱層13と、前記伝熱層13に一部以上を埋め込んだリードフレーム12と、その一部以上を複数層の折り重ねた多層リード線11と、からなる熱伝導基板と、プリント配線板18とからなる回路モジュールであって、前記熱伝導基板と前記プリント配線板18とを接続する多層リード線11は、前記リードフレーム12の一部を複数層に折り重ねたものである回路モジュールとすることで、熱伝導基板とプリント配線板18との接続性や接続強度を高めることができ、回路モジュールの性能を高めることができる。
熱伝導基板部とプリント配線板18を接続する多層リード線11は、伝熱層13に埋め込まれたリードフレーム12の一部が略垂直に折り上げたものである回路モジュールとすることで、熱伝導基板とプリント配線板18を接続するリード線と、リードフレーム12を一体化できるため、回路モジュールの性能を高めることができる。
熱伝導基板部とプリント配線板18を接続する多層リード線11は、略平行する複数列に形成したものである回路モジュールとすることで、複数本の多層リード線11を一括して、プリント配線板18に形成した孔19に挿入することができ、回路モジュールの生産性を高めることができる。
少なくとも、金属板14と、リードフレーム12と、伝熱層13を一体化する工程と、前記伝熱層13を硬化させる工程と、前記リードフレーム12の上に電子部品を実装した後、前記リードフレーム12の一部を略垂直に折り曲げ、多層リード線11を形成する工程と、リードフレーム12の一部を多層に折り重ね、多層リード線11を構成する工程とを、有する熱伝導基板の製造方法によって、リード線部分を多層リード線11として、強度アップを実現した熱伝導基板を安定して製造することができる。
以上のように、本発明にかかる熱伝導基板とその製造方法及び回路モジュールによって、プラズマテレビ、液晶テレビ、あるいは車載用各種電装品、あるいは産業用の放熱が要求される機器の小型化、高性能化が可能となる。
11 多層リード線
12 リードフレーム
13 伝熱層
14 金属板
15 矢印
16 発熱部品
17 端子
18 プリント配線板
19 孔
20 先端部
21 溝部
22 プレス
23 フィルム
24 点線
25 隙間
26 肩部
12 リードフレーム
13 伝熱層
14 金属板
15 矢印
16 発熱部品
17 端子
18 プリント配線板
19 孔
20 先端部
21 溝部
22 プレス
23 フィルム
24 点線
25 隙間
26 肩部
Claims (9)
- 金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱層と、
前記伝熱層に一部以上を埋め込んだリードフレームとからなる熱伝導基板であって、
前記リードフレームの一部を折り重ねてリード線としている熱伝導基板。 - 金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱層と、
前記伝熱層に一部以上を埋め込んだリードフレームとからなる熱伝導基板部であって、
前記リードフレームの一部を折り重ねてリード線とすると共に、その折重部分の一部を、前記伝熱層に埋設した熱伝導基板。 - 伝熱層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びイソシアネート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種類以上の樹脂と、
アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化珪素及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種類以上の無機フィラーと、
を含む請求項1〜2のいずれか一つに記載の熱伝導基板。 - リードフレーム及びリード線は、銅箔、タフピッチ銅もしくは無酸素銅である請求項1〜2のいずれか一つに記載の熱伝導基板。
- リードフレーム及びリード線は、Snは0.1重量%以上0.15重量%以下、Zrは0.015重量%以上0.15重量%以下、Niは0.1重量%以上5重量%以下、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%以下、Pは0.005重量%以上0.1重量%以下、Feは0.1重量%以上5重量%以下である群から選択される少なくとも一種以上を含む、銅を主体とする金属材料である請求項1〜2のいずれか一つに記載の熱伝導基板。
- 金属板と、前記金属板の上に固定したシート状の伝熱層と、前記伝熱層に一部以上を埋め込んだリードフレームと、この熱伝導基板の前記リードフレームのリード線に接続したプリント配線板とからなるモジュールであって、
前記熱伝導基板のリード線は、前記リードフレームの一部を複数層に折り重ねたものである回路モジュール。 - リード線は、伝熱層に埋め込まれたリードフレームの一部が略垂直に折り上げたものである請求項6記載の回路モジュール。
- リード線は、略平行に複数形成した請求項6記載に記載の回路モジュール。
- 少なくとも、
金属板と、リードフレームと、伝熱層を一体化する工程と、
前記伝熱層を硬化させる工程と、
前記リードフレームの上に電子部品を実装した後、前記リードフレームの一部を多層に折り重ね、多層リード線を構成する工程とを、
有する熱伝導基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007009742A JP2008177382A (ja) | 2007-01-19 | 2007-01-19 | 熱伝導基板とその製造方法及びこれを用いた回路モジュール |
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ID=39704183
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JP2007009742A Pending JP2008177382A (ja) | 2007-01-19 | 2007-01-19 | 熱伝導基板とその製造方法及びこれを用いた回路モジュール |
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JP (1) | JP2008177382A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20110092779A (ko) * | 2010-02-10 | 2011-08-18 | 페어차일드코리아반도체 주식회사 | 반도체 파워 모듈 패키지 및 그의 제조방법 |
CN111869338A (zh) * | 2018-03-19 | 2020-10-30 | 塔克托科技有限公司 | 用于电子器件的多层结构和相关制造方法 |
CN114710895A (zh) * | 2022-04-07 | 2022-07-05 | 无锡深南电路有限公司 | 一种摄像装置及其制备方法 |
-
2007
- 2007-01-19 JP JP2007009742A patent/JP2008177382A/ja active Pending
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