JP2008098489A - 熱伝導基板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導基板を小型化しても、リードフレームと金属板との沿面距離の低下を防止し、信頼性に優れた熱伝導基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】金属板12の上に形成した伝熱層11と、伝熱層11の表面に固定したリードフレーム10とからなる熱伝導基板の1面以上を伝熱層11だけとし、更に金属板12は露出させることなく伝熱層11に埋め込むことにより、リードフレーム10と金属板12との間の沿面距離を確保する。
【選択図】図1
【解決手段】金属板12の上に形成した伝熱層11と、伝熱層11の表面に固定したリードフレーム10とからなる熱伝導基板の1面以上を伝熱層11だけとし、更に金属板12は露出させることなく伝熱層11に埋め込むことにより、リードフレーム10と金属板12との間の沿面距離を確保する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器のパワー半導体等を用いた電源回路や、高輝度の発光ダイオード等を用いたバックライト等の照明機器の製造に使用される熱伝導基板とその製造方法及び回路モジュールに関するものである。
近年、電子機器の高性能化、小型化の要求に伴い、パワー半導体等を用いた電源回路や、高輝度の発光ダイオード(あるいは半導体レーザー)等を用いたバックライト等の照明機器の製造に使用される熱伝導基板は、特許文献1等で知られている金属板を用いた熱伝導基板が使われている。
図20(A)〜(C)は、ともに熱伝導基板の製造方法の一例を説明する断面図である。図20(A)において、熱伝導シート状物1と、リードフレーム2とを、矢印3a、3bに示すようにして一体化し、熱伝導基板とする。また必要に応じて図20(B)に示すように、金属板4と一体化する。またリードフレーム2を介して、多数個の熱伝導基板を連続して作成できる。そして矢印3cで示した位置で、リードフレーム2を切断することで、図20(C)に示すように、個々の熱伝導基板に分割できる。
しかし、このように作成した熱伝導基板の場合、小型化するほど、周辺部での沿面距離が制限されるという課題がある。次に図21(A)(B)を用いて、熱伝導基板を小型化した場合における沿面距離が少なくなってしまう課題について説明する。
図21(A)(B)は、ともに熱伝導基板における沿面距離を説明する断面図である。図21(A)において、金属板4の上に、金属板4より一回り小さい熱伝導シート状物1を固定している。また熱伝導シート状物1の表面には、リードフレーム2を埋め込んでいる。図21(A)(B)における矢印3a、3bは、リードフレーム2と金属板4との絶縁距離(いわゆる沿面距離)を示している。熱伝導シート状物1の厚みが薄くなったり、熱伝導基板の小型化(小面積化)が求められた場合、矢印3a、3bで示す沿面距離が小さくなってしまうと言う課題が発生する。なお図21(A)(B)における補助線5は、熱伝導シート状物1の形成位置等を示している。
また工程のバラツキによっては、図21(A)に示すような熱伝導基板(矢印3aで示す部分が高精度に形成されている)だけではなくて、図21(B)に示すような熱伝導基板(矢印3bで示す部分が欠けている、あるいは熱伝導シート状物1が足りない)が発生する可能性がある。そして熱伝導基板として要求される沿面距離(例えば図21(A)(B)で示す矢印3a、3b部分)が小さくなると、金属板4の上(更には矢印3a、3bで示した部分に)付着した埃やゴミ等が、電気的信頼性に影響を与える可能性も増加する。
特許第3312723号公報
このように従来の熱伝導基板では、熱伝導基板を小型化しようとするほど、特に熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)が狭くなってしまうため、リードフレーム2と金属板4との間の沿面距離(例えば図21における矢印3a、3bで示した部分の長さ)が低下してしまうという課題が発生する場合があった。
本発明は、熱伝導基板を小型化した場合でも、その周辺部(あるいは周縁部)でのリードフレームと金属板との間の沿面距離の低下を防止でき、信頼性に優れた熱伝導基板とその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、金属板と、前記金属板の上に固定したシート状の伝熱層と、前記伝熱層の表面に固定したリードフレームと、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板を露出させることなく前記伝熱層だけで覆っている熱伝導基板である。
このような構成によって、熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)に形成したリードフレームと、金属板との間に、伝熱層だけで形成した側面部を挟むこととなり、熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)におけるリードフレームと金属板との間の沿面距離を確保することができ、熱伝導基板の小型化と高信頼性化を実現することができる。
以上のように本発明によれば、熱伝導基板を小型化した場合でも、熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)における、リードフレームと金属板との間の沿面距離を確保できるため、パワー系の半導体や、高輝度の発光ダイオード等を高密度実装することができる熱伝導基板が提供できる。
なお本発明の実施の形態に示された一部の製造工程は、成形金型等を用いて行われる。但し説明するために必要な場合以外は、成形金型は図示していない。また図面は模式図であり、各位置関係を寸法的に正しく示したものではない。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における熱伝導基板について、図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態における熱伝導基板について、図面を参照しながら説明する。
図1(A)〜(D)は、それぞれ本発明の実施の形態における熱伝導基板の一例を示す斜視図と断面図である。図1(A)〜(D)において、10はリードフレーム、11は伝熱層、12は金属板、13a〜13cは矢印である。図1(A)は、実施の形態における熱伝導基板の斜視図である。図1(A)において、金属板12の表面には、シート状の伝熱層11を形成している。またシート状の伝熱層11の表面には、リードフレーム10の少なくとも一部を埋め込んでいる。また金属板12の一側面以上は、伝熱層11で覆う。こうして金属板12と、前記金属板12の上に固定したシート状の伝熱層11と、前記伝熱層11の表面に固定したリードフレーム10と、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板12を露出させることなく前記伝熱層11だけで覆っている熱伝導基板を構成する。
図1(A)の矢印13aにおける断面図が、図1(B)である。図1(B)に示すように、本実施の形態における熱伝導基板は、金属板12の上に形成したシート状の伝熱層11と、前記伝熱層11にその少なくとも一部を埋め込んだリードフレーム10とから構成されていることが判る。
図1(A)の矢印13bにおける断面図が、図1(C)である。図1(C)に示すように、本実施の形態における熱伝導基板の1側面以上(図1(C)においては2側面)は、金属板12を露出させることなく伝熱層11だけで覆っている。このように金属板12を熱伝導基板の側面に露出させない(つまり伝熱層11で覆う)ことで、熱伝導基板を小型化(あるいは低面積化)した場合でも、熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)に形成したリードフレーム10と、金属板12との間の沿面距離(図1(C)において沿面距離は矢印13cで示している)を確保する。また必要に応じて、金属板12のC面カット(もしくは面取り)をすることも有効である。
図1(D)は、金属板12の露出面(少なくとも最外層になる側)の端部にC面カット(C面カットとは略直角の端部の角を取ることで面取りとも呼ばれ、バリ取り効果も得られる)した場合について説明する断面図である。このように金属板12の一部以上をC面カットすることで、図1(D)に示したように、矢印13cで示す沿面距離を伸ばしたり、伝熱層11に対するアンカー効果(楔効果)を高めることもできる。
以上のようにして、シート状の伝熱層11と、前記伝熱層11の片面に一部以上を埋め込んだ金属板12と、前記伝熱層11の残りの面に固定したリードフレーム10と、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の1側面以上(更には全側面までも)は、前記金属板12を露出させることなく前記伝熱層11だけで覆っている熱伝導基板を作成する。
なお前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板12を露出させることなく前記伝熱層11だけで覆い、前記熱伝導基板の残りの側面は、前記伝熱層11から前記金属板12が露出している熱伝導基板としても良い。
また前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板12を露出させることなく前記伝熱層11だけで覆い、前記熱伝導基板の残りの側面は、前記伝熱層11から前記金属板12が突き出している熱伝導基板を作成する。そして突き出した金属板12を用いて、他の放熱用の部材にネジ止めすることができる。
次に図2(A)〜(D)を用いて、本実施の形態における熱伝導基板の他の一例を示す。図2(A)〜(D)は、それぞれ熱伝導基板の、他の部材への密着性について説明する斜視図及び断面図である。ここで他の部材とは例えば放熱用の金属製フィン等であるが、図示していない。そしてこのような他の部材へ、熱伝導基板を密着させることで、熱伝導基板の放熱性を高める効果が得られる。
図2(A)は金属板を突き出した熱伝導基板の一例を示す斜視図であり、矢印13cで示すように、伝熱層11よりも金属板12が突き出している(あるいは金属板12よりも伝熱層11が、矢印13cで示す分だけ引っ込んでいる)。図2(A)の矢印13aにおける断面図が、図2(B)である。図2(B)より本実施の形態における熱伝導基板は、金属板12の上に形成したシート状の伝熱層11と、前記伝熱層11にその少なくとも一部を埋め込んだリードフレーム10とから構成されていることが判る。
図2(A)と図1(A)の違いは、熱伝導基板の底面に露出した金属板12の突き出し具合である。図1(A)〜(C)の場合、熱伝導基板の底部における金属板12と、伝熱層11の熱伝導基板における突き出し量は略同一である。一方、図2(A)〜(C)の場合、熱伝導基板の底部における金属板12の方が、伝熱層11より、矢印13cで示すだけ、表面に突き出している(あるいは盛り上がっている)。図2(C)に示すように、金属板12を、伝熱層11よりも積極的に突き出す(あるいは金属板12より、伝熱層11を積極的に引っ込める)ことによって、放熱用の金属製フィン等と、金属板12との密着性を高める。これは伝熱層11が金属板12より飛び出している(あるいは突き出している)場合、突き出した伝熱層11が、金属板12とフィン(図示していない)との密着を阻害する可能性があるためである。
図2(A)の矢印13bにおける断面図が、図2(C)である。図2(C)に示すように、本実施の形態における熱伝導基板の1側面以上(図2(C)においては2側面)は、金属板12を露出させることなく伝熱層11だけで覆っている。このように金属板12の側面を露出させない(つまり伝熱層11で覆う)ことで、熱伝導基板を小型化(あるいは低面積化)した場合でも、熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)に形成したリードフレーム10と、金属板12との間の沿面距離(図2(C)において沿面距離は矢印13dで示している)を確保する。更に図2(C)で、矢印13cが示すように、熱伝導基板の底部における金属板12の方が、伝熱層11より、矢印13cで示すだけ、表面に突き出す(あるいは盛り上げる)ことによって、放熱用の金属製フィン等(図示していない)と、金属板12との密着性を高める。こうして伝熱層11が金属板12より飛び出している(あるいは突き出している)場合、突き出した伝熱層11が、金属板12とフィン(図示していない)との密着阻害を防止する。
こうしてシート状の伝熱層11と、前記伝熱層11の片面に一部以上を埋め込んだ金属板12と、前記伝熱層11の残り面に固定したリードフレーム10と、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の底部に前記金属板12と前記伝熱層11が露出しており、前記伝熱層11よりも前記金属板12の方が底面方向に突き出している熱伝導基板を作成する。
なお金属板12の底面方向への突き出し量は、金属板12の厚み未満(更には金属板12の厚みの半分以下)が望ましい。金属板12の厚み以上で、金属板12が底面方向へ突き出した場合、金属板12と伝熱層11の密着性に影響を与える可能性があるためである。また必要に応じて、伝熱層11だけを選択的に金属板12の面より、内側に引っ込めても(バフ研磨等することで選択的に引っ込めても)良い。
また必要に応じて、図2(D)のように金属板12の一部分にC面カットしても良い。こうすることで、金属板12の端部に発生しやすいバリ(これが金属板12と放熱用のフィンとの密着の阻害要因になる可能性がある)の発生を防止できる。
次に図3(A)〜(C)を用いて、熱伝導基板の放熱メカニズムについて説明する。図3(A)〜(C)は、それぞれ放熱メカニズムを説明する斜視図と断面図である。図3(A)〜(C)において14は電子部品である。ここで電子部品14としては、高輝度発光ダイオード(例えば液晶テレビのバックライトや車のヘッドライト)や半導体レーザー、あるいはパワー系の半導体(トランジスタ等)である。図3(A)において、電子部品14を矢印13aに示すようにして、熱伝導基板の表面に実装する。なお実装用の半田やバンプ等は図示していない。また熱伝導基板の表面のソルダーレジスト等も図示していない。図3(B)は、熱伝導基板の表面に実装した電子部品14を放熱する様子を説明する斜視図である。図3(B)に示すように、リードフレーム10の表面に実装した電子部品14に発生した熱は、矢印13bが示すように、リードフレーム10や伝熱層11を介して広がる。
図3(C)は、図3(B)の矢印13cにおける断面図である。図3(C)に示すように、リードフレーム10の表面に実装した電子部品14に発生した熱は、矢印13bが示すように、リードフレーム10や伝熱層11を介して、金属板12に放熱される。また金属板12の表面に放熱用の金属製フィン等(図示していない)を固定することで、更に放熱効果を高めることができる。ここで、図2(A)〜(C)で説明したように、熱伝導基板の裏面において、金属板12を伝熱層11から積極的に突き出させることで、放熱用のフィン(図示していない)と、金属板12との密着性を高める。
次に本実施の形態における熱伝導基板の製造方法の一例について説明する。熱伝導基板の製造方法は、少なくとも、金属板12と、シート状の伝熱材と、を位置合わせする工程と、前記伝熱材に、前記金属板12を埋め込む工程と、前記伝熱材の表面に、リードフレーム10を固定する工程と、前記伝熱材を硬化し、伝熱層11とする工程と、前記伝熱層11の部分で複数個に分割する工程と、を含む。
次に図4を用いて、本実施の形態における熱伝導基板に用いる金属板12を説明する。図4(A)〜(E)は、それぞれ本実施の形態における熱伝導基板に用いる金属板の斜視図、上面図及び断面図である。図4(A)〜(E)において、15は孔、16は補助線である。図4(A)は、本実施の形態における熱伝導基板に用いる金属板12の斜視図であり、金属板12には、一定間隔で孔15を形成している。図4(C)は、実施の形態における熱伝導基板の上面図である。図4(C)より、金属板12には一定距離で孔15を形成していることがわかる。図4(C)の矢印13bにおける断面図が、図4(B)である。また図4(C)の矢印13cにおける断面図が、図4(D)である。図4(D)から、金属板12には、孔15を形成していることが判る。また図4(C)の矢印13aにおける断面図が、図4(E)である。図4(E)より、金属板12には、孔15を複数個形成していることが判る。なお補助線16は、図4(B)〜図4(E)の相対的な位置関係を定性的(あるいは模式的)に示すものである。そのため補助線16は、補助的に説明するためのものであり、図面によっては正確でない場合もある。
次に図5〜図6を用いて、各種部材を一体化し、熱伝導基板を作成する様子を説明する。図5(A)(B)は、ともに熱伝導基板を作成する様子を説明する斜視図である。図5(A)(B)において、17は伝熱材であり、伝熱材17が硬化することで、シート状の伝熱層11となる。図5(A)は積層し一体化する前の斜視図、図5(B)は積層し一体化した後の斜視図である。図5(A)に示すように、複数個の孔15を形成した金属板12の上に、シート状の伝熱材17をセットする。そしてこれらを矢印13に示すように、プレス装置等(図示していない)を用いて、加圧密着、一体化させる。
図5(B)は、加圧密着、一体化させた後の斜視図である。なお図5(A)において、伝熱材17はシート状とすることが望ましい。シート状とすることで、金属板12に形成した孔15の細部にまで伝熱材17を回り込ませやすくなる。また伝熱材17の厚みを薄層、均一化することができ、熱伝導基板の薄層化、高放熱化が可能となる。なお伝熱材17を、ロールプレス等(図示していない)を用いてシート化しておくことで、伝熱材17の内部に空気だまり(あるいは空気の泡)が残ったり、ピンホール発生等を防止できる。
図6(A)(B)は、それぞれ伝熱材の表面にリードフレームを固定する様子を説明する斜視図である。図6(A)において、金属板12の上には伝熱材17がシート状に固定されている。そしてその上にリードフレーム10を位置合わせした後、矢印13に示すようにして固定する。図6(B)は、伝熱材17の表面に、リードフレーム10を固定した様子を説明する斜視図である。
次に図7〜図12を用いて、更に詳しくする。図7〜図8はプレスを用いて金属板12をシート状の伝熱材に埋め込む様子を説明する断面図である。図7〜図8において、18はフィルム、19はプレス装置である。
図7は、プレスする様子を示す断面図である。まず図7に示すように、孔15を形成した金属板12の上に、伝熱材17を位置合わせし、フィルム18を介してプレス装置19にセットする。そして矢印13に示すように、これら部材をプレス装置19で加圧、圧着させる。なお図7において、金型等は図示していない。そして金属板12と、伝熱材17をプレス装置19を用いて矢印13の方向にプレスし一体化する。
図8は、プレス中の様子を示す断面図である。図8は、金属板12が、伝熱材17の中にプレスして埋め込まれ一体化する様子を示す。図8において、伝熱材17等をプレス時に加熱することで、伝熱材17を軟化できるため、金属板12に形成した孔15との密着性を高めたり、孔15の隙間まで満遍なく回り込ませることができる。また図8に示すように、フィルム18を金属板12と、金型(図示していない)の間に挟んでおくことで、伝熱材17がプレス装置19や金型(図示していない)の表面に、汚れとして付着することを防止できる。
図9は、プレスが終了した様子を示す断面図である。図9の矢印13が示すように、プレス装置19を互いに引き離す。更にフィルム18を、伝熱材17や金属板12の表面から引き剥がす。こうして金属板12を埋め込むように、伝熱材17を固定する。
次に図10から12を用いて、伝熱材17の表面にリードフレーム10を固定する様子を説明する。図10は、プレスする様子を示す断面図である。まず図10に示すようにして、プレス装置19に、図7〜図9の工程で作成した一体化物と、その上にリードフレーム10を位置合わせして、セットする。またフィルム18を挟むことで、金型(図示していない)の汚れ防止が可能となる。
図11はプレス中の様子を示す断面図である。次に図11の矢印13で示すようにして、これら部材を張り合わせる。図12は張り合わせた後の様子を示す断面図である。こうして金属板12を埋め込んだ伝熱材17の表面にリードフレーム10を固定する。この後、伝熱材17を熱硬化させ、伝熱層11となる。なお図9の段階で、伝熱材17を熱硬化させ、その上に接着剤(図示していない)を用いてリードフレーム10を固定することも可能である。また図10の状態で、伝熱材17を半硬化(もしくは完全硬化前の状態)としておき、その表面に図10〜図12で示すようにしてリードフレーム10を載せ、そして伝熱材17を熱硬化(あるいは完全硬化)させても良い。こうすることで、リードフレーム10を接着剤を用いることなく、伝熱材17の表面に固定できる。このようにして伝熱材17の熱硬化は、これら熱伝導基板を構成する部材を一体化するように成形した後、加熱硬化炉の中で硬化させても良い。
次に、図13〜図17を用いて、熱伝導基板の製造方法について説明する。
図13(A)〜(E)は、それぞれ複数個の熱伝導基板が一括した状態を説明する斜視図、上面図及び断面図である。図13(A)〜(E)において、20は点線である。図13(A)は、複数個の熱伝導基板が一括した状態を説明する斜視図であり、図7〜図12の工程で作成したものに相当する。図13(A)において、金属板12の上には、リードフレーム10の少なくとも一部を埋め込んだ伝熱材17をシート状に固定している。そして金属板12に形成した孔15の内部にも、伝熱材17が充填されている。同様にリードフレーム10の隙間(複数のリードフレーム10の間も含む)にも、伝熱材17を充填している。なお金属板12の表面や、リードフレーム10の表面には、伝熱材17は殆ど付着していない。これは図7〜図12において、フィルム18を用いてプレスしたためである。なお必要に応じてフィルム18に粘着テープ(プレス終了後で、剥離するため剥離性の良いものが望ましい)を用いることで、金属板12やリードフレーム10と、フィルム18との密着性を高めることができ、伝熱材17による汚れ付着防止効果を高められる。
図13(C)は、図13(A)の上面図に相当する。そして図13(C)の矢印13aにおける断面図が図13(E)に、矢印13bにおける断面図が図13(B)に、矢印13cにおける断面図が図13(D)に相当する。図13(C)に示すように、金属板12の上に、リードフレーム10の少なくとも一部を埋め込むように伝熱材17を用いて固定する。そして金属板12に形成した孔15の内部にも、伝熱材17を充填する。図13(B)は、図13(C)の矢印13bにおける断面図であり、図13(B)から、リードフレーム10が伝熱材17の表面に固定している様子が判る。また図13(D)より、伝熱材17の一部は、金属板12に形成した孔15の内部に充填していることが判る。また図13(E)より、金属板12の少なくとも一部を伝熱材17に埋め込んでいることが判る。このように金属板12とリードフレーム10とを一部以上、共に伝熱材17に埋め込むことで、金属板12と伝熱材17との密着性を高めている。図13(C)における点線20は、金属板12に形成した孔15とその孔15に充填した伝熱材17を囲っている。そして図13(C)に示す点線20の部分を、金型等で打抜くことで、図14(A)〜(E)の形状とする。
図14(A)〜(F)は、それぞれ一部を打抜いた熱伝導基板を説明する斜視図、上面図及び断面図であり、図13(C)における点線20部分を打抜いたものに相当する。図14(A)は一部を打抜いた熱伝導基板を説明する斜視図であり、図14(A)において、金属板12に孔15が形成されており、この孔15の内部には伝熱材17を残していない。図14(A)の上面図が、図14(C)に相当する。図14(C)より、伝熱材17は金属板12の少なくとも一部を埋め込んで固定している。そして金属板12には伝熱材17の充填されていない孔15を形成している。ここで金属板12の孔15に伝熱材17が充填されていないのは、図14(C)の点線20で示す位置をプレス等で、伝熱材17ごと除去したためである。なお図14(C)において、伝熱材17は未硬化、あるいは半硬化状態の柔らかい(あるいは加工可能な状態)であり、完全硬化状態ではない。これは伝熱材17を完全硬化状態(いわゆる伝熱層11の状態)とした場合、プレス等での打抜きが困難になるためである。図14(C)の矢印13aにおける断面図が図14(E)に、矢印13bにおける断面図が図14(B)に、矢印13cにおける断面図が図14(D)に、矢印13dにおける矢印13dが図14(F)に相当する。図14(B)から、金属板12の上に、リードフレーム10の少なくとも一部を埋め込んだ伝熱材17が固定されていることが判る。図14(D)から、金属板12と、伝熱材17の間に孔15が形成されていることが判る。また図14(E)より、金属板12とリードフレーム10とが、共に少なくとも一部が伝熱材17に埋め込んで固定していることが判る。また図14(F)より、金属板12には、伝熱材17が充填されていない孔15を、複数個形成している様子が判る。
次に図14(A)〜(F)に示した状態で、伝熱材17を硬化させ、伝熱層11とする。そして伝熱材17を硬化させた後、図14(C)の点線20で囲った部分(点線20で囲った金属板12の一部分)を除去する。こうして図15(A)〜(E)の状態とする。そしてこの状態で、リードフレーム10の表面の半田付けしたくない部分に、ソルダーレジストを形成することができる(ソルダーレジストは図示していない)。
次に図15(A)〜(E)を用いて説明する。図15(A)〜(E)は、それぞれ金属板の一部(図14の点線20で囲った部分)を除去した後の熱伝導基板の斜視図、上面図及び断面図であり、図14(C)における点線20部分の金属板12を除去した状態に相当する。図15(A)は、金属板12の一部を除去した後の熱伝導基板の斜視図である。図15(A)において、複数個の互いに独立した金属板12と、複数個のリードフレーム10とを、共に少なくとも一部を伝熱層11に埋め込んだ状態で固定している。図15(C)は、図15(A)の上面図に相当する。図15(C)より、複数個の金属板12と、複数個のリードフレーム10とが、伝熱層11によって互いに連結している様子が判る。図15(C)の矢印13aにおける断面図が図15(E)に、矢印13bにおける断面図が図15(B)に、矢印13cにおける断面図が図15(D)に相当する。図15(B)より、金属板12の上に、リードフレーム10の少なくとも一部を埋め込んだ伝熱層11が固定されていることが判る。図15(D)より、複数個の金属板12は、互いに伝熱層11によって分断されていることが判る。また図15(E)より、金属板12とリードフレーム10とを、共に少なくとも一部を伝熱材17に埋め込んで固定していることが判る。
こうして作成した熱伝導基板は、図15(C)の点線20で示す位置で切り離すことで、個々の製品として完成させることができる。更にこのように切り離し可能な状態(つまり多連化した状態)の熱伝導基板の上に、様々な電子部品14を実装することができる。そしてこうして電子部品14を実装した熱伝導基板を、個片化することで、その実装コストを下げる効果がある。次に図16を用いて更に詳しく説明する。
図16(A)〜(E)は、ぞれぞれ多連化した熱伝導基板の上に電子部品を実装した後、個別基板に分割する様子を説明する斜視図、上面図及び断面図である。図16(A)は、多連化した熱伝導基板の上に電子部品14を実装する様子を説明する斜視図である。図16(A)において、複数個の互いに独立した金属板12と、複数個のリードフレーム10とが、共に少なくとも一部が伝熱層11に埋め込まれて、多連化した熱伝導基板を構成している。そして矢印13aに示すようにして、電子部品14を実装する。なお図16(A)〜(E)において、電子部品14とリードフレーム10を接続する半田やバンプ、ソルダーレジスト等は図示していない。そして電子部品14を実装した後、点線20で示す位置を切断することで、電子部品14の実装済みの熱伝導基板(いわゆる回路モジュール)を完成させる。
図16(A)の上面図が、図16(C)に相当する。図16(C)において、多連化した熱伝導基板の表面には、多数個の電子部品14が実装されている。図16(C)の矢印13bの断面図が図16(E)に、矢印13cの断面図が図16(B)に、矢印13dの断面図が図16(D)に相当する。次に図16(A)や図16(C)における点線20の部分を切断することで、図17(A)〜(E)の状態とする。
図17(A)〜(E)は、それぞれ部品実装後の熱伝導基板の斜視図、上面図及び断面図である。図17(A)は部品実装後の熱伝導基板の斜視図である。そして図17(A)に示す熱伝導基板は、金属板12と、前記金属板12の上に固定したシート状の伝熱層11と、前記伝熱層11の表面に固定したリードフレーム10と、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板12を露出させることなく前記伝熱層11だけで覆っている。このように熱伝導基板の側面を、伝熱層11で覆うことで、図1〜図2で示したように、熱伝導基板を小型化した後でも所定の沿面距離を確保する効果が得られる。
なお図17(A)〜(E)において、電子部品14とリードフレーム10とを接続する半田やバンプ、あるいはリードフレーム10等の上に形成するソルダーレジスト等は図示していない。図17(C)は、図17(A)の上面図に相当する。また図17(C)の矢印13aの位置での断面図が図17(E)に、矢印13bの位置での断面図が図17(B)に、矢印13cの位置での断面図が図17(D)に相当する。
次に図18(A)を用いて、金属板12に孔15(図4における孔15に相当する)を形成する効果について、切断性の面から説明する。図18(A)(B)は、共に金属板に孔を形成していない多連化した熱伝導基板について説明する斜視図である。ここで金属板12に孔15を形成していないということは、金属板12が一枚もの(個片に分割されていない)と言う意味である。図18(A)(B)において、21はダイシング装置、22はダイシング面である。図18(A)において、金属板12の上には、リードフレーム10を表面に固定した伝熱層11を固定している。そして電子部品14を矢印13bに示すようにして実装する。また点線20は、多連化した熱伝導基板の個片化する切断位置である。そして例えば矢印13aのように高速で回転するダイシング装置21を用いて、点線20の位置を切断する。
図18(B)は、ダイシング装置21を用いて個片化した後の熱伝導基板の斜視図である。図18(B)において、個片化した熱伝導基板の側面には、ダイシング面22a(伝熱層11の切断面に相当する)や、ダイシング面22b(金属板12の切断面に相当する)が露出している。
発明者らの実験では、ダイシングで、伝熱層11と金属板12を同時に切断しようとすることは極めて困難であり、ダイシング刃物も直ぐに詰まってしまい切れなくなってしまった。これは本実施の形態では、後述するように伝熱層11は熱伝導樹脂と、セラミックフィラーとから構成したからと思われる。そしてダイシング用の刃物(いわゆるダイシング刃)として、金属板12(例えば銅板やアルミニウム板)に最適なものを選んだ場合、樹脂とセラミックとからなるような複合部材を切ることができなかった。一方、樹脂とセラミックからなる複合部材(つまり伝熱層11)の切断用のダイシング刃物を用いた場合、金属板12を切断することができなかった。そしてこれら異なる部材を一括で切断できる刃物を探したが、適当なものを見つけることができなかった。しかし図15や図16に示したように、切断面を伝熱層11だけで構成した場合、ダイシングによる切断性を大幅に改善できた。
なお多連化した熱伝導基板の個片化は、ダイシングでなくても、チョコレートブレイクでも可能である。ここでチョコレートブレイクとは、市販の多連化したチョコレートを、途中の窪み部分を中心にポキッポキッと割ることができる意味である。例えば、伝熱層11に溝を形成しておくことで、多連化した熱伝導基板をチョコレートブレイクすることができる。次に図19(A)(B)を用いて、多連化した熱伝導基板のチョコレートブレイクについて説明する。
図19(A)(B)は、それぞれ多連化した熱伝導基板のチョコレートブレイクについて説明する斜視図である。図19(A)はブレイクする前、図15(B)はブレイクした後の斜視図に相当する。図19(A)(B)において、23は溝であり、チョコレートブレイク用の割り溝に相当する。24は破断面であり、溝23を中心として分割された面である。なお溝23の形成は、金型やダイシング装置21、あるいはスクライブ装置(引っかき溝形成装置)等で形成することができる。また溝23は、両面(裏表面)から形成することが望ましい。溝23を片面からだけ形成した場合、ブレイクが望ましくない方向に走る(あるいはバリが残る)結果、ブレイクしてできた個片状の熱伝導基板の外形寸法にバラツキが発生することを防止することができる。また図19(B)に示すように、破断面24(ここがブレイクで発生した面)は、表面が粗いため、沿面距離の増加効果も得られる。なお図19(A)においては、図面の関係から、溝23は片面にしか図示していないが、熱伝導基板の両面に(裏表面共に、略同一位置に)形成することが望ましい。また溝23によって、伝熱層11のブレイク時にチッピングも防止できる。また伝熱層11側にチッピングが発生しない分、沿面距離を確保しやすい。そのため、例えば太陽電池による発電機のDCDCコンバーター回路等における耐電圧の確保が可能となる。
なお溝23の深さは10μm以上が望ましい、溝23の深さが10μm未満の場合、溝23と異なる部分で割れてしまう可能性がある。また溝23の深さ(上下2本の溝23の合計)は、伝熱層11の厚みや放熱基板の厚みの70%以下(更には50%以下、可能なれば30%以下)が望ましい。溝23の深さが70%を超えると、伝熱層11の材質によっては多連化した放熱基板が工程内(あるいは輸送中、実装中)に割れてしまう可能性がある。また溝23の幅は10μm以上が望ましい。溝23の幅が10μm以下では、応力集中しにくく、溝23と異なる部分(あるいはブレイクが望ましくない部分)で割れる(あるいはブレイクしてしまう)可能性がある。
更に詳しく説明する。伝熱層11と、リードフレーム10の表面は、同一面(望ましくは互いの段差50μm以下、更に望ましくは20μm以下、更には10μm未満)とすることで、ソルダーレジスト(図示していない)の形成が容易となる。なおリードフレーム10の半田付けしない面に、ソルダーレジストを形成することで、リードフレーム10の上で半田が濡れ広がり過ぎることを防止できる。また伝熱層11とリードフレーム10との間の厚み段差が小さい分、ソルダーレジストの厚みバラツキが発生しにくく、ソルダーレジストの厚みを薄く設定できる。その結果、ソルダーレジストの膜厚が放熱性に影響を与えにくくなり、電子部品14の実装性を高められる。また伝熱材17を硬化した後、リードフレーム10や伝熱層11の表面をバフ研磨等を行って、更にバリ取りや汚れを除去することができる。
ここで伝熱材17を硬化してなるシート状の伝熱層11としては、樹脂とフィラーとからなる伝熱性のコンポジット材料を用いることができる。例えば無機フィラー70重量%以上95重量%以下と、熱硬化性樹脂5重量%以上30重量%以下の部材が望ましい。ここで無機フィラーは略球形状で、その直径は0.1μm以上100μm以下が適当である(0.1μm未満の場合、樹脂への分散が難しくなり、また100μmを超えると伝熱層11の厚みが厚くなり熱拡散性に影響を与える)。そのため伝熱層11における無機フィラーの充填量は、熱伝導率を上げるために70から95重量%と高濃度に充填している。特に、本実施の形態では、無機フィラーは、平均粒径3μmと平均粒径12μmの2種類のアルミナを混合したものを用いている。この大小2種類の粒径のアルミナを用いることによって、大きな粒径のアルミナの隙間に小さな粒径のアルミナを充填できるので、アルミナを90重量%近くまで高濃度に充填できるものである。この結果、伝熱層11の熱伝導率は5W/(m・K)程度となる。なお無機フィラーとしてはアルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種以上を含んでもよい。
なお無機フィラーを用いると、放熱性を高められるが、特に酸化マグネシウムを用いると線熱膨張係数を大きくできる。また酸化ケイ素を用いると誘電率を小さくでき、窒化ホウ素を用いると線熱膨張係数を小さくできる。こうして伝熱層11としての熱伝導率が1W/(m・K)以上20W/(m・K)以下のものを形成することができる。なお熱伝導率が1W/(m・K)未満の場合、熱伝導基板の放熱性に影響を与える。また熱伝導率を20W/(m・K)より高くしようとした場合、フィラー量を増やす必要があり、プレス時の加工性に影響を与える場合がある。
なお熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂の内、少なくとも1種類の樹脂を含んでいる。これらの樹脂は耐熱性や電気絶縁性に優れている。伝熱層11の厚みは、薄くすれば、リードフレーム10からの熱を金属板12に伝えやすいが、逆に絶縁耐圧が問題となる。また伝熱層11の厚みが厚すぎると、熱抵抗が大きくなるので、絶縁耐圧と熱抵抗を考慮して最適な厚さである50μm以上1000μm以下に設定すれば良い。
次にリードフレーム10の材質について説明する。リードフレーム10の材料としては、銅を主体とするもの(例えば銅板)が望ましい。これは銅が熱伝導性と導電率が共に優れているためである。例えば、タフピッチ銅(合金記号:C1100)や無酸素銅(合金記号:C1020)等を用いることが望ましい。こうした材料は原料の電気銅を溶解して製造したものある。ここでタフピッチ銅は、銅中に酸素を残した精錬銅であり、電気伝導性や加工性に優れている。タフピッチ銅の場合、例えばCu99.90wt%以上、無酸素銅の場合、例えばCu99.96wt%以上が望ましい。銅の純度が、これら数字未満の場合、不純物(例えば酸素の影響によるCu2Oの含有量が大きくなるので)の影響によって、加工性のみならず熱伝導性や電気伝導性に影響を受ける場合がある。こうした部材は安価であり、量産性に優れている。
更に必要に応じて各種銅合金を選ぶことも出来る。例えば、リードフレーム10として、加工性や、熱伝導性を高めるためには、銅素材に銅以外の少なくともSn、Zr、Ni、Si、Zn、P、Fe等の群から選択される少なくとも1種類以上の材料とからなる合金を使うことも可能である。例えばCuを主体として、ここにSnを加えた、銅材料(以下、Cu+Snとする)を用いることができる。Cu+Sn銅材料(あるいは銅合金)の場合、例えばSnを0.1重量%以上0.15重量%未満添加することで、その軟化温度を400℃まで高められる。比較のためSn無しの銅(Cu>99.96重量%)を用いて、リードフレーム10を作成したところ、導電率は低いが、出来上がった熱伝導基板において特に形成部等に歪が発生する場合があった。そこで詳細に調べたところ、その材料の軟化点が200℃程度と低いため、後の部品実装時(半田付け時)に変形する可能性があることが予想された。一方、Cu+Sn>99.96重量%の銅系の材料を用いた場合、実装された各種部品の発熱の影響は特に受けなかった。また半田付け性やダイボンド性にも影響が無かった。そこでこの材料の軟化点を測定したところ、400℃であることが判った。このように、銅を主体として、いくつかの元素を添加することが望ましい。銅に添加する元素として、Zrの場合、0.015重量%以上0.15重量%の範囲が望ましい。添加量が0.015重量%未満の場合、軟化温度の上昇効果が少ない場合がある。また添加量が0.15重量%より多いと電気特性に影響を与える場合がある。また、Ni、Si、Zn、P等を添加することでも軟化温度を高くできる。この場合、Niは0.1重量%以上5重量%未満、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%未満、Pは0.005重量%以上0.1重量%未満が望ましい。そしてこれらの元素は、この範囲で単独、もしくは複数を添加することで、銅素材の軟化点を高くできる。なお添加量がここで記載した割合より少ない場合、軟化点上昇効果が低い場合がある。またここで記載した割合より多い場合、導電率への影響の可能性がある。同様に、Feの場合0.1重量%以上5重量%以下、Crの場合0.05重量%以上1重量%以下が望ましい。これらの元素の場合も前述の元素と同様である。
なおリードフレーム10に使う銅材料の引張り強度は、600N/平方mm以下が望ましい。引張り強度が600N/平方mmを超える材料の場合、リードフレーム10の加工性に影響を与える場合がある。一方、引張り強度が600N/平方mm以下(更にリードフレーム10に微細で複雑な加工が必要な場合、望ましくは400N/平方mm以下)とすることでスプリングバック(必要な角度まで曲げても圧力を除くと反力によってはねかえってしまうこと)の発生を抑えられ、形成精度を高められる。このようにリードフレーム10の材料としては、Cuを主体とすることで導電率を下げられ、更に柔らかくすることで加工性を高められ、更にリードフレーム10による放熱効果も高められる。なおリードフレーム10に使う銅合金の引張り強度は、10N/平方mm以上が望ましい。これは一般的な鉛フリー半田の引張り強度(30〜70N/平方mm程度)に対して、リードフレーム10に用いる銅合金はそれ以上の強度が必要なためである。
なおリードフレーム10の、伝熱層11から露出している面(電子部品14等の実装面)に、予め半田付け性を改善するように半田層や錫層を形成しておくことも有用である。なおリードフレーム10の伝熱層11に接する面(もしくは埋め込まれた面)には、半田層は形成しないことが望ましい。伝熱層11と接する面に半田層や錫層を形成すると、半田付け時にこの層が柔らかくなり、リードフレーム10と、伝熱層11との接着性(もしくは結合強度)に影響を与える場合がある。
また金属板12は、熱伝導の良いアルミニウム、銅またはそれらを主成分とする合金からできている。特に本実施の形態では、金属板12の厚みを1mm(望ましくは0.1mm以上50mm以下の厚み)としているが、その厚みは製品仕様に応じて設計できる(なお金属板12の厚みが0.1mm以下の場合、放熱性や強度的に不足する可能性がある。また金属板12の厚みが50mmを超えると、重量面で不利になる)。金属板12としては、単なる板状のものだけでなく、より放熱性を高めるため、伝熱層11を積層した面とは反対側の面に、表面積を広げるためにフィン部(あるいは凹凸部)を形成しても良い。全膨張係数は8〜20ppm/℃としており、本発明の熱伝導基板や、これを用いた電源ユニット全体の反りや歪みを小さくできる。またこれらの部品を表面実装する際、互いに熱膨張係数をマッチングさせることは信頼性的にも重要となる。
以上のようにして、シート状の伝熱層11と、前記伝熱層11の片面に一部以上を埋め込んだ金属板12と、前記伝熱層11の残り面に固定したリードフレーム10と、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板12を露出させることなく前記伝熱層11だけで覆っている熱伝導基板を提供することで、熱伝導基板を小型化した場合でも、その熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)のリードフレーム10と金属板12との間の沿面距離を確保しやすいため、熱伝導基板の信頼性を高めることができる。
またシート状の伝熱層11と、前記伝熱層11の片面に一部以上を埋め込んだ金属板12と、前記伝熱層11の残り面に固定したリードフレーム10と、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板12を露出させることなく前記伝熱層だけで覆い、前記熱伝導基板の残りの側面は、前記伝熱層11から前記金属板が露出している熱伝導基板を提供することで、熱伝導基板を小型化した場合でも、その熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)のリードフレーム10と金属板12との間の沿面距離を確保しやすいため、熱伝導基板の信頼性を高めることができる。
またシート状の伝熱層11と、前記伝熱層11の片面に一部以上を埋め込んだ金属板12と、前記伝熱層11の残り面に固定したリードフレーム10と、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板12を露出させることなく前記伝熱層11だけで覆い、前記熱伝導基板の残り側面は、前記伝熱層11から前記金属板12が突き出している熱伝導基板を提供することで、熱伝導基板を小型化した場合でも、その熱伝導基板の周辺部(あるいは周縁部)のリードフレーム10と金属板12との間の沿面距離を確保しやすいため、熱伝導基板の信頼性を高めることができる。
同様にシート状の伝熱層11と、前記伝熱層11の片面に一部以上を埋め込んだ金属板12と、前記伝熱層11の残りの面に固定したリードフレーム10と、からなる熱伝導基板であって、前記熱伝導基板の底部に前記金属板12と前記伝熱層11が露出しており、前記伝熱層11よりも前記金属板12の方が底面方向に突き出している熱伝導基板を提案することによって、図2(A)〜(D)の矢印13cに示したように、伝熱層11が金属板12と放熱用のフィン(図示していない)との密着に阻害要因にならないため、熱伝導基板から他の部材への放熱性を高めることができる。
伝熱層11は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びイソシアネート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種類以上の樹脂と、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化珪素及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種類以上の無機フィラーと、を含むものとすることで、加工性と熱伝導性に優れた放熱基板を提供できる。
リードフレーム10は、タフピッチ銅もしくは無酸素銅である熱伝導基板とすることで、放熱性と伝導性に優れた熱伝導基板を提供できる。
リードフレーム10の内、少なくとも一つ以上は、Snは0.1重量%以上0.15重量%以下、Zrは0.015重量%以上0.15重量%以下、Niは0.1重量%以上5重量%以下、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%以下、Pは0.005重量%以上0.1重量%以下、Feは0.1重量%以上5重量%以下である群から選択される少なくとも一種以上を含む、銅を主体とする金属材料である熱伝導基板とすることで、放熱性と伝導性に優れた熱伝導基板を提供できる。
また少なくとも、金属板12とシート状の伝熱材17と、を位置合わせする工程と、前記伝熱材17に、前記金属板12を埋め込む工程と、前記伝熱材17の表面に、リードフレーム10を固定する工程と、前記伝熱材17を硬化し、伝熱層11とする工程と、前記伝熱層11の部分で複数個に分割する工程と、を含む熱伝導基板の製造方法とすることで、熱伝導基板を多連化した状態で製造できるため、その生産性、実装性を高めることができる。このように1枚1枚の熱伝導基板の上に、電子部品14を実装する場合、実装コストが増加する場合がある。そこで数枚から数十枚の熱伝導基板を、一枚の大判の熱伝導基板として作成し、これを個片(個々の熱伝導基板に)に切断することで、熱伝導基板の生産コストを低下できるばかりでなく、その実装コストを下げる効果も得られる。
以上のように、本発明にかかる熱伝導基板とその製造方法によって、プラズマテレビ、液晶テレビ、あるいは車載用各種電装品、あるいは産業用の放熱が要求される機器の小型化、高性能化が可能となる。
10 リードフレーム
11 伝熱層
12 金属板
13 矢印
14 電子部品
15 孔
16 補助線
17 伝熱材
18 フィルム
19 プレス装置
20 点線
21 ダイシング装置
22 ダイシング面
23 溝
24 破断面
11 伝熱層
12 金属板
13 矢印
14 電子部品
15 孔
16 補助線
17 伝熱材
18 フィルム
19 プレス装置
20 点線
21 ダイシング装置
22 ダイシング面
23 溝
24 破断面
Claims (8)
- シート状の伝熱層と、
前記伝熱層の片面に一部以上を埋め込んだ金属板と、
前記伝熱層の残りの面に固定したリードフレームと、
からなる熱伝導基板であって、
前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板を露出させることなく前記伝熱層だけで覆っている熱伝導基板。 - シート状の伝熱層と、
前記伝熱層の片面に一部以上を埋め込んだ金属板と、
前記伝熱層の残りの面に固定したリードフレームと、
からなる熱伝導基板であって、
前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板を露出させることなく前記伝熱層だけで覆い、
前記熱伝導基板の残りの側面は、前記伝熱層から前記金属板が露出している熱伝導基板。 - シート状の伝熱層と、
前記伝熱層の片面に一部以上を埋め込んだ金属板と、
前記伝熱層の残りの面に固定したリードフレームと、
からなる熱伝導基板であって、
前記熱伝導基板の1側面以上は、前記金属板を露出させることなく前記伝熱層だけで覆い、
前記熱伝導基板の残りの側面は、前記伝熱層から前記金属板が突き出している熱伝導基板。 - シート状の伝熱層と、
前記伝熱層の片面に一部以上を埋め込んだ金属板と、
前記伝熱層の残りの面に固定したリードフレームと、
からなる熱伝導基板であって、
前記熱伝導基板の底部に前記金属板と前記伝熱層が露出しており、
前記伝熱層よりも前記金属板の方が底面方向に突き出している熱伝導基板。 - 伝熱層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びイソシアネート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種類以上の樹脂と、
アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化珪素及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種類以上の無機フィラーと、
を含む請求項1〜4のいずれか一つに記載の熱伝導基板。 - リードフレームは、タフピッチ銅もしくは無酸素銅である請求項1〜4のいずれか一つの記載の熱伝導基板。
- リードフレームの内、少なくとも一つ以上は、Snは0.1重量%以上0.15重量%以下、Zrは0.015重量%以上0.15重量%以下、Niは0.1重量%以上5重量%以下、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%以下、Pは0.005重量%以上0.1重量%以下、Feは0.1重量%以上5重量%以下である群から選択される少なくとも一種以上を含む、銅を主体とする金属材料である請求項1〜4のいずれか一つに記載の熱伝導基板。
- 少なくとも、
金属板とシート状の伝熱材と、を位置合わせする工程と、
前記伝熱材に、前記金属板を埋め込む工程と、
前記伝熱材の表面に、リードフレームを固定する工程と、
前記伝熱材を硬化し、伝熱層とする工程と、
前記伝熱層部分で複数個に分割する工程と、
を含む熱伝導基板の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014007327A1 (ja) | 2012-07-06 | 2014-01-09 | 日本発條株式会社 | 回路基板用積層板、金属ベース回路基板及びパワーモジュール |
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