JP2008001995A - メッシュシート及びその製造方法 - Google Patents

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Takuya Uenoyama
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芳文 森口
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Abstract

【課題】従来の樹脂加工法では困難であった高い交点強力を有するとともに1mm以下または5mm以上の目合い寸法で安定しているメッシュシートを得る。
【解決手段】メッシュシートであって、芯部の重合体と、芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維にて形成され、空隙部分の一辺が1mm以下または5mm以上である。このメッシュシートは、芯部の重合体と、芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維を、空隙部分の一辺を1mm以下または5mm以上として製編織し、その後、芯部の重合体の融点と鞘部の重合体の融点との間の温度で加熱処理することにより、製造される。加熱処理は、製編織工程に続く巻き取りの直前に設けられた熱ロールとの接触により行われる。
【選択図】なし

Description

本発明はメッシュシート及びその製造方法に関し、特に製編織後に樹脂加工することなく熱セットすることで、交点強力が高く品位に優れるようにした、メッシュシート及びその製造方法に関する。
従来、繊維を用いてメッシュ状に製編織された布帛に樹脂加工等を施すことにより得られるメッシュシートが、良く知られている(たとえば、特許文献1)。
この樹脂加工メッシュシートは、製造上、製編織されたものを別工程で樹脂加工する工程が避けられない。つまり、いったん生機としての布帛を製造し、反物等の形状にされたものを、別の場所へ移動させて、別工程で樹脂加工を実施している。
このような工程で従来問題とされてきたことは、製編織後、厳重に梱包されたものであっても、梱包時や、移動時や、開反時の外力等で、生機に目ズレ、毛羽、スジ等が発生し、これらが製品の欠点につながることである。このことは、目合いが5mm以上の粗めのメッシュシートでは顕著であり、従来においては品位に優れる粗めのメッシュシートを製造することは困難である。また目合いが1mm以下の小さいメッシュシートでは、樹脂の付着むらにより部分的に目が塞がれたりすることもある。
仮に、製編織後にそのまま樹脂加工して仕上げる設備を検討したとしても、生機の製造速度と樹脂加工の速度との速度差が大きいことや、何らかの原因によっていったん製編織機が停台した場合は、樹脂加工機内に入った布帛が受ける主に熱的な影響が避けられないことから、かかる設備として実施に至った例は知られていない。また、かかる設備では、目合いが1mm以下の小さいメッシュシートについての樹脂の付着むらを解消することはできない。
また樹脂加工メッシュシートでは、生機に樹脂加工する場合に、糸同士の交点内部まで充分に樹脂が浸透せず、交点強力が充分でない場合が多い。その対策として、製編織前に糸を一部樹脂加工し、その後製編織するという手法がとられている例があるが、目合いが1mm以下の小さいメッシュシートでは、そのような手法の適用は非常に困難である。また。目合いが5mm以上の粗めのメッシュシートでも、製造上利用できる機台、繊度、密度は限られている。
また、樹脂加工を施さずに比較的精度の高い目合いの細かなメッシュシートを得る手法として、モノフィラメントを用いて製編織して得ることが知られている。しかし、これはモノフィラメントの剛性を利用し交点がずれないようにしたものであり、そのため接する繊維同士が接着しておらず、多少の外力により目ズレを起こしやすいという問題がある。
特開平7−18581号公報
本発明は従来の樹脂加工法では困難であった高い交点強力を有するとともに、1mm以下または5mm以上の目合い寸法で安定しているメッシュシートを得ることを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、本発明に至った。すなわち本発明は、以下を要旨とするものである。
1.芯部の重合体と、前記芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維にて形成され、空隙部分の一辺が1mm以下であることを特徴とするメッシュシート。
2.芯部の重合体と、前記芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維を、空隙部分の一辺を1mm以下として製編織し、その後、芯部の重合体の融点と鞘部の重合体の融点との間の温度で加熱処理することを特徴とするメッシュシートの製造方法。
3.芯部の重合体と、前記芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維にて形成され、空隙部分の一辺が5mm以上であることを特徴とするメッシュシート。
4.芯部の重合体と、前記芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維を、空隙部分の一辺を5mm以上として製編織し、その後、芯部の重合体の融点と鞘部の重合体の融点との間の温度で加熱処理することを特徴とするメッシュシートの製造方法。
5.製編織工程に続く巻き取りの直前に設けられた熱ロールとの接触により加熱処理を行うことを特徴とする2.または4.のメッシュシートの製造方法。
本発明によると、従来の樹脂加工による方法では実現が困難であった、特に目合いが小さいメッシュシート及び粗めのメッシュシートを、精度の高い目合い寸法で、かつ交点強力が高い状態で、得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のメッシュシートは、芯鞘複合繊維で構成される。この芯鞘複合糸は、芯部と鞘部に熱可塑性重合体を配した芯鞘複合繊維である。熱可塑性重合体としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等がある。特にポリエステルが有効であるが、これに限定されるものではない。
本発明で用いる芯鞘複合繊維の鞘部の重合体は、芯部の重合体よりも融点が低いことが必要であり、少なくとも10℃以上融点が低いことが望まれる。この芯鞘複合繊維において、芯部と鞘部の重合体の融点差が小さいと、後工程である加熱処理を施して繊維の表面の鞘部を溶融させるに際して、その繊維の表面の鞘部が溶融する温度にて芯部の重合体が熱劣化してしまい、それによって繊維全体の引張強力が低下するため、メッシュシートとしての引張強力が低下しやすくなる。
芯部の重合体と鞘部の重合体の組み合わせは、互いに接着性のあるもの同士であることが好ましい。具体的な組み合わせとして、
(1)芯部の重合体としてポリエチレンテレフタレートまたはエチレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルを用い、鞘部の重合体として融点の低い共重合ポリエステルを用いたポリエステル/共重合ポリエステルの芯鞘構造や、
(2)芯部の重合体としてナイロン66、ナイロン46等の融点の比較的高いナイロンを用い、鞘部の重合体としてナイロン6、ナイロン6/66共重合ナイロン等の芯部より融点の低いナイロンを用いたナイロン/ナイロンの芯鞘構造や、
(3)芯部の重合体としてポリエチレンテレフタレートを用い、鞘部の重合体としてポリエチレン等のポリオレフィンを用いたポリエステル/ポリオレフィンの芯鞘構造や、
(4)芯部の重合体としてポリプロプレンを用い、鞘部の重合体としてポリエチレンを用いたポリオレフィン/ポリオレフィンの芯鞘構造や、
(5)芯部の重合体としてナイロン6を用い、鞘部の重合体としてポリエチレンを用いたナイロン/ポリオレフィンの芯鞘構造等がある。
このような組み合わせのうち、芯部の重合体としては、引張強力や生産性の面からポリエチレンテレフタレート系の重合体を用いることが好ましい。ポリエチレンテレフタレート系の重合体は、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とするものであって、ポリエチレンテレフタレートの特性を保持する程度に、特に融点が240℃以上を保持する程度に、第三成分や添加剤等を共集合したポリエステルであってよい。添加剤とは、具体的には、帯電防止剤、難燃剤、耐熱剤及び顔料等をいう。
このとき、鞘部の重合体としてもポリエステル系重合体を用いることが好ましく、このような重合体としては、2塩基酸またはその誘導体の1種もしくは2種以上と、グリコール系の1種もしくは2種以上とを反応せしめて得られるものが挙げられる。2塩基酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、p−オキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族2塩基酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族2塩基酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸等の脂肪族2塩基酸等が挙げられる。一方、グリコール類の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンタンジオール、p−キシレンクリコール等や、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類が挙げられる。このような重合体は、熱に対し安定性が良好であると共に、原料が比較的安価に供給されるので、工業的に有利である。
またさらに鞘部の重合体としては、芳香族ポリエステルと脂肪族ラクトンとが共重合し結晶融点が100℃以上である共重合ポリエステルがより好ましい。芳香族ポリエステルとしては、エチレンテレフタレート単位及び/又はブチレンテレフタレート単位の重合体、あるいはさらにイソフタル酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等を共重合したものが好ましく、共重合される成分の総和はポリエステルの構成成分の単位モル数に対し20モル%以下程度であるものが好ましい。脂肪族ラクトンとしては、炭素数4〜11のラクトンを単独で用いても2種以上を混合して用いてもよく、特に良好なラクトンとして、ε−カプロラクトンやδ−パレロラクトン等が挙げられる。脂肪族ラクトンの共重合割合は、ε−カプロラクトンの場合およそ3モル%以上、80モル%未満であるのが好ましい。ε−カプロラクトンが3モル%に満たない場合は、接着強度が不十分でメッシュシートに荷重がかかった時に目ズレ等の変形を起こしやすくなることがある。ε−カプロラクトンが80モル%を越える場合は、得られるポリエステルの融点が低過ぎ、加熱工程での不具合が生じる可能性や、高温雰囲気下の使用で支障をきたす可能性がある。鞘部に用いる重合体の融点は、上記のように100℃以上であるのが好ましく、130℃以上であるのがさらに好ましい。融点が100℃未満であると、高温雰囲気下での使用時に変形しやすくなる。
本発明で用いる芯鞘複合繊維の芯部と鞘部の質量比は、(芯部)/(鞘部)=50/50〜90/10である。鞘部の質量比が10%未満になると、加熱処理を施した際に溶融する部分が少なくなりすぎるため、外観も悪く交点強力が不十分なメッシュシートとなってしまう。また50%を越えると、引張強度面の問題が発生する。
本発明のメッシュシートに用いる繊維の繊度は、特に限定しない。得ようとするメッシュシートの用途に応じて調整すれば良い。強度(引張強度、交点強度)等を重視すれば比較的太繊度のものを用いれば良く、軽量化、薄さ等を重視すれば比較的細繊度のものを用いればよい。
本発明の第1のメッシュシートの空隙部分の一辺の長さは、1mm以下である。すなわち本発明のメッシュシートは、後述のように樹脂加工を行わないため、その目合い寸法の精度を高くすることができる。これに対し、従来の樹脂加工による手法では、せいぜい2mm程度の目合いのものを製造するのが工程上限界である。
本発明の第2のメッシュシートの空隙部分の一辺の長さは、5mm以上である。従来の樹脂加工による手法では、せいぜい5mm程度の目合いのものを製造するのが工程上限界である。すなわち従来の樹脂加工による手法では、生機時点での毛羽、目ズレ等の影響、樹脂加工時における微小部分での塗布量の差等によって、目合い寸法を安定して製造することが困難であるが、本発明によれば、このような困難を克服することができる。
本発明のメッシュシートは、芯鞘複合繊維による製編織後に、加熱処理を行うことで、得ることができる。本発明における加熱処理は、メッシュシートに用いる芯鞘複合繊維の鞘部の重合体を溶融して、特にメッシュを構成する繊維同士の交点を一体化させるために行うものである。このときの加熱処理温度は、芯部の重合体の融点と鞘部の重合体の融点との間に設定する。また、この加熱処理は、ホットドライヤー、テンターマシン、熱ロール等、一般的に熱処理加工に使用されているものを使用して行えばよい。なかでも、目合い寸法の精度を上げるため、本発明では、製編織工程と連続して巻き取りの直前に熱ロールとの接触により熱処理加工が行われる製造方法を使用することが好ましい。この方法であれば、布帛全体の張力を調整することで、高い精度で、目標とする目合いの寸法に仕上げることができる。また、接触する熱ロールには生機の耳部が通る箇所にピンなどを設置し、生機の耳部にピンを掛けることで、幅方向の張力調整が可能となる。
本発明のメッシュシートは、織物、編物であることを問わない。織物であれば、平、綾、朱子といった三原組織以外でも、模紗組織、絡み組織等で構成することもできる。特に交点強力を重視するならば模紗組織や絡み組織が好ましい。しかし、これらに限定されるものではない。
編み物であれば、たて編み、よこ編みが考えられるが、その後に連続する熱処理工程を考えるとたて編みが好ましい。さらには目合いの精度、交点強力の要求を考慮すると、よこ糸挿入ラッセル編みが好ましい。しかしこれもこの組織に限定されるものではない。
しかしながら、織物と編物を比較した場合は、織物の方が精度の高い目合い寸法を得やすく、交点がしっかりと固定されており、また引張強力が高い等の利点がある。すなわち織物で構成する方が好ましい。しかし、これに限定するものではない。
次に本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において、各物性の評価は以下の方法により行った。
(1)繊維強度
JIS L−1013「化学繊維フィラメント糸試験方法」の8.5項に従い、つかみ間隔25cm、引張速度30±3cm/minで引張強さを測定し、同JISの8.3項に従い繊度を測定し、引張強さを繊度で割りかえすことで、繊維強度(cN/dtex)を算出した。
(2)空隙部の一辺が1mm以下であるメッシュシートの交点強力
図1に示すように、メッシュシート1を少なくとも幅方向13目×長手方向10cmとなるように矩形状に切断し、幅方向の中心(幅方向13目なら、7目)で長手方向に1目入ったところの空隙2に対し、交点強力に負けない強さと空隙2に通すことができる適当な太さとを有したフック形状の針金3を通し、この針金3を繊維に引っ掛け、その針金3を引張試験機の上部掴み具とつないだ。余った長手方向の部分は、引張試験機における対する下部の掴み具とつないだ。その後、引張速度10mm/分の速度で引張り、その際の最大張力を測定した。この測定におけるタテ方向の交点強力とは、ヨコ糸をタテ方向に引っ張ったときの交点強力である。逆にヨコ方向の交点強力とは、タテ糸をヨコ方向に引っ張ったときの交点強力である。
(3)空隙部の一辺が5mm以上であるメッシュシートの交点強力
図2に示すように、メッシュシート1を少なくとも幅方向3目×長手方向30cm以上となるように矩形状に切断し、幅方向の中心から長手方向に1目入ったところの空隙2に対し、交点強力に負けない強さと空隙2に通すことができる適当な太さとを有したフック状の針金や金属製フック等の器具4を引っ掛け、その器具4を引張試験機の上部掴み具とつないだ。余った長手方向の部分は、引張試験機における対する下部の掴み具とつないだ。その後、引張速度10mm/分の速度で引張り、その際の最大張力を測定した。
(4)目合いの精度
実施例ではすべてのメッシュシートを100m長、120cm幅で仕上げた。そして、得られた各メッシュシートを先ず巾方向に20cmピッチで区分けし、区分け毎にランダムに20個ずつの空隙を選び、その空隙の一辺の長さを測定し、20個の空隙の平均、区分け間の比較により巾方向の目合いの精度を検証した。
同様の作業を長手方向に対して、20mピッチで実施し、長手方向の目合いの精度を検証した。
検証は、目標の一辺の長さに対し、各測定箇所での平均値との誤差(%)を算出することで行った。
実施例1
芯部にポリエチレンテレフタレート(融点260℃)を配し、鞘部に、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート(モル比1/1)のアルキレンテレフタレート単位全体とε−カプロラクトンとの総モル数に対しε−カプロラクトンを12モル%共重合した共重合ポリエステル(融点161℃)を配し、芯鞘の質量比を芯/鞘=50/50として複合紡糸することで、同芯型芯鞘複合繊維830dtex/96フィラメント(強度4.0cN/dtex)を得た。得られた芯鞘複合繊維に対し、100T/Mの撚りをかけた。
得られた撚り糸を、レピア織機にて、平組織、密度23×23本/2.54cmで製織し、両耳部にピンを有する直径60cmの熱ロールを用いて、織機の巻き取り直前において、熱ロールのピンを布帛の耳部に掛けながら、接触時間35秒、加熱温度170℃の熱処理を行い、目標とする一辺の長さが0.65mmである、実施例1の精密メッシュシートを作製した。
実施例2
芯鞘の質量比を、実施例1の芯/鞘=50/50に代えて、芯/鞘=75/25とした。これにより、同芯型芯鞘複合繊維(強度5.0cN/dtex)を得た。そして、この複合繊維を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の精密メッシュシートを得た。
比較例1
繊度830dtex、フィラメント数96、強度7.5cN/dtexのポリエチレンテレフタレート繊維を100T/Mで撚糸して得られた糸条を、レピア織機にて、平組織、密度23×23本/2.54cmで製織し、メッシュ状基布を得た。得られたメッシュ状基布にアクリル酸エステル系エマルジョン(「ウルトラゾール」、ガンツ化成社製)をディッピングにより付与し、目合いを空けるためにエアーを吹き付けた。その後、180℃で60秒間乾燥・熱処理を行い、樹脂付着量25%で仕上げ、目標とする一辺の長さが0.65mmである、比較例1の精密メッシュシートを得た。
比較例2
芯鞘の質量比を、実施例1の芯/鞘=50/50に代えて、芯/鞘=35/65とした。これにより、同芯型芯鞘複合繊維(強度2.6cN/dtex)を得た。そして、この複合繊維を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の精密メッシュシートを得た。
比較例3
芯鞘の質量比を、実施例1の芯/鞘=50/50に代えて、芯/鞘=95/5とした。これにより、同芯型芯鞘複合繊維(強度5.5cN/dtex)を得た。そして、この複合繊維を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3の精密メッシュシートを得た。
実施例1〜2、比較例1〜3の精密メッシュシートの性能を表1に示す。
Figure 2008001995
表1からもわかる通り、実施例1、2の精密メッシュシートは、目合いの精度、交点強力の高さを確認できた。一方、比較例1は、樹脂加工によるものであるが、同じ繊度である実施例1、2と比べて交点強力が低く、また目合いの精度が劣っていた。比較例2は、芯の比率が低いために糸の強度が低く、交点強力の測定の際、糸が切断した。比較例3は、鞘の比率が低いため交点強力が弱いものとなった。
実施例3
芯部と鞘部に実施例1と同じ重合体を用い、芯鞘の質量比を芯/鞘=50/50として複合紡糸することで、同芯型芯鞘複合繊維1100dtex96フィラメント(強度4.0cN/dtex)を得た。得られた芯鞘複合繊維に対し、4本合撚で80T/Mの撚りをかけた。
得られた撚り糸を、レピア織機にて、図3に示すように、地たて3本、絡みたて3本の6×6絡み組織、密度7.5×7.5本/2.54cmで製織し、両耳部にピンを有する直径60cmの熱ロールを用いて、織機の巻き取り直前において熱ロールのピンを布帛の耳部に掛けながら、接触時間35秒、加熱温度170℃の熱処理を行い、目標とする一辺の長さが20mmである、実施例3のメッシュシートを作製した。
実施例4
芯鞘の質量比を、実施例3の芯/鞘=50/50に代えて、芯/鞘=75/25とした。これにより、同芯型芯鞘複合繊維(強度5.0cN/dtex)を得た。そして、この複合繊維を用いた以外は実施例3と同様にして、実施例4のメッシュシートを得た。
比較例4
繊度1100dtex/96フィラメント、強度7.5cN/dtexのポリエチレンテレフタレート繊維に対し、4本合撚で80T/Mの撚りをかけた。
得られた撚り糸を、レピア織機にて、地たて3本、絡みたて3本、よこ糸6本の6×6絡み組織、密度7.5×7.5本/2.54cmで製織し、メッシュ状基布を得た。得られたメッシュ状基布にアクリル酸エステル系エマルジョン(「ウルトラゾール」、ガンツ化成社製)をディッピングにより付与し、目合いを空けるためにエアーを吹き付けた。その後、180℃で60秒間乾燥・熱処理を行い、樹脂付着量25%で仕上げ、目標とする一辺の長さが20mmである、比較例4のメッシュシートを得た。
比較例5
芯鞘の質量比を、実施例3の芯/鞘=50/50に代えて、芯/鞘=35/65とした。これにより、同芯型芯鞘複合繊維(強度2.6cN/dtex)を得た。そして、この複合繊維を用いた以外は実施例3と同様にして、比較例5のメッシュシートを得た。
比較例6
芯鞘の質量比を、実施例3の芯/鞘=50/50に代えて、芯/鞘=95/5とした。これにより、同芯型芯鞘複合繊維(強度5.5cN/dtex)を得た。そして、この複合繊維を用いた以外は実施例3と同様にして、比較例6のメッシュシートを得た。
実施例3〜4、比較例4〜6のメッシュシートの性能を表2に示す。
Figure 2008001995
表2からもわかる通り、実施例3、4のメッシュシートは、目合いの精度、交点強力の高さを確認できた。一方、比較例4は樹脂加工によるものであるが、同じ繊度である実施例3、4と比べて交点強力が低く、また目合いの精度が劣っていた。比較例5は、芯の比率が低いために糸の強度が低く、交点強力の測定の際、糸が切断した。比較例6は、鞘の比率が低いため交点強力が弱いものとなった。
空隙部の一辺が1mm以下であるメッシュシートの交点強力の測定方法を示す図である。 空隙部の一辺が5mm以上であるメッシュシートの交点強力の測定方法を示す図である。 メッシュシートの製織組織の一例を示す図である。

Claims (5)

  1. 芯部の重合体と、前記芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維にて形成され、空隙部分の一辺が1mm以下であることを特徴とするメッシュシート。
  2. 芯部の重合体と、前記芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維を、空隙部分の一辺を1mm以下として製編織し、その後、芯部の重合体の融点と鞘部の重合体の融点との間の温度で加熱処理することを特徴とするメッシュシートの製造方法。
  3. 芯部の重合体と、前記芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維にて形成され、空隙部分の一辺が5mm以上であることを特徴とするメッシュシート。
  4. 芯部の重合体と、前記芯部の重合体よりも低融点の鞘部の重合体との質量比が、芯部/鞘部=50/50〜90/10である芯鞘複合繊維を、空隙部分の一辺を5mm以上として製編織し、その後、芯部の重合体の融点と鞘部の重合体の融点との間の温度で加熱処理することを特徴とするメッシュシートの製造方法。
  5. 製編織工程に続く巻き取りの直前に設けられた熱ロールとの接触により加熱処理を行うことを特徴とする請求項2または4記載のメッシュシートの製造方法。
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