JP2008001912A - 変性導電性高分子分散液及びその製造方法並びにそれを用いた導電性部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機溶媒及び水を含む混合溶媒中でアニリン、チオフェン、ピロール又はこれらの誘導体のモノマーを、酸化剤及びドーピング剤の存在下に、化学酸化重合して得られる導電性高分子の有機溶媒分散液をアゾ化合物、チオール化合物、ジスルフィド化合物及びペルオキソ化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物から発生するラジカル種を用いて、加熱又は光照射下に、化学処理して得られる変性導電性高分子分散液並びにその製造方法及びそれを用いた導電性部材。
【選択図】なし
Description
反応例1:導電性ポリアニリン分散液の調製
トルエン300gにアニリン6g、ドデシルベンゼンスルホン酸21gを溶解させた後、6mol/L濃度の塩酸10.8mLを溶解させた蒸留水100gを加えた。この混合溶液を5℃以下に冷却した後、過硫酸アンモニウム16.2gを溶解させた蒸留水100gを加えた。5℃以下の状態で7時間酸化重合を行った後、トルエン450gを反応溶液に加えた。さらに、水150gにメタノール80g溶解した混合溶液を加え、撹拌を行った。撹拌を止め反応溶液を静置すると、反応溶液はトルエン層と水メタノール層の2層に分離した。導電性ポリアニリンが分散しているトルエン層を採取した。
反応例1で得られた導電性ポリアニリン分散液80gにアゾ化合物4,4‘−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)0.7gを溶解したNMP溶液20gを加えた。窒素下、70℃、16時間反応を行った後、トルエンを真空下で加熱除去することにより化学処理された変性導電性ポリアニリンのNMP分散液1(ポリアニリン含有量3重量%)を得た。変性導電性ポリアニリンNMP分散液の一部を採取し、NMPを真空下で加熱除去し、緑色粉末を得た。この粉末をアンモニア水で処理した後、水洗浄、乾燥することにより脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。この粉末の赤外吸収スペクトルは、1700cm-1付近にカルボニル基に由来する吸収が観測されたことから、4,4‘−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)から形成されたラジカル種により導電性ポリアニリンが化学処理されていることがわかった。
反応例1で得られた導電性ポリアニリン分散液80gに高分子系アゾ化合物VPE−201(和光純薬製)0.7gを溶解したNMP溶液20gを加えた。窒素下、70℃、16時間反応を行った後、トルエンを真空下で加熱除去することにより化学処理された変性導電性ポリアニリンのNMP分散液2を得た(ポリアニリン含有量3重量%)。変性導電性ポリアニリンNMP分散液の一部を採取し、NMPを真空下で加熱除去し、緑色粉末を得た。この粉末をアンモニア水で処理した後、水洗浄、乾燥することにより脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。この粉末の赤外吸収スペクトルは、1100cm-1付近にポリエーテル鎖に由来する吸収が観測されたことから、高分子系アゾ化合物から形成されたラジカル種により導電性ポリアニリンが化学処理されていることがわかった。
反応例1で得られた導電性ポリアニリン分散液80gに高分子系アゾ化合物VPS−501(和光純薬製)0.7gを加えた。開始剤が溶解したのを確認した後、NMP20gを添加し、窒素下、70℃、16時間反応を行うことにより、化学処理された変性導電性ポリアニリンのNMP分散液3を得た(ポリアニリン含有量3重量%)。変性導電性ポリアニリンNMP分散液の一部を採取し、NMPを真空下で加熱除去し、緑色粉末を得た。この粉末をアンモニア水で処理した後、水洗浄、乾燥することにより脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。この粉末の赤外吸収スペクトルは、1000cm-1付近にシロキサン結合に由来する吸収が観測されたことから、高分子系アゾ化合物から形成されたラジカル種により導電性ポリアニリンが化学処理されていることがわかった。
反応例1で得られた導電性ポリアニリン分散液80gにアゾ化合物2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピルアミド)(和光純薬製)0.7gを加えた。開始剤が溶解したのを確認した後、窒素下、70℃、16時間反応を行うことにより、化学処理された変性導電性ポリアニリンのトルエン分散液を得た。変性導電性ポリアニリントルエン分散液からトルエンを真空下で加熱除去し、緑色粉末を2.3g得た。この粉末の一部を採取しアンモニア水で処理した後、水洗浄、乾燥することにより脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。この粉末の赤外吸収スペクトルは、1650cm-1付近にアミド結合に由来する吸収が観測されたことから、アゾ化合物から形成したラジカル種により導電性ポリアニリンが化学処理されていることがわかった。
ポリメチルメタクリレート(アルドリッチ社製、重量平均分子量12万)を溶解させたNMP溶液(濃度20重量%)10gに反応例2で得られた化学処理された変性導電性ポリアニリン分散液1を7.0g添加混合することにより化学処理された変性導電性ポリアニリンとポリメチルメタクリレートとからなるNMP分散液(有機重合体組成物1)を調製した。このNMP分散液をガラス基板上に塗布後、150℃で、1時間加熱処理することにより、導電性ポリアニリン含有ポリメチルメタクリレートフィルムを厚さ150μmで得た。
ポリメチルメタクリレート(アルドリッチ社製、重量平均分子量12万)を溶解させたNMP溶液(濃度20重量%)10gに反応例3で得られた化学処理された変性導電性ポリアニリン分散液2を7.0g添加混合することにより化学処理された変性導電性ポリアニリンとポリメチルメタクリレートとからなるNMP分散液(有機重合体組成物2)を調製した。このNMP分散液をガラス基板上に塗布後、150℃で、1時間加熱処理することにより導電性ポリアニリン含有ポリメチルメタクリレートフィルムを厚さ150μmで得た。
ポリアミド酸NMP溶液(宇部興産、ポリイミドワニス「U−ワニス−A」(固形分18%))10gに反応例4で得られた化学処理された変性導電性ポリアニリンNMP分散液3を5.7g添加混合することにより化学処理された変性導電性ポリアニリンとポリアミド酸とからなるNMP分散液(有機重合体組成物3)を調製した。このNMP分散液をガラス基板上に塗布後、150℃1時間、200℃30分、300℃40分で加熱処理することにより、導電性ポリアニリン含有ポリイミドフィルムを厚さ150μmで得た。
SBR(日本ゼオン社製、Nipol 1502)100gに反応例5で得られた化学処理された変性導電性ポリアニリン20gをロールを用いて混練することにより化学処理された変性導電性ポリアニリンを含有するSBR(有機重合体組成物4)を得た。この有機重合体組成物4に亜鉛華(正同化学工業(株)製、酸化亜鉛3号)3g、ステアリン酸(日本油脂(株)製)1g、加硫促進剤(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)(大内新興化学(株)製、ノクセラーNSP)1g、硫黄((株)鶴見化学製)1.7g、老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン)(FLEXSIS製、SANTOFLEX 6PPD)1gをロールを用いて混合した後、500x500x1mmの金型中で180℃30分間プレス成形することにより加硫ゴムシートを作製した。
脱ドープ状態ポリアニリン粉末(アルドリッチ製)をNMPに溶解することにより10重量%のポリアニリンNMP溶液を得た。このポリアニリンNMP溶液1.8gをポリアミド酸NMP溶液(宇部興産、ポリイミドワニス「U−ワニス−A」(固形分18%))10gに添加混合した。この溶液を用いて、実施例3と同様にポリアニリン含有ポリイミドフィルムを厚さ150μmで得た。得られたポリイミドフィルムを、蒸留水400gとメタノール500gの混合溶媒にパラトルエスルホン酸100gを溶解させて調整したドーパント溶液に、室温下30分間浸漬して導電性ポリアニリン含有ポリイミドフィルムを得た。
ドープ状態ポリアニリン粉末(アルドリッチ製)0.2gをポリアミド酸NMP溶液(宇部興産、ポリイミドワニス「U−ワニス−A」(固形分18%))10gに添加混合した。この溶液を用いて、実施例3と同様に導電性ポリアニリン含有ポリイミドフィルムを厚さ150μmで得た。ポリイミド樹脂ベルトの表面にはポリアニリン粒子の凝集物が観察され、樹脂表面は滑らかでなかった。
カーボンブラック(三菱化学社製MA−100)25gをポリアミド酸NMP溶液(宇部興産、ポリイミドワニス「U−ワニス−A」(固形分18%))100gに添加混合した。この溶液を用いて、実施例3と同様に導電性ポリアニリン含有ポリイミドフィルムを厚さ150μmで得た。
(1)体積抵抗値:抵抗測定器(アドバンテスト社製、R8340A)を用いて、試料に
250Vの電圧を30秒間印加したときの体積抵抗値を測定した。
(2)体積抵抗値の面内ばらつき:シート面内の24ヶ所の体積抵抗値を測定し、体積抵
抗値の対数値をとり、その最大値と最小値の差として算出した。
(3)環境依存性:高温高湿(40℃、80%RH)と低温低湿(10℃、15%RH)
の環境下における体積抵抗値の対数値の差として算出した。
(4)表面滑らかさ:目視で表面の滑らかさを観察した。
Claims (7)
- 有機溶媒及び水を含む混合溶媒中でアニリン、チオフェン、ピロール又はこれらの誘導体のモノマーを、酸化剤及びドーピング剤の存在下に、化学酸化重合して得られる導電性高分子の有機溶媒分散液をアゾ化合物、チオール化合物、ジスルフィド化合物及びペルオキソ化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物から発生するラジカル種を用いて、加熱又は光照射下に、化学処理して得られる変性導電性高分子分散液。
- 前記ラジカル種がアゾ化合物である請求項1に記載の変性導電性高分子分散液。
- 請求項1又は2に記載の変性導電性高分子分散液と有機重合体とを含んでなる有機重合体組成物。
- 変性導電性高分子分解液中の変性導電性高分子の量が、有機重合体100重量部当り、0.05〜80重量部である請求項3に記載の有機重合体組成物。
- 体積抵抗値が102〜1013Ω・cm-1である請求項3又は4に記載の有機重合体組成物。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載の有機重合体組成物を用いた導電性部材。
- 有機溶媒及び水を含む混合溶媒中で、アニリン、チオフェン、ピロール又はこれらの誘導体のモノマーを、酸化剤及びドーピング剤存在下に、化学酸化重合し、次いで得られた導電性高分子の有機溶媒分散液をアゾ化合物、チオール化合物、ジスルフィド化合物及びペルオキソ化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物から発生するラジカル種を用いて、加熱又は光照射下に、化学処理することを含んでなる請求項1に記載の変性導電性高分子分散液の製造方法。
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