JP2003202014A - 半導電性ゴムロール - Google Patents

半導電性ゴムロール

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JP2003202014A
JP2003202014A JP2002000727A JP2002000727A JP2003202014A JP 2003202014 A JP2003202014 A JP 2003202014A JP 2002000727 A JP2002000727 A JP 2002000727A JP 2002000727 A JP2002000727 A JP 2002000727A JP 2003202014 A JP2003202014 A JP 2003202014A
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surface resistance
roll
resistance
rubber roll
voltage
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JP2002000727A
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Toshiyuki Kawaguchi
利行 川口
Masayuki Takahashi
正幸 高橋
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】印刷時の高電圧の印加により表面抵抗の低下が
なく、印加装置の電圧変動に対してもかすれ、汚れ、位
置ずれなどの印刷不具合が起こらず、更には使用環境で
抵抗が変動せず、また感光ドラムを汚染することがない
ことより印刷品位の低下が見られない半導電性ゴムロー
ルを提供すること。 【解決手段】少なくともロール表層がポリウレタン系樹
脂と導電性付与成分とからなる半導電性ゴムロールにお
いて、上記ロールは、測定電圧500(v)において、
その初期表面抵抗RS0(Ω)とその初期体積抵抗RV0
(Ω)との差(RS0−RV0)が、その初期表面抵抗RS0
(Ω)とパルス電流の通電した際の経時表面抵抗RS1
(Ω)との差(RS0−RS1)より大きい範囲にあること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導電性ゴムロー
ルに関するものであり、より詳細には、電子写真複写
機、レーザプリンタ、ファクシミリ、及びこれらを複合
したOA機器等に使用され、数百ボルト程度の電圧を印
加して、トナー等を静電的に対象物に付着させて搬送
し、更に転写や剥離をすることができる半導電性ゴムロ
ールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に電子写真複写機、レーザプリン
タ、ファクシミリ等のOA機器等に用いる半導電性ゴム
ロール(シームレスベルトを含む。)は印刷ずれ、特に
カラートナーの位置ずれ等の防止のために、ウレタン系
樹脂を注型法或いは、シリコーン樹脂成形体の表面部に
更にウレタン樹脂をコーティングして製造されている。
体積抵抗が10E+6から10E+12Ω・cmの半導電
性ロールを得るためには、このようなウレタン系樹脂に
導電性付与成分としてカーボンブラックや各種金属など
の微粒子状物を分散させ、或いはスルホン酸塩やアンモ
ニウム塩等、またカチオン系、アニオン系、ノニオン系
等の各種の界面活性剤等のイオン導電性剤を混合して用
いて所望の抵抗値を得ている。
【0003】しかし、トナーなどを静電的に付着させ、
搬送し、さらに転写するためには、ロールの表面抵抗や
体積抵抗などの抵抗値特性には難易度の高いコントロー
ルが要求されている。微粒子分散系では粒子の持つ表面
エネルギーの高さから、原材料の保存中に凝集しやす
く、またロールとなった固体状態においても、印刷時の
高電圧の印加により微小電流が流れ、それに沿っての微
粒子再配列が行われやすく、導電パスが形成されて表面
抵抗の低下が起こりやすい。
【0004】また微粒子間には絶縁性の薄膜が存在する
ため、抵抗値が印加電圧によって影響され、機器の印加
装置のばらつきあるいは経時の変化による電圧変動に対
し、トナーの付着や剥離が確実には行われなくなり、印
刷のかすれ、汚れ、位置ずれなどの印刷不具合が生じ、
最後には高価な部品モジュールを交換する必要が生じて
いる。
【0005】更に、導電性付与成分がイオン導電剤の場
合は、使用環境の湿度によって抵抗が変動する不具合が
あり、その上、ブリードによって感光ドラムを汚染させ
てしまい、同様にかすれやムラが生じ、印刷品位を低下
させてしまうと言う不利、不具合が見られる。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するためになされたものである。すなわち、印刷時
の高電圧の印加により表面抵抗の低下がなく、印加装置
の電圧変動に対してもかすれ、汚れ、位置ずれなどの印
刷不具合が起こらず、更には使用環境で抵抗が変動せ
ず、また感光ドラムを汚染することのない印刷品位の低
下が見られない半導電性ゴムロールを提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、少なくとも
ロール表層がポリウレタン系樹脂と導電性付与成分とか
らなる半導電性ゴムロールにおいて、測定電圧500v
における、その初期表面抵抗RS0(Ω)とその初期体積
抵抗RV0(Ω)との差(RS0−RV0)が、その初期表面
抵抗RS0(Ω)とパルス電流の通電した際の経時表面抵
抗RS1(Ω)との差(RS0−RS1)より大きい範囲にな
るようにロールを製造すると、湿度等の環境変動及び電
圧変動に対する抵抗依存性がそのロールの表面において
小さいこと、及び耐久性が十分にあることを見出し、本
発明に至ったものである。
【0007】即ち、本発明に係る半導電性ゴムロール
は、以下の構成或いは手段からなることを特徴とし、上
記課題を解決するものである。 (1)少なくともロール表層がポリウレタン系樹脂と導
電性付与成分とからなる半導電性ゴムロールにおいて、
上記ロールは、測定電圧500(v)において、その初
期表面抵抗RS0(Ω)とその初期体積抵抗RV0(Ω)と
の差(RS0−RV0)が、その初期表面抵抗RS0(Ω)と
パルス電流の通電した際の経時表面抵抗RS1(Ω)との
差(RS0−RS1)より大きい範囲にあることを特徴とす
る半導電性ゴムロール。
【0008】(2)上記ロールは、その測定電圧V1
(v)における表面抵抗R1(Ω)と、その測定電圧V
2(v)における表面抵抗R2(Ω)との関係で、10
<V1<V2≦1000のときに0.1<R2/R1<
1の範囲を満たすことを特徴とする上記(1)記載の半
導電性ゴムロール。 (3)上記ロールは、相対湿度H1(%)におけるその
表面抵抗R3(Ω)と、相対湿度H2(%)における表
面抵抗R4(Ω)との関係で、10≦H1<H2≦80
のときに0.01<R4/R3<1の範囲にあることを
特徴とする上記(1)又は(2)記載の半導電性ゴムロ
ール。
【0009】(4)上記ポリウレタン系樹脂が鎖延長剤
或いは架橋剤を用いた硬化性樹脂であることを特徴とす
る請求項1乃至3のいずれかに記載の半導電性ゴムロー
ル。 (5)上記導電性付与成分が溶剤可溶性の導電性ポリマ
ーからなることを特徴とする上記(1)乃至(4)のい
ずれかに記載の半導電性ゴムロール。 (6)上記導電性ポリマーは、該ポリマーにドーピング
されたドーパントが多官能性を有することを特徴とする
上記(5)記載の半導電性ゴムロール。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る半導電性ゴム
ロールの好ましい実施の形態を詳述する。尚、本発明に
係る半導電性ゴムロールは以下の実施形態に限るもので
はない。本発明に係る半導電性ロールは、少なくともロ
ール表層がポリウレタン系樹脂と導電性付与成分からな
る。尚、ここでゴムロールとは後述するように基体ロー
ルを備えたもの、或いはベルトロール、即ち、表層がポ
リウレタン系樹脂と導電性付与成分からなる限るシーム
レスベルト等も本実施の形態に含まれる。
【0011】上記ポリウレタン系樹脂は、ほぼ三種類に
大別されるが本発明において、熱可塑性タイプ、硬化性
タイプ(注型タイプ)、或いは混練タイプのいずれのも
のをも使用することができる。また、耐久性、耐磨耗
性、可撓性の点から、硬化性あるいは熱可塑性のウレタ
ン系樹脂あるいはポリウレア(尿素結合を含む)ウレタ
ン系樹脂が良い。更に好ましくは、硬化性タイプのウレ
タン系及びポリウレア系樹脂である。即ち、上記ポリウ
レタン系樹脂が鎖延長剤或いは架橋剤を用いた硬化性樹
脂であることが好ましい。
【0012】上記ポリウレタン系樹脂の熱可塑性タイプ
は直鎖状のポリエステルあるいはジオール類とジイソシ
アネートとをほぼ当量で反応させて線状高分子化したも
のである。上記ポリウレタン系樹脂の硬化性タイプは、
通常、ポリエステル或いはポリオールとポリイソシアネ
ートとを反応させてプレポリマーとし、これに鎖延長剤
或いは架橋剤とを混合し、注型後硬化させる(熱硬化型
又は常温硬化型)ものである。鎖延長剤あるいは架橋剤
としてはポリオール化合物やポリアミン化合物等があ
り、上記ポリウレタン系樹脂はこれらの剤の活性水素を
有する化合物とイソシアネートとの反応生成物として得
ることができ、前者はウレタン結合型で、後者は尿素結
合型である。
【0013】上記ポリウレタン系樹脂で使用されるポリ
オールとしては、例えば、脂肪族グリコールをジカルボ
ン酸と縮合させ鎖長を延長させることにより得られるポ
リエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリ
プロピレンアジペート等の脂肪族ポリエステルグリコー
ル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒ
ドロフラン等の開環重合によって得られるポリプロピレ
ンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグ
リコール等のポリアルキレンエーテルグリコール、ε−
カプロラクトンの開環重合によって得られるポリエステ
ルグリコール、ポリブタジエンの末端基を水酸基化した
ポリオール化合物、2種以上のアルキレンオキシドの共
重合物を2種以上のグリコールとジカルボン酸と共重合
物させたポリオール化合物および芳香族グリコールの混
合物などの長鎖状ジオール等を挙げることができる。
【0014】上記ポリウレタン系樹脂に使用されるポリ
アミノ化合物、特に、尿素結合型等の鎖延長剤或いは架
橋剤として使用される場合のポリアミン化合物は、下記
一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】上記一般式(1)中のA1は、ポリアルキ
レンポリエーテル、ポリアルキレンポリエステル、ポリ
アルキレンポリエーテルポリエステルを示し、これらに
不飽和基やウレタン結合を含むことは任意である。ま
た、両末端のベンゼン環の、アミノ基及びA1が結合し
ている以外の炭素に結合している水素は、ハロゲン基、
アルキル基等で置換されていてもよい。
【0017】上記一般式(1)中で表される芳香族ジア
ミンの具体的な例としては1,3−プロパンジオールビス
(4−アミノベンゾエート)、1,4−ブタンジオールビ
ス(4−アミノベンゾエート)、ジエチレングリコール
ビス(4−アミノベンゾエート)、トリエチレングリコ
ールビス(4−アミノベンゾエート)、4−クロロ−3,5
−ジアミノ安息香酸イソプロピル、4−クロロー3,5−
ジアミノ安息香酸イソブチル、4,4’−メチレンビスア
ニリン、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリ
ン)、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリ
ン)(TCDAM)、4,4’−メチレンビス(2,5−ジクロ
ロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニ
リン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリ
ン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピルアニリ
ン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリ
ン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリ
ン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルア
ニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロ−6−メチ
ルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロ−6−
エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ
−2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス
(2−トリフルオロメチルアニリン)、4,4’−メチレ
ンビス−(2−メトキシカルボニルアニリン)、4,4’
−ジアミノジフェニルサルフォン、4,4’−ジアミノジ
フェニルエーテル、2,2’−ビス(4−(4−アミノフエ
ノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノ
フエノキシ)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノフエノキ
シ)フェニル)サルフォン、2,5−ビス(アミノメチ
ル)ビシクロヘプタン、4,4’−メチレンビスオルソク
ロルアニリン等を挙げることができ、これら2種以上を
用いても構わない。尚、上記化合物は、ウレタン結合型
の硬化性ポリウレタン、ウレア結合型の硬化性ポリウレ
タンの鎖延長剤或いは架橋剤として用いられる場合が多
いが、通常のポリウレタン系樹脂の成分として用いる
か、否かは任意とされる。
【0018】上記ポリイソシアネート成分としては、ジ
フェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジ
イソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート
(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、パラ
フェニレンジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイ
ソシアネート(IPDI)、トリジンジイソシアネート(TO
DI)、ノルボルナンジイソシアネートメチル、トランス
シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、水添MDI、キ
シレンジイソシアネート(XDI)等を挙げることができ
る。これらは、カルボジイミド化など変性体、誘導体、
多量体の液状イソシアネートや、上述したように適宜の
ポリオールによりプレポリマー化したもの(ウレタン結
合を含む)としても勿論使用することができる。イソシ
アネートの活性水素化合物との混合当量比は、おおよそ
1から1.2の範囲であることが好ましい。
【0019】本発明において、上記導電性付与成分は溶
剤可溶性の導電性ポリマーからなることが好ましい。導
電性付与成分としての上記導電性ポリマーは、カーボン
ブラックや金属粒子などの微粒子分散系と異なり、電圧
依存性、湿度依存性を低減する上でも、上記した硬化性
樹脂と分子レベルで混合する必要があり、それらとの相
溶性が極めて重要となるためである。
【0020】上記導電性ポリマーには、例えば、ポリア
セチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチ
オフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポ
リセレノフエン、ポリアズレン、ポリピレン、ポリカル
バゾール、ポリピリダジン、ポリナフチレン、ポリフル
オレンやそれらのアルキル化やアルコキシル化等の置換
基を導入したポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチ
エニレンビニレン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポ
リ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3−チオフェ
ン−β−エタンスルフォネール)、ポリメチルピロー
ル、ポリ(3−へキシルピロール)、ポリ(3−メチル−
4−ピロールカルボン酸メチル)、ポリシアノフェニレ
ンビニレン、ポリジメトキシフェニレンビニレン誘導体
の共役系導電性ポリマーが挙げられる。
【0021】このうち、後述のドーパントの影響もある
が、酸素や湿度に対して安定性が高く、上記したポリウ
レア(尿素結合型)系樹脂等に相溶性がある、ポリピロ
ール、ポリチオフェン、ポリアニリン誘導体が特に好ま
しい。
【0022】本発明において、上記導電性ポリマーは、
該ポリマーにドーピングされるドーパントが多官能性を
有することが好ましい。通常、上記導電性ポリマー単体
では十分な抵抗を得ることができないため、ドーピング
が必要される。そのアクセプターとしては、ヨウ素、臭
素などのハロゲン、PF5、AsF5、BF3などのルイス酸、H
F、HCl、H2SO4などのプロトン酸やパラトルエンスルホ
ン酸などの有機酸、FeCl3、TiC4などの遷移金属化合
物、テトラシアノジメタン、テトラシアノテトラアザナ
フタレン、クロラニルなどの有機物質、あるいはドナー
としてのLi、Na、Kなどのアルカリ金属、Ca、Sr、Baな
どのアルカリ土類金属などが挙げられる。
【0023】更に、湿度、温度による安定性を高めるた
め、脱ドープには注意が必要で、電解質アニオン、カチ
オンは避けることが望ましく、導電性ポリマーとの配位
結合や共重合などは固定に対し有効な方法である。特に
ドーパント(導電性高分子等において微量ドープするこ
とによって抵抗を効果的に下げることができる固定の電
気的特性を変化させる不純物)をAB2型のモノマーを出
発原料とし、中心核分子から順次結合させて合成された
デンドリマーやポリスチレン、ポリメチルメタクリレー
トなどのオリゴマー、ポリマーあるいはフラーレン分子
に導入し、官能基として担持することは簡便であって特
に望ましい。この様に担体を中心に多官能となったドー
パントは伝導的には、導電性ポリマー分子間をブリッジ
させることができ、さらには硬化性樹脂と擬似的にIPN
化(相互貫入高分子網目;interpenetrating polymer w
ork)、導電性高分子と硬化性樹脂との分離を抑えこと
ができ、非常に有用な安定化策である。
【0024】尚、この他、シリカ、アルミナ、酸化チタ
ン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、タルク、クレーなどの充填材も、合成樹脂成形
の分野で用いられている任意のものを用いることができ
るが、増粘をもたらすものは、加工性の点から避ける必
要がある。また、通常の樹脂成形において用いられてい
る安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、内部
離型剤、顔料、分散剤、相溶化剤、難燃剤等の任意の添
加剤も用いてもよいが、ゴムロールの機械的、電気的な
物性を損なわない必要がある。
【0025】上記導電性ポリマーとポリウレタンあるい
はポリウレアウレタン系樹脂の混合割合は、ドーパント
を含む導電性ポリマーの抵抗およぴゴムロールに求めら
れる抵抗値によって異なるが、おおよそ5から30wt%の
範囲が好ましい。通常、かかる量を上回るとロール材と
しての伸びが小さくなり、機械的耐久性が劣るものとな
る。また分子レベルで混合するためには、少なくとも導
電性層(ロール表層又はベルト)は溶剤に可溶性である
ことが必要とされる。上記混合においては、先ず上記導
電性ポリマーとドーパントを必要ならば溶剤を使用して
ドーピングを行い、少なくとも上記アミン化合物あるい
はイソシアネートに所望量を攪拌混合する。次に、必要
ならば溶剤を除去し、溶剤除去後も分子レベルでの混合
が十分になっているか否か、透明性を顕微鏡をよって相
分離を確認する。
【0026】次に、ゴムロールの成形方法について簡単
に説明すると、本発明に使用する金型は、鉄鋼、ステン
レス、アルミニウム合金等からなる円筒状の割型で、中
心に金属芯をセットできる構造のものが好ましい。ま
た、金型の内周面に、研磨加工、硬質クロムメッキ等の
処理を施したものが良く、さらに各種離型剤により内面
を処理することも可能である。
【0027】上記混合した樹脂材料の注入は、定量吐出
装置あるいは押出機により行う。樹脂材料の各成分は、
樹脂材料の注入温度において十分にポットライフが長け
れば上述したように予め混合したものを注入しても良
く、ポットライフが十分に無い場合はスタティックミキ
サー等の適宜の混合装置を用い、混合しながら注入して
も良い。
【0028】上記注入後、温度80から150℃で5から30分
加熱し、必要ならば離型後さらに加熱し、ポストキュア
ーを行うことができる。さらにロール表面を研磨し、仕
上げを行うことによってゴムロールを得ることができ
る。また上述したように、シリコーンゴム、ウレタンゴ
ム、アクリルゴム、EPDMゴムなどにカーボンブラックな
どの導電性付与成分で導電化された合成ゴムを用い、予
めロール基体を形成した後、導電性ポリマーを含む溶液
でコートし、その表面に半導電性の膜を形成しても良
い。その厚さは20μmから500μmとされるが、厚いほど
基体の影響が無くなるため、抵抗値の安定性が高く、調
畳も容易となることはいうまでも無い。また、このよう
なことから本発明のゴムロールには、無端状のベルト、
或いはシームレスベルトをもその実施の態様として含み
うるものである。
【0029】本発明に係る半導電性ゴムロールは、上述
したようなポリウレタン系樹脂と導電性付与成分とを使
用し、且つ上記混合及び成形することにより、上記ロー
ルは、測定電圧500(v)において、その初期表面抵
抗RS0(Ω)とその初期体積抵抗RV0(Ω)との差(R
S0−RV0)が、その初期表面抵抗RS0(Ω)とパルス電
流の通電した際の経時表面抵抗RS1(Ω)との差(RS0
−RS1)より大きい範囲にある。
【0030】通常、トナーが感光ドラムより転写される
時、あるいは紙等へ転写する時に、半導電性ゴムロール
には高電圧が印加される。その際、ロールには予め定め
られた抵抗を維持することが求められる。ロール表層の
抵抗値は、電子写真複写機などの複写回数(又は印刷回
数)が増すに従い、印加される高電圧によつて、表面抵
抗値が徐々に低下し、トナーや紙などの付着と剥離が確
実に行われなくなることを見越して、初期においては、
体積抵抗よりも2オーダー以上の割合で高い表面抵抗値
が望まれ、数万から数十万回の印刷後でも、表面抵抗の
減少が2オーダー以下の程度であることが望まれ、これ
が実用的な限界となっている。このようなことから、上
記初期表面抵抗、経時表面抵抗、及び体積抵抗との上記
関係範囲をロール表層に十分に維持させると、本発明の
半導電性ゴムロールに望まれる耐久性が十分に付与され
る。
【0031】尚、上記表面抵抗RS及び体積抵抗RVの測
定にあっては、表面抵抗に使用する電極の面積及びサン
プルの厚み等は同様なものを使用し、表面抵抗は表面抵
抗率の測定回路を利用して直接測定した表面抵抗値
(Ω)であり、体積抵抗は体積抵抗率の測定回路を利用
して直接測定した体積抵抗値(Ω)であり、電極面積を
一定且つ同等のものを使用して、電圧を予め定めること
によって求めることができる。
【0032】また、カーボンブラック微粒子分散系を用
いたロール表層では、その微粒子間に絶縁性の薄膜障壁
が存在し、その抵抗は印加される電圧に大きく影響され
る一方、上述の上記導電性ポリマーは分子レベルで分散
し、金属的な伝導メカニズムを持っている。このメカニ
ズムはイオン伝導でないため、環境の湿度に対しても変
化が少ないという特性がある。このため、本発明の半導
電性ゴムロールは上記導電性ポリマーを使用することに
より、上記範囲の表面抵抗及び体積抵抗を容易に満たす
ことができる。
【0033】また、上記ロール表面には予め定められた
抵抗を維持することが求められるが、特に、上記ゴムロ
ールの初期表面抵抗にあっては電圧依存性の面から、上
記ロールは、その測定電圧V1(v)における表面抵抗
R1(Ω)と、その測定電圧V2(v)における表面抵
抗R2(Ω)との関係で、10<V1<V2≦1000
のときに0.1<R2/R1<1の範囲を満たすことが
好ましい。上記ロール表面抵抗が上記範囲内に収まる場
合は、電子写真複写機等の印加装置に電圧変動があった
としても、汚れ、位置ずれなどの印刷不具合が起こりに
くい。
【0034】更に、上記ゴムロールの初期表面抵抗にあ
っては環境依存性の面から、上記ロールは、任意の相対
湿度H1(%)におけるその表面抵抗R3(Ω)と、そ
の湿度よりも高い相対湿度H2(%)における表面抵抗
R4(Ω)との関係で、10≦H1<H2≦80のとき
に0.01<R4/R3<1の範囲を満たすことが好ま
しい。上記ロール表面が湿度に対して上記範囲内に収ま
る場合は、使用環境の変動で抵抗が変動せず、感光体ド
ラムを汚染することがないため、印刷品位の低下がな
い。
【0035】また上述したような実用的な経時変化を実
機にて確認することは、時間が掛かるため、促進試験に
よって確認することが行われている。すなわち、半導電
性ゴムロールの金属芯とロールに接する外部電極で印刷
用紙を挟持し、電極間に0.02mA/cm2以下のパルス電流
を耐用印刷回数の5〜10倍のパルス数を掛けて表面抵抗
値の変化を確認することができる。この時の印加電圧は
半導電ゴムロールの抵抗、電極面積によって変化する
が、おおよそ数百〜数千ボルトである。以上の抵抗測定
には任意の測定を用いてよいが、三菱化学製ハイレスタ
ーなどが一般に用いられる(図2参照)。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により更に
詳述する。 (実施例1)アジプレンL−100(デュポン社製の商品
名)100gにシーストV(東海カーボン社製の商品名)2
0gを混合分散したA液と、4,4’−メチレンビス(2−
クロロアニリン)13gとシーストV1gを混合分散した
B液とを注型して成形した。かかる長さ200mm、径20.
5mmφのロール成形物を研磨して、径20mmφの導電
性ロールとした。次いで、ポリテトラメチレンオキシド
−ジ−p−アミノベンゾエート(分子量約1200)76.8g
と4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)34.2g
の混合アミン、コスモネートPM50(液状MDI;三井
化学社製の商品名)34.6g、およびポリ(3−メチル−
4−ピロールカルボン酸エチルのDMF溶液(固形分20
%)109gを混合したコーティング溶液C1を作製した。
【0037】先に作製した導電性ロール上に溶液C1を
0.2mm厚でコーティングし、乾燥硬化させた後、再度
研磨し実施例1のロール試料を得た。A、B液を用い厚
さ6mmの導電性弾性シートを注型して作製し、その上
にコーティング液をドクターナイフコーターにて、厚さ
0.2mmの膜を乾燥硬化させて設け、実施例1のシート状
試料を得た。
【0038】(実施例2)上記実施例1のコーティング
溶液C1を下記の通りとした以外は、実施例1と同様であ
る。ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベン
ゾエート(分子量約1200)76.8gと4,4’−メチレンビ
ス(2−クロロアニリン)34.2gの混合アミン、コスモ
ネートPM50(液状MDI:三井化学社製の商品名)3
4.6g、およびポリ(3−メチル−4−ピロールカルボン
酸エチルとその構造単位の1/4モルのテトラシアノジメ
タンのDMF溶液(固形分20%)109gを混合したコー
ティング溶液C2を作製し、実施例1と同様に実施例2の
ロール試料とシート状試料を得た。
【0039】(実施例3)上記実施例1のコーティング
溶液C1を下記の通りとした以外は、実施例1と同様であ
る。トリメチレン−ビス(4-アミノベンゾアート) (分
子量314)15.1gと4,4'−メチレンビス(2−エチル
−6−メチルアニリン)13.5gの混合アミン、)コスモ
ネートPM35(液状MDI:三井化学社製の商品名)33.3
g、およびのポリ(3−フェニルチオフェン)にその構造
単位の1/6モルのスルホン化デンドリマー(DSM社の
ジアミノブタンとシアノエチレンを出発物質としたデン
ドリマー、商品名:DAB(PA)8(分子量773)1モ
ルにベンゼンスルホン酸8モルを反応させたもの)を混
合したDMF溶液(固形分25wt%)に24.7グラムを
混合したコーティング溶液C3を作製し、実施例1と同様
に実施例3のロール試料とシート状試料を得た。
【0040】(実施例4)上記実施例1のコーティング
溶液C1を下記の通りとした以外は、実施例1と同様であ
る。ポリ−(テトラメチレン−3−メチルテトラメチレ
ンエーテル)グリコールビス(4−アミノベンゾエー
ト)(分子量約1200)88.8gと4,4'−メチレンビス
(2,3−ジクロロアニリン)49.7gの混合アミン、コ
スモネートNBDI(液状MDI:三井化学社製の商品
名)16.9g、およびポリエチレンジオキシチオフェンに
その構造単位と同量の構造単位を有するスルホン化オリ
ゴスチレン(分子量約2500)を混合した塩化メチレン溶
液(固形分15wt%)を124.4gを混合したコーティン
グ溶液C4を作製し、実施例1と同様に実施例4のロール
試料とシート状試料を得た。
【0041】(比較例1)上記実施例1のコーティング溶
液C1を下記の通りとした以外は、実施例1と同様であ
る。ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベン
ゾエート(分子量約1200)76.8gと4,4’−メチレンビ
ス(2−クロロアニリン)34.2gの混合アミン、コスモ
ネートPM50(液状MDI:三井化学社製の商品名)3
4.6g、およびカーボンブラック(デグサ製スペシャル
ブラック6)を分散させたDMF溶液(固形分10%)87.
4gを混合したコーティング溶液D1を作製し、実施例1
と同様に比較例1のロール試料とシート状試料を得た。
【0042】(比較例2)上記実施例1のコーティング
溶液C1を下記の通りとした以外は、実施例1と同様であ
る。ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベン
ゾエート(分子量約1200)76.8gと4,4’−メチレンビ
ス(2−クロロアニリン)34.2gの混合アミン、コスモ
ネートPM50(液状MDI:三井化学社製の商品名)3
4.6g、およびポリフェニレンビニレンとその構造単位
と同モル数のパラトルエンスルホン酸を分散させたTH
F溶液(固形分5%)280gを混合したコーティング溶液
D2を作製し、実施例1と同様に比較例2のロール試料と
シート状試料を得た。
【0043】(評価試験)各試料を下記の項目で評価を
行った。結果を表1に示す。 相溶性:コーティング溶液の透明性を目視で行った。 耐久性:ロール試料の中央に直径20mmφ、ロール長20
mmの金属ロールプローブを2kgの荷重で押し当て,
10000回転させ、ロール試料の表面を観察した。
【0044】抵抗値:前記した金属ロールプローブとロ
ール試料の金属芯の間を東亜電波工業株式会社製絶縁抵
抗計SM−21Eを用いて測定した(図1参照)。尚、
印加電圧の印加回路は、表面抵抗率の測定回路と体積抵
抗率の測定回路では異ならせてある。 電圧依存性:10、100、250、500、1000Vの測定電圧で
表面抵抗を測定した。 湿度依存性:試料を10%RH、80%RH(いずれも常
温)に2時間放置後、環境内で測定電圧250Vにて表面
抵抗を測定した。 高圧耐久:シート状試料の初期体積抵抗と初期表面抵抗
を、三菱化学製ハイレスターを用いて測定した(500V印
加、測定5点の平均値を算出)。続いて、金属電極上の
試料に印刷用紙を載せ、厚さ1mmの導電性シリコーン
ゴム電極(比抵抗5Ω・cm)を載せ、20g/cm2になるよ
う導電性の重りを載せた。電極に0.015mA/cm2の電流が
流れるように、商業波の高電圧を一定電圧で印加した
(図2参照)。尚、16時間印加後、経時表面抵抗を測定
した。
【0045】
【表1】 表中のオーバー(over)或いはアンダー(under)と
は、上記計測装置における下限或いは上限の範囲外のそ
れぞれの値を意味する。
【0046】
【発明の効果】少なくともロール表層がポリウレタン系
樹脂と導電性付与成分とからなる本発明の半導電性ゴム
ロールよれば、上記ロールは、測定電圧500(v)に
おいて、その初期表面抵抗RS0(Ω)とその初期体積抵
抗RV0(Ω)との差(RS0−RV0)が、その初期表面抵
抗RS0(Ω)とパルス電流の通電した際の経時表面抵抗
RS1(Ω)との差(RS0−RS1)より大きい範囲にある
ので、複写機等の印加装置の電圧変動に対してもかす
れ、汚れ、位置ずれなどの印刷不具合が起こらず、更に
は使用環境で抵抗が変動しない。また感光ドラムの汚染
がないため印刷品位の低下も起こらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る半導電性ゴムロールの直接
初期表面抵抗値及び体積抵抗値を測定する方法の概略図
である。
【図2】図2は本発明に係る半導電性ゴムロールの初期
表面抵抗値及び経時表面抵抗値を測定する方法の概略図
である。
【符号の説明】
1 金属ロールプローブ 2 ゴムロール試料 3 シリコーンゴム 4 紙類 5 シート化試料 6 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/16 103 G03G 15/16 103 Fターム(参考) 2H071 BA43 DA08 DA09 2H077 AD06 FA13 FA22 FA25 2H200 FA04 FA18 JA02 JA23 JA25 JA26 JA27 JB10 MA04 MA11 MA12 MA20 MB02 MB05 MB09 MC20 3J103 AA02 AA51 AA85 BA41 FA18 GA02 GA57 GA58 GA60 HA04 HA20 HA48 HA54 4J002 BM002 CE002 CK011 CK031 CK041 CK051 CM012 CM022 CQ032 FD010 FD112 GF00 GM00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともロール表層がポリウレタン系樹
    脂と導電性付与成分とからなる半導電性ゴムロールにお
    いて、上記ロールは、測定電圧500(v)において、
    その初期表面抵抗RS0(Ω)とその初期体積抵抗RV0
    (Ω)との差(RS0−RV0)が、その初期表面抵抗RS0
    (Ω)とパルス電流の通電した際の経時表面抵抗RS1
    (Ω)との差(RS0−RS1)より大きい範囲にあること
    を特徴とする半導電性ゴムロール。
  2. 【請求項2】上記ロールは、その測定電圧V1(v)に
    おける表面抵抗R1(Ω)と、その測定電圧V2(v)
    における表面抵抗R2(Ω)との関係で、10<V1<
    V2≦1000のときに0.1<R2/R1<1の範囲
    を満たすことを特徴とする請求項1記載の半導電性ゴム
    ロール。
  3. 【請求項3】上記ロールは、相対湿度H1(%)におけ
    るその表面抵抗R3(Ω)と、相対湿度H2(%)にお
    ける表面抵抗R4(Ω)との関係で、10≦H1<H2
    ≦80のときに0.01<R4/R3<1の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の半導電性ゴムロ
    ール。
  4. 【請求項4】上記ポリウレタン系樹脂が鎖延長剤或いは
    架橋剤を用いた硬化性樹脂であることを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれかに記載の半導電性ゴムロール。
  5. 【請求項5】上記導電性付与成分が溶剤可溶性の導電性
    ポリマーからなることを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれかに記載の半導電性ゴムロール。
  6. 【請求項6】上記導電性ポリマーは、該ポリマーにドー
    ピングされたドーパントが多官能性を有することを特徴
    とする請求項5記載の半導電性ゴムロール。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008001912A (ja) * 2007-09-03 2008-01-10 Yokohama Rubber Co Ltd:The 変性導電性高分子分散液及びその製造方法並びにそれを用いた導電性部材
US10942471B2 (en) 2019-03-29 2021-03-09 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic member having a surface layer with a cross-linked urethane resin-containing matrix, process cartridge, and apparatus

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