JP2008001073A - ノズルプレート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】密着性や耐久性に優れた撥液膜を備えたノズルプレートを提供する。
【解決手段】液滴を吐出するためのノズルが形成されたノズル形成基板と、複数の細孔を有する多孔質層と、フッ素樹脂から成る撥液層と、を備え、前記ノズル形成基板の液滴吐出側の面に前記多孔質層及び前記撥液層が順次積層され、前記多孔質層の複数の細孔は前記撥液層側に開口しており、該細孔の内部は前記撥液層により埋められていることを特徴とするノズルプレートを提供することにより、前記課題を解決する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ノズルプレート及びその製造方法に係り、特に、密着性や耐久性に優れた撥液膜を備えたノズルプレート及びその製造方法に関する。
インクジェット記録装置は、記録ヘッドと記録媒体を相対的に移動させながら、記録ヘッドの吐出面に形成される多数のノズルからそれぞれインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に所望の画像を形成するものである。記録ヘッドには、例えば、圧電素子の変位を利用して、圧力室内のインクを加圧してノズルからインク滴を吐出させる圧電方式のものや、ヒーター等の発熱素子から生じる熱エネルギーを利用して、圧力室内に気泡を発生させ、このとき生じる圧力によってノズルからインク滴を吐出させるサーマル方式のものがある。
このように記録ヘッドは、圧電素子や発熱素子等の圧力発生手段を利用して各ノズルからインク滴を吐出させるため、記録ヘッドの吐出面を構成するノズル形成基板(ノズルプレート)の表面特性がインク吐出に影響を与えることがある。例えば、ノズル形成基板表面のノズル周辺部にインクが付着すると、インク滴の吐出方向が曲がったり、インク滴の大きさにバラツキが生じたり、インク滴の吐出速度が不安定になるなどの不都合を生じる。そこで、吐出特性の安定化を図るために、ノズル形成基板の表面側(液滴吐出面側)に撥液膜(撥インク膜)を形成する方法がこれまでに各種提案されている。
例えば、特許文献1には、ノズル形成基板の表面側に、PTFE分散ニッケルメッキを施した後、エキシマレーザーを照射してニッケルを除去し、PTFE微粒子を露出させ、その後、加熱によりPTFE微粒子を溶融させ、メッキ表面をPTFE微粒子の被膜で完全に覆う方法が開示されている。
また、特許文献2には、ノズル形成基板の表面側に、カチオン系或いはアニオン系の含フッ素樹脂の電着塗装膜を1〜10μm形成し、焼付け処理してなる撥水膜を形成する方法が開示されている。
特開平9−277537号公報 特開平9−193401号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法のように、PTFEなどのフッ素樹脂を含んだニッケルの分散メッキで撥水膜を形成するものにあっては、表面の撥液性能に寄与するのは、分散メッキの最表面に露出したフッ素樹脂のみであり、膜中に分散したフッ素樹脂は無駄となる。
また、記録ヘッドでは、ノズル形成基板の表面やノズル周辺部に付着した液体やゴミなどの異物を除去するためのワイピング動作が一般的に行われるため、経時的に撥液膜表面がワイピング部材によって擦られることから、徐々に撥液膜が剥がれて撥液性が低下する。このため、特許文献1に記載の方法の場合、加熱溶融により表面に形成されるフッ素樹脂層の厚さは、表面に露出したフッ素樹脂の体積分に限られるため、自ずと限界があり、ワイピング動作に十分耐えられるほどのフッ素樹脂層の厚さを得られない。
一方、特許文献2に記載の方法のように、含フッ素樹脂の電着塗装によれば、厚い撥水膜を得ることは可能であるが、電着塗装は、塗料中に浸漬した物に電位をかけ、電気泳動によって塗膜を得るものであるから、塗料には極性が必要となり、撥水性はある程度犠牲となってしまう。一般に知られるフッ素樹脂電着コーティング膜の水の接触角は92°程度で、PTFEなどのパーフルオロポリマーに対する水の接触角110°前後と比較するとかなり劣り、撥水性に特段優れたものではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、密着性や耐久性に優れた撥液膜を備えたノズルプレート及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液滴を吐出するためのノズルが形成されたノズル形成基板と、複数の細孔を有する多孔質層と、フッ素樹脂から成る撥液層と、を備え、前記ノズル形成基板の液滴吐出側の面に前記多孔質層及び前記撥液層が順次積層され、前記多孔質層の複数の細孔は前記撥液層側に開口しており、該細孔の内部は前記撥液層により埋められていることを特徴とするノズルプレートを提供する。
本発明によれば、ノズル形成基板の液滴吐出面側に、ノズル形成基板側とは反対側に開口する複数の細孔を有する多孔質層を介して、フッ素樹脂から成る撥液層を形成した構成によれば、撥液層は物理的アンカー効果によって密着性に優れるとともに、撥液層を任意の厚さにすることができるので撥液層の耐久性を高めることができる。
また、このように密着性に優れた撥液層を実現できるため、撥液層を構成するフッ素樹脂中に化学結合を形成する基を導入する必要がなく、フッ素樹脂の選択自由度が広がり、撥液性能に優れた撥液層を実現することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のノズルプレートであって、前記多孔質層は、バルブ金属の陽極酸化により形成されたものであることを特徴とする。
バルブ金属を陽極酸化することで多孔質層の細孔を容易に形成することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のノズルプレートであって、前記フッ素樹脂は、パーフルオロポリマーであることを特徴とする。
フッ素樹脂として、PTFE、PFA、FEP等のパーフルオロポリマーを用いた場合、撥液性能が特に良好となる。
また、前記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は方法発明を提供する。即ち、請求項4に記載の発明は、液滴を吐出するためのノズルが形成されるノズル形成基板の液滴吐出面側に、前記ノズル形成基板側とは反対側に開口する複数の細孔を有する多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、前記多孔質層の複数の細孔の内部を埋めるようにフッ素樹脂から成る撥液層を形成する撥液層形成工程と、を含むことを特徴とするノズルプレートの製造方法を提供する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のノズルプレートの製造方法であって、前記多孔質層形成工程は、前記ノズル形成基板の液滴吐出面側にバルブ金属層を形成し、前記バルブ金属層を陽極酸化して多孔質化する工程であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のノズルプレートの製造方法であって、前記撥液層形成工程は、前記多孔質層の前記細孔が開口する面にフッ素樹脂の粒子を溶液中に分散させたフッ素樹脂分散液を塗布し乾燥させ、更に、前記フッ素樹脂の粒子を加熱して溶融させ、前記細孔の内部に前記フッ素樹脂を含侵させる工程であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のノズルプレートの製造方法であって、前記撥液層形成工程は、前記多孔質層の前記細孔が開口する面に溶融状態にあるフッ素樹脂フィルムを転写する工程であることを特徴とする。
請求項7の態様によれば、ノズル内部にフッ素樹脂が侵入するのを確実に回避することができる。
本発明によれば、ノズル形成基板の液滴吐出面側に、ノズル形成基板側とは反対側に開口する複数の細孔を有する多孔質層を介して、フッ素樹脂から成る撥液層を形成した構成によれば、撥液層は物理的アンカー効果によって密着性に優れるとともに、撥液層を任意の厚さにすることができるので撥液層の耐久性を高めることができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の記録ヘッド12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12の吐出面(吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12の吐出面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12の吐出面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。印字部12を構成する各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した記録ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する記録ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の記録ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
次に、記録ヘッドの構成について説明する。インク色ごとに設けられている各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって記録ヘッドを示すものとする。
図2は記録ヘッド50の構造例を示す平面透視図である。図2に示すように、記録ヘッド50は、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状(2次元的)に配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される投影ノズルは均一且つ高密度なノズルピッチで配列され、実質的なドットピッチの高密度化を達成している。
各圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。
図3は図2中3−3線に沿う断面図であり、1つのインク室ユニット53に対応する部分の断面を表している。図3に示すように、記録ヘッド50の吐出面50Aは、ノズル51が形成されるノズルプレート60によって構成されている。尚、ノズルプレート60の詳細構造は後で説明するが、ノズルプレート60の表面側(液滴吐出面側)には撥液膜(図3中不図示、図4中符号66として記載)が形成されている。
ノズル51に連通する圧力室52の一端には供給口54が形成されており、その供給口54を介して圧力室52と共通流路55は連通している。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路55を介して圧力室52に供給される。
圧力室52の天面(図3の上面)は振動板56で構成されている。そして、振動板56上の圧力室52に対応する位置、即ち、振動板56を挟んで圧力室52に対向する位置には、上面に個別電極57を備えた圧電素子58が設けられている。尚、本実施形態において、圧電素子58の共通電極は振動板56が兼ねている。
このような構成により、圧電素子58の個別電極57に所定の駆動電圧が印加されると、圧電素子58の変位に伴う振動板56の変形により、圧力室52の容積が変化し、圧力室52内のインクは加圧され、その圧力室52に連通するノズル51からインク滴が吐出される。インク吐出後、個別電極57に対する駆動電圧の印加が解除されると、振動板56は元の状態に復帰し、これに伴い、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
尚、本実施形態においては、圧電素子58を用いてインク吐出を行う圧電方式の記録ヘッド50について説明したが、本発明の実施に際してはこれに限定されるものではない。例えば、ヒーター等の発熱素子を用いてインク吐出を行うサーマル方式やその他各種方式の記録ヘッドにも、本発明を適用することができる。
次に、本発明の特徴部分であるノズルプレート60の構成について詳説する。
図4はノズルプレート60の断面図であり、同図右側には破線枠で囲んだ部分の拡大図を示している。図4に示すように、ノズルプレート60は、ノズル51が形成されるノズル形成基板62の表面側(液滴吐出面側)に、多孔質層64及び撥液層66を順次積層した構成となっている。これらの寸法(厚さ)を一例として挙げると、ノズル形成基板62が20〜30μmに対し、多孔質層64が1〜3μm、撥液層661〜5μmである。
多孔質層64は、Al、Ti、Si等のバルブ金属層を陽極酸化して多孔質化したものである。多孔質層64には、微細な円柱状の細孔68が略均等な間隔で平行に配列されている。この円柱状の細孔68は、ノズル形成基板62側とは反対側(即ち、撥液層66側)に開口しており、直径が数nm〜数百nm、深さが数μmの高いアスペクト比を有している。
一方、撥液層66は、PTFE、PFA、FEP等の完全にフッ素化された樹脂(パーフルオロポリマー)であり、多孔質層64に形成される各細孔68の内部を埋め、且つ、多孔質層64の細孔68の開口面に所定厚みをもって層状に形成されている。
このようにノズル形成基板62の液滴吐出面側に、ノズル形成基板62側とは反対側に開口する細孔68を有する多孔質層64を介して、フッ素樹脂から成る撥液層66を形成した構成によれば、物理的アンカー効果により、撥液層66の多孔質層64に対する結合力を高めることができ、密着性に優れた撥液層66を実現することができる。また、撥液層66を任意の厚さにすることができるので、撥液層66の耐久性を高めることができる。
また、このように密着性に優れた撥液層66を実現できるため、撥液層66を構成するフッ素樹脂中に化学結合を形成する基を導入する必要がなく、フッ素樹脂の選択自由度が広がり、撥液性能に優れた撥液層66を実現することが可能となる。
本発明の撥液層を構成するフッ素樹脂は特に限定されるものではないが、本実施形態の如く、フッ素樹脂として、PTFE、PFA、FEP等のパーフルオロポリマーを用いる態様が好ましく、特に良好な撥液性能を得ることができる。
次に、このようなノズルプレート60の製造方法(第1の製造方法)について、図5に示す工程図を用いて説明する。
まず、図5の(a)に示すように、導電性を有する基材(導電性基材)70の表面に、ノズル形状に相当するレジスト72を所定位置(ノズル51を形成する位置)に形成する。尚、レジスト72の高さは、後工程の電鋳で析出させる金属層74とバルブ金属層76の合計厚みよりも高くする。
次に、図5の(b)に示すように、電鋳法を用いて、導電性基材70の表面のレジスト72以外の部分に金属を析出させる。析出させる金属としては、例えば、Ni、Cu等が挙げられる。このようにして形成される電鋳金属層74は、図4で示したノズル形成基板62に相当する。
次に、図5の(c)に示すように、蒸着法、スパッタ、CVD等の各種薄膜形成方法を用いて、電鋳金属層74の表面側にバルブ金属層76を形成する。このバルブ金属層76を構成する金属(バルブ金属)としては、例えば、Al、Ti、Siを挙げられるが、これらに限定されず、陽極酸化法で多孔質化される金属であればよい。
次に、バルブ金属層76に応じた条件でバルブ金属層76を陽極酸化し、図5の(d)に示すように、多孔質層64を形成する。この多孔質層64には、既述のとおり、微細な円柱状の細孔68が表面側に開口するようにして高アスペクト比で形成され、略均等な間隔で平行に配列されている。
バルブ金属がAlの場合には、電解液としてリン酸、クロム酸、シュウ酸、硫酸などを用いて陽極酸化することで、直径数十nmの細孔68が10〜1011個/cmの密度(細孔数密度)で形成された多孔質層64を得ることができる。同様に、バルブ金属がTiの場合には電解液として硫酸-過酸化水素溶液(硫酸と過酸化水素溶液の混合溶液)を用いて、また、バルブ金属がSiの場合には電解液としてフッ酸溶液を用いて、それぞれ陽極酸化することで所望の多孔質層64を得ることができる。
ここで、バルブ金属としてAlを用いた場合において、陽極酸化条件(電解液、浴温、浴電圧)を変化させたときに得られる多孔質層の状態(細孔径、細孔密度)の関係を一例として表1に示す。
Figure 2008001073
表1から分かるように、同一の浴電圧で各電解液を用いて処理した場合には、電解液によって細孔径は異なり、硫酸<シュウ酸<クロム酸<リン酸の順に大きくなる。また、同一の電解液で浴電圧を変化させた場合には、いずれの電解液においても、細孔径は浴電圧にかかわらず変化しないが、細孔数密度は浴電圧を高くすると減少する。つまり、浴電圧を高くすると、細孔径は維持されたまま、各々の細孔が形成される間隔を広くすることができる。尚、表1では示していないが、細孔68の深さは、陽極酸化の時間を変化させることで制御することができ、陽極酸化の時間を長くするほど細孔68を深く形成することができる。
このように陽極酸化条件を変化させることで、細孔径や細孔数密度などを制御することができる。このため、撥液層66を形成するのに好適な多孔質層64を容易に実現すること可能となる。ただし、細孔径と細孔数密度は、例えば、細孔径を大きくすると細孔数密度が低くなるといったような、トレードオフの関係にあるため、要求条件に応じて陽極酸化条件を適宜選択することが必要である。
尚、このようにバルブ金属層76を陽極酸化することで多孔質層64を得た後、更に、熱処理工程を行い、陽極酸化時に発生した結晶水を除去するようにしてもよい。
次に、多孔質層64の表面にフッ素樹脂分散液を塗布し、これを乾燥する。フッ素樹脂分散液は、PTFE、PFA、FEP等の完全にフッ素化されたフッ素樹脂(パーフルオロポリマー)の粒子(平均粒子径φ0.3μm程度)を溶液中に分散させたものである。このようなフッ素樹脂分散液の塗布、乾燥により、図5の(e)に示すように、フッ素樹脂の粒子78が多孔質層64の表面に固定される。
次に、レジスト72を除去する。レジスト72を除去した後の様子を図5の(f)に示す。
次に、フッ素樹脂の融点以上(350〜400℃)で加熱を行い、フッ素樹脂の粒子78同士を融着させるとともに、多孔質層64の各細孔68の内部にフッ素樹脂を含浸させる。これにより、図5の(g)に示すように、パーフルオロポリマーによる撥液層66が形成される。
最後に、電鋳金属層74から導電性基材70を剥離する。導電性基材70を剥離した後の様子を図5の(h)に示す。このようにして、ノズル形成基板62の表面側に多孔質層64及び撥液層66が順次積層されたノズルプレート60を製造することができる。
第1の製造方法によれば、ノズル形成基板62に相当する電鋳金属層74の表面に形成されたバルブ金属層76を陽極酸化することで、微細で高アスペクトな複数の細孔68を有する多孔質層64を容易に形成することができる。そして、多孔質層64の表面側(電鋳金属層74側とは反対側)にフッ素樹脂から成る撥液層66を形成する。この撥液層66は、撥液層66側に開口する細孔68の内部を埋め、且つ、細孔68の開口面に層状に形成されるため、物理的アンカー効果により、撥液層66と多孔質層64との高い結合力が得られ、密着性に優れた撥液層66を得ることができる。
また、このように物理的アンカー効果によって密着性に優れた撥液層66を得られるため、撥液層66を構成するフッ素樹脂に化学結合を形成する基を導入する必要がなく、フッ素樹脂の選択自由度が広がり、撥液性能に優れた撥液層66を実現することが可能となる。
更に、フッ素樹脂分散液の塗布量を制御することで撥液層66を任意の厚さにすることができ、耐久性に優れた撥液層66を容易に得ることができる。
一般に、バルブ金属の陽極酸化による多孔質層の厚さ制御は困難といわれているが、本製造方法では、スパッタ等でバルブ金属層76そのものの厚さを精度良く制御できるため、均一厚さの多孔質層64が得られ、その結果、均一な撥液層66が得られる。
次に、ノズルプレート60の他の製造方法(第2の製造方法)について、図6に示す工程図を用いて説明する。
まず、第1の製造方法と同様にして、導電性基材70上にレジスト72を形成してから、導電性基材70上のレジスト72以外の部分に電鋳金属層74を形成し、更に、バルブ金属層76を形成後、バルブ金属層76を陽極酸化して多孔質層64を形成する(図5の(a)〜(d)参照)。尚、多孔質層64の形成後、レジスト72を除去しておく。
また、これらの工程とともに、図6の(a)に示すように、金属基板80上にフッ素樹脂分散液を塗布し、これを加熱溶融し、フッ素樹脂フィルム82を形成する。このとき、加熱溶融状態を維持しておく。
次に、図6の(b)に示すように、導電性基材70、電鋳金属層74、及び多孔質層64の積層体84の多孔質層64側を金属基板80上のフッ素樹脂フィルム82の表面に向けた状態でこれらを接触させる。このとき、フッ素樹脂は加熱溶融状態にあるので、多孔質層64の各細孔68(図6の(d)参照)の内部にフッ素樹脂が含浸する。
次に、図6の(c)に示すように、フッ素樹脂フィルム82を積層体84側に転写する。そして、電鋳金属層74から導電性基材70を剥離する。導電性基材70を剥離した後の様子を図6の(d)に示す。このようにして、第1の製造方法と同様に、ノズル形成基板62の表面側に多孔質層64及び撥液層66を順次積層されたノズルプレート60を製造することができる。
第2の製造方法によれば、第1の製造方法と同様の効果が得られるとともに、金属基板80上に形成したフッ素樹脂フィルム82を多孔質層64の表面に接触させ転写するため、より厚いフッ素樹脂を容易に形成できる。
以上、本発明のノズルプレート及びその製造方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである
インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図 記録ヘッドの構造例を示す平面透視図 図2中3−3線に沿う断面図 ノズルプレートの断面図 ノズルプレートの第1の製造方法を示す工程図 ノズルプレートの第2の製造方法を示す工程図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、50…記録ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、58…圧電素子、60…ノズルプレート、62…ノズル形成基板、64…多孔質層、66…撥液層、68…細孔、70…導電性基材、72…レジスト、74…電鋳金属層、76…バルブ金属層、78…フッ素樹脂の粒子、80…金属基板、82…フッ素樹脂フィルム

Claims (7)

  1. 液滴を吐出するためのノズルが形成されたノズル形成基板と、
    複数の細孔を有する多孔質層と、
    フッ素樹脂から成る撥液層と、を備え、
    前記ノズル形成基板の液滴吐出側の面に前記多孔質層及び前記撥液層が順次積層され、
    前記多孔質層の複数の細孔は前記撥液層側に開口しており、該細孔の内部は前記撥液層により埋められていることを特徴とするノズルプレート。
  2. 前記多孔質層は、バルブ金属の陽極酸化により形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
  3. 前記フッ素樹脂は、パーフルオロポリマーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のノズルプレート。
  4. 液滴を吐出するためのノズルが形成されるノズル形成基板の液滴吐出面側に、前記ノズル形成基板側とは反対側に開口する複数の細孔を有する多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、
    前記多孔質層の複数の細孔の内部を埋めるようにフッ素樹脂から成る撥液層を形成する撥液層形成工程と、
    を含むことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  5. 前記多孔質層形成工程は、前記ノズル形成基板の液滴吐出面側にバルブ金属層を形成し、前記バルブ金属層を陽極酸化して多孔質化する工程であることを特徴とする請求項4に記載のノズルプレートの製造方法。
  6. 前記撥液層形成工程は、前記多孔質層の前記細孔が開口する面にフッ素樹脂の粒子を溶液中に分散させたフッ素樹脂分散液を塗布し乾燥させ、更に、前記フッ素樹脂の粒子を加熱して溶融させ、前記細孔の内部に前記フッ素樹脂を含侵させる工程であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のノズルプレートの製造方法。
  7. 前記撥液層形成工程は、前記多孔質層の前記細孔が開口する面に溶融状態にあるフッ素樹脂フィルムを転写する工程であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のノズルプレートの製造方法。
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