JP2008000653A - 排水処理方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】設備の利用効率が高く、且つ、迅速な排水処理を可能とする、過硫酸塩及び過酸化水素の処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の具体的態様の一つは、半導体製造工場から排出される排水を浄化処理する方法であって、前記方法は、CMP工程から排出される排水に含まれる過硫酸塩と、半導体洗浄工程から排出される排水に含まれる過酸化水素を同時に処理することを特徴とし、さらに前記方法は、前記CMP工程から排出される排水から該排水中に含まれる懸濁物質を除去すると共に、該懸濁物質が除去された前記CMP工程排水と、前記半導体洗浄工程から排出される排水とを混合し、さらに該混合排水を触媒に接触せしめることにより、該混合排水中に存在する過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を同時に進行させることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、工場などから排出される排水を浄化処理する方法に関わり、より詳細には、過硫酸塩を含む排水と過硫酸塩を含む排水の処理方法に関わる。
工場から排出される排水は、環境に好ましくない成分を含んでいることがあるので、直接に環境に放出すべきものではなく、しかるべき浄化処理が行われた上で環境へと放出される。工場排水には様々なものがあるが、例えば半導体製造工場などから排出される排水には、過硫酸塩を含有する排水と、過酸化水素を含有する排水とが存在する。
工場において、過硫酸塩含有排水と過酸化水素含有排水とは、別系統の排水として、それぞれが別々に排出されていることが多い。例えば半導体産業においては、過硫酸塩含有排水はCMP工程から排出される。CMP工程とは、研磨材の入った薬品(=chemical)と砥石で(=mechanical)磨く(=polishing)ので、その頭文字をとって通常CMPと呼ばれているものである。一方、過酸化水素含有排水は、CMP工程とは別系として排出される場合が多く、半導体洗浄排水として、アンモニアや硫酸、フッ素、塩酸等も含んだ排水として排出される。
さらに従来の工場では、過硫酸塩含有排水と過酸化水素含有排水とが別々に排出されるのみならず、これらの処理施設も別々に設けられる必要があった。これは、過酸化水素と過硫酸塩とでは、その処理方法が、それぞれ異なるためである。
過酸化水素の処理方法としては、活性炭もしくは活性炭のマンガン担持触媒、白金担持触媒などの還元触媒を用いた接触分解が用いられている。これに対して過硫酸塩の処理方法としては、チオ硫酸ナトリウムや塩化第一鉄のような還元剤を添加して還元処理する方法が用いられている。特開2005−118626号公報に記載のように、過硫酸塩を活性炭等の触媒と接触させることによって還元処理する方法も知られているが、同公報に記載されるように、触媒の寿命を延ばすため、還元剤を貯蔵する槽を設けるなど、追加的な設備を設ける必要がある。
このため半導体製造工場などは、過硫酸塩は塩化第一鉄による処理、過酸化水素は活性炭との接触による処理、といったように、それぞれの排水を別々に処理する必要があり、ゆえに処理設備を別々に設ける必要があり、多数の処理設備が必要になっていた。処理設備の数が多くなることは、設備そのものの購入費用が嵩むことになるのみならず、設備を設置するための場所の確保も必要となり、これがさらにコストを増大させる要因となる。
特開2005−118626号公報
本発明は、上記の1つ以上の課題を解決しようとするものであり、設備の利用効率が高く、且つ、迅速な排水処理を可能とする、過硫酸塩及び過酸化水素の処理方法を提供しようとするものである。
本発明の具体的態様の一つは、半導体製造工場から排出される排水を浄化処理する方法であって、前記方法は、CMP工程から排出される排水に含まれる過硫酸塩と、半導体洗浄工程から排出される排水に含まれる過酸化水素を処理することを特徴とし、さらに前記方法は、前記CMP工程から排出される排水から該排水中に含まれる懸濁物質を除去する工程と、該懸濁物質が除去された前記CMP工程排水と、前記半導体洗浄工程から排出される排水とを混合する工程と、該混合排水を触媒に接触せしめる工程を有することを特徴とする。
また本発明の別の具体的態様の一つは、半導体製造工場から排出される排水を浄化処理する排水処理装置であって、前記装置は、過硫酸塩及び過酸化水素の反応を促進する触媒を備えた還元槽を有することを特徴とし、さらに前記装置が、前記CMP工程から排出される排水から該排水中に含まれる懸濁物質を除去する懸濁物質除去装置と、前記懸濁物質が除去された前記CMP工程排水を前記懸濁物質除去装置から前記還元槽へ導く第一の通水路と、前記半導体洗浄工程から排出される排水を前記懸濁物質が除去された前記CMP工程排水と混合すべく前記第一の通水路の途中又は前記還元槽へと導く第二の通水路とを備えることを特徴とする。
上記の排水処理方法及び装置によれば、従来は別々の設備によって処理されていた、CMP工程排水に含まれる過硫酸塩の分解除去と、半導体洗浄工程排水に含まれる過酸化水素の分解除去とを、1つの槽内で行うことができる。さらに、過硫酸塩の還元分解を触媒を利用して行うことで、非常に迅速な分解処理が可能であると共に、過硫酸塩が触媒に接触する槽に過酸化水素が共存するため、触媒の劣化が著しく抑制される(上記特許文献1参照)。もちろん、過酸化水素自体も、触媒に接触することによって、還元分解が促進せしめられる。
このように、上記の排水処理方法及び装置によれば、過硫酸塩と過酸化水素の分解処理のために、従来は別個に設けられていた処理施設を統合し、簡略化することができる。従って、半導体製造施設における設備の設置場所や、設備の敷設に係る費用などの削減が期待できる。また上記の排水処理方法及び装置によれば、触媒利用の処理という高速の分解法を用いるため、高速の分解処理が実点される。さらに、過硫酸塩が触媒と接触する槽に過酸化水素が存在することによって触媒劣化が抑制されるため、触媒を交換する頻度が減少し、触媒の購入費用や交換費用を削減することが期待できる。
さらに上記の排水処理方法及び装置においては、半導体洗浄工程排水に含まれる過酸化水素を、触媒劣化抑制用の還元剤としても利用している。このため、触媒を利用した過硫酸塩の還元分解を行っている従来施設に必要であった、触媒層に還元剤を添加するための施設を、追加的に設ける必要がない。従って、この点でも施設の簡略化や小型化が進められ、設備の建設費用や還元剤の購入・添加に係る費用など削減することが可能となる。
なお、本発明による上記の排水処理方法及び装置は、半導体洗浄工程排水の全量を、CMP工程排水に混合せねばならないというものではない。混合量は、それぞれ一部であってもよい。特に、既存の排水処理施設を改造して本発明を適用する場合などでは、CMP工程排水に混入する半導体洗浄工程排水の量を、その一部のみに抑えねばならない場合もある。本発明は、かかる実施形態をその範囲に含んでいる。このような実施形態においても、半導体洗浄工程排水に含まれる過酸化水素を触媒劣化抑制用の還元剤として利用することができるので、触媒劣化抑制用の還元剤を別途購入して添加する必要性は激減し、コスト削減に寄与することができる。
さらに、上記の排水処理方法及び装置は、汚泥削減効果も期待できる。上記の排水処理方法及び装置においては、過硫酸塩の還元処理のために、塩化第一鉄などの還元剤を添加する必要がないので、これらの還元剤を使用する従来方法では避けることのできなかった、還元剤起因による多量の汚泥の発生が起こらない。従って上記の排水処理方法によれば、汚泥量の大幅な削減も期待できる。
CMP工程排水を触媒に接触させる前に、排水中に含まれる懸濁物質を除去するのは、懸濁物質が触媒表面に蓄積して触媒効果が減少することを防止するためである。特にCMP工程排水には、CMP工程に起因する多量のスラリーが含まれているため、これらを予め除去することが好ましい。実施態様によっては、半導体洗浄工程排水についても懸濁物質工程を設けたり、CMP工程排水と半導体洗浄工程排水とを混合した後に、懸濁物質の除去を行うようにしてもよい。懸濁物質の除去方法としては、加圧浮上、膜分離、凝集処理などが挙げられるが、適用範囲の広さを考慮すると加圧浮上若しくは凝集処理が望ましく、さらに望ましくは凝集処理であることが望ましい。
また、半導体洗浄工程排水をCMP工程排水に混入する前に、半導体洗浄工程排水のpHを調節することとしてもよい。
上記の触媒としては、活性炭や還元剤を担持させた白金などを用いることができるが、コストなどを勘案すれば、主に活性炭を用いることが好ましい。
過硫酸塩や過酸化水素は、活性炭など触媒との接触によりそれら還元分解されるが、その接触方法としては、ケモスタット型反応槽や回分式反応槽などの完全混合型反応器の他、活性炭を充填した反応槽に処理対象液を通水する方法などが使用できる。この中でも、単位体積あたりの触媒量を多く取ることができることから、活性炭反応槽は、充填槽とすることが望ましい。
活性炭の形状としては粉体状、粒状、球状、ペレット状、繊維状(繊維上に触媒を担持させたもの)を使用できるが、触媒充填型反応槽を用いる場合には分離性を重視して粉砕炭、成型炭、繊維状活性炭等を使用することが好ましく、完全混合型反応槽を用いる場合には反応速度の早い粉体状もしくは繊維状触媒等を使用することが望ましい。
懸濁物質除去設備として凝集処理若しくは浮上分離設備を用いた場合、微量の懸濁物質が触媒充填槽に流入する場合がある。従って、接触方式として触媒充填型反応槽を採用した場合、微量懸濁物質による閉塞防止のため、上向流を採用して通水LVを10m/hr以上、さらに望ましくは15m/hr以上とし、活性炭を流動状態とすることが望ましい。さらに望ましくは、流動槽とする場合、2段以上の多段式にすることが望ましい。また、この時の活性炭の種類は、通水時の差圧が立ち難く、高LV下でも磨耗に強い成型炭を使用することが望ましい。さらに、充填槽内の線流速を高く維持するために、処理水を再度原水と共に充填層を循環させる処理水循環を設けることも望ましい結果をもたらす。このような通水条件は、懸濁物質による閉塞のみならず、過酸化水素及び過硫酸塩分解時に発生する気体が活性炭表面に蓄積することによる反応比表面積の低下を防止する効果もある。
過硫酸塩の処理対象濃度は、処理水質が保たれる程度の濃度であればよく、過硫酸塩(過硫酸ナトリウムとして)20000mg/L以下、過酸化水素50000mg/L以下であれば容易に達成される。ただし、過酸化水素が高濃度の場合は大量の気泡が発生するので、エアリフト対策として、触媒を反応塔内において上下方向に複数層に分割して配置するとともに、少なくとも最下方の触媒層で発生した酸素ガスをそれより上方の触媒層に接触させることなく反応塔外に排出するガス抜き管が反応塔内に設置されていることが望ましい。処理水質から初期濃度を制限するならば、処理水質が後段の生物処理に悪影響を及ぼさない濃度まで分解できる濃度であれば良く、望ましくは過酸化水素100mg/L以下、過硫酸塩(過硫酸ナトリウムとして)10mg/L以下となるように初期流入濃度を制限することが望ましい。共存する過酸化水素のモル量は、処理対象の過硫酸塩のモル量の1/2以上、さらに望ましくはモル等量以上であることが望ましい。
処理対象水が触媒と接触する際の望ましいpHを調べるため、pHコントローラーで処理対象水のpHを測定しながら、水酸化ナトリウムを加えて処理対象水のpHを10に保ち、活性炭と接触させたときの様子を実験によって調査した。すると、活性炭が損傷し、処理対象水に多くの微粉炭が発生した。このことから、触媒を活性炭とする場合、活性炭の損傷を防止するために、処理対象水が活性炭と接触するときのpHを、10より低く抑えることが好ましいと言える。
本発明は、CMP工程及び洗浄工程を有する半導体製造工場の排水処理に好適に適用されうるが、本発明の適用分野は、半導体製造工場の排水処理に限定されるものではなく、過硫酸塩含有排水と過酸化水素含有排水を浄化処理せねばならない施設に広く適用可能なものである。このことを考慮すれば、本発明は、過硫酸塩含有排水と、過酸化水素含有排水とを排出する施設のための排水処理方法であって、前記過硫酸塩含有排水と前記過酸化水素含有排水とを混合し、該混合排水を触媒に接触せしめることにより、該混合排水に含まれる過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を同時に進行させることを特徴とする、排水処理方法を含む。また本発明は、過硫酸塩含有排水と、過酸化水素含有排水とを排出する施設のための排水処理装置であって、前記過硫酸塩含有排水と前記過酸化水素含有排水とを混合し、該混合排水を触媒に接触せしめることにより、該混合排水に含まれる過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を同時に進行させるように構成される、排水処理装置を含む。これらの方法及び装置においても、上記に説明した効果の1つ以上を得ることができる。
本願発明の他の具体的態様は、出願当初の明細書に添付された特許請求の範囲に例示されている。また本願発明は、出願当初の本願明細書及び本願特許請求の範囲に記載された特徴の如何なる組み合わせをも、その範囲に包含しうる。
本発明の好適な実施形態の例は、半導体製造工場から排出される排水を浄化処理する方法であって、前記方法は、CMP工程から排出される排水に含まれる過硫酸塩と、半導体洗浄工程から排出される排水に含まれる過酸化水素を同時に処理することを特徴とし、さらに前記方法は、前記CMP工程から排出される排水から該排水中に含まれる懸濁物質を除去すると共に、該懸濁物質が除去された前記CMP工程排水と、前記半導体洗浄工程から排出される排水とを混合し、さらに該混合排水を触媒に接触せしめることにより、該混合排水中に存在する過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を同時に進行させることを特徴とする。
また本発明の好適な実施形態の別の例は、半導体製造工場から排出される排水を浄化処理する排水処理装置であって、前記装置は、CMP工程から排出される排水に含まれる過硫酸塩の還元分解と、半導体洗浄工程から排出される排水に含まれる過酸化水素の還元分解とを、一つの槽の中で同時に進行させる還元槽を有することを特徴とし、さらに前記装置が、前記CMP工程から排出される排水から該排水中に含まれる懸濁物質を除去する懸濁物質除去装置と、前記懸濁物質が除去された前記CMP工程排水を前記懸濁物質除去装置から前記還元槽へ導く第一の通水路と、前記半導体洗浄工程から排出される排水を前記懸濁物質が除去された前記CMP工程排水と混合すべく前記第一の通水路の途中又は前記還元槽へと導く第二の通水路とを備え、前記還元槽には、過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を促進する触媒を備えることにより、該還元槽に通水せしめられた混合排水中に存在する過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を同時に進行させることを特徴とする。
また本発明の好適な実施形態の別の例は、過硫酸塩含有排水と、過酸化水素含有排水とを排出する施設のための排水処理装置であって、前記装置は、前記過硫酸塩含有排水に含まれる過硫酸塩の還元分解と、前記過酸化水素含有排水に含まれる過酸化水素の還元分解とを、一つの槽の中で同時に進行させる還元槽を有することを特徴とし、さらに前記装置は、前記過硫酸塩含有排水を前記還元槽へ導く第一の通水路と、前記過酸化水素含有排水を前記過硫酸塩含有排水と混合すべく前記第一の通水路の途中又は前記還元槽へと導く第二の通水路とを備え、前記還元槽に、過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を促進する触媒を、前記混合せしめられた排水が接触するように配設することにより、該混合排水中に存在する過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を同時に進行させることを特徴とする。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。図1は、本発明の好適な実施形態における、半導体製造工場の排水処理装置の構成と動作の概略を模式的に説明するための図である。半導体製造工場100における、CMP装置102から排出される排水と、半導体洗浄装置104から排出される排水とは、図1に描かれるように、それぞれ別系統の排水として排出され、それぞれ別個の配管を通って排水処理装置110へと送られる。
CMP装置102から排出される排水には、化学研磨に用いられた過硫酸塩が含まれると共に、研磨に伴って発生するスラリーなどの多量の懸濁物質が含まれている。そこで排水処理装置110は、CMP排水をまず凝集槽112へと導き、凝集剤113を添加して懸濁物質を凝集させ、ついで沈殿槽114と送って凝集物を沈殿させることにより、排水中の懸濁物質を除去する。ついで排水処理装置110は、懸濁物質を除去したCMP排水を、配管115によって触媒充填槽116へと導く。
半導体洗浄装置104から排出される排水には、洗浄に用いられた過酸化水素が含まれている。排水処理装置110は、半導体洗浄排水を、まず原水槽118へと導き、水質の経時変化を調整する。ついで排水処理装置110は、排水をpH調整槽120へと送り、排水のpHが所定の範囲に入るようにpHの調節を行う。さらに排水処理装置110は、合流配管124を介して配管115に合流する配管122によって、pH調節後の洗浄排水を懸濁物質を除去したCMP排水に混合する。混合排水は、配管115によって触媒充填槽116へと導かれる。
触媒充填槽116は、CMP排水に含まれる過硫酸や洗浄排水に含まれる過酸化水素を、触媒に接触せしめることにより、還元分解する槽である。触媒としては、コストなどを勘案して、活性炭が用いられている。単位体積あたりの触媒量を多く取ることができることから、触媒充填槽116は、活性炭を充填した反応槽に処理対象液を通水する、充填槽として構成されている。さらに触媒充填槽116は、微量懸濁物質による触媒閉塞を防止するため、上向流を採用すると共に通水LVを15m/hr以上とし、活性炭を流動状態とするように構成されている。触媒充填槽116が流動式の槽であるため、使用する活性炭は、通水時の差圧が立ち難く、高LV下でも磨耗に強い、成型炭を使用している。
CMP排水に含まれる過硫酸が、活性炭に接触せしめられることにより還元反応によって分解することは良く知られているが、その分解機構は必ずしも明らかとはなっていない。活性炭と過硫酸の反応においては、バイアルにブチル栓及びアルミシールをした密閉条件下で、過硫酸溶液と粒状活性炭を接触させた時、ヘッドスペースの気相部分を熱伝導度検出器によるガスクロマトグラフで分析したところ、二酸化炭素の生成が確認された。従って、触媒充填槽116における反応としては、以下の2式で表される還元反応のどちらか、もしくは2式同時に進行している可能性が考えられる。

2Na2S2O8+2H2O → 2Na2SO4+2H2SO4+O2
2Na2S2O8+2H2O+C → 2Na2SO4+2H2SO4+CO2

一方、半導体洗浄排水に含まれる過酸化水素は、触媒充填槽116において活性炭に接触せしめられることにより、以下の式で表される還元反応により分解される。

2H2O2 → 2H2O+O2

さらに、過硫酸と過酸化水素が共存することで、反応速度は遅いが、以下の式で表される還元反応も進行する。この反応は触媒の存在下で促進される可能性が考えられる。

Na2S2O8+H2O2 → Na2SO4+H2SO4+O2

このように、排水処理装置110は、還元反応の機構は明らかとなっていないものの、CMP排水に含まれる過硫酸の還元分解と、半導体洗浄排水に含まれる過酸化水素の還元分解を、一つの槽で行うことができるため、従来のように、CMP排水と洗浄排水とに対して別個に還元処理設備を設ける必要がなく、大幅なコストの削減が可能である。
通常、活性炭を触媒として過硫酸の還元分解を行うと、過硫酸の分解は迅速に行うことができるものの、活性炭の劣化が激しく、性能を保つためには活性炭の交換を頻繁に行わねばならない。しかし触媒充填槽116では、過硫酸と共に過酸化水素が共存しているため、過酸化水素が過硫酸に対して還元剤として作用し、活性炭の劣化が著しく抑制されている(上記特許文献1参照)。このように排水処理装置110は、過硫酸を還元するための触媒の劣化を抑制するための還元剤として、半導体洗浄排水に含まれる過酸化水素を用いることができるため、触媒劣化抑制用の還元剤を添加する設備を別途設ける必要がなく、従来技術に比べて設備の構成が簡略化・効率化されている。さらに排水処理装置110は、塩化第一鉄などの還元剤を用いた過硫酸除去を行っている排水処理装置に比して、これら還元剤起源の汚泥の発生がないという利点もある。
最後に排水処理装置110は、過硫酸及び過酸化水素の分解除去が完了した混合排水を、pH調整・生物処理部126へと送り、さらなる浄化処理を加えた後に環境へと放出する。
排水処理装置110は、半導体洗浄排水の全量をCMP排水に混合していたが、これは必ずしも全量である必要はなく、一部のみでもよい。図2にそのような実施形態の例を図示した。図2に関し、図1と同じ構成要素については同じ符号が付し、説明を省略する。図2に係る本発明の実施例である排水処理装置210は、pH調整槽120でpH調整を受けた半導体洗浄排水の一部が、専用の触媒充填槽216へと送られるところが、排水処理装置110と異なっている。触媒充填槽216に用いる触媒は、活性炭もしくは活性炭のマンガン担持触媒、白金担持触媒などの還元触媒を用いることができる。
図2に描くような実施形態は、既存の排水処理装置を改造して本発明を利用する場合に必要になる場合がある。また、過硫酸含有排水に比して、過酸化水素含有排水の量が著しく多い場合にも有用であろう。
以上、本発明の好適な実施形態を、実施例や試験例を用いて説明したが、これらの実施例や説明は本発明を限定する意図で呈示されたものではなく、本発明の理解を助けるためになされたものである。本発明が、その範囲を逸脱することなく、様々な実施形態を取りうることは、当業者には明らかである。
本発明の好適な実施形態における半導体製造工場の排水処理装置の様子を模式的に描いた図である。 本発明の別の実施形態を模式的に描いた図である。
符号の説明
100 半導体製造工場
102 CMP装置
104 半導体洗浄装置
112 凝集槽
113 凝集剤
114 沈殿槽
115 配管
116 触媒充填槽
118 原水槽
120 pH調整槽
122 配管
124 合流配管
126 pH調整・生物処理部

Claims (19)

  1. 半導体製造工場から排出される排水を浄化処理する方法であって、前記方法は、CMP工程から排出される排水に含まれる過硫酸塩と、半導体洗浄工程から排出される排水に含まれる過酸化水素を処理することを特徴とし、さらに前記方法は、前記CMP工程から排出される排水から該排水中に含まれる懸濁物質を除去する工程と、該懸濁物質が除去された前記CMP工程排水と、前記半導体洗浄工程から排出される排水とを混合する工程と、該混合排水を触媒に接触せしめる工程を有することを特徴とする、排水処理方法。
  2. 前記触媒は活性炭を含む、請求項1に記載の排水処理方法。
  3. 前記触媒が充填された充填槽に前記混合排水を上向流にて通水することにより、前記混合排水を前記触媒に接触せしめる、請求項1又は2に記載の排水処理方法。
  4. 半導体製造工場から排出される排水を浄化処理する方法であって、前記方法は、CMP工程から排出される排水に含まれる過硫酸塩と、半導体洗浄工程から排出される排水に含まれる過酸化水素を処理することを特徴とし、さらに前記方法は、前記CMP工程から排出される排水から該排水中に含まれる懸濁物質を、凝集沈殿法又は浮上分離法又は膜分離法を用いて除去する工程と、前記半導体洗浄工程から排出される排水に対して、そのpHが所定の範囲に入るようにpHの調節を行う工程と、前記懸濁物質が除去された前記CMP工程排水と、pH調節後の前記半導体洗浄工程排水とを混合する工程と、該混合排水を触媒が充填された触媒充填層に上向流にて通水して該混合排水を該触媒に接触せしめる工程を有することを特徴とする、排水処理方法。
  5. 半導体製造工場から排出される排水を浄化処理する排水処理装置であって、前記装置は、過硫酸塩及び過酸化水素の反応を促進する触媒を備えた還元槽を有することを特徴とし、さらに前記装置が、前記CMP工程から排出される排水から該排水中に含まれる懸濁物質を除去する懸濁物質除去装置と、前記懸濁物質が除去された前記CMP工程排水を前記懸濁物質除去装置から前記還元槽へ導く第一の通水路と、前記半導体洗浄工程から排出される排水を前記懸濁物質が除去された前記CMP工程排水と混合すべく前記第一の通水路の途中又は前記還元槽へと導く第二の通水路とを備えることを特徴とする、排水処理装置。
  6. 前記触媒は活性炭を含む、請求項6に記載の排水処理装置。
  7. 前記懸濁物質除去装置は、凝集沈殿装置・浮上分離装置・膜分離装置のいずれかを含む、請求項5又は6に記載の排水処理装置。
  8. 前記半導体洗浄工程排水を前記CMP工程排水に混入する前に、該半導体洗浄工程排水のpHを調節するpH調節装置をさらに備える、請求項5から7のいずれかに記載の排水処理装置。
  9. 前記還元槽は、前記触媒が充填された充填槽型の槽であることを特徴とし、さらに前記還元槽は、上向流式の通水方式を採用する槽であることを特徴とする、請求項5から8のいずれかに記載の排水処理装置。
  10. 過硫酸塩含有排水と、過酸化水素含有排水とを排出する施設のための排水処理装置であって、前記装置は、過硫酸塩及び過酸化水素の反応を促進する触媒を備えた還元槽を有することを特徴とし、
    さらに前記装置は、前記過硫酸塩含有排水を前記還元槽へ導く第一の通水路と、前記過酸化水素含有排水を前記過硫酸塩含有排水と混合すべく前記第一の通水路の途中又は前記還元槽へと導く第二の通水路とを備え、
    前記還元槽に、過硫酸塩及び過酸化水素の反応を促進する触媒が、前記混合せしめられた排水が接触するように配設されていることを特徴とする、排水処理装置。
  11. 前記過硫酸塩含有排水に含まれる懸濁物質を除去する第一の懸濁物質除去装置を前記施設と前記還元槽との間に設け、又は/及び、前記過酸化水素含有排水に含まれる懸濁物質を除去する第二の懸濁物質除去装置を、前記過酸化水素含有排水を前記過硫酸塩含有排水と混合させる前に設ける、請求項10に記載の排水処理装置。
  12. 前記第二の通水路が前記第一の通水路の途中で該第一の通水路に合流するように構成されると共に、前記混合排水を前記還元槽へ流入させる前に、該混合排水中の懸濁物質を除去する第三の懸濁物質除去装置を備える、請求項10に記載の排水処理装置。
  13. 前記過酸化水素含有排水の水質経時変化を調節する手段と、該過酸化水素含有排水のpHを調節する手段とをさらに備え、該水質経時変化調節手段及び該pH調節手段による処理を経てから、前記過酸化水素含有排水を前記過硫酸塩含有排水に混入するように構成される、請求項10から12のいずれかに記載の排水処理装置。
  14. 前記還元槽は、前記触媒が充填された充填槽型の槽であることを特徴とし、さらに前記還元槽は、上向流式の通水方式を採用する槽であることを特徴とする、請求項10から13のいずれかに記載の排水処理装置。
  15. 過硫酸塩含有排水と、過酸化水素含有排水とを排出する施設のための排水処理方法であって、前記過硫酸塩含有排水と前記過酸化水素含有排水とを混合し、該混合排水を触媒に接触せしめることを特徴とする、排水処理方法。
  16. 前記過硫酸塩含有排水と前記過酸化水素含有排水とを混合する前に、前記過硫酸塩含有排水又は/及び前記過酸化水素含有排水に含まれる懸濁物質を除去する工程を有する、請求項15に記載の排水処理方法。
  17. 前記混合排水を前記触媒に接触せしめる前に、前記混合排水に含まれる懸濁物質を除去する工程を有する、請求項15に記載の排水処理方法。
  18. 前記混合排水を、前記触媒が充填された充填槽に上向流で通水することにより、前記混合排水を前記触媒に接触せしめる、請求項15から17のいずれかに記載の排水処理方法。
  19. 過硫酸塩含有排水と、過酸化水素含有排水とを排出する施設のための排水処理装置であって、前記過硫酸塩含有排水と前記過酸化水素含有排水とを混合し、該混合排水を触媒に接触せしめることにより、該混合排水に含まれる過硫酸塩及び過酸化水素の還元分解を同時に進行させるように構成される、排水処理装置。
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