そこで、本発明の課題は、活性炭の吸着能力を向上させることができると共に、活性炭を人為的に再生する必要がなく、かつ、浄化能力に優れる水処理方法および水処理装置を提供することにある。また、本発明は、特に、本願によって開示される強力な微生物再生を使用することによって、活性炭の再生と有機物の活性炭への吸着とを同時に強化にすることができて、処理水の水質の向上と安定化を実現することができる水処理方法および水処理装置を提供することにある。また、本発明は、特に、被処理水の水質が頻繁に変動するような場合でも、処理後の水の水質を略一定にすることができる水処理方法および水処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の水処理方法は、
被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を、生物処理、化学処理および物理処理のうちの少なくとも一つを行う前処理装置を通過させて、
上記前処理装置を通過したマイクロナノバブル含有被処理水を、微生物が繁殖する活性炭を充填した活性炭吸着塔に流入させて、
上記活性炭に繁殖した上記微生物を上記マイクロナノバブルによって活性化して、
上記活性炭に吸着された有機物を、上記活性化した微生物によって分解して、上記活性炭を再生し、
上記前処理装置を通過したマイクロナノバブル含有被処理水を、マイクロナノバブル発生機が設置された第1ピットと、濾過機とを通過させた後、上記活性炭吸着塔に導入することを特徴としている。
通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅するバブルであり、マイクロバブルは、直径が10〜数十μmの気泡径を有する気泡で、水中で収縮していき、ついには消滅(完全溶解)してしまうバブルである。また、ナノバブルは、マイクロバブルよりさらに小さいバブル(直径が数百nm以下の直径を有する気泡)でいつまでも水の中に存在することが可能なバブルである。本明細書では、マイクロナノバブルを、上記説明のマイクロバブルと、上記説明のナノバブルとが混合したバブルとして定義する。
本発明によれば、被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を、活性炭吸着塔に導入する前に、上記前処理装置を通過させるようになっているので、上記前処理装置が存在しない場合と比較して、上記活性炭に繁殖している微生物を活性化させることができる。
また、本発明によれば、上記活性炭に吸着した上記マイクロナノバブル含有被処理水中の有機物を、上記マイクロナノバブルによって活性化した上記微生物によって分解するので、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができる。したがって、被処理水の浄化の能力を格段に向上させることができる。
また、本発明によれば、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して、上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができて、上記活性炭に吸着した上記有機物を略完全に分解することができるから、活性炭の表面に過剰に有機物が吸着することがなく、活性炭が自発的に再生する。したがって、人為的に活性炭を再生する必要がないから、ランニングコストを低減することができる。
また、一実施形態の水処理方法は、上記微生物によって分解される上記有機物の分解速度が、上記活性炭に吸着される上記有機物の吸着速度以上である。
上記分解速度を、微生物が分解する単位時間あたりの有機物分子の個数と定義し、上記吸着速度を、活性炭に吸着される単位時間あたりの有機物分子の個数と定義する。
上記実施形態によれば、活性炭の再生速度が、活性炭への有機物が活性炭へ吸着するときの吸着速度以上であるから、再生を吸着と同時進行させることができるか、あるいは、再生を吸着よりも速く行うことができる。したがって、活性炭の吸着能力を、常に、新品の活性炭の吸着能力と同程度にすることができる。したがって、年間を通じて処理後の水の処理水質を安定させることができる。
また、本発明によれば、活性炭吸着塔において、活性炭の有機物の吸着効率を向上させることができる。
また、一実施形態の水処理方法は、上記被処理水が、有機フッ素化合物を含んでいる。
有機フッ素化合物の中には、化学的に安定なため、一旦環境に排出されると、環境中で分解することができず、いつまでも環境中に存在し続ける性質を有するものもある。
本発明の水処理方法は、マイクロナノバブルによって活性化した微生物で有機物の分解を行う様式であって浄化能力が高いので、分解しにくい上記有機フッ素化合物であっても分解処理を行うことができる。
また、本発明の水処理装置は、
生物処理、化学処理および物理処理のうちの少なくとも一つを行う前処理装置と、
内部に活性炭を充填した活性炭吸着塔と、
上記前処理装置の出口と、上記活性炭吸着塔の入口とを接続して、上記前処理装置を流出した液体を上記活性炭吸着塔に案内する第1案内機構と
を備え、
被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を、上記前処理装置を通過させた後、上記活性炭吸着塔に流入させて、上記活性炭に吸着された有機物を、上記活性炭に繁殖していると共に、上記マイクロナノバブルによって活性化された微生物によって分解し、
上記被処理水が流入するマイクロナノバブル発生槽と、
上記マイクロナノバブル発生槽に設置された第1マイクロナノバブル発生機と、
上記前処理装置を通過したマイクロナノバブル含有被処理水を収容する第1ピットと、
上記第1ピットに設置された少なくとも一つの第2マイクロナノバブル発生機と、
上記第1ピットを通過したマイクロナノバブル含有被処理水を濾過する濾過機と、
マイクロナノバブル発生助剤が貯留されたマイクロナノバブル発生助剤タンクと、
上記活性炭吸着塔から流出した水を収容する第2ピットと、
上記第2ピットに収容されている上記水の水質を検出する水質検出装置と
を備えることを特徴としている。
本発明によれば、被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を、活性炭吸着塔に導入する前に、上記前処理装置を通過させるようになっているので、上記前処理装置が存在しない場合と比較して、上記活性炭に繁殖している微生物を活性化させることができる。
また、本発明によれば、上記活性炭に吸着した上記マイクロナノバブル含有被処理水中の有機物を、上記マイクロナノバブルによって活性化した上記微生物によって分解するので、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができる。したがって、被処理水の浄化の能力を格段に向上させることができる。
また、本発明によれば、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して、上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができて、上記活性炭に吸着した上記有機物を略完全に分解することができるから、活性炭の表面に過剰に有機物が吸着することがなく、活性炭が自発的に再生する。したがって、人為的に活性炭を再生する必要がないから、ランニングコストを低減することができる。
また、本発明によれば、マイクロナノバブルを2段階で発生させることができるから、マイクロナノバブル効率的に発生させることができる。また、前処理装置を、マイクロナノバブル発生槽と、第1ピットとの間に接続すれば、1段階目のマイクロナノバブルを、処理装置の機能に活用でき、また、2段階目のマイクロナノバブルを、活性炭吸着塔の活性炭の再生に活用できるから、水処理の処理能力を格段に向上させることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、
上記被処理水を貯水する原水槽と、
上記原水槽に貯水されている上記被処理水を上記マイクロナノバブル発生槽に案内する第2案内機構と
を備える。
上記実施形態によれば、流水を一時的に原水槽に貯水することができて、処理量や、処理水準に基づいて、必要な量の被処理水を、マイクロナノバブル発生槽に導入することができる。
また、一実施形態の水処理装置は、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクと上記第1ピットとの間を連通して、上記マイクロナノバブル発生助剤タンク内の上記マイクロナノバブル発生助剤を上記第1ピットに案内する第1水通路と、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクと上記マイクロナノバブル発生槽との間を連通して、上記マイクロナノバブル発生助剤タンク内の上記マイクロナノバブル発生助剤を上記マイクロナノバブル発生槽に案内する第2水通路と
を備える。
上記実施形態によれば、マイクロナノバブル発生槽と、第1ピットとで発生するマイクロナノバブルの量および質を、向上させることができて、所定の量および質にすることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクから上記第1ピットに導入される上記マイクロナノバブル発生助剤の流量を制御する第1制御装置と、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクから上記マイクロナノバブル発生槽に導入される上記マイクロナノバブル発生助剤の流量を制御する第2制御装置と
を備え、
上記第1制御装置および第2制御装置の夫々は、上記水質検出装置からの信号に基づいて上記マイクロナノバブル発生助剤の流量を制御するようになっている。
上記実施形態によれば、上記第1制御装置および第2制御装置の夫々は、上記水質検出装置からの信号に基づいて上記マイクロナノバブル発生助剤の流量を制御するから、マイクロナノバブル発生助剤タンクおよび第1ピットに、適切な量および質のマイクロナノバブルを発生させることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、
上記第1マイクロナノバブル発生機および上記第2マイクロナノバブル発生機の夫々は、上記マイクロナノバブルの発生量を調整する調整部を有し、
上記水質検出装置からの信号に基づいて上記第1マイクロナノバブル発生機および上記第2マイクロナノバブル発生機の上記調整部を調整することによって、上記マイクロナノバブル発生槽中の上記マイクロナノバブルの発生量および上記第1ピット中の上記マイクロナノバブルの発生量を制御する調整部制御器を備える。
上記実施形態によれば、マイクロナノバブル発生助剤タンクおよび第1ピットに、適切な量および質のマイクロナノバブルを発生させることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、
上記第1ピットよりも上方に位置していると共に、水が通過できる底部を有し、かつ、内部に活性炭が充填されている活性炭層水槽と、
上記濾過機と上記活性炭吸着塔とを連通して、上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水を上記活性炭吸着塔に案内する第3水通路と、
上記濾過機と上記活性炭層水槽とを連通して、上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水を上記活性炭層水槽に案内する第4水通路と、
上記活性炭吸着塔に流入する上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御すると共に、上記活性炭層水槽に流入する上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御する第3制御装置と
を備え、
上記底部を通過した上記活性炭層水槽通過後の水は、上記第1ピットに流入するようになっている。
上記実施形態によれば、濾過機で濾過された後の水の少なくとも一部を、活性炭層水槽を介して第1ピットに再度導入することができる。すなわち、被処理水を、第1ピット、濾過機、活性炭層水槽の間で、循環処理することができるので、有機物負荷を低減できる。また、マイクロナノバブル含有被処理水を、活性炭層水槽に導入するようにすれば、活性炭層水槽の活性炭に繁殖している微生物を活性化することができて、この活性炭層水槽の活性炭に吸着した有機物を効率的に分解処理することができる。したがって、被処理水の浄化能力を向上させることができるから、処理前の被処理水の有機物負荷が高い場合であっても、処理後の水の水質が劣化することを防止でき、かつ、活性炭層水槽の活性炭の人為的な再生を行う必要がない。
また、一実施形態の水処理装置は、上記第1ピット内に網袋を配置し、上記網袋には、活性炭が収納されている。
上記実施形態によれば、上記第1ピット内に網袋を配置し、上記網袋には、活性炭が収納されているので、有機物負荷を低減できる。また、マイクロナノバブルで網袋内の活性炭に繁殖している微生物を活性化することができて、この網袋内の活性炭に吸着した有機物を効率的に分解処理することができる。したがって、被処理水の浄化能力を向上させることができるから、処理前の被処理水の有機物負荷が高い場合であっても、処理後の水の水質が劣化することを防止でき、かつ、網袋内の活性炭の人為的な再生を行う必要がない。
また、一実施形態の水処理装置は、上記活性炭吸着塔内に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されている。
上記実施形態によれば、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している微生物で有機物を分解することができるので、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物が存在していない場合と比較して、活性炭吸着塔内の被処理水の有機物負荷を低減することができる。したがって、浄化能力を向上させることができる。
また、特に、活性炭吸着塔内において、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物を、活性炭よりも被処理水の上流側に配置した場合、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖した微生物で前処理した後に、活性炭と被処理水とが接触することになるので、活性炭への有機物負荷が減少し、水質を格段に向上させることができる。更に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物で繁殖した微生物を、マイクロナノバブル含有被処理水の流れに沿って活性炭に移動させることができるから、活性炭の自動再生能力(自発的な再生能力)を、向上させることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、上記活性炭吸着塔内に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されている。
上記実施形態によれば、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している微生物で有機物を分解することができるので、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物が存在していない場合と比較して、活性炭吸着塔内の被処理水の有機物負荷を低減することができる。したがって、浄化能力を向上させることができる。
また、特に、活性炭吸着塔内において、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物を、活性炭よりも被処理水の上流側に配置した場合、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖した微生物で前処理した後に、活性炭と被処理水とが接触することになるので、活性炭への有機物負荷が減少し、水質を格段に向上させることができる。更に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物で繁殖していると共に、マイクロナノバブルで活性化した微生物を、マイクロナノバブル含有被処理水の流れに沿って活性炭に移動させることができるから、活性炭の自動再生能力(自発的な再生能力)を、向上させることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、
複数の上記第2マイクロナノバブル発生機と、
稼働する上記第2マイクロナノバブル発生機の数を上記水質検出装置からの信号に基づいて制御する運転台数制御器と
を備える。
上記実施形態によれば、活性炭吸着塔通過後の水の水質に基づいて稼働するマイクロナノバブル発生機の数を制御することができるので、被処理水の水質が頻繁に変動するような場合でも、活性炭吸着塔通過後の水の水質を一定に近づけることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、上記前処理装置が、一つの生物処理装置からなる。
上記実施形態によれば、被処理水中の有機物を、生物処理装置内に存在していると共に、マイクロナノバブルで活性化している微生物で分解処理することができる。そして残存する有機物を、さらに活性炭吸着塔の活性炭に繁殖していると共に、マイクロナノバブルで活性化した微生物で処理することができる。したがって、処理能力を格段に向上させることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、上記前処理装置が、一つの化学処理装置からなる。
本発明者は、被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を化学処理装置に導入すると、化学処理装置で行う化学処理、すなわち、化学反応の効率を向上させることができることを確認した。
上記実施形態によれば、マイクロナノバブル含有被処理水を化学処理装置に導入しているので、マイクロナノバブル含有被処理水に含まれる化学物質を、効果的に化学処理することができる。そして、その後、残存する有機物を活性炭吸着塔の活性炭で処理することができる。したがって、処理能力を格段に向上させることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、上記前処理装置が、一つの物理処理装置からなる。
本発明者は、被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を物理処理装置に導入すると、物理処理装置で行う物理処理の効率を向上させることができることを確認した。
上記実施形態によれば、マイクロナノバブル含有被処理水を物理処理装置に導入しているので、マイクロナノバブル含有被処理水に含まれる浮遊物質を、効果的に除去することができて、活性炭吸着塔内の活性炭が浮遊物質で閉塞されるのを抑制できる。したがって、活性炭吸着塔内の微生物の有機物分解能力を向上させることができる。
また、一実施形態の水処理装置は、上記マイクロナノバブル発生助剤が、上記微生物によって分解される界面活性剤または上記微生物によって分解されるアルコール類である。
上記実施形態によれば、上記マイクロナノバブル発生助剤が、上記微生物によって分解される界面活性剤または上記微生物によって分解されるアルコール類であるから、マイクロナノバブルの発生に寄与して役割が終わったマイクロナノバブル発生助剤を、上記活性炭吸着塔内等に存在する微生物で分解することができる。そして、処理後の水に残存するマイクロナノバブル発生助剤の量を殆どゼロにすることができる。
本発明の水処理方法および水処理装置によれば、被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を、活性炭吸着塔に導入する前に、前処理装置を通過させるようになっているので、前処理装置が存在しない場合と比較して、活性炭に繁殖している微生物の有機物分解能力を向上させることができる。
また、本発明の水処理方法および水処理装置によれば、上記活性炭に吸着した上記マイクロナノバブル含有被処理水中の有機物を、上記マイクロナノバブルによって活性化した上記微生物によって分解するので、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができる。したがって、被処理水の浄化の能力を格段に向上させることができる。
また、本発明の水処理方法および水処理装置によれば、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して、上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができて、上記活性炭に吸着した上記有機物を略完全に分解することができるから、活性炭の表面に過剰に有機物が吸着することがなく、活性炭が自発的に再生する。したがって、人為的に活性炭を再生する必要がないから、ランニングコストを低減することができる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の水処理装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
この水処理装置は、原水槽36と、マイクロナノバブル発生槽38と、第1ピット1と、急速濾過機11と、活性炭吸着塔12と、前処理装置の一例としての生物処理装置42と、マイクロナノバブル発生助剤タンク13と、第2ピット17とを備える。上記活性炭吸着塔12内には、活性炭が充填されている一方、マイクロナノバブル発生助剤タンク13内には、微生物分解性の良い界面活性剤や、微生物分解性の良いアルコール類等から成る微生物分解性の良いマイクロナノバブル発生助剤が貯留されている。また、マイクロナノバブル発生槽38には、第1マイクロナノバブル発生機としての第1水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41が設置されている一方、第1ピット1には、第2マイクロナノバブル発生機としての第2水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、第2マイクロナノバブル発生機としての第3水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、第2マイクロナノバブル発生機としての第4水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4が設置されている。尚、以下で言及されるマイクロナノバブル含有被処理水は、被処理水にマイクロナノバブルが含有させられたものである。
上記原水槽36には、処理するべき被処理水としての流入水が導入されるようになっている。原水槽36の被処理水は、原水槽ポンプ37によって、マイクロナノバブル発生槽38に移送されるようになっている。原水槽36とマイクロナノバブル発生槽38とをつなぐ配管70および原水槽ポンプ37は、第2案内機構を構成している。マイクロナノバブル発生槽38を出た被処理水は、生物処理装置42を経て第1ピット1に導入されるようになっている。第1ピット1のマイクロナノバブル含有被処理水は、第1ピットポンプ8によって汲み上げられて、その汲み上げられたマイクロナノバブル含有被処理水の少なくとも一部は、急速濾過機11に導入されるようになっている。また、急速濾過機11の出口から流出したマイクロバブル含有被処理水は、活性炭吸着塔12に導入されるようになっている。また、活性炭吸着塔12の出口から流出した活性炭吸着塔通過後の水の少なくとも一部は、第2ピット17に導入されるようになっている。尚、この実施形態では、急速濾過機11は、マイクロナノバブルと被処理水とを含むマイクロナノバブル含有被処理水を濾過したが、この発明では、濾過機は活性炭吸着塔の前段であれば何処に設置されていても良く、マイクロナノバブルを有さない処理水の濾過をおこなっても良い。
上記原水槽36には、処理するべき被処理水としての流入水が導入されるようになっている。ここで、流入水としては、排水、上水、工場での再利用水、河川水、または、地下水等がある。また、上記排水には、有機フッ素化合物を含む排水である有機フッ素化合物含有排水も含まれる。有機フッ素化合物の中には、化学的に安定なため、一旦環境に排出されると、環境中で分解することができず、いつまでも環境中に存在し続ける性質を有するものもある。本発明の装置および方法で処理できる排水には、いつまでも環境中に存在し続ける性質を有して現在世界的に問題となっているこのような有機フッ素化合物を含む排水が含まれる。
上述のように、上記原水槽36には、原水槽ポンプ37が設置されており、原水槽36の被処理水をマイクロナノバブル発生槽38に移送している。また、上記マイクロナノバブル発生槽38には、第1水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41が設置されている。第4水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41は、マイクロナノバブルを発生させるために空気を必要とする。マイクロナノバブルを発生させるための空気は、ブロワー39から空気配管40を経て第1水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41に導入されるようになっている。
また、上記マイクロナノバブル発生助剤タンク13には、マイクロナノバブル発生助剤が貯留されている。上記マイクロナノバブル発生助剤は、マイクロナノバブル発生助剤タンク13から第1ピット1およびマイクロナノバブル発生槽38に必要量添加されるようになっている。
第1マイクロナノバブル発生助剤タンク定量ポンプ14は、マイクロナノバブル発生助剤タンク13から第1ピット1に添加されるマイクロナノバブル発生助剤の量を調整する役割を果たしている。また、第2マイクロナノバブル発生助剤タンクポンプ45は、マイクロナノバブル発生助剤タンク13からマイクロナノバブル発生槽38に添加されるマイクロナノバブル発生助剤の量を調整する役割を果たしている。第1マイクロナノバブル発生助剤タンク定量ポンプ14は、第1制御装置を構成する一方、第2マイクロナノバブル発生助剤タンクポンプ45は、第2制御装置を構成している。
マイクロナノバブル発生助剤としては、上述のように、微生物分解しやすい界面活性剤、または、微生物分解しやすいアルコール類を使用する。微生物分解しやすい界面活性剤、または、微生物分解しやすいアルコール類は、マイクロナノバブルを発生させた後、微生物により分解されるから、処理水の水質に影響することがない。
上記第1水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41は、調整部としてのモーターを有している。上記第1水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41のモーターの回転数は、第2ピット2に設置してある水質検出装置の一例としてのUV検出器18での測定値によって制御されている。詳しくは、UV検出器18から出力された処理水の水質を表す信号は、UV調節計19を経て、調整部制御器としてのモーター回転数制御器20に送られるようになっている。また、モーター回転数制御器20は、UV調節計19からの上記信号に基づいて第1水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41の回転数を制御するようになっている。
尚、UV検出器18の測定値(出力信号)は、UV調節計19およびモーター回転数制御器20を経て、第1ピット1に設置してある第2水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2のモーター、第3水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3のモーター、および、第4水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4のモ−ターにも到達するようになっている。上記回転数制御器20は、UV調節計19から信号を受けると、第2水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2のモーター、第3水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3のモーター、および、第4水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4のモ−ターの回転数制御も行うようになっている。
上述のように、水質検出装置の一例としてのUV検出器(紫外吸光光度検出器)18(UVは、ウルトラバイオレット(紫外)の略)が、第2ピット17内に設置されている。UV検出器18は、活性炭吸着塔12の出口からの処理水の有機物濃度を測定することによって、活性炭吸着塔通過後の水の水質を測定するようになっている。具体的には、UV検出器18は、被処理水(排水や上水等)中の有機物濃度を、紫外吸光光度を利用して測定する自動測定器からなっている。尚、水質検出装置として、UV検出器のかわりに、COD(化学的酸素要求量)を検出するCOD計等のUV検出器以外の水質検出装置を使用しても良い。
上記マイクロナノバブル発生槽38を出た、被処理水は、生物処理装置42に導入されるようになっている。上記生物処理装置42は、例えば、活性汚泥装置、接触酸化装置、回転円盤装置、または、液中膜(ここで、液中膜とは、液中に存在する膜のことをいう)を利用した曝気装置等の装置からなるか、または、これらの装置のうちの少なくとも2つを直列等に接続した装置からなっている。上記生物処理装置42は、流入水の水質、基質、目的水質等によって、選定されるようになっている。上記生物処理装置42を流出した被処理水は、配管90を通じて第1ピッド1に導入されるようになっている。
尚、上記第1ピット1には、第2水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、第3水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、第4水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4が設置されているが、この発明では、第1ピット内に、第2マイクロナノバブル発生機としての水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機を、3つ以外の台数、すなわち、1つ、2つ、または、4つ以上設置しても良いことは言うまでもない。水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4は、マイクロナノバブルを発生させるのに空気を必要とする。そのため、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4には、ブロワー5と接続している空気配管6より空気が供給されるようになっている。
ここで、マイクロナノバブルを定義することにする。通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅するバブルであり、マイクロバブルは、直径が10〜数十μmの気泡径を有する気泡で、水中で収縮していき、ついには消滅(完全溶解)してしまうバブルである。また、ナノバブルは、マイクロバブルよりさらに小さいバブル(直径が数百nm以下の直径を有する気泡)でいつまでも水の中に存在することが可能なバブルである。本発明では、マイクロナノバブルを、上記説明のマイクロバブルと、上記説明のナノバブルとが混合したバブルとして定義する。
図1に34で示す運転台数制御器は、第2ピット17に設置されているUV検出器18の信号に基づいて、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41の運転台数を制御するようになっている。詳しくは、UV検出器18からの処理水の水質を表す信号は、UV調節計(紫外線調節計)19に送られるようになっており、UV調節計19は、UV検出器18から上記信号を受けると、上述のように、調整部制御器としてのモーター回転数制御器20に信号を送信すると共に、運転台数制御器34にも信号を送信するようになっている。
運転台数制御器34は、UV調節計19から信号を受けると、その信号を調整して水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41のうちで運転状態である水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の数を制御するようになっている。この実施形態では、第1ピット1内に水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機を3つ設置して、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の稼働台数を1から3まで調整できるようにして、第1ピット1内に、適切な量のマイクロナノバブルを発生させるようにしている。
一方、上述のように、モーター回転数制御器20は、UV調節計19から信号を受けると、その信号を調整して水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41の稼働状態におけるモーターのモーター回転数(回転速度)を制御するようになっている。各水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41において、モーターは、調整部を構成している。このような、運転台数制御器34およびモーター回転数制御器20の制御により、第2ピット17内の水の水質が、目的に合った水質となるようにしている。
マイクロナノバブル含有被処理水におけるマイクロナノバブルの含有率が高いと、活性炭に繁殖する微生物の活性化が促進されて、微生物が有機物をより分解して、処理後の水の水質が向上することが確かめられた。このことに鑑み、UV検出器19で測定した有機物濃度が高く、第2ピット17内の水質が目的水質より悪い場合は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41のモーター回転数を高く設定して、マイクロナノバブルを多量に発生するようにする。また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41の運転台数も最大数とする。このようにして、第2ピット17の水の浄化能力を高くする。
一方、水質が目的水質より良い場合は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41のモーター回転数を低く設定して、マイクロナノバブルの発生量を少量にする。また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41のうちで運転状態である水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の数を、設定によって適宜変更する。このようにして、第2ピット17の水質が元々良い場合は、水処理装置の運転コストを低減するようにして、水処理装置の省エネ運転を実現する。
水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41の具体的な制御方法としては、例えば、次に示すような方法がある。
先ず、第2ピット17の水質が、第2ピット17の水質が最も悪い状態か、または、それ以外の状態であるかの判断の基準となる第1基準水質より悪い場合には、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4を運転状態にし、かつ、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4の夫々のモーター回転数を最大にする。
また、第2ピット17の水質が通常であるか、または、第2ピット17の水質が良好であるかを判断する基準水質を第2基準水質とするとき、第2ピット17の水質が、第1基準水質より良くて第2基準水質より悪い場合には、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4を運転状態にし、かつ、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4の夫々のモーター回転数を定格回転数付近に設定する。
また、第2ピット17の水質が良好であるか、または、第2ピット17の水質が最良であるかを判断する基準水質を第3基準水質とするとき、第2ピット17の水質が、第2基準水質より良くて第3基準水質より悪い場合には、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3を運転状態にする一方、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4を停止状態にする。また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3の夫々のモーター回転数を、定格回転数付近に設定する。
また、第2ピット17の水質が、第3基準水質より良い場合には、中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2を運転状態にする一方、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4を停止状態にする。また、中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2の夫々のモーター回転数を最低にする。
もっと大雑把には、第2ピット17内の水の水質を検出しているUV検出器18の値が、目的水質の基準となる基準値よりも高くて、第2ピット17内の水の水質が基準水質よりも悪い場合には、第2ピット17の水の水質が所定以上の水質になるように、マイクロナノバブル発生槽38内の被処理水に、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41によって、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41の供給能力の最大限のマイクロナノバブルを供給する。また、それと同時に、第1ピット1内における被処理水に、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4によって、3台の水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4によって供給できる供給能力の最大限のマイクロナノバブルを供給する。
マイクロナノバブル含有被処理水は、第1ピットポンプ8によって、急速濾過機11に導入されるようになっている。ここで、第1ピットポンプ8によってくみ出されたマイクロナノバブル含有被処理水の全てを、必ずしも急速濾過機11に導入する必要はない。すなわち、第1ピットポンプ8によってくみ出されたマイクロナノバブル含有被処理水のうちの一部を、バルブ9およびバルブ10の調整によって、第1ピット1に返送循環しても良い。すなわち、処理水量を下げる場合において、第1ピットポンプ8によってくみ出されたマイクロナノバブル含有被処理水のうちの一部を、返送循環の配管ライン50を介して、第1ピット1に返送循環しても良い。
急速濾過機11は、被処理水中の浮遊物質を除去するようになっている。急速濾過機11は、活性炭吸着塔12内の活性炭が浮遊物質で閉塞されることを防止する役割を担っている。マイクロナノバブル含有被処理水は、急速濾過機11を通過した後、活性炭吸着塔12に導入されるようになっている。マイクロナノバブル含有被処理水中の有機物は、活性炭吸着塔12内で活性炭に吸着された後、活性炭に繁殖したマイクロナノバブルによって活性化した微生物によって分解されるようになっている。このような機構により、活性炭の表面の有機物が分解除去され、その結果、被処理水の浄化を行うと共に、活性炭が自動再生されるようになっている。尚、図1において、生物処理装置42と第1ピット1とをむすぶ配管90、第1ピット1、マイクロナノバブル含有被処理水を第1ピット1から急速濾過機11まで案内する配管65、第1ピットポンプ8、バルブ10、急速濾過機11、および、マイクロナノバブル含有被処理水を急速濾過機11から活性炭吸着塔12まで案内する配管66は、第1案内機構を構成している。尚、この発明では、仕様によって、第1案内機構を構成する装置および配管が適宜変化するのは勿論である。
この実施形態では、活性炭吸着塔12内に充填された活性炭は、常に吸着と再生を繰り返しているので、活性炭を活性炭吸着塔12から取り出して再生する必要がない。したがって、ランニングコストを低減できると同時に、予備の活性炭吸着塔12も必要ないので、イニシャルコストも低減できる。尚、バルブ9および10によって、微生物によって分解される有機物の分解速度が、活性炭に吸着する有機物の吸着速度以上になるように、活性炭吸着塔12に流入するマイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御すれば、活性炭の自発的な再生能力をさらに促進することができる。
上記活性炭吸着塔12の出口から流出した水の少なくとも一部は、バルブ16を介して第2ピット17内に流入するようになっている。尚、バルブ15とバルブ16の開閉の調整により、活性炭吸着塔12の出口から流出した水の一部を、バルブ15を介して第1ピット1に返送循環しても良い。
また、第1ピット1内での水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4によるマイクロナノバブルの発生状態が悪い場合は、マイクロナノバブルを適正に発生させるために、マイクロナノバブル発生助剤タンク13に貯留されているマイクロナノバブル発生助剤を、第1制御装置としてのマイクロナノバブル発生助剤タンク定量ポンプ14の調整によって、第1ピット1内に添加することができる。第1ピット1内にマイクロナノバブル発生助剤を添加すると、マイクロナノバブル発生助剤が無添加の場合と比較して、格段に小さい超微細なマイクロナノバブルを発生させることができる。また、マイクロナノバブル発生槽38内での水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機41によるマイクロナノバブルの発生状態が悪い場合は、マイクロナノバブルを適正に発生させるために、マイクロナノバブル発生助剤タンク13に貯留されているマイクロナノバブル発生助剤を、第2制御装置としてのマイクロナノバブル発生助剤タンク定量ポンプ45の調整によって、マイクロナノバブル発生槽38内に添加することができる。マイクロナノバブル発生槽38内にマイクロナノバブル発生助剤を添加すると、マイクロナノバブル発生助剤が無添加の場合と比較して、格段に小さい超微細なマイクロナノバブルを発生させることができる。
尚、マイクロナノバルブ発生助剤タンク13の出口から第1ビット1までマイクロナノバブル発生助剤を案内する配管60は、第1水通路を構成している。また、マイクロナノバルブ発生助剤タンク13の出口からマイクロナノバブル発生槽38までマイクロナノバブル発生助剤を案内する配管94は、第2水通路を構成している。
マイクロナノバブル発生助剤タンク13に貯留されているマイクロナノバブル発生助剤は、マイクロナノバブル発生助剤のなかでも微生物分解性に優れたものである。微生物分解性に優れるマイクロナノバブル発生助剤を使用しているから、マイクロナノバブル発生助剤自体が第2ピット17まで残存することはない。すなわち、マイクロナノバブル発生助剤は、マイクロナノバブルを発生させた後は、活性炭吸着塔12内に繁殖した微生物によって、完全に微生物分解されることになる。
水処理装置は、本実施形態のように自動運転仕様であっても良い。この場合、第2ピット17内の処理水の水質を検出しているUV検出器18からの信号に基づいて、マイクロナノバブル発生助剤タンク定量ポンプ14のモーターのモーター回転数が制御される。そして、適量のマイクロナノバブル発生助剤が第1ピット1に添加されることになる。すなわち、第2ピット17の水質が悪い場合は、自動的にマイクロナノバブル発生助剤が多く添加して、マイクロナノバブルを多く発生させて、活性炭吸着塔12の活性炭に繁殖した微生物を活性化させて、吸着した有機物を完全に分解するようにする。
第2ピット17の水質が、設定水質(放流規制値は確実に順守しなければならないから、上記設定水質とは、例えば、被処理水が排水である場合、放流規制値に基づく水質ではなく、放流規制値に基づく水質よりもきれいであり、かつ、自主管理値に基づく水質である)よりも悪い場合には、以下のA、B、Cの手続きを必要に応じて行うようになっている。そして、これらA、B、Cのうちの少なくとも1つの手続きにより、第2ピット17の水質を、設定水質と比較して悪い状態から良い状態に改善するようになっている。尚、A、B、Cの全てを実施すれば、浄化能力が最大になることは言うまでもない。
A.マイクロナノバブル発生助剤を第1ピット1およびマイクロナノバブル発生槽38に多く添加する。
B.水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41のモーター回転数を高い値に設定する。
C.3台の水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41を全て稼働させる。
尚、第1実施形態の水処理装置に上述の有機フッ素化合物含有排水が導入された場合、活性炭吸着塔12の活性炭が有機フッ素化合物を吸着し、その後、マイクロナノバブルによって活性化した微生物が活性炭に大量に繁殖して、有機フッ素化合物を分解処理することが確認された。ここで、例えば、有機フッ素化合物としては、界面活性剤がある。活性炭は、界面活性剤をよく吸着し、かつ、マイクロナノバブルによって活性化した微生物が、活性炭が物理的に吸着した有機フッ素化合物を強力に分解処理することが確認された。
また、本発明者は、被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を、生物処理、化学処理および物理処理のうちの少なくとも一つを行う前処理装置を導入すると、生物処理、化学処理および物理処理のうちの少なくとも一つからなる前処理の効率を格段に向上させることができることを確認した。
また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4,41は、市販されているものならば、如何なるメーカーのものであっても良い。本実施形態では、野村電子工業株式会社のものを採用したが、例えば、株式会社オーラテック等、野村電子工業株式会社以外の商品であっても良い。
上記第1実施形態の水処理装置において、原水槽36の容量を2m3、マイクロナノバブル発生槽38の容量を0.5m3、生物処理装置42の曝気槽の容量を8m3、第1ピット1の容量を約4m3、急速濾過機11の容量を0.5m3、活性炭吸着塔の容量を2m3、第2ピット17の容量を2m3、マイクロナノバブル発生助剤タンクの容量を0.5m3として、排水を導入して、約3ケ月間運転を行った。
運転後、原水槽36への入口TOC〔トータル オーガニック カーボン〕濃度と第2ピット17の出口のTOC〔トータル オーガニック カーボン〕の濃度を測定し、TOCの除去率を測定したところ、92%であった。
上記第1実施形態の水処理装置および水処理方法によれば、活性炭の再生を有機物の活性炭への吸着と同時に強力にできるので、活性炭吸着能力を格段に向上でき、活性炭吸着塔出口における水の水質を安定させることができる。
また、上記第1実施形態の水処理装置によれば、マイクロナノバブルで微生物を活性化して、活性炭に繁殖させているから、活性炭が吸着した有機物を活性化した微生物でほぼ完全に分解することができる。詳しくは、マイクロナノバブル含有被処理水を、活性炭吸着塔に導入しているから、マイクロナノバブルを使用しない場合と比較して、微生物を、格段に繁殖させることができると共に、微生物を活性化することができる。そして、活性炭が吸着した有機物をほとんど完全に分解することができる。
また、第1実施形態の水処理装置によれば、マイクロナノバブルの量を制御できる。したがって、マイクロナノバブルの量と比例関係にある活性炭処理能力(活性炭吸着量と活性化微生物の有機物分解量)を自在に制御することができる。また、最終処理水のUV値を測定して、水質を監視し、更に、この監視結果をフィードバックさせるように、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機のモーターの回転数制御と、動作している水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の台数の台数制御のうちの少なくとも一つを行うことができるから、水質を安定させることができる。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
第2実施形態の水処理装置は、第1ピット1の上部に、急速濾過機11の出口から流出した後、活性炭吸着塔12に流入しなかったマイクロナノバブル含有被処理水を収容する活性炭層水槽24を設けた点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。尚、急速濾過機11の出口から活性炭吸着塔12までマイクロナノバブル含有被処理水を案内する配管61は、第3水通路を構成し、急速濾過機11の出口から活性炭層水槽24までマイクロナノバブル含有被処理水を案内する配管62は、第4水通路を構成している。図2に示すように、配管61の一部63は、配管62の一部も兼ねている。
第2実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第2実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
上記活性炭層水槽24には、活性炭が充填されている。上記活性炭層水槽24に充填された活性炭は、活性炭層35を形成している。上記活性炭層水槽24の鉛直方向下方の底部25は、多孔板からなっている。また、底部25の上面には、合成樹脂製のネット(図示せず)が設置されていて、微細な活性炭が底部25への流出することを防止している。活性炭層35と底部25を通過して下方に滴下した水滴26は、第1ピット1に収容されるようになっている。
また、活性炭吸着塔12への通水量と、活性炭層水槽24への通水量は、第3制御装置を構成するバルブ21およびバルブ22で調整するようになっている。バルブ21およびバルブ22の開度の割合は、第2ピット17内の水の水質を見て決定するようになっている。
第2実施形態の水処理装置によれば、活性炭吸着塔12のみならず活性炭層水槽24でも、有機物をマイクロナノバブルで活性化した微生物で分解処理することができるので、有機物の分解能力を格段に向上させることができる。したがって、生物処理装置42からのマイクロナノバブル含有被処理水の有機物負荷量が高くて、活性炭吸着塔12内の活性炭量のみでは、有機物を十分に分解することができない場合でも、確実に有機物を分解することができる。
また、第2実施形態の水処理装置によれば、活性炭吸着塔12のみならず活性炭層水槽24にも活性炭が充填されていて、活性炭層水槽24に充填された活性炭が活性炭層35を形成しているから、その活性炭層35の活性炭に、マイクロナノバブル含有被処理水のマイクロナノバブルで活性化した微生物を大量に繁殖させることができて、活性炭が吸着した有機物を微生物で分解処理することができる。したがって、活性炭層35の活性炭は、自発的に再生するので、活性炭吸着塔12内の活性炭と同様、活性炭層35の活性炭を、活性炭層水槽24から活性炭を取り出して再生する必要がない。
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
尚、図3において、29および30は、多孔板を示している。
第3実施形態の水処理装置は、第1実施形態の水処理装置の第1ピット1に、活性炭28が充填された網袋27が設置されている点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。
第3実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第3実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
第3実施形態の水処理装置は、活性炭28が充填された網袋27を、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4が設置された第1ピット1に設置している。したがって、網袋27内の活性炭28が、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4のどれか又は全数から発生したマイクロナノバブルを効率よく受けることができる。したがって、活性炭28に繁殖した微生物の活性化の度合が大きくて、活性炭28に繁殖した微生物で効率よく有機物を分解することができ、生物処理装置42からのマイクロナノバブル含有被処理水の有機物負荷量が高くて、活性炭吸着塔12内の活性炭量のみでは、有機物を十分に分解することができない場合でも、確実に有機物を分解することができる。また、第1ピット1内の活性炭28による有機物処理が1次処理となるから、活性炭吸着塔12に充填された活性炭による有機物処理を2次処理とすることができる。すなわち、有機物処理を、2段階で行うことができるから、有機物処理を確実に行うことができる。
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
第4実施形態の水処理装置は、活性炭吸着塔12に、活性炭に加えて、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31を充填している点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。
第4実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第4実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
第4実施形態では、活性炭吸着塔12内の水流入側に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31が充填されている一方、活性炭吸着塔12内の水流出側に、活性炭が充填されている。
第4実施形態によれば、活性炭吸着塔12内の水流入側に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31が充填されている一方、活性炭吸着塔12内の水流出側に、活性炭が充填されているから、活性炭吸着塔12に導入されたマイクロナノバブル含有被処理水に含まれる有機物は、最初にひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している活性化した微生物によって微生物分解され、その後、有機物負荷が軽減された状態で、活性炭吸着処理される。したがって、活性炭吸着がより確実になることに加えて、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31で微生物を繁殖させることができて、さらに、微生物をひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31から活性炭まで移動させることができる。したがって、活性炭が吸着した有機物をより確実に微生物分解することができて、浄化を促進することができると共に、活性炭の自発的な再生能力を格段に促進することができて、活性炭の再生作業を行う必要がない。
(第5実施形態)
図5は、本発明の第5実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
第5実施形態の水処理装置は、活性炭吸着塔12に、活性炭に加えて、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物31を充填している点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。
第5実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第5実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
第5実施形態では、活性炭吸着塔12内の水流入側に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物31が充填されている一方、活性炭吸着塔12内の水流出側に、活性炭が充填されている。
第5実施形態によれば、活性炭吸着塔12内の水流入側に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物31が充填されている一方、活性炭吸着塔12内の水流出側に、活性炭が充填されているから、活性炭吸着塔12に導入された被処理水に含まれる有機物は、最初にリング型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している活性化した微生物によって微生物分解され、その後、有機物負荷が軽減された状態で、活性炭吸着処理される。したがって、活性炭吸着がより確実になることに加えて、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物31で微生物を繁殖させることができて、さらに、微生物をリング型ポリ塩化ビニリデン充填物31から活性炭まで移動させることができる。したがって、活性炭が吸着した有機物をより確実に微生物分解することができて、浄化を促進することができると共に、活性炭の自発的な再生能力を格段に促進することができて、活性炭の再生作業を行う必要がない。
(第6実施形態)
図6は、本発明の第6実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
第6実施形態の水処理装置は、生物処理装置42の代わりに前処理装置の一例としての化学処理装置43を設置している点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。
第6実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第6実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
化学処理装置43の一例としては、酸やアルカリを添加する中和装置がある。また、化学処理装置43の他の例としては、薬品を添加して化学反応を行う凝集沈澱装置がある。対象水の水質内容によって、適切な化学処理装置が選定されるのは勿論である。どちらにしても、化学処理装置43は、化学反応による化学処理はできても、有機物処理はできない。したがって、化学処理装置43の出口の被処理水中に有機物が存在している場合、有機物処理が必要となる。
被処理水中の有機物濃度が低い場合は、活性炭吸着塔12の活性炭による吸着処理が一般的である。ただし、一般の活性炭吸着塔12は、長時間通水し続けると、活性炭が破過する。しかしながら、本発明のマイクロナノバブルで活性化した微生物を、活性炭吸着塔12の活性炭に繁殖させると、活性炭による有機物の吸着と、活性炭に繁殖した活性化微生物によって、活性炭が吸着した有機物を分解することができる。
(第7実施形態)
図7は、本発明の第7実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
第7実施形態の水処理装置は、生物処理装置42の代わりに前処理装置の一例としての物理処理装置44を設置している点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。
第7実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第7実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
物理処理装置44としては、被処理水中の浮遊物質を除去する急速濾過機や、被処理中の油分を微細な泡を発生させて除去する加圧浮上装置などがある。対象水の水質内容によって、適切な物理処理装置が選定されるのは勿論である。どちらにしても、物理処理装置44は、物理処理はできても、有機物処理はできない。したがって、物理処理装置出口の被処理水中に有機物が存在していると、有機物処理が必要となる。
被処理水中の有機物濃度が低い場合は、活性炭吸着塔12の活性炭による吸着処理が一般的である。ただし、一般の活性炭吸着塔12は、長時間通水し続けると、活性炭が破過する。しかしながら、本発明のマイクロナノバブルで活性化した微生物を、活性炭吸着塔12の活性炭に繁殖させると、活性炭による有機物の吸着と、活性炭に繁殖した活性化微生物によって、活性炭が吸着した有機物を分解することができる。
尚、第1〜第7実施形態では、前処理装置が、一つの生物処理装置、一つ化学処理装置、または、一つの物理処理装置からなっていた。しかしながら、この発明では、前処理装置を、生物処理装置、化学処理装置および物理処理装置のうちの少なくとも二つを直列または並列等に接続することによって構成しても良く、この場合、浄化能力を向上させることができる。