JP2007531835A - 鍵の再設定が可能な錠シリンダ - Google Patents

Abstract

第１及び第２のピンのペアを使用する鍵の再設定可能な錠前。第１のピンと第２のピンを互いに連結させることにより、適合鍵の輪郭が定められる。第１のピンと第２のピンが互いに連結解除された時に、異なる鍵輪郭を有する第２の鍵を錠セットに設置することができる。その後、第１のピンと第２のピンを互いに再連結して新しい適合鍵の輪郭を定めることができる。錠セットを鍵再設定する方法も提供される。
【選択図】図１

Description

本発明は一般に、錠シリンダに関し、より具体的には、マスターキーを使用することなく鍵を再設定することができる錠シリンダに関する。

従来のシリンダ設計を用いてシリンダの鍵を再設定する際には、ユーザは、新しい鍵を用いて錠セットを操作できるようにシリンダ本体からシリンダプラグを取り外して適切なピンに交換する必要がある。これには通常、ユーザが錠セットからシリンダ機構を取り外し、次に該シリンダを或る程度まで分解してプラグを取り外し、必要に応じてピンを交換することを必要とする。これは、錠セット及びシリンダ機構の実用上の知識を必要とし、通常は鍵屋又は訓練を受けた専門家によってのみ行われる。更に、この作業には通常特殊なツールが使用され、ユーザは、ピンを交換し、鍵の再設定作業中に紛失又は損傷する可能性のある構成部品を交換するためにピン止めキットにアクセスできることを必要とする。最終的には、適当なツールを使用する専門家は、従来のシリンダを容易に開けることができる。

１つの形態において、本発明の教示は、錠シリンダ本体とプラグ組立体とを備えた錠前を提供する。錠シリンダ本体は、内部キャビティを定める壁部材と、内部キャビティの長手方向軸線にほぼ平行な第１の溝とを有する。プラグ組立体は、少なくとも部分的に錠シリンダ本体内に受けられ、プラグ、ロックバー、ガイドバー、複数の第１のピン部材、及び複数の第２のピン部材を含む。プラグは、中央キャビティ、中央キャビティの長手方向軸線とほぼ整列する鍵穴、中央キャビティを横断するロックバースロット、及び中央キャビティを横切り該ロックバースロットの反対側に配置されたガイドバースロットを有する。ロックバーは、第１の位置と第２の位置との間で第１の軸線に沿って移動可能である。ロックバーが第１の位置にある時にロックバーの少なくとも一部分は、プラグの外方に第１の溝内に延びている。ロックバーは、第１の位置から第２の位置まで移動する時に、ロックバースロットから中央キャビティ内へ進む少なくとも１つのロック要素を含む。ガイドバーは、ガイドバースロット内に受けられ、半径方向内側位置と半径方向外側位置との間でプラグに対して移動可能である。第１のピン部材は、中央キャビティ内に配置され、鍵穴の上側を境界付ける。第１のピン部材は、第１の軸線に対してほぼ横断する第１の方向で個々に移動可能である。また第１のピン部材は、ガイドバーが半径方向外側位置に移動した時にガイドバーと共に移動できるようにガイドバーに連結される。第２のピン部材の各々は、中央キャビティ内に受けられ、嵌合ロック要素を含み、ガイドバーが半径方向内側位置にある時に第１のピン部材の内のそれぞれに連結される。第２のピン部材の各々は、ガイドバーが半径方向外側位置にある時に第２のピン部材のそれぞれから連結解除される。鍵穴内への適合鍵の挿入により、嵌合ロック要素がロックバー上の少なくとも１つのロック要素と整列するように第１の軸線にほぼ横断する方向で第１及び第２のピン部材を並進せる、その結果、ロックバーが第２の位置に並進することで、プラグ組立体が錠シリンダ本体に対して回転可能となる。ガイドバーが半径方向外側位置に位置する時に適合鍵はプラグ組立体から取り出すことができる。

別の形態において、本発明の教示は、錠セットを鍵再設定するための方法を提供し、本方法は、複数の第１のピン部材と複数の第２のピン部材とを含み、第１のピン部材の各々が第１の軸線に沿って両部材間の相対並進を阻止するように第２のピン部材の内の関係するものに連結されているプラグ組立体と、錠シリンダ本体とを有する錠セットを準備する段階と、第２のピン部材を所定の向きに位置付ける段階と、第１のピン部材を第２のピン部材から連結解除して、両部材間の第１の軸線に沿った相対並進を可能にする段階と、第１のピン部材の少なくとも１つを第１の軸線に沿って第２のピン部材の内のそれぞれに対して再配置するよう動作可能な所望の鍵輪郭を備えた鍵をプラグ組立体に挿入する段階と、第１のピン部材の各々を第２のピン部材の内の関係するものと再連結して、これら両部材間の第１の軸線に沿った相対的並進を阻止する段階とを含む。

本発明を適用できる他の分野は、本明細書で以下に与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、単に例証の目的を意図するものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。

本発明の他の利点及び特徴は、添付図面を参照しながら以下の説明及び添付の請求項から明らかになるであろう。

図面の図１を参照すると、本発明の教示に従って構成された錠シリンダが参照符号１０で全体的に示されている。錠シリンダ１０は、長手方向軸線１２の周りに配置され、錠シリンダ本体１４、プラグ組立体１６、及び「適合する」鍵１８を含むことができる。更に図２及び図３を参照すると、錠シリンダ本体１４は、内部キャビティ３４を定める壁部材３２を備えたほぼ円筒形の本体部分３０を含むことができる。壁部材３２の内表面４０には、第１及び第２の溝３６及び３８がそれぞれ形成されている。第１及び／又は第２の溝３６、３８の相対する側部の一方又は両方には弓形のカム面４４を形成することができる。円筒形本体部分３０は、第２の溝３８を横断する場合もあるブリッジ部材４８を含むことができる。提示された特定の実施例においては、ブリッジ部材４８は、第２の溝３８の最深部分よりも更に内部キャビティ３４内に延びる半径方向内側表面を有する。

図１に戻り、プラグ組立体１６は、プラグ５０、複数の底部ピン５２、ガイドバー５４、第１のガイドバーバネ５６、第２のガイドバーバネ５８、カバー６０、複数のラック６２、複数のピンバネ６４、バネキャップ６８、ロッキングバー７０、ロッキングバーバネ７２、ボールベアリング７４のような１つ又はそれ以上の穴あけ防止要素、及びリテーナ７６を含むことができる。

更に図４、図５、及び図７を参照すると、プラグ５０は、プラグ本体９０及びプラグ面９２を含むことができる。プラグ本体９０は、錠シリンダ本体１４の内部キャビティ３４を通して受けられるような大きさにすることができ、ラック６２の一部分を受けるための１つ又はそれ以上の第１のラックスロット９６を含む中央キャビティ９４を含むことができる。第１のラックスロット９６は、プラグ本体９０の長手方向軸線９８に対してほぼ横方向に延びることができる。ロックバースロット１００は、プラグ本体９０に沿って長手方向に延び、第１のラックスロット９６を横断することができる。ガイドバースロット１０２は、プラグ本体９０に沿って長手方向に延び、中央キャビティ９４を横断することができる。ロックバースロット１００及びガイドバースロット１０２は、互いにほぼ反対方向にあるものとすることができる。リテーナ７６を受けるために、プラグ本体９０内にリテーナスロット１０６を形成することができる。提示された特定の実施例においては、リテーナ７６は従来のＣ形ばねクリップであり、これはリテーナスロット１０６内に受けられて、錠シリンダ本体１４を貫通して延びるプラグ本体９０の一部と係合することによって、プラグ本体９０が錠シリンダ本体１４から離脱するのを阻止する。プラグ５０及び錠シリンダ本体１４はどのような適当な方法でも互いに回転自在に連結できることは、当業者であれば本開示内容から理解されるであろう。

鍵穴１１０は、プラグ面９２を貫通し中央キャビティ９４内に延びている。プラグ面９２は、ガイドバースロット１０２から幾分オフセットする場合がある鍵再設定ツール開口１１２を含むことができる。穴あけ防止要素を受けるために、プラグ面９２及び／又はプラグ本体９０にキャビティ１１４を形成することができる。提示された特定の実施例においては、キャビティ１１４は、プラグ面９２及びプラグ本体９０の両方に形成され、穴あけ防止ボールベアリング７４がロックバースロット１００及びガイドバースロット１０２と軸方向で並んで配置されるように位置付けられる。

図１、図６、及び図７を参照すると、各底部ピン５２は、鍵係合部分１２０、第１の固定部分１２２、及び連結部分１２４を含むことができる。鍵係合部分１２０は、上面１３０と接触部材１３２とを含むことができる。接触部材１３２は、通常は鍵穴１１０との鍵の挿入及び離脱により生じる磨耗に対して改善された耐性を錠セット１０に提供する。接触部材１３２は、底部ピン５２の残りの部分と一体的に形成することができ、或いは底部ピン５２の残りの部分と関係付けられた１つ又はそれ以上の別個の要素を備えてもよい。提示された特定の実施例においては、接触部材１３２は、従来の硬化ボールベアリングであり、底部ピン５２の残りの部分に形成されたスロット付きアパーチャ１３４内に配置される。

第１の固定部分１２２は、ラック６２の内の関連する１つに対して摺動して係合するよう構成される。提示された特定の実施例においては、鍵係合部分１２０に連結され、且つ該鍵係合部分から延びる１つ又はそれ以上の歯状部１４０が使用されている。歯状部１４０は、ほぼＶ字形であり、且つ底部ピン５２の長手方向軸線にほぼ平行な軸線に沿って整列して図示されているが、１つ又は複数の歯状部１４０は、図示され説明されたものとは異なるように形成及び／又は配向してもよいことは当業者には理解されるであろう。

連結部分１２４は、第１の固定部分１２２とは反対側の鍵係合部分１２０に連結することができ、底部ピン５２をガイドバー５４に連結するよう構成される。提示された特定の実施例においては、連結部分１２４は、ほぼＬ字形状であり、底部ピン５２の長手方向軸線にほぼ平行とすることができるアーム１４６と、該アーム１４６にほぼ垂直とすることができる脚部１４８とを有する。脚部１４８は、ガイド受け開口部１５０を形成するように鍵係合部分１２０から離間して配置されている。

図１、図７、及び図８を参照すると、ガイドバー５４は、カバー６０とプラグ本体９０との間に置くことができる、長手方向に延びる部材とすることができ、プラグ本体９０の長手方向軸線にほぼ平行な第１の方向と、プラグ本体９０の長手方向軸線にほぼ垂直な第２の方向とにおいてプラグ本体９０に対し摺動可能とすることができる。ガイドバー５４は、１つ又はそれ以上の連結アパーチャ１６０、セットカム１６２、及びセットタブ１６４を含むことができる。各連結アパーチャ１６０は、底部ピン５２の内の関連する１つ又は複数の連結部分１２４と係合するような大きさにされた壁部材１６８を形成するように、ガイドバー５４を貫通して形成することができる。提示された特定の実施例においては、ガイドバー５４は、底部ピン５２の各々に対して１つである、５つの連結アパーチャ１６０を含む。より具体的には、提示された特定の実施例においては、ガイドバー５４は各底部ピン５２の連結部分１２４のガイドバー受けアパーチャ１５０内に受けられ、その結果、脚部１４８が連結アパーチャ１６０の内の関係する１つに配置されることにより、ガイドバー５４が底部ピン５２に横方向で「固定」されることになる。連結アパーチャ１６０は、プラグ本体９０の長手方向軸線９８にほぼ平行な方向で底部ピン５２に対してガイドバー５４が並進できるように、底部ピン５２よりも相対的により広い大きさにすることができる。しかしながら、連結アパーチャ１６０の１つ又はそれ以上は、代替的には複数の底部ピン５２を受けるような大きさであってもよいことは、当業者には本開示から理解されるであろう。

セットカム１６２は、連結アパーチャ１６０とは反対側のガイドバー５４の側部から延びることができ、錠シリンダ本体１４などの１つ又はそれ以上の他の要素と協働して、セットカム１６２が底部ピン５２をラック６２に対して係合及び／又は係合解除することができるように構成することができる。提示された特定の実施例においては、ブリッジ部材４８の半径方向内側面（図３）に対してセットカム１６２を位置合わせすることにより、底部ピン５２とラック６２間の係合が維持され、他方、第２の溝３８（図３）に対してセットカム１６２を位置合わせすることにより、底部ピン５２がラック６２を係合解除するようにガイドバー５４を半径方向外方にシフトさせることが可能になる。

セットタブ１６４は、ユーザが錠シリンダ本体１４に対してガイドバー５４をシフトさせるように力を加えることのできる、ガイドバー５４上の場所を提供する。セットカム１６２が穴あけ防止ボールベアリング７４の背後に位置付けることができるように、セットタブ１６４はセットカム１６２から幾分オフセットさせることができる。提示された特定の実施例においては、セットタブ１６４は、ほぼＬ字形であり、鍵再設定ツール開口１１２と整列するようにセットカム１６２の上方に延びる。

図１、図５、図７、及び図１７を参照すると、第１のガイドバーバネ５６は、ガイドバー５４をプラグ面９２に向かって第１の方向（すなわち、プラグ本体９０の長手方向軸線９８にほぼ平行な方向）に付勢し、他方、第２のガイドバーバネ５８は、ガイドバー５４を第２の方向（すなわち、プラグ本体９０から外方にラック６２から離れる方向）に付勢する。提示した例においては、第１のガイドバーバネ５６は、プラグ本体９０に形成されたバネアパーチャ１９０内に配置される圧縮バネであり、他方、第２のガイドバーバネ５８は、１対の板ばねを含み、その各々は、プラグ本体９０内に形成され且つガイドバースロット１０２を横断するバネスロット１９４内に配置される。

図１、図７、図９、及び図１０を参照すると、カバー６０は、複数のピンスロット２００、複数の第２のラックスロット２０２、及び複数のガイドタブ２０４を含むことができる。カバー６０はまた、鍵穴１１０の一部分を形成することができる長手方向に延びるアパーチャ２０６を含むことができる。ピンスロット２００は、長手方向軸線をほぼ横切り鍵穴１１０と垂直方向に並んだ第１の部分２１０と、第２の部分２１２とを有することができる。提示された特定の実施例においては、各ピンスロット２００の第２の部分２１２は、ピンスロット２００の関係する第１の部分２１０に対しほぼ垂直であり、第２のラックスロット２０２の内の関係する１つを横断するようにカバー６０を十分に貫通して延びる。各ピンスロット２００の第１の部分２１０は、ピンバネ６４の内の関係する１つを受けるような大きさにされ、他方、第２の部分２１２は、底部ピン５２の内の関係する１つを受けるような大きさにされる。ピンバネ６４は、ピンスロット２００内で底部ピン５２を下向きに付勢するように構成される。提示された特定の実施例においては、各ピンバネ６４は、バネキャップ６８と底部ピン５２の鍵係合部分１２０の上面１３０との間に配置される圧縮バネである。第２のラックスロット２０２の各々は、ピンスロット２００の内の関係する１つの第１の部分２１０にほぼ平行とすることができる。第１及び第２のラックスロット９６及び２０２は協働して、ラック６２の内の関係する１つを受けることができるキャビティを形成する。

ガイドタブ２０４は、カバー６０の両端部から延びることができ、カバー６０をプラグ本体９０に固定するのに使用することができる。提示された特定の実施例においては、各ガイドタブ２０４は、プラグ本体９０の関係するタブ部材キャビティ２２２（図５）内に受けることができる長手方向に延びるタブ部材２２０を含む。タブ部材２２０をプラグ本体９０に固定するリベット、ピン、又はネジ付きファスナーを受けるために、各タブ部材２２６を貫通するアパーチャを形成することができる。提示された特定の実施例においては、後方のガイドタブ２０４はまた、交差タブ２２８を含み、これは、タブ部材２２０に対しほぼ垂直に配置することができ、プラグ本体９０内に形成された関係する交差タブキャビティ２３０（図５）と係合するような大きさにすることができる。

図１、図７、及び図１１を参照すると、各ラック６２は、第１及び第２のラックスロット９６及び２０２（図９）の関連するペアに摺動可能に配置された細長い部材とすることができる。各ラックは、第２の固定部分２４０と嵌合ロック要素２４２とを有することができる。第２の固定部分２４０は、第１及び第２の固定部分１２２及び２４０が互いに係合する時に底部ピン５２の鍵係合部分１２０をラック６２に対して所望の位置に維持できるように、底部ピン５２の内の関係する１つの第１の固定部分１２２と協働するよう構成される。提示された特定の実施例においては、ラック６２は、ラック６２の全長の一部分に沿って離間して配置され且つ底部ピン５２上の第１の固定部分１２２の歯状部１４０の歯状幾何形状と適合する歯状幾何形状を有する複数のラック歯状部２４８を含む。ラック６２の上端部２５０は、錠シリンダ１０の作動中は錠シリンダ本体１４の内表面４０と接触しないような外形とすることができる。

嵌合ロック要素２４２は、ロッキングバー７０に当接するラック６２の面２５４に形成される。提示された特定の実施例においては、嵌合ロック要素２４２は、当接面２５４内のアパーチャであり、ラック６２の長手方向軸線に対してほぼ垂直な方向でラック６２を貫通する円筒形セグメントの形状を有する。

任意選択のバネキャップ６８は、ピンバネ６４と錠シリンダ本体１４の壁部材３２との間に耐磨耗障壁を形成する。従ってバネキャップ６８は、ピンバネ６４と壁部材３２との間に置かれ、カバー６０内に形成されたピンスロット２００の第１の部分２１０内にピンバネ６４を保持する１つ又はそれ以上の要素を含むことができる。バネキャップ６８は、リベット又はネジ付きファスナーなどのファスナーを介して、もしくはバネキャップ６８をカバー６０内に受けて固定することのできる幾何形状（例えば、バネキャップ６８の相対する側縁部を受ける長手方向に延びる溝のペア）を利用してカバー６０に連結することができる。提示された特定の実施例においては、バネキャップ６８は、一体的に形成され、且つカバー６０内の各ピンスロット２００の第１の部分２１０を覆うような大きさにされる。更に、リベット、ピン、及び／又はネジ付きファスナー（図示せず）を使用して、バネキャップ６８の両端部をカバー６０及びプラグ本体９０に連結することができる（つまり、リベット、ピン、及び／又はネジ付きファスナーを使用して、バネキャップ６８とカバー６０の両方をプラグ本体９０に固定することができる）。

図１、図７、及び図１２を参照すると、ロッキングバー７０は、ロックバースロット１００内に少なくとも部分的に受けられるような大きさにされた細長い部材である。ロッキングバー７０は、１つのカム従動部３００と、１つ又はそれ以上のロック要素３０２とを含むことができる。提示された特定の実施例においては、カム従動部３００は、ロッキングバー７０の全長にわたって延び、その形状が弓形である。同様に提示された特定の実施例においては、ロック要素３０２は、ラック６２において形成された嵌合ロック要素２４２内に摺動可能に受けられるような大きさにされ、カム従動部３００が、ロック要素３０２の相対する端部に隣接する位置に配置された１対の耳部３０６を形成するようにロッキングバー７０よりも幾分短くすることができる。

ロッキングバーバネ７２は、ロッキングバー７０とプラグ本体９０との間に配置して、ロッキングバー７０を錠シリンダ本体１４の壁部材３２の内表面４０に向かってラック６２から外方に付勢することができる。提示した例においては、ロッキングバーバネ７２は、１対の圧縮バネを含み、その各々は、耳部３０６の関係する１つの内表面３１２上に形成された凹部３１０内に配置される。

図１及び図７を参照すると、ピンバネ６４は、底部ピン５２を鍵穴１１０内に下方に付勢し、他方、ロッキングバーバネ７２は、ロッキングバー７０を錠シリンダ本体１４の壁部材３２において第１の溝３６内へプラグ本体９０から半径方向外方に付勢する。

更に図１３及び図１４を参照すると、錠シリンダ１０と関連付けられる鍵１８は、鍵穴１１０の横断面と適合又は互換性のある横断面形状と鍵輪郭１８ａとを有する。鍵１８を鍵穴１１０内に挿入することにより、鍵輪郭１８ａが各底部ピン５２の接触部材１３２と接触して、底部ピン５２及びラック６２を提示の実施例における「上向き」に移動させる（底部ピン５２の各々がラック６２の内の関係する１つに係合されているため）。

鍵１８が錠シリンダ１０の現在の鍵設定に「適合」している場合には、ラック６２の各々は、嵌合ロック要素２４２がロッキングバー７０上のロック要素３０２に位置合わせされるようにプラグ本体９０に対して移動されることになる。錠シリンダ本体１４に対するプラグ組立体１６の回転を生じさせる鍵１８の回転は、ロッキングバー７０のカム従動部３００を第１の溝３６のカム面４４上に接して乗り上げさせ、その結果、ロッキングバー７０は、プラグ本体９０へ向かって半径方向内方に押される。鍵１８は錠シリンダ１０に適合しているので、ロック要素３０２は、嵌合ロック要素２４２と少なくとも部分的に係合するようになり、その結果、カム従動部３００は、プラグ本体９０が錠シリンダ本体１４の内部キャビティ３４内で妨げられずに回転できるような十分な量だけ内方に移動することができる。鍵１８が錠シリンダ１０に適合していない場合には、ロック要素３０２は、錠シリンダ本体１４に対するプラグ組立体１６の回転に応答して内方に移動し、ラック６２の内の少なくとも１つの当接面２５４と接触することになる。このような接触は、カム従動部３００の内方移動を効果的に阻止することにより、ロッキングバー７０が第１の溝３６内に保持され、これにより錠シリンダ本体１４に対するプラグ組立体１６の更なる回転が阻止されるようになる。

錠シリンダ１０を鍵再設定する１つの方法を図１５乃至図１８を参照しながら説明する。錠シリンダ１０を鍵再設定するためには、錠シリンダ１０に適合する鍵１８を鍵穴１１０内に挿入し、プラグ組立体１６を錠シリンダ本体１４に対して４５°などの所定の角度を通り回転させて、ガイドバー５４を錠シリンダ本体１４内の第２の溝３８と位置合わせさせる。セットカム１６２とブリッジ部材４８の半径方向内側面との接触により、底部ピン５２がこれらのそれぞれのラック６２に係合されている位置でガイドバー５４が維持される。鍵再設定ツール４００が、鍵再設定ツール開口１１２内に挿入され、これを用いてセットタブ１６４（図８）上に力を作用させて、ガイドバー５４を鍵再設定ツール開口１１２から離れてガイドバースロット１０２（図５）内に押し込み、セットカム１６２がブリッジ部材４８を乗り越えるようになる。ブリッジ部材４８が第２の溝３８に位置合わせされる（すなわち、図１７に示すようにブリッジ部材４８上に乗った）と、第２のガイドバーバネ５８は、ガイドバー５４を外側方向に付勢する。底部ピン５２が、錠シリンダ１０の長手方向軸線１２に対してほぼ垂直な方向に移動するようにガイドバー５４に連結されているので、外側方向へのガイドバー５４の移動により、底部ピン５２の第１の固定部分１２２がラック６２の第２の固定部分２４０から係合解除するようになる。

この時点では、鍵１８は図１９に示すように取り出すことができ、更に、図２０に示すように、別の異なるように構成された鍵１８′を鍵穴１１０内に挿入することができ、これにより底部ピン５２が、鍵１８′の形状に対応する量だけ鍵穴１１０内で「上方」に移動する。鍵再設定ツール４００（図１６）に加わる力は、第１のガイドバーバネ５６（図１７）がガイドバースロット１０２（図２１）内のガイドバー５４を鍵再設定ツール開口１１２（図１６）に向かって押すことができるように、低減又は排除することができる。ガイドバー５４が鍵再設定ツール開口１１２（図１７）に向かって移動すると、セットカム１６２は、ブリッジ部材４８上に乗り上げて、ガイドバー５４を内方に付勢する。底部ピン５２は、錠シリンダ１０の長手方向軸線１２に対してほぼ垂直な方向で移動するようにガイドバー５４に連結されているので、ガイドバー５４が内側方向へ移動することにより、図２２に示すように、底部ピン５２の第１の固定部分１２２がラック６２の第２の固定部分２４０に係合するようになる。ロッキングバー７０がラック６２に係合されている間のラック６２に対する底部ピン５２の係合は、新しい鍵１８′を錠シリンダ１０に「適合」させる。

図２３を参照すると、本発明の教示により錠を鍵再設定するための方法がフロー図形式で概略的に示されている。本方法は、適合する鍵１８をプラグ組立体１６内に挿入する段階と、該プラグ組立体１６を錠シリンダ本体１４に対して所定の回転角度を通って回転させる段階と、底部ピン５２をラック６２から係合解除する段階と、鍵１８をプラグ組立体１６から取り出す段階と、新しい鍵１８′をプラグ組立体１６に挿入する段階と、底部ピン５２をラック６２に再度連結する段階と、新しい鍵１８′を取り出す段階とを含む。

本発明を様々な実施形態を参照しながら本明細書で説明し図面において例証してきたが、請求項において定義された本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、その要素を均等物で置換えることができることは、当業者であれば理解されるであろう。更に、様々な実施形態間の特徴、要素、及び／又は機能の組合せ及び整合は、本明細書において明白に企図されているので、上記に別に記載されていない限り、ある実施形態の特徴、要素、及び／又は機能を必要に応じて別の実施形態に組み込むことができることは、当業者であれば本開示から理解されるであろう。更に、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対して特定の状況又は材料に適合するように多くの変更を行うことができる。従って本発明は、本発明を実施するのに現在最良の形態として企図される、図面により示され且つ本明細書で記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は上記説明及び添付の請求項の範囲内に含まれるあらゆる実施形態を含む。

本発明の教示に従って構成された錠シリンダの分解斜視図である。 錠シリンダ本体をより詳細に示している、図１の錠シリンダの一部の斜視図である。 錠シリンダ本体の別の斜視図である。 プラグをより詳細に示している、図１の錠シリンダの一部の斜視図である。 プラグの別の斜視図である。 底部ピンをより詳細に示している、図１の錠シリンダの一部の斜視図である。 図１の錠シリンダの断面図である。 ガイドバーの一部をより詳細に示している、図１の錠シリンダの一部の斜視図である。 カバーをより詳細に示している、図１の錠シリンダの一部の斜視図である。 カバーの別の斜視図である。 ラックをより詳細に示している、図１の錠シリンダの一部の斜視図である。 ロックバーをより詳細に示している、図１の錠シリンダの一部の斜視図である。 図７と同様であるが、鍵穴に挿入された適合鍵を示している断面図である。 鍵穴に挿入された適合鍵を示している、図１の錠シリンダの長手方向断面図である。 プラグ組立体内に挿入された適合鍵を示している、図１の錠シリンダの一部の斜視図である。 鍵再設定ツールと関連付けて図１の錠シリンダを示す斜視図である。 錠シリンダ本体に対してシフトされたガイドバーを示す、図１の錠シリンダの長手方向断面図である。 図１３と同様であるが、錠シリンダ本体に対してシフトされたガイドバーを示す断面図である。 図１８と同様であるが、元の適合鍵が無い錠シリンダを示す断面図である。 図１９と同様であるが、鍵穴に挿入された「新しい」鍵を示す断面図である。 図１７と同様であるが、錠シリンダ本体に対して戻り位置にあるガイドバーを示す長手方向断面図である。 図２０と同様であるが、鍵再設定された状態のプラグ組立体を示す断面図である。 本発明の教示に従って実行される方法のフローチャート形式での概略図である。

符号の説明

１０ 錠シリンダ
１４ 錠シリンダ本体
１６ プラグ組立体
１８ 適合鍵
１８ａ 鍵輪郭
３２ 壁部材
３４ 内部キャビティ
３６ 第１の溝
３８ 第２の溝
５０ プラグ
５２ 底部ピン
５４ ガイドバー
５６ 第１のガイドバーバネ
５８ 第２のガイドバーバネ
６０ カバー
６２ ラック
６４ ピンバネ
６８ バネキャップ
７０ ロッキングバー
７２ ロッキングバーバネ
７４ ボールベアリング
７６ リテーナ
１１０ 鍵穴
１１２ 鍵再設定ツール開口

Claims (20)

1. 内部キャビティを定める壁部材と前記内部キャビティの長手方向軸線にほぼ平行な第１の溝とを有する錠シリンダ本体と、
   前記錠シリンダ本体内に少なくとも部分的に受けられるプラグ組立体と、
   を備え、
   前記プラグ組立体が、
   中央キャビティと、該中央キャビティの長手方向軸線とほぼ整列する鍵穴と、前記中央キャビティを横断するロックバースロットと、前記中央キャビティを横切り且つ前記ロックバースロットの反対側に配置されたガイドバースロットとを有するプラグと、
   第１の位置と第２の位置との間で第１の軸線に沿って移動可能であり、前記第１の位置にある時に少なくとも一部分が前記プラグの外方に前記第１の溝内に延びており、前記第１の位置から前記第２の位置まで移動する時に前記ロックバースロットから前記中央キャビティ内へ進む少なくとも１つのロック要素を含むロックバーと、
   前記ガイドバースロット内に受けられ、半径方向内側位置と半径方向外側位置との間で前記プラグに対して移動可能なガイドバーと、
   前記中央キャビティ内に配置され、鍵穴の上側を境界付けており、前記第１の軸線に対してほぼ横断する第１の方向で個々に移動可能であり、更に前記ガイドバーが前記半径方向外側位置に移動した時に前記ガイドバーと共に移動可能であるように前記ガイドバーに連結された複数の第１のピン部材と、
   前記中央キャビティ内に受けられ、各々が嵌合ロック要素を含み、前記ガイドバーが前記半径方向内側位置にある時に前記第１のピン部材の内のそれぞれに連結されており、前記ガイドバーが前記半径方向外側位置にある時に各々が前記第１のピン部材の内のそれぞれから連結解除されている複数の第２のピン部材と、
   を含み、
   前記鍵穴内への適合鍵の挿入により、前記嵌合ロック要素が前記ロックバー上の少なくとも１つのロック要素と整列するように前記第１の軸線にほぼ横断する方向で前記第１及び第２のピン部材を並進させ、その結果、前記ロックバーが前記第２の位置に並進することで前記プラグ組立体が前記錠シリンダ本体に対して回転可能となり、
   前記ガイドバーが前記半径方向外側位置に位置する時に前記適合鍵を前記プラグ組立体から取り出すことができることを特徴とする錠前。
2. 前記錠シリンダ本体の壁に第２の溝が形成され、該第２の溝は前記内部キャビティの長手方向軸線にほぼ平行であり、前記プラグ組立体の所定の角度を通る回転により前記ガイドバーが前記第２の溝に位置合わせされることを特徴とする請求項１に記載の錠前。
3. ブリッジ部材が前記第２の溝を横切り、前記ガイドバーは、前記プラグ組立体が最初に所定の角度を通り回転されると前記ブリッジ部材に接触するセットカムを含み、前記ガイドバーが前記第２の溝に半径方向で位置合わせされた時に前記セットカムと前記ブリッジ部材との接触により前記ガイドバーが半径方向内側位置に維持されることを特徴とする請求項２に記載の錠前。
4. 前記セットカムが前記ブリッジ部材から係合解除されて前記第２の溝内に配置されるような前記ガイドバーの並進により、前記ガイドバーが前記半径方向外側位置へ並進することが可能となることを特徴とする請求項３に記載の錠前。
5. 前記第２のピン部材の各々が、前記ガイドバーが前記半径方向内側位置に置かれている時に前記それぞれの第１のピン部材により噛合される複数の歯状部を含むことを特徴とする請求項１に記載の錠前。
6. 前記第１のピン部材が前記ガイドバーの前記半径方向外側位置での位置決めにより前記第２のピン部材から共同で係合解除されると、前記ロックバーが前記第２のピン部材を静止状態に維持することを特徴とする請求項５に記載の錠前。
7. 前記第１のピン部材の各々が、適合鍵の鍵輪郭と係合するための接触部材を含むことを特徴とする請求項１に記載の錠前。
8. 前記接触部材がボールであることを特徴とする請求項１に記載の錠前。
9. 前記第１のピン部材の各々が、前記ガイドバー内に形成された関係するアパーチャ内に受けられる脚部を含むことを特徴とする請求項１に記載の錠前。
10. 錠セットを鍵再設定するための方法であって、
    複数の第１のピン部材と複数の第２のピン部材とを含み、前記第１のピン部材の各々が第１の軸線に沿って前記両部材間の相対並進を阻止するように前記第２のピン部材の内の関係するものに連結されているプラグ組立体と、錠シリンダ本体とを有する錠セットを準備する段階と、
    第１の鍵輪郭を備えた第１の鍵を前記プラグ組立体に挿入して、前記第２のピン部材を所定の向きに整列させる段階と、
    前記プラグ組立体を前記錠シリンダ本体と相対的に回転させて、前記第２のピン部材を前記所定の向きに維持する段階と、
    前記第１のピン部材を前記第２のピン部材から連結解除して、前記両部材間の前記第１の軸線に沿った相対並進を可能にする段階と、
    前記第１の鍵を前記プラグ組立体から取り出す段階と、
    前記第１の鍵輪郭とは異なる第２の鍵輪郭を備えた第２の鍵を前記プラグ組立体に挿入して、前記第１のピン部材の内の少なくとも１つを前記第１の軸線に沿って前記第２のピン部材の内のそれぞれに対して再配置する段階と、
    前記第１のピン部材の各々を前記第２のピン部材の内の関係するものと再連結することで、前記両部材間の前記第１の軸線に沿った相対的並進を阻止する段階と、
    を含む方法。
11. 前記プラグ組立体は、前記第１のピン部材を前記第２のピン部材から連結解除する前に、前記錠シリンダ本体に対して所定の角度を通って回転されることを特徴とする請求項１０に記載の方法。
12. 前記所定の角度を通る前記プラグ組立体の回転により、前記ガイドバーが前記錠シリンダ本体内に形成された溝に半径方向で位置付けられ、前記第１のピン部材の前記第２のピン部材からの連結解除は、前記ガイドバーを前記溝内に移動させることによって行われることを特徴とする請求項１１に記載の方法。
13. 前記プラグ組立体が１つのプラグを含み、該プラグ上の面を貫通して挿入されるツールを用いて前記プラグ組立体の長手方向軸線にほぼ平行な方向で前記ガイドバーを押すと該ガイドバーが前記溝内に移動されることを特徴とする請求項１２に記載の方法。
14. 前記所定の向きでの前記第２のピン部材の維持が、前記第２のピン部材にロックバーを係合させることによって行われることを特徴とする請求項１２に記載の方法。
15. 錠セットを鍵再設定するための方法であって、
    複数の第１のピン部材と複数の第２のピン部材とを含み、前記第１のピン部材の各々が第１の軸線に沿って前記両部材間の相対並進を阻止するように前記第２のピン部材の内の関係するものに連結されているプラグ組立体と、錠シリンダ本体とを有する錠セットを準備する段階と、
    前記第２のピン部材を所定の向きに位置付ける段階と、
    前記第１のピン部材を前記第２のピン部材から連結解除して、前記両部材間の前記第１の軸線に沿った相対並進を可能にする段階と、
    前記第１のピン部材の少なくとも１つを前記第１の軸線に沿って前記第２のピン部材の内のそれぞれに対して再配置するよう動作可能な所望の鍵輪郭を備えた鍵を前記プラグ組立体に挿入する段階と、
    前記第１のピン部材の各々を前記第２のピン部材の内の関係するものと再連結することで、前記両部材間の前記第１の軸線に沿った相対的並進を阻止する段階と、
    を含む方法。
16. 嵌合鍵輪郭を備えた鍵を最初に用いて前記第２のピン部材を前記所定の向きに位置付けることを特徴とする請求項１５に記載の方法。
17. 前記第２のピン部材の前記所定の向きでの維持が、前記第２のピン部材にロッキングバーを係合させることによって行われることを特徴とする請求項１６に記載の方法。
18. 前記プラグ組立体は、前記第１のピン部材を前記第２のピン部材から連結解除する前に、前記錠シリンダ本体に対して所定の角度を通って回転されることを特徴とする請求項１５に記載の方法。
19. 前記プラグ組立体を前記錠シリンダ本体に対して前記所定の角度で配置することにより、前記ガイドバーが前記錠シリンダ本体内に形成された溝に半径方向で位置付けられ、前記第１のピン部材の前記第２のピン部材からの連結解除が、前記ガイドバーを前記溝内に移動させることによって行われることを特徴とする請求項１８に記載の方法。
20. 前記プラグ組立体が１つのプラグを含み、前記プラグ上の面を貫通して挿入されるツールを用いて前記プラグ組立体の長手方向軸線にほぼ平行な方向で前記ガイドバーを押すと該ガイドバーが前記溝内に移動されることを特徴とする請求項１９に記載の方法。

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