JP2007530638A - (3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの製造方法 - Google Patents

(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【化1】
Figure 2007530638

本発明は、ジアステレオマー的に高純度の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オール(6)を製造する方法ばかりでなく前記方法で用いるに適した新規な中間体である(3aR,4S,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オン(4)にも関する。より詳細には、本発明は、ジアステレオマー的に高純度の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの立体選択的製造方法ばかりでなく(3aR,4S,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンを結晶化させる方法および(3aR,4R,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンにエピマー化を起こさせて(3aR,4S,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンを生じさせる方法にも関する。

Description

本発明は(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの製造方法ばかりでなく前記方法で用いる新規な中間体である(3aR,4S,6aR)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンにも関する。より詳細には、本発明は、(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの立体選択的製造方法および産業的にスケールアップし易い方法に関する。
ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールはレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤、例えば非特許文献1、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記述されている阻害剤の構造の中に存在する重要な薬理学的部分である(前記出版物は引用することによって本明細書に組み入れられる)。
ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オール
Figure 2007530638
の製造方法はいくつか知られている。
(3R,3aS,6aR)と(3S,3aR,6aS)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの両方をそれぞれ3(R)−マレイン酸ジエチルおよび3(S)−マレイン酸ジエチルから出発して光学的に高純度の形態で得る鏡像選択的合成が非特許文献1に記述されている。非特許文献1には、また、ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの(3R,3aS,6aR)と(3S,3aR,6aS)鏡像異性体のラセミ混合物を2,3−ジヒドロフランから出発して合成した後に最終的生成物に酵素を用いた分割を行うことも開示されている。また、ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]−フラン−3−オールをオゾン分解で合成する経路も非特許文献2に記述されている。ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]−フラン−3−オールは非特許文献3にも光学活性パーヒドロフロ[2,3−b]フラン誘導体を合成する時の中間体として記述されている。
特許文献4は、(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの合成を伴う代替方法に関し、その方法では、2,3−二保護−2,3−ジヒドロキシ−プロピオンアルデヒドから出発してそれをニトロメチルおよび1または2個のカルボキシレート部分を含有する誘導体に変化させている。次に、前記誘導体をネフ(Nef)反応でテトラヒドロフラン化合物に変化させ、それに還元を受けさせた後、分子内環化反応を起こさせることで(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを得ている。
特許文献4には、前記出発材料、即ち2,3−二保護−2,3−ジヒドロキシ−プロピオンアルデヒドをカルボキシレート部分を1または2個含有する誘導体に変化させる異な
る経路が記述されており、そのような経路には、燐イリドを用いるウィッティヒ(Wittig)反応、ホスホネートを塩基の存在下で用いるHorner−Emmons反応、マロネート誘導体を用いるクネベナゲル(Knoevenagel)型縮合反応、または別法としてレフォルマツキー(Reformatsky)試薬、即ち−C(=O)−O−部分の前駆体、例えばシアニドなどを用いる経路が含まれる。そこに開示されている例は特に下記の2経路:クネベナゲル経路およびウィッティヒ経路に焦点が当てられている。
特許文献4に示されている如きクネベナゲル経路は、出発材料である2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドの無水溶液にマロン酸ジメチルを添加することでカルボキシレートが2個組み込まれている2−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチレン)−マロン酸ジメチルエステルを生じさせることから成る。前記出発材料を水溶液中で生じさせていることから、テトラヒドロフランを用いた抽出および水の除去を包含する骨の折れる単離手順を用いる必要がある。そのような抽出および水の除去はテトラヒドロフランを多量に必要としかつ長い生産時間を要する。その上、2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドから2−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチレン)−マロン酸ジメチルエステルを生じさせるクネベナゲル反応の収率の天井値は約77%であることも分かっている、と言うのは、条件を最適にしたとしても本質的に回避不可能な副反応が生じるからである。
その得たジカルボキシル化中間体、即ち2−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチレン)−マロン酸ジメチルエステルは粘性のある油であることから、それを次のマイケル(Michael)付加に導入する時にメタノールに入れることで生じさせた溶液として導入する必要がある。酸性ネフ反応および環化反応後であるが有機溶媒、例えば酢酸エチルなどを用いた抽出を行う前にNaHCO水溶液の中に入れてクエンチを実施した後にメタノールを蒸留する必要があることが欠点になっている。酸性ネフ反応および環化反応の結果としてもたらされる中間体、即ち4−メトキシ−2−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−3−カルボン酸メチルエステルは水中で不安定な化合物でありかつメタノールの蒸留には比較的高い温度(30℃−40℃に及ぶ)が必要であることから、その中間体が分解を起こして極性のある化合物が生じてしまう。そのような極性化合物は水相中に残存しかつ更に失われる、と言うのは、それらは有機相に抽出されないからである。メタノールの除去を抽出前に実施するのは不可能であることから、4−メトキシ−2−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−3−カルボン酸メチルエステルを処理する時にかなりの体積(volume)を要する。
4−メトキシ−2−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−3−カルボン酸メチルエステルの脱カルボキシル中に副生成物、即ち(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−テトラヒドロ−フラン−3−イル)−酢酸が有意な量で生じてしまう。その上、4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンの結晶化中に付随して起こる重合が理由で褐色の固体がもたらされてしまう。
加うるに、4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンの精製では、環化用酸を除去する目的で少なくとも2回の酸−塩基抽出カスケードを実施する必要があり、従って、4−メトキシ−2−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−3−カルボン酸メチルエステルを基準にした4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンの全収率は52%であり、これは最適ではないとみなされる。
この上に挙げた要因の全部が理由でクネベナゲル経路の使用が推奨されることはない。実際、そのような経路における脱カルボキシル段階は、それをウィッティヒ経路と比較した時に後者にはそのような脱カルボキシル段階が必要でない点で固有の欠点に相当する。
3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを得る目的でホスホノ酢酸トリエチル(TEPA)を用いるウィッティヒ経路が特許文献4の実施例Iに示されている。その後の3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルへのミハエル付加は、それによってニトロメタン付加体、即ち3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−4−ニトロ−酪酸エチルエステルがもたらされる点で制限に相当し、シン:アンチの比率は約8:2である。次の還元反応に続くネフ/環化反応でもたらされる(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールにはこれのエキソ−ジアステレオイソマー、即ち(3R,3aR,6aS)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールがひどく混入しており、エンド:エキソの比率は約8:2である。そのような方法はクネベナゲルに付随する欠点のいくつかを持ちはしないが、高純度のエンド−ジアステレオイソマーをもたらすことはない、と言うのは、ミハエル付加中にアンチ配置で生じた望まれないエキソ−ジアステレオイソマーを除去しようとしても結晶化などの如き有効な精製段階がないからである。
特許文献4の実施例IIに開示されている如き代替ウィッティヒ経路でも、実施例Iの場合と同様に、ミハエル付加生成物が示すシン:アンチ比が同じ(8:2)であることが欠点になっている。ネフ/環化反応で得られるエトキシ中間体である(3aR,4S,6aS)4−エトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンと(3aR,4R,6aS)4−エトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンが約2.5/1の(3aR,4S,6aS)/(3aR,4R,6aS)比で存在し、それに加えてアンチ異性体が有意な量で存在する、即ちシン:アンチ比は約8:2である。中間体である(3aR,4S,6aS)4−エトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンと(3aR,4R,6aS)4−エトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンを精製する目的で望まれないアンチ−ジアステレオイソマーを結晶化で除去するのは現在のところ不可能であると思われる。そのような混合物の還元および環化でもたらされる(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールにはこれのエキソ−ジアステレオイソマー、即ち(3R,3aR,6aS)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールがひどく混入しており、エンド:エキソの比率は約8:2である。そのような方法は、この上に示した実施例Iのウィッティヒ方法と同様に、クネベナゲル方法に付随する欠点のいくつかを持ちはしないが、現在の形態では、高純度の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを高い工業的収率で生じさせるのは不可能である。その上、従来技術で公知の手順で用いられる反応槽の容積も大きくかつ工程数も多く、そのような要因が費用効果的工程の害になっており、従って、そのような工程を産業規模に最適にするのは不可能である。
従って、ジアステレオマー的に高純度の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを産業的に製造するに最適な方法が求められている。
驚くべきことに、ウィッティヒ経路を用いかつ特許文献4の式(4)および(4’)で表される中間体の異性体をメチルアセタール形態(即ちR”’がメチルでありそしてR”が水素である)で生じさせると式(2)で表される中間体を基準にした式(4)で表される粗中間体の収率が例えばエトキシ−もしくはイソプロポキシ−アセタール(R”’がそれぞれエチルまたはイソプロピルでありそしてR”が水素である)の場合に比べてずっと高くなることを見いだした。
Figure 2007530638
その上、驚くべきことに、そのようなメチルアセタール形態の式(4)で表される中間体を式(4)で表される化合物の(3aR,4S,6aS)と(3aR,4R,6aS)異性体と比較的多量の異性体(4’)の混合物から(3aR,4S,6aS)の異性体形態で結晶化させることができることも見いだした。
その異性体形態(3aR,4S,6aS)の収率を高くすることとそれを結晶化させることが可能になると、ジアステレオマー的に高純度の形態の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを高い収率で生産することが可能になる。
式(4)で表される化合物、即ち(3aR,4S,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンを本明細書では以降式α−(4)で表される化合物またはアルファエピマーまたはα−異性体と呼ぶことにする。同様に、(3aR,4R,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンも本明細書では以降式β−(4)で表される化合物またはベータエピマーまたはβ−異性体と呼ぶことにする。
Figure 2007530638
式α−(4)で表されるメトキシアセタールを結晶化させることができることのみが驚くべきことであるばかりでなく、結晶化工程に入って来る式(4)で表される粗中間体のアルファ/ベータ比が低く、4/1未満であるにも拘らず、そのような結晶化を成功裏に実施することができることも更により驚くべきことである。クネベナゲル方法では式α−(4)で表される中間体を結晶化させることができるようにするにはアルファ/ベータ比を少なくとも6:1にする必要があったことを理解すべきである。
従って、本発明は、改良を受けさせたウィッティヒ方法を提供しかつ4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンの4−アルファ異性体、特に(3aR,4S,6aS)異性体の使用を提供するものであり、これは、(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールをジアステレオマー的に高純度の形態で産業的に製造することを容易にするに大きく貢献する。
その上、式(4)のアルファエピマーとベータエピマーの比率が如何なる比率の混合物であってもアルファエピマーが主要量の混合物に変化させることができ、その後、それを結晶化によって高純度形態で単離することができることも驚くべきことに見いだした。このように、本発明は、式(4)で表される化合物の新規なアルコキシ−アセタールエピマー化を提供し、これは、(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを費用効果的に製造する方法に有意に貢献する。
加うるに、また、式(4)のアルファエピマーとベータエピマーの比率がほとんど如何なる比率の混合物であっても結晶化とエピマー化を同時に起こさせること(また結晶化誘発不斉変換(crystallization−induced asymmetric
transformation)とも認識される)による単一段階で結晶性アルファエピマーに変化させることができることも驚くべきことに見いだした。このように、本発明は、更に、高純度の(3aR,4S,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンを単離する目的で結晶化とエピマー化を同時に実施することも提供する。
EP 0 715 618 WO 99/67417 WO 99/65870 WO 03/022853 Ghosh他、J.Med.Chem.1996、39(17)、3278−3290 Pezeck他、Tetrahedron Lett.1986、27、3715−3718 Uchiyama他、Tetrahedron Lett.2001、42、4653−4656
要約
本発明は、改良を受けさせたウィッティヒ方法を提供しかつジアステレオマー的に高純度の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを製造する時に(3aR,4S,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンを中間体として用いること、より詳細には結晶形態で用いることを提供し、これは産業的にスケールアップするに適する。
本発明は、式β−(4)で表される化合物から式α−(4)で表される化合物を生じさせる新規なアルコキシ−アセタールエピマー化を提供し、これは、ジアステレオマー的に高純度の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを費用効果的に製造する方法に有意に貢献する。
本発明は、更に、ジアステレオマー的に高純度の(3aR,4S,6aS)4−メトキシ−テトラヒドロ−フロ[3,4−b]フラン−2−オンを単離する目的で結晶化とエピ
マー化を同時に実施することも提供する。
本発明の別の態様では、(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを最新技術に記述されている方法に比べて高い収率で製造することを可能にする方法を提供する。本発明の別の目的は、ジアステレオマー的に高純度の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する時に用いるに有用な結晶化可能で高純度の中間体化合物を提供することにある。
発明の詳細な説明
本発明は、式(6)
Figure 2007530638
で表される構造を有する(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法に関し、この方法は、式(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を用いることを含んで成る。
本発明は、また、式(6)
Figure 2007530638
で表される構造を有する(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法にも関し、この方法は、式α−(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を用いることを含んで成る。
本発明は、更に、式(6)
Figure 2007530638
で表される構造を有する(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法にも関し、この方法は、
a)式(3)
Figure 2007530638
[式中、
およびPは、各々独立して、水素またはヒドロキシ保護基であるか、或は一緒になってビシナルジオール保護基を形成していてもよく、
は、アルキル、アリールまたはアラルキルである]
で表される化合物に塩基に続いて酸による処理をメタノールの存在下で受けさせる結果として式(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を生じさせ、そして
b)式(4)で表される中間体に還元剤による還元を受けさせそして分子内環化反応を起こさせることで式(6)で表される化合物を得る、
段階を含んで成る。
本発明は、1つの態様において、式(6)
Figure 2007530638
で表される構造を有する(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法に関し、この方法は、
a)式(3)
Figure 2007530638
[式中、
およびPは、この上で定義した通りであり、
は、この上で定義した通りである]
で表される化合物に塩基に続いて酸による処理をメタノールの存在下で受けさせる結果として式(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を生じさせ、
b)溶媒を用いて式α−(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を結晶化させ、そして
c)式α−(4)で表される中間体に還元剤による還元を受けさせそして分子内環化反応を起こさせることで式(6)で表される化合物を得る、
段階を含んで成る。
別の態様において、本発明は、酸を用いて式β−(4)で表される化合物から式α−(4)で表される化合物を生じさせるエピマー化:
Figure 2007530638
に関する。
別の態様において、本発明は、式(6)
Figure 2007530638
で表される構造を有する(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法に関し、この方法は、
a)式(3)
Figure 2007530638
[式中、
およびPは、この上で定義した通りであり、
は、この上で定義した通りである]
で表される中間体に塩基に続いて酸による処理をメタノールの存在下で受けさせる結果として式(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を生じさせ、
b)酸を用いて式β−(4)で表される中間体にエピマー化を起こさせることで式α−(4)で表される中間体を生じさせ、
Figure 2007530638
c)溶媒を用いて式α−(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を結晶化させ、そして
d)式α−(4)で表される中間体に適切な還元剤による還元を受けさせそして分子内環化反応を起こさせることで式(6)で表される化合物を得る、
段階を含んで成る。
別の態様において、本発明は、式(6)
Figure 2007530638
で表される構造を有する(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法に関し、この方法は、
a)前記式(3)
Figure 2007530638
[式中、
およびPは、この上で定義した通りであり、
は、この上で定義した通りである]
で表される中間体に塩基に続いて酸による処理をメタノールの存在下で受けさせる結果として式(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を生じさせ、
b)溶媒を用いて式α−(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を結晶化させ、
c)酸を用いて式β−(4)で表される中間体にエピマー化を上述した結晶化の母液中で起こさせることで式α−(4)で表される中間体を生じさせ、
Figure 2007530638
d)溶媒を用いて式α−(4)
Figure 2007530638
で表される中間体を結晶化させることで式α−(4)で表される中間体の2番目の収穫を得、そして
e)式α−(4)で表される中間体に適切な還元剤による還元を受けさせそして分子内環化反応を起こさせることで式(6)で表される化合物を得る、
段階を含んで成る。
更に別の態様において、本発明は、この上に示した方法に記述した如き式(6)で表される(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法に関し、この方法では、式α−(4)で表される化合物のエピマー化と結晶化を同時に起こさせる。
本発明は、更に、この上に示した方法に記述した如き式(6)で表される(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法も提供し、この方法では、式(2)
Figure 2007530638
で表される化合物をニトロメタンおよび塩基と反応させることで式(3)で表される化合物を得る。
そして、更に別の態様において、本発明は、この上に示した方法に記述した如き式(6
)で表される(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法も提供し、この方法では、式(1)
Figure 2007530638
[式中、PおよびPは、この上で定義した通りである]
で表される中間体またはこれの水和物、半水和物またはこれらの混合物と式(RO)P(=O)−CH−C(=O)OR
[式中、
は、この上で定義した通りであり、
は、アルキル、アリールまたはアラルキルである]
で表されるホスホネートを縮合させることで式(2)で表される化合物を得る。
本明細書で用いる如き用語「ヒドロキシ保護基」は、合成手順中にヒドロキシル基を望ましくない反応に対して保護する置換基、例えばGreene and Muts、「Protective Groups In Organic Synthesis」(John Wiley & Sons、New York、第3版、1999)に開示されているO−保護基などを指す。ヒドロキシ保護基には、置換メチルエーテル、例えばメトキシメチル、ベンジルオキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブチル、ベンジルおよびトリフェニルメチルなど、テトラヒドロピラニルエーテル、置換エチルエーテル、例えば2,2,2−トリクロロエチルなど、シリルエーテル、例えばトリメチルシリル、t−ブチル−ジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリルなど、およびエステル、例えば酢酸エステル、プロピオン酸エステル、安息香酸エステルなどが含まれる。
本明細書で用いる如き用語「ビシナルジオール保護基」は、アセタールもしくはケタール形態およびオルトエステル形態の保護基を指す。アセタールもしくはケタール基形態の保護基の具体例には、メチレン、ジフェニルメチレン、エチリデン、1−t−ブチルエチリデン、1−フェニルエチリデン、(4−メトキシフェニル)エチリデン、2,2,2−トリクロロエチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ベンジリデン、p−メトキシベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、3,4−ジメトキシベンジリデン、2−ニトロベンジリデンなどが含まれ、そしてオルトエステル形態の保護基の具体例には、メトキシメチレン、エトキシメチレン、1−メトキシエチリデン、1−エトキシエチリデン、1,2−ジメトキシ−エチリデン、アルファ−メトキシベンジリデン、1−(N,N−ジメチルアミノ)エチリデン、アルファ−(N,N−ジメチルアミノ)−ベンジリデン、2−オキサシクロペンチリデンなどが含まれる。好適な態様におけるビシナルジオール保護基はイソプロピリデンである。
本明細書で単独または基の一部として用いる如き用語「アルキル」は、炭素原子を1から20個含有(C1−20アルキル)、適切には炭素原子を1から10個含有(C1−10アルキル)、好適には炭素原子を1から8個含有(C1−8アルキル)、より好適には炭素原子を1から6個含有(C1−6アルキル)、更により好適には炭素原子を1から4個含有(C1−4アルキル)する直鎖もしくは分枝炭化水素鎖を有する飽和一価炭化水素
基、または炭素原子が少なくとも3個存在する場合には、環式炭化水素またはこれらの組み合わせを指す。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。
本明細書で単独または基の一部として用いる如き用語「アルケニル」は、炭素原子を2から約18個、好適には炭素原子を2から約8個、より好適には炭素原子を2から約5個含有しかつ二重結合を1個以上有する直鎖もしくは分枝炭化水素鎖を有する一価炭化水素基を指す。適切なアルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、1,4−ブタジエニルなどが含まれる。
本明細書で単独または基の一部として用いる如き用語「アルキニル」は、炭素原子を2から約10個、より好適には炭素原子を2から約5個含有しかつ三重結合を1個以上有する直鎖もしくは分枝炭化水素鎖を有する一価炭化水素基を指す。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、(プロパルギル)、ブチニルなどが含まれる。
本明細書で単独または基の一部として用いる如き用語「アリール」には、芳香炭化水素から水素が1個取り除かれることで生じた有機基が含まれ、それには単環式および多環式基、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチルなどが含まれる。
本明細書で単独または基の一部として用いる如き用語「アルコキシ」は、アルキルエーテル基(用語アルキルはこの上で定義した通りである)を指す。アルキルエーテル基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなどが含まれる。
本明細書で単独または組み合わせて用いる如き用語「アラルキル」および「アラルコキシ」は、少なくとも1個の水素原子がこの上で定義した如きアリール基に置き換わっているアルキルまたはアルコキシ基(この上で定義した如き)、例えばベンジル、ベンジルオキシ、2−フェニルエチル、ジベンジルメチル、ヒドロキシフェニルメチル、メチルフェニルメチルなどを意味する。
本明細書で単独または組み合わせて用いる如き用語「アラルコキシカルボニル」は、式アラルキル−O−C(O)−[ここで、用語「アラルキル」はこの上に示した意味を有する]で表される基を意味する。アラルコキシカルボニル基の例は、ベンジルオキシカルボニルおよび4−メトキシ−フェニルメトキシカルボニルである。
本明細書で単独または組み合わせて用いる如き用語「シクロアルキル」は、各環式部分が炭素原子を約3から約8個、より好適には炭素原子を約3から約6個含有する飽和もしくは部分飽和単環式、二環式もしくは三環式アルキル基を意味する。そのようなシクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。
本明細書で単独または組み合わせて用いる如き用語「シクロアルキルアルキル」は、この上で定義した如きシクロアルキル基で置換されているアルキル基(この上で定義した如き)を意味する。そのようなシクロアルキルアルキル基の例には、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、1−シクロペンチルエチル、1−シクロヘキシルエチル、2−シクロペンチルエチル、2−シクロヘキシルエチル、シクロブチルプロピル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチルなどが含まれる。
本明細書で単独または組み合わせて用いる如き用語「ヘテロシクロアルキル」は、窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子である環員を1員以上含有しかつ場合により1個以上の炭素原子がハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、オキソ、アリール、アラルキルなどで置換されていてもよくそして/または第二級窒素原子(即ち−NH−)がヒドロキシ、アルキル、アラルコキシカルボニル、アルカノイル、フェニルまたはフェニルアルキルで置換されていてもよくそして/または第三級窒素原子(即ち=N−)がオキシドで置換されていてもよい環員が好適には3から12員、より好適には環員が5から10員、最も好適には環員が5から6員の飽和もしくは部分不飽和単環式、二環式もしくは三環式複素環を指す。ヘテロシクロアルキルには、また、そのようにヘテロ原子を少なくとも1個有するベンゾ縮合単環式シクロアルキル基も含まれ、ヘテロシクロアルキルには、硫黄および窒素に加えて、また、スルホン、スルホキサイドおよび第三級窒素のN−オキサイドを含有するヘテロシクロアルキル基も含まれる。
本明細書で単独または組み合わせて用いる如き用語「ヘテロアリール」は、芳香の単環式、二環式もしくは三環式ヘテロシクロアルキル基(この上で定義した如き)を指し、これは場合によりこの上でアリールおよびヘテロシクロアルキルの定義に関して定義した如く置換されていてもよい。
そのようなヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリール基の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、ピロリル、イミダゾール−4−イル、1−ベンジルオキシ−カルボニルイミダゾール−4−イル、ピラゾリル、ピリジル、2−(1−ピペリジニル)−ピリジル、2−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル−1−ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、2−インドリル、2−キノリニル、3−キノリニル、1−オキシド−2−キノリニル、イソキノリニル、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソ−イソキノリニル、キノキサリニル、2−ベンゾフランカルボニル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリルなどである。
本明細書で用いる如き用語「シリル」は、場合により1個以上のアルキル、アリールおよびアラルキル基で置換されていてもよいケイ素原子を指す。
本明細書で用いる如き用語「異性体」、「異性体形態」、「立体化学異性体形態」または「立体異性体形態」は、前記工程中に得られる化合物または中間体が持ち得る同じ配列の結合で結合している同じ原子で構成されているが交換不能な異なる三次元構造を有する可能なあらゆる異性体形態ばかりでなく立体配座形態を定義するものである。特に明記しない限り、ある化合物の化学的表示に、前記化合物が持ち得る可能なあらゆる立体化学異性体形態の混合物を包含させる。前記混合物は前記化合物の基本的分子構造を有するあらゆるジアステレオイソマー、エピマー、鏡像異性体および/または配座異性体を含有する可能性がある。より詳細には、立体幾何中心はR−またはS−配置を取り得、ジアステレオイソマーはシン−またはアンチ−配置を取り得、二価環式飽和基上の置換基はシス−またはトランス−配置のいずれかを取り得、そしてアルケニル基はEまたはZ−配置を取り得る。高純度形態または互いの混合物の状態両方の前記化合物の立体化学異性体形態の全部を本発明の範囲内に包含させることを意図する。
同じ化学的構造を有しかつ立体中心を2個以上含有していて前記立体中心の中の1個以上の所の配置が異なる分子に用語「ジアステレオマー」または「ジアステレオマー形態」を適用する。
本発明における用語「エピマー」は、同じ化学的構造を有しかつ立体中心を2個以上含有していて前記立体中心の中の1個のみの所の配置が異なる分子を指す。詳細には、用語「エピマー」に炭素4(C−4)とメトキシ置換基の間の結合の配向が異なる式(4)で表される化合物、即ちそれぞれ式α−(4)およびβ−(4)で表される化合物[これらの場合、C−4はそれぞれ4Sおよび4Rである]を包含させることを意図する。
Figure 2007530638
式(1)、(4)、(6)で表される中間体および本明細書に記述する如き出発材料の高純度の立体異性体形態は、前記化合物または出発材料の基本的分子構造と同じ構造を有する他の鏡像異性体形態もジアステレオマー形態も実質的に存在しない異性体であるとして定義する。用語「立体異性体的に高純度」の化合物または出発材料は、適切には、立体異性体過剰度が少なくとも50%(即ち一方の異性体が最少で75%でありかつ他の可能な異性体が最大で25%である)から立体異性体過剰度が100%(即ち一方の異性体が100%でありかつ他の異性体が0である)に及ぶ化合物または出発材料、好適には立体異性体過剰度が75%から100%に及ぶ化合物または出発材料、より好適には立体異性体過剰度が90%から100%に及ぶ化合物、出発材料または試薬、更により好適には立体異性体過剰度が94%から100%に及ぶ化合物または中間体、最も好適には立体異性体過剰度が97%から100%に及ぶ化合物または中間体に関する。用語「鏡像異性体的に高純度」および「ジアステレオマー的に高純度」も同様な様式で理解されるべきであるが、それらはそれぞれ当該混合物の鏡像異性体過剰度およびジアステレオマー過剰度に関する。
このように、好適な態様では、S−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドを出発材料として95%より大の鏡像異性体過剰度、より好適には97%より大の鏡像異性体過剰度、更により好適には99%より大の鏡像異性体過剰度で用いる。
式(1)で表される化合物
Figure 2007530638
式(1)で表される化合物は商業的に利用できる供給源から入手可能である。式(1)で表される化合物を鏡像異性体的に高純度の形態またはラセミ形態のいずれかで合成することが文献に記述されている。例えば、2,3−O−イソプロピリデン−S−グリセロアルデヒドの製造がC.Hubschwerlen、Synthesis 1986、96
2に記述されており、2,3−O−イソプロピリデン−R−グリセロアルデヒドの製造がC.R.Schmid他、J.Org.Chem.1991、56、4056−4058に記述されており、そして2,3−O−イソプロピリデン−(R,S)−グリセロアルデヒドの製造がA.Krief他、Tetrahedron Lett.1998、39、1437−1440に記述されている。このように、前記式(1)で表される中間体は購入可能であるか、反応させる前に調製可能であるか、或はインシトゥ(in situ)で生成可能である。好適な態様では、前記化合物を例えば酸化を水溶液またはある程度水性の溶液中で実施することなどでインシトゥ生成させる。前記化合物が水溶液またはある程度の水性の溶液の状態の場合、それは一般にある程度水和物形態または半水和物形態で存在する。
本発明は、適切には、PとPが一緒になってビシナルジオール保護基、特に酸に不安定な保護基(これは次のネフ反応の塩基処理段階中に影響を受けないままである)を形成している方法に関する。前記ビシナルジオール保護基を好適にはメチレン、ジフェニルメチレン、エチリデン、1−t−ブチルエチリデン、1−フェニルエチリデン、(4−メトキシフェニル)エチリデン、2,2,2−トリクロロエチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ベンジリデン、p−メトキシベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、3,4−ジメトキシベンジリデンおよび2−ニトロベンジリデンから成る群から選択する。より好適な態様では、PとPが一緒になってジアルキルメチレン、例えばイソプロピリデンまたは3−ペンチリデン基などを形成している。最も好適な態様では、PとPが一緒になってイソプロピリデン基を形成している。イソプロピリデンの使用を他の保護基の使用と比べた時の具体的な利点は、ジオール保護に要する試薬、即ちジメトキシプロパン、2−メトキシプロペンまたはアセトンなどを商業的に安価に入手することができる点にある。
興味の持たれるビシナルジオール保護基は、式(1)、(2)および(3)で表される中間体の中に1個以上の追加的立体中心をもたらさない保護基である。
上述したヒドロキシ保護基およびビシナルジオール保護基は本技術分野で公知の方法、例えば加水分解、還元などで容易に開裂可能であり、そのような方法を適切には使用する保護基に応じて選択する。より好適な態様に従うビシナルジオール保護基は酸に不安定な保護基であるが、本明細書で用いる如き用語「酸に不安定」は、酸性条件を用いると容易に開裂するビシナルジオール保護基を指す。
式(2)で表される化合物
Figure 2007530638
次に、ホスホネートを塩基の存在下で用いることで式(1)で表される化合物またはこれらの水和物、半水和物またはこれらの混合物を式(2)で表される化合物に変化させる。この反応では、式(RO)P(=O)−CH−C)(=O)OR[式中、
は、アルキル、アリールまたはアラルキルであり、
は、アルキル、アリールまたはアラルキルである]
で表されるホスホネートを用いる。
適切には、Rは、C1−6アルキル、アリールまたはアリールC1−6アルキル、特
にC1−6アルキル、より特別には、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルおよびペンチルであり、好適には、Rは、メチル、エチルまたはt−ブチルであり、最も好適には、Rはエチルである。
ホスホネートの例には、とりわけ、2−(ジエチルホスホノ)プロピオン酸エチル、2−(ジメチルホスホノ)プロピオン酸エチル、ホスホノ酢酸トリエチル(TEPA)が含まれる。
式(1)で表される化合物とホスホネートを反応混合物中に好適には約0.9:1.1から約1.1:0.9のモル比の範囲、最も好適には約1:1のモル比で存在させる。式(1)で表される化合物をインシトゥで生じさせる場合、それの反応混合物中の含有量を測定すべきであり、それを基にしてホスホネートを約1当量添加する。
そのような縮合反応に適した温度は約−5℃から約50℃、好適には約−2℃から約35℃、より好適には約0℃から約25℃の範囲である。
式(1)で表される化合物を式(2)で表される化合物に変化させる目的で用いることができる適切な塩基の例には、これらに限定するものでないが、アルキルアミン、ナトリウム、カリウム、リチウムもしくはセシウムの炭酸塩、またはナトリウム、カリウム、リチウムもしくはセシウムの水酸化物もしくはアルコキサイド、およびこれらの混合物が含まれる。前記塩基は好適には炭酸カリウムであり、更により好適には、この塩基を水中の溶液としてではなく固体として添加する。また、より好適には、固体として用いる炭酸カリウムの量を式(1)で表される化合物を基準にして少なくとも約2.5当量にする。
そのような反応混合物が示すpHを好適には約7から約13の範囲内、より好適には約8から約12の範囲内に維持し、更により好適には、pHを約9から約11の範囲に維持する。
この反応で用いるに適した溶媒は、水、いずれかの炭化水素、エーテル、ハロゲン置換炭化水素、または本技術分野で縮合反応に適することが知られている芳香族溶媒である。それらには、これらに限定するものでないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン、t−ブチルメチルエーテル、ジアルキルエーテル(エチル、ブチル)、ジフェニルエーテル、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトニトリル、ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールが含まれる。好適には、水を溶媒として単一の溶媒としてか或は別の溶媒、例えばテトラヒドロフランなどとの混合物として用いる。
1つの態様では、有機相と水相を分離させた後に前記有機相とは異なる有機溶媒を用いて前記水相から式(2)で表される化合物の追加的部分を抽出することによる処理手順を式(2)で表される化合物が入っている反応混合物に適用してもよい。このように、テトラヒドロフラン相を水相から分離した後、後者に例えばトルエンによる抽出を2回受けさせてもよい。この抽出に好適な溶媒は酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフランである。最も好適な溶媒はトルエンである。
式(2)で表される化合物に好適にはシリカゲルを用いた精製を受けさせない。そのような手順でもたらされる式(2)で表される化合物の純度はシリカゲルを用いて精製した生成物のそれよりも低いが、その品質は、式(4)で表される化合物を満足される品質および収率で製造するに充分である。そのように精製を行わないことは最終的に本発明の産
業的方法を簡潔にするに役立つ。
式(2)で表される化合物は2種類の異性体形態、即ちE異性体およびZ異性体の形態で得られるが、E異性体が好適な異性体である。
式(3)で表される化合物
Figure 2007530638
次に、式(2)で表される化合物にミハエル付加を受けさせることができ、この反応では、ニトロメタンをホルミル基の前駆体として塩基と一緒に式(2)で表されるα,β不飽和エステル中間体に添加する。
ニトロメタンはメタノールに入っている溶液として商業的に入手可能であり、そのような組成物が好適である。
ミハエル付加に触媒作用を及ぼす目的で用いるに適した塩基の例は、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムの水酸化物もしくはアルコキサイド、TBAF(フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン)、TMG(1,1,3,3−テトラメチル−グアニジン)、好適には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキサイド、リチウムメトキサイド、TBAF、DBU、TMGおよびこれらの混合物、より好適にはDBUおよびTMG、最も好適にはDBUである。
式(2)で表される化合物を式(3)で表される化合物に変化させる時にDBUを塩基として用いる場合、その添加する塩基の量を適切には式(2)で表される化合物を基準にして約0.5当量より高い、より好適には約0.8当量より高い、更により好適には約0.8から約1.2当量の範囲、最も好適には約0.9から約1.1当量の範囲にする。好適な態様では、DBUをほぼ1当量存在させる。
ミハエル付加の実施で用いるに適した如何なる溶媒も使用可能である。適切な溶媒の例は、メタノール、エタノールおよびアセトニトリルである。そのような溶媒は好適にはメタノールであり、これを用いると1槽を用いた手順(one−pot procedure)の実施が可能になり、それによって、次に、その得た式(3)で表される化合物を式(4)で表される化合物に変化させることができる。
式(3)で表される化合物のシン付加形態が主に存在する。シン/アンチの比率は約8/2である。
Figure 2007530638
式(4)で表される化合物
Figure 2007530638
式(4)で表される化合物、即ちα−(4)およびβ−(4)は、式(3)で表される化合物から出発しそしてネフ反応を実施して相当するホルミル誘導体を生じさせると同時に酸触媒を用いたジオールの脱保護および2種類の環化反応を実施することから成る数多くの変換を通して得られる。式(3)で表される中間体に塩基を用いた処理を受けさせそして次にその反応混合物に酸による処理をメタノールの存在下で受けさせること、好適には前記反応混合物を酸にメタノールの存在下で添加または注ぎ込むことで式(4)で表される中間体を生じさせることを通して、そのような変換を達成する。この上に挙げた反応ではまた式(4’)で表される化合物も生じる。
Figure 2007530638
そのようなネフ反応では、第一もしくは第二ニトロアルカンを相当するカルボニル化合物に変化させる(N.Kornblum Organic reactions 1962、12、101およびH.W.Pinnick Organic Reactions 1990、38、655)。古典的な手順では、ニトロアルカンのα位に脱プロトンを塩基を用いて受けさせてニトロ官能を生じさせた後に強酸を添加してこれを過剰量で存在させることで中間体である「ニトロン酸」塩に酸触媒を用いた加水分解を受けさせることによってカルボニル誘導体を得る。
有機合成技術分野の技術者は適切な塩基を選択することができるであろう。適切な塩基には、これらに限定するものでないが、無機塩基、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムの水酸化物およびアルコキサイドなどが含まれる。適切な塩基の例
はリチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイド、リチウムメトキサイド、カリウムt−ブトキサド、二水酸化カルシウム、二水酸化バリウムおよび水酸化第四級アルキルアンモニウム、DBN(1,3−ジアザビシクロ[3.4.0]ノン−5−エン)、DBU、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、TBAF、TMG、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムまたはこれらの混合物である。好適な塩基はナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイド、リチウムメトキサイド、TBAF、DBU、TMGまたはこれらの混合物であり、より好適な塩基はナトリウムメトキサイド、リチウムメトキサイド、DBUまたはTMGまたはこれらの混合物であり、最も好適な塩基はナトリウムメトキサイドである。
酸として如何なる酸も使用可能であるが、好適には強酸、より好適には鉱酸、例えば濃硫酸、濃塩酸、最も好適には濃硫酸を用いてもよい。
前記ネフ反応で無水条件またはほとんど無水の条件を用いかつメタノールを溶媒として用いると、ホルミル基の環式メチルアセタールが得られる。式(4)および(4’)で表される中間体が有するメチル置換基は溶媒であるメタノールに由来する。
別法として、前記ネフおよび先行するミハエル付加を非メタノール系溶媒、例えばアセトニトリルなど中で実施する場合には、式(4)および(4’)で表される化合物以外のアセタール、通常は式(3)で表される化合物が有するR置換基に相当するヘミアセタールとアルキルアセタールの混合物が代わりに得られる。前記ヘミアセタールおよびアセタール同族体がメタノールと酸性条件下で新しく反応することで式(4)および(4’)で表される所望のメチルアセタールに変化し得る。
別法として、先行するミハエル付加をDBUまたはTMGを用いて実施しそして式(3)で表される化合物を単離しないで次のネフ反応を強塩基、特にナトリウムメトキサイドまたはリチウムメトキサイドを用いて実施すると、驚くべきことに、得られる式(4)で表される化合物の収率が有意に向上する。このように、ネフ反応中にDBUまたはTMGを強塩基と一緒に存在させるのが本発明の好適な態様である。
例えば、ニトロメタンを用いたミハエル付加をメタノール中で水酸化物、アルコキサイドまたはTBAFをいろいろな量で用いて実施した時にもたらされる式(3)で表される化合物の収率は式(2)で表される化合物を基準にして約80%である。式(3)で表される化合物を単離しないで次のネフおよび環化をナトリウムメトキサイドを追加的塩基として用いかつ硫酸をこれがメタノールに入っている酸性溶液として用いて実施すると、式(4)で表される化合物を式(2)で表される化合物を基準にして43%得ることができることに加えてα(4)/β(4)の比率は少なくとも約3/1である。
DBUまたはTMGを式(2)で表される化合物を基準にして約1当量用いてミハエル付加を実施した時にもたらされる式(3)で表される化合物の収率もまた式(2)で表される化合物を基準にして約80%である。しかしながら、式(3)で表される化合物を単離しないで次のネフおよび環化反応をナトリウムもしくはリチウムメトキサイドを式(2)で表される化合物を基準にして1.0当量組み合わせて用いて実施すると、式(4)で表される化合物を式(2)で表される化合物を基準にして53−58%の収率で得ることができることに加えてα(4)/β(4)の比率は少なくとも約3/1である。
式(4)で表される二環式中間体がシン配置の式(3)で表される中間体に由来する期待される環化生成物である。式(4’)で表される中間体がアンチ配置の式(3)で表される中間体に由来する期待される反応生成物であり、これは環化せず、かつまた、シン配置の式(3)で表される中間体に由来する期待される反応生成物でもある、と言うのは、
シン異性体の環化は一般に完全には完了しないからである。式(4’)で表される中間体が有するテトラヒドロフラン環上の炭素原子番号3(C−3)および炭素原子番号4(C−4)の所の置換基がトランス配置を有することでラクトン環の形成[式(4)で表される中間体で観察される如き]が邪魔される。
前記ネフおよび環化反応の酸性クエンチを好適には濃硫酸をメタノール中20重量%から80重量%の溶液、好適にはメタノール中40重量%から60重量%の溶液として過剰量、好適には式(2)で表される化合物を基準にして2から10当量、より好適には2.5から5当量、更により好適には3から4当量、最も好適には約3.5当量用いて実施する。硫酸の過剰度を高くすればするほど式(4)で表される化合物が示すアルファ/ベータ比が高くなるが、また、次のアルカリ性クエンチにおける中和に要する塩基の量も多くなってしまう。例えば、前記酸性クエンチで硫酸をメタノール中50重量%の溶液として式(2)で表される化合物を基準にして3.5当量用いると、4/1に及ぶα(4)/β(4)比を達成することができる。
そのようなネフおよび環化反応の酸性クエンチは約−40℃から約70℃の範囲の温度、好適には約−25℃から約15℃の範囲の温度、より好適には約−20℃から約5℃の範囲の温度、最も好適には約−15℃から約0℃の範囲の温度で実施可能である。その反応時間は約24時間以内の範囲、適切には約15分から約12時間の範囲内、更により適切には約20分から約6時間の範囲内であり得る。
式(4)で表される化合物を単離する場合、式(4’)で表される中間体の塩および一部を除去する目的で水性処理を実施する必要がある。先行して用いた酸を塩基で中和する、と言うのは、酸水溶液条件では式(4)で表される化合物のメチルアセタールが加水分解を起こしてヘミアセタール同族体が生じることで生成物が失われてしまうからである。このように、式(4)で表される化合物の単離を最適にはアルカリ性クエンチ反応、好適にはアルカリ水溶液によるクエンチ反応を伴わせて実施した後、水に混和しない有機溶媒を用いて式(4)で表される化合物を抽出する。好適には、前記ネフおよび環化反応の結果としてもたらされた酸性混合物をアルカリ水溶液に添加する。
アルカリ水溶液によるクエンチ反応中に用いる必要がある反応槽の容積が大きいことから、前記体積をできるだけ最小限にする方が好適である。これはいろいろな方法、例えば高い溶解性を示す塩基を用いるか、或は塩基をスラリー形態で用いることなどで達成可能である。このように、式(4)で表される化合物を処理する時に用いるに適した塩基は、重炭酸塩または炭酸塩、好適にはナトリウム、カリウム、リチウムまたはセシウムの重炭酸塩、好適にはナトリウム、カリウム、リチウムまたはセシウムの重炭酸塩、更により好適にはナトリウムまたはカリウムの重炭酸塩、最も好適にはカリウムの重炭酸塩であり、これを完全に溶液の状態でか或はスラリーとして用いる。このように、飽和炭酸水素ナトリウム溶液の代わりに飽和炭酸水素カリウム溶液をアルカリ性クエンチで用いると、それの方が溶解度が高いことから、水相の体積を更に小さくすることが可能になりかつ生じる硫酸カリウムの濾過性の方が硫酸ナトリウムの濾過性よりも驚くべきほど良好であると言った利点が得られる。
そのようなアルカリ性クエンチ中のpHを有利には約2から約9、好適には約3から約8、より好適には約3.5から約7.5の範囲に維持する。また、そのアルカリ性クエンチの終点におけるpHも有利に約3.5から約6、好適には約3.5から約5、最も好適には約3.8から約4.5の範囲内に設定する。そのような必要なpH範囲はこの上に示した如き炭酸塩および重炭酸塩を用いることで達成可能である。場合により、前記クエンチ反応の終点におけるpHを特定の値に設定する目的で追加的塩基または酸を用いることも可能である。前記アルカリ性クエンチ後であるが有機溶媒による抽出を行う前にメタノ
ールを好適なpH範囲の反応混合物から約0℃から約65℃、好適には約20℃から約45℃の範囲の温度で蒸発させてもよい。そのような条件にすると、大規模にすることで滞留時間が長くなった時でも式(4)で表される化合物が劣化を起こすことはない。有機溶媒を用いた抽出を行う前にメタノールを蒸発させて除去しておくと、抽出の効率が有意に向上することで有機溶媒の消費量が少なくなりかつ生産性が更に向上すると言った利点が得られる。
水に混和しない適切な有機溶媒はエステル、炭化水素、エーテル、ハロゲン置換炭化水素または芳香族溶媒のいずれかである。それらには、これらに限定するものでないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン、t−ブチルメチルエーテル、ジアルキルエーテル(エチル、ブチル)、ジフェニルエーテル、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトニトリル、ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、好適には酢酸エチルが含まれる。
式(4)で表される化合物の抽出収率を向上させる目的で、抽出を受けさせる前の混合物に水溶性塩を添加してもよい。好適な塩にはNaClが含まれる。
従来技術のクネベナゲル経路と比較した時の本発明に開示する方法の1つの利点は、アルカリ性水溶液によるクエンチ中に有機溶媒を用いて式(4)で表される化合物を同時に抽出する必要がない点にある。アルカリ性クエンチ中に有機溶媒を存在させる必要がないことも更に反応槽の容積を小さくするに役立ち、かつ生じた無機塩の濾過もずっとより容易である。クネベナゲル経路の場合、生成物の損失を回避すべき時には、アルカリ性クエンチ中に有機溶媒を存在させる必要がある。
式α−(4)で表される化合物を高純度形態で更に単離しようとする時には、前記化合物の結晶化を用いてもよい。
結晶化
式α−(4)で表される化合物の結晶化は溶媒、例えば有機溶媒、無機溶媒または水およびこれらの混合物を用いて実施可能である。結晶化で用いるに適した溶媒には、イソプロパノール、t−アミルアルコール、t−ブタノール、酢酸エチル、エタノールおよびメチルイソブチルケトンが含まれる。特にイソプロパノール、t−アミルアルコールおよびt−ブタノールが好適である、と言うのは、それらを用いると高い結晶化収率がもたらされかつ高純度の生成物がもたらされるからである。より好適には、イソプロパノールまたはt−アミルアルコールを用い、最も好適にはイソプロピルアルコールを用いる。
この結晶化で用いる溶媒がイソプロピルアルコールの場合、式α−(4)で表される化合物を結晶化させる前の好適な濃度は約5から約30重量%、より好適には約10から約25重量%、更により好適には約15から約20重量%の範囲である。
結晶化でもたらされる式α−(4)で表される化合物は高純度ではあるが、式β−(4)で表される化合物が少量、即ち約5%未満、特に約3%未満の量で存在する可能性がある。
エピマー化
ベータ異性体形態の式(4)で表される化合物のエピマー化を酸、例えば有機もしくは無機酸を用いて好適には水を存在させないでメタノールを存在させて起こさせることで式α−(4)で表される化合物を生じさせることができる。
エピマー化を好適にはメタノール中でMeSOHを用いるか或は同様な酸強度を有する匹敵する酸のいずれかを用いて起こさせる、と言うのは、そのようにすると副生成物の生成が防止されるからである。メタノールに入れて用いるMeSOHの量を式(4)で表される化合物を基準にして好適には約0.05から約1.5当量、より好適には約0.1から約0.3当量の範囲にする。
そのようなエピマー化を起こさせる温度を約0℃からほぼ還流温度、好適には約20℃からほぼ還流温度、より好適には約40℃からほぼ還流温度の範囲、更により好適にはほぼ還流温度にする。
この上に記述した方法の数種には代替法がいくつか存在する可能性がある。例えば、1つの態様では、式α−(4)で表される化合物と式β−(4)で表される化合物の混合物を得た後、式α−(4)で表される化合物を結晶化させそして合成手順を継続することで式(6)で表される化合物を生じさせる。別の態様において、技術者は、式α−(4)で表される化合物を結晶化させ、残存する母液[望まれないβ−(4)エピマーが比較的多量に入っている]にエピマー化を起こさせることでα−(4)エピマーの量が比較的多量の混合物を得た後にα−(4)エピマーの2回目の結晶化を行うように進行させることを選択することができるであろう。例えば、α−(4)/β−(4)比が約3.5/1から約4/1の範囲の式(4)で表される化合物の粗混合物を結晶化させる場合、α−(4)の1番目の収穫物を単離した後に残存する母液が示すα−(4)/β−(4)比は約0.3/1から約1.5/1の範囲である。β−(4)エピマーのエピマー化後に母液が示すα−(4)/β−(4)比は約3/1であり、そして結晶化で得るα−(4)の2番目の収穫物が示す純度は少なくともα−(4)の1番目の収穫物が示すそれに匹敵する。
別法として、α−(4)エピマーの結晶化とβ−(4)からα−(4)エピマーを生じさせるエピマー化反応を同時に起こさせることを通して進行させることも可能である。別の態様では、β−(4)からα−(4)エピマーを生じさせるエピマー化から出発した後にα−(4)エピマーを結晶化させることも可能である。更に別の態様では、β−(4)からα−(4)エピマーを生じさせるエピマー化から出発した後にα−(4)エピマーを結晶化させ、残存する母液に2回目のエピマー化を起こさせそして追加的結晶化を実施してα−(4)の2番目の収穫物を得ることも可能である。
このように、1つの態様では、イソプロパノールを用いて式α−(4)で表される化合物を結晶化させた後にこの先行する結晶化の母液にエピマー化を、イソプロパノールを蒸発させ、その残留物をメタノールで取り上げそしてMeSOHを好適には約0.1から約0.3当量用いて約30分から約4時間還流させることで起こさせてもよい。その後、その反応混合物をNaHCO水溶液の中に注ぎ込み、EtOAcで抽出しそしてその有機相の溶媒をイソプロパノールに交換すると、式α−(4)で表される化合物の2番目の部分を結晶化によって高純度で得ることができる。
好適な態様では、α−(4)エピマーの直接的結晶化とβ−(4)からα−(4)エピマーを生じさせるエピマー化を同時に起こさせること、これはまた結晶化誘発不斉変換とも認識されるが、による1段階でα−(4)エピマーとβ−(4)エピマーの混合物を100%またはほとんど100%アルファの異性体に100%またはほとんど100%の収率で、従って副生成物の生成無しに変化させることができる。結晶化誘発不斉変換は、α−(4)エピマーとβ−(4)エピマーの混合物をメタノールに両方のエピマーの総量を基準にして約0.10当量のMeSOHの存在下で溶解させそして前記メタノールを真空下約30℃から約40℃で蒸発させることで達成可能である。このような態様が特に好適である、と言うのは、α−(4)エピマーとβ−(4)エピマーの混合物を1段階でα−(4)エピマーのみに変化させることができることで生産費用が低くなりかつ得られる1バッチのα−(4)の品質が均一になるからである。
好適な態様では、溶媒をメタノールから結晶化用溶媒、例えばイソプロパノールなどに交換する前に酸、例えばMeSOHなどの中和を実施する。前記中和は塩基を、使用したエピマー化用酸を基準にして若干モル過剰量で添加することで達成可能である。塩基としては、この塩基とエピマー化用酸の塩がα−(4)エピマーの結晶に混入しない限り、如何なる塩基も使用可能である。例えば、MeSOHをエピマー化用酸として用いる場合、第三級アミン、好適にはトリエチルアミンを用いてもよく、それによって、メタンスルホン酸トリエチルアンモニウム塩が生じるが、これがイソプロパノールを用いた結晶化中にα−(4)エピマーの結晶に混入することはない。この中和でNEtをMeSOHよりも若干過剰量で添加すると、イソプロピルアセタール(次に溶媒をメタノールからイソプロパノールに交換している時の酸性条件下で生じる可能性がある)が副生成物として生じることが回避される。次に溶媒をメタノールからイソプロパノールに交換しそして結晶化を実施すると、メタンスルホン酸トリエチルアンモニウム塩が全く混入しないか或は混入する度合が最小限であることで、式α−(4)で表される化合物が高純度で得られる。
式(6)で表される化合物
式α−(4)で表される化合物に還元を受けさせた後に環化反応を起こさせることで式(6)で表される化合物を得る。式α−(4)で表される化合物に還元を受けさせる結果として生じる中間体は式(5)
Figure 2007530638
で表される化合物である。
好適には、式(5)で表される化合物を単離しないで直接環化させて式(6)で表される化合物を生じさせる。
そのような還元段階は、便利に、式α−(4)で表される中間体に金属の水素化物、例えばホウ水素化リチウム、ホウ水素化ナトリウム、ホウ水素化ナトリウム−塩化リチウムなどを用いた処理を適切な無水溶媒中で受けさせることで達成可能である。
適切な無水溶媒の例には、これらに限定するものでないが、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、ベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、1,4−チオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、および一般に、この上に挙げた還元剤を用いた化学的還元方法における使用が受け入れられる無水溶媒のいずれも含まれる。好適な溶媒はテトラヒドロフランである。好適な態様に従い、ホウ水素化リチウムまたはホウ水素化ナトリウムを用いて還元段階をテトラヒドロフラン中で実施する。
ホウ水素化リチウムを還元剤として用いる場合には、その還元剤の量を式α−(4)で
表される化合物の量を基準にして約1から約1.5当量、好適には約1.1から約1.3当量の範囲にする。
前記還元段階は約−78℃から約55℃、好適には約−15℃から約45℃、最も好適には約0℃から約40℃の範囲の温度で実施可能である。その反応時間は約24時間以内であり得るが、適切には、約2から約24時間の範囲に渡って多様である。
式(5)で表される化合物を環化反応で所望の式(6)で表される化合物に変化させることができる。この環化反応は分子内アセタール交換で起こり、これは酸に適合する有機溶媒または水に混和する溶媒と水の組み合わせのいずれ中でも有機もしくは無機強酸の存在下で実施可能である。前記反応を適切には式(5)で表される化合物に触媒量の強酸を用いた処理を受けさせることで実施する。好適な態様では、そのような強酸を塩酸および硫酸から成る群から選択し、それをテトラヒドロフランに入れて用いる。前記環化段階を好適には約5℃未満、より好適には約−5℃未満の温度で実施する。
Figure 2007530638
特に好適な態様では、ホウ水素化リチウムもしくはホウ水素化ナトリウムを用いた還元をテトラヒドロフラン中で実施することによってホウ素の錯体として得た式(5)で表される化合物に濃鉱酸による処理を受けさせそして式(5)で表される化合物の錯体を壊すことと式(5)で表される化合物から式(6)で表される化合物を生じさせる環化を同時に実施する。好適には強鉱酸、より好適には濃硫酸または濃塩酸、最も好適には濃塩酸を用いる。その塩酸の量は使用するホウ水素化リチウムもしくはナトリウムの量を基準にして1.0から1.4当量の範囲に渡って多様であり得るが、好適にはそれを1.1から1.3当量の範囲にする。
式(6)で表される化合物を高純度形態で単離することに関して、前記還元、錯体崩壊および環化段階で用いた試薬からもたらされる無機塩を除去するのが望ましい。これを水性−有機溶媒抽出手順を用いて実施することは可能であるが、しかしながら、好適には、塩基を式(5)で表される化合物の錯体を壊す時および環化反応で式(6)で表される化合物を生じさせる時に用いる酸に比べて若干過剰量で添加することでそれを実施する。その後、溶媒をより極性のない(apolar)溶媒に交換すると、結果として、前記還元および錯体崩壊の結果として生じた塩が沈澱を起こす。
式(6)で表される化合物を処理する時に用いる塩基として、前記錯体崩壊および式(5)で表される化合物から式(6)で表される化合物を生じさせる環化反応で用いる鉱酸とそれの塩が溶媒交換後の最終的な溶媒中で示す溶解度が低い限り、如何なる塩基も使用可能である。例えば、前記還元でホウ水素化リチウムをテトラヒドロフランに入れて用いた場合には、濃HCl水溶液を錯体崩壊/環化で用い、そして酢酸エチルが最終的な溶媒の場合には、第三級アミン、特にトリエチルアミンが前記酸の中和で用いるに適した塩基である。その場合には、ホウ素塩および塩酸トリエチルアミンのほとんど全部が沈澱しかつ式(6)で表される化合物の全部が溶液の中に残存する。その固体を濾過すると、高純度の式(6)で表される化合物が入っている溶液が残存し、それに処理を受けさせて所望の如何なる形態にすることも可能である。
式(6)で表される化合物のもう一方の鏡像異性体、即ち式(6d)で表される化合物である(3S,3aR,6aS)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールもまたHIVプロテアーゼ阻害剤の活性部分であることが観察される。
Figure 2007530638
このように、本発明に開示した方法、手順、反応体および条件(相当する結晶化およびエピマー化を包含)と同じそれらを式(6d)で表される化合物の調製に適用することも可能であり、式(6d)で表される化合物を調製する時には、それの前駆体である式(1d)で表される化合物を用いかつ他の中間体、例えば以下の式(4d)で表される化合物などを用いる。
Figure 2007530638
式(6)で表される化合物および式(6d)で表される化合物は特に薬剤の調製で使用可能である。好適な態様に従い、式(6)で表される本化合物および式(6d)で表される本化合物を抗ウイルス薬、特に抗HIV薬、より詳細にはHIVプロテアーゼ阻害剤を調製する時の前駆体として用いる。
式(6)で表される化合物および立体異性体的に高純度の前記化合物の生成をもたらす中間体は全部がWO 95/24385、WO 9/65870、WO 00/47551、WO 00/76961および米国特許第6,127,372号、WO 01/25240、EP 0 715 618およびWO 99/67417(これらは全部引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている如きHIVプロテアーゼ阻害剤、特に下記のHIVプロテアーゼ阻害剤の調製に関して特に興味が持たれる。
[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−3−[[(4−メトキシフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−1−(フェニル−メチル)プロピル]−カルバミン酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル(HIVプロテアーゼ阻害剤1);
[(1S,2R)−3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニル−メチル)プロピル]−カルバミン酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル(HIVプロテアーゼ阻害剤2);
[(1S,2R)−3−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルスルホニル)(2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)プロピル]−カルバミン酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル(HIVプロテアーゼ阻害剤3)、またはこれらの薬学的に受け入れられる付加塩のいずれか。
従って、本発明は、また、本発明に従って調製した式(6)で表される化合物を前記HIVプロテアーゼ阻害剤を化学的に合成する時に用いることで得たHIVプロテアーゼ阻害剤1、2、3またはこれらの薬学的に受け入れられる塩もしくはプロドラッグのいずれにも関する。そのような化学的合成は文献、例えばWO 01/25240、EP 0 715 618およびWO 99/67417などに開示されている。
このように、この上に示したプロテアーゼ阻害剤の調製は下記の一般的手順を用いることで実施可能である。下記の式
Figure 2007530638
[式中、Pはアミノ保護基であり、そしてRは、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびアラルキル基(これらの基は場合によりアルキルおよびハロゲン基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、−ORおよび−SRから選択される基で置換されていてもよく、ここで、Rは水素、アルキルおよびハロゲン基を表す)を表す]
で表されるN保護アミノエポキシドを、相当するクロロケトンから塩基および溶媒系の存在下で生じさせる。前記アミノエポキシドを生じさせる時に用いるに適した溶媒系には、エタノール、メタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど(これらの混合物を包含)が含まれる。還元を受けさせたクロロケトンから前記エポキシドを生じさせる時に用いるに適した塩基には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムt−ブトキサド、DBUなどが含まれる。
別法として、保護アミノエポキシドの調製をL−アミノ酸から出発してこれを適切なアミノ保護基と適切な溶媒中で反応させて式:
Figure 2007530638
[式中、P”’はカルボキシル保護基、例えばメチル、エチル、ベンジル、t−ブチルなどを表し、Rはこの上で定義した通りであり、そしてP’および”は、独立して、アミン保護基(これには、これらに限定するものでないが、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルケニルアルキルおよび置換シクロアルケニルアルキル、アリル、置換アリル、アシル、アルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニルおよびシリルが含まれる)から選択される]
で表されるアミノ保護L−アミノ酸エステルを生じさせることで実施することも可能である。
加うるに、P’および/またはP”保護基は、これらが結合している窒素と一緒になって複素環式環、例えば1,2−ビス(メチレン)ベンゼン、フタルイミジル、スクシニミジル、マレイミジルなどを形成していてもよく、そしてここで、そのような複素環式基は更に隣接するアリールおよびシクロアルキル環も含有していてもよい。加うるに、前記複素環式基は一置換、二置換または三置換されていてもよく、例えばニトロフタルイミジルであってもよい。
次に、前記アミノ保護L−アミノ酸エステルに還元を受けさせることで相当するアルコールを生じさせる。例えば、前記アミノ保護L−アミノ酸エステルに水素化ジイソブチルアルミニウムを用いた還元を−78℃の適切な溶媒、例えばトルエンなど中で受けさせてもよい。好適な還元剤には、水素化リチウムアルミニウム、ホウ水素化リチウム、ホウ水素化ナトリウム、ボラン、水素化リチウムトリ−t−ブトキシアルミニウム、ボラン/THF錯体が含まれる。
次に、その結果として得たアルコールに変換を例えばSwern酸化などで受けさせることで式:
Figure 2007530638
[式中、P’、P”およびRは、この上で定義した通りである]
で表される相当するアルデヒドを生じさせる。このように、前記アルコールのジクロロメタン溶液をジクロロメタン中の塩化オキザリルとDMSOをジクロロメタンに入れることで生じさせた冷(−75から−68℃)溶液に添加した後、35分間撹拌する。
受け入れられる酸化剤には、例えば三酸化硫黄−ピリジン錯体とDMSO、塩化オキザリルとDMSO、塩化アセチルもしくは無水物とDMSO、トリフルオロアセチルクロライドもしくは無水物とDMSO、メタンスルホニルクロライドとDMSOまたはテトラヒドロチアフェン−S−オキサイド、トルエンスルホニルブロマイドとDMSO、無水トリフルオロメタンスルホニル(トリフリックアンヒドライド)とDMSO、五塩化燐とDMSO、ジメチルホスホリルクロライドとDMSO、およびクロロ蟻酸イソブチルとDMSOが含まれる。
そのような方法のアルデヒドの調製をまた、保護フェニルアラニンおよびフェニルアラニン類似物もしくはこれらのアミドもしくはエステル誘導体に還元を例えばナトリウムマルガムとHClをエタノール中で用いるか或はリチウムまたはナトリウムまたはカリウムまたはカルシウムをアンモニア中で用いることで受けさせる方法で実施することも可能である。その反応の温度は約−20℃から約45℃、好適には約5℃から約25℃であってもよい。そのような窒素保護アルデヒドを得る追加的2方法には、相当するアルコールに漂白剤を用いた酸化を触媒量の2,2,6,6−テトラメチル−1−ピリジルオキシ フリーラジカルの存在下で受けさせることが含まれる。2番目の方法では、前記アルコールからアルデヒドを生じさせる酸化を触媒量の過ルテニウム酸(perruthenate)テトラプロピルアンモニウムをN−メチルモルホリン−N−オキサイドの存在下で用いることで達成する。
別法として、この上に開示した如き保護フェニルアラニンもしくはフェニルアラニン誘導体の酸クロライド誘導体に還元を水素および触媒、例えば炭酸バリウムもしくは硫酸バリウムに担持されているPdなどを用いて追加的触媒調節剤、例えば硫黄またはチオールなどの使用有り無しで受けさせることも可能である(ローゼンムント還元)。
次に、前記Swern酸化の結果としてもたらされたアルデヒドをハロメチルリチウム試薬(アルキルリチウムもしくはアリールリチウム化合物と式XCH[式中、XおよびXは、独立して、ヨウ素、臭素または塩素を表す]で表されるジハロメタンを反応させることでインシトゥで生じさせた)と反応させる。例えば、前記アルデヒドとクロロヨードメタンをTHFに入れることで生じさせた溶液を−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウムをヘキサンに入れることで生じさせた溶液を加える。その結果として生じる生成物は相当する式:
Figure 2007530638
で表されるアミノ保護エポキシドのジアステレオマー混合物である。
前記ジアステレオマーを例えばクロマトグラフィーで分離してもよいか、或は別法として、それを次の段階で反応させた後に生じるジアステレオマー生成物を分離することも可能である。(S)立体化学を有する化合物の場合、D−アミノ酸をL−アミノ酸の代わりに用いてもよい。
キラルアミノアルデヒドへのクロロメチルリチウムまたはブロモメチルリチウムの付加は高度にジアステレオ選択的である。好適には、ジハロメタンとn−ブチルリチウムを反応させることでクロロメチルリチウムまたはブロモメチルリチウムをインシトゥで生じさせる。受け入れられるメチレン化用ハロメタンには、クロロヨードメタン、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン、ジヨードメタン、ブロモフルオロメタンなどが含まれる。付加生成物、例えば臭化水素とホルムアルデヒドの付加生成物のスルホン酸エステルもまたメチレン化剤になる。
テトラヒドロフランが好適な溶媒であるが、しかしながら、代替溶媒、例えばトルエン、ジメトキシエタン、二塩化エチレン、塩化メチレンなども高純度の溶媒または混合物として使用可能である。二極性の非プロトン性溶媒、例えばアセトニトリル、DMF、N−メチル−ピロリドンなども溶媒としてか或は溶媒混合物の一部として用いるに有用である。前記反応は不活性雰囲気、例えば窒素またはアルゴン下などで実施可能である。n−ブチルリチウムの代わりに他の有機金属試薬、例えばメチルリチウム、t−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、フェニルリチウム、フェニルナトリウムなどを用いることも可能である。前記反応は約−80℃から0℃の範囲の温度、好適には約−80℃から−20℃の範囲の温度で実施可能である。
前記アルデヒドからこれのエポキシド誘導体への変換もまた多段階で実施可能である。例えば、チオアニソールのアニオン(例えばブチルもしくはアリールリチウム試薬から生じた)を前記保護アミノアルデヒドに添加し、その結果として生じた保護アミノスルフィドアルコールに酸化を良く知られている酸化剤、例えば過酸化水素、次亜塩素酸t−ブチル、漂白剤または過ヨウ素酸ナトリウムなどを用いて受けさせることでスルホキサイドを生じさせる。前記スルホキサイドにアルキル置換を例えばヨウ化メチルもしくは臭化メチル、トシル酸メチル、メシル酸メチル、メチルトリフレート、臭化メチル、臭化イソプロピル、塩化ベンジルなどを用いて有機もしくは無機塩基の存在下で受けさせる。
別法として、前記保護アミノスルフィドアルコールにアルキル置換を例えばこの上に示したアルキル化剤を用いて受けさせることでスルホニウム塩を生じさせた後、それを第三級アミンまたは鉱塩基で主題のエポキシドに変化させる。
その所望のエポキシドは、最も好適な条件を用いると、ジアステレオ選択的に少なくとも約85:15の比率(S:R)の比率の量で生じた。その生成物をクロマトグラフィーで精製することでジアステレオマー的および鏡像異性体的に高純度の生成物を得ることができるが、より便利には、精製無しに直接用いてレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤を調製する。この上に示した方法は光学的異性体の混合物ばかりでなく分割した化合物にも適用可能である。特定の光学異性体が望まれる場合、出発材料、例えばL−フェニルアラニン、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニノール、D−フェニルアラニノール、D−ヘキサヒドロフェニルアラニノールなどを選択することでそれを選択することができるか、或は分割を中間的または最終的段階で実施することも可能である。本発明の化合物の塩、エステルまたはアミドを生じさせる目的でキラル補助剤、例えば樟脳スルホン酸、クエン酸、樟脳酸、2−メトキシ−フェニル酢酸などを1または2当量用いてもよい。そのような化合物または誘導体を結晶化させるか或は本分野の技術者に良く知られている如きキラルもしくはアキラルのいずれかのカラムを用いたクロマトグラフィーで分離してもよい。
次に、前記アミノエポキシドと等量または好適には過剰量の式RNH[式中、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アミノアルキル、および一置換および二置換アミノアルキル基(前記置換基はアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキル基から選択されるか、或は二置換アミノアルキル基の場合、前記置換基はこれらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基を形成している)である]で表される所望アミンを適切な溶媒系中で反応させる。
この反応は幅広い範囲の温度、例えば約10℃から約100℃で実施可能であるが、好適には、必ずしもではないが、溶媒が還流し始める温度で実施する。
適切な溶媒系には、プロトン性、非プロトン性および二極性の非プロトン性有機溶媒が含まれ、そのような溶媒は例えばアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなど、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンなど、およびトルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、およびこれらの混合物である。好適な溶媒はイソプロパノールである。式RNHに相当する典型的なアミンには、ベンジルアミン、イソブチルアミン、n−ブチルアミン、イソペンチルアミン、イソアミルアミン、シクロヘキサンメチルアミン、ナフチレンメチルアミンなどが含まれる。その結果として生じる生成物は3−(N保護アミノ)−3−(R)−1−(NHR)−プロパン−2−オール誘導体であり、これを本明細書では以降アミノアルコールと呼び、そしてこれは式:
Figure 2007530638
[式中、P、P’、P”、RおよびRは、この上で定義した通りである]
で表される。別法として、ハロアルコールをアミノエポキシドの代わりに用いることも可能である。
次に、この上で定義したアミノアルコールと塩化スルホニル(RSOCl)または無水スルホニルを酸捕捉剤の存在下の適切な溶媒中で反応させる。この反応の実施を可能にする適切な溶媒には、塩化メチレン、テトラヒドロフランが含まれる。適切な酸捕捉剤には、トリエチルアミン、ピリジンが含まれる。好適な塩化スルホニルは塩化メタンスルホニルおよび塩化ベンゼンスルホニルである。その結果として生じるスルホンアミド誘導体は、用いたエポキシドに応じて、式
Figure 2007530638
[式中、P、P’、P”、R、RおよびRは、この上で定義した通りである]
で表され得る。そのような中間体はプロテアーゼ阻害剤化合物を調製しようとする時に用いるに有用であり、かつまた、レトロウイルスプロテアーゼの活性のある阻害剤でもある。
式RSOXで表されるハロゲン化スルホニルの調製は、適切なグリニヤールもしくはアルキルリチウム試薬と塩化スルフリルもしくは二酸化硫黄を反応させた後にハロゲン、好適には塩素を用いて酸化を起こさせることで実施可能である。また、塩素を水の存在下で用いてチオールに酸化を注意深く制御した条件下で受けさせることで塩化スルホニルを生じさせることも可能である。加うるに、PClなどの如き試薬を用いてスルホン酸をハロゲン化スルホニルに変化させそしてまた適切な脱水試薬を用いて無水物に変化させることも可能である。次に、本技術分野で良く知られた手順を用いてスルホン酸を生じさせることができる。そのようなスルホン酸はまた商業的にも入手可能である。−SO−部分がそれぞれ−SO−または−S−部分に置き換わっている化合物を調製しようとする時には、ハロゲン化スルホニルの代わりにハロゲン化スルフィニル(RSOX)またはハロゲン化スルフェニル(RSX)を用いることも可能である。
前記スルホンアミド誘導体を生じさせた後、アミノ保護基PもしくはP’およびP”アミノ保護基の除去を分子の残りの部分に影響を与えない条件下で実施する。そのような方法は本技術分野で良く知られており、酸による加水分解、水素添加分解などが含まれる。好適な方法は、炭素に担持されているパラジウムを適切な溶媒系、例えばアルコール、酢酸などまたはこれらの混合物中で用いる水素添加分解で保護基を除去、例えばカルボベンゾオキシ基を除去することを伴う。当該保護基がt−ブトキシカルボニルの場合、無機もしくは有機酸、例えばHClまたはトリフルオロ酢酸などを適切な溶媒系、例えばジオキサンまたは塩化メチレンなどに入れて用いることでそれを除去することができる。その結
果としてもたらされる生成物は式:
Figure 2007530638
で表されるアミン塩誘導体である。
このアミンを式
Figure 2007530638
[式中、Rは、(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オキシ基であり、そしてLは、適切な脱離基、例えばハライドなどである]で表されるカルボキシレートとカップリングさせることができる。その遊離アミン(またはアミンの酢酸塩)と約1.0当量の前記カルボキシレートが入っている溶液を適切な溶媒系中で混合しそして場合により5当量以下の量の塩基、例えばN−メチルモルホリンなどを用いた処理をほぼ室温で実施してもよい。適切な溶媒系には、テトラヒドロフラン、塩化メチレンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなど(これらの混合物を包含)が含まれる。
別法として、前記アミンを活性化(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールスクシニミジルカーボネートとカップリングさせることも可能である。(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールの活性化は、例えば、それをジスクシニミジルカーボネートおよびトリエチルアミンと反応させることなどで達成可能である。
実施例
以下の実施例は本発明の具体例を示すことを意味する。本実施例は本発明を例示する目的で示すものであり、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
あらゆる反応を窒素雰囲気下で実施した。溶媒および試薬はさらなる精製無しに供給されたまま用いた。Bruker AC−200 NMR分光計を200MHzで用いてH NMRスペクトルをCDClまたはDMSO−d中で記録した。定量的H NMRの実施ではクロロベンゼンを内部標準として用いた。報告する収率の全部に生成物の不純物に関する補正を受けさせた。
反応混合物に入っているS−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドのガスクロ(GC)検定およびe.e.測定の実施では、Agilent 6890 GC(EPC)および60mで膜厚が0.25μmのBetadexカラム(部品番号24305、Supelcoまたは相当物)を用い、26.4kPaのカラムヘッド圧を用い、カラム流量を1.4mL/分にし、分流を37.5mL/分にしそして注入温度を150℃にした。使用した傾斜(ramp)は下記であった:初期温度を60℃(3分間)にし、上昇速度を5℃/分にし、中間的温度を130℃(1分間)にし、上昇速度を25℃/分にし、最終的温度を230℃(8分間)にした。FID検出器を用いて検出を250℃の温度で実施した。滞留時間は下記の通りであった:クロロベンゼン(内部標準):13.9分、S−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒド:15.9分、R−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒド:16.2分。
R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルのGC検定およびe.e.測定の実施では、この上に記述した装置を用いたが、250℃の注入温度を用いた。使用した傾斜は下記であった:初期温度を80℃(1分間)にし、上昇速度を5℃/分にし、最終的温度を225℃(10分間)にした。FID検出器を用いて検出を250℃の温度で実施した。滞留時間は下記の通りであった:トルエン:7.3分、クロロベンゼン(内部標準):9.4分、S−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒド:10.7分、R−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒド:10.9分、Z−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル:20.4分、E−R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル:22.6分、E−S−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル:22.9分、ホスホノ酢酸トリエチル(TEPA):25.5分。
化合物α−(4)およびβ−(4)のGC検定の実施では、Agilent 6890
GC(EPC)および25mで膜厚が5μmのCP−Sil 5 CBカラム[部品番号CP7680(Varian)または相当物]を用い、5.1kPaのカラムヘッド圧を用い、分流を40mL/分にしそして注入温度を250℃にした。使用した傾斜は下記であった:初期温度を50℃(5分間)にし、上昇速度を10℃/分にし、最終的温度を250℃(15分間)にした。FID検出器を用いて検出を250℃の温度で実施した。滞留時間は下記の通りであった:クロロベンゼン(内部標準):17.0分、α−(4):24.9分、β−(4):25.5分。
S−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドの調製およびR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルへの変換
KIO(530g、2.3モル、2.3当量)とKHCO(230g、2.3モル、2.3当量)を水(1200g)に入れることで生じさせたスラリーを良好に撹拌しながら、これに、L−5,6−O−イソプロピリデン−グロノ−1,4−ラクトン(218.5g、1モル)を水(135g)とテトラヒドロフラン(1145g)に入れることで生じさせた溶液を32−34℃で3時間かけて滴下した。この反応混合物を32℃で4.5時間撹拌した。GCにより、S−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドの含有量が4.38重量%でありかつ更に上昇することもなかったことから、酸化が完了した。この反応混合物を5℃に冷却して、この温度に14時間保持した。固体(主にKIOで構成)を濾過で除去した後、そのケーキをテトラヒドロフラン(115mL)で洗浄しかつ更にテトラヒドロフラン(215mL)を用いて再びスラリー状にすることを伴わせて洗浄した。その濾液(2975g)からサンプルを取り出して定量的H NMR(DMSO−d)で分析することで、前記濾液に入っているS−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドの含有量は3.69重量%であることが分かり、このことは、109.6g(0.843モル)およびL−5,6−O−イソプロピリデン−グロノ−1,4−ラクトンを基準にした収率が84%であることに相当していた。
その得た濾液2953g(S−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドが108.8g=0.837モル入っている)を13℃で撹拌しながらこれにホスホノ酢酸トリエチル(TEPA、194.7g、97%の純度、0.843モル、1.01当量)を13−17℃で25分かけて滴下した。次に、KCO(838g、6.07モル、
7.26当量)を17−25℃で30分かけて分割して加えた。この反応混合物の最終的pHは11.6であった。この反応混合物を20℃で更に17時間撹拌した。その水相とテトラヒドロフラン相を分離させた後、その水相に660mLのトルエンを用いた抽出を2回受けさせた。そのテトラヒドロフラン相とトルエン相を一緒にして真空下の濃縮(260−25ミリバール、28−56℃の温度)を8時間実施することで明黄色の液体を175.5g得た。
定量的H NMRは、E−R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルが78重量%、Z−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルが2.5重量%、TEPAが4.4重量%(初期量の4.1モル%)およびトルエンが6.8重量%存在することを示していた。このことは、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルの総収量が141.2g(0.706モル)であり、L−5,6−O−イソプロピリデン−グロノ−1,4−ラクトンを基準にした収率が71%でありそしてS−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドを基準にした収率が84%であることに相当する。GCは、E−R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルのe.e.が>99%であることを示していた。
いろいろな種類の塩基をいろいろな量で用いてR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルから化合物α−(4)とβ−(4)の混合物をニトロ付加化合物の単離無しに調製
実施例2A:ミハエル付加でDBUを使用しそしてネフ反応でNaOMeを追加的塩基として使用
R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル(21.2g、油、94.5重量%の純度、0.1モル)にニトロメタン(メタノール中51.7重量%の溶液を13.0g、0.11モル、1.1当量)を加えた後、この溶液を0℃に冷却した。次に、DBU(15.2g、0.1モル、1当量)を25分かけて滴下した後、その漏斗をメタノール(1g)で濯いだ。この反応混合物を20℃に加熱して、その温度で17時間撹拌した。その結果として生じた溶液(50g)を等しく2分割し、もう一方の25g部分にはさらなる処理を実施例2Bに記述する如く受けさせた。一方の25g部分を0℃に冷却した後、NaOMe(メタノール中29.6重量%の溶液を10.0g、0.055モル、1.1当量)を0℃で10分かけて滴下し、そしてその漏斗をメタノール(1.6g)で濯いだ。この反応混合物を0℃で50分間撹拌した後、HSO(17.9g、96重量%、0.175モル、3.5当量)をメタノール(30.4g)に入れることで生じさせた溶液を0−5℃で激しく撹拌しながらこれに60分かけて滴下することでクエンチを実施した。その漏斗をメタノール(2x4g)で濯いだ。その結果として得た反応混合物を0℃で2時間撹拌した後、飽和NaHCO水溶液(300mL)と酢酸エチル(100mL)の混合物を0−5℃で撹拌しながらこれに15分かけて滴下することでクエンチを実施した。最終的pHは6.9であった。更に酢酸エチル(50mL)を加えた後、HSO(96重量%)を用いてpHを4.2に調整した。相分離を起こさせた後、その水相に酢酸エチル(1x150mL、3x100mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機相を一緒にして真空下40−50℃で濃縮することでオレンジ色の固体を8.1g得た。定量的H NMR分析により、その固体は化合物α−(4)とβ−(4)を4.2g(0.026モル)含有しており、このことは、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした総収率が53%であることに相当していた。α−(4):β−(4)の比率は3.1:1であった。
実施例2B:ミハエル付加でDBUを使用しそしてネフ反応で追加的塩基の使用無し
実施例2Aに示したミハエル付加後に得たままのもう一方の25gの溶液を0℃に冷却した後、HSO(7.8g、96重量%、0.076モル、1.5当量)をメタノール(13.2g)に入れることで生じさせた溶液を0℃で激しく撹拌しながらこれに40分かけて滴下することでクエンチを実施した。その漏斗をメタノール(7.7g)で濯いだ。その結果として得た反応混合物を0℃で4時間撹拌した後、実施例2Aの手順に従って処理することで固体を得たが、これは、定量的H NMR分析により、化合物α−(4)とβ−(4)を2.8g(0.0175モル)含有しており、このことは、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした収率が35%であることに相当していた。
実施例2C:ミハエル付加でTMGを使用しそしてネフ反応でNaOMeを追加的塩基として使用
R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル(47.5g、油、84.2重量%の純度、0.2モル)にニトロメタン(メタノール中51.7重量%の溶液を26.0g、0.22モル、1.1当量)を加えた後、この溶液を0℃に冷却した。次に、TMG(23g、0.2モル、1当量)を20分かけて滴下した後、その漏斗をメタノール(2g)で濯いだ。この反応混合物を20℃に加熱して、その温度で22時間撹拌した。その溶液を0℃に冷却した後、NaOMe(メタノール中29.6重量%の溶液を40.2g、0.22モル、1.1当量)を0℃で15分かけて滴下し、そしてその漏斗をメタノール(6.4g)で濯いだ。この混合物を0℃で更に70分間撹拌した後、HSO(71.6g、96重量%、0.7モル、3.5当量)をメタノール(121.6g)に入れることで生じさせた溶液を0−5℃で激しく撹拌しながらこれに70分かけて滴下することでクエンチを実施した。その漏斗をメタノール(2x15g)で濯いだ。その結果として得た反応混合物を0℃で145分間撹拌した後、飽和NaHCO水溶液(1200mL)と酢酸エチル(400mL)の混合物を0℃で撹拌しながらこれに30分かけて滴下することでクエンチを実施した。最終的pHは7.4であった。更に酢酸エチル(200mL)を加えた後、HSO(96重量%)を用いてpHを4.2に調整した。相分離を起こさせた後、その水相に酢酸エチル(4x400mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機相を一緒にして真空下40−50℃で濃縮することで黄色−オレンジ色の固体を38.5g得たが、これは、定量的H NMR分析により、α−(4)(12.2g、0.077モル)とβ−(4)(4.6g、0.029モル)を含有しており、このことは、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした総収率が53%でありそしてα−(4):β−(4)の比率が2.7:1であることに相当していた。
実施例2D:ミハエル付加およびネフ反応でNaOMeのみを使用
R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル(47.5g、84.2重量%の純度、0.2モル)をメタノール(200g)に入れて、これにニトロメタン(メタノール中51.7重量%の溶液を26.0g、0.22モル、1.1当量)を加えた後、この溶液を0℃に冷却した。NaOMe(メタノール中30重量%の溶液を40g、0.22モル、1.1当量)を加え、この反応混合物を0℃で18時間撹拌した後、HSO(58g、96重量%、0.57モル、2.9当量)をメタノール(140g)に入れることで生じさせた溶液を−3−0℃で激しく撹拌しながらこれに75分かけて滴下することでクエンチを実施した。この反応混合物を0℃で4時間撹拌した後、−30℃に16時間保持した。定量的H NMR分析により、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にしたα−(4)とβ−(4)の総収率(反応混合物における)は45%でα−(4):β−(4)の比率は2.5:1であった。次に、その反応混合物をNaHCO(80g)を水(1L)に入れることで生じさせた溶液を0−5℃で撹拌しながらこれに90分かけて滴下することでクエンチを実施した。このクエンチが終了した時点で、NaHCO(4g)を水(50mL)に入れることで生じさせた溶液を添加することでpHを5−5.5に調整した。相分離を起こさせた後、その水溶液に酢酸エチル(4x500mL)を用いた抽出を受けさせ、そしてその有機相を一緒にして真空下30−40℃で濃縮することで赤色の油を32g得た。定量的H NMR分析により、前記油はα−(4)とβ−(4)を13.2g(0.084モル)含有しており、このことは、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした総収率が42%でα−(4):β−(4)比が3:1であることに相当していた。
ミハエル付加でDBUを用い、ネフ反応でNaOMeを追加的塩基として用いそしてイソプロパノールを用いてα−(4)を結晶化させることでR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルから高純度のα−(4)を調製
実施例3A:α−(4)およびβ−(4)の処理に関して改良を受けさせていない手順を使用
R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル(42.3g、94.5重量%の純度、0.2モル)にニトロメタン(メタノール中51.7重量%の溶液を26.0g、0.22モル、1.1当量)を加えた後、この溶液を0℃に冷却した。次に、DBU(30.4g、0.2モル、1当量)を20分かけて滴下した後、その漏斗をメタノール(4g)で濯いだ。この反応混合物を20℃に加熱し、その温度で更に16.5時間撹拌した後、0℃に冷却した。次に、NaOMe(メタノール中29.6重量%の溶液を40.4g、0.22モル、1.1当量)を0℃で20分かけて滴下し、そしてその漏斗をメタノール(6.4g)で濯いだ。その結果として生じた溶液を0℃で50分間撹拌した後、HSO(71.6g、96重量%、0.7モル、3.5当量)をメタノール(121.6g)に入れることで生じさせた溶液を0−5℃で激しく撹拌しながらこれに70分かけて滴下することでクエンチを実施した。その漏斗をメタノール(2x16g)で濯ぎ、その反応混合物を0−2℃で2時間撹拌した後、飽和NaHCO水溶液(1.2L)と酢酸エチル(400mL)の混合物を0−9℃で撹拌しながらこれに17分かけて滴下することでクエンチを実施した。最終的pHは7.2であった。その漏斗をメタノール(40ml)で濯いだ後、HSO(96重量%)を用いてpHを9℃で4.0に調整した。酢酸エチル(200mL)を滴下しかつ相分離を起こさせた後、その水相に酢酸エチル(600mL、3x400mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機相を一緒にして真空下40−50℃で濃縮することで黄色−オレンジ色の半固体を35.9g得たが、これは、定量的H NMR分析に従い、α−(4)とβ−(4)を16.5g(0.104モル)含有しており、このことは、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした総収率が52%であることに相当していた。α−(4):β−(4)の比率は3.0:1であった。
その半固体状の粗生成物をイソプロパノール(69.5g)に入れて80℃で溶解させた。その結果として生じた溶液を60℃に冷却し、種晶を加えた後、0℃になるまで2時間かけて更に冷却すると、結果としてα−(4)が結晶化してきた。その固体を濾過で単離し、イソプロパノール(30mL、20℃)で洗浄した後、空気で乾燥させることでホフホワイトの結晶性生成物を12.0g得たが、これは、定量的H NMR分析に従い、α−(4)を9.8g[R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にして31%の収率]およびβ−(4)を0.38g[R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にして1.2%の収率]含有していた。このことは結晶化の収率(取り出したα−(4)/[導入したα−(4)+β−(4)])が60%でありそしてα−(4):β−(4)の比率が26:1であることに相当する。
実施例3B:α−(4)およびβ−(4)の処理に関して改良を受けさせた手順を使用
R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル(47.5g、84.2重量%の純度、0.2モル)にニトロメタン(メタノール中51.7重量%の溶液を26.0g、0.22モル、1.1当量)を加えた後、この溶液を0℃に冷却した。DBU(30.4g、0.2モル、1当量)を0−20℃で30分かけて滴下した後、その漏斗をメタノール(4g)で濯いだ。この反応混合物を20℃に加熱し、その温度で更に18時間撹拌した後、0℃に冷却した。次に、NaOMe(メタノール中29.6重量%の溶液を40g、0.22モル、1.1当量)を0℃で20分かけて滴下した後、その結果として生じた溶液を0℃で1時間撹拌した。次に、その混合物をHSO(72g、96重量%、0.7モル、3.5当量)をメタノール(72g)に入れることで生じさせた溶液を0−5℃で激しく撹拌しながらこれに3時間かけて滴下することでクエンチを実施した。その反応混合物を0−5℃で更に2時間撹拌した後、KHCO(99g)を水(200mL)に入れることで生じさせたスラリーを0−5℃で撹拌しながらこれに1時間かけて滴下することでクエンチを実施した。最終的pHは4.1であった。それを20℃に加熱した後、濾過で塩を除去しそして酢酸エチル(500mL)で洗浄した。その濾過の水性母液(454g)に濃縮を真空下35℃で最終重量が272gになるまで受けさせることでメタノールを除去した後、酢酸エチル(6x150mL;最初の部分では前記塩濾過の洗浄液を用い、次に新鮮な洗浄液を使用)で抽出した。その有機相を一緒にして真空下40−50℃で濃縮することで固体を40.4g得たが、これは、GCに従い、α−(4)を14.5gとβ−(4)を3.4g含有しており、このことは、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした総収率が57%でありそしてα−(4):β−(4)の比率が4.3:1であることに相当していた。
その固体状の粗生成物を酢酸エチル(300mL)に溶解させた後、その溶液を飽和NaCl水溶液(25mL)と水(10mL)の混合物で洗浄した。その有機層は、GCにより、α−(4)を14.1gとβ−(4)を3.4g含有しており、それに濃縮を真空下で受けさせることで濁った固体を42.4g得た。この粗生成物(38g)にイソプロパノール(62g)を加えた後、60℃に加熱することで前記固体を溶解させた。その結果として得た溶液を50℃に冷却し、種晶を加えた後、0℃になるまで2時間かけて更に冷却すると、結果としてα−(4)が結晶化してきた。その固体を濾過で単離し、イソプロパノール(2x20mL、0℃)で洗浄した後、空気で乾燥させることでホフホワイトの結晶性生成物を12.9g得たが、これは、GCにより、α−(4)を12.2g含有していた。このことはR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした収率が39%でありかつ結晶化の収率(取り出したα−(4)/[導入したα−(4)+β−(4)])が78%であることに相当する。β−(4)は全く検出されなかった。
α−(4)の結晶化、β−(4)のエピマー化そしてα−(4)の2番目の結晶化によってR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルから高純度のα−(4)を調製
R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル(42.3g、94.6重量%の純度、0.2モル)にニトロメタン(メタノール中51.7重量%の溶液を26.0g、0.22モル、1.1当量)を加えた後、この溶液を0℃に冷却した。次に、DBU(30.4g、0.2モル、1当量)を0−20℃で30分かけて滴下した後、この反応混合物を20℃に加熱して、その温度で更に18時間撹拌した。その結果として得た反応混合物を0℃に冷却した後、NaOMe(メタノール中29.6重量%の溶液を40g、0.22モル、1.1当量)を0℃で滴下した。その結果として生じた溶液を0℃で1時間撹拌した後、HSO(72g、96重量%、0.7モル、3.5当量)をメタノール(72g)に入れることで生じさせた溶液を0−5℃で激しく撹拌しながらこれに1.5時間かけて滴下することでクエンチを実施した。その反応混合物を0−5℃で2時間撹拌した後、NaHCO(100g)と水(400mL)と酢酸エチル(300mL)のスラリーを0−5℃で撹拌しながらこれに1時間かけて滴下することでクエンチを実施した。NaHCO(40g)を分割して加えることでpHを3.5以上に保持した。塩を0−5℃の濾過で除去した後、酢酸エチル(300mL)で洗浄した。相分離を起こさせた後、その水相に酢酸エチル(洗浄液を300mL、新鮮な液を3x150mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機相を一緒にして真空下で濃縮し、酢酸エチル(200mL)を加えた後、その混合物を真空下でもう1回濃縮することで半固体を33.2g得たが、これは、定量的H NMR分析に従い、α−(4)を13.5gとβ−(4)を4.0g含有しており、このことは、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした総収率が53%でα−(4):β−(4)の比率が3.5:1であることに相当していた。
その粗生成物をイソプロパノール(70g)に入れて60℃で溶解させた。その結果として生じた溶液を50℃に冷却し、種晶を加えた後、0℃になるまで更に冷却すると、結果としてα−(4)が結晶化し、それを濾過で単離し、冷(0℃)イソプロパノール(2x15mL)で洗浄した後、空気で乾燥させた。それによってα−(4)を12.3g得たが、これは、定量的H NMR分析に従い、純度が97.1重量%でありかつβ−(4)を全く含有していなかった。このことはR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした(1番目の収穫物)の収率が38%でありかつ結晶化の収率(取り出したα−(4)/[導入したα−(4)+β−(4)])が68%であることに相当する。
前記1番目の結晶化の母液と洗浄液を一緒にし(108g、β−(4)を4.0gおよびα−(4)を1.2g含有)、それに濃縮を真空下で受けさせることで液体を17.9g得た。次に、メタノール(9.05g)およびMeSOH(0.91g、0.29当量)を加えた後、その混合物を還流にまで加熱した。還流を2時間実施するとエピマー化反応が完了した[α−(4):β−(4)比>3)。それを20℃になるまで冷却した後、トリエチルアミン(0.96g、MeSOHを基準にして1当量)を加え、そしてその混合物に濃縮を真空下で受けさせることで粘性のある残留物を18.7g得た。
その残留物をイソプロパノール(13.9g)に入れて50℃で再溶解させた。その混合物を45℃に冷却した後、種晶を加えて、0℃になるまで冷却すると、結果としてα−(4)が結晶化し、それを濾過で単離し、冷(0℃)イソプロパノール(2x6mL)で洗浄した後、空気で乾燥させた。それによってα−(4)を2.24g得たが、これは、定量的H NMR分析に従い、純度が95.3重量%でありかつβ−(4)を全く含有していなかった。このことはエピマー化後のR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした(2番目の収穫物)の収率が6%でありかつ結晶化の収率(取り出したα−(4)/[導入したα−(4)+β−(4)])が43%であることに相当する。従って、R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にしたα−(4)の総収率(収穫物1と2)は44%であった。
α−(4)とβ−(4)の粗混合物から出発したα−(4)の結晶化でイソプロパノール以外の溶媒を使用
実施例5A:t−ブタノールの使用
実施例2Aで得たままのα−(4)とβ−(4)の粗混合物(6.5g)[α−(4)+β−(4)を3.1:1の比率で3.37g含有]をt−ブタノール(16g)に入れて72℃で溶解させた。それを55℃に冷却し、種晶を加えて、25℃になるまで更に冷却すると、結果としてα−(4)が結晶化し、それを濾過で単離し、イソプロパノール(5mL、20℃)で洗浄した後、真空下で乾燥させた。それによってα−(4)(1.85g)を得たが、これは、定量的H NMR分析に従い、純度が82.9重量%のα−(4)で構成されており、このことは、結晶化の収率([取り出したα−(4)+β−(4)]/[導入したα−(4)+β−(4)])が46%でα−(4):β−(4)の比率が30:1であることに相当する。
実施例5B:t−アミルアルコールの使用
α−(4)とβ−(4)の粗混合物(7.25g)[α−(4)+β−(4)を2.9:1の比率で3.44g含有]をt−アミルアルコール(15.7g)に入れて70℃で溶解させた。それを60℃に冷却し、種晶を加えて、40℃になるまで更に冷却したが、結果として結晶化は起こらなかった。種晶を40℃でもう一度加えた後の溶液を更に冷却すると、α−(4)の結晶化が27℃の時に始まった。この混合物を更に冷却して2℃にした後、α−(4)の結晶を濾過で単離し、t−アミルアルコール(7.5mL、20℃)で洗浄した後、真空下で乾燥させた。それによってオフホワイトの生成物を2.35g得たが、これは、定量的H NMR分析に従い、α−(4)を1.91gとβ−(4)を0.11g含有し、このことは、結晶化の収率([取り出したα−(4)+β−(4)]/[導入したα−(4)+β−(4)])が59%でα−(4):β−(4)の比率が18:1であることに相当する。
α−(4)とβ−(4)の混合物からβ−(4)のエピマー化を起こさせると同時に高純度のα−(4)を結晶化
明褐色のα−(4)(5.0g、96.6重量%の純度、30.6ミリモル、β−(4)を含有しない)とMeSOH(0.3g、1.1当量)をメタノール(200mL)に入れることで生じさせた溶液を20℃で92時間撹拌すると結果としてエピマー化が起こってα−(4):β−(4)の比率が3.6:1になった。次に、この反応混合物に濃縮を真空(20ミリバール、45℃)で受けさせることで粘着性の固体を5.2g得た。これをメタノール(50mL)で取り上げた後、真空(20ミリバール、50℃)でもう1回濃縮することで明褐色の乾燥固体を5.1g得たが、これは、定量的H NMR分析に従い、純度が90重量%のα−(4)を含有していた(4.6g、29ミリモル)。β−(4)は全く検出されなかった。このように、最初のα−(4)のほぼ全部(96%)を回収した。
改良を受けさせた手順を用いて新しく調製したS−2,3−O−イソプロピリデン−グリセロアルデヒドを用いかつα−(4)の結晶化、β−(4)のエピマー化そしてα−(4)の2番目の結晶化を用いることで高純度のα−(4)を調製
実施例1で調製したままの175gのE−R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル(78重量%の純度、136.5g、0.68モル)にニトロメタン(メタノール中51.7重量%の溶液を88.6g、0.75モル、1.1当量)を加えた後、この溶液を10℃に冷却した。次に、DBU(103.4g、0.68モル、1当量)を10−21℃で35分かけて滴下した後、その漏斗をメタノール(7g)で濯いだ。撹拌を20℃で18時間行った後、その結果として生じた暗赤色の溶液を0℃に冷却し、そしてNaOMe(メタノール中30重量%の溶液を134.6g、0.748モル、1.1当量)を0℃で35分かけて滴下し、そしてその漏斗をメタノール(10g)で濯いだ。その反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、HSO(243g、96重量%、2.38モル、3.5当量)をメタノール(243g)に入れることで生じさせた溶液を0−5℃で激しく撹拌しながらこれに3時間かけて滴下することでクエンチを実施し、そしてその漏斗をメタノール(2x15g)で濯いだ。この反応混合物を0−2℃で2時間撹拌した後、KHCO(353g)を水(680mL)に入れることで生じさせたスラリーを0−6℃で撹拌しながらこれに1時間かけて滴下することでクエンチを実施した。このクエンチが終了した時点のpHは7であり、HSO(96重量%)を用いて0℃でpHを4.1に調整した。それを20℃に加熱した後、塩を濾過で除去し、そして酢酸エチル(3x375mL)で洗浄した。その洗浄液を後で実施する抽出で用いた。この濾過の母液(1380g)は、GCにより、α−(4)を3.08重量%とβ−(4)を0.82重量%含有[E−R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした総収率が50%でα−(4):β−(4)比が3.75:1であることに相当]しており、それに濃縮を真空下で受けさせることでメタノールを除去した。その結果として得た残留物(760g)に水(80g)を加えた後、HSO(96重量%)を用いてpHを4.1に調整した。その結果として得た水溶液に酢酸エチル(700mL、4x500mL)による抽出を受けさせた。その有機相を一緒にして真空下35−40℃で濃縮することで残留物を181g得た。イソプロパノール(2x140gおよび90g)を用いて揮発物を3回一緒に蒸発させることでα−(4)とβ−(4)の粗混合物で構成されている残留物(146g)を得た。
その粗混合物(146g)をイソプロパノール(202g)に入れて70℃で溶解させた。不溶な材料を濾過で除去した後、イソプロパノール(5mL)で洗浄し、乾燥後の重量は0.33gであった。その濾液(346g)を50℃に冷却すると、結果としてα−(4)が自然発生的に結晶化した。そのスラリーを1℃になるまで4時間かけて更に冷却した後、その結晶を濾過で単離し、イソプロパノール(2x100mL、0℃)で洗浄した後、真空下35℃で17時間乾燥させることでホフホワイトの結晶性生成物(44.2g)を得た。それは定量的GCに従い、α−(4)を89.0重量%とβ−(4)を1.0重量%含有しており、これは、E−R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした総収率が37%でα−(4):β−(4)の比率が89:1であることに相当する。
前記1番目のα−(4)結晶化の母液と洗浄液(全体で374g)に濃縮を真空下で受けさせると90.8gになり、メタノール(120mL)を加えた後、その結果として得た混合物に濃縮を受けさせると83gになった。メタノール(120mL)をもう一度加えた後の混合物に濃縮を受けさせると83gになった。この残留物にメタノール(45g)およびMeSOH(2.66g、0.0277モル、母液と洗浄液に存在するα−(4)+β−(4)の総量を基準にして0.2当量)を加えた後、その溶液を還流にまで加熱した。還流(60−65℃)を1時間実施した後のGCは、エピマー化が完了[α−(4):β−(4)比が3.1:1]したことを示しており、その溶液を33℃に冷却し、トリエチルアミン(2.94g、MeSOHを基準にして1.05当量)で中和した後、真空下で濃縮した。その結果として得た残留物にイソプロパノール(120mL)を加えた後、その混合物に濃縮を真空下で受けさせることで残留物を88g得た。
その残留物をイソプロパノール(37g)に入れて47℃で溶解させた。その結果として生じた溶液を2℃になるまで2.5時間かけて冷却すると、30℃の時に結晶化が自然発生的に始まった。結晶性生成物を濾過で単離し、イソプロパノール(3x20mL、0
℃)で洗浄した後、真空下で乾燥(35℃で17時間)させることで白色の結晶性生成物を10.1g得たが、これは、GCに従い、α−(4)を96.4重量%とβ−(4)を0.065重量%含有しており、このことはE−R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした全収率が9%でα−(4):β−(4)の比率が>1000:1であることに相当していた。
従って、E−R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にしたα−(4)の1番目の収穫物と2番目の収穫物の総収率は46%であった。
α−(4)中間体から高純度の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを調製
WO 03/022853の実施例IVの最終段階に記述されている手順に従った。
β−(4)とα−(4)の粗混合物を用いてβ−(4)からα−(4)を生じさせるエピマー化と同時にα−(4)を直接結晶化させることでR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルから高純度のα−(4)を調製
R−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステル(399.5g、75.1重量%の純度、1.5モル)にニトロメタン(メタノール中11重量%の溶液を915.0g、1.65モル、1.1当量)を加えた後、この溶液を0℃に冷却した。次に、DBU(233.3g、1.5モル、1当量)を0−5℃で50分かけて滴下し、その反応混合物を20℃に加熱して、その温度で更に16時間撹拌した。その結果として得た反応混合物を0℃に冷却した後、NaOMe(メタノール中15重量%の溶液を594.0g、1.65モル、1.1当量)を0℃で50分かけて滴下した。その結果として生じた溶液を0℃で1時間撹拌した後、HSO(368g、96重量%、3.6モル、2.4当量)をメタノール(370g)に入れることで生じさせた溶液を0−5℃で激しく撹拌しながらこれに3時間かけて滴下することでクエンチを実施した。その反応混合物を0−5℃で2時間撹拌した後、KHCO(457.6g)を水(870mL)に入れることで生じさせたスラリーを0−5℃で撹拌しながらこれに1時間かけて滴下することでクエンチを実施した。KHCOを分割して加えることでpHを3.5以上に保持した。生じた塩を0−5℃の濾過で除去した後、メタノール(530mL)で洗浄した。その濾液を一緒にして真空下で濃縮し、そして洗浄することで約1000mlにした後、その水相にトルエン(2x2100mL、3x1050mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機相を一緒にして真空下で濃縮することで半固体を202.9g得た。
次に、メタノール(42.6g)およびMeSOH(6.06g、0.04当量)を加えた後、その混合物を50℃に加熱した。その混合物をその温度で2時間撹拌した後、20℃に冷却して、撹拌を更に12時間継続した。それを−5℃に冷却した後、トリエチルアミン(6.60g、MeSOHを基準にして1.1当量)を加え、そしてその混合物を更に2時間撹拌した。結晶性α−(4)を濾過で単離し、冷(−5℃)イソプロパノール(3x70mL)で洗浄した後、空気で乾燥させた。それによってα−(4)を120.0g得たが、これは、定量的GC分析に従い、純度が99.0重量%でありかつβ−(4)の含有量は面積で0.09%であった。このことはR−3−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−アクリル酸エチルエステルを基準にした収率が51%であることに相当する。

Claims (27)

  1. 式(4)
    Figure 2007530638
    で表される中間体を用いることを含んで成る
    式(6)
    Figure 2007530638
    で表される構造を有する(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法。
  2. 式α−(4)
    Figure 2007530638
    で表される中間体を用いることを含んで成る
    式(6)
    Figure 2007530638
    で表される構造を有する(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−オールを合成する方法。
  3. a)式(3)
    Figure 2007530638
    [式中、
    およびPは、各々独立して、水素またはヒドロキシ保護基であるか、或は一緒になってビシナルジオール保護基を形成していてもよく、
    は、アルキル、アリールまたはアラルキルである]
    で表される化合物に塩基に続いて酸による処理をメタノールの存在下で受けさせる結果として式(4)
    Figure 2007530638
    で表される中間体を生じさせ、そして
    b)式(4)で表される中間体に還元剤による還元を受けさせそして分子内環化反応を起こさせることで式(6)
    Figure 2007530638
    で表される化合物を得る、
    段階を含んで成る請求項1記載の方法。
  4. 更に、式α−(4)で表される中間体に還元を受けさせる前に溶媒を用いてそれを結晶化させることを含んで成る請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
  5. 更に、
    a)酸を用いて式β−(4)で表される中間体にエピマー化を起こさせることで式α−(4)で表される中間体を生じさせ:
    Figure 2007530638
    そして
    b)式α−(4)で表される中間体に前記還元を受けさせる前に溶媒を用いてそれを結晶化させる、
    ことを含んで成る請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
  6. 更に、式α−(4)で表される中間体を結晶化させた後、
    a)酸を用いて式β−(4)で表される中間体にエピマー化を、前記結晶化の母液中で起こさせることで、式α−(4)で表される中間体を生じさせ:
    Figure 2007530638
    そして
    b)式α−(4)で表される中間体に還元を受けさせる前に溶媒を用いてそれを結晶化させる、
    ことを含んで成る請求項4記載の方法。
  7. 式β−(4)で表される化合物から式α−(4)で表される化合物を生じさせるエピマー化と式α−(4)で表される化合物の結晶化を同時に起こさせることを特徴とする請求項5から6のいずれか1項記載の方法。
  8. 式β−(4)で表される化合物から式α−(4)で表される化合物を生じさせるエピマー化と式α−(4)で表される化合物の結晶化を酸存在下のメタノール中で前記メタノールを蒸発またはある程度蒸発させることで同時に起こさせることを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. a)式(3)
    Figure 2007530638
    [式中、
    およびPは、各々独立して、水素またはヒドロキシ保護基であるか、或は一緒になってビシナルジオール保護基を形成していてもよく、
    は、アルキル、アリールまたはアラルキルである]
    で表される化合物に塩基に続いて酸による処理を非メタノール系溶媒の存在下で受けさせた後にそれをメタノールと酸性条件下で反応させる結果として式(4)
    Figure 2007530638
    で表される中間体を生じさせ、そして
    b)式(4)で表される中間体に還元剤による還元を受けさせそして分子内環化反応を起こさせることで式(6)
    Figure 2007530638
    で表される化合物を得る、
    段階を含んで成る請求項1記載の方法。
  10. 式(2)
    Figure 2007530638
    で表される化合物とニトロメタンと塩基を反応させることで式(3)で表される化合物を得ることを特徴とする請求項3および9のいずれか1項記載の方法。
  11. 式(1)
    Figure 2007530638
    [式中、PおよびPは、請求項2で定義した通りである]
    で表される中間体またはこれの水和物、半水和物またはこれらの混合物と式(RO)P(=O)−CH−C(=O)OR
    [式中、
    は、請求項2で定義した通りであり、
    は、アルキル、アリールまたはアラルキルである]
    で表されるホスホネートを縮合させることで式(2)で表される化合物を得ることを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. とPが一緒になってジアルキルメチレン基を形成していることを特徴とする請求項3、9、10および11のいずれか1項記載の方法。
  13. 式(2)で表される化合物から式(3)で表される化合物を生じさせる変換で用いる塩基がDBUまたはTMGまたはこれらの誘導体であることを特徴とする請求項10記載の方法。
  14. 前記式(RO)P(=O)−CH−C(=O)ORで表されるホスホネートがホスホノ酢酸トリエチル(TEPA)であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  15. 式(3)で表される化合物から式(4)で表される化合物を生じさせる変換をナトリウムメトキサイド、リチウムメトキサイド、DBUまたはTMGまたはこれらの混合物の群から選択した塩基を用いて実施することを特徴とする請求項3および9のいずれか1項記載の方法。
  16. 式(2)で表される化合物から式(4)で表される化合物を生じさせる変換において式(2)で表される化合物から式(3)で表される化合物を生じさせる変換でDBUまたはTMGを塩基として用い、式(3)で表される化合物を単離することなく、式(3)で表される化合物から式(4)で表される化合物を生じさせる変換でナトリウムもしくはリチウムメトキサイドを追加的塩基として用いて実施することを特徴とする請求項10および13のいずれか1項記載の方法。
  17. 式(3)で表される化合物から式(4)で表される化合物を生じさせる変換で用いる酸が濃硫酸であり、これをメタノール中20から80重量%の溶液として式(2)で表される化合物を基準にして2.5から5当量の量で用いることを特徴とする請求項3、9、15および16のいずれか1項記載の方法。
  18. 式α−(4)で表される化合物の結晶化をアルコール中で実施することを特徴とする請求項4から8のいずれか1項記載の方法。
  19. 前記アルコールがイソプロパノール、t−アミルアルコールまたはt−ブタノールである請求項18記載の方法。
  20. 式β−(4)で表される化合物を式α−(4)で表される化合物に変化させる方法であって、酸を用いてエピマー化:
    Figure 2007530638
    を起こさせることを含んで成る方法。
  21. 式β−(4)で表される化合物から式α−(4)で表される化合物を生じさせるエピマー化をメタノール中でMeSOHを0.05から1.5当量用いて起こさせることを特徴とする請求項5から8および20のいずれか1項記載の方法。
  22. 前記エピマー化を40℃から還流温度の範囲の温度で起こさせることを特徴とする請求項5から8および20から21のいずれか1項記載の方法。
  23. 前記式α−(4)で表される中間体。
  24. 前記式β−(4)で表される中間体。
  25. 結晶形態の式α−(4)で表される中間体。
  26. 式(5)
    Figure 2007530638
    で表される中間体。
  27. 請求項1から18のいずれか1項記載の方法で得た式(6)
    Figure 2007530638
    で表される化合物の[(1S,2R)−3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニル−メチル)プロピル]−カルバミン酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルエステルの製造における使用。
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