しかし、既存の取外工具は、標準以下の骨に着座したファスナの問題に対処するには不十分である。そのようなファスナは、骨が引抜き手順中にネジ山を支えるのに十分なほど強くない場合があるので、ネジを単純に後退させることによっては取外すことができないことが多い。そのような場合には、ネジは、骨内の定位置でただ回転するだけであり、その取外しを確実にするために付加的な工具又は係合要素を要するであろう。軸線方向係合要素(例えば、ネジ頭部又は柄内に形成された雌ネジと係合するネジ回し内の挿管から延びるネジ山付きシャフト)を使用してネジを取外し工具に結合することができる。そのような構成は、標準以下の骨に着座したネジの取外しを考慮するものであるが、そのようなネジの制御された取外しを考慮するものではなく、代わりに、外科医が、ネジを取外すのに十分ではあるが、ネジが周囲の骨からはぎ取られてネジが着座している骨を損傷するほどには大きくない力を加えることに依存している。標準以下の骨においてさえも骨用ネジを維持する比較的高い限界力のために、そのような損傷の恐れは大きいと考えられる。従って、標準以下の脊椎骨に着座した骨ファスナと軸線方向に係合するが、ネジが着座している脊椎骨を損傷する可能性を最小にするために、そのような状況下でファスナの制御された取外しを同じく提供する摘出工具に対する必要性が存在する。また、ファスナが骨用プレートを取付けるために使用され、固定リングのような固定装置がファスナをプレートに連結するために使用される場合には、プレートからのファスナの取外を可能にするために、固定リングを十分に取外す摘出工具を提供する必要性が存在する。
本発明は、ノブ、ハンドル、駆動シャフト、内側シャフト、及び外側スリーブを含むファスナ駆動及び取外工具に関する。内側シャフトは、ファスナの頭部又は柄内に延びてこれと係合する。駆動シャフトは、内側シャフトと共に縦方向に延びてこれを取り囲む(内側シャフトがファスナと係合する部分を除く)。外側スリーブは、駆動シャフトと共に縦方向、即ち、長手方向に延びてこれを取り囲む。外側スリーブは、駆動シャフトに対して軸線方向に動くことができる。外側スリーブは、ファスナを取外すときに、ファスナが引抜かれているプレート表面と接触して、それを支えとして利用する。
内側シャフトは、いくつかの方式でファスナと係合することができる。内側シャフトは、ファスナ頭部又は柄の雌ネジと係合するために外側にネジ山を形成することができる。内側シャフトは、ファスナ頭部内の対応する切込み又は溝内に滑り込む半径方向外向きに延びるウイング又はプロペラを含むことができる。
外側スリーブ及び駆動シャフトは、互いに対して軸線方向に移動可能である。外側スリーブ及び駆動シャフトはまた、互いに対して回転方向に移動可能にすることができる。相対的な軸線方向及び回転方向移動を可能にするために、外側スリーブは、駆動シャフトの雄ネジと係合する雌ネジを有することができる。
貫通孔又は内腔を備えたプレートが使用されている場合には、ファスナは、ネジが原位置で弛むのを防止するために、個々のロッククリップを用いてプレートに固定することができる。各ファスナは、プレートのロッククリップが係合することができる円周溝をその頭部に有することができる。駆動シャフトは、プラスネジ回し又はドライバーのものと同様な十字形状をその端部に有することができる。プラスドライバーの「羽根」は、ネジをプレート及び骨から取外すことを可能にするほど十分にロッククリップを拡げるために、ネジ頭部内の溝の内周部を超えて半径方向外向きに延びるのがよい。
近位端部及び遠位端部と、中間部分と、外側スリーブ係合部分と、長さとを有する駆動シャフトを含む工具を提供する。工具は、駆動シャフト近位端部に付随するハンドル部分と、駆動シャフト遠位端部に付随するファスナ係合部分とを有する。ファスナ係合部分は、ファスナに軸線方向に係合するように構成された第1の表面と、ファスナと回転方向に係合するように構成された第2の表面とを含むことができる。工具は、駆動シャフト中間部分に付随する外側スリーブを更に有し、スリーブは、駆動シャフト係合部分を含むことができる。外側スリーブ係合部分及び駆動シャフト係合部分は、駆動シャフトの少なくとも一部分をスリーブ内で直線的に平行移動させるために協働するように構成することができる。
駆動シャフトは、管状ファスナ駆動部分と内側シャフト部分とを含むのがよい。内側シャフト部分の少なくとも一部分は、ファスナ駆動部分内に配置され、内側シャフト部分は、ファスナと軸線方向に係合するように構成することができる。更に、駆動部分は、ファスナと回転方向に係合するように構成することができる。
ファスナ駆動部分は、ファスナ駆動端部を含む遠位端部と内面を有する内腔とを有する駆動スリーブと、駆動スリーブ協働部分を有する遠位端部を含むシャフト部分とを更に含むのがよい。駆動シャフトの内側シャフト部分を受取るために挿管を設けることができ、シャフト部分の遠位端部は、駆動スリーブの内腔内に摺動可能に受取られ、内腔及び駆動スリーブ協働部分は、内側スリーブの回転が駆動スリーブを回転させるように構成される。
内側シャフトは、半径方向溝を更に含むことができ、ファスナ駆動部分のシャフト部分は、スロットを更に含むことができ、駆動スリーブは、ピン穴を更に含むことができ、そのためにピン穴内に置かれてスロットを通って延びて半径方向溝と係合するピンは、内側シャフトと駆動スリーブを互いに対して軸線方向に固定することができる。内側シャフトがファスナと軸線方向に係合する時に、駆動スリーブもファスナと係合することができる。内側シャフト部分には、テーパを付けることができ、管状ファスナ駆動部分は、テーパ付き内側シャフトを摺動的に受け取るように構成することができる。
軸線方向ファスナ係合部分は、ネジ山を含むことができる。ファスナ係合部分の第1の表面は、骨ファスナの頭部内の凹部と軸線方向に係合するように構成された少なくとも1つの半径方向部材を含むことができる。第1の表面は、各々がファスナ頭部内の対応する凹部と軸線方向に係合するように構成された複数の半径方向部材を更に含むことができる。代替的に、軸線方向ファスナ係合部分は、ファスナ頭部の外面の周りでファスナを把持することができる。スリーブ係合部分及び駆動シャフト係合部分は、相補的なネジ山を含む。
工具は、一端にファスナ係合面を有する内側シャフトを更に含むことができ、駆動シャフトは、内側シャフトの少なくとも一部分を受け取るような構成及び大きさにされた挿管を更に含むことができ、そのために、内側シャフトが挿管内に置かれた時に、ファスナ係合面は、駆動シャフトの遠位端を超えて遠位方向に延びる。スリーブの少なくとも一部分は、粗面化された外面を有することができる。
ファスナは、プレート内のファスナ孔内に配置することができ、ファスナ孔には、ファスナがファスナ孔から抜け出るのを防止するためにファスナの一部分と係合するように構成された拡張可能なロッククリップを設けることができる。工具は、ロッククリップを拡張するように構成されたロッククリップ拡張部分を含むファスナ係合部分を有することができる。ロッククリップ拡張部分は、ファスナ頭部の外径よりも大きな寸法にロッククリップを拡げるように構成することができる。
変形例として、ロッククリップ拡張部分は、ファスナ頭部の外径よりも小さい寸法にロッククリップを拡げるように構成することができる。ファスナの少なくとも一部分は、工具がファスナと係合され、かつ工具が骨用プレートからファスナを取外すように作動された時に、ファスナ頭部の外径と実質的に等しい寸法にロッククリップを拡げるように構成することができる。
工具スリーブは、骨表面と係合するように構成された遠位端を有することができる。代替的に、このスリーブは、骨用プレートの表面と係合するように構成された遠位端を有することができる。スリーブは、第1及び第2の部分を含むことができ、第1の部分は、駆動シャフトのスリーブ係合部分と摺動可能に係合するように構成され、第2の部分は、骨用プレート又は骨の表面と係合するように構成された端部を含む。第1及び第2の部分は、互いに対して回転可能にすることができる。
近位端部及び遠位端部と、中間部分と、外側スリーブ係合部分と、長さとを有する駆動シャフトを有する工具を含む、骨用プレート、工具、及びファスナのシステムを提供することができる。工具は、駆動シャフトの近位端に付随するハンドル部分と、駆動シャフトの遠位端に付随するファスナ係合部分とを更に有することができ、ファスナ係合部分は、ファスナと軸線方向に係合するように構成された第1の表面と、ファスナと回転方向に係合するように構成された第2の表面とを含む。工具は、更に、駆動シャフト中間部分に付随する外側スリーブを有することができ、スリーブは、駆動シャフト係合部分を含み、外側スリーブ係合部分及び駆動シャフト係合部分は、駆動シャフトの少なくとも一部分をスリーブ内で直線的に平行移動させるために協働するように構成される。工具は、少なくとも1つの半径方向部材を更に含むことができる。ファスナは、半径方向に変形可能な頭部とネジ山付き本体とを有して準備することができる。頭部は、骨用プレート固定要素と係合するための周方向溝を有することができ、かつ工具をファスナと軸線方向に係合させるための半径方向部材を受け取るように構成することができる。骨用プレートは、少なくとも1つの骨用ネジ孔を有するように準備することができ、この少なくとも1つの骨用ネジ孔は、少なくとも部分的に孔内に置かれた固定要素を有し、かつ骨用ネジを骨用ネジ孔内で軸線方向に保持するためにファスナ頭部溝の少なくとも一部分と係合するように構成される。すなわち、ファスナが固定要素により骨用ネジ孔内で保持され、かつ工具がファスナと軸線方向に係合した時に、工具によってファスナに加えられる軸線方向の取外力は、ファスナ頭部を半径方向に変形させ、それによってファスナを固定要素から取外すことができる。
ファスナ頭部は、頭部内に置かれた少なくとも1つの縦方向スロットによって半径方向に圧縮可能にすることができる。変形例として、ファスナ頭部は、頭部内に置かれた中空部分によって半径方向に圧縮可能にすることができる。
ファスナ係合端部とスリーブ係合部分とを有する駆動シャフトを含む工具を提供する。ファスナ係合端部は、回転方向係合部分と軸線方向係合部分とを含むことができる。駆動シャフト係合部分を含むスリーブは、駆動シャフトの少なくとも一部分の周りに置くことができる。更に、スリーブ係合部分及び駆動シャフト係合部分は、駆動シャフトがスリーブに対して回転した時に、駆動シャフトをスリーブ内で直線的に平行移動させるように構成された相補的なネジ山を含むことができる。駆動シャフトは、管状ファスナ駆動部分及び内側シャフト部分を含むことができ、内側シャフトの少なくとも一部分は、駆動部分内に置かれ、この内側シャフト部分は、ファスナと軸線方向に係合するように構成され、駆動部分は、ファスナと回転方向に係合するように構成される。内側シャフト部分には、テーパを付けることができ、管状ファスナ駆動部分は、テーパ付き内側シャフトを摺動的に受け取るように構成することができる。
ファスナ係合端部は、ロッククリップ拡張部分を更に含むことができ、駆動シャフトのファスナ係合端部は、プレート内のファスナ孔内に置かれたファスナと係合するように構成することができ、プレートは、ファスナ孔内に置かれた拡張可能なロッククリップを有し、クリップは、ファスナがファスナ孔から抜け出るのを防止するためにファスナの一部分と係合するように構成され、ファスナ係合端部は、駆動シャフトがファスナと係合する時にファスナロッククリップを拡張するように構成される。
ロッククリップ係合部分は、ロッククリップをファスナ頭部の外径よりも大きな寸法に拡張するように構成することができる。変形例として、ロッククリップ係合部分は、ロッククリップをファスナ頭部の外径よりも小さな寸法に拡張するように構成することができる。工具がロッククリップをファスナ頭部の外径よりも小さな寸法に拡張するように構成されている場合には、工具によって加えられる軸線方向の取外力は、ロッククリップのファスナ固定力よりも大きくすることができる。
工具スリーブは、骨表面と係合するように構成された遠位端部を有することができる。変形例として、このスリーブは、骨用プレートの表面と係合するように構成された遠位端部を有することができる。スリーブは、第1及び第2の部分を含むことができ、第1の部分は、駆動シャフトのスリーブ係合部分と螺合的に係合するように構成され、第2の部分は、骨用プレート又は骨の表面と係合するように構成された端部を含む。第2の部分は、これを駆動シャフト上の選択された位置で一時的に保持するために駆動シャフトの外面と係合するように構成された内向きに延びるバネ要素を更に含むことができる。第1及び第2の部分は、互いに対して回転可能とすることができる。回転方向係合及び軸線方向係合部分は、骨に着座したファスナの少なくとも一部分に係合してそれを保持するように構成された単一ネジ山要素を含むことができる。
工具がファスナと係合し、ファスナを骨から取外すために工具を回転させたとき、この回転は、ネジ山要素のファスナとの係合を増大させる働きをすることができる。
骨及び/又はプレートからファスナを取外す方法が提供され、本方法は、(a)内側シャフト部分と、管状駆動シャフト部分と、スリーブ部分とを有し、管状駆動シャフト部分が、スリーブ部分内に少なくとも部分的に配置され、内側シャフト部分が、管状駆動シャフト部分内に少なくとも部分的に配置された工具を準備する段階と、(b)骨用ファスナの頭部と共に駆動シャフトを挿入する段階と、(c)ファスナが骨部分と係合し、ファスナが更に骨用プレートの骨用ネジ孔内に配置されるように、内側シャフト部分を骨ファスナと軸線方向に係合させる段階と、(d)内側シャフト部分を骨ファスナと回転方向に係合させる段階と、(e)スリーブ部分の一方の端部を骨用プレートの表面と係合させる段階と、(f)骨からファスナを取外すために、駆動シャフト及び外側スリーブ部分を互いに対して移動させる段階とを含む。
内側シャフト部分は、ファスナの雌ネジ部分と係合するように構成されたネジ山付き遠位端部を更に含むことができる。段階(b)、(c)、及び(d)は、実質的に同時に実行することができる。シャフト部分は、外側スリーブの雌ネジ部分と嵌合するように構成された雄ネジ部分を更に含むことができ、段階(f)は、駆動シャフト及び外側スリーブ部分を互いに対して回転させる段階を含む。
本発明の特徴及び利点は、同じ要素が同様にラベル付けされた以下に記す本発明の詳細説明から一層容易に明らかになるであろう。
ファスナ駆動及び取外し工具(以下、単に「工具」という。)の第1の実施形態を図1a及び図1bに示す。工具1は、従来的なネジ駆動装置の一般的な形状及び外観を有しており、遠位側のファスナ係合端部2と近位側のユーザ側端部4とを有し、2つの端部は、駆動シャフト6によって連結されている。ファスナ係合端部2は、骨用ネジ(図2参照)等のファスナ32の頭部に回転方向に係合する構成及び寸法に作られた第1のファスナ係合面8を有している。ファスナ係合端部2はまた、工具1に対して一定の軸線方向関係をなしてファスナ32を保持する構成及び寸法に作られた第2のファスナ係合面12を有している。ユーザ側端部4は、ユーザが把持するための構成及び寸法に作られたハンドル14を有している。ユーザ側端部4は、更に、第2のファスナ係合面12と連通したアクチュエータ16を有し、かくして、アクチュエータ16を作動させることによって、ユーザがファスナ32を工具1と軸線方向に係合させることを可能にする。工具1は、更に、駆動シャフト6の周りに配置され且つ駆動シャフト6の長さの少なくとも一部分に沿って延びる外側スリーブ18を有している。外側スリーブ18は、近位端部20と遠位端部22とを有し、更に、雌ネジ等の内側平行移動面24(図2及び図6参照)を有し、この内側平行移動面24は、それと相補的な駆動シャフト6の外側平行移動面26(図2参照)の少なくとも一部分と係合する。2つの平行移動面24、26は、外側スリーブ18の外側把持面28に加えられるユーザの力(例えば、回転)に応答して、外側スリーブ18が駆動シャフト6に沿って平行移動することを可能にするように構成されている。外側スリーブ18の遠位端部22は、骨用プレート34(図2参照)の上面38又は骨用プレート34が使用されない場合は骨の表面等、ファスナに隣接した表面と係合することができるように構成された当接面30を有している。
工具1を、ファスナ32(図2参照)を骨部分等の治療対象物内へ駆動するのに使用してもよいし、ファスナ32を治療対象物から取外すのに使用してもよい。ファスナ32を治療対象物内へ駆動するのに工具1を使用する場合、工具1を従来的なネジ回しの方式で使用してもよいが、ファスナ32を工具1に保持することによってファスナ32の取扱いを容易にするために、ユーザは、ファスナ32を工具1と軸線方向に係合させることを選択してもよい。ファスナ32を治療対象物から取外すのに工具1を使用する場合、ファスナを逆回転させることによって加えられる典型的な戻し力に加えて、ファスナに軸線方向取外し力を加えることを可能にするために、ファスナを工具1と軸線方向に係合させるように、第2のファスナ係合面12をファスナと係合させる。上述したように、取外すべきファスナ32が標準以下の骨に着座しているとき、かかる骨は、ファスナネジ山のための構造的支持が不十分であり、かくして、単純なネジ戻し運動が加えられた場合、ファスナがその位置で回転するに過ぎないので、この軸線方向係合の特徴は特に有用である。軸線方向係合の特徴が適用される場合には、ファスナ32を骨又は骨用プレートから取外すために、ユーザは、工具を引上げるだけでよい。代替的に、工具1のハンドル14を反時計方向に回しながら外側スリーブを回転方向に確実に保持することによって、駆動シャフト6及びファスナ32を引上げて骨及び骨用プレート34から引出すのに、外側スリーブ18を、使用することができる。外側スリーブ18に対して駆動シャフト6を回転させることは、駆動シャフト(及び、取付けられたファスナ32)を外側スリーブに沿って平行移動させてそれらを骨及び骨用プレートから引き離すことになる。
図2を参照すると、骨用ネジ32のようなファスナを、例えば椎体(図示せず)にネジ留めした骨用プレート34から取外すために、工具1を使用する場合、制御された取外し力を骨用ネジ32に対して提供するために、ユーザは、外側スリーブ18を使用するのがよい。工具1をこのように操作するために、ユーザは、工具1の第1のネジ係合面8及び第2のネジ係合面12をネジ32の頭部32と係合させ、アクチュエータ16を回すことにより、骨用ネジ32を工具1に対して軸線方向に固定させる。次に、ユーザは、外側スリーブ18の当接面30が骨用プレート34の上面38と係合するまで(図2)、外側スリーブ18を駆動シャフト6に沿って手動で平行移動させる。その後、ユーザは、駆動シャフト6を逆回転させてネジ32を骨から抜取るために、一方の手でハンドル14を把持したままで、他方の手を使用して外側スリーブ18を回転可能に固定する。駆動シャフト6の逆回転は、駆動シャフト6を外側スリーブ18に対して直線的に平行移動させる働きをするので、駆動シャフト6及び取付けられたネジは一緒に、骨及び骨用プレート34から軸線方向に引き抜かれる。従って、駆動シャフト6に対するスリーブ18の回転を制御するユーザは、骨及び骨用プレート34からの骨用ネジ32の取外しを慎重に制御することができる。このように、骨用ネジ32が過大な力で取外される危険性は排除され、これに伴う周囲の椎骨に対する損傷も最小になる。
一実施形態では、工具1は、骨用プレート34のネジ孔58内に置かれたロッククリップ56を拡げることのできる表面51を含む。ロッククリップ56(図8)は、原位置でのネジの早期の弛みを防止するために、骨用ネジ孔58(図7b)内へ延びて骨用ネジ32の頭部内の溝62と係合する部分を有する。使用時において、駆動シャフト6がネジ32の頭部と係合する時に、ロッククリップ係合面51は、ロッククリップ56を少なくとも部分的に拡げることができるので、その後、骨用ネジ32を骨用ネジ孔58から取外すことができる。
個々の工具要素の詳細を、図3〜図6により具体的に示す。図3a〜図3eに示す駆動シャフト6は、近位側のハンドル係合部分40と、遠位側のファスナ係合部分42と、これら2つの部分を連結する挿管46を含む円筒形のシャフト部分44とを有している。遠位側のファスナ係合部分42は、第1のファスナ係合面48を含み、第1のファスナ係合面48は、ファスナ凹部係合面50とロッククリップ拡張面51を更に含む。第1のファスナ係合面48は、マイナス又はプラス様式構成のような任意適当なファスナ係合幾何学形状を含んでもよいし、六角ソケット等のソケット端部を含んでもよい。図示の実施形態では、第1のファスナ係合面48は、各々が骨用ネジ32(図4b、4c)等のファスナの頭部内の対応する凹部52と係合する形状及び寸法に作られた縮小横断面部分50を有する4つのブレードを含む。第1のファスナ係合面48の少なくとも一部分は、ロッククリップ拡張面51を含むのがよく、その少なくとも一部分は、駆動シャフト6の縦軸線「A−A」と実質的に平行に向けることができ、その結果、駆動シャフト6が回転する時、一定横断面の「ブレード幅」「ED」を有する長さ部分「EL」が得られる。骨用ネジ孔58(図7b)内に置かれて骨用ネジ32の頭部を保持するように構成されたロッククリップ56(図8)を有する骨用プレート34から骨用ネジ32を取外すために使用される場合、骨用ネジ32を骨用プレート34から取外す時にロッククリップ56を拡張させるのは、この「ブレード幅」「ED」である。長さ「EL」及び「ブレード幅」「ED」は、ロッククリップ拡張面51がロッククリップ56を十分に拡張させ、骨用ネジ32を骨用プレート34から取外すことを可能にするような大きさに作られる。一実施形態では、「ブレード幅」「ED」は、ロッククリップ拡張面51がロッククリップ56を骨用ネジ32の頭部径「HD」(図4a)よりも大きな直径にまで拡げることができるような大きさである。別の実施形態では、「ブレード幅」「ED」は、ロッククリップ拡張面51がロッククリップ56を骨用ネジ32の直径「HD」よりもある一定の量だけ小さく拡張させることができるような大きさである(この場合、ファスナの頭部の一部分(例えば、下側ロッククリップ係合面68)は、ネジがネジ孔から抜取られる時に、クリップを頭部径まで拡げるように働く)。下側ロッククリップ係合面68は、ロッククリップ56が駆動シャフト6のロッククリップ拡張面51によって部分的に拡げられた後だけロッククリップ56を拡張するように構成することができる。別の実施形態では、下側ロッククリップ係合面68は、駆動シャフト6によるロッククリップのいかなる事前の拡張なしに、ロッククリップ56を拡張させるように構成することができる。そのような構成においては、骨用ネジの下側ロッククリップ係合面68は、骨用ネジが通常の原位置の力を受けているとき、ロッククリップ56を拡張させることはできないが、工具1を通じて十分な取出し力が加えられるとき、ロッククリップ56を拡張させることができる。
図3eは、図3cの遠位側のファスナ係合部分42の別の実施形態を示している。図3eのファスナ係合部分142は、図3cの実施形態に関連して示したものと同じ基本的ファスナ係合要素を含むが、ファスナ係合部分142は、フライス加工によって形成され、従って、駆動シャフトの遠位端を形成するために使用される切削ホイールの幾何学形状のために、図3cの実施形態に存在するフレア面51を有していないという違いがある。
駆動シャフト6は、遠位側のファスナ係合部分44と近位側のハンドル係合部分42の間に置かれた中間部分55を更に含む。一実施形態では、中間部分55は、それに対応する外側スリーブ18の部分と係合するための雄ネジ領域60である平行移動面26を更に含む(以下において一層詳しく説明する)。
図4a及び4bは、例示的なファスナを示しており、このファスナは、ファスナ頭部64内に形成された周方向のロッククリップ溝62を有する骨用ネジ32である。ロッククリップ溝62は、表面角αを有する上側ロッククリップ係合面66、及び、表面角βを有する下側クリップ係合面68を含む。一実施形態では、少なくとも下側ロッククリップ係合面68は、ファスナの縦軸線「B−B」に対して垂直ではない表面角βを有する。ファスナ32がそのような非垂直の表面角βを備えた下側ロッククリップ係合面68を有する場合、ファスナ32を骨から抜取るとき、下側の溝表面角の小さな半径方向成分により、ロッククリップ溝62それ自体がロッククリップ56に対して小さな拡張力を加えることができる。この拡張力は、ロッククリップ56と溝62とが完全に係合しているときには、ロッククリップ56を拡張させるのに十分ではないが、工具のロッククリップ拡張面51を用いてロッククリップ56が僅かに拡げられているとき、ロッククリップ溝62の下面によって加えられる次の拡張力は、ロッククリップ56の拡張を完了させるのに十分であるので、骨用ネジ32を骨用プレート34から取外すことができる。変形例として、角度βは、ロッククリップ溝62の下面によって加えられる拡張力が工具によるいかなる事前の拡張もなしにロッククリップ56を拡げるのに十分である。かかる構成は、より小さなファスナ係合面「ブレード幅」「ED」を有する工具の使用を可能にし、従って、骨用ネジ頭部64内の凹部をより小さくすることを可能にし、それにより、ネジ頭部64の強度を増大させる。
ファスナ係合部分は、ファスナ頭部の凹部52(図4b)に対する工具1の整列及び係合を容易にするために、面取りされた先端部70(図7c)を更に含むのがよい。
工具ハンドル14は、駆動シャフト係合部分72、把持部分74、近位端部76、及び遠位端部78を含んでいる。駆動シャフト係合部分72は、駆動シャフトの近位側のハンドル係合部分40を受入れるように構成された円筒形の中空内部空間80を含む。ハンドル近位端部76は、駆動シャフトの隆起した環状領域42と係合可能であり、ハンドル遠位端部78は、駆動シャフト6のフランジ付き近位端部領域83と係合可能であり、駆動シャフトの2つの領域42及び83は、当接面として働き、それにより、ハンドル14を捕捉してその軸線方向位置を駆動シャフト上に維持する。ハンドル把持部分74は、当該技術で公知の任意適当な人間工学的表面形状を有し、また、木材、フェノール樹脂、その他の任意適当な材料で作られる。一実施形態では、ハンドルは、高められたユーザの感触及び把持性を提供するためにシリコーン材料で作るのがよい。
図3bに示すように、駆動シャフト6は、骨用ネジ32のようなファスナと軸線方向に係合するために使用することができる内側シャフト84(図5a参照)を摺動的に受け取る大きさ及び構成にされた挿管46を含む。内側シャフト84は、近位端部86及び遠位端部88及び長さ「RL」を有する(図5a参照)。内側シャフト近位端部86は、内側シャフトの直径よりも大きな直径「KD」(図5a参照)を有するアクチュエータノブ16を含む。アクチュエータノブ16は、図示の実施形態では、ノッチ付きの把持面92を含む。ロッド長「RL」は、内側シャフト84が駆動シャフト近位端94から始まる駆動シャフト挿管46に挿入された時に、アクチュエータノブ16が駆動シャフト近位端フランジ部分83に当接することができ、しかも、内側シャフト遠位端部88が駆動シャフト6の遠位ファスナ係合部分42から外に延びることを許す長さである。駆動シャフト6の遠位ファスナ係合部分42を越えて延びる内側シャフト遠位端部88の部分は、ファスナ係合部分96を含み、このファスナ係合部分96は、それに対応し且つ係合すべき骨用ネジ32の頭部64又は柄100内に形成された雌ネジ98と係合するように作られている。図示の実施形態では、ファスナ係合部分96は、雄ネジを含む。しかし、以下において一層詳しく説明するように、その他適当なファスナ係合構成も使用することができる。
内側シャフト84は、円筒形であるのがよく、駆動シャフト挿管46内で回転可能に軸線方向に摺動する大きさに作られている。内側シャフト84は、異なる直径部分97、99、101を含み、かかる部分間の移行部は、外側肩領域102、104を形成する。直径部分99、101は、駆動シャフト挿管46の異なる内径部分105、106、108に対応する大きさに作られるのがよく、挿管内の移行部は、内側シャフトの肩領域102、104に対応する内側肩領域110、112を形成する。ファスナ32が内側シャフト84と十分に係合した時、駆動シャフト近位端フランジ83に対するアクチュエータノブ16の束縛を防止するために、これらの対応する肩領域102、104、110、112は、挿管46内における内側シャフト84の軸線方向位置を維持するために協働することができる。図5bは、内側シャフト84の別の実施形態を示しており、この場合、シャフト部分184にはテーパが付けられ、アクチュエータノブ16に隣接して置かれた比較的大きい直径部分185と、ファスナ係合部分先端部96に隣接して配置される比較的小さい直径部分186とを有している。図示の実施形態では、内側シャフト184のテーパは、ファスナ係合部分先端部96に隣接して始まり、ネジ山領域183において終わる。従って、ネジ山領域183は、シャフト部分185と同様に円筒形である。更に別の実施形態(図示せず)においては、シャフト部分は、各部分が異なるテーパの程度を有する一連のテーパ付き部分を含むのがよい。異なるシャフト径並びに各シャフトテーパの程度は、当業者が認めるように任意適当な組合せで設けることができる。
内側シャフト84、184の各々は、駆動シャフト6のフランジ付き近位端領域83の雌ネジ部分1183(図3b参照)と係合するように構成された雄ネジ領域103、183の形をした軸線方向保持形態を更に含む。この軸線方向保持形態は、内側シャフト84、184が駆動シャフト挿管46内に嵌合されている時、内側シャフト84、184が駆動シャフト6の端部から不用意に滑り出さないことを保証する。組立て時に、内側シャフト84及び184は、その雄ネジ領域103及び183が駆動シャフト近位端領域83の雌ネジ1183と係合するまで、挿管46内へ摺動される。次に、内側シャフト84及び184を、ネジ部分が互いに係合し合うように回転させ、この回転は、ネジ領域103、183が駆動シャフト挿管46のネジ山のない部分内に位置するように、ネジ領域103、183が駆動シャフトネジ部1183を完全に通過するまで続けられる。このように内側シャフト84、184は、駆動シャフト6のこの部分(挿管)46内で緩やかに軸線方向に保持され、ネジ部分103/183及び1183間の軸線方向の干渉により、駆動シャフト近位端から滑り出すことが防止される。内側シャフト84及び184は、内側シャフト遠位端96においてファスナが係合するのを容易にするために、駆動シャフト6内で回転自由に保たれる。
図6に示すように、工具1は、上述のように外側スリーブ18を含むのがよい。外側スリーブ18は、一般的に近位端部20及び遠位端部22を備えた円筒形スリーブを含む。近位端20は、外側把持面28と、この実施形態ではネジ山を含む内側平行移動面24とを含むことに注意されたい。ネジ山付き表面が示されているが、平行移動面24は、一連のラチェット歯が内側平行移動面上に配置されて外側平行移動面26内に一体化された爪/解除機構と協働するように構成することができるラチェット及び解除機構のような当業技術において公知のあらゆる平行移動装置を含むことができる。外側把持面28は、使用時にスリーブ18を回すことができるように、ユーザによる把持を容易にするように構成することができる。図示の実施形態では、この外側把持面28はノッチを含むが、任意適当な表面仕上げを施すことができる。内側平行移動面24は、駆動シャフト6の外側平行移動面26のネジ山に対応するネジ山を含むのがよい。外側スリーブ18のネジ山24及び駆動シャフト6のネジ山26は、外側スリーブ18をユーザが回転させるとき、外側スリーブ18が駆動シャフト6に沿って平行移動することができるように協働する。変形例として、外側スリーブが固定された状態で保持され、駆動シャフト6を回転させるとき、駆動シャフト6は、外側スリーブ18に沿って平行移動することができる。スリーブ遠位端部22は、骨用プレート34の上面38と、又はファスナが骨用プレートと関連して使用されていない場合は骨それ自体と係合するように構成された当接面30を含むことができる。
図2は、骨用プレート34及び骨用プレートのロッククリップ56と係合しているファスナ32と係合した工具1を示している。図示のファスナは、凹部52を備えた頭部64、雄ネジ付きの外側柄100、及び雌ネジ付きの内側柄98を有する骨用ネジ32である。ネジ山付き内側柄98は、内側シャフト84のネジ山付き遠位端部88と係合した状態で示されている。図示の実施形態は、ファスナ柄100内に置かれた雌ネジを示しているが、代替的に、ネジ山は、ファスナ頭部内に置くこと又は頭部と柄の両方内に置くことも可能であると考えられる。
同様に、図示の実施形態は、係合可能に連結された内側シャフト84及びファスナ32を示しているが、工具とファスナを互いに軸線方向に固定するために、他の任意適当な係合構成を使用することができる。そのような構成は、対応するテーパ面又は適合しないテーパ面を使用するシャフト及びファスナ間の摩擦嵌めを含むことができると考えられる。変形例として、ファスナ頭部の外面に係合させるために、外部連結要素を設けることができる。更に別の適切な連結構成は、図9aに関連して後述するようなものであり、この構成においては、内側シャフト又は駆動シャフト上の複数の半径方向突起をファスナ頭部内に形成された対応する凹部内で軸線方向に保持することができる。
図2は、外側スリーブ18及び駆動シャフト6の平行移動面26及び24間の相互作用も示している。図示の実施形態では、これらの平行移動面は、相補的なネジ山を含む。図に示すように、外側スリーブ18は、その遠位端当接面30が骨用プレート34の上面38と隣接するように置かれる。この位置において、駆動シャフトに対する外側スリーブ18の更なる任意の回転(又は、外側スリーブ内における駆動シャフトの逆回転)により、外側スリーブ遠位端部を骨用プレート34と接触させることができる。その後、駆動シャフト6に対する外側スリーブ18の更なる回転により、駆動シャフト6をファスナに沿って外側スリーブ18内へ引入れ、ファスナ32を骨用プレート及びその下にある骨から抜取る。外側スリーブ18は、骨用プレート34の上面38に確実に当接しているので、内側シャフト84を通じてファスナに加えられる取外し力は、取外し時にネジを支えるために下にある骨に依存することなく、骨用プレート34に直接伝達される。従って、骨用プレート及び骨からのネジの制御された取外しを達成することができる。
図7a及び7bは、例示的な骨用プレート34及びロッククリップ56から成る構成を示しており、単一のロッククリップ56は、それが骨用プレート34内の周方向溝(図2)内に位置するように、骨用プレート34の各ネジ孔58内に置かれている。図8は、ファスナ32を骨用プレート34内で保持するために使用することができる例示的なロッククリップ56を示している。ロッククリップ56は、これが骨用プレート34内に取付けられた時に、骨用プレート34内に取付けられたファスナ32の頭部64内の円筒形溝62に係合することができる第1の固定脚部57及び第2の固定脚部59を有する単一の単体部分を含む。
骨用プレート34からファスナ32を抜取るために、工具1のファスナ係合端部2をファスナ頭部64内の対応する凹部52に整列させて、内側シャフト84の遠位端部88をファスナ頭部64内に挿入する。次に、アクチュエータノブ16を第1の方向へ回し、ネジ山付き内側シャフト84をファスナ32の対応する雌ネジ領域100と連結させて、工具1とファスナ32を堅く係合させる。アクチュエータノブ16をこのように締め付けることは、ファスナ32を工具1に対して軸線方向及び回転方向に固定させる。次に、外側スリーブ18を駆動シャフト6の周りで回転させることができるので、対応するネジ山付きの平行移動面24及び26は、外側スリーブ18を骨用プレート34に向けて内側シャフト84に沿って平行移動させ、外側スリーブの当接端部30が骨用プレートの上面38と接触すると停止する。次に、外側スリーブ18の把持面28を保持することにより、外側スリーブ18を静止保持しながら、ユーザは、ハンドル14を回して、ファスナ32を骨及び骨用プレートから抜取るのに必要な方向へ駆動シャフト6を回転させる。駆動シャフト6のこの回転はまた、駆動シャフト6を外側スリーブ18内へ平行移動させて、軸線方向に係合したファスナ32を支持した状態で骨用プレート34及びその下にある骨から抜取る。次に、ファスナ32を、骨用プレート34から取出した状態で、アクチュエータノブ16を逆回転させることにより、内側シャフト84及びファスナ32の対応するネジ山96及び98を外し、ファスナ32を工具1から取外す。
ファスナ32の頭部64を保持するためにファスナ孔58内に配置されたロッククリップ56を利用する骨用プレートシステムからファスナ32を取外す時に、工具1のロッククリップ係合面51は、ファスナ32を骨及び骨用プレートから取外すことができるように、工具1がファスナ32と係合する時にロッククリップ56を拡張させることができる。上述のように、工具1は、ロッククリップ56を単に僅かに拡げるように構成してもよいし(すなわち、部分的に拡張されたロッククリップは、依然としてネジ頭部溝62の少なくとも一部分と係合することができる)、頭部径「HD」(図4a)よりも大きな寸法にロッククリップを拡張させるように構成してもよい。ネジ頭部の部分(例えば、下側ロッククリップ係合面68)は、ロッククリップ56の拡張に寄与することができるので、骨用ネジ32は、その骨用ネジ孔から容易に取外すことができる。
図9a〜図9dに示すように、駆動シャフト284とファスナ32の間の軸線方向係合機構の別の実施形態を提供することができる。この実施形態では、駆動シャフト284は、非管状であり、内側シャフト部分を持たない。駆動シャフト284は、1つ又はそれよりも多くの半径方向に延びるウイング114を含むことができ、ファスナ頭部64は、ウイング114を受取るように作られたウイング114に対応する形状及び数の相互結合された凹部116を含むことができる。図示の実施形態では、駆動シャフト284は、4つのそのようなウイング114を含み、ファスナ頭部64は、それに対応する4つの相互結合された凹部116を含む。各凹部116は、ウイングが凹部116内に挿入され、かつ反時計方向に回転する時に、対応するウイング114を受入れるように構成された周方向に延びる連結ポケット118を更に含むことができる。連結ポケット118は、ウイング114がポケットから軸線方向に取外されるのを防止し、駆動シャフト84をファスナ32に対して軸線方向に固定する張出し面120を有することができる。この実施形態は、工具1をファスナ32に対して固定するために、アクチュエータノブ16の小角度の回転しか必要としないので、図2に関連して示した係合機構と比べて単純化された係合構成及び手順を提供することができる。それはまた、この実施形態の駆動シャフトが単体のみを含むので、駆動シャフト構成の複雑さも低減する。「ウイング付き」構成はまた、ネジ山の損傷と骨及びプレートからのファスナの取外しに付随する困難さとをもたらす可能性があると考えられる駆動シャフト284とファスナ32の間の斜め留めの任意の機会を排除する。
図9aのウイング構成は、上述のいずれのファスナ、プレート、及びロッククリップ構成にも使用することができ、又は図9b〜図9eに示すバージョンのネジ及びプレート固定機構にも使用することができる。図9bは、少なくとも1つの骨用ネジ孔126を含むプレート124を示しており、骨用ネジ孔126は、一対の対向する固定ガセット128を含む。固定ガセット128は、剛性としてもよいし、少なくとも部分的に可撓性としてもよい。この実施形態の骨用プレート124は、周方向固定溝128を有するファスナ126と共に使用することができ、固定溝128は、ファスナ頭部130内に置かれ、固定ガセット128を受入れるように構成される。この実施形態のファスナ126は、その頭部130が半径方向に圧縮可能であるように作るのがよい。従って、ファスナ126の取付け及び取外し時に、ファスナ頭部自体は撓むが(図9e参照)、ガセット128は剛性のままである。望ましい可撓性を付与するために、ファスナ頭部130は、長手方向に配置された少なくとも1つのスロット132を含むのがよく、スロット132は、取付け時及びプレート124からの取外し時に頭部130が収縮することを可能にする。すなわち、ファスナが骨用ネジ孔内に置かれて、その下にある骨内に係合する時、頭部は、半径方向に収縮することができるので(図9e)、ファスナ頭部の下側部分の直径「HD」は、ガセット128間の横方向距離に等しいか、又はこれよりも小さく、従って、ファスナ頭部130の下側部分がガセット128を通過することを可能にする。ファスナを骨用プレート及び骨から取外す時、同様な半径方向の圧縮が起こる。ファスナ頭部130は、より大きな可撓性を持たせるために、頭部領域の壁厚「t」(図9e)を低減するように構成された中空の中央部分134を更に含むことができ、従って、ファスナの取付け及びプレートからの取外し時に頭部を撓ませるために要する力の量を更に低減する。
図9a〜図9eのファスナ126は、ネジの長手方向軸線「SA−SA」に対して非直交とすることができる上側ガセット接触面136及び下側ガセット接触面138を更に含むことができる。同様に、ガセット上面140及びガセット下面142も、骨用プレートの上面144及び下面146に対して非直交方向に差し向けるのがよい。図示の実施形態では、ファスナの上側接触面136及び下側ガセット接触面138は、両面が「V字」形状を成すような角度にするのがよく、ガセットの上面140及び下面142も同様の角度にするのがよい。ガセット及びガセット接触面の角度を付けた形状は、骨用プレート124に対するファスナの取付け及び取外しに際して、可撓性ファスナ頭部130の圧縮を容易にすることができる。
スロット132及び中央切欠き部分134の寸法及び配置は、ファスナを骨用プレート124内へ駆動する時及び骨用プレート124から取外す時に、容易に圧縮される可撓性ファスナ頭部126を提供するように、また、原位置での早期の引抜きに抗するべく十分に堅牢な構造をも提供するように、任意適切な方式で構成するのがよい。同様に、上側ガセット接触面136及び下側ガセット接触面138、並びにガセットの上面140及び下面142自体の角度は、早期の引抜きを妨げるが、骨用プレートに対するファスナの取付け及び取外しを容易にするように選択することができる。この実施形態は、内側シャフト84上のウイング114と、それに対応する凹部116及び連動ポケット118を利用する軸線方向係合機構を有するものとして示されているが、単純に骨用ネジの柄内にネジ山を設け、かつ柄の雌ネジに届くほど十分な長さを有する内側シャフト84を設けることにより、上述の実施形態に対して説明したものと同様なネジ山による連結を使用することができることに注意されたい。
図10a及び図10bに示すように、更に別の実施形態による工具1は、シャフト遠位端152に置かれた別々の駆動スリーブ150を有する駆動シャフト148を含むことができ、スリーブ150は、ファスナロッククリップを切断させると共に(ファスナが、個々のファスナロッククリップを組み込んだプレートシステムと共に使用される場合)ファスナ32を回転させるように構成される。駆動スリーブ150は、少なくとも1つのファスナ凹部係合面154とロッククリップ拡張面156とを含むことができ、これらの2つの面は、この実施形態の2つの面が駆動シャフト148の残り部分とは別にスリーブ部材150上に置かれることを除けば、図1aの実施形態に関連して説明した同様な名称の面とあらゆる点で同様である。
駆動シャフト148は、減少させた断面部分158を有することができ、駆動スリーブ150は、駆動シャフトの減少させた断面部分158と摺動自在に係合するように構成された内腔160を有する。駆動スリーブの内腔160及び駆動シャフトの減少させた断面部分158は、これらの部分間におけるトルクの伝達を可能にするために、相互に対応する非円形断面を有することができ、従って、工具ハンドルの回転時に駆動スリーブ150がファスナ32を駆動することを可能にする。一実施形態では、対応する断面は、ほぼ正方形とすることができるが、他の非円形の幾何学形状も使用することができる。
工具1がファスナ32と係合する時、ロッククリップ拡張面156が係合してロッククリップ56を少なくとも部分的に拡張させることを可能にするために、駆動スリーブ150は、内側シャフト84内に形成された半径方向溝201にピン留めすることができる(図10c)。具体的には、ピン203は、駆動スリーブ150内の内腔162に固定して半径方向溝201と係合させるために、駆動スリーブ150内に形成された窓157を貫通して半径方向内向きに突出させることができる。すなわち、ピン203は、内側シャフト84に対して軸線方向に固定することができるが、内側シャフト84は、ピン203に対して回転することができる。この構成は、内側シャフト84がファスナ32内に螺合する時に、駆動スリーブ150がファスナと係合するように動くことを可能にし、従って、ファスナ32がロッド(内側シャフト)84上に螺合される時に、ロッククリップ56を少なくとも部分的に拡げることができる。駆動スリーブ150と内側シャフト84の間のピン203の係合を容易にするために、長手方向の窓157を駆動シャフト148の減少させた断面部分158内に設けることができる。
工具の外側スリーブの更に別の実施形態が図11aに示されており、この実施形態では、外側スリーブは、ナット部分164とバネスリーブ部分166とを含む2つの部分で形成される。ナット部分164は、雌ネジ167を含み、駆動シャフトの対応するネジ山付きの部分170と係合するために駆動シャフト168の周りに配置される。バネスリーブ部分166は、ナット部分164と駆動シャフトのファスナ係合部分172との間で駆動シャフト168の周りに配置され、骨用プレート176と係合するための当接面174を含む。この実施形態の工具は、単体外側スリーブ18が設けられた上述の実施形態と同様に機能する。しかし、この実施形態では、この実施形態のこの2部分設計は、バネスリーブ部分166の当接面174が、ネジ取外し作業の全体を通して骨用プレート176の上面178(図11)に対して回転可能に静止したままであることを可能にするという付加的な利点を提供する。これは、駆動シャフト168及びスリーブ166の平行移動を容易にするのに必要な回転運動の全てがナット164及びバネスリーブ166間の界面180で起こるので、バネスリーブ166を回転可能に固定された状態に維持することができるからである。
バネスリーブ166は、スリーブの近位端部184と遠位端部186との間に置かれたバネ要素182を更に含むのがよい。バネ要素182は、駆動シャフトに沿ってバネスリーブ166を一時的に固定し、バネスリーブが駆動シャフトの端部から滑り出さないことを保証するために、駆動シャフト168の外面188と弾力的に係合することができる。
ナット及びバネスリーブは、これらの2つの部分を軸線方向に保持するが、依然としてナット164をバネスリーブ166に対して回転させるように構成された協働する端面190及び192を有することができる。図11bは、ナット端部部分220が、半径方向に延びたカラー222を含むことができ、スリーブ166が、半径方向に延びたリップ224を含むことができ、カラー222とリップ224が、これら2つの部分を軸線方向に固定するが、依然としてそれらを互いに対して回転させるという別の実施形態を示している。この軸線方向保持機構を設けることは、バネ要素182(図11a)の省略を可能にし、すなわち、バネ要素182は、ナット164自体がスリーブ166を工具上で保持する働きをするので省くことができる。
図12は、損傷した雌ネジ98を有するファスナ194を取外すために使用することができる工具の別の実施形態を示している。この実施形態の工具は、雌ネジ98が原位置において損傷しているか、又は内側シャフト84のネジ山付き係合端部96との斜め留めによって損傷した状態にあるか、又はユーザがファスナを内側シャフト84と係合させることができないという他の事態が生じた場合に使用することができる。この実施形態の工具は、上述した実施形態の駆動シャフト及び内側シャフトの代わりに摘出シャフト196を含むのがよい。摘出シャフト196は、その遠位端部200に円錐形ネジ山198を有すし、ネジ山198は、ファスナを抜取るために加えられる通常の逆回転が、円錐形ネジ山198を損傷したファスナネジ山98内に駆動させ(すなわち、ファスナに対して工具を軸線方向に固定し)、かつファスナ194を骨及び骨用プレートから抜取る働きをすることもできるように、「逆回り」とするのがよい。この実施形態の工具は、摘出シャフト196に関して同軸に配置された外側スリーブ202を更に含むことができ、外側スリーブ202は、他の実施形態に関連して上述したものと同じ方式で作動することができる。すなわち、摘出シャフト196は、ファスナと係合するように働くことができ、他方、外側スリーブは、取外し力を骨用プレート208の上面206に伝達することにより、損傷したファスナの制御された取外しを可能にするように働くことができる。上述した実施形態の場合と同様、外側スリーブは、1つ又は2つの部分とすることができる。
ファスナ194が、その頭部214を保持するために各ネジ孔212内に置かれたロッククリップ210を有するプレートシステムと共に使用される場合には、損傷したファスナ216をクリップ210によって妨げられていないプレートから取外すことを可能にするために、摘出シャフト196とは別のロッククリップ拡張スリーブ218を設けるのがよい。この実施形態のロッククリップ拡張スリーブは、ロッククリップ210を拡張させるために単独で使用することができ、又はそれは、摘出シャフト196の回転によってロッククリップ拡張スリーブ218がネジ216を回転させることができるように、ファスナ上の駆動凹部と係合するように構成された駆動要素218を含む。
工具の実施形態の個々の要素は、当業技術で公知のあらゆる適切な方法を使用して形成することができる。同様に、これらの要素は、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、ポリマー、その他を含むあらゆる適切な材料又は材料の組合せで製造することができる。
従って、本明細書に開示した実施形態は、単に本発明の原理を例示するものであることを理解すべきである。本発明の原理を具現化し、かつその精神及び範囲に含まれることになる様々な他の修正は、当業者によって行うことができる。