JP2007528211A - Tfpiおよびtfpiアナログを精製するための改良された方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、精製されたTFPIの生成に関連する。
組織因子経路インヒビター(TFPI)は長さにおいて276アミノ酸であり、そして組織因子が媒介する血液凝固のインヒビターとして機能する。特許文献1を参照のこと。TFPIのアミノ末端は負の電荷を持ち、そしてカルボキシ末端は正の電荷を持つ。このTFPIタンパク質は、3つのクニッツ型酵素インヒビタードメインを含む。TFPIは、正しくフォールディングした場合、18個のシステイン残基を含み、そして9つのジスルフィド架橋を形成する。その一次配列は、N結合型のコンセンサスグリコシル化部位(Asn−X−Ser/Thr)を3つ含む。このグリコシル化部位のアスパラギン残基は、145位、195位、および256位に位置する。TFPIはまた、リポプロテイン関連性血液凝固インヒビター(LACI)、組織因子インヒビター(TFI)、および外因性経路インヒビター(EPI)としても公知である。
本発明は、少なくとも以下の実施形態を提供する。
本発明は、TFPIまたはTFPIアナログ(下記に定義)を精製するための改良された方法を提供する。上記の精製方法は、TFPI分子またはTFPIアナログ分子の調製物であって、その調製物の約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、または約0.5%未満が「改変された化学種」からなる調製物を生成し得る。
「改変された化学種」は、酸化されたTFPIまたはTFPIアナログ、カルバミル化されたTFPIまたはTFPIアナログ、脱アミド化されたTFPIまたはTFPIアナログ、アセチル化されたTFPIまたはTFPIアナログ、凝集したTFPIまたはTFPIアナログ、誤ってフォールディングしたTFPIまたはTFPIアナログである。
「TFPI」は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する、グリコシル化されていないTFPIである。「TFPIアナログ」は、配列番号1に示されるようなTFPIとは異なる一次アミノ酸構造を有し(すなわち、1つ以上のアミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、および/またはアミノ酸付加)、一方で下記に論じられるような、TFPIの1つ以上の生物学的活性を保持する。TFPIアナログはTFPIのアミノ酸配列(配列番号1)と、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%のアミノ酸同一性を有する。TFPIアナログは、ムテイン、キメラ分子、およびTFPIの断片を含む。任意のこれらの分子は、メチオニンからノルロイシンの置換、またはロイシンからノルバリンの置換を1つ以上含み得る。
TFPIまたは改変されたTFPI(下記に定義)の生物学的活性は、第VIIa因子/TF複合体および第Xa因子の双方のアミド分解(amidolytic)活性、ならびに、プロトロンビン時間(PT)アッセイにて測定できるような、抗血液凝固活性との結合および阻害を含む。下記に定義するような改変されたTFPIアナログを含むTFPIアナログは、好ましくは、第VIIa因子/TF複合体および第Xa因子のどちらか、または双方と結合し得る。改変されたTFPIアナログを含むTFPIアナログは、好ましくは、実質的な量の抗血液凝固活性(例えば、下記に記述するPTアッセイにて測定される、TFPI(配列番号1)の、10%、30%、50%、60%、80%、90%、またはそれ以上の抗血液凝固活性)を有する。
本発明の、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの調製物は、その約12%未満が、下記に記述されるアッセイのうちの1つ以上によって検出される、改変された化学種である、TFPI分子またはTFPIアナログ分子を含む。「改変されたTFPI化学種またはTFPIアナログ化学種」は、以下の翻訳後修飾のうちの1つ以上を含む分子である:酸化(酸化されたメチオニン残基)、システイン付加物、アミノ酸改変(残余のN末端メチオニン、脱アミド化、アセチル化、およびカルバミル化)、凝集(TFPIオリゴマーまたはTFPIアナログオリゴマーの生成)、および誤ったフォールディング。
下記に記すアッセイは、TFPI調製物またはTFPIアナログ調製物の純度、安定性、または生物学的活性を決定するために用いられる。
逆相高速液体クロマトグラフィー法(CN HPLC)は、改変されたTFPI化学種またはTFPIアナログ化学種(すなわち、改変(例えば、酸化されたメチオニン残基)、およびアミノ酸改変(例えば、残余のN末端メチオニン、カルバミル化、脱アミド化、およびアセチル化)を含むTFPI分子またはTFPIアナログ分子)を検出するために用いられる。CN HPLCはまた、メチオニンからノルロイシンへの置換を有するTFPI化学種またはTFPIアナログ化学種を検出し得る;しかし、上記に記述したように、こうした化学種は「改変されたTFPI化学種またはTFPIアナログ化学種」ではなく、そして本発明の精製された調製物内に存在し得る。
遊離のシステインの定量を可能にする任意のアミノ酸解析方法が、システイン付加物を有するTFPI分子またはTFPIアナログ分子の定量に用いられ得る。例えば、Barkholt&Jensen、Anal Biochem.1989年3月;177(2):318−22;Hoogerheide&Campbell、Anal Biochem.1992年2月14日;201(1):146−51;Athertonら、Anal Biochem.1993年7月;212(1):98−105;Haleら、Anal Biochem.1994年1月;216(1):61−6;Mannebergら、Anal Biochem.1995年11月1日;231(2):349−53;Thannhauserら、J Protein Chem.1998年1月;17(1):37−43;Yanら、J Chromatogr A.1998年7月10日;813(1):187−200;米国特許第4,670,403号;および米国特許第4,784,962号に開示された方法を参照のこと。代表的には、TFPI分子またはTFPIアナログ分子を還元した後に放出される遊離のシステインを定量する。
Promega ISOQUANT(登録商標)キット(Promega Technical Bulletin No.TBI001(ISOQUANT(登録商標)Isoaspartate Detection Kit、改訂 8/99))またはそれに相当するものが、イソアスパラギン酸の間接的な測定を通して、TFPIの脱アミド化またはTFPIアナログの脱アミド化を決定するために用いられる。手短に言えば、上記のキットは、S−アデノシル−L−メチオニン(SAM)のメチル基の、イソアスパラギン酸への転移を触媒する、タンパク質イソアスパルチルメチル転移酵素(PIMT)を利用する。この反応は副産物であるS−アデノシル−L−ホモシステイン(SAH)を生成し、SAHは続いて、タンパク質の脱アミド化のレベルを定量するために、RP−HPLC(Carlson&Riggin、Analytical Biochemsitry 278,150−55,2000)にて解析される。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC HPLC)は、TFPIオリゴマーまたはTFPIアナログオリゴマー(すなわち、凝集した形態)から、TFPI単量体またはTFPIアナログ単量体を検出するために用いられる。この方法は、BioRad Bio−Sil SEC 250−5ならびに、40%のアセトニトリルおよび0.75%のトリフルオロ酢酸を含む移動層を用いる。溶出液を、214nmにおける吸光度にて、タンパク質についてモニターする。単量体およびオリゴマーは、水力学的半径に基づいて分離される。純度は、面積百分率によって評価される。
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を非還元的条件下にて行い、そして、クーマシーブルー染色を用いて、誤ってフォールディングしたTFPI化学種またはTFPIアナログ化学種の検出に用いる。この方法は、14%のアクリルアミドゲルおよびコロイド性のクーマシー染色を用いる。還元されたサンプルおよび還元されていないサンプルを、参照標準物質と比較する。非還元的条件下にて、誤ってフォールディングされた形態のTFPIまたはTFPIアナログは、TFPIまたはTFPIアナログよりも、わずかに大きな電気泳動的な移動度を有し、他方で、還元的状態下では、電気泳動的な移動度に違いはない。精製された調製物中の、凝集した、および/または誤ってフォールディングした化学種の割合を決定するために、その結果を、参照標準物質と比較する。
SDS PAGEを非変性条件下にて行い、そして、銀染色を用いて、精製プロセスの間には除かれないE.coliタンパク質の同定に用いる。上記のサンプルは、14%アクリルアミドゲルに注ぐ前に還元する。サンプルの結果は、参照標準物質と比較する。
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX HPLC)は、カルバミル化したTFPI化学種またはTFPIアナログ化学種、あるいは電荷の関係したTFPI化学種またはTFPIアナログ化学種の存在の検出に用いられる。上記のCEX−HPLC法は、Pharmacia Mono−S HR 5/5−ガラスカラムを用いる。上記のカラムは、80%のバッファーA(pH 5.4にて、20mMの酢酸ナトリウム三水和物:アセトニトリル溶液(70:30 v/v))および20%のバッファーB(pH 5.4にて、20mMの酢酸ナトリウム三水和物−1.0Mの塩化アンモニウム−アセトニトリル溶液(70:30 v/v))にて平衡化される。サンプルを注入した後、TFPIを溶出するために、0.7ml/分の流速にて、21分間内に20%のバッファーB〜85%のバッファーBの勾配が適用される。タンパク質のピークは、280nmにおける吸光度、または、励起に280nmおよび発光に320nmを用いた蛍光によって検出される。
質量分析法は、下記の、特定の実施例にて記述される。本発明の精製されたTFPI調製物は、好ましくは、質量分析によるアッセイによって検出し得るレベルのアセチル化されたTFPI化学種を含まない。
PTアッセイは、Coag−A−Mate MTX II器械(Organon Teknika)上にて行われる。TFPIサンプルまたはTFPIアナログサンプルは、まずバッファー(2Mの尿素、20mMのリン酸ナトリウム、250mMのNaCl、pH 7.2)にて150μg/mlに希釈され、続いてTBSAバッファー(50mMのTris、100mMのNaCl、1mg/mlのウシ血清アルブミン、pH 7.5)にて30μg/mlに希釈され、そして最後に、TBSAバッファーにて12〜15μg/mlに希釈される。アッセイのために、10μlの希釈したサンプルを、まず90μlのプールしたVerify I(Organon Teknika、カタログ番号59566)に混ぜ、試験トレー(Organon Teknika、カタログ番号35014)に充填し、そして上記のCoag−A−Mate内に配置する。次いで、200μlのSimplastin Excel(Organon Teknika、カタログ番号52001)を、凝固プロセスを開始するために加える。この凝固時間は、標準物質中のTFPIまたはTFPIアナログの濃度の対数に対する、凝固時間(秒)の対数の標準プロットと比較することで、投入したTFPIまたはTFPIアナログの濃度に変換される。相対的な効力は、試験サンプル中のTFPIおよびTFPIアナログの阻害活性を、TFPIおよびTFPIアナログのコントロールの阻害活性と比較することで、計算される。
本発明の精製方法(「方法C」)は一般に以下の工程を含む:(1)E.coli内にてTFPIまたはTFPIアナログを発現する工程、(2)屈折体を単離する工程、(3)上記屈折体を溶解し、そして発現したTFPIまたはTFPIアナログをリフォールディングする工程、(4)SP−セファロース高流速(FF)クロマトグラフィー工程、(5)一次濃縮およびダイアフィルトレーション工程、(6)Q−セファロース高速(HP)クロマトグラフィー工程、(7)ブチル疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)工程、(8)SP−セファロースHPクロマトグラフィー工程、および(9)二次濃縮/ダイアフィルトレーション工程。随意的に、濃縮/ダイアフィルトレーション工程は、ブチルHIC工程とSP−セファロースHPクロマトグラフィー工程との間に含まれ得る。
2メチオニン1モル当たりのノルロイシンの置換の%で表した。
3ロイシン1モル当たりのノルバリンの置換の%で表した。
(TFPIまたはTFPIアナログをコードする配列)
TFPIの野生型のアミノ酸配列を、配列番号1に示す。上記に定義したTFPIまたはTFPIアナログをコードする任意のヌクレオチド配列が、発現されるTFPIまたはTFPIアナログをコードするために用いられ得る。ala−TFPIにとって好ましいコード配列は、図15に示す。
組換え型のTFPIまたはTFPIアナログは、当該分野で周知の、任意の適した宿主細胞(例えば、酵母宿主細胞または哺乳動物宿主細胞(例えば、CHO細胞、HepG2細胞、Chang肝細胞、またはSK肝癌細胞))内で生成され得る。例えば、米国特許第5,212,091号、同第6,103,500号、および同第6,323,326号を参照のこと。このように組換え的に生成されたTFPIまたはTFPIアナログは、下記に記述したような、本発明の方法を用いて精製され得る。
TFPIまたはTFPIアナログは、好ましくは、E.coli宿主細胞内にて生成される。TFPIの生成に用いられる好ましいE.coli株は「MON210」とよばれ、この「MON210」は、ブダペスト条約の規定の下で、2003年10月8日に、American Type Culture Collection(ATCC),P.O.Box 1549,Manassas,VA 20108,USAに寄託された(登録番号PTA−5564)。MON210は、野生型E.coli株W3110(Backman、Bacteriologica Reviews 36、525−57、1996)から、W3110→MON105→LBB358→MON210の順序を含む多段階のプロセスを通して、産生された。
E.coli宿主細胞内にてTFPIまたはTFPIアナログを発現させるために用いるプラスミドは、以下の遺伝子要素を有する:転写プロモーター、リボソーム結合部位、TFPIまたはTFPIアナログをコードする配列、転写ターミネーター、レプリコン、抗生物質耐性遺伝子、およびN末端メチオニンを除去する酵素。特に好ましい要素を、表2に示す。
プラスミドpMON37621は、プラスミドpMON9197から始まって構築された。pMON9197は、ala−TFPIをコードする最適化された遺伝子、第10遺伝子リボソーム結合部位(Olinsら、Gene 73、227−35、1988)、スペクチノマイシン耐性遺伝子(Flingら、Nucleic Acid Research 13、7095、1985)、MAP遺伝子(Ben−Bassat、J.Bacteriol.169、751−57、1987)、およびpBR327の複製起点(Bolivar、Gene 2、95−113、1977)を含む。上記のリクラックプロモーター(米国特許第5,212,091号を参照のこと)をpMON9197に挿入し、本来のtacプロモーターと交換して、プラスミドpMON26335を産生した。
製造株MON210/pMON37621は、MON210にpMON37621を形質転換することで産生される。形質転換は、当該分野で公知の任意の手段によって達成され得る。形質転換されたMON210/pMON37621のグリセロールストックが調製され得、そして保存用細胞バンクおよび作業用細胞バンクの樹立に用いられ得る。
保存用細胞バンクおよび作業用細胞バンクは、以下のように、製造株から調整される。保存用細胞バンクの調製のためには、親MON210/pMON37621の凍結バイアルを解凍し、そして、スペクチノマイシンを含む、規定された産生播種培地内で、約9世代、振盪フラスコ内で増殖させる。次いで、10%のグリセロールを含む細胞のバイアルを凍結してよく、そして−70℃にて維持してよい。作業用細胞バンクは、保存用ストックバイアルを解凍し、そして保存用細胞バンクについて記述したように細胞を増殖させることで調製し得る。
製造発酵プロセスは、3つの工程を含む:(1)種1振盪フラスコ、(2)種2発酵槽、および(3)10,000L生産発酵槽。この発酵プロセスの間に用いられる培養液の組成を、表3に収載する。KOHおよびH2SO4が、種1培養液および種2培養液の培養液pHを合わせるために用いられる。NH4OHおよびH2SO4が、発酵槽の培養液のpHを合わせるために用いられる。NH4OHはまた、発酵の間にpHを制御するためにも用いられる。
2最初の実際のグルコース濃度は、セレローズの含水量(9%未満)に起因して34〜42g/Lである。
3最初に加えられた3.5LのUcon消泡剤。さらなる消泡剤(12.5Lまで)が、発酵の間に加えられ得る。
上記の発酵プロセスは、作業用細胞バンクの凍結バイアルの解凍から始まる。このバイアル(1mL)の中身を、種1振盪フラスコ内の0.5Lの種1培養液の接種に用いる。このフラスコを、37±2℃でインキュベートし、そして200RPMで混ぜる。この培養物は、細胞濃度が0.9〜1.7ODに達するまで、約9世代間増殖させられる。次いで上記の種1培養物を、種2発酵槽に移す。
30Lの種2培養液に、種1培養物の0.5L容量を接種する。上記の種2培養液は、基本的に種1培養液と同一であるが、0.1mL/LのUcon消泡剤を添加している点で異なる。上記の種2発酵は、好ましくは、37±2℃の温度で、6±2LPMの空気散布と共に行われる。上記の培養液の最初のpHは、好ましくは7.2±0.2である。
上記の種2発酵槽の全ての中身を、約6,400Lの産生培養液を入れた10,000L発酵槽に移す。上記の産生培養液の組成を表3に示す。上記の産生発酵槽は、以下のパラメーターについて制御される。増殖段階の温度は、好ましくは37±2℃である。温度設定値を、TFPIまたはTFPIアナログの発現の誘導の約0.5時間前に、37℃から30℃に変更し、そして発現段階の温度は、好ましくは30±2℃である。pHを、濃NH4OHの添加によって制御し、好ましくは6.9±0.2である。グルコースの最初の供給が枯渇した場合、および栄養分の供給の開始の直前において、約pH7.4±0.2までの一時的なpHの棘波が起きる。最後に、溶存酸素(好ましくは0.1〜0.5atm)は、攪拌速度、散布速度、および散布ガス中の酸素の割合の調整によって制御される。
(細胞の収集)
細胞の収集のために、発酵ブロスをpH5.5〜6に調整し、そして酸素およびグルコースの送達を中断する。攪拌を減少し、そしてブロス温度を5〜10℃に低下させる。キレート剤であるDTPAを、最終濃度1mMとなるように加える。上記のDTPAの添加は、クエン酸でpHを5.5〜6.0に調整したストック溶液を用いてなされる。収集培養物を、上清中の固形物の損失が最小限になるような流速で作動させたBTUX−510遠心機に送る。収集した細胞を含む固形物を、発酵槽が空になるまで、引き続いてタンクにポンプで汲み出す。精製水を、収集した細胞に、体積が約10,000リットルになるまで加え、DTPAを最終濃度が1mMとなるように加え、そして、前記に記述したように、BTUX−510遠心機を通して処理する。この洗浄工程を、全てで2回繰り返す。
上記の細胞洗浄工程の後、屈折体(RB、封入体としても公知)の回収を始める。回収は、上記の固形物が宿主細胞の細片を含まない基本的にきれいな屈折体になるまで、繰り返されるホモジェナイズ、遠心分離、および上記の固形物への体積追加の工程を含む。ホモジェナイザーは、約9000psigの一定の圧力で操作し、そしてBTUX−510遠心機またはそれに相当するものは、上清中の固形物の損失が最小限になるような流速で作動させる。
連続的な遠心分離および体積追加プロセスの第1段階(ダイア遠心分離(diacentrifugation))の間、その体積は約5000Lから約2500Lへ減少する。遠心分離による上清は捨てられ、そして固形物を収集する。この工程および引き続く工程のためのDTPA濃度は、10mMである。
RB単離プロセスの次の工程は、バッチダイア遠心分離である。この工程の間、前工程にて調製された粗製RBスラリーを、最終的なRBスラリーが、混入する細胞性物質をほとんど含まなくなるまで、繰り返しホモジェナイズし(連続的な方法で)、そして遠心分離する(バッチ方法で)。代表的には、望ましいRB純度を達成するためには、BTUX−510遠心機またはそれに相当するものを用いた、3回のバッチ工程が用いられる。バッチダイア遠心分離のための遠心分離パラメーターは、体積の減少のために示されたパラメーターと同一である。
第2のバッチダイア遠心分離工程の最後において、望ましくない発酵不純物(例えば、核酸および金属)を除くために、クエン酸ナトリウムバッファーによる洗浄を用いる。この工程の最後において、クエン酸ナトリウムを、最終濃度150mM、pH約5.5〜6.0となるように加える。
第3のバッチダイア遠心分離工程のために、SC−35遠心機またはそれに相当するものが用いられる。バッチダイア遠心分離3は、約2500LのRBスラリー体積から始まる。上清を捨て、そして固形物を別々に収集する。この工程の間、収集される固形物の体積は、宿主細胞の不活性化前に最終体積が500Lを超えないように、最小化される。
前工程において収集されたRBスラリーは、残余の組換え細菌細胞(約103〜105細胞/ml)を含む。これらの生存可能な細胞を、上記のRBスラリーが容器に分配され得る前に、不活性化する。残余のE.coli細胞を、1−オクタノール(約50%の固形物を含むスラリーに対して、0.2%v/w)に5〜10℃にて30分間接触させることで、不活性化する。
不活性化の後、上記のRBスラリー(「RB中間体」)を、同等の部分に分配し、凍結する。例えば、上記の不活性化したRBスラリーを、7.5Lずつのアリコートにて、−20℃未満で、都合良く凍結する。
下記に記述するリフォールディング反応は、10,000Lの工業規模においても、1日で完了し得る。リフォールディング工程におけるTFPIまたはTFPIアナログの量は、20,000gである。上記のリフォールディング反応の間、TFPIまたはTFPIアナログの濃度は、2g/Lである。上記のリフォールディング化学作用は、正しいジスルフィド結合を形成するための、システインの結合および銅触媒性の酸化を含む。
SP−セファロースFF樹脂をもちいた陽イオン交換クロマトグラフィーを、最初の捕捉工程に用いる。上記のカラムの装填容量は、総タンパク質40g/Lである。上記のカラムを、20mMのクエン酸ナトリウム、3Mの尿素、pH6にて平衡化する。上記の調整したフォールディングされたプールを、デプスフィルターおよび0.45μMフィルターを通して濾過し、そして上記のカラムに注ぐ。装填後、上記のカラムを平衡化バッファーにて洗浄し、次いで中間塩洗浄(約150mMのクエン酸ナトリウム)にて洗浄する。タンパク質は、約190mMのクエン酸ナトリウムを用いて溶出される。この溶出工程の間のA280のトレースが増加したら、プール工程を開始する。このプール工程は、約3カラム容量、またはA280のトレースが基線に戻るまで続ける。溶出後、上記のカラムを0.5NのNaOH溶液にて再生し、そしてさらなるサブロットの処理のために再平衡化するか、または保存のために0.1NのNaOHにて洗浄する。タンパク質の濃度およびカラムの回復を決定するために、上記のプールの吸光度を278nmにて測定する。
上記のSPのプールを、6Nの酢酸を用いてpHを4.5〜5.0に調整し、12〜14g/Lに濃縮し、そして、10kDa膜を用い、20mMの酢酸、15mMのNaCl、3Mの尿素を含み、pHが4.25の、8容積のダイアフィルトレーションバッファーにて、ダイアフィルター処理(diafilter)する。ダイアフィルター処理された溶液を上記の系から排出し、そして工程の回収率を決定するために、濃度を278nmにて決定する(代表的には、10〜12g/Lの範囲)。次いで、上記のダイアフィルター処理されたプールを0.2μmのフィルターを通して、滅菌した袋の中へ濾過し、そして、Q−セファロースHPクロマトグラフィー工程を行うまで、少なくとも3ヶ月間、2〜8℃にて維持し得る。
濃縮し、ダイアフィルター処理したSPのプールを、最終濃度で約4Mの尿素、20mMのNaCl、20mMのトリスとなり、pHが7.6〜8.5となるように調整し、そして、Q−セファロースHPカラムに充填する。カラムを、4Mの尿素、20mMの塩化ナトリウム、20mMのトリスを含み、pHが8であるバッファーにて平衡化する。装填後、上記のカラムを平衡化バッファーにて洗浄し、次いで、50mMの塩化ナトリウムを含む平衡化バッファーにて洗浄する。TFPIを、バッファー内での50〜80mMの塩化ナトリウムの勾配10CVを用いて溶出する。TFPIを含む画分は、適切な画分に含まれていることを確認するための、SDS PAGEによる画分解析およびHPLC解析に基づいてプールし得る。
上記のQ−セファロースHPクロマトグラフィー工程からのプールを、2.5MのNaCl、2Mの尿素、100mMのクエン酸ナトリウム、pH6にて調整し、そしてブチル650Mカラムに装填する。装填後、上記のカラムを、3CVの1.7MのNaCl、2Mの尿素、100mMのクエン酸ナトリウム、pH6にて洗浄する。生成物を、2Mの尿素および100mMのクエン酸ナトリウムを含み、pHが6であるバッファー中で、1.7MのNaCl〜0MのNaClの勾配10CVにて溶出する。上記のカラムは、「結合および溶出」方式で操作する。画分を収集し、プール中の適切な画分の封入を確認するために、HPLC解析にて解析する。溶出後、上記のカラムを、塩を含まないバッファーにて洗浄する。カラムの再生は、0.5NのNaOHを用いて行う。さらなるサブロットを処理する場合には、上記のカラムを再平衡化してもよく、または保存のために0.1NのNaOHにて洗浄してもよい。タンパク質の濃度およびカラムの回復を決定するために、上記のプールの吸光度を278nmにて測定する。
カルバミル化したTFPI化学種または誤ってフォールディングしたTFPI化学種を除くために、高速陽イオン交換クロマトグラフィー工程を、洗練させる工程として用いる。上記のブチルプールを、3.9Mの尿素を含みpH5.5のバッファーにて約5倍に希釈し、導電率を2〜8℃にて約15.6にする。調整したブチルプールを、20mMのクエン酸ナトリウム、3Mの尿素、pH5.5にて平衡化したSP−セファロースHPカラムに装填する。装填後、上記のカラムを、400mMのNaCl、3Mの尿素、20mMのクエン酸ナトリウムを含み、pH5.5であるバッファー1.5CVにて洗浄する。タンパク質を、3Mの尿素、20mMのクエン酸ナトリウム、pH5.5内にて400〜650mMのNaClの勾配17CVを用いて溶出する。
第2の(最後の)濃縮/ダイアフィルトレーション工程にはまた、10kDa膜も用いる。上記のSP−セファロースHPプールを約12g/Lタンパク質まで濃縮し、そして、300mMのL−アルギニン、および20mMのクエン酸ナトリウムを含み、pH5.5であるバッファー8容量にてダイアフィルター処理する。ダイアフィルター処理した溶液を回収し、この工程の収量を決定するために、278nmにてタンパク質濃度を測定する。代表的には、最終のタンパク質濃度は、上記のユニットを流した後、約10mg/mLである。
上記に記述された方法に従って生産されたTFPIまたはTFPIアナログは、治療的な投与に適している。好ましい実施形態において、薬学的処方物は、20mMのクエン酸ナトリウム、300mMのL−アルギニン、および5mMのL−メチオニン、pH5.5中に、0.15mgのala−TFPI/mLを含む。第60/438,519号、第60/494,577号、第60/509,260号、第60/512,090号、第60/438,524号、第60/494,547号、第60/509,276号、および第60/512,092号に開示された処方物も参照のこと。
(アミノ酸解析およびアミノ酸組成の決定)
それぞれのロットの組換えala−TFPI(rTFPI)薬物原料の3つの複製アリコートであって、それぞれが約600ピコモル(約20μg)のタンパク質を含むアリコートを、1%のフェノールを含む、不断に沸騰したHCl100μL内にて、減圧中で110℃にて22時間、加水分解した。還元、およびシステイン残基のカルボキシメチル化の後に得られた調製物のサンプルを、同様に処理した。遊離のアミノ酸をBeckman Model 6300アミノ酸解析装置を用いたイオン交換クロマトグラフィーによって分離した。この装置は、タンパク質の加水分解産物をナトリウムバッファーと共に解析するための、製品のプログラムによって操作した。カラムのニンヒドリンによる誘導体化の後、上記のアミノ酸を、570nmにて一級アミンを、または440nmにてプロリンを定量化した。このシステムの較正は、Beckmanアミノ酸標準混合物の使用を通して達成された。全てのサンプルは、内部標準としてノルロイシン(Nle)を用いて、「棘波を描いた」。
Beckman 6300アミノ酸解析装置を用いて、ノルバリンおよびホモシトルリンを定量化した。このとき、バリンからの、ノルバリンおよびホモシトルリンの分離を容易にするような、ナトリウムバッファー溶出プロトコール改変を使用した。この分離プロトコールにおいて、2つのバッファーを用いた:6NのHClにてpH3.75に滴定したBeckmanバッファーNa−F、および、pHも濃度も変えないBeckmanバッファーNa−D。上記のプログラムは、Na−Fを最初の溶出液として使用し、カラム温度は25℃であった。流量を40分間維持し、その間にカラムの温度を、30分間のイソクラティクな溶出の後に75℃まで上昇させた。注入後40分において、もう15分間のイソクラティクな溶出のためにNa−Dを用いた。このプログラムは、ノルバリン、バリンおよびホモシトルリンの基線分離を生じ、そして塩基性アミノ酸の分離を維持した。
ホモシトルリンは、Waters AccQ・Tagアミノ酸解析法を用いて定量した。タンパク質を、1%のフェノールを含む6NのHCl内にて、110℃で22〜24時間加水分解し;遊離のアミノ酸を、ホウ酸塩バッファーの存在下で、高いpHにて、6−アミノキノリル−N−ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート(AQC)にて誘導体化した。このように、一級アミンおよび二級アミンの双方を、安定な蛍光性の誘導体に変換した。ここで、これらの蛍光性の誘導体は、逆相(RP)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した。コントロール実験から、アミノ酸アナログの25%が、酸加水分解の間にリジンに変換されることが示される。この反応を説明するために、このデータに補正因子を適用した。ノルバリンの定量の場合のように、ヒスチジンを定量してサンプル内に存在するrTFPIのモル数を定義し、このタンパク質のリジン含有量に基づいて改変のレベルを算出した。
たくさんのバルクのrTFPI生成物のN末端配列解析を、エドマン分解によって行った。この配列解析のそれぞれのサイクルの間に、タンパク質サンプルを、揮発性の塩基、カップリング試薬(フェニルイソチオシアネート)、および無水酸に曝露して、N末端アミノ酸残基のフェニルチオヒダントイン(PTH)誘導体を放出し、このことにより、N末端において1つ残基が少ないタンパク質を産生している。遊離のPTH−アミノ酸誘導体を、逆相HPLCによって確認した。
サンプルを、o−リングキャップを有する1.5mLの微量遠心チューブに移し、そしてSavant Speed−Vac濃縮装置での減圧遠心分離によって乾燥した。それぞれのサンプルを、0.2Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、6.0Mのグアニジン塩酸塩、0.003Mのエチレンジアミン四酢酸を含み、pHが8.5である、還元およびカルボキシメチル化(RCM)バッファー250μLに溶解し、そして、ジスルフィド結合を還元するために、1.0MのDTTを15μL加えた。このチューブにアルゴンガスを流し、そして酸素を排除するためにきつく蓋をした。このサンプルを、Thermomixer内にて60℃で1時間インキュベートした。新鮮なヨウ化酢酸ナトリウム(IAA)溶液を、上記のRCMバッファーの4倍希釈のアリコート内にて調製し(0.25g/mL、1.2M)、そしてIAA溶液26μLを、それぞれのrTFPIサンプルに加えた。このチューブにアルゴンガスを流し、そして酸素を排除するためにきつく蓋をした。カルボキシメチル化反応を、室温にて、遮光して、30分間行った。反応混合液をNAP−5カラムにて脱塩した。それぞれの反応の最終生成物のアリコートを、アミノ酸解析によって、タンパク質濃度を定量した。
いくつかの場合において、タンパク質を、解析または酵素的消化に先立って脱塩する。Vydac C4ガードカートリッジ(4.6×20mm;粒子サイズは5ミクロン)を、賦形剤(例えば、尿素、アルギニン、またはグアニジン塩酸塩)からタンパク質を分離するために用い、この賦形剤は多くの種類の解析を妨害し得る。1〜2ミリグラムのタンパク質のサンプルを、水中に0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)(バッファーA)内で平衡化した上記のカラムに注入した。タンパク質を、上記のカートリッジから、流速毎分1.0mLにて、バッファーB(水中に80%のアセトニトリル:0.1%のTFA)の以下の勾配(終末点)にて溶出した:0分=0%B;5分=0%B;15分=90%B;18分=90%B;20分=0%B。上記の溶離液を、波長220nmで、2.0吸光度単位フルスケール(AUFS)の範囲にて、モニターした。全ての賦形剤は、溶出の最初の5分間に溶出した。rTFPIのピークを手動で収集し、そして揮発性溶媒を減圧遠心分離にて除いた。
10μLの、ロットMAECM014由来のrTFPIを、0.8μGのAsp−N(Boehringer Mannheim)により、150μLの100mMのTris−HCl、pH6.8中で消化した。10μLのrTFPIを、1.8mMの酢酸亜鉛により、150μLの100mMのTris−HCl、pH6.8中で消化した。上記のAsp−N消化は、37℃にて18時間行った。150μLの8Mのグアニジン塩酸塩溶液の添加によって消化を終結させ、そしてサンプルを、解析前に、−80℃にて保存した。
RCM後の80μLずつのrTFPIのアリコートを、トリプシン消化のために、1.5mL微小遠心チューブに移した。Promegaブタトリプシン(20μg)を0.05M酢酸(40μL)に溶解し、そしてこのトリプシン溶液(0.5mg/mL)1.6μLを、それぞれのrTFPIサンプルに加えた。最終のrTFPI濃度は、35mMトリス(pH8)内にて0.4mg/mLであり、ここでトリプシン/TFPIの割合は1/50(w/w)であった。上記のトリプシン消化を、37℃にて18時間行った。サンプルの凍結により消化を停止させ、解析前に、−80℃にて保存した。
HPLCにより単離したペプチドを、減圧遠心分離にて乾燥した。それぞれのサンプルを、pH4の30mM酢酸アンモニウム溶液50μLに再溶解した。それぞれのペプチドサンプルに、約0.5μgのエンドプロテイナーゼGlu−Cを加えた。この消化は、室温で一晩にて進めた。pH8の1MのTris−HClバッファーの添加にて、pHを8に調整し;次いで、LC−MSによる解析に先立って、1MのDTT0.5μLを60℃にて30分間用いることで、還元した。
HPLCにより単離したペプチドを、減圧遠心分離にて乾燥した。消化バッファーは、150mMのTris−HClおよび15mMの塩化カルシウムで、pHは7.5であった。酵素活性化バッファーは、消化の直前に、キット(Boehringer Mannheim)にて供給される凍結乾燥された材料に300μLの水を加えて作った。エンドプロテイナーゼArg−C酵素溶液は、5μgの凍結乾燥された酵素を250μLの水の中で再構成することで調製した。それぞれのサンプルを、3μLの活性化バッファーおよび1μLのArg−C酵素溶液に加えて、7μLの消化バッファーに、再溶解した。この消化は、MALDI−TOF−MSによる解析に先立って、37℃にて2時間で進めた。
インタクトなrTFPIの分子量の測定を、Perkin−Elmer Sciex API 100質量分析計(LC−MS)とインターフェースで接続されたMichrom Ultrafast Microprotein Analyzer (UMA) HPLCシステムを用いて行った。サンプル(それぞれ約2μg)を、逆相(RP)カラム(Zorbax Cyano、1mm×150mm)に注入した。溶媒Aは、水および0.1%のTFA内に5%のアセトニトリルであり、溶媒Bは、0.09%のTFAを含むアセトニトリルであった。勾配溶出は、流速50μL/分にて、10分間に5%B〜95%Bにて行った。流出液を、フローセルの後で10:1の割合にて分配し、約5μL/分でAPI 100質量分析計のエレクトロスプレーイオン源に指向させた。上記のイオンスプレーの電圧を4.5kVに設定し、そして開口部の電圧を50ボルトに設定した。この装置は、製造業者によって供給されるポリプロピレングリコール(PPG)混合物から発生するイオンによって、較正した。
5μgのサンプルを、逆相(RP)カラム(Zorbax Cyano、1mm×150mm)にて解析した。溶媒Aは水および0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)中の5%のアセトニトリルであって、溶媒Bは0.09%のTFAを含むアセトニトリルであった。勾配溶出は、流速50μL/分にて、30分間に27%B〜32%Bにて行った。エレクトロスプレーイオン化質量分析計の操作は、上記に記したとおりに行った。
上記のAsp−N消化物の10μLのアリコートを、Perkin−Elmer Sciex API 100質量分析計とインターフェースで接続されたMichrom Ultrafast Microprotein Analyzer (UMA) HPLCシステムを用いたLC−MS解析に供した。サンプルを、Vydac C18、Reliasisl C18、またはZorbax Cyanoカラム(1mm×150mm、粒子サイズ5μm、および細孔サイズ300オングストローム)を用いたLC−MSのための逆相(RP)カラムに注入した。溶媒Aは水および0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)内に5%のアセトニトリルで、そして溶媒Bは0.09%のTFAを含むアセトニトリルであった。勾配溶出は、流速50μL/分にて、25分間に5〜25%の溶媒B、および30分間に25%〜36%のBにて行った。トリプシン消化物のためには、勾配溶出は、80分間に5%〜45%のBにて行った。流出液を、フローセルの後で10:1の割合で分配し、約5μL/分でAPI 100質量分析計のエレクトロスプレーイオン源に指向させた。イオンスプレー電圧を4.5kVに設定し、そして開口部の電圧を50ボルトに設定した。この装置は、製造業者によって供給されるポリプロピレングリコール(PPG)混合物から発生するイオンによって、較正した。LC−MSによる分子量測定の質量の精度は、rTFPIペプチドの質量の範囲内で、±1Daであった。
MALDI−TOF質量スペクトルは、窒素レーザー(337ナノメートル、4ナノ秒のパルス)および、遅延引き出し(delayed−extraction)イオン源を備えた、Bruker Reflex装置上にて得られた。解析のためのサンプルは、1μLのα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸の飽和溶液に1μLを加えることで調製した。混合物をボルテックスし、そして1μLをサンプル標的に装填した。風乾したサンプル/マトリックス混合物を、真空ロックを用いて、質量分析計に導入した。加速電圧に20kV、リフレクトロン(reflectron)電圧に21.5kVを用いて、スペクトルを記録した。遅延性イオンの引き出しのために、サンプルプローブと抽出レンズとの間に、6kVの電位差を適用した。外部較正標準として公知のペプチドの混合物を用いて、スペクトルを較正した。遅延引き出しMALDI−TOF MSによる分子量測定の質量の精度は、外部較正を用いて±0.5Daであった。いくつかの場合において、サンプル中の公知のペプチドを用いて、スペクトルを較正した。この場合、質量の精度は、ペプチドの質量が2,000Da以下(約10ppm)の場合に、±0.02Daであった。
特注のイオン源(Wilm and Mann、EMBL、Heidelberg、Germany)および、最新の高圧衝突セルを備えた、Perkin Elmer Sciex API−III三連四重極装置上にて、実験を行った。それぞれのサンプルの約1μLを、金で覆ったガラス毛細管針に装填し、そして立体顕微鏡を用いて、質量分析計源内に位置させた。質量スペクトルを、解析するペプチドに適したm/zの範囲にわたって、8秒/走査にて、0.1Daのステップサイズ(step size)を用いて記録した。この装置は、PPG混合物から発生するイオンを用いて較正し、このPPG混合物は製造者から供給された。
遅延イオン引き出しMALDI−TOF MSによるペプチドの解析において、純粋なペプチドの質量スペクトルは、高い分解能にて多くのピークを有し、それぞれのピークは、特定の同位元素存在量を有するペプチドに対応する。化合物のモノアイソトピック質量は、その化合物内の元素の最も軽い安定同位体の質量(例えば、炭素は12.0000Da;98.90%の存在量)の和である。天然の存在量が1.10%である、質量が13.0034Daの炭素の安定同位体が存在するため、100以上の炭素原子を有する任意の有機化合物は、1つ以上の炭素−13異性体を有する。ペプチドの質量スペクトルの主要なイオンは、1つの水素イオンの単純な捕捉に起因する;較正ソフトウェアの使用により、炭素−12異性体への割り当てを利用することで、上記のスペクトルの構成成分のモノアイソトピック質量が得られる。同位体ピークがその異性体のレベルで分離し得た場合(例えば、より低い質量値でか、または高分解能の装置を用いることを通して)、モノアイソトピック分子質量がMS解析によって得られる。
ペプチドまたはタンパク質の平均分子量は、その分子のそれぞれの元素の化学的平均質量の和である。元素の平均化学的質量は、すべての安定同位体の質量の和(例えば、炭素は12.0111Da)であり、相対的存在量として重さを計られる。モノアイソトピックピークが分離し得なかった場合(例えば、高い質量値で)、平均分子量がMS解析によって得られる。
(標準物質の薬物物質放出試験)
CEX HPLCおよびSEC HPLCにて評価した、方法Bに従って調製したrTFPIの純度および、方法Cに従って調製したrTFPIの純度の比較を、それぞれ図2および図3に示す。クーマシー染色または銀染色を用いたSDS PAGE解析を、それぞれ図4および図5に示す。これらのデータは、これらの放出アッセイによる、方法Bの薬物物質と方法Cの薬物物質との間の比較性を示す。CN HPLCによる同じ物質の比較を、図11に示す。
(アミノ酸組成)
方法Cに従って調製したrTFPIについて決定されたアミノ酸組成を表4に示す。アミノ酸の回収は、1分子ごとの残基に標準化した。理論的な値は、rTFPI遺伝子のヌクレオチド配列から予測した。アスパラギン酸残基およびアスパラギン残基はアスパラギン酸(Asx)として回収した;グルタミン酸残基およびグルタミン残基はグルタミン酸(Glx−全てのアミド連結は酸処理により加水分解される)として回収した。システインの値は、RCMタンパク質調製物の中のカルボキシメチル−システインの定量化によって決定した。トリプトファンは、標準の加水分解条件下では破壊されるため、決定しなかった(ND)。イソロイシンの回収は、この残基により形成される結合が、22〜24時間では部分的にしか加水分解されないため、低かった。システインの値は、上記の方法の誤差範囲内で、ヨード酢酸試薬との完全な反応性を示す。上記の2つの参照ロットのタンパク質のアミノ酸組成は、このタンパク質の予測された配列と一致する。
結果は、タンパク質1モル当たりのアミノ酸残基のモル数として表す。
Trpは全く定量しない。
Asx=Asp+Asn;Glx=Glu+Gln
(N末端)
エドマン分解によるN末端配列解析の結果を表5に示す。示された収量は、それぞれの分解サイクルにおける、対応するPTH−アミノ酸誘導体の回収の総量である。同一性は、それぞれのサイクルにおける相対的な回収から推論した:繰り返さない残基の場合における、最大の増加;繰り返す残基の場合における、持続して高い収量(他の誘導体の大きな増加は無しで)。サイクル回収における相違は、サンプルの沈着の間の、PVDF膜上の上記の2つのロットに由来するタンパク質の回収の相違を反映する。それぞれのロットから同じ結果を得た:rTFPI遺伝子のヌクレオチド配列から予測されたものと正確に一致した、主要素をなす15残基の配列。
LC−MSによるインタクトなrTFPIの解析から、それぞれのロットの主要な成分が、上記遺伝子の配列から予測される分子量(9つのジスルフィド結合を有し、理論的分子量が34,004Da)を有することが示された。このことは、上記の組換え細胞株によってタンパク質の全体が発現されることを示す。図6は、方法Bに従って調製したrTFPIロット(MAECM014)の逆重畳積分エレクトロスプレー質量スペクトル、および方法Cに従って調製したrTFPIロット(PB5806)の逆重畳積分エレクトロスプレー質量スペクトルを示す。少数のRTFPIの成分もまた観察され、そしてこれらの構造の更なる詳細は他で示す。表6には、LC−MS解析の間に観察された主要なrTFPI分子イオンの質量を収載する。
rTFPIの全体の配列を、ロットMAECM014およびロットPB5806についての、非還元的(天然の)タンパク質のAsp−Nエンドプロテイナーゼペプチド地図の解析、ならびにLC−MSによるRCMタンパク質のトリプシンによって生じたペプチド地図の解析の併用によって、確かめた。LC−MSを用いると、従来のペプチド地図および、クロマトグラムにおけるペプチドの分子量がともに、単一の実験で得られる。Asp−Nペプチド地図およびトリプシンによって生じたペプチド地図は、一次構造を確かめるためのタンパク質配列の重複した領域に関する情報を提供した。図7は、LC−MS解析の間に記録した、ロットMAECM014およびロットPB5806の非還元的rTFPIについてのAsp−NペプチドのUVクロマトグラムを示す。表7には、測定された分子イオンのm/zと、Asp−Nペプチドについて理論的に予測されたm/z値との比較から、Asp−Nペプチド地図内で同定されたペプチドを収載する。図8は、LC−MS解析の間に記録した、ロットMAECM014およびロットPB5806のRCM rTFPIについてのトリプシンによって生じたペプチドのUVクロマトグラムを示す。表8には、測定された分子イオンのm/zと、rTFPIのトリプシンによって生じたペプチドについて理論的に予測されたm/z値との比較から、トリプシンによって生じたペプチド地図内で同定されたペプチドを収載する。Asp−Nペプチド地図およびトリプシンによって生じたペプチド地図からのLC−MS結果を合わせると、そのタンパク質配列の100%(277残基中277)の説明となり、そして双方のロットにおけるタンパク質の一次構造が確認される。
rTFPIの二次/三次構造を、ロットMAECM014およびロットPB5806のAsp−Nエンドプロテイナーゼペプチド地図の解析から確認した。ここで、インタクトなクニッツドメインが認められた(図11および表8)。図9はrTFPI構造を図示し、これは3つのクニッツドメインおよびAsp−N切断部位を示す。非変性条件下にて、上記のクニッツドメイン間のAsp−N切断に起因して、7つのペプチドが認められる。これらのペプチドのうちの2つはまた、内部的にも切断されるが、結果として生じるペプチドは、ジスルフィド結合によって一緒にされる(図9)。上記のデータは、天然のタンパク質の二次/三次構造について予測されたとおり、クニッツドメイン内のジスルフィド結合の存在および、クニッツドメイン間のジスルフィド結合の非存在と矛盾しない。
(微量な成分の同定および性質決定)
(CN HPLCによる純度の評価)
方法Bに従って調製したrTFPIのCN HPLCクロマトグラム(A)と、方法Cに従って調製したrTFPIのCN HPLCクロマトグラム(B)の比較を図10に示す。このアッセイによって分離された全てのピークがrTFPIを含む。ES−MSを用いたピークの解析から、方法Bの物質は、理論的な質量を有するrTFPIを約75%、16原子質量単位だけ増加した質量を有しかつ酸化したメチオニン残基を含むと考えられるrTFPI(ピーク1)を5〜10%、および、42原子質量単位または43原子質量単位だけ増加した質量を有しかつアセチル化したリジン残基を含むと考えられるrTFPI(ピーク3)を約15%含む。方法Cに従って調製された物質は、約90%のrTFPIの主要なピーク、および酸化したメチオニン残基を含む5〜10%のrTFPI(ピーク1)を含む。前の方法とは異なり、本発明の方法では、感知できるほどのレベルのアセチル化したrTFPIを生成しないようである。本発明の方法に対する参照標準(ピーク2、図10)は小さな肩を示す。この肩は、rTFPIの主要なピークのすぐ前に溶出し、そして、以下の節にて記述する、ロイシンに対するノルバリンでの置換を含むrTFPIとして同定された。
ロイシンに対するノルバリンでの置換は、E.coliにて発現された異種タンパク質中で同定され、そしてtRNAレベルでの誤取り込みを通して生じると考えられる(Apostolら、J.Biol.Chem.272、28980−88、1997)。rTFPIは15残基のロイシン残基を含み、そしてロイシンの代わりのノルバリンの取り込みは、90位、100位、181位および191位に位置する4残基に同定された。方法Bに従って調製されたrTFPIロット(MAECM014)および方法Cに従って調製されたrTFPIロット(PB5806)の特定の部位における誤取り込みのレベルは、LC−MSの間に記録される、通常のRCM rTFPIのトリプシンにより生じるペプチドのUVピーク面積と、相当するノルバリンを含むトリプシンにより生じるペプチドのUVピーク面積との比較により推定した。ノルバリンの総量は、アミノ酸解析により定量した。
CN HPLCアッセイでの上記の肩中のrTFPIの平均分子量は、LC−MSによって31,989Daと同定された。この値は、rTFPIについて予測された分子量(32,004Da)よりも、15Da±3Daだけ低い。この改変の性質を同定するために、ピーク2(図10)のタンパク質を還元およびカルボキシメチル化し、そして次いで、トリプシンで消化した。このトリプシンにより生じたペプチドをLC−MSにて解析し、そして、MALDI−TOF MSによる正確な質量の測定のために収集した。収集した6つの画分の内4つは、予測された分子量よりも14Da低い、モノアイソトピック分子量を示した(表9)。このペプチドを、ナノES MS/MSおよびエドマン分解にて配列決定した。上記の改変は、90位、100位、181位および191位における予測されるロイシン残基でのノルバリンの取り込みと同定され、そして、エドマン配列解析の間のPTH−アミノ酸の保持時間によって確認された。
ノルバリンはnVと略し、そして上記のペプチド配列中にて太字体で示す。
nV100、nV90、nV181およびnV191はそれぞれ、100位、90位、181位および191位における誤取り込みを示す。
上記のRP HPLCの肩が、ノルバリンを誤取り込みしたrTFPIの画分を含むに過ぎない可能性があったことから、方法Cに従って調製した分画していない参照物質を、ノルバリン含有ペプチドの定量について解析した。ロットPB5806を還元し、アルキル化し、そして次いでトリプシンで消化した。ノルバリン含有ペプチドの定量のために、4反復のLC−MS解析を行った。分子量の同定のために完全走査方式を用いて、そしてノルバリン含有ペプチドの検出感度の上昇のために選択イオンモニタリング(SIM)を用いて、データを取得した。
表11では、イオン交換アミノ酸解析による、rTFPI調製物中のノルバリン定量の結果の概略を示す。この結果は、ノルバリンとして誤取り込みされたロイシンのモルベースでの百分率として表される。この解析方法では、ロットMAECM014(方法Bの参照)のrTFPI内には、検出可能な量のノルバリンはない。しかし、方法Cの参照(PB5806)および、上記の新しい方法によって調製した他のロットは、ロイシン1モル当たり、平均で2.64%のノルバリンを含む。ロイシンに代わるノルバリンの誤取り込みがランダムに起き、そしてrTFPI分子1つごとに平均で1つのノルバリンがある場合、このことは、40%以下のrTFPI分子が1つのノルバリン置換を有することを示す。これらの結果は、上記のLC−MSのデータから生成された相対量の予測を確かなものとする。
表12では、方法Bに従って調製した物質に対するインビトロでのPT生物活性、および方法Cに従って調製した物質に対するインビトロでのPT生物活性の概略を示す。ノルバリンの存在は、rTFPIのインビトロでの生物学的活性に不利に影響しない。たとえ、CN HPLCの純度が実質的に上昇したとしても、PT活性は定常のままである。このことは、この異質性が、活性に極小の影響しか有しないことを示す。
(陽イオン交換HPLCによる純度評価における微量な構成要素)
図13では、SP−セファロースHPクロマトグラフィーを行う前および後のrTFPIの比較を示す。このSP−セファロースHPクロマトグラフィー工程の後で、主要なピークの純度は89%(装填)から100%(プール)に増加する。
(インタクトな分画していないrTFPI薬物物質の解析)
LC−MSによるインタクトなrTFPIの解析を、方法Cに従って調製した物質の同一性を実証するために行った。主要な構成成分の観察された質量は32,007Daである。このことは、rTFPIの理論的な質量が32,004Daであることと一致する。これらの結果は、組換え細胞株によって完全なタンパク質が発現されていることを示す。
分画していない、rTFPIロットMAECM014(方法Bに従って調製)、ならびにrTFPIロットPB5806、PB6096、およびPB6770(方法Cに従って調製)を、早期に溶出するピークおよび後期に溶出するピークの割り当てを確かめるために、低速勾配LC−MSにて解析した。
方法Bの参照の質量スペクトルは、通常のrTFPIよりも+42/43Da高い分子量を有する微量の成分を示す(約15%の相対存在量)。Asp−NおよびArg−Cによる連続的な消化によってrTFPIロットMAECM014から単離された2つの微量なペプチドを、MALDI−TOF MSによる正確な質量測定および、ナノES MS/MSによる配列解析に基づき、アセチル化したペプチドとして同定した(
(E.coliタンパク質の除去)
方法Bに従って生産したrTFPI調製物中のE.coliタンパク質の相対量と、方法Cに従って生産したrTFPI調製物中のE.coliタンパク質の相対量とを比較するために、後者の方法によるサンプルを、E.coliタンパク質に対して産生した抗体を用いた抗体ELISAアッセイを用いて解析した。
(ノルロイシン置換)
細菌性タンパク質において、メチオニンのアナログであるノルロイシンが、メチオニンの代わりになり得ることはよく立証されている。組換えタンパク質を過剰生産するようにストレスをかけられているE.coli細胞において、この置換は特に優勢であり得る。組換えala−TFPIは5つのメチオニン残基を有し、カルボキシ末端に1つを含む。本明細書にて記述される方法では、アミノ酸置換の量を増やさずに発現レベルを向上させる。
(脱アミド化の測定)
(較正用標準調製物)S−アデノシル−ホモシステイン(SAH)標準物質を、Promega SAH Stock Standard(15.1μM)を、Milli−Q水を用いて、0.625μM、1.25μM、2.50μM、および3.75μMの濃度まで希釈することで、HPLC解析のために調製した。サンプルは、HPLCによる解析以前は、2〜8℃にて保った。
脱アミド化(%)=SAH(pmol)/(注入したTFPI(pmol))×100
(rTFPI薬物生成物の安定性)表15に示すように、相対的なアミド化レベルは、保存時間および温度の関数として増加する。ロットQA0477についてのサンプルセットの安定性は、以下の終点脱アミド化レベルを示した:5.2%(−60℃、22ヶ月)、26%(+8℃、24ヶ月)、および57%(+25℃、6ヶ月)。
(TFPIによるプロトロンビン時間の延長の説明)―プロトロンビン時間アッセイは血漿に基づいた凝固アッセイであって、ここで凝固は、TFおよびカルシウム(インノビン(Innovin))を血漿に添加することで開始される。TFPIは、用量に依存した様式でプロトロンビン時間を延長する。TFPIまたはTFPIアナログの試験サンプルは、このアッセイにおけるTFPIまたはTFPIアナログの標準物質と比較し得る。
(生存調査)
新しく調製した、臨床的なグレードのrTFPI(TFPI 92)と、部分的に脱アミド化および酸化した、臨床的なグレードの物質(TFPI 78)とを比較するために、マウスの盲腸結紮および盲腸穿刺の調査を行った。このモデルは、直接的な糞便の汚染および盲腸の壊死による、複数菌の腹腔における感染および複数菌の全身性感染を引き起こし、ヒトの腹腔内敗血症をそっくりに模倣する。Opalら、Critical Care Medicine 29、13−18、2001。
Claims (49)
- 多数のTFPI分子またはTFPIアナログ分子を含む、精製された調製物であって、ここで、該TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約12%未満が改変された化学種であり、ここで該改変された化学種が以下:
逆相クロマトグラフィーで検出されるような、酸化されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子;
陽イオン交換クロマトグラフィーで検出されるような、カルバミル化されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子;
Promega ISOQUANT(登録商標)キットで検出されるような、脱アミド化されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子;
アミノ酸解析で決定されるような、システイン付加物を含むTFPI分子またはTFPIアナログ分子;
サイズ排除クロマトグラフィーで検出されるような、凝集したTFPI分子またはTFPIアナログ分子;および
非変性SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出されるような、誤ってフォールディングされたTFPI分子またはTFPIアナログ分子
のうちの1種以上を含む、精製された調製物。 - 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約9%未満が酸化されている、請求項1に記載の精製された調製物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約3%未満がカルバミル化されている、請求項1に記載の精製された調製物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約9%未満が脱アミド化されている、請求項1に記載の精製された調製物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約2%未満がシステイン付加物を含む、請求項1に記載の精製された調製物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約3%未満が凝集している、請求項1に記載の精製された調製物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約3%未満が誤ってフォールディングされている、請求項1に記載の精製された調製物。
- 前記多数のTFPI分子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の精製された調製物。
- 前記TFPIアナログ分子が、ala−TFPI分子である、請求項1に記載の精製された調製物。
- 多量のTFPI分子またはTFPIアナログ分子を含む薬学的処方物であって、ここで、該TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約12%未満が改変された化学種であり、ここで、該改変された化学種が以下:
逆相クロマトグラフィーで検出されるような、酸化されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子;
陽イオン交換クロマトグラフィーで検出されるような、カルバミル化されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子;
Promega ISOQUANT(登録商標)キットで検出されるような、脱アミド化されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子;
アミノ酸解析で決定されるような、システイン付加物を含むTFPI分子またはTFPIアナログ分子;
サイズ排除クロマトグラフィーで検出されるような、凝集したTFPI分子またはTFPIアナログ分子;および
非変性SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出されるような、誤ってフォールディングされたTFPI分子またはTFPIアナログ分子
のうちの1種以上を含む、薬学的処方物。 - 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約3%未満が酸化されている、請求項10に記載の薬学的処方物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約3%未満がカルバミル化されている、請求項10に記載の薬学的処方物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約9%未満が脱アミド化されている、請求項10に記載の薬学的処方物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約3%未満がシステイン付加物を含む、請求項10に記載の薬学的処方物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約3%未満が凝集している、請求項10に記載の薬学的処方物。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約3%未満が誤ってフォールディングされている、請求項10に記載の薬学的処方物。
- 前記多数のTFPI分子またはTFPIアナログ分子のメンバーが、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するTFPI分子である、請求項10に記載の薬学的処方物。
- 前記多数のTFPI分子またはTFPIアナログ分子のメンバーが、ala−TFPI分子である、請求項10に記載の薬学的処方物。
- 以下を含む薬学的処方物であって:
多数のala−TFPI分子であって、ここで、該ala−TFPI分子の約12%未満が改変された化学種であり、ここで、該改変された化学種が以下:
逆相クロマトグラフィーで検出されるような、酸化されたala−TFPI分子;
陽イオン交換クロマトグラフィーで検出されるような、カルバミル化されたala−TFPI分子;
Promega ISOQUANT(登録商標)キットで検出されるような、脱アミド化されたala−TFPI分子;
アミノ酸解析で決定されるような、システイン付加物を含むala−TFPI分子;
サイズ排除クロマトグラフィーで検出されるような、凝集したala−TFPI分子;および
非変性SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出されるような、誤ってフォールディングされたala−TFPI分子
の1種以上を含み、
ここで、該薬学的処方物は、20mMのクエン酸ナトリウム、300mMのL−アルギニン、および5mMのメチオニンを含み、pH5.5である、薬学的処方物。 - 精製されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子を生成する方法であって、以下の工程:
(1)リファンピシン抵抗性E.coli宿主細胞内でTFPIまたはTFPIアナログを発現する工程であって、ここで、該TFPIまたは該TFPIアナログは以下の要素:
(a)転写プロモーター;
(b)該リクラック転写プロモーターに隣接した、リボソーム結合部位;
(c)該リボソーム結合部位に隣接した、該TFPIまたは該TFPIアナログをコードするヌクレオチドコード配列;
(d)該ヌクレオチドコード配列に隣接した、転写ターミネーター;
(e)レプリコン;
(f)抗生物質耐性遺伝子;および
(g)N末端メチオニン除去酵素をコードする遺伝子
を含むプラスミドにコードされる工程;
(2)E.coli宿主細胞から、該TFPIまたは該TFPIアナログを含む封入体を単離する工程;
(3)該封入体から該TFPIまたは該TFPIアナログを単離して、単離されたTFPIまたはTFPIアナログを得る工程;
(4)該単離されたTFPIまたはTFPIアナログをリフォールディングして、リフォールディングしたTFPIまたはTFPIアナログを生成する工程;
(5)Mg++の存在下で、SP−セファロース高流速クロマトグラフィーにて、該リフォールディングしたTFPIまたはTFPIアナログを精製して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの一次調製物を生成する工程;
(6)該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの一次調製物を濃縮して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの一次濃縮調製物を生成する工程;
(7)Q−セファロースHPクロマトグラフィーにて、該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの一次濃縮調製物を精製して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの二次調製物を生成する工程;
(8)ブチルHICクロマトグラフィーにて、該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの二次調製物を精製して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの三次調製物を生成する工程;
(9)SP−セファロースHPクロマトグラフィーにて、該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの三次調製物を精製して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの四次調製物を生成する工程;
(10)該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの四次調製物を濃縮して、精製されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子の二次濃縮調製物を生成する工程であって、ここで、該TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約12%未満が、改変されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子である、工程
を含む、方法。 - 前記転写プロモーターがリクラックプロモーターである、請求項20に記載の方法。
- 前記リボソーム結合部位が、バクテリオファージT7の第10遺伝子に由来するリボソーム結合部位である、請求項20に記載の方法。
- 前記ヌクレオチドコード配列がala−TFPIをコードする、請求個20に記載の方法。
- 前記ヌクレオチドコード配列が配列番号44である、請求項23に記載の方法。
- 前記転写ターミネーターが、配列番号42に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項20に記載の方法。
- 前記レプリコンが、pBR322の複製起点を含む、請求項20に記載の方法。
- 前記レプリコンが、pBR322由来のropコピー数制御遺伝子を含む、請求項20に記載の方法。
- 前記抗生物質耐性遺伝子がストレプトマイシンアデニルトランスフェラーゼである、請求項20に記載の方法。
- 前記N末端メチオニン除去酵素が、E.coliのメチオニンアミノペプチダーゼである、請求項20に記載の方法。
- 前記E.coli宿主細胞がMON210(ATCC登録番号 PTA−5564)である、請求項20に記載の方法。
- TFPI分子またはTFPIアナログ分子を精製する方法であって、該方法は以下の工程:
(1)SP−セファロース高流速クロマトグラフィーにて、組換え的に生成したTFPI分子またはTFPIアナログ分子を精製して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの一次調製物を生成する工程;
(2)該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの一次調製物を濃縮して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの一次濃縮調製物を生成する工程;
(3)Q−セファロースHPクロマトグラフィーにて、該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの一次濃縮調製物を精製して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの二次調製物を生成する工程;
(4)ブチルHICクロマトグラフィーにて、該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの二次調製物を精製して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの三次調製物を生成する工程;
(5)SP−セファロースHPクロマトグラフィーにて、該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの三次調製物を精製して、精製されたTFPIまたはTFPIアナログの四次調製物を生成する工程;
(6)該精製されたTFPIまたはTFPIアナログの四次調製物を濃縮して、精製されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子の二次濃縮調製物を生成する工程であって、ここで、該TFPI分子またはTFPIアナログ分子の約12%未満が、改変されたTFPI分子またはTFPIアナログ分子である、工程
を含む方法。 - 前記SP−セファロース高流速クロマトグラフィーがMg++の存在下で行われる、請求項31に記載の方法。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子が酵母細胞内で生成される、請求項31に記載の方法。
- 前記TFPI分子またはTFPIアナログ分子が哺乳動物細胞内で生成される、請求項31に記載の方法。
- 前記哺乳動物細胞がCHO細胞である、請求項34に記載の方法。
- 前記哺乳動物細胞がHepG2細胞である、請求項34に記載の方法。
- 前記哺乳動物細胞がChang肝細胞である、請求項34に記載の方法。
- 前記哺乳動物細胞がSK肝癌細胞である、請求項34に記載の方法。
- TFPIまたはTFPIアナログを発現させる方法であって、以下:
(1)発酵培地内にてリファンピシン耐性E.coli宿主細胞を培養する工程であって、ここで、該E.coli宿主細胞は、以下の要素:
(a)転写プロモーター;
(b)該リクラック転写プロモーターに隣接したリボソーム結合部位;
(c)該リボソーム結合部位に隣接した、TFPIまたはTFPIアナログをコードするヌクレオチドコード配列;
(d)該ヌクレオチドコード配列に隣接した、転写ターミネーター;
(e)レプリコン;
(f)抗生物質耐性遺伝子;および
(g)N末端メチオニン除去酵素をコードする遺伝子;
を有するプラスミドを含む工程
を含み、ここで、1リットルの該発酵培地は、41gのブドウ糖、2.5gの(NH4)2SO4、4.0gのポリリン酸ナトリウム、7.0gのK2SO4、1.63gのMgSO4・7H2O、2.0gのメチオニン、2.0gのグリセロール、0.5mgのH3BO4、0.5gの塩化コバルト、0.13gのCuSO4・6H2O、54.0gのFeCl3・6H2O、11.0gのMnSO4・H2O、0.5gのNa2MoO4・2H2O、0.02gのNaSeO3、22.0gのZnSO4・7H2O、0.01mlの濃H2SO4、および0.55mlのUCON消泡剤を含む、方法。 - 前記転写プロモーターがリクラックプロモーターである、請求項39に記載の方法。
- 前記リボソーム結合部位が、バクテリオファージT7の第10遺伝子に由来するリボソーム結合部位である、請求項39に記載の方法。
- 前記ヌクレオチドコード配列がala−TFPIをコードする、請求項39に記載の方法。
- 前記ヌクレオチドコード配列が配列番号44である、請求項42に記載の方法。
- 前記転写ターミネーターが、配列番号42に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項39に記載の方法。
- 前記レプリコンが、pBR322の複製起点を含む、請求項39に記載の方法。
- 前記レプリコンが、pBR322由来のropコピー数制御遺伝子を含む、請求項39に記載の方法。
- 前記抗生物質耐性遺伝子がストレプトマイシンアデニルトランスフェラーゼである、請求項39に記載の方法。
- 前記N末端メチオニン除去酵素が、E.coliのメチオニンアミノペプチターゼである、請求項39に記載の方法。
- 前記E.coli宿主細胞がMON210(ATCC登録番号PTA−5564)である、請求項39に記載の方法。
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