JP2007523617A6 - ピキア・カプスラータ由来酸化還元酵素 - Google Patents

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Abstract

本発明は,例えば,ピキア属の酵母,より詳細にはピキア・カプスラータから得られるNADH依存性酸化還元酵素に関する。該酸化還元酵素は,有機ケト化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物へエナンチオ選択的に還元するための酵素方法で用い,また,ピキア・カプスラータから単離した組換え過剰発現酸化還元酵素を用いた二相系において(S)−ヒドロキシ化合物をエナンチオ選択的に調製するための酵素方法で用いる。

Description

本発明は,オキシドレダクターゼと,カルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物へエナンチオ選択的に還元するための方法と,キラル(R)−ヒドロキシ化合物を得るための方法とに関する。
光学活性ヒドロキシ化合物は,薬理活性化合物や芳香族物質,フェロモン,農薬,酵素阻害剤の合成に広く適用できる有用なキラル成分である。
同時に,生体触媒作用への大規模な用途に好適であり,且つ低コストで十分な量が入手可能なカルボニル還元酵素の数は極端に限られている。次のNADH依存性S特異的カルボニル還元酵素が知られている。ウマ肝臓由来アルコール脱水素酵素(HLADH)(Enzyme Engineering,Vol.6,1982年,107頁),酵母由来アルコール脱水素酵素(YADH)(Alcohol dehydrogenases:The Enzymes,(1963年),25〜83頁,ニューヨーク:アカデミックプレス),カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)由来カルボニル還元酵素(CPCR)(米国特許第5,523,223号及び米国特許第5,763,236号),ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)由来カルボニル還元酵素(RECR)(米国特許第5,523,223号)及びノルカディア・フスカ(Norcardia fusca)由来カルボニル還元酵素(Biosci.Biotechnol.Biochem.,63(10)(1999年),1721〜1729頁),カンジダ・ボイジニ(Candida boidinii)由来アルコール脱水素酵素(Biochim.,Biophys.Acta 716,(1982年),298〜307頁),又はスルフォロバス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)由来アルコール脱水素酵素(FEMS Microbiology Letters,170(1999年),31〜39頁)。
従来,上述のカルボニル還元酵素はいずれも大規模には用いられていない。その主な理由としては,基質スペクトルが狭すぎることが多かったり,該酵素のエナンチオ選択性が低かったりすることに加え,何よりも該酵素の入手性が挙げられる。従来,上述の酵素の多くは,十分な量を低コストで供給することができなかった。
上述のカルボニル還元酵素を適用する際に生じる他の問題としては,補因子NADH或いはNADPHの再生が挙げられる。従来の方法では,例えば,2−プロパノールを用いた基質結合補酵素再生か,或いは,例えば,ギ酸脱水素酵素を用いた酵素結合補酵素再生を用いる。
ギ酸脱水素酵素を用いた酵素結合補酵素再生の不利な点としては,ギ酸脱水素酵素の比活性が低く(4〜10U/mg),従って,組換えギ酸脱水素酵素でさえ比較的高価であることが挙げられる(J.Biotechnol.Bioeng.[1999年]64,187〜193頁)。
イソプロパノールを用いた基質結合補酵素再生の不利な点としては,平衡位置(equilibrium position)が好ましくなく,用いる補基質(イソプロパノール等)に対する酵素安定性が不十分であることが挙げられる。
本発明の目的は,幅広い基質スペクトル,高いエナンチオ選択性,及び有機溶媒に対する高い安定性によって特徴とする酸化還元酵素を提供することである。
前記目的は,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元するような酸化還元酵素によって達成される。
先行技術方法における上述の不都合は新規な酸化還元酵素によって未然に防ぐことができることを見出した。
本発明は,好適には,ピキア属或いはカンジダ属の酵母,特にピキア・カプスラータ(Pichia capsulata)から得ることができる酸化還元酵素に関する。
更なる実施形態において,本発明は,配列番号8に記載のDNA配列及び配列番号9に記載のアミノ酸配列を有するピキア・カプスラータ由来の酸化還元酵素に関する。これらの配列は添付配列表に記載されている。
一実施形態において,本発明は,アミノ酸の70%超が配列番号9のアミノ酸配列と同一であり,エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸から(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への反応に基づく比活性が1μmol/mgタンパク質を超える酸化還元酵素に関する。アミノ酸の80%〜99.5%,特に90%〜99.5%,特に99%〜99.5%が配列番号9のアミノ酸配列と同一である酸化還元酵素が好ましい。配列番号9に記載の酸化還元酵素或いはその誘導体や類似体(analogon)の比活性の測定は,後述のように,実施例1に記載の試験系によって行う。
本発明に係る酸化還元酵素は,配列番号9のアミノ酸配列を有する酸化還元酵素よりもアミノ酸が1〜40個多いか或いは1〜40個少なく,エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸から(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への反応に基づく比活性が1μmol/mgタンパク質を超えることを特徴とする。配列番号9のアミノ酸配列を有する酸化還元酵素よりもアミノ酸が1〜25個,特に2〜20個,好ましくは3〜10個多く或いは少なく存在する酸化還元酵素が好ましい。
更に,本発明は,配列番号9のアミノ酸配列を有し,水溶性ポリマーで1回,2回,3回,4回或いは5回修飾(modified)されており,エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸から(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への反応に基づく比活性量が1μmol/mgタンパク質を超える酸化還元酵素に関する。水溶性ポリマーとしては,例えば,ポリエチレングリコールが挙げられる。ポリエチレングリコールの結合は,配列番号9に記載のタンパク質のN末端で生じるのが好ましい。また,配列番号9に記載の酸化還元酵素は,ポリエチレンやポリスチレン,多糖,セルロース,セルロース誘導体等の固形物に結合することもできる。
更に,本発明は,配列番号9のアミノ酸配列の複数の断片に相当し,一断片当たりのアミノ酸数が5〜30であるタンパク質断片に関する。6〜25アミノ酸鎖長,特に8〜20アミノ酸鎖長或いは10〜18アミノ酸鎖長,特に配列番号10のアミノ酸配列の鎖長を有する配列番号9の複数の断片が好ましい。例えば,前記複数の断片を用いて,ピキア・カプスラータ或いは他の微生物から本発明に係る酸化還元酵素を見出すことができる。
更に,本発明は,配列番号9のアミノ酸配列或いは配列番号9のアミノ酸配列の複数の断片を有する酸化還元酵素に相当し,他のポリペプチドに対してN末端或いはカルボキシ末端でペプチド結合により結合しているアミノ酸の数が5〜30であることを特徴とする融合タンパク質に関する。融合タンパク質は,例えば,他のタンパク質からより容易に分離することができるか,或いは細胞内でより大量に発現される。
更に,本発明は,配列番号9或いは配列番号10に記載の酸化還元酵素に特異的に結合する抗体に関する。前記抗体の産生は,従来の方法に従い,好適な哺乳動物を免疫した後に該抗体を得ることによって行う。該抗体はモノクローナル抗体であってもよくポリクローナル抗体であってもよい。
また,本発明は,配列番号9及び配列番号10に記載の酸化還元酵素をコードする単離核酸配列にも関する。
更に,本発明は,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物の対応する(S)−ヒドロキシ化合物への還元を触媒する酸化還元酵素の単離DNA配列であって,
a)配列番号8,配列番号5,配列番号6或いは配列番号7に記載のヌクレオチド配列或いはその相補鎖を有するDNA配列,
b)a)に記載のDNA配列の一種以上或いはその相補鎖に対し,ストリンジェントな条件下で行うハイブリダイゼーションによってハイブリダイズするDNA配列,及び
c)遺伝コードの変性によって,a)或いはb)に記載のDNA配列の一種以上でコードされるたんぱく質をコードするDNA配列
から成る群から選択される単離DNA配列に関する。
ハイブリダイゼーション時の一般的な条件については,サンブロック(Sambrok)及びラッセル(Russel),Molecular Cloning a Laboratory Manual,Vol.1,第1章,プロトコル 30〜32に記載されている。
更に,本発明は,核酸塩基の70%超が配列番号8に記載のDNA配列或いはその相補鎖と同一であり,エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸から(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への反応に基づく比活性が1μmol/mgタンパク質を超える酸化還元酵素をコードするDNA配列に関する。核酸塩基の80%〜99.5%,特に90%〜99.5%,特に99%〜99.5%が配列番号8に記載のDNA配列と同一であるDNA配列が好ましい。
更に,本発明は,10〜50個の核酸塩基を有し,配列番号8に記載のDNA配列の一以上の部分或いはその相補鎖に対応する配列を有する核酸配列に関する。上述のDNA配列の内の15〜45個の核酸塩基,特に20〜40個或いは30〜40個の核酸塩基を有する核酸配列が好ましい。上述の核酸配列は,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のための分子プローブ或いはプライマーとして好適である。
更に,本発明は,上述の核酸配列或いはDNA配列の一以上を含むクローニングベクターに関する。更に,本発明は,細菌細胞,昆虫細胞,植物細胞或いは哺乳類細胞内にあり,発現制御配列に対して適切に結合している上述の核酸配列或いはDNA配列の一以上を含む発現ベクターに関する。更に,本発明は,細菌細胞,酵母細胞,昆虫細胞,植物細胞或いは哺乳類細胞であって,発現ベクターで形質転換或いはトランスフェクトされた宿主細胞に関する。
上述のDNA配列或いは上述のアミノ酸配列の同一性については,タンパク質或いはDNA配列それぞれの部分配列と同一なアミノ酸或いは核酸塩基の数を合計し,その合計をアミノ酸或いは核酸塩基の総数で割り,得られた値に100を掛けることによって算出する。
好適なクローニングベクターとしては,例えば,ppCR−Script,pCMV−Script及びpBluescript(ストラタジーン)や,pDriveクローニングベクター(キアゲン,ドイツ,ヒルデン),pS Blue,pET Blue及びpET LICベクター(ノバジェン,米国,マディソン),TA−PCRクローニングベクター(インビトロジェン,ドイツ,カールスルーエ)が挙げられる。
好適な発現ベクターとしては,例えば,pKK223−3やpTrc99a,pUC,pTZ,pSK,pBluescript,pGEM,pQE,pET,PHUB,pPLc,pKC30,pRM1/pRM9,pTrxFus,pAS1,pGEx,pMAL,pTrxが挙げられる。
好適な発現制御配列としては,例えば,trp−lac(tac)−プロモーターやtrp−lac(trc)プロモーター,lac−プロモーター,T7−プロモーター,λpL−プロモーターが挙げられる。
ピキア・カプスラータ由来の酸化還元酵素は,SDS−ゲルによって求められる分子量が34±2kDa,ゲル浸透クロマトグラフィーによって求められる分子量が140±10kDaのホモ四量体である。酸化還元酵素の最適温度は,40℃〜45℃の範囲であり,還元反応における最適pHは6.5〜7.0であり,酸化反応における最適pHは7.8〜8.2である。ピキア・カプスラータ由来の酸化還元酵素は,良好な温度安定性及びpH安定性を示し,pH範囲5.5〜8.5及び温度範囲15℃〜40℃において5時間安定であり,更に,有機溶媒中で高い安定性を示す。
該酵素は,特にピキア属の酵母から単離することができ,分光光度試験にて適切な基質(例えば,エチル−4−クロロ−3−オキソブチラートや2−ブタノン)の存在下で340nmにおけるNADHの減少によって検出することができる。
ピキア・カプスラータ由来の本発明に係る酸化還元酵素は,1,000〜10,000U/g大腸菌(E.Coli)湿重量の活性を有する大腸菌でクローン化し,過剰発現させることができた。該酵素は,安価で大量に入手可能である。データベースにおける配列比較から,ピキア・カプスラータ由来の本発明に係る酸化還元酵素は亜鉛依存性カルボニル還元酵素であることが分かる。
また,本発明は,ピキア・カプスラータから酸化還元酵素を得るための方法にも関する。この目的のためには,ピキア・カプスラータ由来の酸化還元酵素をコードするDNAを,例えば,好適な原核微生物或いは真核微生物で発現させる。好ましくは,ピキア・カプスラータ由来の酸化還元酵素を大腸菌株に形質転換し,特に大腸菌BL21star(DE3)細胞で発現させる。
ピキア・カプスラータ由来の酸化還元酵素は,例えば,上述の組換え大腸菌細胞を培養し,酸化還元酵素の発現を誘導した後,約10〜18時間(h)後に超音波処理或いはグローブミル(Retsch GmbH,ドイツ,ハーン,10分,24Hz)にてガラスビーズを用いた湿式粉砕により細胞を消化することによって得ることができる。得られた細胞抽出物は直接用いてもよく,或いは更に精製してもよい。この目的のためには,例えば,細胞抽出物を遠沈し,得られた上清をイオン交換クロマトグラフィー,例えば,Q−Sepharose Fast Flow(登録商標)装置(ファルマシア)によるイオン交換クロマトグラフィーに付す。
更に,本発明は,カルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物へエナンチオ選択的に還元するための方法であって,
a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
b)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離する
ことを特徴とする方法に関する。
本発明に係る方法は,高耐用性(high service life)を有し,産生するキラル(S)−ヒドロキシ化合物のエナンチオマー純度が95%を超え,カルボニル化合物の供給量に対する収率が高い。
「NADH」とは,還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを意味する。「NAD」とは,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを意味する。
「カルボニル化合物」とは,例えば,式I
R1−C(O)−R2 (I)
で表される化合物を意味する。
R1基は,例えば,
1)直鎖或いは分岐鎖の−(C−C20)−アルキル,
2)直鎖或いは分岐鎖であり,鎖長に応じて1個,2個,3個或いは4個の二重結合を含む−(C−C20)−アルケニル,
3)直鎖或いは分岐鎖であり,任意的に1個,2個,3個或いは4個の三重結合を含む−(C−C20)−アルキニル,
4)−(C−C14)−アリール,
5)−(C−C)−アルキル−(C−C14)−アリール,
6)非置換であるか,或いはハロゲン,ヒドロキシル,アミノ或いはニトロで一置換〜三置換されている−(C−C14)−複素環,或いは
7)−(C−C)−シクロアルキルであって,
1)〜7)で記載した各基は非置換であるか,或いは互いに独立して,
a)−OH,
b)フッ素や塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン,
c)−NO,或いは
d)−NH
で一置換,二置換或いは三置換されている。
R2基は,例えば,
1)直鎖或いは分岐鎖の−(C−C)−アルキル,
2)直鎖或いは分岐鎖であり,鎖長に応じて1個,2個或いは3個の二重結合を含む−(C−C)−アルケニル,
3)直鎖或いは分岐鎖であり,任意的に1個或いは2個の三重結合を含む−(C−C)−アルキニル,或いは
4)アルキル部分が直鎖或いは分岐鎖であり,非置換であるか,或いはハロゲン,ヒドロキシル,アミノ或いはニトロで一置換〜三置換されている−(C−C10)−アルキル−C(O)−O−(C−C)−アルキルであって,
1)〜4)で記載した各基は非置換であるか,或いは互いに独立して,
a)−OH,
b)フッ素や塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン,
c)−NO,或いは
d)−NH
で一置換,二置換或いは三置換されている。
キラル「(S)−ヒドロキシ化合物」とは,例えば,式II
R1−C(OH)−R2 (II)
で表される化合物を意味し,式中,OH基は通常,それが結合している炭素原子に対して(S)配置であり,R1及びR2は式Iの場合と同様の意味を有する。
しかし,カルボニル基或いはハロゲン原子が該アルコールの近くに位置する場合には,命名が変わり,エナンチオ選択的アルコールを「(R)−アルコール」と称することもある。しかし,これは単に命名の問題であり,本発明に係る酸化還元酵素によって行われる立体選択的還元方法に変化はない。
「アリール」とは,環内に6〜14個の炭素原子を含む芳香族炭素基を意味する。−(C−C14)アリール基としては,例えば,フェニルやナフチル,1−ナフチル,2−ナフチル,ビフェニリル,2−ビフェニリル,3−ビフェニリル,4−ビフェニリル,アントリル,フルオレニルが挙げられる。ビフェニリル基,ナフチル基,特にフェニル基が好ましいアリール基である。「ハロゲン」とは,フッ素,塩素,臭素及びヨウ素から成る族の元素を意味する。「−(C−C20)アルキル」とは,炭素鎖が直鎖或いは分岐鎖であり,1〜20個の炭素原子を含んでいる炭化水素基を意味し,例えば,メチルやエチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,第三ブチル,ペンチル,ヘキシル,ヘプチル,オクチル,ノネニル(nonenyl),デカニルが挙げられる。「−Cアルキル」とは共有結合を意味する。
「−(C−C)シクロアルキル」とは,シクロプロピルやシクロブチル,シクロペンチル,シクロへキシル,シクロヘプチル等の環状炭化水素基を意味する。
「−(C−C14)複素環」とは,部分的或いは完全に飽和されている単環式或いは二環式の5員〜14員複素環を意味する。ヘテロ原子の例としては,NやO,Sが挙げられる。「−(C−C14)複素環」の例としては,ピロ−ルやフラン,チオフェン,イミダゾール,ピラゾール,オキサゾール,イソオキサゾール,チアゾール,イソチアゾール,テトラゾール,1,2,3,5−オキサチアジアゾール−2−オキシド,トリアゾロン,オキサジアゾロン,イソオキサゾロン,オキサジアゾリジンジオン,F,−CN,−CF或いは−C(O)−O−(C−C)アルキルで置換されたトリアゾール,3−ヒドロキシピロ−2,4−ジオン,5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール,ピリジン,ピラジン,ピリミジン,インドール,イソインドール,インダゾール,フタラジン,キノリン,イソキノリン,キノキサリン,キナゾリン,シンノリン,前記複素環のカルボリン及びベンズアネル化(anellated)誘導体,前記複素環のシクロペンタ,シクロヘキサ或いはシクロへプタアネル化(anellated)誘導体に由来する基が挙げられる。2−或いは3−ピロ−ルや,4−或いは5−フェニル−2−ピロ−ル等のフェニルピロ−ル,2−フリル,2−チエニル,4−イミダゾリル,メチルイミダゾリル(例えば,1−メチル−2−,−4−或いは−5−イミダゾリル),1,3−チアゾール−2−イル,2−ピリジル,3−ピリジル,4−ピリジル,2−,3−或いは4−ピリジル−N−オキシド,2−ピラジニル,2−,4−或いは5−ピリミジニル,2−,3−或いは5−インドリル,置換2−インドリル(例えば,1−メチル,5−メチル,5−メトキシ−,5−ベンジルオキシ−,5−クロロ−或いは4,5−ジメチル−2−インドリル),1−ベンジル−2−或いは−3−インドリル,4,5,6,7−テトラヒドロ−2−インドリル,シクロヘプタ[b]−5−ピロリル,2−,3−或いは4−キノリル,1−,3−或いは4−イソキノリル,1−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−イソキノリル,2−キノキサリニル,2−ベンゾフラニル,2−ベンゾ−チエニル,2−ベンズオキサゾリル,ベンゾチアゾリル,ジヒドロピリニジル(dihydropyrinidyl),ピロリジニル(例えば,2−或いは3−(N−メチルピロリジニル)),ピペラジニル,モルホリニル,チオモルホリニル,テトラヒドロチエニル,ベンゾジオキソラニルが特に好ましい。
式Iで表される化合物で好ましいものとしては,例えば,エチル−4−クロロアセトアセテートやメチルアセトアセテート,エチル−8−クロロ−6−オキソオクタン酸,エチル−3−オキソバレリエート,4−ヒドロキシ−2−ブタノン,エチル−2−オキソバレリエート,エチル−2−オキソ−4−フェニルブタン酸,エチルピルベート,エチルフェニルグリコシレート,1−フェニル−2−プロパノン,2,3−ジクロロアセトフェノン,アセトフェノン,2−オクタノン,3−オクタノン,2−ブタノンが挙げられる。
これに対して生成されるS−アルコールとしては,例えば,(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸やエチル−(S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸,(S)−2−オクタノール,(R)−エチル−8−クロロ−6−ヒドロキシオクタン酸が挙げられる。
好適な酸化還元酵素は,例えば,ピキア・カプスラータに由来する。本発明に係る方法において,酸化還元酵素は完全に精製した状態で用いてもよく,部分的に精製した状態で用いてもよい。本発明の方法は,本発明に係る酸化還元酵素を用いて行うか,或いは本発明に係る酸化還元酵素を含有する細胞を用いて行う。その際に,用いる細胞は,天然状態,透過状態或いは溶解状態で用意することができる。好ましくは,配列番号9に記載のクローン化酸化還元酵素を用いる。
用いる酸化還元酵素の体積当たりの活性は,100単位/mL(U/mL)〜5,000U/mL(好ましくは〜約500U/mL)である。
反応対象となる式Iで表される化合物1kg当たり,5,000〜2,000,000U(好ましくは,約10,000〜200,000U)の酸化還元酵素を用いる。これにより,酵素単位1Uは,1分(min)当たり式Iで表される化合物1μmolを反応させるのに必要な酵素量に相当する。
更に,本発明は,カルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物へエナンチオ選択的に還元するための方法であって,
a)本発明に係る酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
b)該酸化還元酵素によって生成したNADを補基質を用いてNADHに還元し,
c)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離する,方法に関する。
用いるカルボニル化合物及び酸化還元酵素の量は,上述の方法に記載した量と同等である。本発明に係る方法における好適な補基質としては,エタノールや2−プロパノール(イソプロパノール),2−ブタノール,2−ペンタノール,2−オクタノール等のアルコールが挙げられる。本発明に係る酸化還元酵素及びNADにより,このような補基質は反応して対応するケトン及びNADHとなる。これにより,NADHは再生する。
NADをNADHへ再生するための補基質(イソプロパノール等)の量は,総体積に対して5%〜50%,好ましくは8%〜20%,特に10%〜15%である。
更に,本発明は,(S)−ヒドロキシ化合物をエナンチオ選択的に回収するための方法であって,
a)本発明に係る酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
b)該酸化還元酵素によって生成したNADを脱水素酵素及び補基質を用いてNADHに還元し,
c)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離する,方法に関する。
好適な脱水素酵素としては,例えば,カンジダ・ボイジニ(Candida boidinii)或いはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)由来のパン酵母に由来するNADH依存性アルコール脱水素酵素が挙げられる。用いるアルコール脱水素酵素のための好適な補基質としては,エタノールや2−プロパノール(イソプロパノール),2−ブタノール,2−ペンタノール,2−オクタノール等のアルコールが挙げられる。
更に,NAD還元は,ギ酸脱水素酵素(ティシュコフ(Tishkov)ら,J.Biotechnol.Bioeng.[1999年]64,187〜193,組換えNAD及びNADP特異的ギ酸脱水素酵素のパイロット規模産生及び単離)によって行うこともできる。ギ酸脱水素酵素の好適な補基質としては,例えば,ギ酸アンモニウムやギ酸ナトリウム,ギ酸カルシウム等のギ酸塩が挙げられる。
基質結合補酵素の再生には,エタノールや2−プロパノール(イソプロパノール),2−ブタノール,2−ペンタノール,2−オクタノール等の第二アルコールを用いることが好ましい。従って,本発明の方法は,更なる脱水素酵素を用いずに行うことが好ましい。
好ましくは,本発明の方法で用いる水にバッファー,例えば,pH値が5〜10(好ましくはpH値が6〜9)のリン酸カリウム,tris/HCl或いはトリエタノールアミンバッファーを添加する。バッファー濃度は10mM〜150mMである。
また,該バッファーには,酵素を安定化或いは活性化するためのイオン,例えば,亜鉛イオンやマグネシウムイオンを含有させることができる。
温度は,例えば,10℃〜60℃,好ましくは,30℃〜55℃である。
更に,本発明は,(S)−ヒドロキシ化合物をエナンチオ選択的に回収するための方法であって,
a)本発明の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
b)有機溶媒の存在下で反応を行い,
c)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離する,方法に関する。
好ましい有機溶媒としては,例えば,ジエチルエーテルや第三ブチルメチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,ジブチルエーテル,酢酸ブチル,へプタン,ヘキサン,シクロヘキサンが挙げられる。
追加溶媒を用いる場合,反応バッチは水相と有機相から成る。有機相は,基質が溶解状態で存在する好適な溶媒によって形成されているか,或いは水不溶性の基質自身によって形成されている。
有機相は総反応物体積の5%〜80%,好ましくは10%〜40%を占める。
本発明に係る二相系においては,水が一液相を形成し,有機溶媒が第二の液相を形成する。更に,例えば,完全に溶解しなかった酸化還元酵素由来及び/又は添加した酵素或いはカルボニル化合物由来の固相或いは他の液相を必要に応じ提供してもよい。しかし,固相のない二液相が好ましい。好ましくは,二液相を機械的に混合して,二液相間に広い界面が形成されるようにする。
補因子NADHの濃度は,水相に対して0.01mM〜1mM,特に0.05mM〜0.2mMである。
本発明に係る方法において,用いるカルボニル化合物の量は,総体積に対して3%〜30%,好ましくは5%〜15%,特に10%である。
更に,本発明は,カルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物へエナンチオ選択的に還元するための方法であって,
a)本発明の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
b)有機溶媒の存在下で反応を行い,
c)該酸化還元酵素によって生成したNADを補基質を用いてNADHに還元し,
d)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離する,方法に関する。
用いるカルボニル化合物及び酸化還元酵素の量は,上述の方法に対応する。本発明の方法における好適な補基質としては,エタノールや2−プロパノール(イソプロパノール),2−ブタノール,2−ペンタノール,2−オクタノール等のアルコールが挙げられる。本発明の酸化還元酵素及びNADにより,このような補基質は反応して対応するケトン及びNADHとなる。これにより,NADHは再生する。
NADをNADHへ再生するための補基質(イソプロパノール等)の量は,総体積に対して5%〜50%,好ましくは8%〜20%,特に10%〜15%である。
更に,本発明は,カルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物へエナンチオ選択的に還元するための方法であって,
a)本発明の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
b)該酸化還元酵素によって生成したNADを脱水素酵素及び補基質を用いてNADHへ同時に(simultaneously)還元し,
c)有機溶媒の存在下で反応を行い,
d)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離する,方法に関する。
好ましくは,本発明に係る方法においては,アルコール脱水素酵素のための更なる安定剤を用いる。好適な安定剤としては,例えば,グリセロールやソルビトール,1,4−DL−ジチオスレイトール(DTT),ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
本発明に係る方法は,例えば,ガラス或いは金属から成る密閉反応容器内で行う。この目的のためには,各成分を個々に反応容器に投入し,例えば,窒素や空気雰囲気下で撹拌する。反応時間は用いる基質やカルボニル化合物よって異なり,1時間〜48時間,特に2時間〜24時間である。
次いで,得られた反応混合物を再処理する。この目的のためには,水相を分離し,有機相をろ過する。必要に応じ水相を再度抽出し,有機相と同様に更に再処理してもよい。その後,ろ過した有機相から溶媒を必要に応じ蒸発させる。このようにして,エナンチオマー純度が99%を超え,抽出物であるエチル−4−クロロアセトアセテートを実質的に含まない生成物(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸を得る。該生成物を蒸留した後,この方法の全収率は,用いた抽出物の量に対し50%〜95%となる。
更に,本発明は,式II
R1−C(OH)−R2 (II)
で表され,R1基及びR2が上述と同様であるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法に関する。前記方法においては,
a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,本発明に係る酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
b)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離する。
これにより,式IIで表される(S)−ヒドロキシ化合物は反応して対応するケトン化合物及びNADHとなる。
更に,本発明は,式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法であって,
a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,本発明に係る酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
b)該酸化還元酵素によって生成したNADHを補基質を用いてNADに酸化し,
c)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離する,方法に関する。
更に,本発明は,式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法であって,
a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,本発明に係る酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
b)該酸化還元酵素によって生成したNADHを脱水素酵素及び補基質を用いてNADに酸化し,
c)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離する,方法に関する。
他の実施形態において,本発明は,式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法であって,
a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,本発明に係る酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
b)有機溶媒の存在下で反応を行い,
c)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離する,方法に関する。
式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための本発明に係る更なる方法は,
a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,本発明に係る酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
b)有機溶媒の存在下で反応を行い,
c)該酸化還元酵素によって生成したNADHを脱水素酵素及び補基質を用いてNADに酸化し,
d)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする。
反応条件は,基本的には,式Iで表されるケトン化合物をエナンチオ特異的に還元するための上述の方法と同様である。しかし,式IIで表される化合物のラセミ混合物から式Iで表されるケトン化合物をエナンチオ選択的に還元する代わりに,式IIで表される(S)−ヒドロキシ化合物のみを対応するケトン化合物へエナンチオ選択的に酸化する。こうして,式IIで表される(R)−ヒドロキシ化合物が残存し,単離することができる。
更に,エタノールや2−プロパノール(イソプロパノール),2−ブタノール,2−ペンタノール,2−オクタノール等のアルコールを補基質として用いる代わりに,それに対応するケトン(アセトン等)をNAD再生のための方法に用いる。例えば,本発明に係る酸化還元酵素或いは他の脱水素酵素を用いて,アセトン及びNADHを反応させてNAD及びイソプロパノールを得る。用いるケトンの量は,総体積に対して5%〜50%,好ましくは8%〜20%,特に10%〜15%である。
以下,実施例によって本発明を説明する。
実施例1:S特異的アルコール脱水素酵素用酵母のスクリーニング
スクリーニングのために,多数の様々な酵母菌株を次の培地:酵母エキス(3),麦芽エキス(3),ペプトン(5)及びグルコース(10)で培養した(データは全てg/L)。培地を121℃で殺菌し,更なるpH調整を行わずに振盪機にて25℃,160回転/分(rpm)で酵母を培養した。次いで,125mgの細胞を800μLの消化バッファー(100mM トリエタノールアミン(TEA),pH=7.0)で再懸濁させ,1gのガラスビーズと混合し,グローブミル(Retsch)にて4℃で10分間(min)消化させた。12,000rpmで2分間遠沈した後に得た上清(ライセート)を次の活性スクリーニング及びエナンチオマー過剰率(ee値)の測定に用いた。エチル−4−クロロアセトアセテート及び2−クロロ−1−(3−クロロフェニル)エタン−1−オンを基質として用いた。
活性スクリーニング用バッチ:
860μL 0.1M KHPO/KPO,pH=7.0,1mM MgCl
20μL NADPH或いはNADH(10mM)
20μL ライセート
100μL 各基質(100mM)
反応は波長340nmで1分間追跡した。
ee値測定用バッチ:
20μL ライセート
100μL NADH或いはNADPH(50mM)
60μL 基質(エチル−4−クロロアセトアセテート 100mM)
24時間(h)後,ee測定用バッチをクロロホルムで抽出し,エナンチオマー過剰率をガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。エナンチオマー過剰率は次のように計算する。
ee(%)=((R−アルコール − S−アルコール)/(R−アルコール + S−アルコール))×100
Figure 2007523617
DSMZは,Deutsche Sammlung fuer Mikroorganismen und Zellkulturen,Mascheroder Weg 1b,38124 Braunschweigを示す。
酵素単位の定義:1Uは,1分当たり基質1μmolを反応させるのに必要な酵素量に相当する。
実施例2:ピキア・カプスラータからのNADH依存性(S)特異的酸化還元酵素の単離
ピキア・カプスラータ(P.カプスラータ)からNADH依存性酸化還元酵素を単離するため,実施例1に記載したように微生物を培養した。定常期に達した時点で,細胞を採取し,遠沈によって培地から分離した。ガラスビーズを用いた湿式粉砕によって酵素の遊離を行ったが,酵素遊離は他の消化方法によって行うこともできる。この目的のために,100gのP.カプスラータを400mLの消化バッファー(100mM トリエタノールアミン,1mM MgCl,pH=7.0)で懸濁させ,フレンチプレスによってホモジナイズした。
遠沈(7000rpm)後に得られた粗抽出物を更に精製し,FPLC(高速タンパク質液体クロマトグラフィー)によって再処理した。
本発明に係る酸化還元酵素は,Q−Sepharose Fast Flow(Messrs.ファルマシア)及びUno Q(バイオラッド,ドイツ,ミュンヘン)を用いたイオン交換クロマトグラフィーによって2連続工程で精製することができた。この目的のために,50mMのリン酸カリウムバッファー(pH=7.0)で平衡化したQ−Sepharose FF−カラムへ遠沈後に得られたライセートを直接適用し,線形塩勾配を増加させながら溶出させた。その際,該酸化還元酵素は0.2〜0.3M NaClで溶出した。酸化還元酵素含有画分を集め,限外ろ過(排除限界:10kDa)によって適切な体積まで濃縮した。次いで,濃縮した酸化還元酵素画分を再処理し,更に上述同様のバッファーを用い,Uno Qによって精製した。これにより,該酵素は0.1M NaClで溶出した。
その直後,得られた精製酸化還元酵素の分子量をゲル浸透(Superdex 200 HR;ファルマシア,100mM トリエタノールアミン,pH=7,0.15M NaCl)によって測定した。
カタラーゼ(232kDa),アルドラーゼ(158kDa),アルブミン(69.8kDa)及びオボアルブミン(49.4kDa)を分子量標準品として用いた。
得られた結果を次の表2にまとめる。
Figure 2007523617
酸化還元酵素の酵素活性は実施例1に記載の試験系(活性スクリーニング用バッチ)にて測定し,タンパク質量の測定については,ローリー(Lowry)ら,Journal of Biological Chemistry,193(1951年):265〜275,或いはピーターソン(Peterson)ら,Analytical Biochemistry,100(1979年):201〜220)に従って行った。酵素活性をタンパク質量で割った商によって比活性が得られるが,ここでは1μmol/minの転化反応が1単位(U)に相当する。
ゲル浸透によって測定した本発明に係る酸化還元酵素の分子量は,天然状態で140±10kDaであった。
実施例3:本発明に係る酸化還元酵素のN末端配列の決定
ゲル浸透後,実施例2に記載の酵素調製物を10%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲルに分画し,ポリビニリデンジフルオライド膜(PVDF膜)上に移した。約35〜45kDaにおける明確なバンドをエドマン分解(Procise 492(PE−バイオシステム))によるN末端配列決定に付した。次のN末端配列が得られた。
配列番号10
KTQAGYIFKKGA
実施例4:ピキア・カプスラータ由来酸化還元酵素のクローニング
真核微生物ピキア・カプスラータは,サッカロマイセタセア(Saccaromycetacea)のファミリーに属する。該微生物のゲノム構造は,エキソン−イントロン配列を示す。従って,エナンチオ選択的酸化還元酵素をコードする遺伝子配列を同定するため,ピキア・カプスラータの活性細胞からcDNAライブラリーを調製した。
4.1 ピキア・カプスラータ細胞からの全RNAの調製
ピキア・カプスラータ由来の新鮮細胞(600mg)を2.5mLの氷冷LETS(10mM tris−HCl,pH=7.4,10mM EDTA,100mM LiCl,0.2%SDS)バッファーに再懸濁させた。得られた細胞浮遊液に,硝酸で洗浄し3mLのフェノール(pH 7.0)で平衡化した5mL(約20g)のガラスビーズを添加した。その直後,バッチ全体に対して,1回30秒間(sec)の振盪(Vortex Genie 2,Scientific Industries社,米国,ニューヨーク)と30秒間の氷上冷却とを交互に行い,この処理を合計10分間行った。次いで,更に氷冷LETSバッファー(5mL)を添加した。得られた細胞浮遊液を11,000g,4℃で5分間遠沈した。水相を除去し,抽出を2回,同体積のフェノール:クロロホルム:3−メチル−1−ブタノール(24:24:1)で行った。その後,クロロホルムで抽出を行った。最終抽出を行った後,1/10vol.の5M LiClを添加して,得られた全RNAを−20℃で4時間沈殿させた。
1mgの単離RNAを用いて,オリゴ−dTセルロース(mRNA PrepKit,キアゲン)によるmRNA回収を行った。
引き続き沈殿を行った後,5μgのmRNAを用いて,cDNA合成(pBluescript IIXR cDNA Library Construction Kit,ストラタジーン)を行った。該メーカーの指示に従って構築したライブラリーをXL−10 Gold大腸菌に形質転換し,(S)−ADH活性について検討した。
NADHを補因子として用い,エチル−4−クロロアセトアセテートを基質として用いて,吸光度の減少に基づき2種類のクローン(2/1及び2/2)を同定し単離した。プライマーT7(配列番号3)及びプライマーT3(配列番号4)を用い,該クローンに含まれるプラスミドの多重クローニング部位によって配列決定を行った結果,サイズ1175bpの断片(配列番号1)が得られた。前記断片は,366個のアミノ酸を含む融合タンパク質(配列番号2)をコードし,β−ガラクトシダーゼのa断片と本発明に係る酸化還元酵素の配列とから構成される。
4.2 ピキア・カプスラータ由来(S)−ADHをコードする全長転写物のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)による合成
配列番号1に基づき,特定のプライマーを構築した後,全長転写物を適切な発現系にクローニングした。その際,NdeI(或いはSphI)の認識配列を有する5’−プライマーとHindIIIの認識配列を有する3’−プライマーとを修飾した(配列番号5,配列番号6,配列番号7)。
オリゴ1−NdeI:5’−GGAATTCCATATGTCTGCTCTCTCCAAAAC−3’
オリゴ2−SphI:5’−CACTGCATGCTGATGTCTGCTCTCTCCAAAAC−3’
オリゴ3−HindIII:5’−CCCAAGCTTTCATGGAAGCATAACCAATCTT−3’
ピキア・カプスラータの発現ライブラリーのクローン2/1から単離したプラスミドDNAをポリメラーゼ連鎖反応の鋳型として用いた。増幅については,PCRバッファー[30pMolのプライマー及び2.5UのPlatinum Pfx DNA−ポリメラーゼ(インビトロジェン)当たり,10mM tris−HCl(pH 8.0);50mM KCl;10mM MgSO;1mM dNTP混合物(Nは塩基A,T,C或いはGを表わす)]において50ngの鋳型を用い,次の温度サイクルで行った。
サイクル1: 94℃,2分間
サイクル2×30: 94℃,15秒間
58℃,30秒間
68℃,75秒間
サイクル3: 68℃,7分間
4℃,∞
精製後,得られたPCR産物を,エンドヌクレアーゼNdeI及びHindIII或いはエンドヌクレアーゼSphI及びHindIII(1%アガロースゲル)を用いて消化し,pET21aベクター(ノバジェン)或いはpQE30ベクター(キアゲン)のバックボーン(同エンドヌクレアーゼで処理済)に連結した。連結バッチの2イル(il)を大腸菌Top 10F’細胞(インビトロジェン)に形質転換した後,エンドヌクレアーゼNdeI及びHindIII或いはエンドヌクレアーゼSphI及びHindIIIを用いた制限解析によってアンピシリン耐性コロニーのプラスミドDNAを試験し,1,100bpのサイズを有するインサートの存在について確認した。発現構築物pET21−PC#10について配列決定を行った。本発明に係る酸化還元酵素をコードするピキア・カプスラータ由来転写物は,全部で1026bpのオープンリーディングフレーム(配列番号8)を有するが,これは341個のアミノ酸から成るタンパク質(配列番号9)に対応する。
4.3 P.カプスラータ由来の本発明に係る酸化還元酵素のStarBL21(De3)大腸菌細胞における発現
コンピテント大腸菌StarBL21(De3)細胞(インビトロジェン)を本発明に係る酸化還元酵素をコードする発現構築物pET21−PC#10で形質転換した。500nmで測定される光学密度が0.5となるまで,形質転換菌株の培養をアンピシリン(50ig/mL)を含有するLB培地(1%トリプトン,0.5%酵母エキス,1%NaCl)にて行った。組換え酸化還元酵素タンパク質の産生は,イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)の添加(最終濃度1mM)によって開始した。誘導バッチを25℃,220rpmで更に15時間インキュベートした。得られた酵素活性は約6000U/g湿細胞質量となった。
4.4 P.カプスラータ由来の本発明に係る酸化還元酵素のRB791大腸菌細胞における発現
コンピテント大腸菌RB791細胞を本発明に係る酸化還元酵素をコードする発現構築物pQE30−PC#12で形質転換した。500nmで測定される光学密度が0.5となるまで,形質転換菌株の培養をアンピシリン(50ig/mL)含有LB培地(1%トリプトン,0.5%酵母エキス,1%NaCl)にて行った。組換え酸化還元酵素タンパク質の産生は,IPTGの添加(最終濃度0.1mM)によって開始した。誘導バッチを25℃,220rpmで更に15時間インキュベートした。得られた酵素活性は約1000U/g湿細胞質量となった。
実施例5:P.カプスラータ由来組換え酸化還元酵素の特徴付け
5.1 最適pH値
表3に示すバッファーを調製した。各バッファーにおいて各バッファー成分の濃度は50mMとなった。
Figure 2007523617
測定用バッチ(30℃):
870μL 表3に記載の各バッファー系
20μL NADH 10mM(8.6mg/mL水)
10μL 希釈酵素
インキュベーションを約2〜3分間続け,その直後,100μLの基質溶液(100mM エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸)を添加した。
最適pH値を求めるため,表3に示した各バッファーにおいて酵素反応を確認した。酸化反応における最適pH値を求めるため,NADHを補因子として用い,(S)−メチル−3−ヒドロキシブタン酸を基質として用いた。本発明に係る酵素の場合,還元反応における最適pH値は6.5〜7であり,酸化反応における最適pH値は7.8〜8.2であることが確認できた。
5.2 pH安定性
組換え酸化還元酵素の活性については,表3に記載のバッファー系へ中における保存性によって確認した。この目的のために,各種バッファー(50mM)をpH領域4〜11で調製し,実施例4で産生した酸化還元酵素を該バッファーで希釈した。インキュベーションを30分間,60分間及び300分間行った後,各バッチから10μLを採取し,実施例1に記載の活性試験に用いた。
これにより,該酵素をリン酸カリウムバッファー50mM(pH=7.0)に希釈(1:20)した直後に得られた測定値が初期値となる。上述の条件下で,前記初期値は約0.70/分の吸光度変化量に相当し,これを100%値として設定し,以降の測定値は全て初期値に対して求めた。
その際,P.カプスラータ由来組換え酸化還元酵素はpH5.5〜8.5で安定であり,実質的に活性を失うことなく少なくとも5時間インキュベート可能であることが認められた。pH9.0超又は5.0未満でインキュベーションを行った場合,該酵素は直ちに失活した。
5.3 最適温度
最適試験温度を求めるため,標準的な測定用バッチにて温度範囲15℃〜70℃で酵素活性を測定した。表4から分かるように,45℃で酵素活性は最大となり,その後,活性は急速に低下する。
Figure 2007523617
5.4 温度安定性
温度安定性については,実施例5.2で記載した方法と同様に15℃〜70℃の範囲で確認した。この目的のために,精製酸化還元酵素の1:20希釈物を各温度で60分間及び180分間インキュベートした後,上述の試験用バッチを用いて30℃で測定を行った。本例においても,精製酸化還元酵素をリン酸カリウムバッファー50mM(pH=7.0)に希釈した直後に得られた測定値を初期値として用いた。本例においても,前記初期値を100%値として設定した。
ここで,該酵素は温度範囲15℃〜40℃では完全に安定であり,3時間のインキュベーション後,如何なる活性損失も見られない。55℃においては,30分後には既に酵素活性が検出できない。
5.5 基質スペクトル/エナンチオマー過剰率
本発明に係る酸化還元酵素の基質スペクトルについては,多数のケトンやオキソ酸及びそのエステルを用いて酵素活性を測定することによって確認した。この目的のために,実施例5.1に記載の標準的な測定用バッチを様々な基質と共に用いた。エチル−4−クロロアセトアセテートの場合の活性を100%とし,これに対して他の基質全ての場合の活性を求めた。ee値を測定するため,選択した基質に対して次の反応バッチを用いた。
100μL NADH(50mM)
60μL 基質(100mM)
+1〜2Uの本発明に係る酸化還元酵素
24時間後,ee測定用バッチをクロロホルムで抽出し,得られたアルコールのエナンチオマー過剰率をGCによって測定した。
Figure 2007523617
表5から分かるように,広範囲の2−及び3−オキソ酸エステルや芳香族ケトン及び脂肪族ケトンが,本発明に係る酸化還元酵素によって立体選択的に還元される。
5.5 溶媒安定性
P.カプスラータ由来酸化還元酵素の酵素安定性については有機溶媒の存在下で検討した。この目的のために,該酸化還元酵素を後述の各溶媒混合物(水混和性有機溶媒の場合)で1:20希釈し,室温(20℃〜24℃;RT)でインキュベートした。次いで,10μLの酵素溶液を標準的な試験バッチに用いた。本例においても,バッファー(リン酸カリウムバッファー(KPP)100mM,pH=7.0)で希釈後の初期値を100%とし,他の値全てを前記初期値に対して求めた。
水不混和性有機溶媒の場合も同様にリン酸カリウムバッファーで希釈を行い,同体積の有機溶媒をバッチに添加し,このバッチをサーモミキサーにて170rpm,RTでインキュベートした。活性については水相で測定した。結果を表6に示す。
Figure 2007523617
表6から分かるように,P.カプスラータ由来酸化還元酵素は,有機溶媒に対して驚くべき安定性を示す。確立された学説とは対照的に,本発明に係る酸化還元酵素は,純粋なバッファーでのインキュベーションと比べて,水混和性有機溶媒及び水不混和性有機溶媒においても安定している。従って,本発明に係る酸化還元酵素は,DE 101 19274 A1に記載の二相系に用いることができる。
5.7 調製における転化反応(Preparative conversions)
5.7.1 エチル−4−クロロアセトアセテートからエチル−(R)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への還元
調製用バッチとして,34Lのバッファー(100mM TEA,pH=7,1mM ZnCl,10%グリセロール),4Lのイソプロパノール,4Lの4−クロロアセトアセテート,4gのNAD及び360万Uのピキア・カプスラータ由来組換え酸化還元酵素の混合物を絶えず混合しながら,室温で24時間インキュベートした。24時間後,用いた4−クロロアセトアセテートの99%が還元された。次いで,得られた反応混合物を酢酸エチルで抽出し,溶媒をロータリーエバポレータによって除去し,粗生成物を蒸留した。このようにして,エナンチオマー過剰率が99%のエチル−(R)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸を2.8L(3.4kg)回収した。この場合,用いた抽出物量に対する収率は70%となる。
5.7.2 2−クロロ−1−(3−クロロフェニル)エタン−1−オンから(R)−2−クロロ−1−(3−クロロフェニル)エタン−1−オールへの還元
調製用バッチとして,164mLのバッファー(100mM TEA,pH=7,1mM ZnCl,20%グリセロール),16mLのイソプロパノール,メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(20mL)に溶解した20gの2−クロロ−1−(3−クロロフェニル)エタン−1−オン,10mgのNAD及び20,000Uのピキア・カプスラータ由来組換え酸化還元酵素の混合物を絶えず混合しながら,室温で24時間インキュベートした。24時間後,用いた2−クロロ−1−(3−クロロフェニル)エタン−1−オンの96%が還元された。次いで,得られた反応混合物を酢酸エチルで抽出し,溶媒をロータリーエバポレータによって除去した。このようにして,エナンチオマー過剰率が100%の(R)−2−クロロ−1−(3−クロロフェニル)エタン−1−オールを15g回収した。この場合,用いた抽出物量に対する収率は77%となる。

Claims (40)

  1. NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元することを特徴とする,酸化還元酵素。
  2. ピキア属或いはカンジダ属の酵母,特にピキア・カプスラータから得ることができることを特徴とする,請求項1に記載の酸化還元酵素。
  3. 配列番号8に記載のDNA配列及び配列番号9に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とする,請求項1又は2に記載の酸化還元酵素。
  4. アミノ酸の70%超が配列番号9のアミノ酸配列と同一であり,エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸から(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への反応に基づく比活性が1μmol/mgタンパク質を超えることを特徴とする,請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化還元酵素。
  5. アミノ酸の80%〜99.5%,特に90%〜99.5%,更に特に99%〜99.5%が配列番号9のアミノ酸配列と同一であることを特徴とする,請求項4に記載の酸化還元酵素。
  6. 配列番号9のアミノ酸配列を有する酸化還元酵素よりもアミノ酸が1〜40個多いか或いは1〜40個少なく,エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸から(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への反応に基づく比活性が1μmol/mgタンパク質を超えることを特徴とする,請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸化還元酵素。
  7. 配列番号9のアミノ酸配列よりもアミノ酸が1〜25個,特に2〜20個,或いは3〜10個多く或いは少なく存在することを特徴とする,請求項4に記載の酸化還元酵素。
  8. 配列番号9のアミノ酸配列を有し,水溶性ポリマーで1回,2回,3回,4回或いは5回修飾されており,エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸から(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への反応に基づく比活性量が1μmol/mgタンパク質を超えることを特徴とする,請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸化還元酵素。
  9. 前記水溶性ポリマーはポリエチレングリコールであることを特徴とする,請求項8に記載の酸化還元酵素。
  10. 配列番号9のアミノ酸配列の複数の断片に相当し,一断片当たりのアミノ酸数が5〜30であることを特徴とするタンパク質断片。
  11. 前記複数の断片は,6〜25アミノ酸鎖長,特に8〜20アミノ酸鎖長或いは10〜18アミノ酸鎖長,特に配列番号10のアミノ酸配列の鎖長を有する配列番号9の複数の断片であることを特徴とする,請求項10に記載のタンパク質断片。
  12. 配列番号9のアミノ酸配列或いは配列番号9のアミノ酸配列の複数の断片を有する酸化還元酵素を含み,他のポリペプチドに対してN末端或いはカルボキシ末端でペプチド結合により結合しているアミノ酸の数が5〜30であることを特徴とする融合タンパク質。
  13. 配列番号9或いは配列番号10に記載の酸化還元酵素に特異的に結合することを特徴とする抗体。
  14. 配列番号9及び配列番号10に記載の酸化還元酵素をコードする単離核酸配列。
  15. NADH及び水の存在下でカルボニル化合物の対応する(S)−ヒドロキシ化合物への還元を触媒する酸化還元酵素の単離DNA配列であって,
    a)配列番号8,配列番号5,配列番号6或いは配列番号7に記載のヌクレオチド配列或いはその相補鎖を有するDNA配列,
    b)a)に記載のDNA配列の一種以上或いはその相補鎖に対し,ストリンジェントな条件下で行うハイブリダイゼーションによってハイブリダイズするDNA配列,及び
    c)遺伝コードの変性によって,a)或いはb)に記載のDNA配列の一種以上でコードされるたんぱく質をコードするDNA配列
    から成る群から選択される単離DNA配列。
  16. 核酸塩基の70%超が配列番号8に記載のDNA配列或いはその相補鎖と同一であり,エチル−4−クロロ−3−オキソブタン酸から(R)−エチル−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸への反応に基づく比活性が1μmol/mgタンパク質を超える酸化還元酵素をコードすることを特徴とする単離DNA配列。
  17. 核酸塩基の80%〜99.5%,特に90%〜99.5%,特に99%〜99.5%が配列番号8に記載のDNA配列と同一であることを特徴とする,請求項16に記載の単離DNA配列。
  18. 10〜50個の核酸塩基を有し,配列番号8に記載のDNA配列の一以上の部分或いはその相補鎖に対応する配列を有する核酸配列であることを特徴とする単離DNA配列。
  19. 15〜45個の核酸塩基,特に20〜40個或いは30〜40個の核酸塩基を有する核酸配列であることを特徴とする,請求項18に記載の単離DNA配列。
  20. 請求項14〜19に記載の核酸配列或いはDNA配列の一以上を含むことを特徴とするクローニングベクター。
  21. 請求項14〜19に記載の核酸配列或いはDNA配列の一以上を含み,発現制御配列に対して適切に結合していることを特徴とする発現ベクター。
  22. 細菌細胞,酵母細胞,昆虫細胞,植物細胞或いは哺乳類細胞であって,請求項21に記載の発現ベクターで形質転換或いはトランスフェクトされた宿主細胞。
  23. カルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物へエナンチオ選択的に還元するための方法であって,
    a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
    b)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離する
    ことを特徴とする方法。
  24. 式I
    R1−C(O)−R2 (I)
    で表される化合物をカルボニル化合物として用い,R1基は,
    1)直鎖或いは分岐鎖の−(C−C20)−アルキル,
    2)直鎖或いは分岐鎖であり,鎖長に応じて1個,2個,3個或いは4個の二重結合を含む−(C−C20)−アルケニル,
    3)直鎖或いは分岐鎖であり,任意的に1個,2個,3個或いは4個の三重結合を含む−(C−C20)−アルキニル,
    4)−(C−C14)−アリール,
    5)−(C−C)−アルキル−(C−C14)−アリール,
    6)非置換であるか,或いはハロゲン,ヒドロキシル,アミノ或いはニトロで一置換〜三置換されている−(C−C14)−複素環,或いは
    7)−(C−C)−シクロアルキルから選択され,
    1)〜7)で記載した各R1基は非置換であるか,或いは互いに独立して,
    a)−OH,
    b)フッ素や塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン,
    c)−NO,或いは
    d)−NH
    で一置換,二置換或いは三置換されており,
    また,R2基は,
    1)直鎖或いは分岐鎖の−(C−C)−アルキル,
    2)直鎖或いは分岐鎖であり,鎖長に応じて1個,2個或いは3個の二重結合を含む−(C−C)−アルケニル,
    3)直鎖或いは分岐鎖であり,任意的に1個或いは2個の三重結合を含む−(C−C)−アルキニル,或いは
    4)アルキル部分が直鎖或いは分岐鎖であり,非置換であるか,或いはハロゲン,ヒドロキシル,アミノ或いはニトロで一置換〜三置換されている−(C−C10)−アルキル−C(O)−O−(C−C)−アルキルから選択され,
    1)〜4)で記載した各R2基は非置換であるか,或いは互いに独立して,
    a)−OH,
    b)フッ素や塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン,
    c)−NO,或いは
    d)−NH
    で一置換,二置換或いは三置換されていることを特徴とする,請求項23に記載の方法。
  25. a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
    b)該酸化還元酵素によって生成したNADを補基質を用いてNADHに還元し,
    c)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項23又は24に記載の方法。
  26. a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
    b)該酸化還元酵素によって生成したNADを脱水素酵素及び補基質を用いてNADHに還元し,
    c)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項23又は24に記載の方法。
  27. a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
    b)有機溶媒の存在下で反応を行い,
    c)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項23又は24に記載の方法。
  28. a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
    b)有機溶媒の存在下で反応を行い,
    c)該酸化還元酵素によって生成したNADを補基質を用いてNADHに還元し,
    d)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項23又は24に記載の方法。
  29. a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NADH及び水の存在下でカルボニル化合物を対応する(S)−ヒドロキシ化合物に還元し,
    b)該酸化還元酵素によって生成したNADを脱水素酵素及び補基質を用いてNADHへ同時に還元し,
    c)有機溶媒の存在下で反応を行い,
    d)生成したキラル(S)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項23又は24に記載の方法。
  30. 前記補基質として,エタノール,2−プロパノール,2−ブタノール,2−ペンタノール又は2−オクタノールを用いることを特徴とする,請求項25,26,28又は29に記載の方法。
  31. 前記脱水素酵素として,カンジダ・ボイジニ或いはカンジダ・パラプシローシス由来のパン酵母を用いることを特徴とする,請求項26又は29に記載の方法。
  32. 前記脱水素酵素としてNADH依存性ギ酸脱水素酵素を用い,前記補基質としてギ酸アンモニウムやギ酸ナトリウム,ギ酸カルシウム等のギ酸塩を用いることを特徴とする,請求項26又は29に記載の方法。
  33. 有機溶媒として,ジエチルエーテル,第三ブチルメチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,ジブチルエーテル,酢酸ブチル,へプタン,ヘキサン又はシクロヘキサンを用いることを特徴とする,請求項27又は29に記載の方法。
  34. 有機相が総反応物体積の5%〜80%,好ましくは10%〜40%を占めることを特徴とする,請求項27又は29に記載の方法。
  35. 式II
    R1−C(OH)−R2 (II)
    で表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法であって,R1基は,
    1)直鎖或いは分岐鎖の−(C−C20)−アルキル,
    2)直鎖或いは分岐鎖であり,鎖長に応じて1個,2個,3個或いは4個の二重結合を含む−(C−C20)−アルケニル,
    3)直鎖或いは分岐鎖であり,任意的に1個,2個,3個或いは4個の三重結合を含む−(C−C20)−アルキニル,
    4)−(C−C14)−アリール,
    5)−(C−C)−アルキル−(C−C14)−アリール,
    6)非置換であるか,或いはハロゲン,ヒドロキシル,アミノ或いはニトロで一置換〜三置換されている−(C−C14)−複素環,或いは
    7)−(C−C)−シクロアルキルから選択され,
    1)〜7)で記載した各R1基は非置換であるか,或いは互いに独立して,
    a)−OH,
    b)フッ素や塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン,
    c)−NO,或いは
    d)−NH
    で一置換,二置換或いは三置換されており,
    また,R2基は,
    1)直鎖或いは分岐鎖の−(C−C)−アルキル,
    2)直鎖或いは分岐鎖であり,鎖長に応じて1個,2個或いは3個の二重結合を含む−(C−C)−アルケニル,
    3)直鎖或いは分岐鎖であり,任意的に1個或いは2個の三重結合を含む−(C−C)−アルキニル,或いは
    4)アルキル部分が直鎖或いは分岐鎖であり,非置換であるか,或いはハロゲン,ヒドロキシル,アミノ或いはニトロで一置換〜三置換されている−(C−C10)−アルキル−C(O)−O−(C−C)−アルキルから選択され,
    1)〜4)で記載した各R1基は非置換であるか,或いは互いに独立して,
    a)−OH,
    b)フッ素や塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン,
    c)−NO,或いは
    d)−NH
    で一置換,二置換或いは三置換されている方法において,
    a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
    b)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする方法。
  36. a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
    b)該酸化還元酵素によって生成したNADHを補基質を用いてNADに酸化し,
    c)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項35に記載の式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法。
  37. a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
    b)該酸化還元酵素によって生成したNADHを脱水素酵素及び補基質を用いてNADに酸化し,
    c)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項35に記載の式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法。
  38. a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
    b)有機溶媒の存在下で反応を行い,
    c)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項35に記載の式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法。
  39. a)式IIで表されるラセミ化合物を含有する混合物を,請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化還元酵素,NAD及び水と共にインキュベートし,
    b)有機溶媒の存在下で反応を行い,
    c)該酸化還元酵素によって生成したNADHを脱水素酵素及び補基質を用いてNADに酸化し,
    d)残存する式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を単離することを特徴とする,請求項35に記載の式IIで表されるキラル(R)−ヒドロキシ化合物を回収するための方法。
  40. 前記補基質としてアセトンを用いることを特徴とする,請求項36,37又は39に記載の方法。


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