JP2007523216A - グルコース代謝を制御するためのペプチジルペプチダーゼiv阻害剤 - Google Patents

グルコース代謝を制御するためのペプチジルペプチダーゼiv阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、ポストプロリン分解酵素の阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤など)およびそれらの医薬組成物、ならびにそのような阻害剤の使用法に関する。特に、本発明に従う阻害剤は、カルボン酸部位を有する阻害剤内のP1位および/もしくはP2位に存在する側鎖の特定のクラスを選択することにより、従来の阻害剤よりも改良されている。本発明に従う化合物は、毒性が低下し、および/もしくは標的プロテアーゼに対する選択性が向上したことにより、より高い治療指数を示す。

Description

関連出願
本出願は、2004年2月23日に受理された米国仮特許出願第60/457,227号および2004年8月6日に受理された米国仮特許出願第60/599,336号の優先権を享受する。それらの出願の教義を参照として全て本明細書中に取り入れておく。
プロテアーゼとは、ひとつの特定のペプチド結合を切断する酵素である。プロテアーゼは、一般的に4つに分類することができ、すなわち、セリンプロテアーゼ、チオールもしくはシステインプロテアーゼ、酸性もしくはアスパルチルプロテアーゼ、ならびに金属プロテアーゼである(非特許文献1)。プロテアーゼは、消化、形成、および凝血塊の溶解、再生、ならびに外来細胞および生物に対する免疫反応などの多様な生物学的活性に必須である。ヒトおよびその他の哺乳類においては、タンパク質分解の異常が多数の疾病状態に関連している。多くの場合、動物を治療する過程においては、ひとつもしくはそれ以上のタンパク質分解酵素の機能を遮断することが有効である。
ペプチド基質のための結合部位は、酵素表面上に存在する一連の「特異性サブサイト(副部位)(specificity subsites)」である。「特異性サブサイト」とは、酵素上のポケットまたはその他の部位をさし、該酵素に対する基質の一部と相互作用することができる。ペプチドのプロテアーゼ(例えば、セリンおよびシステインプロテイナーゼなど)との相互作用を論じる場合、本発明は、非特許文献2に記載されている学術用語を使用している。基質または阻害剤の個々のアミノ酸残基は、解裂反応において生じるカルボキシ末端残基から始めてP1、P2などと表記し、酵素側の対応するサブサイトはS1、S2などと表記する。基質中の解裂されやすい結合は、基質のP1−P1'間のアミド結合である。故に、Xaa3およびXaa4残基の間で解裂されるペプチドXaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4に関しては、Xaa3残基がP1残基と称されて酵素のS1サブサイトに結合し、Xaa2はP2残基と称されてS2サブサイトに結合する。
例えば、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPIV)はセリンプロテアーゼであり、終わりから2番目の位置(例えば、P1位置など)に、好ましくはプロリン残基を有するペプチド鎖のN末端ジペプチドを解裂させる。DPIVは、細胞膜関連ペプチダーゼ群に属し、大多数の細胞表面ペプチダーゼと同様に、II型集積性膜タンパク質であり、自身のシグナル配列によって形質膜に結合する。DPIVは、分化した多様な哺乳類の上皮、内皮および造血細胞ならびにリンパ系を起源とする組織において見出され、特に、CD4+T細胞の表面上で見出される。DPIVは、白血球分化マーカーCD26として認識されていた。
キュイパース(Cuypers)ら、J.Biol.Chem.,257:7086(1982) シェクター(Schechter)およびバーガー(Berger)、Biochem.Biophys.Res.Commun.,27:157-162(1967)
ひとつの側面から見ると、本発明は、以下の構造式Iで表される構造を有するプロテアーゼ阻害剤、または薬剤学的に許容されるそれらの塩を提供し;
Figure 2007523216
ここで、R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R2は、H、低級アルキルまたはアラルキルを表し;
R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンまたはアルキルを表し、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
R5は、H、ハロゲン、低級アルキルまたはアラルキルを表し、好ましくはHまたは低級アルキルを表し;
R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基を表し;
R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
Lは、空位、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−および−(CH2)mS(CH2)m−を表し;
Xは、空位、または−N(R7)−、−O−もしくは−S−を表し;
Yは、空位、または−C(=O)−、−C(=S)−、もしくは−SO2−を表し;
mは、それぞれ別異に、0〜10まで、好ましくは1〜3までの整数であり;
nは、1〜6までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3はHであり、かつR4は低級アルキルであり、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に員環を形成し;さらに、nは2である。
別の好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3はHを表し、R4は、Hまたは低級アルキルを表し;R5はHを表し;さらに、nは2である。
ある好ましい実施態様においては、X、YおよびLは空位であり;R1は、アミノ酸残基数が2〜8であるポリペプチド鎖であり、ここで、構造式Iの一番左の残基に直接結合している残基はプロリンである。そのような実施態様のうちのあるものにおいては、R1は、アミノ酸残基数が2のポリペプチド鎖であり、ここで、構造式Iの一番左の窒素に直接結合している残基はプロリンである。
上記のような実施態様のうちのあるものにおいては、R6は、ボロン酸、CN、−SO2Z1、−P(=O)Z1、−P(=R8)R9R10、−C(=NH)NH2、−CH=NR11、または−C(=O)−R11を表し、ここで、
R8は、OまたはSであり;
R9は、N3、SH2、NH2、NO2またはOLR12を表し;さらに、
R10は、低級アルキル、アミノ、OLR12、または薬剤学的に許容されるそれらの塩を表し;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合しているリンと共に5〜8員の複素環を形成し;
R11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、NH2、−(CH2)p−R12、−(CH2)q−OH、−(CH2)q−O−アルキル、−(CH2)q−O−アルケニル、−(CH2)q−O−アルキニル、−(CH2)q−O−(CH2)p−R12、−(CH2)q−SH、−(CH2)q−S−アルキル、−(CH2)q−S−アルケニル、−(CH2)q−S−アルキニル、−(CH2)q−S−(CH2)p−R12、−C(O)NH2、−C(O)OR13または−C(Z1)(Z2)(Z3)を表し;
R12は、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を表し;
R13は、H、アルキル、アルケニルまたはLR12を表し;
Z1はハロゲンを表し;
Z2およびZ3は、それぞれ別異にHまたはハロゲンを表し;
pは、それぞれ別異に、0〜8までの整数であり;さらに、
qは、それぞれ別異に、1〜8までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R6は、CN、CHOまたはC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はハロゲンを表し、Z2およびZ3は、Hまたはハロゲンを表す。別の実施態様においては、R6はC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はフッ素を表し、Z2およびZ3は、Hまたはフッ素を表す。
ある好ましい実施態様においては、R6は、−B(Y1)(Y2)という式で表される置換基群を表し、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OHまたは加水分解されてOHを生じる基(すなわち、ボロン酸を形成する)であり、あるいは、それらが結合しているホウ素原子と共に、加水分解されてボロン酸を生じるような5〜8員環を形成する。
別の側面から見ると、本発明は、以下の構造式IIで表されるプロテアーゼ阻害剤または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
ここで、R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R2は、H、低級アルキルまたはアラルキルを表し;
R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンまたはアルキルを表し、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
R5は、H、ハロゲン、低級アルキルまたはアラルキルを表し、好ましくはHまたは低級アルキルを表し;
R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基を表し;
R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R14は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニルまたはアラルキルを表し、好ましくはHであり;
Aは、空位、または−NHC(=NH)−を表し、あるいは、R14およびAは、それらが結合している窒素と共に複素環を形成し;
Lは、空位、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−もしくは−(CH2)mS(CH2)m−を表し;
Xは、空位、または−N(R7)−、−O−もしくは−S−を表し;
Yは、空位、または−C(=O)−、−C(=S)−、もしくは−SO2−を表し;
mは、それぞれ別異に、0〜10までの整数であり;さらに、
nは、1〜6までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3はHであり、かつR4は低級アルキルであり、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に5員環を形成し;さらに、nは1〜4までの整数である。
別の好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3はHを表し、R4は、Hまたは低級アルキルを表し;R5はHを表し;さらに、nは1〜4までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、X、YおよびLは空位であり;R1は、アミノ酸残基数が2〜8であるポリペプチド鎖であり、ここで、構造式IIの一番左の残基に直接結合している残基はプロリンである。そのような実施態様のうちのあるものにおいては、R1は、アミノ酸残基数が2のポリペプチド鎖であり、ここで、構造式IIの一番左の窒素に直接結合している残基はプロリンである。
ある実施態様においては、R14は、Hまたはアルキルである。そのような実施態様のうちのあるものにおいては、Aは、空位または−NHC(=NH)−である。
ある好ましい実施態様においては、R14はHであり、Aは空位であり、さらに、nは4である。別の実施態様においは、R14はHであり、Aは−NHC(=NH)−であり、さらに、nは3である。
ある好ましい実施態様においては、AおよびR14は、それらが結合している窒素と共にイミダゾール環を形成し、さらに、nは1である。
ある実施態様においては、R6は、ボロン酸、CN、−SO2Z1、−P(=O)Z1、−P(=R8)R9R10、−C(=NH)NH2、−CH=NR11、または−C(=O)−R11を表し、ここで、
R8は、OまたはSであり;
R9は、N3、SH2、NH2、NO2またはOLR12を表し;さらに、
R10は、低級アルキル、アミノ、OLR12、または薬剤学的に許容されるそれらの塩を表し;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合しているリンと共に5〜8員の複素環を形成し;
R11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−NH2、−(CH2)p−R12、−(CH2)q−OH、−(CH2)q−O−アルキル、−(CH2)q−O−アルケニル、−(CH2)q−O−アルキニル、−(CH2)q−O−(CH2)p−R12、−(CH2)q−SH、−(CH2)q−S−アルキル、−(CH2)q−S−アルケニル、−(CH2)q−S−アルキニル、−(CH2)q−S−(CH2)p−R12、−C(O)NH2、−C(O)OR13または−C(Z1)(Z2)(Z3)を表し;
R12は、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を表し;
R13は、H、アルキル、アルケニルまたはLR12を表し;
Z1はハロゲンを表し;
Z2およびZ3は、それぞれ別異にHまたはハロゲンを表し;
pは、それぞれ別異に、0〜8までの整数であり;さらに、
qは、それぞれ別異に、1〜8までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R6は、CN、CHOまたはC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はハロゲンを表し、Z2およびZ3は、Hまたはハロゲンを表す。別の実施態様においては、R6はC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はフッ素を表し、Z2およびZ3は、Hまたはフッ素を表す。
ある好ましい実施態様においては、R6は、−B(Y1)(Y2)という式で表される置換基群を表し、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基であり、あるいは、それらが結合しているホウ素原子と共に、加水分解されてボロン酸を生じるような5〜8員環を形成する。
別の側面から見ると、本発明は、以下の構造式IIIで表されるプロテアーゼ阻害剤または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
ここで、R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R2は、H、低級アルキルまたはアラルキルを表し;
R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンまたはアルキルを表し、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
R5は、H、ハロゲン、低級アルキルまたはアラルキルを表し、好ましくはHまたは低級アルキルを表し;
R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基を表し;
R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R15は、生理的pHにおいて正または負の電荷を帯びている官能基であり、好ましくは、アミンまたはカルボン酸であり;
Lは、空位、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−および−(CH2)mS(CH2)m−を表し;
Xは、空位、または−N(R7)−、−O−もしくは−S−を表し;
Yは、空位、または−C(=O)−、−C(=S)−、もしくは−SO2−を表し;
mは、それぞれ別異に、0〜10までの整数であり;さらに、
nは、1〜6までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3はHであり、かつR4は低級アルキルであり、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に5員環を形成し;さらに、nは1〜4までの整数である。
別の好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3はHを表し、R4は、Hまたは低級アルキルを表し;R5はHを表し;さらに、nは1〜4までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、X、YおよびLは空位であり;R1は、アミノ酸残基数が2〜8であるポリペプチド鎖であり、ここで、構造式IIの一番左の残基に直接結合している残基はプロリンである。そのような実施態様のうちのあるものにおいては、R1は、アミノ酸残基数が2のポリペプチド鎖であり、ここで、構造式IIの一番左の窒素に直接結合している残基はプロリンである。
ある好ましい実施態様においては、nは1〜4までの整数であり、R15は、生理的pHにおいて正または負の電荷を帯びている官能基である。より好ましい実施態様においては、nは1〜4までの整数であり、R15は、アミン、カルボン酸、イミダゾールおよびグアニジン官能基から選択される。
ある実施態様においては、R6は、ボロン酸、CN、−SO2Z1、−P(=O)Z1、−P(=R8)R9R10、−C(=NH)NH2、−CH=NR11、または−C(=O)−R11を表し、ここで、
R8は、OまたはSであり;
R9は、N3、SH2、NH2、NO2またはOLR12を表し;さらに、
R10は、低級アルキル、アミノ、OLR12、または薬剤学的に許容されるそれらの塩を表し;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合しているリンと共に5〜8員の複素環を形成し;
R11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、NH2、−(CH2)p−R12、−(CH2)q−OH、−(CH2)q−O−アルキル、−(CH2)q−O−アルケニル、−(CH2)q−O−アルキニル、−(CH2)q−O−(CH2)p−R12、−(CH2)q−SH、−(CH2)q−S−アルキル、−(CH2)q−S−アルケニル、−(CH2)q−S−アルキニル、−(CH2)q−S−(CH2)p−R12、−C(O)NH2、−C(O)OR13または−C(Z1)(Z2)(Z3)を表し;
R12は、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を表し;
R13は、H、アルキル、アルケニルまたはLR12を表し;
Z1はハロゲンを表し;
Z2およびZ3は、それぞれ別異に、Hまたはハロゲンを表し;
pは、それぞれ別異に、0〜8までの整数であり;さらに、
qは、それぞれ別異に、1〜8までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R6は、CN、CHOまたはC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はハロゲンを表し、Z2およびZ3は、Hまたはハロゲンを表す。別の実施態様においては、R6はC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はフッ素を表し、さらに、Z2およびZ3は、Hまたはフッ素を表す。
ある好ましい実施態様においては、R6は、−B(Y1)(Y2)という式で表される置換基群を表し、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基であり、あるいは、それらが結合しているホウ素原子と共に、加水分解されてボロン酸を生じるような5〜8員環を形成する。
さらに別の側面から見ると、本発明は、以下の構造式IVで表されるプロテアーゼ阻害剤または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
ここで、Aは、NおよびCα炭素を含む4〜8員の複素環から選択され;
Zは、CまたはNであり;
Wは、CN、−CH=NR5、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応する次のような官能基
Figure 2007523216
から選択され;
R1は、C末端に結合しているアミノ酸残基もしくはアミノ酸アナログ、C末端に結合しているペプチドもしくはペプチドアナログ、次のようなアミノ酸保護基
Figure 2007523216
から選択され;
R2は、A環のひとつもしくはそれ以上の置換基を表し、それらはそれぞれ別異に、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R7から選択され、このとき、少なくともひとつのR2は、−OH、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、および低級アルコキシアルキルから選択され、好ましくは、少なくともひとつは、低級アルキル(例えば、メチルなど)、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択され;
ZがNのとき、R3は水素であり;
ZがCのとき、R3は、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、および−(CH2)n−S−(CH2)m−R7から選択され;
R5は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)(X3)、−(CH2)m−R7、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R7 、−C(O)C(O)NH2および−C(O)C(O)OR7'から選択され;
R6は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−アルキル、−(CH2)m−O−アルケニル、−(CH2)m−O−アルキニル、−(CH2)m−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−アルキル、−(CH2)m−S−アルケニル、−(CH2)m−アルキニル、もしくは−(CH2)m−S−(CH2)m−R7
Figure 2007523216
から選択され;
R7は、それぞれ別異に、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環から選択され;
R7'は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環から選択され;
R8およびR9は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R7、−C(=O)−アルキル、−C(=O)−アルケニル、−C(=O)−アルキニルおよび−C(=O)−(CH2)m−R7から選択され;あるいは、
R8およびR9は、それらが結合している窒素と共に4〜8員の複素環を形成し;
R50は、OまたはSであり;
R51は、N3、SH、NH2、NO2およびOR7'から選択され;
R51は、水素、低級アルキル、アミン、OR7'、または、薬剤学的に許容されるそれらの塩から選択され;
R51およびR52は、それらが結合しているP原子と共に5〜8員の複素環を形成し;
X1は、ハロゲンであり;
X2およびX3は、それぞれ、水素およびハロゲンから選択され;
Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)であり、このとき、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して接続されており;
mは、0または1〜8までの整数であり;さらに、
nは、1〜8までの整数である。
ある実施態様においては、プロテアーゼ阻害剤は、Ki値50nMもしくはそれ以下でDPIVを阻害する。
ある実施態様においては、阻害剤は経口で有効である。
ある実施態様においては、ヒトでのグルコース代謝制御などに対する該阻害剤の治療指数は、少なくとも2、より好ましくは、5、10あるいは100である。
本発明の別の側面においては、薬剤学的に許容されるキャリヤー、ならびに、ひとつもしくはそれ以上のプロテアーゼ阻害剤、あるいは、薬剤学的に許容されるそれらの塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
本発明のまた別の側面においては、イン・ビボ(in vivo)でポストプロリン分解酵素(post-proline-cleaving enzyme)を阻害するための医薬を製造するにあたり、ひとつもしくはそれ以上の阻害剤の使用法を提供する。例えば、阻害剤を用い、ポストプロリン分解酵素(例えば、DP-IVなど)によって処理される1種もしくはそれ以上のペプチドホルモンの血漿濃度を上昇させるための医薬を製造することができる。そのようなホルモンの血漿濃度を上昇させるのに有用な医薬の例としては、グルカゴン様ペプチド、NPY、PPY、セクレチン、GLP-1、GLP-2およびGIPなどが挙げられる。
ある好ましい実施態様においては、阻害剤を用いてグルコース代謝を制御するための医薬を製造することができ、そのような医薬は、II型糖尿病、インスリン耐性、耐糖能低下、高血糖症、低血糖症、高インスリン血症、肥満、高脂血症または高リポタンパク血症などに苦しむ患者の治療に使用する。
さらに別の側面から見ると、本発明は、ひとつもしくはそれ以上のプロテアーゼ阻害剤調製物;必要であれば、薬剤学的に許容されるキャリヤー;ならびに、グルコース代謝制御などを目的として、イン・ビボ(in vivo)においてポストプロリン分解酵素を阻害するための調製物の使用法を文書および/もしくは図で表した指示書を含む包装医薬(packaged pharmaceutical)を提供する。
包装医薬としては、例えば、プロテアーゼ阻害剤との共調製剤など、または、単に、プロテアーゼ阻害剤、インスリン、および/もしくはインスリン分泌促進剤と共に封入することもできる。
包装医薬としては、例えば、プロテアーゼ阻害剤との共調製剤など、または、単に、プロテアーゼ阻害剤、M1レセプターアンタゴニスト、プロラクチン阻害剤、β細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する物質、メトホルミン、および/もしくはグルコシダーゼ阻害剤と共に封入されたものなども挙げられる。
また、本発明は、短期間投与の治療方式に基づき、上記の疾患の少なくともひとつを長期にわたって軽減および衰退させるための改良法に関する。
さらに本発明は、ヒトを含む脊椎動物について、グルコースおよび脂肪性応答を長期にわたって制御および変更するための方法を提供する。
特に、本発明に従う化合物を用い、以下のひとつもしくはそれ以上に関して長期間有益な変化が得られるような方法を提供することができる:インスリンに対する細胞性応答の感度(インスリン耐性の低下)、血中のインスリンレベル、高インスリン血症、血中のグルコースレベル、体脂肪貯蓄量および血中のリポタンパク質レベル。従って、糖尿病、肥満および/または粥状動脈硬化に対する有効な治療法が提供される。
1.概要
本発明は、ポストプロリン分解酵素(PPCE)に対する阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤など)、ならびに、それらの医薬組成物、およびそのような阻害剤の使用法に関する。これらの分子の基本型は、酸性アミノ酸、および多様な側鎖を有する求電子性部位を有する。
本発明に従う化合物の顕著な特徴としては、次のようなものが挙げられる:毒性の減弱および/もしくは標的プロテアーゼに対する特異性の向上による良好な治療指数;経口による利用率の高さ;保存性の延長;ならびに/または、作用時間の延長(4時間以上、より好ましくは、8、12、もしくは16時間以上有効な単回経口投与用製剤など)など。
本発明に従う化合物は、多様な疾患/症状(例えば、DPIVによって仲介されるようなものなど)に対する治療の一環として使用することができる。例えば、阻害剤を使用することにより、GIPおよびGLP-1の半減期を延長するなどしてこれらのホルモンの活性を促進制御することができ、グルコースレベルおよび/もしくは代謝制御のための治療の一環として、例えば、インスリン耐性を低下させる、高血糖、高インスリン血症、肥満、高脂血症、高リポタンパク血症(カイロミクロン、VLDLおよびLDLなど)を治療することができ、また、体脂肪、およびより一般的には脂肪の貯蔵、さらにより一般的には、代謝性疾患、特に、糖尿病、肥満および/または粥状動脈硬化に関連する疾患の改善のために制御をすることができる。
特定の理論の裏付けがあるわけではないが、DPIVを阻害する化合物は、DPIV阻害を含むメカニズムを介する必要がないにもかかわらず、耐糖性を改善することができる。勿論、同様の化合物は、GLP-1レセプター欠損マウスにおいて有効であることが示されていることから、本方法は、GLP-1が別のレセプターを有するという可能性が否定されたわけではないが、GLP-1自身に直接関係がある作用機構を含まないことが示唆される。しかしながら、DPIV阻害と相関しているという観点から見ると、本発明の好ましい実施態様においては、DPIV阻害に関するKi値が50.0nM以下、より好ましくは10.0nM以下、さらに好ましくは1.0、0.1もしくは0.01nM以下であるような物質を使用する。勿論、Ki値がピコモルレベル、さらにフェトモルレベルの阻害剤も本発明の範ちゅうに含まれる。従って、本明細書においては、活性物質を便宜的に「DPIV阻害剤」と記載しているが、そのような名称は、本発明を特定の作用メカニズムに限定するためのものではないことは明らかである。
本発明に従うある化合物は、作用時間が延長されている。従って、ある好ましい実施態様においては、阻害剤を選択し、製剤化される該阻害剤は、1回投与後少なくとも4時間、より好ましくは、1回投与後少なくとも8時間、さらに、少なくとも12もしくは16時間は、血清中のPPCE(例えば、DPIVなど)のレベルが少なくとも50%抑制されているような投与剤型を提供する。
例えば、ある実施態様においては、本発明は、DPIV阻害剤の投与法に関し、好ましくは、24時間の期間中の予め定めた時間において、グルコース代謝疾患(例えば、耐糖能低下、インスリン耐性、高血糖症、高インスリン血症、ならびに、I型およびII型糖尿病など)に関連するひとつもしくはそれ以上の異常値を改善するのに有効な量のDPIV阻害剤を投与する。
別の実施態様においては、本発明は、本発明は、肥満に関連する異常値を改善するのに有効な量のDPIV阻害剤を投与することを含む。脂肪細胞はレプチンというホルモンを放出するが、該ホルモンは、血流によって脳に運ばれ、レプチンレセプターを通過し、GLP-1の産生を刺激する。次に、GLP-1は、満腹感を引き起こす。有力な理論では、大多数の肥満の人の脂肪細胞は、おそらく十分量のレプチンを産生しているが、レプチンが脳内のレプチンレセプターと正しく結合することができないためにGLP-1の産生が刺激されないと説明されている。従って、食欲抑制剤としてGLP-1調製物を使用することに関して非常に多くの研究が行われている。本発明は、肥満に関連する疾患の治療において、内因性および外部から添加されたGLP-1の半減期を延長する方法を提供する。
より一般的には、本発明は、DPIVまたはその他のタンパク質分解活性によって、ひとつもしくはそれ以上のペプチドホルモンの分解を阻害し、多様なポリペプチドホルモンの薬物動態を改変させるための方法および組成物を提供する。制御ペプチドの全体的な恒常性においては、分泌後代謝が重要な要素であり、それらの過程に関与するその他の酵素は、本発明に従う方法による薬理学的介入の格好の標的である。
例えば、本方法を用いることにより、次のようなプログルカゴン由来のペプチドの半減期を延長させることができる:グリセンチン(PG1-69に対応)、オキシントモジュリン(oxyntomodulin:PG33-69)、グリセンチン関連膵臓ポリペプチド(GRPP、PG1-30)、介在ペプチド−2(IP-2、PG111-122アミド)、およびグルカゴン様ペプチド−2(GLP-2、PG126-158)など。
例えば、GLP-2は、腸内上皮の増殖誘導に応答する因子として確認されている。例えば、ドルッカー(Drucker)ら、(1996)PNAS,93:7911などを参照。本発明に従う方法は、例えば、クローン病または炎症性腸疾患(IBD)の治療などのように、腸管粘膜上皮の増殖および修復の促進が所望される場合に、腸組織の損傷、炎症または切除に対する治療の一部として使用することができる。
DPIVは、成長ホルモン放出因子(GHRF)の代謝および不活化にも関連している。GHRFは、グルカゴン、セクレチン、血管作用性腸ポリペプチド(VIP)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、胃機能抑制ペプチド(GIP)およびヘロデルミン(クビアック(Kubiak)ら、(1994)Peptide Res.,7:153 )などを含むペプチドと同様な属のペプチドである。GHRFは、視床下部から分泌され、下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)の放出を刺激する。故に、本方法を用いることにより、ある種の成長ホルモン欠損児の臨床治療を向上させることができ、また、成人の臨床治療において、栄養状態を改善し、身体組成(筋肉対脂肪)を変化させることができる。本方法を獣医学分野に使用し、乳汁産生量の多い個体および脂肪の少ない個体をより多く作出することなどもできる。
同様に、本発明に従うDPIV阻害剤を用いることにより、セクレチン、VIP、PHI、PACAP、GIPおよび/もしくはヘロデルミンの血漿半減期を変えることができる。さらに、本方法を用いることにより、膵臓ポリペプチドファミリーに属するペプチドYYおよび神経ペプチドYの薬物動態を変更することができるが、これは、DPIVが、レセプターの選択性を改変する方法でこれらのペプチドのプロセシングに関与しているからである。
別の実施態様においては、本発明に従う阻害剤を用いて造血を刺激することができる。
さらに別の実施態様においては、本発明に従う阻害剤を用い、形質転換した細胞/組織の増殖または血管新生を阻害することができ、例えば、腫瘍の増殖および転移に関連しているような細胞増殖を阻害する、異常増殖性細胞塊での脈管形成を阻害することなどが挙げられる。
また別の実施態様においては、本発明に従う阻害剤を免疫抑制剤などとして用い、免疫学的応答を低下させることができる。
さらに別の実施態様においては、本発明に従うDPIV阻害剤を用いることにより、卒中、腫瘍、虚血、パーキンソン病、記憶喪失、難聴、失明、偏頭痛、脳損傷、脊髄損傷、アルツハイマー病、および筋萎縮性側索硬化症(CNS成分を有する)などのCNS疾患を治療することができる。さらに、DPIV阻害剤を用いることにより、多発性硬化症および糖尿病性ニューロパシーなどのようなより末梢性の疾患を治療することができる。
本発明を別の観点から見ると、本発明は、ポストプロリン分解酵素の阻害剤、特にDPIV阻害剤を含む医薬組成物、ならびに、ペプチドホルモンの恒常性を変化させることによって改善される疾患の治療および/もしくは予防における該組成物の使用法に関する。好ましい実施態様においは、阻害剤は、低血糖活性および抗糖尿病活性を有し、グルコース代謝異常(貯蔵を含む)を特徴とする疾患の治療に使用することができる。特定の実施態様においては、本発明に従う方法に使用する組成物は、インスリン分泌促進剤として、または、GLP-1などのような分子のインスリン分泌促進効果を高めるのに有用である。このような観点から、本発明に従う組成物は、高脂血症、高血糖症、肥満、耐糖能低下、インスリン耐性および糖尿病性合併症などを含む多様な疾患のひとつもしくはそれ以上に対する治療および/または予防に有用である。
一般的には、本方法において使用する阻害剤は低分子、例えば、分子量7500amu以下、好ましくは5000amu以下、さらに好ましくは2000以下、またさらには1000amu以下である。好ましい実施態様においては、阻害剤は経口で活性である。
II.定義
本明細書において使用している「高アフィニティー」とは、分子間の結合親和性が、解離定数(KD)で表した場合に1μM未満であるような強い状態であることを意味している。好ましい場合においては、KDは100nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、さらには10pM以下である。最も好ましい実施態様においては、2つの分子は共有結合している(KDは基本的に0)。
「boro-Ara」とは、アラニンのアナログをさし、カルボキシル基(COOH)がボロニル基(B(OH)2)に置換されたものである。同様に、「boro-Pro」とは、プロリンのアナログをさし、カルボキシル基(COOH)がボロニル基(B(OH)2)に置換されたものである。さらに一般的には、「boro-Xaa」(ここで、Xaaはアミノ酸残基である)とは、アミノ酸のアナログをさし、カルボキシル基(COOH)がボロニル基(B(OH)2)に置換されたものである。
本発明によって治療される「患者」または「対象」とは、ヒトまたはヒト以外の対象である。
「ED50」とは、患者の50%において、臨床的に明らかな改善または身体的測定値(例えば、グルコース応答性、ヘマトクリット値の上昇、腫瘍体積の減少など)の変化が得られるような薬物投与量を意味する。
「IC50」とは、生物学的活性を50%阻害するような薬物投与量を意味し、例えば、イン・ビボ(in vivo)でのDPIV(またはその他のPPCE)の活性を少なくとも50%阻害するのに必要な阻害剤の量などである。
ある化合物が、ホルモンであるインスリンの合成もしくは発現を刺激することができる、または刺激を起こさせることができる場合に、その化合物は「インスリン分泌促進活性」を有するという。
本明細書において使用している「相互作用」とは、分子間の全ての相互作用(例えば、生化学的、化学的または生物物理学的相互作用など)を含み、例えば、タンパク質−タンパク質間、タンパク質−核酸間、核酸−核酸間、タンパク質−低分子間、核酸−低分子間、または低分子−低分子間の相互作用などが挙げられる。
「LD50」とは、被験対象の50%が死亡するような薬物投与量を意味する。
「予防的または治療的」処置とは当該分野において認識済みであり、宿主にひとつもしくはそれ以上の組成物を投与することを含む。所望しない状態(例えば、宿主動物の疾病またはその他の所望しない状態など)が臨床的に明らかになる前に投与を行う場合は、そのような処置は予防的であり(すなわち、所望しない状態の発現に対して宿主を保護する)、所望しない状態が現れてから投与を行う場合には、そのような処置は治療的である(すなわち、存在している所望しない状態またはそれらの副作用を軽減する、緩和するまたは安定化させることを意図している)。
「防ぐ」とは、当該分野において認識済みであり、また十分に理解されており、局所再発(例えば、痛みなど)などの状態、癌などの疾病、心不全などの複合症候群、またはその他の任意の医学的状態に関して使用する場合には、組成物を投与することを含み、このとき、そのような組成物を投与されなかった対象と比較して、投与された対象は、医学的症状の発現頻度が低下する、または発症が遅延する。従って、癌の予防としては、例えば、統計的および/もしくは臨床的に、予防的処置を受けなかった対照集団と比較して、処置を受けた集団では、検出可能な癌様増殖の数を減少させること、および/または、未処置対照群と比較して、処置を受けた集団では検出可能な癌様増殖の出現を遅延させることなどが挙げられる。感染の予防としては、例えば、未処置対照集団に対して、処置集団では感染と診断される数を減少させること、ならびに/または、未処置対照集団に対して、処置集団では、感染による症状の発現を遅延させることなどが挙げられる。痛みの予防としては、例えば、未処置対照集団と比較して、処置集団では、対照が感じる痛みの強度を弱めること、また別の方法としては、痛みの発現を遅延させることなどが挙げられる。
「治療指数」とは、LD50/ED50と定義される薬物の治療指数をさす。
治療法に関し、本発明のDPIVなどのような化合物の「治療有効量」とは、治療されるべき疾患もしくは症状、または補綴目的に対して臨床的に許容される基準に従い、所望される投与様式の一部として哺乳類、好ましくはヒトに投与した場合に、症状を緩和し、状態を改善し、あるいは、疾病状態の発症を遅延させるような調製物中の化合物量をさす。
「単回経口投与製剤」とは、血清濃度が、少なくともその薬物のEC50以上、LD50以下になるような薬物量を提供する製剤量である。単回経口投与製剤に対する別の測定法においては、血清濃度が、少なくともその薬物のIC50以上、LD50以下になるのに必要な薬物量が規定される。いずれの測定法においても、好ましくは、単回経口投与製剤は、血清濃度がLD50より少なくとも10%低く、より好ましくは、少なくとも50%、75%、さらに90%低くなるような薬物量を含有する。
脂肪鎖は、以下のように定義されるアルキル、アルケニルおよびアルキニルに分類される。直鎖脂肪鎖は、非分岐炭素鎖部位のみである。本明細書において使用しているように、「脂肪族」とは、直鎖、分岐鎖または環状脂肪族炭化水素基をさし、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などのような飽和ならびに不飽和脂肪族を含む。
アルキルとは、指定された数の炭素原子を有する、または、特に指定がない場合には30個までの炭素原子を有し、十分に飽和した分岐炭素鎖または非分岐炭素鎖部位をさす。例えば、炭素原子数が1〜8のアルキルとは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチル部位、ならびに、これらの部位の位置異性体であるような部位をさす。炭素原子数が10〜30個のアルキルとしては、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘネイコシル、ドコシル、トリコシルおよびテトラコシルなどが挙げられる。好ましい実施態様においては、直鎖または分岐鎖アルキルの骨格中の炭素原子数は30もしくはそれ以下であり(例えば、直鎖の場合にはC1〜C30、分岐鎖の場合にはC3〜C30など)、より好ましくは20もしくはそれ以下である。同様に、好ましいシクロアルキルの環構造内の炭素原子数は3〜10であり、より好ましくは、5、6もしくは7である。
さらに、請求項、本明細書および実施例において使用している「アルキル(または「低級アルキル」)」とは、「未置換アルキル類」および「置換アルキル類」の両方をさし、後者は、炭化水素骨格の1個もしくはそれ以上の炭素上の水素原子が置換基で置換されているアルキル部位をさす。そのような置換基としては、例えば、ハロゲン、水酸基、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセタートまたはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、アミノ、アミド、アミジン、シアノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、複素環、アラルキルまたは芳香環もしくは複素芳香環部位などが挙げられる。当業者であれば、炭化水素鎖上の置換された部位は、適切であれば、それら自身も置換され得ることは自明である。例えば、置換アルキル基の置換基としては、置換および未置換型のアミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホナートおよびホスフィナートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホナートを含む)、およびシリル基など、さらに、エステル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、およびエステルを含む)、−CF3、−CNなどが挙げられる。
炭素数を特定していない限りは、本明細書において使用している「低級アルキル」とは、上に定義したアルキル基を意味するが、骨格構造内の炭素原子数は1〜10であり、より好ましくは1〜6であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどである。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」も炭素鎖の長さは同等である。本明細書において好ましいアルキル基は低級アルキルである。好ましい実施態様においては、本明細書においてアルキルと示されている置換基は低級アルキルである。
「アルキルチオ」とは、上に定義したアルキル基に硫黄部位が結合したものをさす。好ましい実施態様においては、「アルキルチオ」部位は、−(S)−アルキル、−(S)−アルケニル、−(S)−アルキニル、および−(S)−(CH2)m−R1のうちのひとつで表され、ここで、mおよびR1は以下に定義したとおりである。代表的なアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
アルケニルとは、指定された数の炭素原子を有する、または、特に指定がない場合には26個までの炭素原子を有する任意の分岐または非分岐の不飽和炭素鎖部位をさし、部位内にひとつもしくはそれ以上の二重結合を有する。炭素原子数が6〜26であるアルケニルの例としては、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘネイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、およびテトラコセニル、ならびにそれらの多様な異性体型などが挙げられ、このとき、不飽和結合は部位中の任意の位置に存在することができ、二重結合に対して(Z)または(E)配位をとることができる。
アルキニルとは、アルケニルの範ちゅうに含まれるヒドロカルビル部位をさすが、部位中にひとつもしくはそれ以上の三重結合を有する。
本明細書において使用している「アルコキシル」または「アルコキシ」とは、以下に定義しているアルキル基に酸素部位が結合したものをさす。代表的なアルコキシル基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は、酸素によって共有結合している2つの炭化水素をさす。従って、アルキルをエーテルにするようなアルキルの置換基は、アルコキシルまたはアルコキシルに類似したものであり、そのようなものは、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH2)m−R1のうちのひとつで表され、ここで、mおよびR1は以下に定義したとおりである。
「アミン」および「アミノ」は当該分野において既知であり、未置換および置換アミンの両方をさし、例えば、次のような一般式で表される部位などである:
Figure 2007523216
ここで、R3、R5およびR6は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R1 を表し、あるいは、R3およびR5は、それらが結合しているN原子と共に4〜8員の複素環を形成し;R1は、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環、または多環を表し;さらに、mは0または1〜8までの整数である。好ましい実施態様においては、R3またはR5のうちのひとつのみがカルボニルであり、例えば、R3、R5およびNが共にイミドを形成することはない。さらに好ましい実施態様においては、R3およびR5(さらに場合によってはR6)は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH2)m−R1 を表す。従って、本明細書において使用している「アルキルアミン」とは、上に定義しているアミン基に置換もしくは未置換アルキルが結合したものを意味し、すなわち、R3およびR5 のうちの少なくともひとつがアルキル基である。ある実施態様においては、アミノ基またはアルキルアミンは塩基性であり、このことは、pKa≧7.00のコンジュゲート酸を有することを意味し、すなわち、これらの官能基のプロトン化型は水(pKaは約7.00)よりも高いpKa値を有する。
「カルボニル」は当該分野において既知であり、次のような一般式で表される部位を有し;
Figure 2007523216
ここで、Xは、結合、または酸素もしくは硫黄を表し;R7は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R1 または薬剤学的に許容される塩を表し;R8は、水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH2)m−R1 を表し、ここで、mおよびR1は上に定義したとおりである。Xが酸素であり、R7およびR8が水素でない場合には、上の式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R7が上に定義したとおりである場合には、該部位はカルボキシル基と称され、特にR7が水素である場合には、上の式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素であり、R8が水素である場合には、上の式は「ホルメート」を表す。一般的には、上の式の酸素原子を硫黄に置き換えた場合には、該式は「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄であり、R7およびR8が水素でない場合には、上の式は「チオエステル」基を表す。Xが硫黄であり、R7が水素である場合には、上の式は「チオカルボン酸」基を表す。Xが硫黄であり、R8が水素である場合には、上の式は「チオホルメート」基を表す。一方、Xが結合であり、R7が水素でない場合には、上の式は「ケトン」基を表す。Xが結合であり、R7が水素である場合には、上の式は「アルデヒド」基を表す。
「複素環」または「複素環式」基とは、3〜10員の環構造、より好ましくは、3〜7員の環構造をさし、該環構造内に1〜4個のヘテロ原子を有する。複素環は多環の場合もある。複素環式基としては、例えば、チオフェン、チアンスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン類、ラクタム類(アゼチジノン類およびピロリジノン類など)、スルタム類、スルトン類などが挙げられる。複素環は、上述したような置換基を用い、ひとつもしくはそれ以上の位置で置換することができ、そのような置換基の例としては、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、水酸基、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、スルファモイル、スルフィニル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、複素環、芳香環もしくは複素芳香環部位、−CF3、−CNなどが挙げられる。
本明細書において使用している「置換されている」とは、有機化合物に対して可能な全ての置換基を含む。広義では、可能な置換基としては、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香環式および非芳香環式の置換基などが挙げられる。置換基の例としては、例えば、上述したものなどがある。可能な置換基は、適切な有機化合物に対し、ひとつもしくはそれ以上、同一もしくは別異のものを用いることができる。本発明の目的を達成するためには、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、ならびに/または、本明細書に記載されている任意の有機化合物に許容される置換基であって、該へテロ原子の原子価を満たすものを有する。本発明は、如何なる意味においても、有機化合物に許容される置換基によって制限されるものではない。
「ヒドロカルビル」とは、炭素原子数が26までであり、それらに水素原子が結合している炭素鎖もしくは炭素環によって構成されている一価の炭化水素部位をさす。そのようなものとしては、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール基などが挙げられ、それらには、飽和結合および不飽和結合、炭素環が混在しており、そのような基の組み合わせを含む。ヒドロカルビルとは、直鎖、分岐鎖、環構造またはそれらの組み合わせをさす。

「ヒドロカルビレン」とは、二価のヒドロカルビル部位をさす。代表的な例としては、アルケン、フェニレンまたはシクロへキシレンなどが挙げられる。好ましくは、ヒドロカルビレン鎖は、全て飽和しており、および/または、炭素原子数が1〜10の炭素鎖を有する。
本明細書において使用している「ニトロ」とは−NO2を意味し;「ハロゲン」とは、−F、−Cl、−Brまたは−Iを表し;「スルフヒドリル」とは−SHを意味し;「水酸基」とは−OHを意味し;さらに、「スルホニル」とは−SO2−を意味する。
「置換」または「〜で置換する」には、置換は、置換される原子と置換基との間で許容される原子価に従って行われ、置換によって安定な化合物が得られるという暗黙の条件が含まれており、例えば、再配列、環化、脱離などによって偶然に進行した変換は含まない。
「スルファモイル」という語は当該分野において既知であり、次のような一般式で表され:
Figure 2007523216
ここで、R3およびR5は上述の通りである。
「スルフェート」という語は当該分野において既知であり、次のような一般式で表される部位を含んでおり:
Figure 2007523216
ここで、R7は上述の通りである。
「スルホンアミド」という語は当該分野において既知であり、次のような一般式で表される部位を含んでおり:
Figure 2007523216
ここで、R3およびR8は上述の通りである。
「スルホナート」という語は当該分野において既知であり、次のような一般式で表され:
Figure 2007523216
ここで、R7は、電子対、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである。
本明細書において使用している「スルホキシド」または「スルフィニル」という語は、次のような一般式で表され:
Figure 2007523216
ここで、R12は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環、アラルキルまたはアリールを含む群から選択される。
類似の置換をアルケニルおよびアルキニル基に対して行い、例えば、アミノアルケニル類、アミノアルキニル類、アミドアルケニル類、アミドアルキニル類、イミノアルケニル類アミノアルキニル類、チオアルケニル類、チオアルキニル類、カルボニル置換アルケニル類もしくはアルキニル類を得ることができる。
本明細書において使用しているように、各表現(例えば、アルキル、m、nなど)の定義は、ある構造内においてひとつ以上使用されている場合には同一構造内の他の定義とは独立していることを意味している。
「低分子」置換基とは、原子数が10以下のものである。
「アミノ酸残基」および「ペプチド残基」とは、カルボキシル基の−OHがないアミノ酸またはペプチド分子を意味する。本明細書において、アミノ酸および保護基を表すために使用している略語は、一般的には、生化学命名法に関するIUPAC-IUB委員会(IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature)の推奨に従っている(Biochemistry,(1972) 11:1726-1732を参照)。例えば、Met、Ile、Leu、AlaおよびGlyは、それぞれ、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、アラニンおよびグリシンの「残基」を表す。残基とは、カルボキシル基のOH部分およびα−アミノ基のH部分を離脱させることにより、対応するα−アミノ酸から生成した部位を意味する。「アミノ酸側鎖」という語は、K.D.コップル(Kopple)によって定義されているように(「ペプチドおよびアミノ酸(Peptides and Amino Acids)」、W.A.ベンジャミン(Benjamin)社、ニューヨークおよびアムステルダム、1996年、2ページおよび33ページ)、−CH(NH2)COOH部分を除いたアミノ酸部分であり、一般的なアミノ酸のそのような側鎖の例としては、−CH2CH2SCH3(メチオニンの側鎖)、−CH2(CH3)−CH2CH3(イソロイシンの側鎖)、−CH2CH(CH3)2(ロイシンの側鎖)またはH−(グリシンの側鎖)などが挙げられる。
多くの場合、本発明において使用されているアミノ酸は、タンパク質中に見出される天然のアミノ酸、または、アミノ基およびカルボキシル基を含むそのようなアミノ酸について天然に存在する同化もしくは異化生成物である。特に適したアミノ酸側鎖としては、次のアミノ酸から選択されるアミノ酸側鎖などが挙げられる:グリシン、アラニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リジン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン、ならびにペプチドグリカン細菌細胞壁の構成成分として確認されているアミノ酸およびアミノ酸アナログ類など。
さらに、アミノ酸残基としては、本明細書において使用されている任意の特定のアミノ酸のアナログ類、誘導体類および副生成物、ならびに、C末端もしくはN末端保護アミノ酸誘導体類(例えば、N末端またはC末端保護基によって変形されているものなど)などが挙げられる。例えば、本発明は、アミノ酸アナログ類の使用を包含し、このとき、側鎖は、環化のためのカルボキシル基、アミノ基もしくはその他の反応性前駆官能基を保持した状態で伸長または短縮されており、また、アミノ酸アナログ類は、適切な官能基を有する多様な側鎖を有する。例えば、本発明に従う化合物は、シアノアラニン、カナバニン、ジェンコリックアシッド(djenkolic acid)、ノルロイシン、3−ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシフェニルアラニン、5−ヒドロキシトリプトファン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチンまたはジアミノブチル酸などのようなアミノ酸アナログを含む場合がある。天然に存在するその他のアミノ酸代謝物または前駆体であって、本発明に適した側鎖を有するものは、当業者において既知であり、本発明の範ちゅうに含まれる。
アミノ酸の構造が、立体異性型を取り得る場合には、そのようなアミノ酸の(D)および(L)立体異性体も本発明に含まれる。本明細書においては、アミノ酸およびアミノ酸残基の立体配置は、(D)、(L)または(DL)という適切な記号で表しており、さらに、立体配置を特に指定していない場合には、アミノ酸もしくはアミノ酸残基は、(D)、(L)または(DL)立体配置を取り得る。本発明に従ういくつかの化合物の構造は、不斉炭素原子を含んでいることに気付くであろう。従って、そのような不斉性によって生じる異性体も本発明の範ちゅうに包含される。そのような異性体は、古典的な分離技術、および立体制御合成により、実質的に純粋な状態で得ることができる。本発明の目的を達成するためには、特に明記していない限りは、アミノ酸としては、(D)体も(L)体も含むものとする。
本明細書において使用している「保護基」とは、所望しない化学反応から反応性官能基を保護する置換基を意味する。そのような保護基の例としては、カルボン酸およびボロン酸のエステル、アルコールのエステル、ならびに、アルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールなどが挙げられる。例えば、本明細書において使用している「N末端保護基」または「アミノ保護基」とは、合成過程中に生じる所望しない反応に対して、アミノ酸もしくはペプチドのN末端を保護するために使用する多様なアミノ酸保護基をさす。適切な保護基の例としては、例えば、ホルミル、ダンシル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、サクシニルおよびメトキシサクシニルなどのアシル保護基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)などの芳香族ウレタン保護基;t−ブトキシカルボニル(Boc)もしくは9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などの脂肪族ウレタン保護基などが挙げられる。
上述したように、本発明に従うある種の化合物は、特定の幾何異性体型または立体異性体型を取る場合がある。本発明は、シスおよびトランス異性体、RおよびS鏡像異性体、ジアステレオ異性体、(D)異性体、(L)異性体およびそれらのラセミ混合物、ならびに本発明の範ちゅうに含まれるその他の異性体混合物を含む全ての化合物を包含する。アルキル基などの置換基内にさらに不斉炭素原子が存在する場合がある。そのような異性体の全て、ならびにそれらの混合物も本発明の範ちゅうに含まれる。ある実施態様においては、特定の鏡像異性体が好ましい場合には、本発明に従う化合物は、2つの鏡像異性体がそれぞれ50%の割合で存在するラセミ体とは対照的に、好ましい鏡像異性体の割合が>60%、>70%、>80%、>90%、またはさらに、>98%もしくは99%である。
例えば、本発明に従う化合物の特定の鏡像異性体を所望する場合には、不斉合成またはキラル補助基を用いた誘導によって調製することができ、得られたジアステレオ混合物を分離し、補助基を解裂させることにより、所望する純粋な鏡像異性体を得る。別の方法としては、分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を有する場合には、光学活性な適切な酸または塩基を用いてジアステレオ塩を形成し、次に、ジアステレオ塩の分割を行い、当該分野において既知の分別晶出もしくはクロマトグラフィー法を行った後に純粋な鏡像異性体を回収する。
本発明の目的を達成するためには、元素周期律表(CAS版、化学および物理学のハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)第67版、1986-87、表紙内側)に従って化学元素を確認する。また、本発明の目的を達成するためには、「炭化水素」という語は、少なくとも1個の水素と1個の炭素原子を有する、許容される全ての化合物を含む。広義には、許容される炭化水素とは、置換または未置換の非環式および環式、分岐および未分岐、炭素環式および複素環式、芳香環式および非芳香環式の有機化合物を含む。
ある化合物が、ホルモンであるインスリンの合成もしくは発現を刺激することができる、または刺激を起こさせることができる場合には、該化合物は 「インスリン分泌促進活性」を有するという。
本明細書に引用している全ての一般式は、適切な置換基の組み合わせに関して、原子価および安定性が許容される全ての実施態様を網羅していることは明らかである。
(1)化合物
有用化合物は、以下の多様な構造式を用いて表される。それぞれの場合において、構造式中の可変体は、各構造式に対して特別に定義している。ひとつの構造式に対して定義されていない可変体については、同様の構造式の別の位置に対する定義から類推して判断することができるが、ある構造式に対する可変体の定義を用いて、別の構造式に対して行った定義を変化させてはならない。
本発明のある実施態様においては、化合物は、以下の構造式Iで表される構造を有するか、または薬剤学的に許容されるそれらの塩であり;
Figure 2007523216
ここで、R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R2は、H、低級アルキルまたはアラルキルを表し;
R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンまたはアルキルを表し、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
R5は、H、ハロゲン、低級アルキルまたはアラルキルを表し;
R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基を表し;
R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
Lは、空位、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−および−(CH2)mS(CH2)m−を表し;
Xは、空位、または−N(R7)−、−O−もしくは−S−を表し;
Yは、空位、または−C(=O)−、−C(=S)−、もしくは−SO2−を表し;
mは、それぞれ別異に、0〜10までの整数であり;さらに、
nは、1〜6までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に5員環を形成し;さらに、nは2である。
別の好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3はHを表し、R4は、Hまたは低級アルキルを表し;R5はHを表し;さらに、nは2である。
ある好ましい実施態様においては、R1は、アミノ酸残基数が2〜8であるポリペプチド鎖であり、ここで、直接結合している残基はプロリンである。最も好ましくは、R1は、アミノ酸残基数が2のポリペプチド鎖である。
上記のような実施態様のあるものにおいては、R6は、シアノ、ボロン酸、−SO2Z1、−P(=O)Z1、−P(=R8)R9R10、−C(=NH)NH2、−CH=NR11、または−C(=O)−R11を表し、ここで、
R8は、OまたはSを表し;
R9は、N3、SH2、NH2、NO2またはOLR12を表し;さらに、
R10は、低級アルキル、アミノ、OLR12、または薬剤学的に許容されるそれらの塩を表し;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合しているリンと共に5〜8員の複素環を形成し;
R11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)p−R12、−(CH2)q−OH、−(CH2)q−O−アルキル、−(CH2)q−O−アルケニル、−(CH2)q−O−アルキニル、−(CH2)q−O−(CH2)p−R12、−(CH2)q−SH、−(CH2)q−S−アルキル、−(CH2)q−S−アルケニル、−(CH2)q−S−アルキニル、−(CH2)q−S−(CH2)p−R12、−C(O)C(O)NH2、−C(O)C(O)OR13または−C(Z1)(Z2)(Z3)を表し;
R12は、H、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環を表し;
R13は、H、アルキル、アルケニルおよびLR12を表し;
Z1はハロゲンを表し;
Z2およびZ3は、それぞれ別異にHまたはハロゲンを表し;
pは、それぞれ別異に、0〜8までの整数であり;さらに、
qは、それぞれ別異に、1〜8までの整数である。
別の実施態様においては、R6は、CN、CHOまたはC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はハロゲンを表し、Z2およびZ3は、Hまたはハロゲンを表す。そのような実施態様のうちのあるものにおいては、R6はC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はフッ素を表し、Z2およびZ3は、Hまたはフッ素を表す。
特定の好ましい実施態様においては、R6は、−B(Y1)(Y2)という式で表される置換基群を表し、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OHまたは加水分解されてOHを生じる基(すなわち、ボロン酸を形成する)であり、あるいは、それらが結合しているホウ素原子と共に、加水分解されてボロン酸を生じるような5〜8員環を形成する。
ある好ましい実施態様においては、R3およびR4は、それらが結合している原子と共に5員環を形成し、そのような環構造は、水酸基、低級アルキル(メチルなど)、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択されるひとつもしくはそれ以上の基で置換されている。
より好ましい実施態様においては、置換基は、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、置換基は環上の5位の位置に存在している。
別の好ましい実施態様においては、置換基は水酸基であり、好ましくは環上の4位の位置に存在している。
ある実施態様においては、R3およびR4を含む5員環上の置換基は、低級アルキル(メチルなど)、水酸基、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、置換基は、R6に対してシスの立体化学的関係を有する。そのような立体化学的関係は、上述したような5員環の4位または5位に置換基を有する化合物にとって特に有利である。
構造の例としては次のようなものが挙げられる:
Figure 2007523216
本発明のある実施態様においては、化合物は、以下の構造式IIで表される構造を有するか、または薬剤学的に許容されるそれらの塩であり;
Figure 2007523216
ここで、R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R2は、H、低級アルキルまたはアラルキルを表し;
R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンまたはアルキルを表し、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
R5は、H、ハロゲン、低級アルキルまたはアラルキルを表し、好ましくは、Hまたは低級アルキルを表し;
R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基を表し;
R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R14は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニルまたはアラルキルを表し、好ましくはHであり;
Aは、空位、または−NHC(=NH)−を表し、あるいは、R14およびAは、それらが結合している窒素と共に複素環を形成し;
Lは、空位、または、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−および−(CH2)mS(CH2)m−を表し;
Xは、空位、または−N(R7)−、−O−もしくは−S−を表し;
Yは、空位、または−C(=O)−、−C(=S)−、もしくは−SO2−を表し;
mは、それぞれ別異に、0〜10までの整数であり;
nは、1〜6までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に5員環を形成し;さらに、nは1〜4までの整数である。
別の好ましい実施態様においては、R14は、Hであり;Aは空位であり;さらに、nは4である。別のある実施態様においては、R14はHであり;Aは、−NHC(=NH)−であり;さらに、nは3である。
ある好ましい実施態様においては、AおよびR14は、それらが結合している窒素原子と共にイミダゾール環を形成し;さらに、nは1である。
ある実施態様においては、R6は、ボロン酸、CN、−SO2Z1、−P(=O)Z1、−P(=R8)R9R10、−C(=NH)NH2、−CH=NR11、または−C(=O)−R11を表し、ここで、
R8は、OまたはSであり;
R9は、N3、SH2、NH2、NO2またはOLR12を表し;さらに、
R10は、低級アルキル、アミノ、OLR12、または薬剤学的に許容されるそれらの塩を表し;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合しているリンを共有して5〜8員の複素環を形成し;
R11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、NH2、−(CH2)p−R12、−(CH2)q−OH、−(CH2)q−O−アルキル、−(CH2)q−O−アルケニル、−(CH2)q−O−アルキニル、−(CH2)q−O−(CH2)p−R12、−(CH2)q−SH、−(CH2)q−S−アルキル、−(CH2)q−S−アルケニル、−(CH2)q−S−アルキニル、−(CH2)q−S−(CH2)p−R12、−C(O)NH2、−C(O)OR13または−C(Z1)(Z2)(Z3)を表し;
R12は、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を表し;
R13は、H、アルキル、アルケニルまたはLR12を表し;
Z1はハロゲンを表し;
Z2およびZ3は、それぞれ別異にHまたはハロゲンを表し;
pは、それぞれ別異に、0〜8までの整数であり;さらに、
qは、それぞれ別異に、1〜8までの整数である。
特定の好ましい実施態様においては、R6は、CN、CHOまたはC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はハロゲンを表し、Z2およびZ3は、Hまたはハロゲンを表す。別の実施態様においては、R6はC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はフッ素を表し、Z2およびZ3は、Hまたはフッ素を表す。
ある好ましい実施態様においては、R6は、−B(Y1)(Y2)という式で表される置換基群を表し、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基であり、あるいは、それらが結合しているホウ素原子と共に、加水分解されてボロン酸を生じるような5〜8員環を形成する。
ある好ましい実施態様においては、R3およびR4は、それらが結合している原子と共に5員環を形成し、そのような環構造は、水酸基、低級アルキル(メチルなど)、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択されるひとつもしくはそれ以上の基で置換されている。
より好ましい実施態様においては、置換基は、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。より好ましい実施態様においては、置換基は環上の5位の位置に存在している。
別の好ましい実施態様においては、置換基は水酸基であり、好ましくは環上の4位の位置に存在している。
ある実施態様においては、R3およびR4を含む5員環上の置換基は、低級アルキル(メチルなど)、水酸基、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、置換基は、R6に対してシスの立体化学的関係を有する。そのような立体化学的関係は、上述したような5員環の4位または5位に置換基を有する化合物にとって特に有利である。
構造の例としては次のようなものが挙げられる:
Figure 2007523216
本発明のある実施態様においては、化合物は、以下の構造式IIIを有するか、または薬剤学的に許容されるそれらの塩であり;
Figure 2007523216
ここで、R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R2は、H、低級アルキルまたはアラルキルを表し;
R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンまたはアルキルを表し、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
R5は、H、ハロゲン、低級アルキルまたはアラルキルを表し、好ましくはHまたは低級アルキルを表し;
R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基を表し;
R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、または、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖を表し;
R15は、生理的pHにおいて正または負の電荷を帯びている官能基であって、好ましくは、アミンまたはカルボン酸であり;
Lは、空位、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−および−(CH2)mS(CH2)m−を表し;
Xは、空位、または−N(R7)−、−O−もしくは−S−を表し;
Yは、空位、または−C(=O)−、−C(=S)−、もしくは−SO2−を表し;
mは、それぞれ別異に、0〜10までの整数であり;さらに、
nは、1〜6までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R1は、Hまたは低級アルキルを表し;R3はHであり、かつR4は低級アルキルであり、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に5員環を形成し;さらに、nは1〜4までの整数である。
別の好ましい実施態様においては、nは1〜4までの整数であり;R15は、生理的pHにおいて正または負の電荷を帯びている官能基である。より好ましい実施態様においては、nは1〜4までの整数であり;R15は、アミン、カルボン酸、イミダゾールまたはグアニジン官能基から選択される。
ある実施態様においては、R6は、ボロン酸、CN、−SO2Z1、−P(=O)Z1、−P(=R8)R9R10、−C(=NH)NH2、−CH=NR11、または−C(=O)−R11を表し、ここで、
R8は、OまたはSであり;
R9は、N3、SH2、NH2、NO2またはOLR12を表し;さらに、
R10は、低級アルキル、アミノ、OLR12、または薬剤学的に許容されるそれらの塩を表し;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合しているリンと共に5〜8員の複素環を形成し;
R11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、NH2、−(CH2)p−R12、−(CH2)q−OH、−(CH2)q−O−アルキル、−(CH2)q−O−アルケニル、−(CH2)q−O−アルキニル、−(CH2)q−O−(CH2)p−R12、−(CH2)q−SH、−(CH2)q−S−アルキル、−(CH2)q−S−アルケニル、−(CH2)q−S−アルキニル、−(CH2)q−S−(CH2)p−R12、−C(O)NH2、−C(O)OR13または−C(Z1)(Z2)(Z3)を表し;
R12は、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を表し;
R13は、H、アルキル、アルケニルまたはLR12を表し;
Z1はハロゲンを表し;
Z2およびZ3は、それぞれ別異にHまたはハロゲンを表し;
pは、それぞれ別異に、0〜8までの整数であり;さらに、
qは、それぞれ別異に、1〜8までの整数である。
ある好ましい実施態様においては、R6は、CN、CHOまたはC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はハロゲンを表し、Z2およびZ3は、Hまたはハロゲンを表す。別の実施態様においては、R6はC(=O)C(Z1)(Z2)(Z3)を表し、ここで、Z1はフッ素を表し、Z2およびZ3は、Hまたはフッ素を表す。
ある好ましい実施態様においては、R6は、−B(Y1)(Y2)という式で表される置換基群を表し、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OHまたは加水分解されてOHを生じる基であり、あるいは、それらが結合しているホウ素原子と共に、加水分解されてボロン酸を生じるような5〜8員環を形成する。
ある好ましい実施態様においては、R3およびR4は、それらが結合している原子と共に5員環を形成し、そのような環構造は、水酸基、低級アルキル(メチルなど)、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択されるひとつもしくはそれ以上の基で置換されている。
より好ましい実施態様においては、置換基は、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。より好ましい実施態様においては、置換基は環上の5位の位置に存在している。
別の好ましい実施態様においては、置換基は水酸基であり、好ましくは環上の4位の位置に存在している。
ある実施態様においては、R3およびR4を含む5員環上の置換基は、低級アルキル(メチルなど)、水酸基、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、置換基は、R6に対してシスの立体化学的関係を有する。そのような立体化学的関係は、上述したような5員環の4位または5位に置換基を有する化合物にとって特に有利である。
別の側面から見ると、本発明は、以下の構造式IVで表される阻害剤または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
ここで、Aは、NおよびCα炭素を含む4〜8員の複素環から選択され;
Zは、CまたはNであり;
Wは、CN、−CH=NR5、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応する次のような官能基から選択され;
Figure 2007523216
R1は、C末端に結合しているアミノ酸残基もしくはアミノ酸アナログ、C末端に結合しているペプチドもしくはペプチドアナログ、次のようなアミノ酸保護基から選択され;
Figure 2007523216
R2は、A環のひとつもしくはそれ以上の置換基を表し、それらはそれぞれ別異に、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R7から選択され、このとき、少なくともひとつのR2は、−OH、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、および低級アルコキシアルキルから選択され、好ましくは、少なくともひとつは、低級アルキル(例えば、メチルなど)、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択され;
ZがNのとき、R3は水素であり;
ZがCのとき、R3は、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R7から選択され;
R5は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)(X3)、−(CH2)m−R7、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R7 、−C(O)C(O)NH2および−C(O)C(O)OR7'から選択され;
R6は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−アルキル、−(CH2)m−O−アルケニル、−(CH2)m−O−アルキニル、−(CH2)−O−(CH2)m−R7、−(CH2)−SH、−(CH2)−S−アルキル、−(CH2)−S−アルケニル、−(CH2)−アルキニル、もしくは−(CH2)m−S−(CH2)m−R7
Figure 2007523216
から選択され;
R7は、それぞれ別異に、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環から選択され;
R7'は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環から選択され;
R8およびR9は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R7、−C(=O)−アルキル、−C(=O)−アルケニル、−C(=O)−アルキニルおよび−C(=O)−(CH2)m−R7から選択され;あるいは、
R8およびR9は、それらが結合している窒素原子と共に4〜8員の複素環を形成し;
R50は、OまたはSであり;
R51は、N3、SH、NH2、NO2およびOR7'から選択され;
R52は、水素、低級アルキル、アミン、OR7'、または、薬剤学的に許容されるそれらの塩から選択され;
R51およびR52は、それらが結合しているP原子と共に5〜8員の複素環を形成し;
X1は、ハロゲンであり;
X2およびX3は、それぞれ、水素およびハロゲンから選択され;
Y1およびY2は、それぞれ別異に、OHまたは加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)であり、このとき、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して接続されており;
mは、0または1〜8までの整数であり;さらに、
nは、1〜8までの整数である。
ある実施態様においては、Wは、CNおよびB(Y1)(Y2)から選択される。ある好ましい実施態様においては、Aは5員環であり、ZはCであり、さらに、WはB(Y1)(Y2)である。さらに好ましい実施態様においては、Zは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有する。
ある実施態様においては、Aは5員環であり、ZはCであり、さらに、R2は、水酸基、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、R2は、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、環の5位に位置している。
ある実施態様においては、Aは5員環であり、ZはCであり、さらに、R2は、水酸基、低級アルキル(メチルなど)、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、Zは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有し、R2は、環の5位においては、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択され、4位においては水酸基である。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、Wに対してシスの立体化学的関係を有する。
別の側面から見ると、本発明は、以下の構造式Vで表される阻害剤または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
ここで、R1は、C末端に結合したアミノ酸残基もしくはアミノ酸アナログ、C末端に結合したペプチドもしくはペプチドアナログ、
Figure 2007523216
から選択され;
R2は、A環上のひとつもしくはそれ以上の置換基を表し、それらはそれぞれ別異に、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R7から選択され、このとき、少なくともひとつのR2は、−OH、低級アルキル(例えば、メチルなど)、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチルなど)、および低級アルコキシアルキルから選択され、好ましくは、少なくともひとつは、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択され;
R6は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−アルキル、−(CH2)m−O−アルケニル、−(CH2)m−O−アルキニル、−(CH2)m−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−アルキル、−(CH2)m−S−アルケニル、−(CH2)m−アルキニル、−(CH2)m−S−(CH2)m−R7
Figure 2007523216
から選択され;
R7は、アリール、、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環から選択され;
R8およびR9は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R7、−C(=O)−アルキル、−C(=O)−アルケニル、−C(=O)−アルキニルおよび−C(=O)−(CH2)m−R7から選択され;あるいは、
R8およびR9は、それらが結合している窒素原子と共に4〜8員の複素環を形成し;
Y1およびY2は、それぞれ別異に、OHまたは加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)から選択され、このとき、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して接続されており;
mは、0または1〜8までの整数であり;さらに、
nは、1〜8までの整数である。
ある実施態様においては、B(Y1)(Y2)が結合している炭素は、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有する。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、R2は、水酸基、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、環の5位においては、低級アルキル(メチルなど)、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択され、4位においては、水酸基である。そのような実施態様のうちの最も好ましいものにおいては、R2は、B(Y1)(Y2)に対してシスの立体化学的関係を有する。
構造の例としては次のようなものが挙げられる:
Figure 2007523216
別の側面から見ると、本発明は、以下の構造式VIで表される化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
ここで、Aは、NおよびCα炭素を含む3〜8員の複素環から選択され;
Wは、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基であり;
R1は、水素、C末端に結合しているアミノ酸もしくはペプチドまたはそれらのアナログ、ならびにアミノ酸保護基から選択され;
R2は、A環のひとつもしくはそれ以上の置換基を表し、それらはそれぞれ別異に、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R6、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R6から選択され、このとき、少なくともひとつのR2は、−OH、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、および低級アルコキシアルキルから選択され、好ましくは、少なくともひとつは、低級アルキル(例えば、メチルなど)、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択され;
R3aは、水素、および、置換基が結合している窒素の電子対とコンジュゲートしないような置換基から選択され;
R3bは、空位、または、置換基が結合している窒素の電子対とコンジュゲートしないような置換基(低級アルキルなど)であり;
R4aおよびR4bは、それぞれ別異に、水素、低級アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニルおよびシアノから選択され、R4aおよびR4bは、共に水素であるか、またはいずれも水素ではない。
R4cは、ハロゲン、アミン、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボニルおよびシアノから選択され;
R6は、それぞれ別異に、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環から選択され;
zは、0または1〜3までの整数であり;
mは、0または1〜8までの整数であり;;さらに、
nは、1〜8までの整数である。
ある実施態様においては、Wは、CNおよびB(Y1)(Y2)から選択され、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)であり、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して連結されている。ある好ましい実施態様においては、Aは5員環であり、さらに、WはB(Y1)(Y2)である。より好ましい実施態様においては、Cαは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有する。
ある実施態様においては、Aは5員環であり、R2は、水酸基、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、R2は、低級アルキル(メチルなど)、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、環の5位に位置している。
ある実施態様においては、Aは5員環であり、R2は、水酸基、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、Cαは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有し、R2は、環の5位においては、低級アルキル(メチルなど)、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチル)および低級アルコキシアルキルから選択され、4位においては水酸基である。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、Wに対してシスの立体化学的関係を有する。
本発明の別の側面においては、以下の構造式VIIで表される化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
R1、R2、R3a、R3b、R4a、R4b、R4cおよびWは、上述の構造式VIについて定義したとおりであり、pは1〜3までの整数である。ある好ましい実施態様においては、pは1であり、R3aおよびR3bは共に水素である。
ある実施態様においては、Wは、CNおよびB(Y1)(Y2)から選択され、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)であり、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して連結されている。ある好ましい実施態様においては、WはB(Y1)(Y2)である。より好ましい実施態様においては、Wが結合している炭素は、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有する。
ある実施態様においては、R2は、水酸基、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、R2は、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、pは1であり、さらに、R2は、環の5位に位置している。
ある実施態様においては、R2は、水酸基、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、pは1であり、Wが結合している炭素は、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有し、R2は、環の5位においては、低級アルキル(メチルなど)、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチル)および低級アルコキシアルキルから選択され、あるいは、4位においては水酸基である。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、Wに対してシスの立体化学的関係を有する。
さらに別の側面から見ると、本発明は次の構造式VIIIを有する化合物、または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
Aは、NおよびCα炭素を含む3〜8員の複素環であり;
Bは、C3-8の環構造、またはC7-14の融合二環構造もしくは三環構造であり;
Wは、 標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を生成するような官能基から選択され、それらは例えば、CN、−CH=NR5
Figure 2007523216
であり;
R1は、水素、C末端に結合しているアミノ酸もしくはペプチド、またはそれらのアナログ、ならびにアミノ酸保護基から選択され;
R2は、A環のひとつもしくはそれ以上の置換基を表し、それらはそれぞれ別異に、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル(カルボキシル、エステル、ホルメートまたはケトンなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセタートまたはチオホルメートなど)、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R6、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R6から選択され、このとき、少なくともひとつのR2は、−OH、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、および低級アルコキシアルキルから選択され、好ましくは、少なくともひとつは、低級アルキル(例えば、メチルなど)、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択され;
R3bは、空位、または、置換基が結合している窒素の電子対とコンジュゲートしないような置換基(低級アルキルなど)であり;
R5は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)(X3)、−(CH2)m−R6、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6 、−C(O)C(O)NH2および−C(O)C(O)OR7から選択され;
R6は、それぞれ別異に、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環から選択され;
R7は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環から選択され;
Y1およびY2は、それぞれ別異に、OHまたは加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)から選択され、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して連結されている(ピナコールなど)。
R50は、OまたはSであり;
R51は、N3、SH2、NH2、NO2および−OR7から選択され;
R52は、水素、低級アルキル、アミン、−OR7、または、薬剤学的に許容されるそれらの塩から選択され;あるいは、R51およびR52は、それらが結合しているP原子と共に5〜8員の複素環を形成し;
X1は、ハロゲンであり;
X2およびX3は、それぞれ、水素およびハロゲンから選択され;
mは、0または1〜8までの整数であり;さらに、
nは、1〜8までの整数である。
ある実施態様においては、Wは、CNおよびB(Y1)(Y2)から選択され、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)であり、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して連結されている。ある好ましい実施態様においては、Aは5員環であり、WはB(Y1)(Y2)である。さらに好ましい実施態様においては、Cαは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有する。
ある実施態様においては、Aは5員環であり、R2は、水酸基、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、R2は、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、環の5位に位置している。
ある実施態様においては、Aは5員環であり、R2は、水酸基、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、Cαは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有し、R2は、環の5位においては、低級アルキル(メチルなど)、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択され、あるいは、4位においては水酸基である。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、Wに対してシスの立体化学的関係を有する。
別の側面から見ると、本発明は、以下の構造式IXを有する化合物および薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216

B、R1、R2、R3bおよびWは、上述の構造式VIIIについて定義したとおりであり、pは1〜3までの整数である。ある好ましい実施態様においては、pは1であり、R3bは水素である。
ある実施態様においては、Wは、CNおよびB(Y1)(Y2)から選択され、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)であり、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して連結されている。ある好ましい実施態様においては、WはB(Y1)(Y2)である。より好ましい実施態様においては、炭素が結合しているWは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有する。
ある実施態様においては、R2は、水酸基、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、R2は、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、環の5位に位置している。
ある実施態様においては、R2は、水酸基、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、pは1であり、炭素が結合しているWは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有し、R2は、環の4位においては水酸基であり、5位においては、低級アルキル(メチルなど)、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチル)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、Wに対してシスの立体化学的関係を有する。
また別の側面から見ると、本発明は以下の構造式Xで表される化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
Aは、NおよびCα炭素を含む4〜8員の複素環であり;
Wは、 標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を生成するような官能基から選択され、それらは例えば、CN、−CH=NR5
Figure 2007523216
であり;
R1は、C末端に結合しているペプチドまたはペプチドアナログであって、活性化酵素の基質であり;
R2は、A環のひとつもしくはそれ以上の置換基を表し、それらはそれぞれ別異に、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R6、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R6から選択され、このとき、少なくともひとつのR2は、−OH、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、および低級アルコキシアルキルから選択され、好ましくは、少なくともひとつは、低級アルキル(例えば、メチルなど)、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択され;
R3は、それぞれ別異に、水素、および、置換基が結合している窒素の電子対とコンジュゲートしないような置換基(低級アルキルなど)から選択され;
R4は、水素および疎水性低分子基(ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、または低級アルキニルなど)から選択され;
R5は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)X3、−(CH2)m−R6、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R6 、−C(O)C(O)NH2および−C(O)C(O)OR7から選択され;
R6は、それぞれ別異に、置換または未置換のアリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくは複素環を表し;
R7は、それぞれ別異に、水素、あるいは、置換または未置換のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくは複素環を表し;
Y1およびY2は、それぞれ別異に、あるいは共に、OH、または加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)であり、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して連結されている(ピナコールなど)。
R50は、OまたはSであり;
R51は、N3、SH2、NH2、NO2および−OR7'から選択され;
R52は、水素、低級アルキル、アミン、−OR7、または、薬剤学的に許容されるそれらの塩から選択され;
あるいは、R51およびR52は、それらが結合しているリン原子と共に5〜8員の複素環を形成し;
X1は、ハロゲンであり;
X2およびX3は、それぞれ別異に、水素およびハロゲンから選択され;
mは、0または1〜8までの整数であり;さらに、
nは、1〜8までの整数である。
ある実施態様においては、Wは、CNおよびB(Y1)(Y2)から選択される。ある好ましい実施態様においては、Aは5員環であり、WはB(Y1)(Y2)である。さらに好ましい実施態様においては、Cαは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有する。
ある実施態様においては、Aは5員環であり、ZはCであり、R2は、水酸基、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、R2は、低級ヒドロキシアルキル(ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、環の5位に位置している。
ある実施態様においては、Aは5員環であり、R2は、水酸基、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、Cαは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有し、R2は、環の4位においては水酸基であり、5位においては、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、Wに対してシスの立体化学的関係を有する。
本発明のひとつの側面においては、以下の構造式XIで表される化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩に関し;
Figure 2007523216
Lは、空位または−XC(O)−であり;
R1は、H、低級アルキル、低級アシル、低級アラルキル、低級アラシル、低級ヘテロアラシル、炭素環、アリールおよびArSO2−から選択され;
R2は、A環のひとつもしくはそれ以上の置換基を表し、それらはそれぞれ別異に、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R6、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R6、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R6から選択され、このとき、少なくともひとつのR2は、−OH、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、および低級アルコキシアルキルから選択され、好ましくは、少なくともひとつは、低級アルキル(例えば、メチルなど)、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチルなど)および低級アルコキシアルキルから選択され;
R3は、それぞれ別異に、水素、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキル、低級チオアルキルおよび低級アラルキルから選択され;
R4は、水素および低級アルキルから選択され、あるいは、R1およびR4でフタロイルを形成し、それによって環が形成され;
R6は、それぞれ別異に、置換または未置換のアリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくは複素環を表し;
Wは、B(Y1)(Y2)およびCNから選択され;
Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)から選択され、あるいは、Y1およびY2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、加水分解されてOHを生じる5〜8員の環構造を形成し;
Xは、OおよびNHから選択され;
ある実施態様においては、WはB(Y1)(Y2)である。ある好ましい実施態様においては、R2は、水酸基、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、R2は、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、環の5位に位置している。
ある実施態様においては、R2は、水酸基、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちの好ましいものにおいては、Cαは、L−プロリンの絶対立体化学的配置を有し、R2は、環の4位においては水酸基であり、5位においては、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択される。そのような実施態様のうちのより好ましいものにおいては、R2は、Wに対してシスの立体化学的関係を有する。
ある好ましい実施態様においては、本発明に従う阻害剤は、DPIV阻害剤であり、DPIV阻害に関するKi値が10nM以下、より好ましくは1.0nM以下、さらに好ましくは0.1あるいは0.01nM以下である。勿論、Ki値がピコモル、さらにはフェトモル範囲のものも本発明の範ちゅうに含まれる。
一般的には、本方法において使用する阻害剤は低分子、例えば、分子量7500amu以下、好ましくは5000amu以下、さらに好ましくは2000以下、またさらには1000amu以下である。好ましい実施態様においては、阻害剤は経口で活性である。
別の側面から見ると、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤の医薬組成物に関し、特に、ペプチドホルモンの恒常性を変化させることによって改善できるような疾患を治療および/または予防するための特定の阻害剤、ならびにそれらの使用法に関する。好ましい実施態様においては、阻害剤は、低血糖性および抗糖尿病性活性を有し、グルコース代謝異常(貯蔵を含む)によって特徴付けられる疾患の治療に用いることができる。特定の実施態様においては、本方法に使用する組成物は、インスリン分泌促進剤として有用であるか、または、GLP-1などのような分子のインスリン分泌促進効果を増強する可能性がある。このような観点から見ると、本方法は、高脂血症、高血糖症、肥満、耐糖能低下、インスリン耐性および糖尿病性合併症などのうちのひとつもしくはそれ以上を含む多様な疾患の治療および/または予防に有用である。
例えば、ある実施態様においては、本方法は、阻害剤を投与することを含み、好ましくは、24時間中に予め定めた間隔で、グルコース代謝疾患(例えば、耐糖能低下、インスリン耐性、高血糖症、高インスリン血症およびII型糖尿病など)に関連する異常値のうちのひとつもしくはそれ以上を改善するのに有効な量を投与する。阻害剤の有効量は、対象の体重1kgあたり約0.01、0.1、1、10、30、50、70、100、150、200、500または1000mgである。
(2)GLP-1効果の増強
ある実施態様においては、本方法において有用な阻害剤は、血中のグルコースレベルを低下させ、肥満を解消し、耐糖能を回復させ、肝臓におけるグルコース新生を阻害し、さらに、血中の脂質レベルを低下させ、アルドースレダクターゼを阻害する能力を有する。従って、そのような阻害剤は、高血糖症、肥満、高脂血症、糖尿病性合併症(網膜症、腎障害、神経障害、白内障、冠動脈疾患および動脈硬化を含む)、さらに、肥満関連の高血圧および骨粗鬆症の予防ならびに/または治療に有用である。
糖尿病は、インスリン分泌の相対的もしくは絶対的な減少、インスリン感受性の低下、またはインスリン耐性によって生じる高血糖症を特徴とする。本疾患の病的状態および死亡要因は、血管、腎臓および神経の合併症である。糖尿病診断に用いられる臨床試験は経口耐糖試験である。経口耐糖試験においては、グルコース負荷またはチャレンジに対する患者の身体的応答を評価する。グルコース摂取後、グルコースチャレンジに対する患者の身体的応答を評価する。一般的には、この試験は、予め定めたいくつかの時間点において患者の血中のグルコースレベル(患者の血漿、血清または全血中のグルコース濃度)を測定することによって完了する。
ひとつの実施態様においては、本発明は、GLP-1の作用を増強させるための方法に関する。GLP-1のイソ型(GLP-1(7-37)およびGLP-1(7-36))は、腸および後脳のプレプログルカゴンに由来し、インスリン分泌促進活性を有する、すなわち、グルコース代謝を制御することがわかっている。DPIVはイソ型を解裂させて不活性ペプチドにする。従って、ある実施態様においては、本発明に従う阻害剤は、生体に影響を及ぼすGLP-1ペプチドの分解を妨げることにより、インスリン分泌促進活性を増強することができる。
(3)その他のペプチドホルモンの活性の増強
別の実施態様においては、本発明に従う物質を用い、GLP-2、GIPおよびNPYなどのペプチドホルモンの活性を増強させる(例えば、模倣する、または強化するなど)ことができる。
さらに詳述すると、本発明は、GLP-2の活性を増強させるための方法を提供する。GLP-2は、栄養剤として作用し、胃腸管組織の成長を促進することがわかっている。GLP-2の効果は、小腸の増殖亢進によって特に特徴付けられ、故に、本明細書においては、これを「小腸促進(intestinotrophic)」効果と称する。DPIVは、GLP-2を解裂して生物学的に不活性なペプチドにすることが知られている。従って、ひとつの実施態様においては、DPIVの阻害はGLP-2の分解を妨げ、それによって該ホルモンの血漿半減期が延長される。
さらに別の実施態様においては、本発明の方法を用いてその他のプログルカゴン由来のペプチド(例えば、グリセンチン、オキシントモジュリン、グリセンチン関連膵臓ポリペプチド(GRPP)および/または介在ペプチド(IP-2)など)の半減期を延長することができる。例えば、グリセンチンは、腸粘膜の増殖を引き起こし、胃の蠕動を阻害することがわかっており、故に、消化管疾患の治療剤として有用であることが明らかになっており、本発明のきっかけとなった。
従って、ひとつの側面においては、本発明は、胃腸管組織、特に小腸組織の発達および増殖促進に対する阻害剤を治療および関連する用途に使用する方法に関する。例えば、本方法は、腸組織の損傷、炎症または切除に対する治療法の一部として使用することができ、そのような組織においては、腸粘膜上皮の発達および修復が促進されていることが望ましい。
小腸組織に関しては、そのような発達は、未処置対照と比較して、小腸の体積および長さの増加を測定することによって簡便に測定することができる。阻害剤が小腸に与える影響は、管状腺+絨毛軸の高さの増加としても現れる。本明細書においては、そのような活性を「小腸促進」活性と称する。本方法の効果は、管状腺細胞の増殖亢進および/または小腸上皮のアポトーシス減少としても検出される。細胞に対するこれらの効果は、空腸(遠位空腸、および特に隣接空腸を含む)および遠位回腸について最も顕著であることを特記しておく。ある化合物を用いて治療した場合(または、遺伝子操作によって該化合物を被験動物自身で発現できるようにした場合)に、被験動物の小腸の重量増加、管状腺+絨毛軸の高さの増加、もしくは管状腺細胞の増殖促進、または小腸上皮のアポトーシス低下が顕著に表れた場合には、該化合物は「小腸促進効果」を有すると考えられる。胃腸管のそのような増殖の測定に適したモデルは、米国特許第5,834,428号に記載されている。
一般的に、小腸体積が増加し、およびそれに続いて小腸粘膜機能が亢進することによって利益を受ける患者は、本方法による治療の候補である。治療を受ける患者の特別な状態としては、多様な型のスプルーが挙げられ、例えば、小麦由来のα−グリアジンに対する毒性反応によって生じ、小腸絨毛の大量消失によって特徴付けられる腹腔スプルー;感染によって生じ、絨毛の部分的平板化によって特徴付けられる局所スプルー;一般的な多様な免疫不全または低ガンマグロブリン血症の患者においてよく観察され、絨毛高の顕著な低下によって特徴付けられる低ガンマグロブリン性スプルーなどが挙げられる。治療効果は、腸の生検を行って絨毛の形態を調査すること、栄養吸収の生化学的評価、患者の体重増加、またはそれらの状態に関連した症状の緩和によってモニターすることができる。本方法によって治療することができるその他の症状、または、本方法が予防的に有用であるような症状としては、放射線性腸炎、感染性もしくは感染後腸炎、限局性腸炎(クローン病)、毒性物質もしくはその他の化学療法剤による小腸損傷、ならびに短縮小腸症候群の患者などが挙げられる。
より一般的には、本発明は、消化管疾患を治療するための治療法を提供する。本明細書において使用している「消化管」とは、胃および小腸を含む食物が通過する管を意味する。本明細書において使用している「消化管疾患」とは、消化管粘膜の質的または量的な異常を伴う疾患を意味し、そのようなものとしては、例えば、潰瘍もしくは炎症性疾患;先天性もしくは後天性の消化および吸収障害(吸収不全症候群を含む);腸の粘膜バリアー機能の消失によって生じる疾病;およびタンパク質消失性胃腸病などが挙げられる。潰瘍性疾病としては、例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、小腸潰瘍、結腸潰瘍および直腸潰瘍などが挙げられる。炎症性疾患としては、例えば、食道炎、胃炎、十二指腸炎、腸炎、結腸炎、クローン病、直腸炎、胃腸管ベーチェット病、放射線性腸炎、放射線性結腸炎、放射線性直腸炎、腸炎および薬物性炎症などが挙げられる。吸収不全症候群としては、例えば、本態性吸収不全症候群(二糖類分解酵素欠損症、グルコース−ガラクトース吸収不全、果糖吸収不全など);二次吸収不全症候群(静脈内もしくは非経口栄養または成分栄養剤が通過する消化管内の粘膜萎縮によって生じる疾患、短縮小腸症候群、盲管症候群などのような小腸の切除およびシャントによって生じる疾患);および、消化不良吸収不全症候群(ダンピング症候群などのように、胃の切除によって生じる疾病)などが挙げられる。
本明細書において使用している「消化管疾患の治療剤」とは、消化管疾患の予防および治療剤を意味し、そのようなものとしては、例えば、消化管潰瘍の治療剤、炎症性消化管疾患の治療剤、消化管の粘膜萎縮に対する治療剤、消化管の創傷に対する治療剤、消化管機能の緩和剤(粘膜バリアー機能回復のための薬剤など)、および消化吸収機能の緩和剤などが挙げられる。潰瘍には、消化性潰瘍およびびらん、ならびに、急性潰瘍すなわち急性粘膜損傷などが含まれる。
本発明に従う方法は、腸粘膜の増殖を促進することから、消化および吸収が不十分な病的状態の治療ならびに予防に使用することができ、すなわち、粘膜萎縮に対する治療および予防、消化管組織の形成不全および外科的除去によるこれらの組織の減少に対する治療、ならびに消化吸収の改善に用いることができる。さらに、本方法は、腸炎、クローン病および潰瘍性結腸炎などの炎症性疾患によって生じた粘膜の病的状態に対する治療、ならびに、ダンピング症候群などのような手術後の消化管機能の低下に対する治療、さらに、胃の蠕動阻害および胃から空腸への食物の迅速な移動を伴う十二指腸潰瘍の治療などにも用いることができる。さらにまた、グリセンチンは、手術に起因する侵入に対する治癒促進および消化管機能の改善に有効利用することができる。従って、本発明は、消化管粘膜の萎縮に対する治療剤、消化管の創傷に対する治療剤、ならびに、消化管の機能改善のための薬剤であって、活性材料としてグリセンチンを含むものを提供する。
同様に、本発明に従う阻害剤を用いることにより、セクレチン、VIP、PHI、PACAP、GIPおよび/またはヘロデルミンの血漿半減期を変化させることができる。さらに、本発明に従う方法を用い、膵臓ポリペプチドファミリーに属するペプチドYYおよびニューロペプチドYの動態を変化させることができるが、DPIVは、これらのペプチドのレセプター選択性を変化させるような様式でのプロセシングに関与している。
ニューロペプチドY(NPY)は、血管平滑筋の緊張状態を制御し、また、血圧を制御するように作用すると考えられている。NPYは、心臓の収縮性も低下させる。NPYは、最も強力な食欲刺激剤であることも知られている(ワイルディング(Wilding)ら、(1992)J.Endocrinology,132:299-302)。中枢誘導性食物摂取(食欲刺激)効果は、NPY Y1レセプターによって主に伝達され、体脂肪貯蔵の増加および肥満を引き起こす(スタンレー(Stanley)ら、(1989)Physiology and Behavior,46:173-177)。
本発明に従えば、食欲不振の治療法は、対象に有効量の阻害剤を投与して食欲を刺激し、体脂肪貯蔵を増やすことを含み、それによって、食欲不振の症状を実質的に緩和する。
低血圧の治療法は、本発明に従う阻害剤の有効量を対象に投与して血管収縮を媒介し、血圧を高めることを含み、それによって、低血圧の症状を実質的に緩和する。
DPIVは、成長ホルモン放出因子(GHRF)の代謝および不活化にも関与している。GHRFは、グルカゴン、セクレチン、血管作用性腸管ペプチド(VIP)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、胃機能抑制ペプチド(GIP)およびヘロデルミン(クビアック(Kubiak)ら、(1994)Peptide Res.,7:153)などを含む相同ペプチドのファミリーに属する。GHRFは、視床下部から分泌され、下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)の放出を刺激する。従って、本方法を用いることにより、ある種の成長ホルモン欠損児の臨床治療を向上させることができ、また、成人の臨床治療においても栄養を改善し、体組成(筋肉対脂肪)を変化させることができる。本方法を獣医学分野に使用し、例えば、乳汁産生量が多い個体、脂肪の少ない個体をより多く作出することができる。
(4)インスリン分泌促進(insulinotropic)活性のアッセイ
本方法への使用に適した化合物を選択するにあたり、化合物のインスリン分泌促進特性は、該化合物を動物細胞に接触させる、または、動物に注射し、培地または動物の循環系への免疫応答性インスリン(IRI)放出をモニターすることによって測定できることを記しておく。IRIの存在は、インスリンを特異的に検出することができる放射免疫アッセイを用いて検出できる。
db/dbマウスは、一般的にマウスの肥満および糖尿病性系統である。db/dbマウスは、肥満していくと同時に、高血糖症および高インスリン血症を発症し、従って、II型糖尿病のモデルとして使用される(NIDDM)。db/dbマウスは、例えば、ジャクソン・ラボラトリーズ(Jackson Laboratories)社(メイン州バーハーバー)などから購入可能である。ある実施態様においては、阻害剤または対照を用いる治療法でマウスを治療するためには、各個体について、投与前および投与後(例えば、60分後など)に、眼窩下洞血サンプルを採取する。血中グルコースの測定は、グルコースメーターなどの従来から利用されているいくつかの技術のうちの任意のものを用いて測定することができる。対照および阻害剤を投与された個体の血中グルコースレベルを比較する。
外来性GLP-1の代謝的末路は、非糖尿病性対象またはII型糖尿病対象の両方について追跡することができ、阻害剤候補の効果について判断することができる。例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、特異的放射免疫アッセイ(RIA)および酵素免疫測定法(ELISA)を組み合わせて用いることにより、生物学的に活性な本来のGLP-1およびその代謝物をそのまま検出することができる。例えば、ディーコン(Deacon)ら、(1995)Diabetes,44:1126-1131などを参照。具体的には、GLP-1を投与した後、NH2−末端に対するRIAもしくはELISAを用いて本来のペプチドを測定し、一方、これらのアッセイとCOOH−末端特異的RIAとの間の濃度差により、NH2−末端を切断された代謝物を測定することができる。阻害剤が存在しなければ、皮下投与されたGLP-1は時間依存的に急速に分解され、HPLCにおいてGLP-I(9-36)と共に溶出し、同様の免疫反応性プロファイルを有する代謝物を生成する。例えば、糖尿病患者(n=8)にGLP-1を皮下投与してから30分後では、COOH−末端特異的RIAによって測定した代謝物の血漿免疫反応性は、88.5+1.9%増加し、これは、健康な対象において測定されたレベルよりも高かった(78.4+3.2%;n=8;p<0.05)。ディーコン(Deacon)ら、同上を参照。静注したGLP-1もその多くが分解された。
(5)共投与
本発明の別の側面においては、共同治療法を提供し、このとき、ひとつもしくはそれ以上のその他の治療剤をプロテアーゼ阻害剤と共に投与する。そのような共同治療法は、治療に用いる個々の構成成分を同時、順次または別個に投与することによって実施できる。
ひとつの実施態様においては、阻害剤は、インスリンもしくはその他のインスリン分泌促進剤(GLP-1など)、ペプチドホルモン(GLP-2、GIPまたはNPYなど)、または、上記の物質およびペプチドホルモンを異所で発現させるような遺伝子治療ベクターと共に投与する。ある実施態様においては、上記の物質またはペプチドホルモンは、天然に存在するホルモンまたは合成ペプチドホルモンの変異体であり、この場合、ひとつもしくはそれ以上のアミノ酸が付加、欠失または置換されている。
別の具体的な実施態様においては、本発明に従う阻害剤は、M1レセプターアンタゴニストと共に投与することができる。コリン作用性剤は、インスリン放出に対する強力な調節剤であり、ムスカリンレセプターを介して作用する。さらに、そのような物質を使用することにより、HDLレベルを上昇させながらコレステロールレベルを低下させるという副次的な利点も得られる。適切なムスカリンレセプターアンタゴニストとしては、ムスカリンレセプターの活性を直接的または間接的に阻止する物質などが挙げられる。好ましくは、そのような物質はM1レセプター選択的であるか、または、そのような選択性を促進するような量を使用する。そのような物質の例としては、四級アミン類(メタンテリン、イプラトロピウムおよびプロパンテリンなど)、三級アミン類(ジシクロミンおよびスコポラミンなど)、および三環性アミン類(テレンゼピンなど)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ピレンゼピンおよびスコポラミンが好ましい。その他の適切なムスカリンセレプターアンタゴニストとしては、ベンズトロピン(メルク(Merck)社からCOGENTINという名称で市販)、ヘキサヒドロ−シラ−ジフェニドールヒドロクロリド(HHSIDヒドロクロリドは、ランブレクト(Lambrecht)ら、(1989)Trends in Pharmacol. Sci.,10:60に開示されている;(+/-)−3−キヌクリジニルキサンテン−9−カルボキシラートヘミオキザレート(QNX−ヘミオキザレート;バードサル(Birdsall)ら、Trends in Pharmacol. Sci.,(1983)4:459);テレンゼピンジヒドロクロリド(コルッツィ(Coruzzi)ら、(1989)Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.,302:232;カワシマ(Kawashima)ら、(1990)Gen.Pharmacol.,21:17)およびアトロピンなどが挙げられる。そのようなムスカリンレセプターアンタゴニストの投与量は、一般的には、上に概説したように最適化を行う。脂質代謝性疾患の場合には、脂質代謝応答を参考にして投与時間を定めることが適切であるか否かにかかわらず、別異に最適投与量を定める必要がある。
インスリンおよび脂質の代謝を制御し、上述した疾患を治療することに関しては、本発明に従う阻害剤は、d2ドーパミンアゴニストなどのようなプロラクチン阻害剤(例えば、ブロモクリプチンなど)と共に作用する。従って、本方法は、プロラクチン阻害エルゴアルカロイド類およびプロラクチン阻害ドパミンアゴニスト類などのようなプロラクチン阻害剤を共投与することを含む。適切な化合物の例としては、2−ブロモ−α−エルゴクリプチン、6−メチル−8−β−カルボベンジルオキシアミノエチル−10−α−エルゴリン、8−アシルアミノエルゴリン類、6−メチル8−α(N−アシル)アミノ−9−エルゴリン、6−メチル−8−α−(N−フェニルアセチル)アミノ−9−エルゴリン、エルゴコルニン、9,10−ジヒドロエルゴコルニン、D−2−ハロ−6−アルキル−8置換エルゴリン類、D−2−ブロモ−6−メチル−8−シアノメチルエルゴリン類、カルビドーパ、ベンセラジド、ならびにその他のドーパデカルボキシラーゼ阻害剤、L-ドーパ、ドーパミン、およびそれらの非毒性塩類などが挙げられる。
本発明に従って使用される阻害剤は、β細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する物質と共に用いることもでき、そのような物質としては、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジドおよびAG-EE 623 ZWなどが挙げられる。阻害剤は、その他の経口剤、例えば、メトホルミンおよび関連化合物、またはアカルボースなどのグルコシダーゼ阻害剤などと共に投与することも有益である。
(6)医薬組成物
本明細書の記載に従って調製された阻害剤は、当該分野においてよく知られているように、治療すべき疾患、患者の年齢、状態、および体重に応じて多様な剤型で投与することができる。例えば、化合物を経口投与する場合には、錠剤、カプセル、顆粒、粉末またはシロップなどに調製することができ;または、非経口投与用には、注射剤(静注用、筋肉内注射用または皮下注射用など)、点滴注入用剤もしくは坐剤などとして調製することができる。目の粘膜を介して投与する場合には、点眼剤または眼用軟膏として調製することができる。これらの剤型は、従来から行われている方法によって調整することができ、所望する場合には、活性材料には、従来から用いられている添加剤のうちの任意のものを混合することができ、そのような添加剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤、可溶化剤、懸濁剤、乳化剤または被覆剤などが挙げられる。投与量は、患者の症状、年齢および体重、治療もしくは予防すべき疾患の性質および重篤度、投与経路および薬物の剤型によって異なるが、一般的には、成人患者の場合には、一日の投与量は化合物量として0.01〜2000mgであり、これを単回もしくは分割して投与する。
正確な時間に、および/もしくは正確な投与量で阻害剤を投与することにより、投与された患者の治療効率に関して最良の結果が得られ、そのような結果は、特定化合物の活性、薬物動態および生体利用率、患者の身体的状態(年齢、性別、疾患の型および段階、一般的な身体状態、投与された量に対する応答、ならびに薬物療法の様式などを含む)、投与経路などによる。しかしながら、上述の指針を治療の微調整(例えば、投与の最適時間および/もしくは最適投与量の決定など)のための基準として使用することができ、対象のモニタリング、ならびに投与量および/もしくはタイミングの調整を含む常套実験のみで十分である。
「薬剤学的に許容される」という語は、本明細書においては、リガンド、材料、組成物および/もしくは投与剤型に対して用い、公正な医療的判断の範ちゅうにおいては、ヒトおよび動物の組織に対し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または、その他の問題もしくは併発症を起こすことなく接触させて使用することに適しており、理論的な利益/リスク比が釣り合っている。
本明細書において使用している「薬剤学的に許容されるキャリヤー」という語は、薬剤学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味し、例えば、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル封入剤などが挙げられる。各キャリヤーは、製剤中の他の材料と相溶性であるという意味において「許容される」べきであり、患者に対して有害であってはならない。薬剤学的に許容されるキャリヤーとして使用できる材料の例としては次のようなものが挙げられる:(1)ラクトース、グルコースおよびショ糖などの糖類;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン類;(3)セルロースおよびそれらの誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルルース、およびセルロースアセタートなど;(4)粉末トラガカント;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオ脂および坐剤用ワックス類などの賦形剤;(9)落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油類;(10)プロピレングリコールなどのグリコール類;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール類;(12)オレイン酸エチルエステルおよびラウリル酸エチルエステルなどのエステル類;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)薬剤学的製剤に使用されるその他の非毒性相溶性物質など。ある実施態様においては、本発明に従う医薬組成物は、非発熱性、すなわち、患者に投与した場合に顕著な発熱を誘導しない。
「薬剤学的に許容される塩」とは、阻害剤の比較的非毒性の無機および有機酸付加塩をさす。これらの塩類は、阻害剤の最終単離生成過程において自然に生成し、あるいは、遊離塩基型の精製阻害剤を適切な有機もしくは無機酸と別異に反応させ、生成した塩を単離することによって得られる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシラート、グルコヘプトナート、ラクトビオナート、およびラウリルスルホナートなどが挙げられる(例えば、バージ(Berge)ら、(1977)「薬剤学的塩類(Pharmaceutical Salts)」、J.Pharm.Sci.,66:1-19などを参照)。
別の場合においては、本発明に従う方法において有用な阻害剤は、ひとつもしくはそれ以上の酸性官能基を有し、従って、薬剤学的に許容される塩基と共に薬剤学的に許容される塩を形成することができる。本文脈における「薬剤学的に許容される塩類」とは、阻害剤の比較的非毒性の無機および有機塩基付加塩をさす。これらの塩類は、同様に、阻害剤の最終単離精製過程において自然に生成し、あるいは、遊離酸型の精製阻害剤に、薬剤学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩などの適切な塩基、アンモニア、または、薬剤学的に許容される有機一級、二級もしくは三級アミンを別異に反応させることによって得られる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩類としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩類の生成に有用な代表的な有機アミン類としては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、バージ(Berge)ら、同上などを参照)。
湿潤剤、乳化剤および滑沢剤(ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)、ならびに着色剤、放出剤、被覆剤、甘味料、香味料および風味料、保存料および抗酸化剤も組成物に添加することができる。
薬剤学的に許容される抗酸化剤としては、次のようなものが挙げられる:(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システインヒドロクロリド、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど;(3)金属キレート化剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
本発明に従う方法において有用な製剤は、経口、経鼻、局所(頬内および舌下を含む)、経肛門、経膣、エアロゾルおよび/または非経口投与に適したものなどが挙げられる。製剤は、単位投与型として適切に提供することができ、薬剤学分野において既知の任意の方法で調製することができる。単回投与型を製造することを目的として、キャリヤー材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療を受ける対象および特定の投与様式によって異なる。単回投与型を製造することを目的として、キャリヤー材料と組み合わせることができる活性成分の量は、通常は、治療効果が得られる化合物量である。一般的には、この量は、活性材料が100%ではないが、約1%〜約99%であり、好ましくは約5%〜約70%であり、最も好ましくは約10%〜約30である。
これらの製剤または組成物を調製する方法は、阻害剤にキャリヤーならびに1種もしくはそれ以上の追加の材料を関連づける段階を含む。一般的には、製剤は均一に調製され、リガンドに、液体キャリヤーもしくは微粉砕した固体キャリヤーまたはそれらの両方を直接関連させ、必要があれば、成型する。
経口投与に適した製剤は、カプセル、カシェ、丸薬、錠剤、ロゼンジ(通常は、ショ糖、アラビアゴムまたはトラガカントなどの香味付けした基剤を用いる)、粉末、顆粒、水性もしくは非水性溶液または懸濁液、水中油もしくは油中水の液体エマルション、エリキシルもしくはシロップ、香錠(ゼラチンおよびグリセリン、または、ショ糖およびアラビアゴムなどの不活性基剤を用いる)などであり、それぞれには、活性材料として予め定めた量の阻害剤を含む。化合物は、巨丸、舐剤またはペーストとして投与することもできる。
経口投与用の固体製剤(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)においては、活性材料は、薬剤学的に許容されるひとつもしくはそれ以上のキャリヤーと混合するが、そのようなキャリヤーとしては、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/または、次のようなものが挙げられる:(1)賦形剤または増量剤、例えば、デンプン類、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、および/もしくはケイ酸など;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/もしくはアラビアゴムなど;(3)吸湿剤、例えば、グリセロールなど;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩類ならびに炭酸ナトリウムなど;(5)溶液遅滞剤、例えば、パラフィンなど;(6)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物など;(7)湿潤剤、例えば、アセチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロールなど;(8)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイなど;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物など;さらに、(10)着色料など。カプセル、錠剤および丸剤の場合には、医薬組成物は、緩衝剤も含有する。同様な固体組成物においては、軟調合(soft-filled)および硬調合(hard-filled)ゼラチンカプセルの賦形剤として、ラクトースもしくは乳糖など、ならびに高分子量ポリエチレングリコール類などを使用することもできる。
錠剤は、必要であれば、1種もしくはそれ以上の追加材料を加えて圧縮または成型することによって調製できる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋構造カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、界面活性剤もしくは分散剤などを用いて調製することができる。成型錠剤は、適切な機械を用い、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末ペプチドもしくはペプチドミメチックの混合物を成型することによって調製することができる。
さらに、錠剤およびその他の固体投与剤型(糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒など)は、刻みを入れる、あるいは、腸溶被覆および製剤学分野において既知のその他のコーティングなどのようなコーティング加工ならびに外皮加工を行うことができる。そのような剤型は、含有されている活性材料がゆっくりまたは制御放出されるように調製することもでき、例えば、所望する放出プロファイルを得ることを目的として、多様な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマー基剤、リポソームおよび/もしくはマイクロスフェアなどを使用する。それらは、滅菌することができ、例えば、細菌除去フィルターを用いてろ過する、または、使用直前に滅菌水もしくはその他の注射可能な滅菌溶媒に溶解することができる滅菌固体組成物の中に滅菌剤を添加するなどの方法で実施することができる。これらの組成物は、混濁化剤を追有することができ、さらに、活性材料のみを放出する、もしくは、好ましくは、胃腸管の特定の部位において、できれば遅延放出を行うような組成物である。使用可能な埋込組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスなどが挙げられる。活性材料は、上述の賦形剤のうちのひとつもしくはそれ以上を用い、マイクロカプセルに封入した剤型にすることもできる。
経口投与用の液体投与剤型としては、薬剤学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルなどが挙げられる。液体投与剤型は、活性材料の他に、当該分野において通常使用されている不活性希釈剤を含み、そのようなものとしては、例えば、水もしくはその他の溶媒、可溶化剤、乳化剤(特に、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボナート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、グランドナッツ(groundnut)油、トウモロコシ油、胚芽(germ)油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油など)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール類、およびソルビタンの脂肪酸エステル類ならびにそれらの混合物など)などが挙げられる。
経口組成物は、不活性希釈剤の他に、アジュバント(例えば、湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、香味料、着色料、風味料、ならびに保存料など)を加えることもできる。
懸濁液は、活性阻害剤に加え、懸濁化剤を含む場合があり、そのようなものとしては、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル類、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。
肛門または膣投与用の製剤は、坐剤として調製できるが、そのようなものは、1種もしくはそれ以上の阻害剤に、ひとつもしくはそれ以上の非刺激性の適切な賦形剤またはキャリヤーを混合することによって調製できる。賦形剤またはキャリヤーの例としては、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスもしくはサリチル酸塩などが挙げられ、それらは、室温では固体だが、体温では液体であり、故に、肛門もしくは膣内で溶融し、活性材料を放出する。
膣投与に適した製剤としては、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤も挙げられ、それらは、適切であることが当該分野において既知であるキャリヤーを含有する。
阻害剤の局所または経皮投与用の投与剤型としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤などが挙げられる。活性成分は、滅菌下、薬剤学的に許容されるキャリヤー、ならびに、任意の保存料、緩衝剤もしくは必要であれば噴射剤と混合する。
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、阻害剤の他に賦形剤を含有し、そのような賦形剤としては、動物性および植物性脂肪、油類、ワックス、パラフィン、デンプン、、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール類、シリコン類、ベントナイト類、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。
粉末およびスプレーは、阻害剤に加えて賦形剤を含有し、そのような賦形剤としては、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。スプレーは、クロロフルオロヒドロカーボン類などの市販の噴射剤、およびブタンおよびプロパンなどの揮発性未置換炭化水素を追有することができる。
別の方法としては、阻害剤は、エアロゾルによって投与することができる。これは、水性エアロゾル、リポソーム調製物または化合物を含む固体粒子を調製することによって実施できる。非水性(例えば、フルオロカーボン噴射剤など)懸濁液も使用することができる。超音波ネブライザーが好ましいが、これは、化合物の分解を招く剪断力への活性材料の暴露を最小限に留められるからである。
通常、水性エアロゾルは、活性材料の水性溶液もしくは懸濁液に、従来から使用されている薬剤学的に許容されるキャリヤーおよび安定剤を加えることによって調製できる。キャリヤーおよび安定剤は、特定の化合物によって異なるが、一般的には、非イオン性界面活性剤(Tween類、Pluronics、またはポリエチレングリコール)、血清アルブミンなどの無害タンパク質、ソルビタンエステル類、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝剤、塩類、糖類または糖アルコール類などが挙げられる。一般的に、エアロゾルは等張溶液から調製される。
経皮パッチは、阻害剤を体内に制御放出できるという利点がある。そのような投与剤型は、適切な溶媒内に活性材料を溶解または分散させることによって調製できる。吸収促進剤を用いることにより、阻害剤が皮膚を通過する量を増やすこともできる。そのような通過速度は、速度調節膜を用いる、またはポリマーマトリックスもしくはゲル内にペプチドミメチックを分散させることによって制御できる。
眼用製剤、すなわち、眼軟膏、粉末、溶液なども本発明の範ちゅうに含まれる。
非経口投与に適した本発明に従う医薬組成物は、1種もしくはそれ以上の阻害剤に、1種もしくはそれ以上の薬剤学的に許容される滅菌等張水性もしくは非水性溶液、分散剤、懸濁液もしくはエマルション、または、使用直前に滅菌注射溶液もしくは分散剤を用いて再構成する滅菌粉末を組み合わせて含有しており、抗酸化剤、緩衝液、制菌薬、製剤を対象の血液と等張にするための溶質、または懸濁化剤もしくは粘稠化剤を含むことができる。
本発明に従う医薬組成物に使用できる適切な水性および非水性キャリヤーの例としては、水、エタノール、ポリオール類(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物性油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステル類などが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆材料を用いる、分散剤の場合には必要な粒子径を維持する、および界面活性剤を使用するなどの方法で維持することができる。
これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含んでいる。多様な抗細菌剤および抗菌剤を添加することにより、微生物の活性を確実に阻止することができる。そのようなものとしては、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などが挙げられる。組成物には、糖類、塩化ナトリウムなどの等張化剤を含むことが望ましい。さらに、注射可能な薬剤学的製剤の吸収延長は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収遅延剤を加えることによって可能である。
いくつかの場合においては、薬物の効果を延長することを目的として、皮下もしくは筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが望ましい。このことは、水溶性に乏しい結晶性もしくは無晶性材料の液体懸濁液を使用することによって実現できる。薬物の吸収速度はその溶解速度に依存しており、これはすなわち、結晶の大きさおよび形状に依存している。別の方法としては、非経口投与薬剤の吸収遅延は、油性ビヒクル中に薬物を溶解もしくは懸濁させることによって実現できる。
注射可能なデポー製剤は、ポリアクチド−ポリグリコリドなどの生体分解性ポリマー中で阻害剤をマイクロカプセルに封入したマトリックスを形成させることによって調製する。薬物のポリマーに対する比、および使用する特定のポリマーの性質により、薬物放出速度を制御することができる。生体分解性のその他のポリマーとしては、ポリ(オルトエステル類)およびポリ(アンヒドリド類)などが挙げられる。注射可能なデポー製剤は、生体組織に相溶性のリポソームまたはマイクロエマルション内に薬物を捕獲することによっても調製できる。
本発明に従う阻害剤を薬剤としてヒトおよび動物に投与する場合には、それ自体を、または、薬剤学的に許容されるキャリヤーと共に、活性材料を0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)含有する医薬組成物として供することができる。
製剤は、経口、非経口、局所または経肛門投与することができる。勿論、各投与経路に適した剤型で投与する。例えば、錠剤もしくはカプセルとして、注射により、吸入により、眼用ローションとして、軟膏として、坐剤として、注入用として投与し;ローションもしくは軟膏によって局所に;坐剤によって肛門から投与する。
本明細書において使用している「非経口投与」および「非経口的に投与する」とは、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、通常は、注射による投与様式を意味する。注射による投与様式には、静脈内、筋肉内、動脈内、莢膜内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹膜内、気管内、皮下、クチクラ内、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内および胸骨内注射、ならびに輸液などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
本明細書において使用している「全身投与」、「全身に投与する」、「末梢投与」および「末梢に投与する」とは、患者の全身に入るように、リガンド、薬物またはその他の材料を中枢神経系以外に投与することを意味し、従って、皮下投与などの他の投与経路と同様に代謝を受ける。
これらの阻害剤は、任意の適した投与経路で、治療を目的としてヒトおよびその他の動物に投与することができ、そのような投与経路としては、経口、経鼻(例えば、スプレーなど)、経肛門、経膣、非経口、大槽内、および局所(例えば、粉末、軟膏またはドロップなど、頬内および舌下を含む)などが挙げられる。
選択した投与経路とは無関係に、阻害剤は、当業者において既知の従来から行われている方法に従い、薬剤学的に許容される投与剤型に調製するが、このとき、該阻害剤は、適切な水和型および/もしくは本発明に従う医薬組成物として使用することができる。
本発明に従う医薬組成物中の活性材料の正確な投与量は多様であるが、これは、特定の患者、組成物および投与経路に対し、毒性を発現することなく、所望する治療応答を得るのに有効な活性材料量を確保するためである。
本発明を一般的に記載してきたが、以下の実施例を参照にすることによりよりよく理解できるはずである。これらの実施例は、本発明のある側面および実施態様について具体的に説明することのみを目的としており、本発明を制限するためのものではない。
実施例1:DPIV阻害アッセイ
阻害剤溶液は、溶液濃度が1mg/10μlとなるように、pH2の溶液(0.01NのHCl)中に3〜5mgの阻害剤を溶解することによって調製した。この溶液の10μlのサンプルを990μlの緩衝液(pH8、0.1MのHEPES、0.14MのNaCl)に加え、該溶液液を室温で一晩放置した。
酵素溶液は、40mlのpH8の緩衝液に20μlのDPIV(濃度は2.5μM)を加えて希釈することによって調製した。
基質溶液は、20mlのpH8の緩衝液に2.0mgのL−アラニル−L−プロリン−パラ−ニトロアニリドを溶解することによって調製した。
96ウェルプレートを用意し、ウェルの#B1〜#H1、#A2〜#H2および#A3〜#H3に250μlの酵素溶液を入れ、#A1のウェルには酵素溶液の代わりにpH8の緩衝液250μlを入れた。5列目(ウェルの#A5〜#H5)にはpH8の緩衝液90μlを入れた。
次に、1:10希釈を行った。阻害剤溶液を#A5に入れ、溶液をよく混合してからその溶液の10μlを#A5から#B5に移した。#B5内の溶液をよく混合し、その溶液の10μlを#B5から#C5に移した。#C5内の溶液をよく混合し、その溶液の10μlを#C5から#D5に移した。#D5内の溶液をよく混合し、その溶液の10μlを#D5から#E5に移した。#E5内の溶液をよく混合し、その溶液の10μlを#E5から#F5に移した。#F5内の溶液をよく混合し、その溶液の10μlを#F5から#G5に移した。#G5内の溶液をよく混合し、その溶液の10μlを#G5から#H5に移した。
次に、#H5から#H3へ30μlのアリコートを移し、内容液をよく混合した。同様の操作をG、F、E、D、C、BおよびAについて順に繰り返した。プレートシェーカーの上にプレートを載せて5分間振とうした後、室温でさらに5分間インキュベートした。
プレートをインキュベートした後、#A1を除く各ウェルに30μlの基質を加えた。次に、プレートシェーカーの上にプレートを載せて5分間振とうした後、室温でさらに25分間インキュベートした。すぐに410nmにおける吸光度を読み取った。
上述のアッセイを用いることにより、pH8におけるGlu−boroAlaのIC50値は72nM、Glu−boroProのIC50値は2.4μM、およびGlu−boroEtgのIC50値は49nMであることがわかった。
実施例2:L−Ala−[5−(HOCH 2 )−2−boroPro](I)の合成
L−Ala−[5−(HOCH2)−2−boroPro]の合成を図式1に示す。
Figure 2007523216
市販のピロール−2−カルボアルデヒド(1)から出発し、9段階を経て全体の収率17%でL−Ala−[5−(HOCH2)−2−boroPro](I)の合成を行った。始めに、テトラヒドロフラン中、ナトリウムヒドリドを用いてピロール−2−カルボアルデヒド(1)を脱プロトン化し、次に、ジ−tert−ブチルジカルボナートと反応させることによってN−Boc−ピロール−2−カルボアルデヒド(2)を得た(ティエツェ(Tietze)ら、N−保護2−ヒドロキシメチルピロール類の合成および非環式オリゴマーへの変換(Synthesis of N-protected 2-hydroxymethylpyrroles and transformation into acyclic oligomers)、Synthesis(1996),7:851-857)。−10℃においてリチウムボロヒドリドを用いてカルボアルデヒド(2)を還元することにより、ヒドロキシメチル化合物(3)が得られた。次に、テトラヒドロピラニル基を用い、化合物(3)のヒドロキシメチル基を保護することにより、THPエーテル(4)を得た。最初の3段階の総収率は78%であり、各段階において、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。保護ピロールは、LiTMP(−78℃において、THF中、n−ブチルリチウムおよびテトラメチルピペリジンから調製)を用いて脱プロトン化し(ケリー(Kelly)ら、「酵素阻害実験に適したプロリンボロナートエステルの効率的な合成および簡便な分割法(The Efficient synthesis and simple resolution of a prolineboronate ester suitable for enzyme-inhibition studies)」、Tetrahedron(1993),49(5):1009-1016を参照)、トリメチルボレートを用いて反応を停止させた後、HClを加えてジメチルボロナートを加水分解し、ボロン酸(5)を得た。化合物(5)は、さらに精製することなく、酢酸エチル中、5%のPt/C上で水素添加を行い、ピロリジン−2−ボロン酸(6)を得た。エーテル中、室温で粗化合物(6)に1.05当量の(+)−ピナンジオールを加えて撹拌し、その後、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて精製することにより、保護5−ヒドロキシメチルボロProピナンジオールエステル(7)が得られ、この3段階の収率は60%であった。ジオキサン中、4NのHClを用いてtert−ブトキシカルボニル(Boc)を除去することにより、中間体(8)が収率94%で得られた。HATUおよびDIPEAの存在下、化合物(8)をN−Boc−L−Ala−OHと結合させ、次に、BCl3を用いてBocおよびピナン保護基を脱保護することにより、目的のジペプチドボロナート(I)を得、最後の2段階の収率は38%であった。
実施例3:L−Ala−5−Me−boroPro(II)の合成
L−Ala−5−Me−boroProの合成を図式2に示す。
Figure 2007523216
図式2に示すように、L−Ala−5−Me−boroPro(II)は、市販の2−メチルピロリジンから合成した。最初に、トリエチルアミンおよびDMAPの存在下、2−メチルピロリジンをジ−tert−ブチルジカルボナートと反応させてN−Boc−ピロリジン(1)を得た。−78℃、THF−TMEDA中において、s−BuLi(2.2当量)を用いてN−Boc−ピロリジンのC−リチエーションを行い(ギブソン(Gibson)ら、「L−バリル−ピロリジン−(2R)−ボロン酸の実用的合成:高価なキラル補助剤(+)−ピナンジオールの効率的リサイクル(A Practical Synthesis of L-Valyl-pyrrolidine-(2R)-boronic Acid:Efficient Recycling of the Costly Chiral Auxiliary (+)-Pinanediol)」、Organic Process Research & Development(2002),6(6):814-816)、トリイソプロピルボレートを用いて反応を停止した。始めにNaOH、次にHClで処理した後、粗ボロン酸を(+)−ピナンジオールで保護した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー精製後の純粋なボロナート化合物(2)の収率は、2段階で51%であった。ジオキサン中、4NのHClを用いてtert−ブチルカルボニル(Boc)基を除去することにより、中間体5−メチルボロProピナンジオールエステル(3)が得られた。HATUおよびDIPEAの存在下、化合物(3)をN−Boc−L−Ala−OHと結合させ、次に、BCl3を用いてBocおよびピナン保護基を除去することにより、目的のジペプチドボロナート(II)が得られ、最後の2段階の収率は60%であった。
実施例4:L−Ala−シス−boroHyp(III)およびAla−トランス−boroHyp(IV)の合成
L−Ala−シス−boroHyp(III)およびAla−トランス−boroHyp(IV)の合成を図式3に示す。
Figure 2007523216
図式3に示すように、L−Ala−シス−boroHyp(III)およびAla−トランス−boroHyp(IV)は、市販のN−(tert−ブトキシカルボニル)−(S)−(+)−3−ピロリジノールから合成した。最初に、THF-TMEDA中、s−BuLi(2.2当量)を用いてN−Boc−3−ヒドロキシピロリジンをC−リチエーションし(ギブソン(Gibson)ら、同上などを参照)、トリイソプロピルボレートを加えて反応を停止した。NaOH、次にHClで処理した後、主要ジアステレオ異性体として、シス−2,4−ジ置換付加物が得られた。(+)−ピナンジオールを用いてボロン酸を保護し、次に、酢酸エチルから結晶化させることにより、純粋なボロナート化合物(1a)を得、2段階の収率は51%であった。化合物(1a)のC-4原子について、ミツノブ反応によって立体配置を逆転させることにより、4(R)−boroHyp誘導体(1b)を得た(収率62%)(ホッジズ(Hodges)ら、「コラーゲンの安定性に対する立体電子効果:4−フルオロプロリンジアステレオ異性体の二分法(Stereoelectronic Effects on Collagen Stability:The Dichotomy of 4-Fluoroproline Diastereomers)」、J.Am.Chem.Soc.,(2003),125(31):9262-9263を参照)。ジオキサン中、4NのHClを用いて化合物(1a)または(1b)のtert−ブトキシカルボニル(Boc)基を除去することにより、シス−boroHypピナンジオールエステル(2a)またはトランス−boroHypピナンジオールエステル(2b)を得た。HATUおよびDIPEAの存在下、化合物(2a)または(2b)をN−Boc−L−Ala−OHと結合させ、次に、BCl3を用いてBocおよびピナン保護基を除去することにより、目的のジペプチドボロナートIIIまたはIVが得られ、最後の2段階の収率は40〜45%であった。
実施例5:DPIV阻害アッセイ
実施例2〜4で調製した化合物は、実施例1に記載したアッセイで試験した。
L−Ala−[5−(HOCH2)−2−boroPro]は、pH2におけるIC50値が21.92nM、pH8におけるIC50値が12.88μMであることがわかった。
L−Ala−5−Me−boroProは、pH2におけるIC50値が11.04nM、pH8におけるIC50値が15.41μMであることがわかった。
L−Ala−シス−boroHypは、pH2におけるIC50値が2.95nM、pH8におけるIC50値が5.44μMであることがわかった。
L−Ala−トランス−boroHypは、pH2におけるIC50値が31.13nM、pH8におけるIC50値が64.29μMであることがわかった。
これらのデータに基づき、ヒドロキシル化boroPro型阻害剤に関しては、水酸基は、ボロン酸部位(またはその前駆体)に対してシスであることが好ましいことがわかった。さらに、これらの結果に基づき、当業者であれば、米国特許第6,803,357号、米国特許出願第10/496,706号および第10/496,627号(いずれも2004年5月25日受理)、ならびに米国特許仮出願第60/584,581号(2004年7月1日受理)に開示されている化合物を変形できるはずであり、これらの内容を参照として本明細書中に取り入れておく。そのような変形は、ボロン酸変形プロリンの環上、好ましくは環上の4位の位置、および/またはボロン酸基(またはその前駆体)に対してシスの位置に水酸基を付加することによって可能である。
L−Ala−[5−(HOCH2)−2−boroPro]については、ジペプチジルペプチダーゼ8および9(DP8およびDP9)に対する阻害を確認するための試験も行った。このアッセイは、DPIVの代わりにDP8およびDP9を用いた以外は、実施例1に記載しているものと同じである。試験を行ったpHにおいては、L−Ala−[5−(HOCH2)−2−boroPro]のIC50値は70μM以上であることがわかった。
実施例6:ジペプチジルペプチダーゼのイソ型に対する選択性
実施例1に記載しているアッセイを用い、本発明に従ういくつかの化合物のIC50値を求めた。本実施例においては、アッセイは、DPIVおよびDP9について行った。DPIVのイソ型に対する選択性を判断することを目的として、各被験化合物のIC50値の比を計算した。IC50値は、アッセイを通して同一pHで測定した。
Figure 2007523216
Arg−boroEtGlyを除く全ての化合物は、DP9よりも(また、おそらく、類似しているDP8よりも)DPIVに対してある程度の選択性を示したが、5−ヒドロキシメチル化boroPro化合物がDPIVに対して高い選択性を有していた。これらのデータに基づき、ボロン酸変形プロリンに対して水酸基、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を含む部位を付加することにより、DPIVに対する阻害剤の選択性が高まると考えられる。さらに、そのような基は、boroPro化合物のボロン酸基(またはその前駆体)に対してシスであることが好ましい。従って、本発明に従う好ましい化合物は、DP8および/またはDP9に対する阻害よりも少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍の強度でDPIVを阻害し、すなわち、DPIVに対するIC50値は、DP8および/またはDP9に対するそれの少なくとも1/10(または1/100)以下である。
これらの結果に基づき、通常の知識を有する当業者であれば、米国特許第6,803,357号、米国特許出願第10/496,706号および第10/496,627号(いずれも2004年5月25日受理)、ならびに米国特許仮出願第60/584,581号(2004年7月1日受理)に開示されている化合物を変形できるはずであり、これらの内容を参照として本明細書中に取り入れておく。そのような変形は、ボロン酸変形プロリン上、好ましくはボロン酸基(またはその前駆体)のシスの位置に水酸基、アルコキシ基、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を含む部位を付加することによって可能であり、ならびに/または、好ましくは環上の5位の位置にアルコキシ基、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を含む部位を、もしくは、4位の位置に水酸基部位を付加することによって可能であり、DPIVに対する高い選択性を有する阻害剤が得られる。
等価性
当業者であれば、通常の実験を通して、本明細書に記載されている特定の実施態様と同等の多数の実施態様を認識または確認できるはずである。そのような同等の態様は請求項の範ちゅうに包含される。
上記の引用文献および出版物のすべてを参照として本明細書中に取り入れておく。
3種類の投与量を用い、120分以上にわたり、Lys-boroProによるDPIVの阻害を調べた図 3種類の投与量を用い、120分以上にわたり、Arg-boroProによるDPIVの阻害を調べた図

Claims (21)

  1. 構造式Iで表される化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩。
    Figure 2007523216
    (R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、および、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖から選択され;
    R2は、H、低級アルキルおよびアラルキルから選択され;
    R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンおよびアルキルから選択され、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
    R5は、H、ハロゲン、低級アルキル、アラルキルから選択され;
    R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基であり;
    R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、および、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖から選択され;
    Lは、空位、または、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−および−(CH2)mS(CH2)m−から選択され;
    Xは、空位、または、−N(R7)−、−O−および−S−から選択され;
    Yは、空位、または、−C(=O)−、−C(=S)−、および−SO2−から選択され;
    mは、それぞれ別異に、0〜10までの整数であり;さらに、
    nは、2〜6までの整数である。)
  2. 構造式IIで表される化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩。
    Figure 2007523216
    (R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、および、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖から選択され;
    R2は、H、低級アルキルおよびアラルキルから選択され;
    R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンおよびアルキルから選択され、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
    R5は、H、ハロゲン、低級アルキルおよびアラルキルから選択され;
    R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基であり;
    R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、および、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖から選択され;
    R14は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニルおよびアラルキルから選択され;
    Aは、空位、または、−NHC(=NH)−であり、あるいは、R14およびAは、それらが結合している窒素と共に複素環を形成し;
    Lは、空位、または、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−および−(CH2)mS(CH2)m−から選択され;
    Xは、空位、または、−N(R7)−、−O−および−S−から選択され;
    Yは、空位、または、−C(=O)−、−C(=S)−および−SO2−から選択され;
    mは、それぞれ別異に、0〜10までの整数であり;さらに、
    nは、1〜6までの整数である。)
  3. 構造式IIIで表される化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩。
    Figure 2007523216
    (R1は、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、スルホニルアミノ、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、および、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖から選択され;
    R2は、H、低級アルキルおよびアラルキルから選択され;
    R3およびR4は、それぞれ別異に、H、ハロゲンおよびアルキルから選択され、あるいは、R3およびR4は、それらが結合している炭素原子と共に3〜6員の複素環を形成し;
    R5は、H、ハロゲン、低級アルキルおよびアラルキルから選択され;
    R6は、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応して共有結合付加物を形成するような官能基であり;
    R7は、H、アリール、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、および、アミノ酸残基数が1〜8であるポリペプチド鎖から選択され;
    Lは、空位、または、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)mO(CH2)m−、−(CH2)mNR2(CH2)m−および−(CH2)mS(CH2)m−から選択され;
    Xは、空位、または、−N(R7)−、−O−および−S−から選択され;
    Yは、空位、または、−C(=O)−、−C(=S)−および−SO2−から選択され;
    mは、それぞれ別異に、0〜10までの整数であり;さらに、
    nは、1〜6までの整数である。)
  4. R15は、アミン、カルボン酸、イミダゾールおよびグアニジン官能基から選択されることを特徴とする請求項3記載の化合物。
  5. R6は、シアノ、ボロン酸、−SO2Z1、−P(=O)Z1、−P(=R8)R9R10、−C(=NH)NH2、−CH=NR11、および−C(=O)−R11から選択され、ここで:
    R8は、OまたはSであり;
    R9は、N3、SH2、NH2、NO2およびOLR12から選択され;さらに、
    R10は、低級アルキル、アミノ、OLR12、または薬剤学的に許容されるそれらの塩から選択され;あるいは、
    R9およびR10は、それらが結合しているリンを共有して5〜8員の複素環を形成し;
    R11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(CH2)p−R12、−(CH2)q−OH、−(CH2)q−O−アルキル、−(CH2)q−O−アルケニル、−(CH2)q−O−アルキニル、−(CH2)q−O−(CH2)p−R12、−(CH2)q−SH、−(CH2)q−S−アルキル、−(CH2)q−S−アルケニル、−(CH2)q−S−アルキニル、−(CH2)q−S−(CH2)p−R12、−C(O)NH2、−C(O)OR13および−C(Z1)(Z2)(Z3)から選択され;
    R12は、H、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環から選択され;
    R13は、H、アルキル、アルケニルおよびLR12から選択され;
    Z1はハロゲンであり;
    Z2およびZ3は、それぞれ別異に、Hまたはハロゲンから選択され;
    pは、それぞれ別異に、0〜8までの整数であり;さらに、
    qは、それぞれ別異に、1〜8までの整数である
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の化合物。
  6. R6は、−B(Y1)(Y2)という式で表される置換基群であり、ここで、Y1およびY2は、それぞれ別異に、OH、または加水分解されてOHを生じる基であり、あるいは、それらが結合しているホウ素原子と共に、加水分解されてボロン酸を生じるような5〜8員環を形成することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の化合物。
  7. R3およびR4は、それらが結合している原子と共に5員環を形成し、該環は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキルおよび低級アルコキシアルキルから選択されるひとつまたはそれ以上の基で置換されていることを特徴とする請求項6記載の化合物。
  8. 構造式IVで表される化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩。
    Figure 2007523216
    (Aは、NおよびCα炭素を含む4〜8員の複素環から選択され;
    Zは、CまたはNであり;
    Wは、CN、−CH=NR5、標的プロテアーゼの活性部位残基と反応する下記の官能基
    Figure 2007523216
    から選択され;
    R1は、C末端に結合しているアミノ酸残基もしくはアミノ酸アナログ、C末端に結合しているペプチドもしくはペプチドアナログ、下記のアミノ酸保護基
    Figure 2007523216
    から選択され;
    R2は、A環のひとつもしくはそれ以上の置換基を表し、それらはそれぞれ別異に、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、もしくは−(CH2)n−S−(CH2)m−R7から選択され、このとき、少なくともひとつのR2は、−OH、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、および低級アルコキシアルキルから選択され;
    ZがNのとき、R3は水素であり;
    ZがCのとき、R3は、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、カルボニル、チオカルボニル、アミノ、アシルアミノ、アミド、シアノ、ニトロ、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホンアミド、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−低級アルキル、−(CH2)m−O−低級アルケニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−低級アルキル、−(CH2)m−S−低級アルケニル、および−(CH2)n−S−(CH2)m−R7から選択され;
    R5は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、−C(X1)(X2)X3、−(CH2)m−R7、−(CH2)n−OH、−(CH2)n−O−アルキル、−(CH2)n−O−アルケニル、−(CH2)n−O−アルキニル、−(CH2)n−O−(CH2)m−R7、−(CH2)n−SH、−(CH2)n−S−アルキル、−(CH2)n−S−アルケニル、−(CH2)n−S−アルキニル、−(CH2)n−S−(CH2)m−R7 、−C(O)C(O)NH2および−C(O)C(O)OR7'から選択され;
    R6は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、−(CH2)m−R7、−(CH2)m−OH、−(CH2)m−O−アルキル、−(CH2)m−O−アルケニル、−(CH2)m−O−アルキニル、−(CH2)m−O−(CH2)m−R7、−(CH2)m−SH、−(CH2)m−S−アルキル、−(CH2)m−S−アルケニル、−(CH2)m−S−アルキニル、もしくは−(CH2)m−S−(CH2)m−R7
    Figure 2007523216
    から選択され;
    R7は、それぞれ別異に、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環から選択され;
    R7'は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、および複素環から選択され;
    R8およびR9は、それぞれ別異に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R7、−C(=O)−アルキル、−C(=O)−アルケニル、−C(=O)−アルキニルおよび−C(=O)−(CH2)m−R7から選択され;あるいは、
    R8およびR9は、それらが結合している窒素原子と共に4〜8員の複素環を形成し;
    R50は、OまたはSであり;
    R51は、N3、SH、NH2、NO2およびOR7'から選択され;
    R52は、水素、低級アルキル、アミン、OR7'、または、薬剤学的に許容されるそれらの塩から選択され;
    R51およびR52は、それらが結合しているP原子と共に5〜8員の複素環を形成し;
    X1は、ハロゲンであり;
    X2およびX3は、それぞれ、水素およびハロゲンから選択され;
    Y1およびY2は、それぞれ別異に、OHまたは加水分解されてOHを生じる基(環状誘導体を含む)であり、このとき、Y1およびY2は、5〜8員の環構造を介して接続されており;
    mは、0または1〜8までの整数であり;さらに、
    nは、1〜8までの整数である。)
  9. プロテアーゼ阻害剤であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の化合物。
  10. 50nM以下のKi値でジペプチジルペプチダーゼIV(DPIV)を阻害するプロテアーゼ阻害剤であることを特徴とする請求項9記載の阻害剤。
  11. 経口活性であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の化合物。
  12. 薬剤学的に許容されるキャリヤー、ならびに請求項1〜9いずれか1項記載の化合物または薬剤学的に許容されるそれらの塩もしくはそれらのプロドラッグを含有することを特徴とする医薬組成物。
  13. ポストプロリン分解酵素を阻害するための医薬の製造に使用することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載の化合物の使用法。
  14. 前記化合物が、グルカゴン様ペプチド、NPY、PPY、セクレチン、GLP-1、GLP-2およびGIPから選択されるペプチドホルモンの血漿濃度を上昇させることを特徴とする請求項13記載の使用法。
  15. グルコース代謝を調節するための医薬の製造に使用することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載の化合物の使用法。
  16. II型糖尿病、インスリン耐性、耐糖能低下、高血糖症、低血糖症、高インスリン血症、肥満、高脂血症または高リポタンパク血症に苦しむ患者のグルコース代謝を制御することを特徴とする請求項15記載の使用法。
  17. ポストプロリン分解酵素のタンパク質分解活性を阻害する方法であって、酵素に請求項1〜9いずれか1項記載の化合物を接触させることを特徴とする方法。
  18. 請求項1〜9いずれか1項記載の化合物の調製物、およびポストプロリン分解酵素を阻害するための調製物の使用法を記載した指示書を含むことを特徴する包装医薬。
  19. 請求項1〜9いずれか1項記載の化合物の調製物、およびグルコース代謝を制御するための調製物の使用法を記載した指示書を含むことを特徴する包装医薬。
  20. 前記化合物は、インスリンおよび/もしくはインスリン分泌促進剤と共に製剤化されている、または、共に包装されていることを特徴とする請求項19記載の包装医薬。
  21. 前記化合物は、M1レセプターアンタゴニスト、プロラクチン阻害剤、β細胞のATP依存性カルシウムチャネルに作用する物質、メトホルミンおよび/もしくはグルコシダーゼ阻害剤と共に製剤化されている、または、共に包装されていることを特徴とする請求項19記載の包装医薬。
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