JP2007519723A6 - ケトン含有環式化合物の製造 - Google Patents

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Abstract

ケトン官能基を含む多環式化合物の製造方法が開示される。この方法は、触媒と反応体化合物と該反応体化合物の重量を基準にして3重量%(wt%)以上の量の水とを含む混合物であって、上記触媒がニッケルと塩基とを含んでおり、上記反応体混合物がヒドロキシル官能基で置換された環炭素原子数5〜7の飽和環又は環系である環Aと環炭素原子数5〜6の非芳香族不飽和環である環Bとの2以上の縮合した環A及びBを含む混合物を反応させる段階、及び環Aのヒドロキシル官能基をケトン官能基に転化させるとともに非芳香族不飽和環Bを飽和環に転化させる段階を含んでなる。

Description

本発明は、総括的には、ケトン官能基を含む化合物を特にヒドロキシル官能基を含む化合物から製造する方法に関する。
ケトン官能基を含む完全に飽和した多環式化合物を、ヒドロキシル官能基を含む不飽和多環式化合物から製造するための一つのアプローチでは、ラネーニッケル触媒が使用されてきた。ラネーニッケル触媒を使用する方法が魅力的であるのは、ラネーニッケル触媒が他の多くのニッケル系触媒よりも安価であり、入手が容易でリサイクル可能なためである。残念ながら、ラネーニッケル触媒を用いる試みは低い選択率及び転化率を招く結果に終わった。水又はアルカリ存在下でのラネーニッケル触媒の使用は推奨されてこなかった。その理由として、反応における水の存在は低い収率を与えるといわれ、アルカリの存在は転位反応を阻害するといわれている。当技術分野では、特定のニッケル−マグネシアモル比(0.0075〜0.075:1)を有するニッケル/マグネシア触媒が開示されている。こうしたニッケル/マグネシア触媒を用いた反応は良好な選択率及び良好な転化率で起こるが、反応時間が長い。
ケトン官能基を含む完全に飽和した多環式化合物は、香料製造用の成分としての使用に適している。これらのケトン含有化合物を用いて製造されたビスフェノールは、ポリカーボネート及びポリエステルの製造に有用である。
米国特許第2849489号明細書 米国特許第4133965号明細書 米国特許第4709061号明細書 米国特許第5266729号明細書
ケトン官能基を含む完全に飽和した多環式化合物を高い収率及び純度で製造するための方法であって、望ましくない副生物が発生せず、商業的採算性と実質的再現性が確保される方法に対するニーズが存在している。
本明細書では、ケトン官能基を含む多環式化合物の製造方法であって、
触媒と反応体化合物と該反応体化合物の重量を基準にして3重量%(wt%)以上の量の水を含む混合物であって、上記触媒がニッケルと塩基とを含んでおり、上記反応体混合物がヒドロキシル官能基で置換された環炭素原子数5〜7の飽和環又は環系である環Aと環炭素原子数5〜6の非芳香族不飽和環である環Bとの2以上の縮合した環A及びBを含む混合物を反応させる段階、及び
環Aのヒドロキシル官能基をケトン官能基に転化させるとともに非芳香族不飽和環Bを飽和環に転化させる段階
を含んでなる方法について開示する。
本発明の様々な特徴に関する以下の詳細な説明及び実施例を参照することによって、上述の方法の理解を深めることができよう。
本明細書では、縮合環系とケトン官能基を含む化合物を、従前公知の方法よりも短い反応時間で高い収率及び選択率で製造するための容易な方法について開示する。ケトン官能基を含む多環式化合物の製造方法は、
ニッケル及び塩基を含む触媒と反応体化合物と該反応体化合物の重量を基準にして3重量%以上の量の水とを含む混合物であって、上記反応体化合物がヒドロキシル官能基で置換された環炭素原子数5〜7の飽和環又は環系である環Aと環炭素原子数5〜7の非芳香族不飽和環である環Bとの2以上の縮合した環A及びBを含む混合物を反応させる段階、及び
環Aのヒドロキシル官能基をケトン官能基に転化させるとともに非芳香族不飽和環Bを飽和環に転化させる段階
を含む。環Aはビシクロ環系であってもよい。
環Aと環Bは直接縮合していてもよく、1以上の共通の炭素−炭素結合を共有する。或いは、環Aと環Bは環炭素原子数5〜6の環系を介して間接的に縮合していてもよく、環A及び環Bは独立に上記環系と1以上の炭素−炭素結合を共有する。
一実施形態では、反応体化合物は、ヒドロキシル官能基で置換された環炭素原子数5の飽和環である環Aと環炭素原子数5の非芳香族不飽和環である環Bとの2つの縮合した環A及びBを含む。この実施形態では、縮合環A及びBは一体としてビシクロ環を形成していてもよい。
環A、環B及び存在する他の環は、置換基の位置が反応を妨げないことを条件として、炭素原子数4以下のアルキル置換基1以上で置換されていてよい。
単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起こる場合と起こらない場合を包含する。
特記しない限り、本明細書で用いる「アルキル」という用語は直鎖アルキル及び枝分れアルキルを意味する。直鎖及び枝分れアルキル基は、非限定的な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及び第三ブチル基が挙げられる。
反応体化合物の具体例としては、以下の式の化合物及びそれら2種以上の組合せが挙げられる。
Figure 2007519723
ケトン官能基を含む環式化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2007519723
一実施形態では、次式の多環式アルコール(トリシクロ[5.2.1.02,6]デセノール又はシデカノール(cydecanol)として知られる。)を水及びニッケルと塩基を含む触媒と反応させることによって、
Figure 2007519723
次式のケトン官能基を含む多環式化合物(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカノン又はTCDケトンとして知られる)を製造する。
Figure 2007519723
ヒドロキシル官能基を含む環式不飽和化合物の転化率及びケトン官能基を含む環式飽和化合物の生成に対する選択率は、反応をニッケル及び塩基を含む触媒を用いて水の存在下で実施すると向上する。
塩基は触媒組成物に既に存在していてもよいし、或いは別途添加してもよい。塩基は、所望のpHを得るのに十分な量の、無機塩基、有機塩基又はそれらの塩基の混合物からなるものでよい。無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アンモニア、水酸化アンモニウム及びこれらの塩基の2種以上の混合物からなる群から選択できる。有機塩基は、アルキルアミン、アリールアミン又は上述の塩基の2種以上の混合物であってもよい。有機塩基は、アニリン、ピリジン、ピペリジン、メチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン及びこれらの塩基の2種以上の混合物からなる群から選択できる。一実施形態では、塩基は水酸化ナトリウムである。
反応混合物中の水の量も反応の選択率に影響を及ぼすことがある。一実施形態では、反応混合物は反応体化合物の重量を基準にして約3〜約10重量%の水を含む。上記範囲内で、水の量は約4重量%以上であってもよい。同じく上記範囲内で、水の量は約7重量%以下であってもよい。反応系中での水の供給源は、反応体化合物に存在する水及び(仮に存在すれば)触媒と共に添加される水に依存する。幾つかの例では、反応体化合物は他の不純物と共に約3〜約5wt%の水を含む。触媒の含水量は、使用する触媒に応じて0〜約50wt%の範囲で変化する。
上述の通り、微細ニッケルを塩基性pHの水中スラリーとして利用できるラネーニッケルのような市販触媒組成物の場合、触媒は直接使用できる。市販のラネーニッケルにおけるニッケルと水との比は一般に約50:50(重量比)であり、pHは塩基性である。所要に応じて、ラネーニッケルのpHは約8以上のpH値に調整される。
別の実施形態では、触媒組成物は触媒に塩基及び適宜水を添加することによって調製される。水の添加量は、反応体化合物の重量を基準にして約3〜約7重量%である。塩基の存在量は、pH約8以上の触媒組成物を得るのに十分なものである。上述の反応体化合物の大半が中性pHであるとすれば、反応混合物のpHは触媒のpHと実質的に同じである。
触媒の具体例としては、特に限定されないが、ラネーニッケル、担持ニッケル触媒、ポンダー(Ponder)ニッケル触媒及びニッケル合金が挙げられる。担持ニッケル触媒での使用に適した担体は、ケイ酸カルシウムやケイ酸マグネシウムやケイ酸アルミニウムのようなケイ酸塩、アルミナ、シリカ、珪藻土及びこれらの担体の混合物を含む群から選択できる。担持ニッケル触媒は、特に限定されないが、シリカに担持したニッケル及びシリカに担持したニッケル/酸化マグネシウムからなる群から選択できる。ニッケル合金は、特に限定されないが、アルミニウム−ニッケル合金、ニッケル−バナジウム合金、マグネシウム−ニッケル合金及び銅−ニッケル合金からなる群から選択できる。
上述の通り、幾つかの触媒は既に塩基を含んでいることがあり、追加の塩基を添加する必要がないこともある。ニッケル/酸化マグネシウム触媒の場合、ニッケルが既に塩基(酸化マグネシウム)と共に存在しており、シリカのような不活性媒体に担持されている。シリカに担持したニッケル/酸化マグネシウム触媒では、使用するニッケルと酸化マグネシウムとの比は約0.1:1〜約0.5:1であり、さらに好ましくはニッケルと酸化マグネシウムとの比は約0.18:1〜約0.33:1である。反応に必要な水は反応体化合物によって供給してもよいし、或いは別途添加してもよい。
ニッケル、塩基及び水を含む組成物として添加するか、或いは担体系にニッケルと塩基を含むものとして添加するニッケル含有触媒の量は、反応体化合物の重量を基準にして約1〜約5重量%である。
ヒドロキシル官能基を含む多環式不飽和化合物からケトン官能基を含む多環式飽和化合物への転化に際しては、適宜、水素ガス又は水素含有ガス混合物を使用してもよい。水素含有ガスは、反応開始時又は反応開始後に導入できる。水素含有ガス混合物は、窒素、周囲空気、ヘリウム、アルゴン又はこれらの2種以上の組合せを含んでいてもよい。水素又は水素含有ガスの使用量は、系を約170〜約300℃の反応温度に加熱したとき、系内に発生する自生圧力よりも約5〜約40N/cm高い圧力を維持するのに十分なものである。
反応混合物は、適宜、アルコール化合物と混和性の溶媒を含んでいてもよい。溶媒の具体例としては、炭素原子数1〜約4のアルコール及びスルホランが挙げられる。好ましいアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及びこれらのアルコールの2種以上の混合物が挙げられる。
アルコール化合物をケト化合物に転化させる温度は約170〜約300℃である。上記範囲内で、温度は約200℃以上、好ましくは約230℃以上であってもよい。同じく上記範囲内で、温度は約270℃以下、好ましくは約250℃以下であってもよい。
上述の方法は、回分或いは半連続又は連続操作で実施できる。回分法で実施する場合、ヒドロキシル官能基を含む化合物と触媒の反応は約1.5〜約5時間実施される。一般に、ヒドロキシル官能基を含む化合物から対応ケトン含有化合物への満足すべき転化を達成するため、反応は約2〜約4時間実施される。連続法では、重量時間空間速度は約0.5〜約2.0の範囲である。一実施形態では、アルコール化合物から対応ケトン含有化合物への満足すべき転化を達成するため約0.75〜約1.0の重量時間空間速度が使用できる。
本明細書に開示したケトンは、多環式ビスフェノールの製造に使用できる。ビスフェノールは、例えば、均質又は不均質酸触媒の存在下で多環式ケトンをフェノール系化合物と縮合させるような好適な技術で製造できる。均質酸触媒は、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸、メチオニン酸、及び触媒としての3−メルカプトプロピオン酸又はメチルメルカプタンのような促進剤から選択できる。イオン交換樹脂触媒も均質触媒として使用できる。得られるビスフェノールはポリカーボネート及びポリエステルの製造に使用でき、これらは優れた高温特性及び低沸点溶剤中への溶解性を有するフィルム、フィラメント及び成形物品の製造に有用である。得られるビスフェノールはポリカーボネートの製造に使用できる。線状ポリカーボネートは、ホスゲン又はジオールのビスクロロホルメート或いはこれらの混合物を多環式ビスフェノールと縮合させることで製造できる。多環式ビスフェノールから得られるポリカーボネートは、水性アルカリ媒質及び塩化メチレンの系中で、又は第三アミン及び塩化メチレンの存在下で、ホスゲン及び/又はジオールのビスクロロホルメートを添加することによって製造できる。かかるポリカーボネートは、減圧下でビスフェノールをシアリールカーボネート及び好適な触媒(例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、水素化物及び水酸化物並びに遊離のアルカリ金属又はアルカリ土類金属)と共に加熱することによるエステル交換法によっても製造できる。線状ジカルボン酸ポリエステルは、1種以上の有機ジカルボン酸又はジカルボン酸ジエステルを多環式ビスフェノールと縮合させることによって製造できる。かかるジカルボン酸ポリエステルは、多環式ビスフェノールと脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸とのエステル交換反応で多環式ビスフェノールをジカルボン酸と縮合させることによって製造できる。
以下の具体的な実施例を参照することによって、上述の技術の理解をさらに深めることができよう。これらの実施例は、例示を目的としたものにすぎず、限定的なものではない
実施例1
トリシクロ[5.2.1.02,6]デセノール(シデカノール)(100g、93wt%シデカノール、4wt%水)、ラネーニッケル(3g)、水(2g)及び水酸化ナトリウム(pH10を得るのに十分な量)の混合物を600mlの圧力容器に仕込んだ。反応混合物を1時間で約235℃の温度に加熱し、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析してシデカノール転化率が99%を超えるまで、上記温度に約4時間維持した。反応の過程で、自生圧力は約56N/cmに上昇した。GC法で測定して、シデカノールに関する転化率は99.5%であり、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカノン(TCDケトン)への転化の選択率は94%であった。注記:転化率は反応したシデカノールの百分率であり、選択率は反応したシデカノールのうちTCDケトンの生成へと至った百分率である。
実施例2
粗シデカノール(306.45g、シデカノール含有量88wt%、水4wt%)とラネーニッケル(11.8g、約80wt%Ni及び20wt%アルカリ水、pH=11)の混合物を600mlの圧力容器に仕込んだ。反応器を35N/cmの窒素ガスでパージした後、約7N/cmの窒素圧力を維持した。次いで、反応混合物を約250℃の温度に加熱したが、この温度での自生圧力は114N/cmであった。圧力が約142.1N/cmに達するまで、水素ガスを容器内に供給した。圧力の低下が観察された場合には新鮮な水素を供給することによって、この圧力を維持した。約3時間45分後、GCで分析してシデカノールの転化率は99.95%であり、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカノンへの転化の選択率は97.79%であった。
実施例3
粗シデカノール(298.95g、シデカノール含有量88wt%、水4wt%)とラネーニッケル(12.21g、約80wt%Ni及び20wt%水、pH=11)の混合物を600mlの圧力容器に仕込んだ。反応器を35N/cmの窒素ガスで3回パージした後、約7N/cmの窒素圧力を維持した。次いで、反応混合物を約250℃の温度に加熱したが、この温度での自生圧力は114N/cmであった。約2時間後、GCで分析して、シデカノールに関する転化率は99.25%であり、TCDケトンへの転化の選択率は90.3%であった。圧力が約143.5N/cmに達するまで、水素ガスを容器内に供給した。圧力の低下が観察された場合には新鮮な水素を供給して上記圧力を維持した。約4時間後、GCで分析して、シデカノールの転化率は99.84%であり、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカノンへの転化の選択率は95.6%であった。
実施例4
シデカノール(100g、93wt%シデカノール、4wt%水)と5gのEngelhard Ni−5249P(Engelhard Corp.(米国)から市販のNysoselニッケル触媒、組成:ニッケル64wt%、非晶質シリカ16wt%、酸化マグネシウム8wt%)の混合物を600mlの圧力容器に仕込んだ。次いで、反応混合物を1時間で約235℃の温度に加熱し、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析してシデカノール転化率が99%を超えるまで、上記温度に約4時間維持した。反応の過程で、系の圧力は約52.5N/cmに上昇した。GC法で測定して、シデカノールに関する転化率は99.4%であり、TCDケトンへの転化の選択率は95.4%であった。
比較例1
シデカノール(100g、ラネーニッケル(3g)及び水(2g、pH=7)の混合物を600mlの圧力容器に仕込んだ。触媒は、触媒中に存在する微量の不純物又はアルカリを完全に除去するため、水のpHが7になるまで脱イオン・脱塩水で数回洗浄した。次いで、反応混合物を1時間で約235℃の温度に加熱し、上記温度に約10時間維持した。反応の過程で、系の圧力は約24.5N/cmに上昇した。GC法で測定して、シデカノールに関する転化率は96%であり、TCDケトンへの転化の選択率は73%であった。
比較例2
ラネーニッケル(pH10で3gのニッケル及び2gの水を含むもの5g)を、それが水及びアルカリを含まなくなるまで、メタノールで繰返し洗浄した。メタノールを除去するため、それをシデカノールで再び洗浄した。この処理ラネーニッケルを触媒として使用した。処理触媒にシデカノールを添加してシデカノールの総量を100gにした。処理触媒とシデカノールの混合物をParr圧力容器内で約230℃の温度に加熱したところ、発生した自生圧力は70N/cmであった。約4時間後、シデカノールの転化率は98.3%であり、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカノンに対する選択率は79.8%であった。
以下の表Iに実施例1〜4及び実施例1〜2の結果をまとめて示す。
Figure 2007519723

実施例6
連続法により、シデカノール(純度93wt%、4wt%水)をEngelhard Ni 5256E(ニッケル31wt%、酸化ニッケル32wt%、非晶質シリカ24wt%及び酸化マグネシウム13wt%)触媒と0.95の重量時間空間速度(WHSV)で反応させた。反応器内に装填した触媒の重量は5.28gであった。触媒層は、反応器に触媒及びガラスビーズを装填し、反応器を250℃に加熱することによって活性化した。層に水素を0.1ml/分の流量で16時間流し、温度を250℃に維持した。反応器の圧力は50N/cmに維持した。この水素を放出した後、触媒層の温度を230℃に下げ、層に窒素を0.1ml/分の流量で流し、反応器の圧力を50N/cmに維持した。窒素フラッシングを1時間行い、次いで窒素を放出した。次いで、活性化触媒層を約230℃の温度に維持した。触媒層に、シデカノールを5g/時の流量で送入した。反応器の圧力は15N/cmに設定した。反応の自生圧力は10N/cmであった。シデカノールの転化率及びTCDケトン選択率をGCでモニターした。触媒活性を維持するために層の温度を約250℃に上昇させた。表IIに、時間及び温度に関するシデカノールの転化率及びTCDケトン選択率を示す。
Figure 2007519723

実施例7
シデカノール100g(93%シデカノール、4%水)とラネーニッケル触媒5g(ニッケル3g及び水2g、pH11)の混合物を600mlの圧力容器に仕込み、230℃に加熱した。系内で発生した自生圧力は約18.9N/cmであった。反応系をこの温度及び圧力に約2時間維持し、次いで24.5N/cmの水素で加圧し、さらに2時間維持した。シデカノールの転化率及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカノンに対する選択率をGCで測定した。触媒を回収し、さらに4サイクルにわたって使用し、その結果を以下の表IIIに示す。
Figure 2007519723

ガスクロマトグラフィー(GC)法を用いて、ヒドロキシ官能基を有する環式不飽和化合物からケトン官能基を有する環式飽和化合物への転化率を測定した。この分析には、Supelcowax−10カラム(長さ30m、内径0.32mm及び厚さ1.0μm)を使用した。最高オーブン温度は220℃に維持し、注入温度及び検出器温度は230℃であった。24ml/分の流量のヘリウム及び45ml/分の流量の水素を用いてカラムの溶離を行った。水素とヘリウムはカラムに同時に送入した。カラム内での試料の流量は1.00ml/分であり、注入した試料の量は1.0μlであった。総試験時間は37分であった。選択率及び転化率は、ガスクロマトグラムにおける曲線の下側の面積百分率に基づいて直接求められる。
ニッケル及び塩基を含む触媒を水の存在下で使用すると、ヒドロキシル官能基を含む環式不飽和化合物の非常に高い転化率及びケトン官能基を含む環式飽和化合物の生成に対する非常に高い選択率が得られるという予想外の知見が得られた。さらに、同じ触媒をリサイクルした場合にも比較的高い転化率及び選択率が得られる。
以上、本発明の幾つかの特徴について本明細書に例示し説明してきたが、当業者には数多くの修正及び変更は自明であろう。したがって、特許請求の範囲には、本発明の技術的思想に属するかかる修正及び変更がすべて包含される。

Claims (11)

  1. ケトン官能基を含む多環式化合物の製造方法であって、
    触媒と反応体化合物と該反応体化合物の重量を基準にして3重量%以上の量の水とを含む混合物であって、上記触媒がニッケルと塩基とを含んでおり、上記反応体混合物がヒドロキシル官能基で置換された環炭素原子数5〜7の飽和環又は環系である環Aと環炭素原子数5〜6の非芳香族不飽和環である環Bとの2以上の縮合した環A及びBを含む混合物を反応させる段階、及び
    環Aのヒドロキシル官能基をケトン官能基に転化させるとともに非芳香族不飽和環Bを飽和環に転化させる段階
    を含んでなる方法。
  2. 環Aが、環炭素原子数7のビシクロ環系又は環炭素原子数5の飽和環系であり、ヒドロキシル官能基で置換されている、請求項1記載の方法。
  3. さらに、水素ガス又は水素含有ガス混合物の添加を含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 前記混合物がさらに、反応体化合物と混和性の溶媒を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記反応体化合物が以下の式の化合物からなる群から選択される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
    Figure 2007519723
  6. 前記ニッケルを含む触媒が、ラネーニッケル、担持ニッケル触媒、ポンダー(Ponder)ニッケル触媒及びニッケル合金からなる群から選択される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記触媒がリサイクルされる、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
  8. 水の量が前記反応体化合物の乾燥重量を基準にして約3〜約10重量%であり、反応が約170〜約300℃で実施される、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. 当該方法が回分又は連続式で実施される、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法で製造されたケトン化合物から誘導される構造単位を含んでなるポリカーボネート。
  11. 前記反応体化合物が次式の化合物であり、
    Figure 2007519723
    ケトン官能基を含む多環式化合物が次式の化合物である、
    Figure 2007519723
    請求項1記載の方法。
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