JP2007501216A - 8−クロロ−2,3−ベンゾジアゼピン誘導体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一般式(I)
【化1】
Figure 2007501216

[ここで、Rは、低級アルキル基又は一般式
-NH-R1
(ここで、R1は低級アルキル基又は低級シクロアルキル基である)で表される基である]で表される新規の8-クロロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体又はその薬学上許容される酸付加塩に関する。本発明は、前記化合物の製法、該化合物を含有する医薬組成物及び新規な8-クロロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の製造に有用な新規な中間体にも関する。本発明による化合物は、AMPA/kainate受容体阻害活性を有する。

Description

本発明は、AMPA/kainate受容体阻害活性を有する新規の8-クロロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体、その製法、前記の新規ベンゾジアゼピン誘導体を含有する医薬組成物及び疾患の治療又は予防のための前記化合物の使用に関する。本発明は、新規8-クロロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の製造に有用な新規の中間体にも関する。
2,3-ベンゾジアゼピンが、抗不安作用、抗うつ作用、抗痙攣作用、筋肉弛緩作用及び神経保護作用を発揮することは知られている(例えば、ハンガリー国特許第155,572号、第179,018号、第191,698号、第191,702号、第195,788号及び第206,719号明細書及び国際公開第WO/01422号明細書、等)。
ある種の2,3-ベンゾジアゼピン誘導体は、AMPA受容体を競合的に阻害することにより、その活性を発揮することが知られている(Donovan S.D.ら, J. Pharmacol. Exp. Ther. 271, 25-29, (1994))。
さらに、AMPAタイプのグルタミン酸受容体が、中枢神経系の急性及び慢性疾患において重要な役割を果たすことは知られている。このようにして、AMPA受容体を阻害することによって、筋肉弛緩作用、神経保護作用及び抗痙攣作用が達成される。
本発明の1態様によれば、一般式(I)
Figure 2007501216
[ここで、Rは、低級アルキル基又は一般式
-NH-R1
(ここで、R1は低級アルキル基又は低級シクロアルキル基である)で表される基である]で表される新規の8-クロロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体又はその薬学上許容される酸付加塩が提供される。
この明細書の中で使用する用語の解釈は、下記のとおりである:
用語「低級アルキル」は、好ましくは、炭素原子1〜6個を含有する直鎖状又は分枝状の飽和アルキル基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル基、等)を意味する。
用語「低級シクロアルキル」は、炭素原子3〜7個を含有する環状炭化水素基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル基、等)を意味する。
用語「薬学上許容される酸付加塩」は、薬学上許容される酸にて形成された塩に関し、該塩は、一般式(I)で表される対応する塩基の生物学的特性を有する。塩の形成については、無機酸又は有機酸のいずれもが使用される(例えば、塩酸、臭化水素、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、等)。
一般式(I)において、Rとして、低級アルキル基、好ましくは、炭素原子1〜4個を含有するアルキル基(特に、メチル基又はエチル基)を含有する化合物又はその薬学上許容される塩は、本発明の化合物のサブグループに属する。
本発明による化合物の他のサブグループは、一般式(I)において、Rが、−NH-R1(ここで、R1は、C1〜4アルキル又はC3〜6シクロアルキル、特に、メチル基又はシクロプロピル基である)である化合物、さらに、これら化合物の薬学上許容される塩によって代表される。
本発明による化合物の特に好適な代表的なものは、下記の誘導体である:
1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸メチルアミド;
1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸シクロプロピルアミド;
3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン;
3-プロピオニル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン;
又はこれら化合物の薬学上許容される酸付加塩。
本発明の他の態様によれば、一般式(I)[ここで、Rは、低級アルキル基又は一般式
-NH-R1
(ここで、R1は低級アルキル基又は低級シクロアルキル基である)で表される基である]で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩を製造する方法であって、
a)一般式(II)
Figure 2007501216
(ここで、Rは上記のとおりである)で表される化合物を還元するか;又は
b)一般式(I)において、Rとして、一般式
−NH-R1
(ここで、R1は上記のとおりである)で表される基を含有する化合物[すなわち、一般式(III)
Figure 2007501216
(ここで、R1は上記のとおりである)で表される化合物]を製造するため、一般式(IV)
Figure 2007501216
(ここで、Yは低級アルキル基又は脱離基である)で表される化合物を、一般式(V)
H2N-R1
(ここで、R1は上記のとおりである)で表されるアミンと反応させ;
所望により、このようにして得られた一般式(I)で表される化合物を、その薬学上許容される塩に転化することを特徴とする一般式(I)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩の製法が提供される。
本発明による製法の方法a)によれば、一般式(II)(ここで、Rは上記のとおりである)で表される化合物を還元する。この還元は、それ自体公知の方法によって行われる。1具体例によれば、接触水素化によって行われる。触媒として、例えば、ラネーニッケル、担体上に支持したパラジウム又は白金が使用される。水素源としては、水素、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ギ酸、ギ酸トリアルキルアンモニウム又はアルカリ金属ギ酸塩が使用される。還元剤として、塩化スズ(II)又は亜ジチオン酸ナトリウムも使用される。
本発明による製法の方法b)によれば、一般式(IV)で表される化合物を、一般式(V)で表されるアミンと反応させて、一般式(III)で表される化合物(すなわち、Rとして、−NH-R1基を含有する一般式(I)で表される化合物)を生成する。一般式(IV)において、Yは、低級アルキル基又は脱離基である。脱離基は、好ましくは、ハロゲン原子(例えば、臭素又はヨウ素)、アリールオキシ基(例えば、任意に置換されたフェノキシ基、好ましくは、フェノキシ基)又は低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、等)である。方法は、文献に記載されているように、それ自体公知の方法によって行われる(Houben-Weyl: アミン, vol. XI, Georg Verlag, Stuttgart, (1957);S. Patai: アミン基の化学, Interscience Publishers, (1968))。
反応は、プロトン性溶媒中(好ましくは、低級アルカノール中、特に、エタノール中)、又は過剰量の一般式(V)で表されるアミン中で行われる。反応は、温度−20〜+150℃、好ましくは、20〜60℃において行われる。
所望により、このようにして得られた一般式(I)で表される化合物を、その薬学上許容される酸付加塩に転化する。塩の形成は、それ自体公知の方法によって行われる。塩の形成に使用される無機酸又は有機酸を、一般式(I)で表される化合物の不活性有機溶媒溶液に添加するか、又は塩形成のために使用する酸の不活性有機溶媒溶液を適用する。
本発明による方法のための原料物質として使用される一般式(II)で表される化合物は、これまでのところ、文献に記載されていない。
従って、本発明の他の態様によれば、一般式(II)(ここで、Rは前記のとおりである)で表される新規の化合物が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、一般式(VIII)
Figure 2007501216
(ここで、Yは脱離基である)で表される化合物が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、一般式(II)(ここで、Rは前記のとおりである)で表される化合物を製造する方法であって、式(VII)
Figure 2007501216
で表される化合物を、Y基を導入することが可能な試薬と反応させ、このようにして得られた一般式(VIII)で表される化合物を、一般式(V)で表されるアミンと反応させることを特徴とする一般式(II)で表される化合物の製法が提供される。
方法の第1工程では、式(VII)で表される2,3-ベンゾジアゼピン誘導体から、該誘導体を、Y基を導入することが可能な試薬と反応させることによって、一般式(VIII)で表される化合物が形成される。Yは低級アルキル基又は脱離基を表す。脱離基は、好ましくは、ハロゲン原子(例えば、臭素又はヨウ素)、アリールオキシ基(例えば、任意に置換されたフェノキシ基、好ましくは、フェノキシ基)又は低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、等)である。方法は、文献に記載されているように、それ自体公知の方法によって行われる(Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, Carbonsaure und Carbonsaure-derivative, Band E5;S. Patai: アミドの化学, Interscience Publishers, (1970))。このように、Yとしてフェノキシ基(脱離基)を含有する化合物の場合、アシル化は、好ましくは、塩基(好ましくは、トリエチルアミンの如き有機塩基)の存在下、反応混合物の沸点において、フェニルクロロホルメートを使用して行われる。Yとしてアルキル基を含有する化合物の場合には、反応は、好ましくは、温度100〜150℃において、好適なカルボン酸無水物(例えば、無水酢酸又は無水プロピオン酸)を使用して行われる。カルボン酸無水物は、反応媒体としても機能し、通常、他の溶媒を使用する必要はない。
ついで、このようにして得られた一般式(VIII)で表される化合物を、一般式(V)で表されるアミンと反応させる。反応は、一般式(IV)で表される化合物と一般式(V)で表される化合物との反応に関して上述したようにして行われる。
既に述べたように、一般式(I)で表される化合物は、有用な薬理特性を有しており、特に、中枢神経系の疾患(AMPA/kainate受容体阻害剤の投与によって治療される)の治療及び予防に使用される。次の表示は、具体的に例示するものである:癲癇、筋肉の痙攣を伴う疾患、卒中、脳及び脊髄の損傷を伴う事故、多発性硬化症、ギランバレー症候群、運動ニューロン疾患(筋萎縮性側索硬化症:ALS)、パーキンソン病及び他の神経保護疾患。
本発明のさらに他の態様によれば、有効成分として、一般式(I)(ここで、Rは上記のとおりである)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩を、好適な不活性の固体又は液体キャリヤー及び/又は補助剤及び所望であれば他の薬学的に有効な成分との混合物として含有する医薬組成物が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、前記医薬組成物を製造する方法であって、一般式(I)(ここで、Rは上記のとおりである)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩を、不活性の固体又は液体キャリヤー及び/又は補助剤及び所望であれば他の薬学的に有効な成分と混合し、及び得られた混合物を製剤することを特徴とする医薬組成物の製法が提供される。
本発明による医薬組成物は、製薬工業において一般的に適用される方法によって調製される。
本発明の医薬組成物は、経口投与(例えば、錠剤、被覆錠剤、カプセル、丸薬、溶液、懸濁液又はエマルジョン)、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内又は腹腔内用の注射溶液)、直腸内投与(例えば、座剤)又は局所投与(例えば、軟膏)に適する。固体又は液体の医薬組成物は、製薬工業において一般的に適用される方法によって調製される。
経口投与用の固体医薬組成物は、結合剤(例えば、ゼラチン、ソルビット、ポリビニルピロリドン、等)、キャリヤー(例えば、ラクトース、グルコース、デンプン、リン酸カリウム)、打錠補助剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、二酸化ケイ素、等)及び湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、等)を含有できる。
経口投与用の医薬組成物は、例えば、懸濁剤(例えば、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、等)、乳化剤(例えば、ソルビタンモノオレエート、等)、溶媒(例えば、水、オイル、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール)及び保存料(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、等)を含有する、例えば、溶液、懸濁液又は液体エマルジョンでもよい。
非経口投与用の医薬組成物は、一般に、水中又は等張塩化ナトリウム溶液中に有効成分を含有する無菌溶液である。
直腸内投与用の医薬組成物は、座剤の調製に通常使用される基材(例えば、カカオ脂、等)に分散された有効成分を含有する。
本発明による医薬組成物は、製薬工業において一般的に使用されている方法によって調製される。一般式(I)又はその薬学上許容される酸付加塩を、不活性の固体又は液体の調剤用キャリヤー及び補助剤と混合し、混合物を製剤する。各種の医薬処方及びその調製法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18版, Mack Publishing Co., Easton, 米国 (1990)に開示されている。
本発明の医薬組成物は、通常、一般式(I)で表される化合物、その薬学上許容される酸付加塩又はその第4級アンモニウム誘導体0.1〜95.0質量%を含有する。一般式(I)で表される化合物の日用量は、いくつかのファクター、例えば、有効成分の活性、投与方法、治療される疾患の重篤性、患者の一般的状態、年齢及び体重に左右される。大人の経口投与量は、一般に、0.5〜1000 mg/日、好ましくは、20〜200 mg/日であり、1回で又は数回に分けて患者に投与される。緊急の場合には、単回用量10〜1000 mgを投与できる。
グルタミン酸塩は、中枢神経系における最も重要な刺激ニューロン伝達物質である。グルタミン酸塩の作用は、イオンチャンネルに結合されるNMDA、AMPA及びkainateタイプの受容体によって仲介される。2,3-ベンゾジアゼピン構造を持つ、AMPA/kainate受容体の非競合阻害剤は、著しい筋肉弛緩、神経保護及び抗痙攣作用を発揮し、このように、AMPA/kainate受容体の阻害が好ましいことが明らかな全ての疾患において潜在的に適用される。このような疾患は、例えば、癲癇、筋肉の痙攣を伴う疾患、各種の神経変性疾患、卒中、等である。
驚くべきことには、一般式(I)で表される2,3-ベンゾジアゼピンの非競合AMPA拮抗作用の有効性には変化がなく、しかも、延長された投与の間にも、示されるその毒性は無視できるものであることを見出し、本発明に至った。
方法:
ニワトリの網膜における「拡延性抑制」テスト
Sheardown(1993)に従って実験を行った。
ニワトリ(Shaver Rdebrow, 4〜7日)をジエチルエーテルにて麻酔し、首を切った。眼球を摘出し、赤道面に沿って切断した。前部及びガラス体を除去し、眼球の後部を、次の組成:NaCl 100 mM, KCl 3mM, CaCl2 1mM, MgSO4 1mM, NaHCO3 30mM, D-グルコース10mM, pH7.3のリンゲル溶液中に入れた。90分間の殺菌期間後、5μM S-AMPAにて惹起された拡延性抑制(SD)の潜時を、室温において測定した。
潜時の最初の読みをコントロール値とした。ついで、テスト化合物を含有するリンゲル溶液中において、網膜を15分間インキュベートし、テスト化合物の存在下におけるSDの潜時を測定した。薬剤フリーのリンゲル溶液中において、網膜を60分間インキュベートした後、薬剤作用からの回復度を評価するために、SDを測定した。拡延性抑制の潜時の30秒以上延長を阻害100%として記録した。
参考文献:
Sheardown, M.J., 1993, ニワトリの網膜における拡延性抑制のトリガリング:A pharmacological Study, Brain Res. 607, 189-194
マウスにおける最大電気ショック(NES)テスト
Swinyardら(1952)に従って実験を行った。体重20〜25gの雄NMRIマウスを、容積10ml/kgで腹腔内投与したテスト化合物にて処置した。30分後、角膜の電極を通して、50Hz、40mA、0.4秒間の電気ショックを与え、全てのマウスにおいて、後肢の強直性伸筋痙攣の有無を観察した。動物が後肢における強直性伸筋痙攣を示した場合、反応が陽性であり、この応答を起こさない場合、反応が陰性である。各グループにおいて、陽性反応を示した動物の数を計数した。50%の阻害(ED50)を生ずるテスト物質の用量を、Litchfield and Wilcoxon (1949)の方法に従って算定した。
参考文献:
Litchfield, J.T., Wilcoxon, F., 1949, 用量−作用実験を評価するための単純化した方法, J. Pharmacol. Exp. Ther. 96, 99-113(1949);
Swinyard, E.A., Brown, W.C., Goodman, L.S., 1952, マウス及びラットにおける抗癲癇剤の対比評価, J. Pharmacol. 106, 319-330(1952)
マウスにおける永久局所脳虚血
これらの実験では、Karkoutlyら(1990)の変法を使用した。体重30〜35gの雄NMRIマウスを、500 mg/kg(20ml/kg)で腹腔内投与した2,2,2-トリブロモエタノールにて麻酔した。Welshら(1987)に従って、外科手術を行った。頭蓋骨に穴を開けた後、中大脳動脈の末端枝を電気凝固した。手術後30分の時点で、テスト化合物を腹腔内投与した。2日後、ペントバルビタールナトリウム(120 mg/kg;腹腔内)にて、動物を深く麻酔した。心臓の左心室を通って、脳を2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム塩化物(TTC)の4%溶液にて潅流した。1時間後、動物の首を切り、脳を取出し、数分間、氷冷却した生理食塩水に入れた。ついで、脳を、8%ホルマリン溶液中で24時間固定した。壊死した(TTCにて染色されない)脳の表面積を、イメージ分析コンピューターシステム(Windows(登録商標)4.0用のDigiCell)にて測定した。ANOVA及び続くDuncanテストを使用して、統計学的に有意性を評価した。
結果
1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3-メチルカルバモイル-3H-2,3-ベンゾジアゼピンは、既に壊死した表面積を、用量0.3mg/kg(腹腔内)にて、統計学的に有意に減少させたが、対照化合物、7-アセチル-5-(4-アミノフェニル)-8-メチル-7H-1,3-ジオキソロ-[4,5-h][2,3]-ベンゾジアゼピンは、10mg/kg(腹腔内)においてのみ同様の効果を生じた(表1)。
Figure 2007501216
7-アセチル-5-(4-アミノフェニル)-8-メチル-7H-1,3-ジオキソロ-[4,5-h][2,3]-ベンゾジアゼピン(本発明による一般式(I)で表される化合物と同様の化学構造を持つ非キラル化合物)の薬理学的テストは、1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3-メチルカルバモイル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(本発明によって提供される化合物)が、神経保護テストにおいて、驚くほど大きな程度の改善をなすことを示した。これは、全く予測されないことである。この結果に基づき、2,3-ベンゾジアゼピンの化学構造を持つ本発明による一般式(I)で表される化合物は、特に、ニューロンの損失によって特徴付けられる脳の疾患、主に、卒中、脳及び脊髄の損傷、多発性硬化症、ギランバレー症候群、運動ニューロン疾患(ALS)、パーキンソン病及び他の神経保護疾患、等の治療に好適である。
参考文献:
Karkoutly, C., Backhauss, C., Nuglisch, J., Krieglstein, J., マウスにおける中大脳動脈閉塞後の梗塞を起こした区域の測定:スクリーニングモデル, In Krieglstein, J., Oberpichler, H編, Pharmacology of Cerebral Ischemia 1990, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart, 63-69 (1990);
Welsh, F.A., Sakamoto, T., McKee, A., Sims, R.E., マウスにおける虚血の間のピリジンヌクレオチドの安定性に対するラクトアシドーシスの影響, J. Neurochem. 49, 846-851 (1987)
ラットにおける毒作用の研究
この研究を、雌Wistarラットにおいて行った。第1の処置の前日に、全ての動物を秤量し、ランダムに処置グループ(動物10匹/グループ)に割り振った。テスト化合物を0.4%ヒドロキシメチルセルロース溶液(Methocell F4 M, Daw Chemical Company, USA)に懸濁させ、1日1回、7日間経口投与した。実施例8及び9による非キラル化合物の用量は15mg/kg/日である。
コントロールグループの動物を、ビヒクルにて措置した。動物の体重を毎日記録した。体重増加は、最初の日の体重と最終の日の体重との差である。テスト化合物の毒性を、体重の減少又はマイナスの体重増加として示した。
結果を表2に示す。
Figure 2007501216
上記表において:
SD=拡延性(ニワトリの網膜において):AMPA受容体作動薬S-AMPAは、眼杯の縁から始まって、網膜全体まで拡大する光学密度におけるゆっくりと進行する変化を惹起する。AMPA/kainate受容体拮抗薬は、この進行を遅らせることができる。
MES=最大電気ショック(マウスにおいて):角膜の電極を介してマウスに与えた充分な電流強度の電気ショックは、後肢の強直性伸筋痙攣を生ずる。
BWG=体重増加:実験初日及び実験最終日における体重の差を、平均±平均の標準誤差として示す。
上記の結果は、本発明の2,3-ベンゾジアゼピン誘導体が、AMPA/kainate受容体阻害に関する通常のインビトロ及びインビボ作用を生ずることを表している。一方、本発明の化合物は、雌Wistaラットに7日間投与される際にも、体重増加は実質的に変動せず、すなわち、これら化合物は毒作用を生じない。これらの結果は、一般式(I)で表される化合物が強いAMPA/kainate拮抗作用を生ずるが、長期間の投与の際にも、その毒作用はほとんど無視できる程度であることを示している。
本発明の化合物は、グルタミン酸伝達系の病態生理学的役割又は機能不全が証明又は前提とされ、AMPA/kainate受容体の阻害が有利である中枢神経系の疾患の治療に有用である。このように、本発明の2,3-ベンゾジアゼピン誘導体は、AMPA/kainate受容体の阻害剤の投与が、治療作用を発揮し、これを持続することに関して有益である中枢神経系疾患の治療に有効に使用される。一般式(I)で表される化合物は、特に、次の適応症:癲癇、痙性硬直、卒中、脳及び脊髄の損傷、多発性硬化症、ギランバレー症候群、運動ニューロン疾患(ALS)、パーキンソン病及び他の神経保護疾患に投与される。
本発明のさらに他の態様によれば、医薬成分としての、一般式(I)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩の使用が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、AMPA/kainate受容体阻害活性を有する化合物の投与による中枢神経系疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、一般式(I)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩を、薬学上有効な量で投与することを特徴とする治療法が提供される。
本発明の更なる詳細は、下記の実施例において見られるはずであるが、発明の保護の範囲は、これら実施例に限定されない。
3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン
無水酢酸15ml中に8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-5H-2,3-ベンゾジアゼピン1.5g(4.6ミリモル)を含有する溶液を、130〜140℃の油浴において、5時間攪拌する。反応混合物を、砕いた氷約200gに注ぎ、分離した結晶を濾取する。粗製生成物をアセトニトリルから再結晶する。このようにして、融点192〜194℃を有する所望の化合物0.78g(46%)が得られる。
元素分析:C19H16ClN3O3(369.81)
理論値:C61.71%,H4.36%,N11.36%,Cl 9.59%
測定値:C60.02%,H4.53%,N11.08%,Cl 9.71%
IR(KBr):1681, 1527, 1333, 1309
1H-NMR(DMSO-d6):δ8.06(d, J=8.4Hz, 1H), 7.66(dd, J1=2.2Hz, J2=8.4Hz, 1H), 7.63(~s, 1H), 7.50(m, 2H), 7.20(~s, 1H), 6.65(s, 1H), 2.55(s, 3H), 2.22(s, 3H), 2.17(s, 3H)
13C-NMR(DMSO-d6):δ169.00, 150.24, 145.85, 140.50, 137.83, 134.34, 133.95, 133.18, 131.37, 130.77, 130.31, 130.07, 128.95, 124.80, 123.70, 22.05, 19.48, 19.22
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3-プロピオニル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン
無水プロピオン酸18ml中に8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-5H-2,3-ベンゾジアゼピン1.78g(5.4ミリモル)を含有する溶液を、130〜140℃の油浴において、4時間攪拌する。反応混合物を、砕いた氷約100gに注ぎ、初めにジクロロメタン50mlで、ついで、ジクロロメタン20mlずつで2回抽出する。有機相を、初めに飽和炭酸ナトリウム溶液30ml、ついで、水30mlずつで3回洗浄し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥する。蒸発後得られた粘性物質を、カラムクロマトグラフィーによって精製し、粗製生成物をエタノールから再結晶する。このようにして、融点134〜138℃を有する所望の化合物1.01g(49%)が得られる。
元素分析:C20H18ClN3O3(383.84)
理論値:C62.58%,H4.73%,N10.95%,Cl 9.24%
測定値:C62.06%,H4.76%,N10.85%,Cl 9.14%
IR(KBr):1676, 1521, 1349
1H-NMR(DMSO-d6):δ8.07(d, J=8.4Hz, 1H), 7.68(dd, J1=2.2Hz, J2=8.4Hz, 1H), 7.62(d, J=1.4Hz, 1H), 7.52(d, J=8.2Hz, 1H), 7.49(dd, J1=1.6Hz, J2=8.3Hz, 1H), 7.20(d, J=2.1Hz, 1H), 6.65(s, 1H), 2.65(m, 2H), 2.55(s, 3H), 2.17(d, J=0.7Hz, 3H), 1.03(s, 3H)
13C-NMR(DMSO-d6):δ150.25, 140.53, 137.82, 134.38, 133.90, 133.18, 131.35, 130.74, 130.30, 129.98, 128.92, 124.80, 123.65, 123.04, 26.81, 19.49, 19.24, 8.61
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸フェニルエステル
フェニルクロロホルメート28.85 ml(228.5ミリモル)及びトリエチルアミン6.34 ml(45.7ミリモル)の混合物中において、8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-5H-2,3-ベンゾジアゼピン15g(45.7ミリモル)を3.5時間沸騰させる。反応混合物をシクロヘキサン150 mlにて希釈し、溶媒をデカントして、分離した油状生成物を分け、残渣をジクロロメタンに溶解し、初めに飽和炭酸水素ナトリウム溶液にて、ついで、水にて洗浄し、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥する。蒸発後、粗製生成物をエタノールから再結晶する。このようにして、融点188〜190℃を有する所望の化合物(黄色)11.86g(58%)が得られる。
元素分析:C24H18ClN3O4(447.877)
理論値:C64.36%,H4.05%,N 9.38%,Cl 7.92%
測定値:C64.16%,H4.01%,N 9.33%,Cl 7.90%
IR(KBr):3440, 1730, 1333, 1209
1H-NMR(CDCl3):δ7.98(d, J=8.5Hz, 1H), 7.64(d, 1H), 7.50(dd, J1=2.1Hz, J2=8.5Hz, 1H), 7.15-7.46(m, 8H), 6.43(q, J=0.9Hz, 1H), 2.63(s, 3H), 2.39(d, J=1.2Hz, 3H)
13C-NMR(CDCl3):δ166.99, 151.01, 150.89, 150.49, 144.91, 140.58, 137.55, 134.51, 134.37, 133.91, 131.73, 131.28, 130.23, 130.15, 129.38, 128.78, 125.75, 124.69, 123.61, 121.57, 20.27, 19.93
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸メチルアミド
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン3-カルボン酸フェニルエステル11.86g(26.4ミリモル)を、メチルアミン43ml(〜8M)のエタノール溶液と共に、室温において24時間攪拌する。分離した結晶を濾取し、エタノールにて洗浄する。このようにして、融点196〜198℃を有する所望の化合物(黄色)8.87g(87%)が得られる。
元素分析:C19H17ClN4O3(384.821)
理論値:C59.30%,H4.45%,N14.56%,Cl 9.21%
測定値:C57.73%,H4.35%,N14.06%,Cl 9.01%
IR(KBr):3383, 1670, 1515, 1344, 853
1H-NMR(CDCl3):δ8.00(d, J=8.2Hz, 1H), 7.41(m, 3H), 7.20(d, J=8.2Hz, 1H), 6.99(d, J=2.1Hz, 1H), 6.22(s, 1H), 6.06(bq, J=4.3Hz, 1H), 2.97(d, J=4.9Hz, 3H), 2.64(s, 3H), 2.24(d, J=0.9Hz, 3H)
13C-NMR(CDCl3):δ166.55, 156.30, 150.18, 148.15, 140.89, 138.49, 135.02, 133.91, 133.65, 131.12, 131.01, 130.02, 129.65, 128.18, 124.83, 121.57, 26.91, 20.40, 19.78
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸シクロプロピルアミド
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸フェニルエステル2.07g(4.6ミリモル)を、シクロプロピルアミン10m中で10時間沸騰させる。分離した結晶を濾取し、粗製生成物をエタノールから再結晶する。このようにして、融点221〜223℃を有する所望の化合物1.12g(59%)が得られる。
元素分析:C21H19ClN4O3(410.876)
理論値:C61.39%,H4.66%,N13.64%,Cl 8.63%
測定値:C61.27%,H4.65%,N13.62%,Cl 8.54%
IR(KBr):3404, 1675, 1516, 1344, 849
1H-NMR(DMSO-d6):δ8.00(d, J=8.4Hz, 1H), 7.80(d, J=1.1Hz, 1H), 7.62(dd, J1=2.2Hz, J2=8.4Hz, 1H), 7.59(dd, J1=1.7Hz, J2=8.5Hz, 1H), 7.44(d, J=8.5Hz, 1H), 7.14(d, J=2.2Hz, 1H), 7.08(bq, J=2.6Hz, 1H), 6.45(s, 1H), 2.60(m, 1H), 2.54(s, 3H), 2.12(s, 3H), 0.65(m, 2H), 0.59(m, 2H)
13C-NMR(DMSO-d6):δ166.53, 156.16, 150.00, 147.66, 140.47, 138.45, 135.46, 134.16, 132.97, 130.93, 130.39, 129.98, 129.37, 129.14, 124.49, 121.91, 23.20, 19.44(2C), 6.47
3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン
3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン0.78g(2.1ミリモル)を、メタノール15ml及びジクロロメタン15mlの混合物中に溶解し、続いて、溶液に、激しく攪拌しながら、湿ったラネーニッケル触媒約0.5g及び98%ヒドラジン水和物0.26 ml(5.25ミリモル)を添加する。混合物をさらに1時間攪拌する。触媒を濾取し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残渣を、水15mlにて摩擦することによって固化させる。粗製生成物をエタノールから再結晶する。このようにして、融点209〜211℃を有する所望の化合物0.56g(79%)が得られる。
元素分析:C19H18ClN3O(339.83)
理論値:C67.16%,H 5.34%,N12.37%,Cl 10.43%
測定値:C65.87%,H 5.46%,N12.21%,Cl 10.26%
IR(KBr):3388, 3344, 3236, 1646, 1388
1H-NMR(DMSO-d6):δ7.60(dd, J1=2.3Hz, J2=8.4Hz, 1H), 7.45(d, J=8.4Hz, 1H), 7.26(d, J=2.2Hz, 1H), 7.13(~s, 1H), 6.95(dd, J1=1.8Hz, J2=8.2Hz, 1H), 6.61(d, J=8.3Hz, 1H), 6.58(s, 1H), 5.55(bs, 2H), 2.16(s, 3H), 2.10(s, 3H), 2.06(s, 3H)
13C-NMR(DMSO-d6):δ171.00, 168.15, 150.08, 146.10, 137.84, 135.80, 131.89, 130.42, 130.32, 129.57, 129.47, 123.35, 122.82, 120.55, 113.09, 21.79, 18.94, 17.56
1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3-プロピオニル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3-プロピオニル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン1.01g(2.63ミリモル)を、メタノール20ml及びジクロロメタン5mlの混合物中に溶解し、続いて、溶液に、激しく攪拌しながら、湿ったラネーニッケル触媒約0.5g及び98%ヒドラジン水和物0.33 ml(6.57ミリモル)を添加する。混合物をさらに1時間攪拌し、触媒を濾取し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残渣を、水10mlにて摩擦することによって固化させる。粗製生成物をエタノールから再結晶する。このようにして、融点218〜221℃を有する所望の化合物0.51g(55%)が得られる。
元素分析:C20H20ClN3O(353.85)
理論値:C67.89%,H 5.70%,N11.87%,Cl 10.02%
測定値:C66.72%,H 5.82%,N11.55%,Cl 9.88%
IR(KBr):3352, 1639, 1323
1H-NMR(DMSO-d6):δ7.60(dd, J1=2.3Hz, J2=8.4Hz, 1H), 7.45(d, J=8.4Hz, 1H), 7.25(d, J=2.2Hz, 1H), 6.95(dd, J1=2.0Hz, J2=8.3Hz, 1H), 6.61(d, J=8.3Hz, 1H), 6.58(s, 1H), 5.56(bs, 2H), 2.60(m, 1H), 2.35(m, 1H), 2.16(d, J=0.7Hz, 3H), 2.06(s, 3H), 0.98(t, J=7.5Hz, 3H)
13C-NMR(DMSO-d6):δ171.26, 171.10, 150.11, 146.21, 137.86, 135.86, 131.85, 130.43, 130.32, 129.57, 129.47, 123.33, 122.85, 120.56, 113.07, 26.73, 18.97, 17.59, 8.77
1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸メチルアミド
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸メチルアミド10.89g(28ミリモル)を、メタノール190 ml及びジクロロメタン95mlの混合物中に溶解し、続いて、溶液に、激しく攪拌しながら、湿ったラネーニッケル触媒約5.0g及び98%ヒドラジン水和物3.5ml(70ミリモル)を添加する。混合物をさらに1時間攪拌し、触媒を濾取し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残渣を、水100 mlにて摩擦することによって固化させる。粗製生成物をエタノールから再結晶する。このようにして、融点210〜212℃を有する所望の化合物7.73g(78%)が得られる。
元素分析:C19H19ClN4O(354.838)
理論値:C64.31%,H 5.40%,N15.79%,Cl 9.99%
測定値:C63.99%,H 5.33%,N15.69%,Cl 9.97%
IR(KBr):3465, 3397, 3378, 1668, 1507, 1318
1H-NMR(CDCl3):δ7.35(dd, J1=2.2Hz, J2=8.3Hz, 1H), 7.21(m, 2H), 7.16(d, J=8.3Hz, 1H), 7.07(dd, J1=2.1Hz, J2=8.3Hz, 1H), 6.64(d, J=8.2Hz, 1H), 6.21(s, 1H), 6.04(bq, J=4.9Hz, 1H), 3.93(bs, 2H), 2.94(d, J=4.9Hz, 3H), 2.24(d, J=1.0Hz, 3H), 2.18(s, 3H)
13C-NMR(CDCl3):δ169.67, 156.64, 147.72, 147.35, 138.52, 136.28, 131.79, 130.45, 130.30, 130.09, 129.49, 129.42, 125.98, 121.72, 121.60, 114.07, 26.78, 19.42, 17.28
1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸シクロプロピルアミド
8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸シクロプロピルアミド1.38g(3.35ミリモル)を、メタノール28ml及びジクロロメタン14mlの混合物中に溶解し、続いて、溶液に、激しく攪拌しながら、湿ったラネーニッケル触媒約1.0g及び98%ヒドラジン水和物0.42 ml(8.37ミリモル)を添加する。混合物をさらに1時間攪拌し、触媒を濾取し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発させ、残渣を、水10mlにて摩擦することによって固化させる。粗製生成物をエタノールから再結晶する。このようにして、融点233〜236℃を有する所望の化合物1.15g(90%)が得られる。
元素分析:C21H21ClN4O(380.876)
理論値:C66.22%,H 5.56%,N14.71%,Cl 9.31%
測定値:C66.16%,H 5.60%,N14.78%,Cl 9.27%
IR(KBr):3394, 3333, 1669, 1506
1H-NMR(DMSO-d6):δ7.55(dd, J1=2.0Hz, J2=8.3Hz, 1H), 7.37(d, J=8.4Hz, 1H), 7.21(s, 1H), 7.16(d, J=2.0Hz, 1H), 7.04(dd, J1=1.6Hz, J2=8.2Hz, 1H), 6.75(bd, J=2.7Hz, 1H), 6.59(d, J=8.3Hz, 1H), 6.37(s, 1H), 5.47(bs, 2H), 2.58(m, 1H), 2.11(s, 3H), 2.05(s, 3H), 0.60(m, 4H)
13C-NMR(DMSO-d6):δ168.73, 156.44, 149.69, 147.69, 138.49, 136.92, 132.08, 129.95, 129.78, 129.56, 129.14, 122.92, 121.47, 120.38, 112.96, 23.15, 19.07, 17.45, 6.42

Claims (14)

  1. 一般式(I)
    Figure 2007501216
    [ここで、Rは、低級アルキル基又は一般式
    -NH-R1
    (ここで、R1は低級アルキル基又は低級シクロアルキル基である)で表される基である]で表される8-クロロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体又はその薬学上許容される酸付加塩。
  2. 一般式(I)におけるRがC1〜4アルキル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学上許容される酸付加塩。
  3. 一般式(I)におけるRがメチル基又はエチル基である、請求項2記載の化合物又はその薬学上許容される酸付加塩。
  4. 一般式(I)におけるRが、一般式
    -NH-R1
    (ここで、R1はC1〜4アルキル基又はC3〜6シクロアルキル基である)で表される基である、請求項1記載の化合物又はその薬学上許容される酸付加塩。
  5. R1がメチル基又はシクロプロピル基である、請求項4記載の化合物又はその薬学上許容される酸付加塩。
  6. 1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸メチルアミド;
    1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸シクロプロピルアミド;
    3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン;又は
    3-プロピオニル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-3H-2,3-ベンゾジアゼピン;又は
    その薬学上許容される酸付加塩
    である、請求項1〜5いずれかに記載の化合物又はその薬学上許容される酸付加塩。
  7. 一般式(I)[ここで、Rは、C1〜6アルキル基又は一般式
    -NH-R1
    (ここで、R1はC1〜6アルキル基又はC3〜7シクロアルキル基である)で表される基である]で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩化合物を製造する方法であって、
    a)一般式(II)
    Figure 2007501216
    (ここで、Rは上記のとおりである)で表される化合物を還元するか;又は
    b)一般式(I)において、Rとして、一般式
    −NH-R1
    (ここで、R1は上記のとおりである)で表される基を含有する化合物[すなわち、一般式(III)
    Figure 2007501216
    (ここで、R1は上記のとおりである)で表される化合物]を製造するため、一般式(IV)
    Figure 2007501216
    (ここで、Yは低級アルキル基又は脱離基である)で表される化合物を、一般式(V)
    H2N-R1
    (ここで、R1は上記のとおりである)で表されるアミンと反応させ、
    所望により、このようにして得られた一般式(I)で表される化合物を、その薬学上許容される塩に転化することを特徴とする、化合物又はその薬学上許容される酸付加塩の製法。
  8. 有効成分として、一般式(I)(ここで、Rは請求項1に記載のとおりである)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩を、不活性の固体又は液体キャリヤー及び/又は補助剤及び所望であれば他の薬学的に有効な成分との混合物として含有することを特徴とする、医薬組成物。
  9. 請求項8記載の医薬組成物を製造する方法であって、一般式(I)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩を、不活性の固体又は液体キャリヤー及び/又は補助剤及び所望であれば他の薬学的に有効な成分と混合し、及び得られた混合物を製剤することを特徴とする、医薬組成物の製法。
  10. 一般式(I)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩の、医薬成分としての使用。
  11. AMPA/kainate受容体阻害活性を有する化合物の投与による中枢神経系疾患の治療法において、このような治療を必要とする患者に、一般式(I)で表される化合物又はその薬学上許容される酸付加塩を、薬学上有効な量で投与することを特徴とする、中枢神経系疾患の治療法。
  12. 一般式(II)(ここで、Rは請求項1記載のとおりである)で表される化合物。
  13. 一般式(VIII)
    Figure 2007501216
    (ここで、Yは離脱基である)で表される化合物。
  14. 請求項12記載の一般式(II)(ここで、Rは請求項12記載のとおりである)で表される化合物を製造する方法であって、式(VII)
    Figure 2007501216
    で表される化合物を、Y基を導入することが可能な試薬と反応させ、このようにして得られた一般式(VIII)で表される化合物を、一般式(V)で表されるアミンと反応させることを特徴とする、一般式(II)で表される化合物の製法。
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