JP2007334085A - 液晶表示装置、及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】1/4波長板における温度依存性による表示ムラを低減することで、より高視野角で高コントラストを得る、半透過反射型の液晶表示装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】誘電異方性が負の液晶を有した液晶層50を挟持する一対の基板10,25と、一対の基板10,25における外側に順に積層された、法線方向に光軸を有する負のCプレート17,37と逆波長分散特性を有する1/4波長板16,36と偏光板20,38とを具備し、1つの画素領域内にて透過表示と反射表示とを行う半透過反射型の液晶表示装置100である。1/4波長板16,36は、波長450nm及び波長590nmにおける位相差値の比が0.8以上1.0以下であり、かつ波長590nmにおける位相差値が135nm以上145nm以下であり、Cプレート17,37の固有屈折率が1.45以上1.65以下である。
【選択図】図3

Description

本発明は、垂直配向(VA)モードを採用した液晶表示装置及び電子機器に関し、反射型表示と透過型表示の両方の構造を具備させた半透過反射型の液晶表示装置において、広視野角かつ高コントラストな反射表示と透過表示を得られるようにした技術に関する。
反射表示と透過表示の2つの表示方式を兼ね備えた、いわゆる半透過反射型の液晶表示装置は、周囲の明るさに応じて反射モードまたは透過モードのいずれかの表示方式に切り替えることにより、消費電力を低減しつつ周囲が暗い場合でも明瞭な表示を行うことができるものである。
下記の特許文献1に開示された半透過反射型の液晶表示装置は、液晶パネルと偏光板との間に位相差板を配置し、高輝度で高コントラストな表示を可能としている。このような位相差板としては、1/4波長板、1/2波長板あるいはこれらを組み合わせたものがある。
このような半透過反射型の液晶表示装置は、例えば携帯電話等の電子機器の表示部として利用され、この場合、屋内や屋外を問わず広い温度環境下においても良好な表示を得ることが望まれている。
特開2003−98523号公報
しかしながら、1/4波長板は温度依存性があるため、例えば液晶表示装置の周辺の温度が高くなると表示ムラが発生して表示品位を低下させるといった問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、1/4波長板における温度依存性による表示ムラを低減することで、より高視野角で高コントラストを得る、半透過反射型の液晶表示装置、及び電子機器を提供することを目的としている。
本発明の液晶表示装置は、誘電異方性が負の液晶を有した液晶層を挟持する一対の基板と、該一対の基板の外側に順に積層された、法線方向に光軸を有する負のCプレートと逆波長分散特性を有する1/4波長板と偏光板とを具備し、1つの画素領域内にて透過表示と反射表示とを行う半透過反射型の液晶表示装置において、前記1/4波長板は、波長450nmにおける位相差値をR(450)とし、波長590nmにおける位相差値をR(590)としたとき、R(450)/R(590)の比が0.8以上1.0以下であり、かつ波長590nmにおける位相差値が135nm以上145nm以下であり、前記Cプレートの固有屈折率が1.45以上1.65以下であることを特徴とする。
本発明の液晶表示装置によれば、最適化された逆分散特性を有した1/4波長板と最適化された固有屈折率を有したCプレートとを組み合わせることで、後述するように1/4波長板の温度依存性に起因する表示ムラを低減でき、より高視野角で高コントラストな表示を行うことができる。
前記液晶表示装置によれば、少なくとも表示領域側における、前記偏光板と前記1/4波長板との間に、法線方向に光軸を有する正のCプレートが設けられているのが好ましい。
この構成によれば、正のCプレートにより偏光板の視野角を補償でき、液晶表示装置の高視野角化を実現できる。
前記液晶表示装置によれば、前記偏光板は基材及び偏光層が積層されてなり、前記基材は厚み方向における位相差を有しないのが好ましい。
この構成によれば、偏光板を構成する基材の厚み方向の位相差を無くすことができるので、これにより視覚補償機能が高まり、液晶表示装置のさらなる高視野角化を実現できる。
本発明の電子機器は、上記の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器によれば、高視野角で高コントラストの表示が可能な表示部を具備した電子機器を提供することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図面において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
図1は本実施形態に係る液晶表示装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットの等価回路図、図2は本液晶表示装置の1画素領域の構造を示す平面図であって、図3は液晶表示装置の構造を示す断面図であって、図2のA−A´線に沿う部分断面図である。
本実施形態の液晶表示装置100は、スイッチング素子としてのTFTを備えるアクティブマトリクス方式の半透過反射型の液晶表示装置である。本実施の形態の液晶表示装置100において、図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。また、走査線3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークするのを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。なお、符号3bは容量線である。
次に、図2に基づいて、本実施形態の液晶表示装置100の画素構成について説明する。図2(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置100では、互いに平行に延在する走査線3aと、これらの走査線に交差して延在するデータ線6aとに囲まれた平面視矩形状の領域がサブ画素領域D1〜D3とされ、1つのサブ画素領域に対応して3原色のうち1色のカラーフィルタが形成され、3つのサブ画素領域D1〜D3で3色のカラーフィルタ22R,22G,22Bを含む画素領域を形成している。なお、これらのカラーフィルタ22R,22G,22Bは、それぞれ図示上下方向に延びるストライプ状に形成され、その延在方向で各々複数のサブ画素領域に跨って形成されるとともに、図示左右方向にて周期的に配列されている。
サブ画素領域D1〜D3に設けられた画素電極9は、各サブ画素領域内に形成されたスリット19により複数(本実施形態では3つ)のサブピクセル(島状部)29a,29b,29bに分割され、各サブピクセルは中央部で連結されている(連結部)。図示上側のサブピクセル29aはAl(アルミニウム)やAg(銀)等の光反射性の金属膜若しくはこれらの金属膜とITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜との積層膜からなる。このサブピクセル29aは反射電極として機能し、このサブピクセル29aの形成された領域が反射表示領域Rとなる。反射電極の表面には凹凸形状が付与されており、この凹凸によって反射光が散乱されることで、視認性の良い表示が得られるようになっている。
また、図示下側の2つのサブピクセル29b,29bはITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなり、このサブピクセル29b,29bの形成された領域が透過表示領域Tとなる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置100は、1つのサブ画素領域内に反射表示を行なう反射表示領域Rと透過表示を行なう透過表示領域Tとを備えた半透過反射型の液晶表示装置であり、表示可能な領域の略1/3の面積が反射表示に寄与し、残りの略2/3の面積が透過表示に寄与するようになっている。図2では、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界を一点鎖線で示している。なお、サブピクセルとサブピクセルを連結する連結部はITO等の透明導電膜からなり、この連結部も透過表示に寄与するようになっている。それぞれのサブピクセル29a,29b,29bの中央部には、液晶の配向を規制するための配向規制手段である誘電体の突起18が配設されている。各サブピクセル29a,29b,29bの角部には面取り等が施され、サブピクセル29a,29b,29bは平面視略八角形状ないし略円形状とされている。
図示上方側のサブピクセル29aと、走査線3a、データ線6aとの間に、TFT30が介挿されている。TFT30は、アモルファスシリコンの半導体層33と、該半導体層33の下層側(基板本体10A側)に設けられたゲート電極32と、半導体層33の上層側に設けられたソース電極34と、ドレイン電極35とを備えて構成されている。半導体層33のゲート電極32と対向する領域にTFT30のチャネル領域が形成されており、その両側の半導体層には、ソース領域、及びドレイン領域が形成されている。
ゲート電極32は、走査線3aの一部をデータ線6aの延在方向に分岐して形成されており、その先端側で半導体層33と図示略の絶縁膜を介して対向している。ソース電極34は、データ線6aの一部を走査線3aの延在方向に分岐して形成されており、図示略のコンタクトホールを介して半導体層33のソース領域と電気的に接続されている。ドレイン電極35の一端側は、図示略のコンタクトホールを介して前記ドレイン領域と電気的に接続されており、ドレイン電極35の他端側は、直接又はコンタクトホールCを介してサブピクセル29a(画素電極9)と電気的に接続されている。
そして、TFT30は、走査線3aを介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線6aを介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込めるようになっている。
一方、図3に示す断面構造を見ると、液晶表示装置100は、素子基板10と、これに対向配置された対向基板25とを備え、前記基板10,25間に初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶を有した液晶層50が挟持されている。素子基板10の外面側にあたる液晶セルの外側には、照明手段として光源、リフレクタ、導光板などを有するバックライト(図示略)が設置されている。なお、符号51にて示す略棒状の楕円体は、垂直配向された液晶分子を概念的に示すものである。このように本実施形態に係る液晶表示装置100は、垂直配向モード(VA方式)の液晶層50を備える垂直配向型の液晶表示装置であって、かつ上述したように反射表示及び透過表示を可能にした半透過反射型の液晶表示装置である。
素子基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aを基体としてなり、基板本体10Aの内面側(液晶層側)に図示されない走査線が形成されている。そして、この走査線の一部はゲート電極32として機能し、該ゲート電極32を覆ってゲート絶縁膜14が形成されている。そして、ゲート絶縁膜14上にアモルファスシリコンの半導体層33が形成されており、半導体層33に一部乗り上げるようにしてソース電極34と、ドレイン電極35とが形成されている。
前記TFT30を覆って酸化シリコン等からなる層間絶縁膜15が形成されており、該層間絶縁膜15上に画素電極9が形成されている。前記層間絶縁膜15を貫通して、ドレイン電極35に達するコンタクトホールCが形成されており、このコンタクトホールC内に画素電極9が一部埋設されることで、画素電極9とTFT30とが電気的に接続されている。また、図示は省略したが、画素電極9及び層間絶縁膜15を覆ってポリイミド等の垂直配向膜が形成されており、液晶分子51の初期配向を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。
対向基板25は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体25Aを基体としてなる。基板本体25Aの内面側には、反射表示領域R及び透過表示領域Tに跨ってカラーフィルタ22が設けられている。カラーフィルタ22は互いに色の異なる複数種類のカラーフィルタ(着色層)22R,22G,22Bからなり、これらカラーフィルタ22を構成する各カラーフィルタ22R〜22Bの間には必要に応じて黒色樹脂等からなる遮光層(ブラックマトリクス)が配置される。
カラーフィルタ22の内面側には反射表示領域Rに対応して絶縁膜40が選択的に形成されている。このようにサブ画素領域内に部分的に形成された絶縁膜40により、液晶層50の層厚が反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異なった状態となっている。絶縁膜40は、アクリル樹脂等の透明な有機材料膜を用いて形成されている。絶縁膜40は、例えば膜厚が2μm±1μm程度に形成され、絶縁膜40が存在しない部分の液晶層50の厚みは2μm〜6μm程度であり、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分となっている。つまり、絶縁膜40は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとにおける液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能し、これによりマルチギャップ構造を実現するものとなっている。本例の液晶表示装置100は、このような構成により明るく高コントラストの表示が得られるようになっている。なお、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近には、絶縁膜40の層厚が連続的に変化している傾斜面が形成されており、さらに隣接するサブピクセル間を連結している線状の電極膜(連結部)とも平面的に重なっている。
さらに基板本体25Aの内面側には、カラーフィルタ22と絶縁膜40の表面を覆って対向電極31が形成されている。対向電極31は平面ベタ状のITO等からなる透明導電膜であり、係る対向電極31上の画素電極9と対向する位置に、液晶層50に突出する誘電体突起18が設けられている。誘電体突起18の断面形状は略三角形で図示しているが、実際にはなだらかな曲面形状で形成される。透過表示領域Tには、2つのサブピクセル29b,29bの各々に対応して、それらの中央部に対向する位置にそれぞれ1つずつ誘電体突起18が形成されており、反射表示領域Rには、サブピクセル29aに対応して、その中央部に対向する位置(絶縁膜40上)に誘電体突起18が1つ形成されている。
これらの誘電体突起18は、樹脂等の誘電体材料からなり、マスクを用いたフォトリソグラフィ等によって形成することができる。本実施形態では、ノボラック系のポジ型フォトレジストを用いて高さ1.2μm、直径12μmの誘電体突起18を反射表示領域Rと透過表示領域Tに対して一括で形成している。例えば、レジストを現像後に220℃でポストベークすることで、なだらかな突起形状を得ることができる。この誘電体突起18の高さは透過表示用として最適に設定されたものとなっている。
また図示は省略したが、対向電極31及び誘電体突起18を覆ってポリイミド等の垂直配向膜が形成されており、液晶分子51の初期配向を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。
対向基板25の外側には、面内法線方向に光軸を有するネガティブCプレート(負のCプレート)37と、可視光の波長に対して略1/4波長の位相差を有するλ/4板(1/4波長板)36と、特定方向に振動する直線偏光のみを透過させる上側偏光板(偏光板)38とが順に積層配置されている。一方、素子基板10の外側には上記対向基板25と同様に、ネガティブCプレート(負のCプレート)17とλ/4板(1/4波長板)16と下側偏光板(偏光板)20とが順に積層配置されている。
上記λ/4板16,36としては、その波長分散が逆分散特性を示すものを用い、具体的には450nmにおける面内位相差値R(450)と590nmにおける面内位相差値R(590)の比:R(450)/R(590)(以下、波長分散Xと称す)が、0.8以上1.0以下となるものを採用することができ、具体的に本実施形態では0.88のものを用いた。λ/4板16,36は、逆波長分散特性を示すので、可視光の波長に対して略1/2波長の位相差を有するλ/2板を併用することを要しない。よって、光が透過する位相差板の数を低減させることで表示品位低下の防止、及び液晶表示装置100の小型化が図られている。なお、上記λ/4板16,36は、ポリカーボネイト等を用いて製造される。
ところで、液晶表示装置100の反射表示領域RにおけるコントラストCRはλ/4板36における波長分散Xに依存する。なお、液晶表示装置100の透過表示領域Tにおけるコントラストは、λ/4板16,36における波長分散Xに依存することがない。
具体的に、反射表示領域RにおけるコントラストCRと波長分散Xとは以下に示される関係となっている。
波長分散;X コントラスト;CR
0.8<X 35<CR
0.8≦X≦1.0 35≧CR≧25
1.0>X 25>CR
波長分散Xが0.8に近づくとコントラストCRが高く(CR=35)なる。そのため、λ/4板16,36における波長分散としては、0.8に近い値とすることが好ましく、後述する表示ムラを抑え、高いコントラストを得るためには、0.85程度とするのが最も好ましい。
なお、本実施形態では、対向基板25側に設けられたλ/4板36と素子基板10側に設けられたλ/4板16との波長分散Xが同じになっているが、それぞれの波長分散が上記範囲を満たしていれば、互いの基板10,25における波長分散Xが異なっていてもよい。この場合、反射表示領域RでのコントラストCRを高めるために、液晶表示装置100における画像表示領域側、すなわち対向基板25側のλ/4板36の波長分散Xを0.8近傍の値に設定するのが望ましい。
また、上記λ/4板16,36は、波長590nmにおける位相差値が135nm以上145nm以下となっている。また、上記波長分散Xが大きくなる(1.0に近づく)に従って、波長590nmにおける位相差値が小さくなる(135nmに近づく)。反対に、上記上記波長分散が小さくなる(0.8に近づく)に従って、波長590nmにおける位相差値が大きくなる(145nmに近づく)。
次に、上記ネガティブCプレート17、37について説明すると、Cプレートの主面の法線方向をZ軸、Cプレートにおける遅相軸方向をX軸、該遅相軸と直交する方向をY軸をとり、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとしたとき、nx=ny>nzの関係にある、光学的に負の一軸性を有するものである。
上記ネガティブCプレート17、37は、固有屈折率が1.45以上1.65以下となっているのが好ましい。このような範囲にネガティブCプレートの固有屈折率を規定することで、ネガティブCプレート17、37内を光が透過する際の屈折が抑えられ、屈折による視野角特性への影響を低減することができる。
ネガティブCプレート17、37におけるZ方向の位相差値(Rth)は、下記式(1)で表される値であり、90nm以上150nm以下の範囲とするのが好ましく、本実施形態では120nmとした。なお、液晶層50の位相差は400nmとなっている。
Rth=((nx+ny)/2−nz)・d
液晶表示装置100は、上記ネガティブCプレート17、37を備えることで、斜め方向から見た場合に液晶分子の等方性が崩れることに起因する視野角特性の悪化が防止されたものとなっている。
次に、液晶表示装置100における各光学軸の関係について説明する。
上記λ/4板16,36の光軸と、上記偏光板20,38の偏光軸とが略45°の角度をなすように配置され、偏光板20,38およびλ/4板16,36は協働して円偏光板として機能する。この円偏光板により、直線偏光を円偏光に変換し、円偏光を直線偏光に変換し得るようになっている。また、上記偏光板20,38は、互いの透過軸が直交するように配置されている。
具体的には図4に示すように、上述した素子基板10に設けられた走査線3aの延在方向(図2参照)を基準(0°)とし、該基準から反時計回りを正とした場合、対向基板25側から、上側偏光板38の偏光軸が165°、λ/4板36の光軸が30°、λ/4板16の光軸が120°、下側偏光板20の偏光軸が75°に設定した。
ところで、液晶表示装置は、高温下にて表示ムラが発生する。これは、液晶表示装置に設けられているλ/4板が温度依存性を有するのが原因と考えられる。
ここで、逆波長分散特性を示すλ/4板の温度依存性について説明する。
図5は、波長分散の異なるλ/4板を備えた液晶表示装置において、50℃、及び70℃にて発生する表示ムラの状態をグレースケール表示で示す図である。なお、図5は、波長分散が0.796、0.88、1.03の場合を示している。ここで、波長分散が0.88の場合は、本実施形態に係る液晶表示装置100の各温度での表示ムラを示している。また、波長分散0.796、1.03の液晶表示装置は、上記液晶表示装置100に対してλ/4板における波長分散が異なる以外は同一の構成となっている。
図5に示すように、波長分散が0.796、すなわち0.8以下の場合、温度が70℃に上昇すると表示ムラが大きくなる。一方、上記波長分散が0.88の場合(本実施形態に係る液晶表示装置100)であれば、表示ムラの発生を実使用上問題がない程度に抑えることができる。よって、逆波長分散特性を示すλ/4板の波長分散が0.8以上であれば、温度上昇による表示ムラの発生を抑えることができる。また、波長分散が1.03の場合、温度が70℃に上昇しても表示ムラが起こり難いが、このλ/4板は逆波長分散特性を有しない。波長分散が0.88である液晶表示装置100のλ/4板16,36は、温度による位相差特性が変化し難い材料から構成されたものとなっている。
本実施形態に係る液晶表示装置100は、波長分散が0.8以上1.0以下となる逆波長分散特性を示すλ/4板16,36を備えているので、温度に起因する表示ムラが防止される。また、このλ/4板16,36に最適化された固有屈折率を有したネガティブCプレート17,37を組み合わせたことで、高視野角かつ高コントラストな表示を行うことができる。
(表示動作)
次に本実施形態の液晶表示装置100の表示動作について説明する。
まず、透過モードにおいては、バックライトから照射された光は、下側偏光板20およびλ/4板16を透過して円偏光に変換され、ネガティブCプレート17を透過して液晶層50に入射する。電圧無印加時において基板と垂直に配向している液晶分子には屈折率異方性がほとんどないので、入射光は円偏光を保持したまま液晶層50を進行する。さらにネガティブCプレート37及びλ/4板36を透過した入射光は、上側偏光板38の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は上側偏光板38を透過しないので、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧無印加時において黒表示が行われる(ノーマリーブラック表示)。
一方、液晶層50に電界を印加すると、液晶分子が基板面方向に倒れるように配向して、透過光に対する屈折率異方性を呈する。そのため、バックライトから液晶層50に入射した円偏光は、液晶層50を透過する過程で楕円偏光に変換される。この入射光がネガティブCプレート37、及びλ/4板36を透過しても、上側偏光板38の透過軸と直交する直線偏光には変換されず、その全部または一部が偏光板37を透過する。したがって、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時において白表示が行われる。また係る構成のもと液晶層50に印加する電圧を調整することにより、階調表示を行うことが可能である。この際、本実施形態では、液晶分子51はサブピクセル29bの輪郭に対して垂直方向に傾倒する。また、各サブピクセル29b,29bの中央部に対向する位置に誘電体突起18,18が配置されているので、誘電体突起18の周辺では、電圧無印加時には液晶分子51が誘電体突起18の傾斜面と垂直に配向し、電圧印加時には図3に示すように誘電体突起18から外側に向かって液晶分子51が倒れ、それを中心とした平面放射状に液晶分子51が配向する(図2(a)参照)。したがって、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時に液晶分子51のダイレクタが全方位に向くこととなり、視野角の極めて広い表示が実現される。なお、透過表示領域Tには全体にカラーフィルタ22が配置されているので、サブピクセル29b,29bを透過した光は全て着色された光となる。
次に、反射モードにおいては、対向基板25の外側から入射された外光は、上側偏光板38およびλ/4板36を透過して円偏光に変換され、ネガティブCプレート37を透過して液晶層50に入射する。電圧無印加時において基板と垂直に配向している液晶分子には屈折率異方性がほとんどないので、入射光は円偏光を保持したまま液晶層50を進行してサブピクセル29a(反射電極)に到達する。そしてサブピクセル29aにより反射されて液晶層50に戻り、再びλ/4板36に入射する。このとき、サブピクセル29aにより反射された円偏光は、その回転方向が反転しているので、λ/4板36を透過する際に上側偏光板38の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は上側偏光板38を透過しないので、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧無印加時において黒表示が行われる(ノーマリーブラック表示)。
一方、液晶層50に電界を印加すると、液晶分子が基板面方向に倒れるように配向して、透過光に対する屈折率異方性を呈する。そのため、対向基板25の外側から液晶層50に入射した円偏光は、液晶層50を透過する過程で直線に変換されてサブピクセル29a(反射電極)に到達する。そして、サブピクセル29aにより反射された後、液晶層50及びネガティブCプレート37を透過して再びλ/4板36に入射する。この反射光は、先の入射光と同じ回転方向の円偏光であるためλ/4板36により上側偏光板38の透過軸と平行な直線偏光に変換されていることから前記上側偏光板38を透過する。したがって、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時において白表示が行われる。また、このような構成のもと液晶層50に印加する電圧を調整することにより、階調表示を行うことが可能である。
この際、本実施形態では、液晶分子51はサブピクセル29aの輪郭に対して垂直方向に傾倒する。また、サブピクセル29aの中央部に対向する位置に誘電体突起18が配置されているので、誘電体突起18の周辺では、電圧無印加時には液晶分子51が誘電体突起18の傾斜面と垂直に配向し、電圧印加時には図3に示すように誘電体突起18から外側に向かって液晶分子51が倒れ、それを中心とした平面放射状に液晶分子51が配向する(図2(a)参照)。したがって、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時に液晶分子51のダイレクタが全方位に向くこととなり、視野角の極めて広い表示が実現される。
これらの表示形態において、反射表示領域Rにおいては入射光が液晶層50を2回透過するが、透過表示領域Tに関してはバックライトから発せられた光が液晶層50を1回しか透過しない。したがって、反射表示領域Rと透過表示領域Tとでは、液晶層50のリタデーション(位相差値)の違いにより液晶の透過率の状態に違いを生じる。
しかしながら、本実施形態の構造では反射表示領域Rに液晶層厚調整用の絶縁膜40を形成することにより、反射表示領域Rと透過表示領域Tにおけるリタデーションの最適化を図り、反射表示領域R及び透過表示領域T共に明るく高コントラストの表示が得られるようになっている。
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置100によれば、熱による表示ムラを防止するように最適化された波長分散を有するλ/4板16,36と最適化された固有屈折率を有するネガティブCプレート17,37とを組み合わせることで、高視野角かつ高コントラストな表示ができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る液晶表示装置の第2の実施形態について説明する。図6は本実施形態に係る液晶表示装置200の概略断面構造を示す説明図である。
図6に示すように、本実施形態の液晶表示装置200と上記第1の実施形態に係る液晶表示装置100との違いは、対向基板25を構成する上側偏光板38とλ/4板36との間にポジティブCプレート39が設けられている点においてのみ異なっており、それ以外の構成及び光学軸の配置等は共通となっている。
ここで、ポジティブCプレート39について説明すると、Cプレートの法線方向をZ軸、Cプレートにおける遅相軸方向をX軸、該遅相軸と直交する方向をY軸をとり、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとしたとき、nx=ny<nzの関係にある、光学的に正の一軸性を有するものである。
このようにポジティブCプレート39を設けることで、上側偏光板38における視野角を補償することができる。したがって、本実施形態に係る液晶表示装置200は、上記第1の実施形態に係る液晶表示装置100に比べて、より高い視野角を備えたものとなる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る液晶表示装置の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る液晶表示装置300と上記第1の実施形態に係る液晶表示装置100とは、偏光板の構成が異なっており、その他の構成は同様であるため説明を省略する。
第1の実施形態に係る液晶表示装置100が備える偏光板は、PVA(ポリビニルアルコール)等の偏光層をTAC(トリアセチルセルロース)等からなる基材上に積層することで構成されている。この基材は、厚み方向に位相差を有しているため、液晶表示装置における視覚補償機能を低下させる原因となる。
そこで、本実施形態に係る偏光板20,38は、図7に示すように、その厚み方向における位相差を有しない材料からなる基材20a(38a)上に偏光層20b(38b)を積層することで構成されている。したがって、本実施形態の偏光板20,38は、基材20a(38a)特有の厚み方向の位相差が生じないので視覚補償機能が高まり、液晶表示装置300のさらなる高視野角化を実現できる。このような構成からなる偏光板は、少なくとも液晶表示装置の表示領域側、すなわち対向基板25側における偏光板に採用すればよい。なお、偏光板20,38を位相差を生じない偏光層20b(38b)のみから構成するようにしてもよい。また、上記第2の実施形態に係る液晶表示装置200における偏光板に適用することもできる。
(電子機器)
図8は、本発明に係る液晶装置を表示部に備えた電子機器の一例である携帯電話の斜視構成図であり、この携帯電話1300は、本発明の液晶装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記実施の形態の液晶装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、明るく、高コントラストであり、かつ広視野角の透過/反射表示が可能になっている。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、前述した各実施形態において、液晶層厚調整層やカラーフィルタ22の配置は任意である。液晶層厚調整層は素子基板側若しくは対向基板側のいずれに配置してもよく、双方に配置することもできる。同様に、カラーフィルタ22は対向基板側だけでなく、素子基板側に配設することも可能である。
また、前記実施形態では、液晶の配向規制手段として略円錐状の誘電体突起18をサブピクセルの中央部に配置したが、この代わりに、サブピクセルの外周部に沿って細長い壁状の突起を形成し、これを配向制御手段として用いてもよい。この細長い突起は前述した略円錐状の突起18と同様の作用効果を奏する。また、液晶駆動用の電極(画素電極9や対向電極31)の一部を切り欠いて形成したスリット状の開口部(電極スリット)を配向規制手段として用いても良い。電極スリットは突起では原理は異なるものの略同様の作用を示す。さらに、配向規制手段は突起と電極スリットの組み合わせであってもよい。
また、前記実施形態では、画素駆動用の素子としてアモルファスシリコンからなるTFTを用いたが、この代わりにポリシリコンからなるTFT、あるいはTFD(Thin Film Diode)を用いてもよい。
第1の実施形態に係る液晶表示装置における等価回路を示す図である。 1画素領域の構造を示す平面図である。 図2のA−A´線に沿う断面構造図である。 液晶表示装置における各光学軸の配置例を示す図である。 液表表示装置における温度に起因する表示ムラを示す図である。 第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。 第3の実施形態に係る液晶表示装置の偏光板の構成を示す図である。 電子機器の一例を示す斜視構成図である。
符号の説明
10…素子基板(基板)、16…λ/4板(1/4波長板)、17…ネガティブCプレート(負のCプレート)、20…下側偏光板(偏光板)、25…対向基板(基板)、36…λ/4板(1/4波長板)、37…ネガティブCプレート(負のCプレート)、38…上側偏光板(偏光板)、39…ポジティブCプレート(正のCプレート)、50…液晶層、100…液晶表示装置、200…液晶表示装置、300…液晶表示装置、1300…携帯電話(電子機器)

Claims (4)

  1. 誘電異方性が負の液晶を有した液晶層を挟持する一対の基板と、該一対の基板の外側に順に積層された、法線方向に光軸を有する負のCプレートと逆波長分散特性を有する1/4波長板と偏光板とを具備し、1つの画素領域内にて透過表示と反射表示とを行う半透過反射型の液晶表示装置において、
    前記1/4波長板は、波長450nmにおける位相差値をR(450)とし、波長590nmにおける位相差値をR(590)としたとき、
    R(450)/R(590)の比が0.8以上1.0以下であり、かつ波長590nmにおける位相差値が135nm以上145nm以下であり、
    前記Cプレートの固有屈折率が1.45以上1.65以下であることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 少なくとも表示領域側における、前記偏光板と前記1/4波長板との間に、法線方向に光軸を有する正のCプレートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記偏光板は基材及び偏光層が積層されてなり、前記基材は厚み方向における位相差を有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

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