JP2007332286A - インクジェット用エマルションインク及びその製造方法、インクジェット記録方法並びに記録物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られる重縮合樹脂を含む樹脂粒子及び着色剤を含有するインクジェット用エマルションインクであって、該樹脂粒子及び着色剤が同一極性の電荷を有することを特徴とするインクジェット用エマルションインク。
【選択図】なし
Description
樹脂を含んだインク組成物としては、例えば特許文献2に顔料と樹脂エマルションとを水に分散させたインクが、特許文献3には水不溶性エマルション分散液中に顔料を分散させることが、特許文献4には特定の造膜温度を有するエマルションを使用することが、特許文献5には同様に樹脂エマルションを用いたインクが開示されている。また、特許文献6には高分子分散剤と水溶性有機溶剤とを用いた水性分散系顔料インクの提案がなされている。
また、特許文献7には樹脂エマルションを添加することによって定着性確保を目的としたインクの提案がある。しかしながら、インクの吐出安定性を向上させるために樹脂エマルションの粒子径は50nm以下と小さなものを用いる必要があった。そのためエマルション粒子が記録媒体中に奥深く浸透してしまい、画質と被膜強度が十分でないなど満足できるものでは無かった。
特許文献9には、インク中に熱可塑性樹脂成分を含有したインクを用い、熱可塑性樹脂の軟化点以上に加熱された記録媒体にインク滴を吐出して印字を行う提案がある。記録媒体を加熱することは装置が複雑になるばかりでなく、消費エネルギーも大きく好ましくない。
特許文献11には、二液を使ったインクジェット記録方式が提案されている。片側にエポキシ、片側に、エポキシと反応する成分を添加し、記録後に反応させて画像の耐久性改善を狙ったものである。この方式では装置が大型化、複雑化するとともに、吐出されるインクの総量が増えて乾燥が遅くなるといった課題があった。
特許文献12では、着色剤粒子と反対荷電を有する粒子を添加し、記録媒体に着弾した後、これらの引力によって互いの運動を束縛し、滲みを押さえる方法が提案されている。この場合、インク吐出時には、ずり速度によってインク粘度が低下するよう設計されているため、互いの粒子間の引力を精妙にコントロールする必要があるばかりか、インク吐出機構にもかなりの制限を受けるという欠点がある。
特許文献13には、水性媒体中に、着色剤及び樹脂エマルションを少なくとも含むインク組成物において、前記着色剤が荷電を有する粒子であって、前記樹脂エマルションが前記着色剤と同一極性の荷電を有することを特徴とするインク組成物が開示されている。特許文献13に記載のインク組成物では、樹脂としては乳化重合樹脂が開示されているに過ぎず、このような樹脂を使用したインク組成物では、十分な定着性を得られないという問題があった。また、エマルションの電荷は、モノマーに含まれるイオン性の官能基、重合開始剤の開始剤切片、イオン性界面活性剤等の影響を受け、安定に制御する事が困難であるという問題があった。
このように、着色剤を用いたインクジェットインクシステムにおいて、定着装置の大型化や過剰な熱エネルギーなどのシステムを引き起こす事無く、簡便な装置で、吐出安定性及び被記録材との密着性に優れたエマルションインクは知られていなかった。また、画質と耐水性に優れたエマルションインクの組成は知られていない。
<1> 重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られる重縮合樹脂を含む樹脂粒子及び着色剤を含有するインクジェット用エマルションインクであって、該樹脂粒子及び着色剤が同一極性の電荷を有することを特徴とするインクジェット用エマルションインク、
<2> 重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも一種を水系媒体中で重縮合し、樹脂エマルションを得る工程を含むことを特徴とする<1>に記載のインクジェット用エマルションインクの製造方法、
<3> インクの液滴を記録ヘッドから吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行なうインクジェット記録方法において、インクとして<1>に記載のエマルションインクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法、
<4> <3>に記載の記録方法によって得られることを特徴とする記録物。
本発明のエマルションインクは、樹脂粒子と着色剤が互いに同一極性の荷電をもっているため、静電反発力により凝集することなく安定に保たれ、また、粒子濃度が比較的高くなってもエマルションインクの粘度はあまり上昇せず、吐出ノズルへの目詰まりが著しく軽減されるという効果を奏する。このためインクジェット記録用エマルションインクとして高い安定性を確保することができる。他方、このエマルションインクが普通紙、再生紙、コート紙等の記録媒体に付着した際には、樹脂粒子のバインダー能力によって、セルロース等の記録媒体成分と結着し、強固な定着性を有することができる。
本発明のエマルションインクは、水系媒体中に着色剤及び樹脂粒子が分散している。なお、水系媒体については後述する。
具体的には、[1](a)重縮合成分(好ましくは重縮合性単量体)を必要に応じて触媒(好ましくは硫黄原子を含むブレンステッド酸)の存在下で重縮合したのち、塩基を加えて乳化し、樹脂エマルションを得る工程、及び、(b)着色剤(好ましくは有機顔料)を加えエマルションインクを作製する工程を含むエマルションインクの製造方法が例示できる。この時、エマルション樹脂粒子と着色剤は同一極性の電荷を持つ。
また、[2](a)重縮合成分(好ましくは重縮合性単量体)に必要に応じてスチレンやアクリル酸エステルなどの付加重合性単量体(好ましくはビニル系単量体)を混合し、水系媒体中に乳化し重縮合し、樹脂エマルションを作製する工程、及び、(b)着色剤(好ましくは有機顔料)を加えエマルションインクを作製する工程を含むエマルションインクの製造方法が例示できる。この時、エマルション樹脂粒子と着色剤は同一極性の電荷を持つ。ここで、工程(a)において、好ましくは硫黄酸(硫黄原子を含むブレンステッド酸)を触媒として重縮合成分を重縮合することが好ましい。また付加重合性単量体を重合させることが好ましく、ラジカル重合開始剤を用いて付加重合性単量体を重合することが好ましい。また、付加重合性単量体の重合は、重縮合の後に行うことが好ましい。
さらに、[3](a)重縮合成分(好ましくは重縮合性単量体)を触媒(好ましくは硫黄原子を含むブレンステッド酸)の存在下で重縮合したのち、さらに、(b)スチレンやアクリル酸エステルなどの付加重合性単量体(好ましくはビニル系単量体)を混合し、(c)水系媒体中に乳化し、さらに、(d)ラジカル重合開始剤を用いて付加重合性単量体(好ましくはビニル系単量体)を重合し、(e)樹脂エマルションを作製する工程、及び、(f)着色剤(好ましくは有機顔料)を加えエマルションインクを作製する工程を含むエマルションインクの製造方法が例示できる。この時、エマルション樹脂粒子と着色剤は同一の極性の電荷を持つ。
さらに本発明のエマルションインクにおいては、付加重合系樹脂(好ましくはビニル系樹脂)を重縮合樹脂粒子中に含有しても良い。
本発明において、着色剤としては染料及び顔料のいずれも使用することができるが、顔料を使用することが好ましい。
本発明で使用する着色剤としての顔料は、インク中(水系媒体中)で電荷を有して微粒子状に分散し得るもので、電荷は顔料自身の官能基によるものでも、イオン性の界面活性剤を吸着しているものでもどちらであってもよく、特に制限を受けないが、官能基を有するカーボンブラックや有機顔料が好適に用いられる。
顔料としては、広く様々な有機系及び無機系の顔料が挙げられ、有機系顔料が好ましい。これらは単独又は組み合わせて使用することができる。本発明において、顔料とは水又は有機溶媒に不溶性の着色剤を意味する。
本発明ではこのような原料顔料の表面に、ある特定の官能基を化学的に結合させることによって、水中で正又は負の電荷を持たせ、この電荷によって微粒子状に分散安定化することが好ましい。
本発明において、前記樹脂粒子は水性エマルションの形態で水に分散し得る樹脂粒子であることが好ましい。ここで「水性エマルションの形態で水に分散し得る樹脂粒子」とは、実質的に水不溶性の樹脂を水中で微粒子状に分散してなる形態を言い、一般にエマルション、ディスパージョン、ラテックスあるいはサスペンションと呼ばれるものを含む。なお、樹脂粒子が水系媒体中に分散した樹脂粒子分散液を樹脂エマルション又は樹脂粒子エマルションともいうこととする。
本発明において、樹脂粒子は、重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られる樹脂(重縮合樹脂)を含む。重縮合樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。また重縮合樹脂は、通常温度では固体であることが好ましい。
また、該樹脂粒子は着色剤と同一極性の電荷を有する。
本発明において、重縮合樹脂は重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られるが、これらの中でも重縮合性単量体を使用することが好ましい。
重縮合に用いる重縮合性単量体としては、例えば、ポリカルボン酸、ポリオール、及び、ポリアミンが挙げられる。重縮合樹脂としては、例えば、ポリエステル、及び、ポリアミド等が好ましく例示できるが、特に、重縮合性単量体としてポリカルボン酸とポリオールと含んだものを用いて得られたポリエステルであることが好ましい。これらの中でも本発明において、重縮合成分として重縮合性単量体を使用し、特に多価カルボン酸としてジカルボン酸を使用し、ポリオールとしてジオールを使用することが好ましい。
本発明において、ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環族、芳香族のポリカルボン酸、それらのアルキルエステルを含み、ポリオールは、多価アルコール、それらのエステル化合物、ヒドロキシカルボン酸などを含む。ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂は、重縮合性単量体を用いた直接エステル化反応、エステル交換反応等により重縮合を行い作製することができる。この場合、重合されるポリエステル樹脂としてはアモルファス(無定形・非晶性)ポリエステル、結晶性ポリエステル、などのいずれかの形態、又はそれらの混合形態をとることができる。
これらのポリオールは水に難溶あるいは不溶であるため、ポリオールが水に分散した懸濁液中でエステル合成反応が進行するので好ましい。
ポリアミドを得るために使用されるポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,4−ブテンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)等を挙げることができる。
結晶性ポリエステルを得るために使用される多価カルボン酸としては、上記カルボン酸のうち、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物、低級エステルあるいは酸塩化物を挙げることができる。また後述する二価以上の多価カルボン酸を併用することもできる。
上記ビスフェノール類が少なくとも一つのアルキレンオキサイド基を有することが好ましい。アルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド等を挙げることができるが、これらに限定されない。好適には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドであり、その付加モル数は1〜3が好ましい。この範囲である場合、作製するポリエステルの粘弾性やガラス転移温度がトナーとして使用するために適切に制御することができる。
これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、フェニレンジ酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。なお、低級エステルとは、炭素数1から8の脂肪族アルコールのエステルをいう。
これらの中でも非結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしてはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であることが好ましく、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物がより好ましい。また、アルキレンオキサイドは両末端換算で2モル〜4モル付加していることが好ましく、2モル又は4モル付加していることがより好ましい。
前記多価カルボン酸及びポリオールは、1種の重縮合樹脂を作製するために、それぞれ1種ずつを単独で用いても、一方が1種で他方が2種以上用いても、それぞれ2種以上ずつを用いてもよい。また、1種の重縮合樹脂を作製するためヒドロキシカルボン酸を用いる場合、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、多価カルボン酸やポリオールを併用してもよい。
ここで、非結晶性樹脂のガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本発明におけるガラス転移点の測定は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば、「DSC−20」(セイコー電子工業社製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移点を得ることができる。
また、重縮合樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を使用する場合、THF可溶分のGPC法による分子量測定で、その重量平均分子量は1,000〜60,000であることが好ましく、3,000〜50,000であることがより好ましく、5,000〜40,000であることがさらに好ましい。
重量平均分子量が上記範囲内であると、画像強度と定着性が両立できるので好ましい。
本発明において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、TSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出することができる。
さらに本発明において、エマルションの樹脂粒子は、上述した重縮合成分の単独重合体、上述した重縮合成分を含む2種以上の単量体を組み合せた共重合体、又はそれらの混合物、グラフト重合体、一部枝分かれや架橋構造などを有していても良い。
<触媒>
本発明において、重縮合触媒として硫黄酸(硫黄原子を含むブレンステッド酸)を使用することが好ましい。
(硫黄酸)
硫黄酸は硫黄原子を含むブレンステッド酸であり、硫黄酸としては、無機硫黄酸又は有機硫黄酸等が挙げられる。無機硫黄酸としては、硫酸、亜硫酸、及び、これらの塩等が挙げられ、また、有機硫黄酸としては、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、及び、これらの塩等のスルホン酸類や、アルキル硫酸、アリール硫酸及びその塩等の有機硫酸類が挙げられる。
硫黄酸としては、有機硫黄酸であることが好ましく、界面活性効果を有する有機硫黄酸であることがより好ましい。なお、界面活性効果を有する酸とは、疎水基と親水基とからなる化学構造を有し、少なくとも親水基の一部がプロトンからなる酸の構造を有し、乳化機能と触媒機能とを併せ持つ化合物である。
界面活性効果を有する有機硫黄酸としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、長鎖アルキル硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、樹脂酸アルコール硫酸、及びこれらすべての塩化合物などが挙げられ、必要に応じて複数を組み合わせてもよい。これらの中でも、アルキル基若しくはアラルキル基を有するスルホン酸、アルキル基若しくはアラルキル基を有する硫酸エステル、又は、これらの塩化合物であることが好ましく、前記アルキル基又はアラルキル基の炭素数が7〜20であることがより好ましい。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸、ナフテニルアルコール硫酸等が挙げられる。またこれらの硫黄酸はその構造中になんらかの官能基を有していてもよい。
硫黄酸の使用量が上記範囲内であると、十分な触媒活性を発揮することができるので好ましい。特に重縮合成分と共に水系媒体中に添加することにより、粒子の安定性を保ち、さらに高い重縮合反応性を有し、さらに重縮合反応を低温(好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは100℃以下)で進行させることができるので好ましい。
(界面活性効果を有する酸)
界面活性効果を有する酸としては、例えば、各種脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、樹脂酸、及びこれらすべての塩化合物などが挙げられ、必要に応じて複数を組み合わせてもよい。
金属触媒としては以下のものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えば、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機アンチモン化合物、有機ベリリウム化合物、有機ストロンチウム化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機ハロゲン化スズ化合物、希土類含有触媒を挙げられる。
希土類含有触媒としては具体的には、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド元素として、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などを含むものが有効である。これらは、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、トリフラート構造を有するものが有効であり、前記トリフラートとしては、構造式では、X(OSO2CF3)3が例示できる。ここでXは、希土類元素であり、これらの中でも、Xは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)などであることが好ましい。
また、ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54に詳しい。
樹脂中の金属含有量を10ppm以下とすることにより、エマルションインク中の樹脂粒子の安定性が向上するので好ましい。
加水分解酵素型触媒としてはエステル合成反応を触媒するものであれば特に制限はない。本発明における加水分解酵素としては、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のEC(酵素番号)3.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店、(1982)、等参照)に分類されるエステラーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分類される加水分解酵素、エポキシドヒドラーゼ等のEC3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分解酵素、フロレチンヒドラーゼ等のEC3.7群に分類される加水分解酵素等を挙げることができる。
上記のエステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く、収率良くエステル合成反応を触媒し、さらに安価に入手できることなどの利点がある。したがって、本発明においても、収率やコストの面からリパーゼを用いることが望ましい。
リパーゼには種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらに、パンクレアチン、ステアプシン等を挙げることができる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。
塩基性触媒としては、一般の有機塩基化合物、含窒素塩基性化合物、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラアルキル又はアリールホスホニウムヒドロキシドを挙げることができるがこれに限定されない。有機塩基化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類、含窒素塩基性化合物としては、トリエチルアミン、ジベンジルメチルアミン等のアミン類、ピリジン、メチルピリジン、メトキシピリジン、キノリン、イミダゾールなど、さらにナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属類及びカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類の水酸化物、ハイドライド、アミドや、アルカリ、アルカリ土類金属と酸との塩、たとえば炭酸塩、燐酸塩、ほう酸塩、カルボン酸塩、フェノール性水酸基との塩を挙げることができる。
また、アルコール性水酸基との化合物やアセチルアセトンとのキレート化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
触媒の総添加量が上記範囲内であると重縮合の反応性を十分に有する一方、逆反応や副反応を抑制することができるので好ましい。
次に、重縮合反応について説明する。
本発明においては、従来の反応温度よりも低温で重縮合反応して重縮合樹脂を得ることが好ましく、反応温度は70℃以上150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、75℃以上130℃以下であり、特に好ましくは80〜100℃である。
反応温度が70℃以上であると、重縮合成分、好ましくは重縮合性単量体の溶解性、触媒活性度の低下に起因する反応性の低下が生じず、分子量の増加が抑制されることがないので好ましい。また、反応温度が150℃以下であると、低エネルギーで製造することができるので好ましい。また、得られる樹脂の着色や、生成した重縮合樹脂の分解等を生じることがないので好ましい。
硫黄酸は160℃以上の高温では温度上昇に伴い触媒活性能力が減少していくが、触媒酸の求核付加をきっかけに反応が進む反応機構である為に、重合温度が約70℃〜約150℃と低温の範囲において触媒活性が高く、150℃以下での重縮合反応に好適に使用することができるので本発明において、重縮合触媒として好適に使用できる。
バルク重合の場合、大気圧下で反応が可能であるが、得られる重縮合樹脂の高分子量化等を目的とした場合、減圧、窒素気流下等の一般的な条件を用いることができる。
重縮合成分としては重縮合性単量体を使用することが好ましく、重縮合性単量体としてポリカルボン酸及びポリオールを使用することが好ましく、ジカルボン酸及びジオールを使用することが特に好ましい。また、触媒としては硫黄酸(硫黄原子を含むブレンステッド酸)を使用することが好ましく、重縮合は上述のように150℃以下にて行われることが好ましい。
すなわち、硫黄酸(硫黄原子を含むブレンステッド酸)を触媒とし、重縮合性単量体を150℃以下の低温で直接重合することが好ましい。
重縮合樹脂は、塩基(塩基性化合物)を加えて乳化分散することが好ましい。塩基は、水系媒体中に添加することが好ましい。塩基としては特に限定されず、公知の塩基を使用することができるが、アミン類、ピリジン類が例示でき、これらの中でもジメチルベンジルアミン、ジメチルピリジン、エタノールアミンが好ましい。
塩基の添加量は水系媒体中への良好な分散が行われる範囲で適宜選択することができるが、0.01〜20mol/Lであることが好ましく、0.1〜2mol/Lであることがより好ましい。
さらに、重縮合成分に付加重合性単量体を添加し、触媒下に重縮合した後、水系媒体中に乳化分散し、重合開始剤を用いて付加重合することもできる。
樹脂粒子が付加重合型ポリマーを含有することにより、重縮合樹脂とのハイブリッド樹脂(その粒子)を得ることができる。また、これらの付加重合性単量体は、重縮合成分の重合後、さらに新たな単量体を追加して重合を行うこともできる。
次に、水系媒体中にて行われる水中重合法について述べる。
なお、本発明において、水系媒体とは、水又は水を50重量%以上含み、水に水混和性の有機溶媒が混合されていても良い混合溶媒を意味する。混合溶媒における水の混合割合は、好ましくは60〜100重量%であり、より好ましくは、70〜100重量%である。水混和性の有機溶媒としては、エチルアルコール、メチルアルコール、アセトン、酢酸が例示でき、エチルアルコールが好ましい。水性媒体として、最も好ましくは、水であり、軟水又はイオン交換水が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
より具体的には、重縮合性単量体である多価カルボン酸とポリオール混合物に硫黄酸触媒(DBSA(ドデシルベンゼンスルホン酸)など)を加え、水系媒体中に乳化分散し、加熱撹拌下で、可能な限り150℃以下で重縮合させることで樹脂分散液を実現する方法が例示できる。
なお、乳化分散前に、ある程度重縮合反応を進行させておくことも好ましい。
重合開始剤は、重縮合前、例えば乳化分散時に水系媒体中に添加することもできるが、重縮合後に水系媒体中に添加することが好ましい。
本発明に用いることのできる付加重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体、カチオン重合性単量体、又は、アニオン重合性単量体が挙げられ、ラジカル重合性単量体であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を適宜選択して使用することができる。
具体的には、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド等のアゾビスニトリル類、アセチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、α−クミルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート等の有機過酸化物類、過酸化水素等の無機過酸化物類、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類等のラジカル重合開始剤が挙げられる。なお、レドックス重合開始剤を併用することもできる。
重合開始剤は、重縮合性単量体又は重縮合樹脂を含む混合物に添加することもできるが、水系媒体中に添加することもできる。また、双方に添加することもできる。乳化分散前に添加することもでき、乳化分散後に添加することもできる。
これらの中でも、重縮合性単量体及び付加重合性単量体を含む乳化分散液を重縮合した後、重合開始剤を水系媒体中に添加することが好ましい。
また、得られる付加重合性樹脂の重量平均分子量(Mw)は1,500〜50,000であることが好ましく、2,000〜40,000であることがより好ましい。数平均分子量(Mn)は1,000〜10,000であることが好ましく、2,000〜60,000であることがより好ましい。重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲内であると画像保管性と定着性が両立できるので好ましい。
樹脂エマルションの平均粒子径(中心径)が50〜1,000nmであると、記録媒体として普通紙を用いた場合においても、印字された後、紙の繊維の奥深く浸透することがなく、比較的表面にとどまり、樹脂エマルションの添加量が少量でも効率良く印字画像表面に被膜を形成し、本発明の目的が達成されるので好ましい。
ここで、平均粒子径とは、中心径と同義であり、体積メジアン径(D50)を意味する。体積メジアン径(D50)はレーザー回折式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
最低造膜温度(MFT)が20℃以下であると、記録媒体に印字画像を形成した後、特別な加熱手段を用いることなく、自然乾燥した場合でも、印字画像表面に前記樹脂エマルションによる樹脂被膜が形成され、表面を保護するため、印字画像が鮮やかで、耐摩耗性に優れた画像が得られるので好ましい。
最低造膜温度(MFT)は、樹脂エマルションを乾燥させたとき、き裂のない均一皮膜が形成される最低温度であり、JIS K 6828−2に従って測定される。
本発明によるエマルションインクは、前記の着色剤(好ましくは顔料)と前記の樹脂エマルションと水とを少なくとも含んでなる。エマルションインクへの着色剤の添加量は2〜15重量%が好ましく、より好ましくは4〜10重量%程度である。樹脂エマルションの添加量は樹脂成分として1〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%程度である。本発明のエマルションインクには、必要に応じて、水混和性有機溶媒を含有させ得る。なお、水、水混和性有機溶媒及びこれらの混合物を本明細書中では水系媒体と称する。
また、本発明によるエマルションインクは、粘度調整剤を含んでなることができる。その具体例としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチ等がある。
<樹脂エマルション(A1)>
ビスフェノールAのエチレンオキサイド4mol付加物 28.5重量部
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(シス体) 17.0重量部
パラトルエンスルホン酸 0.8重量部
上記の成分をフラスコ中にて混合し、マントルヒーターで120℃に加熱し、混合物を融解した後、スリーワンモーターにて撹拌・脱気しながら90℃に8時間保持すると内容物が粘調な溶融体となった。同じく90℃に加熱したイオン交換水650重量部に1N NaOH 2.0重量部を溶解した中和用水溶液をフラスコ中に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、室温水にてフラスコを冷却した。
これにより微粒子の中心径が280nm、Tg(ガラス転移点)が35℃、重量平均分子量が12,000、数平均分子量が4,500、酸価21mg/KOH、固形分量が20%の非晶性樹脂粒子エマルション(A1)を得た。
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド 2mol付加物 51.0重量部
フェニレンジ酢酸 16.8重量部
トリメリット酸無水物 2.0重量部
上記材料をフラスコ中にて混合し、マントルヒーターで120℃に加熱し、混合物を融解した後、スリーワンモーターにて撹拌・脱気しながら90℃に8時間保持すると内容物が粘調な溶融体となった。同じく90℃に加熱したイオン交換水650重量部に1N NaOH 2.0重量部を溶解した中和用水溶液をフラスコ中に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、室温水にてフラスコを冷却した。
これにより微粒子の中心径が150nm、Tg(ガラス転移点)が55℃、重量平均分子量が13,000、数平均分子量が5,500、固形分量が20%の非晶性樹脂粒子エマルション(A2)を得た。
ドデシルベンゼンスルホン酸 1.0重量部
イオン交換水 1000重量部
上記の成分を混合して溶解した。
(重縮合性単量体)
ビスフェノールAのエチレンオキサイド4mol付加物 28.5重量部
フェニレンジプロピオニック酸 17.0重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.8重量部
(ビニル単量体)
スチレン 25重量部
n−ブチルアクリレート 7重量部
アクリル酸 3重量部
以上の成分を混合し、約100℃に加熱し融解した後、上記のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらにナノマイザー乳化機(吉田機械社製)を後い、10パスの繰り返し乳化をおこなった後、窒素雰囲気下で乳化物を撹拌しながらフラスコ中で80℃に維持し、8時間保持した。さらに、ラジカル重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.35重量部を溶解したイオン交換水10重量部を添加し、80℃でさらに5時間保持した。
これにより微粒子の中心径が280nm、ポリエステル樹脂のTgが41℃、重量平均分子量が6,500、数平均分子量が1,400であり、固形分量が25%の樹脂粒子エマルション(A3)を得た。またこのときスチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸の共重合体は、Tgが43℃、重量平均分子量が12,000、数平均分子量が3,900であった。
シクロヘキサンジメタノール 39.8重量部
ネオペンチルグリコール 4.0重量部
シクロヘキサンジカルボン酸 15.5重量部
分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5重量部
上記材料を三口リアクターに投入し、120℃で10時間撹拌混合した。GPCにて分子量を測定したところ、Mw5,850、Mn1,800のオリゴマーが合成されていることが明らかとなった。この組成物にアミノ樹脂としてのブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂(スーパーベッカミン J−820・60)(大日本インキ化学工業株式会社製)15重量部を添加し、80℃の温度で4時間保持した。かくして、部分的に架橋せしめたアミノ変性ポリエステル樹脂(プレポリマー)が得られた。
これにより微粒子の中心径が450nm、Tgが45℃、重量平均分子量が20,000、数平均分子量が3,600、固形分量が20%の樹脂粒子エマルション(A4)を得た。
スチレン 25重量部
スチレンスルホン酸ナトリウム 5重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.6重量部
過硫酸カリウム 0.2重量部
イオン交換水 69.2重量部
上記組成物を、窒素気流下70℃で12時間撹拌し、樹脂エマルションを得た。これにより微粒子の中心径が28nm、Tgが95℃、重量平均分子量が18,000、数平均分子量が4,100、固形分量が20%の樹脂粒子エマルション(A5)を得た。
メタクリル酸エチル 30重量部
過硫酸カリウム 0.1重量部
イオン交換水 69.9重量部
上記組成物を、窒素気流下70℃で12時間撹拌し、樹脂エマルションを得た。これにより微粒子の中心径が74nm、Tgが−5℃、重量平均分子量が14,000、数平均分子量が5,900、固形分量が20%の樹脂粒子エマルション(A6)を得た。
<最低造膜温度(MFT)>
樹脂エマルションをガラス板上に薄く塗布し、温度勾配をかけて乾燥させ、白い粉状の析出物があったところと、透明な薄膜が形成されたところの境界の温度を最低造膜温度(MFT)とした。
示差走査熱量測定法(DSC)により測定した。
<平均粒子径(中心径)>
光散乱式粒度分布測定装置により測定した。
ゼータ電位計(Zetasizer 11、MAIVERN 社製)によりエマルションのゼータ電位を測定した。測定は5回以上行い平均値を計算した。
ラテックス(樹脂粒子)の極性は、ゼータ電位計により測定できるが、本測定法はインクに対しても適用可能である。すなわち、インク10gをガラス試験管に秤取しKOKUSAN H18の12本アングルタイプのローターにセットし、2,000×g で30分間、遠心処理を行うと、試験管上層部にラテックスの上澄みが生じ、顔料成分沈降した。この上澄み部のゼータ電位からラテックスの極性を、顔料部を採取し顔料の極性を測定する事ができる。
結果を表1記載する。
<実施例1>
下記処方のエマルションインクを作製し、pHが8.2になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行ないエマルションインク1を得た。
スルホン基付加型カーボンブラック 7.5重量%
(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製) (カーボン量として)
グリセリン 5重量%
ジエチレングリコール 15重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
2−ピロリドン 2重量%
イソプロピルアルコール 1重量%
樹脂エマルション(A1) 6重量%
(固形分として)
イオン交換水 残量
下記の処方により、実施例1と同様の方法を用いてエマルションインク2を作製した。
4級アンモニウム基付加型カーボンブラック 5重量%
(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製) (カーボン量として)
グリセリン 5重量%
ジエチレングリコール 15重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.5重量%
2−ピロリドン 2重量%
アルギン酸ナトリウムNSPLL 0.15重量%
(株式会社紀文フードケミファ製)
樹脂エマルション(A4) 5重量%
(固形分として)
イオン交換水 残量
実施例1で使用した樹脂エマルション(A1)を樹脂エマルション(A2)に代えた以外は、実施例1と同様にしてエマルションインク3を調製した。
実施例1で使用した樹脂エマルション(A1)を樹脂エマルション(A3)に代えた以外は、実施例1と同様にしてエマルションインク4を調製した。
実施例1で使用した樹脂エマルション(A1)を樹脂エマルション(A4)に代えた以外は、実施例1と同様にしてエマルションインク5を調製した。
実施例2で使用した樹脂エマルション(A4)を樹脂エマルション(A5)に代えた以外は、実施例2と同様にしてエマルションインク6を調製した。
実施例2で使用した樹脂エマルション(A4)を樹脂エマルション(A6)に代えた以外は、実施例2と同様にしてエマルションインク7を調製した。
実施例1で使用した樹脂エマルション(A1)を樹脂エマルション(A5)に代えた以外は実施例1と同様にしてエマルションインク8を調製した。
実施例1で使用した樹脂エマルション(A1)を樹脂エマルション(A6)に代えた以外は実施例1と同様にしてエマルションインク8を調製した。
実施例及び比較例にて調製したエマルションインクを用いてインクジェットプリンタIPSiO JET 300(株式会社リコー製)にて普通紙に印字した。
なお、本実施例において、吐出後の加熱処理は行わなかった。
<吐出安定性>
全ノズルから吐出していることを確認後、テストパターンを連続20枚印字し、印字中、又は印字後の全ノズルからのインク吐出を調べた。
○:吐出不良はなかった
△:不吐出ノズルが1〜5あった
×:不吐出ノズルが5以上あった
印字物を消しゴム(ライオン製、#501)で、押し圧50gにて10往復こすり、試験前後の印字濃度を分光測定濃度計(X−Rite製、#938)を用いて測定し、残存率として評価した。これにより、被記録材との密着性を評価することができる。
残存率
○:>80%
△:60%〜80%
×:<60%
印字画像上に水を1滴落とし、自然乾燥した後、画像の滲み(インクの流れ)を目視で判定し、3段階評価した。
A:ほとんど滲まず良好
B:やや滲む
C:滲み大
得られた画像について、以下の評価基準にて画質の評価を行った。6ポイントの「鬱」を印字しグレード判断した。
A:明確に判読可能
B:やや滲みがみられる
C:潰れて判読不可
Aを合格とした。
結果を表2に示す。
Claims (4)
- 重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られる重縮合樹脂を含む樹脂粒子及び着色剤を含有するインクジェット用エマルションインクであって、
該樹脂粒子及び着色剤が同一極性の電荷を有することを特徴とする
インクジェット用エマルションインク。 - 重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも一種を水系媒体中で重縮合し、樹脂エマルションを得る工程を含むことを特徴とする
請求項1に記載のインクジェット用エマルションインクの製造方法。 - インクの液滴を記録ヘッドから吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行なうインクジェット記録方法において、インクとして請求項1に記載のエマルションインクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項3に記載の記録方法によって得られることを特徴とする記録物。
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