JP2007331704A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低μ路においても速やかに車両姿勢の安定化を図ることのできる車両用操舵装置を提供すること。
【解決手段】IFS制御演算部35は、上記OS制御中の運転者によるカウンタ操舵を検出するカウンタ操舵検出手段としてのカウンタ操舵検出部77を備える。また、車両モデル演算部61は、車両が定常円旋回にある場合の目標状態量の値(定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cy)を演算する定常円旋回値演算部78を備えるとともに、同車両モデル演算部61には、カウンタ操舵検出部77の出力するカウンタ信号S_csが入力される。そして、車両モデル演算部61は、このカウンタ信号S_csがカウンタ操舵の終了を示す場合、その車両モデル演算の基礎となる該目標状態量(目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0)の前回値Ry0_b,θsp0_bを該前回値よりも反カウンタ方向を示す値に置換する。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両用操舵装置に関するものである。
近年、車速やヨーレイト等の車両状態量と車両の運動状態との関係をモデル化した車両モデル(車両運動モデル)に基づいて車両のヨーモーメントを制御すべく転舵輪の舵角(転舵角)を制御する所謂アクティブステア機能を備えた操舵制御システムが提案されている。
一般に、車両モデルは、図13に示すような車両の前後輪ともに左右のタイヤ特性が等しいと仮定した二輪モデルにより簡略化され、(1)式に示される重心軸周りのモーメントと(2)式に示される車両横方向の力の釣り合いとにより表現される。そして、車両状態量の目標値(目標状態量、目標ヨーレイト及び目標スリップ角)の単位時間当たりの変化量は、これら二つ式から次の(3)式により表現することができ、目標状態量は、この変化量を積算することにより求められる。具体的には、(4)式に示すように、前回の車両モデル演算において演算された車両状態量の目標値(目標状態量の前回値)に一演算周期(サンプリングタイム)分の変化量を加算することにより演算される。
Figure 2007331704
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Figure 2007331704
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これを利用して、例えば、特許文献1に記載の車両用操舵装置では、センサにより検出された車両状態量の実際値とその目標値との比較により車両のステアリング特性(ステア特性)を判定する。そして、オーバーステア状態にある場合には、目標値と実際値との偏差に基づくフィードバック制御により、ヨーモーメントと逆方向に転舵角を変更するよう、即ち所謂カウンタステアをあてるように同転舵角を制御することで、車両姿勢の安定化を図るようになっている。
特開2005−88648号公報
しかしながら、凍結路等の低μ路では、車両姿勢を安定に保つことのできる安定領域、即ち車両のヨーモーメントを安定的に制御可能な範囲が狭いため、上記オーバーステア制御にオーバーシュートが生じやすい。このため、こうした低μ路では、車両姿勢の安定化に遅れが生ずる傾向があり、特に、運転者が併せてカウンタ操舵を行った場合には、全体として大きなカウンタ量が発生することから、その傾向はより一層顕著なものとなりやすく、この点において、なお改善の余地を残すものとなっている。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、低μ路においても速やかに車両姿勢の安定化を図ることのできる車両用操舵装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、転舵輪の転舵角を変更可能な駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、車両モデルに基づいて車両のヨーモーメントに関連する車両状態量の目標値を演算する車両モデル演算手段と、車両のステア特性を判定するステア特性判定手段とを備え、前記制御手段は、前記車両がオーバーステア状態にある場合には、前記車両状態量の目標値と実際値との偏差に基づくフィードバック演算により、前記ヨーモーメントと逆方向に前記転舵角を変更すべく前記駆動手段を作動させるオーバーステア制御を実行するとともに、前記車両モデル演算手段は、前記演算された目標値の前回値に一周期分の変化量を加算することにより所定周期毎に新たな前記目標値を演算する車両用操舵装置であって、前記オーバーステア制御中のカウンタ操舵を検出するカウンタ操舵検出手段を備え、前記車両モデル演算手段は、前記カウンタ操舵の終了を検出した場合には、前記演算の基礎となる前記前回値を該前回値よりも反カウンタ方向を示す値に置換すること、を要旨とする。
上記構成によれば、次回以降に演算される車両状態量の目標値もまた、その前回値を置換しない場合の値よりも反カウンタ方向を示すものとなる。これにより、当初のオーバーステアと反対方向に発生したオーバーステアを解消するために行われるオーバーステア制御においては、そのフィードバック演算に用いられる偏差が大となり、同制御開始とともに、大きな値(絶対値)を有する指令値が生成される。その結果、同制御の立ち上がりを早めてオーバーシュートの発生に起因する反対方向のオーバーステア状態をいち早く解消し、速やかに車両姿勢の安定化を図ることができる。
請求項2に記載の発明は、前記車両モデル演算手段は、定常円旋回の式に基づき演算される定常円旋回値に前記置換すること、を要旨とする。
即ち、車両モデル演算において、車両状態量の目標値は、その単位時間(サンプリング周期)当たりの変化量を積算することにより求められる。このため、カウンタ操舵から通常操舵に復帰させる所謂「戻し」過程においては、定常円旋回の式により演算された定常円旋回値は、通常の車両モデル演算により求められる目標値よりも反カウンタ方向を示すものとなる。従って、上記構成により前回値を定常円旋回値にて置換した後の目標値は、前回値を置換しない場合の値よりも反カウンタ方向を示すものとなる。さらに、車両走行時には、いかなる進路変更が発生するかわからない。この点、現在の操舵角に対応する操舵角定常円旋回値を基礎として車両モデル演算を行う構成であれば、その後の進路変更に対しても柔軟に対応することが可能になる。
請求項3に記載の発明は、前記カウンタ操舵から通常操舵に復帰した後の操舵角を推定する推定手段を備え、前記車両モデル演算手段は、該推定された操舵角に基づいて前記定常円旋回値を演算すること、を要旨とする。
上記構成によれば、推定された通常操舵復帰後の操舵角(同操舵角に基づき演算される転舵角)を用いて定常円旋回値を演算し、これにより目標状態量の前回値を置換することで、いち早く通常操舵に復帰した後の目標値を演算することができる。その結果、より速やかに車両姿勢の安定化を図ることができる。
請求項4に記載の発明は、前記車両モデル演算手段は、前記置換後に演算された目標値にフィルタ処理を施すこと、を要旨とする。
上記構成によれば、前回値の置換時においても目標値を滑らかに変化させることができる。その結果、これにより、車両姿勢の不安定化を防止するとともに、操舵反力の変動を抑制して良好な操舵フィーリングを確保することができる。
本発明によれば、低μ路においても速やかなる車両姿勢の安定化が可能な車両用操舵装置を提供することができる。
以下、本発明をギヤ比可変システムを備えた車両用操舵装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の車両用操舵装置1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリング(ハンドル)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラック&ピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラック&ピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角、即ち転舵角が可変することにより、車両の進行方向が変更される。
本実施形態の車両用操舵装置1は、ステアリング2の舵角(操舵角)に対する転舵輪6の伝達比(ギヤ比)を可変させる伝達比可変装置としてのギヤ比可変アクチュエータ7と、該ギヤ比可変アクチュエータ7の作動を制御するIFSECU8とを備えている。そして、本実施形態では、ギヤ比可変アクチュエータ7により駆動手段が構成され、IFSECU8により制御手段が構成される。
詳述すると、ステアリングシャフト3は、ステアリング2が連結された第1シャフト9とラック&ピニオン機構4に連結される第2シャフト10とからなり、ギヤ比可変アクチュエータ7は、第1シャフト9及び第2シャフト10を連結する差動機構11と、該差動機構11を駆動するモータ12とを備えている。そして、ギヤ比可変アクチュエータ7は、ステアリング操作に伴う第1シャフト9の回転に、モータ駆動による回転を上乗せして第2シャフト10に伝達することにより、ラック&ピニオン機構4に入力されるステアリングシャフト3の回転を増速(又は減速)する。
つまり、図2及び図3に示すように、ギヤ比可変アクチュエータ7は、ステアリング操作に基づく転舵輪6の舵角(ステア転舵角θts)にモータ駆動に基づく転舵輪の舵角(ACT角θta)を上乗せすることにより、操舵角θsに対する転舵輪6の転舵角θtの比率、即ち伝達比(ギヤ比)を可変させる。そして、IFSECU8は、モータ12に対する駆動電力の供給を通じてギヤ比可変アクチュエータ7の制御を制御し、これにより操舵角θsと転舵角θtとの間の伝達比(ギヤ比)を制御する(ギヤ比可変制御)。
尚、この場合における「上乗せ」とは、加算する場合のみならず減算する場合をも含むものと定義し、以下同様とする。また、「操舵角θsに対する転舵角θtのギヤ比」をオーバーオールギヤ比(操舵角θs/転舵角θt)で表した場合、ステア転舵角θtsと同方向のACT角θtaを上乗せすることによりオーバーオールギヤ比は小さくなる(転舵角θt大、図2参照)。そして、逆方向のACT角θtaを上乗せすることによりオーバーオールギヤ比は大きくなる(転舵角θt小、図3参照)。そして、本実施形態では、ステア転舵角θtsが第1の舵角を構成し、ACT角θtaが第2の舵角を構成する。
また、図1に示すように、車両用操舵装置1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与するEPSアクチュエータ17と、該EPSアクチュエータ17の作動を制御するEPSECU18とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ17は、その駆動源であるモータ22がラック5に設けられた所謂ラックアシスト型のEPSアクチュエータであり、モータ22が発生するアシストトルクは、ボール螺子機構(図示略)を介してラック5に伝達される。そして、EPSECU18は、このモータ22が発生するアシストトルクを制御することにより、操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
本実施形態では、上記のギヤ比可変アクチュエータ7を制御するIFSECU8、及びEPSアクチュエータ17を制御するEPSECU18は、車内ネットワーク(CAN:Controller Area Network)23を介して接続されており、該車内ネットワーク23には、車両状態量を検出するための複数のセンサが接続されている。具体的には、車内ネットワーク23には、操舵角センサ24、トルクセンサ25、車輪速センサ26a,26b、横Gセンサ28、車速センサ29、ブレーキセンサ30、及びヨーレイトセンサ31が接続されている。そして、上記各センサにより検出される複数の車両状態量、即ち操舵角θs、操舵トルクτ、車輪速Vtr,Vtl、転舵角θt、スリップ角θsp、車速V、ブレーキ信号Sbk、及びヨーレイトRyは、車内ネットワーク23を介してIFSECU8及びEPSECU18に入力される。
尚、本実施形態では、転舵角θtは、操舵角θsにラック&ピニオン機構4のベースギヤ比を乗じた値、即ちステア転舵角θtsにACT角θtaを加算することにより求められ、スリップ角θspは、横Gセンサ28により検出される横方向加速度及びヨーレイトRyに基づいて求められる。また、IFSECU8及びEPSECU18は、車内ネットワーク23を介した相互通信により、制御信号の送受信を行う。そして、IFSECU8及びEPSECU18は、車内ネットワーク23を介して入力された上記各車両状態量及び制御信号に基づいて、上記のギヤ比可変制御及びパワーアシスト制御を統合的に実行する。
次に、本実施形態のステアリング装置の電気的構成及び制御態様について説明する。
図4は、本実施形態の車両用操舵装置1の制御ブロック図である。同図に示すように、IFSECU8は、モータ制御信号を出力するマイコン33と、モータ制御信号に基づいてモータ12に駆動電力を供給する駆動回路34とを備えている。
尚、本実施形態では、ギヤ比可変アクチュエータ7及びEPSアクチュエータ17の駆動源である各モータ12,22は、ともにブラシレスモータであり、駆動回路34、及び後述するEPSECU18の駆動回路44は、入力されるモータ制御信号に基づいて、それぞれ対応するモータ12,22に三相(U,V,W)の駆動電力を供給する。また、以下に示す各制御ブロックは、マイコン33(43)が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。
マイコン33は、IFS制御演算部35、ギヤ比可変制御演算部36、LeadSteer制御演算部37を備え、これら各制御演算部は、それぞれ入力される車両状態量に基づいてACT角θtaの制御目標成分(及び制御信号)を演算する。
詳述すると、IFS制御演算部35には、操舵角θs、転舵角θt、車速V、車輪速Vtr,Vtl、ブレーキ信号Sbk、ヨーレイトRy及びスリップ角θspが入力される。そして、IFS制御演算部35は、これらの車両状態量に基づいて、所謂アクティブステア機能、即ち車両モデルに基づき車両のヨーモーメントを制御するためのACT角θtaの制御目標成分の演算、並びに関連する制御信号の演算を行う。具体的には、IFS制御演算部35は、アクティブステア機能を実現するためのACT角θtaの制御目標成分としてIFS_ACT指令角θifs*を演算するとともに、制御信号として車両のステア特性を示すOS/US特性値Val_stの演算を行う(IFS制御演算)。
ここで、ヨー方向の車両姿勢は「ステア特性(ステアリング特性)」として表現される。ステア特性とは、運転者がステアリング操作を行ったときに、運転者の想定する車両旋回速度と実際の車両旋回速度との差異についての特性である。そして、想定する車両旋回速度よりも実際の車両旋回速度が大きい場合をオーバーステア(OS)、小さい場合をアンダーステア(US)、その差異がない場合をニュートラルステア(NS)という。そして、この「運転者の想定する車両旋回速度」は、車両モデルでは目標ヨーレイトに置き換えることができ、車両が定常円旋回状態にあり、そのステア特性がニュートラルステアである場合には、その旋回方向を車両進行方向と言い換えることもできる。
本実施形態では、IFS制御演算部35は、ステア特性がアンダーステアである場合に、転舵輪6の切れ角を小さくするための、またステア特性がオーバーステアである場合に、転舵輪6にヨーモーメントの方向と逆方向の舵角(カウンタステア)を与えるためのACT角θtaの制御目標成分としてIFS_ACT指令角θifs*を演算する。尚、OS/US特性値Val_stについては、IFS制御演算部35における内部演算処理に用いられるとともに、車内ネットワーク23を介してEPSECU18に送信され、同EPSECU18によるパワーアシスト制御に用いられる。
ギヤ比可変制御演算部36には、操舵角θs、転舵角θt及び車速Vが入力される。そして、ギヤ比可変制御演算部36は、これらの車両状態量(及び制御信号)に基づいて、車速Vに応じてギヤ比を可変させるための制御目標成分としてギヤ比可変ACT指令角θgr*を演算する(ギヤ比可変制御演算)。
LeadSteer制御演算部37には、車速V及び操舵速度ωsが入力される。尚、操舵速度ωsは、操舵角θsを微分することにより演算される(以下同様)。そして、LeadSteer制御演算部37は、これら車速V及び操舵速度ωsに基づいて操舵速度に応じて、車両の応答性を向上させるための制御目標成分としてLS_ACT指令角θls*を演算する(LeadSteer制御演算)。
IFS制御演算部35、ギヤ比可変制御演算部36及びLeadSteer制御演算部37は、上記各演算により演算された各制御目標成分、即ちIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*を加算器38aに出力する。そして、この加算器38aにおいて、これらIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*が重畳されることによりACT角θtaの制御目標であるACT指令角θta*が演算される。
加算器38aにて演算されたACT指令角θta*は、F/F制御演算部39及びF/B制御演算部40に入力される。また、F/B制御演算部40には、モータ12に設けられた回転角センサ41により検出されるACT角θtaが入力される。そして、F/F制御演算部39は、入力されたACT指令角θta*に基づくフィードフォワード演算により制御量εffを演算し、F/B制御演算部40は、ACT指令角θta*及びACT角θtaに基づくフィードバック演算により制御量εfbを演算する。
F/F制御演算部39及びF/B制御演算部40は、演算された制御量εff及び制御量εfbを加算器38bに出力し、これらの制御量εff及び制御量εfbは、加算器38bにおいて重畳されることにより、電流指令としてモータ制御信号出力部42に入力される。そして、モータ制御信号出力部42は、入力された電流指令に基づいてモータ制御信号を生成し駆動回路34に出力する。
即ち、図5のフローチャートに示すように、マイコン33は、車両状態量として上記各センサからセンサ値を取り込むと(ステップ101)、先ずIFS制御演算を行い(ステップ102)、続いてギヤ比可変制御演算(ステップ103)、及びLeadSteer制御演算を行う(ステップ104)。そして、マイコン33は、上記ステップ102〜ステップ104の各演算処理を実行することにより演算されたIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*を重畳し、これにより制御目標であるACT指令角θta*を演算する。そして、マイコン33は、この演算されたACT指令角θta*に基づいてフィードフォワード演算(ステップ105)及びフィードバック演算(ステップ106)を行うことにより電流指令を演算し、その電流指令に基づいてモータ制御信号の出力を行う(ステップ107)。
一方、図4に示すように、EPSECU18は、IFSECU8と同様に、マイコン43と、駆動回路44とを備えている。マイコン43は、アシスト制御部45、トルク慣性補償制御部46、ステアリング戻し制御部47、及びダンパ補償制御部48を備え、これら各制御部は、それぞれ入力される車両状態量に基づいてモータ22が発生するアシストトルクの制御目標成分を演算する。
詳述すると、アシスト制御部45及びトルク慣性補償制御部46には、それぞれ車速V及び操舵トルクτが入力される。そして、アシスト制御部45は、ベースとなる制御目標成分として基本アシスト電流指令Ias*を演算し、トルク慣性補償制御部46は、モータ22の慣性を補償する制御目標成分である慣性補償電流指令Iti*を演算する。
ステアリング戻し制御部47には、車速V、操舵トルクτ、及び転舵角θtが入力され、ダンパ補償制御部48には、車速V及び操舵速度ωsが入力される。そして、ステアリング戻し制御部47は、ステアリング2の戻り特性を改善するための制御目標成分であるステアリング戻し電流指令Isb*を演算し、ダンパ補償制御部48は、高速走行時のパワーアシスト特性を改善するための制御目標成分であるダンパ補償電流指令Idp*を演算する。
また、マイコン43は、上記各制御部に加え、IFS制御時のステアリングフィールを改善するためのIFSトルク補償ゲインKifsを演算するIFSトルク補償制御部49を備えている。本実施形態では、IFSトルク補償制御部49には、操舵トルクτ、操舵角θs及び操舵速度ωsとともに、上記IFS制御演算部35において演算されたIFS_ACT指令角θifs*、及びOS/US特性値Val_stが入力される。そして、IFSトルク補償制御部49は、上記各車両状態量、IFS_ACT指令角θifs*及びOS/US特性値Val_stに基づいてIFSトルク補償ゲインKifsを演算する。
本実施形態では、上記IFSトルク補償ゲインKifsは、アシスト制御部45において演算された基本アシスト電流指令Ias*に乗ぜられ、その補正後の基本アシスト電流指令Ias**は、上記慣性補償電流指令Iti*、ステアリング戻し電流指令Isb*、及びダンパ補償電流指令Idp*とともに、加算器50に入力される。そして、これらの各制御目標成分が重畳されることにより、モータ22が発生するアシストトルクの制御目標である電流指令が演算される。
加算器50において演算された電流指令は、モータ制御信号出力部51に入力される。また、モータ制御信号出力部51には、モータ22に設けられた電流センサ52及び回転センサ53により検出される実電流及び回転角が入力される。そして、モータ制御信号出力部51は、これら電流指令、実電流及び回転角に基づいてフィードバック制御を行うことによりモータ制御信号を生成し、そのモータ制御信号を駆動回路44に出力する。
次に、IFS制御演算部におけるIFS制御演算処理について詳述する。
図6は、IFS制御演算部の制御ブロック図である。同図に示すように、IFS制御演算部35は、車両モデル演算部61、跨ぎ路判定部62、ステア特性演算部63、OS制御演算部65、US制御演算部66、制御ON/OFF判定部67、及びIFS_ACT指令角演算部68を備えている。
車両モデル演算手段としての車両モデル演算部61には、転舵角θt及び車速Vが入力される。そして、車両モデル演算部61は、この転舵角θt及び車速Vに基づいて車両モデル演算を行い、車両のヨーモーメントに関連する車両状態量の目標値、即ち目標状態量としての目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を演算する。
具体的には、車両モデル演算部61は、前回値記憶部71を備えており、前回値記憶部71は、同車両モデル演算部61において演算された目標状態量、即ち目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を該目標状態量の前回値Ry0_b,θsp0_bとして記憶する。そして、車両モデル演算部61は、この前回値記憶部71に記憶された前回値Ry0_b,θsp0_bに基づいて、次回の車両モデル演算を実行する(上記(4)式参照)。
跨ぎ路判定部62には、車輪速Vtr,Vtl、転舵角θt、車速V、及びブレーキ信号Sbkが入力される。そして、跨ぎ路判定部62は、これらの車両状態量に基づいて、車両が跨ぎ路、即ち車両の左右の車輪がそれぞれ路面抵抗の著しく異なる2つの路面(μスプリット路面)上にあるか否かの判定を行う。詳しくは、μスプリット状態における制動、即ちμスプリット制動状態にあるか否かの判定を行う(跨ぎ路判定)。
ステア特性判定手段としてのステア特性演算部63には、操舵角θs、車速V、及びヨーレイトRy、並びに車両モデル演算部61において演算された目標ヨーレイトRy0が入力される。そして、ステア特性演算部63は、これらの車両状態量に基づいて、車両のステア特性、即ち、車両がオーバーステア、アンダーステア、又はニュートラルステアの何れの状態にあるかを演算し、その特性を示すOS/US特性値Val_stを演算する(ステア特性演算)。尚、本実施形態では、OS/US特性値Val_stは次式、Val_st=(L×Ry/V−θt)×Ry、L:ホイールベース、に基づくアナログ信号として出力される。
OS制御演算部65は、ヨーレイトF/B演算部72、スリップ角F/B演算部73を備えており、これらヨーレイトF/B演算部72及びスリップ角F/B演算部73は、それぞれ対応する車両状態量の実際値がその目標値に追従するようフィードバック演算を行う。そして、OS制御演算部65は、これら各F/B演算部におけるフィードバック演算に基づいて、ステア特性がオーバーステアである場合のACT角θtaの制御目標成分、即ちヨーモーメントと逆方向の舵角(カウンタステア)を発生させるための制御目標成分として、OS制御時ACT指令角θos*を演算する(OS制御演算)。
さらに詳述すると、ヨーレイトF/B演算部72には、ヨーレイトRy、及び目標ヨーレイトRy0が入力され、ヨーレイトF/B演算部72は、その偏差ΔRyに基づいてフィードバック演算を行う。具体的には、ヨーレイトF/B演算部72は、偏差ΔRyに比例F/BゲインKPを乗ずることによりヨーレイト比例F/B指令角θRyp*を演算し、偏差ΔRyの微分量に微分F/BゲインKDを乗ずることによりヨーレイト微分F/B指令角θRyd*を演算する(ヨーレイトF/B演算)。同様に、スリップ角F/B演算部73には、スリップ角θsp、及び目標スリップ角θsp0が入力され、スリップ角F/B演算部73は、その偏差Δθspにスリップ角F/BゲインKslipを乗ずることにより、スリップ角F/B指令角θsp*を演算する(スリップ角F/B演算)。
また、本実施形態のOS制御演算部65は、上記ヨーレイトF/B演算部72及びスリップ角F/B演算部73に加え、所謂μスプリット制動時の安定性を確保するための制御成分を演算するヨー角F/B演算部74を備えている。そして、ヨー角F/B演算部74は、上記跨ぎ路判定部62における判定結果をトリガとして目標ヨー角θy0及びヨー角θyに基づくヨー角F/B演算を実行し、その偏差Δθyにヨー角ゲインKyawを乗ずることによりヨー角F/B指令角θy*を演算する。
これらヨーレイトF/B演算部72において演算されたヨーレイト比例F/B指令角θRyp*及びヨーレイト微分F/B指令角θRyd*、スリップ角F/B演算部73において演算されたスリップ角F/B指令角θsp*、並びにヨー角F/B演算部74において演算されたヨー角F/B指令角θy*は、加算器76に入力される。そして、OS制御演算部65は、この加算器76において、これらの各制御目標成分を重畳することにより、OS制御時ACT指令角θos*を演算する(OS制御演算)。
US制御演算部66には、操舵角θs及び操舵速度ωs、並びにステア特性演算部63において演算されたOS/US特性値Val_stが入力される。そして、US制御演算部66は、これら車両状態量に基づいてUS制御時ACT指令角θus*を演算する(US制御演算)。
制御ON/OFF判定部67には、車速V、操舵角θs、ヨーレイトRy、及びOS/US特性値Val_stが入力される。そして、制御ON/OFF判定部67は、上記OS制御演算部65で演算されたOS制御時ACT指令角θos*に基づくオーバーステア制御(OS制御)、又はUS制御演算部66で演算されたUS制御時ACT指令角θus*に基づくアンダーステア制御(US制御)を行うか否かを判定し、その判定結果を制御ON/OFF信号Scとして出力する(制御ON/OFF判定)。
IFS_ACT指令角演算部68には、OS制御演算部65により演算されたOS制御時ACT指令角θos*及びUS制御演算部66により演算されたUS制御時ACT指令角θus*、並びに制御ON/OFF判定部67の出力する制御ON/OFF信号Scが入力される。そして、IFS_ACT指令角演算部68は、入力された制御ON/OFF信号Scが「OS制御ON」を示すものである場合には、OS制御時ACT指令角θos*を、制御ON/OFF信号Scが「US制御ON」を示すものである場合には、US制御時ACT指令角θus*をIFS_ACT指令角θifs*として出力する(IFS_ACT指令角演算)。尚、本実施形態では、制御ON/OFF信号Scが「NS」、即ちニュートラルステアであることを示すものである場合には、IFS_ACT指令角演算部68は、IFS_ACT指令角θifs*を「0」とする。
即ち、図7のフローチャートに示すように、IFS制御演算部35は、先ず、車両モデル演算を実行し(ステップ201)、次に跨ぎ路判定を実行する(ステップ202)。そして、ステア特性演算を実行する(ステップ203)。
次に、IFS制御演算部35は、上記ステップ201の車両モデル演算において演算された目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0に基づいて、ヨーレイトF/B演算及びスリップ角F/B演算を実行することによりOS制御時ACT指令角θos*を演算する(OS制御演算、ステップ204)。尚、上記ステップ202にてμスプリット制動状態にある旨の判定がなされた場合には、その判定結果をトリガとしてヨー角F/B演算が実行される。そして、US制御演算を実行することによりUS制御時ACT指令角θus*を演算し(ステップ205)、続いて制御ON/OFF判定を実行する(ステップ206)。そして、OS制御時ACT指令角θos*又はUS制御時ACT指令角θus*(若しくは「0」)をアクティブステア機能を実現するための制御目標成分、即ちIFS_ACT指令角θifs*として出力し(IFS_ACT指令角演算、ステップ207)、以下に詳述するカウンタ操舵検出及び目標状態量前回値置換演算を実行する(ステップ208)。
(カウンタ操舵検出及び目標状態量前回値置換制御)
次に、本実施形態の車両用操舵装置におけるカウンタ操舵検出及び目標状態量前回値置換制御について説明する。
図6に示すように、本実施形態では、IFS制御演算部35は、上記OS制御中の運転者によるカウンタ操舵を検出するカウンタ操舵検出手段としてのカウンタ操舵検出部77を備えている。カウンタ操舵検出部77には、ヨーレイトRy、操舵角θs及び操舵速度ωs、並びにステア特性演算部63において演算されたOS/US特性値Val_stが入力される。また、カウンタ操舵検出部77は、上記OS状態となった時点の操舵角(OS発生時操舵角θs_oss)及びカウンタ操舵の最大舵角(最大カウンタ操舵角θs_cmax)を記憶する。そして、カウンタ操舵検出部77は、これらの状態量(及び制御信号)に基づいて、運転者によるカウンタ操舵の開始及びその終了を検出し、その有無を示すカウンタ信号S_csを生成する。尚、本実施形態では、カウンタ信号S_csは、カウンタ操舵がある場合にその出力が「オン」となり、カウンタ操舵のない場合にはその出力が「オフ」となるように構成されている。
詳述すると、図8のフローチャートに示すように、カウンタ操舵検出部77は、上記の各状態量、即ちヨーレイトRy、操舵角θs及び操舵速度ωs、並びにOS/US特性値Val_stを取得すると(ステップ301)、続いて車両がOS状態にあるか否かを判定する(ステップ302)。そして、車両がOS状態にあると判定した場合(ステップ302:YES)には、運転者によるカウンタ操舵が行われている旨を示すカウンタ操舵フラグがセットされているか否かを判定し(ステップ303)、カウンタ操舵フラグがセットされていない場合(ステップ303:NO)には、運転者によるカウンタ操舵の開始判定を実行する(ステップ304〜ステップ306)。
具体的には、カウンタ操舵検出部77は、先ずヨーレイトRyと操舵速度ωsの符号が不一致であるか否かによりヨーモーメントの方向と反対方向のステアリング操作が発生したか否かを判定する(ステップ304)。次に、操舵速度ωs(の絶対値)が所定の閾値ωs0よりも速いか否かを判定し(ステップ305)、続いてOS発生時操舵角θs_ossからの操舵角変化量が所定の閾値θs0を超えるか否かを判定する(ステップ306)。そして、これらステップ304〜ステップ306の各要件を全て満たす場合、即ちヨーレイトRyと操舵速度ωsの符号が不一致であり(ステップ304:YES)、操舵速度ωs(の絶対値)が所定の閾値ωs0よりも速く(|ωs|>ωs0、ステップ305:YES)、且つOS発生時操舵角θs_ossからの操舵角変化量が所定の閾値θs0を超える場合(|θs_oss−θs|>θs0、ステップ306:YES)に、運転者によるカウンタ操舵が開始されたものと判定する。そして、このようにカウンタ操舵が開始されたと判定した場合には、上記のカウンタ操舵フラグをセットし(ステップ307)、カウンタ信号S_csの出力を「オン」とする(ステップ308)。
尚、これらステップ304〜ステップ306の判定条件のうち何れかを満たさない場合(ステップ304:NO、又はステップ305:NO、又はステップ306:NO)には、上記ステップ307,308の処理を実行しない。そして、上記ステップ302において、車両がOS状態にないと判定した場合(ステップ302:NO)には、上記ステップ304〜ステップ308、及び以下に示すステップ309以降の処理を実行しない。
一方、上記ステップ303において、カウンタ操舵フラグがセットされていると判定した場合(ステップ303:YES)には、カウンタ操舵検出部77は、カウンタ操舵の終了判定を実行する(ステップ309〜ステップ311)。
具体的には、カウンタ操舵検出部77は、先ずヨーレイトRyの微分値dRyに基づいて、車両のヨーモーメントが安定方向、即ちニュートラルステア方向に変化したか否かを判定する(ステップ309)。次に、操舵速度ωsが「0」又は反カウンタ方向に発生しているか否かを判定し(ステップ310)、続いて最大カウンタ操舵角θs_cmaxからの操舵角変化量が所定の閾値θs1を超えるか否かを判定する(ステップ311)。そして、これらステップ309〜ステップ311の各要件を全て満たす場合、即ち車両のヨーモーメントが安定方向に変化し(ステップ309:YES)、操舵速度ωsが「0」又は反カウンタ方向に発生しており(ステップ310:YES)、且つ最大カウンタ操舵角θs_cmaxからの操舵角変化量が所定の閾値θs1を超える場合(|θs_cmax−θs|>θs1、ステップ311:YES)に、カウンタ操舵が終了したものと判定する。そして、このようにカウンタ操舵が終了したと判定した場合には、上記のカウンタ操舵フラグをリセットし(ステップ312)、カウンタ信号S_csの出力を「オフ」とする(ステップ313)。尚、これらステップ309〜ステップ311の判定条件のうち何れかを満たさない場合(ステップ309:NO、又はステップ310:NO、又はステップ311:NO)には、上記ステップ312,313の処理を実行しない。
また、本実施形態では、カウンタ操舵検出部77において生成されたカウンタ信号S_csは、車両モデル演算部61に入力されるようになっている。そして、車両モデル演算部61は、このカウンタ信号S_csがカウンタ操舵の終了を示す場合、即ち「オン」から「オフ」に切り替わった場合には、その車両モデル演算の基礎となる該目標状態量(目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0)の前回値Ry0_b,θsp0_bを該前回値よりも反カウンタ方向を示す値に置換する(目標状態量前回値置換制御)。
詳述すると、本実施形態の車両モデル演算部61は、車両が定常円旋回にある場合の目標状態量の値(定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cy)を演算する定常円旋回値演算部78を備えている。具体的には、定常円旋回値演算部78は、次の(5)〜(7)式に示す「定常円旋回の式」に基づいて、定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyを演算する。尚、(5)式により得られる「β」がスリップ角の定常円旋回値θsp0_cyであり、(6)式により得られる「γ」がヨーレイトの定常円旋回値Ry0_cyである。そして、これら各式中の「A」は、「スタビリティファクタ」である。
Figure 2007331704
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そして、車両モデル演算部61は、カウンタ操舵検出部77の出力するカウンタ信号S_csが「オン」から「オフ」に切り替わった場合には、この定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyにより前回値Ry0_b,θsp0_bを置換する。つまり、目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を演算する際、上記(4)式の「β(K),γ(K)」に代入する値を、本来の値である前回値Ry0_b,θsp0_bから、定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyへと置換する。
即ち、図9のフローチャートに示すように、先ず車両モデル演算部61は、カウンタ操舵検出部77の出力するカウンタ信号S_csが 「オン」から「オフ」に切り替わったか否かを判定し(ステップ401)、カウンタ信号S_csが 「オン」から「オフ」に切り替わったと判定した場合(ステップ401:YES)には、上記定常円旋回値演算を実行する(ステップ402)。そして、その定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyにより前回値Ry0_b,θsp0_bを置換して(ステップ403)、車両モデル演算を実行する(ステップ404)。
(作用・効果)
次に、上記のように構成された本実施形態の車両用操舵装置の作用・効果について説明する。尚、説明の便宜上、ヨーレイトRy(目標ヨーレイトRy0)についてのみ説明するが、その傾向はスリップ角θsp(目標スリップ角θsp0)についても同様であることはいうまでもない。
図10(a)〜(C)は、低μ路におけるOS制御時に運転者がカウンタ操舵を行った場合の操舵角θs、ヨーレイトRy及び目標ヨーレイトRy0、並びにOS時ACT指令角θos*の推移を示す波形図である。尚、同図において、波形MはヨーレイトRyの推移を、波形M0は目標ヨーレイトRy0の推移を示し、これらの波形M,M0のうち破線部M´、M0´(カウンタ終了検出後の部分)は、上述の目標状態量前回値置換制御を行った場合のヨーレイトRy及び目標ヨーレイトRy0の推移を示している。そして、波形Nは、目標状態量前回値置換制御を行わない場合のOS時ACT指令角θos*の推移を示し、破線に示される波形N´は、目標状態量前回値置換制御を行った場合のOS時ACT指令角θos*の推移を示している。
同図に示すように、OS制御時、運転者のカウンタ操舵によりカウンタ方向(同図中基準線よりも下側)の操舵角θsが発生することで、操舵角θs(転舵角θt)に基づき演算される目標ヨーレイトRy0もまたカウンタ方向を示す値となる。従って、運転者によるカウンタ操舵がある場合には、こうした目標ヨーレイトRy0がカウンタ方向を示す値にある状態で、目標ヨーレイトRy0とヨーレイトRyとが一致する場合がある。
しかしながら、凍結路等の低μ路では、車両姿勢を安定に保つことのできる安定領域、即ち車両のヨーモーメントを安定的に制御可能な範囲が狭いため、ヨーレイトRyが目標ヨーレイトRy0に収束しにくく、オーバーシュートが発生しやすい。そのため、上記のような場合、ヨーレイトRyが目標ヨーレイトRy0を超えてカウンタ方向に大となることで、見かけ上、先に発生したオーバーステアと反対方向のオーバーステアが発生することになり、その結果、上述のように車両姿勢の安定化に遅れが生ずることとなる。
この点、本実施形態では、運転者によるカウンタ操舵の終了、即ち通常操舵への復帰タイミングを検出し、該カウンタ操舵の終了を検出した場合には、車両モデル演算の基礎となる目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0の前回値Ry0_b,θsp0_bを上記(5)式〜(7)式に示される定常円旋回の式に基づき演算された定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyに置換する(図6参照)。
即ち、上記(3)式及び(4)式に示されるように、目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0は、その単位時間(サンプリング周期)当たりの変化量を積算することにより求められる。このため、カウンタ操舵から通常操舵に復帰させる所謂「戻し」過程においては、上記(4)式により求められる目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0は、定常円旋回の式に基づき演算される定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyよりもカウンタ方向を示す値となる。
つまり、定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyは、該定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyにより置換される前回値Ry0_b,θsp0_bよりも反カウンタ方向(図10において上側の方向)を示すことから、置換後の車両モデル演算において演算される目標ヨーレイトRy0の値Ry0_rpは、前回値Ry0_b,θsp0_bを置換しない場合の値Ry0_orよりも反カウンタ方向を示すものとなる。これにより、先のオーバーステアと反対方向に発生したオーバーステアを解消するために行われるOS制御においては、ヨーレイトF/B演算に用いられる偏差ΔRy(ヨーレイトRyとの偏差)が大となり、そのOS制御開始とともに、大きな値(絶対値)を有するOS制御時ACT指令角θos*が出力される。その結果、同制御の立ち上がりを早めてオーバーシュートの発生に起因する反対方向のオーバーステア状態をいち早く解消し、速やかに車両姿勢の安定化を図ることができる。
さらに、車両走行時には、いかなる進路変更が発生するかわからない。この点、上記のように、現在の操舵角θsに対応する操舵角定常円旋回値Ry0_cy,θsp0_cyを基礎として目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を演算する構成であれば、その後の進路変更に対しても柔軟に対応することができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、本発明をギヤ比可変アクチュエータ7のACT角θtaを変更することにより、アクティブステア機能を実現する車両用操舵装置1に具体化した。しかし、これに限らず、駆動手段としてその他のアクチュエータを用いるもの、例えば、転舵輪とステアリングとが機械的に分離された所謂ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置等に具体化してもよい。
・本実施形態では、車両用操舵装置1は、モータ22を駆動源とするEPSアクチュエータ17を備えることとしたが、パワーアシスト装置は、油圧式でもよい。また、パワーアシスト装置を備えない車両用操舵装置に具体化してもよい。
・目標状態量前回値置換制御後に演算された目標値(目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0)にフィルタ処理を施すことにより、目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を滑らかに変化させる構成としてもよい。これにより、ACT角θsの急変に伴う車両姿勢の不安定化を防止するとともに、操舵反力の変動を抑制して良好な操舵フィーリングを確保することができる。
・カウンタ操舵開始判定における判定条件、「OS発生時操舵角θs_ossからの操舵角変化量が所定の閾値θs0を超える場合」は、「車両がオーバーステア状態となった時後の最大操舵角からの…」としてもよい。
・更に、カウンタ操舵から通常操舵に復帰した後の操舵角θs´を推定する推定手段を設け、この推定された操舵角θs´(同操舵角θs´に基づき演算される転舵角θt)に基づいて定常円旋回値を演算する構成としてもよい。このような構成とすれば、該推定された通常操舵復帰後の操舵角θs´(同操舵角θs´に基づき演算される転舵角θt)を用いて定常円旋回値を演算し、これにより目標状態量の前回値を置換することで、いち早く通常操舵に復帰した後の目標状態量を演算することができる。その結果、より速やかに車両姿勢の安定化を図ることができる。
具体的には、例えば、OS発生時操舵角θs_ossとカウンタ操舵終了時の操舵角(カウンタ終了時操舵角θs_cse)との差分を求めることにより、運転者によって与えられたカウンタ操舵量Δθs_csを求める(Δθs_cs=|θs_oss−θs_cse|)。また、これと併せて、図11に示すようなカウンタ操舵の終了を検出した時点における操舵速度ωs(の絶対値)が速いほど大きな値を有するカウンタ操舵量補正ゲインKsを演算する(Ks=「1」〜「0」)。そして、これらカウンタ操舵量Δθs_cs及びカウンタ操舵量補正ゲインKsを乗じた値を操舵角θsから差し引くことにより、通常操舵復帰後の操舵角θs´を演算する(θs´=θs−(Δθs_cs×Ks))。
即ち、カウンタ操舵から通常操舵に復帰させる所謂「戻し」過程においては、通常、当初のカウンタ操舵量Δθs_csが大きいほど、その戻し量は大となり、また、当該戻し量が大きいほどその操舵速度ωsが速くなる。従って、当初のカウンタ操舵量Δθs_csに操舵速度ωsに応じたカウンタ操舵量補正ゲインKsを乗ずることで、通常操舵に復帰させるための適当な戻し量を求めることができる。そして、カウンタ操舵終了時点の操舵角θsは、通常操舵復帰後の操舵角θs´と反対方向であることから、これを操舵角θsから差し引くことで、通常操舵復帰後の操舵角θs´を推定することができるのである。
尚、このような構成を目標状態量前回値置換制御に適用する場合の処理手順は、例えば、次のように行うとよい。即ち、図12のフローチャートに示すように、先ずカウンタ操舵の終了を検出したか否かを判定し(ステップ501)、カウンタ操舵の終了を検出した場合(ステップ501:YES)には、カウンタ操舵量演算(Δθs_cs=|θs_oss−θs_cse|、ステップ502)及びカウンタ操舵量補正ゲインKsの演算(ステップ503)を実行する。そして、これにより得られたカウンタ操舵量補正ゲインKs及びカウンタ操舵量Δθs_csを用いて通常操舵復帰後の操舵角θs´を推定する(θs´=θs−(Δθs_cs×Ks)、ステップ504)。
次に、上記ステップ504において、推定された通常操舵復帰後の操舵角θs´が現在の操舵角θsとOS発生時操舵角θs_ossとの間にあるか否かを判定し(ステップ505)、この条件を満たす場合(ステップ505:YES)には、同推定された通常操舵復帰後の操舵角θs´を用いて定常円旋回値の演算を実行する(ステップ506)。これは、推定された通常操舵復帰後の操舵角θs´の妥当性を担保するためである。尚、ステップ505の判定条件を満たさない場合(ステップ505:NO)には、現在の操舵角θsを用いて定常円旋回値の演算を実行するとよい(ステップ507)。そして、上記ステップ506又はステップ507において演算された定常円旋回値により目標状態量の前回値を置換して(ステップ508)、車両モデル演算を実行する(ステップ509)。
尚、上記ステップ501において、カウンタ操舵の終了を検出しない場合(ステップ501:NO)には、ステップ502〜ステップ508の処理を実行することなくステップ509の車両モデル演算を実行する。
車両用操舵装置の概略構成図。 ギヤ比可変制御の説明図。 ギヤ比可変制御の説明図。 車両用操舵装置の制御ブロック図。 IFSECUにおける演算処理の処理手順を示すフローチャート。 IFS制御演算部の制御ブロック図。 IFS制御演算部における演算処理の処理手順を示すフローチャート。 カウンタ操舵検出の処理手順を示すフローチャート。 目標状態量前回値置換制御の処理手順を示すフローチャート。 (a)〜(c)OS制御時に運転者がカウンタ操舵を行った場合の操舵角、ヨーレイト及び目標ヨーレイト、並びにOS時ACT指令角の推移を示す波形図。 操舵速度に応じたカウンタ操舵量補正ゲインの決定方法を示す説明図。 別例の目標状態量前回値置換制御の処理手順を示すフローチャート。 車両モデルの説明図。
符号の説明
1…車両用操舵装置、2…ステアリング、6…転舵輪、7…ギヤ比可変アクチュエータ、8…IFSECU、35…IFS制御演算部、61…車両モデル演算部、63…ステア特性演算部、65…OS制御演算部、71…前回値記憶部、77…カウンタ操舵検出部、78…定常円旋回値演算部、θs,θs´…操舵角、ωs…操舵速度、θt…転舵角、θts…ステア転舵角、θta…ACT角、θifs*…IFS_ACT指令角、θos*…OS制御時ACT指令角、Val_st…OS/US特性値、S_sc…カウンタ信号、Ry…ヨーレイト、Ry0…目標ヨーレイト、θsp…スリップ角、θsp0…目標スリップ角、Ry0_b,θsp0_b…前回値、Ry0_cy,θsp0_cy…定常円旋回値、Δθs_cs…カウンタ操舵量、Ks…カウンタ操舵量補正ゲイン。

Claims (4)

  1. 転舵輪の転舵角を変更可能な駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、車両モデルに基づいて車両のヨーモーメントに関連する車両状態量の目標値を演算する車両モデル演算手段と、車両のステア特性を判定するステア特性判定手段とを備え、前記制御手段は、前記車両がオーバーステア状態にある場合には、前記車両状態量の目標値と実際値との偏差に基づくフィードバック演算により、前記ヨーモーメントと逆方向に前記転舵角を変更すべく前記駆動手段を作動させるオーバーステア制御を実行するとともに、前記車両モデル演算手段は、前記演算された目標値の前回値に一周期分の変化量を加算することにより所定周期毎に新たな前記目標値を演算する車両用操舵装置であって、
    前記オーバーステア制御中のカウンタ操舵を検出するカウンタ操舵検出手段を備え、
    前記車両モデル演算手段は、前記カウンタ操舵の終了を検出した場合には、前記演算の基礎となる前記前回値を該前回値よりも反カウンタ方向を示す値に置換すること、
    を特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
    前記車両モデル演算手段は、定常円旋回の式に基づき演算される定常円旋回値に前記置換すること、を特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項2に記載の車両用操舵装置において、
    前記カウンタ操舵から通常操舵に復帰した後の操舵角を推定する推定手段を備え、
    前記車両モデル演算手段は、該推定された操舵角に基づいて前記定常円旋回値を演算すること、を特徴とする車両用操舵装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の車両用操舵装置において、
    前記車両モデル演算手段は、前記置換後に演算された目標値にフィルタ処理を施すこと、を特徴とする車両用操舵装置。
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