JP2007329120A - 芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質,電解質膜,及びその製造方法 - Google Patents

芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質,電解質膜,及びその製造方法 Download PDF

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雅裕 濱田
Kazumitsu Shirai
一光 白井
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Abstract

【課題】高いプロトン伝導性を持ち,膨潤しにくく,耐久性に優れた,低コストの高分子電解質,電解質膜,およびその製造方法の提供。
【解決手段】高分子中の芳香環に下記式(I)で表される側鎖が置換されていることを特徴とする芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
【化1】
Figure 2007329120

(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。Xは、スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は,芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質に関するものであり,詳しくは,高分子中に長鎖の側鎖を有する芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質,それを含む膜及びその製造法に関するものである。本発明によって得られる高分子電解質もしくはそれを含む膜は,燃料電池の電解質膜として極めて有用である。
高分子鎖中にスルホン酸基を有する高分子は,特定のイオンと強固に結合したり,陽イオンを選択的に通過させる機能を有していることから,イオン伝導性固体高分子電解質として幅広い用途で用いることができ,粒子,繊維,膜状に成型することで,電気透析,電池電解質膜,拡散透析等,多くの分野で利用されている。
例えば,ナフィオン(登録商標,デュポン社製)を初めとするパーフルオロ酸系の材料は,化学的耐久性が高いことから過酷な条件でも使用に耐え,長時間の寿命も確保できるため,広く普及しており,燃料電池の電解質膜としても有望視されている。しかしながらパーフルオロ系の材料は非常に高価であること,ガラス転移点が低く高温条件化で用いることができないこと,リサイクル性が悪いことなどの欠点を持っている。
パーフルオロ酸膜に代わる電解質膜として,ポリエーテルケトンやポリフェニレン,ポリエーテルスルホンなどのエンジニアリングプラスチック用の高分子にスルホン酸基を導入した芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質膜が提案されている。例えば特許文献1ではスルホン化ポリエーテルスルホンが,特許文献2ではスルホアルキル基が結合した芳香族ポリエーテルスルホンが,特許文献3では,スルホアルキル基を有する芳香族炭化水素系高分子が報告されている。
しかしこれらの芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質は,水和・膨潤しやすく,高温,高湿度下での使用に耐えないという点で耐久性に問題があった。特に特許文献1の例では,スルホン酸基が芳香環に直接結合しているため,脱スルホン化が起こり化学的な耐久性に劣ると考えられる。また,特許文献2,3では,高分子へのアルキルスルホン酸の導入が,有機金属化合物や反応性の低い基質を用いなくてはならないため,合成が難しく,スルホメチル基以外の長鎖スルホアルキル基は大量合成ができないという問題があった。
特開平11−116679号公報 特許第3561250号明細書 特許第3607862号明細書
本発明の目的は,高いイオン伝導性を持ち,膨潤しにくく,化学的耐久性にも優れ,また,大量合成可能で低コストな芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質,電解質膜,およびその製造方法を提供することである。
本発明者たちは,前記課題を達成すべく鋭意研究の結果,高分子中に長鎖の側鎖を有する炭化水素系高分子が上記目的を達成できることを見出し,本発明を完成させるに至った。
すなわち,本発明は,
(1)高分子中の芳香環に下記式(I)で表される側鎖が置換されていることを特徴とする芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
Figure 2007329120
(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。Xは、スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
(2)高分子が、ポリエーテルスルホン系高分子である(1)に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
(3)下記式(II)で表わされる構造単位を有することを特徴とする芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
Figure 2007329120
(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。aは1から5,bは0から5のそれぞれ独立な整数を表わす。p,qは0から4の整数を表わし,全てが同時に0になることはない。Xは,スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。Arは芳香環からなる2価の連結基を表す。)
(4)式(II)において,Arが下記式(III)−1〜(III)−4で示される構造のうちの1つであることを特徴とする(3)に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
Figure 2007329120
(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。r,r’,r’’,r’’’ ,r’’’’,s’,s’’,s’’’ ,s’’’’は0から4の整数を表わし,全てが同時に0になることはない。Xは,スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
(5)n=1である(1)〜(4)のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
(6)m=3である(1)〜(4)のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
(7)b=0である(3)または(4)に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
(8)スルホン酸基1個当たりの当量重量が,300から3000であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
(9)Xがスルフィド基である(1)〜(8)のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
(10)Xがスルホニル基である請求項1〜8のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質、
(11)(1)から(10)のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質を用いた電解質膜、
(12)ハロゲノアルキル基を有する芳香族炭化水素系高分子とメルカプトアルキルスルホン酸をカップリングして製造することを特徴とする(1)〜(9)のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質の製造方法、
(13)ハロゲノアルキル基を有する芳香族炭化水素系高分子とメルカプトアルキルスルホン酸をカップリングし,さらにこのものを酸化して製造することを特徴とする(1)〜(8)、(10)のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質の製造方法、
(14)ハロゲノメチル基を有するポリエーテルスルホン系高分子とメルカプトプロパンスルホン酸を塩基性条件下でカップリングして製造することを特徴とする(12)に記載の製造方法、
(15)ハロゲノメチル基を有するポリエーテルスルホン系高分子とメルカプトプロパンスルホン酸を塩基性条件下でカップリングし,さらに酸化して製造することを特徴とする(13)に記載の製造方法、
(16)ポリエーテルスルホン系高分子中の芳香環に下記式(I)で表される側鎖が置換されていることを特徴とする燃料電池用芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質膜、
Figure 2007329120
(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。Xは、スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
に関する。
本発明によれば,長鎖の側鎖を有する炭化水素系高分子により,高いイオン伝導性を持ち,膨潤しにくく,化学的耐久性にも優れた芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質を得ることができる。また,高分子をハロゲノアルキル化した後,メルカプトアルキルスルホン酸とカップリングして,さらに酸化して製造することにより,該高分子電解質を大量合成することが可能となり,低コストの高分子電解質,電解質膜,およびその製造方法を提供することができる。
以下,本発明に関して詳細に説明する。
本発明の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質は、高分子中の芳香環に下記式(I)で表される側鎖が置換されているものである。
Figure 2007329120
(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。Xは、スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
この長鎖の側鎖は,まずハロゲノアルキル基を有する高分子を,メルカプトアルキルスルホン酸とカップリングし,スルフィド部を酸化することで芳香族高分子中に導入できる。合成過程において,ハロゲノアルキル化の際にアルキル部位のメチレン数を変えることによりnを,メルカプトアルキルスルホン酸のアルキル部位のメチレン数を変えることによりmをコントロールすることができる。
本発明の高分子中に長鎖の側鎖を有する高分子の主鎖骨格は,芳香環から構成されているものであれば特に制限はない。例えば,下記式(IV)群に示されるような構造単位を有するポリマー群,ポリエーテルスルホン系高分子(IV)−1,ポリエーテルケトン系高分子(IV)−2,ポリイミド系高分子(IV)−3,ポリベンゾオキサゾール系高分子(IV)−4,ポリフェニレン系高分子,もしくはこれらの共重合体が主鎖骨格として有用である。
Figure 2007329120
特にイオン伝導性,耐久性の観点から,ポリエーテルスルホン系高分子が好ましい。例えば,(V)群に示す構造単位を有するポリエーテルスルホン系高分子,およびこれらの共重合体が有用である。特に(V)−1はポリエーテルスルホン(通称PES;住友化学製スミカエクセル)として,(V)−2はポリフェニルスルホン(ソルベイ製レーデル)として,(V)−4はポリスルホン(通称PSU;ソルベイ製ユーデル)として,市販されており入手も容易なので実用性も高い。
Figure 2007329120
上記ポリエーテルスルホン系高分子の中でも、特にイオン伝導性の向上と,膨潤性の抑制の観点から,(V)−1と(V)−2の共重合ポリエーテルスルホン系高分子,(V)−2と(V)−5の共重合ポリエーテルスルホン系高分子が好ましい。
本発明の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質において,その主鎖としうるポリエーテルスルホン系高分子の重合様式はブロック共重合でも,ランダム共重合でも,いずれの様式でも構わない。主鎖となるポリエーテルスルホン系高分子は,公知の方法にて容易に合成することができる。例えば、特開平10−21943に記載のジハロゲノフェニルスルホンとビフェノールをアルカリ存在下に重縮合する方法は簡便で大量に合成可能なので非常に有用である。
本発明の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質の主鎖としうるポリエーテルスルホン系高分子の好ましい合成例としては,4,4’−ジクロロジフェニルスルホンと1種類もしくは2種類以上の任意のビスフェノールを,N,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ,トルエン,炭酸カリウムを添加後,窒素雰囲気化で140〜150℃で脱水還流する。途中で水とトルエンを留去した後さらに160〜165℃で20時間以上重合して充分に重合を進行させる。反応後は,生成塩をろ過して取り除き,メタノールもしくはアセトンもしくは水で再沈殿してポリマーを得る。その後水で洗浄し,乾燥してポリエーテルスルホン系共重合体を得ることができる。原料として4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンを使用してもよい。また,4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(もしくは4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン)のモル量が,ビスフェノールのモル量の総和よりも小過剰(1.01〜1.05倍)になることが好ましい。
本発明の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質において、長鎖の側鎖が導入されたポリエーテルスルホンは,例えば,以下の式群(II)で書き表される構造単位を有するものが挙げられる。
Figure 2007329120
(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。aは1から5,bは0から5のそれぞれ独立な整数を表わす。p,qは0から4の整数を表わし,全てが同時に0になることはない。Xは,スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。Arは芳香環からなる2価の連結基を表す。)
ここでArの具体例としては,以下の式で示される構造が考えられる。
Figure 2007329120
(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。r,r’,r’’,r’’’ ,r’’’’,s’,s’’,s’’’ ,s’’’’は0から4の整数を表わし,全てが同時に0になることはない。Xは,スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
上記式(II)のポリエーテルスルホン中,特に好ましくはn=1のものであり,さらに好ましくは,m=3である。また,b=0のものも好ましい。
本発明の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質のイオン交換基当量重量は,高分子にスルホアルキルスルホニルアルキル基を導入する際,最初のハロゲノアルキル化の時点で,ハロゲノアルキル化反応の原料比,反応温度,反応時間,反応溶媒,反応触媒等を変化させることで制御できる。
本発明のスルホアルキルチオアルキル基を側鎖として有する高分子は,ハロゲノアルキル基を側鎖として有する高分子とメルカプトアルキルスルホン酸をカップリングして容易に合成できる。また,スルホアルキルスルホニルアルキル基を側鎖として有する高分子は,ハロゲノアルキル基を有する高分子とメルカプトアルキルスルホン酸をカップリングした後,スルフィド部を酸化することで容易に合成できる。例えば,本発明の好ましい形態としては下記反応式のように,ハロゲノアルキル基を有するポリエーテルスルホン系高分子を,ジメチルスルホキシドもしくは該高分子を充分に溶解させる極性有機溶媒に溶解させ,メルカプトアルキルスルホン酸もしくはその塩を加える。次に炭酸カリウムもしくはアルカリ性化合物を添加した後,窒素雰囲気下,30〜100℃で充分に撹拌しながら反応させる。反応後は,水もしくはアセトン中に反応溶液を添加して高分子を取り出し,乾燥させてスルホアルキルチオアルキル化ポリエーテルスルホン系高分子を得る。さらにこのものを,有機酸もしくは塩素系溶媒に加え,氷冷下,過酸化水素水もしくは有機過酸化物を滴下した後,20〜80℃で充分に撹拌しながら反応させる。反応後は,水もしくはアセトン中に反応溶液を添加して高分子を取り出し,乾燥させてスルホアルキルスルホニルアルキル化ポリエーテルスルホン系高分子を得ることができる。
Figure 2007329120
(式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。aは1から5,bは0から5のそれぞれ独立な整数を表わす。p,qは0から4の整数を表わし,全てが同時に0になることはない。Zは,フルオロ基,クロロ基,ブロモ基,ヨード基のいずれかを表す。Arは芳香環からなる2価の連結基を表す。Mは,水素もしくはナトリウム,カリウムを表す。)
ハロゲノアルキル基を有する高分子は,特に制限なく任意の方法を用いて合成することができるが,例えば,芳香環の水素をリチオ化し,ついでジハロゲノアルカンでハロゲノアルキル化する方法や,ポリメチレンハロゲニウムイオンを用いてハロゲノアルキル基を導入する方法が知られている。
特に,芳香環のハロゲノメチル化は,反応の制御が容易で大量合成も可能なので,非常に有用である。高分子中の芳香環のハロゲノメチル化としては,特に制限なく任意の方法を用いることができるが,例えば,塩化水素ガスとホルムアルデヒドでクロロメチル化する方法や,ルイス酸触媒とクロロメチルメチルエーテルでクロロメチル化する方法が挙げられる。特に特開2005−126532に述べられた,ホルムアルデヒドジアルキルアセタールと塩化チオニルとルイス酸触媒を用いる方法は,反応制御も容易で大量合成も可能であり,コストも低く抑えられることから,非常に有用である。
ポリマーをハロゲノアルキル化して側鎖を導入した後は,メルカプトアルキルスルホン酸とのカップリング反応,スルフィド部の酸化反応は,いずれも定量的に進行し,側鎖は全てスルホアルキルスルホニルアルキル基へと変換される。すなわち,ポリマーのハロゲノアルキル化での側鎖導入量をコントロールすることにより,任意のイオン交換基当量重量を有する芳香族炭化水素系イオン伝導性電解質を合成することができる。特に芳香環のハロゲノメチル化は反応の制御が容易なので,望みのイオン交換基当量重量の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質を得るには非常に有用である。
ハロゲノアルキル化した高分子とメルカプトアルキルスルホン酸とのカップリングにおいて用いられるメルカプトアルキルスルホン酸は,具体的には,メルカプトメタンスルホン酸,メルカプトエタンスルホン酸,メルカプトプロパンスルホン酸,メルカプトブタンスルホン酸,メルカプトペンタンスルホン酸,メルカプトヘキサンスルホン酸,もしくはこれらのナトリウム塩,カリウム塩等の金属塩,もしくはアンモニウム塩,テトラエチルアミン塩等の有機アンモニウム塩等が挙げられる。
ハロゲノアルキル化した高分子とメルカプトアルキルスルホン酸とのカップリングにおいて,しばしば塩基性化合物が添加され,好ましくは,炭酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の金属アルカリ性化合物が反応促進のために用いられる。塩基性化合物を使用する量は,メルカプトスルホン酸1モルに対して,1モル当量から3モル当量が好ましく,特に好ましくは,1モル当量から2モル当量である。
ハロゲノアルキル化した高分子とメルカプトアルキルスルホン酸とのカップリングにおいて,反応に使用する溶媒は特に制限はないが,例えば,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチル−2−ピロリドン,ジメチルスルホキシド等が好適な溶媒として挙げられる。また,反応温度は,好ましくは,30℃から100℃であり,さらに好ましくは50℃から70℃である。
本発明のスルホアルキルスルホニルアルキル基を側鎖として有する高分子は,最後スルフィド部を酸化することで容易に合成できるが,酸化反応に用いる酸化剤は,有機酸化物もしくは無機酸化物など広範囲の酸化剤を特に制限なく用いることができる。例えば,過酸化水素水,過酢酸,m−クロロ過安息香酸等が好んで用いられる。酸化剤の量は,スルフィド1モルに対して,好ましくは2〜10当量,さらに好ましくは4〜8当量である。
スルフィド部の酸化反応において,反応に使用する溶媒は特に制限はないが,例えば,酢酸,ギ酸,水,メチレンクロライド,ジクロロエタン,もしくはこれらの混合溶媒等が好適な溶媒として挙げられる。また,反応温度は,好ましくは,20℃から80℃であり,さらに好ましくは40℃から60℃である。
本発明で用いられる芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質のイオン交換基当量重量は,300〜3000g/当量のスルホン酸を導入した高分子であり,好ましくは,300〜1000g/当量であり,さらに好ましくは300〜500g/当量である。イオン交換基当量重量が3000g/当量を超えると充分なイオン伝導性が発現せず,300g/当量より低いと該高分子の耐水性,耐久性が著しく低下し,それぞれ好ましくない。
本発明の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質の分子量は,ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算数平均分子量で,1000以上ならいずれでもよく,好ましくは10000以上500000以下,さらに好ましくは20000以上200000以下である。また,ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算重量平均分子量で,1000以上ならいずれでもよく,好ましくは20000以上1000000以下,さらに好ましくは40000以上500000以下である。
本発明で用いられる芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質を,たとえば燃料電池の電解質として使用する際には,通常膜の状態で使用される。長鎖の側鎖を有する芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質を膜化する方法は,特に制限がないが,キャスト法,溶融法,含浸法,グラフト法,フィリング法などの方法を適宜採用できる。
例えばキャスト法は,該高分子もしくはその組成物を適当な溶媒に溶解し,ガラス板やポリエチレンテレフタレートフィルム等の基板に流延塗布し,溶媒を除去して製膜する方法である。製膜に用いる溶媒は,高分子を溶解し,その後に乾燥等で除去し得るものであれば特に制限は無く,N,N’−ジメチルホルムアミド,N,N’−ジメチルアセトアミド,N−メチル−2−ピロリドン,ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒,あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル,あるいはジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒,i−プロピルアルコール,t−ブチルアルコール等のアルコール,もしくはこれらの溶剤の混合溶媒,含水溶媒等が好適に用いられる。
本発明の電解質膜を製造するにあたって,通常の高分子に使用される可塑剤,安定剤,離型剤,補強剤,酸化防止剤等の添加剤を,本発明の目的に反しない限りにおいて使用できる。
該電解質膜の厚みには特に制限がないが,10から100μmが好ましい。10μmより薄い膜では実用的な強度が充分ではなく,またハンドリングが困難である場合が多く,100μmより厚い膜では膜抵抗が大きくなり,電解質としての特性が充分に発揮できない。該高分子電解質膜の厚みは,キャスト法の場合,キャスト溶液の濃度,および基板上への塗布厚により制御できる。
該高分子電解質膜の物性改良を目的として,混合共キャストする等の方法により,他の高分子との複合アロイ化も可能である。また,機械的強度の向上を目的として,電子線,放射線による架橋,多孔性フィルム,シートへの含浸複合化,ファイバーやパルプを混合しての補強等も,本発明の目的に反しない限り適用可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし,本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[イオン交換基当量重量の測定1]一定量の試料を測り取り(試料量:Ag),ジメチルスルホキシドに溶解した後,0.1Nの水酸化カリウム水溶液(力価:F)で滴定し(滴定量:Bml),以下の式からイオン交換基当量重量(EW)を求めた。
EW=(1000×A)/(0.1×B×F)
[プロトン伝導率の測定1]温度40℃,湿度90%RHの恒温恒湿槽内で,交流法により測定した。
[メタノールに対する膨潤性の評価1]一定の大きさに切り出した膜を40vol%濃度のメタノール水に浸漬し,50℃で24時間保持した。その後の膨張した膜の寸法を測り,面積の増加率を求めることにより,水に対する膨潤性を評価した。
[膜厚の測定1]デジタルマイクロメータで膜厚を測定した。
[メタノール透過性の評価1]H型セル間にサンプル膜を挟み,一方のセルにはイオン交換水を入れ,他方のセルには40vol%のメタノール水を入れた。一定時間経過毎に水側に透過してきたメタノールをガスクロマトグラフィにより定量した。経過時間を横軸に,水側セル中のメタノール濃度を縦軸にプロットし,その傾きから膜を透過するメタノール流束を求め,評価した。
実施例1
スルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホン(VI)の合成
Figure 2007329120
温度計,滴下ロート,および撹拌機を備えた5000mlフラスコに,ニトロベンゼン4000mlとポリエーテルスルホン(商品名:スミカエクセルPES5200P・住友化学製)530gを仕込み,この反応液にジメトキシメタン330gと塩化チオニル440gを加えた。さらに無水塩化スズ150gを加え,60℃で12時間反応させた。こうして反応させたポリマーをメタノールで析出させ,ポリマーをろ過回収した。メタノールで繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥してクロロメチル化ポリエーテルスルホン630gを得た。
温度計,撹拌機を備えた1000mlフラスコに,先の反応で得られたクロロメチル化ポリエーテルスルホンを50g,N,N−ジメチルホルムアミド500mlを仕込み,この反応液に,メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム25g,炭酸カリウム20gを加え,65℃で25時間反応させた。こうして反応させたポリマーを,アセトンで析出させ,ポリマーをろ過回収した。水で繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥して,スルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホン50gを得た。
実施例2
スルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホン膜の作製
実施例1で合成したスルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン50gをN,N−ジメチルアセトアミド130gに溶解して28wt%のキャスト用のワニスを調製した。ワニスをガラス基板上に塗膜し,これを真空恒温槽にて140℃で2時間,減圧乾燥した。乾燥後膜を所定のサイズにカットし,ガラス基板上から剥離することで,スルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン膜を作製した。
イオン交換基当量重量 700
プロトン伝導率 0.023S/cm
膨潤性(メタノール) 7%
膜厚 51.8μm
メタノール流束 0.024mmol/cm2/min
([イオン交換基当量重量の測定1][プロトン伝導率の測定1][メタノールに対する膨潤性の評価1][膜厚の測定1][メタノール透過性の評価1]にて評価した。)
実施例3
スルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン(VII)の合成
Figure 2007329120
温度計,滴下ロート,および撹拌機を備えた5000mlフラスコに,ニトロベンゼン4000mlとポリエーテルスルホン(商品名:スミカエクセルPES5200P・住友化学製)530gを仕込み,この反応液にジメトキシメタン330gと塩化チオニル440gを加えた。さらに無水塩化スズ150gを加え,60℃で12時間反応させた。こうして反応させたポリマーをメタノールで析出させ,ポリマーをろ過回収した。メタノールで繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥してクロロメチル化ポリエーテルスルホン630gを得た。
温度計,撹拌機を備えた1000mlフラスコに,先の反応で得られたクロロメチル化ポリエーテルスルホンを50g,N,N−ジメチルホルムアミド500mlを仕込み,この反応液に,メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム25g,炭酸カリウム20gを加え,65℃で25時間反応させた。こうして反応させたポリマーを,アセトンで析出させ,ポリマーをろ過回収した。水で繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥して,スルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホン50gを得た。
温度計,撹拌機を備えた1000mlフラスコに,先の反応で得られたスルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホンを50g,酢酸500mlを仕込み,この反応液に,33%過酸化水素水50mlを加え,50℃で3時間反応させた。こうして反応させたポリマーを,ろ過回収し,水で繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥して,スルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン45gを得た。
実施例4
スルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン膜の作製
実施例3で合成したスルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン100gをN,N−ジメチルアセトアミド300gに溶解して25wt%のキャスト用のワニスを調製した。ワニスをガラス基板上に塗膜し,これを真空恒温槽にて140℃で2時間,減圧乾燥した。乾燥後膜を所定のサイズにカットし,ガラス基板上から剥離することで,スルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン膜を作製した。
イオン交換基当量重量 730
プロトン伝導率 0.024S/cm
膨潤性(メタノール) 48%
膜厚 56.7μm
メタノール流束 0.029mmol/cm2/min
([イオン交換基当量重量の測定1][プロトン伝導率の測定1][メタノールに対する膨潤性の評価1][膜厚の測定1][メタノール透過性の評価1]にて評価した。)
比較例1
ナフィオン112(商品名、パーフルオロ酸系高分子、デュポン社製)膜
イオン交換基当量重量 1100
プロトン伝導率 0.075S/cm
膨潤性(メタノール) 51%
膜厚 50μm
メタノール流束 0.21mmol/cm2/min
([イオン交換基当量重量の測定1][プロトン伝導率の測定1][メタノールに対する膨潤性の評価1][膜厚の測定1][メタノール透過性の評価1]にて評価した。)
[イオン交換基当量重量の測定2]一定量の膜試料を測り取り(試料量:Ag),0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液5mLに一晩浸漬した。浸漬液から膜を取り出した後,0.1Nの塩酸(力価:F)で滴定し(滴定量:Bml),以下の式からイオン交換基当量重量(EW)を求めた。
EW=(1000×A)/{0.1×(5−B)×F}
[プロトン伝導率の測定2]温度40℃の恒温槽内で,膜を水中に浸し,交流法により測定した。
[メタノールに対する膨潤性の評価2]一定の大きさに切り出した膜を40vol%濃度のメタノール水に浸漬し,40℃で24時間保持した。その後の膨張した膜の寸法を測り,面積の増加率を求めることにより,水に対する膨潤性を評価した。
実施例5
スルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホン(VI)の合成
温度計,撹拌機を備えた1000mlフラスコに,先の反応で得られたクロロメチル化ポリエーテルスルホンを50g,ジメチルスルホキシド500mlを仕込み,この反応液に,メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム25g,炭酸カリウム20gを加え,65℃で25時間反応させた。こうして反応させたポリマーを,アセトンで析出させ,ポリマーをろ過回収した。3%希硫酸で繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥して,高分子電解質(VI)50gを得た。
実施例6
高分子電解質(VI)膜の作製
実施例5で合成したスルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホン(VI)50gをN,N−ジメチルアセトアミド130gに溶解して28wt%のキャスト用のワニスを調製した。ワニスをガラス基板上に塗膜し,これを真空恒温槽にて140℃で2時間,減圧乾燥した。乾燥後膜を所定のサイズにカットし,ガラス基板上から剥離することでスルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホン膜を作製した。
イオン交換基当量重量 769
プロトン伝導率 0.072S/cm
膨潤性(メタノール) 71%
膜厚 71μm
(イオン交換基当量重量の測定2][プロトン伝導率の測定2][メタノールに対する膨潤性の評価2][膜厚の測定1]にて評価した。)
実施例7
スルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン(VII)の合成
温度計,撹拌機を備えた1000mlフラスコに,スルホプロピルチオメチル化ポリエーテルスルホン(VI)を50g,水500mlを仕込み,この反応液に,33%過酸化水素水50mlを加え,50℃で3時間反応させた。こうして反応させたポリマーを,ろ過回収し,水で繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥して,高分子電解質(VII)45gを得た。
実施例8
高分子電解質(VII)膜の作製
実施例7で合成したスルホプロピルスルホニルメチル化ポリエーテルスルホン(VII)45gを用い,実施例6と同様の方法で,高分子電解質(VII)膜を作製した。
イオン交換基当量重量 788
プロトン伝導率 0.070S/cm
膨潤性(メタノール) 177%
膜厚 64μm
(イオン交換基当量重量の測定2][プロトン伝導率の測定2][メタノールに対する膨潤性の評価2][膜厚の測定1]にて評価した。)
実施例9
高分子電解質(VIII)(a1=4,b1=1)の合成
撹拌機,温度計,DeanStark管,還流管を取り付けた1Lの三つ口フラスコに,4,4’−ジクロロジフェニルスルホン45.22g(0.1575mol),4,4’−ビフェノール9.32g(0.05mol),ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン25.02g(0.1mol),炭酸カリウム25g(0.22mol),N,N−ジメチルアセトアミド250mL,トルエン100mLを入れ,窒素雰囲気下150℃で2時間還流・撹拌した。反応が進行するにつれて生成する水はトルエンと共沸させることで系外に除去した。その後トルエンも留去し反応温度を160℃に上げて20時間還流・撹拌を続けた。得られた反応液をろ過して生成した無機塩を除去し,メタノール2Lで再沈殿することでポリマーを取り出し,ろ過後乾燥することでポリエーテルスルホン系高分子65.7gを得た。
温度計,滴下ロート,および撹拌機を備えた500mlフラスコに,ニトロベンゼン160mlと先に合成したポリエーテルスルホン系高分子20gを仕込み,この反応液にジメトキシメタン50gと塩化チオニル50gを加えた。さらに無水塩化スズ5gを加え,65℃で3.5時間反応させた。こうして反応させたポリマーをメタノールで析出させ,ポリマーをろ過回収した。メタノールで繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥してクロロメチル化したポリエーテルスルホン系高分子25gを得た。
温度計,撹拌機を備えた500mlフラスコに,先の反応で得られたクロロメチル化したポリエーテルスルホン系高分子を25g,ジメチルスルホキシド300mlを仕込み,この反応液に,メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム17g,炭酸カリウム14gを加え,65℃で4時間反応させた。こうして反応させたポリマーを,アセトンで析出させ,ポリマーをろ過回収した。水で繰り返し粉砕洗浄した後,温度計,撹拌機を備えた500mlフラスコに,ポリマーを入れ,水200mlを仕込み,この反応液に,33%過酸化水素水20mlを加え,50℃で3時間反応させた。こうして反応させたポリマーを,ろ過回収し,3%希硫酸で繰り返し粉砕洗浄した後,80℃で乾燥して,高分子電解質(VIII)(a1=4,b1=1)を得た。
Figure 2007329120
(式中、p1,q1,r1,s1,t1,u1はそれぞれ独立な0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
実施例10
高分子電解質(VIII)(a1=4,b1=1)膜の作製
実施例9で合成した高分子電解質(VIII)20g,N,N−ジメチルアセトアミド50gを用い,実施例6と同様の方法で,高分子電解質(VIII)(a1=4,b1=1)膜を作製した。
イオン交換基当量重量 660
プロトン伝導率 0.10S/cm
膨潤性(メタノール) 177%
膜厚 67μm
(イオン交換基当量重量の測定2][プロトン伝導率の測定2][メタノールに対する膨潤性の評価2][膜厚の測定1]にて評価した。)
実施例11
高分子電解質(VIII)(a1=1,b1=1)の合成
4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを180.9g(0.63mol),4,4’−ビフェノールを74.5g(0.4mol),ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンを50.1g(0.2mol),炭酸カリウムを99.7g(0.72mol),N,N−ジメチルアセトアミドを1000mL,トルエンを200mL用いて,実施例9と同様の方法でポリエーテルスルホン系高分子を合成した。その後は実施例9と同様の方法で合成し,高分子電解質(VIII)(a1=1,b1=1)を得た。
実施例12
高分子電解質(VIII)(a1=1,b1=1)膜の作製
実施例11で合成した高分子電解質(VIII)20g,N,N−ジメチルアセトアミド50gを用い,実施例6と同様の方法で,高分子電解質(VIII)(a1=1,b1=1)膜を作製した。
イオン交換基当量重量 633
プロトン伝導率 0.10S/cm
膨潤性(メタノール) 389%
膜厚 71μm
(イオン交換基当量重量の測定2][プロトン伝導率の測定2][メタノールに対する膨潤性の評価2][膜厚の測定1]にて評価した。)
実施例13
高分子電解質(IX)(a2=1,b2=1)の合成
撹拌機,温度計,DeanStark管,還流管を取り付けた1Lの三つ口フラスコに,4,4’−ジクロロジフェニルスルホン180.9g(0.63mol),4,4’−ビフェノール55.8g(0.3mol),2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン101.0g(0.3mol),炭酸カリウム99g(0.72mol),DMAc1000mL,トルエン100mLを入れ,窒素雰囲気下150℃で2時間還流・撹拌した。反応が進行するにつれて生成する水はトルエンと共沸させることで系外に除去した。その後トルエンも留去し反応温度を160℃に上げて20時間還流・撹拌を続けた。得られた反応液をろ過して生成した無機塩を除去し,メタノール4Lで再沈殿することでポリマーを取り出し,ろ過後乾燥することでポリエーテルスルホン系高分子263gを得た。その後は実施例5と同様の方法で合成し,高分子電解質(IX)(a2=1,b2=1)を得た。
Figure 2007329120
(p2,q2,r2,s2,t2,u2,v2,w2はそれぞれ独立な0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
実施例14
高分子電解質(IX)(a2=1,b2=1)膜の作製
実施例13で合成した高分子電解質(IX)20g,N,N−ジメチルアセトアミド50gを用い,実施例6と同様の方法で,高分子電解質(IX)(a2=1,b2=1)膜を作製した。
イオン交換基当量重量 678
プロトン伝導率 0.10S/cm
膨潤性(メタノール) 102%
膜厚 63μm
(イオン交換基当量重量の測定2][プロトン伝導率の測定2][メタノールに対する膨潤性の評価2][膜厚の測定1]にて評価した。)
実施例15
高分子電解質(IX)(a2=1,b2=2)の合成
4,4’−ビフェノールを74.4g(0.4mol),2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを67.4g(0.2mol)用いて,実施例9と同様の方法でポリエーテルスルホン系高分子を得た。その後は実施例9と同様の方法で合成し,高分子電解質(IX)(a2=1,b2=2)を得た。
実施例16
高分子電解質(IX)(a2=1,b2=2)膜の作製
実施例15で合成した高分子電解質(IX)20g,N,N−ジメチルアセトアミド50gを用い,実施例6と同様の方法で,高分子電解質(IX)(a2=1,b2=2)膜を作製した
イオン交換基当量重量 701
プロトン伝導率 0.82S/cm
膨潤性(メタノール) 67%
膜厚 56μm
(イオン交換基当量重量の測定2][プロトン伝導率の測定2][メタノールに対する膨潤性の評価2][膜厚の測定1]にて評価した。)
以上の結果より,本発明の長鎖の側鎖を有する炭化水素系高分子は,高いイオン伝導性を持ち,膨潤しにくく,標準的な電解質膜であるナフィオンに比べても遜色ない性能を有することがわかった。特に,メタノール透過性は大きく優れている。したがって高分子電解質膜として特に燃料電池の電解質材料として非常に有用である。また,ハロゲノアルキル基を有する高分子をメルカプトアルキルスルホン酸とカップリングして,さらに酸化して製造することにより,該高分子電解質を低コストで大量合成することが可能となり,本発明の製造方法は,低コストの電解質膜製造方法として有用である。

Claims (16)

  1. 高分子中の芳香環に下記式(I)で表される側鎖が置換されていることを特徴とする芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
    Figure 2007329120
    (式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。Xは、スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
  2. 高分子が、ポリエーテルスルホン系高分子である請求項1に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
  3. 下記式(II)で表わされる構造単位を有することを特徴とする芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
    Figure 2007329120
    (式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。aは1から5,bは0から5のそれぞれ独立な整数を表わす。p,qは0から4の整数を表わし,全てが同時に0になることはない。Xは,スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。Arは芳香環からなる2価の連結基を表す。)
  4. 式(II)において,Arが下記式(III)−1〜(III)−4で示される構造のうちの1つであることを特徴とする請求項3に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
    Figure 2007329120
    (式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。r,r’,r’’,r’’’ ,r’’’’,s’,s’’,s’’’ ,s’’’’は0から4の整数を表わし,全てが同時に0になることはない。Xは,スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
  5. n=1である請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
  6. m=3である請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
  7. b=0である請求項3または4に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
  8. スルホン酸基1個当たりの当量重量が,300から3000であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
  9. Xがスルフィド基である請求項1〜8のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
  10. Xがスルホニル基である請求項1〜8のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質を用いた電解質膜。
  12. ハロゲノアルキル基を有する芳香族炭化水素系高分子とメルカプトアルキルスルホン酸をカップリングして製造することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質の製造方法。
  13. ハロゲノアルキル基を有する芳香族炭化水素系高分子とメルカプトアルキルスルホン酸をカップリングし,さらにこのものを酸化して製造することを特徴とする請求項1〜8、10のいずれか一項に記載の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質の製造方法。
  14. ハロゲノメチル基を有するポリエーテルスルホン系高分子とメルカプトプロパンスルホン酸を塩基性条件下でカップリングして製造することを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
  15. ハロゲノメチル基を有するポリエーテルスルホン系高分子とメルカプトプロパンスルホン酸を塩基性条件下でカップリングし,さらに酸化して製造することを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
  16. ポリエーテルスルホン系高分子中の芳香環に下記式(I)で表される側鎖が置換されていることを特徴とする燃料電池用芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質膜。
    Figure 2007329120
    (式中,n,mは1から6のそれぞれ独立な整数を表わす。Xは、スルフィド基もしくはスルホニル基を表す。)
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