JP2009277532A - ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法 - Google Patents

ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009277532A
JP2009277532A JP2008128313A JP2008128313A JP2009277532A JP 2009277532 A JP2009277532 A JP 2009277532A JP 2008128313 A JP2008128313 A JP 2008128313A JP 2008128313 A JP2008128313 A JP 2008128313A JP 2009277532 A JP2009277532 A JP 2009277532A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyethersulfone
polymer electrolyte
polymer
formula
membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008128313A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Hamada
雅裕 濱田
Kazumitsu Shirai
一光 白井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP2008128313A priority Critical patent/JP2009277532A/ja
Publication of JP2009277532A publication Critical patent/JP2009277532A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

【課題】
高いイオン伝導性を維持しつつ、耐久性に優れた、特に耐膨潤性に優れた、低コストのポリエーテルスルホン系高分子電解質、電解質膜およびその製造方法を提供する事である。
【解決手段】
イオン伝導性が高く膨潤のしやすいポリエーテルスルホンユニットに対し、疎水性が高く立体的に嵩高い構造単位と疎水性が高く柔軟な構造単位を共に含有させ、さらにその共重合比を制限することによって、高いイオン伝導性を保持したまま水やメタノール等に対する膨潤をごく低レベルに抑えることが実現可能になり、上記課題は達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、疎水性が高く剛直な構造単位と疎水性が高く柔軟な構造単位を高分子主鎖中に有するポリエーテルスルホン系高分子電解質、それを含む膜及び該高分子の製造法に関するものである。
高分子鎖中にスルホン酸基等のイオン伝導性基を有する高分子は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオンもしくは陰イオンを選択的に透過させる機能を有していることから、固体高分子電解質として幅広い用途で用いることができ、例えば該高分子を粒子、繊維、膜上に成形させたものが、電気透析、電池電解質隔膜、拡散透析等、多くの分野で利用されている。
例えば、ナフィオン(登録商標デュポン社製)を初めとするパーフルオロスルホン酸系の材料は、化学的耐久性が高いことから過酷な条件下でも使用に耐え、長時間の寿命も確保できることから広く普及しており、燃料電池の電解質膜としても有望視されている。しかしながら、フッ素系の材料は非常に高価であること、ガラス転移温度が低く高温条件下で用いることができないこと、リサイクル性が悪いこと等の欠点を持っている。
パーフルオロスルホン酸膜に代わる電解質膜として、ポリエーテルケトンやポリフェニレン、ポリエーテルスルホン等のエンジニアリングプラスチック用高分子に、スルホン酸基等のイオン交換基を導入した固体高分子電解質膜が提案されている。特にポリエーテルスルホン系高分子は、高いイオン伝導性を示し、製造が比較的容易で低コストなため様々なものが提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらのポリエーテルスルホン系高分子電解質は、その殆どが主鎖の芳香環をスルホン化したものであるため、スルホン酸基が脱離しやすく、化学的耐久性に問題があった。
こうした中、スルホアルキル基が結合したポリエーテルスルホン系高分子が報告されている(特許文献3)。これらの高分子電解質は、イオン伝導性が高く、電池性能の面でも優れており、スルホン酸基の脱離も抑制されているが、水やメタノールに対して非常に膨潤しやすいという欠点がある。
このため、主鎖中の構造に新たな芳香族残基を導入した例が報告されている(特許文献4)。該先行文献には、主鎖にスルホアルキル基を含有するフルオレン基を含む芳香族高分子が開示されている。
特開2003−31232号公報 特開2005−206807号公報 特許3607862号 特開2007−207537号公報
本発明の目的は、高いイオン伝導性を維持しつつ、耐久性に優れ、特に耐膨潤性に優れた低コストのポリエーテルスルホン系高分子電解質、電解質膜およびその製造方法を提供することである。
本発明者等は、前期課題を解決すべく鋭意研究の結果、イオン伝導性が高く膨潤のしやすいポリエーテルスルホンユニットに対し、疎水性が高く立体的に嵩高い構造単位と疎水性が高く柔軟な構造単位を共に含有させ、さらにその共重合比を制限することによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の項目から構成される。
(1)下記式(I)および式(II)で表される構造単位を共に含有するポリエーテルスルホン系高分子電解質。
Figure 2009277532
但し、上記式(I)および式(II)において複数存在するnおよびn’は、各々独立して1から6の整数を表す。p、q、r、s、p’、q’、r’およびs’は、各々独立して0から4の整数を表わし、同時に0になることはない。
(2)上記式(II)に対する式(I)の共重合比Rが、0.1<R<10であることを特徴とする(1)に記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質。
(3)全てのnおよびn’が1であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質。
(4)スルホン酸基1モル当たりの当量重量が、200から1000g/モルであることを特徴とする、(1)から(3)のいずれか一つに記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質。
(5)下記式(III)および式(IV)で表される構造単位が共重合した構造を有するポリエーテルスルホン系共重合体を、ハロゲノアルキル化し、次いでチオアシル化した後に酸化して製造することを特徴とする、(1)から(4)のいずれか一つに記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質の製造方法。
Figure 2009277532
(6)(1)から(4)に記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質を用いることを特徴とする固体高分子電解質膜。
(7)(6)に記載の固体高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池。
本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質は、高いイオン伝導性を保持したまま水やメタノール等に対する膨潤をごく低レベルに抑えることができるため、燃料電池に充分適用可能なポリエーテルスルホン系高分子電解質、およびその膜を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質は、下記式(I)および式(II)で表される構造単位を共に含有するポリエーテルスルホン系高分子から構成される。
Figure 2009277532
但し、上記式(I)および式(II)に記載のnおよびn’は、各々独立して1から6の整数を表す。p、q、r、s、p’、q’、r’およびs’は、各々独立して0から4の整数を表わし、同時に0になることはない。
該高分子電解質において、式(I)の構造単位はフルオレン構造を含んでおり、疎水性が高く剛直な特性に寄与し、式(II)の構造単位はヘキサフルオロイソプロピリデン構造を含んでおり、親水性が高く柔軟な特性に寄与する。
上記式(II)に対する式(I)の共重合比Rを変えることによって、電解質の特性を任意に変えることができるが、イオン伝導性を高いレベルで維持しつつ、膨潤性を最低限に抑えるという観点から0.1<R<10であることが好ましい。特に共重合比Rが、0.4<R<2.5の範囲にあることが最も好ましい。
上記式(I)および式(II)におけるnおよびn’は、それぞれ独立して1から6の整数を表し、特に制限はないが、イオン伝導性、耐久性を両立させる観点から、n=1、n’=1のときが最も好適である。
本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質のスルホン酸基1モル当たりの当量重量は、200から1000g/モルであることが好ましく、更に好ましくは400から600g/モルである。スルホン酸当量重量が1000g/モルを超えると十分なイオン伝導性が得られない場合があり、200g/モルより小さいと耐水性、耐溶剤性が低下し、電解質としての使用が困難となる場合がある。なお、スルホン酸当量重量は、プロトンNMRスペクトル、元素分析、酸塩基滴定等により測定が可能である。
本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算数平均分子量で1000以上ならいずれでもよく、好ましくは10000以上500000以下、更に好ましくは20000以上200000以下である。また、ゲルパーミションクロマトグラフィによるポリスチレン換算重量平均分子量で、1000以上ならいずれでもよく、好ましくは20000以上1000000以下、更に好ましくは40000以上500000以下である。
次に本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質の製造方法について記述する。本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質は、下記式(III)および式(IV)で表される構造単位が共重合した構造を含有するポリエーテルスルホン系共重合体を、所定の共重合比で重合し、このポリエーテルスルホン系共重合体をハロゲノアルキル化し、次いでチオアシル化した後に酸化することにより得られる。
Figure 2009277532
前記のポリエーテルスルホン系高分子共重合体において式(III)の構造単位および式(IV)の構造単位の重合様式はブロック共重合でも、ランダム共重合でも構わない。このポリエーテルスルホン系共重合体は、これまでに報告されている方法で容易に合成できる。特に特開平10−21943に記載されているようなジハロゲノフェニルスルホンとビフェノールをアルカリ存在下に重縮合する方法は簡便で大量に合成可能なので非常に有用である。
前記のポリエーテルスルホン系共重合体は、上記式(III)および式(IV)以外に共重合体成分を有していてもよい。例えば、以下の式(V)の構造単位を、更に式(III)および式(IV)の構造単位と任意の順で含有したものも本発明に用いられる。
Figure 2009277532
本発明におけるポリエーテルスルホン系共重合体の好ましい合成例としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BisAF)をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、トルエン、炭酸カリウムを添加後、窒素雰囲気下で140〜150℃で脱水還流する。途中で水とトルエンを留去した後さらに160〜165℃で20時間以上重合して充分に重合を進行させる。反応後は、生成塩を濾過して取り除き、メタノール、アセトンもしくは水で再沈殿してポリマーを得る。その後、水で洗浄し、乾燥してポリエーテルスルホン系共重合体を得ることができる。原料として4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンを使用してもよい。また、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(もしくは4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン)のモル量が、BPFLとBisAFのモル量の和よりも小過剰(1.01〜1.05倍)になることが好ましい。
このとき、ポリエーテルスルホン系共重合体の式(III)の構造単位および式(IV)の構造単位の共重合比は、BPFLとBisAFのモル比を調整することにより任意の割合で調整することができる。ここで共重合比を調整することにより、本発明の高分子電解質において上記式(II)の構造単位に対する式(I)の構造単位の比Rを任意の値に調整することができる。
また、以上の方法はランダム共重合体の合成例であったが、ブロック共重合体を得る場合は、先に4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとBPFLを重合しておき、充分に重合した後にBisAFを加え重合することによってブロック共重合体を得ることができる。または、先に4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとBisAFを重合しておき、充分に重合した後にBPを加え重合することによってブロック共重合体を得ることができる。
ポリエーテルスルホン系共重合体のハロゲノアルキル化は、特に制限なく任意の方法を用いることができるが、例えば、芳香環上の水素もしくはハロゲン原子を有機リチウム化合物でリチウムに置換し(リチオ化)、ついでジハロゲノアルカンでハロゲノアルキル化する方法や、ポリメチレンハロゲニウムイオンを用いてハロゲノアルキル基を導入する方法が知られている。
特に、芳香環のハロゲノメチル化は、反応の制御が容易で大量合成も可能なので非常に有用である。高分子中の芳香環のハロゲノメチル化としては、特に制限なく任意の方法を用いることができるが、例えば、塩化水素ガスとホルムアルデヒドでクロロメチル化する方法や、ルイス酸触媒とクロロメチルメチルエーテルでクロロメチル化する方法が挙げられる。特に特開2005−126532に述べられた、ホルムアルデヒドジアルキルアセタールと塩化チオニルとルイス酸触媒を用いる方法は、反応制御も容易で大量合成も可能であり、コストも低く抑えられることから非常に有用である。
ハロゲノメチル化したポリエーテルスルホン系共重合体をチオアシル化する反応剤は特に制限が無い。例えば、チオ酢酸、チオプロパン酸、チオブタン酸、チオ安息香酸、チオトルエン酸等のチオカルボン酸、もしくはそれらのナトリウム塩やカリウム塩などの金属塩が挙げられる。特にチオ酢酸カリウムが好ましい。このチオアシル化剤の使用量は、ハロゲノアルキル基に対して当量もしくは小過剰量(1〜1.2当量)用いれば充分である。チオアシル化の反応温度は0〜100℃の範囲で適宜選択すればよく、30〜60℃が好ましい。チオアシル化の反応溶媒としては、広範囲の溶媒を任意に用いることができるが、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が好ましい。
チオアシル化したポリエーテルスルホン系共重合体の酸化には、有機もしくは無機過酸化物等の広範囲の酸化剤を用いることができ、例えば、過酸化水素水、過酢酸が好適に用いられる。酸化剤の量はチオアシル基に対して当量から10当量が好ましい。チオアシル基の酸化の反応温度は、通常20〜90℃程度であり、40〜60℃が好ましい。チオアシル基の酸化反応の溶媒としては、酢酸やジクロロメタンやギ酸等の通常酸化反応に用いる溶媒、もしくはこれらの混合溶媒を広範囲に用いることができる。
本発明の製造法において、ハロゲノアルキル基からスルホアルキル基への変換は定量的に進行する。従って、ハロゲノアルキル化において、反応原料の仕込量、反応温度、反応時間を調整し、ハロゲノアルキル基導入率を制御することにより、任意のスルホン酸基当量重量を持つポリエーテルスルホン系高分子電解質が合成可能である。特に芳香環のハロゲノメチル化は反応の制御が容易なので、望みのイオン交換基当量重量の芳香族炭化水素系イオン伝導性高分子電解質を得るには非常に有用である。
本発明の好ましい形態の一例を示すと、上記式(III)および式(IV)で表される構造単位が共重合した構造を有するポリエーテルスルホン系共重合体を、ニトロベンゼンもしくはテトラクロロエタン等の反応溶媒に溶かし、ジメトキシメタン、塩化チオニル、四塩化スズを加え、50〜70℃の温度で適当な時間撹拌し、望みの導入率までクロロメチル化を進行させる。反応溶液をメタノールもしくはアセトンで再沈殿し、ろ過後乾燥してクロロメチル化したポリエーテルスルホン系共重合体を得る。このものをN−メチルピロリドンまたはN,N−ジメチルホルムアミドに溶かし、チオ酢酸カリウムを加え、室温で2時間撹拌する。反応溶液を水、アセトンもしくはメタノールで再沈殿し、濾過後乾燥してチオアセチル化したポリエーテルスルホン系共重合体を得る。このものを、酢酸、ギ酸、ジクロロメタン等で構成される混合溶媒に溶解し、過酸化水素水もしくは過酢酸を加え40〜60℃で1時間撹拌する。反応溶液を希硫酸で再沈殿し、濾過後水洗浄を繰り返して精製した後乾燥して本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質を得ることができる。
本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質を、例えば燃料電池の電解質として使用する際には通常膜の状態で使用される。本発明のポリエーテルスルホン系高分子電解質を膜化する方法は、特に制限がないが、キャスト法、溶融法、含浸法、グラフト法、フィリング法等の方法を適宜採用できる。
例えばキャスト法は、該高分子もしくはその組成物を適当な溶媒に溶解し、ガラス板やポリエチレンテレフタレートフィルム等の基板に流延塗布し、溶媒を除去して製膜する方法である。製膜に用いる溶媒は、高分子を溶解し、その後に乾燥等で除去し得るものであれば特に制限は無く、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール、もしくはこれらの溶剤の混合溶媒、含水溶媒等が好適に用いられる。
例えば前記のようにして本発明の固体高分子電解質膜を製造するにあたって、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、補強剤、酸化防止剤等の添加剤を、本発明の目的に反しない限りにおいて使用できる。
本発明の固体高分子電解質膜の厚みには特に制限がないが、10から100μmが好ましい。10μmより薄い膜では実用的な強度が充分ではなく、またハンドリングが困難である場合が多く、100μmより厚い膜では膜抵抗が大きくなり、電解質としての特性が充分に発揮できない。該高分子電解質膜の厚みは、キャスト法の場合、キャスト溶液の濃度、および基板上への塗布厚により制御できる。
本発明の固体高分子電解質膜の物性改良を目的として混合共キャストする等の方法により、他の高分子との複合アロイ化も可能である。また、機械的強度の向上を目的として、電子線、放射線による架橋、多孔性フィルム、シートへの含浸複合化、ファイバーやパルプを混合しての補強等も、本発明の目的に反しない限り適用可能である。
本発明の固体高分子電解質膜の両面もしくは片面に、電極触媒,ガス拡散層、集電体を接合、積層することにより燃料電池として使用することができる。燃料としては特に制限はなく広範囲のものを使用できるが、特に水素やメタノールを燃料とする燃料電池において有用である。燃料電池の製造方法も特に制限はなく、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、白金、白金−ルテニウム合金が炭素電極に担持された電極触媒を電解質バインダーと共にホットプレスする方法、接着剤により接合する方法等により製造できる。
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[イオン交換基当量重量の測定]一定量の試料を測り取り(試料量:Ag)、ジメチルスルホキシドに溶解した後、0.1Nの水酸化カリウム水溶液(力価:F)で滴定し(滴定量:Bml)、以下の式からイオン交換基当量重量(EW)を求めた。
EW=(1000×A)/(0.1×B×F)
[プロトン伝導率の測定]温度40℃の恒温恒湿槽内で、交流法により測定した。
プロトン伝導率が0.01S/cm以上、好ましくは0.03S/cm以上であれば、良好なプロトン伝導性を有すると言うことができ、例えば燃料電池電解質膜として公知であるナフィオン(登録商標,デュポン社製)は、本測定条件下で0.078S/cmを示す。
[水に対する膨潤性の評価]一定の大きさに切り出した膜を水に浸漬し、80℃で2時間保持した。その後の膨張した膜の寸法を測り、面積の増加率を求めることにより水に対する膨潤性を評価した。
[メタノールに対する膨潤性の評価]一定の大きさに切り出した膜を40vol%濃度のメタノール水に浸漬し、50℃で24時間保持した。その後の膨張した膜の寸法を測り、面積の増加率を求めることによりメタノール水に対する膨潤性を評価した。
実施例1 スルホメチル化ポリエーテルスルホン系高分子電解質の合成
(下記式(VI)中、x=y=1、R=x/y=1)
Figure 2009277532
(上記式(VI)中、p1、q1、r1、s1、p’1、q’1、r’1およびs’1は、各々独立して0から4の整数を表わし、同時に0になることはない。)
撹拌機、温度計、DeanStark管、還流管を取り付けた1Lの三つ口フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン181.0g(0.63mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)105.1g(0.3mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BisAF)100.9g(0.3mol)、炭酸カリウム99.5g(0.72mol)、N,N−ジメチルアセトアミド1000mL、トルエン150mLを入れ、窒素雰囲気下150℃で2時間還流下で撹拌した。反応が進行するにつれて生成する水はトルエンと共沸させることで系外に除去した。その後、トルエンも留去し反応温度を160℃に上げて19時間還流下で撹拌を続けた。得られた反応液をろ過して生成した無機塩を除去し、メタノール4Lで再沈殿することでポリマーを取り出し、濾過後乾燥することでポリエーテルスルホン系共重合体350.2gを得た。
撹拌機、温度計、還流管、滴下ロートを取り付けた2Lの三つ口フラスコに、前記で得られたポリエーテルスルホン系共重合体20g、ジメトキシメタン50g、塩化チオニル50g、ニトロベンゼン200mLを入れ、撹拌しながら四塩化スズ7gを滴下し、40℃で4時間反応させた。反応液をメタノール2.5Lに投入しポリマーを再沈殿させ、濾過、乾燥することでクロロメチル化したポリエーテルスルホン系共重合体19gを得た。
撹拌機、温度計を取り付けた500mLの三つ口フラスコに、前記で得られたクロロメチル化したポリエーテルスルホン系共重合体18g、チオ酢酸カリウム8g、N,N−ジメチルホルムアミド250mLを入れ、室温で1時間反応させた。反応液を水1.5Lに投入しポリマーを再沈殿させ、濾過、乾燥することでチオアセチル化したポリエーテルスルホン系共重合体18gを得た。
撹拌機、温度計、還流管、滴下ロートを取り付けた1Lの三つ口フラスコに、前記で得られたチオアセチル化したポリエーテルスルホン系共重合体18g、酢酸50mL、ギ酸50mL、ジクロロメタン360mLを入れ、撹拌しながら34%過酸化水素水35gを滴下し、40℃で1時間反応させた。反応液を5%硫酸水溶液4Lで再沈殿させ、濾過してポリマーを取り出した。水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、乾燥して本発明のスルホメチル化ポリエーテルスルホン系高分子電解質21gを得た。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算数平均分子量で41800、重量平均分子量で139000であった。
実施例2 スルホメチル化ポリエーテルスルホン系高分子電解質膜の作製
実施例1で合成したスルホメチル化ポリエーテルスルホン系高分子電解質15gをN,N−ジメチルアセトアミド50gに溶解して23wt%のキャスト用のワニスを調製した。ワニスをガラス基板上に塗膜し、これを真空恒温槽にて120℃で90分、減圧乾燥した。乾燥後膜を所定のサイズにカットし、ガラス基板上から剥離することでスルホメチル化ポリエーテルスルホン系高分子電解質膜を作製した。この膜を各種の試験法にて評価し、評価結果を下記の表1に纏めた。
比較例1 スルホメチル化ポリエーテルスルホン(VII)膜の作製
Figure 2009277532
(上記式(VII)のp2およびq2は、各々独立して0から4の整数を表わし、同時に0になることはない。)
撹拌機、温度計、還流管、滴下ロートを取り付けた3000mLの三つ口フラスコに、ポリエーテルスルホン(住友化学製スミカエクセル5200P)150g、ジメトキシメタン75g、塩化チオニル113g、ニトロベンゼン1500mLを入れ、撹拌しながら四塩化スズ50gを滴下し、65℃で5時間反応させた。反応液をメタノール3Lに投入しポリマーを再沈殿させ、濾過、乾燥することでクロロメチル化ポリエーテルスルホン190gを得た。
撹拌機、温度計を取り付けた3Lの三つ口フラスコに、前記で得られたクロロメチル化ポリエーテルスルホン130g、チオ酢酸カリウム27g、N,N−ジメチルホルムアミドを入れ、室温で2時間反応させた。反応液を水5Lに投入しポリマーを再沈殿させ、濾過、乾燥することでチオアセチル化したポリエーテルスルホン120gを得た。
撹拌機、温度計、還流管、滴下ロートを取り付けた3Lの三つ口フラスコに、前記で得られたチオアセチル化したポリエーテルスルホン120g、酢酸240mL、ギ酸480mL、ジクロロメタン1700mLを入れ、撹拌しながら34%過酸化水素水144gを滴下し、40℃で1時間反応させた。反応液を10%硫酸水溶液3Lで再沈殿させ、濾過してポリマーを取り出した。水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、乾燥してスルホメチル化ポリエーテルスルホン(VI)100gを得た。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算数平均分子量で65800、重量平均分子量で147000であった。
前記で合成したスルホメチル化ポリエーテルスルホン80gをN,N−ジメチルアセトアミド268gに溶解して23wt%のキャスト用のワニスを調製した。ワニスをガラス基板上に塗膜し、これを真空恒温槽にて120℃で90分、減圧乾燥した。乾燥後膜を所定のサイズにカットし、ガラス基板上から剥離することでスルホメチル化ポリエーテルスルホン膜を作製した。この膜を各種の試験法にて評価し、評価結果を下記の表1に纏めた。
比較例2 スルホメチル化ポリスルホンAF(VIII)膜の作製
Figure 2009277532
(上記式(VIII)のp3、q3、r3およびs3は、各々独立して0から4の整数を表わし、同時に0になることはない。)
撹拌機、温度計、DeanStark管、還流管を取り付けた1Lの三つ口フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン90.5g(0.315mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BisAF)103g(0.3mol)、炭酸カリウム50g(0.36mol)、N,N−ジメチルアセトアミド500mL、トルエン100mLを入れ、窒素雰囲気下150℃で2時間還流下撹拌した。反応が進行するにつれて生成する水はトルエンと共沸させることで系外に除去した。その後トルエンも留去し反応温度を160℃に上げて20時間還流下撹拌した。得られた反応液をろ過して生成した無機塩を除去し、メタノール2Lで再沈殿することでポリマーを取り出し、濾過後乾燥することでポリスルホンAF171gを得た。
ポリスルホンAF44gを原料にして、ニトロベンゼン400mL、ジメトキシメタン30g、塩化チオニル48g、四塩化スズ10gを用いて、比較例1と同様の方法でクロロメチル化したポリフェニルスルホン45gを合成した。後工程は比較例1と同様の方法で合成し、スルホメチル化スルホンAF(VIII)39gを得た。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算数平均分子量で110000、重量平均分子量で208000であった。
比較例1と同様の方法で、スルホメチル化ポリスルホンAF膜を作製した。この膜を各種の試験法にて評価し、評価結果を以下の表1に纏めた。
表1
イオン交換基 プロトン伝導率 膨潤性(水) 膨潤性(メタノール)
当量重量 (S/cm) (面積増加%) (面積増加%)
実施例2 506 0.12 60 355
比較例1 696 0.069 69 304
比較例2 510 0.15 溶解 溶 解
実施例2の膜は比較例1および比較例2に比べてイオン伝導性と膨潤性のバランスが良く、両面で優れていることが示された。また、フェントン耐性(耐酸化性)についても大きく優れていることが示された。特にプロトン伝導率については、燃料電池用の電解質膜として公知であるナフィオンでの測定値(0.078S/cm)よりも大きく、非常に有用である。

Claims (7)

  1. 下記式(I)および式(II)で表される構造単位を共に含有するポリエーテルスルホン系高分子電解質。
    Figure 2009277532
    但し、上記式(I)および式(II)において複数存在するnおよびn’は、各々独立して1から6の整数を表す。p、q、r、s、p’、q’、r’およびs’は各々独立して0から4の整数を表わし、同時に0になることはない。
  2. 上記式(II)に対する式(I)の共重合比Rが、0.1<R<10であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質。
  3. 全てのnおよびn’が1であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質。
  4. スルホン酸基1モル当たりの当量重量が、200から1000g/モルであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質。
  5. 下記式(III)および式(IV)で表される構造単位が共重合した構造を有するポリエーテルスルホン系共重合体を、ハロゲノアルキル化し、次いでチオアシル化した後に酸化して製造することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質の製造方法。
    Figure 2009277532
  6. 請求項1から4に記載のポリエーテルスルホン系高分子電解質を用いることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  7. 請求項6に記載の固体高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池。
JP2008128313A 2008-05-15 2008-05-15 ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法 Pending JP2009277532A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008128313A JP2009277532A (ja) 2008-05-15 2008-05-15 ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008128313A JP2009277532A (ja) 2008-05-15 2008-05-15 ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009277532A true JP2009277532A (ja) 2009-11-26

Family

ID=41442769

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008128313A Pending JP2009277532A (ja) 2008-05-15 2008-05-15 ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009277532A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113185695A (zh) * 2021-04-13 2021-07-30 长春工业大学 一种聚醚砜单离子聚合物和单离子凝胶聚合物电解质
WO2023106657A1 (ko) * 2021-12-08 2023-06-15 한국화학연구원 폴리카바졸계 양이온교환형 이온전도체 및 이의 제조방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113185695A (zh) * 2021-04-13 2021-07-30 长春工业大学 一种聚醚砜单离子聚合物和单离子凝胶聚合物电解质
CN113185695B (zh) * 2021-04-13 2022-09-16 长春工业大学 一种聚醚砜单离子聚合物和单离子凝胶聚合物电解质
WO2023106657A1 (ko) * 2021-12-08 2023-06-15 한국화학연구원 폴리카바졸계 양이온교환형 이온전도체 및 이의 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Li et al. Ion transport by nanochannels in ion-containing aromatic copolymers
KR101383938B1 (ko) 고분자 전해질 재료, 이를 이용한 고분자 전해질 성형체 및그의 제조 방법, 막 전극 복합체 및 고체 고분자형 연료 전지
Xing et al. Sulfonated poly (aryl ether ketone) s containing naphthalene moieties obtained by direct copolymerization as novel polymers for proton exchange membranes
Lee et al. End-group cross-linked poly (arylene ether) for proton exchange membranes
JP4375170B2 (ja) ブロック共重合体及びその用途
JP4424129B2 (ja) ブロック共重合体及びその用途
JP3724064B2 (ja) 燃料電池用高分子電解質及び燃料電池
JP4131216B2 (ja) ポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜
KR102061633B1 (ko) 폴리페닐렌옥사이드 기반의 복합막, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 연료전지용 음이온 교환막
KR101161483B1 (ko) 고분자 전해질막
Lee et al. Synthesis and characterization of highly fluorinated cross-linked aromatic polyethers for polymer electrolytes
JP4830610B2 (ja) 芳香族化合物及びスルホン化ポリアリーレン系重合体
JP4428181B2 (ja) ニトリル型疎水性ブロックを有するスルホン化ポリマーおよび固体高分子電解質
Lee et al. Fluorinated aromatic polyether ionomers containing perfluorocyclobutyl as cross-link groups for fuel cell applications
JP5794573B2 (ja) 陰イオン交換樹脂、および該陰イオン交換樹脂を含む燃料電池
JPWO2011016444A1 (ja) 新規スルホン酸基含有セグメント化ブロック共重合体ポリマー及びその用途
JP4565217B2 (ja) スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体およびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜
JP4757274B2 (ja) ポリエーテルスルホン系高分子電解質,固体高分子電解質膜,燃料電池,およびその製造方法
KR101223708B1 (ko) 트리 블록 공중합체, 및 그로부터 제조되는 전해질 막
JP5597924B2 (ja) 芳香族化合物およびスルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体、ならびにその用途
JP2009277532A (ja) ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法
JP4139967B2 (ja) ポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜
WO2010038306A1 (ja) ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法
JP2008270003A (ja) 高分子電解質組成物,固体高分子電解質膜及びそれを用いた固体高分子型燃料電池
JP2014071971A (ja) 固体高分子電解質膜およびそれを用いた燃料電池