JP2007327091A - 薄膜形成方法、薄膜形成装置、薄膜材料、電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成膜性ガス供給管24の成膜性ガス供給口24Aを反応不活性領域48に位置するように配置し、反応不活性領域48に成膜性ガスを供給する。このため、反応不活性領域48に供給された成膜性ガスは、反応容器12内において反応不活性領域48から反応不活性領域48に連続する反応活性領域44に移動する。このように、反応不活性領域48から反応不活性領域48に向かって成膜性ガスが移動することにより、反応不活性領域48において成膜性ガス密度の均一化が促進され、反応活性領域44において、膜厚、膜質が均質な薄膜は成長する。
【選択図】図1
Description
また、プラズマ化学気相堆積法は、大面積成膜が可能であることから、有機感光体のみではなく、膜トランジスター、膜太陽電池、及び電子写真用感光体などの大面積デバイス、プラスチックの表面保護層等の薄膜形成に用いられてきた。
これらの薄膜形成においては、使用される用途にもよるが、一般的に膜質の均一性や膜厚の均一性が求められる。
また、従来技術では、プラズマ流の内部に原料ガスを供給するためのノズルを入れているので、薄膜形成対象部材上にこのノズルによる影ができて、薄膜形成対象部材上のこの影に対応する領域と、該領域以外の領域との間で、膜厚や膜質のムラが生じる。さらに、ノズル出口に生成物が付着するために、定期的にノズルの清掃作業が必要となり、その結果、膜を形成するための装置の稼働率が大幅に低下するという問題があった。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<6>本発明の薄膜形成方法は、上記<5>に記載の薄膜形成方法において、前記移動工程において、前記原料ガスは、前記薄膜形成対象部材の移動に伴って前記反応不活性領域から前記反応活性領域へと移動することができる。
<8>本発明の薄膜形成方法は、上記<1>から上記<7>の何れか1つに記載の薄膜形成方法において、前記原料ガスは、プラズマに曝されたときに膜を形成しうる成膜性ガスであって、前記反応活性領域は、プラズマ状態に励起したとき、あるいは、プラズマに曝されたときに単体では膜を形成しえない非成膜性ガスのプラズマが生成された領域である。
<10>本発明の薄膜形成方法は、上記<8>または上記<9>に記載の薄膜形成方法において、前記非成膜性ガスは第1の元素を含み、前記成膜性ガスは前記第2の元素を含み、前記励起分解工程において、前記第2の元素、または前記第1の元素及び前記第2の元素を構成要素とする膜を薄膜形成対象部材上に堆積することができる。
<13>本発明の薄膜形成方法は、上記<8>から上記<10>の何れか1つに記載の薄膜形成方法において、前記第1の元素は、酸素であり、前記薄膜形成対象部材上に堆積する膜は酸素を含むことができる。
<18>本発明の薄膜形成対象装置は、上記<17>に記載の薄膜形成装置において、前記薄膜形成対象部材を、前記反応不活性領域と前記反応活性領域との間で繰り返し移動させる駆動手段を更に備えることができる。
<20>本発明の薄膜形成装置は、上記<14>から上記<19>の何れか1つに記載の薄膜形成装置において、前記反応容器内の前記反応活性領域内に前記非成膜性ガスを供給する非成膜性ガス供給手段を備えることができる。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る薄膜形成装置10は、真空排気される反応容器12と、薄膜形成装置10の装置各部を制御するための制御部16と、を含んで構成されている。
本発明の薄膜の結晶構造は、単結晶や多結晶などの結晶性のものでもよく、非晶質でもよい。また、非晶質中に5nmから100μmの結晶粒径の結晶粒が分散された微結晶構造でもよい。
本発明における13族元素の窒化物とは少なくとも13族元素と窒素を含む化合物で、13族元素より低濃度、かつ窒素より低濃度の不純物を含んでいてよい。特に水素は膜中の欠陥を電気的、光学的に不活性とする点から上記の濃度範囲で含まれていてよい。
非成膜性ガスは、非成膜性ガス供給源42から非成膜性ガス供給管22を介して非成膜性ガス供給口22Aから反応容器12内へと供給される。
特に、反応生成物として、窒化物を生成する場合(窒化物による薄膜形成の場合)には、非成膜性ガスとしてNを含むガスを用いることができる。また、反応生成物として、酸化物を生成する場合(酸化物による薄膜形成の場合)には、非成膜性ガスとしてO(酸素)を含むガスを用いることができる。
具体的には、成膜性ガスとして、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルガリウム、トリエチルインジウム、トリエチルアルミニウム、t−ブチルガリウム、t−ブチルガリウム、t−ブチルインジウム、ジボラン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、及び三臭化ホウ素などが好ましく用いられる。
すなわち、非成膜性ガスのプラズマが生成されることによって、反応容器12内の全ての領域は、成膜性ガスが励起分解されて反応生成物を析出しうる領域としての反応活性領域44と、この反応活性領域44に連続する領域であって成膜性ガスが励起分解されえない領域としての反応不活性領域48と、に分けられる。このため、反応容器12内には、円柱状部材18の回転方向に沿って、反応活性領域44と反応不活性領域48とが連続して設けられることとなる。
この成膜性ガス供給口24Aの反応不活性領域48内における位置は、反応不活性領域48内に位置されていることが必須であるが、より好ましくは、反応不活性領域48内において、反応活性領域44との境界から所定距離以上離れた領域に位置されていることが好ましい。なお、この「所定距離」とは、反応不活性領域で原料ガスの密度が平均化されるための拡散が行われるために必要な距離で、具体的には、20mm以上で有ることが好ましい。
成膜性ガス供給口24Aが、反応不活性領域48との境界から所定距離以上離れた位置に設けられることによって、不均一な密度で、原料ガスが反応活性領域に導入されて不均一な膜厚や膜質の薄膜が形成されることを抑制すると言う効果が得られる。
制御部16の制御によって真空排気装置28が駆動して、反応容器12の内部が所定圧力まで減圧されると、制御部16は、円柱状部材18を所定速度で回転するようにモータ30を制御する。この回転速度の制御は、例えば、モータ30に円柱状部材の回転速度を測定するためのセンサを設けて、このセンサからの入力信号に基づいて、目的とする回転速度となるようにモータ30の回転速度を調整するようにすればよい。
薄膜形成対象部材の移動とともに移動して行われる成膜性ガスの供給によれば、薄膜形成対象部材への着膜位置の選択性が特に優れている。
膜厚方向に組成を変化させる場合には、例えば、円柱状部材18を所定回転数回転させる毎に、成膜性ガス及び非成膜性ガスの種類、及び成膜性ガスと非成膜性ガスの供給量等を変更するようにすればよい。
形成される膜が13族元素の窒化物半導体のときには、ドナー不純物としては、Li、Cu、Ag、Au、Mg、Zn、Si、Ge、Sn、Pb、S、Se、Te等を用いることができる。中でもSi、Ge、Snが電荷担体の制御性の点から好ましい。アクセプター不純物としては、Li、Na、Cu、Ag、Au、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Zn、Cd、Hg、C、Si、Ge、Sn、Pb、Cr、Fe、Co、Ni等を用いることができる。中でもBe、Mg、Ca、Zn、Srが電荷担体の制御性の点から好ましい。
このため、反応活性領域44に到達した成膜性ガスの励起分解による反応生成物の、薄膜形成対象部材40上への堆積が、薄膜形成対象部材40に略均一に生じる。
一方、本発明の薄膜形成装置10によれば、反応不活性領域48、すなわちプラズマ流の遮蔽された領域で反応活性領域44以外の方向に向けて成膜性ガスを供給するので、
未反応状態の成膜性ガスは拡散、吸着、再蒸発可能であり、これらの効果により供給原料密度の平均化が得られる。
また、本実施の形態では、成膜性ガスを供給するための成膜性ガス供給管24は、反応容器12内に1つ設けられている場合を説明したが、成膜性ガス供給口24Aが反応不活性領域48に位置していればよく、反応容器12に複数設けられるようにしてもよい。
例えば、反応活性領域44は、光や熱により成膜性のガスを励起分解する領域であったり、光、電子線、触媒などにより励起状態にある非成膜性ガスの活性種に成膜性ガスを曝して化学反応や熱分解を促進させる領域であってもよい。
この場合には、非成膜性ガスを反応容器12内に供給せずともよい。励起光源としては、重水素ランプ、Xeランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、エキシマランプ、窒素レーザー、ArFレーザーなどの各種レーザー光源などの紫外光、または真空紫外光を含む光源を用いることができる。
この場合について、オリフィスなどの圧力差を生じ得る機構を介して反応容器12と別区画にタングステンフィラメントが配置され、その区画内を触媒による高い励起、分解効率が得られる圧力に保たれていてもよい。
なお、薄膜形成装置11のその他の構成は、薄膜形成装置11と同一であるため、詳細な説明を省略する。
なお、この無端ベルト状の薄膜形成対象部材40の回転方向は、図1に示す円柱状部材18の回転方向と同様の方向に回転可能に設けられているが、反対方向でもよい。
なお、薄膜形成装置13のその他の構成は、薄膜形成装置11と同一であるため、詳細な説明を省略する。
薄膜形成対象部材40が全てローラ60に巻き取られると、再度、支持ロールに全ての薄膜形成対象部材40を巻取るようにモータ30を制御した後に、再度、支持ロール58からローラ60に向かって薄膜形成対象部材40を送り出すようにすればよい。
なお、このシート状の薄膜形成対象部材40は、支持ロール58から送り出された領域の一部が反応不活性領域48に位置し、一部が反応活性領域44に位置するように、各支持ロール58、ローラ60、ローラ62、及びローラ64を設けるようにすればよい。
まず、電子写真用感光体80について説明する。なお、以下では、電子写真用感光体を総称する場合には、電子写真用感光体80として説明する。
図4に示す電子写真用感光体80Aは、導電性基体70上に、電荷発生層72A、電荷輸送層72B、表面層74がこの順に積層されて構成され、感光層72は電荷発生層72Aおよび電荷輸送層72Bの2層から構成されている。なお、導電性基体70と感光層72との間に、下引層76(図5参照)を設けても良い。
次に、本発明の電子写真用感光体80が、感光層を有機高分子により構成された有機感光体である場合の好ましい構成について、その概要を説明する。
感光層を形成する有機高分子化合物は熱可塑性であっても熱硬化性のものであっても、また2種類の分子を反応させて形成するものでも良い。また、感光層と表面層との間に、硬度や膨張係数、弾力性の調整、密着性の向上などの観点から中間層を設けても良い。中間層は、表面層の物性および感光層(機能分離型の場合は電荷輸送層)の物性の両者に対して、中間的な特性を示すものが好適である。また、中間層を設ける場合には、中間層は、電荷をトラップする層として機能しても良い。
このように、表面層を形成する前に感光体表面に中間層を設けることで、表面層を形成するときの紫外線や、画像形成装置内で感光体が使用された場合のコロナ放電や各種の光源からの紫外線などの短波長光による感光層への影響を防ぐことができる。
該電子写真用感光体の温度は図示していない方法で制御しても良いし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。該電子写真用感光体を加熱する場合にはヒータを該電子写真用感光体の外側や内側に設置しても良い。該電子写真用感光体を冷却する場合には、該電子写真用感光体の内側に冷却用の気体または液体を循環させても良い。
例えば、表面層の形成の初期において、トリメチルインジウムを成膜性ガス供給管24から反応容器12内に供給することにより、表面層としてチッ素とインジウムとを含む薄膜を成膜すれば、この薄膜が、継続して成膜する場合に発生し、感光層を劣化させる紫外線を吸収することができる。このため、成膜時の紫外線の発生による感光層へのダメージを抑制できる。
薄膜形成装置10を用いて形成される薄膜は、上述のように、膜質及び膜厚の不均一が抑制されていることから、電子写真用感光体80の表面層の少なくとも最表面に形成された薄膜は、膜厚の最大値と最小値との差(以下、「膜厚差」という)を、50nm以下とすることができる。
次に、本発明の電子写真用感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
電子写真用感光体80の近傍には、電子写真用感光体80の回転方向に沿って、帯電装置84、露光装置86、現像装置88、転写装置89、除電装置81、及びクリーニング部材87が設けられている。
転写装置89は、電子写真用感光体80上に形成されたトナー像を、電子写真用感光体80との間で記録媒体83を挟持搬送することにより、記録媒体83に転写する。記録媒体83に転写されたトナー像は、図示を省略する定着装置によって記録媒体83表面に定着される。
に制限されるものではない。
(実施例1)
図1に示す薄膜形成装置10を用いて、薄膜形成対象部材として、単結晶Si基板(5mm×5mm、厚み0.5mm)を20枚用意し、この薄膜形成対象部材上に薄膜形成を行った。
なお、薄膜形成条件は、以下のように設定した。
内径400mm、円筒軸方向長さ400mmの円筒状部材。
内壁の材質 ステンレス鋼SUS304。
・円柱状部材18:
直径82mm、長尺方向長さ 340mm、アルミ製の円筒状部材
・放電電極20:
放電面の円柱状部材18の回転軸方向長さ:350mm
放電面の該回転軸方向に直交する方向の長さ:50mm
・非成膜性ガス供給管22:
内径1mmの銅製パイプ
・非成膜性ガス供給口22A:
放電電極20の放電面(円柱状部材18との対向面に相当)に、80mm間隔で4個設置。
・成膜性ガス供給管24:
内径4mmのステンレスパイプ
・成膜性ガス供給口24Aの位置:反応容器12内の反応不活性領域48に設置。
成膜性ガス噴出方向:円柱状部材18の回転中心方向で基板表面に向かう方向。
円柱状部材18回転軸方向における位置:放電電極20の放電面上の、円柱状部材18回転軸方向中心位置と同一位置。
円柱状部材18表面からの距離:5mm
放電電極20によって形成される反応活性領域44と、反応不活性領域48との境界からの距離:40mm
・薄膜形成対象部材取付け位置:円柱状部材18の外周面に、円柱状部材18の回転軸方向に20mm間隔で5箇所、回転方向に向かって等間隔で4箇所、合計20箇所に、寺岡製作所社製、商品名 カプトン粘着テープを用いて貼付。
・遮蔽部材26:
平板状(156mm×400mm、厚み0.5mm、材質 ポリイミド)
円柱状部材18上に保持された薄膜形成対象部材としての単結晶Si基板(薄膜未形成状態)が、遮蔽部材26と円柱状部材18外周面との対向領域に位置したときの、該薄膜形成対象部材表面との最小距離が2mmとなるように、反応容器12の内周壁に設置した。
上記各薄膜形成対象部材上に成膜した膜の、膜質と膜厚の評価を行った。
膜厚の測定は、円柱状部材18と放電電極20の放電面とが対向する領域に位置したときの、円柱状部材18上に保持された複数の各薄膜形成対象部材の電極中心からの距離毎に行った。詳細には、この電極中心を「電極中心からの距離0」として、円柱状部材18上に保持された複数の各薄膜形成対象部材の電極中心からの距離を求め、各距離に位置する薄膜形成対象部材の領域の膜厚を、断面SEM観察により測定した。測定結果を図8に示す。
このフーリエ変換赤外分光法により測定は、パーキンエルマー社製Soectrum One フーリエ変換赤外吸収測定器システムB S/N比30000:1分解能4cm-1を用いておこなった。サンプルは、実施例1で作製した5x5mmの単結晶Si基板に着膜した試料を用い、ビームコンデンサー付きの試料台に設置した後測定した。
参照用としては着膜しない単結晶Si基板を用いた。
円柱状部材18の回転速度を、4.0rpmにした以外は、実施例1と同様にして薄膜形成を行うとともに、膜厚の測定及び膜質の評価を行った。測定結果を図8及び図10に示す。
円柱状部材18の回転速度を、8.0rpmにした以外は、実施例1と同様にして薄膜形成を行うとともに、膜厚の測定及び膜質の評価を行った。測定結果を図8及び図10に示す。
円柱状部材18の回転速度を、12.0rpmにした以外は、実施例1と同様にして薄膜形成を行うとともに、膜厚の測定及び膜質の評価を行った。測定結果を図8及び図10に示す。
成膜性ガス供給口24Aの位置を、反応容器12内の反応活性領域44内に設置するとともに、遮蔽部材26を設けない以外は、実施例3と同様にして、薄膜形成を行うと共に、膜厚の測定及び膜質の評価を行った。測定結果を図11及び図12に示した。
なお、成膜性ガス供給口24Aの位置は、詳細には、下記のように設定した。
円柱状部材18回転軸方向における位置:放電電極20の放電面上の、円柱状部材18回転軸方向中心位置と同一。
円柱状部材18表面からの距離:5mm
放電電極20の放電面と円柱状部材18外周との対向領域内における、放電面と円柱状部材18外周との対向方向で且つ放電電極20の電極中心を通る軸線からの最小距離0mm
図8に示されるように、実施例1〜実施例4で形成した薄膜の膜厚は、図11に示される比較例1で形成した薄膜の膜厚に比べて、電極中心からの距離による膜厚変動が小さく、膜厚の不均一化の大幅な改善がなされていることがわかる。
このため、本発明の薄膜形成装置によれば、反応活性領域44と反応不活性領域48との間で薄膜形成対象部材を低速で移動させた場合であっても、従来のような反応活性領域44内に直接成膜性ガスを供給する場合に比べて膜厚の不均一を抑制することが可能であるが、この反応活性領域44と反応不活性領域48との間の繰り返し移動速度が速くなるほど、より膜厚の不均一を抑制することができるといえる。
このため、本発明の薄膜形成装置によれば、反応活性領域44と反応不活性領域48との間で薄膜形成体調部材を低速で移動させた場合であっても、従来のような反応活性領域44内に直接成膜性ガスを供給する場合に比べて膜質の不均一を抑制することが可能であるが、この反応活性領域44と反応不活性領域48との間の繰り返し移動速度が速くなるほど、より膜質の不均一を抑制することができるといえる。
このため、発明のような膜厚及び膜質の不均一が抑制された薄膜を形成することができるという効果が得られるメカニズムは、以下のように考えられる。
一方、実施例1〜実施例4において、回転数の増加に伴って成膜速度が大きくなったことから、薄膜形成対象部材40の反応活性領域44と反応不活性領域48との間の繰り返し移動の効果で、成膜性ガスの反応容器12内の移動が促進されると考えられる。この場合の成膜性ガスの移動は、薄膜形成対象部材40表面に吸着されて薄膜形成対象部材40の反応容器12内の移動に伴って成膜性ガスが移動したと考えられる。図8及び図10に示されるように、回転数が大きくなるほど膜厚及び膜質の均一化が図れている。これは、薄膜形成対象部材40が反応活性領域44と反応不活性領域48との間で繰り返し移動することによる効果と考えら得る。
成膜性ガスとして、恒温槽中で20℃に保たれたトリメチルアルミニウムの代わりに0℃に保たれたトリメチルガリウムを用い、トリメチルガリウムと水素の混合ガスの流量が5sccmとなるように供給した以外は実施例4と同じ条件で成膜を行った。
図13に示したスペクトルは、Si基板上に作製した膜の赤外吸収スペクトルの一例である。約550cm−1で最大値をとり、約750cm−1まで広がる赤外吸収帯はGaNシグナル(GaN光学フォノン残留線)である。また、2100cm−1付近のシグナルは、Ga−Hシグナル(局在振動モード)、3200cm−1付近のシグナルはN−Hシグナル(局在振動モード)によるものである。これより、得られた薄膜が水素を含んだ窒化ガリウムであることがわかった。
さらに実施例1と同様にして膜厚分布を調べたところ図14の結果が得られた。
図1に示す薄膜形成装置10を用いて、薄膜形成対象部材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板(100mm×100mm、厚み0.2mm)を1枚用意し、円柱状部材18の外周面にカプトンテープで貼り付けこの薄膜形成対象部材上に薄膜形成を行った。それ以外は実施例5と同じ条件で成膜を行った。
PETフィルム上に作製した薄膜表面をラザフォード後方散乱法(以下「RBS」という場合もある)、およびハイドロジェンフォワードスキャッタリング法(以下「HFS」という場合もある)により組成分析したところ、Ga:44原子%、N:原子40%、O:5原子%、H:10原子%、C:1原子%以下であった。このことから、本薄膜形成方法により、PETフィルム上に、水素と酸素を含んだ窒化ガリウム膜を作製できることが分かった。
RBSは:
加速器 NEC社 3SDH Pelletron
エンドステーション CE&A社 RBS−400
システムとして 3S−R10を用いた。
解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いた。
He++イオンビームエネルギーは2.275eV
検出角度 160°入射ビームに対してGrazing Angle 約109°
RBS測定はHe++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー 3)散乱角度 の3つの要素のみにより決まる。
測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて膜厚を算出する。密度の誤差は20%以内である。
HFSは:
加速器 NEC社 3SDH Pelletron
エンドステーション CE&A社 RBS−400 を用い、
システムとして 3S−R10を用いた。
解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いた。
He++イオンビームエネルギー:2.275eV
検出角度160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
HFS測定は、He++イオンビームに対して検出器が30°に、試料が法線から75°になるようにセットすることにより、試料の前方に散乱する水素のシグナルを拾うことが可能である。この時検出器を薄いアルミ箔で覆い、水素とともに散乱するHe原子を取り除くことが良い。定量は参照用試料と被測定試料との水素のカウントを阻止能で規格化した後に比較することによっておこなう。参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用した。
白雲母は水素濃度が約6.5atomic%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって行うことができる。
成膜性ガス供給口24Aを、円柱状部材18の回転軸方向に等間隔に4箇所とし、反応容器12内の反応不活性領域48の反応容器12内に成膜性ガスを供給可能に構成した以外は実施例1と同様の反応装置を用い、薄膜形成対象部材として、下記の有機感光体を用いて、有機感光体上に酸化ガリウムの表面層を形成した。
成膜性ガス供給管24を反応容器内でT字型継ぎ手とステンレスパイプを接続して4分岐させた配管とし、円柱状部材回転軸方向と平行に80mm間隔で4箇所並べた以外は実施例1と同じ反応装置を用いた。
以下に説明する手順により、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を作製した。
−下引層の形成−
ジルコニウム化合物(商品名:マツモト製薬社製オルガノチックスZC540)20質量部、シラン化合物(商品名:日本ユニカー社製A1100)2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)10質量部およびブタノール45質量部を攪拌混合して得た溶液を、外径84mmのAl製基体表面に塗布し、150℃10分間加熱乾燥することにより、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
次に、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1質量部および酢酸n−ブチル100質量部と混合して得られた混合物をガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散し、電荷発生層形成用分散液を得た。
この分散液を浸漬法により下引層の上に塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(1)で表される化合物を2質量部、および、下記構造式(2)で表される高分子化合物(重量平均分子量 39000)3質量部をクロロベンゼン20質量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を得た。
有機感光体表面への表面層としての薄膜の形成は、円柱状部材18の外周面を覆うように、上記作製した有機感光体の内側に円柱状部材18を通すことによって、円柱状部材18上に有機感光体を保持し以下のように成膜を行った。
排気管14を介して反応容器12内を圧力が1×10−2Pa程度になるまで真空排気した。次に、非成膜性ガスとして、水素500sccmと窒素希釈酸素ガス(酸素10%、窒素90%)10sccmを合流させて、非成膜性ガス供給管22から、放電電極20に設けられた非成膜性ガス供給口22Aを介して反応容器12内に導入した。
真空排気装置28に含まれるコンダクタンスバルブを調整し、反応容器12内の圧力を30Paとした。高周波電源36かららマッチングボックス34により、13.56MHzの交流波を出力100Wにセットしチューナでマッチングをとり、放電電極20から放電を行った。このときの反射波は0Wであった。
この状態で、円柱状部材18を12rpmの回転速度で図1に矢印で示した方向に回転させながら90分間成膜した。
同じ条件で作製したドラムの表面層を上記した実施例6と同様にRBS、およびHFSにより組成分析したところ、Ga:35原子%、O:原子53%、N:5原子%、H:7原子%、C:1原子%以下であった。このことから、作製した表面層は、水素と窒素が含んだ酸化ガリウム膜であることが分かった。この有機感光体表面に形成した薄膜について、断面試料を作製し走査型電子顕微鏡を用いて、該周期感光体の軸方向に30mm間隔で10箇所測定したところ、最大膜厚は170nmであり、最小膜厚は155nmであった。
成膜性ガス供給口を、円柱状部材18の回転軸方向に等間隔に4箇所とした以外は比較例1と同様の反応装置を用い、薄膜形成対象部材として、実施例7の有機感光体を用いて、有機感光体上に酸化ガリウムの表面層を形成した。
成膜性ガス供給管を反応容器内でT字型継ぎ手とステンレスパイプを接続して分岐させた配管とし、円柱状部材回転軸方向と平行に80mm間隔で4箇所並べた以外は比較例1と同じ反応装置を用いた。
12 反応容器
14 排気管
18 円筒状部材
20 放電電極
22 非成膜性ガス供給管
24 成膜性ガス供給管
24A 成膜性ガス供給口
26 遮蔽部材
30 モータ
32 保持部材
40 薄膜形成対象部材
42 非成膜性ガス供給源
44 反応活性領域
48 反応不活性領域
52、54、56 張架搬送ロール
58 支持ロール
60、62、64 ローラ
80、80A、80B、80C 電子写真用感光体
81 除電装置
82 画像形成装置
84 帯電装置
86 露光装置
87 クリーニング部材
88 現像装置
89 転写装置
Claims (11)
- 反応容器内に供給された原料ガスの励起分解を利用して、該原料ガスに含まれる元素を構成要素とする膜を膜形成対象部材上に堆積する薄膜形成方法であって、
前記反応容器内の、前記原料ガスが励起分解されうる反応活性領域以外の反応不活性領域に前記原料ガスを供給する原料ガス供給工程と、
供給された原料ガスを前記反応活性領域において励起分解する励起分解工程と、
を有することを特徴とする薄膜形成方法。 - 前記原料ガス供給工程において、前記原料ガスを、前記反応不活性領域内の前記反応活性領域との境界から所定距離以上離れた位置に設けられたガス供給口から供給する請求項1に記載の薄膜形成方法。
- 前記反応活性領域と前記反応不活性領域とは連続した領域であり、前記励起分解工程において、前記原料ガス供給口から供給された原料ガスは、前記反応不活性領域を介して前記反応活性領域へ供給される請求項1または請求項2に記載の薄膜形成方法。
- 反応容器内に供給された原料ガスの励起分解を利用して、該原料ガスに含まれる元素を構成要素とする膜を薄膜形成対象部材上に堆積する薄膜形成装置であって、
前記原料ガスを励起分解する励起手段と、
前記反応容器内の前記励起手段によって前記原料ガスが励起分解されうる反応活性領域以外の反応不活性領域に前記原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
を備えた薄膜形成装置。 - 前記原料ガス供給手段は、前記反応不活性領域内の、前記反応活性領域との境界から所定距離以上離れた位置に前記原料ガスを供給するガス供給口を含んで構成される請求項4に記載の薄膜形成装置。
- 前記反応活性領域と前記反応不活性領域とは連続した領域であり、前記反応容器は、前記反応活性領域と前記反応不活性領域と境界の少なくとも一部を遮断する遮蔽部材を含んで構成される請求項4または請求項5に記載の薄膜形成装置。
- 有機高分子基体上に、請求項1乃至請求項3の何れか1項の薄膜形成方法により薄膜形成されることを特徴とする薄膜材料。
- 導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体において、
前記表面層の少なくとも最表面が、請求項1乃至請求項3の何れか1項の薄膜形成方法により形成されることを特徴とする電子写真用感光体。 - 導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体において、
前記表面層が、窒素とガリウムまたはアルミニウムを含む元素から構成され、膜厚差が50nm以下であることを特徴とする電子写真用感光体。 - 導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体と、前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段、帯電された前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段、及び前記電子写真用感光体上の付着物を除去するクリーニング手段の内の少なくとも1つと、を有し、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記表面層の少なくとも最表面が、請求項1乃至請求項3の何れか1項の薄膜形成方法により形成されることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体と、
前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段と、
帯電された前記電子写真用感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を少なくとも有する画像形成装置であって、
前記表面層の少なくとも最表面が、請求項1乃至請求項3の何れか1項の薄膜形成方法により形成されることを特徴とする画像形成装置。
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