JP2007327091A - 薄膜形成方法、薄膜形成装置、薄膜材料、電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

薄膜形成方法、薄膜形成装置、薄膜材料、電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制可能な薄膜形成方法、薄膜形成装置、及びこの薄膜形成方法を用いた電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】成膜性ガス供給管24の成膜性ガス供給口24Aを反応不活性領域48に位置するように配置し、反応不活性領域48に成膜性ガスを供給する。このため、反応不活性領域48に供給された成膜性ガスは、反応容器12内において反応不活性領域48から反応不活性領域48に連続する反応活性領域44に移動する。このように、反応不活性領域48から反応不活性領域48に向かって成膜性ガスが移動することにより、反応不活性領域48において成膜性ガス密度の均一化が促進され、反応活性領域44において、膜厚、膜質が均質な薄膜は成長する。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜形成方法、薄膜形成装置、薄膜材料、電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
画像形成装置として、電子写真方式を用いた画像形成装置が知られている。電子写真方式を用いた画像形成装置は、所定方向に回転される像担持体を備え、像担持体の近傍に回転方向に沿って、像担持体表面を帯電させるための帯電装置、帯電装置によって帯電された像担持体を露光することによって像担持体上に静電潜像を形成するための露光装置、像担持体上に形成された静電潜像をトナーによって現像することでトナー像を形成するための現像装置、及び像担持体上のトナー像を記録媒体や中間帯電部材等の被転写部材に転写するための転写装置を含んで構成されている。
このような電子写真方式の画像形成装置では、帯電装置によって表面を帯電された像担持体上に、露光装置によって静電潜像が形成され、この静電潜像が現像装置によって現像されることにより、像担持体上にトナー像が形成される。像担持体上に形成されたトナー像は、転写装置によって記録媒体に転写または被転写部材を介して記録媒体に転写された後に、記録媒体上に定着される。像担持体表面に付着した残留トナーや紙粉等の付着物は、像担持体表面に当接されたクリーニングブレードによって、除去される。
このような電子写真方式の画像形成装置の像担持体として、近年、低コストであることから有機感光体が幅広く用いられている。しかし、有機感光体を感光体として用いた場合には、表面に当接されたクリーニングブレードとの摩擦により摩耗するため、無機感光体に比べて寿命が短い事が問題である。そこで、この有機感光体上に硬質な無機表面保護層を形成し、耐摩耗性を向上させることが行われている。このような、有機感光体の耐摩耗性を向上させることで画像形成装置の良好な画像出力特性を維持するための表面保護層を構成する材料のひとつとして、発明者らは13族元素の窒化物膜、及びこれを酸化させた材料を提案している。これらの材料は耐摩耗性を有するだけでなく、電子写真用感光体として繰り返し使用したときに高い撥水性と潤滑性を長期にわたって維持するという点で優れている。そのため、有機感光体だけでなく非晶質シリコン感光体など無機感光体の表面保護層としても適している。
このような13族元素の窒化物膜を大面積の有機感光体表面に形成するに適した方法として、プラズマ化学気相堆積法がある。
プラズマ化学気相堆積法は、真空状態とされた反応容器内へ原料分子を含む原料ガスを供給して、原料分子を含むガスのプラズマを生成し、そのプラズマ中で加速された電子によって原料分子を分解させることにより、原料分子に含まれる元素を構成要素とする膜を堆積する方法であり、低温環境下で様々な材料を用いた薄膜形成を行うことができることから、多結晶Si、非晶質Si、SiO、Si、ダイアモンドライクカーボン、GaN、ZnO等の膜成長に用いられている。
また、プラズマ化学気相堆積法は、大面積成膜が可能であることから、有機感光体のみではなく、膜トランジスター、膜太陽電池、及び電子写真用感光体などの大面積デバイス、プラスチックの表面保護層等の薄膜形成に用いられてきた。
これらの薄膜形成においては、使用される用途にもよるが、一般的に膜質の均一性や膜厚の均一性が求められる。
ここで、プラズマ化学気相堆積法においては、薄膜形成対象となる薄膜形成対象部材以外の領域への生成物の付着が問題となる。例えば、このような生成物(膜)は、原料ガスを供給するための供給口、放電電極、反応容器の壁面等に堆積する。原料ガスを供給するための供給口、放電電極、反応容器の壁面等に堆積した生成物は、蓄積するとやがて薄膜形成対象部材上の成膜中に剥離し、パーティクルとなって膜のピンホールを発生させることがある。このようなことを避けるために、定期的に反応容器内の清掃作業が必要となり、その結果、膜を形成するための装置の稼働率が大幅に低下するという問題があった。
このような問題を解決する方法として、13族元素の窒素化合物薄膜を作製する例としては高周波放電(J.M.Van Horeら、J.Cryst.Growth 150(1995)908)、マイクロ波放電又はエレクトロンサイクロトロン共鳴によって、Va族元素源としてのN 2 やNH 3 をプラズマ状態にし、このリモートプラズマ中にIIIa族の元素を含む有機金属化合物を供給することによって成膜を行う方法がある(A.Yoshida, New Functionality materials,Vol.C.183〜188(1993)、S.Zembutsuら、App.Phys.Lett.48,870)。そして、この方法を実施するための装置として、反応器に連続した一つのプラズマ発生部と、このプラズマ発生部に反応器側とは反対側からNガスのようなVa族元素源を供給する第1の供給部と、プラズマ発生部の反応器側に13族元素を含む有機金属化合物を供給する第2の供給部と、を備えた装置が知られている。
このリモートプラズマを用いた方法によれば、励起分解されることによっても薄膜形成を起こさない非成膜性のガスによる非成膜性プラズマを発生させる放電電極によって生成されたプラズマ流中に原料ガスを合流させることによって、薄膜形成を行うので、放電電極への生成物付着を抑制することはできるが、原料ガスをプラズマ流内で充分に均一化することが難しく、その結果、形成される膜には、膜厚や膜質のムラが生じる。
また、従来技術では、プラズマ流の内部に原料ガスを供給するためのノズルを入れているので、薄膜形成対象部材上にこのノズルによる影ができて、薄膜形成対象部材上のこの影に対応する領域と、該領域以外の領域との間で、膜厚や膜質のムラが生じる。さらに、ノズル出口に生成物が付着するために、定期的にノズルの清掃作業が必要となり、その結果、膜を形成するための装置の稼働率が大幅に低下するという問題があった。
特許文献1の技術では、プラズマ供給ノズルに反応生成物が付着することを防止するための付着防止ガスを供給するための付着防止ガス供給口を設けて、プラズマ生成ガスの供給により生成したプラズマをプラズマ供給ノズルから処理室内に供給すると共に反応ガスを供給し、且つ付着防止ガス供給口から付着防止ガスを供給することにより、基板表面以外への膜付着を抑制している。
特開2001‐279448号公報
しかしながら、薄膜形成対象となる基板表面以外への膜付着を抑制することはできるものの、特許文献1の技術では、プラズマを供給するプラズマ供給ノズルから噴き出すプラズマに直接反応ガスを吹き付けているために、薄膜形成対象となる基板上に広範囲にわたり均一な膜厚及膜質の膜を形成することができていなかった。
本発明は、膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制可能で、かつガス供給ノズルなどの薄膜形成対象となる基板表面以外への膜付着を抑制可能な薄膜形成方法、薄膜形成装置、薄膜材料、及びこの薄膜形成方法を用いた電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
本発明者の鋭意努力の結果、反応容器内の、原料ガスが励起分解されうる反応活性領域以外の反応不活性領域に原料ガスを供給することにより、膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制することが可能であり、上記課題を解決できることがわかり、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1>本発明の薄膜形成方法は、反応容器内に供給された原料ガスの励起分解を利用して、該原料ガスに含まれる元素を構成要素とする膜を膜形成対象部材上に堆積する薄膜形成方法であって、前記反応容器内の、前記原料ガスが励起分解されうる反応活性領域以外の反応不活性領域に前記原料ガスを供給する原料ガス供給工程と、供給された原料ガスを前記反応活性領域において励起分解する励起分解工程と、を有することを特徴としている。
<2>本発明の薄膜形成方法は、上記<1>に記載の薄膜形成方法において、前記原料ガス供給工程において、前記原料ガスを、前記反応不活性領域内の前記反応活性領域との境界から所定距離以上離れた位置に設けられたガス供給口から供給することができる。
<3>本発明の薄膜形成方法は、上記<1>または<2>に記載の薄膜形成方法において、前記反応活性領域と前記反応不活性領域とは連続した領域であり、前記励起分解工程において、前記原料ガス供給口から供給された原料ガスは、前記反応不活性領域を介して前記反応活性領域へ供給することができる。
<4>本発明の薄膜形成方法は、上記<3>に記載の薄膜形成方法において、前記励起分解工程において、前記原料ガスは、前記反応不活性領域と前記反応活性領域との境界の少なくとも一部を遮断する遮断部材を介して前記反応不活性領域から前記反応活性領域へ供給することができる。
<5>本発明の薄膜形成方法は、上記<1>から上記<4>の何れか1つに記載の薄膜形成方法において、前記薄膜形成対象部材が前記反応不活性領域と前記反応活性領域との間を移動する移動工程を含むことができる。
<6>本発明の薄膜形成方法は、上記<5>に記載の薄膜形成方法において、前記移動工程において、前記原料ガスは、前記薄膜形成対象部材の移動に伴って前記反応不活性領域から前記反応活性領域へと移動することができる。
<7>本発明の薄膜形成方法は、上記<5>または上記<6>に記載の薄膜形成方法において、前記移動工程において、前記薄膜形成対象部材は、前記反応不活性領域と前記反応活性領域との間を繰り返し移動することができる。
<8>本発明の薄膜形成方法は、上記<1>から上記<7>の何れか1つに記載の薄膜形成方法において、前記原料ガスは、プラズマに曝されたときに膜を形成しうる成膜性ガスであって、前記反応活性領域は、プラズマ状態に励起したとき、あるいは、プラズマに曝されたときに単体では膜を形成しえない非成膜性ガスのプラズマが生成された領域である。
<9>本発明の薄膜形成方法は、上記<8>に記載の薄膜形成方法において、前記反応容器内の前記反応活性領域に前記非成膜性ガスを供給する非成膜性ガス供給工程を含むことができる。
<10>本発明の薄膜形成方法は、上記<8>または上記<9>に記載の薄膜形成方法において、前記非成膜性ガスは第1の元素を含み、前記成膜性ガスは前記第2の元素を含み、前記励起分解工程において、前記第2の元素、または前記第1の元素及び前記第2の元素を構成要素とする膜を薄膜形成対象部材上に堆積することができる。
<11>本発明の薄膜形成方法は、上記<8>から上記<10>の何れか1つに記載の薄膜形成方法において、前記第1の元素は、窒素であり、前記励起分解工程において、前記薄膜形成対象部材上に堆積する膜は窒素を含むことができる。
<12>本発明の薄膜形成方法は、上記<8>から上記<10>の何れか1つに記載の薄膜形成方法において、前記成膜性ガスは、周期律表の第13族元素を含む有機または無機の化合物ガスであり、前記励起分解工程において、前記薄膜形成対象部材上に堆積する膜は、3族元素の窒化物である。
<13>本発明の薄膜形成方法は、上記<8>から上記<10>の何れか1つに記載の薄膜形成方法において、前記第1の元素は、酸素であり、前記薄膜形成対象部材上に堆積する膜は酸素を含むことができる。
<14>本発明の薄膜形成装置は、反応容器内に供給された原料ガスの励起分解を利用して、該原料ガスに含まれる元素を構成要素とする膜を薄膜形成対象部材上に堆積する薄膜形成装置であって、前記原料ガスを励起分解する励起手段と、前記反応容器内の前記励起手段によって前記原料ガスが励起分解されうる反応活性領域以外の反応不活性領域に前記原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、を備えている。
本発明の薄膜形成装置の原料ガス供給手段は、反応容器内の反応不活性領域に原料ガスを供給する。反応不活性領域は、反応容器内の、原料ガスを励起分解する励起手段によって原料ガスが励起分解されうる反応活性領域以外の領域である。反応不活性領域に供給された原料ガスが、反応容器内で拡散移動することで反応活性領域に到ると、反応活性領域内において励起分解されて原料ガスに含まれる元素を構成要素とする膜が薄膜形成対象部材上に堆積して薄膜形成がなされる。
このように、本発明の薄膜形成装置では、原料ガスが反応活性領域に直接供給されず、反応不活性領域から拡散移動して反応活性領域に到り、反応活性領域に到った原料ガスに含まれる元素を構成要素とする膜が形成されるので、従来技術のような反応活性領域に直接原料ガスを供給する場合に比べて、薄膜形成対象部材上に形成される膜の膜厚及び膜質が不均一となることを抑制することができる。
従って膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制することができる。
<15>本発明の薄膜形成装置は、上記<14>に記載の薄膜形成装置において、前記原料ガス供給手段は、前記反応不活性領域内の、前記反応活性領域との境界から所定距離以上離れた位置に前記原料ガスを供給するガス供給口を含んで構成することができる。従って、膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制することができる。
<16>本発明の薄膜形成装置は、上記<14>または上記<15>に記載の薄膜形成装置において、前記反応活性領域と前記反応不活性領域とは連続した領域であり、前記反応容器は、前記反応活性領域と前記反応不活性領域と境界の少なくとも一部を遮断する遮蔽部材を含んで構成することができる。
遮蔽部材によって反応不活性領域を反応活性領域から遮蔽することが出来るともに、反応容器内を拡散移動した原料ガスは、反応活性領域と反応不活性領域との境界の遮蔽部材によって遮蔽されていない領域を通って反応活性領域に到る。このため、膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制することが可能である。
<17>本発明の薄膜形成対象装置は、上記<14>から上記<16>の何れか1つに記載の薄膜形成装置において、前記薄膜形成対象部材は、前記反応活性領域と前記反応不活性領域との間を移動可能に設けることができる。
<18>本発明の薄膜形成対象装置は、上記<17>に記載の薄膜形成装置において、前記薄膜形成対象部材を、前記反応不活性領域と前記反応活性領域との間で繰り返し移動させる駆動手段を更に備えることができる。
薄膜形成対象部材を、反応活性領域と反応不活性領域との間を移動可能に設け、反応不活性領域と反応活性領域との間で繰り返し移動させることにより、膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制することができる。
<19>本発明の薄膜形成装置は、上記<14>から上記<18>の何れか1つに記載の薄膜形成装置において、前記原料ガスは、プラズマに曝されたときに膜を形成しうる成膜性ガスであって、前記励起手段は、プラズマ状態に励起したとき、あるいは、プラズマに曝されたときに単体では膜を形成しえない非成膜性ガスのプラズマを生成することができる。
<20>本発明の薄膜形成装置は、上記<14>から上記<19>の何れか1つに記載の薄膜形成装置において、前記反応容器内の前記反応活性領域内に前記非成膜性ガスを供給する非成膜性ガス供給手段を備えることができる。
<21>本発明の薄膜形成装置は、上記<14>から上記<20>の何れか1つに記載の薄膜形成装置において、前記反応容器の内部に設けられ、前記薄膜形成対象部材を外周面上に保持する保持部材を備えた円柱状部材と、該円柱状部材を回転させる回転手段と、を更に備え、前記円柱状部材の回転方向に沿って前記反応活性領域と前記反応不活性領域とが設けられることができる。
回転手段によって円柱状部材が回転されると、円柱状部材上に保持部材によって保持された薄膜形成対象部材もまた、円柱状部材の回転に伴って回転し、反応活性領域と反応不活性領域との間を移動または繰り返し移動する。このため、膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制することができる。
<22>本発明の薄膜形成装置は、上記<14>から上記<20>の何れか1つに記載の薄膜形成装置において、前記反応容器の内部に設けられ、円筒状の前記薄膜形成対象部材を回転可能に支持する支持部材と、前記薄膜形成対象部材を回転させる回転駆動手段と、を更に備え、前記円筒状部材の回転方向に沿って前記反応活性領域と前記反応不活性領域とが設けられる。
回転手段によって薄膜形成対象部材を回転することができるので、薄膜形成対象部材が円筒状である場合にも、膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制することができる。
<23>本発明の薄膜形成装置は、上記<14>から上記<20>の何れか1つに記載にの薄膜形成装置において、前記反応容器の内部に設けられ、ベルト状の前記薄膜形成対象部材を張架搬送するために該薄膜形成対象部材の内周面に当接するように配置された複数の張架搬送ロールと、前記複数の張架搬送ロールの内の少なくとも1つを回転させる回転手段と、を更に備え、前記複数の張架搬送ロールによって張架搬送される前記薄膜形成対象部材の搬送方向に沿って、前記反応活性領域と前記反応不活性領域とが設けられる。
複数の張架搬送ロール及び回転手段によって、ベルト状の薄膜形成対象部材を張架搬送することができるので、薄膜形成対象部材がベルト状である場合にも、膜厚及び膜質の均一な膜が形成されることを抑制することができる。
<24>本発明の薄膜材料は、有機高分子基体上に、<1>乃至<13>の何れか1つの薄膜形成方法により形成されることを特徴としている。
<25>本発明の電子写真用感光体は、導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体において、前記表面層の少なくとも最表面が、上記<1>乃至上記<13>の何れか1つの薄膜形成方法により形成されることを特徴としている。
<26>本発明の電子写真用感光体は、導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体において、前記表面層が、窒素およびガリウムまたはアルミニウムを含む元素から構成され、膜厚差が50nm以下であることを特徴としている。
<27>本発明のプロセスカートリッジは、導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体と、前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段、帯電された前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段、及び前記電子写真用感光体上の付着物を除去するクリーニング手段の内の少なくとも1つと、を有し、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記表面層の少なくとも最表面が、上記<1>から上記<13>の何れか1つの薄膜形成方法により形成されることを特徴とする。
<28>本発明の画像形成装置は、導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体と、前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記電子写真用感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を少なくとも有する画像形成装置であって、前記表面層の少なくとも最表面が、<1>から<13>の何れか1つの薄膜形成方法により形成されることを特徴とする。
本発明の薄膜形成方法、薄膜形成装置、薄膜材料、電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置によれば、膜厚及び膜質の不均一な膜が形成されることを抑制することが可能な薄膜形成方法、薄膜形成装置、及びこの薄膜形成方法を用いた薄膜材料、電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る薄膜形成装置10は、真空排気される反応容器12と、薄膜形成装置10の装置各部を制御するための制御部16と、を含んで構成されている。
反応容器12の内部には、円柱状部材18が設けられている。円柱状部材18は、反応容器12内において長尺方向を回転軸方向として所定方向に回転可能に設けられている。円柱状部材18の円柱軸方向の一端は、図示を省略する複数のギアを介して回転手段としてのモータに接続されている。モータ30の駆動力が図示を省略する複数のギア及び支持部材を介して円柱状部材18に伝達されることにより、円柱状部材18は所定方向に回転する。なお、本実施の形態では、円柱状部材18は円柱状であるものとして説明するが、回転軸方向に平坦な形状であればよく、柱状部材や多角形の長尺状部材であってもよい。
円柱状部材18の外周面には、本発明の薄膜形成装置10によって薄膜を形成する対象となる平板状または曲面板状の薄膜形成対象部材40を1または複数保持するための止め具(図1中、保持部材32参照)など機構が備えられているか、または粘着テープ(図1中、保持部材32参照)などによって薄膜形成対象部材40を固定可能となっている。
なお、上記「薄膜」とは、基体上に成長して得られる膜であり、具体的には、0.1nm〜100μm程度の膜を示している。
本発明の薄膜の結晶構造は、単結晶や多結晶などの結晶性のものでもよく、非晶質でもよい。また、非晶質中に5nmから100μmの結晶粒径の結晶粒が分散された微結晶構造でもよい。
本発明における13族元素の窒化物とは少なくとも13族元素と窒素を含む化合物で、13族元素より低濃度、かつ窒素より低濃度の不純物を含んでいてよい。特に水素は膜中の欠陥を電気的、光学的に不活性とする点から上記の濃度範囲で含まれていてよい。
反応容器12の内部に設けられた円柱状部材18の近傍には、円柱状部材18の回転方向に沿って、排気管14と、非成膜性ガス供給管22及び放電電極20と、遮蔽部材26と、成膜性ガス供給管24と、が設けられている。
排気管14は、反応容器12の開口12Aを介して連続し、且つ反応容器12内のガスを排気するための管である。排気管14の一端は、開口12Aを介して反応容器12内に連通し、他端は、反応容器12内のガスを真空排気するための真空排気装置28に接続されている。
真空排気装置28の駆動によって、反応容器12の内部は、所定の圧力まで減圧される。真空排気装置は、ひとつまたは複数のポンプと必要に応じてコンダクタンスバルブなどの排気速度調整機構からなる。ガス供給量と排気速度から決まる膜形成時の反応容器内の圧力は、反応容器12内においてプラズマを発生可能な程度の圧力であればよく、ガスの種類、電源の種類にも依存するが、具体的には、1Pa〜200Paである事が好ましい。
反応容器12の内壁を構成する材料としては、ここではデガスが少なく用いるガスに対して化学的に安定であるステンレス鋼を用いているがこれに限定されるものではない。
放電電極20は、マッチングボックス34を介して高周波電源36に電力供給可能に接続されている。高周波電源36としての電力供給源としては、直流電源または交流電源を用いることができるが、効率的にガスを励起できることから交流の高周波電源やマイクロ波電源を用いることが好ましい。
放電電極20は、円柱状部材18と対向するように円柱状部材の回転軸方向に向けて設けられ、且つ円柱状部材18の外周面から所定距離離間されて設けられている。放電電極20の向きは、生成したプラズマの少なくとも一部が円柱状部材と接していればよく、完全に対向する向きでなくてもよい。
なお、図1に示す一例では、放電電極20による放電方式は、容量型である場合を説明するが、誘導型であってもよい。
放電電極20は、中空状(空洞構造)で放電面に非成膜性ガスを供給するための複数のガス供給孔(図示省略)を有するガス透過型のものである。放電電極が空洞構造でなく放電面にガス供給孔が無いものである場合、別に設けられた非成膜性ガス供給口から供給された非成膜性ガスが放電電極と円柱状部材18の間を通過するようにした構成でもよい。また、放電電極と反応容器12との間で放電が起こらないように、円柱状部材と対向している面以外の電極面が約3mm以下程度のクリアランスを有してアースされた部材におり覆われていることが好適である。非成膜性ガス供給管22は、反応容器12内に非成膜性ガスを供給するための管である。非成膜性ガス供給管22の一端は、放電電極20の放電面に直交する方向に予め開けられた1または複数の非成膜性ガス供給口22Aを通して反応容器12内に連通されており、他端は、電磁弁38を介して非成膜性ガス供給源42に接続されている。非成膜性ガス供給源42は、非成膜性ガスが充填された容器と、レギュレーターなどの圧力を調整する機構と、マスフローコントローラーなどの原料ガスの流量を調整する機構と、を必要に応じて備えている。複数の非成膜性ガスを用いる場合、これらのガスを合流させて供給してもよい。
非成膜性ガスは、非成膜性ガス供給源42から非成膜性ガス供給管22を介して非成膜性ガス供給口22Aから反応容器12内へと供給される。
真空排気装置28によって反応容器12内が所定の圧力まで減圧された状態で、マッチングボックス34を介して高周波電源36から放電電極20に高周波電力が供給されると共に、非成膜性ガス供給源42から非成膜性ガス供給管22及び非成膜性ガス供給口22Aを通って反応容器12内の放電電極20と円柱状部材18との対向する領域へ非成膜性ガスが供給されると、非成膜性ガスのプラズマ(以下、適宜、非成膜性プラズマと称する)が生成される。
なお、上記「非成膜性ガス」とは、本発明の非成膜性ガスに相当し、プラズマ状態に励起したとき、あるいは、プラズマに曝されたときに単体では反応生成物を生ぜず、膜を形成しえない、すなわち成膜性を有さないガスである。このため、非成膜性ガスが反応活性領域44に単体で供給された場合であっても、非成膜性ガス単体では反応生成物の生成は、なされない。
非成膜性ガスの一例には、N、H、NH、N、O、O、NO、NO、He、Ar、Ne、Kr、及びXe等の気体またはこれらの混合ガスを使用することができる。
特に、反応生成物として、窒化物を生成する場合(窒化物による薄膜形成の場合)には、非成膜性ガスとしてNを含むガスを用いることができる。また、反応生成物として、酸化物を生成する場合(酸化物による薄膜形成の場合)には、非成膜性ガスとしてO(酸素)を含むガスを用いることができる。
この非成膜性ガスのプラズマが生成された領域に、詳細を後述する成膜性ガス供給管24から供給された成膜性を有する成膜性ガス(詳細後述)が到ると、少なくとも成膜性ガスに含まれる元素を構成要素とする反応生成物が生成される。この生成された反応生成物が薄膜形成対象となる薄膜形成対象部材上に堆積されると、薄膜形成対象基材上に上記反応生成物によって構成された薄膜が形成される。
この「成膜性ガス」とは、本発明の原料ガス及び成膜性ガスに相当し、プラズマに曝されたときに励起分解して単体で、あるいは、プラズマ状態にある励起、分解された非成膜性ガスと反応して反応生成物を生成しうる、すなわち成膜性を有するガスである。この「成膜性を有する」とは、膜を形成しうる性質を有することを示している。
具体的には、成膜性ガスは、プラズマに曝されたときに励起・分解されて反応生成物を析出するもの、あるいはプラズマに曝されたときに励起・分解されて上記非成膜性ガスを構成する元素と反応して反応生成物を析出するガスである。
本発明の薄膜形成装置10によって薄膜形成対象部材40に薄膜を形成することにより、13族元素の窒化物、または13族元素の酸化物を形成する反応においては、成膜性ガスとしては、13族元素を含む有機および無機の化合物ガスが用いられる。
具体的には、成膜性ガスとして、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルガリウム、トリエチルインジウム、トリエチルアルミニウム、t−ブチルガリウム、t−ブチルガリウム、t−ブチルインジウム、ジボラン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、及び三臭化ホウ素などが好ましく用いられる。
薄膜形成対象部材40上に、薄膜として酸化亜鉛膜を形成するには、成膜性ガスとして、ジメチル亜鉛、及びジエチル亜鉛などを用いることができる。
薄膜を形成する対象となる薄膜形成対象部材40上に、多結晶シリコン、非晶質シリコン、窒化シリコン、及び酸化シリコン等の膜を形成する場合には、成膜性ガスとして、SiH、Si等の無機シラン類、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、オクタメチルシクロテトラシラン(OMCTS)、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン(TES)、モノメチルシランなどの有機シラン類、SiF、Si、SiHF、SiH、SiCl、SiCl、SiHCl、SiHCl、SiHCl、SiCl等のハロシラン類等を用いることができる。
また、薄膜形成対象部材40上に、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素系膜を形成するときには、成膜性ガスとして、メタン、エタン、プロパン等の炭化水素類などを用いることができる。
なお、反応容器12内の非成膜性ガスのプラズマが生成された領域を、本発明では、「反応活性領域」44と称する。
すなわち、非成膜性ガスのプラズマが生成されることによって、反応容器12内の全ての領域は、成膜性ガスが励起分解されて反応生成物を析出しうる領域としての反応活性領域44と、この反応活性領域44に連続する領域であって成膜性ガスが励起分解されえない領域としての反応不活性領域48と、に分けられる。このため、反応容器12内には、円柱状部材18の回転方向に沿って、反応活性領域44と反応不活性領域48とが連続して設けられることとなる。
成膜性ガス供給管24は、反応容器12の外部から反応容器12の内部へと成膜性ガスを供給するための管である。成膜性ガス供給管24は、成膜性ガス供給管24の一端に設けられた成膜性ガス供給口24Aを介して反応容器12内に連通されており、成膜性ガス供給管24の他端は、電磁弁46を介して成膜性ガス供給源49に接続されている。
成膜性ガス供給源49は、成膜性ガスである原料ガスが充填された容器と、恒温槽などの原料ガス温度を調整する機構と、レギュレーターなどの圧力を調整する機構と、マスフローコントローラーなどの原料ガスの流量を調整する機構と、を必要に応じて備えている。成膜性ガスが液体や固体を気化させて供給されるガスである場合は、成膜性ガスは恒温槽の中に所望の温度に保たれていて、必要に応じてキャリアガスとともに供給される。キャリアガスを供給する場合、キャリアガスは所望の圧力に調整して供給することが可能である。
成膜性ガス供給源49から成膜性ガス供給管24に供給された成膜性ガスは、成膜性ガス供給管24を通って成膜性ガス供給口24Aに到り、成膜性ガス供給口24Aから反応容器12内部へと噴き出される。
この成膜性ガス供給口24Aは、反応容器12内の反応不活性領域48に位置するように、成膜性ガス供給管24に設けられている。
この成膜性ガス供給口24Aの反応不活性領域48内における位置は、反応不活性領域48内に位置されていることが必須であるが、より好ましくは、反応不活性領域48内において、反応活性領域44との境界から所定距離以上離れた領域に位置されていることが好ましい。なお、この「所定距離」とは、反応不活性領域で原料ガスの密度が平均化されるための拡散が行われるために必要な距離で、具体的には、20mm以上で有ることが好ましい。
成膜性ガス供給口24Aが、反応不活性領域48との境界から所定距離以上離れた位置に設けられることによって、不均一な密度で、原料ガスが反応活性領域に導入されて不均一な膜厚や膜質の薄膜が形成されることを抑制すると言う効果が得られる。
反応容器12中で、この成膜性ガス供給口24Aから成膜性ガスを噴き出す方向は、好ましくは、薄膜形成対象となる薄膜形成対象部材40に向かって成膜性ガスを噴き出す事が可能となるように、円柱状部材18の外周面に向かって噴き出し可能に設けられていることが好ましい。
すなわち、本発明の薄膜形成装置10によれば、反応不活性領域48、すなわち非成膜性プラズマの遮蔽された領域において、反応活性領域44以外の方向に向かって成膜性ガスが噴き出される。このように、円柱状部材18の外周面に向かって成膜性ガスが噴き出されることによって、噴き出された成膜性ガスが均一または均質とならずに反応容器12内を移動して反応活性領域44に到ることを抑制することができる。成膜性ガスが円柱状部材18の外周面や薄膜形成対象部材40の表面に噴き付けられると、成膜性ガスはこれら表面上を流れ、薄膜形成対象部材表面で拡散、吸着、再蒸発が起こる。これらの効果により原料ガスは薄膜形成対象部材表面に密度均一化が促進された状態で滞在し、薄膜形成対象部材40の移動とともに反応活性領域44に入り反応生成物を生じることが可能である。
成膜性ガス供給管24を構成する材料としては、真空排気装置28によって減圧状態とされた反応容器12内の反応不活性領域48内に、上述のような方向に向かって成膜性ガスを噴き出す事が可能な程度の硬度を有する材料であればよく、例えば、ステンレスパイプを用いる事ができる。
上述のように、上記反応不活性領域48と、上記反応活性領域44とは、反応容器12内の連続した領域であり、遮蔽部材26を設けない構成も可能であるが、遮蔽部材26によって反応不活性領域48を、反応活性領域44から遮蔽することが好ましい。このような遮蔽部材を設けることにより、放電電極、非成膜性ガス供給口、原料ガス供給口などの必要な構成要素をコンパクトに配置することが可能となる。
遮蔽部材26は、反応不活性領域48と反応活性領域44との境界の一部を遮蔽するように反応容器12の内周面に設けられている。遮蔽部材26は、反応不活性領域48に成膜性ガスが供給された場合であっても、励起分解により目的の生成物が生じない程度に、反応活性領域44の非成膜性プラズマを遮蔽可能に設けられていれば良く、どのような形状であってもよく、例えば板状であってもよい。
遮蔽部材26と円柱状部材18との最小間隔は、反応不活性領域48と反応活性領域44との間の領域の一部を遮蔽し、且つ保持部材によって円柱状部材18上に保持された薄膜形成対象部材40表面への薄膜形成を妨げない程度の距離である事が好ましい。例えば、円柱状部材18上に保持され、且つ本発明の薄膜形成装置10による薄膜形成が成される前の状態の薄膜形成対象部材40が、遮蔽部材26と円柱状部材18との対向領域に位置した状態において、該薄膜形成対象部材40と遮蔽部材26との最短距離は、10mm以下であることが好ましく、2mm以下であることが好ましい。
なお、薄膜形成対象部材40と遮蔽部材26との間の距離が調整されることが好ましい。この距離の調整は、例えば、遮蔽部材26を反応容器12に対して着脱可能に設けるようにし、薄膜形成対象部材40の厚みや目的とする層厚に応じた幅を有する遮蔽部材26を取付けるようにすればよい。
なお、遮蔽部材26と円柱状部材18とは、接触していてもよいが、遮蔽部材26と、円柱状部材18表面に保持された薄膜形成対象部材40上と、の間で摩擦が生じない程度の押し当て力で接触していることが好ましい。遮蔽部材26が円柱状部材18上に保持された薄膜形成対象部材40に対して摩擦が生じる程度の押し当て力で接触されると、薄膜形成対象部材40上に形成された膜に傷が生じたり、形成された膜が削れるおそれがあるために好ましくない。
遮蔽部材26の材質は、適度な機械強度を有するものであれば特に限定されるものではなく、導電性のものであっても、また絶縁性のものであってもよいが、上述のように遮蔽部材26が薄膜形成対象部材40に接触するように設けられている場合には、薄膜形成対象部材40または薄膜形成対象部材40上に形成された膜に傷が発生することを抑制するために、薄膜形成対象部材40及び薄膜形成対象部材40上に形成された膜よりも硬度が低い材料を用いる事が必須である。
制御部16は、上記真空排気装置28、モータ30、電磁弁46、電磁弁38、及びマッチングボックス34に信号授受可能に接続されている。このため、制御部16によって真空排気装置28の制御が行われることで、反応容器12内の圧力を目的とする圧力に減圧することができる。また、制御部16によって、モータ30の回転数が制御されることによって、目的とする速度で円柱状部材18を回転することができる。また、制御部16によって、電磁弁46及び電磁弁38各々と成膜性ガス供給源49に含まれるマスフローコントローラーが制御されることによって、成膜性ガス及び非成膜性ガス各々の供給量を調整することができる。
なお、本実施の形態では、形成される薄膜の結晶性の向上、及び薄膜形成のための反応の促進等を目的として、薄膜形成対象部材40に熱を加えるための加熱装置(図示省略)を設けることも可能である。しかしながら、本発明の薄膜形成装置10によれば、薄膜形成対象部材40に熱を加えない状態においても、反応生成物を形成し膜を形成することができ、また、薄膜形成対象部材40の温度が高くなるほど、成膜性ガスの平衡蒸気圧が高くなり薄膜形成基板表面からの原料ガスの再蒸発が増加する点や、成膜性ガスが反応活性領域44に到る前に、反応不活性領域48に位置する薄膜形成対象部材40上で分解することから、薄膜形成対象部材40に熱を加えることは必ずしも必須ではない。
次に、本実施の形態の薄膜形成装置10における薄膜形成方法を説明する。
制御部16の制御によって真空排気装置28が駆動して、反応容器12の内部が所定圧力まで減圧されると、制御部16は、円柱状部材18を所定速度で回転するようにモータ30を制御する。この回転速度の制御は、例えば、モータ30に円柱状部材の回転速度を測定するためのセンサを設けて、このセンサからの入力信号に基づいて、目的とする回転速度となるようにモータ30の回転速度を調整するようにすればよい。
円柱状部材18の回転によって、円柱状部材18上に保持された薄膜形成対象部材40が反応容器12内で回転移動する。
次に、制御部16は、電磁弁38を制御することによって、反応容器12内への非成膜性ガスの供給を開始すると共に、高周波電源36からマッチングボックス34を介して放電電極20に高周波電力を供給する。このとき、放電電極20の放電面から円柱状部材18の外周面の対向領域に向かって広がるように非成膜性プラズマが生成される。この非成膜性プラズマの生成により、反応容器12内に反応活性領域44が形成される。また、この反応活性領域44の形成により、反応容器12内には、反応活性領域44以外の領域としての反応不活性領域48が、反応活性領域44に連続して形成されることとなる。
次に、制御部16は、反応容器12内の反応不活性領域48に成膜性ガスを供給するように、電磁弁46を制御する。この電磁弁46の制御によって、成膜性ガスが成膜性ガス供給管24の成膜性ガス供給口24Aを介して、反応容器12内の反応不活性領域48に噴き出される。
成膜性ガス供給口24Aから反応不活性領域48に噴き出され薄膜形成対象部材40に滞在している成膜性ガスは、円柱状部材18の回転による薄膜形成対象部材40の移動に伴って移動し、反応活性領域44に到る。なお、円柱状部材18の回転方向は、薄膜形成対象部材40の移動に伴って成膜性ガスを反応不活性領域48から遮蔽部材26との対向領域を介して反応活性領域44へと到る方向に移動させる方向であってもよく、反対に、成膜性ガスを反応不活性領域48から遮蔽部材26との対向領域を介さずに反応活性領域44へと到る方向に移動させる方向であってもよい。
反応不活性領域48から反応活性領域44に到った成膜性ガスは、反応活性領域44において、非成膜性ガスによる非成膜性プラズマに曝されることによって、励起分解されて、成膜性ガスに含まれる元素を構成要素とする反応生成物、または成膜性ガスに含まれる元素と非成膜性ガスに含まれる元素とを構成要素とする反応生成物が生成される。この生成された反応生成物が薄膜形成対象部材40上に堆積されることにより、反応活性領域44に位置する薄膜形成対象部材40上には、成膜性ガスに含まれる元素を構成要素とする薄膜、または成膜性ガスに含まれる元素と非成膜性ガスに含まれる元素とを構成要素とする薄膜が形成される。
円柱状部材18の回転が継続されることによって、薄膜形成対象部材40は、反応容器12内において、反応活性領域44と反応不活性領域48との間を繰り返し移動することとなり、薄膜形成対象部材40上には、除々に成膜性ガスに含まれる元素、または成膜性ガスに含まれる元素と非成膜性ガスに含まれる元素とを構成要素とする反応生成物が堆積されて、より層厚の厚い膜が形成される。
なお、上記実施の形態では、成膜性ガス供給口24Aから反応不活性領域48に噴き出された成膜性ガスは、薄膜形成対象部材40の表面に滞在し円柱状部材18の回転による薄膜形成対象部材40の移動に伴って移動して、反応不活性領域48から反応活性領域44に到る場合を説明したが、反応不活性領域48に供給された成膜性ガスが、薄膜形成対象部材40の移動に伴わずに反応容器12内を拡散移動することにより反応活性領域44に到り、反応活性領域44に位置する薄膜形成対象部材40上に薄膜を形成することも可能である。
この場合には、薄膜形成対象部材の繰り返し移動は必須ではなく、むしろ円柱状部材18を繰り返し回転させない状態に近づける、すなわち成膜性ガスを薄膜形成対象部材40の移動とともに移動させることが困難な程度の低速で円柱状部材18を回転させるようにすればよい。
この場合、反応不活性領域48に供給された成膜性ガスが自然に拡散移動して、遮蔽部材26と円柱状部材18との間隙を通って反応活性領域44に到り、この反応活性領域44に到達した成膜性ガスが非成膜性プラズマに曝されることで、薄膜形成対象部材40上に成膜性ガスに含まれる元素を構成要素とする薄膜、または成膜性ガスに含まれる元素と非成膜性ガスに含まれる元素とを構成要素とする薄膜が、反応活性領域44内に載置された薄膜形成対象部材40上に形成される。この場合、反応不活性領域48において、円柱状部材18に向かって噴き付けられた成膜性ガスが円柱部材上あるいは、薄膜形成対象部材40表面上を流れ、拡散することによって、反応不活性領域48において成膜性ガス密度の均一化が促進された後に、反応活性領域44に入る。その結果、反応活性領域44で不均一な膜厚、膜質の薄膜が形成されることを抑制することが可能である。
なお、薄膜形成対象部材表面の表面に成膜性ガスが滞在し薄膜形成対象部材の移動とともに移動して行われる成膜性ガスの供給と、拡散移動による原料ガスの移動による供給は、同時に行われることが可能で、その割合は、成膜性ガスの成膜時基板温度における平衡蒸気圧、円柱状部材18の回転数、成膜性ガス供給口24Aの反応活性領域44との境界からの距離などに依存して変化する。これらを制御することにより、どちらか片方、または両方による成膜性ガスの供給により成膜が行われてもよい。
薄膜形成対象部材の移動とともに移動して行われる成膜性ガスの供給によれば、薄膜形成対象部材への着膜位置の選択性が特に優れている。
なお、成膜性ガス及び非成膜性ガス各々の種類、成膜性ガスと非成膜性ガスとの組み合わせ、制御部16による電磁弁38及び電磁弁46各々の制御による反応容器12内に供給する成膜性ガスと非成膜性ガスとの供給量の調節や、成膜性ガス及び非成膜性ガスの何れか一方または双方に混合する不純物の種類や濃度等により、形成される薄膜の組成や不純物濃度等を容易に調整することができる。
なお、薄膜形成対象部材40上に形成される薄膜の組成は、膜厚に直交する方向について均一であればよく、膜厚方向については、均一であってもばらつきがあってもよい。
膜厚方向に組成を変化させる場合には、例えば、円柱状部材18を所定回転数回転させる毎に、成膜性ガス及び非成膜性ガスの種類、及び成膜性ガスと非成膜性ガスの供給量等を変更するようにすればよい。
膜厚方向に組成の不均一な薄膜としては、具体的には、量子井戸構造やタンデム型の太陽電池のようなバンドギャップの異なる材料を積層した膜がある。In、Ga、Al、及び窒素により構成される13族元素の窒化物半導体のバンドギャップは、InN(バンドギャップ小)からAIN(バンドギャップ大)までの範囲での混晶により13属元素濃度を変化させることで変化させることができるが、この場合、成膜性ガスとして、これら13族元素を含むガスの種類と供給量、これらを混合する場合はその混合比を変化させることにより、バンドギャップにプロファイルを有する薄膜を容易に形成することができる。
また、形成される薄膜の物性を制御するために、必要に応じて上述の薄膜形成時に不純物を添加することができる。不純物の添加方法としては、不純物元素を含むガスを上記成膜性ガスに混合することによって、不純物を含む薄膜を形成することが可能となる。
形成される膜が13族元素の窒化物半導体のときには、ドナー不純物としては、Li、Cu、Ag、Au、Mg、Zn、Si、Ge、Sn、Pb、S、Se、Te等を用いることができる。中でもSi、Ge、Snが電荷担体の制御性の点から好ましい。アクセプター不純物としては、Li、Na、Cu、Ag、Au、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Zn、Cd、Hg、C、Si、Ge、Sn、Pb、Cr、Fe、Co、Ni等を用いることができる。中でもBe、Mg、Ca、Zn、Srが電荷担体の制御性の点から好ましい。
これらのドーピング不純物原料ガスとしては、ドナー不純物ではSiH、GeH、GeF、SnHを、アクセプター不純物としてはBeH、BeCl、BeCl、シクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等を反応不活性領域に供給することができる。添加濃度が低い場合は供給量が微量であるため、これら添加不純物の原料ガスが成膜性を有する場合でも、非成膜性ガスで希釈するなどして、反応活性領域に導入することも可能である。
以上説明したように、本発明の薄膜形成装置10によれば、成膜性ガス供給管24の成膜性ガス供給口24Aを反応不活性領域48に位置するように配置することで、反応不活性領域48に成膜性ガスを供給することができる。このため、反応不活性領域48に供給された成膜性ガスは、反応容器12内において反応不活性領域48から反応不活性領域48に連続する反応活性領域44に移動する。このように、反応不活性領域48から反応不活性領域48に向かって成膜性ガスが移動することにより、成膜性ガスに含まれる元素の組成比が略一様な状態に拡散された成膜性ガスが、略一定の密度または量で反応活性領域44に到る。
このため、反応活性領域44に到達した成膜性ガスの励起分解による反応生成物の、薄膜形成対象部材40上への堆積が、薄膜形成対象部材40に略均一に生じる。
従って、本発明の薄膜形成装置10によれば、膜厚及び膜質の不均一な薄膜が薄膜形成対象部材40上に形成されることを抑制することができる。
また、本発明の薄膜形成装置10によれば、薄膜形成対象部材40を、反応不活性領域48と反応活性領域44との間を、繰り返し移動することによって、薄膜形成対象部材40上に薄膜を形成するので、原料ガスが、拡散、吸着、再蒸発により密度均一化が促進された状態で反応させることができ、形成される膜厚及び膜質のばらつきを抑制することができる。
また、従来のプラズマ流に成膜性ガスを合流させる方法では、成膜性ガス供給管24の成膜性ガス供給口24Aに成膜性ガスの励起分解により生成した生成物が堆積して成膜性ガス供給口24Aの内径が減少して詰まりが発生するという問題があった。しかし、本発明の薄膜形成装置10によれば、成膜性ガスを反応容器12内に噴き出す成膜性ガス供給口24Aは、反応不活性領域48内に位置していることから、成膜性ガス供給口24Aのノズル詰まりの発生を抑制することができる。このため、従来技術における生成物が成膜性ガス供給口24Aの内側に付着してノズル詰まりが生じ、それを除去するための分解、清掃作業により製造装置の稼働率が低下するという問題を解決することができる。
また、従来のリモートプラズマ法では、成膜性ガスは、放電電極20によって形成されたプラズマによるプラズマ流に合流させて薄膜形成対象部材40表面に到達するようにプラズマ流内、すなわち上記反応活性領域44内に直接供給、または反応活性領域44内に載置された薄膜形成対象部材40の表面に向かう方向に供給されている。すなわち、従来のリモートプラズマ法では、反応活性領域44に向かって成膜性ガスを噴き出している。
一方、本発明の薄膜形成装置10によれば、反応不活性領域48、すなわちプラズマ流の遮蔽された領域で反応活性領域44以外の方向に向けて成膜性ガスを供給するので、
未反応状態の成膜性ガスは拡散、吸着、再蒸発可能であり、これらの効果により供給原料密度の平均化が得られる。
また、従来のような、成膜性ガス供給口24Aを介して反応活性領域44内に直接成膜性ガスを供給する場合には、加工性に優れた金属、例えばステンレスパイプを成膜性ガス供給管24として用いると、反応活性領域44内に入った成膜性ガス供給管24によるプラズマの影(以下、プラズマ影と称する)が薄膜形成対象部材40上に生じ、薄膜形成対象部材40表面に膜質の不均質を生じさせるおそれや、成膜性ガス供給管24を構成する材料自体が非成膜性プラズマによりスパッタされることで不純物源となるおそれがあった。
しかし、本発明の薄膜形成装置10によれば、成膜性ガス供給管24の成膜性ガス供給口24Aを介して、反応容器12内の反応不活性領域48に成膜性ガスを噴き出すことによって反応容器12内に成膜性ガスを供給するので、成膜性ガス供給管24が反応活性領域44内に入ることがないことから、ステンレスパイプ等のような加工性に優れるものの反応活性領域44内に入るとプラズマ影を発生しうる材料を、成膜性ガス供給管24を構成する材料として用いる事が可能となる。このため、成膜性ガス供給管24を構成する材料の選択肢を、従来技術に比べて広げる事が可能となる。
なお、本実施の形態では、反応容器12内に1つの放電電極20が設けられている場合を説明したが、複数設けられるようにしてもよい。この場合には、放電電極20毎に、非成膜性ガス供給管22、電磁弁38、非成膜性ガス供給源42、マッチングボックス34、及び高周波電源36を設けるようにすればよい。また、非成膜性ガス供給源42、マッチングボックス34、及び高周波電源36は、共有し可能であり、その場合、電力、ガスを分岐させて供給する。
また、本実施の形態では、成膜性ガスを供給するための成膜性ガス供給管24は、反応容器12内に1つ設けられている場合を説明したが、成膜性ガス供給口24Aが反応不活性領域48に位置していればよく、反応容器12に複数設けられるようにしてもよい。
このように、複数の放電電極20を設けることによって、1つの反応容器12内に複数の反応活性領域44及び反応不活性領域48を設けることができるとともに、さらに複数の成膜性ガス供給管24を反応容器12に設ければ、複数の反応不活性領域48各々に成膜性ガスを供給することが可能となる。このようにすれば、1つの反応容器12内に放電電極20及び成膜性ガス供給管24が各々1つ設けられている場合に比べて、成膜速度をあげることができ、薄膜の形成能の高い薄膜形成装置10を提供することが可能となる。
なお、本実施の形態では、反応活性領域44は、反応容器12内の非成膜性ガスのプラズマが生成された領域であるものとして説明したが、成膜性ガスから該成膜性ガスに含まれる元素を構成要素とする反応生成物を生成可能な領域であればよく、プラズマが生成された領域に限られるものではない。
例えば、反応活性領域44は、光や熱により成膜性のガスを励起分解する領域であったり、光、電子線、触媒などにより励起状態にある非成膜性ガスの活性種に成膜性ガスを曝して化学反応や熱分解を促進させる領域であってもよい。
光により反応活性領域44を形成する場合には、図1中の放電電極20に変えて、励起光源の光を透過可能な窓を有し、真空封止可能な光導入ポートを設けるようにすればよい。そして、光源から導かれた光を光導入ポートを通して反応器内に導くことにより、反応容器12内に反応活性領域44を形成すればよい。
この場合には、非成膜性ガスを反応容器12内に供給せずともよい。励起光源としては、重水素ランプ、Xeランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、エキシマランプ、窒素レーザー、ArFレーザーなどの各種レーザー光源などの紫外光、または真空紫外光を含む光源を用いることができる。
また、触媒により反応活性領域44を形成する場合には、図1中の放電電極20に変えて、通電可能なタングステンフィラメントなどを設けて、通電により昇温したタングステンフィラメント表面を非成膜性のガスが通過するようにすればよい。そして、励起状態にある非成膜性ガスを、円柱状部材18に向かって照射することにより、反応容器12内に反応活性領域を形成すればよい。
この場合について、オリフィスなどの圧力差を生じ得る機構を介して反応容器12と別区画にタングステンフィラメントが配置され、その区画内を触媒による高い励起、分解効率が得られる圧力に保たれていてもよい。
また、熱により反応活性領域44を形成する場合には、上記に示したように光により反応活性領域44を形成するときに紫外線光源を反応器内に導く方法と同様の構成で、COレーザーその他の赤外光源により光を照射することによって加熱すればよい。
なお、上記実施の形態では、薄膜形成対象となる薄膜形成対象部材40は、板状である場合を説明したが、円筒状である場合、弾性を有する無端ベルト状である場合、シート状である場合の各々についても対応可能である。
薄膜形成対象部材40が円筒状である場合には、例えば、円柱状部材18の外周を覆うように、円筒状の薄膜形成対象部材40を設置すればよい。具体的には、円筒状の薄膜形成対象部材40の内側に円柱状部材18を位置させることによって、薄膜形成対象部材40を設置すればよい。
薄膜形成対象部材40が弾性を有する無端ベルト状である場合には、薄膜形成装置11は、図2に示すように、図1に示す薄膜形成装置10の円柱状部材18に変えて、該薄膜形成対象部材40を張架搬送するために、該薄膜形成対象部材40の内周面に複数の張架搬送ロール52、張架搬送ロール54、及び張架搬送ロール56を設けるようにし、モータ30を、張架搬送ロール56を回転するためのモータとして設けるようにすればよい。
なお、薄膜形成装置11のその他の構成は、薄膜形成装置11と同一であるため、詳細な説明を省略する。
薄膜形成装置11の制御部16の制御によってモータ30が駆動されると、張架搬送ロール56の回転に伴って張架搬送ロール52及び張架搬送ロール54が従動回転して、張架された無端ベルト状の薄膜形成対象部材40が所定方向に回転される。
なお、この無端ベルト状の薄膜形成対象部材40の回転方向は、図1に示す円柱状部材18の回転方向と同様の方向に回転可能に設けられているが、反対方向でもよい。
従って、本発明の薄膜形成装置11によれば、薄膜形成対象部材40が弾性を有する無端ベルト状であった場合についても、均一な膜厚及び膜質の膜を形成することができる。
薄膜形成対象部材40がシート状である場合には、薄膜形成装置11は、図3に示すように、図1に示す薄膜形成装置10の円柱状部材18に変えて、ロール状となるように巻かれた状態の薄膜形成対象部材40を送り出すための支持ロール58と、該支持ロール58から送られたシート状の薄膜形成対象部材40を反応不活性領域48から反応活性領域44へ、または反応活性領域44から反応不活性領域48へと送るための複数のローラ64、及びローラ62と、支持ロール58から送り出されたシート状の薄膜形成対象部材40を巻き取るためのローラ60と、を設けるようにし、モータ30を、支持ロール58またはローラ60を回転するためのモータとして設けるようにすればよい。
なお、薄膜形成装置13のその他の構成は、薄膜形成装置11と同一であるため、詳細な説明を省略する。
薄膜形成装置13の制御部16の制御によってモータ30が駆動されて、支持ロール58からローラ60に向かって薄膜形成対象部材40が送り出されると、支持ロール58から送り出された薄膜形成対象部材40は、順次、反応不活性領域48から反応活性領域44へと到り、薄膜形成された後にローラ60に巻き取られる。
薄膜形成対象部材40が全てローラ60に巻き取られると、再度、支持ロールに全ての薄膜形成対象部材40を巻取るようにモータ30を制御した後に、再度、支持ロール58からローラ60に向かって薄膜形成対象部材40を送り出すようにすればよい。
なお、このシート状の薄膜形成対象部材40は、支持ロール58から送り出された領域の一部が反応不活性領域48に位置し、一部が反応活性領域44に位置するように、各支持ロール58、ローラ60、ローラ62、及びローラ64を設けるようにすればよい。
従って、本発明の薄膜形成装置13によれば、薄膜形成対象部材40が長尺のシート状であった場合についても、均一な膜厚及び膜質の膜を形成することができる。
次に、本発明の薄膜形成装置10を用いて電子写真用感光体上に、本発明の薄膜形成装置10を用いて膜を形成する場合を説明する。
まず、電子写真用感光体80について説明する。なお、以下では、電子写真用感光体を総称する場合には、電子写真用感光体80として説明する。
図4には、本発明の電子写真用感光体80Aの層構成の一例を示した。
図4に示す電子写真用感光体80Aは、導電性基体70上に、電荷発生層72A、電荷輸送層72B、表面層74がこの順に積層されて構成され、感光層72は電荷発生層72Aおよび電荷輸送層72Bの2層から構成されている。なお、導電性基体70と感光層72との間に、下引層76(図5参照)を設けても良い。
本発明の電子写真用感光体80Aの層構成の他の例としては、図5に示すように、電子写真用感光体80Bは、導電性基体70上に、下引層76、感光層78、及び表面層74がこの順に積層された層構成を有する。感光層78は、図4に示す電荷発生層72Aおよび電荷輸送層72Bの機能が一体となった層である。
なお、上記感光層72、及び感光層78は、有機高分子から形成されている。
−有機感光体−
次に、本発明の電子写真用感光体80が、感光層を有機高分子により構成された有機感光体である場合の好ましい構成について、その概要を説明する。
感光層を形成する有機高分子化合物は熱可塑性であっても熱硬化性のものであっても、また2種類の分子を反応させて形成するものでも良い。また、感光層と表面層との間に、硬度や膨張係数、弾力性の調整、密着性の向上などの観点から中間層を設けても良い。中間層は、表面層の物性および感光層(機能分離型の場合は電荷輸送層)の物性の両者に対して、中間的な特性を示すものが好適である。また、中間層を設ける場合には、中間層は、電荷をトラップする層として機能しても良い。
有機感光体の場合には、感光層は、図4に示すように電荷発生層と電荷輸送層に分かれた機能分離型でも良いし、図5に示すように機能一体型であってもよい。機能分離型の場合には電子写真用感光体の表面側に電荷発生層を設けたものでも良いし、表面側に電荷輸送層を設けたものでも良い。
感光層上に、表面層を形成する場合、熱以外の短波長電磁波の照射により感光層が分解したりすることを防ぐため、感光層表面には、表面層を形成する前に紫外線などの短波長光吸収層を予め設けてもよい。また、短波長光が感光層に照射されないように、表面層を形成する初期の段階で、バンドギャップの小さい層を最初に形成することもできる。このような、感光層側に設けられるバンドギャップの小さい層の組成としては、例えば、Inを含んだGaXIn(1-X)N(0≦X≦0.99)が好適である。
また、紫外線吸収剤を含む層(例えば、高分子樹脂に分散させた層を塗布等を利用して形成される層を感光層表面に設けても良い。
このように、表面層を形成する前に感光体表面に中間層を設けることで、表面層を形成するときの紫外線や、画像形成装置内で感光体が使用された場合のコロナ放電や各種の光源からの紫外線などの短波長光による感光層への影響を防ぐことができる。
電子写真用感光体80の表面層74の少なくとも最表面は、上記本発明の薄膜形成装置10によって形成される。具体的には、図6に示すように、電子写真用感光体80C(電子写真用感光体80Aと同様の構成であって、導電性基体70と感光層72との間に、下引層76が設けられている場合の一例)の表面層74の少なくとも最表面77、または図5及び図6に示すように電子写真用感光体80A及び電子写真用感光体80Bの表面層74が、薄膜形成装置10によって形成される。
ここで、上記「表面層の少なくとも最表面」とは、表面からの深さが少なくとも数nmの範囲内、具体的には、表面から1〜50nm程度の範囲の薄い層を意味し、実質的にはXPS(X線光電子分光法)により固体表面を測定した際の、深さ方向の測定範囲に相当する部分の層を意味している。なお、この表面層の少なくとも最表面が、酸素と、13族元素と、を種たる構成元素として含む層の場合には、表面層の表面から深さ方向に0.5nm以上の厚みを有していることが好ましく、10nm以上の厚みを有していることが更に好ましい。
このような電子写真用感光体80の表面層として、または表面層の少なくとも最表面に、上記薄膜形成装置10によって薄膜を形成する場合には、この表面層未形成または表面層の一部が未形成の電子写真用感光体を、薄膜形成対象部材40として、薄膜形成装置10に設置する。そして、例えば、非成膜性ガスとしてNを用い、成膜性ガスとして、水素をキャリアガスとして用いて水素希釈したトリメチルガリウムガスを用いればよい。このようにして、上記制御部16によるモータ30の制御によって電子写真用感光体を回転させて、上記説明したように反応容器12内に反応活性領域44と反応不活性領域48とを形成することにより、電子写真用感光体80の少なくとも最表面に、チッ素とガリウムとを含む薄膜を成膜することができる。
なお、成膜時の表面層の形成温度は特に限定されないが、有機感光体を作製する場合において、表面層の成膜時の、表面層未形成または表面層の一部が未形成の電子写真用感光体の温度は、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。該電子写真用感光体の温度が150℃以下であっても、プラズマの影響で150℃より高くなる場合には感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、このような影響を考慮して該電子写真用感光体の温度を設定することが好ましい。
該電子写真用感光体の温度は図示していない方法で制御しても良いし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。該電子写真用感光体を加熱する場合にはヒータを該電子写真用感光体の外側や内側に設置しても良い。該電子写真用感光体を冷却する場合には、該電子写真用感光体の内側に冷却用の気体または液体を循環させても良い。
放電による該電子写真用感光体の温度の上昇を避けたい場合には、該電子写真用感光体の表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
13族元素を含むガスとしてはトリメチルガリウムガスの代わりにインジウム、アルミニウムを含む有機金属化合物やジボランのような水素化物を用いることもでき、これらを2種類以上混合してもよい。
例えば、表面層の形成の初期において、トリメチルインジウムを成膜性ガス供給管24から反応容器12内に供給することにより、表面層としてチッ素とインジウムとを含む薄膜を成膜すれば、この薄膜が、継続して成膜する場合に発生し、感光層を劣化させる紫外線を吸収することができる。このため、成膜時の紫外線の発生による感光層へのダメージを抑制できる。
上述のような方法により、電子写真用感光体80の表面層の少なくとも最表面に、薄膜形成装置10により薄膜を形成することができる。
薄膜形成装置10を用いて形成される薄膜は、上述のように、膜質及び膜厚の不均一が抑制されていることから、電子写真用感光体80の表面層の少なくとも最表面に形成された薄膜は、膜厚の最大値と最小値との差(以下、「膜厚差」という)を、50nm以下とすることができる。
ここで、電子写真用感光体80の表面層の膜厚は、電子写真用感光体80としての耐摩耗性を得るためには50nm以上であることが好ましい。電子写真用感光体80は、詳細は後述するが、表面が帯電された後に露光されることで静電潜像が形成され、表面に付着した付着物をクリーニング部材との摩擦によって除去されることから、光学的特性、電気的特性、及び機械的特性が均一であることが求められ、これらの特性は、表面層の層厚の影響を受けることが知られている。
具体的には、表面層の少なくとも最表面に上記薄膜が形成された場合に、この薄膜に含まれる窒化ガリウムや窒化ガリウムの赤外領域から可視領域への屈折率は、このような薄膜が設けられていない有機感光体に比べて大きい(2.2倍から2.5倍)。このため、赤外領域から可視領域、または可視領域よりも短波長の露光光が電子写真用感光体80(有機感光体)表面に入射されたときに、感光層に到達する光の強度は、干渉の影響を受けて表面層の層厚により変動する。また、表面層の層厚は、帯電されたときの帯電電位や電気抵抗にも影響を与える。
このため、表面層の層厚の不均一な電子写真用感光体80が、電子写真方式の画像形成装置に搭載されると、画質劣化を引き起こすという問題がある。
しかし、本発明の薄膜形成装置10により表面層の少なくとも最表面を形成すれば、表面層の層厚の不均一を抑制することができる。従って、電子写真方式の画像形成装置に搭載された場合であっても、画質劣化を抑制することができる。
なお、上述では、電子写真用感光体80を図1に示す薄膜形成装置10に、薄膜形成対象部材40として搭載する場合を説明したが、電子写真用感光体80が無端ベルト状である場合には、図2に示す薄膜形成装置11に、薄膜形成対象部材40として搭載すればよい。また、電子写真用感光体80が長尺シート状である場合には、図3に示す薄膜形成装置13に、薄膜形成対象部材40として搭載すればよい。
(プロセスカートリッジおよび画像形成装置)
次に、本発明の電子写真用感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本発明の画像形成装置は、本発明の薄膜形成装置10、薄膜形成装置11、または薄膜形成装置13によって表面層の少なくとも最表面が形成された上記電子写真用感光体80が搭載されている。
図7に示すように、本発明の画像形成装置82は、所定方向(図7中、矢印D方向)に回転する該電子写真用感光体80を備えている。
電子写真用感光体80の近傍には、電子写真用感光体80の回転方向に沿って、帯電装置84、露光装置86、現像装置88、転写装置89、除電装置81、及びクリーニング部材87が設けられている。
帯電装置84は、電子写真用感光体80の表面を所定電位に帯電する。露光装置86は、帯電装置84によって帯電された電子写真用感光体80の表面を露光することにより、画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置88は、静電潜像を現像するためのトナーを含む現像剤を予め貯留すると共に、貯留された現像剤を電子写真用感光体80表面に供給することにより静電潜像を現像してトナー像を形成する。
転写装置89は、電子写真用感光体80上に形成されたトナー像を、電子写真用感光体80との間で記録媒体83を挟持搬送することにより、記録媒体83に転写する。記録媒体83に転写されたトナー像は、図示を省略する定着装置によって記録媒体83表面に定着される。
除電装置81は、電子写真用感光体80表面に付着した帯電されている付着物を除電する。クリーニング部材87は、電子写真用感光体80の表面に接触するように設けられ、電子写真用感光体80表面との摩擦力によって、表面の付着物を除去する。
なお、本発明の画像形成装置82は、各色のトナーに対応して電子写真用感光体80を複数有するいわゆるタンデム機であってもよい。また、トナー像の記録媒体83転写は、電子写真用感光体80表面に形成されたトナー像を中間転写体に転写した後に記録媒体に転写する、中間転写方式であってもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置82本体に対して着脱可能に設けられ、帯電装置84と、現像装置88と、クリーニング部材87と、除電装置81からなる群より選択される少なくとも一つとを一体に有して構成されている。
本発明のプロセスカートリッジや、本発明の画像形成装置82は、発明の薄膜形成装置10、薄膜形成装置11、または薄膜形成装置13によって表面層の少なくとも最表面が形成された上記電子写真用感光体80が搭載されているので、表面層の層厚が略均一であることから、画質劣化を抑制することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
に制限されるものではない。
(実施例1)
図1に示す薄膜形成装置10を用いて、薄膜形成対象部材として、単結晶Si基板(5mm×5mm、厚み0.5mm)を20枚用意し、この薄膜形成対象部材上に薄膜形成を行った。
なお、薄膜形成条件は、以下のように設定した。
・反応容器12:
内径400mm、円筒軸方向長さ400mmの円筒状部材。
内壁の材質 ステンレス鋼SUS304。
・円柱状部材18:
直径82mm、長尺方向長さ 340mm、アルミ製の円筒状部材
・放電電極20:
放電面の円柱状部材18の回転軸方向長さ:350mm
放電面の該回転軸方向に直交する方向の長さ:50mm
・非成膜性ガス供給管22:
内径1mmの銅製パイプ
・非成膜性ガス供給口22A:
放電電極20の放電面(円柱状部材18との対向面に相当)に、80mm間隔で4個設置。
・成膜性ガス供給管24:
内径4mmのステンレスパイプ
・成膜性ガス供給口24Aの位置:反応容器12内の反応不活性領域48に設置。
成膜性ガス噴出方向:円柱状部材18の回転中心方向で基板表面に向かう方向。
円柱状部材18回転軸方向における位置:放電電極20の放電面上の、円柱状部材18回転軸方向中心位置と同一位置。
円柱状部材18表面からの距離:5mm
放電電極20によって形成される反応活性領域44と、反応不活性領域48との境界からの距離:40mm
・薄膜形成対象部材取付け位置:円柱状部材18の外周面に、円柱状部材18の回転軸方向に20mm間隔で5箇所、回転方向に向かって等間隔で4箇所、合計20箇所に、寺岡製作所社製、商品名 カプトン粘着テープを用いて貼付。
・遮蔽部材26:
平板状(156mm×400mm、厚み0.5mm、材質 ポリイミド)
円柱状部材18上に保持された薄膜形成対象部材としての単結晶Si基板(薄膜未形成状態)が、遮蔽部材26と円柱状部材18外周面との対向領域に位置したときの、該薄膜形成対象部材表面との最小距離が2mmとなるように、反応容器12の内周壁に設置した。
なお、上記「電極中心」とは、放電電極20の放電面における、円柱状部材18の回転軸方向中心位置を示している。
上記構成の薄膜形成装置10を用いて、排気管14を介して反応容器12内を圧力が1×10−2Pa程度になるまで真空排気した。次に、非成膜性ガスとして、水素500sccm、窒素100sccmを合流させて非成膜性ガス供給管22から、放電電極20に設けられた非成膜性ガス供給口22Aを介して反応容器12内に導入するとともに、真空排気装置28に含まれるコンダクタンスバルブを調整し、反応容器12内の圧力を30Paとした。高周波電源36かららマッチングボックス34により、13.56MHzの交流波を出力100Wにセットしチューナでマッチングをとり、放電電極20から放電を行った。このときの反射波は0Wであった。
次に、成膜性ガスとして、恒温槽中で20℃に保たれたトリメチルアルミニウムを水素ガスをキャリアガスとしてバブリングし、成膜性ガス供給管24から成膜性ガス供給口24Aを介して反応容器12内の反応不活性領域48に、トリメチルアルミニウムと水素の混合ガスの流量が10sccmとなるように供給した。真空排気装置28に含まれるコンダクタンスバルブを調整し、反応容器12内圧力を30Paとした。
この状態で、円柱状部材18を0.2rpmの回転速度で図1に矢印で示した方向に回転させながら90分間成膜した。このとき、円柱状部材18の温度は、25℃から約50℃の範囲であった。
−膜の分析・評価−
上記各薄膜形成対象部材上に成膜した膜の、膜質と膜厚の評価を行った。
膜厚の測定は、円柱状部材18と放電電極20の放電面とが対向する領域に位置したときの、円柱状部材18上に保持された複数の各薄膜形成対象部材の電極中心からの距離毎に行った。詳細には、この電極中心を「電極中心からの距離0」として、円柱状部材18上に保持された複数の各薄膜形成対象部材の電極中心からの距離を求め、各距離に位置する薄膜形成対象部材の領域の膜厚を、断面SEM観察により測定した。測定結果を図8に示す。
膜質の評価には、フーリエ変換赤外分光法により測定した赤外吸収光度スペクトルを用いた。
このフーリエ変換赤外分光法により測定は、パーキンエルマー社製Soectrum One フーリエ変換赤外吸収測定器システムB S/N比30000:1分解能4cm-1を用いておこなった。サンプルは、実施例1で作製した5x5mmの単結晶Si基板に着膜した試料を用い、ビームコンデンサー付きの試料台に設置した後測定した。
参照用としては着膜しない単結晶Si基板を用いた。
図9には、得られたスペクトルの一例を示した。図9に示すように、約650cm−1で最大値をとり、約890cm−1まで広がる赤外吸収帯はAlNシグナル(AlN光学フォノン残留線)である。また、2100cm−1付近のシグナルは、Al−Hシグナル(局在振動モード)、3200cm−1付近のシグナルはN―Hシグナル(局在振動モード)によるものである。これは薄膜が、水素を含んだ窒化アルミ薄膜であることを示すスペクトルである。膜質の評価としては、このAlNシグナルの半値幅と、AlNシグナル/Al−Hシグナル比を用いた。円周方向は同じ位置で、電極中心からの距離が異なる4つの試料の測定結果を図10に示した。
(実施例2)
円柱状部材18の回転速度を、4.0rpmにした以外は、実施例1と同様にして薄膜形成を行うとともに、膜厚の測定及び膜質の評価を行った。測定結果を図8及び図10に示す。
(実施例3)
円柱状部材18の回転速度を、8.0rpmにした以外は、実施例1と同様にして薄膜形成を行うとともに、膜厚の測定及び膜質の評価を行った。測定結果を図8及び図10に示す。
(実施例4)
円柱状部材18の回転速度を、12.0rpmにした以外は、実施例1と同様にして薄膜形成を行うとともに、膜厚の測定及び膜質の評価を行った。測定結果を図8及び図10に示す。
(比較例1)
成膜性ガス供給口24Aの位置を、反応容器12内の反応活性領域44内に設置するとともに、遮蔽部材26を設けない以外は、実施例3と同様にして、薄膜形成を行うと共に、膜厚の測定及び膜質の評価を行った。測定結果を図11及び図12に示した。
なお、成膜性ガス供給口24Aの位置は、詳細には、下記のように設定した。
円柱状部材18回転軸方向における位置:放電電極20の放電面上の、円柱状部材18回転軸方向中心位置と同一。
円柱状部材18表面からの距離:5mm
放電電極20の放電面と円柱状部材18外周との対向領域内における、放電面と円柱状部材18外周との対向方向で且つ放電電極20の電極中心を通る軸線からの最小距離0mm
図11に示すように、比較例1で形成した薄膜の膜厚は、電極中心からの距離により変動し
図8に示されるように、実施例1〜実施例4で形成した薄膜の膜厚は、図11に示される比較例1で形成した薄膜の膜厚に比べて、電極中心からの距離による膜厚変動が小さく、膜厚の不均一化の大幅な改善がなされていることがわかる。
また、図8に示されるように、実施例1〜実施例4で形成した薄膜の膜厚変動は、回転数が大きくなるほどより抑制されていることがわかる。
このため、本発明の薄膜形成装置によれば、反応活性領域44と反応不活性領域48との間で薄膜形成対象部材を低速で移動させた場合であっても、従来のような反応活性領域44内に直接成膜性ガスを供給する場合に比べて膜厚の不均一を抑制することが可能であるが、この反応活性領域44と反応不活性領域48との間の繰り返し移動速度が速くなるほど、より膜厚の不均一を抑制することができるといえる。
また、図10に示されるように、実施例1〜実施例4で形成した薄膜の膜質ばらつきは、何れの回転数で薄膜を形成した場合においても、図12に示される比較例1で形成した薄膜の膜質ばらつきに比べて小さいことがわかる。このため、本発明の薄膜形成装置によれば、膜質の不均一を抑制することができるといえる。
さらに、図10に示されるように、実施例1〜実施例4で形成した薄膜の膜質ばらつきは、回転速度が0.2rpmより早い高速の場合には、回転速度が0.2rpm以下のような低速の場合に比べて膜質のばらつきが抑制されていることがわかる。
このため、本発明の薄膜形成装置によれば、反応活性領域44と反応不活性領域48との間で薄膜形成体調部材を低速で移動させた場合であっても、従来のような反応活性領域44内に直接成膜性ガスを供給する場合に比べて膜質の不均一を抑制することが可能であるが、この反応活性領域44と反応不活性領域48との間の繰り返し移動速度が速くなるほど、より膜質の不均一を抑制することができるといえる。
なお、成膜のメカニズムを調べる目的で、円柱状部材18の回転速度を0rpmにした以外は、実施例1と同じ条件で薄膜形成を行うと、遮蔽部材26の位置、すなわち反応不活性領域48と反応活性領域44の境界から反応活性領域44側に約1cm幅広がった境界と平行な帯状領域において、Si基板、および円柱状部材18上に薄膜が形成された。Si基板上の薄膜の赤外吸収スペクトルを測定したところ、水素を含んだ窒化アルミのスペクトルが得られた。
このため、発明のような膜厚及び膜質の不均一が抑制された薄膜を形成することができるという効果が得られるメカニズムは、以下のように考えられる。
円柱状部材18および薄膜形成対象部材40を回転させなくても、反応活性領域44において反応生成物が生成されたということは、反応不活性領域48に供給された成膜性ガスが、反応容器12内を移動して、反応活性領域44に到達することで励起分解されて反応生成物が生成されたことを示している。つまり、成膜性ガス供給口24Aから反応不活性領域48に噴き出された成膜性ガスが、反応容器12内を移動する間に拡散したと考えられる。
一方、実施例1〜実施例4において、回転数の増加に伴って成膜速度が大きくなったことから、薄膜形成対象部材40の反応活性領域44と反応不活性領域48との間の繰り返し移動の効果で、成膜性ガスの反応容器12内の移動が促進されると考えられる。この場合の成膜性ガスの移動は、薄膜形成対象部材40表面に吸着されて薄膜形成対象部材40の反応容器12内の移動に伴って成膜性ガスが移動したと考えられる。図8及び図10に示されるように、回転数が大きくなるほど膜厚及び膜質の均一化が図れている。これは、薄膜形成対象部材40が反応活性領域44と反応不活性領域48との間で繰り返し移動することによる効果と考えら得る。
(実施例5)
成膜性ガスとして、恒温槽中で20℃に保たれたトリメチルアルミニウムの代わりに0℃に保たれたトリメチルガリウムを用い、トリメチルガリウムと水素の混合ガスの流量が5sccmとなるように供給した以外は実施例4と同じ条件で成膜を行った。
図13に示したスペクトルは、Si基板上に作製した膜の赤外吸収スペクトルの一例である。約550cm−1で最大値をとり、約750cm−1まで広がる赤外吸収帯はGaNシグナル(GaN光学フォノン残留線)である。また、2100cm−1付近のシグナルは、Ga−Hシグナル(局在振動モード)、3200cm−1付近のシグナルはN−Hシグナル(局在振動モード)によるものである。これより、得られた薄膜が水素を含んだ窒化ガリウムであることがわかった。
さらに実施例1と同様にして膜厚分布を調べたところ図14の結果が得られた。
これらの結果から、本発明の薄膜形成方法により、広い範囲で均一な膜厚の、水素を含んだ窒化ガリウム薄膜が得られることがわかった。
(実施例6)
図1に示す薄膜形成装置10を用いて、薄膜形成対象部材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板(100mm×100mm、厚み0.2mm)を1枚用意し、円柱状部材18の外周面にカプトンテープで貼り付けこの薄膜形成対象部材上に薄膜形成を行った。それ以外は実施例5と同じ条件で成膜を行った。
―膜の評価―
PETフィルム上に作製した薄膜表面をラザフォード後方散乱法(以下「RBS」という場合もある)、およびハイドロジェンフォワードスキャッタリング法(以下「HFS」という場合もある)により組成分析したところ、Ga:44原子%、N:原子40%、O:5原子%、H:10原子%、C:1原子%以下であった。このことから、本薄膜形成方法により、PETフィルム上に、水素と酸素を含んだ窒化ガリウム膜を作製できることが分かった。
ここで、ラザフォード後方散乱法としては、以下の装置を用いて測定した。
RBSは:
加速器 NEC社 3SDH Pelletron
エンドステーション CE&A社 RBS−400
システムとして 3S−R10を用いた。
解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いた。
RBSの測定条件は以下の通りである。
He++イオンビームエネルギーは2.275eV
検出角度 160°入射ビームに対してGrazing Angle 約109°
RBS測定はHe++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。
組成比と膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定しても良い。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度を向上できる。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー 3)散乱角度 の3つの要素のみにより決まる。
測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて膜厚を算出する。密度の誤差は20%以内である。
また、ハイドロジェンフォワードスキャッタリング法としては、以下の測定装置を用いて測定した。
HFSは:
加速器 NEC社 3SDH Pelletron
エンドステーション CE&A社 RBS−400 を用い、
システムとして 3S−R10を用いた。
解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いた。
HFSの測定条件は、以下の通りである。
He++イオンビームエネルギー:2.275eV
検出角度160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
HFS測定は、He++イオンビームに対して検出器が30°に、試料が法線から75°になるようにセットすることにより、試料の前方に散乱する水素のシグナルを拾うことが可能である。この時検出器を薄いアルミ箔で覆い、水素とともに散乱するHe原子を取り除くことが良い。定量は参照用試料と被測定試料との水素のカウントを阻止能で規格化した後に比較することによっておこなう。参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用した。
白雲母は水素濃度が約6.5atomic%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって行うことができる。
(実施例7)
成膜性ガス供給口24Aを、円柱状部材18の回転軸方向に等間隔に4箇所とし、反応容器12内の反応不活性領域48の反応容器12内に成膜性ガスを供給可能に構成した以外は実施例1と同様の反応装置を用い、薄膜形成対象部材として、下記の有機感光体を用いて、有機感光体上に酸化ガリウムの表面層を形成した。
・表面層形成装置
成膜性ガス供給管24を反応容器内でT字型継ぎ手とステンレスパイプを接続して4分岐させた配管とし、円柱状部材回転軸方向と平行に80mm間隔で4箇所並べた以外は実施例1と同じ反応装置を用いた。
有機感光体としては、下記有機感光体を作製して、薄膜形成対象部材として用いた。
以下に説明する手順により、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を作製した。
−下引層の形成−
ジルコニウム化合物(商品名:マツモト製薬社製オルガノチックスZC540)20質量部、シラン化合物(商品名:日本ユニカー社製A1100)2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)10質量部およびブタノール45質量部を攪拌混合して得た溶液を、外径84mmのAl製基体表面に塗布し、150℃10分間加熱乾燥することにより、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
−電荷発生層の形成−
次に、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1質量部および酢酸n−ブチル100質量部と混合して得られた混合物をガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散し、電荷発生層形成用分散液を得た。
この分散液を浸漬法により下引層の上に塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の形成−
次に、下記構造式(1)で表される化合物を2質量部、および、下記構造式(2)で表される高分子化合物(重量平均分子量 39000)3質量部をクロロベンゼン20質量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を得た。
Figure 2007327091
Figure 2007327091
この塗布液を、浸漬法により電荷発生層上に塗布し、110℃で40分間加熱して膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を得た。
−表面層としての薄膜の形成−
有機感光体表面への表面層としての薄膜の形成は、円柱状部材18の外周面を覆うように、上記作製した有機感光体の内側に円柱状部材18を通すことによって、円柱状部材18上に有機感光体を保持し以下のように成膜を行った。
排気管14を介して反応容器12内を圧力が1×10−2Pa程度になるまで真空排気した。次に、非成膜性ガスとして、水素500sccmと窒素希釈酸素ガス(酸素10%、窒素90%)10sccmを合流させて、非成膜性ガス供給管22から、放電電極20に設けられた非成膜性ガス供給口22Aを介して反応容器12内に導入した。
成膜性ガスは、恒温槽中で0℃に保たれたトリメチルガリウムを水素ガスをキャリアガスとしてバブリングし、成膜性ガス供給管24から成膜性ガス供給口24Aを介して反応容器12内の反応不活性領域48に、トリメチルガリウムと水素の混合ガスの流量が5sccmとなるように供給した。
真空排気装置28に含まれるコンダクタンスバルブを調整し、反応容器12内の圧力を30Paとした。高周波電源36かららマッチングボックス34により、13.56MHzの交流波を出力100Wにセットしチューナでマッチングをとり、放電電極20から放電を行った。このときの反射波は0Wであった。
この状態で、円柱状部材18を12rpmの回転速度で図1に矢印で示した方向に回転させながら90分間成膜した。
―膜の評価―
同じ条件で作製したドラムの表面層を上記した実施例6と同様にRBS、およびHFSにより組成分析したところ、Ga:35原子%、O:原子53%、N:5原子%、H:7原子%、C:1原子%以下であった。このことから、作製した表面層は、水素と窒素が含んだ酸化ガリウム膜であることが分かった。この有機感光体表面に形成した薄膜について、断面試料を作製し走査型電子顕微鏡を用いて、該周期感光体の軸方向に30mm間隔で10箇所測定したところ、最大膜厚は170nmであり、最小膜厚は155nmであった。
上記のようにして表面層としての薄膜を形成した有機感光体を、富士ゼロックス社製デジタル複写機DocuCentre Color500に取付けて画像形成処理を行った。画像形成条件は、20%のハーフトーン画像をA3の記録媒体全面に10000枚形成した後に、10000枚目の画像について目視でハーフトーンむらを評価したところ、画像にむらは見られなかった。また、10000枚形成した画像各々についても、ハーフトーンむらは見られなかった。
このため、本発明によれば、膜厚の不均一を抑制した電子写真用感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することができるといえる。
(比較例2)
成膜性ガス供給口を、円柱状部材18の回転軸方向に等間隔に4箇所とした以外は比較例1と同様の反応装置を用い、薄膜形成対象部材として、実施例7の有機感光体を用いて、有機感光体上に酸化ガリウムの表面層を形成した。
表面層形成装置
成膜性ガス供給管を反応容器内でT字型継ぎ手とステンレスパイプを接続して分岐させた配管とし、円柱状部材回転軸方向と平行に80mm間隔で4箇所並べた以外は比較例1と同じ反応装置を用いた。
実施例4と同様にして表面層としての薄膜を形成した有機感光体を、富士ゼロックス社製デジタル複写機DocuCentre Color500に取付けて画像形成処理を行った。画像形成条件は、20%のハーフトーン画像をA3の記録媒体全面に10000枚形成した後に、10000枚目の画像について目視でハーフトーンむらを評価したところ、ハーフトーン濃度にムラが見られた。また、10000枚形成した画像各々についても、ハーフトーンむらが見られた。
さらに、この有機感光体表面に形成した薄膜について、有機感光体表面の薄膜上の、上記濃度ムラに対応する領域の、濃度が最も濃い領域に対応する領域の断面と、濃度が最も薄い領域に対応する領域の断面と、から膜厚を、SEMを用いて測定したところ、各々112nmと220nmであった。
これらの比較結果から、比較例2では、実施例4で生成した膜に比べて形成された膜厚の不均一が抑制されず、画像形成処理を行った場合に、むらが発生するといえる。
本発明の薄膜形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の薄膜形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の薄膜形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の電子写真用感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の電子写真用感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の電子写真用感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 実施例1〜実施例4の膜厚測定結果を示し、電極中心からの距離と膜厚との関係を示すプロットである。 赤外吸収スペクトルの一例を示す線図である。 実施例1〜実施例4における、円柱状部材の回転速度と、AlN/Al−Hピーク強度比及びAlNピーク半値幅との関係を示すプロットである。 比較例1の膜厚測定結果を示し、電極中心からの距離と膜厚との関係を示すプロットである。 比較例1における円柱状部材の回転速度と、AlN/Al−Hピーク強度比及びAlNピーク半値幅との関係を示すプロットである。 実施例5における赤外吸収スペクトルの一例を示す線図である。 実施例5における、電極中心からの距離と膜厚との関係を示すプロットである。
符号の説明
10、11、13 薄膜形成装置
12 反応容器
14 排気管
18 円筒状部材
20 放電電極
22 非成膜性ガス供給管
24 成膜性ガス供給管
24A 成膜性ガス供給口
26 遮蔽部材
30 モータ
32 保持部材
40 薄膜形成対象部材
42 非成膜性ガス供給源
44 反応活性領域
48 反応不活性領域
52、54、56 張架搬送ロール
58 支持ロール
60、62、64 ローラ
80、80A、80B、80C 電子写真用感光体
81 除電装置
82 画像形成装置
84 帯電装置
86 露光装置
87 クリーニング部材
88 現像装置
89 転写装置

Claims (11)

  1. 反応容器内に供給された原料ガスの励起分解を利用して、該原料ガスに含まれる元素を構成要素とする膜を膜形成対象部材上に堆積する薄膜形成方法であって、
    前記反応容器内の、前記原料ガスが励起分解されうる反応活性領域以外の反応不活性領域に前記原料ガスを供給する原料ガス供給工程と、
    供給された原料ガスを前記反応活性領域において励起分解する励起分解工程と、
    を有することを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 前記原料ガス供給工程において、前記原料ガスを、前記反応不活性領域内の前記反応活性領域との境界から所定距離以上離れた位置に設けられたガス供給口から供給する請求項1に記載の薄膜形成方法。
  3. 前記反応活性領域と前記反応不活性領域とは連続した領域であり、前記励起分解工程において、前記原料ガス供給口から供給された原料ガスは、前記反応不活性領域を介して前記反応活性領域へ供給される請求項1または請求項2に記載の薄膜形成方法。
  4. 反応容器内に供給された原料ガスの励起分解を利用して、該原料ガスに含まれる元素を構成要素とする膜を薄膜形成対象部材上に堆積する薄膜形成装置であって、
    前記原料ガスを励起分解する励起手段と、
    前記反応容器内の前記励起手段によって前記原料ガスが励起分解されうる反応活性領域以外の反応不活性領域に前記原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
    を備えた薄膜形成装置。
  5. 前記原料ガス供給手段は、前記反応不活性領域内の、前記反応活性領域との境界から所定距離以上離れた位置に前記原料ガスを供給するガス供給口を含んで構成される請求項4に記載の薄膜形成装置。
  6. 前記反応活性領域と前記反応不活性領域とは連続した領域であり、前記反応容器は、前記反応活性領域と前記反応不活性領域と境界の少なくとも一部を遮断する遮蔽部材を含んで構成される請求項4または請求項5に記載の薄膜形成装置。
  7. 有機高分子基体上に、請求項1乃至請求項3の何れか1項の薄膜形成方法により薄膜形成されることを特徴とする薄膜材料。
  8. 導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体において、
    前記表面層の少なくとも最表面が、請求項1乃至請求項3の何れか1項の薄膜形成方法により形成されることを特徴とする電子写真用感光体。
  9. 導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体において、
    前記表面層が、窒素とガリウムまたはアルミニウムを含む元素から構成され、膜厚差が50nm以下であることを特徴とする電子写真用感光体。
  10. 導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体と、前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段、帯電された前記電子写真用感光体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段、及び前記電子写真用感光体上の付着物を除去するクリーニング手段の内の少なくとも1つと、を有し、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであって、
    前記表面層の少なくとも最表面が、請求項1乃至請求項3の何れか1項の薄膜形成方法により形成されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  11. 導電性基体上に、感光層と、表面層と、が順に積層されてなる電子写真用感光体と、
    前記電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段と、
    帯電された前記電子写真用感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
    前記静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    を少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記表面層の少なくとも最表面が、請求項1乃至請求項3の何れか1項の薄膜形成方法により形成されることを特徴とする画像形成装置。
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