JP2007326892A - ラジカル重合開始剤固定化粉体、高分子量化合物固定化粉体並びにそれを用いる塗料、インキ、化粧料および充填剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ラジカル重合開始剤固定化粉体および高分子量化合物固定化粉体、並びにその高分子量化合物固定化粉体を用いる塗料、インキ、化粧料および充填剤に関するものである。
一般に、高分子量化合物は、生活を営む上で今日欠かすことのできない材料である。このため、原料である単量体化合物の多種、多様性から、様々な高分子化合物が設計、合成され、種々の分野に利用されている。一方、化粧料や塗料の原料である有機もしくは無機顔料粉体に新たな機能を付与する技術として、顔料粉体に存在する官能基と反応する末端を持つ高分子量化合物鎖を合成し、顔料粉体表面に固定化する手法が知られている。
しかしながら、上述の手法を用いたとしても、鎖長の長い高分子量化合物を使用する場合には、末端の反応基が粉体表面に到達する確率が低く、また既に固定化された高分子量化合物鎖が他の高分子量化合物鎖の合成を阻害するため、結果的に高分子量化合物により表面を覆う密度が低くなり、高分子量化合物の機能、特徴が充分に発揮できないという問題があった。
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、有機もしくは無機粉体表面に高密度に高分子量化合物を固定化することのできるラジカル重合開始剤固定化粉体と高分子量化合物固定化粉体を提供し、併せてその高分子量化合物固定化粉体を用いる塗料、インキ、化粧料および充填剤を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、有機もしくは無機粉体にアゾ系開始剤酸塩化物を化学結合させて固定化し、粉体表面からラジカル重合を行うことで、高密度に高分子量化合物を固定化できることを見い出し、本発明を完成させるに至ったものである。
また、第2発明による高分子量化合物固定化粉体は、
第1発明に係るラジカル重合開始剤固定化粉体に、ラジカル重合可能な単量体化合物を連鎖重合させてなることを特徴とするものである。
第1発明に係るラジカル重合開始剤固定化粉体に、ラジカル重合可能な単量体化合物を連鎖重合させてなることを特徴とするものである。
前記第2発明に係る高分子量化合物固定化粉体は、再生セルロース法による球状セルロース粉体であるのが好適である(第3発明)。
また、第4発明、第5発明、第6発明および第7発明は、それぞれ、
前記第2発明または第3発明による記載の高分子量化合物固定化粉体を配合してなることを特徴とする塗料、インキ、化粧料および充填剤に関するものである。
前記第2発明または第3発明による記載の高分子量化合物固定化粉体を配合してなることを特徴とする塗料、インキ、化粧料および充填剤に関するものである。
第1発明および第2発明によれば、ラジカル重合開始剤を有する酸塩化物を合成し、この酸塩化物を、水酸基、アミノ基などの官能基を有する有機粉体もしくは無機粉体表面に固定化する。この固定化された開始剤からラジカルが発生し、単量体化合物が連鎖し高分子量化合物鎖が成長し、最終的に共有結合で固定された高分子量化合物が得られる。単量体化合物は比較的小さく、また量も多いので充分に高分子量化合物の成長末端に到達する。すなわち得られる高分子量化合物鎖が表面を覆う密度が高くなる。
また、上記反応は通常のラジカル重合と同様の反応機構で進行するため、得られる高分子量化合物の重合度、すなわち分子量は単量体化合物の濃度に比例する(M〜m/I1/2、M:高分子量化合物の分子量、m:単量体化合物濃度、I:開始剤濃度)。このことから、重合させる時の単量体化合物の量を調節すると、得られる高分子量化合物鎖の分子量のコントロールが可能となる。また、アゾ系開始剤を固定化した反応機構では、ラジカル重合可能な単量体化合物を選択することができる。よって、開始剤固定化粉体を作製しておけば、いろいろな単量体化合物を目的に応じて選択することができる。このように、ラジカル重合開始剤固定化粉末を作製し、ラジカル重合を行うことで、目的に応じた高分子量化合物を高密度に固定化した高分子量化合物固定化粉体を得ることができる。
次に、本発明によるラジカル重合開始剤固定化粉体、高分子量化合物固定化粉体並びにそれを用いる塗料、インキ、化粧料および充填剤の具体的な実施の形態について説明する。
本発明によるラジカル重合開始剤固定化粉体は、有機もしくは無機粉体に、下記一般式(1)にて示されるアゾ系開始剤の酸塩化物をエステル化反応により固定化することにより得られる。また、本発明による高分子量化合物固定化粉体は、種々のラジカル重合可能な単量体化合物を選択し、その選択した単量体化合物を前記ラジカル重合開始剤固定化粉体に連鎖重合させ、目的に応じた高分子量化合物を高密度に粉体表面に固定化することにより得られる。ここで、アゾ系開始剤としては、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)を挙げることができる。
上記高分子量化合物固定化粉体を得るには、具体的には以下の1)〜6)の工程を経る方法が採用される。
1)アゾ系開始剤を五塩化リンと反応させ、開始剤を酸塩化物にする。
2)得られた開始剤酸塩化物と、有機もしくは無機粉体とを溶媒下で撹拌、混合する。
3)反応物をろ過、洗浄し、乾燥させる。
4)開始剤が固定化された粉体に溶媒と単量体化合物とを加え、脱気を行う。
5)加熱条件下で撹拌し、重合反応を行う。
6)重合溶液を除去し、反応物をろ過、洗浄し、乾燥させる。
なお、重合方法としては、上述の溶液重合のほかに、乳化重合、懸濁重合、塊状重合を用いることもできる。
1)アゾ系開始剤を五塩化リンと反応させ、開始剤を酸塩化物にする。
2)得られた開始剤酸塩化物と、有機もしくは無機粉体とを溶媒下で撹拌、混合する。
3)反応物をろ過、洗浄し、乾燥させる。
4)開始剤が固定化された粉体に溶媒と単量体化合物とを加え、脱気を行う。
5)加熱条件下で撹拌し、重合反応を行う。
6)重合溶液を除去し、反応物をろ過、洗浄し、乾燥させる。
なお、重合方法としては、上述の溶液重合のほかに、乳化重合、懸濁重合、塊状重合を用いることもできる。
有機もしくは無機粉体にラジカル重合開始剤が固定化しているか否かは赤外線スペクトル法(IR法)、あるいは炭素、水素、窒素同時分析法による有機元素分析にて確認することができるが、IR法により同定、確認するのが簡便な方法である。また、高分子量化合物の分子量は、GPC(gel permeation choromatography)による分子量測定法で確認することができる。
本発明において、ラジカル重合可能な単量体化合物の具体例としては、以下のものを挙げることができる。すなわち、エチレン、プロピレン、イソブチレン、cis−1,4−ブタジエン、trans−1,4−ブタジエン、cis−1,4−イソプレン、trans−1,4−イソプレン、ブタジエン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクタン、4−メチルー1−ペンテン、オキシメチレン、オキシエチレン、オキシプロピレン、ジメチルシロキサン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリクロロフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニリデンシアニド、酢酸ビニル、ビニルアルコール、N−イソプロピルアクリルアミド、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、α−メチルスチレン、2−ビニルピリジン、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシエトキシシラン、プロピルメタアクリレートメトキシシラン、プロピル(メタ)アクリレートエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチル硫酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルジメチルエチルアンモニウム、塩化−2(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、スチレンスルホン酸などが挙げられる。また、これらの単量体化合物を複数選択し、共重合することも可能である。ここで、(メタ)アクリレート等の表現は、アクリレートとメタアクリレートの両方をまとめた表記である。
本発明による高分子量化合物固定化粉体は、有機もしくは無機粉体表面の官能基が開始剤の酸塩化物に求核置換攻撃することによりエステル結合して得られるものである。よって、水酸基、アミノ基を持つ有機もしくは無機粉体、あるいはそれら官能基を導入できる粉体を用いるのが適している。
具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等から選ばれる顔料が挙げられる。
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、アクリルパウダー、アクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等から選ばれる顔料が挙げられる。
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミニスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等から選ばれる顔料が挙げられる。
有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄、黄酸化鉄、黄土等の無機褐色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機有色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛等の微粒子粉体、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられ、またパール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等から選ばれる顔料が挙げられる。
金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等から選ばれる粉体が挙げられる。
また、タール色素顔料としては、赤色3号レーキ、赤色104号レーキ、赤色106号レーキ、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号レーキ、赤色228号、赤色230号レーキ、赤色401号レーキ、赤色505号、黄色4号レーキ、黄色5号レーキ、黄色202号レーキ、黄色203号レーキ、黄色204号、黄色401号、青色1号レーキ、青色2号レーキ、青色201号、青色404号、緑色3号レーキ、緑色201号レーキ、緑色204号レーキ、緑色205号レーキ、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号レーキが挙げられ、天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる顔料が挙げられる。
本発明の高分子量化合物固定化粉体は、スキンケア製品、頭髪製品、制汗剤製品、メイクアップ製品、紫外線防御製品、香料溶剤等の化粧料が好ましい用途として挙げられる。
特に、高分子量化合物固定化球状セルロース粉体の化粧料への好ましい用途としては、ファンデーション、アイシャドウ、ほほ紅、口紅等のメイクアップ化粧料や、ハンドクリーム、乳液、日焼け止めクリーム等の化粧料が挙げられる。このような用途に用いた場合、本出願人の先願になる特願2005−373002号に記載のものと同様、高分子量化合物固定化球状セルロース粉体が油性系化粧料中に容易に分散されるので、感触の良い油性化粧料を提供することができる。
ここで、前記高分子量化合物固定化粉体および高分子量化合物固定化球状セルロース粉体の配合量は、化粧料の質量に対して0.1〜100質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜60質量%である。また、化粧料の剤型としては、二層状、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、ジェル状、スプレー、ムース状、油性、固形状等の従来公知の剤型を使用することができる。勿論、化粧料を得る際に、他の公知の着色顔料、体質顔料、樹脂粉体、光輝性粉体、またはこれらと種々の表面処理粉体、種々の界面活性剤、油剤を組み合わせることができるのは言うまでもない。
また、上記の用途以外にも、本発明の高分子量化合物固定化粉体は、インキ、塗料、充填剤などに配合することも可能である。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例においては、球状セルロース粉体を用いた。ここで、球状セルロースは、ビスコースを原料とした再生セルロース法(特公平4−1768号公報参照)を用いており、セルロースII型の結晶構造を持っている。開始剤酸塩化物としては、前記式(1)にて示される化合物において、R1=CH3、R2=CH3、m=2、n=2からなる4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)酸塩化物を選択した。
(実施例1)
4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)を塩化メチレンに加え、氷浴中で五塩化リンを飽和するまで加えた。続いて30分間撹拌後ヘキサンを加え冷凍庫中で1時間放置し、結晶を得た。得られた結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥させた。次いで、球状セルロース粉体50gと炭酸カリウム5gとをアセトン中(250ml)に加え、得られた酸塩化物3gを加え、室温で4時間撹拌した。その後、反応物をろ過し、乾燥させた。次に、反応物をビーカーに移し、水(300ml)を加え、10分間撹拌し、ろ過、水で洗浄することにより無機塩を除去し、アセトンで置換、乾燥させ、開始剤が固定化された球状セルロース粉体を得た。
4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)を塩化メチレンに加え、氷浴中で五塩化リンを飽和するまで加えた。続いて30分間撹拌後ヘキサンを加え冷凍庫中で1時間放置し、結晶を得た。得られた結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥させた。次いで、球状セルロース粉体50gと炭酸カリウム5gとをアセトン中(250ml)に加え、得られた酸塩化物3gを加え、室温で4時間撹拌した。その後、反応物をろ過し、乾燥させた。次に、反応物をビーカーに移し、水(300ml)を加え、10分間撹拌し、ろ過、水で洗浄することにより無機塩を除去し、アセトンで置換、乾燥させ、開始剤が固定化された球状セルロース粉体を得た。
次に、上述のようにして得られた開始剤が固定化された球状セルロース粉体5.2gとメチルメタクリレート8mlとをトルエンに加え、超音波をかけながら、減圧、窒素置換を5回繰り返し脱気した。次いで、60℃の湯浴中で6時間重合を行った。その後、重合溶液を除去し、トルエン中で一晩遊離のポリメチルメタクリレートを抽出し、ビーズをろ過、トルエンで洗浄、乾燥させ、目的物を得た。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で開始剤が固定化された球状セルロース粉体5.2gとN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)3.0gをメタノールに加え、超音波をかけながら、減圧、窒素置換を5回繰り返し脱気した。次いで、60℃の湯浴中で6時間重合を行った。その後、重合溶液を除去し、トルエン中で一晩遊離のN−イソプロピルアクリルアミドを抽出し、ビーズをろ過、トルエンで洗浄、乾燥させ、目的物を得た。
実施例1と同様の方法で開始剤が固定化された球状セルロース粉体5.2gとN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)3.0gをメタノールに加え、超音波をかけながら、減圧、窒素置換を5回繰り返し脱気した。次いで、60℃の湯浴中で6時間重合を行った。その後、重合溶液を除去し、トルエン中で一晩遊離のN−イソプロピルアクリルアミドを抽出し、ビーズをろ過、トルエンで洗浄、乾燥させ、目的物を得た。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で開始剤が固定化された球状セルロース粉体5.2gとメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル3.0gをメタノールに加え、超音波をかけながら、減圧、窒素置換を5回繰り返し脱気した。次いで、60℃の湯浴中で6時間重合を行った。その後、重合溶液を除去し、トルエン中で一晩遊離のポリメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルを抽出し、ビーズをろ過、トルエンで洗浄、乾燥させ、目的物を得た。
実施例1と同様の方法で開始剤が固定化された球状セルロース粉体5.2gとメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル3.0gをメタノールに加え、超音波をかけながら、減圧、窒素置換を5回繰り返し脱気した。次いで、60℃の湯浴中で6時間重合を行った。その後、重合溶液を除去し、トルエン中で一晩遊離のポリメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルを抽出し、ビーズをろ過、トルエンで洗浄、乾燥させ、目的物を得た。
(比較例1)
球状セルロース粉体30gと炭酸カリウム3gをアセトン中(300ml)に加え、それに購入したラウリン酸塩化物3mlを加え、50℃で4時間撹拌した。次いで、反応物をろ過し、アセトンで洗浄し、乾燥させた。次に、反応物をビーカーに移し、IPA(30ml)、水(300ml)を加え、10分間撹拌し、ろ過、水で洗浄することにより無機塩を除去し、乾燥させ、目的物を得た。
球状セルロース粉体30gと炭酸カリウム3gをアセトン中(300ml)に加え、それに購入したラウリン酸塩化物3mlを加え、50℃で4時間撹拌した。次いで、反応物をろ過し、アセトンで洗浄し、乾燥させた。次に、反応物をビーカーに移し、IPA(30ml)、水(300ml)を加え、10分間撹拌し、ろ過、水で洗浄することにより無機塩を除去し、乾燥させ、目的物を得た。
(比較例2)
酸塩化物をカプロン酸塩化物に変え、その使用量を2.6mlに変えた以外は、比較例1と同様に行った。
酸塩化物をカプロン酸塩化物に変え、その使用量を2.6mlに変えた以外は、比較例1と同様に行った。
以下、実施例1、比較例1および比較例2については、高分子量化合物固定化粉体の疎水性の評価(粉体を水に浮かべ、水に浮くか否かの観察)を行った。また、実施例2については感温性の評価(室温の水、あるいは40℃のお湯で粉体のゲル化が起こるか否かの観察)を行った。また、実施例3については、水への分散性の評価を行った。なお、評価は5段階評価(5:良い〜1:悪い)で行った。
表1の結果から、実施例1の4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)酸塩化物を球状セルロース粉体に固定化し、メチルメタクリレートを重合したポリメチルメタクリレート(PMMA)固定化球状粉体は、水に浮くが、比較例1のラウリル酸塩化物を使ったアルキル鎖固定化球状セルロース粉体は一部が水に沈む現象が見られた。また、比較例2のカプロン酸塩化物を使ったアルキル鎖固定化球状セルロース粉体もほとんどが水に沈む現象が見られた。これは、実施例1で球状セルロース粉体の水酸基に開始剤が固定化され、表面から重合させているため、高密度に固定化されたPMMAが粉体表面に存在していることによるものと考えられる。一方、比較例1および比較例2では、既に固定化した高分子量化合物鎖が他の高分子量化合物鎖の結合を阻害したために、粉体表面に存在する高分子量化合物の密度が低くなっていることによるものと考えられる。
また、実施例2のポリN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)固定化球状セルロース粉体を室温の水、あるいは40℃の湯中に入れた場合を観察したものについて、ポリN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)は40℃未満では水溶性となり、40℃以上ではゲル化を起こす。室温の水に入れた場合、粉体は水に混ざっていたが、40℃のお湯に入れた場合には1分ほどで粉体が沈殿し、ゲル化が起こっていることがわかった。また、実施例3のカチオン性単量体化合物を使用した、ポリメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル固定化球状セルロース粉体を水に分散させた場合では、その固定化された高分子量化合物の重合度が高いため、粘度が上がることがわかった。
Claims (7)
- 請求項1に記載のラジカル重合開始剤固定化粉体に、ラジカル重合可能な単量体化合物を連鎖重合させてなることを特徴とする高分子量化合物固定化粉体。
- 再生セルロース法による球状セルロース粉体である請求項2に記載の高分子量化合物固定化粉体。
- 請求項2または3に記載の高分子量化合物固定化粉体を配合してなることを特徴とする塗料。
- 請求項2または3に記載の高分子量化合物固定化粉体を配合してなることを特徴とするインキ。
- 請求項2または3に記載の高分子量化合物固定化粉体を配合してなることを特徴とする化粧料。
- 請求項2または3に記載の高分子量化合物固定化粉体を配合してなることを特徴とする充填剤。
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