JP2007323785A - ディスク装置 - Google Patents

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児玉一行
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塩澤明哲
Hisataka Sugiyama
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Abstract

【課題】
光ディスクへの記録再生中にディスク回転軸に対する歳差運動を加えられた際、コリオリ力により光ディスクに発生する円周方向の面振れを抑圧し記録再生品質を安定化させると共に、装置の小型化が可能な光ディスク装置を提供する。
【解決手段】
光ディスクを押圧する圧着爪24の間隔を従来よりも狭め、且つ、圧着爪当たりに複数の押圧ポイント23を設けてその間隔を従来より広げたディスク装置を提供する。特に例えば、圧着爪24の間隔がディスクの中心角(θ3)において鋭角であり、押圧ポイント23の間隔(θ2)が35°以上であるディスク装置。
【選択図】 図7

Description

技術分野は、ディスク媒体を使用したディスク装置に係る。特にビデオカメラ等の携帯型の光ディスク装置における歳差運動によるディスクのチルト発生低減に好適なディスク装置に関する。
ディスク装置において着脱自在のディスクを装着固定する技術として、特許文献1から5がある。
特開平8−335351号公報 特開平8−190754号公報 特開平10−21615号公報 特開平11−213498号公報 特開平7−272370号公報
ここで、ビデオカメラ等の携帯型の光ディスク装置の場合、光ディスクが回転している最中に装置を利用者がローリングさせてしまうことがある。例えば、走り回る子供を追い駆けているときにはビデオカメラは種々の方向に動かされ、特にビデオカメラを前後左右上下に傾ける動きがローリング運動となってしまう。ローリングされると歳差運動となって光ディスクにコリオリ力(Force de Coriolis)が発生する。コリオリ力が発生するとチルトの原因となり、チルトが大きくなると記録再生の品質が劣化するという問題が起る。
ここで、光ディスクドライブを搭載した光ディスクカメラ1を例にして、歳差運動及びコリオリ力、それらによるチルトの発生を説明する。
図2は、光ディスクカメラ1における歳差運動の例を示す。なお歳差運動とは、物体の回転軸が円を描くように振れることをいう。図中のx、y、z軸はそれぞれ、x軸が光ディスク2の回転軸、y軸が本カメラを横倒しに回転動作した際の回転軸、z軸が本カメラのパン動作をおこなう際の回転軸を表す。
光ディスクカメラ1で撮影する際、光ディスクカメラには各種のローリング運動が加えられる。ローリング運動を分類すると、上下の首振り動作(x軸回転方向)、横倒し動作(y軸回転方向)、パン動作の横振り(z軸回転方向)などがある。この様々な動作の中で特に、x軸に対して角速度θxで回転する光ディスク2に対し、y軸、z軸に対して角速度θy、θzの回転成分が発生するような運動を行うと光ディスク2に対する歳差運動となり光ディスク2にコリオリ力が働く。コリオリ力とは、回転する座標系の上で物体が移動した場合に、この物体が移動方向と垂直な方向に移動速度に比例した大きさで受ける慣性力の一種である。本例の場合、回転する座標系が光ディスクカメラの回転(特に度θy、θz)に相当し、物体が光ディスク2に相当し、移動方向が光ディスクの円周方向(θx)に相当するとして説明する。
図3は、光ディスクカメラ1を横倒し動作、すなわちy軸方向に角速度θyで動かした場合に、光ディスク2に発生するコリオリ力とその影響でチルトが発生している様子を示す。
回転軸x軸6に対して角速度θxで回転する光ディスク2に対し、y軸7に対し、θyの角速度で運動させると、光ディスク2には図3に示すように光学ヘッド3側では上向、反対側では下向きのコリオリ力4が働く。このコリオリ力4により光ディスク2は光学ヘッド3の光軸上ではラジアル方向(半径方向)に傾く。この様に光ディスク2が傾くと、通常は光ディスク2に対し垂直に照射される光学ヘッド3の光軸が、斜めから照射されるようになるため、入射と出射の光軸に対し角度が発生する。この様な光ディスク2と光学ヘッド3から照射される光軸に傾きを生じさせるようなディスクの傾きをチルト5と呼ぶ。
なお、光ディスクカメラ1をパン動作、すなわちz軸方向にθzの角速度で動かした場合には、コリオリ力4が働く場所が90度ずれるので、光ディスク2は光学ヘッド3の光軸上ではタンジェンシャル方向(接線方向)に傾く。そして、傾きの方向が異なるが同様にチルトが生じる。すなわち、光ディスクのチルトの方向は、光学ヘッド3の光軸に対しラジアル方向(半径方向)とタンジェンシャル方向(接線方向)とがある。
このようなチルトを低減するに当たり、例えば特許文献5のように、光ディスクの光学ヘッド側をターンテーブル上の載置面によって、その反対側をチャッキングプーリーによって、全周をクランプすることも考えられる。しかしながら、特許文献5の技術では、スピンドルモーターとは反対側に別体のチャッキングプーリーを要する。そして、このチャッキングプーリーは、ユーザーが光ディスクを装着する際には、妨げにならない位置にあり、且つ、記録再生時はスピンドルモーターと一体で回転しなければならないので、2つの位置を自在に移動可能な機構が必要であり、装置が複雑化、大型化、コストアップしてしまう。
特に近年は、携帯型の光ディスク再生表示装置やノート型PC(Personal Computer)やビデオカメラにもDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクドライブが用いられており、小型化に対する要求は高い。
一方、小型化に適しているセルフチャッキング方式ではチルトが生じてしまう。セルフチャッキング方式とは、ユーザーが直接ターンテーブルにディスクを装着する方式のことである。その構成は、例えば特許文献1から4などに記載されているが、このような構成ではチルト発生に伴う上述の問題を生じる。
この問題を図1によって説明する。図1は、セルフチャッキング方式の光ディスク装置の断面図を示す。図1においても図3のように光ディスク2に対してコリオリ力4が働いている。光ディスク2の中心穴を通る円筒状のボス13の側面には開口窓12を有し、この開口窓12にラジアル(半径)方向14に突没可能に圧着爪11を格納している。ただしボスは円筒状に限らず例えば多角形であってもよい。圧着爪11は円筒状のボス13に内蔵された緩衝部材(例えばコイルスプリングや板バネ等)により外周方向へ付勢されている。圧着爪11と光ディスクとの接触部(押圧ポイント)から前記緩衝部材の付勢力により発生する押圧力8にて光ディスク2の中心穴付近をターンテーブル9側に押圧する。なお圧着爪11は爪型に限定されず単に凸部であってもよく圧着部ともいう。
ここで、光ディスク2にコリオリ力4aが働き、光学ヘッド3から離れる方向のチルト5aが光ディスク2に発生した場合、圧着爪11がある箇所については、ボス13に内蔵された緩衝部材によって圧着部11から発生する押圧力8がコリオリ力4aに抗するため、チルトの量は比較的小さい。しかし、特許文献1にも示されているように、セルフチャッキング方式では全周に圧着爪11を設けておらず、例えば3箇所程度であるため圧着爪11がない箇所がある。圧着爪11がない箇所では、コリオリ力4aに抗する押圧力8が働かないため、例えば点線で示すようにチルトの量が比較的大きい。この様に圧着爪11がある箇所とない箇所との間でチルト量に差が生じることにより円周方向の面振れ16となる。
なお、光ディスク2にコリオリ力4bが働き、光学ヘッド3に近づく方向のチルト5bが発生した場合については、ターンテーブル9上の載置面10が光ディスク2の全周に存在するため、圧着爪11の有無によるチルト量の差と面触れは発生しない。
圧着爪11による押圧ポイントが計3点である場合、面振れ16は、光ディスクの回転周期の3倍周期で発生し、押圧ポイント間の間隔が広いため、コリオリ力による面振れ量も大きくなり、記録再生の品質が劣化するという問題がある。
特に近年、DVDよりも短焦点で情報を読み取る光ディスク(BD等)が着目されており、面振れ量がさらに顕著に影響する懸念がある。
そこで例えば、圧着爪の間隔を従来よりも狭めたディスク装置を提供する。
また例えば、圧着爪の複数の押圧ポイントの間隔を従来より広げたディスク装置を提供する。
上記手段によれば例えば、歳差運動によりディスクの面振れを抑圧するとともに小型化やコストアップ抑制を図ることができる。
上記以外の課題、手段、効果は後述する実施形態によって明らかにされる。
以下、本発明に好適な実施形態の例を説明する。ただし、本発明は本実施形態に限定されない。例えば、着脱式のディスクであれば、光ディスクに限定されない。
図4は、光ディスク装置の一例として光ディスクドライブの構成例を示す。この光ディスクドライブは、たとえば映像を入力する撮像部(CCDやCMOSなど)と音声を入力するマイクとを備えたビデオカメラ、PC、レコーダに搭載されるものでビデオカメラ、PC、レコーダなども総称して光ディスク装置という。
図4(a)は光ディスクドライブの正面図、図4(b)は光ディスクドライブの断面図を示す。
図4(a)に示すように、光ディスクと一体で回転するスピンドルモーター18と、光学ヘッド3とがメカシャーシ19に取り付いた状態である。ここで光学ヘッド3は光ディスクに対しラジアル(半径)方向に移動可能な様に主軸20と副軸21の2本の平行棒を介してメカシャーシ19に取り付いていおり、図示しないステッピングモーターにより、前記ラジアル方向(半径)に駆動される。
図4(b)はスピンドルモーター18のターンテーブル9周辺の構成を示した断面図であり、ターンテーブル9上の載置面10にセルフチャッキング方式で光ディスク2が圧着された状態を示す。図4(b)において、図1と同様の符号番号については説明が重複するため省略する。本実施例の圧着爪を図1の圧着爪11と区別するため、圧着爪24と称する。また、圧着爪24の光ディスク2に対する押圧面を24aと称する。ターンテーブルの上方にラジアル方向に突没可能な状態で且つ緩衝材にて外周側に付勢された状態で保持された圧着爪が3ヶ所均等な角度で配されており、ユーザーは光ディスクの中心穴を利用して前記圧着爪を内周側に押しのけながら光ディスクをターンテーブルに装着し、装着完すなわち光ディスクとターンテーブルが密着した状態においては前記圧着爪が前記緩衝材の付勢力により再び外周側に戻ると共に光ディスク中心穴上側エッジを押圧する。圧着爪24の移動方向はラジアル(半径)方向14である為、当然緩衝部材の付勢力もラジアル方向14に働き外周方向に付勢するが、圧着爪24の押圧面24aを斜面とすることにより、付勢力の分力が押圧力8の方向にも変換されて発生し、光ディスクを押圧できる。この押圧力により光ディスクとターンテーブルとの間の摩擦力が生じ、滑ることなく一体に回転駆動する。また、付勢力によりラジアル(半径)方向14の力も発生しているので、光ディスク2に対してもラジアル(半径)方向14の力が発生し、結果として圧着爪24のみで光ディスク2への押圧、及びセンタリングが可能となっている。
次に、圧着爪24の形状を、図5及び図6を用いて詳細に説明する。
図5は圧着爪24の一例を示し、図5(a)は斜視図、図5(b)は図5(a)の上面A方向から見たときの断面図である。
本実施例では、圧着爪24の光ディスク中心穴22への押圧面24a(斜面)を略平面としている。なぜなら、光ディスク中心穴22への押圧ポイントを増やすことであり、押圧ポイントを増やすことにより、光ディスク2にコリオリ力が働いた際に発生する面振れ量を抑圧するためである。押圧面24aを略平面とすることにより、簡単な加工で光ディスク中心穴22への押圧ポイント23を圧着爪24の両端2点とすることができる。
この略平面について、図6を用いて補足説明する。図6は押圧面が円弧形状の圧着爪の断面図を示し、図6(a)は円弧形状の半径が光ディスク中心穴22よりも大きな圧着爪24の断面図、図6(b)は円弧形状の半径が光ディスク中心穴22より小さな圧着爪15の断面図を示す。
押圧面24aを光ディスク中心穴22と同一半径の円弧面とした場合、円弧面全体が光ディスク中心穴22の内径と線接触することが期待できる。しかし、実際には光ディスク中心穴22、及び押圧面15の円弧面の半径の寸法にはばらつきがあり、線接触するとは限らない。
図6(b)に示すようにボールチャッキング方式の場合や光ディスク中心穴22の半径が押圧面15の半径より大きい場合は、押圧ポイント25は圧着爪15の中央付近1点となってしまう。
他方、図6(a)に示すように光ディスク中心穴22の半径が押圧面24aの半径より小さい場合は、押圧ポイント25は圧着爪24の両端2点となる。このように設計しておくことで、光ディスク中心穴22及び押圧面24aの寸法が多少ばらついても、確実に図5(b)や図6(a)に示すように押圧ポイントを2点設けることができる。このように、光ディスク中心穴22の半径が押圧面24aの半径より小さい場合にも略平面に含まれるものとする。
これらのように、押圧ポイントを圧着爪1個あたり2箇所とすることで、圧着爪24の数を増やさずとも圧着ポイントの数を増やし押圧ポイント間の間隔を狭くすることができるので、歳差運動による光ディスクの面振れ量を抑圧するとともに小型化及びコストアップ抑制を図ることができる。
尚、本実施例では、押圧面24aを略平面形状としたが、確実に複数点の押圧ポイントができればよく、他の形状にしても構わない。例えば、押圧面24aが図6のように光ディスク2の半径方向に凹面形状に形成されていたり、凸面形状に形成され押圧ポイントが3点あってもよい。
続いて、圧着爪24の押圧ポイントの配置間隔について、図7を用いて説明する。
図7は、光ディスクドライブに光ディスク2を装着した状態の正面図(光ディスクの非データ面から見た図)を示す。
円筒状のボス13に、突没可能に格納された圧着爪24がディスクやターンテーブルの中心角でみて略120°おきに3箇所あり、且つ押圧面(斜面)は略平面であることを前提とした図である。3つある圧着爪24(実線)は幅を広くし、圧着爪24が光ディスク中心穴22を押圧する押圧ポイント23の2点間が所定の角度θ2(例えば60°)である構成とした。
尚、調芯爪26は光ディスク2のセンタリングを行うものである。調芯爪26は各圧着爪24間の略中央に略120°おきに3箇所あり、円筒状のボス13に板バネ状に一体で形成され、光ディスク2装着前は調芯爪26の先端が光ディスク中心穴22より外周側にある。調芯爪26は光ディスク2装着中に光ディスク中心穴22により撓むとともに、各調芯爪26に光ディスク中心穴22を外周方向に付勢する力が発生することにより、光ディスク2をセンタリングする仕組みとなっている。調芯爪26を独立して設ける理由は、CD(Compact Disc)の様に1枚の基板で形成されている光ディスク2については、圧着爪24にて押圧と同時にセンタリングを行うことが可能であるが、DVDの様に2枚の基板の貼り合わせである光ディスク2については、圧着爪24は非データ面側の光ディスク中心穴22を付勢する為、前記2枚の基板に貼りずれが発生した場合、非データ面のセンタリングをしても、肝心なデータ面のセンタリングができないことがあるためである。よって調芯爪26の先端は光ディスク中心穴22のデータ面側と接触する様になっている。本実施例はDVDを記録メディアとする光ディスクカメラである為、調芯爪26を有しているが、他の1枚の基板で形成されている光ディスク2を使用する場合は、調芯爪26を有する必要はない。
ここで、圧着爪の間隔が広い時に光ディスクが撓み易い傾向について、説明する。力学上の両端を支持した梁に1点荷重が加わった力学モデルによれば、梁に加わる荷重、及び梁の弾性係数が一定ならば、支持点の間隔が広くなる程梁の撓みは大きくなる。逆に支持点の間隔が狭くなる程梁の撓みは小さくなる。よって各圧着爪の押圧ポイント間の間隔が広い程、図1で説明した圧着爪11がある箇所と無い箇所とで、コリオリ力により光ディスクに発生するチルト量の差が大きくなる傾向、すなわち円周方向の面振れ量が大きくなる傾向にある。
この傾向を抑圧するには、各圧着爪11の押圧ポイント間の間隔を狭くするとよい。手段として圧着爪11の数を増やすということがあるが、部品点数が増加しコストUPとなる弊害がある。その為、本実施例では圧着爪の数を増やさずとも各圧着爪の押圧ポイントを複数設けた。例えば特に、圧着爪が3個の場合に、θ2を略60°になるようにすると、押圧ポイント間の間隔の角度θ3とθ2とが同じ間隔になり、歳差運動によるコリオリ力が働いた時の光ディスクの撓みによる面振れ量を更に小さくできる。各圧着爪の間隔が鋭角(90°以下)であるとしてもよい。
また、本実施例では爪が3つで、爪当たりの押圧ポイントの数を2つとしたが、押圧ポイントの数が3つ以上であってもよい。この場合、「爪同士が60°間隔で爪当たりの押圧ポイントが2つ」と「爪同士が60度間隔で爪当たりの押圧ポイントが3つ」とを比較すると、面振れについては、爪同士の間では前者と後者は同様となり、爪部では後者の方が少なくなる。ただし、実際にはディスクや爪の形状のばらつきがあり、3つの押圧ポイント全てがディスクに接触せず、例えば中央の一つの押圧ポイントしか当たらない状態、すなわち図6(b)に近い状態になり得るおそれがあるので2つが実用的である。
実施例2では、光ディスク2と光学ヘッド3の焦点のずれ量を調整するサーボの特性を加味して、更に詳細にθ2の条件を説明する。すなわち、面振れ量をサーボで抑圧可能な範囲内に抑圧できるようθ2を設定することで、DVD光ディスクにおける記録再生の品質への影響を低減することが可能になる。
まず、ECMA(European Computer Manufacturers Association)規格上に記載されているDVD−RAM(Random Access Memory)ディスクの規格で要求するサーボゲインについて図8を用いて説明する。なおDVD−RAMを例にして説明するが、本発明はDVD−RAMに限定されない。転送速度が同じであればDVDのなかではDVD−R、−RW、+RWよりもDVD−RAMの回転速度が速く、条件が厳しいためこれを例示する。HD(High-Definition)−DVDもDVDとの互換性を期待されているため本発明が有効と期待される。また例えば、BD(Blu-ray Disk)の場合も、光スポットの面積がDVDに比べて約1/5になってトラックピッチの幅が約半分(0.32μm)であり、焦点距離も短く、後述するフォーカス残留誤差がDVDより小さく、回転速度がより速くなることが予想され、本発明が有効と期待される。
図8は、ディスク評価用の光ディスク装置に要求されるDVD規格上のゲイン線図を示す。本線図は横軸に周波数を対数目盛でとり、縦軸にゲインの対数量をとった線図である。ゲインとはサーボの電圧の調整に関する値であり、ゲインG(dB)=20log(入力電圧(V)/出力電圧(V))と表現される。ただし、入力と出力は用いる場面により入れ替わることがありうる(+−の符号が変わるなど)。
図8でフォーカス残留誤差emax27は0.23μmと規定されている。フォーカス残留誤差とは、サーボで抑圧しきれない光学ヘッド3の光ディスク2に対する焦点距離の誤差である。ゲイン線図28(一点差線)の水平な部分は光ディスクの面振れ量R29を300μm(光ディスク自体の面振れ量+ターンテーブルの振れ量)とした際、フォーカス残留誤差eをemax=0.23μmに抑圧する為の必要開ループゲイン(以下必要ゲイン)を示す。必要ゲインの値は、数式30に数値を代入することで求まり、62.3dBである。なお、開ループとは、閉じたループにおいてある箇所のゲインをみる(例えば測定する)といった場合、その箇所においてはループが途切れる為、開ループという。
G=20log(R/emax)・・・数式30
=20log(300/0.23)=62.3dB
また、傾斜部分は高次の一定の面振れ加速度(高周波の面振れ加速度)amax31を15m/s^2とした場合の必要ゲインを示す。数式32にて各周波数時の必要ゲインが求まる。なおδは面振れ振幅を表し)、ωは角速度を表し、fは面振れ周波数を表す。
G=20log(δ/emax) ・・・数式32
δ=amax/ω^2=amax/(2πf)^2
前記ゲイン線図28、32は、光学ヘッド3が静止している状態で、且つ外乱振動が無い状態における必要ゲイン線図であり、これに対し実際の設計は、光ピックアップがラジアル方向に動作し、且つ外乱振動があることを想定し、例えば略+6dBのマージンを設けている。但し光ディスクにコリオリ力が働いた際に発生する面振れについては考慮されていない。よってゲイン線図28と32を+6dB以下で抑圧できる様に、光ディスクにコリオリ力が働いた際に発生する面振れ量を抑圧する。
歳差運動により光ディスクに発生するコリオリ力は歳差運動の角速度と光ディスクの回転数に比例するという特性がある。そこで、最も高回転となるDVD−RAMでの最悪条件、すなわち最大回転数である最内周のzone0の領域における角速度略340rad/s(54.1Hz)時に発生する面振れ量が抑圧の対象となる。前記角速度略340rad/s(54.1Hz)となる回転数はZCLV(Zone Constant Linear Velocity)で回転制御される2倍速媒体において最も高回転となる条件である。圧着爪3箇所によるセルフチャッキング方式で、各圧着爪の押圧ポイントが1点であったとした場合、光ディスクにコリオリ力が働いた際に発生する面振れの周波数は、光ディスクの回転数の3倍周期、すなわち54.1Hzの3倍となり約160Hzとなる。面振れ周波数が160Hzのときに必要なゲインは、数式32のfに160Hzを代入して求められる。そして、160Hzの面振れ発生時の面振れ量の許容値Rは、数式32で求まったゲインに上述のように6dBを足して、数式30から求められる数式33のGに代入することで求められ、約30μmである。
R=10^(G/20)・emax=約30μm・・・数式33
次に光ディスクに働くコリオリ力を算出について説明する。図9はコリオリ力算出に当たって図2の光ディスクカメラのモデルを簡素化した参照モデル34を示す。x、y、z軸は図2と同一である。参照モデル34及び数式36で用いる記号を列挙する。
S:上述の通り340rad/s(ディスクの回転角速度)
ψ: rad/s(歳差運動の角速度)
θ: 90°(図2の通り光ディスクカメラ1の場合)
M1:7.2g(8cmDVDディスクの質量)
M2:0.25g(ディスク中心穴に相当する部分の質量)
R1:4cm(8cmDVDディスクの半径)
R2:0.75cm(DVDディスク中心穴の半径)
N:歳差運動により光ディスクに生じるモーメント
Iz:慣性モーメント
F:コリオリ力(光学ヘッドのレンズ中心の真上で働くコリオリ力)
R3:2cm(光ディスク回転中心から光学ヘッドのレンズ中心までの距離)
これら条件を数式36に代入することにより、光学ヘッド3のレンズ中心の真上(光軸上)にて、光ディスク2に働くコリオリ力が求まる。
F=N/R3 ・・・数式36
N=Iz・S・ψ・sinθ
Iz=1/2・((M1+M2)・R1^2-M2・R2^2)
次に光ディスクに前記コリオリ力が生じた際の光ディスクの変形量について説明する。
図10は両端が支持された梁に荷重が加わった際の梁の変形を表した力学モデルを示す。光ディスクにコリオリ力が働いた際の光ディスクの変形量を求めるに当たり、前記荷重をコリオリ力とし、前記梁を光ディスクとみなすことにより、前記数式を利用できる。前記力学モデルの数式37に対し、光ディスクにコリオリ力が働いた際の光ディスクの変形量を求める数式は、数式38となる。
<両端支持梁の中央に荷重が加わった際の変形量>
Y=(2・F・L2^2・L3^2)/(E・b・h^3・L1)・・・数式37
L1:支持点間距離
L2:支持点から力点までの距離
L3:支持点から力点までの距離
F:荷重
Y:変形量
E:ヤング率
I:断面2次モーメント
Y=(F・L2^2・L3^2)/(6・E・I・L1)
I=(b・h^3)/12(長方形断面)
b:梁の幅
h:梁の厚み
<コリオリ力による光ディスクの変形量>
Y=(2・K・F・L2^2・L3^2)/(E・b・h^3・L1)・・・数式38
L1:圧着爪の押圧ポイント間距離(光学ヘッドのレンズ中心の真上での円弧長)
L2:0.5L1
L3:0.5L1
F:コリオリ力
Y:光ディスクの変形量
E:光ディスクのヤング率=略2300Mpa
b:光ディスクの幅=32.5mm
h:光ディスクの厚み=1.2mm
K:係数
ここで係数Kは、直線状の梁に対し、光ディスクは円弧であり、数式37をそのまま使用することができない為、数式37を使用する為に与える係数で、実験より求めた値である。また数式37によると、最も変形量が大きいのは、両端の支持点の中間点に荷重が加わった場合である為、数式38では押圧ポイント2点間の中間にコリオリ力が働いたものとし、最大変形量を求める様にしている。数式36と数式38より、圧着爪3箇所によるセルフチャッキング方式で、圧着爪による押圧ポイントを1点とした場合に発生する160 Hzの面振れ量が、数式33で求めた約30μm以内となる場合の歳差運動の最大角速度を逆算すると、約3.4 rad/sとなる。この意味は、圧着爪3箇所によるセルフチャッキング方式で、圧着爪当たりの押圧ポイントを1点とした場合でも、歳差運動の角速度略3.4 rad/sまでは、記録再生品質への影響ないということを示す。
図11は、圧着爪による押圧ポイント間の角度と面振れ量との関係の模式図を示す。前記押圧ポイント2点間角度と面振れ量、面振れ周波数との関係について図11の模式図を用いて説明する。
図11で波形39(実線)は、圧着爪当たりの押圧ポイントが1箇所のときの波形を示し、波形40(点線)は圧着爪による押圧ポイント2点間角度θ2を35°とした場合の波形、波形41(一点鎖線)は圧着爪による押圧ポイント2点間角度θ2を45°とした場合の波形、波形42(二点鎖線)は圧着爪による押圧ポイント2点間角度θを60°とした場合の波形をそれぞれ示す。前記各波形で、面振れ量0の箇所は、圧着爪による押圧ポイントである。波形41、42の大きな波形は160Hzの面振れを示し、小さな波形は320Hzの波形を示す。
この様に押圧ポイント2点間角度が0°から60°にかけて、面振れ量が低減する。面振れ量が低減するとサーボに対するマージンが上がる為、歳差運動に対する耐力が上がる。より詳細に述べると、前記各波形によると、従来の圧着爪11では、3倍周期すなわち160Hzの波形となっており、面振れ量が最大であるのに対し、圧着による押圧ポイント間角度θ2を拡大していくにつれ、160Hzの面振れ量が減少していき、代わって320Hzの面振れ量が増加していき、圧着爪による押圧ポイント間角度θ2が60°(等間隔)では、6倍周期すなわち320Hzとなると共に面振れ量が最小となることが分かる。60°以上とした場合には逆位相となり、各爪同士の間隔は狭くなるが、爪単独の押圧ポイント2点間の角度が広くなるので面振れ量が再び増大する。
ただし、60°で最小となるのは物理的な面振れ量のみで、サーボで抑圧できるかどうかは、この面振れ量に加えて、面振れ周波数にも依存する。たとえ面振れ量が最小となっても、面振れの周波数が高いとサーボで抑圧するのが困難である。数式32及び33によると面振れの周期が高周波になる程、サーボで抑圧可能な面振れ量が減少する(言い換えると低周波の面振れであれば、サーボでの抑圧も比較的容易である)。例えば数式33で求めた160 Hzのときの面振れ量約30μmに対応する値は320Hzでは7.5μmとなる(押圧ポイントの数が等間隔で増えた場合は、より面振れ量を抑圧することが求められる)。
サーボで抑圧できるよう、160Hzと320Hzのそれぞれにおいて数式36と数式38に数値を代入して最大角速度を求め、小さい方の角速度の値をとると、θ2=35°では略9.7 rad/s、θ2=45°では略14 rad/s、θ2=60°では略6.9 rad/sとなる。いずれも上述した圧着爪当たりの押圧ポイントを1点とした場合の最大角速度3.4 rad/sを上回り耐力が高いことを示す。
また、θ2=略45°を最大にして角度が大きくなっても、小さくなっても最大角速度が減っていく、すなわち歳差運動に対する耐力が減っていくことが分かった。具体的に、約45°(上記数式では正確には46.4°)のときに160Hzの最大角速度と320Hzの最大角速度とが略等しくなり、45°以上では320Hzの最大角速度が減少し、45°以下では160Hzの最大角速度が減少する。よって45°付近が各速度の極大となった。以上により、本実施例では実使用上の歳差運動の角速度及び光ディスクの剛性のばらつき等を考慮しつつ、歳差運動に対する耐力を上げる為、θ2が35°以上60°以下を好ましい実施例として採用した。
実施例1及び2にて圧着爪による押圧ポイントを2点とし、更に圧着爪の幅を広げ押圧ポイント2点間の角度を広げることにより、光ディスクにコリオリ力が働いた場合に発生する面振れを抑圧し、歳差運動に対する耐力が上がることを説明したが、ここでは、光ディスク中心穴に圧着爪を線接触させる技術について説明する。
図12(a)と(b)は、それぞれ圧着爪45の斜視図と断面図を示す。圧着爪45は、押圧面46を円周方向43(矢印方向)に円弧形状とし、円弧の半径は光ディスク中心穴22の半径と略同一としている。さらに、圧着爪46を弾性部材とし、押圧部44は光ディスク中心穴22と円周方向43(矢印方向)で線接触するようにした。ここで、弾性を有する部材とは、例えばゴムや軟質のプラスチック等である。
これにより光ディスク中心穴22、及び押圧面46の半径の寸法がばらついても、圧着爪45の押圧部46が弾性変形することにより、光ディスク中心穴22に追従する為、図12(b)の通り確実に光ディスク中心穴22と押圧面15との押圧部44が線接触となる。よって、本実施例では圧着爪45により押圧している箇所(押圧部46)については、コリオリ力が働いた際の面振れがあまり発生しない。又、本実施例では圧着爪45により押圧している箇所が線接触である為、圧着爪45の両端2点間の角度が60°以上でも、更なる面振れ抑圧効果が有る。
以上のように、歳差運動により通常であれば面振れが発生する場合でも、本実施例の形態を用いることで面振れを抑圧し、記録再生品質を安定化させると共に、装置の小型化が可能である。
本実施例1から3は、コリオリ力に対して特に有効である。ただし本実施例の構成によれば、コリオリ力以外の慣性(例えば図3において下方向にカメラを動かしたことによってディスクの左右で同じ4a方向に生じる慣性)によるディスクのチルトに対しても有効である。
光ディスクドライブにおけるコリオリ力とチルトと面振れの発生を示す 光ディスクカメラに対するローリング運動を示す 光ディスクに対するコリオリ力とチルトの発生を示す 光ディスクドライブの構成例を示す 光ディスクドライブの圧着爪の形状例(1)を示す 光ディスクドライブの圧着爪の形状例(2)を示す 光ディスクドライブの光ディスク装着した例を正面から示す DVD−RAM規格上のゲイン線例を示す コリオリ力を算出するモデルを示す 両端が支持された梁に荷重が加わった際の梁の変形を算出するモデルを示す 圧着爪による押圧ポイント間の角度と面振れ量との関係例を示す 光ディスクドライブの圧着爪の形状例(3)を示す
符号の説明
1…光ディスクカメラ、2…光ディスク、3…光学ヘッド、4…コリオリ力、5…チルト、6…x軸、7…y軸、8…押圧力、9…ターンテーブル、10…載置面、11、24、45…圧着爪、15、24a、46…押圧面、23、25…押圧ポイント、12…開口窓、13…円筒状のボス、14…ラジアル方向、16…面振れ、17…チャッキングプーリー、18…スピンドルモーター、19…メカシャーシ、20…主軸、21…副軸、22…光ディスク中心穴、26…調芯爪、27…フォーカス残留誤差、28、34、35…ゲイン線図、29…光ディスクの面振れ量、30、32、33、36、37、38…数式、31…面振れ加速度、34…参照モデル、35…各種条件、39…押圧ポイント2点間角度23°≒0°時の面振れ波形、40…押圧ポイント2点間角度35°時の面振れ波形、41…押圧ポイント2点間角度45°時の面振れ波形、42…押圧ポイント2点間角度60°時の面振れ波形、43…円周方向、44…押圧部、θ1、θ2…押圧ポイント2点間の角度

Claims (12)

  1. ディスクを載置するターンテーブルと、前記ディスク中心穴に挿入されるボスと、前記ボスに配置され前記ディスクを押圧する複数の圧着部とを有するディスク装置であって、
    前記圧着部は、前記ディスクへの押圧ポイントを前記圧着部1個あたり複数箇所有し、
    前記圧着部のうち第1の圧着部の第1の押圧ポイントと当該第1ポイントの隣且つ前記第1の圧着部と異なる第2の圧着部の第2の押圧ポイントとの間隔が、ディスクの中心角において鋭角であるディスク装置。
  2. 請求項1のディスク装置であって、
    前記第1ポイントと前記第2の押圧ポイントとの間隔が、ディスクの中心角において60°以下であるディスク装置。
  3. 請求項1のディスク装置であって、
    前記圧着部1個の複数の押圧ポイントの間隔はディスクの中心角において35°以上であるディスク装置。
  4. 請求項3のディスク装置であって、
    前記圧着部1個の複数の押圧ポイントの間隔はディスクの中心角において35°以上60°以下であるディスク装置。
  5. 請求項1のディスク装置であって、
    前記圧着部を3個有し、且つ、当該各圧着部はディスクの中心角において60°離れているディスク装置。
  6. 請求項5のディスク装置であって、
    前記圧着部の圧着ポイントは、圧着部あたり2個であるディスク装置。
  7. 請求項1のディスク装置であって、
    前記複数の圧着部間の間隔と、前記圧着部1個上の複数の圧着ポイント間の間隔とが、ディスクの中心角において略等角であるディスク装置。
  8. ディスクを押圧する複数の圧着部を有するディスク装置であって、
    圧着部の間隔が、ディスクの中心角において鋭角であるディスク装置。
  9. ディスクを押圧する複数の圧着部を有するディスク装置であって、
    前記圧着部は、前記ディスクへの押圧ポイントを前記圧着部1個あたり複数箇所有し、
    前記圧着部1個の複数の押圧ポイントの間隔はディスクの中心角において35°以上であるディスク装置。
  10. ディスクを押圧する複数の圧着部を有するディスク装置であって、
    前記圧着部のディスク側の形状が円弧状であり且つディスクの円周方向に弾性を有する部材で構成されているディスク装置。
  11. 請求項1から10のディスク装置であって、
    前記ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)−RAM(Random Access Memory)を用いるディスク装置。
  12. 請求項1から11のディスク装置であって
    映像を入力する撮像部と、
    音声を入力するマイクとを有するディスク装置。
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