JP2007322545A - 顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検体の表面状態によらず安定した合焦判定を行える顕微鏡を提供する。
【解決手段】顕微鏡は、対物レンズ11と結像レンズ12と接眼レンズ13からなる観察光学系10と、二つの指標像を投射する指標像投射部30と、指標像投射部30の光路を観察光学系10の光路に結合するハーフミラー26とを有している。指標像投射部30は、光源21と開口部22と指標23とスプリットプリズム24と結像レンズ25と回転機構31を有している。指標23は直線状のパターンを有し、被検体Sと共役な位置に配置されている。回転機構31はスプリットプリズム24と指標23を光軸周りに回転可能に支持している。指標像投射部30はハーフミラー26および対物レンズ11と共に、対物レンズ11を介して被検体Sに二つの指標像を異なる方向から投影する指標投影光学系を構成している。被検体Sに投影された指標像は観察光学系10によって観察される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、目視により被測定物の物体面に焦点を合わせる顕微鏡に関する。
顕微鏡を使用して加工物や電子部品などの試料の高さを測定する手法がある。この高さ測定では、光学顕微鏡観察の下、試料上の複数の個所で焦点合わせを行い、その際の対物レンズの移動量を測定することによって、複数の個所間の相対的な高さが求められる。このような高さの測定においては、なるべく開口数の大きな高倍対物レンズを使用し、焦点深度を浅くして合焦操作が行われる。
焦点合わせに関しては、より簡単にかつ安定した焦点検出が行えるよう焦点検出装置が考案されており、例えばGB076176Bに開示されているような指標投影像を用いた合焦検出装置を用いた方法が知られている。
図7は、この種の焦点検出装置を備えた顕微鏡を示している。顕微鏡は、対物レンズ11を共有する観察光学系10と指標投影光学系とを有している。観察光学系10は、対物レンズ11と結像レンズ12と接眼レンズ13とから構成される。指標投影光学系は、対物レンズ11と指標像投射部20とハーフミラー26とから構成される。指標像投射部20は、光源21と開口部22と指標23とスプリットプリズム24と結像レンズ25とを有している。指標23は直線状のパターンを有し、被検体Sと共役な位置に配置されている。スプリットプリズム24は、図8に示すように、二つの同一の半円形くさび型プリズム24aと24bを有し、それらは反対向きに隣接して配置されている。
光源21からの光ビームは指標23を通過した後、スプリットプリズム24によって二本に分割されるとともに、分割された二本の光ビームは光軸(スプリットプリズム24の中心軸)に対して互いに反対方向に偏向される。分割された二本の光ビームは、結像レンズ25とハーフミラー26と対物レンズ11を経た後、反対方向から斜めに同じ入射角で被検体Sに入射する。その結果、それぞれ指標23の半分に対応する二つの指標像が被検体Sの表面上に形成される。図9に示すように、二つの指標像28aと28bは、非合焦状態では互いにずれて位置し、合焦状態では一直線上に整列する。指標像28aと28bは観察光学系10を介して目視によって観察される。これにより、合焦具合を指標像28aと28bの横ずれとして容易に判定することができる。
また、同種の装置に、二つの指標を用い、それぞれの指標を通過した光ビームを異なる方向から被検体に入射させ、二つの指標の相対的なずれを判別するように構成したものもある(特許第3550580号)。
GB2076176B2 特許第3550580号
しかし、従来の顕微鏡においては、以下に示すような問題がある。
従来の顕微鏡では、被検体に対して投影される指標が横ずれする方向は特定の方向に設定されている。指標は、横ずれを認識しやすいように、横ずれの方向に対して直交する線で構成されている。
この構成は、表面が鏡面状の被検体に対しては非常に有効に作用する。しかし、被検体の表面状態によっては有効に作用しない。例えば、特定方向に特徴を持つパターンが形成されている被検体に対しては、指標すなわち線の像が被検体のパターンによるコントラストのために非常に見えにくくなり、合焦判定が行い難くなることがある。
機械加工された被検体の表面には、切削による直線や同心円の条痕が挽き目として残ることが多い。このような被検体を顕微鏡で観察すると、観察視野内にほぼ一方向に延びる挽き目が観察され、その方向は場所によって全方位を向く。したがって、場所によっては、図10に示すように、被検体に重ねられた指標像28aと28bは良好に観察される。しかし、同じ被検体面内でも場所が変わり、図11に示すように、挽き目方向が指標像28aと28bの線方向に近くなると、指標像28aと28bを判別し難くなる。これは合焦再現性の低下にもつながる。
特に高さ測定に使用する場合では、被検体の複数の個所にXYステージで観察位置を移動させながら、各個所で合焦動作を行い、被検体の形状変化を求めることが必要とされる。その際、測定個所によって再現性が変わったり、被検体の向きを変える必要が生じたりすることは不都合が大きい。
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、被検体の表面状態によらず安定した合焦判定を行える顕微鏡を提供することである。
本発明による顕微鏡は、対物レンズを介して被検体に二つの指標像を異なる方向から投影する指標投影光学系と、前記対物レンズを介して前記被検体および前記指標像を観察する観察光学系と、前記被検体に投影される前記指標像を光軸周りに回転させる回転手段とを有している。
本発明によれば、被検体の表面状態によらず安定した合焦判定を行える顕微鏡が提供される。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態による顕微鏡を図1に示す。図1に示すように、本実施形態における顕微鏡は、対物レンズ11と結像レンズ12と接眼レンズ13とを有している。対物レンズ11と結像レンズ12と接眼レンズ13は、被検体Sを光学的に観察する観察光学系10を構成している。顕微鏡はさらに、二つの指標像を投射する指標像投射部30と、指標像投射部30の光路を観察光学系10の光路に結合するハーフミラー26とを有している。ハーフミラー26は対物レンズ11と結像レンズ12の間に配置されている。
指標像投射部30は、光源21と開口部22と指標23とスプリットプリズム24と結像レンズ25に加えて、回転機構31を有している。
開口部22は、対物レンズ11と結像レンズ25を介して対物レンズ11の瞳と共役な位置に配置されている。
指標23は直線状のパターンを有している。直線状のパターンは、遮光性パターンで構成されても、透光性パターンを備えた遮光膜で構成されていてもよい。直線状のパターンは、これに限らないが、例えば一本の直線のパターンである。直線状のパターンは、互いに平行な複数本の直線のパターンであってもよい。指標23は、対物レンズ11と結像レンズ25を介して被検体Sと共役な位置に配置されている。
スプリットプリズム24は、図8に示すように、二つの同一の半円形くさび型プリズム24aと24bを有し、それらは反対向きに隣接して配置されている。スプリットプリズム24は、指標23を通過した光ビームを二つに分割し、分割した二つの光ビームを互いに反対側にすなわち光軸(スプリットプリズム24の中心軸)に対して対称的に偏向する。
スプリットプリズム24と指標23は一体化されており、回転機構31はスプリットプリズム24と指標23を光軸(スプリットプリズム24の中心軸)周りに回転可能に支持している。回転機構31は、円筒状の回転部材31aと、回転部材31aを回転可能に支持している固定部材31bと有している。好ましくは、回転部材31aと固定部材31bの間にベアリングなどの摩擦低減手段が設けられるとよい。スプリットプリズム24と指標23は回転部材31aに固定されている。
指標像投射部30はハーフミラー26および対物レンズ11と共働して指標投影光学系を構成している。指標投影光学系は、対物レンズ11を介して被検体Sに二つの指標像を異なる方向から投影する。より詳しくは、指標投影光学系は二つの指標像を被検体Sに、観察光学系10の光軸に対して反対方向から斜めに同じ入射角で投影する。被検体Sに投影された指標像は観察光学系10によって観察可能である。
回転機構31は、例えば、手動により調整可能となっている。図3と図4に示すように、回転機構31の回転部材31aにローレット33が設けられている。ローレット33は部分的に、指標像投射部30の筐体30aから露出している。観察者は、ローレット33の露出している部分に手を触れて移動させることにより、スプリットプリズム24と指標23を回転させることができる。
あるいは、回転機構31は、電動により調整可能となっていてもよい。図5に示すように、回転機構31の回転部材31aに歯車34が設けられている。歯車34は、電動モーター35の軸35aに取り付けられた歯車36と噛み合っている。電動モーター35は駆動部37と接続されており、駆動部37は回転ダイヤルなどの操作部38と接続されている。観察者は、操作部38を操作することにより、スプリットプリズム24と指標23を回転させることができる。
このように構成された顕微鏡において、光源21から発した光の一部は開口部22を通過して方向性を持った光ビームとなる。開口部22を通過した光ビームは指標23を通過してスプリットプリズム24に入射する。スプリットプリズム24に入射した光ビームは二つのくさび型プリズム24aと24bによって二本に分割されるとともに、分割された二本の光ビームは光軸(スプリットプリズム24の中心軸)に対して互いに反対方向に偏向される。分割された二本の光ビームは、結像レンズ25とハーフミラー26と対物レンズ11を経た後、反対方向から斜めに同じ入射角で被検体Sに入射する。
その結果、それぞれ指標23の半分に対応する二つの指標像が被検体Sの表面上に形成される。別の言い方をすれば、二つの指標像が被検体Sに、観察光学系10の光軸(対物レンズ11の中心軸)に対して反対方向から斜めに同じ入射角で投影される。
被検体Sに投影された二つの指標像は、観察光学系10の光軸に沿った被検体Sの位置に応じて移動する。詳しくは、図9に示されるように、被検体Sに投影される二つの指標像28aと28bは、非合焦状態では互いにずれて位置し、合焦状態では一直線上に整列する。指標像28aと28bは観察光学系10を介して目視によって観察される。
本実施形態では、回転機構31を操作することにより、被検体Sに投影される指標像28aと28bを回転させることができる。例えば、加工面のように一方向に特徴的なパターンを持つ被検体Sにおいて、図2に示すように、指標像28aと28bが被検体Sの挽き目方向とほぼ平行である場合には、回転機構31を操作して指標23とスプリットプリズム24の角度を変更し、指標像28aと28bが被検体Sの挽き目方向にほぼ垂直となるように調整するとよい。これにより、指標像28aと28bをクリアに観察できるようになる。
なお、観察光学系10の光軸に沿って、観察光学系10と被検体Sの相対位置を変化させる方法としては、被検体Sを載置し、Z方向に移動させるZステージを配置してもよいし、観察光学系10全体、または、対物レンズ10をZ方向に移動させる移動手段を設け、移動させるようにしてもよい。また、これら移動手段に、移動量を測定する手段(例えば、ガラススケールを用いた測長器など)を設置すれば、被検体の高さ測定を行なうことができる。
本実施形態によれば、現存の顕微鏡に非常に簡単な構成を付加するだけで、安定した合焦判定を行えるようにすることができる。
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態による顕微鏡を図6に示す。図6において、図1中の部材と同一の参照符号で示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。本実施形態における顕微鏡は、指標像投射部の一部分だけが第一実施形態と相違している。
図6に示すように、本実施形態における指標像投射部40は、光源21と開口部22と指標23とスプリットプリズム24と結像レンズ25に加えて、指標23とスプリットプリズム24を通過した光が通過するイメージローテータプリズム41と、イメージローテータプリズム41を光軸(スプリットプリズム24の中心軸)周りに回転可能に支持している回転機構42とを有している。
イメージローテータプリズム41は、スプリットプリズム24と結像レンズ25の間に配置されている。イメージローテータプリズム41の配置位置はこれに限定されない。イメージローテータプリズム41は、結像レンズ25とハーフミラー26の間に配置されてもよい。イメージローテータプリズム41は、これを通過した光を結像して形成される光学像をその光軸周りの角度に応じて回転させる。
回転機構42は、円筒状の回転部材42aと、回転部材42aを回転可能に支持している固定部材42bと有している。好ましくは、回転部材42aと固定部材42bの間にベアリングなどの摩擦低減手段が設けられるとよい。イメージローテータプリズム41は回転部材42aの内部に収容され固定されている。
回転機構42は、第一実施形態の回転機構31と同様の手法により、手動または電動により調整可能となっている。
このように構成された顕微鏡において、光源21から発した光の一部は開口部22を通過して方向性を持った光ビームとなる。開口部22を通過した光ビームは指標23を通過してスプリットプリズム24に入射する。スプリットプリズム24に入射した光ビームは二つのくさび型プリズム24aと24bによって二本に分割されるとともに、分割された二本の光ビームは光軸(スプリットプリズム24の中心軸)に対して互いに反対方向に偏向される。分割された二本の光ビームは、イメージローテータプリズム41を通過し、結像レンズ25とハーフミラー26と対物レンズ11を経た後、反対方向から斜めに同じ入射角で被検体Sに入射する。
その結果、それぞれ指標23の半分に対応する二つの指標像が被検体Sの表面上に形成される。別の言い方をすれば、二つの指標像が被検体Sに、観察光学系10の光軸(対物レンズ11の中心軸)に対して反対方向から斜めに同じ入射角で投影される。
被検体Sに投影された二つの指標像は、観察光学系10の光軸に沿った被検体Sの位置に応じて移動する。詳しくは、図9に示されるように、被検体Sに投影される二つの指標像28aと28bは、非合焦状態では互いにずれて位置し、合焦状態では一直線上に整列する。指標像28aと28bは観察光学系10を介して目視によって観察される。
本実施形態では、回転機構42を操作してイメージローテータプリズム41を光軸周りに回転させることにより、被検体Sに投影される指標像28aと28bを回転させることができる。例えば、加工面のように一方向に特徴的なパターンを持つ被検体Sにおいて、図2に示すように、指標像28aと28bが被検体Sの挽き目方向とほぼ平行である場合には、回転機構42を操作してイメージローテータプリズム41の角度を変更し、指標像28aと28bが被検体Sの挽き目方向にほぼ垂直となるように調整するとよい。これにより、指標像28aと28bをクリアに観察できるようになる。
指標像の方向を調整する際、指標23とスプリットプリズム24は移動しないので、これらの光学素子の位置変化、特に微小な光軸に沿った移動を伴うことが一切ない。また、指標の投影に必要な光学部品が比較的大きな規模である場合でも、大規模な光学部品を回転させることなく、指標像を回転させることができる。
本実施形態によれば、現存の顕微鏡に非常に簡単な構成を付加するだけで、安定した合焦判定を行えるようにすることができる。
本実施形態は、一つの指標を用いた装置構成であるが、二つまたはそれ以上の指標を用いた装置構成に対しても適用できる。その場合、複数の指標を通過した光ビームが共にイメージローテータプリズム41を通過するように、イメージローテータプリズム41と回転機構42を配置すればよい。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
本発明の第一実施形態による顕微鏡を示している。 一方向に特徴的なパターンを持つ被検体に投影された角度調整前後の指標像を示している。 図1の回転機構を手動により調整する一構成例を示している。 図3に示されたローレットおよび指標像投射部の筐体の斜視図である。 図1の回転機構を電動により調整する一構成例を示している。 本発明の第二実施形態による顕微鏡を示している。 焦点検出装置を備えた顕微鏡の従来例を示している。 スプリットプリズムの斜視図である。 合焦状態と非合焦状態における指標像を示している。 被検体の挽き目にほぼ垂直に重ねられた指標像を示している。 被検体の挽き目にほぼ平行に重ねられた指標像を示している。
符号の説明
10…観察光学系、11…対物レンズ、12…結像レンズ、13…接眼レンズ、20…指標像投射部、21…光源、22…開口部、23…指標、24…スプリットプリズム、24a,24b…くさび型プリズム、25…結像レンズ、26…ハーフミラー、28a,28b…指標像、30…指標像投射部、30a…筐体、31…回転機構、31a…回転部材、31b…固定部材、33…ローレット、34…歯車、35…電動モーター、35a…軸、36…歯車、37…駆動部、38…操作部、40…指標像投射部、41…イメージローテータプリズム、42…回転機構、42a…回転部材、42b…固定部材。

Claims (4)

  1. 対物レンズを介して被検体に二つの指標像を異なる方向から投影する指標投影光学系と、
    前記対物レンズを介して前記被検体および前記指標像を観察する観察光学系と、
    前記被検体に投影される前記指標像を光軸周りに回転させる回転手段とを有することを特徴とする顕微鏡。
  2. 前記指標投影光学系は、前記被検体と共役な位置に配置された指標と、前記指標を通過した光ビームを二つに分割し、分割した二つの光ビームを光軸に対して対称的に偏向するスプリットプリズムとを有していることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
  3. 前記回転手段は、前記指標と前記スプリットプリズムを回転可能に保持している回転機構であることを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡。
  4. 前記回転手段は、前記指標と前記スプリットプリズムを通過した光が通過するイメージローテータプリズムと、前記イメージローテータプリズムを光軸周りに回転可能に支持している回転機構とを有していることを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡。
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