JP2007321657A - 内燃機関の排気還流装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の排気浄化装置において、高圧EGR通路からのEGRガスと低圧EGR通路からのEGRガスとを適正な比で供給することができる技術を提供する。
【解決手段】ターボチャージャのタービンよりも下流の排気通路からターボチャージャのコンプレッサよりも上流の吸気通路へ排気の一部を還流させる低圧EGR通路と、タービンよりも上流の排気通路からコンプレッサよりも下流の吸気通路へ排気の一部を還流させる高圧EGR通路と、気筒内のガス中におけるEGRガスの比率の目標値を決定する目標EGR率決定手段(S101)と、気筒内のガス中におけるEGRガスの比率の実際の値を推定する実EGR率推定手段(S104)と、を備え、EGRガスの比率の目標値と実際の値との差に基づいてEGRガス量を変更するときに、EGRガス量の変更量中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が所定値となるように変更する(S112,S113)。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の排気還流装置に関する。
排気通路にタービンを有し且つ吸気通路にコンプレッサを有するターボチャージャを備え、タービンよりも下流の排気通路とコンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる低圧EGR通路を備える内燃機関の排気還流装置が知られている。また、タービンよりも上流の排気通路とコンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる高圧EGR通路を備える内燃機関の排気還流装置が知られている。
そして、低圧EGR通路と高圧EGR通路とを備え、低温燃焼を行なうときであって、内燃機関の高負荷運転時には低圧EGR通路を流れるEGRガス(以下、低圧EGRガスという。)を供給し、低負荷運転時には高圧EGR通路を流れるEGRガス(以下、高圧EGRガスという。)を供給する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−76456号公報 特開平9−228899号公報
ここで、低圧EGRガスの量および高圧EGRガスの量を適正な値とするためにこれらをフィードバック制御することが考えられる。しかし、低圧EGR通路と高圧EGR通路とでは、フィードバック制御時の応答性が異なるため、同時に目標流量を確保することが困難である。すなわち、低圧EGR通路は、高圧EGR通路よりも排気通路の下流側に接続され、また吸気通路の上流側に接続されるため、EGRガスが流れる距離が長いのでEGRガスの量を変更してもその影響が現れるまでに時間がかかる。
そのため、一方のEGR通路を流れるEGRガスをフィードバック制御し、他方のEGR通路を流れるEGRガスをオープンループ制御することがある。このような場合には、高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が適正な値とならないこともある。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の排気還流装置において、高圧EGR通路からのEGRガスと低圧EGR通路からのEGRガスとを適正な比で供給することができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために本発明による内燃機関の排気還流装置は、以下の手段を採用した。すなわち、本発明による内燃機関の排気還流装置は、
内燃機関の排気通路にタービンを有し且つ吸気通路にコンプレッサを有するターボチャージャと、
前記タービンよりも下流の排気通路と前記コンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる低圧EGR通路と、
前記タービンよりも上流の排気通路と前記コンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる高圧EGR通路と、
内燃機関に吸入されるガス中におけるEGRガスの比率の目標値を決定する目標EGR率決定手段と、
内燃機関に吸入されるガス中におけるEGRガスの比率の実際の値を推定する実EGR
率推定手段と、
を備え、
前記目標EGR率決定手段により決定されるEGRガスの比率と前記実EGR率推定手段により推定されるEGRガスの比率との差に基づいてEGRガス量を変更するときに、EGRガス量の変更量中の前記高圧EGR通路を流通する高圧EGRガスの量と前記低圧EGR通路を流通する低圧EGRガスの量との比が所定値となるように変更することを特徴とする。
目標EGR率決定手段は、内燃機関に吸入される全ガス中におけるEGRガスの比率(以下、EGR率ともいう。)の目標値を決定するが、このときのEGRガスとは、高圧EGRガスと低圧EGRガスとの和である。そして、目標EGR率決定手段は、例えば内燃機関の運転状態、車両の状態、または雰囲気の状態等に基づいてEGR率の目標値を決定する。
実EGR率推定手段は、実際のEGR率を推定するが、これは実際に測定してもよい。
「前記目標EGR率決定手段により決定されるEGRガスの比率と前記実EGR率推定手段により推定されるEGRガスの比率との差に基づいてEGRガス量を変更する」とは、この差がなくなるように例えばEGRガス量のフィードバック制御を行うことを示している。
そして、目標EGR率決定手段により決定されるEGRガスの比率(以下、目標EGR率ともいう。)と実EGR率推定手段により推定されるEGRガスの比率(以下、実EGR率ともいう。)との差を求めると、EGRガスの過不足を知ることができる。すなわち、目標EGRガス率と実EGRガス率との差が正の値である場合には、実EGR率が目標EGR率よりも低いので、EGRガスが不足している。この場合、EGRガス量を増加させる補正が行われる。このときに、高圧EGRガスと低圧EGRガスとをどのように増加させるかにより、気筒内のEGRガスの特性が変わる。そして、EGRガスを増加させる際に、この増加分中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が所定値となるようにすれば、高圧EGRガスと低圧EGRガスとを同時にフィードバック制御することができる。これにより、高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比を適正な値に速やかに収束させることができる。さらに、EGR率も適正値とすることができる。
上記課題を達成するために本発明による内燃機関の排気還流装置は、以下の手段を採用してもよい。すなわち、本発明による内燃機関の排気還流装置は、
内燃機関の排気通路にタービンを有し且つ吸気通路にコンプレッサを有するターボチャージャと、
前記タービンよりも下流の排気通路と前記コンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる低圧EGR通路と、
前記タービンよりも上流の排気通路と前記コンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる高圧EGR通路と、
前記高圧EGR通路を流通する高圧EGRガスの量と前記低圧EGR通路を流通する低圧EGRガスの量との比の目標値を決定する目標EGR比決定手段と、
内燃機関に吸入されるガス中におけるEGRガスの比率の目標値を決定する目標EGR率決定手段と、
内燃機関に吸入されるガス中におけるEGRガスの比率の実際の値を推定する実EGR率推定手段と、
を備え、
前記目標EGR率決定手段により決定されるEGRガスの比率と前記実EGR率推定手段により推定されるEGRガスの比率との差に基づいてEGRガス量を変更するときに、
EGRガス量の変更量中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が前記目標EGR比決定手段により決定される比となるように変更することを特徴としてもよい。
目標EGR比決定手段は、全EGRガス中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比(以下、EGR比ともいう。)を決定する。EGR比は、例えば内燃機関の運転状態、車両の状態、または雰囲気の状態等に基づいて決定する。
そして、目標EGR率と実EGR率との差を求めると、EGRガスの過不足を知ることができる。すなわち、目標EGRガス率と実EGRガス率との差が正の値である場合には、実EGR率が目標EGR率よりも低いので、EGRガスが不足している。この場合、EGRガス量を増加させる補正が行われる。このときに、高圧EGRガスと低圧EGRガスとをどのように増加させるかにより、気筒内のEGRガスの特性が変わる。そして、EGRガスを増加させる際に、この増加分中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が、目標EGR比決定手段により決定される比となるようにすれば、高圧EGRガスと低圧EGRガスとを同時にフィードバック制御することができ、且つ高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比をより適正な値とすることができる。さらに、EGR率も適正値とすることができる。
本発明においては、前記高圧EGR通路を流通する高圧EGRガスの量と前記低圧EGR通路を流通する低圧EGRガスの量との比の目標値を決定する目標EGR比決定手段と、
前記高圧EGR通路を流通する高圧EGRガスの量と前記低圧EGR通路を流通する低圧EGRガスの量との比の実際の値を推定する実EGR比推定手段と、
を備え、
前記目標EGR比決定手段により決定される目標の比と前記実EGR比推定手段により推定される実際の比との差に基づいて高圧EGRガス量と低圧EGRガス量との比を変更するときに、高圧EGRガス量と低圧EGRガス量との和が一定となるように変更することができる。
目標EGR比決定手段は、内燃機関に吸入される全EGRガス中における高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比(以下、EGR比ともいう。)の目標値(以下、目標EGR比ともいう。)を決定する。目標EGR比は、例えば内燃機関の運転状態、車両の状態、または雰囲気の状態等に基づいて決定する。
実EGR比推定手段は、実際のEGR比(以下、実EGR比ともいう。)を推定するが、これは実際に測定してもよい。
「前記目標EGR比決定手段により決定される目標の比と前記実EGR比推定手段により推定される実際の比との差に基づいて高圧EGRガス量と低圧EGRガス量との比を変更する」とは、この差がなくなるように例えばEGRガス量のフィードバック制御を行うことを示している。
ここで、EGR率が目標値となっていても、EGR比が目標値になっていないと、EGRガスの特性が要求されるものとならないおそれがある。これに対し、EGR比を補正すれば、該EGR比を目標値に合わせることができる。
そして、目標EGR比と実EGR比との差を求めると、高圧EGRガス及び低圧EGRガスの過不足を知ることができる。すなわち、目標EGR比と実EGR比との差が正の値である場合には、実EGR比が目標EGR比よりも低いので、高圧EGRガスが不足し、且つ低圧EGRガスが過剰である。この場合、高圧EGRガス量を増加させ、且つ低圧E
GRガス量を低減させる補正が行われる。このときに、高圧EGRガスと低圧EGRガスとをどのように増減させるかにより、気筒内のEGRガス量が変わる。これに対し、高圧EGRガスを増加させ且つ低圧EGRガス量を低減させる際に、高圧EGRガス量と低圧EGRガス量との和が一定となるようにすれば、高圧EGRガスと低圧EGRガスとを同時にフィードバック制御することができ、且つ高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比を適正値とすることができる。さらに、EGR率も適正値とすることができる。
本発明においては、内燃機関が過渡運転状態であることを検出する過渡運転検出手段を備え、該過渡運転検出手段により内燃機関の過渡運転が検出された場合には、低圧EGRガス量と高圧EGRガス量との和を一定に維持しつつ、高圧EGRガスの比率を低下させることができる。
ここで、例えば加速時には、過給圧を高くすることにより速やかな加速が可能となる。しかし、加速時に高圧EGRガスの供給量が多いと、タービンを通過する排気の量が減少するため、過給圧の上昇が緩慢となり、加速も緩慢となる。したがってこの場合には、高圧EGRガス量を低減させることにより、速やかな加速が可能となる。しかし、高圧EGRガス量を単に減少させるだけだと、EGR率が低下する。これに対し、低圧EGRガス量を増加させれば、EGR率を一定に保つことができる。
本発明に係る内燃機関の排気還流装置は、高圧EGR通路からのEGRガスと低圧EGR通路からのEGRガスとを適正な比で供給することができる。
以下、本発明に係る内燃機関の排気還流装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施例に係る内燃機関の排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸・排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2を有する水冷式の4サイクル・ディーゼルエンジンである。
内燃機関1には、吸気管3および排気管4が接続されている。この吸気管3の途中には、排気のエネルギを駆動源として作動するターボチャージャ5のコンプレッサハウジング5aが設けられている。また、コンプレッサハウジング5aよりも上流の吸気管3には、該吸気管3内を流通する吸気の流量を調節する第1スロットル6が設けられている。この第1スロットル6は、電動アクチュエータにより開閉される。第1スロットル6よりも上流の吸気管3には、該吸気管3内を流通する吸気の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ7が設けられている。このエアフローメータ7により、内燃機関1の吸入新気量が測定される。
コンプレッサハウジング5aよりも下流の吸気管3には、吸気と外気とで熱交換を行うインタークーラ8が設けられている。そして、インタークーラ8よりも下流の吸気管3には、該吸気管3内を流通する吸気の流量を調整する第2スロットル9が設けられている。この第2スロットル9は、電動アクチュエータにより開閉される。
一方、排気管4の途中には、前記ターボチャージャ5のタービンハウジング5bが設けられている。また、タービンハウジング5bよりも下流の排気管4には、パティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタという。)10が設けられている。このフィルタ10には、吸蔵還元型NOx触媒(以下、単にNOx触媒という。)が担持されている。このパテ
ィキュレートフィルタは、排気中の粒子状物質を捕集する。また、NOx触媒は、該NOx触媒に流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中の窒素酸化物(NOx)を吸蔵し、一
方、該NOx触媒に流入する排気の酸素濃度が低下したときは吸蔵していたNOxを放出する。その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、該NOx触媒から放出されたNOxが還元される。
また、タービンハウジング5bよりも上流の排気管4には、該排気管4内の圧力を検出する排気圧力センサ11が取り付けられている。
そして、内燃機関1には、排気管4内を流通する排気の一部を低圧で吸気管3へ再循環させる低圧EGR装置30が備えられている。この低圧EGR装置30は、低圧EGR通路31、低圧EGR弁32、およびEGRクーラ33を備えて構成されている。
低圧EGR通路31は、フィルタ10よりも下流側の排気管4と、コンプレッサハウジング5aよりも上流且つ第1スロットル6よりも下流の吸気管3と、を接続している。この低圧EGR通路31を通って、排気が低圧で再循環される。そして、本実施例では、低圧EGR通路31を通って再循環される排気を低圧EGRガスと称している。
また、低圧EGR弁32は、低圧EGR通路31の通路断面積を調整することにより、該低圧EGR通路31を流れる低圧EGRガスの量を調整する。さらに、EGRクーラ33は、該EGRクーラ33を通過する低圧EGRガスと、内燃機関1の冷却水とで熱交換をして、該低圧EGRガスの温度を低下させる。
また、内燃機関1には、排気管4内を流通する排気の一部を高圧で吸気管3へ再循環させる高圧EGR装置40が備えられている。この高圧EGR装置40は、高圧EGR通路41、および高圧EGR弁42を備えて構成されている。
高圧EGR通路41は、タービンハウジング5bよりも上流側の排気管4と、第2スロットル9よりも下流の吸気管3と、を接続している。この高圧EGR通路41を通って、排気が高圧で再循環される。そして、本実施例では、高圧EGR通路41を通って再循環される排気を高圧EGRガスと称している。
また、高圧EGR弁42は、高圧EGR通路41の通路断面積を調整することにより、該高圧EGR通路41を流れる高圧EGRガスの量を調整する。
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU20が併設されている。このECU20は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。また、ECU20には、上記センサの他、運転者がアクセルペダル14を踏み込んだ量に応じた電気信号を出力し機関負荷を検出可能なアクセル開度センサ15、及び機関回転数を検出するクランクポジションセンサ16が電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU20に入力されるようになっている。一方、ECU20には、第1スロットル6、第2スロットル9、低圧EGR弁32、及び高圧EGR弁42が電気配線を介して接続されており、該ECU20によりこれらの機器が制御される。
そして、本実施例においては、低圧EGRガス量および高圧EGRガス量をフィードバック制御するときに、気筒2内に吸入される全ガス中におけるEGRガスの比率(EGR率)を変更する場合には、EGRガスの変更量を低圧EGRガスの変更量と高圧EGRガスの変更量とに予め定められた割合に従って分ける。
例えば、EGRガスを増加させる際に、この増加分中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が所定値となるようにすれば、高圧EGRガスと低圧EGRガスとを同時にフィードバック制御することができる。さらに、EGR率も適正値とすることができる。
一方、全EGRガス中における高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比(EGR比)を変更するときには、低圧EGRガス量と高圧EGRガス量との和が一定となるようにする。
例えば、高圧EGRガスを増加させ且つ低圧EGRガス量を低減させる際に、高圧EGRガス量と低圧EGRガス量との和が変化しないようにすれば、EGR率を適正な値に保ったまま、高圧EGRガスと低圧EGRガスとを同時にフィードバック制御することができ、且つ高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比を適正値とすることができる。
次に、本実施例による低圧EGR弁32および高圧EGR弁42の開度制御のフローについて説明する。図2は、本実施例による低圧EGR弁32および高圧EGR弁42の開度制御のフローを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。
ステップS101では、目標となるEGR率EGRtrg(以下、目標EGR率EGRtrgという)が算出される。EGR率は、気筒2内の全ガス量に対するEGRガス量の割合である。また、このときのEGRガス量は、低圧EGRガスと高圧EGRガスとを合わせた量である。
そして、目標EGR率EGRtrgは、機関回転数及び機関負荷に基づいて決定される。目標EGR率EGRtrgと機関回転数及び機関負荷との関係は予め実験等により求めてマップ化しECU20に記憶させておく。なお、本実施例においてはステップS101の処理を行なうECU20が、本発明における目標EGR率決定手段に相当する。
ステップS102では、高圧EGR弁42の基本開度Lhが算出される。高圧EGR弁42の基本開度Lhは、高圧EGR弁42の基準となる開度であり、機関回転数及び機関負荷に基づいて決定される。高圧EGR弁42の基本開度Lhと機関回転数及び機関負荷との関係は予め実験等により求めてマップ化しECU20に記憶させておく。
ステップS103では、低圧EGR弁32の基本開度Llが算出される。低圧EGR弁32の基本開度Llは、低圧EGR弁32の基準となる開度であり、機関回転数及び機関負荷に基づいて決定される。低圧EGR弁32の基本開度Llと機関回転数及び機関負荷との関係は予め実験等により求めてマップ化しECU20に記憶させておく。
ステップS104では、実際のEGR率EGRact(以下、実EGR率EGRactという)が推定される。例えば、機関回転数と、機関負荷と、吸入新気量と、に基づいて実EGR率EGRactが推定される。すなわち、気筒2内に吸入される全ガス量を機関負荷と機関回転数に基づいて求める。この関係は予め実験等により求めておく。この全ガス量は、吸入新気量と全EGRガス量との和である。この全ガス量から吸入新気量を減じることにより全EGRガス量を求めることができる。そして、全EGRガス量を全ガス量で除することにより、実EGR率EGRactを求めることができる。なお、本実施例においてはステップS104の処理を行なうECU20が、本発明における実EGR率推定手段に相当する。
ステップS105では、目標EGR率EGRtrgと実EGR率EGRactとの差ΔEGR(以下、EGR率差ΔEGRという)が算出される。つまり、実EGR率EGRa
ctが目標EGR率EGRtrgに対してどれだけずれているか算出される。
ステップS106では、排気圧力P4が検出される。排気圧力P4は、排気圧力センサ11により得ることができる。
ステップS107では、高圧EGRガスの流量Vh(以下、高圧EGRガス流量Vhという)が推定される。高圧EGRガス流量Vhは、高圧EGR弁42の開度および排気圧力P4と相関するため、これらとの関係から算出される。
ステップS108では、低圧EGRガスの流量Vl(以下、低圧EGRガス流量Vlという)が推定される。低圧EGRガス流量Vlは、低圧EGR弁32の開度、機関回転数、及び機関負荷と相関するため、これらとの関係から算出される。
ステップS109では、実際のEGR比EGRRact(以下、実EGR比EGRRactという)が推定される。EGR比は、気筒2内に供給される全EGRガス中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比である。そして、実EGR比EGRRactは、ステップS107で算出される高圧EGRガス流量VhをステップS108で算出される低圧EGRガス流量Vlで除することにより求められる。なお、本実施例においてはステップS109の処理を行なうECU20が、本発明における実EGR比推定手段に相当する。
ステップS110では、目標となるEGR比EGRRtrg(以下、目標EGR比EGRRtrgという)が算出される。目標EGR比EGRRtrgは、機関回転数及び機関負荷に基づいて決定される。目標EGR比EGRRtrgと機関回転数及び機関負荷との関係は予め実験等により求めてマップ化しECU20に記憶させておく。なお、本実施例においてはステップS110の処理を行なうECU20が、本発明における目標EGR比決定手段に相当する。
ステップS111では、目標EGR比EGRRtrgと実EGR比EGRRactとの差ΔEGRR(以下、EGR比差ΔEGRRという)が算出される。つまり、実EGR比EGRRactが目標EGR比EGRRtrgに対してどれだけずれているか算出される。
ステップS112では、高圧EGR弁42の開度が補正され、ステップS113では、低圧EGR弁32の開度が補正される。
図3は、EGR率差ΔEGRと、高圧EGR弁開度の補正値A及び低圧EGR弁開度の補正値Bとの関係を示した図である。この関係は予め実験等により求めてマップ化しておく。
ここで、EGR率差ΔEGRが正の値で大きくなるほど、気筒2内に吸入されるガス中のEGRガスの割合が目標よりも低くなる。つまり、高圧EGRガスと低圧EGRガスとの和が目標よりも少なくなっている。このような場合には、高圧EGRガスおよび低圧EGRガスの量を多くするように高圧EGR弁開度の補正値A及び低圧EGR弁開度の補正値Bが決定される。すなわち、EGR率差ΔEGRが正の値で大きくなるほど、高圧EGR弁開度の補正値A及び低圧EGR弁開度の補正値Bは、正の値でより大きくされる。このときに、高圧EGR弁開度の補正値Aを低圧EGR弁開度の補正値Bよりも大きくしている。これにより、補正時に増加されるEGRガス中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が速やかに決定されるので、気筒2内のEGR率を適正な値に速やかに合わせることができる。
一方、EGR率差ΔEGRが負の値で小さくなるほど、気筒2内に吸入されるガス中のEGRガスの割合が目標よりも高くなる。つまり、高圧EGRガスと低圧EGRガスとの和が目標よりも多くなっている。このような場合には、高圧EGRガスおよび低圧EGRガスの量を少なくするように高圧EGR弁開度の補正値A及び低圧EGR弁開度の補正値Bが決定される。すなわち、EGR率差ΔEGRが負の値で小さくなるほど、高圧EGR弁開度の補正値A及び低圧EGR弁開度の補正値Bは、負の値でより小さくされる。このときに、高圧EGR弁開度の補正値Aを低圧EGR弁開度の補正値Bよりも小さくしている。これにより、補正時に増加されるEGRガス中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が速やかに決定されるので、気筒2内のEGR率を適正な値に速やかに合わせることができる。
次に、図4は、EGR比差ΔEGRRと、高圧EGR弁開度の補正値C及び低圧EGR弁開度の補正値Dとの関係を示した図である。この関係は予め実験等により求めてマップ化しておく。
ここで、EGR比差ΔEGRRが正の値で大きくなるほど、高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比がより低くなっている。つまり、高圧EGRガスが低圧EGRガスよりも相対的により少なくなっている。このような場合には、高圧EGRガスの比率を高めるように高圧EGR弁開度の補正値Cが決定される。同時に、低圧EGRガスの比率を低めるように低圧EGR弁開度の補正値Dが決定される。すなわち、EGR比差ΔEGRRが正の値で大きくなるほど、高圧EGR弁開度の補正値Cは、正の値でより大きくされ、低圧EGR弁開度の補正値Dは、負の値でより小さくされる。このときに、高圧EGRガス量と低圧EGRガス量との和が変化しないように、夫々の補正値を決定している。
一方、EGR比差ΔEGRRが負の値で小さくなるほど、高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比がより高くなっている。つまり、高圧EGRガスが低圧EGRガスよりも相対的により多くなっている。このような場合には、高圧EGRガスの比率を低めるように高圧EGR弁開度の補正値Cが決定される。同時に、低圧EGRガスの比率を高めるように低圧EGR弁開度の補正値Dが決定される。すなわち、EGR比差ΔEGRRが負の値で小さくなるほど、高圧EGR弁開度の補正値Cは負の値でより小さくされ、低圧EGR弁開度の補正値Dは正の値でより大きくされる。
そして、高圧EGR弁42の補正後の開度Lhfは、高圧EGR弁42の基本開度Lhに補正値A及び補正値Cを加えることにより得ることができる。同様に、低圧EGR弁32の補正後の開度Llfは、低圧EGR弁32の基本開度Llに補正値B及び補正値Dを加えることにより得ることができる。
このようにして、気筒2内におけるEGR率、およびEGR比をフィードバック制御するときに、高圧EGR弁42及び低圧EGR弁32の開度を速やかに決定し、速やかに所望のEGR率およびEGR比を得ることができる。
なお、本実施例においては、EGR率を変更する場合には、EGRガスの変更量を低圧EGRガスの変更量と高圧EGRガスの変更量とに予め定められた割合に従って分けているが、これに代えて、高圧EGRガスの変更量と低圧EGRガスの変更量との比が、高圧EGR弁42の基本開度Lhと低圧EGR弁32の基本開度Llとの比に等しくなるようにしても良い。これにより、補正後のEGR比をより適正な値とすることができる。
以上説明したように、本実施例によれば、高圧EGRガス量及び低圧EGRガス量を同時にフィードバック制御することができるので、EGR率及びEGR比を速やかに目標値に合わせることができる。
本実施例では、過渡運転時における気筒2内のEGR率の適正化を図る。
例えば加速時には過給圧が高くなるため、高圧EGR通路41の排気管4側よりも吸気管3側の圧力が高くなり得る。このような場合には、高圧EGRガスの比率が低くなるが、これを補正しようとしても高圧EGRガスの比率を高くするのは困難である。そのため、気筒2内のEGR率が低下するおそれがある。
一方、過給圧が高くなっても、低圧EGR通路31の排気管4側と吸気管3側とには適度な差圧が生じるため、低圧EGRガスを供給することはできる。
そこで、本実施例では、加速時においては、全EGRガス中の高圧EGRガスの比率を低くし、その分低圧EGRガスの比率を高くする。このときに、低圧EGRガスと高圧EGRガスとの和が変化しないようにする。これにより、気筒2内のEGR率を適正な値に維持することができるので、NOxやHCの排出を抑制することができる。また、高圧E
GR弁42を閉じ側に動かすことで高圧EGRガス量が減少するので、その分タービンハウジング5bを通過する排気の量が増加して過給圧が速やかに上昇する。これにより、加速性能を向上させることができる。
次に、本実施例による低圧EGR弁32および高圧EGR弁42の開度制御のフローについて説明する。図5は、本実施例による低圧EGR弁32および高圧EGR弁42の開度制御のフローを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。なお、前記フローと同じ処理が行なわれるステップについては、前記フローを同じ符号を付して説明を省略する。
ステップS201では、内燃機関1が過渡運転中であるか否か判定される。例えば、機関回転数及び機関負荷が予め定めておいた範囲以上変化した場合に内燃機関1が過渡運転中であると判定される。
ステップS201で肯定判定がなされた場合にはステップS202へ進み、一方否定判定がなされた場合にはステップS110へ進む。なお、本実施例においてはステップS201の処理を行なうECU20が、本発明における過渡運転検出手段に相当する。
ステップS202では、過渡時において目標となるEGR比EGRRtrgが算出される。このときの目標EGR比EGRRtrgは、過給圧がより速やかに上昇するように、またはNOxの発生量や未燃燃料の排出量を抑制するように予め実験等により求めておく
。例えば、加速時には、機関負荷が高いほど全EGRガス中における高圧EGRガスの比率を低下させる。
このようにして、定常時と過渡時とで目標EGR比EGRRtrgを異ならせることができるので、過渡運転時においても適正なEGR率を確保することができる。これにより、加速時においてNOxやHCの排出を抑制することができる。また、加速時に速やかに
過給圧を上昇させることができるので、加速性能を向上させることができる。
実施例に係る内燃機関の排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸・排気系の概略構成を示す図である。 実施例1による低圧EGR弁および高圧EGR弁の開度制御のフローを示したフローチャートである。 EGR率差ΔEGRと、高圧EGR弁開度の補正値A及び低圧EGR弁開度の補正値Bとの関係を示した図である。 EGR比差ΔEGRRと、高圧EGR弁開度の補正値C及び低圧EGR弁開度の補正値Dとの関係を示した図である。 実施例2による低圧EGR弁および高圧EGR弁の開度制御のフローを示したフローチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
2 気筒
3 吸気管
4 排気管
5 ターボチャージャ
5a コンプレッサハウジング
5b タービンハウジング
6 第1スロットル
7 エアフローメータ
8 インタークーラ
9 第2スロットル
10 パティキュレートフィルタ
11 排気圧力センサ
14 アクセルペダル
15 アクセル開度センサ
16 クランクポジションセンサ
20 ECU
30 低圧EGR装置
31 低圧EGR通路
32 低圧EGR弁
33 EGRクーラ
40 高圧EGR装置
41 高圧EGR通路
42 高圧EGR弁

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気通路にタービンを有し且つ吸気通路にコンプレッサを有するターボチャージャと、
    前記タービンよりも下流の排気通路と前記コンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる低圧EGR通路と、
    前記タービンよりも上流の排気通路と前記コンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる高圧EGR通路と、
    内燃機関に吸入されるガス中におけるEGRガスの比率の目標値を決定する目標EGR率決定手段と、
    内燃機関に吸入されるガス中におけるEGRガスの比率の実際の値を推定する実EGR率推定手段と、
    を備え、
    前記目標EGR率決定手段により決定されるEGRガスの比率と前記実EGR率推定手段により推定されるEGRガスの比率との差に基づいてEGRガス量を変更するときに、EGRガス量の変更量中の前記高圧EGR通路を流通する高圧EGRガスの量と前記低圧EGR通路を流通する低圧EGRガスの量との比が所定値となるように変更することを特徴とする内燃機関の排気還流装置。
  2. 内燃機関の排気通路にタービンを有し且つ吸気通路にコンプレッサを有するターボチャージャと、
    前記タービンよりも下流の排気通路と前記コンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる低圧EGR通路と、
    前記タービンよりも上流の排気通路と前記コンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続し内燃機関からの排気の一部を吸気通路に還流させる高圧EGR通路と、
    前記高圧EGR通路を流通する高圧EGRガスの量と前記低圧EGR通路を流通する低圧EGRガスの量との比の目標値を決定する目標EGR比決定手段と、
    内燃機関に吸入されるガス中におけるEGRガスの比率の目標値を決定する目標EGR率決定手段と、
    内燃機関に吸入されるガス中におけるEGRガスの比率の実際の値を推定する実EGR率推定手段と、
    を備え、
    前記目標EGR率決定手段により決定されるEGRガスの比率と前記実EGR率推定手段により推定されるEGRガスの比率との差に基づいてEGRガス量を変更するときに、EGRガス量の変更量中の高圧EGRガスと低圧EGRガスとの比が前記目標EGR比決定手段により決定される比となるように変更することを特徴とする内燃機関の排気還流装置。
  3. 前記高圧EGR通路を流通する高圧EGRガスの量と前記低圧EGR通路を流通する低圧EGRガスの量との比の目標値を決定する目標EGR比決定手段と、
    前記高圧EGR通路を流通する高圧EGRガスの量と前記低圧EGR通路を流通する低圧EGRガスの量との比の実際の値を推定する実EGR比推定手段と、
    を備え、
    前記目標EGR比決定手段により決定される目標の比と前記実EGR比推定手段により推定される実際の比との差に基づいて高圧EGRガス量と低圧EGRガス量との比を変更するときに、高圧EGRガス量と低圧EGRガス量との和が一定となるように変更することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気還流装置。
  4. 内燃機関が過渡運転状態であることを検出する過渡運転検出手段を備え、該過渡運転検出手段により内燃機関の過渡運転が検出された場合には、低圧EGRガス量と高圧EGR
    ガス量との和を一定に維持しつつ、高圧EGRガスの比率を低下させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の排気還流装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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