JP2007321513A - 空圧式起伏ゲート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】扉体の断面形状を折曲げたり起立角を小さく設定することにより、起立時の扉体頭部の位置を下流側に寄せた上で倒伏時支持台の直下流の河床面に十分な高低差を有し、下流方向に向う急斜面部を設けて、扉体を越流する水流を下流方向に誘導する。
【選択図】 図2
Description
また堰上高の大きいゲートの場合においても、帯状の鋼板を止水板の上流面に直角の姿勢で倒伏時の水流の方向に平行に溶接取付した縦リブによって曲げ剛性を強化した簡単な構造の縦リブ付鋼板によって必要な強度が確保される。すなわち、経済性に優れた起伏ゲートである。
特に、扉体の下流側と空気袋が接触する面の上端付近は、接触面から離れて自由に膨張する空気袋の部分より低く谷状となっているため、入った土砂や礫が自然に排出されることはほとんど不可能である。
ところで平常時には起立した扉体を越流する水が流芥を一緒に越流させることはあっても、比重の重い砂礫を越流させることはないのであるが、増水して越流水深が大きくなると、上流側の水路底から砂礫を巻き上げて、多量の砂礫が水と一緒に扉体を越えて流下するようになる。
しかし、扉体が起立あるいは起立に近い姿勢の場合には、扉体を越える水は、扉体天端を越えた直後から落下を開始するので、水路底に到達する時には鉛直下向きの流れの成分の大きい水流となる。
この時、水路底が緩やかな排水勾配であると、水流は落下点の上流側と下流側に2分されて跳ね上る。すなわち、落下点の下流側では下流方向に分割された水流は下流方向に跳ね上った後に波立ちながら下流方向に流れ去るのであるが、落下点の上流側では上流方向に分割された水流が枕状の空気袋の方向に跳ね上り、一緒に越流してきた砂礫を空気袋の上に堆積させることになるのである。
このようにして扉体の下流側と空気袋の接触面に入り込んだ礫は、扉体の起立、倒伏の運動に伴って空気袋の表面に圧迫痕を生ずることがあり、空気袋の耐久性に悪影響が生ずると考えられて改良が求められていた。
このようにすれば、水流に巻き上げられて扉体頭部を越えた砂礫は水と一緒に下流方向に移動するから、空気袋の上や扉体と空気袋の接触面の上端近くの谷状の部分に堆積することは無い。
また砂礫を巻き上げつつ扉体頭部を越流する水流が倒伏時支持台を越えて下流側の急斜面部に落下するためには、完全起立時の起立角が過大とならぬようにする必要がある。完全起立時の起立角が大きくなると、扉体の頭部が上流側に移動するので扉体頭部を越流する水流が倒伏時支持台を越えて下流側の急斜面部に落下しない場合が発生する。完全起立時の起立角を水平に対して45°〜60°と小さくすると同時に、扉体の断面に水平でかつ堰幅方向の母線による曲げ形状を設けて、扉体の頭部から越流する水流が扉体から離れる位置を下流方向に寄せることにより、深い越流水深の場合には、扉体を越流する水流が倒伏時支持台より下流側の急斜面部に落下するようにするとよい。
図1、図2、図3ならびに図4はこの発明の空圧式起伏ゲートの1実施例を示すものであり、図1は空圧式起伏ゲートの正面図、図2は断面図でともに起立状態を示し、図3は断面図で倒伏状態を示し、図4は側壁面の縦の溝状凹部の断面図である。
同時に空気袋4の開いた辺の上方のゴム引布の縁6の端には、樹脂製のロッド15によって補強繊維の折曲げ半径が過小とならないよう保護した縁端の折返し定着部16があり、繋留板7の上流の縁8の端にある折返し定着部13の上流端17に掛かって、縁6が作用する張力によって所定の位置から引抜かれないようにする。
すなわち、繋留板7の上流の縁8と、空気袋4の上方の縁6は主押え板3とアンカーボルト2によって所定の位置から引抜かれないようになる。
この場合も繋留板7の下流の縁19の縁端には、樹脂製のロッド24によって補強繊維の折曲げ半径が過小にならないよう保護した縁端の折返し定着部25があり、繋留板7が作用する張力によって所定の位置から引抜かれないようにする。
すなわち、空気袋4は鋼製の扉体の下流側の根元部において枕状に設置されているのである。
急斜面部28より下流側の水叩面は従来の起伏ゲートにおける下流水叩と同様、水平あるいは緩やかな排水勾配で洗掘防止のためコンクリート仕上げとする。
この時水圧荷重による扉体の曲げモーメントは扉体の下流面と空気袋4の接触面の上端付近で最大となるから下部の厚鋼板20の厚い板厚が必要であるが、扉体の上方では曲げモーメントが小さくなるので上部の鋼板29は小さい板厚で十分である。上部の鋼板29の上端には上端丸棒鋼30を取り付けて扉体の横方向の剛性を補っている。
板厚の異なる下部の厚鋼板20と、上部の鋼板29を接合するために下部の厚鋼板20の上流面の折曲点31より上方で削加工して板厚を減少させ、下部の厚鋼板20の上端の板厚を上部の鋼板29の板厚と一致した所で削加工した面と上部の鋼板29の上流面が一致する状況で両者を接合する。
加えて、下部の厚鋼板20の水平に対する起立角αを45°と小さく設定してあるから上端丸棒鋼30は越流する水流32が倒伏時支持台26の直ぐ下流側の急斜面部28に落下してその一部が上流方向に跳ね上ることなく、下流方向に誘導される。したがって越流水深が深くなって水流が上流の砂礫を巻き上げている状態においても砂礫を空気袋4の上に堆積させることが無い。
さらに、扉体の上端丸棒鋼30には適当な間隔で十分に大きな幅と高さを有するスポイラ33を設けて越流する水流が堰幅方向に連続しないよう分断することに加えて、側壁面の扉体の頭部から越流する水流が通過する部分に給気用の縦の溝状凹部34を設けてあるから、扉体を越流する水流が扉体の背面に負圧を発生させることを防止している。
この引留帯37においても、その端部には樹脂製のロッド40,41によって補強繊維の折曲げ半径が過小とならないよう保護した補強繊維の折返し定着部42,43があって、引留帯37が作用する張力によって所定の位置から引抜かれないようにする。
図3に示すように、扉体が倒伏姿勢となり、上端丸棒鋼30が倒伏時支持台26に支持された時には空気袋4と引留帯37は扉体の下に保護されており、越流する水流は上部の鋼板29と上端丸棒鋼30を過ぎると直ちに急斜面部28に入って下流方向に誘導されるので、砂礫が扉体の付近に滞留することはない。
この状態を上流から見たのが図1であり、空気袋4が扉体の下流側根元部において枕状に位置して、扉体をほぼ全幅において支持しており、扉体の上端丸棒鋼30からは3箇所において十分に大きい幅と高さを有するスポイラ33が立ち上がって越流する水流を分断している。
縦の溝状凹部34は側壁面52の扉体の頭部から越流する水流32が通過する部分に設けた凹部である。
扉体背面が負圧となった時には、この断面を通って空気が外部から供給されるため負圧が進行しないのである。
図5および図6において、コンクリートの上面1、アンカーボルト2、主押え板3、空気袋4、ゴム引布製の繋留板7、下部の厚鋼板20等の構成は前述の第1の実施例と同一である。
図7および図8において、コンクリートの上面1、アンカーボルト2、主押え板3、空気袋4、ゴム引布製の繋留板7、下部の厚鋼板20等の構成は前述の第1の実施例と同一である。
また横桁71の上側のウエブ72にはスポイラ73が設けられ、扉体を越流する水流が、扉体の背面に負圧を発生させないようにしている。
その結果、空圧式起伏ゲートの信頼性が向上して、空圧式起伏ゲートの応用範囲を大きく広げることが可能となる。
2 アンカーボルト
3 主押え板
4 空気袋
5 縁
6 縁
7 繋留板
8 縁
9 ロッド
10 折返し定着部
11 角
12 ロッド
13 折返し定着部
14 角
15 ロッド
16 折返し定着部
17 上流端
18 ナット
19 縁
20 下部の厚鋼板
21 半円形断面部
22 押え板
23 ボルト
24 ロッド
25 折返し定着部
26 倒伏時支持台
27 コンクリートの上面
28 急斜面部
29 上部の鋼板
30 上端丸棒鋼
31 上流面の折曲点
32 水流
33 スポイラ
34 縦の溝状凹部
35 アンカーボルト
36 押え板
37 引留帯
38 ボルト
39 押え板
40 ロッド
41 ロッド
42 折返し定着部
43 折返し定着部
44 口金
45 空気管
46 排気用開閉弁
47 排気用流量調整弁
48 排気放出部
49 給気用開閉弁
50 給気用流量調整弁
51 空気圧縮機
52 側壁面
60 起立高となる点
61 導流板
62 スポイラ
70 起立高となる位置
71 横桁
72 ウエブ
73 スポイラ
Claims (4)
- 断面が長方形の水路の底に起伏自在に設置した鋼製扉体の下流側の根元部に設置した枕状の空気袋に陸上の空気操作装置から空気管を接続して、空気袋に圧縮空気を送入すれば空気袋が膨張して扉体を起立させ、
逆に空気袋から圧力を有する空気を排出すれば空気袋が平らに収縮して扉体が倒伏するようにした空圧式起伏ゲートにおいて、
扉体が起立した時の水平に対する起立角を45°〜60°と小さくすると同時に、扉体の断面に水平でかつ堰幅方向の母線による曲げ形状を設けて、扉体の頭部から越流する水流が扉体から離れる位置を下流方向に寄せることにより、
深い水深で越流する場合の水流が、倒伏した扉体の頭部を支持する倒伏時支持台より下流側に落下するようにすることに加えて、前記倒伏時支持台の直下流の水路の底に十分な高低差を有し下流方向に向かう急斜面部を設けることにより、増水時や倒伏操作時に扉体を越流する水と砂礫が前記の急斜面部によって下流方向に吸引、誘導されるようにしたことを特徴とする空圧式起伏ゲート。 - 請求項1の空圧式起伏ゲートにおいて、扉体頭部に設けた横桁の腹板あるいは、扉体頭部から下流方向に突き出した導流板によって、扉体の頭部から越流する水流が扉体から離れる位置をさらに下流方向に寄せたことを特徴とする空圧式起伏ゲート。
- 請求項1または2の空圧式起伏ゲートにおいて、側壁面の扉体の頭部から越流する水流が通過する部分に給気用の縦の溝状凹部を設け、あるいは扉体の頭部に十分に大きな幅と高さを有するスポイラを設けることにより、扉体を越流する水流が扉体の背面に負圧を発生させることを防止するようにしたことを特徴とする空圧式起伏ゲート。
- 請求項1、2あるいは3の空圧式起伏ゲートにおいて、堰幅の小さい空圧式起伏ゲートを扉体の回転中心の延長方向に並べて設置することにより、幅の大きい水路の起伏ゲートとしたことを特徴とする空圧式起伏ゲート。
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