JP2007321068A - スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境適合性及び断熱性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を得る手段を提供する。
【解決手段】本スチレン系樹脂押出発泡体は、全体の嵩比重が20〜80kg/mであり、表面から厚み方向に2mmまでの表層部における嵩比重が上記全体の嵩比重よりも高くかつ50kg/m超105kg/m以下である。これにより、環境適合性の高いブタンなどの炭化水素を発泡剤として用いて、従来より低い熱伝導率のスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。また、炭化水素の使用量を減じても、従来と同程度の熱伝導率を有するスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、スチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法に関し、特に環境適合性及び断熱性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法関する。
スチレン系樹脂押出発泡体は、良好な施工性や断熱特性から、たとえば構造物の断熱材として用いられている。スチレン系樹脂押出発泡体は、通常、スチレン系樹脂を押出機において加熱溶融してゲル状とし、次いで発泡剤を添加して混練し、ゲル状のスチレン系樹脂を発泡に適した温度に冷却してから、ダイを通じて低圧領域に圧力開放することにより発泡させるとともに、板状に成形することにより得られる。
スチレン系樹脂に添加される発泡剤として、一般に、飽和炭化水素やハロゲン化炭化水素、フロン類などが知られている。特に、塩化メチルや塩化エチルのようなハロゲン化炭化水素は、スチレン系樹脂に対して易透過性であり、その他の発泡剤とともに広く採用されている。
ところで、地球環境において、オゾン層の破壊や化学物質による大気又は水質への影響などが問題視されている。たとえば、フロン類はオゾン層を破壊する原因物質とされている。また、塩化メチルや塩化エチルは、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)における第1種指定物質として使用に際して届出が義務づけられ、排出量が管理されている。したがって、スチレン系樹脂押出発泡体の製造に用いられる発泡剤においても、地球環境に悪影響を与えないものが採用されることが望まれる。このような観点から、発泡剤としてプロパンや、ブタン、ペンタンなどの炭素数3〜5の炭化水素を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
発泡剤として用いられる炭化水素のうち、たとえばブタンの熱伝導率はフロン類と比べて高いので、単に発泡剤をフロン類から炭化水素に転換するのみでは、得られたスチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率が従来より劣るという問題が生じる。これに対し、スチレン系樹脂押出発泡体の気泡構造を調整することにより、スチレン系樹脂押出発泡体の断熱性能を向上させる種々の提案がなされている。たとえば、特許文献1から特許文献3には、気泡の押出方向の径に対する厚み方向の径の比を1以上の所定範囲にすることが提案されている。また、特許文献4から特許文献6には、気泡径の小さな小気泡と、気泡径の大きな大気泡とを海島状に混在させることが提案されている。さらに、特許文献7には、押出発泡体の表層の気泡径に対する中心層の気泡径の比を所定の範囲とすることが提案されている。
国際公開第2002/51918パンフレット 特開2004−59595号公報 特開2005−528494号公報 特開2001−200087号公報 特開2004−175862号公報 特表2005−514506号公報 特開2004−277673号公報
しかし、前述された提案によって、たとえば発泡剤にブタンを用いて得られた押出発泡体を、従来と同程度の熱伝導率とすることができるが、発泡剤として用いられる炭化水素の種類や使用量、気泡構造の制御に依存して押出発泡体の熱伝導率が左右され、所望の熱伝導率のものが得られない場合がある。また、発泡剤としての炭化水素などの可燃性気体の使用量を減じた場合にも、熱伝導率を低くできる技術が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、環境適合性及び断熱性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を得る手段を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、発泡剤としての炭化水素の使用量を減じた場合にも、少なくとも従来と同程度の熱伝導率を有するスチレン系樹脂押出発泡体を得る手段を提供することにある。
本発明者らは、前述された課題を解決するために鋭意研究した結果、スチレン系樹脂押出発泡体の表層の嵩比重を全体の嵩比重に対して所定の範囲とすることにより、スチレン系樹脂押出発泡体の環境適合性及び断熱性が向上されることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1) 本発明は、スチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、全体の嵩比重が20〜80kg/mであり、表面から厚み方向に2mmまでの表層部における嵩比重が上記全体の嵩比重よりも高くかつ50kg/m超105kg/m以下である。
(2) 上記表層部における押出方向の平均気泡径と厚み方向の平均気泡径との比が1.2〜10であることが好適である。
(3) 上記スチレン系樹脂押出発泡体の押出方向に沿った断面及び幅方向に沿った断面における所定範囲をサンプリングし、得られたサンプル断面における各気泡の気泡径及び面積を求め、横軸をゼロから最大気泡径まで0.02mm毎の区間に区分された気泡径とし、縦軸を下記式(1)で求められる区間毎の面積比とした気泡径分布図において、以下の条件(a),条件(b),条件(c)のすべてを満たすものである。
式(1):
区間毎の面積比=区間に属する気泡径を有する気泡の面積の和/全気泡の面積の和
条件(a):面積比を有する気泡径の区間の最大値が0.26mm以上である。
条件(b):気泡径の全区間における面積比が複数のピークをなす。
条件(c):上記複数のピークのうち少なくとも一つのピークが、気泡径が0.26mm未満の区間に存在する。
(4) さらに、以下の条件(d)を満たすものであってもよい。
条件(d):気泡径が0.26mm未満の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が大きい区間に存在する第1ピークと、気泡径が0.26mm以上の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が小さい第2ピークとの間に存在する最も低い面積比を有する第1区間から、又は気泡径が0.26mm以上の区間にピークが存在しない場合には、気泡径が0.26mm以上の区間に存在する面積比がゼロとなる最も気泡径の小さい第2区間から、気泡径がゼロから0.02mmの第3区間までに含まれる面積比の総和が、0.1以上である。
(5) さらに、以下の条件(e)を満たすものであってもよい。
条件(e):気泡径が0.26mm未満の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が小さい区間に存在する第3ピークと、第3ピークより気泡径が大きい区間に存在し、且つ第3ピークと最も近接する第4ピークとの間に存在する最も低い面積比を有する第4区間から、気泡径がゼロから0.02mmの第3区間までに含まれる面積比の総和が、0.1〜0.9である。
(6) 上記スチレン系樹脂組成物は、発泡剤として、(イ)炭素数が3〜5である1種以上の飽和炭化水素と、必要に応じて、(ロ)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化アルキルから選ばれる化合物及び(ハ)その他の非ハロゲン系発泡剤とを含有してなるものであってもよい。
(7) 炭素数が3〜5である1種以上の上記飽和炭化水素として、プロパン、n−ブタン、i−ブタンよりなる群から選ばれるものが考えられる。
(8) 上記その他の非ハロゲン系発泡剤として、水、二酸化炭素、アルコールよりなる群から選ばれるものが考えられる。
(9) 上記発泡剤が、上記その他の非ハロゲン系発泡剤として水を含み、上記スチレン系樹脂組成物が、層状珪酸塩、酸化ケイ素、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ゼオライトから選ばれる1種又は2種以上の吸水性物質を0.01〜10重量%含有するものが考えられる。
(10) 上記スチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率が0.027W/mK以下であることが好適である。
(11) 上記スチレン系樹脂押出発泡体の厚みが20〜150mmであることが好適である。
(12) 上記スチレン系樹脂押出発泡体は、表面にスキン層を有するものであってもよい。
(13) 本発明は、スチレン系樹脂を溶融混練手段に供給するとともに、核剤を含む添加剤及び発泡剤を該溶融混練手段に供給してスチレン系樹脂と混練することによりスチレン系樹脂組成物とし、該スチレン系樹脂組成物を高圧領域からダイリップを通して低圧領域に押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、上記ダイリップの温度を、溶融混練手段から吐出される樹脂温度に対して10〜60℃低い温度とするスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法として捉えることができる。
(14) 本発明は、スチレン系樹脂を溶融混練手段に供給するとともに、核剤を含む添加剤及び発泡剤を該溶融混練手段に供給してスチレン系樹脂と混練することによりスチレン系樹脂組成物とし、該スチレン系樹脂組成物を高圧領域からダイリップを通して低圧領域に押出発泡して略平板形状に成形し、さらに、略平板形状の厚み方向に対して厚みの3〜30%を圧縮成形するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法として捉えることができる。
このように本発明によれば、全体の嵩比重が20〜80kg/mであり、表面から厚み方向に2mmまでの表層部における嵩比重が上記全体の嵩比重よりも高くかつ50kg/m超105kg/m以下とされることにより、環境適合性の高いブタンなどの炭化水素を発泡剤として用いて、従来より低い熱伝導率のスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。また、炭化水素の使用量を減じても、従来と同程度の熱伝導率を有するスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体又はその誘導体から得られるランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体、臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレン、分岐構造を有するスチレン系樹脂などを用いることができる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、たとえばメチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物又はその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物などが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、メルトフローレイト(以下、「MFR」という。)が0.1〜50g/10分の範囲のものを用いることが好ましい。MFRが上記範囲のスチレン系樹脂が用いられることにより、押出発泡体を成形加工する際のスチレン系樹脂組成物の吐出量の調整や、得られたスチレン系樹脂押出発泡体の厚み、幅、密度、独立気泡率、又は表面性の調整がしやすいという利点がある。つまり、押出発泡体の成形性に優れるという利点がある。また、MFRが上記範囲のスチレン系樹脂が用いられることにより、スチレン系樹脂押出発泡体の外観が優れ、圧縮強度、曲げ強度、曲げたわみ量であらわされる機械的強度や靱性などの特性のバランスが良好となる。さらに、スチレン系樹脂のMFRは、成形性、押出発泡体の機械的強度、靱性などのバランスの点から、0.3〜30g/10分がさらに好ましく、0.5〜20g/10分が特に好ましい。なお、MFRは、JIS K7210(1999年)のA法にて測定され、スチレン系樹脂の組成に応じて試験条件が設定される。たとえば、ポリスチレンでは、試験条件Hにより測定される。
前述されたスチレン系樹脂のうち、経済性、成形性の観点からはスチレンホモポリマー(ポリスチレン)を用いることが好ましい。また、押出発泡体により高い耐熱性が要求される場合には、スチレン−アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレンを用いることが好ましい。また、押出発泡体により高い耐衝撃性が求められる場合には、ゴム強化ポリスチレンを用いることが好ましい。これらスチレン系樹脂は単独で使用してもよく、分子量、MFR、組成、分岐度などの異なる2種以上のスチレン系樹脂を混合して使用してもよい。
本発明では発泡剤として、(イ)炭素数が3〜5である1種以上の飽和炭化水素と、必要に応じて、(ロ)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化アルキルから選ばれる化合物及び(ハ)その他の非ハロゲン系発泡剤とを含有してなるものが使用される。
発泡剤として、炭素数3〜5の飽和炭化水素に、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化アルキルから選ばれる化合物が組み合わせて用いられることにおり、得られたスチレン系樹脂押出発泡体の厚み、幅、密度、又は独立気泡率、熱伝導率、気泡径、表面性を所望の値に調整しやすくなる。つまり、押出発泡体の成形性に優れる。また、外観の良好なスチレン系樹脂発泡体が得られる。また、上記エーテルに代えて塩化メチルなどの塩化アルキルを用いても同様の効果が得られるが、環境適合性の観点から上記エーテルを用いることが好ましい。
さらに、これらにその他の非ハロゲン系発泡剤が組み合わされてもよい。これにより、炭素数3〜5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化アルキルから選ばれる化合物などの可燃性の発泡剤の使用量が減じられ、得られたスチレン系樹脂発泡体の燃焼性が向上される。
炭素数が3〜5である1種以上の飽和炭化水素として、プロパン、n(ノルマル)−ブタン、i(イソ)−ブタンよりなる群から選ばれるものが挙げられる。また、その他の非ハロゲン系発泡剤として、水、二酸化炭素、アルコールよりなる群から選ばれるものが挙げられる。
発泡剤の全使用量は、スチレン系樹脂発泡体の発泡倍率の設定値などに応じて適宜調整されるものではあるが、通常、発泡剤の合計量をスチレン系樹脂100重量部に対して1〜20重量部とすることにより、押出発泡体の成形性が優れるので好ましく、さらに好ましくは2〜15重量部であり、特に好ましくは2〜10重量部である。
発泡剤として用いられる炭素数3〜5の飽和炭化水素の使用量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが、押出発泡体の成形性、燃焼性、熱伝導率のバランスの点から好ましく、さらに好ましくは0.5〜8重量部であり、特に好ましくは1〜5重量部である。
発泡剤として用いられるジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルから選ばれる化合物の使用量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが、押出発泡体の成形性の点から好ましく、さらに好ましくは0.2〜7重量部であり、特に好ましくは0.5〜5重量部である。
発泡剤として用いられるその他の非ハロゲン系発泡剤の使用量は、たとえば水であればスチレン系樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部とすることが、押出発泡体の成形性から好ましく、また、押出発泡体に気孔やボイドといった欠陥が生じず、良好な発泡体が得られる点から好ましく、さらに好ましくは0.1〜4重量部であり、特に好ましくは0.15〜3重量部である。発泡剤として水が用いられることにより、発泡剤の種類、組成、使用量、後述される吸水性物質の種類及び添加量、押出発泡成形条件などにより、後述する気泡径分布図において複数のピークをもつ気泡構造が得られる。これにより、単一のピークをもつ気泡構造に比べ、より低い嵩比重で、より低い熱伝導率を有し、断熱性に優れたスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
スチレン系樹脂組成物に添加された発泡剤は、スチレン系樹脂押出発泡体中に残存して熱伝導率の低減などに寄与するが、残存する発泡剤の量は、各発泡剤のスチレン系樹脂に対する透過性によって異なる。スチレン系樹脂に対する透過性が低い発泡剤は、スチレン系樹脂押出発泡体中に比較的長く残存され、熱伝導率の低減及びその維持に寄与する。スチレン系樹脂に対して透過性が高い発泡剤は、押出発泡体の成形性を向上させ、また、その外観が良好となり、さらに、嵩比重の低い発泡体が得られ易くなる。ただし、このような発泡剤は、押出発泡体の製造直後から外部へ放散され、発泡剤の種類によっては、押出発泡体中に殆ど残存しない。このような発泡剤は、スチレン系樹脂との相溶性又はスチレン系樹脂中への溶解性が高い化合物である。
スチレン系樹脂に対する透過性が低い発泡剤は、前述された炭素数3〜5の飽和炭化水素である。これらのうち、押出発泡体の成形性と熱伝導率を低減する効果のバランスから、n−ブタン、i−ブタンを用いることが好ましい。また、熱伝導率を低減する効果と燃焼性の向上とのバランスから、飽和炭化水素の含有量は、スチレン系樹脂押出発泡体100重量%に対して1〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは1.5〜4.5重量%である。スチレン系樹脂に対して透過性が高い発泡剤は、前述されたジメチルエーテルなどの化合物、二酸化炭素などである。
スチレン系樹脂押出発泡体に含まれる発泡剤の含有量は、得られた押出発泡体から、すべての表面を2mm以上切除した試験片を密閉容器中で加熱して抽出される気体、又は、スチレン系樹脂の種類によっては溶剤に溶解して抽出される気体を試料として、ガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
その他の非ハロゲン系発泡剤として水が用いられる場合には、安定して押出発泡成形を行うために、吸水性物質が添加されることが好ましい。吸水性物質とは、それ自体が水を吸水するもの、吸収するもの、吸着するもの、水によって膨潤するもの、又は水と反応して水和物を形成する化合物をいう。吸水性物質は、スチレン系樹脂に対して相溶性の低い水を吸収して、吸着して、又は反応してゲルを形成し、ゲルの状態でスチレン系樹脂中に均一に分散するので、押出発泡体に気孔やボイドが生ずることなく、安定した押出発泡成形が実現されると考えられる。
本発明に用いられる吸水性物質は、酸化ケイ素、層状珪酸塩、多孔性物質、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、その他の金属塩、ホウ素化合物、吸水性高分子から選ばれる1種又は2種以上のものである。具体的には、表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素)などのように、表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末が挙げられる。このような無水シリカは、例えば日本アエロジル株式会社:AEROSIL(商品名)、DSL.ジャパン株式会社:カープレックス(商品名)などが市販されている。層状珪酸塩としては、スメクタイト、膨潤性フッ素雲母など又はこれらの有機化処理品が挙げられる。多孔性物質としては、ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、けい藻土などが挙げられる。硫酸塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。その他の金属塩としては、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、乳酸カルシウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸カリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化バリウムなどが挙げられる。ホウ素化合物としては、酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムなどが挙げられる。吸水性高分子としては、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール−アクリル酸塩系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリアクリロニトリル−メタクリル酸メチル−ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキサイド系共重合体及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらの吸水性物質は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
前述された吸水性物質のうち、無水シリカ、ポリアクリル酸塩系重合体、スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性又は水による膨潤性のある層状珪酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩などの金属塩、ゼオライトなどの多孔性物質が、押出発泡成形が安定され、気孔やボイドなどの発生が抑制され、後述する特徴的な気泡径分布を有する気泡構造が形成されて、所望の断熱性能の押出発泡体が実現されるので好ましい。
本発明で用いられる吸水性物質の量は、発泡剤としての水の添加量に応じて適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜8重量部、特に好ましくは0.2〜7重量部である。水と吸水性物質の混合比率(重量比)は、好ましくは0.02〜20、さらに好ましくは0.1〜10、特に好ましくは0.15〜5である。吸水性物質の量が上記範囲にされることにより、押出発泡成形が安定され、気孔やボイドなどの発生が抑制されるという利点がある。また、後述される特徴的な気泡径分布を有する気泡構造が形成され、所望の断熱性能が発現されるという利点がある。
上記層状珪酸塩とは、主として酸化ケイ素の四面体シート及び主として金属水酸化物の八面体シートからなる。四面体シートと八面体シートとは単位層を形成し、単位層単独、又は単位層間に陽イオンなどを介して複数層に積層されて一次粒子を形成し、又は、一次粒子の凝集体である粒子(二次粒子)を形成して存在するものである。層状珪酸塩の例としては、たとえばスメクタイト族粘土及び膨潤性雲母などが挙げられる。スメクタイト族粘土は、化学式(1):X0.2〜0.62〜3410(OH)2・nH2O(式中、Xは、K、Na、1/2Ca及び1/2Mgよりなる群から選ばれる1種以上であり、Yは、Mg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al及びCrよりなる群から選ばれる1種以上であり、Zは、Si及びAlよりなる群から選ばれる1種以上である。なお、H2Oは層間イオンと結合している水分子を表わし、n=0.5〜10程度であるが、nは層間イオン及び相対湿度に応じて著しく変動するため、この範囲に限定されない。)であらわされる天然又は合成されたものである。スメクタイト族粘土の具体例としては、たとえばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及びベントナイト、及びこれらの置換体、誘導体、又はこれらの混合物が挙げられる。
上記膨潤性雲母は、化学式(2):X0.5〜1.02〜3(Z410)(F、OH)2(式中、Xは、Li、Na、K、Rb、Ca、Ba及びSrよりなる群から選ばれる1種以上であり、Yは、Mg、Fe、Ni、Mn、Al及びLiよりなる群から選ばれる1種以上であり、Zは、Si、Ge、Al、Fe及びBよりなる群から選ばれる1種以上である。)で表わされる天然又は合成されたものである。これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性のある有機化合物、及び水と該極性のある有機化合物の混合溶媒中で膨潤する性質を有する。膨潤性雲母の具体例として、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、ナトリウム型四ケイ素雲母、及びこれらの置換体、誘導体、又はこれらの混合物が挙げられる。
上記膨潤性雲母の中にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、このようなバーミキュライト類相当品なども使用し得る。バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型とがあり、化学式(3):(Mg,Fe,Al)2〜3(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2)x・nH2O(式中、MはNa及びMgなどのアルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である。)であらわされるものが挙げられる。これら層状珪酸塩は単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
層状珪酸塩では、得られる押出発泡体中における分散性、発泡剤として水を用いた場合における押出発泡成形の安定性の点などから、スメクタイト族粘土、膨潤性雲母が好ましく、さらに好ましくは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、合成スメクタイトなどのスメクタイト族粘土、膨潤性フッ素雲母などの層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母である。
ベントナイトの代表例としては、天然ベントナイト、精製ベントナイトなどが挙げられる。また、有機化ベントナイトも使用できる。ヘクトライトの代表例としては、合成ヘクトライトが挙げられる。スメクタイトには、アニオン系ポリマー変性モンモリロナイト、シラン処理モンモリロナイト、高極性有機溶剤複合モンモリロナイトなどのモンモリロナイト変性処理生成物も含まれる。
層状珪酸塩の含有量は、発泡剤としても水の添加量によって適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜7重量部である。水と層状珪酸塩との混合比率(重量比)は、好ましくは0.02〜20、さらに好ましくは0.1〜10、特に好ましくは0.15〜5である。層状珪酸塩の量が上記範囲にされることにより、押出発泡成形が安定され、気孔やボイドなどの発生が抑制されるという利点がある。また、後述される特徴的な気泡径分布を有する気泡構造が形成され、所望の断熱性能が発現されるという利点がある。
また、本発明においては、以下に挙げられる発泡剤がさらに少量使用されてもよい。そのような発泡剤として、たとえば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、窒素などの無機発泡剤、アゾ化合物などの化学発泡剤などが挙げられる。
本発明において、例えば建築用断熱材のようなスチレン系樹脂押出発泡体の用途における要求に応えるために、スチレン系樹脂に難燃剤が添加されていてもよい。難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系化合物、窒素含有化合物などが挙げられる。
ハロゲン系難燃剤としては、具体的には、(a)テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、ジブロモジメチルヘキサン、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1、3−プロパンジオール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコール、ペンタエリスリチルテトラブロミド、モノブロモジペンタエリスリトール、ジブロモジペンタエリスリトール、トリブロモジペンタエリスリトール、テトラブロモジペンタエリスリトール、ペンタブロモジペンタエリスリトール、ヘキサブロモジペンタエリスリトール、ヘキサブロモトリペンタエリスリトール、ポリブロム化ポリペンタエリスリトール、などの臭素化脂肪族化合物又はその誘導体、又は臭素化脂環式化合物又はその誘導体、(b)ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ビス(2、4、6ートリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルアリルエーテル、2、3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの臭素化芳香族化合物又はその誘導体、(c)テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジメタリルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルのトリブロモフェノール付加物、テトラブロモビスフェノールAビス(2、3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2、3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールSビス(2、3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS、などの臭素化ビスフェノール類及びその誘導体、(d)テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、(e)ペンタブロモベンジルアクリレートポリマーなどの臭素化アクリル樹脂、(f)エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2、4、6−トリス(2、4、6−トリブロモフェノキシ)1、3、5−トリアジン、トリス(2、3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素及び窒素原子含有化合物、(g)トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモフェニル)ホスフェートなどの臭素及び燐原子含有化合物、(h)塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化合物、などの塩素含有化合物、(i)臭化アンモニウムなどの臭素化無機化合物、などが挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。更には、本発明におけるスチレン系樹脂の1種である臭素化ポリスチレン樹脂も、難燃剤として用いることができる。
スチレン系樹脂押出発泡体の難燃性を向上させる目的で、上記ハロゲン系難燃剤と相乗効果を示す難燃助剤が添加されてもよい。このような難燃助剤としては、金属化合物、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物などが挙げられる。より具体的には、酸化鉄やその他、特開2002−30174号公報([0069]段落〜[0079]段落)に記載されている金属化合物、含燐化合物、含窒素化合物、含ホウ素化合物、含硫黄化合物などを用いることができる。これらの中でも難燃性の観点から、金属化合物として酸化鉄、含燐化合物としてトリフェニルホスフェートやトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、含窒素化合物としてシアヌル酸やイソシアヌル酸及びこれらの誘導体、含ホウ素化合物として酸化ホウ素、含硫黄化合物としてスルファニル酸及びこの誘導体が最も好ましい。なお、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体としては、例えば特開2005−330304号公報([0050]段落〜[0063]段落)記載のものを用いることができる。
本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲内で、シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラスナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、上記難燃剤以外の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤が含有されてもよい。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体は、全体の嵩比重が20〜80kg/mであり、表面から厚み方向に2mmまでの表層部における嵩比重が上記全体の嵩比重よりも高くかつ50kg/m超105kg/m以下である。スチレン系樹脂押出発泡体の嵩比重を上記範囲とすることにより、熱伝導率の低減が実現され、断熱性に優れたスチレン系樹脂発泡体が実現される。また、スチレン系樹脂発泡体の全体の嵩比重は、熱伝導率、圧縮強度、曲げ強度、軽量性などのバランスの点から25〜60kg/mがさらに好ましく、特に好ましくは30〜50kg/mである。表層部の嵩比重は、熱伝導率、圧縮強度、曲げ強度、軽量性などのバランスの点から、50kg/m超80kg/m以下であることがさらに好ましく、50kg/m超70kg/m以下であることが特に好ましい。
また、表層部の嵩比重は、スチレン系樹脂押出発泡体全体の嵩比重に対し、15kg/m以上高くすることがさらに好ましく、20kg/m以上高くすることが特に好ましい。さらに、表層部の嵩比重を50kg/m超105kg/m以下とすることにより、厚み方向(断熱材として使用した際に熱が流れる方向)における熱伝導が抑制されるとともに、押出発泡体中からブタンなどの発泡剤の放散及び押出発泡体中への空気の進入が抑制されて、熱伝導率が低減され、また、その経時変化が抑制される。表層部の嵩比重を、スチレン系樹脂押出発泡体全体の嵩比重に対して上記範囲とすることにより、押出発泡体の圧縮強度、曲げ強度、軽量性と、断熱性と、発泡剤の放散と空気侵入の抑制とのバランスがよくなるので好ましい。特に、スチレン系樹脂押出発泡体の表面にスキン層を有することにより、これらの効果が顕著に発揮されるのでより好ましい。
押出発泡成形により得られる平板形状のスチレン系樹脂押出発泡体は、通常、概ね平滑な表皮を有する面が、押出方向に対して平行な上面及び下面、押出方向に対して平行な左側面及び右側面に形成される。なお、押出方向に垂直な切断面(前切断面及び後切断面)には、通常、表皮は形成されない。このような表皮を有するスチレン系樹脂押出発泡体から、両側面の表皮のみが切削などにより取り除かれて上下面にのみ表皮を有する押出発泡体、又は上下面及び両側面のすべての表皮が取り除かれた表皮なしの押出発泡体が使用されている。本発明において表面とは、このような上下面に表皮を有する又は表皮なしの押出発泡体において、押出方向に対して平行な上下面をいう。この上下面は、平板形状の押出発泡体の表裏面であり、該押出発泡体が断熱材として使用される際には、熱の流れ方向に対して垂直な面となる。そして、この表面から厚み方向に2mmまでの部分が本発明において表層部と称される。
スチレン系樹脂押出発泡体の全体の嵩比重は、前述された上下面に表皮を有する押出発泡体又は表皮なしの押出発泡体について、JIS K7222−1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法に準拠して測定される。また、試験片として、スチレン系樹脂押出発泡体から、押出方向に直交する方向における全幅でもって、押出方向に試験片の体積が50cm以上となる寸法で、スチレン系樹脂押出発泡体の全厚みで切り出したものを用いる。
スチレン系樹脂押出発泡体の表層部における嵩比重では、スチレン系樹脂発泡体から表層部を切り出し、この表層部から、スチレン系樹脂押出発泡体の押出方向に直交する方向における全幅でもって、押出方向に試験片の体積が50cm 以上となる寸法で、表層部の全厚みで切り出したものを試験片として用いる。なお、嵩比重の測定は、全体の嵩比重の測定と同じである。
スチレン系樹脂押出発泡体の幅方向かつ厚み方向の中心部、押出発泡体の押出方向に直交する断面の中心部における平均気泡径は、0.02〜0.5mmが好ましく、さらに好ましくは0.04〜0.3mmであり、特に好ましくは0.06〜0.2mmである。押出発泡体の中心部の平均気泡径を上記範囲とすることにより、押出発泡体の熱伝導率が一層低減される。
また、スチレン系樹脂押出発泡体の表層部における押出方向の平均気泡径に対する厚み方向の平均気泡径の比(以下、「気泡扁平比」と称される)が1.2〜10であることが好ましい。気泡扁平比が上記範囲とされることにより、押出発泡体の熱伝導率が低減される。なお、上記平均気泡径とは、後述される代表気泡径であり、表層部における押出方向の平均気泡径、厚み方向の平均気泡径は、表層部において後述されxf、zfを求めたものである。
本発明に係るチレン系樹脂押出発泡体は、押出方向に沿った断面及び幅方向に沿った断面における所定範囲をサンプリングし、得られたサンプル断面における各気泡の気泡径及び面積を求め、横軸をゼロから最大気泡径まで0.02mm毎の区間に区分された気泡径とし、縦軸を下記式(1)で求められる区間毎の面積比とした気泡径分布図において、以下の条件(a),条件(b),条件(c)のすべてを満たすものである。
式(1):区間毎の面積比=区間に属する気泡径を有する気泡の面積の和/全気泡の面積の和
条件(a):面積比を有する気泡径の区間の最大値が0.26mm以上である。
条件(b):気泡径の全区間における面積比が複数のピークをなす。
条件(c):上記複数のピークのうち少なくとも一つのピークが、気泡径が0.26mm未満の区間に存在する。
気泡径分布図は次の方法により作成される。スチレン系樹脂押出発泡体の押出方向に沿った断面及び幅方向に沿った断面の所定範囲をサンプリングする。押出方向に沿った断面とは、押出発泡体の押出方向であって厚み方向に拡がる断面である。幅方向に沿った断面とは、押出発泡体の幅方向であって厚み方向に拡がる断面であり、該断面は押出方向と直交する面となる。これら2つの各断面の所定範囲をそれぞれサンプリングする。サンプリングする所定範囲は、押出発泡体の端部の特殊な気泡構造の部分を除けば、押出発泡体の何処でサンプリングしてもよいが、好ましくは、各断面の幅方向中央の位置で、厚さの中心及び上下対称位置の3点程度をサンプリングする。
サンプリングされた各試料を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、SEM画像を得る。SEM画像の撮影倍率は、30〜40倍程度に設定する。撮影範囲は、たとえば縦×横が数mm〜数cm程度である。各SEM画像を、厚み方向を縦方向、押出方向又は幅方向を横方向として、画像処理装置(たとえば、株式会社ピアス製、商品名:PIAS−II)を用いて処理し、SEM画像中の個々の気泡の面積(以下、「気泡面積」と称される。)(a)を求める。また、各気泡の縦方向(厚み方向:zf)及び横方向(押出方向又は幅方向:xf)の最大径(Feret径)を求める。なお、気泡面積及び最大径の測定は、SEM画像中に気泡の全景が映し出された気泡のみを対象とし、SEM画像の端部で気泡の一部が欠落しているものや、SEM画像の端部ではなくとも気泡壁の一部が欠落したり、隣の気泡等と一体化している気泡は除かれる。この除外した気泡は、測定全面積からも除外される。測定対象となる気泡は、少なくとも200個以上であることが好ましい。従って、1つのSEM画像で200個以上の気泡を測定できる場合もあるが、そうでない場合は2つ以上のSEM画像を用いてもよい。
SEM画像中の各気泡を楕円形と仮定し、次の式(2)及び式(3)に従って、各気泡の厚み方向の気泡径Z、押出方向又は幅方向の気泡径Xを求める。
式(2):X=[{(4×a)/(π×xf×zf)}1/2]×xf
式(3):Z=[{(4×a)/(π×xf×zf)}1/2]×zf
求められた各気泡の厚み方向の気泡径Z、押出方向又は幅方向の気泡径Xを式(4)に従って相乗平均することにより、各気泡の代表気泡径Dを求める。
式(4):D=(X×Z)1/2
ゼロから最大気泡径を含む区間までの範囲において、横軸に0.02mm毎に区間分けした代表気泡径D、縦軸に上記式(1)であらわされる区間毎の面積比として作成した図を作成し、本発明における気泡径分布図とする。気泡径分布図における代表気泡径Dの区分けは、たとえば、最も小さい区間は、代表気泡径Dがゼロ以上、0.02mm未満となる。なお、本明細書において、単に「気泡径」と記載している場合は、特に断りがない限り上記代表気泡径Dを示すものとする。また、上記平均気泡径とは、この代表気泡径Dを数平均したものをいう。また、気泡径分布図の横軸、つまり代表気泡径Dの個々の区間の範囲は、その区間の最小の代表気泡径Dを含み、最小の代表気泡径Dから0.02mm大きい気泡径は含まないものとする。すなわち、区間に属する気泡径は、区間の最小気泡径以上、区間の最小気泡径+0.02mm未満である。
上記気泡径分布図において、気泡径がゼロから0.02mm未満の区間から、その区間における面積比を隣接する区間の面積比と比較していき、ある区間における面積比が、前後に隣接する2つの区間(気泡径が0.02mm小さい区間及び0.02mm大きい区間)における面積比より大きい値を持つ場合に本発明においてピークが認定され、その区間の面積比がピーク面積比、その区間がピーク区間と称される。前後に隣接する2つの区間のいずれか一方又は両方における面積比が等しい場合には、等しい側の区間のさらに隣の区間の面積比を比較し、該区間の面積比より大きい場合には、この複数の区間を合わせてピーク区間とされる。隣接するいずれか一方又は両方の区間における面積比の方が大きい場合はピークと判断されない。
スチレン系樹脂押出発泡体が条件(a)を満たすことにより、つまり、気泡径分布図において、最大気泡径が0.26mm以上であることにより、より低い嵩比重で所定の厚みのスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができ、また、スチレン系樹脂押出発泡体の断熱性が優れる。さらに好ましくは、最大気泡径が0.26〜0.60mmであり、特に好ましくは0.28〜0.50mmである。
スチレン系樹脂押出発泡体が条件(b)を満たすことにより、つまり、気泡径の全区間における面積比が複数のピークをなすことによりスチレン系樹脂押出発泡体の断熱性能が向上されるとともに、低い嵩比重で厚みのある押出成形体とすることが可能となり、また、押出発泡の成形性が良好となる。仮に、スチレン系樹脂押出発泡体が上記気泡径分布図において単一のピークをなすものとすれば、断熱性能を向上させるには気泡径を小さくすることになる。気泡径が小さくなることにより、輻射による熱伝導を抑制する気泡の壁が増えるので、熱伝導率が低減される。しかし、気泡径を小さくすると、厚みのある押出発泡体を成形するにはより多くのスチレン系樹脂組成物が必要となる。その結果、押出発泡体の全体の嵩比重が大きくなって、スリットダイから押し出される圧力が高くなって、押出発泡の成形性が低下する。これに対し、条件(b)を満たす気泡構造の押出発泡体では、断熱性能が向上されるとともに、より低い嵩比重で厚みのある押出発泡体を容易に成形することができる。
スチレン系樹脂押出発泡体が条件(c)を満たすことにより、つまり、上記複数のピークのうち少なくとも一つのピークが、気泡径が0.26mm未満の区間に存在することにより、スチレン系樹脂押出発泡体の断熱性能が向上される。気泡径が0.26mm未満の区間にピークが存在することにより、スチレン系樹脂押出発泡体に比較的小さな気泡径の気泡が一群となって存在し、熱伝導を遮断する気泡の壁が増えるので、熱伝導率が低減される。また、0.02〜0.26mmの間の区間に上記ピークが存在することがさらに好ましく、特に好ましくは0.04〜0.20mmの区間に存在することである。
スチレン系樹脂押出発泡体が、さらに、以下の条件(d)を満たすものであってもよい。
条件(d):気泡径が0.26mm未満の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が大きい区間に存在する第1ピークと、気泡径が0.26mm以上の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が小さい第2ピークとの間に存在する最も低い面積比を有する第1区間から、又は気泡径が0.26mm以上の区間にピークが存在しない場合には、気泡径が0.26mm以上の区間に存在する面積比がゼロとなる最も気泡径の小さい第2区間から、気泡径がゼロから0.02mmの第3区間までに含まれる面積比の総和(以下、「小気泡径ピーク面積比総和」と称される。)が、0.1以上である。さらに好ましくは、小気泡径ピーク面積比総和が0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。スチレン系樹脂押出発泡体が条件(d)を満たすことにより、嵩比重と熱伝導率のバランスが良好となる。
スチレン系樹脂押出発泡体が、さらに、以下の条件(e)を満たすものであってもよい。
条件(e):気泡径が0.26mm未満の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が小さい区間に存在する第3ピークと、第3ピークより気泡径が大きい区間に存在し、且つ第3ピークと最も近接する第4ピークとの間に存在する最も低い面積比を有する第4区間から、気泡径がゼロから0.02mmの第3区間までに含まれる面積比の総和(以下、「最小気泡径ピーク面積比総和」と称される。)が、0.1〜0.9である。さらに好ましくは、最小気泡径ピーク面積比総和が0.15〜0.8である。スチレン系樹脂押出発泡体が条件(e)を満たすことにより、嵩比重と熱伝導率のバランスが良好となる。
さらに、スチレン系樹脂押出発泡体が、複数のピークを有し、かつ、0.26mm未満の区間にある他のいずれのピークより気泡径が小さい区間に存在するピーク(最小気泡径ピーク)があり、0.10mm以上の気泡径の区間であって最小気泡径ピークの区間よりも大きい気泡径の区間に最小気泡径ピークとは異なる1つ以上のピークが存在することが、嵩比重と熱伝導率のバランスの点から好ましい。さらに好ましくは、最小気泡径ピークが0.20mm未満の区間に存在し、かつ、0.15mm以上の気泡径の区間であって最小気泡径ピークの区間より大きい気泡径の区間に、最小気泡径ピークとは異なるピークが1つ以上存在することである。
本スチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂を溶融混練手段に供給するとともに、核剤を含む添加剤及び発泡剤を該溶融混練手段に供給してスチレン系樹脂と混練することによりスチレン系樹脂組成物とし、該スチレン系樹脂組成物を高圧領域からダイリップを通して低圧領域に押出発泡することにより得られる。スチレン系樹脂組成物を低圧領域に押出発泡する際に、上記ダイリップの温度を、溶融混練手段から吐出される樹脂温度に対して10〜60℃低い温度とする。樹脂温度に対するダイリップの温度差は、スチレン系樹脂の溶融特性、所望する押出発泡体の厚みなどにより異なるが、スチレン系樹脂としてポリスチレンを使用し、押出発泡体の厚みを約20〜40mmとする場合には、表層部の嵩比重と全体の嵩比重との差を好ましい範囲に調整しやすいなどの理由により、15〜55℃がより好ましく、特に好ましくは25〜50℃である。押出発泡体の厚みを約40mm以上とする場合には、10〜50℃がより好ましく、特に好ましくは10〜40℃である。
溶融混練手段から吐出される樹脂温度は、吐出口付近に温度センサーを取り付けることにより測定することができる。ダイリップの温度の制御方法としては、ダイリップ金型内に、所定の温度に調整された水、蒸気、油などの熱媒体を流入させて温度制御する方法や、ダイリップ金型内に加熱ヒータなどの加熱手段を設けて温度制御する方法が挙げられる。
ダイリップの温度が上記範囲で樹脂温度より低く設定されることにより、ダイリップと接触する押出発泡体の表層部が中心部より速く冷却されるので気泡が成長し難くなり、嵩比重が高くなる。一方、ダイリップから離れている押出発泡体の中心部においては、余熱で気泡の成長が継続する。これにより、押出発泡体の表層部の嵩比重と中心部の嵩比重とに差が生じて、前述された嵩比重を有するスチレン系樹脂発泡体を製造することができる。このような樹脂温度とダイリップの温度との差により気泡成長を制御すること、つまり押出発泡体の嵩比重を制御することは、押出発泡体の厚みが約20〜40mm程度である場合に効果的であるが、厚みがある押出発泡体では、さらに、発泡剤の種類、組成及び使用量、押出吐出量、樹脂温度、ダイリップ幅、引き取り速度などを調整することにより、スチレン系樹脂発泡体の嵩比重及び厚みが制御される。
また、本スチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂組成物を高圧領域からダイリップを通して低圧領域に押出発泡して略平板形状に成形した後、さらに、略平板形状の厚み方向に対して厚みの3〜30%を圧縮成形することにより整合することができる。より好ましくは5〜20%圧縮成形することであり、特に好ましくは7〜15%である。押出発泡体の厚みを上記範囲で圧縮成形することにより、圧縮強度と熱伝導率とのバランスがよい押出発泡体とすることができる。このような圧縮成形は、たとえば、押出方向の上下に一対の成形ロールを押出発泡体の厚みより上記範囲だけ狭いクリアランスで配置し、ダイリップから吐出された押出発泡体を該成形ロール間に通過させることにより実施できる。また、略平板形状に成形された押出発泡体を、上下にプレス板を有するプレス機で所定の厚みにプレスしてもよい。
スチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径及び気泡扁平比を調整する方法としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物などの造核剤、前述された層状珪酸塩を添加し、その添加量を適宜調整することにより行われる。また、押出発泡成形を行う押出機の種類やスクリュー形状、発泡剤の種類、組成及び添加量、押出発泡成形の条件である温度、圧力、吐出量、ダイス形状、樹脂温度などでも平均気泡径を調整できる。
スチレン系樹脂押出発泡体の気泡径分布を調整する方法としては、発泡剤に水を用い、他の発泡剤の種類及び使用量、吸水性物質の種類及び使用量、押出発泡の成形条件などにより調整できる。
スチレン系樹脂に各種添加剤を添加する手順として、たとえば、スチレン系樹脂に対して各種添加剤を添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、さらに発泡剤を添加して混合する手順が挙げられるが、各種添加剤をスチレン系樹脂に添加するタイミングや混練時間は特に限定されない。
スチレン系樹脂の加熱温度は、使用されるスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、添加剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、たとえば150〜250℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間当たりのスチレン系樹脂の押出量や溶融混練手段として用いる押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、スチレン系樹脂と発泡剤や添加剤とが均一に分散混合されるに要する時間として適宜設定される。
溶融混練手段としては、たとえばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられるものであれば特に制限されない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低剪断タイプのものとすることが好ましい。
発泡成形方法は、たとえば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ圧力開放して得られた押出発泡体を、スリットダイと密着又は接して設置された成形金型、及び該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整及び金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体表面性、発泡体品質が得られる。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における熱伝導率は、たとえば建築用断熱材として機能することを考慮すると、0.27W/mK以下であることが好ましい。この熱伝導率は、日本工業規格(JIS A9511)に準じて測定される。
本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡体における厚みは、たとえば建築用断熱材として用いられることを考慮すると、10〜150mmであることが好ましく、より好ましくは15〜120mmであり、特に好ましくは20〜100mmである。
このように本スチレン系樹脂押出発泡体は、全体の嵩比重が20〜80kg/mであり、表面から厚み方向に2mmまでの表層部における嵩比重が上記全体の嵩比重よりも高くかつ50kg/m超105kg/m以下とされることにより、環境適合性の高いブタンなどの炭化水素を発泡剤として用いて、従来より低い熱伝導率のスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。また、飽和炭化水素の使用量を減じても、従来と同程度の熱伝導率を有するスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。また、以下の実施例においては、特に断られない限り、「%」は「重量%」を表すものとする。
実施例1から実施例3、比較例1から比較例3について、以下の手法に従って嵩比重、気泡構造、熱伝導率を評価した。
(1)発泡体嵩比重(単位:kg/m
スチレン系樹脂発泡体全体の嵩比重及び表層部分における嵩比重を、前述された手法に従って測定した。
(2)気泡構造
スチレン系樹脂発泡体について気泡径分布図を前述された手法に従って作成した。また、平均気泡径、表層部の気泡扁平比、小気泡径ピーク面積比総和、最小気泡径ピーク面積比総和を前述された手法に従って求めた。
(3)熱伝導率(単位:W/mK)
試作後30日経過したスチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率をJIS A9511(1995)に準じて測定した。
(4)発泡体中の発泡剤量(単位:重量%)
試作後30日経過したスチレン系樹脂押出発泡体から、すべての表面を2mm以上切除した試験片約1gを精秤し、密閉容器中に入れて、200℃で15分間加熱した。容器中の気体を採取してガスクロマトグラフィーを用いて発泡剤の含有量を測定した。
(実施例1)
ポリスチレン(PSジャパン株式会社、商品名:G9401、MFR=2.5g/10分)100重量部に対して、吸水性物質として酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社、商品名:AEROSIL)0.1重量部及びベントナイト(株式会社ホージュン、商品名:ベンゲルブライト11)1.0重量部、難燃剤としてトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(日本化成株式会社、商品名:TAIC−6B)5重量部、タルク(林化成株式会社、商品名:TALCAN PAWDER PK−Z)0.2重量部、ステアリン酸バリウム(堺化学工業株式会社、商品名:SB)0.2重量部、安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社、商品名:IRGANOX B911(ヒンダードフェノール系抗酸化剤IRGANOX1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとリン系安定剤IRGAFOS168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトの1:1の混合物))0.2重量部、流動パラフィン(和光純薬株式会社)0.2重量部からなる混合物をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とし、該スチレン系樹脂組成物を口径65mmの第1押出機と口径90mmの第2押出機とを直列に連結した二段式押出機へ40kg/時間で供給した。第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、第1押出機の先端付近(第2押出機に接続される側)において、発泡剤として、ポリスチレン100重量部に対して、i−ブタン(三井化学株式会社)3.5重量部、ジメチルエーテル(三井化学株式会社)2.0重量部、水(水道水)0.8重量部を溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を115℃に冷却し、第2押出機の先端に設けられた厚さ方向1mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有したダイリップより、ダイリップ温度を80℃に設定してスチレン系樹脂組成物を大気中へ押し出し、厚み30mm、幅200mmの直方体形状の押出発泡体を得た。
得られた押出発泡体は、上下面に表皮を有し、かつ、両側面から20mmづつ切除した幅160mmの板状発泡体として評価した。その評価結果を表1に示す。また、押出発泡体の断面のSEM画像を図1に示し、気泡径分布図を図2に示す。
表1に示されるように、得られた押出発泡体全体の嵩比重が38kg/mであり、表層部における嵩比重が55kg/mであり、その差は17kg/mであった。表層部における気泡扁平比は2であった。また、図1に示されるように、押出発泡体の断面のSEM画像において、大径の気泡と小径の気泡とが海島状に形成されていることが確認された。また、図2に示されるように、気泡径分布図において、面積比を有する気泡径の区間の最大値が0.26mm以上であるので、上記条件(a)を満たし、気泡径の全区間においてピークが5つ確認されるので、上記条件(b)を満たす。また、これら5つのピークのうちの1つのピークが、気泡径が0.26mm未満の区間に存在するので、上記条件(c)を満たす。また、表1に示されるように、小気泡径ピーク面積比総和が0.45なので、上記条件(d)を満たし、最小気泡径ピーク面積比総和が0.40なので、上記条件(e)を満たす。このような押出発泡体において、表1に示されるように熱伝導率が0.026W/mKであり、押出発泡体に残存する発泡剤量(i−ブタン)が3.2重量%であった。
なお、実施例1において、気泡径が0.18mm以上0.20mm未満の区間に存在するピークが本発明における第1ピークであり、気泡径が0.26mm以上0.28mm未満の区間に存在するピークが本発明における第2ピークである。また、気泡径が0.20mm以上0.22mm未満の区間が本発明における第1区間であり、気泡径が0mm以上0.02mm未満の区間が本発明における第3区間である。なお、実施例1については、本発明における第2区間は相当しない。また、気泡径が0.08mm以上0.10mm未満の区間に存在するピークが本発明における第3ピークであり、気泡径が0.18mm以上0.20mm未満の区間に存在するピークが本発明における第4ピークであり、気泡径が0.16mm以上0.18mm未満の区間が本発明における第4区間である。
(実施例2)
ポリスチレン系樹脂組成物に添加される難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン(アルベマールコーポレーション、商品名:SAYTEXHP−900)5重量部を用い、タルクの添加量を0.3重量部としたほかは、実施例1と同様に混合したスチレン系樹脂組成物を二段式の押出機に供給した。第1押出機の先端付近において圧入される発泡剤として、ポリスチレン100重量部に対して、i−ブタン3.5重量部、ジメチルエーテル1.5重量部、二酸化炭素(昭和炭酸株式会社製炭酸ガス)1.0重量部、水0.8重量部を用いた。第2押出機において、樹脂温度を115℃に冷却し、第2押出機の先端に設けられた厚さ方向1mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有したダイリップを75℃に設定してスチレン系樹脂組成物を大気中へ押し出し、厚み25mm、幅200mmの直方体形状の押出発泡体を得た。
得られた押出発泡体は、上下面に表皮を有し、かつ、両側面から20mmづつ切除した幅160mmの板状発泡体として評価した。その評価結果を表1に示す。また、押出発泡体の気泡径分布図を図3に示す。
表1に示されるように、得られた押出発泡体全体の嵩比重が39kg/mであり、表層部における嵩比重が60kg/mであり、その差は21kg/mであった。表層部における気泡扁平比は5であった。また、図3に示されるように、気泡径分布図において、面積比を有する気泡径の区間の最大値が0.26mm以上であるので、上記条件(a)を満たし、気泡径の全区間においてピークが4つ確認されるので、上記条件(b)を満たす。また、これら4つのピークのうちの1つのピークが、気泡径が0.26mm未満の区間に存在するので、上記条件(c)を満たす。また、表1に示されるように、小面積比総和が0.83なので、上記条件(d)を満たし、最小気泡径ピーク面積比総和が0.83なので、上記条件(e)を満たす。このような押出発泡体において、表1に示されるように熱伝導率が0.026W/mKであり、押出発泡体に残存する発泡剤量(i−ブタン)が3.1重量%であった。
(実施例3)
ポリスチレン系樹脂組成物に添加する吸水性物質として、酸化ケイ素0.2重量部、合成ヘクトライト(Rockwood Additives、商品名:LAPONITE XLG)0.3重量部を用いて、難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン5重量部を用い、タルクの添加量を1.0重量部としたほかは、実施例1と同様に混合したスチレン系樹脂組成物を、50kg/時間で二段式の押出機に供給した。第1押出機の先端付近において圧入される発泡剤として、ポリスチレン100重量部に対して、i−ブタン4.0重量部、ジメチルエーテル2.0重量部、水0.4重量部を用いた。第2押出機において、樹脂温度を120℃に冷却し、第2押出機の先端に設けられた厚さ方向1.5mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有したダイリップを85℃に設定してスチレン系樹脂組成物を大気中へ押し出し、厚み50mm、幅200mmの直方体形状の押出発泡体を得た。さらに、得られた押出発泡体をロールプレスして厚みの10%圧縮成形し、厚さ45mmの発泡体とした。
得られた押出発泡体は、上下面に表皮を有し、かつ、両側面から20mmづつ切除した幅160mmの板状発泡体として評価した。その評価結果を表1に示す。また、押出発泡体の気泡径分布図を図4に示す。
表1に示されるように、得られた押出発泡体全体の嵩比重が44kg/mであり、表層部における嵩比重が65kg/mであり、その差は21kg/mであった。表層部における気泡扁平比は8であった。また、図4に示されるように、気泡径分布図において、面積比を有する気泡径の区間の最大値が0.26mm以上であるので、上記条件(a)を満たし、気泡径の全区間においてピークが2つ確認されるので、上記条件(b)を満たす。また、これら2つのピークとも、気泡径が0.26mm未満の区間に存在するので、上記条件(c)を満たす。また、表1に示されるように、小面積比総和が1.00なので、上記条件(d)を満たし、最小気泡径ピーク面積比総和が0.29なので、上記条件(e)を満たす。このような押出発泡体において、表1に示されるように熱伝導率が0.025W/mKであり、押出発泡体に残存する発泡剤量(i−ブタン)が3.5重量%であった。
(実施例4)
ポリスチレン100重量部に対して、吸水性物質として酸化ケイ素0.2重量部、合成ヘクトライト0.3重量部、難燃剤としてトリスヘキサブロモシクロドデカン5重量部、タルク0.6重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、安定剤0.2重量部、流動パラフィン0.2重量部からなる混合物をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とし、二段式押出機へ60kg/時間で供給した。第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、第1押出機の先端付近において、発泡剤として、ポリスチレン100重量部に対して、i−ブタン3.5重量部、ジメチルエーテル1.5重量部、水0.3重量部を溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を125℃に冷却し、第2押出機の先端に設けられた厚さ方向2.5mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有したダイリップより、ダイリップ温度を98℃に設定してスチレン系樹脂組成物を大気中へ押し出し、厚み50mm、幅200mmの直方体形状の押出発泡体を得た。
得られた押出発泡体は、上下面に表皮を有し、かつ、両側面から20mmづつ切除した幅160mmの板状発泡体として評価した。その評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られた押出発泡体全体の嵩比重が38kg/mであり、表層部における嵩比重が61kg/mであり、その差は23kg/mであった。表層部における気泡扁平比は3であった。また、図5に示されるように、気泡径分布図において、面積比を有する気泡径の区間の最大値が0.26mm以上であり、上記条件(a)を満たし、気泡径の全区間においてピークが2つ確認されたので、上記条件(b)を満たす。また、これら2つのピークとも、気泡径が0.26mm未満の区間に存在したので、上記条件(c)を満たす。また、表1に示されるように、小面積比総和が1.00なので、上記条件(d)を満たし、最小気泡径ピーク面積比総和が0.37なので、上記条件(e)を満たす。このような押出発泡体において、表1に示されるように熱伝導率が0.026W/mKであり、押出発泡体に残存する発泡剤量(i−ブタン)が3.2重量%であった。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂組成物を50kg/時間で二段式の押出機に供給した。第1押出機の先端付近において圧入される発泡剤として、ポリスチレン100重量部に対して、i−ブタン4.0重量部、ジメチルエーテル4.0重量部、水0.8重量部を用いた。第2押出機において、樹脂温度を120℃に冷却し、第2押出機の先端に設けられた厚さ方向1mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有したダイリップを100℃に設定してスチレン系樹脂組成物を大気中へ押し出し、厚み30mm、幅200mmの直方体形状の押出発泡体を得た。
得られた押出発泡体は、上下面に表皮を有し、かつ、両側面から20mmづつ切除した幅160mmの板状発泡体として評価した。その評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られた押出発泡体全体の嵩比重が33kg/mであり、表層部における嵩比重が40kg/mであり、その差は7kg/mであった。表層部における気泡扁平比は1であった。このような押出発泡体において、表1に示されるように熱伝導率が0.028W/mKであり、押出発泡体に残存する発泡剤量(i−ブタン)が3.8重量%であった。
(比較例2)
実施例1で得られた発泡体から、さらに上下面を1.25mmづつ切除し、厚み25mm、幅200mmの板状発泡体として評価した。その評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られた押出発泡体全体の嵩比重が35kg/mであり、表層部における嵩比重も35kg/mであり、差が生じなかった。表層部における気泡扁平比は1であった。このような押出発泡体において、表1に示されるように熱伝導率が0.029W/mKであり、押出発泡体に残存する発泡剤量(i−ブタン)が2.8重量%であった。
(比較例3)
ポリスチレン100重量部に対して、吸水性物質として酸化ケイ素0.2重量部、合成ヘクトライト0.3重量部、難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン5重量部、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、安定剤0.2重量部、流動パラフィン0.2重量部からなる混合物をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とし、該スチレン系樹脂組成物を二段式押出機へ50kg/時間で供給した。第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、第1押出機の先端付近において、発泡剤として、ポリスチレン100重量部に対して、i−ブタン4重量部、ジメチルエーテル2.5重量部、水0.3重量部を溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を133℃に冷却し、第2押出機の先端に設けられた厚さ方向1.8mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有したダイリップより、ダイリップ温度を95℃に設定してスチレン系樹脂組成物を大気中へ押し出し、厚み50mm、幅200mmの直方体形状の押出発泡体を得た。
得られた押出発泡体は、上下面に表皮を有し、かつ、両側面から20mmづつ切除した幅160mmの板状発泡体として評価した。その評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、得られた押出発泡体全体の嵩比重が37kg/mであり、表層部における嵩比重が50kg/mであり、その差は13kg/mであった。表層部における気泡扁平比は1.1であった。このような押出発泡体において、表1に示されるように熱伝導率が0.028W/mKであり、押出発泡体に残存する発泡剤量(i−ブタン)が2.7重量%であった。
(参考例1)
吸水性物質として、酸化ケイ素及びベントナイトを添加しなかったほかは、実施例1と同様にして押出発泡成形を行ったが、押出発泡体にボイドや気孔が発生し、評価に耐えうる押出発泡体が得られなかった。
実施例1から実施例4のすべてにおいて、比較例1から比較例3より低い熱伝導率が測定された。実施例1と比較例2とを対比すると、全体の嵩比重がほぼ同等であり、また、平均気泡径や小気泡径ピーク面積比総和がほぼ同等であるにも拘わらず、熱伝導率が異なることから、全体の嵩比重と表層部における嵩比重との差により、つまり表層部の嵩比重を高くすることにより熱伝導率が低減されることが確認された。また、実施例2と比較例2とは厚みが同等であるが、実施例2の方が熱伝導率が低く、押出発泡体全体に対する表層部における嵩比重の差による効果が確認された。また、実施例3のような気泡径分布とすることにより、発泡剤として使用されるi−ブタンの量を同程度として、50mmの厚みの押出発泡体が良好に成形されることが確認された。また、実施例1,2では、i−ブタンの添加量を比較例1,2より減じても、低い熱伝導率の押出発泡体が得られることが確認された。これより、押出発泡体の表層部における嵩比重が全体の嵩比重より高く、表層部の気泡が扁平化されていることから、押出発泡体の熱伝導率が低下されることが確認された。押出発泡体の厚みが50mmである実施例4と比較例3とを比較しても、表層部における嵩比重が全体の嵩比重より高く、表層部の気泡が扁平化されていることから、押出発泡体の熱伝導率が低下されることが確認された。
図1は、実施例1における押出方向断面のSEM画像を示す図である。 図2は、実施例1における気泡径分布図である。 図3は、実施例2における気泡径分布図である。 図4は、実施例3における気泡径分布図である。 図5は、実施例4における気泡径分布図である。

Claims (14)

  1. スチレン系樹脂組成物を押出発泡して得られるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
    全体の嵩比重が20〜80kg/mであり、表面から厚み方向に2mmまでの表層部における嵩比重が上記全体の嵩比重よりも高くかつ50kg/m超105kg/m以下であるスチレン系樹脂押出発泡体。
  2. 上記表層部における押出方向の平均気泡径と厚み方向の平均気泡径との比が1.2〜10である請求項1に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  3. 上記スチレン系樹脂押出発泡体の押出方向に沿った断面及び幅方向に沿った断面における所定範囲をサンプリングし、得られたサンプル断面における各気泡の気泡径及び面積を求め、横軸をゼロから最大気泡径まで0.02mm毎の区間に区分された気泡径とし、縦軸を下記式(1)で求められる区間毎の面積比とした気泡径分布図において、以下の条件(a),条件(b),条件(c)のすべてを満たすものである請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
    式(1):区間毎の面積比=区間に属する気泡径を有する気泡の面積の和/全気泡の面積の和
    条件(a):面積比を有する気泡径の区間の最大値が0.26mm以上である。
    条件(b):気泡径の全区間における面積比が複数のピークをなす。
    条件(c):上記複数のピークのうち少なくとも一つのピークが、気泡径が0.26mm未満の区間に存在する。
  4. さらに、以下の条件(d)を満たすものである請求項3に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
    条件(d):気泡径が0.26mm未満の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が大きい区間に存在する第1ピークと、気泡径が0.26mm以上の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が小さい第2ピークとの間に存在する最も低い面積比を有する第1区間から、又は気泡径が0.26mm以上の区間にピークが存在しない場合には、気泡径が0.26mm以上の区間に存在する面積比がゼロとなる最も気泡径の小さい第2区間から、気泡径がゼロから0.02mmの第3区間までに含まれる面積比の総和が、0.1以上である。
  5. さらに、以下の条件(e)を満たすものである請求項3又は4に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
    条件(e):気泡径が0.26mm未満の区間に存在するピークのうち、その他のいずれのピークより気泡径が小さい区間に存在する第3ピークと、第3ピークより気泡径が大きい区間に存在し、且つ第3ピークと最も近接する第4ピークとの間に存在する最も低い面積比を有する第4区間から、気泡径がゼロから0.02mmの第3区間までに含まれる面積比の総和が、0.1〜0.9である。
  6. 上記スチレン系樹脂組成物は、発泡剤として、(イ)炭素数が3〜5である1種以上の飽和炭化水素と、必要に応じて、(ロ)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化アルキルから選ばれる化合物及び(ハ)その他の非ハロゲン系発泡剤とを含有してなるものである請求項1から5のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  7. 炭素数が3〜5である1種以上の上記飽和炭化水素が、プロパン、n−ブタン、i−ブタンよりなる群から選ばれるものである請求項6に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  8. 上記その他の非ハロゲン系発泡剤が、水、二酸化炭素、アルコールよりなる群から選ばれるものである請求項6に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  9. 上記発泡剤が、上記その他の非ハロゲン系発泡剤として水を含み、
    上記スチレン系樹脂組成物が、層状珪酸塩、酸化ケイ素、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ゼオライトから選ばれる1種又は2種以上の吸水性物質を0.01〜10重量%含有するものである請求項6から8のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  10. 上記スチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率が0.027W/mK以下である請求項1から9のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  11. 上記スチレン系樹脂押出発泡体の厚みが20〜150mmである請求項1から10のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  12. 上記スチレン系樹脂押出発泡体は、表面にスキン層を有するものである請求項1から11のいずれかに記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  13. スチレン系樹脂を溶融混練手段に供給するとともに、核剤を含む添加剤及び発泡剤を該溶融混練手段に供給してスチレン系樹脂と混練することによりスチレン系樹脂組成物とし、該スチレン系樹脂組成物を高圧領域からダイリップを通して低圧領域に押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、
    上記ダイリップの温度を、溶融混練手段から吐出される樹脂温度に対して10〜60℃低い温度とするスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  14. スチレン系樹脂を溶融混練手段に供給するとともに、核剤を含む添加剤及び発泡剤を該溶融混練手段に供給してスチレン系樹脂と混練することによりスチレン系樹脂組成物とし、該スチレン系樹脂組成物を高圧領域からダイリップを通して低圧領域に押出発泡して略平板形状に成形し、さらに、略平板形状の厚み方向に対して厚みの3〜30%を圧縮成形するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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