JP2007320430A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】PWM制御を行うことに起因して車載オーディオ機器に発生するノイズを、操舵フィーリングを変化させることなく容易に低減する。
【解決手段】PWM周波数として一般的に用いられる周波数基準値20〔kHz〕を中心としてその前後1〔kHz〕の範囲で、0.5〔kHz〕刻みで複数のPWM周波数候補を予め設定しておく。車載オーディオ機器がオン状態のときには(ステップS1)、その選局周波数Fを獲得し(ステップS2)、選局周波数FとPWM周波数候補との関係から、各PWM周波数候補でPWM制御を行ったときに、ノイズが発生する可能性を判断し(ステップS3〜S5)、ノイズが発生する可能性が最小のものをPWM周波数FPWMとして設定する(ステップS6)。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電動モータにより操舵系に対して操舵補助力を付与する電動パワーステアリング制御装置に関する。
この種の電動パワーステアリング制御装置として、入力される操舵トルクに応じて電動モータをPWM信号により駆動制御することにより、操舵系に操舵補助力を付与するようにしたものが提案されている。
このように電動モータをPWM信号により駆動制御する場合、PWM信号は、急峻な立ち上がり、立ち下がり波形のため、基本周波数のN次(N倍)の高周波成分を含んでいることから、この高周波成分の周波数が、カーラジオで選局受信されたAM放送のチャンネ周波数に近い場合には選局受信されたAM放送にN次の高周波成分が混入し、ノイズが発生する可能性がある。これを回避するために、駆動波形の立ち上がり、立ち下がり時間を遅延させたり、また、オーディオ機器がオンしていることを検知したときにはPWM周波数を低域側に変更し、発生する高周波数成分の周波数を、AM放送等のラジオ電波のチャンネル周波数よりも低くなるようにすることで、ノイズの発生を防止する方法(例えば、特許文献1参照)、また、電源、GND、モータライン等へ高価なノイズ対策部品を配置することでノイズの発生を防止する方法(例えば、特許文献2参照)等も提案されている。
特開平11−29054号公報 特開2005−199781号公報
しかしながら、上述のように、オーディオ機器がオンしているか否かに応じてPWM周波数を変更するようにした場合、ある選局周波数ではノイズの発生を回避することができたとしても、他の選局周波数では、これがPWM信号の高周波成分と合致したときにはラジオ受信放送にノイズが混入してしまう可能性がある。
また、PWM周波数の変更幅によっては、PWM周波数の変更に伴って電動モータによるアシスト特性が変化し、これによって、運転者の操舵フィーリングに影響を及ぼしたり、また、操舵時に異音が発生したりする可能性がある。
また、モータライン等へのノイズ対策部品を配置する方法にあっては、このノイズ対策部品を実装するスペースを確保する必要があり、場合によっては、電動パワーステアリング制御装置のユニット内部に収まらない可能性がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、大幅なノイズ対策部品の実装を伴うことなく、運転者に違和感を与えずに容易確実にノイズの混入を抑制することの可能な電動パワーステアリング制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング制御装置は、電動モータをPWM制御して前記電動モータにより操舵系に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング制御装置において、車載オーディオ機器で選局された周波数を検出する選局周波数検出手段と、前記選局周波数検出手段で検出された選局周波数に基づき、前記PWM制御におけるPWM周波数を変更することに伴うアシスト特性の変化を許容する範囲内で設定した複数のPWM周波数候補のうち、当該PWM周波数候補相当の周波数でPWM制御を行った場合に、前記車載オーディオ機器にノイズが発生する可能性が最小と予測されるPWM周波数候補を選択する周波数候補選択手段と、当該周波数候補選択手段で選択されたPWM周波数候補を、前記PWM制御におけるPWM周波数として設定するPWM周波数設定手段と、を備えることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング制御装置は、請求項1記載の電動パワーステアリング制御装置において、前記周波数候補選択手段は、前記選局周波数を、前記PWM周波数候補の周波数で割算した小数点以下の値が、0.5に最も近いPWM周波数候補を、ノイズの発生する可能性が最小と予測されるPWM周波数候補として選択することを特徴としている。
また、請求項3に係る電動パワーステアング制御装置は、請求項1又は請求項2記載の電動パワーステアリング制御装置において、前記PWM周波数候補は、前記PWM周波数の基準値を中心としてその前後1〔kHz〕の範囲で0.5〔kHz〕刻みの周波数に設定されることを特徴としている。
さらに、請求項4に係る電動パワーステアリング制御装置は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置において、前記周波数候補選択手段は、前記車載オーディオ機器で選局可能な選局可能周波数と、前記車載オーディオ機器で前記選局可能周波数が選択されたときに前記ノイズの発生する可能性が最小と予測されるPWM周波数候補との対応情報を記憶する対応情報記憶手段を有し、当該対応情報記憶手段で記憶する対応情報から、前記選局周波数に対応する選局可能周波数に対応付けられたPWM周波数候補を選択することを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、PWM周波数の変更に伴う、アシスト特性の変化を許容する範囲内で設定した複数のPWM周波数候補のうち、この周波数でPWM制御を行った場合に、車載オーディオ機器にノイズが発生する可能性が最も小さいものを選択し、これをPWM周波数として設定するから、ノイズ対策部品の実装や、PWM周波数の変更に伴う操舵フィーリングの変動等が生じることなく、選局周波数に応じて容易にノイズの発生を抑制することができる。
また、車載オーディオ機器で選局可能な選局可能周波数と、ノイズの発生する可能性が最小と予測されるPWM周波数候補との対応を表す対応情報を対応情報記憶手段に記憶しておき、この対応情報記憶手段に記憶された対応情報から、前記選局周波数に対応する選局可能周波数に対応付けられたPWM周波数候補を選択するから、選局周波数に適したPWM周波数を速やかに設定することができその分速やかにノイズの低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、図中、1はステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力がステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aと出力軸2bとを有し、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としての操舵トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらにユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン機構に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する減速ギヤ10が連結されており、この減速ギヤ10には、操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ12の出力軸が連結されている。
操舵トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。この操舵トルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tは、コントローラ13に入力される。
このコントローラ13には、トルク検出値Tの他に、車速センサ15で検出した車速検出値V、エンジン回転数センサ16で検出したエンジン回転数Ne、さらにシリアル通信、或いはCAN(Controller Area Network )等の通信ネットワークを介して接続された車載オーディオ機器17からの、そのオンオフ情報及びそのラジオ選択局の周波数等からなる選局情報も入力され、コントローラ13では、入力されるトルク検出値T、車速検出値V及びエンジン回転数Neに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生するための操舵補助指令値IM *を公知の手順で算出し、算出した操舵補助指令値IM *とモータ駆動電流IMDとにより、電動モータ12に供給する駆動電流をフィードバック制御するための指令値であるモータ指令電流IMを算出し、これに応じた電流を電動モータ12に供給する。
コントローラ13は、図2に示すように、電動モータ12をPWM制御するための公知のPWM制御処理を実行する操舵補助制御部21と、電界効果トランジスタ等のスイッチング素子から構成されるインバータ回路を有し、前記操舵補助制御部21からのモータ駆動信号に応じて電動モータ12をPWM制御するモータ駆動回路22と、電動モータ12に流れる駆動電流を検出するモータ電流検出回路23と、バッテリ24と接続されると共に、インタフェース部25aを介してイグニッションスイッチ25と接続され、イグニッションスイッチ25の作動状況に応じて、コントローラ13を構成する各部に電源供給を行う電源回路27と、を備えている。
前記操舵補助制御部21は、トルクセンサ3、車速センサ15、エンジン回転数センサ16の検出信号、及び車載オーディオ機器17からの選局情報がそれぞれインタフェース部3a、15a、16a、17aを介して入力されるマイクロコンピュータ31と、このマイクロコンピュータ31で指定されたPWM周波数のPWM信号を生成するための三角波信号を生成するPWM周期発生回路32と、前記マイクロコンピュータ31からのモータ指令電流IMとPWM周期発生回路32からの三角波信号とに基づいて、モータ駆動回路22を構成するスイッチング素子を駆動するためのPWM信号からなるモータ駆動信号を発生するモータ駆動信号発生回路33と、を備えている。
マイクロコンピュータ31では、トルクセンサ3、車速センサ15、エンジン回転数センサ16からの検出信号はモータ指令電流演算手段31aで処理され、このモータ指令電流演算手段31aでは、現在の操舵トルク、車速及びエンジン回転数に応じた操舵補助力を、操舵系に付与するために必要なモータ駆動電流が、公知の手順で算出されこれがモータ指令電流IMとして、モータ駆動信号発生回路33に出力される。
車載オーディオ機器17からの選局情報は、オーディオ選局周波数検知手段31bに入力され、車載オーディオ機器17がオン状態であるときその選択局の選局周波数をモータ駆動PWM周期演算手段31cに出力する。一方オフ状態であるときには車載オーディオ機器15がオフ状態であることをモータ駆動PWM周期演算手段31cに通知する。
モータ駆動PWM周期演算手段31cは、車載オーディオ機器17がオン状態であるときには、入力された選局周波数に基づいて当該選局周波数と、モータ駆動回路22を駆動するためのPWM信号からなるモータ駆動信号のPWM周波数の高調波成分とが合致しないPWM周波数FPWMを演算し、これをPWM周期発生回路32に出力する。一方、車載オーディオ機器17がオフであるときには、予め設定されたPWM信号の周波数基準値、例えばPWM周波数として一般的に用いられる20〔kHz〕を、PWM周波数FPWMとし、これをPWM周期発生回路32に出力する。
PWM周期発生回路32は、マイクロコンピュータ31のモータ駆動PWM周期演算手段31cで演算されたPWM周波数FPWMに応じたPWM信号を生成するための三角波信号を、PWM周波数FPWMに応じた周期で生成する。
図3は、オーディオ選局周波数検知手段31b及びモータ駆動PWM周期演算手段31cで実行される、PWM周波数演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
マイクロコンピュータ31ではこのPWM周波数演算処理を予め設定した周期で実行する。まず、車載オーディオ機器17からそのオンオフ情報や選択局情報からなる選局情報を入力し(ステップS1)、車載オーディオ機器17がオン状態であるときには、ステップS2に移行し、選局情報から選択局の周波数を特定する。
次いで、ステップS3に移行し、予め設定したPWM周波数候補のうちの一つを、判定対象XFとして設定する。
ここで、前記PWM周波数候補は、電動モータ12のPWM周波数として一般に用いられる周波数を周波数基準値としたとき、この周波数基準値を中心として、周波数基準値からPWM周波数を変更させることにより生じるアシスト特定の変化に起因して、操舵フィーリングが変動しない範囲で設定され、例えば、周波数基準値を20〔kHz〕とすると、この周波数基準値と、この周波数基準値を中心としたその前後1〔kHz〕の範囲で0.5〔kHz〕刻みに、19〔kHz〕、19.5〔kHz〕、20〔kHz〕、20.5〔kHz〕及び21〔kHz〕に設定される。
次いで、ステップS4に移行し、判定対象XFについて、この周波数の、選局周波数Fへのノイズ影響度を算出する。具体定には、次式(1)にしたがって、判定対象XFを選局周波数Fで割算した商の、小数点以下をノイズ影響度Anとして設定する。
An=F÷XF−INT(F÷XF) ……(1)
なお、式中のINT(F÷XF)は、F÷XFの整数値を表す。
次いで、ステップS5に移行し、全てのPWM周波数候補についてノイズ影響度Anを算出したかどうかを判定し、算出していなければ、ステップS3に戻って次のPWM周波数候補を判定対象XFとして設定し、全てのPWM周波数候補についてノイズ影響度Anを算出したならばステップS6に移行する。
このステップS6では、全てのPWM周波数候補のうち、そのノイズ影響度Anが最も“0.5”に近いもの、すなわち、PWM周波数候補の高調波成分と、選局周波数との差が最も大きいものを選択し、これをPWM周波数FPWMとして設定する。そして、処理を終了する。
一方、ステップS1の処理で、車載オーディオ機器17がオフ状態であるときには、ステップS10に移行し、予め設定したPWM周波数の周波数基準値(例えば20〔kHz〕)をPWM周波数FPWMとして設定する。そして、処理を終了する。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
マイクロコンピュータ31は、イグニッションスイッチIGがオン状態となると、所定の起動時の処理を行った後、公知の手順でPWM制御処理を実行し、モータ指令電流IMを算出すると共に、図3のPWM周波数演算処理を実行する。
今、車載オーディオ機器17がオフであるときには、ステップS1からステップS10に移行し、周波数基準値がPWM周波数FPWMとして設定される。このため、モータ駆動PWM周期発生回路32から周波数基準値相当の周期で三角波信号が生成され、モータ駆動信号発生回路33で、周波数基準値相当の周期で発生される三角波信号と、PWM制御処理で算出されたモータ指令電流IMとからPWM信号を生成することにより、周波数基準値相当のPWM周波数のモータ駆動信号が生成され、これによってモータ駆動回路22が制御される。このため、モータ駆動回路22を構成するスイッチング素子が、周波数基準値相当の周期でオンオフ制御され、モータ指令電流IM相当の電流値が電動モータ12に供給されて、モータ電流検出回路23で検出されるモータ電流検出値に応じてフィードバック制御されつつ、電動モータ12が駆動されることになって、操舵系に入力される操舵トルクや、車速、エンジン回転数に応じた操舵補助力が操舵系に付与されることになる。
この状態から、車載オーディオ機器17のスイッチが投入されると、図3のステップS1からステップS2に移行し、車載オーディオ機器17で選択されている選択局の周波数Fが特定され、予め設定されたPWM周波数候補のそれぞれについて、選局周波数Fに対するノイズ影響度Anが算出され、ノイズ影響度Anが“0.5”に最も近いものがノイズを与える可能性が小さいとして、PWM周波数FPWMとして設定される。
例えば、選局周波数が、693〔kHz〕である場合、ノイズ影響度Anは、19〔kHz〕のときは約“0.474”、19.5〔kHz〕のときは約“0.538”、20〔kHz〕のときは“0.65”、20.5〔kHz〕のときは“0.8”、21〔kHz〕のときは“0”となり、19〔kHz〕であるときが最も“0.5”に近くなる。よって、PWM周波数候補19〔kHz〕がPWM周波数FPWMとして設定される。
このため、PWM周期発生回路32では、発生する三角波信号の周期が周波数基準値20〔kHz〕から、PWM周波数候補19〔kHz〕に変更され、19〔kHz〕相当の周期で三角波信号が生成される。このため、モータ駆動信号発生回路33で生成される、モータ駆動信号の周波数が、周波数基準値20〔kHz〕相当から周波数候補19〔kHz〕相当に変更され、これに応じてモータ駆動回路22のスイッチング素子の駆動周期は19〔kHz〕相当に変更される。
さらに、この状態から、車載オーディオ機器17での選択局が変更され、選局周波数が例えば954〔kHz〕に変更されると、各PWM周波数候補のうち、ノイズ影響度Anが、20.5〔kHz〕であるときが最も“0.5”に近くなる。よって、周波数候補20.5〔kHz〕がPWM周波数FPWMとして設定される。
ここで、スイッチング素子がPWM駆動されるとそのオンオフ動作による高周波成分と選局周波数とが合致する場合には、車載オーディオ機器17でノイズが発生する可能性がある。しかしながら、上述のように、PWM周期演算処理では、複数のPWM周波数候補のうち、選局周波数とPWM周波数の高周波成分との関係から、ノイズの発生する可能性が最も小さいもの、つまり、ノイズ影響度Anが“0.5”に最も近いものをPWM周波数FPWMとして設定しているから、車載オーディオ機器17がオン状態であるときに、電動モータ12をPWM制御した場合であっても、車載オーディオ機器17にノイズが発生することを抑制することができる。
また、PWM周波数によっては、ある選局周波数ではノイズが発生しなくても、他の選局周波数ではノイズが発生する可能性があるが、上述のように、選局周波数毎に、ノイズが発生しにくいPWM周波数を選定し、選定したPWM周波数で、モータ駆動回路22を動作させているから、選局周波数が変化した場合であっても、ノイズの発生を確実に抑制することができる。
また、PWM周波数として取り得る範囲を、一般にPWM周波数として用いられている、周波数基準値、例えば20〔kHz〕に対してその前後1〔kHz〕の範囲としている。ここで、PWM周波数の変動幅が大きい場合には、電動モータ12によるアシスト特性が変化し、操舵フィーリングが変動して運転者に違和感を与える可能性がある。しかしながら、上述のようにPWM周波数の変動幅を、周波数基準値に対してその前後1〔kHz〕の範囲とし、アシスト特性の変化により運転者に違和感を与えることのない範囲に制限しているから、車載オーディオ機器17をオンオフ操作することに伴う、PWM周波数の変化に伴って、運転者に違和感を与えることはない。
また、PWM周波数を変更することによって改善可能なノイズの低減度合は、部品追加や大幅な回路見直しを行う対策方法による低減度合に比較すると、比較的小さいことから、PWM周波数候補を、周波数基準値に対してその前後1〔kHz〕の範囲で、且つ0.5〔kHz〕刻みで設定することによって、ノイズを低減できる期待度が比較的小さい周波数をPWM周波数候補として設定したり、また、改善可能なノイズの低減度合にそれほど差がない複数のPWM周波数候補を設定したりすることを回避し、改善可能なノイズの低減度合に応じたPWM周波数候補を的確に且つ適度な数だけ設定することができ、このPWM周波数候補の中から、PWM周波数FPWMを設定することによって、PWM周波数FPWMを的確に且つ速やかに設定することができる。
また、このように、ノイズ低減を期待することができ且つ運転者に違和感を与えることのない範囲でPWM周波数候補を設定しているから、PWM周波数候補のうちそのノイズを与える可能性が最小のものをPWM周波数として設定した場合でもノイズが発生する場合には、PWM周波数の変更では対処不可と判定することができる。つまり、車両側でのオーディオや、アンテナ、電源、電動パワーステアリング制御装置等の配線レイアウトや、車体毎に異なるGNDレベルのアース強さ等によって、ノイズレベルも車両毎に異なっていることから、PWM周波数を変更したにも関わらずノイズが発生する場合には、これらによる影響と予測することができる。よって、この場合には、部品追加や回路見直し等を行うことが必要として対策行うことによって、PWM周波数の変更によりノイズ低減を可能な状況であるか否かを速やかに判別することができ速やかに次の対策を図ることができる。
また、ノイズ対策用の高価な部品等を設ける必要はなく、車載オーディオ機器17の選局情報を得るためのシリアル通信やCAN等の配線を設けることにより実現することができるから、少ないスペースで実現することができ、また、大幅な変更を伴うことなく実現することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、コントローラ13内に、最適PWM周波数記憶部35を新たに設け、PWM周波数演算処理において、この最適PWM周波数記憶部35の記憶情報を用いてPWM周波数FPWMを設定するようにしたこと以外は同様であるので同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
図4は、第2の実施の形態におけるコントローラ13の概略構成を示した図であって、前記最適PWM周波数記憶部35は、例えばEEPROM等の不揮発性の記憶領域で構成され、その記憶情報を、マイクロコンピュータ31から読み出し可能に構成されている。この最適PWM周波数記憶部35には、車載オーディオ機器17で選択可能なラジオ局のラジオ局周波数のそれぞれについて、前記複数のPWM周波数候補のうち、前記ラジオ局周波数に対するノイズ影響度Anが最も“0.5”に近くすなわちノイズを与える可能性が最も小さいものが予め上記(1)式に基づいて算出され、ラジオ局周波数と対応付けられて格納されている。
そして、PWM周波数演算処理では、図5に示すように、車載オーディオ機器17がオン状態であるときには(ステップS1)、その選局周波数を特定した後(ステップS2)、ステップS11に移行し、最適PWM周波数記憶部35の記憶情報から、選局周波数に対応するPWM周波数候補を検索し、これをPWM周波数FPWMとして設定する(ステップS12)。
一方、車載オーディオ機器17がオフ状態であるときには、ステップS1からステップS10に移行し、上記第1の実施の形態と同様に周波数基準値をPWM周波数FPWMとして設定する。
このように、第2の実施の形態は、予め、ラジオ局周波数毎に、ノイズ影響度Anが“0.5”に最も近くなるPWM周波数候補が設定されており、車載オーディオ機器17がオン状態となったときには対応するPWM周波数候補を選択するようにしたから、上記第1の実施の形態のように、ノイズ影響度Anを算出し、ノイズを与える可能性が最小となるPWM周波数候補を選択する処理を省略することができ、選局周波数の変更に対し、これに最適なPWM周波数FPWMをより速やかに設定することができ、すなわち、より速やかにノイズの低減を開始することができる。なお、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
なお、上記第2の実施の形態においては、車載オーディオ機器17で選局可能な選局周波数毎に最適なPWM周波数候補との対応付けを行っておく場合について説明したが、地域によって受信可能なラジオ周波数が異なることから、上記第1の実施の形態と組み合わせ、選局周波数が、最適PWM周波数記憶部35に記憶されていれば、その記憶情報を利用して最適なPWM周波数候補をPWM周波数FPWMとして設定し、選局周波数が最適PWM周波数記憶部35に記憶されていなければ、上記第1の実施の形態と同様の手順で、各PWM周波数候補についてノイズ影響度Anを算出し、これに基づいてノイズが発生する可能性の最も小さいPWM周波数候補を選定し、これをPWM周波数FPWMとして設定するようにしてもよい。このようにすることによって、受信可能なラジオ局が変化する地域に移動した場合であっても的確にノイズ低減を図ることができる。
さらに、このように、最適PWM周波数記憶部35に記憶されていない選局周波数を入力したときには、上記の手順でPWM周波数FPWMとして設定したPWM周波数候補を、このときの選局周波数と対応付けて最適PWM周波数記憶部35に新たに記憶するようにしてもよい。
また、上記実施の形態においては、車載オーディオ機器17で選局可能な局の周波数のみ、最適PWM周波数を演算してこれを最適PWM周波数記憶部35に格納するようにした場合について説明したがこれに限るものではなく、例えば、頻繁に選局するラジオ局の周波数についてのみ最適なPWM周波数候補を算出しこれを、最適PWM周波数記憶部35に格納するようにしてもよい。
また、上記実施の形態においては、インバータ回路を有するモータ駆動回路22に適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、Hブリッジ回路を有するモータ駆動回路22であっても適用することができ、要は、スイッチング素子を、PWM制御することによりモータを駆動制御するようにしたシステムであれば適用することができる。
また、上記実施の形態においては、PWM周波数候補として、PWM周波数として一般的に用いられる20〔kHz〕を中心として、その前後1〔kHz〕の範囲で0.5〔kHz〕刻みに設定した場合について説明したが、必ずしも前後1〔kHz〕の範囲でなくともよく、PWM周波数を変更することに伴う操舵フィーリングの変動が、運転者に違和感を与えない程度の範囲であればよい。同様に、PWM周波数候補を、必ずしも0.5〔kHz〕刻みにする必要はなく、PWM周波数を変更することによりある程度のノイズの低減効果を得ることができる変動幅であればよい。
ここで、上記実施の形態において、図2のオーディオ選局周波数検知手段31bが選局周波数検出手段に対応し、モータ駆動PWM周期演算手段31cが周波数候補選択手段に対応し、PWM周期発生回路32がPWM周波数設定手段に対応している。
また、最適PWM周波数記憶部35が対応情報記憶手段に対応している。
本発明の一実施形態を示す概略構成図である。 図1のコントローラの具体的構成を示すブロック図である。 図2のマイクロコンピュータで実行される、PWM周波数演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施の形態におけるコントローラの具体的構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態における、PWM周波数演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートであ。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 操舵トルクセンサ
12 電動モータ
13 コントローラ
15 車速センサ
16 エンジン回転数センサ
17 車載オーディオ機器
21 操舵補助制御部
22 モータ駆動回路
23 モータ電流検出回路
24 バッテリ
27 電源回路
31 マイクロコンピュータ
32 PWM周期発生回路
33 モータ駆動信号発生回路
35 最適PWM周波数記憶部

Claims (4)

  1. 電動モータをPWM制御して前記電動モータにより操舵系に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング制御装置において、
    車載オーディオ機器で選局された周波数を検出する選局周波数検出手段と、
    前記選局周波数検出手段で検出された選局周波数に基づき、前記PWM制御におけるPWM周波数を変更することに伴うアシスト特性の変化を許容する範囲内で設定した複数のPWM周波数候補のうち、当該PWM周波数候補相当の周波数でPWM制御を行った場合に、前記車載オーディオ機器にノイズが発生する可能性が最小と予測されるPWM周波数候補を選択する周波数候補選択手段と、
    当該周波数候補選択手段で選択されたPWM周波数候補を、前記PWM制御におけるPWM周波数として設定するPWM周波数設定手段と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 前記周波数候補選択手段は、前記選局周波数を、前記PWM周波数候補の周波数で割算した小数点以下の値が、0.5に最も近いPWM周波数候補を、ノイズの発生する可能性が最小と予測されるPWM周波数候補として選択することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアング制御装置。
  3. 前記PWM周波数候補は、前記PWM周波数の基準値を中心としてその前後1〔kHz〕の範囲で0.5〔kHz〕刻みの周波数に設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  4. 前記周波数候補選択手段は、前記車載オーディオ機器で選局可能な選局可能周波数と、前記車載オーディオ機器で前記選局可能周波数が選択されたときに前記ノイズの発生する可能性が最小と予測されるPWM周波数候補との対応情報を記憶する対応情報記憶手段を有し、
    当該対応情報記憶手段で記憶する対応情報から、前記選局周波数に対応する選局可能周波数に対応付けられたPWM周波数候補を選択することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
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