JP2007320103A - 射出成形機の成形品突出し方法 - Google Patents

射出成形機の成形品突出し方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 突出しを行う際における工程の遅れ(サイクルロス)を回避することに加え、コスト面で有利にし、かつ無用な重量アップを回避するとともに、成形品の種類に応じて突出し開始位置を容易かつ臨機応変に設定できるようにする。
【解決手段】 樹脂を充填して成形を行った金型C1,C2の型開き後、突出しロッド2を前進させて成形品Gの離型を行う突出し工程(S7)に、突出しロッド2を最後退位置Xrから予め設定した突出し開始位置Xsまで前進させて一旦停止させる予備前進工程(S71〜S74)と、この予備前進工程(S71〜S74)の終了後、突出しロッド2を前進させて成形品Gの離型を行う主突出し工程(S75〜S80)とを含ませる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂を充填して成形した金型の型開き後、突出しロッドを前進させて成形品の離型を行う突出し工程に用いて好適な射出成形機の成形品突出し方法に関する。
従来、移動盤(回転盤)の上面に設置された複数の固定型(又は可動型)の入替により構成される複数種類の金型に対して順次型締を行う一台の型締装置を備えた竪型成形機は、特開2001−179767号公報で知られている。
この竪型成形機は、機台の一側の半部が金型の型締を行う成形部として構成され、他側の半部が成形品の離型を行う取出部として構成されている。したがって、成形部により金型に樹脂を充填して成形を行った後、型開きを行い、回転盤(移動盤)を180゜回転させることにより成形品の付着した固定型を取出部側に移動させ、取出部で成形品に対して突出しを行うことにより成形品を取出すとともに、インサート部材をセットした固定型を成形部側に再度移動させることができるため、インサート成形等を容易に行うことができる。
ところで、この場合、取出部では、突出しロッドが前進して成形品に対する突出しを行うが、突出しロッド(エジェクタ機構部)と固定型間には、回転移動する回転盤が介在するため、突出しロッドは、回転盤の裏面から抜脱した位置で待機させる必要がある。したがって、突出しを行う際には、突出しロッドが、待機した位置から回転盤を通過した後に実質的な突出し動作が行われることになり、回転盤の存在による空走距離を通過する時間だけ、工程に遅れ(サイクルロス)を生じる問題があった。
このため、この空走距離をなくすことにより、工程に遅れ(サイクルロス)を生じないようにした射出成形機(成形品突出し方法)も特開2005−14430号公報で知られている。
同公報で開示される射出成形機(成形品突出し方法)は、プラテンと、このプラテンに反転自在に取り付けられた反転テーブルと、この反転テーブルに取り付けられた金型本体と、突出し用の駆動部と、この駆動部を駆動することによって進退させられるエジェクタロッドと、金型本体内において進退自在に配設されたエジェクタピンと、反転テーブル内において進退自在に配設され、エジェクタロッドの前進に伴って前進させられ、エジェクタピンを前進させる押出部材とを設けたものである。
特開2001−179767号 特開2005−14430号
しかし、上述した従来の射出成形機における成形品突出し方法は、次のような問題点があった。
第一に、反転テーブル(回転盤)内に進退自在となる押出部材を配設する必要があるため、実施する際に追加の部材(部品)が必要となり、コスト面で不利になるとともに、型締装置全体の重量アップを招く。
第二に、エジェクタロッドの突出しストロークや突出し開始位置が固定されるため、例えば、成形品の種類に応じて突出し開始位置を変更したいような場合であっても、押出部材の長さ変更を行う必要があるなど、容易かつ臨機応変に対応できない。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した射出成形機の成形品突出し方法の提供を目的とするものである。
本発明に係る射出成形機Mの成形品突出し方法は、上述した課題を解決するため、樹脂を充填して成形を行った金型C1,C2の型開き後、突出しロッド2を前進させて成形品Gの離型を行う突出し工程(S7)において、突出しロッド2を最後退位置Xrから予め設定した突出し開始位置Xsまで前進させて一旦停止させる予備前進工程(S71〜S74)と、この予備前進工程(S71〜S74)の終了後、突出しロッド2を前進させて成形品Gの離型を行う主突出し工程(S75〜S80)を含ませたことを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、移動盤3の表面3uに設置された複数の固定型C1c,C2c(又は可動型)の入替により構成される複数種類の金型C1,C2に対して順次型締を行う一台の型締装置Mcを使用し、突出しロッド2の最後退位置Xrを、移動盤3の裏面3dから抜脱した位置に設定することができる。この際、固定型C1c,C2c(又は可動型)の入替終了後、次の成形における型締工程(S1)の期間に、予備前進工程(S71〜S74)を行うことができるとともに、予備前進工程(S71〜S74)の終了後であって、当該型締工程(S1)の終了後に主突出し工程(S75〜S80)を行うことができる。一方、突出し開始位置Xsは、突出しロッド2の最後退位置Xrから成形品Gに対する離型開始位置Xc間において任意に変更できる。
このような手法による本発明に係る射出成形機Mの成形品突出し方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 突出しを行う際における工程の遅れ(サイクルロス)を回避できるという基本的効果を確保できることに加え、実施に際して、押出部材などの追加の部材(部品)を使用することなく、制御プログラム(ソフトウェア)の変更等により容易に対応できるなど、コスト面で有利になるとともに、型締装置Mcにおける無用な重量アップを回避することができる。
(2) 突出しロッド2を最後退位置Xrから突出し開始位置Xsまで前進させて一旦停止させ、この後、突出しロッド2を前進させて成形品Gの離型を行うようにしたため、例えば、成形品Gの種類に応じて突出し開始位置Xsを変更したいような場合であっても、容易かつ臨機応変に対応することができる。
(3) 好適な態様により、移動盤3の表面3uに設置された複数の固定型C1c,C2c(又は可動型)の入替により構成される複数種類の金型C1,C2に対して順次型締を行う一台の型締装置Mcを使用し、突出しロッド2の最後退位置Xrを、移動盤3の裏面3dから抜脱した位置に設定すれば、本発明に係る成形品突出し方法を最も有効に利用することができる。
(4) 好適な態様により、固定型C1c,C2c(又は可動型)の入替終了後、次の成形における型締工程(S1)の期間に、予備前進工程(S71〜S74)を行うようにすれば、突出しを行う際における工程の遅れ(サイクルロス)を有効に回避しつつ予備前進工程(S71〜S74)を確実に行うことができる。
(5) 好適な態様により、予備前進工程(S71〜S74)の終了後であって、型締工程(S1)の終了後に主突出し工程(S75〜S79)を行うようにすれば、型締工程(S1)中における成形品Gの取出作業を防止できるため、安全性をより高めることができる。
(6) 好適な態様により、突出し開始位置Xsを、突出しロッド2の最後退位置Xrから成形品Gに対する離型開始位置Xc間において任意に変更できるようにすれば、突出し時における初期衝撃の度合を任意に変更できるため、成形品Gの種類に応じた最適な突出し開始位置Xsを設定できる。
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る成形品突出し方法を実施できる射出成形機Mの構成について、図2〜図6を参照して説明する。
図2は、射出成形機M、特に、竪型射出成形機Mにおける型締装置Mcの全体構造を示す。仮想線で示すMbは機体であり、この機体Mbにより型締装置Mcが支持されるとともに、機体Mbの上面から起立した支持機構11により一部を仮想線で示す射出装置Miが支持される。
型締装置Mcは、機体Mbの上面に配した固定支持盤12を備え、この固定支持盤12の上面に、図3に示す平面視が円形の回転盤(移動盤)3を配する。また、固定支持盤12の上下方向に貫通する三本のタイバー14a,14b,14cを備え、各タイバー14a…は、固定支持盤12に対して昇降自在に支持される。この場合、図3に示すように、一本のタイバー14aは、回転盤3の中心に貫通させて配し、かつ残りの二本のタイバー14b,14cは、回転盤3の外側に配する。したがって、回転盤3はタイバー14aを中心に回転可能となる。回転盤3の上面(表面)3uにおける180〔゜〕対向位置には、第一固定型C1cと第二固定型C2cをそれぞれ取付けることができる。
回転盤3の上方に突出するタイバー14a…の上端には、可動盤15を取付固定する。この可動盤15の下面には可動型Cmを取付けることができる。また、固定支持盤12の下方に突出するタイバー14a…の下端には圧受盤16を支持するとともに、タイバー14b,14cとタイバー14a間における空間には、圧受盤16の上面と固定支持盤12の下面間に架設するトグルリンク機構Lを配設する。トグルリンク機構Lは、図4に示すように、圧受盤16に軸支した一対の第一リンクLa,Laと、固定支持盤12に軸支した一対の出力リンクLc,Lcと、第一リンクLa,Laと出力リンクLc,Lc間の支軸に結合した一対の第二リンクLb,Lbとを有し、この第二リンクLb,Lbはクロスヘッド17に軸支する。
圧受盤16とクロスヘッド17間には型締駆動部18を配設する。型締駆動部18は、圧受盤16に配したボールねじ機構部19及び回転駆動機構部20を備える。ボールねじ機構部19は、クロスヘッド17に一体に取付けたナット部19nとこのナット部19nに螺合するボールスクリュ部19sを備え、ボールスクリュ部19sの一端は、圧受盤16を貫通して当該圧受盤16の下面から突出させる。回転駆動機構部20は、型締サーボモータ21と、このサーボモータ21のモータシャフトに取付けた駆動ギア22と、ボールスクリュ部19sに取付けた被動ギア23と、この駆動ギア22と被動ギア23間に架け渡したタイミングベルト24を備える。なお、型締サーボモータ21には、この型締サーボモータ21の回転数を検出するロータリエンコーダ21eが付設されている。
これにより、型締サーボモータ21を作動させれば、駆動ギア22が回転し、駆動ギア22の回転は、タイミングベルト24を介して被動ギア23に伝達され、ボールスクリュ部19sが回転することによりナット部19nが進退(昇降)移動する。この結果、ナット部19nと一体のクロスヘッド17が昇降し、トグルリンク機構Lが屈曲又は伸長することにより、圧受盤16、更には三本のタイバー14a…を介した可動盤15が型開方向(上方向)又は型閉方向(下方向)へ移動する。
さらに、圧受盤16には型厚調整機構部25を配設する。型厚調整機構部25は、三本のタイバー14a…の後端側にねじ部26…を形成し、各ねじ部26…にそれぞれ調整ナット27…を螺合した調整機構を備える。この場合、調整ナット27…は圧受盤16に対するストッパを兼ねている。圧受盤16の上面には、ギアードモータを用いた型厚調整モータ29を配設する。型厚調整モータ29の出力シャフト29sは、圧受盤16の下面に突出させ、この出力シャフト29sの先端に、図5に示す駆動ギア30を取付けるとともに、各調整ナット27…に、それぞれスモールギア31…を一体に取付ける。各調整ナット27…とスモールギア31…はそれぞれ同軸上となる。また、各スモールギア31…及び駆動ギア30に噛合するラージギア32を配設する。ラージギア32は、リング形に形成し、内周面に沿って設けたレール部が圧受盤16に取付けた四つの支持ローラ33…により支持される。
これにより、型厚調整モータ29を作動させれば、駆動ギア30の回転によりラージギア32が回転するとともに、このラージギア32の回転により各スモールギア31…が同時に回転する。そして、各スモールギア31…と一体に回転する各調整ナット27…がタイバー14a…のねじ部26…に沿って進退(昇降)変位するため、圧受盤16も昇降変位し、圧受盤16の位置調整、即ち、型厚調整が行われる。
一方、固定支持盤12の下面には、回転盤駆動機構部40を配設する。回転盤駆動機構部40は、図2及び図3に示すように、固定支持盤12の下面に取付けた回転盤駆動モータ41を備える。この回転盤駆動モータ41のモータシャフトは、固定支持盤12を貫通して固定支持盤12の上面に突出させ、モータシャフトの先端には駆動ピニオン42を取付ける。そして、回転盤3の下面には、この回転盤3と同軸となる被動ギア43を固定し、この被動ギア43を駆動ピニオン42に噛合させる。
これにより、回転盤駆動モータ41を作動させれば、駆動ピニオン42の回転により被動ギア43が回転し、この被動ギア43と一体の回転盤3が回転する。この場合、回転盤3は、180〔゜〕単位で回転し、この際の停止位置は、リミットスイッチ等の検出により行われる。したがって、第一固定型C1cと第二固定型C2cは、それぞれ交互に可動型Cmの直下に配される。
また、45は本実施形態に係る要部を構成するエジェクタ機構部であり、固定支持盤12の下面に配設する。エジェクタ機構部45は、図2及び図6に示すように、支持部材46により支持されるエジェクタモータ47及びこのエジェクタモータ47の回転運動を直進運動(昇降)に変換するボールねじ機構部48を備えるとともに、このボールねじ機構部48により進退変位(昇降)する突出しロッド2を備える。
さらに、固定型C2c(C1cも同様)の内部には、突出しユニット収容空間51を設けるとともに、この固定型C2cの底面,回転盤3及び固定支持盤12には、図6に示すように、突出しロッド2が貫通するロッド挿通孔C2cv,3v及び12vを設ける。そして、突出しユニット収容空間51には、突出しユニット52を進退変位(昇降変位)可能に収容する。突出しユニット52は、ピン基板53及びこのピン基板53に起立して設けた複数の突出しピン54…を有する。一方、固定型C2cの上面には、成形品G(図8参照)を成形するキャビティ55が形成されているため、ユニット収容空間51から当該キャビティ55の内面における所定位置に貫通する複数のピン挿通孔56…を形成し、このピン挿通孔56…に突出しピン54…を挿通させる。この際、ユニット収容空間51内における突出しピン54…には、ピン基板53を下方に付勢する戻しスプリング57…を装着する。
これにより、エジェクタモータ47を作動させれば、この回転運動はボールねじ機構部48により昇降運動に変換され、突出しロッド2が昇降変位する。図6は、突出しロッド2が最後退位置Xrにある状態を示す。この状態では、突出しユニット52が戻しスプリング57…により下方に付勢されるため、最下降位置に位置し、突出しピン54…の上端面は、キャビティ55の内面に一致する。これに対して、突出しロッド2を最前進位置Xf(図8参照)まで前進させれば、突出しロッド2は突出しユニット52を押上げ、突出しピン54…がキャビティ55の内面から上方に突出して成形品Gに対する離型を行うことができる。
他方、60は、成形機コントローラであり、上述した型締サーボモータ21,型厚調整モータ29,回転盤駆動モータ41及びエジェクタモータ47を接続する。成形機コントローラ60は、少なくともコンピュータ機能、更には各モータ21,29,41及び47を作動制御するシーケンス制御機能を有する制御系60cを備えるとともに、本発明に係る成形品突出し方法を実行する制御プログラムPcを格納する。また、後述する突出し開始位置Xsを、突出しロッド2の最後退位置Xrから成形品Gに対する離型開始位置Xc間において任意に変更して設定できる突出し開始位置設定機能Fsを備えている。なお、図4中、59は機械的安全装置を示す。
次に、このような竪型射出成形機Mの全体動作を含む本実施形態に係る成形品突出し方法について、図2〜図8を参照しつつ図1に示すフローチャートに従って説明する。
なお、図2及び図3に示すように、回転盤3の上面3uには第一固定型C1cと第二固定型C2cが取付けられているとともに、可動盤15の下面には可動型Cmが取付けられている。これにより、第一固定型C1cと可動型Cmが組合わさることにより第一金型C1が構成され、第二固定型C2cと可動型Cmが組合わさることにより第二金型C2が構成される。また、本実施形態では、回転盤3の上面3uに設置された固定型C1c,C2cの入替により構成される二種類の金型C1,C2に対して順次型締を行う一台の型締装置Mcを用いるため、突出しロッド2の最後退位置Xrは、図6(図8)に示すように、回転盤3の裏面(下面)3dから抜脱した位置に設定する。
今、竪型射出成形機Mは、第一金型C1により成形を行うものとする。この場合、トグルリンク機構Lは屈曲した状態にあり、可動盤15は上昇位置(型開位置)にある。まず、第一金型C1に対する型締工程を行う(ステップS1,図7(c))。型締工程では、制御系60cにより型締サーボモータ21を制御し、トグルリンク機構Lを伸張させる。これにより、圧受盤16及び可動盤15が下降し、第一金型C1に対する型締が行われる。型締工程の終了により射出工程を行う(ステップS2,図7(a))。射出工程では、射出装置Miが第一金型C1に対してノズルタッチし、射出装置Miから第一金型C1に対して溶融樹脂の射出充填が行われる。射出工程の終了により計量工程を行う(ステップS3,図7(b))。計量工程では、射出装置Miの加熱筒に内蔵するスクリュが回転することによりスクリュの下方に溶融樹脂が計量蓄積される。計量工程の終了により型開工程を行う(ステップS4,図7(d))。型開工程では、型締サーボモータ21を制御し、トグルリンク機構Lを短縮させることにより可動盤15を上昇させる。
次いで、第一固定型C1cと第二固定型C2cを入替える型替工程を行う(ステップS5,図7(e))。この場合、回転盤駆動モータ41を制御することにより回転盤3を回転させれば、回転盤3の回転量(回転角)が180〔゜〕に達した位置で回転盤3の回転が停止する。これにより、成形品Gの付着した型開後の第一固定型C1cが可動型Cmに対して180〔゜〕離間した位置に変位し、第二固定型C2cが可動型Cmの直下に変位する。したがって、成形サイクルが継続する場合には、引続いて第二金型C2に対する型締工程が行われる(ステップS8,S1)。
また、上述した型替工程による回転盤3の回転が停止したなら上述した型締工程に加え、突出し工程を行う(ステップS7,図7(f))。この場合、まず、予備前進工程を行う(ステップS71〜S73)。予備前進工程では、エジェクタモータ47を制御することにより、突出しロッド2を最後退位置Xr(図8中ta時点)から前進させる(ステップS71)。そして、予め設定した突出し開始位置Xsまで前進させたなら突出しロッド2を一旦停止させる(ステップS72,S73)。
この突出し開始位置Xsは、成形機コントローラ60に備える突出し開始位置設定機能Fsにより設定できる。即ち、ディスプレイ等の設定画面を利用してオペレータが任意に設定できる。設定できる範囲は、突出しロッド2の最後退位置Xrから成形品Gに対する離型開始位置Xcまでの間(範囲)となる。離型開始位置Xcとは、成形品Gが実際に離型を開始する位置であり、具体的には、図8に示すように、突出しロッド2の先端面がピン基板53の底面に当接する位置とすることができる。
なお、突出し開始位置Xsの設定に際しては、離型開始位置Xcとなる突出しロッド2の先端面がピン基板53の底面に当接する位置或いはその直前の位置に設定すれば、突出し開始位置Xsから速やかに離型が開始するため、突出し時において、工程に遅れ(サイクルロス)を生じる不具合を回避できる。したがって、基本的には、できるだけ離型開始位置Xcに近い位置に設定することが望ましい。しかし、柔軟性を有する成形品Gのように、成形品Gの種類によっては、ある程度の初期衝撃を付加したほうが良好な離型を行うことができる場合がある。この場合には、例えば、図8に示すように、突出し開始位置Xsを、最後退位置Xrと離型開始位置Xcの中間位置Xmに設定することにより、後述する主突出し工程の開始時に、ピン基板53の底面に突出しロッド2に衝突させ、成形品Gに対してある程度の初期衝撃を付加することができる。
このように、突出し開始位置Xsを変更することにより、突出し時における初期衝撃の度合を任意に変更できるため、成形品Gの種類に応じた最適な突出し開始位置Xsを設定できる利点がある。また、上述した型替工程の終了後、次の成形における型締工程(S1)の期間に、予備前進工程(S71〜S74)を行うようにすれば、突出しを行う際における工程の遅れ(サイクルロス)を有効に回避しつつ予備前進工程(S71〜S74)を確実に行うことができる利点がある。
一方、突出しロッド2を突出し開始位置Xsに一旦停止させる時間は、型締工程(図7(c))が終了するまでであり、型締工程が終了したなら、主突出し工程(S75〜S80)を行う。主突出し工程では、エジェクタモータ47を制御することにより、突出しロッド2を突出し開始位置Xs(図8中tb時点)から再度前進させる(ステップS75)。この際、突出しロッド2は、図8に示す最前進位置Xfまで前進させる。そして、最前進位置Xfに達したなら、図8に示す動作パターン図のように、反復突出し動作を行う(ステップS76,S77)。具体的には、突出しロッド2を最前進位置Xfまで前進させた後、一旦、反復開始位置Xbまで後退させ、再度、最前進位置Xfまで前進させる動作を、一又は二以上繰り返す動作を行う。反復突出し動作が終了したなら、突出しロッド2を最後退位置Xr(図8中tc時点)まで後退させ、最後退位置Xrで停止させることにより、次の突出し工程まで待機する(ステップS78,S79,S80)。以上の動作が突出し工程となり、以後、同様の動作が繰り返される。
このように、主突出し工程(S75〜S80)を、予備前進工程(S71〜S74)の終了後であって、型締工程(S1)の終了後に行うようにすれば、型締工程(S1)中における成形品Gの取出作業を防止できるため、安全性をより高めることができる利点がある。
よって、このような本実施形態に係る成形品突出し方法によれば、突出しを行う際における工程の遅れ(サイクルロス)を回避できるという基本的効果を確保できることに加え、実施に際して、押出部材などの追加の部材(部品)を使用することなく、制御プログラム(ソフトウェア)の変更等により容易に対応できるなど、コスト面で有利になるとともに、型締装置Mcにおける無用な重量アップを回避できる。また、突出しロッド2を最後退位置Xrから突出し開始位置Xsまで前進させて一旦停止させ、この後、突出しロッド2を前進させて成形品Gの離型を行うようにしたため、例えば、成形品Gの種類に応じて突出し開始位置Xsを変更したいような場合であっても、容易かつ臨機応変に対応できる。しかも、実施形態のように、移動盤3の表面3uに設置された複数の固定型C1c,C2c(又は可動型)の入替により構成される複数種類の金型C1,C2に対して順次型締を行う一台の型締装置Mcを使用し、突出しロッド2の最後退位置Xrを、移動盤3の裏面3dから抜脱した位置に設定すれば、本発明に係る成形品突出し方法を最も有効に利用することができる。
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、複数種類の金型C1,C2として、複数の固定型C1c,C2cの入替により構成する場合を示したが、複数の可動型の入替により構成する場合であってもよい。また、複数種類の金型C1,C2として、二種類の金型C1,C2を例示したが、三種類以上であってもよい。一方、実施形態では、最適な例として、移動盤(回転盤)3の表面3uに設置された複数の固定型C1c,C2cの入替により構成される複数種類の金型C1,C2に対して順次型締を行う一台の型締装置Mcを使用した場合を示したが、一般的な射出成形機に備える一つの金型を支持する型締装置においても同様に利用可能である。さらに、他の形態の射出成形機Mとしては、上側に複数の固定型又は可動型を配し、下側に単一の可動型又は固定型を配した形態、或いは回転盤3を用いることなくスライド盤(移動盤)により固定型又は可動型を入替える形態など、他の各種形態の射出成形機Mにも同様に適用できる。また、電動式の射出成形機Mを用いた場合を例示したが、油圧式の射出成形機など、他の駆動形式による射出成形機に対しても同様に適用できる。
本発明の最良の実施形態に係る成形品突出し方法を説明するためのフローチャート、 同成形品突出し方法を実施できる射出成形機の側面構成図、 同射出成形機の平面構成図、 同射出成形機の背面構成図、 同射出成形機における型厚調整機構部の底面図、 同射出成形機におけるエジェクタ機構部の一部を示す断面側面図、 同成形品突出し方法を実施する際における射出成形機の工程を示すタイミングチャート、 同成形品突出し方法を実施する際の作用説明図、
符号の説明
2:突出しロッド,3:移動盤(回転盤),3u:移動盤(回転盤)の表面,3d:移動盤(回転盤)の裏面,M:射出成形機,Mc:型締装置,C1:金型,C2:金型,C1c:固定型,C2c:固定型,G:成形品,S1:型締工程,S7:突出し工程,S71〜S74:予備前進工程,S75〜S80:主突出し工程,Xr:最後退位置,Xs:突出し開始位置,Xr:最後退位置,Xc:離型開始位置

Claims (5)

  1. 樹脂を充填して成形を行った金型の型開き後、突出しロッドを前進させて成形品の離型を行う突出し工程における射出成形機の成形品突出し方法において、前記突出しロッドを最後退位置から予め設定した突出し開始位置まで前進させて一旦停止させる予備前進工程と、この予備前進工程の終了後、前記突出しロッドを前進させて成形品の離型を行う主突出し工程とを含むことを特徴とする射出成形機の成形品突出し方法。
  2. 移動盤の表面に設置された複数の固定型又は可動型の入替により構成される複数種類の金型に対して順次型締を行う一台の型締装置を使用し、前記突出しロッドの最後退位置は、前記移動盤の裏面から抜脱した位置に設定することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形品突出し方法。
  3. 前記固定型又は可動型の入替終了後、次の成形における型締工程の期間に、前記予備前進工程を行うことを特徴とする請求項2記載の射出成形機の成形品突出し方法。
  4. 前記予備前進工程の終了後であって、前記型締工程の終了後に前記主突出し工程を行うことを特徴とする請求項3記載の射出成形機の成形品突出し方法。
  5. 前記突出し開始位置は、前記突出しロッドの最後退位置から前記成形品に対する離型開始位置間において任意に変更可能であることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形品突出し方法。
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