JP2007320044A - タイヤ用プレキュアトレッドの製造方法 - Google Patents
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【課題】背面溝の角を傷つけることなく、背面溝の溝底から接地面部に連通する通気孔を貫通させることができるタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法および該製造方法により製造されたタイヤ用プレキュアトレッド、さらには前記タイヤ用プレキュアトレッドを用いることで、常に安定した高い走行耐久性能を有する更生タイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ踏面側に位置する接地面部2と、台タイヤ側に位置する背面部3とを有するとともに、接地面部2に表面溝4を、背面部3に背面溝5を、夫々有し、台タイヤのクラウン部に接着されるタイヤ用プレキュアトレッド1の製造方法であって、背面溝5の溝底7が、表面溝4の溝底6よりもタイヤ半径方向外側に位置し、かつ、背面溝5の溝底7から接地面部2まで連通する通気孔8を有するタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法である。通気孔8を接地面部2から貫通する。
【選択図】図1
【解決手段】タイヤ踏面側に位置する接地面部2と、台タイヤ側に位置する背面部3とを有するとともに、接地面部2に表面溝4を、背面部3に背面溝5を、夫々有し、台タイヤのクラウン部に接着されるタイヤ用プレキュアトレッド1の製造方法であって、背面溝5の溝底7が、表面溝4の溝底6よりもタイヤ半径方向外側に位置し、かつ、背面溝5の溝底7から接地面部2まで連通する通気孔8を有するタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法である。通気孔8を接地面部2から貫通する。
【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤ用プレキュアトレッドの製造方法、該方法により製造されたタイヤ用プレキュアトレッド、並びに該タイヤ用プレキュアトレッドを用いたタイヤに関する。
トラック・バス用タイヤなどのタイヤは、その走行量が増すと、タイヤのトレッドが次第に摩耗して、トレッドの表面に設けられた主溝が浅くなり、トレッドの踏面把持力が低下するとともに、タイヤのウェット性能が大幅に低下する。従って、通常、トレッドの内部に、その表面溝の溝底よりタイヤの半径方向外側位置から、半径方向内側に向かう背面溝を、タイヤ周方向へ連続させて、または断続的に設け、これにより、トレッドの摩耗末期にその背面溝を露出させることによって、ウェット性能その他の性能の低下を有効に防止することが行われている。
しかし、かかるタイヤにおいても、走行量の増加とともに、もはやウェット性能その他の性能の低下を無視することができなくなったときは、通常、タイヤの更生が行われることが多い。
更生タイヤをプレキュアトレッドと台タイヤとを用いて製造する従来の一般的方法は、摩耗したトレッドをバフした台タイヤのクラウン部に、シート状の未加硫クッションゴムを介してプレキュアトレッドを貼着した後、それを、加硫缶内で加熱、加圧することによってプレキュアトレッドと台タイヤとの加硫接着を行うものである。
このような製法で更生タイヤを製造する場合、トレッドから背面溝の溝底にまで達して、背面溝内と外気との連通をもたらす通気孔を設ける必要がある(特許文献1および2参照)。これは、トレッドゴムが発熱して背面溝内の空気その他の気体が熱膨張しても、かかる通気孔を経て当該気体が外部へ流出するようにするためである。これにより、膨張気体の、トレッドとクッションゴムとの間への流出、ひいては、トレッドの、クッションゴムからの剥離を防止することができ、また同時に、外部の冷えた空気が背面溝へ流入してクッションゴムおよび背面溝壁を冷却するので、トレッドおよびクッションゴムの熱疲労も抑制することができる。
図3に示すように、従来、かかる通気孔18は背面溝15側からピック10やドリル等を貫通させることにより設けられていた。
特開平1−317807号公報
特開平3−96407号公報
しかしながら、タイヤ用プレキュアトレッドを製造するにあたり、図3に示すように、従来のように背面溝15の溝底17から接地面部12に通気孔18を貫通する場合、背面溝15の角を傷つけてしまう場合があることが判明し、その状態で更生タイヤを製造して走行させると、当該傷の部分20の歪が増大し、早期に更生面での剥離が生じてしまうことを本発明者は突き止めた。
そこで、本発明の目的は、背面溝の角を傷つけることなく、背面溝の溝底から接地面部に連通する通気孔を貫通させることができるタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法および該製造方法により製造されたタイヤ用プレキュアトレッドを提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記タイヤ用プレキュアトレッドを用いることで、常に安定した高い走行耐久性能を有する更生タイヤを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、タイヤ用プレキュアトレッドの背面溝の幅は狭いことから、通気孔を接地面部から背面溝の溝底に向けて貫通する以外に背面溝の角を全く傷つけないようにするのは困難であるとの結論に達し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法は、タイヤ踏面側に位置する接地面部と、台タイヤ側に位置する背面部とを有するとともに、前記接地面部に表面溝を、前記背面部に背面溝を、夫々有し、台タイヤのクラウン部に接着されるタイヤ用プレキュアトレッドであって、前記背面溝の溝底が、前記表面溝の溝底よりもタイヤ半径方向外側に位置し、かつ、前記背面溝の溝底から前記接地面部まで連通する通気孔を有するタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法において、
前記通気孔を前記接地面部から貫通することを特徴とするものである。
前記通気孔を前記接地面部から貫通することを特徴とするものである。
本発明の製造方法においては、前記接地面部の、前記通気孔を貫通する箇所に予め的を設けておくことが好ましく、特に好ましくは前記的をタイヤ用プレキュアトレッド用のモールドに設けた刻印により形成する。また、前記的の直径を前記背面溝の溝底の幅よりも小さくすることが好ましい。さらに、前記通気孔は、ドリルまたはピックで好適に貫通することができる。
また、本発明のタイヤ用プレキュアトレッドは、前記製造方法により製造されたことを特徴とするものである。
さらに、本発明のタイヤは、前記タイヤ用プレキュアトレッドを、台タイヤに接着して一体化してなることを特徴とするものである。
本発明によれば、タイヤ用プレキュアトレッドの通気孔の貫通に際し、従来のように背面溝の角を傷つけてしまうことがなく、よって、製造された更生タイヤの走行時における当該傷の部分での集中歪が抑制され、早期に更生面での剥離が生じてしまうような欠陥品の発生を防止することができる。これにより、高い走行耐久性能を有する更生タイヤを安定して製造することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して具体的に説明する。図1に、タイヤ用プレキュアトレッド1に通気孔8を設ける様子を示す。タイヤ用プレキュアトレッド1は、タイヤ踏面側に位置する接地面部2と、台タイヤ側に位置する背面部3とを有し、接地面部2には周方向に延びる表面溝4が、また、背面部3には同様に周方向に延びる背面溝5が、夫々配設されている。背面溝5をタイヤ周方向に設けることにより、トレッドの摩耗末期にこの背面溝5が露出し、ウェット性能その他の性能の低下を有効に防止することができる。よって、背面溝5の溝底7は、表面溝4の溝底6よりもタイヤ半径方向外側に位置する。
本発明においては、背面溝5の溝底7から接地面部2まで連通する通気孔8を接地面部2側から貫通させることが肝要である。この貫通手段としては、従来、通気孔8を貫通するのに使用されてきた通常のドリルまたはピックを好適に使用することができる。
ピック10またはドリル等で通気孔8を貫通させる際、接地面部2の貫通箇所に予め的9を設けておくことが好ましい。この的9は、タイヤ用プレキュアトレッド1用のモールド(図示せず)に予め設けた刻印により形成することが特に好ましい。これにより、常に正確な位置に的9を配置することができる。
的9の直径は、背面溝5の溝底7の幅よりも小さくすることが好ましい。これにより、通気孔8を背面溝5の溝底7に的確に貫通させることが可能となる。通気孔8は、所望の通気性を確保するために、好ましくは0.5mm以上の直径を有する。なお、この通気孔8の数は、背面溝5が、プレキュアトレッド1の長さ方向へ連続していると不連続であるとを問わず、プレキュアトレッド1の全長にわたって6個以上設けることが好ましい。また、特に、背面溝5が不連続であって、その長さが1/5周未満の場合には溝ごとに少なくとも1個、その長さが1/2〜1/5周の場合には溝ごとに少なくとも3個通気孔8を設けることが好ましい。これにより、通気孔8本来の通気性能を十分に発揮させることができる。
本発明においては、通気孔8の貫通法に関する以外は慣用に従いプレキュアトレッドを製造することができる。
上述のようにして製造されたプレキュアトレッドを台タイヤに接着して一体化し、更生タイヤを製造するにあたっても慣用に従えばよく、例えば、摩耗したトレッドをバフした台タイヤのクラウン部に、シート状の未加硫クッションゴムを介してプレキュアトレッドを貼着した後、それを加硫缶内で加熱、加圧することによって、プレキュアトレッドと台タイヤとを加硫接着させ、更生タイヤを製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
(実施例)
サイズ11R225のタイヤについて、供試更生タイヤ7本を製造した。タイヤ用プレキュアトレッドとしては、3本の周方向に連続的に延びる表面溝(溝幅:10mm、溝深さ:14mm)と、同じく周方向に連続的に延びる2本の背面溝(溝幅:4mm、溝深さ:9mm)とを夫々有し、背面溝の溝底が表面溝の溝底よりも5.6mmタイヤ半径方向外側に位置する通常のタイヤ用プレキュアトレッドに対し、通気孔を接地面部側からドリルにて貫通したものを用いた。
(実施例)
サイズ11R225のタイヤについて、供試更生タイヤ7本を製造した。タイヤ用プレキュアトレッドとしては、3本の周方向に連続的に延びる表面溝(溝幅:10mm、溝深さ:14mm)と、同じく周方向に連続的に延びる2本の背面溝(溝幅:4mm、溝深さ:9mm)とを夫々有し、背面溝の溝底が表面溝の溝底よりも5.6mmタイヤ半径方向外側に位置する通常のタイヤ用プレキュアトレッドに対し、通気孔を接地面部側からドリルにて貫通したものを用いた。
通気孔は、いずれも直径1mmとし、プレキュアトレッドの全長にわたって6個設けた。また、貫通させるにあたり、予め、接地面部の、通気孔を貫通する箇所に的を設けておいた。この的は、プレキュアトレッド用のモールドに設けた刻印により形成した。
上述のようにして製造したプレキュアトレッドを、常法に従い、摩耗したトレッドをバフした台タイヤのクラウン部にシート状の未加硫クッションゴムを介して貼着した後、それを加硫缶内で加熱、加圧することにより更生タイヤを製造した。
(従来例)
タイヤ用プレキュアトレッドの製造条件は、通気孔の貫通を従来の製法に従い背面溝底側から行った以外はすべて実施例と同様とした。このようにして製造したプレキュアトレッドを用いて実施例と同様にして同サイズの供試更生タイヤ7本を製造した。
タイヤ用プレキュアトレッドの製造条件は、通気孔の貫通を従来の製法に従い背面溝底側から行った以外はすべて実施例と同様とした。このようにして製造したプレキュアトレッドを用いて実施例と同様にして同サイズの供試更生タイヤ7本を製造した。
実施例および従来例の更生タイヤに対し、ドラム走行耐久試験を実施した。試験は、JATMA YEAR BOOKに準拠した最大荷重、最大内圧および標準リムの条件下(荷重2425kg、内圧7.25kg/cm2)、走行速度60km/時にてタイヤ故障迄の走行距離を測定した。得られた結果を図1に示す。試験結果は、当該更生タイヤに対するドラム走行耐久試験の規格値基準走行距離を100として指数表示した。図示する試験結果から分かるように、実施例の7本の厚生タイヤはいずれも規格値基準またはその近傍値にまですべて到達しているが、従来例の7本の厚生タイヤではその内2本が規格値基準よりも大幅に低下していた。
1 タイヤ用プレキュアトレッド
2 接地面部
3 背面部
4 表面溝
5 背面溝
6 溝底
7 溝底
8 通気孔
9 的
10 ピック
2 接地面部
3 背面部
4 表面溝
5 背面溝
6 溝底
7 溝底
8 通気孔
9 的
10 ピック
Claims (8)
- タイヤ踏面側に位置する接地面部と、台タイヤ側に位置する背面部とを有するとともに、前記接地面部に表面溝を、前記背面部に背面溝を、夫々有し、台タイヤのクラウン部に接着されるタイヤ用プレキュアトレッドであって、前記背面溝の溝底が、前記表面溝の溝底よりもタイヤ半径方向外側に位置し、かつ、前記背面溝の溝底から前記接地面部まで連通する通気孔を有するタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法において、
前記通気孔を前記接地面部から貫通することを特徴とするタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法。 - 前記接地面部の、前記通気孔を貫通する箇所に予め的を設けておく請求項1記載のタイヤ用プレキュアトレッドの製造方法。
- 前記的をタイヤ用プレキュアトレッド用のモールドに設けた刻印により形成する請求項2記載の製造方法。
- 前記的の直径を前記背面溝の溝底の幅よりも小さくする請求項2または3記載の製造方法。
- 前記通気孔をドリルで貫通する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の製造方法。
- 前記通気孔をピックで貫通する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の製造方法。
- 請求項1〜6のうちいずれか一項記載の製造方法により製造されたことを特徴とするタイヤ用プレキュアトレッド。
- 請求項7記載のタイヤ用プレキュアトレッドを、台タイヤに接着して一体化してなることを特徴とするタイヤ。
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