JP2007319867A - アルミニウム合金押出材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定して同じ形状に曲げ加工ができると共に、塗装焼付けに相当する熱履歴を与えることにより、押出材に対して、ばらつきなく所望の耐力を与えることができるアルミニウム合金押出材の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともマグネシウムとシリコンを含むアルミニウム合金の鋳塊を溶体化処理する工程S12と、前記鋳塊を押出材に押出成形する工程S13と、該押出材を所定の設定された加熱温度条件で予備時効処理を行う工程S16と、を少なくとも含むアルミニウム合金の押出材の製造方法であって、前記製造方法は、押出成形工程S13と予備時効処理工程S16との間に、前記押出材の耐力を測定する工程S14と、該測定した耐力に基づいて前記加熱温度条件を設定する工程S15と、をさらに含む。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくともマグネシウムとシリコンを含むアルミニウム合金の鋳塊を溶体化処理する工程S12と、前記鋳塊を押出材に押出成形する工程S13と、該押出材を所定の設定された加熱温度条件で予備時効処理を行う工程S16と、を少なくとも含むアルミニウム合金の押出材の製造方法であって、前記製造方法は、押出成形工程S13と予備時効処理工程S16との間に、前記押出材の耐力を測定する工程S14と、該測定した耐力に基づいて前記加熱温度条件を設定する工程S15と、をさらに含む。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アルミニウム合金の押出材の製造方法に係り、特に、塗装焼付けを行うに好適なアルミニウム合金の押出材の製造方法に関する。
近年地球環境保護の観点から、自動車用構造用部材の材料としてアルミニウム合金が注目されており、その一つとしてAl−Mg−Si合金(6000系アルミニウム合金(JIS規格又はAA規格))が用いられることが多い。
Al−Mg−Si合金を用いて、自動車用構造用部材を製造する場合、以下に示す工程を経る。具体的には、図3に示すように、まず、アルミニウム合金の鋳塊を鋳造する(S71)。次に、鋳塊中の成分偏析を緩和して押出生産性を阻害する晶出物の分断を行うために均質化処理を行い、均質化処理が成されたアルミニウム合金に溶体化処理を行う(S72)。さらに、溶体化処理された鋳塊に対して押出成形を行って(S73)、この押出材に対して曲げ加工を行う(S74)。曲げ加工後の押出材は、充分な耐力が無いため、該押出材に対して熱処理として調質処理を行い(S75)、その後、塗装焼付けを行う(S76)。しかし、調質処理を行う場合、曲げ加工部材の加工形状によっては処理炉内のスペースを広く要することもあり、効率的に処理を行うことができない場合があった。
このような問題点を鑑みて、調質処理後に行われる塗装の焼付けの熱履歴を利用して、調質処理を行うことなくアルミニウム合金を所望の耐力に硬化させる、いわゆるベークハードと呼ばれる方法が提案されている。その一例として、アルミニウム合金の成分を調整する工程においてBe、Bを添加して、該添加した押出材を用いて、塗装焼付け時に硬化させる方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、Be、Bのような元素を添加することにより、溶体化処理後の自然時効を抑制し、塗装焼付け時のMg2Si相の析出を促進させて、アルミニウム合金を硬化させることができる。
また、上述した溶体化処理の後に、直ちに50℃〜100℃の温度条件で、一定時間加熱して予備時効処理を行う方法(特許文献2参照)や、上述した押出成形後直ちに、押出材を90±50℃で1〜24時間保持するアルミニウム押出材の成形方法(特許文献3参照)が提案されている。このような方法によれば、押出成形後直ちに上記加熱条件で押出材を加熱するので、塗装焼付け時のMg2Siの相の核を生成することにより、塗装焼付け時のMg2Si相の析出を促進させることができる。
しかし、特許文献1のように、Be、Bをアルミニウム合金の合金成分として調整するものは、成分管理が複雑になるとともにBeやB等を含有させることでコスト上昇に繋がるものであった。さらに、上記元素の添加量のわずかな相違によって、押出材の耐力にばらつきが生じることがあった。
また、特許文献2,3のように、予備時効処理を行った場合であっても、成分のわずかな相違によって、押出材の耐力にばらつきが生じ、曲げ加工精度に影響を及ぼすことがあった。さらに、塗装焼付け後の焼付け硬化性も安定的なものではなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、安定して同じ形状に曲げ加工ができると共に、塗装焼付けに相当する熱履歴を与えることにより、押出材に対して、ばらつきなく所望の耐力を与えることができるアルミニウム合金押出材の製造方法を提供することにある。
本発明に係るアルミニウム押出材の製造方法は、少なくともマグネシウムとシリコンを含むアルミニウム合金の鋳塊を溶体化処理する工程と、前記鋳塊を押出材に押出成形する工程と、該押出材を所定の設定された加熱温度条件で予備時効処理を行う工程と、を少なくとも含むアルミニウム合金の押出材の製造方法であって、前記製造方法は、押出成形工程と予備時効処理工程との間に、前記押出材の耐力を測定する工程と、該測定した耐力に基づいて前記加熱温度条件を設定する工程と、をさらに含むことを特徴とする。
本発明のような製造方法によれば、溶体化処理後のアルミニウム合金の押出材の耐力を測定することにより、それ以降の工程において、曲げ加工等がされた押出材の加工精度のばらつき、塗装焼付け後の製品の耐力のばらつきを的確に予測することができる。そして、測定した耐力に基づいて加熱温度条件を設定し、該加熱温度条件で予備時効処理を行うことより、曲げ加工等の二次加工前に各押出材に所望の耐力を与えることができる。なお、予備時効処理は、押出材を時効硬化させるものではないので、二次加工前の押出材の加工性は損なわれることはない。このような予備時効処理を経へた押出材に対して、塗装焼付けを行った場合、押出材の耐力を所望の大きさまで上げることが可能となり、製品の強度を確保することができる。なお、本発明にいう「予備時効処理」とは、その後の塗装焼付け工程における熱履歴によって、アルミニウム合金押出材の時効硬化を促進させるための処理であり、具体的には、自然時効を抑制し、Mg2Si析出物の核(いわゆるGPzone)を生成することができる範囲の温度条件によって、押出材を加熱する処理である。
本発明の製造方法においては、前記予備時効処理を、押出成形(溶体化処理)後、可能な限り直ちに行うことが好ましい。この態様によれば、自然時効を抑制し、Mg2Si析出物の核を生成することができるので、塗装焼付けによる材料の硬化性をより優れたものにすることが可能となる。なお、溶体化処理は、押出成形と同時またはその直後に行っても良く、この場合は、溶体化処理後直ちに予備時効処理を行うことが好ましい。
本発明に係るアルミニウム合金押出材の製造方法において、前記加熱温度条件を設定する工程は、前記押出材の基準耐力と該基準耐力に対応する基準加熱温度とを設定する工程と、前記測定耐力と基準耐力とを比較する工程と、該比較結果において、前記測定耐力が前記基準耐力よりも大きい場合には、前記基準加熱温度よりも低い温度に、また、前記測定耐力が前記基準耐力よりも小さい場合には、前記基準加熱温度よりも高い温度に、前記加熱温度条件を決定する工程と、を少なくとも含むことがより好ましい。
この態様によれば、アルミニウム合金の基準耐力に基づく加熱基準温度(例えば、その合金にMg2Si析出物の核が生成されるに必要な基準となる加熱温度)を予め決定しておき、これらに基づいて加熱温度条件を決定するので、各押出材の耐力のばらつきをより正確に抑えることができる。さらなる態様としては、前記比較工程において測定した耐力と基準耐力との偏差を算出し、算出された偏差に基づいて前記加熱温度条件を決定することがより好ましい。
本発明に係る押出材の前記アルミニウム合金として、質量%で、マグネシウムを0.3〜0.7%,シリコンを0.7〜1.5%、銅を0.35%以下、鉄を0.35%以下、チタンを0.005〜0.1%の範囲を満たし、さらに、質量%で、マンガンを0.05%〜0.30%、クロムを0.1%以下、ジルコニウムを0.10%以下の範囲を満たし、かつ、前記マンガン、前記クロム又は前記ジルコニウムのうちいずれか1種または2種以上を合計質量%で0.05%〜0.4%となるように含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物となるアルミニウム合金を用いることがより好ましい。
このように特定されるアルミニウム合金は、押出し成形性に優れており、予備時効処理において、140℃以下、数時間〜数十時間程度の加熱温度条件で、Mg2Si析出物の核(いわゆるGPzone)を生成することができる。
また、アルミニウムに添加するマグネシウム及びシリコンは、上述の如く、押出後冷却することにより、アルミニウムの過飽和固溶体を形成し、その後予備時効処理において、Mg2Si析出物を形成し合金強度を向上させる。塗装焼付け硬化性を有するアルミニウム合金の押出材として必要な耐力を確保するに最適なマグネシウムの含有量は、0.3%以上であり、さらに、押出成形時の変形抵抗の増大を抑制するためには、0.7%以下である。従って、マグネシウムは0.3〜0.7%とする。より望ましくは0.4%〜0.6%とする。
シリコンはマグネシウムに対して多く含有しても押出生産性を阻害しにくい。また、シリコンは塗装焼付け硬化性アルミニウム押出材として必要な耐力を確保するため、シリコンは0.7%以上含有することが好ましい。しかしながら、シリコンは1.5%を超えると、押出後冷却することによりアルミニウムに固溶しにくくなり、且つ、これ以上多く含有してもマグネシウムと同様に押出生産性を阻害する傾向にあることを考慮し、シリコンは1.5%以下であることが好ましい。従って、シリコンは0.7〜1.5%とする。より望ましくは、0.8%〜1.3%とする。
また、アルミニウムに添加する銅は、強度及び伸びを確保するためには含有されていることが好ましい。しかし、添加する銅の含有量が過剰であると、アルミニウム合金の耐食性が低下し、押出時における変形抵抗が増加し、生産性を阻害する傾向がある。これを考慮し、銅は0.35%以下とする。
また、アルミニウムに添加する鉄は、鋳造時において金属間化合物を多く晶出し、合金強度を低下させる。この金属間化合物は粗大であり、その後の予備時効処理で耐力を向上させるMg2Si析出物を構成しているシリコンを取り込むために析出物の大きさは小さくなる。また、過剰であると耐食性が低下する。これを考慮し、鉄は0.35%以下とする。
また、マンガン、クロム、ジルコニウムは押出時の再結晶を抑制し、線維状態を安定化するので効果がある。しかし、クロム、ジルコニウムを含有し過ぎた場合、焼入れ感受性を大きく阻害し、自動車等の構造材を形成するアルミニウム押出材によっては、押出後のファン空冷で過飽和固溶体が形成しづらくなり、その後の予備時効処理で耐力を向上させるMg2Si析出物の密度が小さくなる。また、ジルコニウムは、鋳造時にチタンと金属化合物を形成し、チタンの結晶を微細化する効果を減少させるとともに、鋳造時に割れが発生する原因となる。
マンガンは、比較的に焼入れ感受性を阻害し難く、再結晶を抑制しやすい。再結晶を抑制する効果を得るためには、マンガンは、アルミニウム合金中に0.05%以上含有する必要がある。しかし、マンガンが、0.30%以上含有すると、クロム、ジルコニウムと同様に焼入れ感受性を阻害し、自動車等の構造材を形成するアルミニウム押出材によっては、押出後のファン空冷で過飽和固溶体が形成しづらくなり、その後の予備時効処理で耐力を向上させるMg2Si析出物の密度が小さくなる。このことを考慮して、アルミニウム合金は、マンガン0.05%〜0.30%、クロム0.1%以下、ジルコニウム0.10%以下の範囲を満たし、かつ、前記マンガン,前記クロム又は前記ジルコニウムのうちいずれか1種または2種以上を合計質量%で0.05%〜0.4%となるように含有している。
また、アルミニウム合金に添加するチタンは、鋳造時に結晶を微細化させるが、過剰に添加しても添加効果が飽和する。これを考慮し、チタンの最適な含有量は、0.005〜0.10%である。
不可避不純物は、アルミニウム合金を鋳造する際の地金、添加元素の中間合金など様々な経路で混入する。混入する元素は様々であるが、単体で0.05%以下、総量で0.15%以下であれば合金特性にほとんど影響を及ぼさない。
本発明に係るアルミニウム合金押出材の製造方法において、前記予備時効処理工程後の押出材の耐力が80〜160MPaとなるように、前記加熱温度条件を設定する工程において、加熱温度90±50℃、加熱保持時間1〜24時間の範囲内で、前記加熱温度条件を設定することがより好ましい。本態様によれば、前記条件の範囲内となるように、加熱温度条件を設定した場合には、押出材の耐力は、その後の曲げ加工等に支障の無い程度の耐力まで該耐力を向上させることができ、さらに塗装焼付け後に、自動車用構造用部材として好適な耐力を得ることができる。
さらに、本発明に係るアルミニウム合金押出材の製造方法は、前記予備時効処理工程後の押出材に曲げ加工を行う工程と、該曲げ加工を行った押出材の表面に170℃、30分間の条件で塗装焼付けを行う工程と、をさらに含むことが好ましい。このような条件は、自動車用構造用部材の塗装条件に好適な条件であり、このような塗装を行うことにより、押出材の焼付け硬化性を促進し、押出材の耐力をさらに向上させることができる。また、押出材は、前記塗装焼付けに相当する熱履歴を加えたときに、耐力が180MPa以上となるように設定されていることがより好ましい。このようにして製造された部材は、自動車用構造用部材として適用されることが望ましい。
本発明によれば、押出材を安定して同じ形状に曲げ加工ができる。さらに、塗装焼付けに相当する熱履歴を与えた場合に、各押出材のばらつきを抑えて、所望の耐力まで該耐力の上昇を図ることができる。
以下に、本発明を実施例により説明する。
(実施例1−1)
まず、少なくともマグネシウムとシリコンを含むアルミニウム合金の鋳塊として、表1に示すような材料1を準備した。そして、図1に示すように、アルミニウム合金の鋳塊を鋳造した(S11)。この鋳塊に均質化処理及び溶体化処理を行い(S12)、該溶体化処理された鋳塊を押出成形した(S13)。次に、押出成形工程後に押出材の耐力を測定し(S14)、耐力は表1に示すように119MPaであった。該測定した耐力に基づいて、後述する予備時効処理における加熱温度条件の設定を行った(S15)。
(実施例1−1)
まず、少なくともマグネシウムとシリコンを含むアルミニウム合金の鋳塊として、表1に示すような材料1を準備した。そして、図1に示すように、アルミニウム合金の鋳塊を鋳造した(S11)。この鋳塊に均質化処理及び溶体化処理を行い(S12)、該溶体化処理された鋳塊を押出成形した(S13)。次に、押出成形工程後に押出材の耐力を測定し(S14)、耐力は表1に示すように119MPaであった。該測定した耐力に基づいて、後述する予備時効処理における加熱温度条件の設定を行った(S15)。
具体的には、図2に示すように、加熱温度条件を設定する工程(S15)において、押出材の基準耐力を126MPaに設定し、該基準耐力に対応する基準加熱温度を60℃に設定した(S51)。そして、押出材の測定耐力と基準耐力とを比較し(S52)、測定耐力119MPaが基準耐力126MPaよりも小さいので、図2に示すように、基準加熱温度よりも高い温度70℃に加熱温度条件を決定した(S53a)。
このように決定された加熱温度条件で、12時間、図1に示す押出材の予備時効処理を行った(S16)。さらに、予備時効処理工程後の押出材に曲げ加工を行い(S17)、該曲げ加工を行った押出材の表面に170℃、30分間の条件で塗装焼付けを行った(S18)。そして、塗装焼付け後の押出材の耐力を測定した。この結果を表2に示す。尚表2には、焼付け後の基準となる目標基準耐力を示し、該目標基準耐力と、焼付け後耐力との偏差も合わせて示した。また、加工された押出材の形状の外観観察を行った。
(実施例1−2)
実施例1−1と同じようにして、アルミニウム合金鋳造工程(S11)から塗装焼付け工程(S17)までを行った。実施例1−1と異なる点は、耐力測定工程(S52)において、測定した耐力が132MPaであり、測定耐力132MPaが基準耐力126MPaよりも大きかったので、基準加熱温度よりも低い温度50℃に加熱温度条件を決定した(S53b)。そして、実施例1−1と同様に、塗装焼付け後の押出材の耐力を測定した。この結果を表2に示す。また、加工された押出材の形状の外観観察を行った。
実施例1−1と同じようにして、アルミニウム合金鋳造工程(S11)から塗装焼付け工程(S17)までを行った。実施例1−1と異なる点は、耐力測定工程(S52)において、測定した耐力が132MPaであり、測定耐力132MPaが基準耐力126MPaよりも大きかったので、基準加熱温度よりも低い温度50℃に加熱温度条件を決定した(S53b)。そして、実施例1−1と同様に、塗装焼付け後の押出材の耐力を測定した。この結果を表2に示す。また、加工された押出材の形状の外観観察を行った。
(比較例1−1)
実施例1−1と同じ鋳塊から成形した押出材を用いて、実施例1−1と同じ工程を行った。実施例1−1と相違する点は、表2に示すように予備時効処理における加熱温度条件を50℃とした点のみが相違する。この処理後の耐力及び焼付け後の耐力を実施例1−1と同様に表2に示す。また、加工された押出材の形状の外観観察を行った。
(比較例1−2)
実施例1−2と同じ鋳塊から成形した押出材を用いて、実施例1−1と同じ工程を行った。実施例1−2と相違する点は、予備時効処理における加熱温度条件を70℃とした点のみが相違する。この処理後の耐力及び焼付け後の耐力を実施例1−2と同様に表2に示す。また、加工された押出材の形状の外観観察を行った。
実施例1−1と同じ鋳塊から成形した押出材を用いて、実施例1−1と同じ工程を行った。実施例1−1と相違する点は、表2に示すように予備時効処理における加熱温度条件を50℃とした点のみが相違する。この処理後の耐力及び焼付け後の耐力を実施例1−1と同様に表2に示す。また、加工された押出材の形状の外観観察を行った。
(比較例1−2)
実施例1−2と同じ鋳塊から成形した押出材を用いて、実施例1−1と同じ工程を行った。実施例1−2と相違する点は、予備時効処理における加熱温度条件を70℃とした点のみが相違する。この処理後の耐力及び焼付け後の耐力を実施例1−2と同様に表2に示す。また、加工された押出材の形状の外観観察を行った。
(結果1)
実施例1−1,1−2の塗装焼付処理後の耐力は、比較例1−1,1−2に比べて、目標基準耐力に近く、塗装焼付け後における耐力のばらつき(偏差)が小さかった。また、外観観察の結果、実施例1−1,1−2の加工された押出材の形状は、ほとんど同じであったのに対して、比較例1−2,1−2のものを比較すると、わずかに形状に違いがあった。
実施例1−1,1−2の塗装焼付処理後の耐力は、比較例1−1,1−2に比べて、目標基準耐力に近く、塗装焼付け後における耐力のばらつき(偏差)が小さかった。また、外観観察の結果、実施例1−1,1−2の加工された押出材の形状は、ほとんど同じであったのに対して、比較例1−2,1−2のものを比較すると、わずかに形状に違いがあった。
(考察1)
上記結果から、塗装焼付け処理後の耐力は、押出成形後における予備時効処理の加熱温度に依存するといえる。実施例1−1、1−2の如く、押出成形後の耐力にあわせて、予備時効処理の加熱温度を決めたので、曲げ加工時の加工精度も向上し、加工された押出材を目標基準耐力の近くに耐力を上昇させつつ、耐力のばらつきを抑えることができたものであると考えられる。
上記結果から、塗装焼付け処理後の耐力は、押出成形後における予備時効処理の加熱温度に依存するといえる。実施例1−1、1−2の如く、押出成形後の耐力にあわせて、予備時効処理の加熱温度を決めたので、曲げ加工時の加工精度も向上し、加工された押出材を目標基準耐力の近くに耐力を上昇させつつ、耐力のばらつきを抑えることができたものであると考えられる。
(実施例2−1,2−2)
実施例2−1,2−2は、上記表1の材料2となるように鋳塊を鋳造し、該鋳塊を用いて順次実施例1−1,1−2と同じ工程を行った。実施例1−1,1−2とは、表3に示すように、上記成分の違いにより基準耐力及び目標基準耐力が相違しているのみであり、実施例1−1,1−2と同様に、塗装焼付けを行い、焼付け後の押出材の耐力を測定した。この結果を表3に示す。
実施例2−1,2−2は、上記表1の材料2となるように鋳塊を鋳造し、該鋳塊を用いて順次実施例1−1,1−2と同じ工程を行った。実施例1−1,1−2とは、表3に示すように、上記成分の違いにより基準耐力及び目標基準耐力が相違しているのみであり、実施例1−1,1−2と同様に、塗装焼付けを行い、焼付け後の押出材の耐力を測定した。この結果を表3に示す。
(比較例2−1,2−2)
比較例2−1,2−2は、順次実施例2−1,2−2と同じ鋳塊から押出成形した押出材を用いており、実施例2−1,2−2と相違する点は、表2に示すように予備時効処理における加熱温度条件をそれぞれ、50℃,70とした点のみである。そして、実施例2−1,2−2と同じように耐力を測定した。この結果を表3に示す。
比較例2−1,2−2は、順次実施例2−1,2−2と同じ鋳塊から押出成形した押出材を用いており、実施例2−1,2−2と相違する点は、表2に示すように予備時効処理における加熱温度条件をそれぞれ、50℃,70とした点のみである。そして、実施例2−1,2−2と同じように耐力を測定した。この結果を表3に示す。
(結果2及び考察2)
上記実施例と同じように、実施例2−1,2−2の塗装焼付処理後の耐力は、比較例2−1,2−2に比べて、目標耐力に近く、耐力のばらつき小さい。このように、塗装焼付け後の耐力は、押出成形後における予備時効処理の加熱温度に依存するといえ、実施例2−1,2−2の如く、押出成形後の耐力にあわせた加熱温度条件で予備時効処理を行うことにより、塗装焼付け後の耐力のばらつきを低減することができると考えられる。
上記実施例と同じように、実施例2−1,2−2の塗装焼付処理後の耐力は、比較例2−1,2−2に比べて、目標耐力に近く、耐力のばらつき小さい。このように、塗装焼付け後の耐力は、押出成形後における予備時効処理の加熱温度に依存するといえ、実施例2−1,2−2の如く、押出成形後の耐力にあわせた加熱温度条件で予備時効処理を行うことにより、塗装焼付け後の耐力のばらつきを低減することができると考えられる。
(実施例3,4)
実施例3,4は、順次実施例1−1,1−2と同じ材料を準備した。具体的には、表1からも明らかのように、アルミニウム合金として、質量%で、マグネシウムを0.3〜0.7%,シリコンを0.7〜1.5%、銅を0.35%以下、鉄を0.35%以下、チタンを0.005〜0.1%の範囲を満たし、さらに、質量%で、マンガンを0.05%〜0.30%、クロムを0.1%以下、ジルコニウムを0.10%以下の範囲を満たし、かつ、前記マンガン,前記クロム又は前記ジルコニウムのうちいずれか1種または2種以上を合計質量%で0.05%〜0.4%となるように含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物となるような材料を用いた。そして、それぞれ、表5に示す条件(それぞれ実施例1−1,比較例1−2と同じ条件)で予備時効処理、塗装焼付け処理を行い、耐力を測定した。この結果を、表5に示す。
実施例3,4は、順次実施例1−1,1−2と同じ材料を準備した。具体的には、表1からも明らかのように、アルミニウム合金として、質量%で、マグネシウムを0.3〜0.7%,シリコンを0.7〜1.5%、銅を0.35%以下、鉄を0.35%以下、チタンを0.005〜0.1%の範囲を満たし、さらに、質量%で、マンガンを0.05%〜0.30%、クロムを0.1%以下、ジルコニウムを0.10%以下の範囲を満たし、かつ、前記マンガン,前記クロム又は前記ジルコニウムのうちいずれか1種または2種以上を合計質量%で0.05%〜0.4%となるように含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物となるような材料を用いた。そして、それぞれ、表5に示す条件(それぞれ実施例1−1,比較例1−2と同じ条件)で予備時効処理、塗装焼付け処理を行い、耐力を測定した。この結果を、表5に示す。
(比較例3,4)
以下の表4に示す材料を用いて、実施例3,4と同じような耐力測定を行った。実施例3,4と相違する点は、シリコンが0.7〜1.5%の範囲にない点である。さらに、実施例3,4の如く予備時効処理も行っていない点である。この結果を表5に示す。なお、焼付後耐力の欄には、調質時(T5)における耐力を参考値として()内に示した。
以下の表4に示す材料を用いて、実施例3,4と同じような耐力測定を行った。実施例3,4と相違する点は、シリコンが0.7〜1.5%の範囲にない点である。さらに、実施例3,4の如く予備時効処理も行っていない点である。この結果を表5に示す。なお、焼付後耐力の欄には、調質時(T5)における耐力を参考値として()内に示した。
(結果3及び考察3)
実施例3,4は、比較例3,4に比べ、処理後の耐力上昇大きく、焼付後耐力が大きかった。これは、シリコンを0.7〜1.5%の範囲にし、予備時効処理を行ったことによると考えられる。
実施例3,4は、比較例3,4に比べ、処理後の耐力上昇大きく、焼付後耐力が大きかった。これは、シリコンを0.7〜1.5%の範囲にし、予備時効処理を行ったことによると考えられる。
S12:均質化・溶体化処理工程,S13:押出材成形工程,S14:耐力測定工程,S15:加熱温度条件設定工程,S16:予備時効処理工程,S17:曲げ加工工程,S18:塗装焼付け工程,S51:基準耐力及び基準加熱温度を設定する工程,S52:耐力比較工程,S53a,S53b:加熱温度条件決定工程
Claims (7)
- 少なくともマグネシウムとシリコンを含むアルミニウム合金の鋳塊を溶体化処理する工程と、前記鋳塊を押出材に押出成形する工程と、該押出材を所定の設定された加熱温度条件で予備時効処理を行う工程と、を少なくとも含むアルミニウム合金の押出材の製造方法であって、
前記製造方法は、押出成形工程と予備時効処理工程との間に、前記押出材の耐力を測定する工程と、該測定した耐力に基づいて前記加熱温度条件を設定する工程と、をさらに含むことを特徴とするアルミニウム合金押出材の製造方法。 - 前記加熱温度条件を設定する工程は、
前記押出材の基準耐力と、該基準耐力に対応する基準加熱温度とを設定する工程と、
前記測定耐力と基準耐力とを比較する工程と、
該比較結果において、前記測定耐力が前記基準耐力よりも大きい場合には、前記基準加熱温度よりも低い温度に、また、前記測定耐力が前記基準耐力よりも小さい場合には、前記基準加熱温度よりも高い温度に、前記加熱温度条件を決定する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金押出材の製造方法。 - 前記アルミニウム合金として、質量%で、マグネシウムを0.3〜0.7%,シリコンを0.7〜1.5%、銅を0.35%以下、鉄を0.35%以下、チタンを0.005〜0.1%の範囲を満たし、
さらに、質量%で、マンガンを0.05%〜0.30%、クロムを0.1%以下、ジルコニウムを0.10%以下の範囲を満たし、かつ、前記マンガン、前記クロム又は前記ジルコニウムのうちいずれか1種または2種以上を合計質量%で0.05%〜0.4%となるように含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物となるアルミニウム合金を用いることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のアルミニウム合金押出材の製造方法。 - 前記予備時効処理工程後の押出材の耐力が80〜160MPaとなるように、前記加熱温度条件を設定する工程において、加熱温度90±50℃、加熱保持時間1〜24時間の範囲内で、前記加熱温度条件を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム合金押出材の製造方法。
- 前記予備時効処理工程後の押出材に曲げ加工を行う工程と、該曲げ加工を行った押出材の表面に170℃、30分間の条件で塗装焼付けを行う工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム合金押出材の製造方法。
- 前記押出材が、塗装焼付けに相当する熱履歴を加えたときに、耐力が180MPa以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金押出材の製造方法。
- 前記請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造された自動車用構造用部材。
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