JP2007317826A

JP2007317826A - 外箱収納形変圧器

Info

Publication number: JP2007317826A
Application number: JP2006144967A
Authority: JP
Inventors: Kazuo Nishiyama; 和男西山; Yoji Matsuda; 洋二松田; Masao Hosokawa; 正雄細川; Kazumoto Fukui; 和元福井
Original assignee: Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd
Current assignee: Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd
Priority date: 2006-05-25
Filing date: 2006-05-25
Publication date: 2007-12-06

Abstract

【課題】簡易な構成下で電磁ノイズの外部への漏洩を抑えた外箱収納形変圧器を提供する。
【解決手段】変圧器本体１０を収納する外箱１１を、変圧器本体１０のコイル端子を外部配線と接続する接続用端子部１２ｂ１−１２ｂ３を覆う扉部１１ａ１、１１ｂが少なくとも、フェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成する。好ましくは、変圧器本体の側面側を覆う側板１１ｃ、１１ｄ、上面側を覆う天井材及びベース材もフェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成する。
【選択図】図１

Description

本発明は、外箱収納形変圧器に係り、特に、変圧器本体を収納する外箱の構成に関する。

変圧器本体を収納し地上に設置される外箱収納形変圧器は、従来は、外箱は、普通鋼板や、ＳＵＳ３０４などのマルテンサイト系ステンレス鋼を用いて構成される。普通鋼板で構成された場合は、防錆や美観のために、該普通鋼板の表裏両面に、亜鉛溶射、亜鉛めっき、塗装などの処理が施される。また、マルテンサイト系ステンレス鋼で構成された場合は、該ステンレス鋼が、耐食性に優れているため、亜鉛溶射（溶融亜鉛を金属表面に吹付ける処理）や亜鉛めっきなどの防錆対策は不要であるが、非磁性材であるために、変圧器本体のコイル端子と外部配線との接続部において通電電流により発生する電磁界の、外箱の外部への漏洩量が多い。該漏洩量は、人体や周囲の他機器に悪影響を及ぼさないレベルにまで低減させることが望まれる。

図２Ａ、図２Ｂは、外箱１１'が、非磁性材のマルテンサイト系ステンレス鋼で構成された外箱収納形変圧器１'の、該外箱１１'の表面における漏洩磁界の測定結果例を示す。各数値と柱状グラフは、各面のそれぞれの位置において外箱表面から５０ｃｍ離れた位置における漏洩磁界による磁束密度の測定値を示す。測定は、外箱収納形変圧器１'の２次コイルを短絡し、１次コイルに商用周波数（６０Ｈｚ）の定格電流（Ｕ相：２５０Ａ、Ｖ相：１７０Ａ、Ｗ相：２００Ａ）を通電した状態で行った。該測定結果によると、漏洩磁束密度は外箱１１'の面ＡＢＣＤの表面で最大となる。これは、該面ＡＢＣＤでは、第１の扉部１１ａ_１'の内面に近接した位置に、変圧器本体のコイル端子を外部配線側と接続するコイル接続用端子部が設けられ、特に、該コイル接続用端子部に外部配線側の裸の接続用電線の端末が接続されていることに起因する。すなわち、該接続用端子部及び該接続用電線の端末部の周囲に通電による電流磁界が形成され、該磁界が、マルテンサイト系ステンレス鋼の第１の扉部１１ａ_１'及び側板部１１ａ_２'を通り抜けて漏洩することによる。１１ｂ'は面ＡＤＨＥを形成する第２の扉部、１１ｃ'は面ＦＧＣＢを形成する側板部、１１ｄ'は面ＥＨＧＦを形成する側板部、１１ｅ'は面ＡＢＦＥを形成する天井板部、１３'はベース材である。

上記漏洩磁界を低減するために、従来の外箱収納形変圧器１'では、図３に示すように、上記第１の扉部１１ａ_１'の内面側に、漏洩磁界遮蔽材として、磁性材である普通鋼板１５を固定し、コイル接続用端子部１２ａ_１〜１２ａ_４及び該接続用電線の端末部１２ａ_１１〜１２ａ_４２を覆うようにしている。普通鋼板１５は、ねじを用いた固定手段１６ａ〜１６ｄにより扉部１１ａ_１'の内面側に固定されている（図３（ｂ））。

また、本発明に関連した従来技術であって、特許文献に記載されたものとしては、例えば、実開平５−８９２４号公報（特許文献１）、特許第３３２５９６４号明細書（特許文献２）、特開２０００−３６４１９号公報（特許文献３）などに記載された技術がある。

実開平５−８９２４号公報特許第３３２５９６４号明細書特開２０００−３６４１９号公報

上記従来技術のうち、図３の構成の場合は、扉部１１ａ_１'の内面側に、漏洩磁界遮蔽材としての普通鋼板１５を、固定手段１６ａ〜１６ｄにより固定する構成のため、部品数の増加や組立て工数の増大になって、製造コストが増大する上、外箱収納形変圧器全体の重量も増大させることになる。また、実開平５−８９２４号公報記載の技術は、変圧器の１次巻線または２次巻線のうちの一方の引き出し線から放射されたノイズが他方の引き出し線に侵入するのを防ぐための技術であり、外箱は導電性のものであれば足りる。また、特許第３３２５９６４号明細書記載の技術は、外箱収納形変圧器における低周波の電磁ノイズを遮断するものではなく、かつ、フェライト系ステンレス鋼の筐体と導電性パッキングとの組合せ構造が必要である。さらに、該導電性パッキングの接触面を無塗装とする必要があり、加えて、塩害対策のための亜鉛溶射や塗装等の表面処理を施す必要がある。また、特開２０００−３６４１９号公報に記載の技術は、オーステナイト系ステンレス鋼板とフェライト系ステンレス鋼板との接合という複雑な構造が必要であり、製造コストや変圧器容積の増大を招くおそれがある。

本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、外箱収納形変圧器において、部品数や変圧器容積を増大させることなく簡易な構成下で、低周波（５０Ｈｚ〜６０Ｈｚ）の電磁ノイズの外部への漏洩を抑えられるようにすることである。
本発明の目的は、かかる課題点を解決し、低ノイズで信頼性の高い外箱収納形変圧器を提供することにある。

上記課題点を解決するために、本発明では、外箱収納形変圧器として、外箱を、変圧器本体のコイル端子を外部配線と接続する接続用端子部を覆う扉部が少なくとも、フェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成された構成とする。

本発明によれば、簡易な構成により、外箱からの電磁界の漏洩を低減化させることができ、塩害地域においても長期的に使える長寿命型の外箱収納形変圧器を提供することができる。

以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図１は、本発明の実施例としての外箱収納形変圧器の構成例図である。（ａ）は上面図、（ｂ）は１次接続用端子部側の側面図、（ｃ）は２次接続用端子部側の側面図である。
図１において、１は外箱収納形変圧器、１０は変圧器本体、１１は、変圧器本体１０が収納される外箱、１１ａ_１は、変圧器本体１０内の１次コイルの端子を外部配線と接続する１次コイル接続用端子部を覆う外箱１１の第１の扉部、１１ａ_２は、第１の扉部１１ａ_１とともに外箱１１の１次接続用端子部側部分を形成する側板部、１１ｂは、変圧器本体１０内の２次コイルの端子を外部配線と接続する２次コイル接続用端子部を覆う第２の扉部、１１ｃは、外箱１１の第２の扉部１１ｂとは反対側の側面を形成する側板部、１１ｄは、外箱１１の第１の扉部１１ａ_１や側板部１１ａ_２とは反対側の側面を形成する側板部、１１ｅは、外箱１１の天井側（Ｚ軸方向側）の面を形成する天井板部、１２ａ_１〜１２ａ_４は１次コイル接続用端子部、１２ａ_１１〜１２ａ_４２は、１次コイル接続用端子部１２ａ_１〜１２ａ_４に接続された外部配線側の接続用電線の端末部、１２ｂ_１〜１２ｂ_３は２次コイル接続用端子部、１２ｂ_１１〜１２ｂ_３２は、２次コイル接続用端子部１２ｂ_１〜１２ｂ_３に接続された外部配線側の接続用電線の端末部、１３はベース材である。変圧器本体１０は、例えば、普通鋼板などで形成したタンク（図示なし）の中に油液（図示なし）を満たし、該油液中にコア、１次コイル、２次コイルなどを浸漬した構成とする。

上記構成において、外箱１１を形成する第１の扉部１１ａ_１と第２の扉部１１ｂは、磁性材であって耐塩性及び耐食性の優れたフェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成し、その表裏両面には亜鉛溶射処理または溶融亜鉛めっき処理を施し、さらに、該処理した表面を塗装する。例えば、フェライト系ステンレス鋼の場合、外箱１１に適用可能なものとしては、ＳＵＳ４１０、ＳＵＳ４０９など複数種類あるが、ここでは、成分組成が、Ｃ０．０３％以下、Ｓｉ０．５０％以下、Ｍｎ１．００％以下、Ｐ０．０３５％以下、Ｓ０．０２５％以下、Ｎｉ０．５０％以下、Ｃｒ１０．７５％以下、Ｎ０．０２５％以下のもの（ＳＵＳ４１０）を用いるとする。外箱１１を形成する他の部材すなわち側板部１１ａ_２、側板部１１ｃ、側板部１１ｄ、天井板部１１ｅ、ベース材１３、骨組み材としてのフレーム（図示なし）などは、特に耐食性の優れた非磁性のマルテンサイト系ステンレス鋼のＳＵＳ３０４で構成し、その表裏両面を塗装する。亜鉛溶射処理や溶融亜鉛めっき処理は施さない。亜鉛溶射処理または溶融亜鉛めっき処理は、フェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼の耐食性を助長するために施す。

上記構成により、磁性材であるフェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成された第１の扉部１１ａ_１は、１次コイル接続用端子部１２ａ_１〜１２ａ_４と、外部配線側の接続用電線の端末部１２ａ_１１〜１２ａ_４２とを覆い、通電時に該１次コイル接続用端子部１２ａ_１〜１２ａ_４と該端末部１２ａ_１１〜１２ａ_４２とで発生する磁界が外箱１１の外部に漏洩するのを抑える。該第１の扉部１１ａ_１により、該第１の扉部１１ａ_１側の外箱表面における磁束密度は、図３で説明した測定時と同じ条件の電流を変圧器本体１０のコイルに通電した場合、約３０×１０^−９Ｔ以下の実用上問題ないレベルにすることができる。また、同様に、第２の扉部１１ｂは、２次コイル接続用端子部１２ｂ_１〜１２ｂ_３と、外部配線側の接続用電線の端末部１２ｂ_１１〜１２ｂ_３２とを覆い、通電時に該２次コイル接続用端子部１２ｂ_１〜１２ｂ_３と該端末部１２ｂ_１１〜１２ｂ_３２とで発生する磁界が外箱１１の外部に漏洩するのを抑える。該第２の扉部１１ｂにより、該第２の扉部１１ｂ側の外箱表面における磁束密度は、約２０×１０^−９Ｔ以下のレベルにすることができる。

なお、上記説明した実施例構成では、外箱１１を形成する第１の扉部１１ａ_１と第２の扉部１１ｂの双方を、フェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成するとしたが、この他、第１の扉部１１ａ_１と第２の扉部１１ｂのうちの一方、例えば、第１の扉部１１ａ_１だけをフェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成してもよいし、または、第１の扉部１１ａ_１、第２の扉部１１ｂのいずれか一方または両方と併せ、他の部材すなわち側板部１１ａ_２、側板部１１ｃ、側板部１１ｄ、天井板部１１ｅ、ベース材１３、フレーム材などの一部または全部とをフェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成してもよい。また、外箱１１において、フェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼を用いないで構成する部材は、非磁性のマルテンサイト系ステンレス鋼のＳＵＳ３０４で構成するとしたが、磁性、非磁性を問わず、該ＳＵＳ３０４以外の材料で構成してもよい。

上記実施例によれば、外箱収納形変圧器１において、部品数や変圧器容積を増大させることなく簡易な構成下で、低周波（５０Ｈｚ〜６０Ｈｚ）の電磁ノイズの外部への漏洩を抑えることができる。また、外箱収納形変圧器１を、塩害地域においても長期的に使える長寿命型のものとすることができる。

なお、上記実施例は、変圧器本体１０が油入変圧器である場合の例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。

本発明の実施例としての外箱収納形変圧器の構成例図である。従来の外箱収納形変圧器の外箱表面における漏洩磁界の測定結果例を示す図である。従来の外箱収納形変圧器の外箱表面における漏洩磁界の測定結果例を示す図である。従来の外箱収納形変圧器の構成例図である。

符号の説明

１…外箱収納形変圧器、
１０…変圧器本体、
１１…外箱、
１１ａ_１、１１ａ_１'…第１の扉部、
１１ａ_２、１１ａ_２'、１１ｃ、１１ｃ'、１１ｄ、１１ｄ'…側板部、
１１ｂ、１１ｂ'…第２の扉部、
１１ｅ、１１ｅ'…天井板部、
１２ａ_１〜１２ａ_４…１次コイル接続用端子部、
１２ａ_１１〜１２ａ_４２、１２ｂ_１１〜１２ｂ_３２…接続用電線の端末部、
１２ｂ_１〜１２ｂ_３…２次コイル接続用端子部、
１３、１３'…ベース材、
１５…普通鋼板、
１６ａ〜１６ｄ…固定手段。

Claims

外箱内に変圧器本体を収納した外箱収納形変圧器であって、
変圧器本体の側面側に配され、変圧器本体のコイル端子を外部配線と接続するコイル接続用端子部と、
上記外箱の一部の側面を形成し上記コイル接続用端子部を覆う扉部がフェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成された外箱と、
を備えたことを特徴とする外箱収納形変圧器。
上記外箱は、上記変圧器本体の側面側を覆う側板、上面側を覆う天井材及びベース材もフェライト系ステンレス鋼またはクロム鋼で構成される請求項１に記載の外箱収納形変圧器。
上記外箱は、上記磁性材の表裏両面に亜鉛溶射または溶融亜鉛めっきが施され、さらに、その表面が塗料で覆われた構成である請求項１または請求項２に記載の外箱収納形変圧器。