以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は第一実施形態にかかる本発明のセットバック開口部装置10を具備する建物1の外観を示す正面図である。建物1は1階及び2階からなり、各階に開口部を有している。1階の開口部には玄関2や窓3が、2階の開口部にも窓4が備えられている。そして2階の開口部には本発明のセットバック開口部装置10が配置されている。セットバック開口部装置10は、本実施形態のような住宅に限定されず、あらゆる建物に適用することができる。
図2は、セットバック開口部装置10が建物1に設置された状態における該セットバック開口部装置10の部分を拡大して示した室外側からの斜視図である。図2ではセットバック開口部装置10の周囲は全て建物1の外壁である。図2からわかるように、セットバック開口部装置10には、該セットバック開口部装置10に備えられるガラスパネル31を有する障子30が具備される。そして該障子30は、図2に矢印Aで示した大きさだけ室内側に配置されている。通常の開口部装置では、このAに相当する部分がほとんど設けられていない。従って本発明のセットバック開口部装置10は、Aの大きさの障子30セットバックにより外壁面に凹部が形成される。これにより、陰影が演出されたり、壁が厚く見える印象を与えたりし、意匠性にも優れたセットバック開口部装置10とすることができる。
次にセットバック開口部装置10の構成について説明する。図3は、セットバック開口部装置10が建物1の開口部に取り付けられた場面における該セットバック開口部装置10の横断面図である。取り付けの状態がわかるように建物1の開口部の端部も合わせて断面で示している。図3では、紙面左が室外側、紙面右が室内側である。図4は、セットバック開口部装置10が建物1の開口部に取り付けられた場面における該セットバック開口部装置10の縦断面図である。図4についても取り付けの状態がわかるように建物1の開口部の端部も合わせて断面で示している。図4では、紙面左が室外側、紙面右が室内側である。図3及び図4は上述のように断面図であるが、見易さのため一部の線を省略して示している。以下図3、図4及び適宜示す図を参照しつつセットバック開口部装置10の構成を説明する。
セットバック開口部装置10は、建物開口部の4辺に沿って取り付けられる長尺型材である、見切り縦材12、13(図3参照)、見切り横材14、15(図4参照)により形成される枠状体の見切り枠11と、該見切り枠11の内側に配置され、見切り枠11に沿って取り付けられる長尺型材である障子縦材21、22(図3参照)、障子横材23、24(図4参照)により形成される枠状体の障子枠20とを備えている。さらに、障子枠20の内側には障子30が配置される。障子30は、図2にも示したようなガラスパネル31と、該ガラスパネル31の4辺に沿って取り付けられる長尺型材である縦框32、33(図3参照)及び横框34、35(図4参照)とを有している。
ここで見切り枠11、障子枠20、縦框32、33、及び横框34、35の材質は特に限定されるものではないが、アルミニウムが好ましく適用される。また、障子30の形式も特に限定されるものではなく、あらゆる種類の障子を適用することが可能である。これには例えば引戸、片開き窓及びスイング式窓等を挙げることができる。
また、縦框32の室内側には、把手36が設けられ、利用者が障子30を開閉するための便宜が図られている。加えて、障子30より室内側には網戸ユニット40も配置されている。これはいわゆる網戸であり、障子30の開放時における害虫の室内への侵入を防止するためのものである。その他、セットバック開口部装置10の建物1への取り付けに際して必要とされる連結部材や固定部材、シール材やパッキンが適所に備えられる。これらセットバック開口部装置10の見切り枠11、障子枠12並びにその他の端部構造の詳細、及びセットバック開口部装置10の開口部への取り付けについては後で詳しく説明する。
ここで、建物1側の構成についてもその主要部分について説明する。建物1の開口部には、外壁50と内壁52との間に、開口部に沿って縦方向には柱51、51(図3参照)、横方向には横材54、54(図4参照)が備えられる。また、開口部の厚みを形成する面でセットバック開口部装置10が配置されない部分には窓壁53、53、53、53が設けられている。また、その他にも適宜横材や断熱材が備えられる。
図3及び図4からわかるように、本発明のセットバック開口部装置10を適用することにより、外壁50に上記縁壁を必要としない。従って、あらゆる種類の外壁材を適用することができ、高い汎用性を得ることができる。また、これまでのセットバック開口部装置に利用可能であった外壁材であっても、縁壁を要しないことにより従来よりも施工性を向上させることができる。さらに、本発明のセットバック開口部装置10では、付け柱を必要としない。従って付け柱の大きさだけ開口部が小さくなることがなく、大きな開口部を確保することができ、これにより採光面積を大きくとることが可能なセットバック開口部装置10を提供することができる。
さらに詳しくセットバック開口部装置10について説明する。図5は、図3の見切り縦材13の周辺を拡大して示した図である。図6は、図4の見切り横材14の周辺を、図7は見切り横材15の周辺をそれぞれ拡大して示した図である。各図において、見易さのため見切り枠11及び障子枠20は実線で示し、他の構成要素については破線で示した。図5〜図7ではさらに見易さのために例えば網戸ユニット40等の一部部材を省略して示している。
図5からわかるように本発明のセットバック開口部装置10の見切り縦材13はその断面において、開口部の厚みを構成する1つの端面に沿って室内外方向に配置される片13aを有している。片13aの室外側端部は外壁50よりも室外側に突出して配置されるとともに、該片13aの室内側端部は窓壁53の室外側端部に近接する位置まで延在する。また、見切り縦材13はその断面において、片13aから開口部左右方向(紙面左右方向)に平行に3つの片13b、13c、13dを有する。片13bは、開口部内方向(紙面右方向)に延在する。片13cは開口部外方向(紙面左方向)に延在する片である。また、片13dは片13aの室内側端部から開口部内方向に延在する片である。
さらに、障子縦材22はその断面において、見切り縦材13の片13aに対して所定の間隔を有して平行に配置される片22aを有している。片22aの室外側端部は見切り縦材13の片13bと略同じ位置であるとともに、片22aの室内側端部は窓壁53の室外側端部に接する位置まで延在する。また、障子縦材22はその断面において、片22aから延在する片22b、22c、22d、22e、22f、22gを備えている。片22bは、片22aの室外側端部から開口部左右方向に平行に延在する部位を有する片である。片22cは、片22bより室内側に配置され、開口部左右方向に平行に該開口部内方向に延在する片である。該片22cは開口部内側先端部に室外側に開いた溝部を有している。片22dは、片22cより室内側に該片22cに平行に所定の間隔を有して配置される片である。片22dは片22cより若干長く、その先端部には室外側に開いた溝を有している。片22e及び片22fについては、該片22e及び片22fを側壁とした片22aの室内側端部に形成される開口部内側に開いた溝を構成する。片22gは、片22aの室内側端部に開口部左右方向に平行に該開口部外方向に延在する片である。
また、セットバック開口部装置10は、図5に示したように連結部材26を有している。連結部材26は断面においてクランク形状を有するとともに、図5における紙面奥手前方向を長手方向とする長尺部材である。
以上のような見切り縦材13、障子縦材22及び連結部材26に障子30が取り付けられてセットバック開口部装置10とされている。そして該セットバック開口部装置10が建物1の開口部に配置される。具体的には次のように配置されて構成される。
見切り縦材13に関しては、上述したように片13aが開口部の厚みを構成する端面に接して配置される。このとき片13cの室内側端面と柱51の室外側端面とが合わせられ固定部材60で固定される。また、外壁50の端部がシール材50aを介して片13aに当接されて配置される。また、シール材50aの室内側にはパッキン50bも配置される。このような見切り縦材13の配置により、外壁50が該見切り縦材13に直線的に当接されるので、上述した縁壁を要しない。これにより縁壁を形成することが困難であった外壁材も使用することができ、汎用性の高いセットバック開口部装置10を提供することができる。また、縁壁を形成することができる外壁材であっても、縁壁を要しないことにより、容易に施工することができ、施工性を向上させることができる。さらには、片13aと外壁50との間に設けられるシール材50a、パッキン50bによる止水方法は、これまでに使用されてきた信頼性の高い方法に基づくものなので止水性にも優れたセットバック開口部装置10を提供することができる。
ここで、片13aの室外側端部は、本実施形態においては外壁50よりも室外に延在しているが、これが外壁50と面一であっても良い。
また、本発明のセットバック開口部装置10では、従来において開口部装置をセットバックした際に必要であった付け柱を要しない。これは、見切り縦材13に片13cを設けることにより該片13cを柱51の室外側面に配置することができるようになったからである。これにより、開口部を有効に利用することができ、採光面積を大きくとることができるセットバック開口部装置10を提供することが可能となる。
障子縦材22は、片22bの室外側面が片13bの室内側面にシール材70を介して接して配置される。ここでシール材70は、大きな接触面を有して片22b及び片13bに接しているので高い信頼性で止水することが可能となる。片22f、22gの室内側面は窓壁53の室外側面に接して配置される。見切り縦材13と障子縦材22とは、片13dと片22gとを固定部材62で固定することにより連結される。また、片22c、22dは、障子30の縦框33とその先端に具備された緩衝部材を介して接している。
連結部材26は、そのクランク状断面における一方の辺が、障子縦材22の片22e及び片22fで形成される溝の内側に配置されるとともに固定部材61で固定される。他方の辺は固定部材63により窓壁53に固定される。
以上のような各部材の配置により上記利得を有するセットバック開口部装置10を提供することができる。図5では図3に示した横断面のうち紙面左側についてのみ説明したが、紙面右側については、該左側に対して対称関係にあるのみで、その説明は上記のものが該当する。
次に図6を参照しつつ図4における見切り横材14の周辺について詳しく説明する。図6からわかるように本発明のセットバック開口部装置10の見切り横材14はその断面において、室内外方向に長い矩形環状で開口部の厚さを形成する端面のうちの上端面に沿って室内外方向に配置される片14aを有している。片14aの室外側端部は外壁50よりも室外側に突出して配置されるとともに、該片14aの室内側端部は横材54の室外側面と略面一な位置まで延在する。また、見切り横材14はその断面において、片14aの外周から延在する3つの片14b、14c、14dを備えている。片14bは、片14aの開口部内側(紙面下側)の端部から該開口部内方向(紙面下方向)に延在する片である。片14cは片14aの室内側端部から開口部外方向(紙面上方向)に延在する片である。片14dは片14aの室内側端部から室内方向に延在する片である。
障子横材23はその断面において、略矩形環状である片23aを有している。片23aは、該片23aの室外側面から室外方向に延在するとともにその室外側先端が開口部内方向に折れ曲がるような部位を有する片23bを備えている。また、片23aは、該片23aの室内側端部から開口部内方向に延在する片23eを具備する。片23eの開口部内側端部には、室外側に開いた溝が設けられている。さらに、障子横材23は、片23eの室内側面から室内方向に延在した片23c及び該片23cの室内側端部から開口部外方向に延在する片23dを備えている。片23cの室内側端部には開口部内側に開いた溝が形成されている。
また、セットバック開口部装置10は、図6に示したように連結部材27を備えている。連結部材27は断面において室内側方向に平行な板状片であり、図6における紙面奥手前方向を長手方向とする長尺部材である。
以上のような見切り横材14、障子横材23及び連結部材27に障子30が取り付けられてセットバック開口部装置10とされている。そして該セットバック開口部装置10が建物1の開口部に配置される。具体的には次のように配置されて構成される。
見切り横材14は、上述したように片14aが開口部の厚みを形成する端面に接して配置される。このとき片14cの室内側端面と横材54の室外側端面とが合わせられ、固定部材60で固定される。また、外壁50の端部がシール材50aを介して片14aに当接されて配置される。また、シール材50aの室内側にはパッキン50bも配置される。このような見切り縦材13の配置により、外壁50が該見切り横材14に直線的に当接されるので、上述した縁壁を要しない。これにより縁壁を形成することが困難であった外壁材も使用することができ、汎用性の高いセットバック開口部装置10を提供することができる。また、縁壁を形成することができる外壁材であっても、縁壁を要しないことにより、容易に施工することができ、施工性を向上させることができる。さらには、片14aと外壁50との間に設けられるシール材50a、パッキン50bによる止水方法は、これまでに使用されてきた信頼性の高い方法に基づくものなので止水性にも優れたセットバック開口部装置10を提供することができる。
ここで、片14aの室外側端部は、本実施形態においては外壁50よりも室外に延在しているが、これが外壁50と面一であっても良い。
また、本発明のセットバック開口部装置10では、従来において開口部装置をセットバックした際に必要であった付け柱を要しない。これは、見切り横材14に片14cを設けることにより該片14cを横材54の室外側面に配置することができるようになったからである。これにより、開口部を有効に利用することができ、採光面積を大きくとることができるセットバック開口部装置10を提供することが可能となる。
障子横材23は、片23bの折り曲げられた端部における室外側面が片14bの室内側面にシール材70を介して接して配置される。ここでシール材70は、大きな接触面を有して片23b及び片14bと接しているので高い信頼性で止水することが可能となる。また、片23aの横材54側の面と、片14dとが接して配置され、該片23a及び片14dを貫く固定部材64により、該2つの片23a、14dが連結される。さらに片23dは窓壁53の室外側端面に接して配置される。片23a、23eと、障子30の横框34とは片23a、23eの先端に具備された緩衝部材を介して接している。
連結部材27は、その室外側端部に設けられた凸である部分を片23cに設けられた上記溝にはめ込まれて固定されるとともに、室外側の端部を固定部材63で窓壁53に固定されて取り付けられる。
以上のような各部材の配置により上記利得を有するセットバック開口部装置10を提供することができる。さらに図7を参照しつつ、図4における見切り横材15の周辺について詳しく説明する。図7からわかるように本発明のセットバック開口部装置10の見切り横材15はその断面において、室内外方向に長い矩形環状で開口部の厚みを形成する端面の室内外方向に配置される片15aを有している。片15aの室外側端部は外壁50よりも室外側に突出して配置されるとともに、該片14aの室内側端部は横材54の室外側面と略面一な位置まで延在する。片15aの上面は室外側ほど低くなる傾斜が設けられている。これによって該傾斜に沿って水を排出することができる。また、見切り横材15はその断面において、さらに3つの片15b、15c、15d、15eを備えている。片15bは、片15aの開口部内側の端部から室内側に向けて延在する片である。片15cは片15aの室内側端部から開口部外方向(紙面下方向)に延在する片である。片15dは片15bの室内側端部から開口部外方向に延在する片である。さらに、片15eは片15aの上面から開口部内方向(紙面上方向)に延在する片で、その先端は室外方向へ折れ曲がるように形成されている。
障子横材24はその断面において、全体として略L字型である環状の片24aを有している。該L字型である片24aは垂直である部分が室内側に配置され、その下部から水平である部分が室外方向に延在するようなL字型である。片24aは、該片24aの室外側面から室外方向に延在するとともにその室外側先端が開口部外方向に折れ曲がるような部位を有する片24bを備えている。また、片24aは、該片24aの室内側端部から開口部内方向に延在し、さらにその端部から室内方向に折れ曲がるように延在する片24cを具備する。片24cには、開口部内方向に延在した部分の該開口部内方向端部に室外側に開いた溝と、室内方向に延在した部分の室内側端部に設けられた、開口部内方向に開いた溝とが設けられている。さらに、障子横材24は、片24cの室内側端部から開口部外方向に延在する片24dを備えている。
また、セットバック開口部装置10は、図7に示したように連結部材28が備えられている。連結部材28は断面において室内外方向に平行な板状片であり、図7における紙面奥手前方向を長手方向とする長尺部材である。
以上のような見切り横材15、障子横材24及び連結部材28に障子30が取り付けられてセットバック開口部装置10とされている。そして該セットバック開口部装置10が建物1の開口部に配置される。具体的には次のように配置されて構成される。
見切り横材15は、上述したように片15aが開口部の厚みを形成する端面に接して配置される。このとき片15cの室内側端面と横材54の室外側端面とが合わせられ、固定部材60で固定される。また、外壁50の端部がシール材50aを介して片15aに当接されて配置される。加えて、シール材50aの室内側にはパッキン50bも配置される。このような見切り横材15の配置により、外壁50が該見切り横材15に直線的に当接されるので、上述した縁壁を要しない。これにより縁壁を形成することが困難であった外壁材も使用することができ、汎用性の高いセットバック開口部装置10を提供することができる。また、縁壁を形成することができる外壁材であっても、縁壁を要しないことにより、容易に施工することができ、施工性を向上させることができる。さらには、片15aと外壁50との間に設けられるシール材50a、パッキン50bによる止水方法は、これまでに使用されてきた信頼性の高い方法に基づくものなので止水性にも優れたセットバック開口部装置10を提供することができる。
ここで、片15aの室外側端部は、本実施形態においては外壁50よりも室外に延在しているが、これが外壁50と面一であっても良い。
また、従来において開口部装置をセットバックした際に必要であった付け柱を要しない。これは、見切り横材15に片15cを設けることにより該片15cを横材54の室外側面に配置することができるようになったからである。これにより、開口部を有効に利用することができ、採光面積を大きくとることができるセットバック開口部装置10を提供することが可能となる。
障子横材24は、片24bの折り曲げられた端部から室内方向に設けられた小片と、片15eとの係合関係により、見切り縦材15と係合される。また、片24aの横材54側の面と、片15bとが接して配置され、該片24a及び片15bを貫く固定部材64により、該2つの片24a、15bが固定される。片24dは窓壁53の室外側端面に接して配置される。片24cは、具備された2つの溝のうちの室外側に配置された溝に備えられた緩衝部材を介して障子30の横框35と接している。
連結部材28は、その室外側端部に設けられた凸である部分を片24cの室内側に設けられた溝にはめ込まれて固定されるとともに、室内側の端部を固定部材63で窓壁53に固定されて取り付けられる。
ここで、図4、図6及び図7に現れた横材55、56は、セットバック開口部装置10を開口部に固定するために用いられている上述した付け柱ではなく、必ずしも必要ではない。これは施工対象により適宜使用されるスペーサであり、その使用、不使用は必要に応じて選択されるものである。
以上のような構成のセットバック開口部装置10により、外壁材の種類を選ばない、汎用性を向上させることができ、これまでの外壁材であっても施工性を向上させることができる。さらに、直接柱、横材に取り付け可能であり、付け柱を必要としないので付け柱取り付けに伴う材料や工程を要せず、この点においても施工性を向上させることができる。また、付け柱の設置により開口部が狭小化することなく、採光面積を大きくとることも可能となる。
本発明に適用される障子枠20は、従来の開口部装置の枠体と比較してほぼ同じ断面形状のものを利用することができる。具体的には図12に示した片222bを除き、従来の枠を利用することが可能である。ここで、従来の枠から片222bを除去することは比較的容易である。従って、従来の枠をわずかな加工で転用することができ、かかる意味においても汎用性、コストの観点から優れたセットバック開口部装置を提供することができる。また、一度製造された枠に対する加工を回避するために専用枠を製造することにより行われても良い。
図8にセットバック開口部装置10の変形例を示した。変形例のセットバック開口部装置10は、見切り横材14の片14aの室外側からさらに室外に片14eが延在して配置されたものである。この片14eによりいわゆる開口部装置における「ひさし」が形成される。従来のサッシにおいてその上部にひさしを施工する場合、取付けは強固であることを要するので、壁面における下地がある部位や躯体部分に取付けなければならない。従ってひさしの取り付けの際に下地材を探す必要があったり、下地材がない場合は、ひさしの取付ができない等の問題があった。また、ひさしを取付ける場合には該ひさしのための止水が必要であった。しかし、本発明のセットバック開口部装置によれば、見切り横材14から延在させることによりひさしを形成することができ簡易的に低コストでひさしを設けることができる。加えて改めて止水を考慮することもない。さらには、セットバック開口部装置の特徴の1つである壁の陰影の演出効果も、該ひさしによりさらに大きくなる。
片14eは必ずしも片14aと一体である必要はなく別体であっても良い。別体であるときは、片14aに片14eを固定部材等により固定する。このようにすれば、片14eを後から取付けることもでき、すでに施工したセットバック開口部装置にたいしても付加することが可能なので、利便性を向上させることができる。また、この際も取付は簡易的であり、施工時間やコストの削減をすることも可能である。
次に第二実施形態に係る本発明のセットバック開口部装置110について説明する。セットバック開口部装置110は、第一実施形態に係る本発明のセットバック開口部装置10に対して、見切り枠111、障子枠120等の形状が異なるものである。従って、セットバック開口部装置110についてはセットバック開口部装置10の説明に使用した図5〜図7に対応する図である図9〜図11を参照しつつ説明する。他の部分については概ね同じ構成であるので説明を省略する。
図9は、セットバック開口部装置110に関する図5に対応する図である。従って、図9では紙面上が室外側、紙面下が室内側を示している。図9からわかるようにセットバック開口部装置110の見切り縦材113はその断面において、開口部の厚みを形成する端面に沿って室内外方向に配置される片113aを有している。片113aの室外側端部は外壁150よりも室外側に突出して配置されるとともに、該片113aの室内側端部は窓壁153の室外側端部に略面一となる位置まで延在する。また、見切り材113はその断面において、片113aの側面から開口部左右方向に平行である3つの片113b、113c、113dを備えている。片113bは、開口部内方向(紙面右方向)に延在している。片113cは開口部外方向に延在している片である。また、片113dは片113aの室内側端部から開口部内方向に延在する片である。
さらに、障子縦材122はその断面において、見切り縦材113の片113aに対して所定の間隔を有して平行に配置される片122aを有している。片122aの室外側端部は見切り縦材113の片113bと略同じ室内外方向位置であるとともに、開口部内方向に開いた溝を有している。また、片122aの室内側端部は窓壁153の室外側端部に接する位置まで延在する。さらに障子縦材122はその断面において、片122aの室内側端部から開口部内方向に延在する片122b及び該片122bの開口部内側端部から室外方向に延在する片122cを備えている。片122cの室外側端部には室外側に開いた溝を有している。
また、セットバック開口部装置110は、図9に示したように止水部材180を有している。止水部材180は断面において開口部外方向に開いたコの字形状を備えている。
以上のような見切り縦材113、障子縦材122及び止水部材180に障子130が取り付けられてセットバック開口部装置110とされている。そして該セットバック開口部装置110が建物の開口部に配置される。具体的には次のように配置されて構成される。
見切り縦材113は、上述したように片113aが開口部の厚みを形成する端面に接して配置される。このとき片113cの室内側面と柱151の室外側端面とが合わせられ、固定部材160で固定される。また、外壁150の端部がシール材150aを介して片113aに当接されて配置される。また、シール材150aの室内側にはパッキン150bも配置される。このような見切り縦材113の配置により、外壁150が該見切り縦材113に直線的に当接されるので上述した縁壁を要しない。これにより縁壁を形成することが困難であった外壁材も使用することができ、汎用性の高いセットバック開口部装置110を提供することができる。また、縁壁を形成することができる外壁材であっても、縁壁を要しないことにより、容易に施工することができ、施工性を向上させることができる。さらには、片113aと外壁150との間に設けられるシール材150a、パッキン150bによる止水方法は、これまでに使用されてきた信頼性の高い方法に基づくものなので止水性にも優れたセットバック開口部装置110を提供することができる。
ここで、片113aの室外側端部は、本実施形態においては外壁150よりも室外に延在しているが、これが外壁150と面一であっても良い。
また、従来において開口部装置をセットバックした際に必要であった付け柱を要しない。これは、見切り縦材113に片113cを設けることにより該片113cを柱151の室外側面に配置することができるようになったからである。これにより、開口部を有効に利用することができ、採光面積を大きくとることができるセットバック開口部装置110を提供することが可能となる。
障子縦材122は、片122bの室内側面が窓壁153の室外側面に接して配置される。そして見切り縦材113と障子縦材122とは、片113dと片122bとを固定部材162で固定することにより連結される。また、片122a、122cと、障子130の縦框133とは、片122a、122cの先端に具備された緩衝部材を介して接している。
止水部材180は、そのコの字型断面の内側に片113bを含み、該片113bと止水部材180の室外側に配置される片180aとが接して配置される。また、止水部材180の室内外方向に平行である片180bと障子縦材122の片122aとがその面同士で接する。障子縦材122と止水部材180とは不図示の固定部材で固定されている。この止水部材180により、広い接触面を有する止水が可能となるので確実に止水をすることができる。
次に図10を参照しつつセットバック開口部装置110に備えられる見切り横材114の周辺について詳しく説明する。図10は第二実施形態に係るセットバック開口部装置110に関して図6に対応する図である。従って、図10では紙面左が室外側、紙面右が室内側を表している。図10からわかるようにセットバック開口部装置110の見切り横材114はその断面において、室内外方向に長い矩形環状で開口部の厚みを形成する端面に沿って室内外方向に配置される片114aを有している。片114aの室外側端部は外壁150よりも室外側に突出して配置されるとともに、該片114aの室内側端部は横材154の室外側面まで延在する。また、見切り横材114はその断面において、片114aから延在する片114b、114c、114d、114eを備えている。片114bは片114aの室内側端部で開口部内側面に備えられる環状矩形の片である。片114cは、片114aの室内側端部から開口部外方向(紙面上方向)に延在する片である。片114dは、片114bから室内方向に延在する片で、片114eは片114dの室内側端部から開口部外方向に延在する片である。
障子横材123はその断面において、片114bの開口部内側に配置される略矩形環状である片123aを有している。片123aは、該片123aの室外側面から室外側に向けて延在するとともにその室外側先端が開口部内方向(紙面下方向)に折れ曲がるような部位を有する片123bを備えている。片123bはその室外側端部に室外側に開いた溝を備えている。また、片123aは、該片123aの室内側端部から室内側に延在するコの字型断面を有する片123cを具備する。該コの字型断面は開口部外側に向けて開いている。片123dは片123cの開口部内側にさらに設けられた環状の片である。
以上のような見切り横材114、障子横材123に障子30が取り付けられてセットバック開口部装置110とされている。そして該セットバック開口部装置110が建物1の開口部に配置される。具体的には次のように配置されて構成される。
見切り横材114は、上述したように片114aが開口部の厚みを形成する端面に接して配置される。このとき片114cの室内側端面と横材154の室外側端面とが合わせられ、固定部材160で固定される。また、外壁150の端部がシール材150aを介して片114aに当接されて配置される。また、シール材150aの室内側にはパッキン150bも配置される。このような見切り縦材113の配置により、外壁150が該見切り横材114に直線的に当接されるので、上述した縁壁を要しない。これにより縁壁を形成することが困難であった外壁材も使用することができ、汎用性の高いセットバック開口部装置110を提供することができる。また、縁壁を形成することができる外壁材であっても、縁壁を要しないことにより、容易に施工することができ、施工性を向上させることができる。さらには、片114aと外壁150との間に設けられるシール材150a、パッキン150bによる止水方法は、これまでに使用されてきた信頼性の高い方法に基づくものなので止水性にも優れたセットバック開口部装置110を提供することができる。
ここで、片114aの室外側端部は、本実施形態においては外壁150よりも室外に延在しているが、これが外壁150と面一であっても良い。
また、従来において開口部装置をセットバックした際に必要であった付け柱を要しない。これは、見切り横材114に片114cを設けることにより該片114cを横材154の室外側面に配置することができるようになったからである。これにより、開口部を有効に利用することができ、採光面積を大きくとることができるセットバック開口部装置110を提供することが可能である。
障子横材123は、片123aの横材154側の面と、片114dとが接して配置され、該片123a及び片114dを貫く固定部材164により、該2つの片123a、114dが固定される。さらに片123dは窓壁153の室外側端面に接して配置される。片123b、123dは、障子30の横框34と具備された緩衝部材を介して接している。
以上のような各部材の配置により上記利得を有するセットバック開口部装置110を提供することができる。さらに図11を参照しつつ、セットバック開口部装置110に備えられる見切り横材115の周辺について詳しく説明する。図11は図7に対応する図であるので、紙面左が室外側、紙面右が室内側である。
図11からわかるように本発明のセットバック開口部装置110の見切り横材115はその断面において、全体として略L字型である環状の片115aを有している。該L字型である片115aは垂直である部分が室内側に配置され、その下部から水平である部分が室外方向に延在するようなL字型である。片115aの室外側端部は外壁150よりも室外側に突出して配置されるとともに、該片115aの室内側端部は横材154の室外側面まで延在する。片115aの水平である部分の上面は室外側ほど低くなる傾斜が設けられている。これによって該傾斜に沿って水を排出することができる。また、見切り横材115はその断面において、さらに片115b、115c、115d、115eを備えている。片115bは、片115aの開口部内側の端部から開口部内方向(紙面上方向)に延在する片で、その先端が室外側に曲げられている。片115cは片115aの室内側端部から開口部外方向(紙面下方向)に延在する片である。片115dは片115aの室内側端部から室外側に延在する片、片115eは片115dの室内側端部から開口部外方向に延在する片である。
障子横材124はその断面において、片115aの開口部内側に配置される略矩形環状の片124aを有している。該片124aは、片124aの室外側面から室外方向に延在するとともにその室外側先端が開口部外方向に折れ曲がるような部位を有する片124bを備えている。また、障子横材124はその断面において、片124aより室内側で、かつ、開口部内側に配置される矩形環状である片124cを有している。片124cの室内側端面が窓壁153の室外側端面と接している。また、片124cの室外側端面には、室外側に開いた溝を有している。片124cは片124bにより片124aと連結されている。
以上のような見切り横材115、障子横材124に障子130が取り付けられてセットバック開口部装置110とされている。そして該セットバック開口部装置110が建物の開口部に配置される。具体的には次のように配置されて構成される。
見切り横材115は、上述したように片115aが開口部の厚みを構成する端面に接して配置される。このとき片115cの室内側端面と横材154の室外側端面とが合わせられ、固定部材160で固定される。また、外壁150の端部がシール材150aを介して片115aに当接されて配置される。また、シール材150aの室内側にはパッキン150bも配置される。このような見切り横材115の配置により、外壁150が該見切り横材115に直線的に当接されるので、上述した縁壁を要しない。これにより縁壁を形成することが困難であった外壁材も使用することができ、汎用性の高いセットバック開口部装置110を提供することができる。また、縁壁を形成することができる外壁材であっても、縁壁を要しないことにより、容易に施工することができ、施工性を向上させることができる。さらには、片115aと外壁150との間に設けられるシール材150a、パッキン150bによる止水方法は、これまでに使用されてきた信頼性の高い方法に基づくものなので止水性にも優れたセットバック開口部装置110を提供することができる。
ここで、片115aの室外側端部は、本実施形態においては外壁150よりも室外に延在しているが、これが外壁150と面一であっても良い。
また、従来において開口部装置をセットバックした際に必要であった付け柱を要しない。これは、見切り横材115に片115cを設けることにより該片115cを横材154の室外側面に配置することができるようになったからである。これにより、開口部を有効に利用することができ、採光面積を大きくとることができるセットバック開口部装置110を提供することが可能である。
障子横材124は、片124bの折り曲げられた端部から室内方向に設けられた小片と、片115bとの係合関係により、見切り縦材115と係合される。また、片124aの横材154側の面と、片115dとが接して配置され、該片124a及び片115dを貫く固定部材164により、該2つの片124a、115dが固定される。片124cは窓壁153の室外側端面に接して配置される。片124cは、具備された溝に備えられた緩衝部材を介して障子130の横框135を支持している。
ここで、図9〜図11に現れた横材155、156は、セットバック開口部装置110を開口部に固定するために用いられている付け柱ではなく、必ずしも必要なものではない。これは施工対象により適宜使用されるスペーサであり、その使用、不使用は必要に応じて選択されるものである。
以上のような構成のセットバック開口部装置110により、外壁材の種類を選ばない、汎用性を向上させることができ、これまでの外壁材であっても施工性を向上させることができる。さらに、直接柱、横材に取り付け可能であり、付け柱を必要としないので付け柱取り付けに伴う材料、工程を要せずこの点においても施工性を向上させることができる。また、付け柱の設置により開口部が狭小化することなく、採光面積を大きくとることも可能となる。
本実施形態に関しても、図8で説明したひさしを形成する見切り横材の片を設けることにより上記効果を得るセットバック開口部装置110を提供することができる。
以上、現時点において最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うセットバック開口部装置も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。