この発明は、レンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびカメラモジュールに関し、詳しくは、複数枚のレンズをレンズ枠に固定して保持するレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびそのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールに関する。
従来、レンズ鏡筒としては、撮影光学系として一つまたは複数のレンズ群が組み込まれたものがある。このようなレンズ群を構成する複数枚のレンズとこれらのレンズを組み込んで保持するレンズ枠とによって、レンズ鏡筒を組み立てることが一般に行われている。このレンズ鏡筒におけるレンズ群において、複数枚のレンズをレンズ枠内に所定の間隔をおいて組み込み固定して保持するための方法として、図13に示すレンズ鏡筒の組立方法が知られている。このレンズ鏡筒の組立方法では、一方向からレンズ101,102をレンズ枠103内に組み込み、かつレンズ101,102間に所定の間隔を確保するように所定の厚みを有するように予め加工した間隔環104を挟み込み、レンズ鏡筒105を形成する。
しかし、図13に示すレンズ鏡筒の組立方法の場合、レンズ枠103の内壁と間隔環104との間に隙間を必要とするため、間隔環104が偏心した場合、間隔環104とレンズ101(もしくはレンズ102)との接触点がずれて、レンズ101(もしくはレンズ102)が傾く場合がある。
そこで、このようなレンズの倒れを防ぐ方法として、図14A,図14Bに示すような構成のレンズ鏡筒が提案されている(特開平9−318858号公報(特許文献1)参照)。なお、図14A(a)は図14A(b)のXIVAa−XIVAa線から見た横断面図であり、図14A(b)は図14A(a)のXIVAb−XIVAb線から見た縦断面図であり、図14B(a)は図14B(b)のXIVBb−XIVBb線から見た横断面図であり、図14B(b)は図14B(a)のXIVBa−XIVBa線から見た縦断面図である。
このレンズ鏡筒は、図14A(図14B)に示すように、レンズ枠203(303)内でレンズ201,202(301,302)間を所定の間隔をおいて保持するための従来の間隔環に相当する部品として、少なくとも三個の鋼球206(306)を用い、かつこれらの鋼球206(306)をレンズ201,202(301,302)の周方向において略三分割した等配位置に配置する。これにより、レンズ201,202(301,302)間の間隔を鋼球206(306)の径寸法によって所定の値に設定して組み立てている。
一般に、市販されている鋼球の外形寸法のばらつきは数μm、もしくは0.数μmであるため、レンズ間の間隔の精度の誤差を数μm、もしくは0.数μm以内に設定することが可能となる。
このレンズ鏡筒の組立方法による組立の工程としては、最初にレンズ201(301)をレンズ枠203(303)に挿入し、次に鋼球6をレンズ枠203(303)内に配置し、最後にレンズ202(302)をレンズ枠203(303)に挿入するという方法が採られる。
上記レンズ鏡筒のレンズ枠203(303)には、凹部を有する位置決め用構造物207(207)が設けられており、上記凹部で鋼球206(306)を周方向および径方向に規制することにより、鋼球106の位置決めを等間隔で行っている。
しかし、図14A,図14Bのように、レンズ枠203(303)内に位置決め用構造物207(307)を設ける場合、レンズ枠構造の複雑化に伴い、鏡筒の製造コストが増加してしまう。
また、図14Bのような構成の場合、鋼球306の内側に位置決め用構造物307を設ける必要があるため、レンズの有効領域が減少してしまう。
レンズの有効領域をより広い範囲で確保するためには、位置決め用構造物の内径を広げる必要があるため、それに伴いレンズ枠内径を広げなくてはならず、結果として鏡筒寸法が大型化してしまう。
例えば、小型化が要求されている携帯電話用のカメラモジュールの構成部品としてレンズ鏡筒を使用する場合において、鏡筒の大型化は、モジュール全体の大型化につながるため、このような場合、モジュールの構成部品となる鏡筒はより小型にすることが望ましい。
レンズ鏡筒において位置決め用構造物を形成しない場合は、より広い有効領域を確保することができ、かつ、より自由度の高い組み合わせでレンズ系を構成することが可能となるが、周方向の所定の位置に鋼球を配置するとき、鋼球の動きは規制されていないため、組立のときに鋼球が所定の位置から動いてしまい、鋼球とレンズ枠内壁との間に隙間が生じ、結果として間隔環を使用した場合と同様レンズの倒れが生じる場合がある。
特に、図15に示すように、鋼球406を配置する面が平坦な場合においては、周方向にも径方向にも鋼球406の動きが規制されていないため、鋼球406を略三分割した等配位置かつレンズ枠403の内壁に接するように配置し、鋼球406が動かないようにその後の組立を行うことは非常に困難である。
また、鋼球406を配置する面が凹面の場合においても、周方向にも径方向にも鋼球406の動きが規制されていないため、平坦面の場合と同様、その後の組立を行うことは困難となる。
特開平9−318858号公報
そこで、この発明の課題は、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内におけるレンズの倒れを確実に防止できるレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびそのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールを提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のレンズ鏡筒は、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する3つ以上のスペーサと
を備え、
上記レンズ枠の内径が、上記2枚のレンズを夫々保持する部分で同径であり、
上記スペーサが上記レンズ枠の内壁に当接することを特徴とする。
上記構成のレンズ鏡筒によれば、レンズ枠の内径が、上記2枚のレンズを夫々保持する部分が同径であるため、それぞれのレンズの中心を完全に一致させた状態で、2枚のレンズを保持することができる。また、上記スペーサをレンズ枠の内壁に当接させることで、スペーサは、上記2枚のレンズの光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、上記2枚のレンズとスペーサの接触点のずれによるレンズ間の倒れは生じず、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。なお、上記2枚のレンズの夫々は、1つの光学素子であってもよいし、複数の光学素子を接合した複合レンズであってもよく、この発明では、1つの複合レンズを1枚として扱う。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記スペーサが、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方に、上記スペーサが接着剤で固定され、かつ、上記接着剤は、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に塗布されている。
上記実施形態によれば、上記2枚のレンズの少なくとも一方にスペーサを固定することによって、より強固にスペーサが固定され、耐衝撃性が向上する。そして、レンズ系を通過する有効光線の領域外に接着剤を塗布することによって、光学性能の低下を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記接着剤が遮光性樹脂である。
上記実施形態によれば、上記接着剤に遮光性樹脂を用いることによって、スペーサの固定による耐衝撃性の向上と共に、スペーサ表面からの反射による迷光の防止が実現できる。
また、この発明のレンズ鏡筒では、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する3つ以上のスペーサと
を備え、
上記スペーサの構成材料が強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むことを特徴とする。
上記実施形態によれば、強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むスペーサを、レンズ枠の外側から磁気発生器などにより磁化して吸引することにより、任意の位置に配置することが可能となる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、
上記レンズ枠の構成材料が常磁性材料または反磁性材料であることを特徴とする。
上記実施形態によれば、レンズ枠の材料として常磁性材料もしくは反磁性材料を用いることで、レンズ枠自体の磁化の影響を受けることなく、スペーサが任意の位置に配置される。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記スペーサが、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、
上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方に、上記スペーサが接着剤で固定され、かつ、上記接着剤は、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に塗布されている。
上記実施形態によれば、上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方にスペーサを固定することによって、より強固にスペーサが固定され、耐衝撃性が向上される。そして、レンズ系を通過する有効光線の領域外に接着剤を塗布することによって、光学性能の低下を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記接着剤が遮光性樹脂である。
上記実施形態によれば、接着剤に遮光性樹脂を用いることによって、スペーサの固定による耐衝撃性の向上と共に、スペーサ表面からの反射による迷光の防止が実現できる。
また、この発明のレンズ鏡筒の組立方法では、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する、強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むスペーサとを備えたレンズ鏡筒の組立方法であって、
上記筒状のレンズ枠に、上記2枚のレンズのうちの一方の第1レンズを挿入する第1の工程と、
上記レンズ枠内に挿入された上記第1レンズ上に、上記スペーサを3つ以上配置する第2の工程と、
上記レンズ枠外に磁気発生器を配置して、上記磁気発生器の磁極と上記レンズ枠内に配置された上記スペーサとの間の吸引力によって、上記スペーサの位置決めを行う第3の工程と、
上記磁気発生器により上記スペーサが位置決めされた状態で、上記レンズ枠内に上記2枚のレンズのうちの他方の第2レンズを挿入し、上記レンズ枠に上記第2レンズを固定する第4の工程とを有することを特徴とする。
上記実施形態によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ面間に3つ以上のスペーサを備えたレンズ鏡筒において、レンズ枠外に磁気発生器を配置することにより、周方向、径方向において強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むスペーサの動きを規制する。つまり、レンズ枠内で第1,第2レンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに上記磁性材料を含むスペーサを用いて、その磁性材料を含むスペーサを、レンズ枠外に配置された磁気発生器の磁気力により所定の位置に吸引して、スペーサの動きを規制することにより、組立時にレンズ間にスペーサを動かないように容易に配置できる。したがって、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、
上記スペーサを配置するレンズ面が上記レンズ枠の内側に向かって徐々に低くなる傾斜面であり、
上記スペーサが接する上記レンズ面の傾斜角θ、上記スペーサの磁極の強さM
1、上記スペーサの質量m、上記磁気発生器の磁極の強さM
2、上記レンズ枠の透磁率μ、重力加速度gである場合、
上記レンズ枠の壁厚tが、
である。
上記実施形態によれば、上記レンズ枠の壁厚を、上記条件を満たすように決定することにより、スペーサを配置する第1レンズ面がレンズ枠内側への傾斜面となっている場合においても、スペーサをレンズ枠の内壁に当接させることができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、
上記磁気発生器の磁極の数は、上記第1レンズ上に配置された上記スペーサの数と同じであり、
上記第3の工程において、上記磁気発生器の磁極を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置する。
上記実施形態によれば、上記第1レンズ上に配置された上記スペーサの数と同じ数の磁極を有する磁気発生器を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠内にスペーサを周方向に等間隔に配置することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記スペーサを所定位置に配置するためのスペーサ用ガイドを使用する。
上記実施形態によれば、上記実施形態のレンズ鏡筒の組立方法によれば、スペーサ用ガイドを使用することによって、スペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第2の工程において、上記スペーサを上記第1,第2レンズを通過する有効光線の領域外に配置する。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に上記スペーサを接着剤で固定する第5の工程を有し、上記接着剤の塗布領域を、上記第1,第2レンズを通過する有効光線の領域外とする。
上記実施形態によれば、上記第1,第2レンズの少なくとも一方にスペーサを接着剤で固定することにより、レンズ面間でスペーサを挟んだだけの場合よりも、より強固にスペーサを所定の位置に固定し、耐衝撃性を向上させることができる。そして、接着剤の塗布領域を、レンズ系を通過する有効光線の領域外とすることによって、レンズ鏡筒の光学性能に影響を与えることなくスペーサの固定ができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1,第2レンズの少なくとも一方と上記スペーサを固定する上記接着剤を遮光性樹脂とする。
上記実施形態によれば、スペーサの固定に遮光性樹脂を使用することにより、スペーサの固定と同時に、スペーサ表面からの反射による迷光を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1レンズと上記各スペーサの接触部および上記第2レンズと上記各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布する。
上記実施形態によれば、第1レンズと各スペーサの接触部および第2レンズと各スペーサの接触部に遮光性樹脂を塗布することにより、スペーサの固定が確実に行われ、かつ遮光性が向上される。
また、この発明のカメラモジュールでは、上記のいずれか1つのレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を用いて結像される画像を撮像する撮像素子を備えた受光部とを含むことを特徴とする。
上記実施形態によれば、従来のスペーサを用いた鏡筒に比べ、有効領域の確保と鏡筒径の小型化が可能であるため、モジュールのレンズ系全体を小型化できる効果がある。
以上より明らかなように、この発明のレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ面間に介在するスペーサを所定の位置に容易に配置でき、レンズ枠内におけるレンズの倒れを確実に防止できるレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法を実現することができる。
また、スペーサ位置決め用の構造物が不要となるため、鏡筒の小型化が可能となり、それに伴い、レンズ系全体の小型化を実現することができる。
また、この発明のカメラモジュールによれば、上記レンズ鏡筒を用いることによって、モジュールのレンズ系全体を小型化することができる。
以下、この発明のレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびカメラモジュールを図示の実施の形態により詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。
図1に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれの第1,第2レンズ1,2を保持する筒状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面に当接する球形状の3つのスペーサ7により構成されている。ここで、スペーサ7は、第1レンズ1および第2レンズ2の曲面に当接した状態で介在し、両第1,第2レンズ1,2の間隔を決定する。また、第1レンズ1は、2つの光学素子からなる複合レンズである。
上記レンズ枠3は、内周の下端側近傍に設けられた段部20に第1レンズ1のレンズ面の外周部が当接している。また、上記スペーサ7を接着剤10により第1レンズ1に固定している。
一方、複合レンズである第2レンズ2は、2つのメニスカスレンズを接合したもので、その接合面の外周側に環状の溝2aが形成されている。この環状の溝2aに対向するように、レンズ枠3に段部23を形成している。このレンズ枠3に段部23を利用して、レンズ枠3に挿入された第2レンズ2とレンズ枠3との間を接着剤10により固定している。これにより、第2レンズ2の光軸方向の動きを規制して、第2レンズ2を確実にレンズ枠3に固定している。
また、上記レンズ枠3の内径は、第1,第2レンズ1,2間において同径であり、スペーサ7はレンズ枠3の内壁に当接している。レンズ枠3の内径が、第1,第2レンズ1,2間において同径であるため、第1,第2レンズ1,2の中心を完全に一致させた状態で、第1,第2レンズ1,2を保持することができる。
また、スペーサ7をレンズ枠3の内壁に当接させることによって、スペーサ7は、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点のずれによるレンズ間の倒れは生じず、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。
スペーサ7は、レンズ枠3の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。このように、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサ7が配置されているため、スペーサ7による有効光線のけられ等の影響を受けることなく、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。ここで、「けられ」とは、光学系を通過する有効光束が途中のレンズや鏡筒などによって遮れる減少のことである。
また、スペーサ7を接着剤10により第1レンズ1に固定することによって、対向する第2レンズ2のレンズ面でスペーサ7を挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができ、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
ここで、図1では、スペーサ7を第1レンズ1に固定しているが、第1レンズ1に限らず、2枚のレンズ1,2の少なくとも一方にスペーサ7が固定されることにより同様の効果を得ることができる。
また、スペーサ7を固定する接着剤10の塗布位置は、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外となっており、接着剤による有効光線のけられ等で、レンズ鏡筒の光学特性に影響は与えない。
上記スペーサ7の材料として、表面に光沢をもつ金属等を使用した場合、スペーサ7表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサ7の外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後の外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
そこで、図2のように、スペーサ7と第1,第2レンズ1,2を固定する接着剤として、遮光性樹脂12を使用することで、スペーサ7に表面処理を行うことなく、迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることが可能となる。
ここで、遮光性樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
〔第2実施形態〕
図3はこの発明の第2実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。この第2実施形態のレンズ鏡筒は、スペーサを除いて第2実施形態のレンズ鏡筒と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
図3に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれの第1,第2レンズ1,2の光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。ここで、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1および第2レンズ2の曲面に当接した状態で介在し、両第1,第2レンズ1,2の間隔を決定する。
また、上記スペーサ27が含む強磁性材料およびフェリ磁性材料としては、以下の(1)〜(3)のうちいずれかを用いることができる。
(1)Fe、Co、Ni、または、Fe、Co、Ni、Mn及びCrよりなる群から選択された少なくともいずれかの1つの元素を含む合金
(2)「パーマロイ」と呼ばれるNiFe系合金、CoNbZr系合金、FeTaC系合金、CoTaZr系合金、FeAlSi系合金、FeB系合金、CoFeB系合金等の軟磁性材料
(3)ホイスラー合金、CrO2、Fe3O4、La1-XSrXMnO3などのハーフメタル磁性材料
上記スペーサ27の材料としては、これらのうちから適宜選択して用いればよい。また、レンズ枠3の材料としては、常磁性材料もしくは反磁性材料を使用する。
上記レンズ枠3は、内周の下端側近傍に設けられた段部20を有し、その段部20に第1レンズ1のレンズ面の外周部が当接している。
ここで、この第2実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明する。図4A〜図4Cはこの第2実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明するための図である。なお、図4B(a)は、図4B(b)のIVBa−IVBa線から見た断面図であり、図4B(b)は、図4B(a)のIVBb−IVBb線から見た断面図である。
最初に、図4Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。上記レンズ枠3の内周の段部20に第1レンズ1の一方のレンズ面の外周部が当接する。
ここで、レンズ枠3の内径が第1,第2レンズ1,2の外径よりも大きい場合、レンズ枠3の内壁と第1,第2レンズ1,2の間に隙間が生じ、結果として組立後に第1,第2レンズ1,2間にずれが生じてしまうため、レンズ枠3の内径は、第1,第2レンズ1,2の外形と同様もしくは小さくする必要がある。
次に、図4Bに示すように、スペーサ27をレンズ枠3内に配置する。このとき、スペーサ27は、レンズ枠3の外側に配置された磁気発生器8に引き寄せられ、レンズ枠3の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ1,2の周方向を略三等分した等配位置に位置決めされる。ここで、磁気発生器8として、電磁石や永久磁石などを用いてもよい。
ここで、レンズ枠3の材料として常磁性材料もしくは反磁性材料を用いた場合、レンズ枠3の材料の磁気発生器8による磁化は無視できるほど小さいため、レンズ枠3自体の磁化の影響を受けることなく、スペーサ27を任意の位置に配置することが可能となる。
この図4Bで説明したレンズ鏡筒の組立方法では、スペーサ27を配置する第1レンズ1のレンズ面(第2レンズ2に対向する側)は略平面となっている。
図4Bのように、スペーサ27を配置する第1レンズ1のレンズ面が平面の場合や凸面の場合には、スペーサ27がレンズ枠3の内壁から離れる方向には力がかからない。
しかし、図5に示すような、スペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面が凹面、つまりレンズ枠3内側に向かって徐々に低くなる傾斜面となっている場合には、スペーサ27を配置したとき、内壁から離れる方向に、
F2=(mg)cosθ
の力がかかる。ここで、mはスペーサ27の質量、gは重力加速度、θはスペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面の傾斜角である。
よって、図5で示すような構成で組立を行う場合、磁気発生器8によりスペーサ27をレンズ枠3の内壁に引き寄せる吸引力F1がF1>F2となるように、レンズ枠3、スペーサ27、磁気発生器8を選択する必要がある。
磁極の強さM1を有するスペーサ27を、磁極の強さM2を有する磁気発生器8で吸引した場合、吸引力F1は、
F1=(1/4πμ)(M1M2/t2)
となる。
ここで、tはレンズ枠3の壁厚、μはレンズ枠3の材料の透磁率である。
よって、F1―F2>0を満たすように、レンズ枠3の材質、壁厚を選択することにより、スペーサ27を配置したとき、内壁から離れる方向にF2の力がかかる場合においてもレンズ枠3に当接するようにスペーサ27を配置することが可能となる。
以上の説明から、レンズ枠3の壁厚tを、
の条件を満たすように決定することにより、スペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面が、レンズ枠3の内側に向かって徐々に下がる傾斜面となっている場合においても、磁気発生器8によりスペーサ27を吸引することが可能となる。
ここで、スペーサ27をレンズ枠3内にピンセットなどの保持具を用いて配置する場合、それぞれのスペーサ27を配置したい位置の近傍まで保持しておかなければ、磁気発生器8が複数配置されていることから、意図しない方向にスペーサ27が引き寄せられてしまう場合がある。
そこで、図6(a),図6(b)に示すスペーサ用ガイド9を使用する。なお、図6(a)は、図6(b)のVIa−VIa線から見た断面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線から見た断面図である。このスペーサ用ガイド9を使用することにより、それぞれのスペーサ27を、スペーサ用ガイド9を通してレンズ枠3内に挿入することによって、スペーサ27を配置したい位置の近傍まで保持することなく、それぞれの磁気発生器8により引き寄せられる位置に容易にスペーサ27を配置することができる。
また、スペーサ27は、第1,第2レンズ1,2が構成するレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置され、かつ、第1,第2レンズ1,2のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
次に、図4Cに示すように、レンズ枠3に第2レンズ2を挿入した後、レンズ枠3の段部23を利用して、第2レンズ2とレンズ枠3との間を接着剤10により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
一般的に、レンズ鏡筒の組立でレンズを固定するときには、接着剤として紫外線硬化樹脂が使用されている。この場合、第2レンズ2とレンズ枠3との間に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射し、硬化すればよい。
以上に説明したレンズ鏡筒の組立方法を用いることにより、レンズ枠3の外側に設けた磁気発生器8がスペーサ27の動きを規制するため、容易に所定の位置にスペーサ27を配置することができる。
また、磁気発生器8によりスペーサ27は、レンズ枠3の内壁に当接した状態で動きが規制されるため、その後の組立のときにもスペーサ27はレンズ枠3の内壁から離れることがなく、第1,第2レンズ1,2とスペーサ27の接触点のずれによるレンズの倒れを防ぐことができる。
上記レンズ鏡筒および組立方法によれば、レンズ枠3外に配置された磁気発生器8の磁気力により磁性体からなるスペーサ27を所定の位置に吸い寄せて、スペーサ27の動きを規制することにより、組立時に第1,第2レンズ1,2間にスペーサ27を動かないように容易に配置でき、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠3内の第1,第2レンズ1,2の倒れを確実に防止することができる。
また、上記第1レンズ1上に配置されたスペーサ27の数と同じ数の磁極を有する磁気発生器8を、レンズ枠3外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠3内にスペーサ27を周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、スペーサ27を所定位置に配置するためのスペーサ用ガイド9を使用することによって、スペーサ27を所定の位置に容易に配置することができる。
また、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に、上記スペーサ27を配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
なお、上記第2実施形態では、レンズ枠3に挿入する第1,第2レンズ1,2の外径を同径としているが、第1,第2レンズ1,2の外径が異なる場合にも同様の方法でレンズ鏡筒の組立を行うことが可能である。
そのときは、図7に示すように、段付のレンズ枠11を使用することにより、異なる径のレンズを使用した場合においても、図4A〜図4Cに説明した方法と同様の手順でレンズ鏡筒の組立が可能である。
図7に示すレンズ鏡筒では、レンズ枠11は、内周の下端側から小径部11a,中径部11bおよび大径部11cを有している。上記レンズ枠11の中径部11bに挿入された第1レンズ1のレンズ面の外周部が、その小径部11aと中径部11bとの間の段部21に当接している。また、上記レンズ枠11の大径部11cに第2レンズ2を挿入している。
また、スペーサ27の寸法については、前述の場合と同様、レンズ系を通過する有効光線の領域外に配置され、かつ、第1,第2レンズ1,2のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
また、この第2実施形態では、3つのスペーサ27を配置しているが、3以上のスペーサ27を配置する場合には、磁気発生器8を、スペーサ27を配置したい位置にあわせて複数設置し、図4A〜図4Cに示した方法と同様の方法で組立を行えばよい。
〔第3実施形態〕
図8は、この発明の第3実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。この第3実施形態のレンズ鏡筒は、レンズにスペーサを接着剤により固定することを除いて第2実施形態のレンズ鏡筒と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
図8に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。また、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1のレンズ面に接着剤10で固定されている。
次に、この第3実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について図9A〜図9Dに従って説明する。図9A〜図9Dはこの第3実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第2実施形態で示した組立方法と同様、図9Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。
次に、図9Bに示すように、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に接着剤10を塗布した後、図9Cに示すようにスペーサ27を磁気発生器8により任意の位置に配置する。
最後に、図9Dに示すようにレンズ枠3に第2レンズ2を挿入した後、第2レンズ2とレンズ枠3間を接着剤10により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
ここで、第2実施形態と同様、接着剤10として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図9Dに示す工程を終えた後に紫外線を照射し、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に塗布した接着剤10と、第2レンズ2とレンズ枠3間に塗布した接着剤10を同時に硬化すればよい。
上記第3実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第1実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
また、上記接着剤10により第1レンズ1にスペーサ27を固定することにより、スペーサ27を第1,第2レンズ1,2それぞれの対向するレンズ面で挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができ、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
また、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置に接着剤10を塗布して固定した場合にも同様の効果を得られ、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置と、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置の両方に、接着剤10を塗布し固定した場合にも同様の効果を得ることができる。
また、第1レンズ1または第2レンズ2に、スペーサ27を接着剤10により固定する場合、接着剤10の塗布領域については、レンズ系を通過する有効光線の領域外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の光学特性に接着剤10が影響することなくスペーサ27を固定することができる。
〔第4実施形態〕
図10は、この発明の第4実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図10に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。
また、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1のレンズ面および第2レンズ2のレンズ面に遮光性樹脂12で固定されている。ここで、遮光性樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
図11A〜図11Dは、この第4実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第2,第3実施形態で示したレンズ鏡筒の組立方法と同様、図11Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。
次に、図11Bに示すように、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に遮光性樹脂12を塗布した後、図11Cに示すように、スペーサ27を磁気発生器8により任意の位置に配置する。
最後に、図11Dに示すように、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置に遮光性樹脂12を塗布した後、第2レンズ2をレンズ枠3に挿入し、第2レンズ2とレンズ枠3間に接着剤10を塗布し、接着剤10および遮光性樹脂12を硬化させることによってレンズ鏡筒が完成する。
この第4実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第2,第3実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
上記スペーサ27の一例としては、表面に光沢をもつ、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料の金属球が挙げられる。そのため、スペーサ27表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサの外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、球表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後の外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
しかし、上記第3実施形態で示した遮光性樹脂12を用いたレンズ鏡筒の組立方法の場合、スペーサ27に表面処理を行うことなく迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることができる。
また、上記第1レンズ2と各スペーサ27の接触部および第2レンズ2と各スペーサ27の接触部に遮光性樹脂12を塗布することにより、スペーサ27を第1,第2レンズ1,2に確実に固定することができる。
ここで、遮光性樹脂12の塗布領域については、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を与えることなく、スペーサ27による迷光を防止することができる。
〔第5実施形態〕
図12Aはこの発明の第5実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラモジュールの分解斜視図を示している。
図12Aにおいて、40はレンズユニット、41はレンズ駆動モータユニット、42は受光部の一例としての撮像素子を有するセンサーユニットである。また、レンズユニット40は、被写体側から順に、第1レンズホルダ43と、第2レンズホルダ44と、第3レンズホルダ45とを備えている。また、レンズユニット40は、所定の間隔をあけてかつ光軸方向に平行に配置された2つのガイド軸46,46を備えている。上記第2レンズホルダ44と第3レンズホルダ45は、レンズ駆動モータユニット41により2つのガイド軸46,46に沿って移動する。
また、図12Bは上記カメラモジュールを構成するレンズユニットの断面図を示している。このレンズユニット40は、被写体側の第1レンズホルダ43に第1レンズ群51を保持し、第2レンズホルダ44に第2レンズ群52を保持し、第4レンズホルダ45は第3レンズ群53を保持している。また、レンズユニット40の基部48の撮像側に、第4レンズ群54を保持すると共に、ガラスカバー55を有するセンサーユニット42を取り付けている。なお、図12Bにおいて、47は第2レンズホルダ44と第3レンズホルダ45をガイド軸46,46に沿って駆動するためのリードスクリューである。
このカメラモジュールでは、第4レンズホルダ45に保持された第3レンズ群53に、第1〜第4実施形態のレンズ鏡筒を用いている。
また、図12Cは上記カメラモジュールのレンズ系の構成を示している。図12Cに示すように、左側の被写体側から順に、第1レンズ群51、第2レンズ群52、第3レンズ群53、第4レンズ群54、ガラスカバー55、撮像素子56を配置している。
上記第1〜第4実施形態で説明したレンズ鏡筒によれば、レンズ鏡筒が絞り部分に配置されたレンズ系をとる図12Aに示すカメラモジュールのように、光束が集中する付近にスペーサが配置されている場合においても、遮光性樹脂によりスペーサ表面からの反射による迷光が防止され、光学性能の低下を防止することが可能となる。
また、レンズ鏡筒内にはスペーサ位置決め用の構造物を形成する必要が無いため、従来のスペーサを用いたレンズ鏡筒に比べ、有効領域の確保と鏡筒径の小型化が可能であり、結果としてレンズ系全体を小型化できる効果がある。
〔第6実施形態〕
図16はこの発明の第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図16に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれの第1,第2レンズ501,502の光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。ここで、スペーサ507は、第1レンズ501および第2レンズ502の曲面に当接した状態で介在され、両第1,第2レンズ501,502の間隔を決定する。
また、上記スペーサ507の一般的な例としては、クロム球や磁性を持つステンレス球などがあり、外形寸法の誤差が数μmもしくは0.数μm程度であるため、レンズ間のレンズ間隔の精度の誤差を数μmもしくは0.数μmで設定することができる。
上記レンズ枠503は、内周の下端側近傍に設けられた段部520を有し、その段部520に第1レンズ501のレンズ面の外周部が当接している。また、上記レンズ枠503の外側には、スペーサ507の位置決めを行うための3個のスペーサ位置決め用磁石508がレンズ枠503の周方向を略三等分した120°の間隔で配置されている。ここで、スペーサ位置決め用磁石508の代わりに、電磁石などの磁気発生器を用いてもよい。
ここで、この第6実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明する。図17A〜図17Cはこの第6実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明するための図である。なお、図17B(a)は、図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た断面図であり、図17B(b)は、図17B(a)のXVIIBb−XVIIBb線から見た断面図である。
最初に、図17Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。上記レンズ枠503の内周の段部520に第1レンズ501の一方のレンズ面の外周部が当接する。
ここで、レンズ枠503の内径が第1,第2レンズ501,502の外径よりも大きい場合、レンズ枠503の内壁と第1,第2レンズ501,502の間に隙間が生じ、結果として組立後に第1,第2レンズ501,502間にずれが生じてしまうため、レンズ枠503の内径は第1,第2レンズ501,502の外形と同様もしくは小さくする必要がある。
次に、図17Bに示すように、スペーサ507をレンズ枠503内に配置する。
このとき、スペーサ507は、レンズ枠503の外側に配置されたスペーサ位置決め用磁石508に引き寄せられ、レンズ枠503の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ501,502の周方向を略三等分した等配位置に位置決めされる。
ここで、スペーサ507をレンズ枠503内にピンセットなどの保持具を用いて配置する場合、それぞれのスペーサ507を配置したい位置の近傍まで保持しておかなければ、スペーサ位置決め用磁石508が複数配置されていることから、意図しない方向にスペーサ507が引き寄せられてしまう場合がある。
そこで、図18(a),図18(b)に示すスペーサ用ガイド509を使用する。なお、図18(a)は、図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た断面図であり、図18(b)は、図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線から見た断面図である。このスペーサ用ガイド509を使用することにより、それぞれのスペーサ507を、スペーサ用ガイド509を通してレンズ枠503内に挿入することによって、スペーサ507を配置したい位置の近傍まで保持することなく、それぞれのスペーサ位置決め用磁石508により引き寄せられる位置に容易にスペーサ507を配置することができる。
上記スペーサ用ガイド509に使用する材質としては、スペーサ用ガイド509にスペーサ507が引き寄せられないよう、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料等の材質とする。
また、上記レンズ枠503に使用する材質としては、レンズ枠503にスペーサ507が引き寄せられないよう、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料等の材質とする。
上記レンズ枠503に使用する非磁性材質の具体例としては、ポリカーボネート等の樹脂材料などが挙げられるが、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料であれば、これに限らない。
また、スペーサ507は、レンズ有効径外に配置され、かつ第1,第2レンズ501,502のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
次に、図17Cに示すように、レンズ枠503に第2レンズ502を挿入し、第2レンズ502とレンズ枠503間を接着剤510により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
一般的に、レンズ鏡筒の組立でレンズを固定するときには、接着剤として紫外線硬化樹脂が使用されている。この場合、第2レンズ502とレンズ枠503間に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射し、硬化すればよい。
以上に説明したレンズ鏡筒の組立方法を用いることにより、レンズ枠503の外側に設けたスペーサ位置決め用磁石508がスペーサ507の動きを規制するため、容易に所定の位置にスペーサ507を配置することができる。
また、スペーサ位置決め用磁石508によりスペーサ507は、レンズ枠503の内壁に当接した状態で動きが規制されるため、その後の組立のときにもスペーサ507はレンズ枠503の内壁から離れることがなく、第1,第2レンズ501,502とスペーサ507の接触点のずれによるレンズの倒れを防ぐことができる。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ枠503外に配置されたスペーサ位置決め用磁石508の磁気力により磁性材料からなるスペーサ507を所定の位置に吸い寄せて、スペーサ507の動きを規制することにより、組立時に第1,第2レンズ501,502間にスペーサ507を動かないように容易に配置でき、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠503内の第1,第2レンズ501,502の倒れを確実に防止することができる。
また、上記第1レンズ501上に配置されたスペーサ507の数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石508を、レンズ枠503外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠503内にスペーサ507を周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、スペーサ507を所定位置に配置するためのスペーサ用ガイド509を使用することによって、スペーサ507を所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記球体のスペーサ507を第1,第2レンズ501,502の有効径外に配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
なお、上記第6実施形態では、レンズ枠503に挿入する第1,第2レンズ501,502の外径を同径としているが、第1,第2レンズ501,502の外径が異なる場合にも同様の方法でレンズ鏡筒の組立を行うことが可能である。
そのときは、図19に示すように、段付のレンズ枠511を使用することにより、異なる径のレンズを使用した場合においても、図17に説明した方法と同様の手順でレンズ鏡筒の組立が可能である。
図19に示すレンズ鏡筒では、レンズ枠511は、内周の下端側から小径部511a,中径部511bおよび大径部511cを有している。上記レンズ枠511の中径部511bに挿入された第1レンズ501のレンズ面の外周部が、その小径部511aと中径部511bとの間の段部521に当接している。また、上記レンズ枠511の大径部511cに第2レンズ502を挿入している。
また、スペーサ507の寸法については、前述の場合と同様、レンズ有効径外に配置され、かつ、第1,第2レンズ501,502のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
また、この第6実施形態では、3つのスペーサ507を配置しているが、3以上のスペーサ507を配置する場合には、スペーサ位置決め用磁石508を、スペーサ507を配置したい位置にあわせて複数設置し、図17A〜図17Cに示した方法と同様の方法で組立を行えばよい。
〔第7実施形態〕
図20は、この発明の第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。この第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、レンズにスペーサを接着剤により固定することを除いて第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
図20に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。また、スペーサ507は、第1レンズ501のレンズ面に接着剤510で固定されている。
次に、この第7実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について図21A〜図21Dに従って説明する。図21A〜図21Dはこの第7実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第6実施形態で示した組立方法と同様、図21Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。
次に、図21Bに示すように、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に接着剤510を塗布した後、図21Cに示すようにスペーサ507をスペーサ位置決め用磁石508により任意の位置に配置する。
最後に、図21Dに示すようにレンズ枠503に第2レンズ502を挿入した後、第2レンズ502とレンズ枠503間を接着剤510により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
ここで、第6実施形態と同様、接着剤510として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図21Dに示す工程を終えた後に紫外線を照射し、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に塗布した接着剤510と、第2レンズ502とレンズ枠503間に塗布した接着剤510を同時に硬化すればよい。
上記第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
また、上記接着剤510により第1レンズ501にスペーサ507を固定することにより、スペーサ507を第1,第2第1レンズ501,2それぞれの対向するレンズ面で挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができる。
また、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置に接着剤510を塗布して固定した場合にも同様の効果を得られ、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置と、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置の両方に、接着剤510を塗布し固定した場合にも同様の効果を得ることができる。
また、第1レンズ501または第2レンズ502に、スペーサ507を接着剤510により固定する場合、接着剤510の塗布領域については、レンズの有効径外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の光学特性に接着剤510が影響することなくスペーサ507を固定することができる。
〔第8実施形態〕
図22は、この発明の第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図22に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。
また、スペーサ507は、第1レンズ501のレンズ面および第2レンズ502のレンズ面に遮光性樹脂512で固定されている。ここで、遮光性樹脂512としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
図23A〜図23Dは、この第8実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第6,第7実施形態で示したレンズ鏡筒の組立方法と同様、図23Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。
次に、図23Bに示すように、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に遮光性樹脂512を塗布した後、図23Cに示すように、スペーサ507をスペーサ位置決め用磁石508により任意の位置に配置する。
最後に、図23Dに示すように、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置に遮光性樹脂512を塗布した後、第2レンズ502をレンズ枠503に挿入し、第2レンズ502とレンズ枠503との間に接着剤510を塗布し、接着剤510および遮光性樹脂512を硬化させることによってレンズ鏡筒が完成する。
この第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
上記スペーサ507の例としては、クロム球や磁性をもつステンレス球等が挙げられ、これらはいずれも表面に光沢をもつ金属球となっている。そのため、スペーサ507表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサの球面外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、球表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後のスペーサ外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
しかし、上記第8実施形態で示した遮光性樹脂512を用いたレンズ鏡筒の組立方法の場合、スペーサ507に表面処理を行うことなく迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることができる。
また、上記第1レンズ502と各スペーサ507の接触部および第2レンズ502と各スペーサ507の接触部に遮光性樹脂512を塗布することにより、スペーサ507を第1,第2レンズ501,502に確実に固定することができる。
ここで、遮光性樹脂512の塗布領域については、図24に示すように、各スペーサ507の外形(直径d)以上、すなわち遮光性樹脂512によりスペーサ507の外周が覆われ、鏡筒端側からスペーサ507が見えなくなる程度とし、かつ、第1,第2レンズ501,502の有効径外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を与えることなく、スペーサ507による迷光を防止することができる。
上記第1〜第8実施形態では、球形状(または球体)のスペーサを用いたが、スペーサの形状はこれに限らないのは勿論である。
例えば、図25に示すように、円筒形状のスペーサを使用した場合にも、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点が、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、球形状のスペーサを使用した場合と同様に、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。
よって、スペーサ7の形状に関しては、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点が、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されるものであればよい。
上記第1〜第8実施形態では、第1,第2レンズの互いに向かい合う面が凸面と平坦面との組み合わせによる場合を説明したが、これに限定されず、凸面と凸面、凸面と凹面、平坦面同士、平坦面と凹面、凹面同士等の組み合わせによるレンズ間の間隔を確保するためにこの発明を適用することができる。
また、上記第1〜第8実施形態では、クロム球やステンレス球等の磁性材料からなる球体のスペーサを用いたレンズ鏡筒の組立方法について説明したが、スペーサはこれに限らず、スペーサ位置決め用磁石により吸引される磁性材料を含むものであればよい。
また、上記第6〜第8実施形態では、スペーサ位置決め用磁石508として永久磁石を用いたが、スペーサ位置決め用磁石はこれに限らず、電磁石などであってもよく、スペーサの数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石の磁極が、レンズ枠外に周方向に等間隔に配置されたものであればよい。
また、上記第1〜第8実施形態では、接着剤10,510,遮光性樹脂12,512により第1レンズ1,501にスペーサ7,27,507を固定したが、スペーサの固定方法はこれに限らない。
また、上記第1〜第8実施形態では、レンズ枠3,503を円筒形状としたが、レンズ枠はこれに限らず、レンズを保持可能な筒状のものであればよい。
また、レンズ鏡筒として、
複数枚のレンズと、
上記複数枚のレンズの光軸を一致させて保持する筒状のレンズ枠と、
上記複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面および上記レンズ枠の内壁に当接する3つ以上の球体のスペーサと
を備え、
上記球体のスペーサは磁性材料を含むことを特徴とするものでもよい。
上記構成のレンズ鏡筒によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚の第1,第2レンズのレンズ面間に3つ以上の磁性材料を含む球体のスペーサを備えた構成にすることによって、組立時にレンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置することにより、周方向、径方向において球体のスペーサの動きを規制することが可能となる。つまり、レンズ枠内でレンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに磁性材料を含む球体を用いて、磁性材料を含む球体を、レンズ枠外に配置されたスペーサ位置決め用磁石の磁気力により所定の位置に吸引して、組立時にレンズ間に球体を動かないように容易に配置することが可能となる。したがって、組立時にレンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、上記レンズ鏡筒において、上記レンズ枠の構成材料を、常磁性材料もしくは反磁性材料としてもよい。
上記レンズ鏡筒によれば、レンズ枠の構成材料を、磁気発生器による磁化の影響を無視できる常磁性材料もしくは反磁性材料とすることにより、球体のスペーサがレンズ枠に吸引されることなく、スペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、レンズ鏡筒の組立方法として、
複数枚のレンズと、
上記複数枚のレンズの光軸を一致させて保持する筒状のレンズ枠と、
上記複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面および上記レンズ枠の内壁に当接する磁性材料を含む球体のスペーサと
を備えたレンズ鏡筒の組立方法であって
上記筒状のレンズ枠に、上記2枚のレンズのうちの一方の第1レンズを挿入する第1の工程と、
上記レンズ枠内に挿入された上記第1レンズ上に、上記球体のスペーサを3つ以上配置する第2の工程と、
上記レンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置して、上記スペーサ位置決め用磁石の磁極と上記レンズ枠内に配置された上記球体のスペーサとの間の吸引力によって、上記球体のスペーサの位置決めを行う第3の工程と、
上記スペーサ位置決め用磁石により上記球体のスペーサが位置決めされた状態で、上記レンズ枠内に上記2枚のレンズのうちの他方の第2レンズを挿入し、上記レンズ枠に上記第2レンズを固定する第4の工程と
を有することを特徴とするものでもよい。
上記構成のレンズ鏡筒の組立方法によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚の第1,第2レンズのレンズ面間に3つ以上の球体のスペーサを備えたレンズ鏡筒において、レンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置することにより、周方向、径方向において磁性材料を含む球体のスペーサの動きを規制する。つまり、レンズ枠内で第1,第2レンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに磁性材料を含む球体を用いて、その磁性材料を含む球体を、レンズ枠外に配置されたスペーサ位置決め用磁石の磁気力により所定の位置に吸引して、球体の動きを規制することにより、組立時にレンズ間に球体を動かないように容易に配置できる。したがって、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、
上記スペーサ位置決め用磁石の磁極の数は、上記第1レンズ上に配置された上記球体のスペーサの数と同じであり、
上記第3の工程において、上記スペーサ位置決め用磁石の磁極を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、上記第1レンズ上に配置された上記球体のスペーサの数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠内に球体のスペーサを周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記球体のスペーサを所定位置に配置するためのスペーサ用ガイドを使用してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、スペーサ用ガイドを使用することによって、球体のスペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記レンズ枠の構成材料を、常磁性材料もしくは反磁性材料としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ枠の構成材料を、磁気発生器による磁化の影響を無視できる常磁性材料もしくは反磁性材料とすることにより、球体のスペーサがレンズ枠に吸引されることなく、球体のスペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第2の工程において、上記球体のスペーサを上記第1,第2レンズの有効径外に配置してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、球体のスペーサを第1,第2レンズの有効径外に配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に上記球体のスペーサを接着剤で固定する第5の工程を有してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に球体のスペーサを接着剤で固定することにより、レンズ面間で球体のスペーサを挟んだだけの場合よりも、より強固に球体のスペーサを所定の位置に固定することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記球体のスペーサを固定する上記接着剤の塗布領域は、第1,第2レンズの有効径外としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、接着剤の塗布領域をレンズの有効径外とすることによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えることなく球体のスペーサの固定ができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第1,第2レンズと上記球体のスペーサを固定する上記接着剤を遮光性樹脂としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、球体のスペーサの固定に遮光性樹脂を使用することにより、球体のスペーサの固定と同時に、スペーサ表面からの反射による迷光を防止できる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第4の工程において、上記第1レンズと上記各球体のスペーサの接触部および上記第2レンズと上記各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、第1レンズと各スペーサの接触部および上記第2レンズと各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布することにより、球体のスペーサの固定を確実に行うことができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記遮光性樹脂の塗布領域を上記各スペーサの外形以上とし、かつ、上記レンズの有効径外に上記遮光性樹脂を塗布してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、遮光性樹脂の塗布領域を、各スペーサの直径以上かつレンズの有効径外とすることにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えることなく球体のスペーサの固定および反射による迷光を防止できる。
この発明は、レンズ間の間隔誤差、レンズ倒れを抑え、高精度な組立ができるレンズ鏡筒と、その組立方法と、そのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールに利用可能である。
図1はこの発明の第1実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図2は上記レンズ鏡筒においてスペーサの固定に遮光性樹脂を使用したときの断面図である。
図3はこの発明の第2実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図4Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を説明するための図である。
図4Bは図4Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図であり、図4B(a)は図4B(b)のIVBa−IVBa線から見た横断面図であり、図4B(b)は図4B(a)のIVBb−IVBb線から見た縦断面図である。
図4Cは図4Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図5は上記スペーサを配置する第1レンズ面が、レンズ枠の内側への傾斜面となっている場合において、組立を行うことが可能な条件について説明するための説明図である。
図6(a)はスペーサ用ガイドを使用してスペーサを配置する方法について説明するための上面図であり、図6(a)は図6(b)のVIa−VIa線から見た横断面図であり、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb線から見た縦断面図である。
図7は異なる径のレンズを使用した場合のレンズ鏡筒の組立方法について説明するための説明図である
図8はこの発明の第3実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図9Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Bは図9Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Cは図9Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Dは図9Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図10はこの発明の第4実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図11Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Bは図11Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Cは図11Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Dは図11Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図12Aはこの発明の第5実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラモジュールの分解斜視図である。
図12Bは図12Aに示すカメラモジュールを構成するレンズユニットの断面図である。
図12Cは図12Aに示すカメラモジュールのレンズ系を示す図である。
図13は従来のレンズ鏡筒について説明するための説明図である。
図14Aは鋼球をスペーサとして使用した、従来のレンズ鏡筒の一例について説明するための説明図である。
図14Bは従来のレンズ鏡筒において鋼球をスペーサとして使用した例について説明するための説明図である。
図15は従来のレンズ鏡筒において平坦面にスペーサを配置した例ついて説明するための説明図である。
図16はこの発明の第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図17Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順をするための図である。
図17Bは図17Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図であり、図17B(a)は図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た横断面図であり、図17B(b)は図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た縦断面図である。
図17Cは図17Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図18(a)はスペーサ用ガイドを使用して球体を配置する方法について説明するための上面図であり、図18(a)は図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た横断面図であり、図18(b)は図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た縦断面図である。
図19は異なる径のレンズを使用した場合のレンズ鏡筒の組立方法について説明するための説明図である
図20はこの発明の第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図21Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Bは図21Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Cは図21Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Dは図21Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図22はこの発明の第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図23Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Bは図23Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Cは図23Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Dは図23Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図24は遮光性樹脂の塗布領域について説明するための説明図である。
図25(a)は円筒形状のスペーサを使用した場合のレンズ鏡筒の上面図であり、図25(a)は図25(b)のXXVa−XXVa線から見た横断面図であり、図25(b)は図25(a)のXXVb−XXVb線から見た縦断面図である。
符号の説明
1,100…第1レンズ
2…第2レンズ
3…レンズ枠
4…間隔環
5…レンズ鏡筒
7,27…スペーサ
8…磁気発生器
9…スペーサ用ガイド
10…接着剤
11…レンズ枠
12…遮光性樹脂
20,21,22…段部
501…第1レンズ
502…第2レンズ
503…レンズ枠
504…間隔環
505…レンズ鏡筒
507…球体
508…スペーサ位置決め用磁石
509…スペーサ用ガイド
510…接着剤
511…レンズ枠
512…遮光性樹脂
520,521,522…段部
この発明は、レンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびカメラモジュールに関し、詳しくは、複数枚のレンズをレンズ枠に固定して保持するレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびそのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールに関する。
従来、レンズ鏡筒としては、撮影光学系として一つまたは複数のレンズ群が組み込まれたものがある。このようなレンズ群を構成する複数枚のレンズとこれらのレンズを組み込んで保持するレンズ枠とによって、レンズ鏡筒を組み立てることが一般に行われている。このレンズ鏡筒におけるレンズ群において、複数枚のレンズをレンズ枠内に所定の間隔をおいて組み込み固定して保持するための方法として、図13に示すレンズ鏡筒の組立方法が知られている。このレンズ鏡筒の組立方法では、一方向からレンズ101,102をレンズ枠103内に組み込み、かつレンズ101,102間に所定の間隔を確保するように所定の厚みを有するように予め加工した間隔環104を挟み込み、レンズ鏡筒105を形成する。
しかし、図13に示すレンズ鏡筒の組立方法の場合、レンズ枠103の内壁と間隔環104との間に隙間を必要とするため、間隔環104が偏心した場合、間隔環104とレンズ101(もしくはレンズ102)との接触点がずれて、レンズ101(もしくはレンズ102)が傾く場合がある。
そこで、このようなレンズの倒れを防ぐ方法として、図14A,図14Bに示すような構成のレンズ鏡筒が提案されている(特開平9−318858号公報(特許文献1)参照)。なお、図14A(a)は図14A(b)のXIVAa−XIVAa線から見た横断面図であり、図14A(b)は図14A(a)のXIVAb−XIVAb線から見た縦断面図であり、図14B(a)は図14B(b)のXIVBb−XIVBb線から見た横断面図であり、図14B(b)は図14B(a)のXIVBa−XIVBa線から見た縦断面図である。
このレンズ鏡筒は、図14A(図14B)に示すように、レンズ枠203(303)内でレンズ201,202(301,302)間を所定の間隔をおいて保持するための従来の間隔環に相当する部品として、少なくとも三個の鋼球206(306)を用い、かつこれらの鋼球206(306)をレンズ201,202(301,302)の周方向において略三分割した等配位置に配置する。これにより、レンズ201,202(301,302)間の間隔を鋼球206(306)の径寸法によって所定の値に設定して組み立てている。
一般に、市販されている鋼球の外形寸法のばらつきは数μm、もしくは0.数μmであるため、レンズ間の間隔の精度の誤差を数μm、もしくは0.数μm以内に設定することが可能となる。
このレンズ鏡筒の組立方法による組立の工程としては、最初にレンズ201(301)をレンズ枠203(303)に挿入し、次に鋼球6をレンズ枠203(303)内に配置し、最後にレンズ202(302)をレンズ枠203(303)に挿入するという方法が採られる。
上記レンズ鏡筒のレンズ枠203(303)には、凹部を有する位置決め用構造物207(207)が設けられており、上記凹部で鋼球206(306)を周方向および径方向に規制することにより、鋼球106の位置決めを等間隔で行っている。
しかし、図14A,図14Bのように、レンズ枠203(303)内に位置決め用構造物207(307)を設ける場合、レンズ枠構造の複雑化に伴い、鏡筒の製造コストが増加してしまう。
また、図14Bのような構成の場合、鋼球306の内側に位置決め用構造物307を設ける必要があるため、レンズの有効領域が減少してしまう。
レンズの有効領域をより広い範囲で確保するためには、位置決め用構造物の内径を広げる必要があるため、それに伴いレンズ枠内径を広げなくてはならず、結果として鏡筒寸法が大型化してしまう。
例えば、小型化が要求されている携帯電話用のカメラモジュールの構成部品としてレンズ鏡筒を使用する場合において、鏡筒の大型化は、モジュール全体の大型化につながるため、このような場合、モジュールの構成部品となる鏡筒はより小型にすることが望ましい。
レンズ鏡筒において位置決め用構造物を形成しない場合は、より広い有効領域を確保することができ、かつ、より自由度の高い組み合わせでレンズ系を構成することが可能となるが、周方向の所定の位置に鋼球を配置するとき、鋼球の動きは規制されていないため、組立のときに鋼球が所定の位置から動いてしまい、鋼球とレンズ枠内壁との間に隙間が生じ、結果として間隔環を使用した場合と同様レンズの倒れが生じる場合がある。
特に、図15に示すように、鋼球406を配置する面が平坦な場合においては、周方向にも径方向にも鋼球406の動きが規制されていないため、鋼球406を略三分割した等配位置かつレンズ枠403の内壁に接するように配置し、鋼球406が動かないようにその後の組立を行うことは非常に困難である。
また、鋼球406を配置する面が凹面の場合においても、周方向にも径方向にも鋼球406の動きが規制されていないため、平坦面の場合と同様、その後の組立を行うことは困難となる。
特開平9−318858号公報
そこで、この発明の課題は、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内におけるレンズの倒れを確実に防止できるレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびそのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールを提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のレンズ鏡筒は、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する3つ以上のスペーサと
を備え、
上記レンズ枠の内径が、上記2枚のレンズを夫々保持する部分で同径であり、
上記スペーサが上記レンズ枠の内壁に当接することを特徴とする。
上記構成のレンズ鏡筒によれば、レンズ枠の内径が、上記2枚のレンズを夫々保持する部分が同径であるため、それぞれのレンズの中心を完全に一致させた状態で、2枚のレンズを保持することができる。また、上記スペーサをレンズ枠の内壁に当接させることで、スペーサは、上記2枚のレンズの光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、上記2枚のレンズとスペーサの接触点のずれによるレンズ間の倒れは生じず、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。なお、上記2枚のレンズの夫々は、1つの光学素子であってもよいし、複数の光学素子を接合した複合レンズであってもよく、この発明では、1つの複合レンズを1枚として扱う。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記スペーサが、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方に、上記スペーサが接着剤で固定され、かつ、上記接着剤は、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に塗布されている。
上記実施形態によれば、上記2枚のレンズの少なくとも一方にスペーサを固定することによって、より強固にスペーサが固定され、耐衝撃性が向上する。そして、レンズ系を通過する有効光線の領域外に接着剤を塗布することによって、光学性能の低下を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記接着剤が遮光性樹脂である。
上記実施形態によれば、上記接着剤に遮光性樹脂を用いることによって、スペーサの固定による耐衝撃性の向上と共に、スペーサ表面からの反射による迷光の防止が実現できる。
また、この発明のレンズ鏡筒では、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する3つ以上のスペーサと
を備え、
上記スペーサの構成材料が強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むことを特徴とする。
上記実施形態によれば、強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むスペーサを、レンズ枠の外側から磁気発生器などにより磁化して吸引することにより、任意の位置に配置することが可能となる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、
上記レンズ枠の構成材料が常磁性材料または反磁性材料であることを特徴とする。
上記実施形態によれば、レンズ枠の材料として常磁性材料もしくは反磁性材料を用いることで、レンズ枠自体の磁化の影響を受けることなく、スペーサが任意の位置に配置される。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記スペーサが、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、
上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方に、上記スペーサが接着剤で固定され、かつ、上記接着剤は、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に塗布されている。
上記実施形態によれば、上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方にスペーサを固定することによって、より強固にスペーサが固定され、耐衝撃性が向上される。そして、レンズ系を通過する有効光線の領域外に接着剤を塗布することによって、光学性能の低下を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記接着剤が遮光性樹脂である。
上記実施形態によれば、接着剤に遮光性樹脂を用いることによって、スペーサの固定による耐衝撃性の向上と共に、スペーサ表面からの反射による迷光の防止が実現できる。
また、この発明のレンズ鏡筒の組立方法では、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する、強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むスペーサとを備えたレンズ鏡筒の組立方法であって、
上記筒状のレンズ枠に、上記2枚のレンズのうちの一方の第1レンズを挿入する第1の工程と、
上記レンズ枠内に挿入された上記第1レンズ上に、上記スペーサを3つ以上配置する第2の工程と、
上記レンズ枠外に磁気発生器を配置して、上記磁気発生器の磁極と上記レンズ枠内に配置された上記スペーサとの間の吸引力によって、上記スペーサの位置決めを行う第3の工程と、
上記磁気発生器により上記スペーサが位置決めされた状態で、上記レンズ枠内に上記2枚のレンズのうちの他方の第2レンズを挿入し、上記レンズ枠に上記第2レンズを固定する第4の工程とを有することを特徴とする。
上記実施形態によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ面間に3つ以上のスペーサを備えたレンズ鏡筒において、レンズ枠外に磁気発生器を配置することにより、周方向、径方向において強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むスペーサの動きを規制する。つまり、レンズ枠内で第1,第2レンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに上記磁性材料を含むスペーサを用いて、その磁性材料を含むスペーサを、レンズ枠外に配置された磁気発生器の磁気力により所定の位置に吸引して、スペーサの動きを規制することにより、組立時にレンズ間にスペーサを動かないように容易に配置できる。したがって、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、
上記スペーサを配置するレンズ面が上記レンズ枠の内側に向かって徐々に低くなる傾斜面であり、
上記スペーサが接する上記レンズ面の傾斜角θ、上記スペーサの磁極の強さM
1、上記スペーサの質量m、上記磁気発生器の磁極の強さM
2、上記レンズ枠の透磁率μ、重力加速度gである場合、
上記レンズ枠の壁厚tが、
である。
上記実施形態によれば、上記レンズ枠の壁厚を、上記条件を満たすように決定することにより、スペーサを配置する第1レンズ面がレンズ枠内側への傾斜面となっている場合においても、スペーサをレンズ枠の内壁に当接させることができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、
上記磁気発生器の磁極の数は、上記第1レンズ上に配置された上記スペーサの数と同じであり、
上記第3の工程において、上記磁気発生器の磁極を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置する。
上記実施形態によれば、上記第1レンズ上に配置された上記スペーサの数と同じ数の磁極を有する磁気発生器を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠内にスペーサを周方向に等間隔に配置することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記スペーサを所定位置に配置するためのスペーサ用ガイドを使用する。
上記実施形態によれば、上記実施形態のレンズ鏡筒の組立方法によれば、スペーサ用ガイドを使用することによって、スペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第2の工程において、上記スペーサを上記第1,第2レンズを通過する有効光線の領域外に配置する。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に上記スペーサを接着剤で固定する第5の工程を有し、上記接着剤の塗布領域を、上記第1,第2レンズを通過する有効光線の領域外とする。
上記実施形態によれば、上記第1,第2レンズの少なくとも一方にスペーサを接着剤で固定することにより、レンズ面間でスペーサを挟んだだけの場合よりも、より強固にスペーサを所定の位置に固定し、耐衝撃性を向上させることができる。そして、接着剤の塗布領域を、レンズ系を通過する有効光線の領域外とすることによって、レンズ鏡筒の光学性能に影響を与えることなくスペーサの固定ができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1,第2レンズの少なくとも一方と上記スペーサを固定する上記接着剤を遮光性樹脂とする。
上記実施形態によれば、スペーサの固定に遮光性樹脂を使用することにより、スペーサの固定と同時に、スペーサ表面からの反射による迷光を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1レンズと上記各スペーサの接触部および上記第2レンズと上記各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布する。
上記実施形態によれば、第1レンズと各スペーサの接触部および第2レンズと各スペーサの接触部に遮光性樹脂を塗布することにより、スペーサの固定が確実に行われ、かつ遮光性が向上される。
また、この発明のカメラモジュールでは、上記のいずれか1つのレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を用いて結像される画像を撮像する撮像素子を備えた受光部とを含むことを特徴とする。
上記実施形態によれば、従来のスペーサを用いた鏡筒に比べ、有効領域の確保と鏡筒径の小型化が可能であるため、モジュールのレンズ系全体を小型化できる効果がある。
以上より明らかなように、この発明のレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ面間に介在するスペーサを所定の位置に容易に配置でき、レンズ枠内におけるレンズの倒れを確実に防止できるレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法を実現することができる。
また、スペーサ位置決め用の構造物が不要となるため、鏡筒の小型化が可能となり、それに伴い、レンズ系全体の小型化を実現することができる。
また、この発明のカメラモジュールによれば、上記レンズ鏡筒を用いることによって、モジュールのレンズ系全体を小型化することができる。
以下、この発明のレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびカメラモジュールを図示の実施の形態により詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。
図1に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれの第1,第2レンズ1,2を保持する筒状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面に当接する球形状の3つのスペーサ7により構成されている。ここで、スペーサ7は、第1レンズ1および第2レンズ2の曲面に当接した状態で介在し、両第1,第2レンズ1,2の間隔を決定する。また、第1レンズ1は、2つの光学素子からなる複合レンズである。
上記レンズ枠3は、内周の下端側近傍に設けられた段部20に第1レンズ1のレンズ面の外周部が当接している。また、上記スペーサ7を接着剤10により第1レンズ1に固定している。
一方、複合レンズである第2レンズ2は、2つのメニスカスレンズを接合したもので、その接合面の外周側に環状の溝2aが形成されている。この環状の溝2aに対向するように、レンズ枠3に段部23を形成している。このレンズ枠3に段部23を利用して、レンズ枠3に挿入された第2レンズ2とレンズ枠3との間を接着剤10により固定している。これにより、第2レンズ2の光軸方向の動きを規制して、第2レンズ2を確実にレンズ枠3に固定している。
また、上記レンズ枠3の内径は、第1,第2レンズ1,2間において同径であり、スペーサ7はレンズ枠3の内壁に当接している。レンズ枠3の内径が、第1,第2レンズ1,2間において同径であるため、第1,第2レンズ1,2の中心を完全に一致させた状態で、第1,第2レンズ1,2を保持することができる。
また、スペーサ7をレンズ枠3の内壁に当接させることによって、スペーサ7は、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点のずれによるレンズ間の倒れは生じず、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。
スペーサ7は、レンズ枠3の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。このように、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサ7が配置されているため、スペーサ7による有効光線のけられ等の影響を受けることなく、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。ここで、「けられ」とは、光学系を通過する有効光束が途中のレンズや鏡筒などによって遮れる減少のことである。
また、スペーサ7を接着剤10により第1レンズ1に固定することによって、対向する第2レンズ2のレンズ面でスペーサ7を挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができ、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
ここで、図1では、スペーサ7を第1レンズ1に固定しているが、第1レンズ1に限らず、2枚のレンズ1,2の少なくとも一方にスペーサ7が固定されることにより同様の効果を得ることができる。
また、スペーサ7を固定する接着剤10の塗布位置は、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外となっており、接着剤による有効光線のけられ等で、レンズ鏡筒の光学特性に影響は与えない。
上記スペーサ7の材料として、表面に光沢をもつ金属等を使用した場合、スペーサ7表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサ7の外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後の外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
そこで、図2のように、スペーサ7と第1,第2レンズ1,2を固定する接着剤として、遮光性樹脂12を使用することで、スペーサ7に表面処理を行うことなく、迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることが可能となる。
ここで、遮光性樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
〔第2実施形態〕
図3はこの発明の第2実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。この第2実施形態のレンズ鏡筒は、スペーサを除いて第2実施形態のレンズ鏡筒と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
図3に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれの第1,第2レンズ1,2の光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。ここで、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1および第2レンズ2の曲面に当接した状態で介在し、両第1,第2レンズ1,2の間隔を決定する。
また、上記スペーサ27が含む強磁性材料およびフェリ磁性材料としては、以下の(1)〜(3)のうちいずれかを用いることができる。
(1)Fe、Co、Ni、または、Fe、Co、Ni、Mn及びCrよりなる群から選択された少なくともいずれかの1つの元素を含む合金
(2)「パーマロイ」と呼ばれるNiFe系合金、CoNbZr系合金、FeTaC系合金、CoTaZr系合金、FeAlSi系合金、FeB系合金、CoFeB系合金等の軟磁性材料
(3)ホイスラー合金、CrO2、Fe3O4、La1-XSrXMnO3などのハーフメタル磁性材料
上記スペーサ27の材料としては、これらのうちから適宜選択して用いればよい。また、レンズ枠3の材料としては、常磁性材料もしくは反磁性材料を使用する。
上記レンズ枠3は、内周の下端側近傍に設けられた段部20を有し、その段部20に第1レンズ1のレンズ面の外周部が当接している。
ここで、この第2実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明する。図4A〜図4Cはこの第2実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明するための図である。なお、図4B(a)は、図4B(b)のIVBa−IVBa線から見た断面図であり、図4B(b)は、図4B(a)のIVBb−IVBb線から見た断面図である。
最初に、図4Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。上記レンズ枠3の内周の段部20に第1レンズ1の一方のレンズ面の外周部が当接する。
ここで、レンズ枠3の内径が第1,第2レンズ1,2の外径よりも大きい場合、レンズ枠3の内壁と第1,第2レンズ1,2の間に隙間が生じ、結果として組立後に第1,第2レンズ1,2間にずれが生じてしまうため、レンズ枠3の内径は、第1,第2レンズ1,2の外形と同様もしくは小さくする必要がある。
次に、図4Bに示すように、スペーサ27をレンズ枠3内に配置する。このとき、スペーサ27は、レンズ枠3の外側に配置された磁気発生器8に引き寄せられ、レンズ枠3の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ1,2の周方向を略三等分した等配位置に位置決めされる。ここで、磁気発生器8として、電磁石や永久磁石などを用いてもよい。
ここで、レンズ枠3の材料として常磁性材料もしくは反磁性材料を用いた場合、レンズ枠3の材料の磁気発生器8による磁化は無視できるほど小さいため、レンズ枠3自体の磁化の影響を受けることなく、スペーサ27を任意の位置に配置することが可能となる。
この図4Bで説明したレンズ鏡筒の組立方法では、スペーサ27を配置する第1レンズ1のレンズ面(第2レンズ2に対向する側)は略平面となっている。
図4Bのように、スペーサ27を配置する第1レンズ1のレンズ面が平面の場合や凸面の場合には、スペーサ27がレンズ枠3の内壁から離れる方向には力がかからない。
しかし、図5に示すような、スペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面が凹面、つまりレンズ枠3内側に向かって徐々に低くなる傾斜面となっている場合には、スペーサ27を配置したとき、内壁から離れる方向に、
F2=(mg)cosθ
の力がかかる。ここで、mはスペーサ27の質量、gは重力加速度、θはスペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面の傾斜角である。
よって、図5で示すような構成で組立を行う場合、磁気発生器8によりスペーサ27をレンズ枠3の内壁に引き寄せる吸引力F1がF1>F2となるように、レンズ枠3、スペーサ27、磁気発生器8を選択する必要がある。
磁極の強さM1を有するスペーサ27を、磁極の強さM2を有する磁気発生器8で吸引した場合、吸引力F1は、
F1=(1/4πμ)(M1M2/t2)
となる。
ここで、tはレンズ枠3の壁厚、μはレンズ枠3の材料の透磁率である。
よって、F1―F2>0を満たすように、レンズ枠3の材質、壁厚を選択することにより、スペーサ27を配置したとき、内壁から離れる方向にF2の力がかかる場合においてもレンズ枠3に当接するようにスペーサ27を配置することが可能となる。
以上の説明から、レンズ枠3の壁厚tを、
の条件を満たすように決定することにより、スペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面が、レンズ枠3の内側に向かって徐々に下がる傾斜面となっている場合においても、磁気発生器8によりスペーサ27を吸引することが可能となる。
ここで、スペーサ27をレンズ枠3内にピンセットなどの保持具を用いて配置する場合、それぞれのスペーサ27を配置したい位置の近傍まで保持しておかなければ、磁気発生器8が複数配置されていることから、意図しない方向にスペーサ27が引き寄せられてしまう場合がある。
そこで、図6(a),図6(b)に示すスペーサ用ガイド9を使用する。なお、図6(a)は、図6(b)のVIa−VIa線から見た断面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線から見た断面図である。このスペーサ用ガイド9を使用することにより、それぞれのスペーサ27を、スペーサ用ガイド9を通してレンズ枠3内に挿入することによって、スペーサ27を配置したい位置の近傍まで保持することなく、それぞれの磁気発生器8により引き寄せられる位置に容易にスペーサ27を配置することができる。
また、スペーサ27は、第1,第2レンズ1,2が構成するレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置され、かつ、第1,第2レンズ1,2のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
次に、図4Cに示すように、レンズ枠3に第2レンズ2を挿入した後、レンズ枠3の段部23を利用して、第2レンズ2とレンズ枠3との間を接着剤10により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
一般的に、レンズ鏡筒の組立でレンズを固定するときには、接着剤として紫外線硬化樹脂が使用されている。この場合、第2レンズ2とレンズ枠3との間に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射し、硬化すればよい。
以上に説明したレンズ鏡筒の組立方法を用いることにより、レンズ枠3の外側に設けた磁気発生器8がスペーサ27の動きを規制するため、容易に所定の位置にスペーサ27を配置することができる。
また、磁気発生器8によりスペーサ27は、レンズ枠3の内壁に当接した状態で動きが規制されるため、その後の組立のときにもスペーサ27はレンズ枠3の内壁から離れることがなく、第1,第2レンズ1,2とスペーサ27の接触点のずれによるレンズの倒れを防ぐことができる。
上記レンズ鏡筒および組立方法によれば、レンズ枠3外に配置された磁気発生器8の磁気力により磁性体からなるスペーサ27を所定の位置に吸い寄せて、スペーサ27の動きを規制することにより、組立時に第1,第2レンズ1,2間にスペーサ27を動かないように容易に配置でき、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠3内の第1,第2レンズ1,2の倒れを確実に防止することができる。
また、上記第1レンズ1上に配置されたスペーサ27の数と同じ数の磁極を有する磁気発生器8を、レンズ枠3外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠3内にスペーサ27を周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、スペーサ27を所定位置に配置するためのスペーサ用ガイド9を使用することによって、スペーサ27を所定の位置に容易に配置することができる。
また、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に、上記スペーサ27を配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
なお、上記第2実施形態では、レンズ枠3に挿入する第1,第2レンズ1,2の外径を同径としているが、第1,第2レンズ1,2の外径が異なる場合にも同様の方法でレンズ鏡筒の組立を行うことが可能である。
そのときは、図7に示すように、段付のレンズ枠11を使用することにより、異なる径のレンズを使用した場合においても、図4A〜図4Cに説明した方法と同様の手順でレンズ鏡筒の組立が可能である。
図7に示すレンズ鏡筒では、レンズ枠11は、内周の下端側から小径部11a,中径部11bおよび大径部11cを有している。上記レンズ枠11の中径部11bに挿入された第1レンズ1のレンズ面の外周部が、その小径部11aと中径部11bとの間の段部21に当接している。また、上記レンズ枠11の大径部11cに第2レンズ2を挿入している。
また、スペーサ27の寸法については、前述の場合と同様、レンズ系を通過する有効光線の領域外に配置され、かつ、第1,第2レンズ1,2のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
また、この第2実施形態では、3つのスペーサ27を配置しているが、3以上のスペーサ27を配置する場合には、磁気発生器8を、スペーサ27を配置したい位置にあわせて複数設置し、図4A〜図4Cに示した方法と同様の方法で組立を行えばよい。
〔第3実施形態〕
図8は、この発明の第3実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。この第3実施形態のレンズ鏡筒は、レンズにスペーサを接着剤により固定することを除いて第2実施形態のレンズ鏡筒と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
図8に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。また、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1のレンズ面に接着剤10で固定されている。
次に、この第3実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について図9A〜図9Dに従って説明する。図9A〜図9Dはこの第3実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第2実施形態で示した組立方法と同様、図9Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。
次に、図9Bに示すように、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に接着剤10を塗布した後、図9Cに示すようにスペーサ27を磁気発生器8により任意の位置に配置する。
最後に、図9Dに示すようにレンズ枠3に第2レンズ2を挿入した後、第2レンズ2とレンズ枠3間を接着剤10により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
ここで、第2実施形態と同様、接着剤10として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図9Dに示す工程を終えた後に紫外線を照射し、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に塗布した接着剤10と、第2レンズ2とレンズ枠3間に塗布した接着剤10を同時に硬化すればよい。
上記第3実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第1実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
また、上記接着剤10により第1レンズ1にスペーサ27を固定することにより、スペーサ27を第1,第2レンズ1,2それぞれの対向するレンズ面で挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができ、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
また、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置に接着剤10を塗布して固定した場合にも同様の効果を得られ、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置と、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置の両方に、接着剤10を塗布し固定した場合にも同様の効果を得ることができる。
また、第1レンズ1または第2レンズ2に、スペーサ27を接着剤10により固定する場合、接着剤10の塗布領域については、レンズ系を通過する有効光線の領域外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の光学特性に接着剤10が影響することなくスペーサ27を固定することができる。
〔第4実施形態〕
図10は、この発明の第4実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図10に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。
また、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1のレンズ面および第2レンズ2のレンズ面に遮光性樹脂12で固定されている。ここで、遮光性樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
図11A〜図11Dは、この第4実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第2,第3実施形態で示したレンズ鏡筒の組立方法と同様、図11Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。
次に、図11Bに示すように、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に遮光性樹脂12を塗布した後、図11Cに示すように、スペーサ27を磁気発生器8により任意の位置に配置する。
最後に、図11Dに示すように、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置に遮光性樹脂12を塗布した後、第2レンズ2をレンズ枠3に挿入し、第2レンズ2とレンズ枠3間に接着剤10を塗布し、接着剤10および遮光性樹脂12を硬化させることによってレンズ鏡筒が完成する。
この第4実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第2,第3実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
上記スペーサ27の一例としては、表面に光沢をもつ、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料の金属球が挙げられる。そのため、スペーサ27表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサの外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、球表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後の外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
しかし、上記第3実施形態で示した遮光性樹脂12を用いたレンズ鏡筒の組立方法の場合、スペーサ27に表面処理を行うことなく迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることができる。
また、上記第1レンズ2と各スペーサ27の接触部および第2レンズ2と各スペーサ27の接触部に遮光性樹脂12を塗布することにより、スペーサ27を第1,第2レンズ1,2に確実に固定することができる。
ここで、遮光性樹脂12の塗布領域については、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を与えることなく、スペーサ27による迷光を防止することができる。
〔第5実施形態〕
図12Aはこの発明の第5実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラモジュールの分解斜視図を示している。
図12Aにおいて、40はレンズユニット、41はレンズ駆動モータユニット、42は受光部の一例としての撮像素子を有するセンサーユニットである。また、レンズユニット40は、被写体側から順に、第1レンズホルダ43と、第2レンズホルダ44と、第3レンズホルダ45とを備えている。また、レンズユニット40は、所定の間隔をあけてかつ光軸方向に平行に配置された3つのガイド軸46を備えている。上記第2レンズホルダ44と第3レンズホルダ45は、レンズ駆動モータユニット41によりガイド軸46に沿って移動する。
また、図12Bは上記カメラモジュールを構成するレンズユニットの断面図を示している。このレンズユニット40は、被写体側の第1レンズホルダ43に第1レンズ群51を保持し、第2レンズホルダ44に第2レンズ群52を保持し、第4レンズホルダ45は第3レンズ群53を保持している。また、レンズユニット40の基部48の撮像側に、第4レンズ群54を保持すると共に、ガラスカバー55を有するセンサーユニット42を取り付けている。なお、図12Bにおいて、47は第2レンズホルダ44と第3レンズホルダ45をガイド軸46に沿って駆動するためのリードスクリューである。
このカメラモジュールでは、第4レンズホルダ45に保持された第3レンズ群53に、第1〜第4実施形態のレンズ鏡筒を用いている。
また、図12Cは上記カメラモジュールのレンズ系の構成を示している。図12Cに示すように、左側の被写体側から順に、第1レンズ群51、第2レンズ群52、第3レンズ群53、第4レンズ群54、ガラスカバー55、撮像素子56を配置している。
上記第1〜第4実施形態で説明したレンズ鏡筒によれば、レンズ鏡筒が絞り部分に配置されたレンズ系をとる図12Aに示すカメラモジュールのように、光束が集中する付近にスペーサが配置されている場合においても、遮光性樹脂によりスペーサ表面からの反射による迷光が防止され、光学性能の低下を防止することが可能となる。
また、レンズ鏡筒内にはスペーサ位置決め用の構造物を形成する必要が無いため、従来のスペーサを用いたレンズ鏡筒に比べ、有効領域の確保と鏡筒径の小型化が可能であり、結果としてレンズ系全体を小型化できる効果がある。
〔第6実施形態〕
図16はこの発明の第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図16に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれの第1,第2レンズ501,502の光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。ここで、スペーサ507は、第1レンズ501および第2レンズ502の曲面に当接した状態で介在され、両第1,第2レンズ501,502の間隔を決定する。
また、上記スペーサ507の一般的な例としては、クロム球や磁性を持つステンレス球などがあり、外形寸法の誤差が数μmもしくは0.数μm程度であるため、レンズ間のレンズ間隔の精度の誤差を数μmもしくは0.数μmで設定することができる。
上記レンズ枠503は、内周の下端側近傍に設けられた段部520を有し、その段部520に第1レンズ501のレンズ面の外周部が当接している。また、上記レンズ枠503の外側には、スペーサ507の位置決めを行うための3個のスペーサ位置決め用磁石508がレンズ枠503の周方向を略三等分した120°の間隔で配置されている。ここで、スペーサ位置決め用磁石508の代わりに、電磁石などの磁気発生器を用いてもよい。
ここで、この第6実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明する。図17A〜図17Cはこの第6実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明するための図である。なお、図17B(a)は、図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た断面図であり、図17B(b)は、図17B(a)のXVIIBb−XVIIBb線から見た断面図である。
最初に、図17Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。上記レンズ枠503の内周の段部520に第1レンズ501の一方のレンズ面の外周部が当接する。
ここで、レンズ枠503の内径が第1,第2レンズ501,502の外径よりも大きい場合、レンズ枠503の内壁と第1,第2レンズ501,502の間に隙間が生じ、結果として組立後に第1,第2レンズ501,502間にずれが生じてしまうため、レンズ枠503の内径は第1,第2レンズ501,502の外形と同様もしくは小さくする必要がある。
次に、図17Bに示すように、スペーサ507をレンズ枠503内に配置する。
このとき、スペーサ507は、レンズ枠503の外側に配置されたスペーサ位置決め用磁石508に引き寄せられ、レンズ枠503の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ501,502の周方向を略三等分した等配位置に位置決めされる。
ここで、スペーサ507をレンズ枠503内にピンセットなどの保持具を用いて配置する場合、それぞれのスペーサ507を配置したい位置の近傍まで保持しておかなければ、スペーサ位置決め用磁石508が複数配置されていることから、意図しない方向にスペーサ507が引き寄せられてしまう場合がある。
そこで、図18(a),図18(b)に示すスペーサ用ガイド509を使用する。なお、図18(a)は、図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た断面図であり、図18(b)は、図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線から見た断面図である。このスペーサ用ガイド509を使用することにより、それぞれのスペーサ507を、スペーサ用ガイド509を通してレンズ枠503内に挿入することによって、スペーサ507を配置したい位置の近傍まで保持することなく、それぞれのスペーサ位置決め用磁石508により引き寄せられる位置に容易にスペーサ507を配置することができる。
上記スペーサ用ガイド509に使用する材質としては、スペーサ用ガイド509にスペーサ507が引き寄せられないよう、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料等の材質とする。
また、上記レンズ枠503に使用する材質としては、レンズ枠503にスペーサ507が引き寄せられないよう、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料等の材質とする。
上記レンズ枠503に使用する非磁性材質の具体例としては、ポリカーボネート等の樹脂材料などが挙げられるが、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料であれば、これに限らない。
また、スペーサ507は、レンズ有効径外に配置され、かつ第1,第2レンズ501,502のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
次に、図17Cに示すように、レンズ枠503に第2レンズ502を挿入し、第2レンズ502とレンズ枠503間を接着剤510により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
一般的に、レンズ鏡筒の組立でレンズを固定するときには、接着剤として紫外線硬化樹脂が使用されている。この場合、第2レンズ502とレンズ枠503間に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射し、硬化すればよい。
以上に説明したレンズ鏡筒の組立方法を用いることにより、レンズ枠503の外側に設けたスペーサ位置決め用磁石508がスペーサ507の動きを規制するため、容易に所定の位置にスペーサ507を配置することができる。
また、スペーサ位置決め用磁石508によりスペーサ507は、レンズ枠503の内壁に当接した状態で動きが規制されるため、その後の組立のときにもスペーサ507はレンズ枠503の内壁から離れることがなく、第1,第2レンズ501,502とスペーサ507の接触点のずれによるレンズの倒れを防ぐことができる。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ枠503外に配置されたスペーサ位置決め用磁石508の磁気力により磁性材料からなるスペーサ507を所定の位置に吸い寄せて、スペーサ507の動きを規制することにより、組立時に第1,第2レンズ501,502間にスペーサ507を動かないように容易に配置でき、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠503内の第1,第2レンズ501,502の倒れを確実に防止することができる。
また、上記第1レンズ501上に配置されたスペーサ507の数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石508を、レンズ枠503外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠503内にスペーサ507を周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、スペーサ507を所定位置に配置するためのスペーサ用ガイド509を使用することによって、スペーサ507を所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記球体のスペーサ507を第1,第2レンズ501,502の有効径外に配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
なお、上記第6実施形態では、レンズ枠503に挿入する第1,第2レンズ501,502の外径を同径としているが、第1,第2レンズ501,502の外径が異なる場合にも同様の方法でレンズ鏡筒の組立を行うことが可能である。
そのときは、図19に示すように、段付のレンズ枠511を使用することにより、異なる径のレンズを使用した場合においても、図17に説明した方法と同様の手順でレンズ鏡筒の組立が可能である。
図19に示すレンズ鏡筒では、レンズ枠511は、内周の下端側から小径部511a,中径部511bおよび大径部511cを有している。上記レンズ枠511の中径部511bに挿入された第1レンズ501のレンズ面の外周部が、その小径部511aと中径部511bとの間の段部521に当接している。また、上記レンズ枠511の大径部511cに第2レンズ502を挿入している。
また、スペーサ507の寸法については、前述の場合と同様、レンズ有効径外に配置され、かつ、第1,第2レンズ501,502のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
また、この第6実施形態では、3つのスペーサ507を配置しているが、3以上のスペーサ507を配置する場合には、スペーサ位置決め用磁石508を、スペーサ507を配置したい位置にあわせて複数設置し、図17A〜図17Cに示した方法と同様の方法で組立を行えばよい。
〔第7実施形態〕
図20は、この発明の第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。この第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、レンズにスペーサを接着剤により固定することを除いて第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
図20に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。また、スペーサ507は、第1レンズ501のレンズ面に接着剤510で固定されている。
次に、この第7実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について図21A〜図21Dに従って説明する。図21A〜図21Dはこの第7実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第6実施形態で示した組立方法と同様、図21Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。
次に、図21Bに示すように、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に接着剤510を塗布した後、図21Cに示すようにスペーサ507をスペーサ位置決め用磁石508により任意の位置に配置する。
最後に、図21Dに示すようにレンズ枠503に第2レンズ502を挿入した後、第2レンズ502とレンズ枠503間を接着剤510により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
ここで、第6実施形態と同様、接着剤510として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図21Dに示す工程を終えた後に紫外線を照射し、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に塗布した接着剤510と、第2レンズ502とレンズ枠503間に塗布した接着剤510を同時に硬化すればよい。
上記第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
また、上記接着剤510により第1レンズ501にスペーサ507を固定することにより、スペーサ507を第1,第2第1レンズ501,2それぞれの対向するレンズ面で挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができる。
また、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置に接着剤510を塗布して固定した場合にも同様の効果を得られ、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置と、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置の両方に、接着剤510を塗布し固定した場合にも同様の効果を得ることができる。
また、第1レンズ501または第2レンズ502に、スペーサ507を接着剤510により固定する場合、接着剤510の塗布領域については、レンズの有効径外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の光学特性に接着剤510が影響することなくスペーサ507を固定することができる。
〔第8実施形態〕
図22は、この発明の第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図22に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。
また、スペーサ507は、第1レンズ501のレンズ面および第2レンズ502のレンズ面に遮光性樹脂512で固定されている。ここで、遮光性樹脂512としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
図23A〜図23Dは、この第8実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第6,第7実施形態で示したレンズ鏡筒の組立方法と同様、図23Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。
次に、図23Bに示すように、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に遮光性樹脂512を塗布した後、図23Cに示すように、スペーサ507をスペーサ位置決め用磁石508により任意の位置に配置する。
最後に、図23Dに示すように、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置に遮光性樹脂512を塗布した後、第2レンズ502をレンズ枠503に挿入し、第2レンズ502とレンズ枠503との間に接着剤510を塗布し、接着剤510および遮光性樹脂512を硬化させることによってレンズ鏡筒が完成する。
この第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
上記スペーサ507の例としては、クロム球や磁性をもつステンレス球等が挙げられ、これらはいずれも表面に光沢をもつ金属球となっている。そのため、スペーサ507表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサの球面外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、球表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後のスペーサ外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
しかし、上記第8実施形態で示した遮光性樹脂512を用いたレンズ鏡筒の組立方法の場合、スペーサ507に表面処理を行うことなく迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることができる。
また、上記第1レンズ502と各スペーサ507の接触部および第2レンズ502と各スペーサ507の接触部に遮光性樹脂512を塗布することにより、スペーサ507を第1,第2レンズ501,502に確実に固定することができる。
ここで、遮光性樹脂512の塗布領域については、図24に示すように、各スペーサ507の外形(直径d)以上、すなわち遮光性樹脂512によりスペーサ507の外周が覆われ、鏡筒端側からスペーサ507が見えなくなる程度とし、かつ、第1,第2レンズ501,502の有効径外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を与えることなく、スペーサ507による迷光を防止することができる。
上記第1〜第8実施形態では、球形状(または球体)のスペーサを用いたが、スペーサの形状はこれに限らないのは勿論である。
例えば、図25に示すように、円筒形状のスペーサを使用した場合にも、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点が、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、球形状のスペーサを使用した場合と同様に、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。
よって、スペーサ7の形状に関しては、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点が、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されるものであればよい。
上記第1〜第8実施形態では、第1,第2レンズの互いに向かい合う面が凸面と平坦面との組み合わせによる場合を説明したが、これに限定されず、凸面と凸面、凸面と凹面、平坦面同士、平坦面と凹面、凹面同士等の組み合わせによるレンズ間の間隔を確保するためにこの発明を適用することができる。
また、上記第1〜第8実施形態では、クロム球やステンレス球等の磁性材料からなる球体のスペーサを用いたレンズ鏡筒の組立方法について説明したが、スペーサはこれに限らず、スペーサ位置決め用磁石により吸引される磁性材料を含むものであればよい。
また、上記第6〜第8実施形態では、スペーサ位置決め用磁石508として永久磁石を用いたが、スペーサ位置決め用磁石はこれに限らず、電磁石などであってもよく、スペーサの数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石の磁極が、レンズ枠外に周方向に等間隔に配置されたものであればよい。
また、上記第1〜第8実施形態では、接着剤10,510,遮光性樹脂12,512により第1レンズ1,501にスペーサ7,27,507を固定したが、スペーサの固定方法はこれに限らない。
また、上記第1〜第8実施形態では、レンズ枠3,503を円筒形状としたが、レンズ枠はこれに限らず、レンズを保持可能な筒状のものであればよい。
また、レンズ鏡筒として、
複数枚のレンズと、
上記複数枚のレンズの光軸を一致させて保持する筒状のレンズ枠と、
上記複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面および上記レンズ枠の内壁に当接する3つ以上の球体のスペーサと
を備え、
上記球体のスペーサは磁性材料を含むことを特徴とするものでもよい。
上記構成のレンズ鏡筒によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚の第1,第2レンズのレンズ面間に3つ以上の磁性材料を含む球体のスペーサを備えた構成にすることによって、組立時にレンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置することにより、周方向、径方向において球体のスペーサの動きを規制することが可能となる。つまり、レンズ枠内でレンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに磁性材料を含む球体を用いて、磁性材料を含む球体を、レンズ枠外に配置されたスペーサ位置決め用磁石の磁気力により所定の位置に吸引して、組立時にレンズ間に球体を動かないように容易に配置することが可能となる。したがって、組立時にレンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、上記レンズ鏡筒において、上記レンズ枠の構成材料を、常磁性材料もしくは反磁性材料としてもよい。
上記レンズ鏡筒によれば、レンズ枠の構成材料を、磁気発生器による磁化の影響を無視できる常磁性材料もしくは反磁性材料とすることにより、球体のスペーサがレンズ枠に吸引されることなく、スペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、レンズ鏡筒の組立方法として、
複数枚のレンズと、
上記複数枚のレンズの光軸を一致させて保持する筒状のレンズ枠と、
上記複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面および上記レンズ枠の内壁に当接する磁性材料を含む球体のスペーサと
を備えたレンズ鏡筒の組立方法であって
上記筒状のレンズ枠に、上記2枚のレンズのうちの一方の第1レンズを挿入する第1の工程と、
上記レンズ枠内に挿入された上記第1レンズ上に、上記球体のスペーサを3つ以上配置する第2の工程と、
上記レンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置して、上記スペーサ位置決め用磁石の磁極と上記レンズ枠内に配置された上記球体のスペーサとの間の吸引力によって、上記球体のスペーサの位置決めを行う第3の工程と、
上記スペーサ位置決め用磁石により上記球体のスペーサが位置決めされた状態で、上記レンズ枠内に上記2枚のレンズのうちの他方の第2レンズを挿入し、上記レンズ枠に上記第2レンズを固定する第4の工程と
を有することを特徴とするものでもよい。
上記構成のレンズ鏡筒の組立方法によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚の第1,第2レンズのレンズ面間に3つ以上の球体のスペーサを備えたレンズ鏡筒において、レンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置することにより、周方向、径方向において磁性材料を含む球体のスペーサの動きを規制する。つまり、レンズ枠内で第1,第2レンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに磁性材料を含む球体を用いて、その磁性材料を含む球体を、レンズ枠外に配置されたスペーサ位置決め用磁石の磁気力により所定の位置に吸引して、球体の動きを規制することにより、組立時にレンズ間に球体を動かないように容易に配置できる。したがって、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、
上記スペーサ位置決め用磁石の磁極の数は、上記第1レンズ上に配置された上記球体のスペーサの数と同じであり、
上記第3の工程において、上記スペーサ位置決め用磁石の磁極を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、上記第1レンズ上に配置された上記球体のスペーサの数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠内に球体のスペーサを周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記球体のスペーサを所定位置に配置するためのスペーサ用ガイドを使用してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、スペーサ用ガイドを使用することによって、球体のスペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記レンズ枠の構成材料を、常磁性材料もしくは反磁性材料としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ枠の構成材料を、磁気発生器による磁化の影響を無視できる常磁性材料もしくは反磁性材料とすることにより、球体のスペーサがレンズ枠に吸引されることなく、球体のスペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第2の工程において、上記球体のスペーサを上記第1,第2レンズの有効径外に配置してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、球体のスペーサを第1,第2レンズの有効径外に配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に上記球体のスペーサを接着剤で固定する第5の工程を有してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に球体のスペーサを接着剤で固定することにより、レンズ面間で球体のスペーサを挟んだだけの場合よりも、より強固に球体のスペーサを所定の位置に固定することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記球体のスペーサを固定する上記接着剤の塗布領域は、第1,第2レンズの有効径外としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、接着剤の塗布領域をレンズの有効径外とすることによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えることなく球体のスペーサの固定ができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第1,第2レンズと上記球体のスペーサを固定する上記接着剤を遮光性樹脂としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、球体のスペーサの固定に遮光性樹脂を使用することにより、球体のスペーサの固定と同時に、スペーサ表面からの反射による迷光を防止できる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第4の工程において、上記第1レンズと上記各球体のスペーサの接触部および上記第2レンズと上記各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、第1レンズと各スペーサの接触部および上記第2レンズと各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布することにより、球体のスペーサの固定を確実に行うことができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記遮光性樹脂の塗布領域を上記各スペーサの外形以上とし、かつ、上記レンズの有効径外に上記遮光性樹脂を塗布してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、遮光性樹脂の塗布領域を、各スペーサの直径以上かつレンズの有効径外とすることにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えることなく球体のスペーサの固定および反射による迷光を防止できる。
この発明は、レンズ間の間隔誤差、レンズ倒れを抑え、高精度な組立ができるレンズ鏡筒と、その組立方法と、そのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールに利用可能である。
図1はこの発明の第1実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図2は上記レンズ鏡筒においてスペーサの固定に遮光性樹脂を使用したときの断面図である。
図3はこの発明の第2実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図4Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を説明するための図である。
図4Bは図4Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図であり、図4B(a)は図4B(b)のIVBa−IVBa線から見た横断面図であり、図4B(b)は図4B(a)のIVBb−IVBb線から見た縦断面図である。
図4Cは図4Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図5は上記スペーサを配置する第1レンズ面が、レンズ枠の内側への傾斜面となっている場合において、組立を行うことが可能な条件について説明するための説明図である。
図6(a)はスペーサ用ガイドを使用してスペーサを配置する方法について説明するための上面図であり、図6(a)は図6(b)のVIa−VIa線から見た横断面図であり、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb線から見た縦断面図である。
図7は異なる径のレンズを使用した場合のレンズ鏡筒の組立方法について説明するための説明図である。
図8はこの発明の第3実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図9Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Bは図9Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Cは図9Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Dは図9Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図10はこの発明の第4実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図11Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Bは図11Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Cは図11Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Dは図11Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図12Aはこの発明の第5実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラモジュールの分解斜視図である。
図12Bは図12Aに示すカメラモジュールを構成するレンズユニットの断面図である。
図12Cは図12Aに示すカメラモジュールのレンズ系を示す図である。
図13は従来のレンズ鏡筒について説明するための説明図である。
図14Aは鋼球をスペーサとして使用した、従来のレンズ鏡筒の一例について説明するための説明図である。
図14Bは従来のレンズ鏡筒において鋼球をスペーサとして使用した例について説明するための説明図である。
図15は従来のレンズ鏡筒において平坦面にスペーサを配置した例ついて説明するための説明図である。
図16はこの発明の第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図17Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順をするための図である。
図17Bは図17Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図であり、図17B(a)は図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た横断面図であり、図17B(b)は図17B(a)のXVIIBb−XVIIBb線から見た縦断面図である。
図17Cは図17Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図18(a)はスペーサ用ガイドを使用して球体を配置する方法について説明するための上面図であり、図18(a)は図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た横断面図であり、図18(b)は図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線から見た縦断面図である。
図19は異なる径のレンズを使用した場合のレンズ鏡筒の組立方法について説明するための説明図である。
図20はこの発明の第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図21Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Bは図21Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Cは図21Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Dは図21Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図22はこの発明の第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図23Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Bは図23Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Cは図23Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Dは図23Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図24は遮光性樹脂の塗布領域について説明するための説明図である。
図25(a)は円筒形状のスペーサを使用した場合のレンズ鏡筒の上面図であり、図25(a)は図25(b)のXXVa−XXVa線から見た横断面図であり、図25(b)は図25(a)のXXVb−XXVb線から見た縦断面図である。
符号の説明
1,100…第1レンズ
2…第2レンズ
3…レンズ枠
4…間隔環
5…レンズ鏡筒
7,27…スペーサ
8…磁気発生器
9…スペーサ用ガイド
10…接着剤
11…レンズ枠
12…遮光性樹脂
20,21,22…段部
501…第1レンズ
502…第2レンズ
503…レンズ枠
504…間隔環
505…レンズ鏡筒
507…球体
508…スペーサ位置決め用磁石
509…スペーサ用ガイド
510…接着剤
511…レンズ枠
512…遮光性樹脂
520,521,522…段部
この発明は、レンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびカメラモジュールに関し、詳しくは、複数枚のレンズをレンズ枠に固定して保持するレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびそのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールに関する。
従来、レンズ鏡筒としては、撮影光学系として一つまたは複数のレンズ群が組み込まれたものがある。このようなレンズ群を構成する複数枚のレンズとこれらのレンズを組み込んで保持するレンズ枠とによって、レンズ鏡筒を組み立てることが一般に行われている。このレンズ鏡筒におけるレンズ群において、複数枚のレンズをレンズ枠内に所定の間隔をおいて組み込み固定して保持するための方法として、図13に示すレンズ鏡筒の組立方法が知られている。このレンズ鏡筒の組立方法では、一方向からレンズ101,102をレンズ枠103内に組み込み、かつレンズ101,102間に所定の間隔を確保するように所定の厚みを有するように予め加工した間隔環104を挟み込み、レンズ鏡筒105を形成する。
しかし、図13に示すレンズ鏡筒の組立方法の場合、レンズ枠103の内壁と間隔環104との間に隙間を必要とするため、間隔環104が偏心した場合、間隔環104とレンズ101(もしくはレンズ102)との接触点がずれて、レンズ101(もしくはレンズ102)が傾く場合がある。
そこで、このようなレンズの倒れを防ぐ方法として、図14A,図14Bに示すような構成のレンズ鏡筒が提案されている(特開平9−318858号公報(特許文献1)参照)。なお、図14A(a)は図14A(b)のXIVAa−XIVAa線から見た横断面図であり、図14A(b)は図14A(a)のXIVAb−XIVAb線から見た縦断面図であり、図14B(a)は図14B(b)のXIVBb−XIVBb線から見た横断面図であり、図14B(b)は図14B(a)のXIVBa−XIVBa線から見た縦断面図である。
このレンズ鏡筒は、図14A(図14B)に示すように、レンズ枠203(303)内でレンズ201,202(301,302)間を所定の間隔をおいて保持するための従来の間隔環に相当する部品として、少なくとも三個の鋼球206(306)を用い、かつこれらの鋼球206(306)をレンズ201,202(301,302)の周方向において略三分割した等配位置に配置する。これにより、レンズ201,202(301,302)間の間隔を鋼球206(306)の径寸法によって所定の値に設定して組み立てている。
一般に、市販されている鋼球の外形寸法のばらつきは数μm、もしくは0.数μmであるため、レンズ間の間隔の精度の誤差を数μm、もしくは0.数μm以内に設定することが可能となる。
このレンズ鏡筒の組立方法による組立の工程としては、最初にレンズ201(301)をレンズ枠203(303)に挿入し、次に鋼球6をレンズ枠203(303)内に配置し、最後にレンズ202(302)をレンズ枠203(303)に挿入するという方法が採られる。
上記レンズ鏡筒のレンズ枠203(303)には、凹部を有する位置決め用構造物207(207)が設けられており、上記凹部で鋼球206(306)を周方向および径方向に規制することにより、鋼球106の位置決めを等間隔で行っている。
しかし、図14A,図14Bのように、レンズ枠203(303)内に位置決め用構造物207(307)を設ける場合、レンズ枠構造の複雑化に伴い、鏡筒の製造コストが増加してしまう。
また、図14Bのような構成の場合、鋼球306の内側に位置決め用構造物307を設ける必要があるため、レンズの有効領域が減少してしまう。
レンズの有効領域をより広い範囲で確保するためには、位置決め用構造物の内径を広げる必要があるため、それに伴いレンズ枠内径を広げなくてはならず、結果として鏡筒寸法が大型化してしまう。
例えば、小型化が要求されている携帯電話用のカメラモジュールの構成部品としてレンズ鏡筒を使用する場合において、鏡筒の大型化は、モジュール全体の大型化につながるため、このような場合、モジュールの構成部品となる鏡筒はより小型にすることが望ましい。
レンズ鏡筒において位置決め用構造物を形成しない場合は、より広い有効領域を確保することができ、かつ、より自由度の高い組み合わせでレンズ系を構成することが可能となるが、周方向の所定の位置に鋼球を配置するとき、鋼球の動きは規制されていないため、組立のときに鋼球が所定の位置から動いてしまい、鋼球とレンズ枠内壁との間に隙間が生じ、結果として間隔環を使用した場合と同様レンズの倒れが生じる場合がある。
特に、図15に示すように、鋼球406を配置する面が平坦な場合においては、周方向にも径方向にも鋼球406の動きが規制されていないため、鋼球406を略三分割した等配位置かつレンズ枠403の内壁に接するように配置し、鋼球406が動かないようにその後の組立を行うことは非常に困難である。
また、鋼球406を配置する面が凹面の場合においても、周方向にも径方向にも鋼球406の動きが規制されていないため、平坦面の場合と同様、その後の組立を行うことは困難となる。
特開平9−318858号公報
そこで、この発明の課題は、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内におけるレンズの倒れを確実に防止できるレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびそのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールを提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のレンズ鏡筒では、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する3つ以上のスペーサと
を備え、
上記スペーサの構成材料が強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むことを特徴とする。
上記実施形態によれば、強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むスペーサを、レンズ枠の外側から磁気発生器などにより磁化して吸引することにより、任意の位置に配置することが可能となる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、
上記レンズ枠の構成材料が常磁性材料または反磁性材料であることを特徴とする。
上記実施形態によれば、レンズ枠の材料として常磁性材料もしくは反磁性材料を用いることで、レンズ枠自体の磁化の影響を受けることなく、スペーサが任意の位置に配置される。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記スペーサが、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、
上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方に、上記スペーサが接着剤で固定され、かつ、上記接着剤は、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に塗布されている。
上記実施形態によれば、上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方にスペーサを固定することによって、より強固にスペーサが固定され、耐衝撃性が向上される。そして、レンズ系を通過する有効光線の領域外に接着剤を塗布することによって、光学性能の低下を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記接着剤が遮光性樹脂である。
上記実施形態によれば、接着剤に遮光性樹脂を用いることによって、スペーサの固定による耐衝撃性の向上と共に、スペーサ表面からの反射による迷光の防止が実現できる。
また、この発明のレンズ鏡筒の組立方法では、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する、強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むスペーサとを備えたレンズ鏡筒の組立方法であって、
上記筒状のレンズ枠に、上記2枚のレンズのうちの一方の第1レンズを挿入する第1の工程と、
上記レンズ枠内に挿入された上記第1レンズ上に、上記スペーサを3つ以上配置する第2の工程と、
上記レンズ枠外に磁気発生器を配置して、上記磁気発生器の磁極と上記レンズ枠内に配置された上記スペーサとの間の吸引力によって、上記スペーサの位置決めを行う第3の工程と、
上記磁気発生器により上記スペーサが位置決めされた状態で、上記レンズ枠内に上記2枚のレンズのうちの他方の第2レンズを挿入し、上記レンズ枠に上記第2レンズを固定する第4の工程とを有することを特徴とする。
上記実施形態によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ面間に3つ以上のスペーサを備えたレンズ鏡筒において、レンズ枠外に磁気発生器を配置することにより、周方向、径方向において強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むスペーサの動きを規制する。つまり、レンズ枠内で第1,第2レンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに上記磁性材料を含むスペーサを用いて、その磁性材料を含むスペーサを、レンズ枠外に配置された磁気発生器の磁気力により所定の位置に吸引して、スペーサの動きを規制することにより、組立時にレンズ間にスペーサを動かないように容易に配置できる。したがって、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、
上記スペーサを配置するレンズ面が上記レンズ枠の内側に向かって徐々に低くなる傾斜面であり、
上記スペーサが接する上記レンズ面の傾斜角θ、上記スペーサの磁極の強さM
1、上記スペーサの質量m、上記磁気発生器の磁極の強さM
2、上記レンズ枠の透磁率μ、重力加速度gである場合、
上記レンズ枠の壁厚tが、
である。
上記実施形態によれば、上記レンズ枠の壁厚を、上記条件を満たすように決定することにより、スペーサを配置する第1レンズ面がレンズ枠内側への傾斜面となっている場合においても、スペーサをレンズ枠の内壁に当接させることができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、
上記磁気発生器の磁極の数は、上記第1レンズ上に配置された上記スペーサの数と同じであり、
上記第3の工程において、上記磁気発生器の磁極を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置する。
上記実施形態によれば、上記第1レンズ上に配置された上記スペーサの数と同じ数の磁極を有する磁気発生器を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠内にスペーサを周方向に等間隔に配置することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記スペーサを所定位置に配置するためのスペーサ用ガイドを使用する。
上記実施形態によれば、上記実施形態のレンズ鏡筒の組立方法によれば、スペーサ用ガイドを使用することによって、スペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第2の工程において、上記スペーサを上記第1,第2レンズを通過する有効光線の領域外に配置する。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に上記スペーサを接着剤で固定する第5の工程を有し、上記接着剤の塗布領域を、上記第1,第2レンズを通過する有効光線の領域外とする。
上記実施形態によれば、上記第1,第2レンズの少なくとも一方にスペーサを接着剤で固定することにより、レンズ面間でスペーサを挟んだだけの場合よりも、より強固にスペーサを所定の位置に固定し、耐衝撃性を向上させることができる。そして、接着剤の塗布領域を、レンズ系を通過する有効光線の領域外とすることによって、レンズ鏡筒の光学性能に影響を与えることなくスペーサの固定ができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1,第2レンズの少なくとも一方と上記スペーサを固定する上記接着剤を遮光性樹脂とする。
上記実施形態によれば、スペーサの固定に遮光性樹脂を使用することにより、スペーサの固定と同時に、スペーサ表面からの反射による迷光を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1レンズと上記各スペーサの接触部および上記第2レンズと上記各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布する。
上記実施形態によれば、第1レンズと各スペーサの接触部および第2レンズと各スペーサの接触部に遮光性樹脂を塗布することにより、スペーサの固定が確実に行われ、かつ遮光性が向上される。
また、この発明のカメラモジュールでは、上記のいずれか1つのレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を用いて結像される画像を撮像する撮像素子を備えた受光部とを含むことを特徴とする。
上記実施形態によれば、従来のスペーサを用いた鏡筒に比べ、有効領域の確保と鏡筒径の小型化が可能であるため、モジュールのレンズ系全体を小型化できる効果がある。
以上より明らかなように、この発明のレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ面間に介在するスペーサを所定の位置に容易に配置でき、レンズ枠内におけるレンズの倒れを確実に防止できるレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法を実現することができる。
また、スペーサ位置決め用の構造物が不要となるため、鏡筒の小型化が可能となり、それに伴い、レンズ系全体の小型化を実現することができる。
また、この発明のカメラモジュールによれば、上記レンズ鏡筒を用いることによって、モジュールのレンズ系全体を小型化することができる。
以下、この発明のレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびカメラモジュールを図示の実施の形態により詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。
図1に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれの第1,第2レンズ1,2を保持する筒状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面に当接する球形状の3つのスペーサ7により構成されている。ここで、スペーサ7は、第1レンズ1および第2レンズ2の曲面に当接した状態で介在し、両第1,第2レンズ1,2の間隔を決定する。また、第1レンズ1は、2つの光学素子からなる複合レンズである。
上記レンズ枠3は、内周の下端側近傍に設けられた段部20に第1レンズ1のレンズ面の外周部が当接している。また、上記スペーサ7を接着剤10により第1レンズ1に固定している。
一方、複合レンズである第2レンズ2は、2つのメニスカスレンズを接合したもので、その接合面の外周側に環状の溝2aが形成されている。この環状の溝2aに対向するように、レンズ枠3に段部23を形成している。このレンズ枠3に段部23を利用して、レンズ枠3に挿入された第2レンズ2とレンズ枠3との間を接着剤10により固定している。これにより、第2レンズ2の光軸方向の動きを規制して、第2レンズ2を確実にレンズ枠3に固定している。
また、上記レンズ枠3の内径は、第1,第2レンズ1,2間において同径であり、スペーサ7はレンズ枠3の内壁に当接している。レンズ枠3の内径が、第1,第2レンズ1,2間において同径であるため、第1,第2レンズ1,2の中心を完全に一致させた状態で、第1,第2レンズ1,2を保持することができる。
また、スペーサ7をレンズ枠3の内壁に当接させることによって、スペーサ7は、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点のずれによるレンズ間の倒れは生じず、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。
スペーサ7は、レンズ枠3の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。このように、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサ7が配置されているため、スペーサ7による有効光線のけられ等の影響を受けることなく、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。ここで、「けられ」とは、光学系を通過する有効光束が途中のレンズや鏡筒などによって遮れる減少のことである。
また、スペーサ7を接着剤10により第1レンズ1に固定することによって、対向する第2レンズ2のレンズ面でスペーサ7を挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができ、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
ここで、図1では、スペーサ7を第1レンズ1に固定しているが、第1レンズ1に限らず、2枚のレンズ1,2の少なくとも一方にスペーサ7が固定されることにより同様の効果を得ることができる。
また、スペーサ7を固定する接着剤10の塗布位置は、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外となっており、接着剤による有効光線のけられ等で、レンズ鏡筒の光学特性に影響は与えない。
上記スペーサ7の材料として、表面に光沢をもつ金属等を使用した場合、スペーサ7表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサ7の外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後の外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
そこで、図2のように、スペーサ7と第1,第2レンズ1,2を固定する接着剤として、遮光性樹脂12を使用することで、スペーサ7に表面処理を行うことなく、迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることが可能となる。
ここで、遮光性樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
〔第2実施形態〕
図3はこの発明の第2実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。この第2実施形態のレンズ鏡筒は、スペーサを除いて第2実施形態のレンズ鏡筒と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
図3に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれの第1,第2レンズ1,2の光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。ここで、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1および第2レンズ2の曲面に当接した状態で介在し、両第1,第2レンズ1,2の間隔を決定する。
また、上記スペーサ27が含む強磁性材料およびフェリ磁性材料としては、以下の(1)〜(3)のうちいずれかを用いることができる。
(1)Fe、Co、Ni、または、Fe、Co、Ni、Mn及びCrよりなる群から選択された少なくともいずれかの1つの元素を含む合金
(2)「パーマロイ」と呼ばれるNiFe系合金、CoNbZr系合金、FeTaC系合金、CoTaZr系合金、FeAlSi系合金、FeB系合金、CoFeB系合金等の軟磁性材料
(3)ホイスラー合金、CrO2、Fe3O4、La1-XSrXMnO3などのハーフメタル磁性材料
上記スペーサ27の材料としては、これらのうちから適宜選択して用いればよい。また、レンズ枠3の材料としては、常磁性材料もしくは反磁性材料を使用する。
上記レンズ枠3は、内周の下端側近傍に設けられた段部20を有し、その段部20に第1レンズ1のレンズ面の外周部が当接している。
ここで、この第2実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明する。図4A〜図4Cはこの第2実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明するための図である。なお、図4B(a)は、図4B(b)のIVBa−IVBa線から見た断面図であり、図4B(b)は、図4B(a)のIVBb−IVBb線から見た断面図である。
最初に、図4Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。上記レンズ枠3の内周の段部20に第1レンズ1の一方のレンズ面の外周部が当接する。
ここで、レンズ枠3の内径が第1,第2レンズ1,2の外径よりも大きい場合、レンズ枠3の内壁と第1,第2レンズ1,2の間に隙間が生じ、結果として組立後に第1,第2レンズ1,2間にずれが生じてしまうため、レンズ枠3の内径は、第1,第2レンズ1,2の外形と同様もしくは小さくする必要がある。
次に、図4Bに示すように、スペーサ27をレンズ枠3内に配置する。このとき、スペーサ27は、レンズ枠3の外側に配置された磁気発生器8に引き寄せられ、レンズ枠3の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ1,2の周方向を略三等分した等配位置に位置決めされる。ここで、磁気発生器8として、電磁石や永久磁石などを用いてもよい。
ここで、レンズ枠3の材料として常磁性材料もしくは反磁性材料を用いた場合、レンズ枠3の材料の磁気発生器8による磁化は無視できるほど小さいため、レンズ枠3自体の磁化の影響を受けることなく、スペーサ27を任意の位置に配置することが可能となる。
この図4Bで説明したレンズ鏡筒の組立方法では、スペーサ27を配置する第1レンズ1のレンズ面(第2レンズ2に対向する側)は略平面となっている。
図4Bのように、スペーサ27を配置する第1レンズ1のレンズ面が平面の場合や凸面の場合には、スペーサ27がレンズ枠3の内壁から離れる方向には力がかからない。
しかし、図5に示すような、スペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面が凹面、つまりレンズ枠3内側に向かって徐々に低くなる傾斜面となっている場合には、スペーサ27を配置したとき、内壁から離れる方向に、
F2=(mg)cosθ
の力がかかる。ここで、mはスペーサ27の質量、gは重力加速度、θはスペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面の傾斜角である。
よって、図5で示すような構成で組立を行う場合、磁気発生器8によりスペーサ27をレンズ枠3の内壁に引き寄せる吸引力F1がF1>F2となるように、レンズ枠3、スペーサ27、磁気発生器8を選択する必要がある。
磁極の強さM1を有するスペーサ27を、磁極の強さM2を有する磁気発生器8で吸引した場合、吸引力F1は、
F1=(1/4πμ)(M1M2/t2)
となる。
ここで、tはレンズ枠3の壁厚、μはレンズ枠3の材料の透磁率である。
よって、F1―F2>0を満たすように、レンズ枠3の材質、壁厚を選択することにより、スペーサ27を配置したとき、内壁から離れる方向にF2の力がかかる場合においてもレンズ枠3に当接するようにスペーサ27を配置することが可能となる。
以上の説明から、レンズ枠3の壁厚tを、
の条件を満たすように決定することにより、スペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面が、レンズ枠3の内側に向かって徐々に下がる傾斜面となっている場合においても、磁気発生器8によりスペーサ27を吸引することが可能となる。
ここで、スペーサ27をレンズ枠3内にピンセットなどの保持具を用いて配置する場合、それぞれのスペーサ27を配置したい位置の近傍まで保持しておかなければ、磁気発生器8が複数配置されていることから、意図しない方向にスペーサ27が引き寄せられてしまう場合がある。
そこで、図6(a),図6(b)に示すスペーサ用ガイド9を使用する。なお、図6(a)は、図6(b)のVIa−VIa線から見た断面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線から見た断面図である。このスペーサ用ガイド9を使用することにより、それぞれのスペーサ27を、スペーサ用ガイド9を通してレンズ枠3内に挿入することによって、スペーサ27を配置したい位置の近傍まで保持することなく、それぞれの磁気発生器8により引き寄せられる位置に容易にスペーサ27を配置することができる。
また、スペーサ27は、第1,第2レンズ1,2が構成するレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置され、かつ、第1,第2レンズ1,2のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
次に、図4Cに示すように、レンズ枠3に第2レンズ2を挿入した後、レンズ枠3の段部23を利用して、第2レンズ2とレンズ枠3との間を接着剤10により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
一般的に、レンズ鏡筒の組立でレンズを固定するときには、接着剤として紫外線硬化樹脂が使用されている。この場合、第2レンズ2とレンズ枠3との間に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射し、硬化すればよい。
以上に説明したレンズ鏡筒の組立方法を用いることにより、レンズ枠3の外側に設けた磁気発生器8がスペーサ27の動きを規制するため、容易に所定の位置にスペーサ27を配置することができる。
また、磁気発生器8によりスペーサ27は、レンズ枠3の内壁に当接した状態で動きが規制されるため、その後の組立のときにもスペーサ27はレンズ枠3の内壁から離れることがなく、第1,第2レンズ1,2とスペーサ27の接触点のずれによるレンズの倒れを防ぐことができる。
上記レンズ鏡筒および組立方法によれば、レンズ枠3外に配置された磁気発生器8の磁気力により磁性体からなるスペーサ27を所定の位置に吸い寄せて、スペーサ27の動きを規制することにより、組立時に第1,第2レンズ1,2間にスペーサ27を動かないように容易に配置でき、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠3内の第1,第2レンズ1,2の倒れを確実に防止することができる。
また、上記第1レンズ1上に配置されたスペーサ27の数と同じ数の磁極を有する磁気発生器8を、レンズ枠3外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠3内にスペーサ27を周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、スペーサ27を所定位置に配置するためのスペーサ用ガイド9を使用することによって、スペーサ27を所定の位置に容易に配置することができる。
また、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に、上記スペーサ27を配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
なお、上記第2実施形態では、レンズ枠3に挿入する第1,第2レンズ1,2の外径を同径としているが、第1,第2レンズ1,2の外径が異なる場合にも同様の方法でレンズ鏡筒の組立を行うことが可能である。
そのときは、図7に示すように、段付のレンズ枠11を使用することにより、異なる径のレンズを使用した場合においても、図4A〜図4Cに説明した方法と同様の手順でレンズ鏡筒の組立が可能である。
図7に示すレンズ鏡筒では、レンズ枠11は、内周の下端側から小径部11a,中径部11bおよび大径部11cを有している。上記レンズ枠11の中径部11bに挿入された第1レンズ1のレンズ面の外周部が、その小径部11aと中径部11bとの間の段部21に当接している。また、上記レンズ枠11の大径部11cに第2レンズ2を挿入している。
また、スペーサ27の寸法については、前述の場合と同様、レンズ系を通過する有効光線の領域外に配置され、かつ、第1,第2レンズ1,2のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
また、この第2実施形態では、3つのスペーサ27を配置しているが、3以上のスペーサ27を配置する場合には、磁気発生器8を、スペーサ27を配置したい位置にあわせて複数設置し、図4A〜図4Cに示した方法と同様の方法で組立を行えばよい。
〔第3実施形態〕
図8は、この発明の第3実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。この第3実施形態のレンズ鏡筒は、レンズにスペーサを接着剤により固定することを除いて第2実施形態のレンズ鏡筒と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
図8に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。また、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1のレンズ面に接着剤10で固定されている。
次に、この第3実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について図9A〜図9Dに従って説明する。図9A〜図9Dはこの第3実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第2実施形態で示した組立方法と同様、図9Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。
次に、図9Bに示すように、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に接着剤10を塗布した後、図9Cに示すようにスペーサ27を磁気発生器8により任意の位置に配置する。
最後に、図9Dに示すようにレンズ枠3に第2レンズ2を挿入した後、第2レンズ2とレンズ枠3間を接着剤10により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
ここで、第2実施形態と同様、接着剤10として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図9Dに示す工程を終えた後に紫外線を照射し、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に塗布した接着剤10と、第2レンズ2とレンズ枠3間に塗布した接着剤10を同時に硬化すればよい。
上記第3実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第1実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
また、上記接着剤10により第1レンズ1にスペーサ27を固定することにより、スペーサ27を第1,第2レンズ1,2それぞれの対向するレンズ面で挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができ、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
また、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置に接着剤10を塗布して固定した場合にも同様の効果を得られ、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置と、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置の両方に、接着剤10を塗布し固定した場合にも同様の効果を得ることができる。
また、第1レンズ1または第2レンズ2に、スペーサ27を接着剤10により固定する場合、接着剤10の塗布領域については、レンズ系を通過する有効光線の領域外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の光学特性に接着剤10が影響することなくスペーサ27を固定することができる。
〔第4実施形態〕
図10は、この発明の第4実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図10に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。
また、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1のレンズ面および第2レンズ2のレンズ面に遮光性樹脂12で固定されている。ここで、遮光性樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
図11A〜図11Dは、この第4実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第2,第3実施形態で示したレンズ鏡筒の組立方法と同様、図11Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。
次に、図11Bに示すように、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に遮光性樹脂12を塗布した後、図11Cに示すように、スペーサ27を磁気発生器8により任意の位置に配置する。
最後に、図11Dに示すように、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置に遮光性樹脂12を塗布した後、第2レンズ2をレンズ枠3に挿入し、第2レンズ2とレンズ枠3間に接着剤10を塗布し、接着剤10および遮光性樹脂12を硬化させることによってレンズ鏡筒が完成する。
この第4実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第2,第3実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
上記スペーサ27の一例としては、表面に光沢をもつ、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料の金属球が挙げられる。そのため、スペーサ27表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサの外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、球表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後の外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
しかし、上記第3実施形態で示した遮光性樹脂12を用いたレンズ鏡筒の組立方法の場合、スペーサ27に表面処理を行うことなく迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることができる。
また、上記第1レンズ2と各スペーサ27の接触部および第2レンズ2と各スペーサ27の接触部に遮光性樹脂12を塗布することにより、スペーサ27を第1,第2レンズ1,2に確実に固定することができる。
ここで、遮光性樹脂12の塗布領域については、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を与えることなく、スペーサ27による迷光を防止することができる。
〔第5実施形態〕
図12Aはこの発明の第5実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラモジュールの分解斜視図を示している。
図12Aにおいて、40はレンズユニット、41はレンズ駆動モータユニット、42は受光部の一例としての撮像素子を有するセンサーユニットである。また、レンズユニット40は、被写体側から順に、第1レンズホルダ43と、第2レンズホルダ44と、第3レンズホルダ45とを備えている。また、レンズユニット40は、所定の間隔をあけてかつ光軸方向に平行に配置された3つのガイド軸46を備えている。上記第2レンズホルダ44と第3レンズホルダ45は、レンズ駆動モータユニット41によりガイド軸46に沿って移動する。
また、図12Bは上記カメラモジュールを構成するレンズユニットの断面図を示している。このレンズユニット40は、被写体側の第1レンズホルダ43に第1レンズ群51を保持し、第2レンズホルダ44に第2レンズ群52を保持し、第4レンズホルダ45は第3レンズ群53を保持している。また、レンズユニット40の基部48の撮像側に、第4レンズ群54を保持すると共に、ガラスカバー55を有するセンサーユニット42を取り付けている。なお、図12Bにおいて、47は第2レンズホルダ44と第3レンズホルダ45をガイド軸46に沿って駆動するためのリードスクリューである。
このカメラモジュールでは、第4レンズホルダ45に保持された第3レンズ群53に、第1〜第4実施形態のレンズ鏡筒を用いている。
また、図12Cは上記カメラモジュールのレンズ系の構成を示している。図12Cに示すように、左側の被写体側から順に、第1レンズ群51、第2レンズ群52、第3レンズ群53、第4レンズ群54、ガラスカバー55、撮像素子56を配置している。
上記第1〜第4実施形態で説明したレンズ鏡筒によれば、レンズ鏡筒が絞り部分に配置されたレンズ系をとる図12Aに示すカメラモジュールのように、光束が集中する付近にスペーサが配置されている場合においても、遮光性樹脂によりスペーサ表面からの反射による迷光が防止され、光学性能の低下を防止することが可能となる。
また、レンズ鏡筒内にはスペーサ位置決め用の構造物を形成する必要が無いため、従来のスペーサを用いたレンズ鏡筒に比べ、有効領域の確保と鏡筒径の小型化が可能であり、結果としてレンズ系全体を小型化できる効果がある。
〔第6実施形態〕
図16はこの発明の第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図16に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれの第1,第2レンズ501,502の光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。ここで、スペーサ507は、第1レンズ501および第2レンズ502の曲面に当接した状態で介在され、両第1,第2レンズ501,502の間隔を決定する。
また、上記スペーサ507の一般的な例としては、クロム球や磁性を持つステンレス球などがあり、外形寸法の誤差が数μmもしくは0.数μm程度であるため、レンズ間のレンズ間隔の精度の誤差を数μmもしくは0.数μmで設定することができる。
上記レンズ枠503は、内周の下端側近傍に設けられた段部520を有し、その段部520に第1レンズ501のレンズ面の外周部が当接している。また、上記レンズ枠503の外側には、スペーサ507の位置決めを行うための3個のスペーサ位置決め用磁石508がレンズ枠503の周方向を略三等分した120°の間隔で配置されている。ここで、スペーサ位置決め用磁石508の代わりに、電磁石などの磁気発生器を用いてもよい。
ここで、この第6実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明する。図17A〜図17Cはこの第6実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明するための図である。なお、図17B(a)は、図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た断面図であり、図17B(b)は、図17B(a)のXVIIBb−XVIIBb線から見た断面図である。
最初に、図17Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。上記レンズ枠503の内周の段部520に第1レンズ501の一方のレンズ面の外周部が当接する。
ここで、レンズ枠503の内径が第1,第2レンズ501,502の外径よりも大きい場合、レンズ枠503の内壁と第1,第2レンズ501,502の間に隙間が生じ、結果として組立後に第1,第2レンズ501,502間にずれが生じてしまうため、レンズ枠503の内径は第1,第2レンズ501,502の外形と同様もしくは小さくする必要がある。
次に、図17Bに示すように、スペーサ507をレンズ枠503内に配置する。
このとき、スペーサ507は、レンズ枠503の外側に配置されたスペーサ位置決め用磁石508に引き寄せられ、レンズ枠503の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ501,502の周方向を略三等分した等配位置に位置決めされる。
ここで、スペーサ507をレンズ枠503内にピンセットなどの保持具を用いて配置する場合、それぞれのスペーサ507を配置したい位置の近傍まで保持しておかなければ、スペーサ位置決め用磁石508が複数配置されていることから、意図しない方向にスペーサ507が引き寄せられてしまう場合がある。
そこで、図18(a),図18(b)に示すスペーサ用ガイド509を使用する。なお、図18(a)は、図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た断面図であり、図18(b)は、図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線から見た断面図である。このスペーサ用ガイド509を使用することにより、それぞれのスペーサ507を、スペーサ用ガイド509を通してレンズ枠503内に挿入することによって、スペーサ507を配置したい位置の近傍まで保持することなく、それぞれのスペーサ位置決め用磁石508により引き寄せられる位置に容易にスペーサ507を配置することができる。
上記スペーサ用ガイド509に使用する材質としては、スペーサ用ガイド509にスペーサ507が引き寄せられないよう、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料等の材質とする。
また、上記レンズ枠503に使用する材質としては、レンズ枠503にスペーサ507が引き寄せられないよう、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料等の材質とする。
上記レンズ枠503に使用する非磁性材質の具体例としては、ポリカーボネート等の樹脂材料などが挙げられるが、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料であれば、これに限らない。
また、スペーサ507は、レンズ有効径外に配置され、かつ第1,第2レンズ501,502のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
次に、図17Cに示すように、レンズ枠503に第2レンズ502を挿入し、第2レンズ502とレンズ枠503間を接着剤510により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
一般的に、レンズ鏡筒の組立でレンズを固定するときには、接着剤として紫外線硬化樹脂が使用されている。この場合、第2レンズ502とレンズ枠503間に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射し、硬化すればよい。
以上に説明したレンズ鏡筒の組立方法を用いることにより、レンズ枠503の外側に設けたスペーサ位置決め用磁石508がスペーサ507の動きを規制するため、容易に所定の位置にスペーサ507を配置することができる。
また、スペーサ位置決め用磁石508によりスペーサ507は、レンズ枠503の内壁に当接した状態で動きが規制されるため、その後の組立のときにもスペーサ507はレンズ枠503の内壁から離れることがなく、第1,第2レンズ501,502とスペーサ507の接触点のずれによるレンズの倒れを防ぐことができる。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ枠503外に配置されたスペーサ位置決め用磁石508の磁気力により磁性材料からなるスペーサ507を所定の位置に吸い寄せて、スペーサ507の動きを規制することにより、組立時に第1,第2レンズ501,502間にスペーサ507を動かないように容易に配置でき、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠503内の第1,第2レンズ501,502の倒れを確実に防止することができる。
また、上記第1レンズ501上に配置されたスペーサ507の数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石508を、レンズ枠503外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠503内にスペーサ507を周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、スペーサ507を所定位置に配置するためのスペーサ用ガイド509を使用することによって、スペーサ507を所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記球体のスペーサ507を第1,第2レンズ501,502の有効径外に配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
なお、上記第6実施形態では、レンズ枠503に挿入する第1,第2レンズ501,502の外径を同径としているが、第1,第2レンズ501,502の外径が異なる場合にも同様の方法でレンズ鏡筒の組立を行うことが可能である。
そのときは、図19に示すように、段付のレンズ枠511を使用することにより、異なる径のレンズを使用した場合においても、図17に説明した方法と同様の手順でレンズ鏡筒の組立が可能である。
図19に示すレンズ鏡筒では、レンズ枠511は、内周の下端側から小径部511a,中径部511bおよび大径部511cを有している。上記レンズ枠511の中径部511bに挿入された第1レンズ501のレンズ面の外周部が、その小径部511aと中径部511bとの間の段部521に当接している。また、上記レンズ枠511の大径部511cに第2レンズ502を挿入している。
また、スペーサ507の寸法については、前述の場合と同様、レンズ有効径外に配置され、かつ、第1,第2レンズ501,502のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
また、この第6実施形態では、3つのスペーサ507を配置しているが、3以上のスペーサ507を配置する場合には、スペーサ位置決め用磁石508を、スペーサ507を配置したい位置にあわせて複数設置し、図17A〜図17Cに示した方法と同様の方法で組立を行えばよい。
〔第7実施形態〕
図20は、この発明の第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。この第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、レンズにスペーサを接着剤により固定することを除いて第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
図20に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。また、スペーサ507は、第1レンズ501のレンズ面に接着剤510で固定されている。
次に、この第7実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について図21A〜図21Dに従って説明する。図21A〜図21Dはこの第7実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第6実施形態で示した組立方法と同様、図21Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。
次に、図21Bに示すように、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に接着剤510を塗布した後、図21Cに示すようにスペーサ507をスペーサ位置決め用磁石508により任意の位置に配置する。
最後に、図21Dに示すようにレンズ枠503に第2レンズ502を挿入した後、第2レンズ502とレンズ枠503間を接着剤510により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
ここで、第6実施形態と同様、接着剤510として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図21Dに示す工程を終えた後に紫外線を照射し、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に塗布した接着剤510と、第2レンズ502とレンズ枠503間に塗布した接着剤510を同時に硬化すればよい。
上記第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
また、上記接着剤510により第1レンズ501にスペーサ507を固定することにより、スペーサ507を第1,第2第1レンズ501,2それぞれの対向するレンズ面で挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができる。
また、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置に接着剤510を塗布して固定した場合にも同様の効果を得られ、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置と、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置の両方に、接着剤510を塗布し固定した場合にも同様の効果を得ることができる。
また、第1レンズ501または第2レンズ502に、スペーサ507を接着剤510により固定する場合、接着剤510の塗布領域については、レンズの有効径外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の光学特性に接着剤510が影響することなくスペーサ507を固定することができる。
〔第8実施形態〕
図22は、この発明の第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図22に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。
また、スペーサ507は、第1レンズ501のレンズ面および第2レンズ502のレンズ面に遮光性樹脂512で固定されている。ここで、遮光性樹脂512としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
図23A〜図23Dは、この第8実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第6,第7実施形態で示したレンズ鏡筒の組立方法と同様、図23Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。
次に、図23Bに示すように、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に遮光性樹脂512を塗布した後、図23Cに示すように、スペーサ507をスペーサ位置決め用磁石508により任意の位置に配置する。
最後に、図23Dに示すように、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置に遮光性樹脂512を塗布した後、第2レンズ502をレンズ枠503に挿入し、第2レンズ502とレンズ枠503との間に接着剤510を塗布し、接着剤510および遮光性樹脂512を硬化させることによってレンズ鏡筒が完成する。
この第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
上記スペーサ507の例としては、クロム球や磁性をもつステンレス球等が挙げられ、これらはいずれも表面に光沢をもつ金属球となっている。そのため、スペーサ507表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサの球面外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、球表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後のスペーサ外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
しかし、上記第8実施形態で示した遮光性樹脂512を用いたレンズ鏡筒の組立方法の場合、スペーサ507に表面処理を行うことなく迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることができる。
また、上記第1レンズ502と各スペーサ507の接触部および第2レンズ502と各スペーサ507の接触部に遮光性樹脂512を塗布することにより、スペーサ507を第1,第2レンズ501,502に確実に固定することができる。
ここで、遮光性樹脂512の塗布領域については、図24に示すように、各スペーサ507の外形(直径d)以上、すなわち遮光性樹脂512によりスペーサ507の外周が覆われ、鏡筒端側からスペーサ507が見えなくなる程度とし、かつ、第1,第2レンズ501,502の有効径外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を与えることなく、スペーサ507による迷光を防止することができる。
上記第1〜第8実施形態では、球形状(または球体)のスペーサを用いたが、スペーサの形状はこれに限らないのは勿論である。
例えば、図25に示すように、円筒形状のスペーサを使用した場合にも、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点が、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、球形状のスペーサを使用した場合と同様に、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。
よって、スペーサ7の形状に関しては、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点が、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されるものであればよい。
上記第1〜第8実施形態では、第1,第2レンズの互いに向かい合う面が凸面と平坦面との組み合わせによる場合を説明したが、これに限定されず、凸面と凸面、凸面と凹面、平坦面同士、平坦面と凹面、凹面同士等の組み合わせによるレンズ間の間隔を確保するためにこの発明を適用することができる。
また、上記第1〜第8実施形態では、クロム球やステンレス球等の磁性材料からなる球体のスペーサを用いたレンズ鏡筒の組立方法について説明したが、スペーサはこれに限らず、スペーサ位置決め用磁石により吸引される磁性材料を含むものであればよい。
また、上記第6〜第8実施形態では、スペーサ位置決め用磁石508として永久磁石を用いたが、スペーサ位置決め用磁石はこれに限らず、電磁石などであってもよく、スペーサの数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石の磁極が、レンズ枠外に周方向に等間隔に配置されたものであればよい。
また、上記第1〜第8実施形態では、接着剤10,510,遮光性樹脂12,512により第1レンズ1,501にスペーサ7,27,507を固定したが、スペーサの固定方法はこれに限らない。
また、上記第1〜第8実施形態では、レンズ枠3,503を円筒形状としたが、レンズ枠はこれに限らず、レンズを保持可能な筒状のものであればよい。
また、レンズ鏡筒として、
複数枚のレンズと、
上記複数枚のレンズの光軸を一致させて保持する筒状のレンズ枠と、
上記複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面および上記レンズ枠の内壁に当接する3つ以上の球体のスペーサと
を備え、
上記球体のスペーサは磁性材料を含むことを特徴とするものでもよい。
上記構成のレンズ鏡筒によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚の第1,第2レンズのレンズ面間に3つ以上の磁性材料を含む球体のスペーサを備えた構成にすることによって、組立時にレンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置することにより、周方向、径方向において球体のスペーサの動きを規制することが可能となる。つまり、レンズ枠内でレンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに磁性材料を含む球体を用いて、磁性材料を含む球体を、レンズ枠外に配置されたスペーサ位置決め用磁石の磁気力により所定の位置に吸引して、組立時にレンズ間に球体を動かないように容易に配置することが可能となる。したがって、組立時にレンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、上記レンズ鏡筒において、上記レンズ枠の構成材料を、常磁性材料もしくは反磁性材料としてもよい。
上記レンズ鏡筒によれば、レンズ枠の構成材料を、磁気発生器による磁化の影響を無視できる常磁性材料もしくは反磁性材料とすることにより、球体のスペーサがレンズ枠に吸引されることなく、スペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、レンズ鏡筒の組立方法として、
複数枚のレンズと、
上記複数枚のレンズの光軸を一致させて保持する筒状のレンズ枠と、
上記複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面および上記レンズ枠の内壁に当接する磁性材料を含む球体のスペーサと
を備えたレンズ鏡筒の組立方法であって
上記筒状のレンズ枠に、上記2枚のレンズのうちの一方の第1レンズを挿入する第1の工程と、
上記レンズ枠内に挿入された上記第1レンズ上に、上記球体のスペーサを3つ以上配置する第2の工程と、
上記レンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置して、上記スペーサ位置決め用磁石の磁極と上記レンズ枠内に配置された上記球体のスペーサとの間の吸引力によって、上記球体のスペーサの位置決めを行う第3の工程と、
上記スペーサ位置決め用磁石により上記球体のスペーサが位置決めされた状態で、上記レンズ枠内に上記2枚のレンズのうちの他方の第2レンズを挿入し、上記レンズ枠に上記第2レンズを固定する第4の工程と
を有することを特徴とするものでもよい。
上記構成のレンズ鏡筒の組立方法によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚の第1,第2レンズのレンズ面間に3つ以上の球体のスペーサを備えたレンズ鏡筒において、レンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置することにより、周方向、径方向において磁性材料を含む球体のスペーサの動きを規制する。つまり、レンズ枠内で第1,第2レンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに磁性材料を含む球体を用いて、その磁性材料を含む球体を、レンズ枠外に配置されたスペーサ位置決め用磁石の磁気力により所定の位置に吸引して、球体の動きを規制することにより、組立時にレンズ間に球体を動かないように容易に配置できる。したがって、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、
上記スペーサ位置決め用磁石の磁極の数は、上記第1レンズ上に配置された上記球体のスペーサの数と同じであり、
上記第3の工程において、上記スペーサ位置決め用磁石の磁極を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、上記第1レンズ上に配置された上記球体のスペーサの数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠内に球体のスペーサを周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記球体のスペーサを所定位置に配置するためのスペーサ用ガイドを使用してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、スペーサ用ガイドを使用することによって、球体のスペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記レンズ枠の構成材料を、常磁性材料もしくは反磁性材料としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ枠の構成材料を、磁気発生器による磁化の影響を無視できる常磁性材料もしくは反磁性材料とすることにより、球体のスペーサがレンズ枠に吸引されることなく、球体のスペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第2の工程において、上記球体のスペーサを上記第1,第2レンズの有効径外に配置してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、球体のスペーサを第1,第2レンズの有効径外に配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に上記球体のスペーサを接着剤で固定する第5の工程を有してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に球体のスペーサを接着剤で固定することにより、レンズ面間で球体のスペーサを挟んだだけの場合よりも、より強固に球体のスペーサを所定の位置に固定することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記球体のスペーサを固定する上記接着剤の塗布領域は、第1,第2レンズの有効径外としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、接着剤の塗布領域をレンズの有効径外とすることによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えることなく球体のスペーサの固定ができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第1,第2レンズと上記球体のスペーサを固定する上記接着剤を遮光性樹脂としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、球体のスペーサの固定に遮光性樹脂を使用することにより、球体のスペーサの固定と同時に、スペーサ表面からの反射による迷光を防止できる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第4の工程において、上記第1レンズと上記各球体のスペーサの接触部および上記第2レンズと上記各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、第1レンズと各スペーサの接触部および上記第2レンズと各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布することにより、球体のスペーサの固定を確実に行うことができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記遮光性樹脂の塗布領域を上記各スペーサの外形以上とし、かつ、上記レンズの有効径外に上記遮光性樹脂を塗布してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、遮光性樹脂の塗布領域を、各スペーサの直径以上かつレンズの有効径外とすることにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えることなく球体のスペーサの固定および反射による迷光を防止できる。
この発明は、レンズ間の間隔誤差、レンズ倒れを抑え、高精度な組立ができるレンズ鏡筒と、その組立方法と、そのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールに利用可能である。
図1はこの発明の第1実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図2は上記レンズ鏡筒においてスペーサの固定に遮光性樹脂を使用したときの断面図である。
図3はこの発明の第2実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図4Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を説明するための図である。
図4Bは図4Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図であり、図4B(a)は図4B(b)のIVBa−IVBa線から見た横断面図であり、図4B(b)は図4B(a)のIVBb−IVBb線から見た縦断面図である。
図4Cは図4Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図5は上記スペーサを配置する第1レンズ面が、レンズ枠の内側への傾斜面となっている場合において、組立を行うことが可能な条件について説明するための説明図である。
図6(a)はスペーサ用ガイドを使用してスペーサを配置する方法について説明するための上面図であり、図6(a)は図6(b)のVIa−VIa線から見た横断面図であり、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb線から見た縦断面図である。
図7は異なる径のレンズを使用した場合のレンズ鏡筒の組立方法について説明するための説明図である。
図8はこの発明の第3実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図9Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Bは図9Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Cは図9Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Dは図9Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図10はこの発明の第4実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図11Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Bは図11Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Cは図11Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Dは図11Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図12Aはこの発明の第5実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラモジュールの分解斜視図である。
図12Bは図12Aに示すカメラモジュールを構成するレンズユニットの断面図である。
図12Cは図12Aに示すカメラモジュールのレンズ系を示す図である。
図13は従来のレンズ鏡筒について説明するための説明図である。
図14Aは鋼球をスペーサとして使用した、従来のレンズ鏡筒の一例について説明するための説明図である。
図14Bは従来のレンズ鏡筒において鋼球をスペーサとして使用した例について説明するための説明図である。
図15は従来のレンズ鏡筒において平坦面にスペーサを配置した例ついて説明するための説明図である。
図16はこの発明の第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図17Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順をするための図である。
図17Bは図17Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図であり、図17B(a)は図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た横断面図であり、図17B(b)は図17B(a)のXVIIBb−XVIIBb線から見た縦断面図である。
図17Cは図17Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図18(a)はスペーサ用ガイドを使用して球体を配置する方法について説明するための上面図であり、図18(a)は図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た横断面図であり、図18(b)は図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線から見た縦断面図である。
図19は異なる径のレンズを使用した場合のレンズ鏡筒の組立方法について説明するための説明図である。
図20はこの発明の第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図21Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Bは図21Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Cは図21Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Dは図21Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図22はこの発明の第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図23Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Bは図23Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Cは図23Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Dは図23Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図24は遮光性樹脂の塗布領域について説明するための説明図である。
図25(a)は円筒形状のスペーサを使用した場合のレンズ鏡筒の上面図であり、図25(a)は図25(b)のXXVa−XXVa線から見た横断面図であり、図25(b)は図25(a)のXXVb−XXVb線から見た縦断面図である。
符号の説明
1,100…第1レンズ
2…第2レンズ
3…レンズ枠
4…間隔環
5…レンズ鏡筒
7,27…スペーサ
8…磁気発生器
9…スペーサ用ガイド
10…接着剤
11…レンズ枠
12…遮光性樹脂
20,21,22…段部
501…第1レンズ
502…第2レンズ
503…レンズ枠
504…間隔環
505…レンズ鏡筒
507…球体
508…スペーサ位置決め用磁石
509…スペーサ用ガイド
510…接着剤
511…レンズ枠
512…遮光性樹脂
520,521,522…段部
この発明は、レンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびカメラモジュールに関し、詳しくは、複数枚のレンズをレンズ枠に固定して保持するレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびそのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールに関する。
従来、レンズ鏡筒としては、撮影光学系として一つまたは複数のレンズ群が組み込まれたものがある。このようなレンズ群を構成する複数枚のレンズとこれらのレンズを組み込んで保持するレンズ枠とによって、レンズ鏡筒を組み立てることが一般に行われている。このレンズ鏡筒におけるレンズ群において、複数枚のレンズをレンズ枠内に所定の間隔をおいて組み込み固定して保持するための方法として、図13に示すレンズ鏡筒の組立方法が知られている。このレンズ鏡筒の組立方法では、一方向からレンズ101,102をレンズ枠103内に組み込み、かつレンズ101,102間に所定の間隔を確保するように所定の厚みを有するように予め加工した間隔環104を挟み込み、レンズ鏡筒105を形成する。
しかし、図13に示すレンズ鏡筒の組立方法の場合、レンズ枠103の内壁と間隔環104との間に隙間を必要とするため、間隔環104が偏心した場合、間隔環104とレンズ101(もしくはレンズ102)との接触点がずれて、レンズ101(もしくはレンズ102)が傾く場合がある。
そこで、このようなレンズの倒れを防ぐ方法として、図14A,図14Bに示すような構成のレンズ鏡筒が提案されている(特開平9−318858号公報(特許文献1)参照)。なお、図14A(a)は図14A(b)のXIVAa−XIVAa線から見た横断面図であり、図14A(b)は図14A(a)のXIVAb−XIVAb線から見た縦断面図であり、図14B(a)は図14B(b)のXIVBb−XIVBb線から見た横断面図であり、図14B(b)は図14B(a)のXIVBa−XIVBa線から見た縦断面図である。
このレンズ鏡筒は、図14A(図14B)に示すように、レンズ枠203(303)内でレンズ201,202(301,302)間を所定の間隔をおいて保持するための従来の間隔環に相当する部品として、少なくとも三個の鋼球206(306)を用い、かつこれらの鋼球206(306)をレンズ201,202(301,302)の周方向において略三分割した等配位置に配置する。これにより、レンズ201,202(301,302)間の間隔を鋼球206(306)の径寸法によって所定の値に設定して組み立てている。
一般に、市販されている鋼球の外形寸法のばらつきは数μm、もしくは0.数μmであるため、レンズ間の間隔の精度の誤差を数μm、もしくは0.数μm以内に設定することが可能となる。
このレンズ鏡筒の組立方法による組立の工程としては、最初にレンズ201(301)をレンズ枠203(303)に挿入し、次に鋼球6をレンズ枠203(303)内に配置し、最後にレンズ202(302)をレンズ枠203(303)に挿入するという方法が採られる。
上記レンズ鏡筒のレンズ枠203(303)には、凹部を有する位置決め用構造物207(207)が設けられており、上記凹部で鋼球206(306)を周方向および径方向に規制することにより、鋼球106の位置決めを等間隔で行っている。
しかし、図14A,図14Bのように、レンズ枠203(303)内に位置決め用構造物207(307)を設ける場合、レンズ枠構造の複雑化に伴い、鏡筒の製造コストが増加してしまう。
また、図14Bのような構成の場合、鋼球306の内側に位置決め用構造物307を設ける必要があるため、レンズの有効領域が減少してしまう。
レンズの有効領域をより広い範囲で確保するためには、位置決め用構造物の内径を広げる必要があるため、それに伴いレンズ枠内径を広げなくてはならず、結果として鏡筒寸法が大型化してしまう。
例えば、小型化が要求されている携帯電話用のカメラモジュールの構成部品としてレンズ鏡筒を使用する場合において、鏡筒の大型化は、モジュール全体の大型化につながるため、このような場合、モジュールの構成部品となる鏡筒はより小型にすることが望ましい。
レンズ鏡筒において位置決め用構造物を形成しない場合は、より広い有効領域を確保することができ、かつ、より自由度の高い組み合わせでレンズ系を構成することが可能となるが、周方向の所定の位置に鋼球を配置するとき、鋼球の動きは規制されていないため、組立のときに鋼球が所定の位置から動いてしまい、鋼球とレンズ枠内壁との間に隙間が生じ、結果として間隔環を使用した場合と同様レンズの倒れが生じる場合がある。
特に、図15に示すように、鋼球406を配置する面が平坦な場合においては、周方向にも径方向にも鋼球406の動きが規制されていないため、鋼球406を略三分割した等配位置かつレンズ枠403の内壁に接するように配置し、鋼球406が動かないようにその後の組立を行うことは非常に困難である。
また、鋼球406を配置する面が凹面の場合においても、周方向にも径方向にも鋼球406の動きが規制されていないため、平坦面の場合と同様、その後の組立を行うことは困難となる。
特開平9−318858号公報
そこで、この発明の課題は、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内におけるレンズの倒れを確実に防止できるレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびそのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールを提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のレンズ鏡筒では、
2枚のレンズと、
上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、
上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する3つ以上のスペーサと
を備え、
上記スペーサの構成材料が強磁性材料またはフェリ磁性材料を含み、
上記スペーサが上記レンズ枠の内壁に当接すると共に、
上記スペーサは、上記2枚のレンズに当接した状態で上記2枚のレンズの間隔を決定していることを特徴とする。
上記実施形態によれば、強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むスペーサを、レンズ枠の外側から磁気発生器などにより磁化して吸引することにより、任意の位置に配置することが可能となる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、
上記レンズ枠の構成材料が常磁性材料または反磁性材料であることを特徴とする。
上記実施形態によれば、レンズ枠の材料として常磁性材料もしくは反磁性材料を用いることで、レンズ枠自体の磁化の影響を受けることなく、スペーサが任意の位置に配置される。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記スペーサが、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、
上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方に、上記スペーサが接着剤で固定され、かつ、上記接着剤は、上記2枚のレンズにより構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に塗布されている。
上記実施形態によれば、上記2枚のレンズのうちの少なくとも一方にスペーサを固定することによって、より強固にスペーサが固定され、耐衝撃性が向上される。そして、レンズ系を通過する有効光線の領域外に接着剤を塗布することによって、光学性能の低下を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒では、上記接着剤が遮光性樹脂である。
上記実施形態によれば、接着剤に遮光性樹脂を用いることによって、スペーサの固定による耐衝撃性の向上と共に、スペーサ表面からの反射による迷光の防止が実現できる。
また、この発明のレンズ鏡筒の組立方法では、
2枚のレンズと、上記2枚のレンズを保持する筒状のレンズ枠と、上記2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面に当接する3つ以上のスペーサとを備え、上記スペーサの構成材料が強磁性材料またはフェリ磁性材料を含むと共に、上記スペーサが上記レンズ枠の内壁に当接し、上記スペーサは、上記2枚のレンズに当接した状態で上記2枚のレンズの間隔を決定し、上記レンズ枠の構成材料が常磁性材料または反磁性材料であるレンズ鏡筒の組立方法であって、
上記筒状のレンズ枠に、上記2枚のレンズのうちの一方の第1レンズを挿入する第1の工程と、
上記レンズ枠内に挿入された上記第1レンズ上に、上記スペーサを3つ以上配置する第2の工程と、
上記レンズ枠外に磁気発生器を配置して、上記磁気発生器の磁極と上記レンズ枠内に配置された上記スペーサとの間の吸引力によって、上記スペーサの位置決めを行う第3の工程と、
上記磁気発生器により上記スペーサが位置決めされた状態で、上記レンズ枠内に上記2枚のレンズのうちの他方の第2レンズを挿入し、上記レンズ枠に上記第2レンズを固定する第4の工程とを有することを特徴とする。
上記実施形態によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ面間に3つ以上のスペーサを備えたレンズ鏡筒において、レンズ枠外に磁気発生器を配置することにより、周方向、径方向において強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むスペーサの動きを規制する。つまり、レンズ枠内で第1,第2レンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに上記磁性材料を含むスペーサを用いて、その磁性材料を含むスペーサを、レンズ枠外に配置された磁気発生器の磁気力により所定の位置に吸引して、スペーサの動きを規制することにより、組立時にレンズ間にスペーサを動かないように容易に配置できる。したがって、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、
上記スペーサを配置するレンズ面が上記レンズ枠の内側に向かって徐々に低くなる傾斜面であり、
上記スペーサが接する上記レンズ面の傾斜角θ、上記スペーサの磁極の強さM
1、上記スペーサの質量m、上記磁気発生器の磁極の強さM
2、上記レンズ枠の透磁率μ、重力加速度gである場合、
上記レンズ枠の壁厚tが、
である。
上記実施形態によれば、上記レンズ枠の壁厚を、上記条件を満たすように決定することにより、スペーサを配置する第1レンズ面がレンズ枠内側への傾斜面となっている場合においても、スペーサをレンズ枠の内壁に当接させることができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、
上記磁気発生器の磁極の数は、上記第1レンズ上に配置された上記スペーサの数と同じであり、
上記第3の工程において、上記磁気発生器の磁極を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置する。
上記実施形態によれば、上記第1レンズ上に配置された上記スペーサの数と同じ数の磁極を有する磁気発生器を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠内にスペーサを周方向に等間隔に配置することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記スペーサを所定位置に配置するためのスペーサ用ガイドを使用する。
上記実施形態によれば、上記実施形態のレンズ鏡筒の組立方法によれば、スペーサ用ガイドを使用することによって、スペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第2の工程において、上記スペーサを上記第1,第2レンズを通過する有効光線の領域外に配置する。
上記実施形態によれば、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサを配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に上記スペーサを接着剤で固定する第5の工程を有し、上記接着剤の塗布領域を、上記第1,第2レンズを通過する有効光線の領域外とする。
上記実施形態によれば、上記第1,第2レンズの少なくとも一方にスペーサを接着剤で固定することにより、レンズ面間でスペーサを挟んだだけの場合よりも、より強固にスペーサを所定の位置に固定し、耐衝撃性を向上させることができる。そして、接着剤の塗布領域を、レンズ系を通過する有効光線の領域外とすることによって、レンズ鏡筒の光学性能に影響を与えることなくスペーサの固定ができる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1,第2レンズの少なくとも一方と上記スペーサを固定する上記接着剤を遮光性樹脂とする。
上記実施形態によれば、スペーサの固定に遮光性樹脂を使用することにより、スペーサの固定と同時に、スペーサ表面からの反射による迷光を防止できる。
また、一実施形態のレンズ鏡筒の組立方法では、上記第1レンズと上記各スペーサの接触部および上記第2レンズと上記各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布する。
上記実施形態によれば、第1レンズと各スペーサの接触部および第2レンズと各スペーサの接触部に遮光性樹脂を塗布することにより、スペーサの固定が確実に行われ、かつ遮光性が向上される。
また、この発明のカメラモジュールでは、上記のいずれか1つのレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を用いて結像される画像を撮像する撮像素子を備えた受光部とを含むことを特徴とする。
上記実施形態によれば、従来のスペーサを用いた鏡筒に比べ、有効領域の確保と鏡筒径の小型化が可能であるため、モジュールのレンズ系全体を小型化できる効果がある。
以上より明らかなように、この発明のレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ面間に介在するスペーサを所定の位置に容易に配置でき、レンズ枠内におけるレンズの倒れを確実に防止できるレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法を実現することができる。
また、スペーサ位置決め用の構造物が不要となるため、鏡筒の小型化が可能となり、それに伴い、レンズ系全体の小型化を実現することができる。
また、この発明のカメラモジュールによれば、上記レンズ鏡筒を用いることによって、モジュールのレンズ系全体を小型化することができる。
以下、この発明のレンズ鏡筒およびレンズ鏡筒の組立方法およびカメラモジュールを図示の実施の形態により詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。
図1に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれの第1,第2レンズ1,2を保持する筒状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面に当接する球形状の3つのスペーサ7により構成されている。ここで、スペーサ7は、第1レンズ1および第2レンズ2の曲面に当接した状態で介在し、両第1,第2レンズ1,2の間隔を決定する。また、第1レンズ1は、2つの光学素子からなる複合レンズである。
上記レンズ枠3は、内周の下端側近傍に設けられた段部20に第1レンズ1のレンズ面の外周部が当接している。また、上記スペーサ7を接着剤10により第1レンズ1に固定している。
一方、複合レンズである第2レンズ2は、2つのメニスカスレンズを接合したもので、その接合面の外周側に環状の溝2aが形成されている。この環状の溝2aに対向するように、レンズ枠3に段部23を形成している。このレンズ枠3に段部23を利用して、レンズ枠3に挿入された第2レンズ2とレンズ枠3との間を接着剤10により固定している。これにより、第2レンズ2の光軸方向の動きを規制して、第2レンズ2を確実にレンズ枠3に固定している。
また、上記レンズ枠3の内径は、第1,第2レンズ1,2間において同径であり、スペーサ7はレンズ枠3の内壁に当接している。レンズ枠3の内径が、第1,第2レンズ1,2間において同径であるため、第1,第2レンズ1,2の中心を完全に一致させた状態で、第1,第2レンズ1,2を保持することができる。
また、スペーサ7をレンズ枠3の内壁に当接させることによって、スペーサ7は、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点のずれによるレンズ間の倒れは生じず、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。
スペーサ7は、レンズ枠3の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置されている。このように、レンズ系を通過する有効光線の領域外に、スペーサ7が配置されているため、スペーサ7による有効光線のけられ等の影響を受けることなく、鏡筒のレンズ倒れを抑制することができる。ここで、「けられ」とは、光学系を通過する有効光束が途中のレンズや鏡筒などによって遮れる減少のことである。
また、スペーサ7を接着剤10により第1レンズ1に固定することによって、対向する第2レンズ2のレンズ面でスペーサ7を挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができ、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
ここで、図1では、スペーサ7を第1レンズ1に固定しているが、第1レンズ1に限らず、2枚のレンズ1,2の少なくとも一方にスペーサ7が固定されることにより同様の効果を得ることができる。
また、スペーサ7を固定する接着剤10の塗布位置は、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外となっており、接着剤による有効光線のけられ等で、レンズ鏡筒の光学特性に影響は与えない。
上記スペーサ7の材料として、表面に光沢をもつ金属等を使用した場合、スペーサ7表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサ7の外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後の外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
そこで、図2のように、スペーサ7と第1,第2レンズ1,2を固定する接着剤として、遮光性樹脂12を使用することで、スペーサ7に表面処理を行うことなく、迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることが可能となる。
ここで、遮光性樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
〔第2実施形態〕
図3はこの発明の第2実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。この第2実施形態のレンズ鏡筒は、スペーサを除いて第2実施形態のレンズ鏡筒と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
図3に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれの第1,第2レンズ1,2の光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。ここで、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1および第2レンズ2の曲面に当接した状態で介在し、両第1,第2レンズ1,2の間隔を決定する。
また、上記スペーサ27が含む強磁性材料およびフェリ磁性材料としては、以下の(1)〜(3)のうちいずれかを用いることができる。
(1)Fe、Co、Ni、または、Fe、Co、Ni、Mn及びCrよりなる群から選択された少なくともいずれかの1つの元素を含む合金
(2)「パーマロイ」と呼ばれるNiFe系合金、CoNbZr系合金、FeTaC系合金、CoTaZr系合金、FeAlSi系合金、FeB系合金、CoFeB系合金等の軟磁性材料
(3)ホイスラー合金、CrO2、Fe3O4、La1-XSrXMnO3などのハーフメタル磁性材料
上記スペーサ27の材料としては、これらのうちから適宜選択して用いればよい。また、レンズ枠3の材料としては、常磁性材料もしくは反磁性材料を使用する。
上記レンズ枠3は、内周の下端側近傍に設けられた段部20を有し、その段部20に第1レンズ1のレンズ面の外周部が当接している。
ここで、この第2実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明する。図4A〜図4Cはこの第2実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明するための図である。なお、図4B(a)は、図4B(b)のIVBa−IVBa線から見た断面図であり、図4B(b)は、図4B(a)のIVBb−IVBb線から見た断面図である。
最初に、図4Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。上記レンズ枠3の内周の段部20に第1レンズ1の一方のレンズ面の外周部が当接する。
ここで、レンズ枠3の内径が第1,第2レンズ1,2の外径よりも大きい場合、レンズ枠3の内壁と第1,第2レンズ1,2の間に隙間が生じ、結果として組立後に第1,第2レンズ1,2間にずれが生じてしまうため、レンズ枠3の内径は、第1,第2レンズ1,2の外形と同様もしくは小さくする必要がある。
次に、図4Bに示すように、スペーサ27をレンズ枠3内に配置する。このとき、スペーサ27は、レンズ枠3の外側に配置された磁気発生器8に引き寄せられ、レンズ枠3の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ1,2の周方向を略三等分した等配位置に位置決めされる。ここで、磁気発生器8として、電磁石や永久磁石などを用いてもよい。
ここで、レンズ枠3の材料として常磁性材料もしくは反磁性材料を用いた場合、レンズ枠3の材料の磁気発生器8による磁化は無視できるほど小さいため、レンズ枠3自体の磁化の影響を受けることなく、スペーサ27を任意の位置に配置することが可能となる。
この図4Bで説明したレンズ鏡筒の組立方法では、スペーサ27を配置する第1レンズ1のレンズ面(第2レンズ2に対向する側)は略平面となっている。
図4Bのように、スペーサ27を配置する第1レンズ1のレンズ面が平面の場合や凸面の場合には、スペーサ27がレンズ枠3の内壁から離れる方向には力がかからない。
しかし、図5に示すような、スペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面が凹面、つまりレンズ枠3内側に向かって徐々に低くなる傾斜面となっている場合には、スペーサ27を配置したとき、内壁から離れる方向に、
F2=(mg)cosθ
の力がかかる。ここで、mはスペーサ27の質量、gは重力加速度、θはスペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面の傾斜角である。
よって、図5で示すような構成で組立を行う場合、磁気発生器8によりスペーサ27をレンズ枠3の内壁に引き寄せる吸引力F1がF1>F2となるように、レンズ枠3、スペーサ27、磁気発生器8を選択する必要がある。
磁極の強さM1を有するスペーサ27を、磁極の強さM2を有する磁気発生器8で吸引した場合、吸引力F1は、
F1=(1/4πμ)(M1M2/t2)
となる。
ここで、tはレンズ枠3の壁厚、μはレンズ枠3の材料の透磁率である。
よって、F1―F2>0を満たすように、レンズ枠3の材質、壁厚を選択することにより、スペーサ27を配置したとき、内壁から離れる方向にF2の力がかかる場合においてもレンズ枠3に当接するようにスペーサ27を配置することが可能となる。
以上の説明から、レンズ枠3の壁厚tを、
の条件を満たすように決定することにより、スペーサ27を配置する第1レンズ100のレンズ面が、レンズ枠3の内側に向かって徐々に下がる傾斜面となっている場合においても、磁気発生器8によりスペーサ27を吸引することが可能となる。
ここで、スペーサ27をレンズ枠3内にピンセットなどの保持具を用いて配置する場合、それぞれのスペーサ27を配置したい位置の近傍まで保持しておかなければ、磁気発生器8が複数配置されていることから、意図しない方向にスペーサ27が引き寄せられてしまう場合がある。
そこで、図6(a),図6(b)に示すスペーサ用ガイド9を使用する。なお、図6(a)は、図6(b)のVIa−VIa線から見た断面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線から見た断面図である。このスペーサ用ガイド9を使用することにより、それぞれのスペーサ27を、スペーサ用ガイド9を通してレンズ枠3内に挿入することによって、スペーサ27を配置したい位置の近傍まで保持することなく、それぞれの磁気発生器8により引き寄せられる位置に容易にスペーサ27を配置することができる。
また、スペーサ27は、第1,第2レンズ1,2が構成するレンズ系を通過する有効光線の領域外に配置され、かつ、第1,第2レンズ1,2のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
次に、図4Cに示すように、レンズ枠3に第2レンズ2を挿入した後、レンズ枠3の段部23を利用して、第2レンズ2とレンズ枠3との間を接着剤10により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
一般的に、レンズ鏡筒の組立でレンズを固定するときには、接着剤として紫外線硬化樹脂が使用されている。この場合、第2レンズ2とレンズ枠3との間に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射し、硬化すればよい。
以上に説明したレンズ鏡筒の組立方法を用いることにより、レンズ枠3の外側に設けた磁気発生器8がスペーサ27の動きを規制するため、容易に所定の位置にスペーサ27を配置することができる。
また、磁気発生器8によりスペーサ27は、レンズ枠3の内壁に当接した状態で動きが規制されるため、その後の組立のときにもスペーサ27はレンズ枠3の内壁から離れることがなく、第1,第2レンズ1,2とスペーサ27の接触点のずれによるレンズの倒れを防ぐことができる。
上記レンズ鏡筒および組立方法によれば、レンズ枠3外に配置された磁気発生器8の磁気力により磁性体からなるスペーサ27を所定の位置に吸い寄せて、スペーサ27の動きを規制することにより、組立時に第1,第2レンズ1,2間にスペーサ27を動かないように容易に配置でき、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠3内の第1,第2レンズ1,2の倒れを確実に防止することができる。
また、上記第1レンズ1上に配置されたスペーサ27の数と同じ数の磁極を有する磁気発生器8を、レンズ枠3外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠3内にスペーサ27を周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、スペーサ27を所定位置に配置するためのスペーサ用ガイド9を使用することによって、スペーサ27を所定の位置に容易に配置することができる。
また、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外に、上記スペーサ27を配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
なお、上記第2実施形態では、レンズ枠3に挿入する第1,第2レンズ1,2の外径を同径としているが、第1,第2レンズ1,2の外径が異なる場合にも同様の方法でレンズ鏡筒の組立を行うことが可能である。
そのときは、図7に示すように、段付のレンズ枠11を使用することにより、異なる径のレンズを使用した場合においても、図4A〜図4Cに説明した方法と同様の手順でレンズ鏡筒の組立が可能である。
図7に示すレンズ鏡筒では、レンズ枠11は、内周の下端側から小径部11a,中径部11bおよび大径部11cを有している。上記レンズ枠11の中径部11bに挿入された第1レンズ1のレンズ面の外周部が、その小径部11aと中径部11bとの間の段部21に当接している。また、上記レンズ枠11の大径部11cに第2レンズ2を挿入している。
また、スペーサ27の寸法については、前述の場合と同様、レンズ系を通過する有効光線の領域外に配置され、かつ、第1,第2レンズ1,2のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
また、この第2実施形態では、3つのスペーサ27を配置しているが、3以上のスペーサ27を配置する場合には、磁気発生器8を、スペーサ27を配置したい位置にあわせて複数設置し、図4A〜図4Cに示した方法と同様の方法で組立を行えばよい。
〔第3実施形態〕
図8は、この発明の第3実施形態のレンズ鏡筒の断面を示している。この第3実施形態のレンズ鏡筒は、レンズにスペーサを接着剤により固定することを除いて第2実施形態のレンズ鏡筒と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
図8に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。また、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1のレンズ面に接着剤10で固定されている。
次に、この第3実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について図9A〜図9Dに従って説明する。図9A〜図9Dはこの第3実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第2実施形態で示した組立方法と同様、図9Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。
次に、図9Bに示すように、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に接着剤10を塗布した後、図9Cに示すようにスペーサ27を磁気発生器8により任意の位置に配置する。
最後に、図9Dに示すようにレンズ枠3に第2レンズ2を挿入した後、第2レンズ2とレンズ枠3間を接着剤10により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
ここで、第2実施形態と同様、接着剤10として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図9Dに示す工程を終えた後に紫外線を照射し、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に塗布した接着剤10と、第2レンズ2とレンズ枠3間に塗布した接着剤10を同時に硬化すればよい。
上記第3実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第1実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
また、上記接着剤10により第1レンズ1にスペーサ27を固定することにより、スペーサ27を第1,第2レンズ1,2それぞれの対向するレンズ面で挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができ、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
また、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置に接着剤10を塗布して固定した場合にも同様の効果を得られ、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置と、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置の両方に、接着剤10を塗布し固定した場合にも同様の効果を得ることができる。
また、第1レンズ1または第2レンズ2に、スペーサ27を接着剤10により固定する場合、接着剤10の塗布領域については、レンズ系を通過する有効光線の領域外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の光学特性に接着剤10が影響することなくスペーサ27を固定することができる。
〔第4実施形態〕
図10は、この発明の第4実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図10に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ1,2と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠3と、上記第1,第2レンズ1,2の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠3の内壁に当接する球形状の3つのスペーサ27により構成されている。
また、スペーサ27は、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を含むと共に、第1レンズ1のレンズ面および第2レンズ2のレンズ面に遮光性樹脂12で固定されている。ここで、遮光性樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
図11A〜図11Dは、この第4実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第2,第3実施形態で示したレンズ鏡筒の組立方法と同様、図11Aに示すように、レンズ枠3に第1レンズ1を挿入する。
次に、図11Bに示すように、第1レンズ1とスペーサ27が接する位置に遮光性樹脂12を塗布した後、図11Cに示すように、スペーサ27を磁気発生器8により任意の位置に配置する。
最後に、図11Dに示すように、第2レンズ2とスペーサ27が接する位置に遮光性樹脂12を塗布した後、第2レンズ2をレンズ枠3に挿入し、第2レンズ2とレンズ枠3間に接着剤10を塗布し、接着剤10および遮光性樹脂12を硬化させることによってレンズ鏡筒が完成する。
この第4実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第2,第3実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
上記スペーサ27の一例としては、表面に光沢をもつ、強磁性材料もしくはフェリ磁性材料の金属球が挙げられる。そのため、スペーサ27表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサの外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、球表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後の外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
しかし、上記第3実施形態で示した遮光性樹脂12を用いたレンズ鏡筒の組立方法の場合、スペーサ27に表面処理を行うことなく迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることができる。
また、上記第1レンズ2と各スペーサ27の接触部および第2レンズ2と各スペーサ27の接触部に遮光性樹脂12を塗布することにより、スペーサ27を第1,第2レンズ1,2に確実に固定することができる。
ここで、遮光性樹脂12の塗布領域については、第1,第2レンズ1,2により構成されるレンズ系を通過する有効光線の領域外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を与えることなく、スペーサ27による迷光を防止することができる。
〔第5実施形態〕
図12Aはこの発明の第5実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラモジュールの分解斜視図を示している。
図12Aにおいて、40はレンズユニット、41はレンズ駆動モータユニット、42は受光部の一例としての撮像素子を有するセンサーユニットである。また、レンズユニット40は、被写体側から順に、第1レンズホルダ43と、第2レンズホルダ44と、第3レンズホルダ45とを備えている。また、レンズユニット40は、所定の間隔をあけてかつ光軸方向に平行に配置された3つのガイド軸46を備えている。上記第2レンズホルダ44と第3レンズホルダ45は、レンズ駆動モータユニット41によりガイド軸46に沿って移動する。
また、図12Bは上記カメラモジュールを構成するレンズユニットの断面図を示している。このレンズユニット40は、被写体側の第1レンズホルダ43に第1レンズ群51を保持し、第2レンズホルダ44に第2レンズ群52を保持し、第4レンズホルダ45は第3レンズ群53を保持している。また、レンズユニット40の基部48の撮像側に、第4レンズ群54を保持すると共に、ガラスカバー55を有するセンサーユニット42を取り付けている。なお、図12Bにおいて、47は第2レンズホルダ44と第3レンズホルダ45をガイド軸46に沿って駆動するためのリードスクリューである。
このカメラモジュールでは、第4レンズホルダ45に保持された第3レンズ群53に、第1〜第4実施形態のレンズ鏡筒を用いている。
また、図12Cは上記カメラモジュールのレンズ系の構成を示している。図12Cに示すように、左側の被写体側から順に、第1レンズ群51、第2レンズ群52、第3レンズ群53、第4レンズ群54、ガラスカバー55、撮像素子56を配置している。
上記第1〜第4実施形態で説明したレンズ鏡筒によれば、レンズ鏡筒が絞り部分に配置されたレンズ系をとる図12Aに示すカメラモジュールのように、光束が集中する付近にスペーサが配置されている場合においても、遮光性樹脂によりスペーサ表面からの反射による迷光が防止され、光学性能の低下を防止することが可能となる。
また、レンズ鏡筒内にはスペーサ位置決め用の構造物を形成する必要が無いため、従来のスペーサを用いたレンズ鏡筒に比べ、有効領域の確保と鏡筒径の小型化が可能であり、結果としてレンズ系全体を小型化できる効果がある。
〔第6実施形態〕
図16はこの発明の第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図16に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれの第1,第2レンズ501,502の光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。ここで、スペーサ507は、第1レンズ501および第2レンズ502の曲面に当接した状態で介在され、両第1,第2レンズ501,502の間隔を決定する。
また、上記スペーサ507の一般的な例としては、クロム球や磁性を持つステンレス球などがあり、外形寸法の誤差が数μmもしくは0.数μm程度であるため、レンズ間のレンズ間隔の精度の誤差を数μmもしくは0.数μmで設定することができる。
上記レンズ枠503は、内周の下端側近傍に設けられた段部520を有し、その段部520に第1レンズ501のレンズ面の外周部が当接している。また、上記レンズ枠503の外側には、スペーサ507の位置決めを行うための3個のスペーサ位置決め用磁石508がレンズ枠503の周方向を略三等分した120°の間隔で配置されている。ここで、スペーサ位置決め用磁石508の代わりに、電磁石などの磁気発生器を用いてもよい。
ここで、この第6実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明する。図17A〜図17Cはこの第6実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明するための図である。なお、図17B(a)は、図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た断面図であり、図17B(b)は、図17B(a)のXVIIBb−XVIIBb線から見た断面図である。
最初に、図17Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。上記レンズ枠503の内周の段部520に第1レンズ501の一方のレンズ面の外周部が当接する。
ここで、レンズ枠503の内径が第1,第2レンズ501,502の外径よりも大きい場合、レンズ枠503の内壁と第1,第2レンズ501,502の間に隙間が生じ、結果として組立後に第1,第2レンズ501,502間にずれが生じてしまうため、レンズ枠503の内径は第1,第2レンズ501,502の外形と同様もしくは小さくする必要がある。
次に、図17Bに示すように、スペーサ507をレンズ枠503内に配置する。
このとき、スペーサ507は、レンズ枠503の外側に配置されたスペーサ位置決め用磁石508に引き寄せられ、レンズ枠503の内壁に当接し、かつ、第1,第2レンズ501,502の周方向を略三等分した等配位置に位置決めされる。
ここで、スペーサ507をレンズ枠503内にピンセットなどの保持具を用いて配置する場合、それぞれのスペーサ507を配置したい位置の近傍まで保持しておかなければ、スペーサ位置決め用磁石508が複数配置されていることから、意図しない方向にスペーサ507が引き寄せられてしまう場合がある。
そこで、図18(a),図18(b)に示すスペーサ用ガイド509を使用する。なお、図18(a)は、図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た断面図であり、図18(b)は、図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線から見た断面図である。このスペーサ用ガイド509を使用することにより、それぞれのスペーサ507を、スペーサ用ガイド509を通してレンズ枠503内に挿入することによって、スペーサ507を配置したい位置の近傍まで保持することなく、それぞれのスペーサ位置決め用磁石508により引き寄せられる位置に容易にスペーサ507を配置することができる。
上記スペーサ用ガイド509に使用する材質としては、スペーサ用ガイド509にスペーサ507が引き寄せられないよう、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料等の材質とする。
また、上記レンズ枠503に使用する材質としては、レンズ枠503にスペーサ507が引き寄せられないよう、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料等の材質とする。
上記レンズ枠503に使用する非磁性材質の具体例としては、ポリカーボネート等の樹脂材料などが挙げられるが、スペーサ位置決め用磁石508による磁化の影響が無視できるような、常磁性材料もしくは反磁性材料であれば、これに限らない。
また、スペーサ507は、レンズ有効径外に配置され、かつ第1,第2レンズ501,502のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
次に、図17Cに示すように、レンズ枠503に第2レンズ502を挿入し、第2レンズ502とレンズ枠503間を接着剤510により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
一般的に、レンズ鏡筒の組立でレンズを固定するときには、接着剤として紫外線硬化樹脂が使用されている。この場合、第2レンズ502とレンズ枠503間に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射し、硬化すればよい。
以上に説明したレンズ鏡筒の組立方法を用いることにより、レンズ枠503の外側に設けたスペーサ位置決め用磁石508がスペーサ507の動きを規制するため、容易に所定の位置にスペーサ507を配置することができる。
また、スペーサ位置決め用磁石508によりスペーサ507は、レンズ枠503の内壁に当接した状態で動きが規制されるため、その後の組立のときにもスペーサ507はレンズ枠503の内壁から離れることがなく、第1,第2レンズ501,502とスペーサ507の接触点のずれによるレンズの倒れを防ぐことができる。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ枠503外に配置されたスペーサ位置決め用磁石508の磁気力により磁性材料からなるスペーサ507を所定の位置に吸い寄せて、スペーサ507の動きを規制することにより、組立時に第1,第2レンズ501,502間にスペーサ507を動かないように容易に配置でき、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠503内の第1,第2レンズ501,502の倒れを確実に防止することができる。
また、上記第1レンズ501上に配置されたスペーサ507の数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石508を、レンズ枠503外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠503内にスペーサ507を周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、スペーサ507を所定位置に配置するためのスペーサ用ガイド509を使用することによって、スペーサ507を所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記球体のスペーサ507を第1,第2レンズ501,502の有効径外に配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
なお、上記第6実施形態では、レンズ枠503に挿入する第1,第2レンズ501,502の外径を同径としているが、第1,第2レンズ501,502の外径が異なる場合にも同様の方法でレンズ鏡筒の組立を行うことが可能である。
そのときは、図19に示すように、段付のレンズ枠511を使用することにより、異なる径のレンズを使用した場合においても、図17に説明した方法と同様の手順でレンズ鏡筒の組立が可能である。
図19に示すレンズ鏡筒では、レンズ枠511は、内周の下端側から小径部511a,中径部511bおよび大径部511cを有している。上記レンズ枠511の中径部511bに挿入された第1レンズ501のレンズ面の外周部が、その小径部511aと中径部511bとの間の段部521に当接している。また、上記レンズ枠511の大径部511cに第2レンズ502を挿入している。
また、スペーサ507の寸法については、前述の場合と同様、レンズ有効径外に配置され、かつ、第1,第2レンズ501,502のレンズ面間が所定の間隔になるように寸法を決定しておく。
また、この第6実施形態では、3つのスペーサ507を配置しているが、3以上のスペーサ507を配置する場合には、スペーサ位置決め用磁石508を、スペーサ507を配置したい位置にあわせて複数設置し、図17A〜図17Cに示した方法と同様の方法で組立を行えばよい。
〔第7実施形態〕
図20は、この発明の第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。この第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、レンズにスペーサを接着剤により固定することを除いて第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
図20に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。また、スペーサ507は、第1レンズ501のレンズ面に接着剤510で固定されている。
次に、この第7実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について図21A〜図21Dに従って説明する。図21A〜図21Dはこの第7実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第6実施形態で示した組立方法と同様、図21Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。
次に、図21Bに示すように、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に接着剤510を塗布した後、図21Cに示すようにスペーサ507をスペーサ位置決め用磁石508により任意の位置に配置する。
最後に、図21Dに示すようにレンズ枠503に第2レンズ502を挿入した後、第2レンズ502とレンズ枠503間を接着剤510により固定することによって、レンズ鏡筒が完成する。
ここで、第6実施形態と同様、接着剤510として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図21Dに示す工程を終えた後に紫外線を照射し、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に塗布した接着剤510と、第2レンズ502とレンズ枠503間に塗布した接着剤510を同時に硬化すればよい。
上記第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
また、上記接着剤510により第1レンズ501にスペーサ507を固定することにより、スペーサ507を第1,第2第1レンズ501,2それぞれの対向するレンズ面で挟み込んだだけの場合よりも、より強固に所定の位置に固定することができる。
また、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置に接着剤510を塗布して固定した場合にも同様の効果を得られ、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置と、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置の両方に、接着剤510を塗布し固定した場合にも同様の効果を得ることができる。
また、第1レンズ501または第2レンズ502に、スペーサ507を接着剤510により固定する場合、接着剤510の塗布領域については、レンズの有効径外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の光学特性に接着剤510が影響することなくスペーサ507を固定することができる。
〔第8実施形態〕
図22は、この発明の第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面を示している。
図22に示すレンズ鏡筒は、2枚の第1,第2レンズ501,502と、それぞれのレンズの光軸を一致させて保持する円筒形状のレンズ枠503と、上記第1,第2レンズ501,502の互いに向き合うレンズ面およびレンズ枠503の内壁に当接する3つの磁性材料からなる球体のスペーサ507により構成されている。
また、スペーサ507は、第1レンズ501のレンズ面および第2レンズ502のレンズ面に遮光性樹脂512で固定されている。ここで、遮光性樹脂512としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に黒色顔料を含有された遮光性黒色樹脂等が挙げられる。
図23A〜図23Dは、この第8実施形態で示すレンズ鏡筒の組立方法の手順について説明した説明図である。
最初に、第6,第7実施形態で示したレンズ鏡筒の組立方法と同様、図23Aに示すように、レンズ枠503に第1レンズ501を挿入する。
次に、図23Bに示すように、第1レンズ501とスペーサ507が接する位置に遮光性樹脂512を塗布した後、図23Cに示すように、スペーサ507をスペーサ位置決め用磁石508により任意の位置に配置する。
最後に、図23Dに示すように、第2レンズ502とスペーサ507が接する位置に遮光性樹脂512を塗布した後、第2レンズ502をレンズ枠503に挿入し、第2レンズ502とレンズ枠503との間に接着剤510を塗布し、接着剤510および遮光性樹脂512を硬化させることによってレンズ鏡筒が完成する。
この第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法は、第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法と同様の効果を有する。
上記スペーサ507の例としては、クロム球や磁性をもつステンレス球等が挙げられ、これらはいずれも表面に光沢をもつ金属球となっている。そのため、スペーサ507表面における反射光が迷光となり、その迷光が、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を及ぼす可能性がある。
このような迷光を防止する例として、スペーサの球面外周にメッキ等の方法により黒色、つや消し等の表面処理を施し、球表面からの反射を防ぐ方法が挙げられるが、この場合、表面処理によるコストおよびタクトの増加や、表面処理後のスペーサ外形寸法ばらつきの発生等の問題が生じる。
しかし、上記第8実施形態で示した遮光性樹脂512を用いたレンズ鏡筒の組立方法の場合、スペーサ507に表面処理を行うことなく迷光を防止することが可能であるため、表面処理によるコストおよびタクトの改善を図ることができる。
また、上記第1レンズ502と各スペーサ507の接触部および第2レンズ502と各スペーサ507の接触部に遮光性樹脂512を塗布することにより、スペーサ507を第1,第2レンズ501,502に確実に固定することができる。
ここで、遮光性樹脂512の塗布領域については、図24に示すように、各スペーサ507の外形(直径d)以上、すなわち遮光性樹脂512によりスペーサ507の外周が覆われ、鏡筒端側からスペーサ507が見えなくなる程度とし、かつ、第1,第2レンズ501,502の有効径外とするのがよい。これにより、レンズ鏡筒の持つ光学特性に影響を与えることなく、スペーサ507による迷光を防止することができる。
上記第1〜第8実施形態では、球形状(または球体)のスペーサを用いたが、スペーサの形状はこれに限らないのは勿論である。
例えば、図25に示すように、円筒形状のスペーサを使用した場合にも、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点が、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されることになり、球形状のスペーサを使用した場合と同様に、高精度でレンズ間の光軸を合わせることが可能となる。
よって、スペーサ7の形状に関しては、第1,第2レンズ1,2とスペーサ7の接触点が、第1,第2レンズ1,2の光軸を中心とした同一円周上に高精度で配置されるものであればよい。
上記第1〜第8実施形態では、第1,第2レンズの互いに向かい合う面が凸面と平坦面との組み合わせによる場合を説明したが、これに限定されず、凸面と凸面、凸面と凹面、平坦面同士、平坦面と凹面、凹面同士等の組み合わせによるレンズ間の間隔を確保するためにこの発明を適用することができる。
また、上記第1〜第8実施形態では、クロム球やステンレス球等の磁性材料からなる球体のスペーサを用いたレンズ鏡筒の組立方法について説明したが、スペーサはこれに限らず、スペーサ位置決め用磁石により吸引される磁性材料を含むものであればよい。
また、上記第6〜第8実施形態では、スペーサ位置決め用磁石508として永久磁石を用いたが、スペーサ位置決め用磁石はこれに限らず、電磁石などであってもよく、スペーサの数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石の磁極が、レンズ枠外に周方向に等間隔に配置されたものであればよい。
また、上記第1〜第8実施形態では、接着剤10,510,遮光性樹脂12,512により第1レンズ1,501にスペーサ7,27,507を固定したが、スペーサの固定方法はこれに限らない。
また、上記第1〜第8実施形態では、レンズ枠3,503を円筒形状としたが、レンズ枠はこれに限らず、レンズを保持可能な筒状のものであればよい。
また、レンズ鏡筒として、
複数枚のレンズと、
上記複数枚のレンズの光軸を一致させて保持する筒状のレンズ枠と、
上記複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面および上記レンズ枠の内壁に当接する3つ以上の球体のスペーサと
を備え、
上記球体のスペーサは磁性材料を含むことを特徴とするものでもよい。
上記構成のレンズ鏡筒によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚の第1,第2レンズのレンズ面間に3つ以上の磁性材料を含む球体のスペーサを備えた構成にすることによって、組立時にレンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置することにより、周方向、径方向において球体のスペーサの動きを規制することが可能となる。つまり、レンズ枠内でレンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに磁性材料を含む球体を用いて、磁性材料を含む球体を、レンズ枠外に配置されたスペーサ位置決め用磁石の磁気力により所定の位置に吸引して、組立時にレンズ間に球体を動かないように容易に配置することが可能となる。したがって、組立時にレンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、上記レンズ鏡筒において、上記レンズ枠の構成材料を、常磁性材料もしくは反磁性材料としてもよい。
上記レンズ鏡筒によれば、レンズ枠の構成材料を、磁気発生器による磁化の影響を無視できる常磁性材料もしくは反磁性材料とすることにより、球体のスペーサがレンズ枠に吸引されることなく、スペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、レンズ鏡筒の組立方法として、
複数枚のレンズと、
上記複数枚のレンズの光軸を一致させて保持する筒状のレンズ枠と、
上記複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚のレンズ間に配置され、上記2枚のレンズの互いに向き合うレンズ面および上記レンズ枠の内壁に当接する磁性材料を含む球体のスペーサと
を備えたレンズ鏡筒の組立方法であって
上記筒状のレンズ枠に、上記2枚のレンズのうちの一方の第1レンズを挿入する第1の工程と、
上記レンズ枠内に挿入された上記第1レンズ上に、上記球体のスペーサを3つ以上配置する第2の工程と、
上記レンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置して、上記スペーサ位置決め用磁石の磁極と上記レンズ枠内に配置された上記球体のスペーサとの間の吸引力によって、上記球体のスペーサの位置決めを行う第3の工程と、
上記スペーサ位置決め用磁石により上記球体のスペーサが位置決めされた状態で、上記レンズ枠内に上記2枚のレンズのうちの他方の第2レンズを挿入し、上記レンズ枠に上記第2レンズを固定する第4の工程と
を有することを特徴とするものでもよい。
上記構成のレンズ鏡筒の組立方法によれば、複数枚のレンズのうちの少なくとも2枚の第1,第2レンズのレンズ面間に3つ以上の球体のスペーサを備えたレンズ鏡筒において、レンズ枠外にスペーサ位置決め用磁石を配置することにより、周方向、径方向において磁性材料を含む球体のスペーサの動きを規制する。つまり、レンズ枠内で第1,第2レンズを所定の間隔をおいて保持するためのスペーサに磁性材料を含む球体を用いて、その磁性材料を含む球体を、レンズ枠外に配置されたスペーサ位置決め用磁石の磁気力により所定の位置に吸引して、球体の動きを規制することにより、組立時にレンズ間に球体を動かないように容易に配置できる。したがって、レンズ間の間隔を高精度に保ちつつレンズ枠内のレンズの倒れを確実に防止できる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、
上記スペーサ位置決め用磁石の磁極の数は、上記第1レンズ上に配置された上記球体のスペーサの数と同じであり、
上記第3の工程において、上記スペーサ位置決め用磁石の磁極を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、上記第1レンズ上に配置された上記球体のスペーサの数と同じ数の磁極を有するスペーサ位置決め用磁石を、上記レンズ枠外に周方向に等間隔に配置することにより、レンズ枠内に球体のスペーサを周方向に等間隔に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記球体のスペーサを所定位置に配置するためのスペーサ用ガイドを使用してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、スペーサ用ガイドを使用することによって、球体のスペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記レンズ枠の構成材料を、常磁性材料もしくは反磁性材料としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、レンズ枠の構成材料を、磁気発生器による磁化の影響を無視できる常磁性材料もしくは反磁性材料とすることにより、球体のスペーサがレンズ枠に吸引されることなく、球体のスペーサを所定の位置に容易に配置することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第2の工程において、上記球体のスペーサを上記第1,第2レンズの有効径外に配置してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、球体のスペーサを第1,第2レンズの有効径外に配置することによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えずに、高精度の組立を行うことができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に上記球体のスペーサを接着剤で固定する第5の工程を有してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、上記第1,第2レンズの少なくとも一方に球体のスペーサを接着剤で固定することにより、レンズ面間で球体のスペーサを挟んだだけの場合よりも、より強固に球体のスペーサを所定の位置に固定することができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記球体のスペーサを固定する上記接着剤の塗布領域は、第1,第2レンズの有効径外としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、接着剤の塗布領域をレンズの有効径外とすることによって、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えることなく球体のスペーサの固定ができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第1,第2レンズと上記球体のスペーサを固定する上記接着剤を遮光性樹脂としてもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、球体のスペーサの固定に遮光性樹脂を使用することにより、球体のスペーサの固定と同時に、スペーサ表面からの反射による迷光を防止できる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記第4の工程において、上記第1レンズと上記各球体のスペーサの接触部および上記第2レンズと上記各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、第1レンズと各スペーサの接触部および上記第2レンズと各スペーサの接触部に上記遮光性樹脂を塗布することにより、球体のスペーサの固定を確実に行うことができる。
また、上記レンズ鏡筒の組立方法において、上記遮光性樹脂の塗布領域を上記各スペーサの外形以上とし、かつ、上記レンズの有効径外に上記遮光性樹脂を塗布してもよい。
上記レンズ鏡筒の組立方法によれば、遮光性樹脂の塗布領域を、各スペーサの直径以上かつレンズの有効径外とすることにより、レンズ鏡筒の光学特性に影響を与えることなく球体のスペーサの固定および反射による迷光を防止できる。
この発明は、レンズ間の間隔誤差、レンズ倒れを抑え、高精度な組立ができるレンズ鏡筒と、その組立方法と、そのレンズ鏡筒を用いたカメラモジュールに利用可能である。
図1はこの発明の第1実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図2は上記レンズ鏡筒においてスペーサの固定に遮光性樹脂を使用したときの断面図である。
図3はこの発明の第2実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図4Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を説明するための図である。
図4Bは図4Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図であり、図4B(a)は図4B(b)のIVBa−IVBa線から見た横断面図であり、図4B(b)は図4B(a)のIVBb−IVBb線から見た縦断面図である。
図4Cは図4Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図5は上記スペーサを配置する第1レンズ面が、レンズ枠の内側への傾斜面となっている場合において、組立を行うことが可能な条件について説明するための説明図である。
図6(a)はスペーサ用ガイドを使用してスペーサを配置する方法について説明するための上面図であり、図6(a)は図6(b)のVIa−VIa線から見た横断面図であり、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb線から見た縦断面図である。
図7は異なる径のレンズを使用した場合のレンズ鏡筒の組立方法について説明するための説明図である。
図8はこの発明の第3実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図9Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Bは図9Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Cは図9Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図9Dは図9Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図10はこの発明の第4実施形態のレンズ鏡筒の断面図である。
図11Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Bは図11Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Cは図11Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図11Dは図11Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図12Aはこの発明の第5実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラモジュールの分解斜視図である。
図12Bは図12Aに示すカメラモジュールを構成するレンズユニットの断面図である。
図12Cは図12Aに示すカメラモジュールのレンズ系を示す図である。
図13は従来のレンズ鏡筒について説明するための説明図である。
図14Aは鋼球をスペーサとして使用した、従来のレンズ鏡筒の一例について説明するための説明図である。
図14Bは従来のレンズ鏡筒において鋼球をスペーサとして使用した例について説明するための説明図である。
図15は従来のレンズ鏡筒において平坦面にスペーサを配置した例ついて説明するための説明図である。
図16はこの発明の第6実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図17Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順をするための図である。
図17Bは図17Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図であり、図17B(a)は図17B(b)のXVIIBa−XVIIBa線から見た横断面図であり、図17B(b)は図17B(a)のXVIIBb−XVIIBb線から見た縦断面図である。
図17Cは図17Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図18(a)はスペーサ用ガイドを使用して球体を配置する方法について説明するための上面図であり、図18(a)は図18(b)のXVIIIa−XVIIIa線から見た横断面図であり、図18(b)は図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線から見た縦断面図である。
図19は異なる径のレンズを使用した場合のレンズ鏡筒の組立方法について説明するための説明図である。
図20はこの発明の第7実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図21Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Bは図21Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Cは図21Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図21Dは図21Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図22はこの発明の第8実施形態のレンズ鏡筒の組立方法を用いて組み立てられたレンズ鏡筒の断面図である。
図23Aは上記レンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Bは図23Aに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Cは図23Bに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図23Dは図23Cに続くレンズ鏡筒の組立方法の手順を示す図である。
図24は遮光性樹脂の塗布領域について説明するための説明図である。
図25(a)は円筒形状のスペーサを使用した場合のレンズ鏡筒の上面図であり、図25(a)は図25(b)のXXVa−XXVa線から見た横断面図であり、図25(b)は図25(a)のXXVb−XXVb線から見た縦断面図である。
符号の説明
1,100…第1レンズ
2…第2レンズ
3…レンズ枠
4…間隔環
5…レンズ鏡筒
7,27…スペーサ
8…磁気発生器
9…スペーサ用ガイド
10…接着剤
11…レンズ枠
12…遮光性樹脂
20,21,22…段部
501…第1レンズ
502…第2レンズ
503…レンズ枠
504…間隔環
505…レンズ鏡筒
507…球体
508…スペーサ位置決め用磁石
509…スペーサ用ガイド
510…接着剤
511…レンズ枠
512…遮光性樹脂
520,521,522…段部