JP2007308410A - アミド化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボン酸誘導体とアミンとを反応させて、アミド化合物を製造する方法であって、反応後に該カルボン酸誘導体及び該アミンの融点以下の温度で、反応混合物を熟成させる工程を含むアミド化合物の製造方法である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらの反応では、大過剰のアミン存在下においても6員環形成による分子内イミド化反応が進行しやすく、また一旦形成された分子内イミド化合物は、過剰量のアミン存在下、反応を継続しても容易に消失しないという問題がある。
また、油性基材のゲル化剤の製造方法として、アルカントリカルボン酸と、該カルボン酸1モルに対して3〜10モルの過剰のアミン化合物とを反応させるトリアミド化合物の製造方法(特許文献1参照)、脂肪酸ハライドとL−アスパラギン酸とを反応させ、さらにアミン化合物と反応させるN−アシル−L−アスパラギン酸ジアミド化合物の製造方法(特許文献2参照)が知られている。
これらの製造過程においても、分子内イミド化合物が生成する。このような分子内イミド化合物を含むアミド化合物を油性基材のゲル化剤として用いるとゲルの強度を低下させるという問題がある。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるカルボン酸誘導体と、下記一般式(3)で表されるアミンとを反応させて、アミド化合物を製造する方法であって、反応後に該カルボン酸誘導体及び該アミンの融点以下の温度で、反応混合物を熟成させる工程を含む下記一般式(4)で表されるアミド化合物の製造方法を提供するものである。
を提供するものである。
これに対して本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表されるカルボン酸誘導体と、下記一般式(3)で表されるアミンとを反応させアミド化反応を行い、該反応後に該カルボン酸誘導体及び該アミンの融点以下の温度で、反応混合物を熟成させて下記一般式(4)で表されるアミド化合物を製造することを特徴とする。
本発明で出発原料として用いるカルボン酸誘導体は、前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表される。
一般式(1)においてX1及びX2は、それぞれ独立にハロゲン原子又は−OR5を示す。
ハロゲン原子としては、反応性及び経済面の観点から塩素原子が好ましい。
R5は、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5の飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を示す。R5としては、反応性及び経済面の観点から、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜3の飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基が好ましく、さらに水素原子、又は炭素数1〜2の飽和の炭化水素基がより好ましい。これらの中では、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
一般式(1)及び(2)において、m、n及びpは、それぞれ独立に0又は1を示す。m、n及びpとしては、製造されるアミド化合物の使用目的に応じてその数を選択できる。反応性の観点から、m、n及びpとしては、少なくとも1つが0であることが好ましく、さらに少なくとも2つが0であることがより好ましく、すべてが0であることが特に好ましい。
一般式(1)及び(2)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい全炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を示す。
R1、R2及びR3としては、製造されるアミド化合物の使用目的に合致する構造を持っていれば良い。反応性の観点から、R1、R2及びR3としては、少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、さらに少なくとも2つが水素原子であることがより好ましい。
また、R1、R2及びR3としては、トリアミド化合物を得る観点から、少なくとも1つが、下記一般式(5)で表される炭化水素基であることが好ましい。
qは、0〜3の整数を示す。qとしては、製造されるアミド化合物の使用目的に合致する構造を持っていれば良いが反応性の観点から、好ましくは1〜3である。
R1、R2及びR3の炭化水素基の置換基としては、水酸基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、フェニル基等が挙げられる。
一般式(2)で表されるカルボン酸誘導体としては、例えば、上記カルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
一般式(3)においてR4は、水酸基、エーテル基、エステル基、アミノ基、及びアミド基の中から選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい全炭素数1〜24の飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を示す。
分岐鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、メチルペンチル、メチルヘキシル、エチルヘキシル、メチルノニル、ジメチルオクチル、テトラメチルオクチル、メチルドデシル、ジメチルウンデシル、トリメチルデシル、ヘキシルデシル、メチルペンタデシル、ジメチルテトラデシル、トリメチルトリデシル、テトラメチルドデシル、オクチルドデシル、デシルテトラデシル等の基が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状の不飽和炭化水素基としては、例えば、ヘキセニル、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、イコセニル、ドコセニル、テトラコセニル、メチルペンテニル、メチルヘキセニル、エチルヘキセニル、メチルノネニル、ジメチルオクテニル、テトラメチルオクテニル等の基が挙げられる。
水酸基を有する直鎖状又は分岐鎖状の不飽和炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシヘキセニル、ヒドロキシオクテニル、ヒドロキシデセニル、ヒドロキシドデセニル、ヒドロキシテトラデセニル、ヒドロキシヘキサデセニル、ヒドロキシオクタデセニル、ヒドロキシイコセニル、ヒドロキシドコセニル、ヒドロキシテトラコセニル、ヒドロキシメチルペンテニル等の基が挙げられる。
エステル基を有する炭化水素基としては、2−ステアロイルオキシエチル基等が挙げられる。
アミノ基を有する炭化水素基としては、N,N−ジオクチル−3−アミノプロピル基等が挙げられる。
アミド基を有する炭化水素基としては、N−オクタデシロイルアミノエチル、N−ドデシロイルアミノプロピル、N−オクタデセニロイルアミノプロピル、N−(2−エチルヘキサノイル)アミノエチル等の基が挙げられる。
前記の炭化水素基において、分岐の位置、不飽和結合の位置、水酸基、エーテル基、エステル基、アミノ基、及びアミド基の位置は、特に限定されない。
該アミンは、製造されるアミド化合物の使用目的に応じて、1種単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、反応速度を上げる目的で、触媒として酸を用いることができる。触媒としては、一般的な鉱酸及び有機酸を用いることができる。例えば、鉱酸としては、塩酸、硫酸、リン酸が挙げられ、有機酸として、酢酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。
触媒の使用量としては、特に制限はないが、製造コストの観点から、好ましくは反応混合物に対し、10質量%以下である。
反応温度は、カルボン酸誘導体の転化速度を向上させる観点から、反応混合物が融解する温度以上に昇温させて液体状態となる温度で反応させることが好ましい。反応温度としては、一般に120〜220℃、好ましくは130〜200℃の温度である。
反応速度の観点からは、系内を攪拌し、十分に混合させながら反応させることが好ましい。
反応時間は、原料の反応性、混合比、触媒の有無、反応温度によって異なるが、製造コストの観点から、反応混合物の組成が変わらなくなるまで続けることが好ましい。反応時間としては、通常1〜30時間である。
アミド化反応によって得られた反応混合物中には、目的とする前記一般式(4)で表されるアミド化合物の他に、下記一般式(6)
で表される分子内イミド化合物が生成している。
前記分子内イミド化合物としては、前述のアミド化反応の反応混合物をそのまま用いても良く、該混合物から精製単離して用いてもよい。
本工程に用いるアミンの具体例及び好適例としては、上述のアミド化反応において用いたアミンと同様のものを例示できる。
アミンの使用量としては、反応収率の観点から、前記分子内イミド化合物に対し当量以上が好ましく、熟成速度の観点から、2モル当量以上がより好ましく、さらには5モル当量以上が好ましい。
また、製造コスト及び後処理の観点から、10モル当量以下が好ましく、更には8モル当量以下が好ましい。
本工程において、熟成速度を上げる目的で、前記のアミド化反応で述べた酸を触媒として用いることができる。触媒の使用量としては、特に制限はないが、経済面の観点から反応混合物に対し、好ましくは10質量%以下である。
また、本工程において、熟成速度を上げる目的で、水を添加することができる。水の添加によって競争的な分子内イミド化合物の加水分解反応が起こることによる収率の低下を防ぐ観点から、水の使用量としては、系内水分量を好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下となるように添加する。
本工程に用いる反応混合物を均一化させる目的で、該混合物が固体であれば、フレーク状、または粉末状にして攪拌することもできる。また、該混合物を、用いたカルボン酸誘導体及びアミンの融点以上の温度まで昇温し、液体状態で混合することもできる。この場合には、その後冷却し固化した後は、攪拌はしなくても良い。
本工程は、例えば、アミド化合物の使用目的が油性基材のゲル化剤であるような場合、用いたアミンの融点以上の温度でも、見かけ上、系は固化したように見えることがある。この時遠心分離等を行うと相分離がみられ、完全な固化に至っていない場合がある。この様な場合には、系を完全に固化することによりさらに速やかに熟成が進行する。
一方、反応速度は、温度に対し正の相関を有することから、上記の範囲でできる限り高い温度であることが好ましい。よって熟成温度としては、用いたカルボン酸誘導体及びアミンの融点よりも5℃〜50℃以上低い温度が好ましく、更には用いたカルボン酸誘導体及びアミンの融点よりも5℃〜30℃以上低い温度が好ましい。
熟成時間は、化合物の反応性、触媒及び水の有無、アミンの使用量、反応温度、イミドの残存許容量等により異なるが、通常0.5時間〜2週間である。熟成時間としては、製造コストの観点から好ましくは2時間〜1週間である。
各実施例で得られた熟成後のアミド化反応混合物のトリアミド化合物/分子内イミド化合物/ジアミドモノカルボン酸化合物の組成比を、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)により測定した。
〔アミド化反応〕
脱水管を装着した500mL4つ口丸底フラスコに、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸22.4g(mp112℃)及び3−オクタデシロキシ−1−プロピルアミン〔mp;46.2℃(mettler社製FP62型融点測定器)〕/ステアリルアルコール=87.1/12.9(質量比)混合物127.6gを入れ、170℃で脱水しながら反応した。22時間後の混合物中の組成比(質量比)は、HPLC及びアミン分析、水分量分析より、トリアミド化合物/分子内イミド化合物/ジアミドモノカルボン酸化合物/アミン/水/アルコール=54.5/18.3/1.3/14.4/0.2/11.2であった。
〔熟成工程〕
前記アミド化反応混合物[組成比(質量比):トリアミド化合物/分子内イミド化合物/ジアミドモノカルボン酸化合物=76.5/21.1/2.4]1.0g、及び3−オクタデシロキシ−1−プロピルアミン/ステアリルアルコール=87.1/12.9(質量比)混合物0.73gを、サンプル管に入れ、130℃まで昇温して均一溶解した。その後40℃まで冷却して固化した後、40℃で24時間熟成した。結果を表1に示す。
実施例1のアミド化反応で得られたアミド化反応混合物2.2g、及び3−オクタデシロキシ−1−プロピルアミン/ステアリルアルコール=87.1/12.9(質量比)混合物1.8gを、サンプル管に入れ、130℃まで昇温して均一溶解した。その後25℃まで冷却して固化した後、25℃で24時間熟成した。結果を表1に示す。
熟成工程において、原料としてさらに水15mgを添加した以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
熟成工程において、130℃まで昇温して均一溶解し、その後170℃まで昇温した後170℃で24時間熟成した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
熟成工程において、130℃まで昇温して均一溶解し、その後50℃まで冷却して固化した後50℃で24時間熟成した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Claims (3)
- 下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるカルボン酸誘導体と、下記一般式(3)で表されるアミンとを反応させて、アミド化合物を製造する方法であって、反応後に該カルボン酸誘導体及び該アミンの融点以下の温度で、反応混合物を熟成させる工程を含む下記一般式(4)で表されるアミド化合物の製造方法。
- 一般式(1)において、m、n及びpは、0を示し、R1、R2及びR3のうち少なくとも1つが、下記一般式(5)で表され、一般式(3)において、R4は、全炭素数4〜24の飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基である請求項1に記載のアミド化合物の製造方法。
- 前記熟成工程において水を添加する請求項1又は2に記載のアミド化合物の製造方法。
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