JP2007308369A - 還元性雰囲気炉用炭素複合材料及びその製造方法 - Google Patents

還元性雰囲気炉用炭素複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1000℃を超える高温の還元性ガス雰囲気中においても、優れた還元性ガス反応抑制効果を発揮し、製品寿命を大きく延ばすことができる還元性雰囲気炉用炭素複合材料及びその製造方法を得る。
【解決手段】本発明の還元性雰囲気炉用炭素複合材料は、Ta微粒子を、Cを含む反応性ガス粒子と共に、黒鉛基材の表面に付着させることによって、前記表面にTaC微粒子を緻密に積層した結晶組織のTaC被膜が形成され、かつ該黒鉛基材の特性値として熱膨張係数が、前記炭化タンタル被膜の熱膨張係数±2.0×10−6/Kの範囲内にある。また、本発明の還元性雰囲気炉用炭素複合材料の製造方法は、ターゲット材としての金属Ta及びCを含む反応ガスを使用してアークイオンプレーティング(AIP)式反応性蒸着法により上記の熱膨張係数を特性値として有する黒鉛基材の表面に炭化タンタルの皮膜を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温下における還元性ガスとの反応抑制効果に優れた炭素複合材料及びその製造方法、さらに詳しくは1000℃を超える高温の還元性ガス雰囲気中においても、炭素材料と還元性ガスとの反応抑制効果を十分に発揮することができる炭化タンタル被覆黒鉛系材料及びその製造方法に関するものである。
従来、高温下におけるチッ素ガス、アンモニアガス等の還元性ガス雰囲気下に晒される黒鉛系材料は、当然ながら還元性ガスとの反応によって変質したり目減りし、その材料に求められている本来の機能が十分果たせなくなったとき、寿命が尽きたとして新しい部材と取り換えることが行われる。
例えば、炉内に黒鉛系材料からなるヒーターを配置し、炉内にアンモニアガスを導入してアンモニア雰囲気を形成し、そのヒーターで炉内を1200℃程度に加熱保持されたアンモニア雰囲気炉の場合についていえば、ヒーターとしては一般には黒鉛基材の表面に炭化ケイ素を被覆した黒鉛系材料が使用される。これは、黒鉛基材そのものはアンモニアと非常に反応しやすいため、黒鉛製のヒーターでは短時間のうちに消耗が進行し穴が開き始める、つまり断線が生じるため、このような現象を回避して少しでもヒーターとしての寿命を長くできるように、アンモニアとの反応を緩和させる手段として、黒鉛基材の表面に炭化ケイ素を被覆したものである。
しかし、上記の炭化ケイ素の被覆という手段は、あくまでもヒーターとアンモニアとの反応を緩慢にしてヒーターの消耗を遅らせることを目的としており、黒鉛基材上の炭化ケイ素被膜とアンモニアとの反応が徐々に進行することに変わりはない。最大の理由は、炭化ケイ素の分解温度が約1400℃であって、その近辺の温度域での蒸気圧が高いことによる。そして、炭化ケイ素被膜がアンモニアとの反応により徐々に薄くなり、黒鉛基材の露出にまで至ると、黒鉛基材とアンモニアが一気に反応し、上述したように短時間のうちに消耗が進行し穴が開き始め、つまり断線が生じ、ヒーターとしての寿命が尽きることになる。
本発明者らは、かねてより還元性雰囲気炉用炭素複合材料の研究を進めており、上記の炭化ケイ素被覆炭素複合材料より優れた材料を開発するための糸口として、遷移金属炭化物では一番融点が高く、かつ化学的安定度が高いとされる炭化タンタル(以下「TaC」で表示する。)に着目した。そして、黒鉛基材(ヒーター)の上にTaCの被膜を形成するに際しては、まず特開平6−280117号公報に開示のプラズマ溶射による物理的蒸着法(いわゆるPVD法)及びCVD法を参考に実験を行った。その後、CVR(化学気相反応)法の実施による実験も行った。
しかし、TaCの融点が約4000℃と非常に高いため、PVD法の実施は極めて困難であり、またいわゆるCVR法により得られるTaC被膜は多孔質となってしまうため、両法については実用的な成膜法として基本的に採用困難と判断した。結局、CVD法により得られたTaC被覆黒鉛基材を高温の還元性ガス雰囲気中で使用した所、わずか数回(約30時間)の使用でTaC被膜にクラックが生じ、黒鉛基材とTaC被膜との間に剥離が生じた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1000℃を超える高温の還元性ガス雰囲気中においても、優れた還元性ガス反応抑制効果を発揮し、製品寿命を大きく延ばすことができる還元性雰囲気炉用炭素複合材料及びその製造方法を提供する点にある。
本発明者らは、従来法(CVD法)で得られたTaC被膜と黒鉛基材との間に簡単に生じるクラックや剥離の原因を解明すべく、特に結晶組織面から検討してきた。その結果、黒鉛基材上のTaC被膜の結晶組織は繊維柱状(図5(a)参照)又は柱状(図5(b)参照)をしており、さらにいずれの場合も黒鉛基材とTaC被膜との密着力に弱い構造をしていることが判明した。また、黒鉛基材とTaC被膜の熱膨張係数の差が大きく離れている場合ほど、クラックや剥離の発生、進行の程度が顕著となる傾向にあることも判明した。
この結果、本発明者らは、TaC被膜の結晶組織として微粒子が緻密に積層した状態を具現できるような結晶組織組織面からの工夫((イ))と、TaC被膜と黒鉛基材との熱膨張係数差を一定の範囲内に収める等の黒鉛基材の特性面からの工夫((ロ))を施せば、TaC被膜内のクラックの進行を著しく遅らせ、ひいては黒鉛基材とTaC被膜との剥離の発生の大幅な抑制につながるはず、との知見を得ることができ、この知見を基に更に検討を重ねた末、上記(イ)、(ロ)の工夫として最適な具体的手段に到達し、本発明を完成した。
即ち、上記目的を達成し得た本発明の一つは、タンタル微粒子を、炭素を含む反応性ガス粒子と共に、黒鉛基材の表面に付着させることによって、前記表面に炭化タンタル微粒子を緻密に積層してなる結晶組織の炭化タンタルの被膜が形成され、かつ該黒鉛基材の特性値として熱膨張係数が、前記炭化タンタル被膜の熱膨張係数±2.0×10−6/Kの範囲内にあることを特徴とする還元性雰囲気炉用炭素複合材料である。また、本発明は、前記黒鉛基材としてさらに、0.01〜5μmの平均気孔半径、また1000℃基準のガス放出圧力が10−4Pa/g以下であり、さらに不純物の含有量がAl<0.3ppm、Fe<1.0ppm、Mg<0.1ppm、Si<0.1ppmで、灰分が10ppm以下の高純度等方性黒鉛基材という特性値を有するものであってもよい。また、本発明は、さらにTaC被膜の膜厚が5〜100μmであることを追加構成要件とする還元性雰囲気炉用炭素複合材料であってもよい。
また、本発明は、上記両発明をアンモニア雰囲気炉用炭素複合材料として利用する用途発明であってもよいし、還元性雰囲気炉用炭素複合材料を成膜炉用ヒーターに利用する用途発明であってもよい。半導体薄膜としては、Si,GaAs,GaInP,GaN,InGaNなどが例示できる。また、本発明は、ターゲット材としての金属タンタル及び炭素を含む反応ガスを使用して、400〜600℃の雰囲気下でアークイオンプレーティング(AIP)式反応性蒸着法により前記金属タンタルの微粒子を前記反応ガスの粒子と共に黒鉛基材の表面に付着させることによって、前記表面に炭化タンタル微粒子を緻密に積層してなる結晶組織の炭化タンタルの被膜を形成する工程を有しており、前記黒鉛基材の特性値としての熱膨張係数が、前記TaC被膜の熱膨張係数±2.0×10−6/Kの範囲内にあることを特徴とする還元性雰囲気炉用炭素複合材料の製造方法である。
さらに、本発明は、上記方法の発明のうち黒鉛基材としてさらに、0.01〜5μmの平均気孔半径、また1000℃基準のガス放出圧力が10−4Pa/g以下であり、さらに不純物の含有量がAl<0.3ppm、Fe<1.0ppm、Mg<0.1ppm、Si<0.1ppmで、灰分が10ppm以下の高純度等方性黒鉛基材という特性値を有する製造方法であってもよい。
本発明によれば、以下の利益((1)〜(4))を享受することができる。
(1)本発明の複合材料は、微粒子状の緻密で均質な積層結晶組織を有するTaC被膜を黒鉛基材の表面に被覆した構成であるため、高温の還元性雰囲気下で黒鉛基材中の不純物(Fe、Al等)が拡散してTaC被膜に到達しても、TaC被膜内からの抜け出しは非常に困難となり、ピンホールが生じるまでの時間を非常に長く延ばすことができる。
また、本発明に係る黒鉛基材の場合は、上記不純物そのものが当初から極めて少なく、特有の細孔構造を有するため、拡散するガスも非常に少ない。従って、そのような黒鉛基材上に被覆したTaC皮膜は、黒鉛基材との密着性が良く、しかも高温で黒鉛基材から放出されるガスが少ないため、TaC被膜の劣化やピンホール及びクラックを生じにくくなっている。さらに、TaC被膜と黒鉛基材との熱膨張係数差は相対的に±2.0×10-6/K以内に抑えられており、熱膨張係数差に起因したTaC被膜自体の黒鉛基材からの剥離は回避することができる。従って、従来品のようにピンホール及びクラックの促進に起因した剥離という現象も生じないため、この点も一層の相乗効果を生み、上記ピンホール及びクラックが無く、TaC被膜と黒鉛基材の密着性が良い状態となっている。結局、上記の結晶組織面からの改善と黒鉛基材そのものの改善(好ましい基材の選択)とが相まって、ピンホール及びクラックが生じるまではTaCの本来有する好ましい特長である高耐熱性及び化学的安定性が有効に発揮され、複合材料からなる製品の寿命を従来品よりも大きく延ばすことができる。
(2)また、TaC被膜の厚みを5〜100μm、望ましくは10〜90μmとなるように形成しておくことにより、上記(1)の効果を十分に発揮させつつも、必要以上の被膜形成に要するコストの無駄を省き、製品コストの上昇を防止することができる。
(3)本発明の複合材料を半導体薄膜の成膜炉用ヒーターに適用した場合には、このヒーターの著しい延命化により、半導体薄膜の成膜に要するコストの低減化を図ることができる。
(4)TaC被膜の形成には、コンパクトな汎用装置でもあるAIP装置を利用できるので、経済的である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る還元性雰囲気炉用炭素複合材料を示す断面模式図であり、図2は、本発明の製造方法の一例を示す工程図、図3は、AIP処理を実施するためのAIP装置を示す原理説明図である。
図1(a)において、本発明の複合材料1は、黒鉛基材2の表面にTaC被膜3が形成された構造をしている。図1(b)は、TaC被膜3の一部を拡大した模式図である。TaC被膜3は、φ1〜10μm程度のTaC微粒子が均質かつ緻密に詰まって積層した状態の結晶組織からなる層であり、その場合嵩密度が14.30g/cm以上であるようなものが望ましい。アウトガスの少ない高純度等方性黒鉛基材を使うのは、高温で黒鉛基材から放出するガス及び不純物が少なく、また電気抵抗率や熱膨張率が各方向における方向性が少なくためである。なお、多孔質のTaC被膜の形成を防ぐため、TaC被膜の嵩密度が14.30g/cm以上とすることによって、外部からのガス侵入を抑制することができる。このような結晶組織及び特性を有するTaC被膜3を形成するには、後に詳記するようにターゲット材としての金属タンタル及び反応ガスを使用したAIP法の実施が有効である。
黒鉛基材2としては、TaC被膜3との親和性に良好な高純度等方性黒鉛基材を使用することが望ましく、さらに該黒鉛基材の特性値が以下の条件((1)〜(4))を満たすものを採用することが望ましい。
(1)熱膨張係数が、TaC被膜の熱膨張係数±2.0×10−6/Kである。黒鉛基材とTaC被膜との熱膨張係数差によりTaC皮膜に発生する熱応力を減少させるためである。
(2)平均気孔半径は0.01〜5μmである。ここで「平均気孔半径」とは、水銀ポロシメーターから求めた細孔容積の平均気孔半径の値であって、最大圧力98MPa、試料と水銀の接触角141.3°としたときの累積気孔容積の半分値としたものである。平均気孔半径が0.01μm未満では、いわゆるアンカー効果が十分発揮されず、TaC被膜が剥離しやすくなるからである。一方、5μmを超えると、高温下での黒鉛基材からの放出ガスの量が多くなるからである。
(3)1000℃基準のガス放出圧力が10−4Pa/g以下である。放出されるガスとしては、H、CH、CO、CO、HOなどがあるが、特にTaCと反応しやすいCO、HOの発生量をできる限り少なくするために、10−4Pa/g以下が望ましい。
(4)不純物の含有量がAl<0.3ppm、Fe<1.0ppm、Mg<0.1ppm、Si<0.1ppmで、灰分が10ppm以下である。不純物の量がこの範囲を超えると、高温下におけるTaCとの化学反応により黒鉛基材とTaC皮膜の界面が剥離しやすくなるため、これを防止するためである。
従って、本発明の複合材料1を高温の還元性ガス、例えばアンモニア雰囲気下に晒しても、TaC被膜3としては微粒子が緻密に積層した結晶組織であるために、たとえ黒鉛基材2中の不純物(Fe、Al等)が拡散してTaC被膜3の下層に到達しても、柱状又は繊維柱状結晶組織と異なり微粒子状結晶組織のTaC被膜3内の抜け出しは非常に困難となる。また、高温でTaC被膜にピンホール及びクラックが生じるまでの時間を非常に長く延ばすことができる。
また、本発明に係る黒鉛基材2の場合は、上記不純物そのものが当初から極めて少なく、特有の細孔構造を有するため、拡散するガスも非常に少ない。従って、そのような黒鉛基材2上に被覆したTaC被膜3は、黒鉛基材2との密着性が良く、しかも高温で黒鉛基材2から放出されるガスが少ないため、TaC被膜3の劣化やピンホール及びクラックが生じにくくなっている。さらに、TaC被膜3と黒鉛基材2との熱膨張係数差は相対的に±2.0×10-6/K以内に抑えられており、熱膨張係数差に起因したTaC被膜3自体の黒鉛基材2からの剥離は回避することができる。従って、従来品のようにピンホール及びクラックの促進に起因した剥離という現象も生じないため、この点も一層の相乗効果を生み、上記ピンホール及びクラックが無い、TaC被膜と黒鉛基材の密着性が良い状態となっている。
結局、本発明の複合材料1の場合は、ピンホール及びクラックが生じるまではTaCの本来有する好ましい特長がそのまま生かされることになる。即ち、高耐熱性及び高温還元性ガスに対する化学的安定性(例えば、アンモニアガスの場合1500℃でも安定し、水素ガスの場合2000℃でも安定した性質)を有効に発揮して、複合材料1の寿命を従来品よりも大きく延ばすことができる。
また、TaC被膜3は、その厚みが5〜100μm、望ましくは10〜90μmとなるように形成しておくことが望ましい。TaC被膜3を黒鉛基材2の表面に支承なく形成するためには、少なくとも5μmは必要となる一方、100μmを超えると、TaC被膜3と黒鉛基材2との剥離が生じやすくなるからである。TaC被膜3の厚みをこのように最適な範囲に設定することにより、還元性ガス反応抑制効果を十分に発揮させつつも、必要以上の被膜形成に要するコストの無駄を省き、製品コストの上昇を防止することができる。
次に、本発明の製造方法の一例を図2及び図3を参照しつつ説明する。まず、黒鉛基材2を洗浄部4へ導入して、有機溶剤で表面を清浄にする。清浄化した黒鉛基材2をAIP工程に導き該工程内で黒鉛基材2の表面にTaCを被覆する。AIP工程は通常図3に示すようなAIP装置を使用して図2の一点鎖線枠内に示すような手順(真空引き→加熱→下地処理→コーティング→冷却)で行う。即ち、清浄化した黒鉛基材2をチャンバ5内の回転テーブル6に1個又は複数個載置した後、チャンバ5内を10-5Torr程度まで真空引きし、次いでチャンバ5内を400〜600℃程度に加熱する。
次に、供給口7からArガスをチャンバ5内に導入し、−600Vのバイアス電源8を負荷させながらArスパッタリングによるドライエッチングを行う。いわゆる下地処理である。この後、コーティング操作に入り、ターゲット材(金属Ta)10に通電するアーク電源11及びバイアス電源8をそれぞれ所定の電流及び電圧に設定すると共に、供給口7からCH4 ガス等の反応ガスを所定の流量で供給し、ターゲット材10から飛び出したTa微粒子を反応ガス粒子と共に黒鉛基材2の表面にTaC微粒子として付着させる。このコーティング操作を所定時間保持することにより、黒鉛基材2の表面にTaC微粒子が緻密かつ均質に積層した結晶組織のTaC被膜を5〜100μmの範囲で必要な厚みだけ自在に形成することができる。
コーティング操作が終了すれば、チャンバ5内を所定温度まで冷却した後、製品としてのTaC被膜黒鉛材料をチャンバ5から取り出す。
(実施例1)
図4に示す円筒型スリット型(φ100mm×t5mm)の形状寸法からなる黒鉛製ヒーターであって、表1に示す特性値を有する高純度等方性黒鉛の実施例1(基材No.1〜4)及び参考例1(基材No.1、2)に対してAIP処理を行い、黒鉛製ヒーターの表面にTaC被膜を形成した。TaC被膜の組成比(Ta/C)=1とし、膜厚の変更は蒸着時間を調整することにより行った。AIP条件は、次の通りである。
(1)ターゲット材:金属Ta
(2)反応ガス :CH
(3)熱処理温度 :400〜600℃
(4)ベース圧力 :1×10−5Torr
(5)蒸着圧力 :20mTorr
(6)蒸着電流 :200A
(7)蒸着電圧 :43V
(8)バイアス電圧:−20V
(9)蒸着時間 :25分(5μm)〜500分(100μm)
得られたTaC被膜の嵩密度は14.30g/cm以上であった。
上記のAIP処理によって得られた製品としてのアンモニア雰囲気炉用ヒーターをそれぞれ使用して、1200℃のアンモニア雰囲気下にある半導体薄膜成膜炉での成膜実験を順次、繰り返して行った。断線した時点をもってヒーターの寿命とした。その結果を、表1に併せて示す。
(比較例1)
実施例1(基材No.1〜4)及び参考例1(基材No.1、2)と同一の形状寸法及び特性からなるそれぞれの黒鉛製ヒーターに対してCVD処理を行い、ヒーターの表面にSiC被膜を20μmの厚みで形成した。得られた従来型製品としてのアンモニア雰囲気炉用ヒーターを使用して、実施例1と同様にして同一条件下にある半導体薄膜の成膜炉でのGaN成膜実験を繰り返し行い、断線した時点をもってヒーターの寿命とした。結果は、表1に併せて示す。表1からも明らかなように、従来型ヒーターの場合はすべて50回の繰り返し使用で(延べ時間にして150時間の使用で)断線したのに対し、本発明に係るヒーターの場合は、500回繰り返し使用しても(延べ時間にして1500時間使用しても)、断線は起こらなかった。
なお、熱処理(成膜実験)後における実施例(基材No.1)及び(基材No.2)のそれぞれのTaC被膜について、走査型電子顕微鏡で観察した結果が図6(a)、(b)に示すSEM写真である。このSEM写真からも、黒鉛基材の特性が本発明の要件を満たす実施例(基材No.1)場合は、クラックの発生が認められず(図6(a))、要件を外れる参考例(基材No.2)は、クラックが進行している様子が分かる(図6(b))。
次に、実施例(基材No.1)と同一の黒鉛基材に対してAIP処理を行い、黒鉛製ヒーターの表面に表2に示すように膜厚を5〜100μmまで種々変えてTaC被膜を形成した。それぞれのヒーターを使用して、実施例1と同様に1200℃のアンモニア雰囲気下にある半導体薄膜成膜炉での成膜実験を順次、繰り返して行った。断線した時点をもってヒーターの寿命とした。その結果を、表2に併せて示す。
(比較例2)
実施例1(基材No.1)と同一の形状寸法及び特性からなる黒鉛製ヒーターに対してCVD処理を行い、ヒーターの表面にSiC被膜を100μmの厚みで形成した。得られた従来型製品としてのアンモニア雰囲気炉用ヒーターを使用して、実施例1(基材No.1)と同様にして同一条件下にある半導体薄膜成膜炉でのGaN成膜実験を繰り返し行い、断線した時点をもってヒーターの寿命とした。結果は、表2に併せて示す。表2からも明らかなように、従来型ヒーターの場合は50回の繰り返し使用で(延べ時間にして150時間の使用で)断線したのに対し、本発明に係るヒーターの場合は、すべて500回繰り返し使用しても(延べ時間にして1500時間使用しても)、断線は起こらなかった。
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態や実施例に限定されるものではない。
本発明に係る還元性雰囲気炉用炭素複合材料を示す断面模式図である。 本発明の製造方法の一例を示す工程図である。 AIP処理を実施するためのAIP装置を示す原理説明図である。 半導体薄膜の成膜炉用ヒーターの概略斜視図である。 CVD法で成膜したTaC被膜の結晶組織を示す要部断面模式図であり、(a)は結晶組織が繊維柱状のもの、(b)は柱状のものを示す図である。 熱処理(GaN成膜実験)後における実施例1(基材No.1)及び参考例1(基材No.1)のそれぞれのTaC被膜についてのSEM写真であり、(a)は実施例1(基材No.1)のもの、(b)は参考例1(基材No.1)のものである。
符号の説明
1 本発明複合材料
2 黒鉛基材
3 TaC被膜
4 洗浄部
5 チャンバ
6 回転テーブル
7 供給口
8 バイアス電源
9 排気口
10 ターゲット材(金属Ta)
11 アーク電源
12 陽極

Claims (5)

  1. タンタル微粒子を、炭素を含む反応性ガス粒子と共に、黒鉛基材の表面に付着させることによって、前記表面に炭化タンタル微粒子を緻密に積層してなる結晶組織の炭化タンタルの被膜が形成され、かつ該黒鉛基材の特性値として熱膨張係数が、前記炭化タンタル被膜の熱膨張係数±2.0×10−6/Kの範囲内であることを特徴とする還元性雰囲気炉用炭素複合材料。
  2. 前記炭化タンタルの被膜の膜厚が5〜100μmである請求項1記載の還元性雰囲気炉用炭素複合材料。
  3. 前記還元性雰囲気炉がアンモニア雰囲気炉である請求項1又は請求項2に記載の還元性雰囲気炉用炭素複合材料。
  4. 上記炭素複合材料が成膜炉用ヒーターである請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の還元性雰囲気炉用炭素複合材料。
  5. ターゲット材としての金属タンタル及び炭素を含む反応ガスを使用して、400〜600℃の雰囲気下でアークイオンプレーティング(AIP)式反応性蒸着法により前記金属タンタルの微粒子を前記反応ガスの粒子と共に黒鉛基材の表面に付着させて、前記表面に炭化タンタル微粒子を緻密に積層してなる炭化タンタルの被膜を形成する工程を有しており、前記黒鉛基材の特性値としての熱膨張係数が、前記炭化タンタル被膜の熱膨張係数±1.5×10−6/Kの範囲内であることを特徴とする還元性雰囲気炉用炭素複合材料の製造方法。
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