JP2007307771A - 積層フィルム及び積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒素原子で表面処理を行った第1の樹脂フィルムの処理面上に、酸素原子および/または窒素原子で表面処理を行った第2の樹脂フィルムの処理面を、接着剤層を介すことなく圧着した積層構造を有する積層フィルムであって、前記積層構造は、積層界面に水を接触させて、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が2.0N/15mm以上であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、プラスチック基材の少なくとも一面にコロナ処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射、紫外線照射などにより表面を酸化処理するとともに、溶融押出したフィルムの少なくとも一面にオゾン処理したのち、両者を接触させ圧着する押出ラミネート方法が記載されている。
特許文献2には、プラスチック基材の少なくとも一面に、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、窒素等の不活性気体の雰囲気で電子線照射処理、低圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理またはコロナ放電処理により表面処理するとともに、溶融押出したフィルムの少なくとも一面にオゾン処理したのち、両者を接触させ圧着する押出ラミネート方法が記載されている。
特許文献4には、窒素ガス(酸素濃度が3vol%以下)、炭酸ガスあるいは窒素/炭酸ガスの混合ガス雰囲気でのコロナ放電処理により、ESCA法による基材フィルムの表面の窒素と炭素の原子数比(N/C)が0.001〜0.1の範囲である被処理面を生成し、該被処理面に、水/低級アルコール混合溶液や水を溶媒とし、水溶性高分子及び無機系層状化合物を主たる構成成分とする塗剤を塗布し、乾燥して塗膜を形成するガスバリアフィルムの製造方法が記載されている。
したがって、樹脂フィルム同士の積層において積層界面の接着強度を向上させることについて、解決手段が示されているわけではない。
前記積層構造は、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が3.0N/15mm以上であることが好ましい。
第1の樹脂フィルムを構成する樹脂が、第2の樹脂フィルムを構成する樹脂より高いガラス転移温度を有することが好ましい。
第1の樹脂フィルムがポリエステルまたはポリアミドで、第2の樹脂フィルムがポリオレフィンからなることが好ましい。
前記第1処理工程における前記窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が容量比2%以下であることが好ましい。
前記第1処理工程における前記窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が容量比50ppm以下であることが好ましい。
なお、1gf/inch=9.8mN/25.4mm=5.79mN/15mmである。
まず、第1の樹脂フィルムの表面に、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気で放電処理を行うことにより、該樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、アミノ基(−NH2)等の窒素官能基が生成する。また、前記第1の樹脂フィルムと積層される第2の樹脂フィルムの表面に、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法で表面処理を行うことにより、第2の樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸化官能基もしくはアミノ基(−NH2)等の窒素官能基が生成する。
そして、これらの表面処理を施した樹脂フィルム同士を重ね合わせて熱圧着することにより、両者の表面の官能基同士が結合して、アミド基(−NHCO−)などの化学結合が生成し、これらの化学結合を介して、第1の樹脂フィルム側の高分子鎖と第2の樹脂フィルム側の高分子鎖とが強固に結合されると推定される。あるいは、表面処理によって第1および/または第2のフィルムを構成する樹脂の高分子鎖の切断を伴い低分子化合物が生成し、これらが接着作用に寄与しているものと推定される。
本発明で用いる樹脂フィルムは、特に限定されず、積層フィルムの用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の積層フィルムが包装材料用であれば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート(PET)などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)やポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂からなるフィルムが好ましい。また、本発明の積層フィルムが電子材料や電気材料用等であれば、ポリイミドやエポキシ樹脂等からなる硬化性の樹脂フィルムも用いることができる。
この積層構造は、例えば、下記の(1)〜(3)の工程を行うことで形成することができる。
(1)第1の樹脂フィルムの表面に、窒素ガスを含み、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気での放電処理により表面処理を行う第1処理工程。
(2)第2の樹脂フィルムの表面に、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法で表面処理を行う第2処理工程。
(3)第1の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた表面に、第2の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面を重ね合わせて熱圧着する積層工程。
以下、これらの形成工程を詳述する。
この工程では、放電処理により窒素原子で第1のフィルムの表面処理を行う。
放電処理は、プラズマ処理でも良いし、コロナ放電処理でも良い。また、プラズマ処理は、低圧(真空)プラズマ処理であっても良いし、大気圧プラズマ処理であっても良い。これらの放電処理の内、この工程においては、コロナ放電処理が好ましい。
つまり、この低分子化合物は、空気雰囲気でのコロナ放電処理時に生成するものより分子量が大きく、この低分子物層の凝集力などの物理的強度も大きくなる。このことから、ポリオレフィンフィルムへ使用することでも接着性向上の効果が得られる。
本発明においては、異なる2種類の樹脂フィルムを熱圧着する場合、使用するTg(ガラス転移温度)の高い方の樹脂フィルムに対して、この窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理を行うことで、低分子化合物層の脆弱化をほとんど誘発することなく接着に有利となるアミノ基(−NH2)等の窒素官能基を効率的に導入できる。
通常の大気圧プラズマ処理は、雰囲気ガスとしてヘリウム、アルゴンなどの希ガスを用いることで安定してグロー放電が保持されるという特徴を有しており、厳密には大気圧グロー放電と言われることもある。
第1処理工程においては、窒素ガス雰囲気の大気圧プラズマ処理も使用できる。この場合には、安定したグロー放電のために希ガスが混入されても良い。そして、希ガスの比率は、半分を超えることもできる。
この工程では、酸素原子および/または窒素原子で第2のフィルムの表面処理を行う。具体的には、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法で表面処理を行う。
これらの表面処理は、酸素ガスを含有する雰囲気で行っても良いし、第1処理工程と同様に、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気でプラズマ処理やコロナ放電処理を行っても良い。また、プラズマ処理は、低圧(真空)プラズマ処理であっても良いし、大気圧プラズマ処理であっても良い。
また、UV/オゾン処理の効果は、樹脂の化学組成により異なるが、オゾンが分解して発生する活性酸素が表面改質に寄与し、該樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸素官能基が主として形成し、活性酸素原子がメインで作用するためにアミノ基(−NH2)等の窒素官能基は、ほとんど生成しない。
この工程は、第1の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた表面に、第2の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面を重ね合わせて熱圧着する、いわゆる、熱ラミネートや押出ラミネートの工程である。
熱ラミネートは、2枚の樹脂フィルムを重ね合わせた状態で加熱して熱圧着することによりラミネートする。熱圧着する条件は、目標とする接着強度が得られる条件を適宜選定すればよい。接着強度は、熱圧着温度、時間、圧力を上げることで向上し、例えば、ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの組合せにおいても、6N/15mm程度にすることが可能である。これは放電処理で生成した低分子化合物が適度に拡散することによると考えられる。しかし、温度や圧力、時間を上げすぎるとポリエチレンの厚みが変化してしまうこと、ポリエステルフィルムの熱収縮、加工速度が遅くなる、装置が大掛かりになるなどの問題が発生するため、適度な条件を選定することが好ましい。
第1の樹脂フィルムに対する表面処理は、押出ラミネートの前段階で行う。Tダイによって製造される第2の樹脂フィルムに表面処理を行うには、Tダイの下方にコロナ放電やオゾン処理などの処理装置を設置し、第1の樹脂フィルムに接触する前段階で、第2の樹脂フィルムの第2の樹脂フィルムに接触する側の面に対して表面処理を行えば良い。
押出ラミネートは通常、包装材料のシーラント層の形成に多用される。したがって、第2の樹脂フィルムを構成する樹脂は、ポリオレフィンやヒートシーラブルPETであることが好ましい。一方、包装材料においては、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムが多用されるので、これらの樹脂フィルムを第1の樹脂フィルムとすることが好ましい。
一方、Tgの低い方の樹脂からなる樹脂フィルムに対して酸素ガスを含む雰囲気でのコロナ放電処理を行うこと、即ち、第2処理工程を行うことで、接着に有利となるカルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸素官能基を効率的に導入できる。
この2種類の樹脂フィルムを熱圧着することで、アミド結合が生成して、乾燥時はもとより、水分に対しても強固な接着強度を有する積層構造が実現する。
この理由は、定かではないが、おおよそ次のように推定される。
即ち、熱圧着時の熱により、第2処理工程において生成した酸素原子を含む低分子化合物の層表面から極浅い内部にかけて軟化ないしは溶融が起きると考えられる。低分子化合物の分子量は、小さいものから大きなものまで幅広く分布しており、分子量の小さいものほど、表面近くに存在しているものと推定される。この軟化や溶融によって、低分子化合物の内、分子量の小さいものから流動が始まり、表層内部への移動が起こる。その結果、比較的分子量の大きいものが表面に露出することになる。一方、第1の樹脂フィルムの樹脂は第2の樹脂フィルムの樹脂よりTgが同等ないしは高いので、表面処理により荒れて微細な凹凸を有する第1フィルムの表層の軟化度合いは、第2の樹脂フィルムより同等ないしは小さい。この状態で両樹脂フィルムを圧着すると、第2の樹脂フィルムの低分子物層が第1の樹脂フィルムの表層の微細な凹凸に追従して、投錨効果が生まれる。そして、第2の樹脂フィルムの比較的分子量の大きい低分子化合物が有する酸素官能基と第1の樹脂フィルムが有する窒素官能基が結合して、アミド結合が生成し、高い接着強度が発現する。
なお、本発明においては、第2処理工程において、第1処理工程と同様に、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気下の放電により表面処理を行った場合にも高い接着強度が得られるが、この場合は、次のように推定される。
上述した投錨効果と併せて、第1の樹脂フィルムの表面と第2の樹脂フィルムの表面には、共に、窒素官能基を有する低分子化合物層が形成されており、これらは、相溶性がよいので、容易に拡散混合が起きる。この拡散混合により、互いの分子鎖が絡み合うことで高い接着強度が得られる。
逆に、この様な分子鎖の絡み合いによる接着強度の向上は、第1および第2の樹脂フィルムの表面処理が共に酸素原子によるものである場合でも起こるものと推定される。しかし、この場合は拡散混合によって生成する分子鎖の絡み合いがあっても、酸素原子による表面処理で生成する低分子化合物の分子量が低いために、絡み合いがほどけやすいと考えられる。また、接着強度はある程度高く出来ても、接着界面が親水性を帯びやすく、水分に対する耐性が低くなるものと推定される。
本発明の積層フィルムの製造方法では、2枚の樹脂フィルムの積層される側の面に対して所定の表面処理を施したのち熱圧着することにより、接着剤層やアンカーコート層を用いて積層したときと同等もしくは高い接着強度を有する。しかもこの接着層は、水分と接触しても高い接着強度を保持することができる。
このため、水分を含有する内容物を包装する場合に、ヒートシール層を透過して接着界面に水分が到達しても高い接着強度を保持することができる。また、殺菌処理が施される内容物の場合に、熱水や水蒸気によるボイル殺菌、レトルト殺菌の工程を経ることにより、表層の樹脂フィルムを介して、あるいは積層フィルムの端面から、経時的に水分が侵入しても高い接着強度を保持することができる。よって、水分を含有する内容物の包装やボイル殺菌、レトルト殺菌等の殺菌処理が施される内容物の包装に好適である。この種の内容物としては、例えば、食品、飲料、医薬品等が挙げられる。
(実施例1)
第1のフィルムとして12μmのポリエステルフィルムと、第2のフィルムとして40μmのポリオレフィンフィルムを用いて、積層フィルムを作成した。
ポリエステルフィルムには、三菱化学ポリエステルフィルム製二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである、商品名:ダイアホイルT100を使用した。このフィルムを構成する樹脂のTgは、およそ70℃であった。
ポリオレフィンフィルムとしては、ポリエチレンフィルムを用いた。ポリエチレンフィルムには、タマポリ製未延伸直鎖状低密度ポリエチレンフィルムである、商品名:SK615Pを用いた。このフィルムを構成する樹脂のTgは、およそ−125℃であった。
第1処理工程として、ポリエステルフィルムに対して自社製のバッチ式コロナ放電処理装置を用い、窒素ガスで充満し酸素濃度を20ppmに保持した窒素ガス雰囲気下でコロナ放電処理を実施した。
第2処理工程として、ポリエチレンフィルムに対してソフタル社製卓上コロナ処理、Type3003にて空気雰囲気でのコロナ放電処理を実施した。
それらをヒートシーラーで180℃×20秒、0.4MPaで熱圧着し、積層フィルムを作成した。
その積層したフィルムの接着強度を測定するため、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に定められた測定方法で測定した結果、90度剥離で速度5mm/minで剥離させたときの接着強度(「乾燥時の接着強度」という場合がある。)は、3.76N/15mm(650g/inch)であった。
また、水を接触させた時の接着強度を測定するため、ローラ式剥離装置を用いてJISK 6854−1に規定された接着強度の測定中に、積層フィルムの積層界面が剥離する最前線にスポイトで全幅にわたって水を付着した。水を表面張力および重力により、剥離最前線の進行に追従させることで、常に水を接触させつつ剥離した。積層したフィルムの剥離面に水を接触させつつ剥離した時の接着強度(「水接触時の接着強度」という場合がある。)の測定結果は、2.72N/15mm(470g/inch)であった。
積層フィルムの剥離面をフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)で測定すると、ポリエステルフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっており、このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
第2処理工程を実施例1の窒素ガス雰囲気下のコロナ放電処理としたこと以外は、実施例1と同様に表面改質の処理を行い、実施例1と同様に熱圧着して積層フィルムを作成し、乾燥時の接着強度および水接触時の接着強度の測定を行った。
乾燥時の接着強度は3.88N/15mm(670g/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、2.55N/15mm(440g/inch)であった。
積層フィルムの剥離面をFT−IRで測定すると、ポリエステルフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっており、このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
第1処理工程の酸素濃度を50ppmとしたこと、および、第2処理工程をUV/オゾン処理としたこと以外は、実施例1と同様に表面改質の処理を行い、実施例1と同様に熱圧着して積層フィルムを作成し、乾燥時の接着強度および水接触時の接着強度の測定を行った。
UV/オゾン処理は、セン特殊光源株式会社製の型式がPL−2002N−18のUV/オゾン処理装置を用いて、5分間処理を行った。
乾燥時の接着強度は、3.18N/15mm(550g/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、2.60N/15mm(450g/inch)であった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリエステルフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっており、このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
第1のフィルムとして15μmの二軸延伸ナイロン(PA)フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様に表面改質の処理を行い、実施例1と同様に熱圧着して積層フィルムを作成し、積層フィルムの接着強度および水を接触させた時の接着強度の測定を行った。
ナイロンフィルムは、株式会社興人の商品名:ボニールRXを用いた。このフィルムを構成する樹脂のTgは、およそ50℃であった。
乾燥時の接着強度は、15.63N/15mm(2700gf/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、4.86N/15mm(840gf/inch)であった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリアミドフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっていた。このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
第1処理工程の酸素濃度を2%としたこと以外は、実施例1と同様に熱圧着および測定を行った。
乾燥時の接着強度は、3.59N/15mm(620g/inch)であった。また、水接触の接着強度は、2.20N/15mm(380g/inch)であった。
剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリアミドフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっており、このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
第1処理工程を空気雰囲気下のコロナ放電処理としたこと以外は、実施例1と同様に熱圧着および測定を行った。
乾燥時の接着強度は、3.76N/15mm(650gf/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、0.58N/15mm(100gf/inch)であった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリエチレンフィルム側にポリエステルフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっていた。このことから剥離面はポリエステルフィルムの凝集破壊であり、空気雰囲気でのコロナ処理によって生じた脆弱層での剥離ではないかと推察された。
第1処理工程を空気雰囲気下のコロナ処理としたこと以外は、実施例3と同様に熱圧着および測定を行った。
乾燥時の接着強度は、0.58N/15mm(100gf/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、0.58N/15mm(100gf/inch)であった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリエチレンフィルム側にポリエステルフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっていた。このことから剥離面はポリエステルフィルムの凝集破壊であり、空気雰囲気でのコロナ処理によって生じた脆弱層での剥離ではないかと推定された。
第1処理工程をヘリウムガスのみを用いた大気圧プラズマ処理としたこと以外は、実施例1と同様に熱圧着および測定を行った。
なお、大気圧プラズマ処理装置は、「平行平板型大気圧プラズマ処理装置」を用いて、ヘリウムガスを用い、流量10L/min、出力100Wで電極間にフィルムをセットし、5秒間放電処理を行なった。
乾燥時の接着強度は、2.61N/15mm(450gf/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、1.62N/15mm(280gf/inch)でった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリエチレンフィルム側にポリエステルフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっていた。このことからポリエステルフィルムの凝集破壊であると推察された。
Claims (7)
- 窒素原子で表面処理を行った第1の樹脂フィルムの処理面上に、酸素原子および/または窒素原子で表面処理を行った第2の樹脂フィルムの処理面を、接着剤層を介すことなく圧着した積層構造を有する積層フィルムであって、
前記積層構造は、積層界面に水を接触させて、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が2.0N/15mm以上であることを特徴とする積層フィルム。 - 前記積層構造は、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が3.0N/15mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 第1の樹脂フィルムを構成する樹脂が、第2の樹脂フィルムを構成する樹脂より高いガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 第1の樹脂フィルムがポリエステルまたはポリアミドで、第2の樹脂フィルムがポリオレフィンからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法であって、
第1の樹脂フィルムの表面に、窒素ガスを含み、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気下の放電により表面処理を行う第1処理工程と、
第2の樹脂フィルムの表面に、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法により表面処理を行う第2処理工程と、
第1の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面に、第2の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面を重ね合わせて熱圧着する積層工程と
を含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。 - 前記第1処理工程における前記窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が容量比2%以下であることを特徴とする請求項5に記載の積層フィルムの製造方法。
- 前記第1処理工程における前記窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が容量比50ppm以下であることを特徴とする請求項5に記載の積層フィルムの製造方法。
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