JP2007307771A - 積層フィルム及び積層フィルムの製造方法 - Google Patents

積層フィルム及び積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接着剤層やアンカーコート層を用いないで熱圧着により積層フィルムを製造しても、高い接着強度を有し、接着層が水分と接触しても高い接着強度を保持する。
【解決手段】窒素原子で表面処理を行った第1の樹脂フィルムの処理面上に、酸素原子および/または窒素原子で表面処理を行った第2の樹脂フィルムの処理面を、接着剤層を介すことなく圧着した積層構造を有する積層フィルムであって、前記積層構造は、積層界面に水を接触させて、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が2.0N/15mm以上であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂フィルム同士を積層した積層構造を有する積層フィルム、例えば、包装材料等に用いられる積層フィルムおよびその製造方法に関する。より詳細には、接着剤層やアンカーコート層を用いることなく、一の樹脂フィルムと他の樹脂フィルムを圧着した積層構造を有する積層フィルム及びその製造方法に関する。
食品、飲料、医薬品などの包装に使用される包装容器および袋体(以下、「包装容器」と総称する。)の分野では、2種類以上の樹脂フィルムを組み合わせて積層し、包装する内容物の性質、包装された包装体の使用方法等に応じて必要な機能を有する積層フィルムが使用される。そのような積層フィルムとしては、例えば、内容物を充填した後、包装容器の充填口をヒートシールして密封するために、シール面となる包装容器の内面にシール性に優れたポリエチレン等のポリオレフィン樹脂層がシーラント層として使用される。そして、積層フィルムには、強度を補強したり、他の機能を付与したりするためにポリエステル、ナイロンやポリプロピレン等の樹脂フィルムが積層される。このため、前もってポリエチレン樹脂と、例えば、ポリエステルフィルムを積層した積層フィルムを準備し、最終的な包装容器に成型することが行なわれている。
ところで、ポリエチレン樹脂と、他の樹脂フィルムとを圧着させて積層する場合、接着剤層やアンカーコート層を用いないと接着強度が不足することがある。ところが、アンカーコート層や接着剤層を用いる場合、それらの形成に際し溶剤を蒸発、乾燥させることにより発生するVOC(揮発性有機化合物)が大気中に散逸することが問題となっている。また、接着剤層を用いる場合は、ドライラミネート後に数日程度のエージング期間を必要とし、生産効率の問題もある。さらには、内容物、例えば、輸液等の医療用液体においては、アンカーコート層や接着剤層に残留する溶剤やアンカーコート剤や接着剤に起因する低分子成分が相互作用を引き起こすことがある。また、食品等においても臭気が問題となる場合もある。このため、アンカーコート層や接着剤層を用いないで、高い接着強度を有する積層フィルムを製造することが求められている。
このような要望に対して、接着強度を増加させるための処理を行い、アンカーコート層や接着剤層を用いないで積層フィルムを製造することに関して、様々な提案がなされている(例えば特許文献1〜4を参照)。
特許文献1には、プラスチック基材の少なくとも一面にコロナ処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射、紫外線照射などにより表面を酸化処理するとともに、溶融押出したフィルムの少なくとも一面にオゾン処理したのち、両者を接触させ圧着する押出ラミネート方法が記載されている。
特許文献2には、プラスチック基材の少なくとも一面に、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、窒素等の不活性気体の雰囲気で電子線照射処理、低圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理またはコロナ放電処理により表面処理するとともに、溶融押出したフィルムの少なくとも一面にオゾン処理したのち、両者を接触させ圧着する押出ラミネート方法が記載されている。
特許文献3には、合成樹脂の表面を活性化し、印刷インキや金属蒸着膜に対する接着性を向上するため、実質的に窒素と二酸化炭素とからなる混合気体雰囲気(望ましくは酸素濃度が0.1vol%以下)中でコロナ放電処理することを特徴とする合成樹脂の表面処理方法が記載されている。
特許文献4には、窒素ガス(酸素濃度が3vol%以下)、炭酸ガスあるいは窒素/炭酸ガスの混合ガス雰囲気でのコロナ放電処理により、ESCA法による基材フィルムの表面の窒素と炭素の原子数比(N/C)が0.001〜0.1の範囲である被処理面を生成し、該被処理面に、水/低級アルコール混合溶液や水を溶媒とし、水溶性高分子及び無機系層状化合物を主たる構成成分とする塗剤を塗布し、乾燥して塗膜を形成するガスバリアフィルムの製造方法が記載されている。
特開平7−314629号公報 特開平9−234845号公報 特公昭57−30854号公報 特開平9−111017号公報
しかし、特許文献1、2に提案された方法において、公知の空気雰囲気でのコロナ処理とUV/オゾン処理とを組み合わせて処理を行うだけでは、接着強度が不充分な場合がある。さらに、これらに提案された方法による積層シートは、接着界面が水分に接触すると大幅に接着強度が低下するという問題がある。包装材料の分野においては、この問題は深刻であり、水分を含有する内容物の包装やボイル殺菌、レトルト殺菌等の殺菌処理が施される内容物の包装には適さないことを意味する。水分を含有する内容物を包装する場合、シーラント層を透過して接着界面に水分が到達するので接着界面の接着強度が低下する。また、殺菌処理が施される内容物の場合は、熱水や水蒸気によるボイル殺菌、レトルト殺菌の工程を経ることにより、表層の樹脂フィルムを介して、あるいは端面から、水分が侵入して接着界面の接着強度が低下するからである。
特許文献3、4には、窒素雰囲気でのコロナ放電処理により、合成樹脂の表面を改質して接着性を向上する方法が記載されている。しかしながら、これらの特許文献には、樹脂フィルム同士の積層については記載されていない。記載されている接着対象物は、樹脂フィルムとは無縁のニトロセルロース系印刷インキや金属蒸着膜、水溶性高分子及び層状粘土化合物である。
したがって、樹脂フィルム同士の積層において積層界面の接着強度を向上させることについて、解決手段が示されているわけではない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、接着剤層やアンカーコート層(以下、これらを「接着剤層」と総称する。)を用いないで熱圧着により積層しても、高い接着強度を有し、接着界面が水分に接触しても高い接着強度を保持する積層構造を有する積層フィルムやシート(以下、これらを「フィルム」と総称する。)およびその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、窒素原子で表面処理を行った第1の樹脂フィルムの処理面上に、酸素原子および/または窒素原子で表面処理を行った第2の樹脂フィルムの処理面を、接着剤層を介すことなく圧着した積層構造を有する積層フィルムであって、前記積層構造は、積層界面に水を接触させて、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が2.0N/15mm以上であることを特徴とする積層フィルムを提供する。
前記積層構造は、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が3.0N/15mm以上であることが好ましい。
第1の樹脂フィルムを構成する樹脂が、第2の樹脂フィルムを構成する樹脂より高いガラス転移温度を有することが好ましい。
第1の樹脂フィルムがポリエステルまたはポリアミドで、第2の樹脂フィルムがポリオレフィンからなることが好ましい。
また、本発明は、上述の積層フィルムの製造方法であって、第1の樹脂フィルムの表面に、窒素ガスを含み、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気下の放電により表面処理を行う第1処理工程と、第2の樹脂フィルムの表面に、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法により表面処理を行う第2処理工程と、第1の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面に、第2の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面を重ね合わせて熱圧着する積層工程とを含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法を提供する。
前記第1処理工程における前記窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が容量比2%以下であることが好ましい。
前記第1処理工程における前記窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が容量比50ppm以下であることが好ましい。
なお、1gf/inch=9.8mN/25.4mm=5.79mN/15mmである。
本発明によれば、接着剤層やアンカーコート層を用いないで熱圧着により積層したときに高い接着強度を有する上、接着界面が水分と接触しても高い接着強度を保持できる積層フィルムを製造することができる。このような接着性能は、従来の接着剤やアンカーコート層を用いたラミネートでは得られないものであり、接着界面における水素結合や分子間力に基づく接着機構のみでは説明しにくく、片方を酸素官能基、もう片方を窒素官能基とすることにより、ファンデルワールス力と水素結合だけではなく、クーロン力を利用できるようになるため、さらに接着強度が上がると考えられる。
本発明によって積層フィルムの樹脂層間に高い接着強度が得られる接着機構は明確ではないが、例えば次のような接着機構が考えられる。
まず、第1の樹脂フィルムの表面に、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気で放電処理を行うことにより、該樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、アミノ基(−NH)等の窒素官能基が生成する。また、前記第1の樹脂フィルムと積層される第2の樹脂フィルムの表面に、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法で表面処理を行うことにより、第2の樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸化官能基もしくはアミノ基(−NH)等の窒素官能基が生成する。
そして、これらの表面処理を施した樹脂フィルム同士を重ね合わせて熱圧着することにより、両者の表面の官能基同士が結合して、アミド基(−NHCO−)などの化学結合が生成し、これらの化学結合を介して、第1の樹脂フィルム側の高分子鎖と第2の樹脂フィルム側の高分子鎖とが強固に結合されると推定される。あるいは、表面処理によって第1および/または第2のフィルムを構成する樹脂の高分子鎖の切断を伴い低分子化合物が生成し、これらが接着作用に寄与しているものと推定される。
以下、最良の形態に基づき、本発明を説明する。
本発明で用いる樹脂フィルムは、特に限定されず、積層フィルムの用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の積層フィルムが包装材料用であれば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート(PET)などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)やポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂からなるフィルムが好ましい。また、本発明の積層フィルムが電子材料や電気材料用等であれば、ポリイミドやエポキシ樹脂等からなる硬化性の樹脂フィルムも用いることができる。
本発明の積層フィルムに用いる積層構造は、窒素原子で表面処理を行った第1の樹脂フィルムの処理面上に、酸素原子および/または窒素原子で表面処理を行った第2の樹脂フィルムの処理面を、接着剤層を介すことなく圧着した積層構造である。
この積層構造は、例えば、下記の(1)〜(3)の工程を行うことで形成することができる。
(1)第1の樹脂フィルムの表面に、窒素ガスを含み、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気での放電処理により表面処理を行う第1処理工程。
(2)第2の樹脂フィルムの表面に、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法で表面処理を行う第2処理工程。
(3)第1の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた表面に、第2の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面を重ね合わせて熱圧着する積層工程。
以下、これらの形成工程を詳述する。
(第1処理工程)
この工程では、放電処理により窒素原子で第1のフィルムの表面処理を行う。
放電処理は、プラズマ処理でも良いし、コロナ放電処理でも良い。また、プラズマ処理は、低圧(真空)プラズマ処理であっても良いし、大気圧プラズマ処理であっても良い。これらの放電処理の内、この工程においては、コロナ放電処理が好ましい。
コロナ放電処理は、古くからポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性ポリオレフィン樹脂フィルムをはじめ各種の樹脂フィルムの接着性を向上させるため用いられてきた。特にポリオレフィンフィルムは、表面層に極性基を持たないので、インキの印刷性、接着剤など他の樹脂との接着性が低い。このため、インキの印刷性、接着剤など他の樹脂との接着性を高めるために、空気中でのコロナ放電処理による樹脂フィルム表面の改質が行われてきたのである。コロナ放電処理は、高周波電圧を用いて大気中にコロナ放電を発生させ、それに伴って発生する電子を樹脂フィルムの表面に照射し、樹脂フィルムの表面に酸素原子による官能基を付加することによって樹脂フィルムの表面改質を行うものである。
通常の空気雰囲気下で行なわれるコロナ放電表面処理では、活性酸素原子(酸素ラジカル)が発生するため、空気中においては酸素ガスの方が窒素ガスに比べて遙かに含有率が小さいにも関わらずコロナ放電処理した樹脂フィルムの表面が酸素原子で表面処理される。即ち、樹脂フィルムの表面が酸化され、樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸素官能基が主として形成される。そして、これらの官能基が接着性能に寄与すると考えられる。ところが、この活性酸素原子は、官能基を生成する際に高分子を切断して低分子化する作用も強いため、樹脂フィルムの表面において、酸素原子を含む低分子化合物が極めて薄い層状に生成する。この低分子化合物層は分子量が比較的小さいと考えられ、凝集力などの物理的強度が小さいと考えられる。
これに対して、第1処理工程で好適に用いる実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理は、樹脂フィルム表面の高分子の主鎖や側鎖に、窒素原子によるアミノ基(−NH)等の窒素官能基が主として生成すると考えられる。さらに、この窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理は、通常の空気雰囲気でのコロナ放電処理と異なり窒素ガス中で放電が起こっているために活性酸素原子の発生量が少なく、かつ、活性窒素原子が官能基を生成する際に高分子を切断して低分子化する作用も弱いため、空気雰囲気でのコロナ放電処理を行った場合に発生する低分子化合物の発生が抑えられる。
つまり、この低分子化合物は、空気雰囲気でのコロナ放電処理時に生成するものより分子量が大きく、この低分子物層の凝集力などの物理的強度も大きくなる。このことから、ポリオレフィンフィルムへ使用することでも接着性向上の効果が得られる。
本発明においては、異なる2種類の樹脂フィルムを熱圧着する場合、使用するTg(ガラス転移温度)の高い方の樹脂フィルムに対して、この窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理を行うことで、低分子化合物層の脆弱化をほとんど誘発することなく接着に有利となるアミノ基(−NH)等の窒素官能基を効率的に導入できる。
窒素官能基を効率的に導入するためには、特許文献3や4に記載されているようにコロナ放電処理を行う処理雰囲気の酸素ガス濃度を下げる必要がある。なお、この特許文献3や4においては意図的にCOをコロナ放電処理の雰囲気ガス中に導入しており、アミノ基ではなくアミド基(−NHCO−)を形成させていることが推定される。プラズマ雰囲気中ではCOがラジカルとなり、COラジカルおよび酸素ラジカルが生成してしまうため、通常の空気雰囲気でのコロナ処理と同様にアミノ基よりアミド基が優先的に生成され、優先的にアミノ基を導入することはできない。
そこで、第1処理工程では、意図的にアミド基よりアミノ基を多く導入することが好ましいため、コロナ放電処理の雰囲気ガス中に酸素ガスを実質的に含まないようにするのである。酸素ガス濃度は、処理する樹脂フィルムや処理条件等にもよるが、2%以下、好ましくは50ppm以下、更に好ましくは20ppm以下に制御する。そして、それと共に、樹脂フィルム以外には酸素原子を供給する材料(例えばCOやNOなど)を放電雰囲気中へ導入しないことが好ましい。また、さらに積極的にアミノ基を導入するためには、酸素原子を吸収する材料(例えばH、NHやCHなど)を放電雰囲気中に添加しても良い。
ところで、従来、真空状態で放電させる低圧プラズマ処理が表面改質に用いられていたが、真空設備を要することから装置が大掛かりとなり操作が煩雑であるという欠点があった。このため、通常、真空状態でしか発生できないグロー放電状態を大気圧下で発生させ、それにより生じる反応ラジカル、電子などを用いて表面改質を行う大気圧プラズマ処理装置が、樹脂フィルムの濡れ性改善・接着性改善に簡便に使用されるようになった。
通常の大気圧プラズマ処理は、雰囲気ガスとしてヘリウム、アルゴンなどの希ガスを用いることで安定してグロー放電が保持されるという特徴を有しており、厳密には大気圧グロー放電と言われることもある。
第1処理工程においては、窒素ガス雰囲気の大気圧プラズマ処理も使用できる。この場合には、安定したグロー放電のために希ガスが混入されても良い。そして、希ガスの比率は、半分を超えることもできる。
(第2処理工程)
この工程では、酸素原子および/または窒素原子で第2のフィルムの表面処理を行う。具体的には、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法で表面処理を行う。
これらの表面処理は、酸素ガスを含有する雰囲気で行っても良いし、第1処理工程と同様に、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気でプラズマ処理やコロナ放電処理を行っても良い。また、プラズマ処理は、低圧(真空)プラズマ処理であっても良いし、大気圧プラズマ処理であっても良い。
酸素ガスを含有する雰囲気でのコロナ放電や大気圧プラズマ処理では、樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸化官能基が主として生成すると考えられる。これらが生成する限り、雰囲気は大気でも良いが、大気圧プラズマ処理では、放電を安定させるためヘリウムやアルゴンなどの希ガスを混入しても良い。また、希ガス以外に窒素系ガス、例えば、N、NOなどを混入し、さらに水素ガス、酸素ガス、炭酸ガスなどを混合することにより、アミノ基、アミド基なども意図的に導入することができる。
オゾン処理は、オゾンを樹脂フィルム表面に吹き付け、オゾンが分解して発生する活性酸素原子による表面処理である。オゾンの発生方法には、制限はないが、UV/オゾン処理が好ましい。UV/オゾン処理は、低圧水銀ランプ、Xeエキシマランプ等の紫外線を発生させる光源が使用され、樹脂表面に照射される光源のエネルギーと、光源の照射で発生するオゾンの相乗効果が得られるからである。240nm以下の波長の紫外光は、酸素を分解してオゾンを発生させ、低圧水銀ランプを使用する場合は、185nm線がオゾンの発生に用いられる。UV/オゾン処理では、樹脂表面の改質と洗浄に効果があるとされているが、照射する光源のエネルギーが樹脂化合物の分子結合エネルギーよりも高い場合は、分子結合が切れて分解反応生成物が生じることも考えられるので、処理する樹脂フィルムによって調整することが好ましい。
また、UV/オゾン処理の効果は、樹脂の化学組成により異なるが、オゾンが分解して発生する活性酸素が表面改質に寄与し、該樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸素官能基が主として形成し、活性酸素原子がメインで作用するためにアミノ基(−NH)等の窒素官能基は、ほとんど生成しない。
(積層工程)
この工程は、第1の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた表面に、第2の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面を重ね合わせて熱圧着する、いわゆる、熱ラミネートや押出ラミネートの工程である。
熱ラミネートは、2枚の樹脂フィルムを重ね合わせた状態で加熱して熱圧着することによりラミネートする。熱圧着する条件は、目標とする接着強度が得られる条件を適宜選定すればよい。接着強度は、熱圧着温度、時間、圧力を上げることで向上し、例えば、ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの組合せにおいても、6N/15mm程度にすることが可能である。これは放電処理で生成した低分子化合物が適度に拡散することによると考えられる。しかし、温度や圧力、時間を上げすぎるとポリエチレンの厚みが変化してしまうこと、ポリエステルフィルムの熱収縮、加工速度が遅くなる、装置が大掛かりになるなどの問題が発生するため、適度な条件を選定することが好ましい。
押出ラミネートは、第2の樹脂フィルムとして熱可塑性樹脂を押出機中で溶融した溶融樹脂をTダイから膜状に押し出した溶融樹脂膜を用いる。押出ラミネートにおいて、Tダイから押し出される熱溶融状態の溶融樹脂膜は、第1の樹脂フィルムに接触し、冷却ロールとピンチロールの2つのロール間で圧着されて積層フィルムとなる。押出ラミネートにおいては、溶融樹脂膜の熱を利用するので別途加熱する必要はない。むしろ、冷却ロールを用いて、溶融樹脂膜が有する過剰の熱を積極的に除去し、積層構造を速やかに固定するのである。
第1の樹脂フィルムに対する表面処理は、押出ラミネートの前段階で行う。Tダイによって製造される第2の樹脂フィルムに表面処理を行うには、Tダイの下方にコロナ放電やオゾン処理などの処理装置を設置し、第1の樹脂フィルムに接触する前段階で、第2の樹脂フィルムの第2の樹脂フィルムに接触する側の面に対して表面処理を行えば良い。
押出ラミネートは通常、包装材料のシーラント層の形成に多用される。したがって、第2の樹脂フィルムを構成する樹脂は、ポリオレフィンやヒートシーラブルPETであることが好ましい。一方、包装材料においては、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムが多用されるので、これらの樹脂フィルムを第1の樹脂フィルムとすることが好ましい。
本発明においては、異なる2種類の樹脂フィルムを熱圧着するに際して、Tgの高い方の樹脂からなる樹脂フィルムに対して実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理を行うこと、即ち、第1処理工程を行うことで、低分子化合物層の脆弱化をほとんど誘発することなく接着に有利となるアミノ基(−NH)等の窒素官能基を効率的に導入できる。
一方、Tgの低い方の樹脂からなる樹脂フィルムに対して酸素ガスを含む雰囲気でのコロナ放電処理を行うこと、即ち、第2処理工程を行うことで、接着に有利となるカルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸素官能基を効率的に導入できる。
この2種類の樹脂フィルムを熱圧着することで、アミド結合が生成して、乾燥時はもとより、水分に対しても強固な接着強度を有する積層構造が実現する。
ここで、第2処理工程において、活性酸素原子は、酸素官能基を生成する際に高分子を切断して低分子化する作用も強いため、樹脂フィルムの表面において、酸素原子を含む低分子化合物が極めて薄い層状に生成する。この低分子化合物層は分子量が比較的小さいと考えられ、凝集力などの物理的強度が小さいと考えられる。したがって、単に2枚の種類の樹脂フィルムを熱圧着して、アミド結合が生成して強固な接着が実現しても、第2の樹脂フィルムの表層で凝集破壊が起きるので、常識的には、積層界面の接着強度は上がらないと考えられる。
ところが、実際に熱圧着してみると、乾燥時はもちろん、水分に対しても強固な接着強度を有する積層構造が実現したのである。
この理由は、定かではないが、おおよそ次のように推定される。
即ち、熱圧着時の熱により、第2処理工程において生成した酸素原子を含む低分子化合物の層表面から極浅い内部にかけて軟化ないしは溶融が起きると考えられる。低分子化合物の分子量は、小さいものから大きなものまで幅広く分布しており、分子量の小さいものほど、表面近くに存在しているものと推定される。この軟化や溶融によって、低分子化合物の内、分子量の小さいものから流動が始まり、表層内部への移動が起こる。その結果、比較的分子量の大きいものが表面に露出することになる。一方、第1の樹脂フィルムの樹脂は第2の樹脂フィルムの樹脂よりTgが同等ないしは高いので、表面処理により荒れて微細な凹凸を有する第1フィルムの表層の軟化度合いは、第2の樹脂フィルムより同等ないしは小さい。この状態で両樹脂フィルムを圧着すると、第2の樹脂フィルムの低分子物層が第1の樹脂フィルムの表層の微細な凹凸に追従して、投錨効果が生まれる。そして、第2の樹脂フィルムの比較的分子量の大きい低分子化合物が有する酸素官能基と第1の樹脂フィルムが有する窒素官能基が結合して、アミド結合が生成し、高い接着強度が発現する。
したがって、本発明において、第1の樹脂フィルムの表面処理にプラズマ処理よりもコロナ放電処理が好ましい理由は、この様な接着機構によると推定される。
なお、本発明においては、第2処理工程において、第1処理工程と同様に、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気下の放電により表面処理を行った場合にも高い接着強度が得られるが、この場合は、次のように推定される。
上述した投錨効果と併せて、第1の樹脂フィルムの表面と第2の樹脂フィルムの表面には、共に、窒素官能基を有する低分子化合物層が形成されており、これらは、相溶性がよいので、容易に拡散混合が起きる。この拡散混合により、互いの分子鎖が絡み合うことで高い接着強度が得られる。
逆に、この様な分子鎖の絡み合いによる接着強度の向上は、第1および第2の樹脂フィルムの表面処理が共に酸素原子によるものである場合でも起こるものと推定される。しかし、この場合は拡散混合によって生成する分子鎖の絡み合いがあっても、酸素原子による表面処理で生成する低分子化合物の分子量が低いために、絡み合いがほどけやすいと考えられる。また、接着強度はある程度高く出来ても、接着界面が親水性を帯びやすく、水分に対する耐性が低くなるものと推定される。
上述した接着機構を有する本発明においては、熱圧着する2枚の樹脂フィルムは、特に限定されないが、包装材料等の用途を考えると、そのうち一方の樹脂フィルムがポリオレフィンからなり、他方の樹脂フィルムがポリエステルまたはポリアミドからなることが好ましい。積層する2枚の樹脂フィルムに対する表面処理は、熱圧着の前であれば、どちらを先に行っても良く、同時もしくは並行して行っても良い。また、3枚以上の樹脂フィルムを熱圧着する場合は、積層する側の面への表面処理および熱圧着の工程を必要な回数繰り返して3層以上の積層フィルムを製造することができる。また、樹脂フィルムの両面を表面処理したのち、樹脂フィルムの両面に、表面処理した別の樹脂フィルム2枚を重ね合わせ、熱圧着することによって、樹脂フィルムの両面それぞれに別の樹脂フィルムが熱圧着された3層の積層フィルムを製造することもできる。
本発明の積層フィルムは、様々な用途に適用が可能であるが、好ましくは、包装材料として、種々の包装袋の製造に用いることができる。包装袋の形態は、自立袋(スタンディングパウチ)の他、三方袋、四方袋、合掌貼り袋、ガゼット袋等の比較的小型の軟包装袋(パウチ)、あるいはバッグインボックス用の内袋やドラム缶内装袋などの大型の袋等、特に限定なく適用可能である。
本発明の積層フィルムの製造方法では、2枚の樹脂フィルムの積層される側の面に対して所定の表面処理を施したのち熱圧着することにより、接着剤層やアンカーコート層を用いて積層したときと同等もしくは高い接着強度を有する。しかもこの接着層は、水分と接触しても高い接着強度を保持することができる。
このため、水分を含有する内容物を包装する場合に、ヒートシール層を透過して接着界面に水分が到達しても高い接着強度を保持することができる。また、殺菌処理が施される内容物の場合に、熱水や水蒸気によるボイル殺菌、レトルト殺菌の工程を経ることにより、表層の樹脂フィルムを介して、あるいは積層フィルムの端面から、経時的に水分が侵入しても高い接着強度を保持することができる。よって、水分を含有する内容物の包装やボイル殺菌、レトルト殺菌等の殺菌処理が施される内容物の包装に好適である。この種の内容物としては、例えば、食品、飲料、医薬品等が挙げられる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
第1のフィルムとして12μmのポリエステルフィルムと、第2のフィルムとして40μmのポリオレフィンフィルムを用いて、積層フィルムを作成した。
ポリエステルフィルムには、三菱化学ポリエステルフィルム製二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである、商品名:ダイアホイルT100を使用した。このフィルムを構成する樹脂のTgは、およそ70℃であった。
ポリオレフィンフィルムとしては、ポリエチレンフィルムを用いた。ポリエチレンフィルムには、タマポリ製未延伸直鎖状低密度ポリエチレンフィルムである、商品名:SK615Pを用いた。このフィルムを構成する樹脂のTgは、およそ−125℃であった。
第1処理工程として、ポリエステルフィルムに対して自社製のバッチ式コロナ放電処理装置を用い、窒素ガスで充満し酸素濃度を20ppmに保持した窒素ガス雰囲気下でコロナ放電処理を実施した。
第2処理工程として、ポリエチレンフィルムに対してソフタル社製卓上コロナ処理、Type3003にて空気雰囲気でのコロナ放電処理を実施した。
それらをヒートシーラーで180℃×20秒、0.4MPaで熱圧着し、積層フィルムを作成した。
その積層したフィルムの接着強度を測定するため、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に定められた測定方法で測定した結果、90度剥離で速度5mm/minで剥離させたときの接着強度(「乾燥時の接着強度」という場合がある。)は、3.76N/15mm(650g/inch)であった。
また、水を接触させた時の接着強度を測定するため、ローラ式剥離装置を用いてJISK 6854−1に規定された接着強度の測定中に、積層フィルムの積層界面が剥離する最前線にスポイトで全幅にわたって水を付着した。水を表面張力および重力により、剥離最前線の進行に追従させることで、常に水を接触させつつ剥離した。積層したフィルムの剥離面に水を接触させつつ剥離した時の接着強度(「水接触時の接着強度」という場合がある。)の測定結果は、2.72N/15mm(470g/inch)であった。
積層フィルムの剥離面をフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)で測定すると、ポリエステルフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっており、このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
Figure 2007307771
(実施例2)
第2処理工程を実施例1の窒素ガス雰囲気下のコロナ放電処理としたこと以外は、実施例1と同様に表面改質の処理を行い、実施例1と同様に熱圧着して積層フィルムを作成し、乾燥時の接着強度および水接触時の接着強度の測定を行った。
乾燥時の接着強度は3.88N/15mm(670g/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、2.55N/15mm(440g/inch)であった。
積層フィルムの剥離面をFT−IRで測定すると、ポリエステルフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっており、このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
(実施例3)
第1処理工程の酸素濃度を50ppmとしたこと、および、第2処理工程をUV/オゾン処理としたこと以外は、実施例1と同様に表面改質の処理を行い、実施例1と同様に熱圧着して積層フィルムを作成し、乾燥時の接着強度および水接触時の接着強度の測定を行った。
UV/オゾン処理は、セン特殊光源株式会社製の型式がPL−2002N−18のUV/オゾン処理装置を用いて、5分間処理を行った。
乾燥時の接着強度は、3.18N/15mm(550g/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、2.60N/15mm(450g/inch)であった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリエステルフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっており、このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
(実施例4)
第1のフィルムとして15μmの二軸延伸ナイロン(PA)フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様に表面改質の処理を行い、実施例1と同様に熱圧着して積層フィルムを作成し、積層フィルムの接着強度および水を接触させた時の接着強度の測定を行った。
ナイロンフィルムは、株式会社興人の商品名:ボニールRXを用いた。このフィルムを構成する樹脂のTgは、およそ50℃であった。
乾燥時の接着強度は、15.63N/15mm(2700gf/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、4.86N/15mm(840gf/inch)であった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリアミドフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっていた。このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
(実施例5)
第1処理工程の酸素濃度を2%としたこと以外は、実施例1と同様に熱圧着および測定を行った。
乾燥時の接着強度は、3.59N/15mm(620g/inch)であった。また、水接触の接着強度は、2.20N/15mm(380g/inch)であった。
剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリアミドフィルム側にポリエチレンフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっており、このことから剥離面はポリエチレンフィルムの凝集破壊であると推定された。
(比較例1)
第1処理工程を空気雰囲気下のコロナ放電処理としたこと以外は、実施例1と同様に熱圧着および測定を行った。
乾燥時の接着強度は、3.76N/15mm(650gf/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、0.58N/15mm(100gf/inch)であった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリエチレンフィルム側にポリエステルフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっていた。このことから剥離面はポリエステルフィルムの凝集破壊であり、空気雰囲気でのコロナ処理によって生じた脆弱層での剥離ではないかと推察された。
(比較例2)
第1処理工程を空気雰囲気下のコロナ処理としたこと以外は、実施例3と同様に熱圧着および測定を行った。
乾燥時の接着強度は、0.58N/15mm(100gf/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、0.58N/15mm(100gf/inch)であった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリエチレンフィルム側にポリエステルフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっていた。このことから剥離面はポリエステルフィルムの凝集破壊であり、空気雰囲気でのコロナ処理によって生じた脆弱層での剥離ではないかと推定された。
(比較例3)
第1処理工程をヘリウムガスのみを用いた大気圧プラズマ処理としたこと以外は、実施例1と同様に熱圧着および測定を行った。
なお、大気圧プラズマ処理装置は、「平行平板型大気圧プラズマ処理装置」を用いて、ヘリウムガスを用い、流量10L/min、出力100Wで電極間にフィルムをセットし、5秒間放電処理を行なった。
乾燥時の接着強度は、2.61N/15mm(450gf/inch)であった。また、水接触時の接着強度は、1.62N/15mm(280gf/inch)でった。
積層フィルムの剥離界面をFT−IRで測定すると、ポリエチレンフィルム側にポリエステルフィルム由来と考えられる化合物のピークが強くなっていた。このことからポリエステルフィルムの凝集破壊であると推察された。
以上、最良の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これらの形態に限定されることなく、本発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、フィルムの接着される面に印刷が施されていても良い。また、ポリ塩化ビニリデンなどの他の樹脂層がコートされていても良い。そして、本発明の積層フィルムは、上述した積層構造以外に、さらに他の樹脂層や金属層などが従来公知の積層方法で積層されていても良い。
本発明は、食品、飲料、医薬品などの包装に使用される包装容器に適した積層フィルムの製造に利用することができる。

Claims (7)

  1. 窒素原子で表面処理を行った第1の樹脂フィルムの処理面上に、酸素原子および/または窒素原子で表面処理を行った第2の樹脂フィルムの処理面を、接着剤層を介すことなく圧着した積層構造を有する積層フィルムであって、
    前記積層構造は、積層界面に水を接触させて、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が2.0N/15mm以上であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記積層構造は、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準じ測定した接着強度が3.0N/15mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 第1の樹脂フィルムを構成する樹脂が、第2の樹脂フィルムを構成する樹脂より高いガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 第1の樹脂フィルムがポリエステルまたはポリアミドで、第2の樹脂フィルムがポリオレフィンからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法であって、
    第1の樹脂フィルムの表面に、窒素ガスを含み、実質的に酸素ガスを含まない窒素ガス雰囲気下の放電により表面処理を行う第1処理工程と、
    第2の樹脂フィルムの表面に、酸素ガスおよび/または窒素ガスを含む雰囲気下で、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理およびオゾン処理の中から選択される1種または2種以上の処理方法により表面処理を行う第2処理工程と、
    第1の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面に、第2の樹脂フィルムの前記表面処理が行われた面を重ね合わせて熱圧着する積層工程と
    を含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。
  6. 前記第1処理工程における前記窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が容量比2%以下であることを特徴とする請求項5に記載の積層フィルムの製造方法。
  7. 前記第1処理工程における前記窒素ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が容量比50ppm以下であることを特徴とする請求項5に記載の積層フィルムの製造方法。
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