JP5568284B2 - 包装材料積層体の製造方法、及び包装材料積層体 - Google Patents
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Description
このような包装体に用いられる包装材料積層体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム/アルミ箔/ポリアミド(PA)樹脂フィルム/未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムのような構成をした積層体が広く用いられてきた。
この積層体を製造する場合の樹脂フィルムの貼り合わせは、通常、接着剤を用いて行うドライラミネート方式により行われていた。
樹脂フィルム同士を貼合するのに、接着剤やアンカーコート剤を用いないと接着強度が不足することがある。しかし、シーラント層の貼合に、接着剤やアンカーコート剤を用いる場合、包装袋に充填されている液体内容物と反応して、内容物の成分に悪影響を及ぼすことがあった。また、接着剤を用いたドライラミネート方式や、アンカーコート剤を用いたフィルムサンド方式、押出ラミネート方式では、有機溶剤を用いることから環境対策や省エネルギー対策の点で問題があった。さらには残留溶剤及び低分子成分の移行の恐れが伴うことから、内容物へコンタミの影響が避けられないという問題があった。
また、シーラント層にポリエチレン系樹脂を押出ラミネート法で溶融押出した場合には、ポリエチレン系樹脂が分解してポリエチレン臭が付着するので、臭気を嫌う食品などの内容物を充填するための包装材料積層体として用いるには問題があった。
このため、より好ましい包装材料積層体の製造方法として、シーラント層の貼合に、接着剤やアンカーコート剤を用いないで、必要とされる接着強度を有する積層体を製造できる方法が求められている。
特許文献1には、プラスチック基材の少なくとも一面にコロナ処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射、紫外線照射などにより表面を酸化処理するとともに、溶融押出したフィルムの少なくとも一面にオゾン処理したのち、両者を接触させ圧着する押出ラミネート方法が記載されている。
特許文献2には、プラスチック基材の少なくとも一面に、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、窒素等の不活性気体の雰囲気で電子線照射処理、低圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理またはコロナ放電処理により表面処理するとともに、溶融押出したフィルムの少なくとも一面にオゾン処理したのち、両者を接触させ圧着する押出ラミネート方法が記載されている。
特許文献4には、窒素ガス(酸素濃度が3vol%以下)、炭酸ガスあるいは窒素/炭酸ガスの混合ガス雰囲気でのコロナ放電処理により、ESCA法による基材フィルムの表面の窒素と炭素の原子数比(N/C)が0.001〜0.1の範囲である被処理面を生成し、該被処理面に、水/低級アルコール混合溶液や水を溶媒とし、水溶性高分子及び無機系層状化合物を主たる構成成分とする塗剤を塗布し、乾燥して塗膜を形成するガスバリアフィルムの製造方法が記載されている。
特許文献6には、大気圧プラズマ処理装置によりフッ素樹脂シートの表面をプラズマ処理した基材同士を、接着剤を使用しないで、かつ、その構造・組成を変化させないで、基材の融点以下の温度で圧着することにより接着させる、接着装置及び接着方法が示されている。
特許文献7には、プラズマ表面処理されたアラミド繊維とアラミドパルプとからなるアラミド紙と、プラズマ処理したポリエステルフィルムとを、室温〜200℃の温度で、加圧ロールを用いて連続的に積層接着された無接着剤アラミド−ポリエステル積層体が示されている。
しかし、実施例によると、例えば、PPとLDPEとを熱圧着するときの熱圧着温度は、100℃としているが加圧力は示されていないので、産業上の利用を図ることができない。
表面改質により表面のフッ素樹脂に親水性が与えられるとしているが、プラズマ処理した樹脂表面の好ましい処理状態を判断する基準を定義したものは示されていない。また、熱圧着するときの熱圧着温度は、例えば、融点が327℃であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)では200℃以下としているが加圧力は示されていないので、産業上の利用を図ることができない。
表面改質により、ある種の官能基、例えばCOOH基やOH基をフィルム表面に形成し、低温において、強固に積層・接着することができるとしているが、プラズマ処理した樹脂表面の好ましい処理状態を判断する基準を定義したものは示されていない。また、プラズマ処理は、種々の樹脂の接着性を高めるための方法として良く知られた方法であるので、これ自身に関する詳細な説明は省力するとして、プラズマ処理の具体的な説明が記載されていないので、産業上の利用を図ることができない。
このように、従来技術においては、異種フィルム同士を接着剤及びアンカーコート剤を使用することなくシーラント層が積層された包装材料積層体の製造方法、包装材料積層体及びそれを用いて作製された包装体は、知られていなかった。
前記熱可塑性樹脂フィルムの接着面には大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質により熱接着性改質層が形成され、前記ヒートシール性を有する基材の接着面にはエアコロナ処理(未延伸ポリプロプレンには大気圧プラズマ処理が必須)がされてなる包装材料積層体の製造方法である。
また、前記熱可塑性樹脂フィルムの接着面及び前記ヒートシール性を有する基材の接着面両方に、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質により熱接着性改質層が形成されてなる包装材料積層体の製造方法を提供する。
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材が未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを用い、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材がポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを用い、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材がポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを用い、温度140℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が3.9N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材がエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを用い、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材が未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを用い、温度190℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となることを確認することが好ましい。
また、包装体の最内層となるヒートシール層を貼り合わせるのに、接着剤及びアンカーコート剤を用いないので、従来技術のように接着剤及びアンカーコート剤が、包装体内に充填されている液体内容物と反応して、内容物の成分への悪影響が起こること、例えば、薬効成分の分解、減少などが生じることも低減できる。
図1〜4は、それぞれ本発明に係わる包装材料積層体の一例を示す概略断面図であって、金属箔、金属または金属酸化物の蒸着膜、ガスバリア性を有する樹脂組成物層からなる群の中から選択された1つ以上のガスバリア層を含む包装材料積層体10〜13の一方の面には、上から順に、ヒートシール性を有する第1の基材1と、熱可塑性樹脂フィルムからなる第2の基材3又は7とが少なくとも積層されてなり、前記熱可塑性樹脂フィルム3又は7と、前記ヒートシール性を有する基材1とが、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく加熱圧着して貼合してなる包装材料積層体10〜13である。
図3に示す第3の例に係わる包装材料積層体12では、金属または金属酸化物の蒸着膜、ガスバリア性を有する樹脂組成物の塗膜などの薄膜層からなるガスバリア層8が、他の樹脂フィルム6の上面に形成され、ガスバリア層8を有する他の樹脂フィルム6と、第2の基材3との間は、接着剤層4を介して貼り合わされている。また、特に図示しないが、例えばガスバリア層8を有する他の樹脂フィルム6と基材3との間に印刷層を設けることもできる。
図4に示す第4の例に係わる包装材料積層体13では、金属または金属酸化物の蒸着膜、ガスバリア性を有する樹脂組成物の塗膜などの薄膜層からなるガスバリア層8が、第2の基材3の下面に形成され、ガスバリア層8を有する第2の基材3と、他の樹脂フィルム6との間は、接着剤層4を介して貼り合わされている。また、特に図示しないが、例えば他の樹脂フィルム6とガスバリア層8を有する基材3との間に印刷層を設けることもできる。
また、本発明は上記の例に限られるものではなく、積層体中にガスバリア層を2層以上設けることもできる。
熱可塑性樹脂フィルム3又は7の熱接着性改質層が形成されている面と、ヒートシール性を有する基材1のエアコロナ処理面とを、対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、所定の加熱温度、加圧力で保持して熱圧着を行うことにより、本発明に係わる包装材料積層体10〜13における第1の基材1と第2の基材3又は7との接合を得ることができる。
また、ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂フィルム7としては、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムなどが挙げられる。
また、ヒートシール性を有する基材1としては、未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムまたは未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムなどが挙げられる。
また、ガスバリア層となる金属箔としては、アルミ箔やステンレス箔などが挙げられる。また、ガスバリア性を有する蒸着膜となる金属または金属酸化物としては、アルミ、シリカ、アルミナなどが挙げられる。また、ガスバリア性を有する樹脂組成物としては、塩化ビニリデンコート、アクリル酸系ポリマーコートや、有機・無機ハイブリッドコート(有機化合物と無機化合物をハイブリッドしたコーティング剤)として入手可能な種々の市販品(例えばガスバリア性を有する樹脂とコロイダルシリカなどの微粒子を分散したものなど)、あるいはコーティングを施した市販フィルムを用いることができる。
そして、包装材料積層体10〜13においては、ヒートシール性を有する基材1と熱可塑性樹脂フィルム3又は7とが、接着剤及びアンカーコート剤を使用しないで積層されたものである。
この包装材料積層体10〜13の一方の樹脂フィルムには、ヒートシール性を有する基材1が積層されていることから、この包装材料積層体10〜13を所定の形状・寸法に裁断し、ヒートシール性を有する基材1を内面側としてヒートシールすることにより、包装体を作製することができる。
熱可塑性樹脂フィルム23の下側には、他の樹脂フィルム26及びガスバリア性或いは遮光性を有する金属箔25とが、接着剤層24を介して貼り合わされている。
(1): (改質処理PET)/(エアコロナ処理PE)
(2): (改質処理PET)/(改質処理PE)
(3): (エアコロナ処理PET)/(改質処理PE)
ここで、改質処理PETとは、少なくとも一方の面に大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質により熱接着性改質層が形成された、厚みが10〜500μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムである。
エアコロナ処理PETとは、厚みが10〜500μmのエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムである。
エアコロナ処理PEとは、厚みが10〜500μmのエアコロナ処理されたヒートシール性を有する未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムである。
改質処理PEとは、厚みが10〜500μmの大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質により熱接着性改質層が形成された、ヒートシール性を有する未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムである。
また、所定寸法に裁断された2枚の包装材料積層体10〜13を重ねて、両側端部をヒートシールし、さらに、2つ折りした底部用の包装材料積層体10〜13をヒートシールすることによりスタンディングパウチ形式の自立型をした、包装体を得ることができる。
また、詰替え用包装容器においては、自立型のスタンディングパウチとし、さらに、様々な注ぎ易い形状をした注出口を配設することにより、内容物の詰替え作業を簡便化した包装容器を得ることができる。
また、電子部品、医療用部品、医療用機器部品、精密機械部品などの用途向けとして、特別に清浄度管理されたクリーンルーム内の作業環境下において、清浄度の維持管理された基材フィルムを用いて本発明に係わる積層体を作製した後、それを用いた接着剤及びアンカーコート剤の使用量を低減した、よりクリーンな包装体を作製することができる。
なお、前記基準フィルムは、表面の良否判定のために用いられるのみであり、最終的には製品の積層体には含まれない。例えば、第1の基材および/または第2の基材が長尺のフィルムである場合には、その長手方向の一部において基準フィルムとの貼合を行い、表面改質の処理条件の良否を確認後、第1の基材および第2の基材の貼合を連続的に行う方法が挙げられる。この場合、積層体が基準フィルムと貼合されている部分は、製品からカット(除去)することが好ましい。
基準フィルムとの貼合による良否確認工程は、包装材料積層体の生産を行う際に、毎回行う必要はないが、例えば、大気圧プラズマ処理がなされる第1の基材および/または第2の基材の種類を変更するとき、大気圧プラズマの処理条件を変更するとき、大気圧プラズマ処理装置の清掃や部品交換などを行ったときなどに、必要に応じて良否確認工程を実施することが望ましい。
本発明の包装材料積層体に使用する熱可塑性樹脂フィルム3としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ポリアミド(PA)樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂フィルム、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリイミド(PI)樹脂フィルムなどが挙げられる。また、ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂フィルム7としては、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムなどが挙げられる。ヒートシール性を有する基材1としては、例えば、未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムが挙げられる。
本発明で大気圧プラズマ処理される基材として使用できる熱可塑性樹脂フィルム1,3,7としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、未延伸ポリエチレン(PE)樹脂、未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂などの樹脂フィルムが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の融点は、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(252℃)、ポリアミド(220℃)、ポリ塩化ビニル(なし)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(160〜190℃)、ポリエチレンナフタレート(約270℃)、ポリアクリロニトリル(なし)、ポリカーボネート(なし)、ポリイミド(なし)、未延伸ポリエチレン(105〜140℃)、未延伸ポリプロピレン(130〜165℃)である。なお、ポリアミド樹脂は、酸とアミンが反応してできるアミド結合(−CONH−)の繰り返しによって主鎖が構成される線状高分子のことで、一般的な商品名としてはナイロンと呼ばれているものである。
大気圧プラズマ処理されたポリアミド(PA)樹脂フィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムまたはポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムと、エアコロナ処理または大気圧プラズマ処理にて表面改質された、未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムまたは未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムとをヒートシールする場合の熱接着の工程では、熱圧着温度及び加圧力を選定して行うことが好ましい。接着力は熱圧着温度・時間・圧力を上げることで向上する。目標とする接着強度が得られる条件を適宜選定すればよい。
従って、本発明による包装材料積層体の製造方法において、表面改質された樹脂フィルム同士を熱圧着により貼り合わせて、積層フィルムを作製する場合、積層後の樹脂フィルムをロール体として巻き取るには、全体の厚みが500μmを超えないように配慮する必要がある。
また、積層された後の樹脂フィルムの厚みが500μmを超える場合には、積層された樹脂フィルムをロール体に巻き取ることが困難であることから、一定の寸法長さで切断された積層樹脂フィルムのシートとして作製することになる。
本発明の包装材料積層体10〜13を製造する方法において、熱可塑性樹脂フィルム3,7とヒートシール性を有する基材1とを貼り合わせて積層するには、下記の(1)〜(3)の工程により行うことができる。
(1)熱可塑性樹脂フィルム3,7の表面に、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面処理を行い、熱接着性改質層を形成するか、または、空気雰囲気でのコロナ放電処理(エアコロナ処理)により、表面処理を行う。
(2)ヒートシール性を有する基材1の表面に、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面処理を行い、熱接着性改質層を形成するか、または、空気雰囲気でのコロナ放電処理(エアコロナ処理)により、表面処理を行う。なお、ヒートシール性を有する基材1が未延伸ポリプロプレンからなる場合には、大気圧プラズマ処理が必須である。
(3)熱可塑性樹脂フィルム3,7の前記熱接着性改質層が形成された面に、ヒートシール性を有する基材1の前記表面処理が行われた面を重ね合わせて、熱圧着によりラミネートする。
ただし、第1の基材及び第2の基材のいずれか一方の基材が、大気圧プラズマ処理装置による表面改質により熱接着性改質層が形成された面を有するため、(1)において第1の基材のフィルムの表面に、空気雰囲気でのコロナ放電処理(エアコロナ処理)により、表面処理を行う場合は、(2)においては、第2の基材のフィルムの表面に、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面処理を行い、熱接着性改質層を形成する。
なお、大気圧プラズマ処理装置に用いる反応ガスは、窒素ガスをベースにするものに限らず、酸素ガスや炭酸ガスをベースにしても良い。
他の樹脂フィルム6としては、熱可塑性樹脂フィルム3,7またはヒートシール性を有する基材1と同一材料のフィルムでも異なる材料のフィルムでもよい。
ラミネートが熱ラミネートによる場合、2枚の樹脂フィルムは重ね合わせた状態で熱圧着することによりラミネートすることができる。
接着剤層4に用いられる接着剤としては、特に限定はなく、例えばウレタン系、エポキシ系、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂など、被着物の材質などに応じて適宜選択して用いることができる。接着剤は有機溶剤を用いるものでも良いが、積層前後によく乾燥して、残留溶剤を可能な限り低減することが好ましい。
[図1に示す包装材料積層体10の構成例]
(1−1) PET/接着剤層/アルミ箔/接着剤層/PA/接着面/PE
(1−2) PET/接着剤層/アルミ箔/接着剤層/PA/接着面/CPP
[図2に示す包装材料積層体11の構成例]
(2−1) PA/接着剤層/EVOH/接着面/PE
(2−2) PA/接着剤層/EVOH/接着面/CPP
(2−3) PA/接着剤層/PVC/接着面/PE
(2−4) PA/接着剤層/PVC/接着面/CPP
[図3に示す包装材料積層体12の構成例]
(3−1) PET/シリカ蒸着膜/接着剤層/PA/接着面/PE
(3−2) PET/シリカ蒸着膜/接着剤層/PA/接着面/CPP
(3−3) PET/ガスバリア性塗膜/接着剤層/PA/接着面/PE
(3−4) PET/ガスバリア性塗膜/接着剤層/PA/接着面/CPP
[図4に示す包装材料積層体13の構成例]
(4−1) PA/接着剤層/アルミ蒸着膜/PET/接着面/PE
(4−2) PA/接着剤層/アルミ蒸着膜/PET/接着面/CPP
また、本発明は、接着剤及びアンカーコート剤を使用することなくシーラント層が積層された包装材料積層体、及びそれを用いて作製された包装体を提供するものである。
したがって、シーラント層以外の樹脂フィルム及び金属箔を貼合するのに、接着剤を用いてもよい。
ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性ポリオレフィン樹脂フィルムは、表面層に極性基を持たないので、インキの印刷性、他の樹脂との接着性が低い。このため、インキの印刷性、他の樹脂との接着性を高めるために、コロナ放電処理による樹脂フィルム表面の改質が行われている。コロナ放電による表面改質の処理は、高周波電源電圧を用いて大気中にコロナ放電を発生させ、それに伴って発生する電子やイオンを樹脂フィルムの表面に照射し、樹脂フィルムの表面に官能基を付加することによって樹脂フィルムの表面改質を行うものである。
通常の、空気雰囲気下で行われるコロナ放電による表面改質の処理では、コロナ放電処理した樹脂フィルムの表面が酸化され、該樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸素官能基が主として形成すると考えられる。
窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理を行うことで、樹脂フィルム表面の高分子の主鎖や側鎖に、接着に寄与すると思われるアミノ基(−NH2)等の窒素官能基が主として生成すると考えられる。さらに、窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理は、通常の空気雰囲気でのコロナ放電処理(エアコロナ処理)と異なり、窒素ガス雰囲気中で放電が起こっているために、空気雰囲気でのコロナ放電処理(エアコロナ処理)を行った場合に発生する空気中の不純物による脆弱層の発生が抑えられる。幾つかの特許文献では、窒素ガスも大気圧グロープラズマ処理の雰囲気ガスとして使用できるような記載があるが、放電状態を観察すると大気圧グロープラズマ放電ではない。しかしながら、窒素ガス雰囲気でのコロナ放電は、放電条件の調整によって雷のようなストリーマー状(線状)、すなわち空気雰囲気でのコロナ放電よりは緩やかな(マイルドな)グローに近い放電が可能であるため、エアコロナ処理よりも均一な表面改質として利用できる。
従来、真空状態で放電させる低温プラズマ処理が表面改質に用いられていたが、真空設備を要することから装置が大掛かりとなり操作が煩雑であるという欠点があった。このため、通常、真空状態でしか発生できないグロー放電状態を大気圧下で発生させ、それにより生じる反応ラジカル、電子などを用いて表面改質を行う大気圧プラズマ処理装置が、樹脂フィルムの濡れ性改善・接着性改善に簡便に使用されるようになった。
酸素を反応ガスとする大気圧プラズマ処理では、樹脂フィルムの表面において、高分子の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸素官能基が主として形成する。また、窒素系ガスを反応ガスとする、例えば、N2、N2O、NH3など、さらに水素(H2)、酸素(O2)などを混合することにより、アミノ基、アミド基なども意図的に導入することができることを、本発明者らは確認している。
また、反応ガスには、CH4、CO2等を添加してもよい。
さらに、本発明ではフィルム表面に、熱接着性改質層が形成されるように、大気圧プラズマ処理において、大気圧プラズマ処理装置で発生したプラズマを樹脂フィルムの表面に対して照射する時間、印加電力、周波数などを調整して行う。
また、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂など他の熱可塑性樹脂からなるフィルムに対してのプラズマ処理条件を探索する場合も、同様の手法により接着力を測定して、大気圧プラズマ処理装置を用いた処理条件を調査することによって行うことができる。
本発明は、包装体においてシーラント層となる第1の基材を内面側としたときに第2の基材より外側にある各層(図1〜図4の積層体において第2の基材3,7より下側にある、金属箔5や他の樹脂フィルム6など)を第2の基材と積層する工程(さらには、基材への印刷工程などの有機溶剤を使用する工程や、これらの工程に使用した有機溶剤を乾燥する工程)を、第1の基材と第2の基材との熱圧着貼合工程に先立って実施して、積層体の製造で熱圧着による貼合工程が最後になる場合には、熱圧着貼合工程後に、積層体を常温で10日〜1ヶ月間、または40〜60℃で1〜3日間静置するエージング工程を含むことが好ましい。これにより、第1の基材と第2の基材との間の接着力を増大させることができるとともに、ドライラミネート後の乾燥を十分行うことができ、積層体内(特にシーラント層内部)の残留溶剤を可能な限り低減することができる。
なお、熱圧着貼合工程が積層体製造の最後の工程でなくとも、必要があれば、積層体製造途中で上記エージング工程を実施することは可能である。
本発明の効果を確認するために、実施した実験は、次の測定機器及び測定方法を用いて行った。
・大気圧プラズマ処理による処理条件
周波数 3kHz〜13.56MHz
照射時間 0.001〜10秒
電極間距離 1〜4mm
なお、印加電力は装置規模に依存するため、以下の表面改質例において挙げた印加電力の値は、絶対的な数値としてよりも、相対的な強弱を示す参考として理解すべきである。
・ヒートシール強さの測定:JIS Z 0238「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法 7.袋のヒートシール試験」に規定された測定方法に準じた。
・引張強度及び引張伸度の測定:JIS K 7127「プラスチック−引張特性の試験方法」に規定された測定方法に準じた。
・落下強さ:JIS Z 0238「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法 9.落下強さ試験」に規定された測定方法に準じた。袋に水200mlを充填して、落下高さは1.2m、品温・試験環境は5℃で実施した。落下回数は、水平方向、続いて鉛直方向の各30回ずつとした。
・突刺し強さの測定:JIS Z 1707「食品包装用プラスチックフィルム通則 7.4突刺し強さ試験」に規定された測定方法に準じた。
・ゲルボフレックステスター試験:MIL−B−131Gに規定された測定方法に準じた。
・ボイル・レトルト試験:四方袋(130mm×170mm)に水200mlを充填して、ボイル条件は97℃×40min、レトルト条件は121℃×30minの処理を行った後、積層体の外観を評価した。
・耐内容品適性試験:接着剤及びアンカーコート剤の性能を劣化させる内容品を使って、四方袋(130mm×170mm)に200ml充填して、所定日数を経過(50℃にて保存1ヶ月)後に積層体の接着強度を評価した。
本発明による包装材料積層体を作製するに際して、まず、各種の熱可塑性樹脂フィルムに対して、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面改質を行った後、熱接着性改質層の良否が確認された基材を準備する。
ここで、熱接着性改質層が形成された基材Aと、その基材Aと異なる種類の熱可塑性樹脂フィルムであってエアコロナ処理されてなる基材Bとを用い、基材Aの熱接着性改質層が形成された面と、基材Bのエアコロナ処理面を対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、熱圧着させて試験積層体を得た後、該試験積層体の貼合面における接着力を測定して、基材Aの熱接着性改質層の良否が確認される。
基材Aの試験積層体の貼合面における接着力が低い値であると、その基材Aを用いて本発明の積層体を作製した場合に不具合が生じることがある。例えば、その基材Aが用いられた積層体を使用して包装容器を作製した場合、積層体の貼合面からの剥離が生じることや、落下衝撃に耐えられないで破損するなど、実用的な積層体を得ることが困難となる。
なお、熱接着性改質層の形成状態が適切であるかどうかは、その基材Aと異なる種類の熱可塑性樹脂フィルムであってエアコロナ処理されてなる基材Bとを用い、基材Aの熱接着性改質層が形成された面と、基材Bのエアコロナ処理面を対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、熱圧着させて試験積層体を得た後、該試験積層体の貼合面における接着力が所定値を超えているかどうかで判定される。
ポリアミド(PA)樹脂フィルムを、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面改質した。処理条件は、照射時間0.12s、印加電力1.0kW、周波数20kHzである。
厚みが15μmのポリアミド(PA)樹脂フィルム(株式会社興人製二軸延伸ポリアミドフィルム、商品名;ボニールW)を用いて、大気圧プラズマ処理による表面改質処理を行い、表面改質例1の表面改質されたポリアミド(PA)樹脂フィルムを得た。
次に、表面改質例1のポリアミド(PA)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、市販されているエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とを対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着し、表面改質例1のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例1のヒートシール層の積層体について、貼合したフィルム同士の接着力を測定すると、はく離強度の測定結果は、22.5N/25.4mmであった。
大気圧プラズマ処理装置での、大気圧プラズマの照射時間、印加電力、周波数を弱い方向に変更した以外には表面改質例1と同じ操作を行い、表面改質例2の表面改質されたポリアミド(PA)樹脂フィルムを得た。処理条件は、照射時間0.10s、印加電力20W、周波数13.56MHzである。
次に、得られた表面改質例2の樹脂フィルムを用いて、表面改質例1と同一のエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを用いて、表面改質例1と同一の条件で貼合して、表面改質例2のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例2のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が7.8N/25.4mmであった。
未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面改質した。処理条件は、照射時間0.05s、印加電力10W、周波数13.56MHzである。
厚みが100μmの未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)を用いて、大気圧プラズマ処理装置にて表面改質処理を行い、表面改質例3の表面改質された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを得た。
次に、表面改質例3の樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、市販されているエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム(東洋紡績株式会社製二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名;E5102)のエアコロナ処理面とを対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、表面改質例1と同一の条件で貼合して、表面改質例3のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例3のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が8.0N/25.4mmであった。
大気圧プラズマ処理装置での、大気圧プラズマの照射時間、印加電力、周波数を弱い方向に変更した以外には表面改質例3と同じ操作を行い、表面改質例4の表面改質された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを得た。処理条件は、照射時間0.005s、印加電力20W、周波数13.56MHzである。
次に、得られた表面改質例4の樹脂フィルムを用いて、表面改質例3と同一のエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムと、表面改質例1と同一条件で貼合して、表面改質例4のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例4のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が2.5N/25.4mmであった。
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面改質した。処理条件は、照射時間0.05s、印加電力10W、周波数13.56MHzである。
厚みが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム(東洋紡績株式会社製二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名;E5200)を用いて、大気圧プラズマ処理装置にて表面改質処理を行い、表面改質例5の表面改質されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを得た。
次に、表面改質例5の樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、市販されているエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とを対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、表面改質例1と同一の条件で貼合して、表面改質例5のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例5のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が7.9N/25.4mmであった。
大気圧プラズマ処理装置での、大気圧プラズマの照射時間、印加電力、周波数を弱い方向に変更した以外には表面改質例5と同じ操作を行い、表面改質例6の表面改質されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを得た。処理条件は、照射時間0.01s、印加電力10W、周波数13.56MHzである。
次に、得られた表面改質例6の樹脂フィルムを用いて、表面改質例5と同一の条件で、市販されているエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムと貼合して、表面改質例6のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例6のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が3.9N/25.4mmであった。
ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムを、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面改質した。処理条件は、照射時間0.27s、印加電力2.2kW、周波数40kHzである。
厚みが19μmのポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルム(旭化成ケミカルズ株式会社製ポリ塩化ビニルフィルム、商品名;サラン−UB)を用いて、大気圧プラズマ処理装置にて表面改質処理を行い、表面改質例7の表面改質されたポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムを得た。
次に、表面改質例7の樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、市販されているエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とを対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度140℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着し、表面改質例7のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例7のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が5.6N/25.4mmであった。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムを、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面改質した。処理条件は、照射時間0.27s、印加電力2.2kW、周波数40kHzである。
厚みが15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルム(クラレトレーディング株式会社製エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、商品名;エバール EF−XL)を用いて、大気圧プラズマ処理装置にて表面改質処理を行い、表面改質例8の表面改質されたエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムを得た。
次に、表面改質例8の樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、市販されているエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とを対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、表面改質例1と同一の条件で貼合して、表面改質例8のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例8のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が20.1N/25.4mmであった。
未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムを、大気圧プラズマ処理装置を用いて表面改質した。処理条件は、照射時間0.27s、印加電力2.2kW、周波数40kHzである。
厚みが60μmの未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルム(東洋紡績株式会社製未延伸ポリプロピレンフィルム、商品名;パイレンP1146)を用いて、大気圧プラズマ処理装置にて表面改質処理を行い、表面改質例9の表面改質されたポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムを得た。
次に、表面改質例9の樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、市販されているエアコロナ処理された12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム(東洋紡績株式会社製二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名;E5102)のエアコロナ処理面とを対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度190℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着し、表面改質例9のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例9のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が16.4N/25.4mmであった。
大気圧プラズマ処理装置での、大気圧プラズマの照射時間、印加電力、周波数を弱い方向に変更した以外には表面改質例9と同じ操作を行い、表面改質例10の表面改質された未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムを得た。処理条件は、照射時間0.12s、印加電力1.0kW、周波数20kHzである。
次に、得られた表面改質例10の樹脂フィルムを用いて、表面改質例9と同一の条件で、市販されているエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムと貼合して、表面改質例10のヒートシール層の積層体を得た。得られた表面改質例10のヒートシール層の積層体は、はく離強度の測定値が0.2N/25.4mmであった。
得られた表面改質例1〜10のヒートシール層の積層体について、はく離強度を測定した結果を、表1に示した。
また、得られた表面改質例7、8の表面改質された樹脂フィルムと、エアコロナ処理された熱可塑性樹脂フィルムとを、接着剤やアンカーコート剤を用いないで、熱圧着のみにより貼合してヒートシール層の積層体を得た後、さらに、PA樹脂フィルムとを接着剤層を介して貼り合わせて、実施例4、5の包装材料積層体を作製した。
更に、本発明により作製された積層体と比較するため、従来技術である全工程接着剤を用いたドライラミネート方式により貼合して比較例4の積層体を作製した。
上記の表面改質例1の、ポリアミド(PA)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、市販されているエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とが、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、速度5m/min、温度150℃、圧力0.23MPaで、加熱ロールにて加熱圧着されてなるヒートシール層の積層体に、厚み9μmのアルミ箔と厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムとを接着剤を介して貼り合わせて、実施例1の包装材料積層体を得た。さらに、得られた実施例1の包装材料積層体を用いて、スタンディングパウチ形式及び四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
上記の表面改質例2の、ポリアミド(PA)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、市販されているエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムのエアコロナ処理面とが貼り合わされたヒートシール層の積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の包装材料積層体を得た。さらに、得られた比較例1の包装材料積層体を用いて、スタンディングパウチ形式及び四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
上記の表面改質例5の、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、エアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とが貼り合わされたヒートシール層の積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の包装材料積層体を得た。さらに、得られた実施例2の包装材料積層体を用いて、四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
上記の表面改質例6の、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、エアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムのエアコロナ処理面とが貼り合わされたヒートシール層の積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の包装材料積層体を得た。さらに、得られた比較例2の包装材料積層体を用いて、四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
上記の表面改質例7の、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、エアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とが接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、速度5m/min、温度140℃、圧力0.23MPaで、加熱ロールにて加熱圧着されてなるヒートシール層の積層体に、厚み15μmのポリアミド(PA)樹脂フィルムを接着剤を介して貼り合わせて、実施例5の包装材料積層体を得た。さらに、得られた実施例5の包装材料積層体を用いて、四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
上記の表面改質例8の、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、エアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とが接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、速度5m/min、温度150℃、圧力0.23MPaで、加熱ロールにて加熱圧着されてなるヒートシール層の積層体に、厚み15μmのポリアミド(PA)樹脂フィルムを接着剤を介して貼り合わせて、実施例4の包装材料積層体を得た。さらに、得られた実施例4の包装材料積層体を用いて、四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
上記の表面改質例9の、未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、エアコロナ処理されたポリアミド(PA)樹脂フィルム(ユニチカ株式会社製二軸延伸ポリアミドフィルム、商品名;エンブレムONMB)フィルムのエアコロナ処理面とが、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、速度5m/min、温度185℃、圧力0.23MPaで、加熱ロールにて加熱圧着されてなるヒートシール層の積層体に、厚み9μmのアルミ箔と厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムとを接着剤を介して貼り合わせて、実施例3の包装材料積層体を得た。さらに、得られた実施例3の包装材料積層体を用いて、四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
上記の表面改質例10の、未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムの熱接着性改質層が形成された表面と、エアコロナ処理されたポリアミド(PA)樹脂フィルムのエアコロナ処理面とが貼り合わされたヒートシール層の積層体を用いた以外は、実施例3と同様にして、比較例3の包装材料積層体を得た。さらに、得られた比較例3の包装材料積層体を用いて、四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
従来技術により、厚みが15μmのポリアミド(PA)樹脂フィルム(株式会社興人製二軸延伸ポリアミドフィルム、商品名;ボニールW)のエアコロナ処理面と、市販されているエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面とを対向させて、接着剤を塗布した後、加圧ロールで圧着し、エージングを経て比較例4のヒートシール層の積層体を得た。
また、得られた比較例4のヒートシール層積層体に、さらに、実施例1と同様に、アルミ箔とPET樹脂フィルムとを接着剤層を介して貼り合わせて、比較例4の包装材料積層体を得た。さらに、得られた比較例4の包装材料積層体を用いて、スタンディングパウチ形式及び四方シール袋の包装容器を作製した後、包装容器に関する各種の試験を行った。
表2は、本発明による包装材料積層体である実施例1〜5及び比較例1〜4の包装材料積層体の層構成をまとめた表である。
比較例4は、従来技術による接着剤を用いてドライラミネート方式で作製した包装材料積層体を用いて作製した包装体(包装容器)の試験結果である。
実施例1〜5は、本発明による熱圧着でヒートシール層の積層体を作製した包装材料積層体を用い作製した包装体(包装容器)の試験結果である。従来技術による包装材料積層体を用いて作製した包装体(包装容器)である比較例4の試験結果と、本発明による包装体である実施例1〜5の試験結果とを比較しても、顕著な差異は見られない。
したがって、本発明による包装材料積層体は、従来技術による接着剤を用いたドライラミネート方式による包装材料積層体と同等レベルの性状を有しており、包装体(包装容器)の構成材料として何ら問題を生じることなく利用することが可能である。
いずれも、デラミ(貼り合わせ面からの剥離)現象の発生が起きておらず、通常の従来技術による接着剤を用いてドライラミネート方式で作製した積層体を用いて作製した包装容器と同様な耐久性を有している。
実施例1の包装容器は、デラミ(貼り合わせ面からの剥離)現象の発生も起きておらず、通常の従来技術による接着剤を用いてドライラミネート方式で作製した積層体を用いて作製した包装容器と同様以上の耐久性を有している。
ドライラミネート加工に必要とされる溶剤量は38.7(kg)であった。これに対して、本発明の場合には、包装体の最内層となるヒートシール層を貼り合わせるのに接着剤を使用しないため、ヒートシール層の残留溶剤を低減でき、内容物へのコンタミを防いで、成分への悪影響を抑制することにもつながる。
ポリアミド(PA)樹脂フィルムに対して、大気圧プラズマ処理装置により表面改質により熱接着性改質層が形成された表面の良否を判定するには、基準となる特定のフィルムを選択し、積層体としたときの接着強度が必要な強度となることが保証される基準値を設定する。そして、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、熱圧着したときの接着強度が基準値以上である場合に、熱接着性改質層が形成された表面の判定を良とする。具体的には、ポリアミド(PA)の樹脂フィルムの表面改質により熱接着性改質層が形成された表面と、基準フィルムとして、例えば、市販のエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面と対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が9.8N/25.4mm以上となるように、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質をすれば良い。
未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムに対して、大気圧プラズマ処理装置により表面改質により熱接着性改質層が形成された表面の良否を判定するには、未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムの表面改質により熱接着性改質層が形成された表面と、市販のエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム(東洋紡績株式会社製二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名;E5102)のエアコロナ処理面と対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となるように、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質をすれば良い。
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムに対して、大気圧プラズマ処理装置により表面改質により熱接着性改質層が形成された表面の良否を判定するには、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムの表面改質により熱接着性改質層が形成された表面と、市販のエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面と対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となるように、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質をすれば良い。
ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムに対して、大気圧プラズマ処理装置により表面改質により熱接着性改質層が形成された表面の良否を判定するには、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムの表面改質により熱接着性改質層が形成された表面と、市販のエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面と対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度140℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が3.9N/25.4mm以上となるように、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質をすれば良い。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムに対して、大気圧プラズマ処理装置により表面改質により熱接着性改質層が形成された表面の良否を判定するには、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムの表面改質により熱接着性改質層が形成された表面と、市販のエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルム(タマポリ株式会社製未延伸ポリエチレンフィルム、商品名;SK615P)のエアコロナ処理面と対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となるように、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質をすれば良い。
未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムに対して、大気圧プラズマ処理装置により表面改質により熱接着性改質層が形成された表面の良否を判定するには、未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムの表面改質により熱接着性改質層が形成された表面と、市販のエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム(東洋紡績株式会社製二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名;E5102)のエアコロナ処理面と対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく、温度190℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となるように、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質をすれば良い。
また、本発明によれば、接着剤及びアンカーコート剤を用いることなく貼合された積層体の製造方法、積層体、及びそれを用いて作製した包装容器を得ることができる。
本発明による積層体は、化粧シート、光学フィルム、保護フィルム、包装容器などの各種用途に使用できる。
また、本発明による積層体を用いて作製される包装容器は、液体調味料、液体洗剤、液体漂白剤、液体ワックス、ヘアケア用品(シャンプー、リンス、コンディショナーなどが含まれる)、薬液、液体状の化粧品等の種々の液体状製品の包装容器及び詰替え用包装容器、さらには、食品、電子部品、医療用部品、医療用機器部品、精密機械部品などの各種包装容器に使用できる。
また、本発明によれば、包装体の最内層となるヒートシール層を貼り合わせるのに、接着剤及びアンカーコート剤を用いないで、即ち有機溶剤を全く使用しないで、積層体及びそれを用いた包装容器を作製することが可能となるので、ヒートシール層の残留溶剤を低減でき、内容物へのコンタミを防いで、成分への悪影響を抑制することができる。
Claims (10)
- 金属箔、金属または金属酸化物の蒸着膜、ガスバリア性を有する樹脂組成物層からなる群の中から選択された1つ以上のガスバリア層と、ヒートシール性を有する第1の基材とを含み、前記ヒートシール性を有する第1の基材が、シーラント層として最内層となるように製造される包装体に用いられる包装材料積層体の製造方法であって、
該包装材料積層体は、その片面に露出された前記第1の基材と、それに隣接する熱可塑性樹脂フィルムからなる第2の基材とが、接着剤及びアンカーコート剤を介することなく積層されてなるものであり、
前記ヒートシール性を有する第1の基材が、未延伸ポリエチレン(PE)、又は未延伸ポリプロピレン(CPP)であり、前記第2の基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる群の中から選ばれた1種類であり、
前記第1の基材と前記第2の基材とを貼合する工程においては、前記第1の基材の接着面と、前記第2の基材の接着面のいずれか一方には、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質により熱接着性改質層が形成され、他方にはエアコロナ処理がされた表面改質層が形成されてなる前記第1の基材及び前記第2の基材を用意し、前記第1の基材及び前記第2の基材の前記熱接着性改質層と前記表面改質層とを対向させ、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく加熱圧着して、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼合することを特徴とする包装材料積層体の製造方法。 - 金属箔、金属または金属酸化物の蒸着膜、ガスバリア性を有する樹脂組成物層からなる群の中から選択された1つ以上のガスバリア層と、ヒートシール性を有する第1の基材とを含み、前記ヒートシール性を有する第1の基材が、シーラント層として最内層となるように製造される包装体に用いられる包装材料積層体の製造方法であって、
該包装材料積層体は、その片面に露出された前記第1の基材と、それに隣接する熱可塑性樹脂フィルムからなる第2の基材とが、接着剤及びアンカーコート剤を介することなく積層されてなるものであり、
前記ヒートシール性を有する第1の基材が、未延伸ポリエチレン(PE)、又は未延伸ポリプロピレン(CPP)であり、前記第2の基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる群の中から選ばれた1種類であり、
前記第1の基材と前記第2の基材とを貼合する工程においては、前記第1の基材の接着面と、前記第2の基材の接着面には、いずれも大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質により熱接着性改質層が形成されてなる前記第1の基材及び前記第2の基材を用意し、前記第1の基材及び前記第2の基材の前記熱接着性改質層同士を対向させ、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく加熱圧着して、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼合することを特徴とする包装材料積層体の製造方法。 - 前記第1の基材と、前記第2の基材とを貼合するに際し、事前に、大気圧プラズマ処理装置を用いて樹脂フィルムの表面改質により熱接着性改質層が形成された前記第2の基材及び/又は前記第1の基材と、これと同一又は異なる種類の熱可塑性樹脂フィルムであってエアコロナ処理されてなる基準フィルムとを用い、前記第2の基材及び/又は前記第1の基材の熱接着性改質層が形成された面と、前記エアコロナ処理されてなる基準フィルムのエアコロナ処理面を対向させて、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく熱圧着させて試験積層体を得た後、該試験積層体の貼合面における接着力を測定して、前記第2の基材及び/又は前記第1の基材の熱接着性改質層の形成状態の良否を確認することを特徴とする請求項1または2に記載の包装材料積層体の製造方法。
- 大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材がポリアミド(PA)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを用い、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が9.8N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材が未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを用い、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材がポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを用い、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材がポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを用い、温度140℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が3.9N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材がエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理された未延伸ポリエチレン(PE)樹脂フィルムを用い、温度160℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となることを確認し、
大気圧プラズマ処理装置を用いて熱接着性改質層が形成される基材が未延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂フィルムである場合には、前記基準フィルムとしてエアコロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを用い、温度190℃、加圧力0.4MPaで10秒間保持して加熱圧着させたときの接着力が、JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法で測定した値が5.9N/25.4mm以上となることを確認することを特徴とする請求項3に記載の包装材料積層体の製造方法。 - 前記第2の基材は、ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂フィルムからなり、前記ガスバリア層を兼ねていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の包装材料積層体の製造方法。
- 前記積層体において前記第1の基材を包装体の内面側としたときの前記第2の基材より外側にある各層を前記第2の基材と積層する工程は、前記第1の基材と前記第2の基材との前記加熱圧着による貼合工程に先立って実施するとともに、該貼合工程後に積層体を常温で10日〜1ヶ月間、または40〜60℃で1〜3日間静置するエージング工程を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の包装材料積層体の製造方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載の包装材料積層体の製造方法により製造された包装材料積層体。
- 金属箔、金属または金属酸化物の蒸着膜、ガスバリア性を有する樹脂組成物層からなる群の中から選択された1つ以上のガスバリア層と、ヒートシール性を有する第1の基材とを含み、前記ヒートシール性を有する第1の基材が、シーラント層として最内層となるように製造される包装体に用いられる包装材料積層体であって、
該包装材料積層体は、その片面に露出された前記第1の基材と、それに隣接する熱可塑性樹脂フィルムからなる第2の基材とが、接着剤及びアンカーコート剤を介することなく積層されてなるものであり、
前記ヒートシール性を有する第1の基材が、未延伸ポリエチレン(PE)、又は未延伸ポリプロピレン(CPP)であり、前記第2の基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる群の中から選ばれた1種類であり、
前記第1の基材の接着面と、前記第2の基材の接着面のいずれか一方には、大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質により熱接着性改質層が形成され、他方にはエアコロナ処理がされ、かつ、前記第1の基材と前記第2の基材とが、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく加熱圧着して貼合されていることを特徴とする包装材料積層体。 - 金属箔、金属または金属酸化物の蒸着膜、ガスバリア性を有する樹脂組成物層からなる群の中から選択された1つ以上のガスバリア層と、ヒートシール性を有する第1の基材とを含み、前記ヒートシール性を有する第1の基材が、シーラント層として最内層となるように製造される包装体に用いられる包装材料積層体であって、
該包装材料積層体は、その片面に露出された前記第1の基材と、それに隣接する熱可塑性樹脂フィルムからなる第2の基材とが、接着剤及びアンカーコート剤を介することなく積層されてなるものであり、
前記ヒートシール性を有する第1の基材が、未延伸ポリエチレン(PE)、又は未延伸ポリプロピレン(CPP)であり、前記第2の基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる群の中から選ばれた1種類であり、
前記第1の基材の接着面及び前記第2の基材の接着面には、いずれも大気圧プラズマ処理装置を用いた表面改質により熱接着性改質層が形成され、かつ、前記第1の基材と前記第2の基材とが、接着剤及びアンカーコート剤を塗布することなく加熱圧着して貼合されていることを特徴とする包装材料積層体。 - 前記第2の基材は、ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂フィルムからなり、前記ガスバリア層を兼ねていることを特徴とする請求項8または9に記載の包装材料積層体。
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