以下、図1〜図22に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
本実施形態の信頼性評価試験システムは、信頼性評価試験装置10とアライナー50とを備え、これら両者はデータ通信可能に通信ネットワークで結ばれている。そこで、まず本実施形態の信頼性評価試験装置10について説明した後、アライナー50について説明する。
本実施形態の信頼性評価試験装置10は、図1の(a)、(b)及び図2に示すように、後述のコンタクタ11(図3の(a)、(b)参照)と電気的に一括接触したウエハを収納するウエハ収納部12と、このウエハ収納部12の上方に配置され且つコンタクタ11を押圧する押圧機構13と、この押圧機構13を介して押圧されたウエハを直接加熱する加熱機構14(図2参照)と、この加熱機構14を介して加熱されたウエハの電気的測定を行う測定部15と、この測定部15の測定用信号を生成すると共に測定結果信号を処理するテスタ部16と、ウエハの温度を制御する温度コントローラ17と、テスタ部16を管理するテスタ管理部18と、これらの機器を収納する筐体19と、この筐体19内の各機器を制御するコントローラ20(図1の(b)参照)とを備え、温度、電流密度等の加速条件下で上記半導体ウエハに形成された配線膜、絶縁膜の信頼性を評価する。コントローラ20は、図1の(b)に示すように、デスクトップタイプのコンピュータによって構成され、筐体19に隣接して配置されている。コンピュータのモニタ画面20Aには例えば試験結果がウエハマップ(図16参照)として表示され、ウエハマップの各デバイスをマウス20Bでクリックすることによってその試験結果をモニタ画面20Aに瞬時表示することができる。更に、コントローラ20は後述するアライナーとのデータ通信機能を有し、信頼性評価試験の結果をアライナーへ送信することができる。また、ウエハ収納部12はスライド機構21を介して筐体19に対して図1の矢印A方向に出し入れできるようになっている。また、測定部15は例えばエレクトロマイグレーション(EM)測定部15Aと、リーク電流(BT)測定部15Bとから構成され、テスタ部16はこれらの測定部15A、15Bに対応して構成されている。この信頼性評価試験装置10の構造の要部を示したものが図2である。
上記ウエハ収納部12は、例えば図2に示すように、コンタクタ11と電気的に一括接触したウエハWを後述する加熱体を介して載置する断熱、絶縁性材料からなる載置台22と、この載置台22を断熱性及び絶縁性材料からなる筒体23を介して囲み且つコンタクタ11と耐熱性の接触端子(例えば、ポゴピン)24Aを介して電気的に接触する耐熱性の接続リング24と、この接続リング24と電気的に接触し且つ測定部15からの試験用信号を授受する配線基板25とを備え、押圧機構13を介してコンタクタ11とウエハWが確実に電気的に一括接触すると共にコンタクタ11が接続リング24及び配線基板25を介して測定部15と導通可能に構成されている。
また、図2に示すように、接続リング24の外周縁部には例えばシリコンゴム等の耐熱性樹脂からなるシールリング26が配置され、このシールリング26とコンタクタ11が弾力的に接触してウエハ収納部12内に気密空間を形成する。更に、ウエハ収納部12は、コンタクタ11の外周縁部を押さえる押さえ機構27を備え、押さえ機構27を介してコンタクタ11と接続リング24が確実に電気的に接触する。この押さえ機構27は、例えば、耐熱性材料(例えば、セラミック)によってコンタクタ11の外周縁部に合わせて形成された第1リング状部材27Aと、このリング状部材27Aと略同一大きさに形成された第2リング状部材27Bと、第1、第2リング状部材27A、27B間に介在する耐熱性バネ部材27Cと、第2リング状部材27Bと一体的に形成され且つウエハ収納部12の後方でヒンジ結合されたアーム27Dと、このアーム27Dを支持する一対のガススプリング(図示せず)とを備え、ガススプリングの働きで第1、第2リング状部材27A、27Bが軽い力で開閉するようになっている。また、この押さえ機構27はロック機構27Eを備え、ロック機構27Eを介して第1、第2リング状部材27A、27Bをコンタクタ11の外周縁部に固定する。従って、ウエハ収納部12は、一体化したコンタクタ11及びウエハWを収納し、押圧機構13及び押さえ機構27を介してコンタクタ11を押圧すると、内部が外部から断熱され、気密を保つ構造になっている。
また、例えば図2に示すよう載置台22には上下方向に貫通する一対の給排気孔22A、22Bがそれぞれ形成され、給気孔22Aから窒素ガス等の不活性ガス及び/また水素ガス等の還元性ガスを供給してウエハ収納部12内のコンタクタ11とウエハWの接触部という極めて限られた最小限の空間に不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気を形成し、排気孔22Bから不活性ガス及び/また還元性ガスを排気する。還元性ガスを供給する場合には不活性ガスに所定量の還元性ガスを添加することが好ましい。ウエハ収納部12内の狭い空間で不活性ガス雰囲気及び/また還元性ガス雰囲気を形成することによってウエハWに形成された銅配線等の酸化されやすい金属配線の高温下での酸化を防止し、あるいは金属酸化膜を還元することができ、しかも不活性ガス及び/また還元性ガスの供給量を最小限に抑えることができる。また、ウエハ収納部12は気密構造になっているため、不活性ガス及び/また還元性ガスで空気を置換すると酸素濃度を銅等の酸化されやすい金属配線またはパッドの酸化を防止し得る濃度、例えば10ppm以下、具体的には1〜5ppm以下まで下げることができる。酸素濃度はウエハ収納部12内に配置された従来公知の酸素センサ(図示せず)を介して検出し、この検出信号に基づいて筐体19内に配設された酸素濃度測定部28(図1参照)において酸素濃を算出する。従って、従来のように試験用パッドに酸化防止用のアルミパッド層を設ける必要がない。還元性ガスで置換すれば高温下で金属酸化膜を還元するため、試験直前までに形成された金属酸化膜を還元し、ウエハWとコンタクタ11間の電気的な導通を確実に取ることができる。
上記押圧機構13は、図1に示すように、筐体19内に挿入されたウエハ収納部12の真上に固定されている。この押圧機構13は、図1、図2に示すように、コンタクタ11を押圧する押圧板13Aと、この押圧板13Aの上面に下端が連結された金属製のベローズ13Bと、このベローズ13Bの上端に連結され且つベローズ13Bを支持する支持板13Cと、この支持板13Cに連結され且つ筐体19内で垂下して固定されたシリンダ機構13Dとを備えている。また、図2に示すように支持板13Cには貫通孔13Eが形成され、この貫通孔13Eから圧縮空気を供給し、押圧板13A、ベローズ13B及び支持板13C内を加圧する。この加圧によりシリンダ機構13Dを介して降下した支持板13Cからベローズ13Bが下降に伸び、押圧板13Dを介してコンタクタ11を押下し、コンタクタ11全面を均等に押圧することによってコンタクタ11のバンプとウエハWの電極パッドを確実に一括接触させることができる。また、図2に示すように押圧板13Aの下面中央には後述する補助加熱体が固定され、ウエハWをコンタクタ11側からも加熱する。また、押さえ機構27は、上述したようにウエハ収納部12の後方でヒンジ結合され、ガススプリング等の補助機構を介して開閉自在に構成され、一体化したコンタクタ11とウエハWをウエハ収納部12内に載置した後、前方に倒し、ロック機構27Eを介してウエハ収納部12内のコンタクタ11周縁部に対して水平に接合して図2に示すようにウエハ収納部12に収納されたコンタクタ11の外周縁部を押さえる構造になっている。
上記加熱機構14は、載置台22上に配置され且つウエハWを下面側から加熱する加熱体29を主体に構成され、ウエハW全面を均一に加熱する。更に、この加熱体29は、例えば、載置台22上の中央部に配置された円形状の第1加熱部29Aと、第1加熱部29Aを囲むリング状の第2加熱部29Bとからなり、第1加熱部29Aを介してウエハWの中央部を加熱すると共に第2加熱部29Bを介してウエハWの外周縁部を加熱する。第2加熱部29BがウエハW外周縁部からの放熱分を補完する役割を果たしている。加熱体29はウエハW全面を均一に加熱できれば第1加熱部29A及び第2加熱部29Bとして分割しなくても良い。また、加熱機構14は、加熱体29の他に、コンタクタ11の上面から接触する円盤状の補助加熱体29Cを備え、加熱体29と協働してウエハWをより確実に所定の高温まで加熱し、その温度を維持する。この加熱機構14は上述したようにウエハWを上下両面から直接加熱し、しかも加熱空間が極めて限られているため、ウエハWを短時間で目標温度まで加熱することができ、しかもウエハWを160℃以上、最大で350℃の高温まで加熱、維持し、高温下でウエハWの金属配線のエレクトロマイグレーション及びリーク電流等を高精度に測定することができる。この加熱機構14は、ウエハWを160℃以上に加熱した時にはウエハW全面の温度分布を±2.0℃以内で温度制御し、ウエハW全面を均一に加熱することができる。従って、例えば配線材料として銅を用いた場合にも高温、高密度電流の加速条件下で信頼性評価試験を行い、配線、絶縁膜を高精度で評価することができる。
また、上記ウエハ収納部12を構成する配線基板25は筐体19の奧側(図2の右側)に延長され、この延長部分25Aの上下両面それぞれに外部接続端子(図示せず)が形成されている。一方、図1に示すEM測定部15A及びBT測定部15Bの接続基板15C、15Dが図2に示すように延長部分25Aを挟むように配置され、これらの接続基板15C、15Dは駆動機構(図示せず)を介して延長部分25Aの上下両面の外部接続端子と交互に電気的に接触し、EM測定部15AとBT測定部15B間を交互に切り換える。即ち、接続基板15C、15DはEM測定部15AとBT測定部15B間の切換機構として機能する。これらの測定部15A、15Bそれぞれは例えば512チャンネルを有するボードからなり、512個のデバイスを同時に測定することができる。
上記コンタクタ11とウエハWは、図2に示すように異方性導電性シート31を介して一括接触している。コンタクタ11のバンプ及びウエハWの電極パッドは円形または多角形、またはこれらの組み合わせのいずれかが好ましい。バンプのピッチ方向の最大長はウエハの電極パッドのピッチサイズ以下が好ましく、例えば直径が約75μmの大きさに形成され、それぞれの中心を基準として約120μmの間隔を空けて形成されている。一方、異方性導電性シート31は、コンタクタ11のバンプ及びウエハWの電極パッドに高低差があっても、この高低差を吸収し得る弾性構造を有している。このような異方性シート31としては、例えばゴアメイト(ゴア社製の商品名)が好適に用いられる。ゴアメイトは、例えば図7の(a)、(b)に示すように、四フッ化エチレン樹脂シート31Aと、この四フッ化エチレン樹脂シート31A全面を所定間隔(例えば、70μm)を空けて均等に貫通するニッケル微粒子の集合体(例えば、直径が25μm)31Bとから形成されている。集合体31Bは金微粒子が集合して形成されているため、集合体31Bに圧力が掛かるとニッケル微粒子が圧密状態になる。従って、コンタクタ11とウエハW間に異方性導電性シート31を介在させるだけでコンタクタ11のバンプとウエハWの電極パッドは異方性導性シート31を介して弾力的に一括接触し、両者11、W間の導通を確実に取ることができる。このゴアメイトは通常使い捨てにする。また、図2、図7において、32は例えば鉄系材料等の磁性材料からなるウエハホルダーである。尚、コンタクタ11のバンプとウエハWの電極パッドをアライメントする際には後述のアライナーを用いることができる。
而して、上記コンタクタ11は、例えば図3の(a)、(b)に示すように、後述の材料によって形成された耐熱性基板11Aと、この耐熱性基板11Aの上面に例えば銅または銅合金等の導電性金属によって形成された導体回路11Bと、この導体回路11Bと一体的にそれぞれ複数ずつ形成されたバンプ11C及びウエハW用の接続パッド部11Dと、信頼性評価試験装置10の接続リング24のポゴピン24Aと電気的に接触する接続用パッド部11Eと、これらのバンプ11C、接続パッド部11D及び接続用パッド部11E以外の部分を被覆する絶縁性被膜11Fとを備え、160℃以上の温度で信頼性評価試験を行う際に好適に使用される。絶縁性被膜11Fを設けることで、コンタクタ11とウエハW間の余分な電気的接触を防止し、コンタクタ11とウエハW間で安定した電気的導通を取ることができる。耐熱性基板11Aは、高温下での熱膨張率が極めて小さく、160℃以上の温度下でコンタクタ11の平面方向の熱膨張率が1〜50ppm/℃、好ましくは2〜30ppm/℃の材料によって形成されている。そして、耐熱性基板11Aは、160℃以上、例えば350℃の高温下であってもウエハWの熱膨張との間に殆どズレがなく一括接触状態を維持して確実に電気的導通を取ることができ、信頼性評価試験を確実に行うことができる。この耐熱性基板11は、例えばポリイミド、ビスマレイミドトリアジン等の耐熱性樹脂、補強材(例えば、ガラスクロス、炭素繊維等)入りの耐熱性樹脂、アルミニウム、銅、ステンレス、インバー合金、インバー等の金属、シリコン等の導体及び窒化アルミニウム、炭化珪素等を主体としたセラミックの中から選択される少なくとも一種の材料によって形成されている。これらの材料を二種以上用いる場合には適宜組み合わせて耐熱性基板11Aを形成することができる。絶縁性被膜11Fを形成する材料は特に制限されないが、例えばポリイミド系樹脂等の耐熱性樹脂が好ましく用いられる。絶縁性被膜11Fは信頼性評価試験を行う際に導通する部分を除いた表面に形成されていれば良い。また、図4に示すように耐熱性基板11Aの種類に応じてその表面にシリコン酸化膜等の絶縁層11Gを設けても良い。
また、上記コントローラ20は、表示装置にウエハWの試験結果をウエハマップ(図16参照)として表示することができると共に、データ通信回線(図示せず)を介してアライナー50に試験結果を送信できるようになっている。
而して、上記アライナーは例えば図5の(a)、(b)に示すように構成されている。このアンライナー50は、図5の(a)に示すように、ウエハWを収納し且つウエハWをロード、アンロードするローダ室51と、このローダ室51に隔壁を介して隣接し且つウエハWとコンタクタ11とを位置合わせ(アライメント)するアライメント室52とを備え、ウエハWからコンタクタ11とを一括接触させるためにこれら両者のアライメントを行うように構成されている。そして、図示してないがローダ室51には搬送機構(ピンセット)及び予備位置合わせ機構(サブチャック)がそれぞれ配設され、ピンセットを介してキャリア内からウエハWを一枚ずつ搬送し、搬送過程でサブチャック上でオリフラまたはノッチを基準にしてウエハWを予備位置合わせ(プリアライメント)した後、ピンセットを介してウエハWをアライメント室52へ搬送するようにしてある。
また、図5の(a)に示すように上記アライメント室52にはヘッドプレート53が開閉可能に取り付けられ、このヘッドプレート53にコンタクタ11を装着し、開閉駆動機構54を介してアライメント室52の上面開口を開閉する。このヘッドプレート53の中央にはコンタクタ11より小径の第1開口部53Aが形成され、その内面(図5では開放されて上向きになっている)にはコンタクタ11を固定する固定機構53Bが第1開口部53Aを囲むように4個配設されている。この固定機構53Bは、例えば同図の(b)に示すように、第1開口部53Aの周囲4箇所に形成された凹陥部53C内に枢着された押さえ部材53Dと、押さえ部材53Dの基端部に連結されたエアシリンダ53Eとを備えている。エアシリンダ53Eが駆動すると押さえ部材53Dが反時計方向に回転して第1開口部53Aに載置されたコンタクタ11をヘッドプレート53に固定する。
また、図5の(a)に示すようにアライメント室52内のヘッドプレート53の下方にはX、Y、Z及びθ方向で移動可能なメインチャック55が配設され、このメインチャック55上にウエハホルダー32を介してウエハWを載置する。メインチャック55はXYステージ56を介してX、Y方向に移動する。このメインチャック55は回転昇降機構(図示せず)を内蔵し、回転昇降機構を介してXYステージ56上で昇降すると共にθ方向に正逆回転する。そして、ローダ室51内のピンセットを介してプリアライメント後のウエハWをアライメント室52内のメインチャック55上の予め載置された鉄系合金等の磁性材料からなるウエハホルダー32上へ移載する。このウエハホルダー32は後述するウエハ搬送具で一体化したウエハWとコンタクタ11を搬送する時に機能する。
アライメント室52内には図示しないアライメント機構が配設され、このアライメント機構はアライメントブリッジに固定された上カメラと、メインチャック55側に固定された下カメラとを備え、これらのカメラでによる撮像画像を表示装置57に表示する。この表示装置57の表示画面にはタッチパネルも表示し、画面上でアライナー50を操作することができる。そして、メインチャック55を移動させて上カメラでウエハWの電極パッドを撮像すると共にメインチャック55を移動させて下カメラでヘッドプレート53に装着されたコンタクタ11のバンプ(図3参照)を撮像し、これらの画像データに基づいてウエハWの電極パッドとコンタクタ11のバンプをアライメントする。このアライメント機構としては例えば特願平10−54423号において提案した技術を用いることができる。また、開閉駆動機構54はアライメント後にヘッドプレート53を何回開閉してもコンタクタ11とウエハWとが狂い無く一括接触するように構成されている。
また、上記表示装置57の表示画面には上記信頼性評価試験装置10とのデータ通信によって送信されてくる信頼性評価試験結果をウエハマップ(図16参照)として表示できる。ウエハマップには試験結果が数値で表示される。そして、ウエハマップを介して試験後の不良個所とその様子を選択し、この不良デバイスを顕微鏡で観察できるようになっている。即ち、ヘッドプレート53には第1開口部53Aに隣接させた第2開口部53Fが形成されている。この第2開口部53Fの表面には顕微鏡(例えば、最高倍率が2000倍以上)(図示せず)が装着され、この顕微鏡を介してメインチャック55上に載置されたウエハWの各デバイスを観察できるようになっている。従って、信頼性評価試験装置10において試験を行ったウエハWをアライナー50のメインチャック55上に載置した後、信頼性評価試験装置10からの試験結果をアライナー50へ通信回線を介して送信する。そして、試験結果を表示装置57の表示画面にウエハマップとして表示し、試験に用いたデバイスを画面上で選択すれば、メインチャック55の操作によってこの試験後のデバイスを顕微鏡の真下に移動させ、顕微鏡によってエレクトロマイグレーション現象によるボイド等をウエハ状態のまま観察することができる。
而して、アライナー50において一括接触したウエハWとコンタクタ11はウエハ搬送具60を介して信頼性評価試験装置10まで搬送される。このウエハ搬送具60は、例えば図6に示すように、ケース61内に設けられた磁気回路(図示せず)と、この磁気回路を開閉操作するためにケース61に枢着された操作レバー62と、この操作レバー62の左右に配置してケースに取り付けられた一対の取っ手63とを備えている。尚、磁気回路に代えて磁石を用い、磁石を操作レバー62によって昇降するようにしても良い。従って、ヘッドプレート53の第1開口部53Aからウエハ搬送具をコンタクタ11上に載置した状態でハンドル操作を行うと、磁気回路が励磁してウエハホルダー32を強力に吸着し、図6に示すようにコンタクタ11、異方性導電性シート31及びウエハWを位置ズレすることなく一体化する。
次に、図5〜図17を参照しながら本発明の信頼性評価試験方法の一実施形態を上記信頼性評価試験システムの動作と共に説明する。まず、アライナー50を用いてコンタクタ11のバンプとウエハWの電極パッドを位置合わせする。それには開閉駆動機構54を介してヘッドプレート53を開き、ヘッドプレート53の内面側から第1開口部53Aにコンタクタ11を固定機構53Bを介して装着すると共にメインチャック55上にウエハホルダー32を載置する。次いで、開閉駆動機構54を介してヘッドプレート53を閉じる。その後、ローダ室51内でピンセット及びサブチャックを介してウエハWをプリアライメントした後、ピンセットを介してウエハWをウエハホルダー32上へ載置する。引き続き、XYステージ56及び回転昇降機構が作動すると共にアライメント機構が作動し、ウエハWの電極パッドとコンタクタ11のバンプのアライメントを行う。アライメント終了後、ヘッドプレート53を一旦開き、アライメント後のウエハW上に異方性導電性シート31を配置する。次いで、開閉駆動機構54を介してヘッドプレート53でアライメント室52の開口部を閉じると、メインチャック55が回転昇降機構が駆動して上昇し、コンタクタ11のバンプとウエハWの電極パッドが異方性導電性シート31を介して一括接触し、ウエハホルダー32を含むシェルとして一体化する。
その後、オペレータがヘッドプレート53の第1開口部53Aからウエハ搬送具60をコンタクタ11上に載置し、ウエハ搬送具60の操作レバー62を介して磁気回路を励磁してコンタクタ11側からウエハホルダー32を強力な磁力によって吸着し、コンタクタ11、異方性導電性シート31、ウエハW及びウエハホルダー32を位置ズレさせることなく一体化して固定する。そして、固定機構53Bを解除しヘッドプレート53を開いた後、ウエハ搬送具60をシェルと一緒にメインチャック55上から取り外した後、ウエハ搬送具60を持って信頼性評価試験装置10まで搬送し、その筐体19から引き出されたウエハ収納部12の加熱体29上に載置する。次いで、ウエハ収納部12の押さえ機構27をハンドル操作によって倒してウエハ収納部12内のコンタクタ11を外周縁部から接続リング24上のシールリング26に押圧して固定する。この操作によってウエハWがウエハホルダー32を介して載置台22上の加熱体29と仮接触する。また、コンタクタ11の外周縁部が接続リング24上のシールリング26と弾接して気密状態を形成すると共に接続リング24のポゴピン24Aと弾接し、コンタクタ11と接続リング24が電気的に接触する。次いで、ウエハ搬送具60の操作レバー62を介して磁気回路を消磁してシェルを解放し、ウエハ搬送具60をコンタクタ11から外した後、ウエハ収納部12を筐体19内に押し込む。
然る後、コントローラ20を介して押圧機構13のシリンダ機構13Dが駆動すると共に貫通孔13Eからベローズ13B内に圧縮空気を圧入すると、シリンダ機構13Dを介して押圧板13A及びベローズ13Bと一緒に下降し、押圧板13A下面の補助加熱体29Cが押さえ機構27の内側に嵌入する。押圧板13Aが下降端に達して押圧板13A下面の補助加熱体29Cがコンタクタ11と接触する。この時、図7の(a)に示すようにベローズ13B内の加圧空気の圧力によって同図の矢印方向で示すように押圧板13Aが補助加熱体29Cを介してコンタクタ11の中央部を押下し、コンタクタ11をウエハWに対して全面均等に圧接させる。
押圧板13A及び押さえ機構27からの押圧力でコンタクタ11のバンプ11CとウエハWの電極パッドは異方性導電性シート31を介して電気的に一括接触する。この際、図7の(b)に示すようにコンタクタ11が僅かに波打った状態に変形していてもベローズ13B内の加圧空気で補助加熱体29Cを介してコンタクタ11の変形を同図の(a)及び図2に示すように矯正し、異方性導電性シート31の働きと相俟ってコンタクタ11の全バンプとウエハWの全電極パッドが確実に均等な押圧力を持って電気的に一括接触する。信頼性評価試験に際しては512チャンネルを用いて512個のデバイスを一度に測定することができるため、加熱炉を使用する従来方法に比べて試験時間を格段に削減することができる。
上述した様態でウエハ収納部12内には給気孔22Aから不活性ガスを所定時間(例えば、約30分)供給すれば、ウエハ収納部12内の空気を排気孔22Bから排気し、ウエハ収納部12内に不活性ガス雰囲気を形成して酸素濃度を10ppm以下、具体的には1〜5ppm以下まで下げることができる。この酸素濃度になればウエハWの電極パッド及び金属配線が例えば酸化しやすい銅または銅合金によって形成されていても金属の酸化を確実に防止する。例えば、図8の(a)に示すように最近使用されている銅、銅合金からなるパッドPの場合には、ウエハWに銅、銅合金のパッドPを形成してから試験まで長い日数放置しておくと、パッドPの表面に酸化膜が形成され、電気的な導通を取り難い場合がある。このような場合であっても窒素ガス等の不活性ガスをウエハ収納部12内に予め供給し、不活性ガス雰囲気を形成して酸素濃度を数ppm程度まで下げた後に加熱すれば、その状態で加圧してコンタクタ11とウエハWとの電気的接続が良くなる。また、パッドPの表面の酸化が著しく進んでいる場合には、窒素ガス等の不活性ガスに水素ガス等の還元性ガスを数%程度添加して供給すれば、200℃以上の加熱下でパッドPの酸化膜を還元性ガスで還元し、コンタクタ11との電気的接続が良好になる。このようにコンタクタ11とウエハWの電気的導通が良好になった後、押圧機構13を介してコンタクタ11を加圧すれば、コンタクタ11とウエハWが電気的に確実に接続され、信頼性の高い信頼性評価試験を行うことができる。この際、窒素ガス等の不活性ガスや水素ガス等の還元性ガスは排気孔22Bから排気されるが、ウエハ収納部12内の最小限の空間に不活性ガス雰囲気を形成するため、これらのガスの使用量を最小限に抑制することができる。
このように本実施形態ではウエハレベルで信頼性評価試験を行うことができるため、加熱炉を使う従来の方法で行っていたウエハのダイシング工程及びアッセンブリ(パッケージング)工程を全て省略することができ、試験時間の短縮及び試験コストを格段に削減することができる。殊に、アセンブリ工程では銅、銅合金からなるパッドPに直接ワイヤーをボンディングすることが難しいため、図8の(b)に示すようにアルミニウムのバリア層B及びパッド層P1を設けた後、ワイヤーLをボンディングする必要がある。ところが、本実施形態ではウエハ収納部12内の酸素濃度を数ppm程度まで下げることができるため、上述のように従来のアルミニウムのバリア層B及びパッド層P1を省略することができ、試験コストを更に削減することができる。従来方法でアルミニウムパッド層の他に、アルミニウムのバリア層が必要になるのは、加熱炉は一般的に気密性が良くないため、銅、銅合金のパッド部が試験中に酸化し、電気的導通が取れなくなるからである。
次いで、加熱機構14が作動すると、加熱体29及び補助加熱体29Cが昇温し、これら両者29、29CでウエハWを上下から直接加熱する。このようにウエハWを加熱体29と補助加熱体29Cで挟んで上下から加熱するため、ウエハWを目標温度(最大350℃)まで短時間(例えば、1時間以内)で昇温することができ、しかも、ウエハ収納部12が断熱構造になっているため、ウエハ収納部12内からの放熱による温度低下を格段に抑制することができ、ウエハWを目標温度で維持することができる。仮に、コンタクタ11の外周縁部からの放熱があっても加熱体29は個別に機能する第1、第2加熱部29A、29Bによって構成されているため、外側の第2加熱部29Bの働きでコンタクタ11の外周縁部からの放熱分を確実に補ってウエハW全面を目標温度に維持することができる。この際、ウエハW面内の温度分布を160〜350℃の範囲で±2.0℃以下に抑制することができる。
而して、高温下でエレクトロマイグレーション試験を行う場合には、図2に示すようにEM測定部15Aの接続基板15Cを配線基板25の延長部分25Aの外部接続端子に接触した後、EM測定部15Aを介してウエハW内の512個のデバイスについて同時にエレクトロマイグレーション測定を実施し、テスタユニット16において試験結果を解析する。この場合、ウエハWを350℃の高温を安定的に維持することができるため、例えば各デバイスの銅配線の金属原子の移動を誘起し易く、短時間で試験結果を得ることができ、ウエハWの各デバイスを短時間で評価することができる。
エレクトロマイグレーション試験を行うに際して電流を印加する場合には、本実施形態ではEM測定部15Aを介して直流、パルス直流及び交流の三種類の電流を印加することができる。従来の加熱炉を使用する方法の場合には電流の印加方式は直流のみ、あるいはパルス直流または交流のみであるが、本実施形態の信頼性評価試験装置10は一台で三種類の電流印加方式に対応することができる。
これら三種類の電流を印加する場合には試験パターンとして例えば図9の(a)、(b)に示すウエハW上に形成された試験パターンが用いられる。これらの試験パターンは通常最も頻繁に使用されるものである。基本的な試験パターンは、同図の(a)に示すように電子の流れに対して上流端に接続孔を有する片終端タイプの試験パターンと、同図の(b)に示すように電子の流れの上流端と下流端それぞれに接続孔を有する両終端タイプの試験パターンとがある。同図の(a)に示す片終端タイプの試験パターンの場合には電子が下層配線から接続孔を介して上流の配線に流れる時に用いられる。試験配線の長さLは通常加速試験電流密度として0.5〜2.0MA/cm2を用いるが、この際バックフロー効果が起きない長さに試験配線を設定する必要がある。配線長さLは50μm以上あれば十分であるが、例えば100〜200μmが好ましい。また、試験配線幅はデバイスや対象としている検討内容によっても変わる。更に、試験を行う配線廻りにはダミーの配線が通常デバイスの片側に10本、両側で20本程度配置されている。これらのダミー配線は、試験配線が細い時にウエハプロセスのフィソグラフィー工程での近接効果を回避して目標の配線幅に仕上げるためと、エレクトロマイグレーション試験時に配線から配線材料である金属が吹き出し(Extrusion)を検知するために配置してある。試験は基本的には四端子測定を行い、吹き出しモニターで監視する。
まず、直流を用いる場合には、図9の(a)の片終端タイプの試験パターンを使用し、配線長Lは100μmに設定されたものを使用する。試験配線が銅、銅合金の場合には250〜350℃の試験温度を使用することが好ましい。配線がアルミニウム、アルミニウム合金の場合には150〜250℃の試験温度が好ましい。印加電流密度は、ジュール発熱による温度上昇を起こさないようにするために0.5〜3MA/cm2程度が好ましい。図9の(a)に示す試験パターンを用いた時の相対抵抗値の変化の様子を図10に示した。この図からも明らかなように、抵抗値が全く上昇しない時間(Incubation Time)が長くあり、その後、急激に抵抗値が上昇(Growth Time)していることが判る。この時、例えば抵抗値が10%、20%に上昇した時点での時間を不良に至る時間(Time To Failure)と定義し、同じ試験パターンを用いて例えば30個同時に試験をした場合、その累積不良のグラフを示したのが図11である。図11では統計上の分布としては対数正規分布を用いているが、信頼性評価試験装置10はワイブル分布、正規分布も対数正規分布と同様に出力することができる。図11において、50%不良に至る時間をMTF(Median Time to Failure)と定義し、直線近似した時の傾きの逆数がエレクトロマイグレーションのバラツキとなる。これらの二つの値はLSIのエレクトロマイグレーション寿命を予測する上で非常に重要なパラメータになる。
パルス直流を用いる場合には、例えば図12に示すパルス直流を印加する。ここで重要なのはパルス周波数である。パルス周波数としては例えば50KHz〜10MHz程度必要であり、本実施形態の信頼性評価試験装置10はこれに対応している。パルス直流によるエレクトロマイグレーション試験時には、パルス周波数によって金属原子の移動モードが遷移することが知られている。今までの報告では、遷移する周波数は100KHz〜数MHzと云われている。従って、本実施形態の信頼性評価試験装置10は金属原子の移動モードを確実に測定することができる。また、交流電流を印加する場合には周波数と、図13に示すように周波数の正の領域と負の領域の面積を同一に保った状態でディーティ比(ton/tcycle)を変えることが重要である。これは、LSIの回路で頻繁に起きている金属原子の挙動を非常に類似しているからである。
ウエハW上でエレクトロマイグレーション試験を行う場合には512個のデバイスを同時に試験することができる。これに対し、従来の加熱炉を使用する従来方法の場合には多くても100個程度しか試験することができない。従って、試験能力が4、5倍向上する。また、ウエハW上の試験パターンの配置と信頼性評価試験装置10の試験パターンのグルーピング機能を使用することにより、高信頼化技術開発の観点から非常に重要なデータ、即ち配線幅依存性(主拡散パスの同定)(図14の(a)〜(c)参照)、臨界長さ(Lc:Critical Length)(図15の(a)参照)、Reservoir長依存(図15の(b)参照)等を一度に効率良く得ることができる。これに対し、従来の加熱炉を使用する従来方法の場合には各データ毎に何回もパーケージをセットしなくてはならず、試験が非常に煩雑で結果を得るまでに長時間を要していた。
また、ウエハレベルで試験を行うことによって信頼性に関係するアウトプットパラメータ、例えばTTFや初期抵抗値等がウエハW面内に如何なる状態で分布状態にあるかが図16に示すウエハマップとして出力され、その分布状態がすぐに判る。例えば図16中、二重の□でデバイスの出力結果は、図10に示した相対抵抗値の変化を示す図であり、図11に示した累積不良分布を示す図で、これらのグラフから相対抵抗値の時間に対する変化や時間に対する累積不良がすぐに判る。従って、試験結果に基づいて目的のデータを短時間で効率良く得ることができ、しかもテスタユニット16においてデータ解析を短時間で効率良く正確に行うことができる。これに対し、従来の加熱炉を使用する従来方法の場合にはウエハのダイシング後、デバイスを取り出してパッケージに入れる時にどのデバイスかを記入する等の手間が掛かる上に、記入ミス等の間違いが発生する虞がある。
また、エレクトロマイグレーション試験後には、試験結果を信頼性評価試験装置10からアライナー50へデータ通信で送信し、アライナー50に試験結果を取り込むことができる。アライナー50にはアライメント用のカメラと顕微鏡が設けられているため、アライメント室52内に試験後のウエハWをセットした後、アライメント機構を介して不良品を顕微鏡の真下に位置合わせすることで、ボイド等のエレクトロマイグレーションによる不良を即座に観察することができる。しかも512個の試験パターンを観察結果を画像として保存することができる。また、例えば、ウエハマップ上で抵抗挙動のおかしいものなどがあれば、その画像をすぐに表示装置57の画面に映し出すことができる。アライナー50は必要に応じてマニュアルモードでカメラを操作し、高倍率で不良部分及びその近辺を観察することができる。更に、予め抽出したい抵抗挙動、ボイドの発生箇所等を指定すれば、試験後にアライナー50によるボイド観察後、自動的にそれらをリストアップすることができる。これに対し、従来の加熱炉を使用する従来方法の場合にはパッケージ内からデバイスを取り出し、顕微鏡で一つ一つ観察しているため、観察に多大な労力と時間が必要である。
上記エレクトロマイグレーション試験を行う場合にはウエハW面内の温度分布を例えば160〜350℃の範囲で±2.0℃以内に制御する。エレクトロマイグレーション試験は温度と電流密度の加速条件下で行われ、試験結果としてMTF及びバラツキσを得る。更に、温度条件と電流密度条件を変えて加速パラメータであるEa(Activation energy)とn(Current exponent)を求め、最終的にJuse(Use current dentisy at operating condition)を求める。このJuseが大きいほど良いことになる。nはエレクトロマイグレーションの原理から1(growth timeの成分)〜2(incubation timeの成分)の間を取り、試験パターンの出来具合や相対抵抗の変化で何%を不良とみなすかで変わる。Eaは、拡散に対する活性化エネルギーで、試験パターンを如何なる材料とプロセスで形成するかで決まるものである。EaとnはウエハW側で決まるもので、信頼性評価試験装置10側で決まるものではない。これに対し、信頼性評価試験装置10の性能が影響するものとしてバラツキσがある。MTF及びσのJuseに対する影響の度合いを図17に示す。図17から判るように、バラツキσの影響は著しく大きい。換言すると、σが大きいと、例えばσが0.5以上になるとMTFがいくら長くても意味がない。バラツキσは、ウエハW(LSIの製造プロセス)に起因するものと、信頼性評価試験装置10に起因するものがある。信頼性評価試験装置10に起因するバラツキσが小さければ小さい程良い。信頼性評価試験装置10から発生するバラツキσとしてはウエハW面内の温度分布に起因するものと、電流のバラツキに起因するものの二種類がある。図18の(a)、(b)は、それぞれ電流のバラツキに起因するJuseロスと、温度分布(バラツキ)に起因するJuseロスを示したものである。これらの計算結果から判るように、温度分布によるロスが非常に大きいことが判る。このことから信頼性評価試験装置10では、加熱機構14を用いて極めて狭い空間でウエハW全面を直接且つ均等に加熱することにより、350℃の高温下でも温度分布を±2.0℃以内に抑制するようになっている。従って、信頼性評価試験装置10に起因するバラツキを格段に抑制することによって信頼性の高いエレクトロマイグレーション試験を行うことができる。
上述のエレクトロマイグレーション試験以外に、リーク電流測定(Bias-Temperature Testing:BT試験)またはTDDB(Time
Dependent Dielectric Breakdown)試験を行う場合には、切換機構を介してEM測定部15Aの接続基板15CをBT測定部15Bの接続基板15Dに切り換え、一台の装置で全く異なった試験を行うことができる。従って、従来のアセンブリ工程を省略することができると共に大量のデバイスを一度の試験することができ、試験コストの削減を実現することができると共に試験効率を格段に高めることができる。
リーク電流試験に用いる試験パターンの一例を図19の(a)〜(d)に示す。この場合の試験パターンは、同図に示すように基本的には櫛型パターンと異なる配線間での平面パターン若しくは配線パターンである。同図の(b)及び同図の(d)において、斜線で示した部分はそれぞれ同図(a)及び(b)に一点鎖線で示す方向からの配線の断面を示し、同図の(c)、(d)の□は上層配線との接続孔を示す。リーク電流試験ではウエハWをある温度に保って電圧を印加し、配線間のリーク電流の変化を時間の経過と共にモニターする。リーク電流がある一定の値に達した時点の時間が、そのサンプルの不良に至る時間になる。エレクトロマイグレーション試験の時と同様に、不良に至る時間の分布をプロットする。リーク電流試験の場合にはワイル分布が良く一致する。この場合もエレクトロマイグレーション試験の場合と同様に、大量のデバイスを一度の測定することができ、試験パターンによってそれぞれの試験結果のグルーピングを行うことができるため、一度に電界依存性等の複数の測定データを取得することができる。また、コンタクタ11を作製する時に、エレクトロマイグレーション試験用とリーク電流試験用のパッドは位置を同一コンタクタ11内に配置しておくことで、エレクトロマイグレーション試験とリーク電流試験を同時に行うことができる。但し、エレクトロマイグレーション試験とリーク電流試験の加速温度が同一温度に制限される。エレクトロマイグレーション試験とリーク電流試験の加速温度が異なる場合には、信頼性評価試験装置10を適宜使い分ける必要がある。
以上説明したように本実施形態によれば、耐熱性基板11A及び耐熱性基板11A上に形成された導体回路11Bを有し且つ160℃以上の温度で信頼性評価試験を行う際の耐熱性基板11Bの熱膨張率が1〜50ppm/℃であるコンタクタ11と、ウエハホルダー32と、このウエハホルダー32に載置されたウエハWとを備え、コンタクタ11の接続パッド部11DとウエハWの電極パッドに一括接触させた状態で、ウエハホルダー32、ウエハW及びコンタクタ11を一体化したため、信頼性評価試験装置10のウエハ収納部12に簡単に載置することができ、ウエハ収納部12において押圧機構13によってコンタクタ11とウエハWを押圧して電気的に確実に接続し、加熱機構14によってウエハWを加熱して160℃以上、例えば350℃の高温になってもウエハWとの熱膨張に殆ど差が無く、コンタクタ11とウエハW間の電気的接続を確実に取ることができ、ウエハレベルで100個以上、具体的には512個のデバイスをエレクトロマイグレーション試験やリーク電流試験等の信頼性評価試験を行うことができる。従って、従来のようにウエハWをデバイス単位にダイシングする工程及びそのアセンブリ工程を削減し、試験コストを削減することができると共に短時間で効率良く複数種の信頼性評価試験を行うことができる。
また、耐熱性基板の平面方向の熱膨張率が1〜50ppm/℃、好ましくは2〜30ppm/℃であるため、160℃以上の高温下でもコンタクタ11とウエハWの熱膨張による位置ズレを防止して、コンタクタ11のバンプ11Cや接続バッド部11DとウエハWの電極パッド部の電気的接続を確実に確保することができる。また、耐熱性基板11Aが耐熱性樹脂、金属、半導体及びセラミックの中から選択される少なくとも一種から形成されているため、耐熱性基板11の熱膨張率を1〜50ppm/℃の範囲に抑えることができる。また、耐熱性基板の耐熱性樹脂がポリイミド、ビスマレイミドトリアジンまたはガラスクロス若しくは炭素繊維を補強材として含む耐熱性樹脂の中から選択される少なくとも一種から形成され、耐熱性基板11Aの金属がアルミニウム、銅、ステンレス、インバー合金、インバーの中から選択される少なくとも一種から形成され、また、耐熱性基板のセラミックが窒化アルミニウムまたは炭化珪素から形成されていると、更にコンタクタ11の熱膨張を抑制することができる。
また、コンタクタ11のバンプ11Cや接続パッド部11E等の信頼性評価試験を行う際に導通する部分を除いた表面に絶縁性被膜11Fを設けたため、コンタクタ11とウエハW間の余分な電気的な接触を防止することができ、コンタクタ11とウエハW間で安定した電気的導通を確保して信頼性評価試験を確実に行うことができる。
また、耐熱性基板11Aとして例えばシリコンを用いる場合にはその表面に絶縁層11Gとしてシリコン酸化膜が形成されていることにより、耐熱性基板11Aと導体回路11Bとの絶縁性を確保することができ、安定した信頼性評価試験を行うことができる。
また、コンタクタ11の接続パッド部11EとウエハWの電極パッド部との間に異方性導電性シート31が介在しているため、コンタクタ11が僅かに波打った状態に変形していても押圧機構13と異方性導電性シート31によってコンタクタ11の全バンプとウエハWの全電極パッドが確実に均等な押圧力で電気的に一括接触させることができる。また、ウエハホルダー32が磁性材料を含んでいるため、ウエハ搬送具60でシェルを搬送する際にホルダー32を介してシェルが強固に一体化し、シェルとしてウエハ収納部12まで安定した状態で搬送することができ、延いては信頼性評価試験をより確実に行うことができる。
本発明のシェルを構成するコンタクタを製造する場合の方法及びその性能について図20〜図22を参照しながら具体的に説明する。
実施例1
本実施例では図3に示すコンタクタ11を製造する場合について説明する。まず、例えば平均粒径0.6μmの窒化アルミニウム粉末100重量部、平均粒径0.4μmのイットリア粉末4重量部、アクリル系樹脂バインダ12重量部及びアルコール20重量部からなる組成物のスプレードライを行って顆粒状の組成物粉末を調製した。次いで、この顆粒状の組成物粉末を金型に投入し、平板状に成形して成形体(グリーン)を得た。この成形体を1890℃、圧力15MPaで10時間ホットプレスし、厚さ5mmの窒化アルミニウム焼結体を得た。この焼結体から直径310mmの円板状に切り出して図20の(a)に示す耐熱性基板11Aを得た。この耐熱性基板11Aの平面方向の熱膨張率は4.5ppm/℃であった。
次いで、スパッタリング装置を用いて耐熱性基板11Aの表面に銅をスパッタリングし、図20の(b)に示すように厚さ5μmの銅薄膜11B1を形成した。更に、ラミネート用フィルム101で銅薄膜11B1をラミネートした後、ラミネート用フィルム101を露光、現像処理し、銅薄膜11B1が部分的に露呈する開口部101Aを有するエッチング用レジスト膜101として形成した(同図の(c)参照)。その後、55℃のHF/HNO3水溶液(HF/HNO3/水=1/1/2)を用いてエッチングレジスト膜101が形成された部分以外の銅薄膜11B1を除去した後(同図の(d)参照)、エッチング用レジスト膜101を除去して金属銅からなる導体回路11Bを形成した(同図の(e)参照)。
次いで、スピンコート法を用いて耐熱性基板11Aの主面(導体回路11Bの形成された方の面)にバンプ形成用の液体レジストを塗布した後、温度160℃で20分間乾燥させてレジスト塗膜を形成した。次いで、レジスト塗膜を露光、現像処理し、図21の(a)に示すようにバンプ形成用の開口部102Aを有するメッキ用レジスト膜102を形成した。次いで、無電解ニッケルメッキ浴内で開口部102Aから導体回路11Bに対してニッケルメッキ11C1を施した後(同図(b)参照)、同図の(c)に示すようにメッキ用レジスト膜102を除去してウエハWと接続するためのバンプ11Cを形成した。更に、導体回路11A及びバンプ11Cに対してニッケルメッキ膜103を施した(同図(d)参照)。
また、図22の(a)に示すようにスピンコート法を用いて予め粘度を30Pa・sに調整した感光性カルド型ポリマーの溶液をニッケルメッキ膜103及び耐熱性基板11Aの表面全面に塗布した後、温度160℃で20分間乾燥させ、フォトレジスト膜104を形成した。次いで、同図の(b)、(c)に示すようにバンプ開口部に相当する部分に黒円が描画されたフォトエッチング用マスクをフォトレジスト膜104上に載置した後、紫外線を400mJ/cm2の条件で照射してフォトレジスト膜104を露光、現像処理し、ウエハWと接続するための接続用開口104Aを形成した。更に、同図に(d)に示すように開口部104Aからバンプ11C及び導体回路11Bに貴金属(例えば、金)メッキ105を施した。これらの一連の処理により耐熱性基板11A上に導体回路11B及びバンプ11Cが形成されたことになる。また、図示してないが、上記一連の処理と同様にして、信頼性評価試験装置10のポゴピン24Aと接続するための接続用パッド部11Eを露出するための開口部を形成した(図3の(a)、(b)参照)。バンプは方形形状であり、ピッチ方向の最大の長さが75μmであった。
実施例2
本実施例では図4に示すコンタクタ11を製造する方法について説明する。例えば平均粒径1.1μmの炭化珪素粉末100重量部、焼結助剤の炭化硼素粉末0.5重量部、アクリル系樹脂バインダ12重量部及びアルコール20重量部からなる組成物のスプレードライを行って顆粒状の組成物粉末を調製した。次いで、この顆粒状の組成物粉末を金型に投入し、平板状に成形して成形体(グリーン)を得た。この成形体を2100℃、圧力17.6MPaで10時間ホットプレスし、厚さ3mmの炭化珪素製のセラミック基板を得た。このセラミック基板に1500℃で溶融した珪素溶液に浸漬し、セラミック基板に珪素溶液を含浸させた。次いで、このセラミック基板を表面から直径210mmの円板状に切り出して複合体基板を得た。この複合体基板の平面方向の熱膨張率は3.6ppm/℃であった。この複合体基板にガラスペースト(G−523N:昭栄化学工業(株)製)を塗布した後、600℃で1時間焼成して炭化珪素を主成分とする複合体基板の表面に厚さ2μmのシリコン酸化膜11Gを形成して耐熱性基板11Aを得た(図4参照)。そして、この耐熱性基板11Aの主面に導体回路11B等を上述した工程に準じて形成する。
即ち、スパッタリング装置を用いて耐熱性基板11Aの表面に銅をスパッタリングし、厚さ5μmの銅薄膜を形成した。更に、ラミネート用フィルムで銅薄膜をラミネートした後、ラミネート用フィルムを露光、現像処理し、銅薄膜が部分的に露呈するエッチング用レジスト膜として形成した。その後、55℃のHF/HNO3水溶液(HF/HNO3/水=1/1/2)を用いてエッチングレジスト膜が形成された部分以外の銅薄膜を除去した後、エッチング用レジスト膜を除去して金属銅からなる導体回路11Bを形成した。
次いで、スピンコート法を用いて予め粘度を30Pa・sに調整した感光性カルド型ポリマーの溶液を耐熱性基板11Aの主面全面に塗布した後、温度150℃で20分間乾燥させて感光性カルド型ポリマーの半硬化膜からなる樹脂層を形成した。次いで、ウエハWのパッド部及び信頼性評価試験装置10のポゴピン24Aとの接続用パッド部11Eに相当する開口部部分に黒円が描画されたフォトエッチング用マスクを上記樹脂層上に載置した後、紫外線を400mJ/cm2の条件で照射して上記樹脂層を露光、現像処理し、ウエハWと接続するための接続用開口部及び信頼性評価試験装置10のポゴピン24Aと接続するための接続用パッド部11Eを露出するための開口部を形成した。その後、250℃で120分間で樹脂層を本硬化させ、絶縁性被膜11Fを形成した。更に、金メッキ浴を用いて厚さ0.03μmの金層をパッド部に形成して図4に示すコンタクタ11を得た。
実施例3
本実施例では基板の材料としてガラスクロス入りのポリイミド基板(平面方向の熱膨張率が30ppm/℃)を使用した。この基板は、ガラスクロスにポリイミド樹脂を含浸させ、80℃で1時間乾燥させてBステージとしたプリプレグを10枚積層して7.8MPa、120℃で1時間加熱、加圧して製造したものである。即ち、スパッタリング装置を用いてポリイミド基板の表面に銅をスパッタリングし、厚さ5μmの銅薄膜を形成した。更に、レジスト用フィルム(東京応化(株)製DF)で銅薄膜をラミネートした後、露光、現像処理し、銅薄膜が部分的に露呈するエッチング用レジスト膜として形成した。その後、55℃のHF/HNO3水溶液(HF/HNO3/水=1/1/2)を用いてエッチングレジスト膜が形成された部分以外の銅薄膜を除去した後、エッチング用レジスト膜を除去して金属銅からなる導体回路を形成した。
次いで、スピンコート法を用いて予め粘度を30Pa・sに調整した感光性カルド型ポリマーの溶液をポリイミド基板の主面全面に塗布した後、温度150℃で20分間乾燥させて感光性カルド型ポリマーの半硬化膜からなる樹脂層を形成した。次いで、ウエハWのパッド部及び信頼性評価試験装置10のポゴピン24Aとの接続用パッド部11Eに相当する開口部部分に黒円が描画されたフォトエッチング用マスクを上記樹脂層上に載置した後、紫外線を400mJ/cm2の条件で照射して上記樹脂層を露光、現像処理し、ウエハWと接続するための接続用開口部及び信頼性評価試験装置10のポゴピン24Aと接続するための接続用パッド部11Eを露出するための開口部を形成した。その後、250℃で120分間で樹脂層を本硬化させ、絶縁性被膜11Fを形成した。更に、金メッキ浴を用いて厚さ金層をウエハWとの接続パッド部及び信頼性評価試験装置10との接続用パッド部の表面に形成し、ワイヤーボンディング装置を用いて尖塔状の金バンプを形成してコンタクタを得た。
比較例1
本比較例では基板の材料として炭素繊維を使用した。例えば、炭素繊維(東レ製T−300相当品:繊維径15μm)とフェノール樹脂と混合し、窒素ガス中、1000℃の温度下、19.6Paの圧力でホットプレスし、平面方向の熱膨張率が0.9ppm/℃の炭素基板を耐熱性基板として得た。この炭素基板にガラスペースト(昭栄化学工業(株)製G−523N)を塗布し、600℃で1時間焼成して表面に厚さ2μmのシリコン酸化膜を形成した。
スパッタリング装置を用いて耐熱性基板の表面に銅をスパッタリングし、厚さ5μmの銅薄膜を形成した。更に、レジスト用フィルム(東京応化(株)製DF)で銅薄膜をラミネートした後、露光、現像処理し、銅薄膜が部分的に露呈するエッチング用レジスト膜として形成した。その後、55℃のHF/HNO3水溶液(HF/HNO3/水=1/1/2)を用いてエッチングレジスト膜が形成された部分以外の銅薄膜を除去した後、エッチング用レジスト膜を除去して金属銅からなる導体回路を形成した。
次いで、スピンコート法を用いて予め粘度を30Pa・sに調整した感光性カルド型ポリマーの溶液を耐熱性基板の主面全面に塗布した後、温度150℃で20分間乾燥させて感光性カルド型ポリマーの半硬化膜からなる樹脂層を形成した。次いで、ウエハWのパッド部及び信頼性評価試験装置10のポゴピン24Aとの接続用パッド部11Eに相当する開口部部分に黒円が描画されたフォトエッチング用マスクを上記樹脂層上に載置した後、紫外線を400mJ/cm2の条件で照射して上記樹脂層を露光、現像処理し、ウエハWと接続するための接続用開口部及び信頼性評価試験装置10のポゴピン24Aと接続するための接続用パッド部を露出するための開口部を形成した。その後、250℃で120分間で樹脂層を本硬化させ、絶縁性被膜11Fを形成した。更に、金メッキ浴を用いて厚さ0.03μmの金層をウエハWとの接続パッド部及び信頼性評価試験装置10との接続用パッド部の表面に形成してコンタクタを得た。
比較例2
本比較例ではフェノール樹脂板を使用した以外は比較例1と同様である。このフェノール樹脂板は未硬化のフェノール樹脂をフッ素樹脂製の鋳型に入れ、120℃で硬化させたものである。この基板の平面方向の熱膨張率は60ppm/℃であった。
上記各実施例及び各比較例で得られたコンタクタについてバンプアレイシートを用い、25℃及び250℃におけるウエハWとコンタクタとのコンタクト率を求め、下記表1に示す結果を得た。下記表1に示す結果によれば、本実施例1、2のコンタクタ11はいずれも100%のコンタクト率を示し、250℃の高温下での使用することができることが判った。これに対し、比較例1、2の場合には室温程度の温度下では100%のコンタクト率を示すが、250℃の高温下での使用には耐え得ないこと判った。
尚、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、本発明の範囲内において各構成要素を適宜設計変更することができる。本発明のシェルは上記実施形態に何等制限されるものではない。例えば、シェルのコンタクタの平面方向の熱膨張率が1〜50ppm/℃を示す耐熱性基板を有するものであれば本発明に包含される。また、本発明のシェルは信頼性評価試験以外にも使用できることは云うまでもない。また、本実施形態ではコンタクタ11とウエハW間に異方性導電性シート31が介在していることが好ましいが、コンタクタ11のバンプとウエハWの電極パッドが弾力的に接触する構造になっていれば、異方性導電性シート31は介在しなくても良い。