JP2007304428A - 位相差フィルム - Google Patents

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義和 河井
Kenji Kurimoto
健二 栗本
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Abstract

【課題】 ゲル状異物が少なく、リターデーションの逆波長分散性の優れた位相差フィルムを得る。
【解決手段】 下記(イ)、(ロ)及び(ハ)の条件を満たすセルロースアシレートを含有することにより、上記課題を解決できる。
(イ)2位、3位及び6位のアセチル置換度の合計が0.03〜0.25
(ロ)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.20〜2.80
(ハ)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.88以上
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示装置等に使用される位相差フィルムに関する。
現在、液晶表示装置等に用いられる光学フィルムには、高透過率、低ヘイズ、低異物量といった基本特性が高次元で求められている。また、位相差フィルムや位相差付き偏光板保護フィルムとして用いる場合には、低光弾性係数、測定波長が大きくなるに従い位相差が大きくなる性質(以下、逆波長分散性ということがある。)等が求められている。
これらの条件を満たす技術として、溶解性の高いセルロースアセテートプロピオネートを含む光学フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このセルロースアセテートプロピオネートの系は、逆波長分散性を示し、またある程度の優れた基本特性を示すものの、ゲル欠陥が発生するという問題があった。
一方、Tezukaらは、セルロースアセテートブチレートのアシル置換度や、その分布を知る方法を報告している(例えば、非特許文献1参照)。また、Tezukaらは、セルロースアセテートプロピオネートにおいても、非特許文献1と同様の方法で置換度の分布を知る事ができることを報告している(例えば、非特許文献2参照)。
特開2003−315538号広報 Carbohydrate Research, 241 (1993) 285−290 Carbohydrate Research, 273 (1995) 83−91
本発明は、従来の技術が有する上記課題に鑑みてなされるものであり、測定波長が大きくなるに従い位相差が大きくなる性質(逆波長分散性)を有し、尚かつゲル欠陥の発生を低減することが可能な位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討の結果、以下に述べる発明を提供した。
(1)下記(イ)、(ロ)及び(ハ)の条件を満たすセルロースアシレートを含有することを特徴とする位相差フィルムを提供した。
(イ)2位、3位及び6位のアセチル置換度の合計が0.03〜0.25
(ロ)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.20〜2.80
(ハ)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.88以上
(2)2位と3位の炭素数3以上の置換基の置換度の平均値が6位の炭素数3以上の置換基の置換度以下である、セルロースアシレートを含有することを特徴とする、(1)に記載の位相差フィルムである。
(3)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.95より大きい、セルロースアシレートを含有することを特徴とする、(1)または(2)のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
(4)3位の炭素数3以上の置換基の置換度から2位の炭素数3以上の置換基の置換度を引いた値が0.10〜0.20であるセルロースアシレートを含有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
(5)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.51〜2.80であるセルロースアシレートと、2.00〜2.50であるセルロースアシレートを含有することを特徴とする、(1)〜(4)いずれか1項に記載の位相差フィルム。
(6)波長λnmにおけるリターデーション値をRe(λ)として表した時に、Re(450)/Re(550)が0.80〜0.95、且つRe(550)<Re(650)を満足することを特徴とする、(1)〜(5)いずれか1つに記載の位相差フィルムを提供した。
本発明の位相差フィルムは、測定波長が大きくなるに従い位相差が大きくなる性質(逆波長分散性)を示し、尚かつゲル欠陥の発生が低減されることから、液晶表示装置等に用いられる光学フィルムに対して高まる要求を満たすことが可能となり、有用である。
(成形)
光学フィルムの代表的な成形方法として、樹脂を溶融してTダイなどから押し出してフィルム化する溶融押出法と、有機溶剤に樹脂を溶解して支持体上にキャストし加熱により溶剤を乾燥しフィルム化する溶液キャスト法が挙げられる。原理的にはどちらを用いても位相差フィルムを得ることができる。しかしながら、溶融押出法は溶融のために可塑剤を大量に用いたり、厚み精度を得られにくい場合がある。厚み精度が悪いと、厚み変動に由来する凹凸がレンズのように働き、液晶表示装置に組み込んだ際の画像の歪み(所謂レンズ効果)の発生が懸念され、また、レターデーション値は複屈折と厚みの積で表されるため、レターデーション値の面内バラツキにも繋がるおそれがある。よって、本発明の目的においては、溶液キャスト法を用いることが好ましい。
(樹脂製造)
本発明の位相差フィルム用の材料としては、アセチル基と炭素数3以上の置換基を有するセルロースアシレートであることが必要で、特にセルロースアセテートプロピオネートであることが好ましい。本発明に用いられるセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアシレートは、それ自体既知の方法で製造することができる。例えばセルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これを硫酸等の触媒と無水酢酸とプロピオン酸無水物等との混合物によりアシル化する。得られたセルロースアシレートは総アシル置換度がほぼ3であるが、アシルl基を部分的に加水分解することにより、目的の置換度を有するセルロースアシレートを製造することができる。また、アシル化の際の無水酢酸とプロピオン酸無水物等の比率を変えることにより、目的の”アセチル基/炭素数3以上の置換基”比率のセルロースアシレートを得ることができる。更に、アシル化時の触媒量、反応時間を調整することにより、2,3,6位の置換度の分布を制御することができる。即ち、アシル化の際の触媒量を減らし、反応時間を長くすることにより、2位≦3位≦6位の関係を強めることができる(特に2,3位に対し6位の分配比率を高めることができる)。
(置換度)
全ての水酸基がアセチル基またはプロピオニル基等の炭素数3以上の置換基でアシル化された、総アシル置換度3のセルロースアシレートからなるフィルムを一軸延伸すると、延伸方向と直交する方向が遅相軸の方向である負の光学異方性の位相差フィルムとなる。この位相差フィルムのレターデーションの波長依存性は、短波長ほどレターデーション(絶対値)が大きい傾向を示す。総アシル置換度を3より小さくしていくと、延伸によるレターデーションの発現のしやすさは低下し、約2.9近傍で延伸しても位相差が殆ど出ないフィルムとなり、さらに総アシル置換度を小さくすると、延伸方向が遅相軸の方向となり、正の光学異方性の位相差フィルムとなる。これに伴い、位相差フィルムのレターデーションの波長依存性は、長波長ほどレターデーション(絶対値)が大きい傾向を示す。すなわち、波長λnmにおけるリターデーション値をRe(λ)とすると、Re(450)/Re(550)が0.80〜0.95、且つRe(550)<Re(650)を満足しうる位相差フィルムが得られる。総アシル置換度をさらに小さくすると、この傾向は失われていき、波長に依らずに一定のレターデーションを示すようになる。このような波長に依らずに一定のレターデーションを示す総アシル置換度は、アセチル置換度と炭素数3以上の置換基の置換度の比によって異なるが、概ね2.0〜2.3の範囲にある。そして、更に総アシル置換度を小さくすると、ポリカーボネート製の位相差フィルムと同様の、短波長ほどレターデーション(絶対値)の大さい位相差フィルムとなる。
以上の理由により、総アシル置換度は3を越えることはなく、また、負の光学異方性を得たくない場合は2.90以下が好ましい。一方、短波長ほど位相差が大きい傾向を示すと液晶表示装置の表示品位が低下するので下限は2.00以上が適当であり、また2.3以上であることがより好ましい。
しかしながら、溶液キャスト法で厚み精度の良いフィルムを製膜するためには、高濃度溶液の調製が可能であることが好まれる。このような観点から、アセチル置換度の高いセルロースアシレートよりも、炭素数3以上の置換基の置換度の高いセルロースアシレートの方が遙かに有機溶剤に対する溶解性が高く、特に塩化メチレンを用いる場合においては有効である場合が多い。
特に、アセチル置換度を(イ)の範囲とし、炭素数3以上の置換基の置換度を(ロ)の範囲とすることによって、溶解性に優れた材料とすることができる。また6位の炭素数3以上の置換基の置換度を(ハ)の範囲、更には0.95以上とすると、理由は定かではないが、フィルムのゲル欠陥が減少し、更に、後述するリターデーションの逆波長分散性が向上するため好ましい。
(イ)2位、3位及び6位のアセチル置換度の合計が0.03〜0.25
(ロ)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.20〜2.80
(ハ)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.88以上
また、セルロースアシレートの2位と3位の炭素数3以上の置換基の置換度の平均値が6位の炭素数3以上の置換基の置換度以下であると、さらにゲル欠陥が減少し、またリターデーションの逆波長分散性が向上するため、より好ましい。
また、理由は定かではないが、驚くべきことに、3位の炭素数3以上の置換基の置換度から2位の炭素数3以上の置換基の置換度を引いた値が0.10〜0.20であるセルロースアシレートを含有すると、リターデーション発現性が大きくなるため好ましい。3位の炭素数3以上の置換基の置換度から2位の炭素数3以上の置換基の置換度を引いた値が0.10〜0.20であるセルロースアシレートの含有量は、フィルムの固形分の30重量%以上である事が好ましく、50重量%以上であるとより好ましく、特に好ましくは60重量%以上である。
通常、セルロースアシレートの置換度を調整することは難しいとされており、セルロースアシレートを位相差フィルムの原料として用いると、所望の光学特性を安定的に得る事が難しい場合がある。よって、2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.51〜2.80であるセルロースアシレート、および2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.00〜2.50のセルロースアシレートをそれぞれ用意し、それぞれの混合比を調整することにより、置換度のズレによる光学特性のズレを補正することが好ましい。混合に用いるセルロースアシレートの数は2種類以上であれば特に限定は無い。
本発明で用いるセルロースアシレートの置換度、及び置換度の分布は、非特許文献1を参考に13C−NMRを用いて測定することができる。尚、非特許文献1は、セルロースアセテートブチレートの2,3,6位のアセチル置換度とブチリル置換度を求める手法を報告しているが、非特許文献1の著者のその後の文献(例えば非特許文献2)で示唆されている様に、セルロースアセテートプロピオネートにおいても同様に置換度を求めることができる。
本発明に用いられるセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアシレートの好ましい数平均分子量は、5千から10万であり、より好ましくは1万から7万である。不必要に高い分子量は溶剤に対する溶解度を低下させる他、得られた溶液の粘度が大きすぎ溶液キャスト法に適さない他、熱成型を困難にするなどの問題を生じる。一方、あまりに低い分子量は得られたフィルムの機械的強度を低下させるので好ましくない。
また、分子中のアシル基の存在は、高分子の親水性を増大させるため、フィルム化時に水分が存在したままだと、得られるフィルム強度に好ましくない影響を及ぼすおそれがあるため、フィルム化に用いる樹脂やペレット、溶剤などを事前に乾燥しておくことが好ましい。
フィルム化の際に、必要に応じて少量の可塑剤や熱安定剤、紫外線安定剤等の添加剤を加えてもよい。得られたフィルムが脆い場合、延伸などの加工特性を改善する目的で可塑剤を加えることは有効である。特に特開2001−75098号公報に記載の熱収縮性フィルムを熱可塑性フィルムの片面又は両面に接着し、加熱によるその熱収縮性フィルムの収縮力の作用下に熱可塑性フィルムを延伸し、位相差フィルムを得る方法においては、ガラス転移点の制御が重要となるため、可塑剤を添加することも好ましい。可塑剤は、乾燥工程、延伸工程においてフィルムにかかる最大温度より沸点が高いもので、セルロースアシレート成分に相溶するものであることが好ましい。例えば、ヒマシ油およびその誘導体、樟脳等、従来より周知のセルロース系樹脂用可塑剤を好適に用いることができる。ただし、可塑剤を多く含有すると、延伸による位相差の発現が小さくなり、またブリードの原因となるため、添加量は全固形分の5重量%以内であることが好ましい。また芳香環が多い可塑剤はレターデーション上昇剤として作用してしまい、所望の光学特性が得難くなる場合がある。このような観点から、本願におけるセルロースアシレート成分において好適に使用できる可塑剤は、フタル酸エステル系化合物、特にジエチルフタレートが好ましい。
本発明の位相差フィルムを得るために使用する溶剤に特に制限はないが、乾燥効率の観点からは沸点が低い溶剤ほど好ましく、具体的には100℃以下の低沸点溶剤が好ましい。例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチルやプロピオン酸エチルなどのエステル系溶剤が使用可能である。また、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶剤は樹脂材料を溶解しやすく沸点も低いため、好適な溶剤のひとつである。また、塩化メチレンは乾燥中の火災等に対する安全性も高いので、本発明の位相差フィルムを製造する際に用いる溶剤として特に好ましい。また、生産性の面から、ハロゲン化炭化水素系溶剤に1〜30重量%のアルコールを添加することも好ましい。アルコールとしては、炭素数3以下のアルコールが、安全性と沸点の面から好ましい。
溶液キャスト法等によりフィルム化する際、セルロースアシレートや添加剤を前記溶剤に溶解したのち、支持体にキャストし、乾燥してフィルムとする。溶液の好ましい粘度は1.0Pa・s以上5.0Pa・s以下、さらに好ましくは1.5Pa・s以上4.0Pa・s以下である。好ましい支持体としてはステンレス鋼のエンドレスベルトや、ポリイミドフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のようなフィルムを用いることができる。
キャスト後の乾燥は、支持体に担持されたまま行うことも可能であるが、必要に応じて、自己支持性を有するまで予備乾燥したフィルムを支持体から剥離し、さらに乾燥することもできる。フィルムの乾燥は、一般にはフロート法や、テンターあるいはロール搬送法が利用できる。フロート法の場合、フィルム自体が複雑な応力を受け、光学的特性の不均一が生じやすい。また、テンター法の場合、フィルム両端を支えているピンあるいはクリップの距離により、溶剤乾燥に伴うフィルムの幅収縮と自重を支えるための張力を均衡させる必要があり、複雑な幅の拡縮制御を行う必要がある。一方、ロール搬送法の場合、安定なフィルム搬送のためのテンションは原則的にフィルムの流れ方向(MD方向)にかかるため、応力の方向を一定にしやすい特徴を有する。従って、フィルムの乾燥は、ロール搬送法によることが最も好ましい。また、溶剤の乾燥時にフィルムが水分を吸収しないよう、湿度を低く保った雰囲気中で乾燥することは、機械的強度と透明度の高い本発明フィルムを得るには有効な方法である。
位相差フィルムを得るために、上記で得られたフィルムを公知の延伸方法により配向処理を行い、均一なリターデーションを付与することができる。延伸方法としては一軸や二軸の熱延伸法を採用することができる。さらに、特開平5−157911号公報に示されるような特殊な二軸延伸を施し、フィルム厚み方向の屈折率を大きくすることも可能である。
一般には延伸倍率は1.01倍から4倍であり、延伸温度はガラス転移温度Tgに対して、(Tg−30)℃以上、(Tg+30)℃以下、更に(Tg−20)℃以上、(Tg+20)℃以下、特に(Tg−10)℃以上、(Tg+15℃)以下であることが好ましい。ただし、ここでいう延伸温度とは、延伸を実施する炉内の温度がすべてこの温度で均一なければならないということを意味するのではなく、延伸を実施する炉内の最高温度を表しており、炉内の他の点が前記温度範囲から外れていてもよい。また、ガラス転移温度は示差熱分析法(DSC)を用い、JIS K−7121に記載の方法にて測定することができる。
延伸温度が前記範囲より低いと、延伸時にフィルムが破断したり、ヘイズが上昇する傾向がある。また、前記範囲より高いと、十分な位相差を得ることができない傾向にある。従って、前記温度範囲で延伸することが好ましい。
特に、位相差フィルムに一軸性が求められる場合には、(Tg+5)℃以上、(Tg+30)℃以下の温度で自由端一軸延伸する方法を好適に用いることができる。特開2000−137116号公報の実施例に開示されているように、一般にセルロース誘導体からなるフィルムを自由端一軸延伸してた場合、得られるNZ(後述)の値は1.20を超えている。NZをさらに小さくするためには、特開平5−157911号公報に示されるような特殊な二軸延伸が必要となるが、熱収縮フィルムの貼合等が必要であり、工程が増加するため、歩留りが悪化したり、コストが増大する傾向にある。本発明では延伸温度を制御することで自由端一軸延伸により、NZの範囲を1.00以上、1.20以下、さらには1.00以上、1.10以下に制御することができるため、工程数減少による歩留り向上やコスト削減の点で好ましい方法である。本発明の位相差フィルムの厚みは、10μmから500μmが好ましく、より好ましくは30μmから300μmである。フィルムの光線透過率は85%以上が好ましく、より好ましくは、90%以上である。また、フィルムのヘーズは10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下あり、最も好ましいのは3%以下である。
位相差フィルムのリターデーション値(Re)は、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をnyとした時(nx−ny)×d(dはフィルムの厚み)で表すことができる。リターデーションは5nmを超え1000nmまでの間で、目的に応じて選択することができる。特に本発明のフィルムを、偏光板補償フィルムとして使用する場合、波長550nmにおけるリターデーションは好ましくは70〜155nm、さらに好ましくは80〜150nm、さらに好ましくは80〜145nmである。また、偏光板補償フィルムではリターデーションの波長分散性が重要となり、長波長ほど高いリターデーションを有することが求められる。言い換えると、波長λnmにおけるリターデーション値をRe(λ)とすると、Re(450)/Re(550)が0.80〜0.95、且つRe(550)<Re(650)を満足することが好ましい。リターデーションの波長分散性がこの範囲を満足しない場合は、液晶表示装置の視野角による色変化を補償する能力が低下する場合があるため好ましくない。
さらに、位相差フィルムの特性として、三次元方向の屈折率を制御できることが好ましい。三次元屈折率の制御に関しては、フィルム面内の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとした際、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)で表すことができる。位相差フィルムに一軸性が求められる場合にはNZの範囲は好ましくは1.00以上、1.20以下、さらに好ましくは1.00以上、1.10以下である。
位相差値や三次元屈折率は、延伸方法や延伸温度、延伸倍率等により所望の値に調整することができる。また、光弾性係数すなわち、応力負荷を受けたときの複屈折の変化率は、好ましくは20×10-122/N以下である。光弾性係数が大きいと、液晶層や偏光板とともに貼り合わせた時の貼りムラ、バックライトや外部環境からの熱を受けることによる構成材料間の熱膨張差、偏光フィルムの収縮等によって生じる応力の影響に起因する位相差変化が大きくなり、表示装置の色ムラを悪化させたり、コントラストを低下させる傾向にある。公知のポリカーボネートの光弾性係数は70×10-122/Nであるのに対し、本発明の位相差フィルムの光弾性係数は前期範囲を満たしており、位相差変化が小さいため、特に大画面液晶表示装置用にも好適にも用いることができる。
(リターデーション)
王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRにより、446.1、498.7、547.4、586.7、627.6、745.8nmにおける位相差を測定し、この6点の結果をグラフにプロットし、以下の(I)式によりフィッティングし、得られた直
線からRe(450)、Re(550)、Re(650)を求め、Re(λ)/Re(550)を算出した。Re(λ)/Re(550)は位相差の絶対値によらない波長依存性の指標である。
Δn(λ)・d=Const1+Const2/(λ2−Const32) (I)
(厚み)
アンリツ製電子マイクロメーターにより測定した。
(置換度)
試料120mgをCDCL30.6mLに溶解させ、13C−NMR測定を行った。装置はVARIAN社製INOVA AS600を使用した。待ち時間は60秒とし、積算回数を3584回とした。測定温度は40℃とした。得られたNMRチャートから、非特許文献1を参考に、各樹脂の置換度を算出した。尚、アシル基の置換度が小さく、C=O由来のピークが顕れない場合は、アシル基の末端アルキル基由来のピークから、2,3,6位を合計した置換度を算出した。
(樹脂)
表1に各樹脂の置換度を示した。
試料1:イーストマンケミカル製CAP482−20(Lot.BP−0491B)を試料1とした。
試料2:イーストマンケミカル製CAP482−0.5(Lot.BM−1518B)を試料2とした。
試料3:(ステップ1)イーストマンケミカル製CAP482−20(Lot.BP−0491B)1重量部を塩化メチレン10重量部に溶解させた。次いでピリジンを10重量部、無水プロピオン酸を15重量部、4−(ジメチルアミノ)ピリジンを0.5重量部を添加し、40℃1時間攪拌した。その後、塩化メチレンを大気圧下で除去しながら100℃まで昇温し、100℃に達してから更に1時間攪拌した。10分以内に反応液を室温まで冷却した後、反応液の180重量部のメタノールを添加し、10分間攪拌し、樹脂を析出させた。析出した樹脂を濾過により単離し、メタノールでよく洗浄した。50℃、24時間真空乾燥を行った。(ステップ2)ステップ1で得られた樹脂1重量部を塩化メチレン10重量部に溶解させた。次いで、プロピオン酸無水物を15重量部、硫酸を0.1部、水を1部添加し、40℃で2時間攪拌した。その後、攪拌しながら冷却を行い、同時に酢酸マグネシウムを1重量部、水を4重量部添加した。10分間攪拌を行い、この時点での反応液の温度は室温となるように冷却速度を調整した。次いで、120重量部の水を添加し、10分間攪拌し、樹脂を析出させた。析出した樹脂を濾過により単離し、水でよく洗浄した。50℃、48時間真空乾燥を行い、試料3を得た。
試料4:硫酸触媒を0.18重量部とした以外は、試料3と同様の方法で試料4を得た。
(フィルム作製)
塩化メチレン95.0重量%、エチルアルコール4.79重量%、およびイソプロピルアルコール0.21重量%に調整した混合溶媒78重量部に、可塑剤として0.66重量部のジエチルフタレート、および21.3重量部の樹脂混合物を溶解し、塗工用の溶液とし、17重量部の樹脂混合物を溶解し、塗工用の溶液を調整した。この溶液を室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の、厚さ125μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ポリエステル系易接着層付き)上に、PETフィルムの長辺方向が流延方向となるように、コンマコーターを用いて流延した。なお、2次乾燥後のフィルムの厚さが80μmとなるように、コンマコーターのクリアランスを調整した。流延後、室温で4分間、60℃で4分間、80℃で4分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに2次乾燥として流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で110℃にて30分乾燥し、透明フィルムを得た。得られたフィルムを延伸温度155℃で自由端一軸延伸にて延伸し、位相差フィルムを得た。延伸倍率は正面リターデーションが550nmの波長の光に対して概ね90nmとなるよう設定した。
(結果)
フィルム中の樹脂組成と得られた結果を表2に示す。

Claims (6)

  1. 下記(イ)、(ロ)及び(ハ)の条件を満たすセルロースアシレートを含有することを特徴とする位相差フィルム。
    (イ)2位、3位及び6位のアセチル置換度の合計が0.03〜0.25
    (ロ)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.20〜2.80
    (ハ)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.88以上
  2. 2位と3位の炭素数3以上の置換基の置換度の平均値が、6位の炭素数3以上の置換基の置換度以下であるセルロースアシレートを含有することを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.95より大きいセルロースアシレートを含有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  4. 3位の炭素数3以上の置換基の置換度から2位の炭素数3以上の置換基の置換度を引いた値が、0.10〜0.20であるセルロースアシレートを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.51〜2.80であるセルロースアシレートと、2.00〜2.50であるセルロースアシレートを含有することを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項に記載の位相差フィルム。
  6. 波長λnmにおけるリターデーション値をRe(λ)として表した時に、Re(450)/Re(550)が0.80〜0.95、且つRe(550)<Re(650)を満足することを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項に記載の位相差フィルム。
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