JP2007304428A - 位相差フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記(イ)、(ロ)及び(ハ)の条件を満たすセルロースアシレートを含有することにより、上記課題を解決できる。
(イ)2位、3位及び6位のアセチル置換度の合計が0.03〜0.25
(ロ)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.20〜2.80
(ハ)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.88以上
【選択図】 なし
Description
(イ)2位、3位及び6位のアセチル置換度の合計が0.03〜0.25
(ロ)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.20〜2.80
(ハ)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.88以上
(2)2位と3位の炭素数3以上の置換基の置換度の平均値が6位の炭素数3以上の置換基の置換度以下である、セルロースアシレートを含有することを特徴とする、(1)に記載の位相差フィルムである。
光学フィルムの代表的な成形方法として、樹脂を溶融してTダイなどから押し出してフィルム化する溶融押出法と、有機溶剤に樹脂を溶解して支持体上にキャストし加熱により溶剤を乾燥しフィルム化する溶液キャスト法が挙げられる。原理的にはどちらを用いても位相差フィルムを得ることができる。しかしながら、溶融押出法は溶融のために可塑剤を大量に用いたり、厚み精度を得られにくい場合がある。厚み精度が悪いと、厚み変動に由来する凹凸がレンズのように働き、液晶表示装置に組み込んだ際の画像の歪み(所謂レンズ効果)の発生が懸念され、また、レターデーション値は複屈折と厚みの積で表されるため、レターデーション値の面内バラツキにも繋がるおそれがある。よって、本発明の目的においては、溶液キャスト法を用いることが好ましい。
本発明の位相差フィルム用の材料としては、アセチル基と炭素数3以上の置換基を有するセルロースアシレートであることが必要で、特にセルロースアセテートプロピオネートであることが好ましい。本発明に用いられるセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアシレートは、それ自体既知の方法で製造することができる。例えばセルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これを硫酸等の触媒と無水酢酸とプロピオン酸無水物等との混合物によりアシル化する。得られたセルロースアシレートは総アシル置換度がほぼ3であるが、アシルl基を部分的に加水分解することにより、目的の置換度を有するセルロースアシレートを製造することができる。また、アシル化の際の無水酢酸とプロピオン酸無水物等の比率を変えることにより、目的の”アセチル基/炭素数3以上の置換基”比率のセルロースアシレートを得ることができる。更に、アシル化時の触媒量、反応時間を調整することにより、2,3,6位の置換度の分布を制御することができる。即ち、アシル化の際の触媒量を減らし、反応時間を長くすることにより、2位≦3位≦6位の関係を強めることができる(特に2,3位に対し6位の分配比率を高めることができる)。
全ての水酸基がアセチル基またはプロピオニル基等の炭素数3以上の置換基でアシル化された、総アシル置換度3のセルロースアシレートからなるフィルムを一軸延伸すると、延伸方向と直交する方向が遅相軸の方向である負の光学異方性の位相差フィルムとなる。この位相差フィルムのレターデーションの波長依存性は、短波長ほどレターデーション(絶対値)が大きい傾向を示す。総アシル置換度を3より小さくしていくと、延伸によるレターデーションの発現のしやすさは低下し、約2.9近傍で延伸しても位相差が殆ど出ないフィルムとなり、さらに総アシル置換度を小さくすると、延伸方向が遅相軸の方向となり、正の光学異方性の位相差フィルムとなる。これに伴い、位相差フィルムのレターデーションの波長依存性は、長波長ほどレターデーション(絶対値)が大きい傾向を示す。すなわち、波長λnmにおけるリターデーション値をRe(λ)とすると、Re(450)/Re(550)が0.80〜0.95、且つRe(550)<Re(650)を満足しうる位相差フィルムが得られる。総アシル置換度をさらに小さくすると、この傾向は失われていき、波長に依らずに一定のレターデーションを示すようになる。このような波長に依らずに一定のレターデーションを示す総アシル置換度は、アセチル置換度と炭素数3以上の置換基の置換度の比によって異なるが、概ね2.0〜2.3の範囲にある。そして、更に総アシル置換度を小さくすると、ポリカーボネート製の位相差フィルムと同様の、短波長ほどレターデーション(絶対値)の大さい位相差フィルムとなる。
(イ)2位、3位及び6位のアセチル置換度の合計が0.03〜0.25
(ロ)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.20〜2.80
(ハ)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.88以上
また、セルロースアシレートの2位と3位の炭素数3以上の置換基の置換度の平均値が6位の炭素数3以上の置換基の置換度以下であると、さらにゲル欠陥が減少し、またリターデーションの逆波長分散性が向上するため、より好ましい。
王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRにより、446.1、498.7、547.4、586.7、627.6、745.8nmにおける位相差を測定し、この6点の結果をグラフにプロットし、以下の(I)式によりフィッティングし、得られた直
線からRe(450)、Re(550)、Re(650)を求め、Re(λ)/Re(550)を算出した。Re(λ)/Re(550)は位相差の絶対値によらない波長依存性の指標である。
Δn(λ)・d=Const1+Const2/(λ2−Const32) (I)
(厚み)
アンリツ製電子マイクロメーターにより測定した。
試料120mgをCDCL30.6mLに溶解させ、13C−NMR測定を行った。装置はVARIAN社製INOVA AS600を使用した。待ち時間は60秒とし、積算回数を3584回とした。測定温度は40℃とした。得られたNMRチャートから、非特許文献1を参考に、各樹脂の置換度を算出した。尚、アシル基の置換度が小さく、C=O由来のピークが顕れない場合は、アシル基の末端アルキル基由来のピークから、2,3,6位を合計した置換度を算出した。
表1に各樹脂の置換度を示した。
塩化メチレン95.0重量%、エチルアルコール4.79重量%、およびイソプロピルアルコール0.21重量%に調整した混合溶媒78重量部に、可塑剤として0.66重量部のジエチルフタレート、および21.3重量部の樹脂混合物を溶解し、塗工用の溶液とし、17重量部の樹脂混合物を溶解し、塗工用の溶液を調整した。この溶液を室温23℃、湿度15%の環境下で、長辺方向に1.0×106N/m2の応力を付与した状態の、厚さ125μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ポリエステル系易接着層付き)上に、PETフィルムの長辺方向が流延方向となるように、コンマコーターを用いて流延した。なお、2次乾燥後のフィルムの厚さが80μmとなるように、コンマコーターのクリアランスを調整した。流延後、室温で4分間、60℃で4分間、80℃で4分間乾燥を行った。得られたフィルムをPETフィルムから剥離した後、さらに2次乾燥として流延方向に2.0×105N/m2の応力を付与した状態で110℃にて30分乾燥し、透明フィルムを得た。得られたフィルムを延伸温度155℃で自由端一軸延伸にて延伸し、位相差フィルムを得た。延伸倍率は正面リターデーションが550nmの波長の光に対して概ね90nmとなるよう設定した。
フィルム中の樹脂組成と得られた結果を表2に示す。
Claims (6)
- 下記(イ)、(ロ)及び(ハ)の条件を満たすセルロースアシレートを含有することを特徴とする位相差フィルム。
(イ)2位、3位及び6位のアセチル置換度の合計が0.03〜0.25
(ロ)2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.20〜2.80
(ハ)6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.88以上 - 2位と3位の炭素数3以上の置換基の置換度の平均値が、6位の炭素数3以上の置換基の置換度以下であるセルロースアシレートを含有することを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルム。
- 6位の炭素数3以上の置換基の置換度が0.95より大きいセルロースアシレートを含有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 3位の炭素数3以上の置換基の置換度から2位の炭素数3以上の置換基の置換度を引いた値が、0.10〜0.20であるセルロースアシレートを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 2位、3位及び6位の炭素数3以上の置換基の置換度の合計が2.51〜2.80であるセルロースアシレートと、2.00〜2.50であるセルロースアシレートを含有することを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 波長λnmにおけるリターデーション値をRe(λ)として表した時に、Re(450)/Re(550)が0.80〜0.95、且つRe(550)<Re(650)を満足することを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項に記載の位相差フィルム。
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