JP2007121352A - 位相差フィルム、及びその製造方法、並びに光学補償偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 斜め方向から見た際の位相差をも適宜に調整でき、かつ、面内の光学特性の均一性を有し、大型液晶表示装置においても局所的なコントラストの低下がない均一な光学補償能を有する位相差フィルムを提供すること。
【解決手段】 本発明の位相差フィルムは、1枚のフィルムからなり、長波長ほど正面位相差Reが大きく、フィルム面内の遅相軸方向と、フィルム流れ方向のなす角度が±1.5°以内で、波長586.7nmにおけるフィルム流れ方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも大きく、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、(nx−nz)/(nx−ny)で計算される値が1.00以上、1.20未満、フィルム面内100mm角の範囲において、100点で測定した位相差値の標準偏差が0.50以下、光弾性係数が3.0×10−11/N以下である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、可視光領域において長波長であるほど位相差が大きく、視野角特性に優れ、液晶表示用装置などに利用可能な位相差フィルムに関する。さらに本発明はそのような位相差フィルムの製造方法に関する。また、本発明はこれら位相差フィルムを用いた光学補償偏光板に関する。
位相差フィルムは液晶表示装置などの表示装置に広く使用されている。位相差フィルムとしては一般に、ポリカーボネートや環状ポリオレフィン等からなるポリマーフィルムが使用されている。このような位相差フィルム一例である波長の1/4の位相差を有する1/4波長板は、直線偏光を円偏光に、円偏光を直線偏光に変換する作用を有し、偏光板と組み合わせて反射型液晶表示装置などに用いることができる。
位相差フィルムの用途は近年広がっており、それにつれてより高度な機能が要求されてきている。特に重要な機能のひとつとして、可視光領域において長波長であるほど高い位相差を有することが挙げられる。前述した、1/4波長板として使用される位相差フィルムは、可視光の各波長に対してすべて1/4波長に相当する位相差を有することが望ましい。しかし、一般に広く用いられているポリカーボネート等位相差フィルムでは、長波長であるほど位相差が小さく、このような波長依存を示す位相差フィルムを使った液晶表示装置で黒表示をする場合、バックライトからの光を完全に遮光することができずコントラストや階調表示の低下を招いてしまう場合がある。
これに対して、2枚の位相差フィルムを所定の角度で貼合することにより、長波長であるほど高い位相差を示すポリカーボネート位相差フィルムが開示されている(例えば、特許文献1を参照のこと)。しかしながら、上述した方法においては2枚の位相差フィルムが必要となり、さらに2枚の位相差フィルムを所定の角度で貼合する必要があるため位相差フィルム2枚分のコストと貼合するための労力を必要とする。さらに、ポリカーボネートの位相差フィルムに適用した場合は、その光弾性係数が通常、70×10−12/Nと大きいため、位相差フィルムを貼合する際の張力により所望する位相差がずれてしまうばかりでなく、貼合後の偏光板の収縮などにより、位相差値が変化してしまうという問題がある。また、環状ポリオレフィン系高分子からなる位相差フィルムに適用した場合は、位相差発現性が小さいために、フィルムの膜厚が大きくなり、ハンドリング性に劣るなどの問題がある。
これらを解決するために、長波長であるほど高い位相差を有する、セルロースアセテートの単一フィルムからなる位相差フィルム(例えば、特許文献2を参照のこと)や、正の屈折率異方性を有する高分子のモノマーと、負の屈折率異方性を有する高分子のモノマーとの共重合体からなる位相差フィルムが提案されている(例えば特許文献3を参照のこと)。
さらには、長波長であるほど高い位相差を有し、かつ、斜め方向から見た際の位相差を調整することで、視野角特性を改善する方法が提案されている(例えば特許文献4を参照のこと)。
また、表示の均一性を上昇させる目的で、フィルム面内の位相差バラツキの小さい位相差フィルムの製造方法が開示されている(例えば特許文献5を参照のこと)。
特開平5−100114号公報 特開2000−137116号公報 国際公開WO00/26705号パンフレット 特開2003−73485号公報 特開2005−111669号公報
特許文献2に記載のセルロースアセテートの単一フィルムからなる位相差フィルムでは、フィルムの全方位における屈折率を制御することが困難であり、斜め方向から見た際の位相差を適宜に調整することは困難であった。また、特許文献3に記載のポリカーボネート系の位相差フィルムでは、フィルムに応力を付与した際の位相差変化、すなわち光弾性係数が大きく、テレビ等の大型液晶表示装置に用いる際にコントラストの低下等を招くといった問題があった。
さらには、特許文献4に記載の特殊な延伸方法を用いた位相差フィルムは、製造コストが増大する上に、特殊な延伸方法を用いているがゆえに、フィルム全面にわたって均一な光学特性を付与することが困難であり、大型液晶表示装置に用いることが困難であった。
また、表示の均一性が要求される場合は、特許文献5に記載されているような、フィルム面内全体の位相差バラツキ範囲に加えて、微小区間で測定した位相差のバラツキが小さいことも重要である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、可視光領域において長波長であるほど高い位相差を有し、かつ、斜め方向から見た際の位相差をも適宜に調整でき、面内の厚みおよび光学特性の均一性を有することで微小区間で測定した位相差のバラツキが小さく、大型液晶表示装置にも用いることができる位相差フィルム、およびその製造方法と、それらを用いた光学補償偏光板とを提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討した結果、1枚のフィルムからなり、特定の光学特性を有する位相差フィルムが上記課題を解決しうることを見出し、本発明を為すに至った。すなわち、本発明は、1枚のフィルムからなり、波長586.7nmにおけるフィルム流れ方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも大きく、さらに、以下のA、B、C、D、及びEのすべてを満たすことを特徴とする位相差フィルムに関する。
A:波長λnmにおける正面位相差Re(λ)が、下記数式1を満たす。
B:波長586.7nmにおける、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、下記数式2で計算されるNZの値が、下記数式3を満たし、かつ、光弾性係数が3.0×10−11/N以下である。
C:フィルム厚みdが50μm以上、90μm以下である。
D:フィルム面内の任意の点を中心とした100mm×100mmの範囲において、10mm間隔で測定した100点の位相差値の標準偏差が0.50nm以下である。
E:フィルム面内の遅相軸方向と、フィルム流れ方向のなす角度が±1.5°以内である。
さらに、本発明の位相差フィルムは、波長550nmにおける正面位相差Re(550)が下記数式4を満たすことが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、セルロース誘導体を80重量%以上含有することが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、前記セルロース誘導体が、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートであることが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、前記アシル基の置換度が、2.0以上、2.9以下であることが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、前記アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度をDSac、プロピオニル置換度をDSprで表した時に、下記数式5を満たすことが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、前記セルロースアシレートが、前記アセチル置換度、及び前記プロピオニル置換度のうち、少なくとも一方が異なる値である複数種からなるようにしてもよい。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、前記セルロースアシレート100重量部に対して、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシ基で置換されたセルロースエーテルを1重量部以上、20重量部以下さらに含有してもよい。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、前記アルコキシ基がエトキシ基であり、エトキシ置換度(DSet)が、下記数式6を満たすことが好ましい。
さらに、本発明は上記位相差フィルムの製造方法に関する。すなわち、本発明は、フィルムを縦延伸する工程を含み、かつ、該縦延伸工程中に該フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して(Tg+5)℃以上の温度に該フィルムを保持する工程を更に含むことを特徴とする位相差フィルムの製造方法に関する。
さらに、本発明の位相差フィルムの製造方法においては、各々周速調整可能な、2個1対の入口側ニップロール、及び2個1対の出口側ニップロールの2対のニップロールを有するフィルム搬送装置、及び、各々温調可能な複数のゾーンを有するフィルム加熱装置を含む縦延伸機を用いて前記フィルムを処理する位相差フィルムの製造方法であって、前記フィルムを、入口側ニップロール、低温ゾーン、該低温ゾーンより高い温度に温調した高温ゾーン、出口ニップロールの順に移動させる間に前記2対のニップロール間の周速差により前記縦延伸し、かつ、該高温ゾーンの温度を(Tg+5)℃以上に温調することが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムの製造方法においては、前記低温ゾーン、及び前記高温ゾーンを、それらの間の温度差が5℃以上となるように温調することが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムの製造方法においては、前記低温ゾーンの温度を(Tg−5)℃以上、かつ(Tg+5)℃以下に温調することが好ましい。
さらに、本発明の位相差フィルムの製造方法においては、前記入口側ニップロールの周速v、前記出口側ニップロールの周速v、前記入口側ニップロールにおける前記フィルムの幅Wと、前記出口側ニップロールにおける前記フィルムの幅Wが、下記数式7を満たすように前記縦延伸することが好ましい。
さらに本発明は、前記の位相差フィルムと偏光板を積層してなる光学補償偏光板に関する。
本発明により、特定の光学特性を有する位相差フィルムおよび光学補償偏光板とその製造方法が提供され、大型液晶表示装置においても、均一な表示を得ることができる。さらには、斜め方向から見た際の位相差も適宜調整できるため、液晶表示装置における視野角依存性解消の機能をも発揮しうる。
まず、本発明の位相差フィルムは、ソルベントキャスト法により製膜されてなることが好ましい。ソルベントキャスト法によって製膜することにより、厚みパターンを容易に制御でき、厚みの均一なフィルムを得ることができる。そして、本発明の位相差フィルムは、1枚のフィルムからなり、波長586.7nmにおけるフィルム流れ方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも大きい。1枚のフィルムなることは、フィルムの貼り合わせによる工程増加や歩留まり低下を防止できるため好ましい。また、フィルム流れ方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも大きいような位相差フィルムは通常2対のニップロール間に加熱炉を有し、2対のニップロールの周速差により延伸する縦延伸により得られるが、このような縦延伸は、ピンテンターやクリップテンター等を用いる横延伸と比較して、フィルム面内の位相差や遅相軸の均一性を保つことができる点で好ましい。また、さらに、本発明の位相差フィルムは、波長λnmにおける正面位相差Re(λ)がRe(450)<Re(550)<Re(650)を満たすことを特長とする。波長依存性がこの範囲から外れると、例えば、可視光領域の直線偏光をこのフィルムに入射した際、得られる偏光状態はある特定の波長では完全な円偏光が得られるものの、それ以外の波長では大きく円偏光から外れてしまうといった問題が生じる場合がある。位相差の波長依存性は上記範囲の中でも特に、Re(450)/Re(550)<0.98であることが好ましく、Re(450)/Re(550)<0.95であることがさらに好ましい。また、Re(650)/Re(550)<1.01であることが好ましく、Re(450)/Re(550)<1.03であることがさらに好ましい。このような波長依存性はフィルムに用いる樹脂特有の値であり、使用する樹脂を適宜選択することによって得られる。
ここで言う正面位相差Reとは、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nz、フィルム厚みdとした時、下記数式8で表される。
また、本発明の位相差フィルムは、波長586.7nmにおいて、下記数式2で表されるNZの値が、1.00以上1.20未満であり、好ましくは1.10以下であり、より好ましくは、1.05以下である。
NZの値が大きいと、フィルムを正面から見た際と、斜め方向から見た際の位相差値の差が大きくなり、NZが小さいほど、これらの差は小さくなり、NZ=0.5であるとき、これらの差はゼロとなる。位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償の目的で用いる場合、NZの値は用いる液晶の種類や、偏光板の特性によって調整する必要があるが、本発明においては、フィルムの製膜や延伸方法を適宜選択することにより、NZを上記の範囲で調整することができる。このような、位相差フィルムは、あらゆる液晶表示装置に用いることができるが、特に垂直配向(VA)方式の液晶ディスプレイにおいて、偏光子、偏光子保護フィルム、本発明のNZ値を有する位相差フィルムをこの順で積層した光学補償偏光板を用いることで、好適な光学補償能を有し、斜め方向から見た際もコントラストの低下を防ぐことができる。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、フィルム面内の任意の点を中心とした100mm×100mmの範囲において、10mm間隔で測定した100点の位相差値の標準偏差が0.50nm以下であることが好ましく、0.40nm以下であることがより好ましく、0.30以下であることがさらに好ましい。位相差値の標準偏差が小さいほど、光学補償の均一性が高く、局所的な光漏れ等によるコントラストの低下を防ぐことができる。
ここで、位相差の標準偏差を求める手順について説明する。位相差フィルムから100mm角以上の大きさのサンプルを切り出し、可動式の測定ヘッドを有する位相差計(例えば王子計測機器製位相差計KOBRA−WIXY等)を用いて、図1のように100点に区切ってそれぞれの位相差を測定する。得られた位相差値をRe〜Re100とする。で面内100点の位相差を測定する。標準偏差は下記数式9で表される。
さらに、本発明の位相差フィルムは、フィルム厚みdが50μm以上、90μm以下であることが好ましく、55μm以上、85μm以下であることがより好ましく、60μm以上、80μm以下であることがさらに好ましい。位相差は複屈折と厚みの積で表されるため、厚みが小さすぎると、達成できる位相差範囲が小さくなり、所望とする位相差が得られない場合がある。厚みが大きすぎると、達成できる位相差範囲は広がるものの、均一な厚みのフィルムを得ることが困難となるばかりでなく、ソルベントキャスト法による生産性に劣る傾向にある。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、厚みが均一であることが好ましい。具体的には、フィルム幅方向1mm間隔で厚みを測定した際の、隣接する山の頂点から谷の底点までの高さがフィルム全幅で0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。さらにまた、数式10で表されるフィルム厚みの傾きがフィルム全幅で0.15μm/mm以下であることが好ましく、0.10μm/mm以下であることがより好ましく、0.07μm/mm以下であることがさらに好ましい。
なお、数式5における(高さ)は隣接する山の頂点から谷の底点までの高さ(μm)であり、数式5における(幅)は隣接する山の頂点から谷の底点までの幅(mm)である。
一般にフィルムの厚みバラツキは、全幅の最大値と最小値の差で表されるが、液晶表示装置等に用いた際に、目視で感じられる表示ムラ等は、上記の表面凹凸の山と谷の差や、傾きとの相関が強く、これらの数値を小さくするほど、前述した位相差値の標準偏差が小さくなる傾向にある。さらに、厚みを均一とすることで、いわゆるレンズ効果による表示のゆがみの少ない位相差フィルムを得ることができる。
本発明において、隣接する山の頂点から谷の底点までの高さおよび、フィルム厚みの傾きの測定方法に関して述べる。フィルムを流れ方向5cm幅で切り出し、流れ方向5cmを1辺とし、フィルム幅を前記1辺と直交する1辺とする短冊状のフィルムサンプルを得る。このフィルムサンプルにつき、フィルム幅方向に連続的に厚みを測定し、それらの値を1mm単位でサンプリングすることでデータを得て、得られたデータを2次元でプロットする。この厚みの測定には、接触式で測定精度が0.1μm以内の連続的に厚みが測定できる膜厚計、例えば、アンリツ(株)製フィルム厚み計 KG601Aを用いる。隣接する山の頂点から谷の底点までの高さは図1の(a)により求められる。また、傾きは図1の(a)および(b)を用いて、(a)/(b)により求められる。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、フィルム面内の遅相軸方向と、フィルム流れ方向のなす角度が、フィルム面内の任意の位置において、±1.5°以内が好ましく、より好ましくは±1°以内、さらに好ましくは±0.6°以内である。遅相軸を上記範囲とすることで、軸のずれによる局所的なコントラストの低下を防止することができる。
特に大型液晶表示装置に用いる場合において、軸のバラツキを小さくすることは重要である。さらに上記と同様の理由から、フィルム面内の遅相軸方向とフィルム流れ方向のなす角度のバラツキの範囲は、1.5°以内であることが好ましく、より好ましくは1.0°以内、さらに好ましくは0.8°以内である。
さらに本発明の位相差フィルムにおいて、位相差の範囲は限定されないが、表示の均一性を保つためには、波長550nmにおける正面位相差が下記数式4を満たすことが好ましい。
反射型液晶表示装置や有機EL表示装置の反射防止板等に用いられる1/4波長板においては、550nmにおける位相差値は理想的には137.5nmであるが、その他の液晶表示装置においては、必ずしも波長の1/4の位相差を示す必要はなく、用いられる液晶パネルや偏光板の特性に応じた位相差が要求される。さらに、前記したように、波長の1/4の位相差を示すためには、フィルムの厚みを上げる必要があるが、フィルム厚みを上げることにより、厚み精度が低下し、結果として位相差の均一性も失われる傾向にあるため、均一な光学補償能を得られない場合がある。また、位相差値が小過ぎると、光学補償性能が十分に得られない場合がある。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、光弾性係数が3.0×10−11/N以下が好ましく、より好ましくは2.5×10m/N以下であり、さらに好ましくは、2.0×10−11/N以下である。光弾性係数が前記範囲を上回ると、位相差フィルムを液晶層や偏光板とともに貼り合わせた時の貼りムラ、バックライトや外部環境からの熱を受けることによる構成材料間の熱膨張差、偏光フィルムの収縮等によって生じる応力の影響に起因する位相差変化が大きくなり、液晶表示装置におけるコントラストの低下等の表示不良を招く場合がある。
上記観点を鑑みると、光弾性係数が小さいほど、張力による位相差変化が小さいという点で好ましいが、一方で、光弾性係数が過度に小さいと、延伸等により付与できる位相差が小さく、所望とする位相差を得られないという問題が生じる場合がある。このような観点から、光弾性係数は5.0×10−12/N以上が好ましい。
次に本発明の位相差フィルムに用いることができるポリマーについて述べる。本発明に用いることができるポリマーは、フィルム形成能を有し、溶融押し出し法や溶液キャスト法により製膜ができる熱可塑性ポリマーから選択するのが好ましい。かかるポリマーの中でも、前記した位相差の波長分散性や光弾性係数の観点から、セルロース誘導体を用いることが好ましい。セルロース誘導体としては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート
等のセルロースエステルや、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテル、その他のセルロース誘導体等があげられる。中でも、非晶質で耐熱性に優れるポリマーを好ましく用いることができる。
特に、本発明においては、前記セルロース誘導体の中でも、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートを含有するこが好ましい。
このようなセルロースアシレートとしては、具体的にはセルロースの水酸基がアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基のいずれかによって置換されたものが好ましい。すなわち、本発明に係るポリマーフィルムにおいて好適に使用されるセルロースアシレートとしては、セルロースアセテート、セルロールプロピオネート、セルロースブチレートや、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートのような複数種のアシル基を有するものが挙げられる。これらは透明性が高く、位相差フィルム等の光学用途に好適に用いることができる。中でも、セルロースアセテートまたはセルロースアセテートプロピオネートは一般的に安価に製造または入手できるため、特に好適に用いることができる。
セルロース誘導体の含有量は、フィルム100重量部に対して80重量部以上であることが好ましく、90重量部以上であることがさらに好ましい。セルロース誘導体の含有量を前記範囲とすることで、かかるポリマーの有する位相差の波長依存性や、光弾性係数等の光学特性を所望の範囲に保つことができる。
さらに、本発明において、前記セルロースアシレートは、特定の置換度を有することが好ましい。具体的には、アセチル置換度、プロピオニル置換度、ブチリル置換度の合計が2.0以上、2.9以下であることが好ましく、2.3以上、2.9以下であることがより好ましく、2.5以上、2.8以下であることがさらに好ましい。
ここで、セルロースアシレートの置換度の好ましい範囲に関して説明する。セルロース分子は、基本単位であるD−グルコースがβ−1,4結合して直鎖状につながった多糖である。セルロースアシレートの置換度とは、このD−グルコース分子中の2,3,6位に存在する3個の水酸基が、セルロース分子において平均してどれだけエステル化されているかを表し、それぞれの位置の置換度は均等でもよいし、いずれかの位置に偏っていてもよい。また、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96記載の方法にて定量することができる。
「置換度=3」は、セルロース分子中の全ての水酸基がエステル化されていることを示す。セルロース分子中の全ての水酸基がアセチル基またはプロピオニル基のいずれかでエステル化された、置換度3のセルロースアシレートからなるフィルムを一軸延伸すると、延伸方向と直交する方向が遅相軸となる負の光学異方性を有する位相差フィルムとなる。このフィルムの位相差の波長分散は、長波長であるほど位相差(絶対値)が小さい傾向を示す。
置換度を3より小さくしていくと、延伸による位相差の発現のしやすさは低下し、約2.8〜2.9で延伸しても位相差が殆ど出ないフィルムとなり、さらに置換度を小さくすると、延伸方向が遅相軸となり、正の光学異方性の位相差フィルムとなる。これに伴い、位相差の波長分散は、長波長であるほど位相差(絶対値)が大きい傾向を示し、置換度をさらに小さくすると、この傾向は失われていき、波長に依らずにほぼ一定の位相差を示すようになる。このような波長に依らずに一定の位相差を示す置換度は、その置換基の種類と比率によって若干異なるが、概ね2.0〜2.3の範囲にある。
以上の理由により、アシル基による置換度は3を超えることはなく、また、位相差の波長分散の観点から、2.0以上が適当である。置換度のより好ましい数値範囲は2.3以上、2.9以下であり、さらに好ましくは2.5以上、2.8以下である。
さらに、本発明においてセルロースアシレートを用いる場合は、前記アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)の比(DSpr/DSac)が2以上であることが好ましい。
ここで、置換基の種類と比率について、以下に説明する。セルロース誘導体として、セルロースアセテートやセルロースアセテートプロピオネートが好適に用いられることは先述した通りであるが、波長分散の観点によれば、特開2000−137116号公報や、特開2003−240948号公報、特開2003−315538号公報等に開示されているように、セルロース分子中の水酸基を、アセチル基で置換してもプロピオニル基で置換しても目的を達成することができる。しかしながら、ソルベントキャスト法で厚み精度の良いフィルムを製膜する場合においては、高濃度溶液の調製が可能であることが望まれ、さらには、溶剤回収の設備の観点から、単独の溶剤に溶解することが好ましく、コストおよび生産性の観点から、高濃度で溶解することが好ましい。C.J.Malm他の論文(Ind.Eng.Chem.、43巻、688頁、1951年)には、セルロースアセテートよりもセルロースプロピオネートの方が遙かに有機溶剤に対する溶解性が高いことが記されており、アセチル置換度(DSac)の高いセルロースアセテートプロピオネートよりもプロピオニル置換度(DSpr)の高いセルロースアセテートプロピオネートの方が有機溶剤の選択性に優れ、さらに、高濃度溶液の調製が可能である。特に塩化メチレンを用いる場合においては顕著な差が認められ、プロピオニル置換度を大きくすることで、単独の溶剤に溶解させることが可能であるために好ましい構成である。
従って、プロピオニル置換度(DSpr)は高い方が好ましく、アセチル置換度(DSac)との比率(DSpr/DSac)は2.0以上、より好ましくは5.0以上、さらに好ましくは10.0以上である。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、位相差の波長分散性や、位相差の発現性を適宜に調整することを目的として、異なる置換度を有する複数のセルロースアシレートを混合して用いることもできる。
セルロースアシレートは、既知の方法で製造することができる。例えば、セルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これを酸無水物によりアシル化する。得られたセルロースアシレートの置換度はほぼ3であるが、これを加水分解することにより、目的の置換度を有するセルロースアシレートを製造することができる。
セルロースアシレートの好ましい数平均分子量は5000〜100000であり、より好ましくは20000〜80000である。数平均分子量がこの範囲を下回ると、フィルムの機械強度が不十分となる傾向にあり、この範囲を上回ると溶剤に対する溶解性が低下し、ソルベントキャスト法にてフィルムを製造する際の生産性に劣る場合がある。
さらに、本発明の位相差フィルムにおいては、位相差の波長分散性や、位相差の発現性を適宜に調整することを目的として、さらに、特定のセルロースエーテルを特定量含有してもよい。本発明に係る位相差フィルムにおいて使用されるセルロースエーテルは、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシ基で置換されたものであり、具体的には、セルロースの水酸基がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のいずれかまたは複数によって置換されたセルロースエーテルであることがより好ましく、特に、メトキシ基およびエトキシ基の単独または複数によって置換されたものが好ましい。このようなセルロースエーテルは高い位相差発現性を有するため、本発明の位相差フィルムの位相差の選択範囲を広くすることができる。さらに、このようなセルロースエーテルは、前記したセルロースアシレートと良好な相溶性を示し、位相差フィルムとした際に、透明性を保つことができるため好ましい。
本発明に係る位相差フィルムにおいて、セルロースエーテルの含有量の好ましい範囲は、セルロースアシレート100重量部に対して、1重量部以上、20重量部以下であり、より好ましくは2重量部以上、15重量部以下であり、さらに好ましくは、3重量部以上、10重量部以下である。セルロースエーテルの含有量が1重量部未満であると、延伸した際の位相差発現性向上の効果が十分でなくなる場合がある。また、セルロースエーテルの含有量が20重量部より大きいと、波長による位相差が一定の値に近付く傾向にあり、長波長であるほど高い位相差を有するという本発明の目的から外れる場合がある。
本発明に係る位相差フィルムは、セルロースエーテルをさらに含有することにより、位相差発現性を向上させることができ、さらに、添加量を上記範囲とすることにより、長波長であるほど高い位相差を有するという特徴を保つことができる。
また、本発明に係るポリマーフィルムにおいて好適に使用されるセルロースエーテルは、特定の置換度を有する。具体的には、エトキシ置換度(DSet)が2.0以上、かつ2.8以下であるセルロースエーテルが好ましい。セルロースエーテルの置換度の好ましい範囲に関して以下に説明する。
DSetは、セルロース分子の基本単位であるD−グルコース分子中の2,3,6位に存在する3個の水酸基が、セルロース分子において平均してどれだけエトキシ化されているかを表し、置換度=3の時はセルロース分子中の全ての水酸基がエトキシ化されていることを示す。それぞれの位置の置換度は均等でもよいし、いずれかの位置に偏っていてもよい。また、エーテル置換度はASTM D4794−94に記載の方法にて定量することができる。
セルロースエーテルは、その置換度により溶剤に対する溶解性が大きく変化することが知られているが、ソルベントキャスト法によって本発明に係るポリマーフィルムを製造する場合、セルロースエーテルと前述したセルロースアシレートとの両方を溶解する溶剤を選択する必要がある。置換度が2.0を下回ると単独で溶解する溶剤の種類が限定される上に、フィルムの吸水率が大きくなり、寸法安定性に欠ける傾向にある。また、置換度が2.9を超えても溶解する溶剤の種類が限定されるばかりでなく、樹脂自体が高価になる傾向にある。そのため、DSetの好ましい範囲は2.0以上、2.8以下であり、さらに好ましくは2.2以上、2.6以下である。
本発明に係るポリマーフィルムにおいて使用されるセルロースエーテルは、既知の方法で製造することができる。例えば、セルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これをメチルクロリドまたはエチルクロリドと反応させてエーテル化することによって製造される。
セルロースエーテルの数平均分子量は、好ましくは22000〜100000であり、より好ましくは30000〜80000、さらに好ましくは35000〜65000である。過度に高い分子量は、溶剤に対する溶解度を低下させる、得られた溶液の粘度が高過ぎて溶剤キャスト法に適さない、熱成形を困難にしてフィルムの透明性を低くするなどの問題を生じる場合がある。一方、過度に低い分子量は、得られたフィルムの機械的強度を低下させる傾向にある。
このように本発明に係る位相差フィルムは、単一のセルロースアシレートからなっても、置換度の異なる複数のセルロースアシレートからなってもよく、またセルロースアシレートとセルロースエーテルとの混合物であってもよい。さらには、これらのポリマーと相溶しうる他のポリマーや添加剤を含有してもよい。
本発明に係る位相差フィルムは、フィルム形成時に存在する水分によるフィルム強度の低下を防止するために、フィルム化の際に用いる樹脂、ペレット、溶剤などを予め乾燥させてもよい。本発明に係る位相差フィルムはまた、可塑剤、劣化防止剤などの添加剤をさらに含有してもよい。
可塑剤は、延伸などの加工特性または靱性を改善する目的で用いることができる。可塑剤としては、例えば、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルなどが挙げられ、リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルフォスフェートおよびトリクレジルホスフェートなどが挙げられる。カルボン酸エステルとしては、例えば、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが挙げられ、フタル酸エステルとしては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレートおよびジエチルヘキシルフタレートなどが挙げられる。クエン酸エステルとしては、O−アセチルクエン酸トリエチルおよびO−アセチルクエン酸トリブチルが挙げられる。その他のカルボン酸エステルとしては、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルなどが挙げられる。本発明に係るポリマーフィルムにおいて、フタル酸系またはリン酸系の可塑剤を用いることが好ましい。
劣化防止剤として、酸化による劣化を抑制する酸化防止剤、高温下での安定性を付与する熱安定剤、および/または紫外線による劣化を防止する紫外線吸収剤が使用され得る。また、塩素化した樹脂類および/または可塑剤に対して、分解により発生する遊離酸を吸収させる酸吸収剤を用いることもできる。劣化防止剤としては、上述したリン酸エステル化合物以外に、フェノール誘導体、エポキシ系化合物、アミン誘導体などが用いられる。フェノール誘導体としては、オクチルフェノール、ペンタフェノン、ジアミルフェノールなどが挙げられる。アミン誘導体としてはジフェニルアミンなどが挙げられる。
可塑剤などの添加剤の添加量は、ポリマーの合計100重量部に対して、0.5〜5.0重量部であることが好ましく、1.0〜4.0重量部であることがさらに好ましい。添加量が5.0重量部を超える場合、その効果を得ることはできず、逆にフィルム表面へ滲み出したり、透明性が低下する傾向がある。また、添加量が0.5重量部未満であると、劣化防止剤の効果を十分に得られない場合がある。
本発明に関わる位相差フィルムは、樹脂を溶剤に溶解し、ダイ方式やコンマ方式等の公知のコーターにより膜厚を調整するソルベントキャスト法により得ることができる。特に、液晶表示装置の光学補償等のように、高い平面性が要求される場合には、ソルベントキャスト法は均一な膜厚が得られる点で有利である。
ソルベントキャスト法に用いることのできる溶剤はケトン類、エステル類、ハロゲン化炭化水素等、公知の溶剤から選択される。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が使用可能である。エステル類としては、酢酸エチルや酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルやプロピオン酸メチル等が使用可能である。また、ハロゲン化炭素としては塩化メチレンやクロロホルム等が使用できる。中でも塩化メチレンはセルロースアシレートとセルロースエーテルの両者を溶解しやすく、沸点が低い為に生産性が高くなるという利点を有する。さらに、乾燥中の火災等に対する安全性も高いので、本発明の位相差フィルムを製造する際に最も好適に用いられる。
ソルベントキャスト法によりフィルム化する場合、樹脂および添加剤を溶剤に溶解し、ドープを作成したのち、支持体に流延し、乾燥してフィルムとする。また、ドープの調整に関しては、樹脂のみを先に溶剤に溶解した後、スタティックミキサー等を用いて添加剤を混合する方法を用いることもできる。
ドープの好ましい粘度は1.0Pa・s以上、10.0Pa・s以下、さらに好ましくは1.5Pa・s以上、8.0Pa・s以下である。好ましい支持体としてはステンレス鋼のエンドレスベルトや、ポリイミドフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のようなフィルム等が挙げられる。また、ポリイミドや二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを支持体として用いる場合は、支持体とセルロースフィルムとの付着性を制御するために、支持体表面コーティングや放電処理を施してもよい。詳細には、コーティングや放電処理により、支持体とセルロースフィルムを適度に剥離できる程度に付着性を高めることができる。
フィルムを均一な厚みとするためには、乾燥の初期において、急激な溶剤の飛散を防止することが重要であり、支持体へドープをコーティングした直後の雰囲気温度は、溶剤の沸点以下とすることが好ましい。また、コーティング直後の雰囲気温度を低くした場合、溶剤の蒸発によりさらに雰囲気温度が低下することで、乾燥炉内の水分が結露し、フィルムが白化する場合がある。このような結露による白化を防止する目的で、乾燥初期の炉内に乾燥空気や、窒素等の水分含有量が少ない気体を供給し、炉内の湿度を20%以下に保つことが好ましい。このような状態から、乾燥が進むにつれて、雰囲気温度が上昇するように条件を設定し、フィルム表面が乾燥した状態となるまでは、雰囲気温度を(溶剤の沸点+50)℃以下とすることが好ましい乾燥条件である。また、フィルムの厚み精度が本発明の範囲から外れる場合には、さらに乾燥温度を下げるか、あるいは、乾燥速度を低下させる目的で支持体の流れ方向の線速度を小さくすることが有効である。
本発明フィルムは、支持体に担持されたまま、乾燥を行うことも可能であるが、必要に応じて、予備乾燥したフィルムを支持体から剥離し、さらに乾燥することもできる。フィルムの乾燥は、一般にはフロート法や、テンターあるいはロール搬送法が利用できる。フロート法の場合、フィルム自体が複雑な応力を受け、光学的特性の不均一が生じやすい。また、テンター法の場合、フィルム両端を支えているピンあるいはクリップの距離により、溶剤乾燥に伴うフィルムの幅収縮と自重を支えるための張力を均衡させる必要があり、複雑な幅の拡縮制御を行う必要がある。一方、ロール搬送法の場合、安定なフィルム搬送のためのテンションは原則的にフィルムの流れ方向(MD方向)にかかるため、応力の方向を一定にしやすい特徴を有する。従って、フィルムの乾燥は、ロール搬送法によることが最も好ましい。
位相差フィルムを得るために、上記で得られたフィルムを公知の延伸方法により配向処理を行い、均一な位相差を付与することができる。本発明の位相差フィルムを製造するにあたり、その延伸方法は特に制限されないが、2対のニップロール間の周速差により縦延伸する方法を用いることが好ましい。さらに、このような延伸方法においては、2対のニップロール間に配置された加熱炉の長さは、延伸前のフィルム幅に対して1.0倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがさらに好ましい。炉長をこのような範囲とすることで、フィルムの遅相軸のズレの範囲を小さくすることができる。また、加熱炉の長さは、延伸前のフィルム幅に対して15倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがさらに好ましい。過度に炉長が長いと、設備コストが増大するばかりでなく、フィルム延伸時に、フィルムの自重によるたるみが生じて自己支持性が失われ、フィルムが熱風ヒーターのノズル等に擦れて、フィルム表面にキズが入るといった、外観不良の原因となる場合がある。
さらに、本発明の位相差フィルムの製造方法において、NZを目的の範囲とするためには、フィルムのガラス転移温度Tgに対して、延伸温度は(Tg+5)℃以上であることが好ましく、(Tg+7)℃以上であることが好ましい。ただし、ここでいう延伸温度とは、延伸を実施する炉内の温度がすべてがこの温度で均一なければならないということを意味するのではなく、延伸を実施する炉内のフィルムから10mmの範囲内での最高温度を表しており、炉内のその他の点が前記温度範囲から外れていてもよい。延伸温度の上限はフィルムの融点未満であれば特に制限されないが、過度に高い温度であると、位相差の発現性が低下する場合があるため、(Tg+30)℃以下であることが好ましい。
また、ガラス転移温度は示差熱分析法(DSC)を用い、JIS K−7121に記載の方法にて測定することができる。
一般にセルロース誘導体からなるフィルムを自由端一軸延伸した場合、特開2000−137116号公報の実施例等開示されているように、NZの値は1.20を超える場合が多く、NZを小さくするためには、特開平5−157911号公報に示されるような特殊な二軸延伸が必要となる。しかしながら、このような特殊な二軸延伸では、熱収縮フィルムの貼合等が必要となるため工程が増加し、歩留りが悪化したり、コストが増大する傾向にある。本発明においては、延伸温度を前記範囲に制御することで自由端一軸延伸により、NZの範囲を1.00以上、1.20以下、さらには1.00以上、1.10以下に制御することができるため、工程数減少による歩留り向上やコスト削減の点で好ましい方法である。
さらに、本発明の位相差フィルムの製造方法において、位相差の面内均一性向上や、遅相軸のズレを小さくする目的で、2対のニップロール間にフィルム流れ方向に2つ以上の温調可能な加熱ゾーンを有する縦延伸機を用い、低温ゾーンの後に高温ゾーンをフィルムが通過するように温調し、かつ、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、高温ゾーンの温度が(Tg+5)℃以上とする方法を好適に用いることができる。このような構成の中で、最も簡単で好ましい様態としては、図2に示すように、フィルム流れ方向に低温ゾーンと高温ゾーンに分割された様態であり、高温ゾーンと低温ゾーンに熱供給を行い、それぞれのゾーン毎に温度制御が可能な状態である。さらに、高温ゾーンと低温ゾーンの間に中間の温度を有するゾーンを設けても良いし、低温ゾーンの前に高温ゾーンを設けたり、さらに温度の低い予熱ゾーンを設けることもできる。また、高温ゾーンと出口側のニップロールの間に、温調された熱ロールを設けることは、フィルムが急冷されることによるシワの発生を防止することができるため、好ましい構成である。
このようなゾーン延伸法を用いる場合において、高温ゾーンの温度は(Tg+5)℃以上であることが好ましく、(Tg+7)℃以上であることが好ましい。ただし、ここでいう温度とは、延伸を実施するゾーン内の温度がすべてこの温度で均一なければならないということを意味するのではなく、高温ゾーン内のフィルムから10mmの範囲内での最高温度を表しており、炉内のその他の点が前記温度範囲から外れていてもよい。高温ゾーンの温度の上限はフィルムの融点未満であれば特に制限されないが、過度に高い温度であると、位相差の発現性が低下する場合があるため、(Tg+30)℃以下であることが好ましい。
さらに、このようなゾーン延伸法においては、低温ゾーンと高温ゾーンの温度差は5℃以上であることが好ましく、7℃以上であることがさらに好ましい。さらにまた、低温ゾーンの温度は、(Tg−5)℃以上、(Tg+5)℃以下であることが好ましく、(Tg−5)℃以上、(Tg+3)℃であることがさらに好ましい。このような温度範囲から外れると、位相差の均一性を向上させたり、遅相軸のズレを小さくする効果が薄れる場合がある。
このようなゾーン延伸法で、遅相軸のズレや位相差を小さくできる原因は定かではないが、本発明者らの推定では、縦延伸法は、幅方向に収縮するプロセスと流れ方向に延伸するプロセスとを含んでいるが、これらのプロセスは同時に起こるよりも、個別に起こった方が延伸の均一性が高まるためと考えられる。すなわち、低温ゾーンにおいてある程度フィルムを幅方向に収縮させておき、高温ゾーンにおいて、流れ方向に延伸することにより、このような2つのプロセスを個別に行うことができる。そのため、低温ゾーンの温度が低すぎる場合には、低温ゾーンでのフィルムの幅方向の収縮があまり起こらず、高温ゾーンにおいて幅方向の収縮プロセスと流れ方向の延伸プロセスが同時に起こってしまうのではないかと推定される。また、低温ゾーンと高温ゾーンの温度差が小さいときも、同様の考え方から、その効果が薄れると推定される。このような原理はあくまでも推定であり、本発明をこれらの原理に限定させるものではない。
さらにまた、本発明の位相差フィルムの製造方法においては、入口側のニップロールの周速v、出口側のニップロールの周速v、入口側のニップロールにおけるフィルム幅Wと、出口側のニップロールにおけるフィルム幅Wが下記数式7を満たすことが好ましく、数式11を満たすことがさらに好ましい。
通常の縦延伸法ではWは概ねW×(v/v−1/2であるが、本発明の位相差フィルムにおいては、延伸後のフィルム幅を小さくし、前記範囲とすることで、NZを所望の範囲とすることができる。延伸後のフィルム幅Wを前記範囲とするためには、延伸温度を高くし、フィルムの幅方向の収縮を促進させることが有効である。
分子が全く配向せずにランダムな状態であるフィルムにおいては、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzはnx=ny=nzの関係を満たすが、実際のフィルムにおいては、ソルベントキャストにおいては溶剤が揮発する際に支持体等から受ける応力や、搬送時に受ける張力等、また溶融法による場合は、せん断応力や搬送時に受ける張力等によって、分子が配向し、nx、ny、nzの値が異なる場合がほとんどである。特にセルロース誘導体をソルベントキャスト法で製膜した場合においては、nx≒ny>nzとなる傾向があり、このようなフィルムにおいて、延伸後のNZを小さくするためには、延伸温度を適宜調整し、延伸後のフィルム幅を上記範囲とすることが有効である。
さらに、本発明の位相差フィルムの製造方法において、位相差均一性を向上させたり、遅相軸のズレを小さくする目的で、特開2000−241628号公報に記載されているような、幅方向で分割温調して延伸する方法と組み合わせることも好ましい構成である。
位相差フィルムの実用に際しては、例えば位相差フィルムの片面又は両面に粘着層を設けたものや、その粘着層を介して偏光フィルム、および/またはは、等方性の透明な樹脂層やガラス層等からなる保護層を接着積層したものなどの2層又は3層以上の積層体からなる適宜な形態の光学部材として適用することもできる。特に本発明の位相差フィルムと偏光板を積層することで、光学補償偏光板とすることができる。また、位相差フィルムと偏光板を貼り合わせて光学補償偏光板とする際には、本発明の位相差フィルムを1枚のみ用いてもよく、2枚以上用いてもよい。さらに、本発明位相差フィルムと、その他の光学補償フィルムとの組み合わせで用いることもできる。本発明以外の光学補償フィルムを用いる場合、補償効果の向上などを目的とし、その光学補償フィルムは特に限定されないが、例えばポリマーフィルムの一軸や二軸等による延伸処理物、ディスコティック系やネマチック系等の液晶配向層、さらには、特開2003−344856号公報等に記載の非液晶性ポリマーからなる複屈折層等を好適に用いることができる。
また、偏光板として使用されるものは特に限定されず、適宜なものを用いることができる。偏光板は一般に偏光フィルムの両面に透明保護層を有するものが広く用いられているが、偏光フィルムとしてはポリビニルアルコール(PVA)系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素及び/又は二色性染料を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルム等からなるもの等があげられる。偏光フィルムの配向方法は特に限定されないが、一般には、フィルムを流れ方向および/または幅方向に延伸したものが用いられる。特に、生産性の観点から、偏光フィルムはフィルム流れ方向に延伸を行ってなるものがより好ましい。また、前記透明保護層としてはトリアセチルセルロース(TAC)系フィルムが一般に用いられる。一般に、このような透明保護フィルムは偏光子保護フィルムと称される。
偏光板、特に偏光フィルムは、その片側又は両側に透明保護層を有するものであってもよい。また偏光板は、反射層を有する反射型のものであってもよい。反射型の偏光板は、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。
前記の透明保護層は、ポリマーの塗布層や保護フィルムの積層物などとして適宜に形成でき、その形成には透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーなどが好ましく用いられる。その例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、ないし紫外線硬化型の樹脂などがあげられる。透明保護層は、微粒子の含有によりその表面が微細凹凸構造に形成されていてもよい。特に、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いる場合は、接着性を上昇させるために、フィルム表面をケン化処理して用いることもできる。さらにまた、本発明の位相差フィルムを偏光フィルムの透明保護層と用いることで、光学補償偏光板を形成することもできる。
また反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明樹脂層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式で行うことができる。その具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルム等の透明樹脂層の片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設したものや、前記透明樹脂層の微粒子含有による表面微細凹凸構造の上に蒸着方式やメッキ方式等の適宜な方式で金属反射層を付設したものなどがあげられる。
なお、本発明の光学補償偏光板において、位相差フィルムと偏光板の積層方法は適宜に決定することができる。例えば、液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層する方式にて実施することもできるが、前記位相差フィルムと偏光板を予め積層することにより、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置の製造効率を向上させうる利点などがある。積層には、適宜な透明接着剤ないし粘着剤などを用いることができ、その接着剤等の種類について特に限定はない。屈折率が異なるものを積層する場合には、反射損の抑制などの点より中間の屈折率を有する接着剤等が好ましく用いられる。また、本発明の位相差フィルムをコロナ放電等によって表面処理することで、接着剤等との密着性を向上させ、接着剤等の剥がれを防止する方法も好ましく用いられる。また、光学特性の変化防止の点から、積層の際に高温で長時間のプロセスを要する硬化や乾燥等を要しない粘着層による積層方式が好ましい。その粘着層は特に限定されないが、耐熱性や光学特性などの点からアクリル系のものが好ましく用いられる。
なお粘着層には、必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤や酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また微粒子を含有させて光拡散性を示す粘着層とすることもできる。
本発明による位相差フィルムおよび/または光学補償偏光板を用いた、液晶表示装置の形成は、公知の方法に準じて行うことができる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと位相差フィルム、及び必要に応じて偏光板や照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、上記の如く、本発明による位相差フィルムを光学補償用のものに用いて、それを液晶セルの片側又は両側に設ける点を除いて特に限定されない。
従って、液晶セルの片側又は両側に偏光板を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。偏光板を用いた液晶表示装置の場合、位相差フィルムは液晶セルと偏光板、特に視認側の偏光板との間に配置することが補償効果の点などより好ましい。その配置に際しては、上記の光学補償偏光板としたものを用いることもできる。
また、上記した位相差フィルムや偏光板、透明保護層や粘着層などの各層は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能をもたせることもできる。
本発明による位相差フィルム、および/または光学補償偏光板は、視野角の拡大やコントラストの向上など、液晶セル等の持つ複屈折の補償目的に、TN型やSTN型、VA型やIPS型、OCB型等、任意の液晶セルに用いることができる。中でもVA型の液晶表示装置の視野角による視認性の変化を抑制する目的で用いた際にその効果が顕著である。
以上、本発明の目的は、1枚のフィルムからなり、波長586.7nmにおけるフィルム流れ方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも大きく、さらに、上述した各種特性を満たす位相差フィルムおよび、その製造方法とそれを用いた光学補償偏光板を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載したフィルムや、延伸条件、有する位相差値等に存するのではない。したがって、上記の位相差フィルムおよび、それを積層してなる光学補償偏光板は、その原料等によらず、本発明の範囲に属する。
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(測定方法)本明細書中に記載の材料特性値等は、以下の評価法によって得られたものである。
(1)位相差値の波長分散
フィルムの幅方向中央より50mm角のサンプルを切り出し、王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRにより、位相差の波長分散性を測定し、その測定値を元に装置付属のプログラムよりRe(450)、Re(550)、Re(650)を算出した。
(2)厚み方向位相差およびNZ
フィルムの幅方向中央より35mm角のサンプルを切り出し、王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRにより、測定波長586.7nmにて、平面方向位相差と、フィルム遅相軸を回転軸として45°傾けた際の位相差を測定し、装置付属のプログラムにより、厚み方向位相差(Rth)およびNZを算出した。なお、Rthは、下記数式12で計算される値である。
(3)面内の位相差値の標準偏差
フィルム幅方向中央および両端部よりそれぞれ150mm角のサンプルを切り出し、王子計測機器製面内位相差計KOBRA−WIXYのステージ上にフィルムの延伸方向と測定機のアーム移動方向が平行となるようにステージ上に配置し、カールによる影響を抑える目的で、フィルムの4隅をテープで固定し、測定間隔10mm、測定範囲100mm×100mmで面内中央部の位相差を測定した。得られた位相差データRe〜Re100を元に下記数式9を用いて、標準偏差を計算し、幅方向中央、両端部の3枚のサンプルでの最大値をその位相差フィルムの面内の位相差値の標準偏差とした。
(4)フィルム厚み、隣接する山の頂点から谷の底点までの高さおよび、フィルム厚みの傾き
フィルムを流れ方向5cm幅で切り出し、流れ方向5cmを1辺とし、フィルム幅を前記1辺と直交する1辺とする短冊状のフィルムサンプルを得た。このフィルムサンプルにつき、フィルム幅方向に連続的に厚みを測定し、それらの値を1mm単位でサンプリングすることでデータを得た。この際の平均厚みをフィルム厚みとした。また、得られたデータを2次元でプロットし、それぞれの山の頂点、および谷の底点に関して図1のようにして、隣接する山の頂点から谷の底点までの高さ(a)および距離(b)を算出し、(a)/(b)により、厚み傾きを求めた。全ての隣接する山の頂点から谷の底点に関してこれらを行い、フィルム幅方向における最大値を求めた。
(4)全光線透過率
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981の5.5記載の方法により測定した。
(5)ヘイズ
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K7105−1981の6.4記載の方法により測定した。
(6)ガラス転移温度
セイコー電子工業製示差走査熱量計DSC220Cにより、JIS K−7121に記載の方法にて測定した。
(7)光弾性係数
フィルムの幅方向中央より、延伸方向を長辺方向とし、15mm×60mmに長方形に切り出したフィルムを用いた。切り出したフィルムの長辺方向両端をチャック間距離が45mmとなるように固定し、駿河精機製X軸アリ式ステージ B05−11BMによりフィルムに、0Nから100Nまで10N毎に段階的に張力を付与した。張力は株式会社イマダ製センサーセパレート型デジタルフォースゲージ ZPS−DPU−50Nによりモニターした。各張力を付与した状態での位相差値を王子計測機器製KOBRA−WRにより、測定波長586.7nmにて測定した。位相差測定後サンプルを治具より外し、位相差測定部分の厚み(d)を測定した。得られた各測定値より、フィルムの断面積(S)=15mm×dとし、応力(=張力/S)、複屈折(=位相差値/d)を計算し、横軸に応力、縦軸に複屈折をプロットし、最小自乗法により求め得られた直線の傾きを光弾性係数とした。
(8)遅相軸ズレおよび位相差の分布
図3に示すように、まず、フィルムの流れ方向1m間隔5箇所で、流れ方向に5cmの間隔で2回ずつ、フィルムの全幅に渡ってフィルムを切断することにより、短冊状フィルムを5本切り出した。この短冊状フィルムは、幅が5cmで、長さがフィルムの幅となっている。次に、これらの各々のサンプルをフィルムの幅方向に10等分し計50点のサンプルを得た。これらの計50点の位相差値およびフィルムの流れ方向と遅相軸とのズレを、王子計測機器製KOBRA−WRにより、測定波長586.7nmにて測定し、これら50点のサンプルにおける平均値、最大値、及び最小値を算出した。
(9)残存溶剤量
フィルムを幅方向中央付近から約10gのサンプルを切り出し、重量を測定後に150℃のオーブンで60分間加熱した後に再度重量を測定し、下記数式13により計算した。
(実施例1)
アセチル基の置換度が0.1、プロピオニル基の置換度が2.6、数平均分子量が75000であるセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製セルロースエステル CAP482−20、以下化合物Aとする)を50重量部、アセチル基の置換度が0.1、プロピオニル基の置換度が2.4、数平均分子量が25000であるセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製セルロースエステル CAP482−0.5、以下化合物Bとする)を50重量部、ジエチルフタレートを2重量部、塩化メチレンを566重量部含むドープを調製した。このドープを23℃、湿度15%の環境下で、流れ方向に1.0×10N/mの応力を付与した状態の幅1650mm、厚み125μmの二軸延伸PETフィルム上にコンマコーターを用いて連続的に流延した。支持体および流延されたドープは、遠赤外線ヒーターにより雰囲気温度35℃に調整された乾燥炉内に連続的に搬送され、以降、段階的に雰囲気温度を50℃まで上昇させた炉内を通過させた。また、この乾燥炉は露点−23℃の除湿エアーを連続的に供給することで湿度を15%以下に保ち、水分によるフィルムの白化を防止した。その後さらに、60℃から90℃まで段階的に温度を上げた熱風炉を通過させることでさらに乾燥させてウェブとし、支持体と一体で巻取りロール状とした。得られたロール状のウェブを、PETフィルムから剥離してさらに雰囲気温度100℃の熱風炉で乾燥させた後、フィルム両端部を切り落とし、厚み71.5μm、幅1490mm、長さ1400mの長尺フィルムを得た。得られたフィルムの、塩化メチレンの残存溶剤量は1.2%、ガラス転移温度は138℃であった(このフィルムを無延伸フィルム1とする)。
無延伸フィルム1を用い、炉長4m、炉内の雰囲気温度が148℃のロール延伸機の入り口側のニップロールvと出口側のニップロールvの周速比(v/v)=1.67として、フィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(実施例2)
無延伸フィルム1を用い、炉内の雰囲気温度を144℃、(v/v)=1.59とした以外は実施例1と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(比較例1)
炉内の雰囲気温度を138℃、(v/v)=1.50とした以外は実施例1と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸しロール状の位相差フィルムを得た。
(比較例2)
塗工の際の厚み以外は無延伸フィルム1と同様の条件にて、厚み105.3μm、幅1490mm、長さ1400mの長尺フィルムを得た。得られたフィルムの、塩化メチレンの残存溶剤量は1.5%、ガラス転移温度は138℃であった(このフィルムを無延伸フィルム2とする)。この無延伸フィルム2を用い、(v/v)=1.39とした以外は実施例1と同様の条件で、フィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(比較例3)
塗工の際の厚み以外は無延伸フィルム1の製造と同様の条件にて、厚み41.5μm、幅1490mm、長さ1400mの長尺フィルムを得た。得られたフィルムの、塩化メチレンの残存溶剤量は0.9%、ガラス転移温度は138℃であった(このフィルムを無延伸フィルム3とする)。この無延伸フィルム3を用い、実施例1と同様の条件で、フィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(比較例4)
無延伸フィルム3を用い、(v/v)=1.90とした以外は比較例3と同様の条件でフィルム流れ方向に連続的に延伸したところ、フィルムは著しく白濁し、実用に供せるものでは無かった。
(実施例3)
無延伸フィルム1を用い、炉長が4mであり、2m毎に仕切られて独立温調可能なロール延伸機を用い、第1のゾーンと第2のゾーン(以降それぞれ1Z、2Zと称する)の温度をそれぞれ、138℃、148℃、(v/v)=1.67として、フィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。延伸機の概略を図4に示す。
(実施例4)
無延伸フィルム1を用い、1Z,2Zの温度をそれぞれ145℃、148℃、(v/v)=1.71とした以外は実施例3と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(実施例5)
無延伸フィルム1を用い、1Z,2Zの温度をそれぞれ132℃、148℃、(v/v)=1.66とした以外は実施例3と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(実施例6)
無延伸フィルム1を用い、1Z,2Zの温度をそれぞれ148℃、138℃、(v/v)=1.69とした以外は実施例3と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(実施例7)
無延伸フィルム1を用い、実施例3で用いたロール延伸機の炉内2Zに、幅方向に10分割された赤外線パネルヒーターを配置し、端から順に175、175、165、160、155、155、160、165、175、175℃に設定し、1Z、2Zの温度をそれぞれ138℃、148℃、(v/v)=1.67として、フィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(実施例8)
化合物Aを30重量部、化合物Bを70重量部、塩化メチレンを500重量部含むドープを調製した。このドープを用いて実施例1と同様にして、厚み71.3μm、幅1471mm、長さ1400mの長尺フィルムを得た。得られたフィルムの塩化メチレンの残存溶剤量は1.1%、ガラス転移温度は147℃であった(このフィルムを無延伸フィルム4とする)。
無延伸フィルム4を用い、実施例7で用いた赤外線パネルヒーターを有するロール延伸機のパネルヒーターを端から順に180、180、170、165、160、160、165、170、180、180℃に設定し、1Z、2Zの温度をそれぞれ147℃、157℃、(v/v)=1.71として、フィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(実施例9)
化合物Aを93重量部、平均置換度が2.3、数平均分子量が51000であるエチルセルロース(ダウケミカル製エトセル MED70)を9重部、塩化メチレン650重量部を含むドープを調製した。このドープを用いて実施例1と同様にして、厚み63.7μm、幅1465mm、長さ1400mの長尺フィルムを得た。得られたフィルムの塩化メチレンの残存溶剤量は0.9%、ガラス転移温度は147℃であった(このフィルムを無延伸フィルム5とする)。
無延伸フィルム5を用い、炉内の雰囲気温度を157℃、(v/v)=1.63とした以外は実施例1と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(実施例10)
無延伸フィルム5を用い、炉内の雰囲気温度を159℃、(v/v)=1.73とした以外は実施例9と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(実施例11)
無延伸フィルム5を用い、1Z,2Zの温度をそれぞれ149℃、159℃、(v/v)=1.75とした以外は実施例3と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
(比較例5)
ビスフェノール成分としてビスフェノールA(下記モノマー[A])からなるポリカーボネート(帝人化成製パンライト C−1400)を100重量部、塩化メチレンを400重量部含むドープを調整した。このドープを用いて実施例1と同様にして、厚み24.3μm、幅1430mm、長さ1400mの長尺フィルムを得た。得られたフィルムの塩化メチレンの残存溶剤量は1.7%、ガラス転移温度は148℃であった(このフィルムを無延伸フィルム6とする)。
無延伸フィルム6を炉内の雰囲気温度を157℃、(v/v)=1.11、とした以外は実施例1と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た
(比較例6)
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これにビスフェノールA(下記モノマー〔A〕)とビスクレゾールフルオレン(下記モノマー〔B〕)を40:60(モル%)の比率で溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p-tert-ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相を分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体を重水素化ベンゼンに溶解し、バリアン社製NMR INOVA AS600を用いて、プロトン NMRにより、成分AおよびBのメチル基のプロトン強度比から共重合比を算出したところ、[A]:[B]=43:57であった。
この共重合体を100重量部、塩化メチレンを450重量部含むドープを調整した。このドープを用いて実施例1と同様にして、厚み80.2μm、幅1430mm、長さ1400mの長尺フィルムを得た。得られたフィルムの塩化メチレンの残存溶剤量は1.1%、ガラス転移温度は227℃であった(このフィルムを無延伸フィルム7とする)。
無延伸フィルム7を炉内の雰囲気温度を234℃、(v/v)=1.77、とした以外は実施例1と同様にフィルム流れ方向に連続的に延伸し、ロール状の位相差フィルムを得た。
無延伸フィルム1〜5の特性を表1に、実施例および比較例で得られた延伸フィルムの特性を表2および表3に示す。
(実施例12)吸収二色性偏光フィルムとしてヨウ素を含有させたPVAフィルム(厚み30μm)を準備し、PVA系接着剤により、前記偏光フィルムの両面に透明保護フィルムとしてTACフィルム(厚み40μm)を貼り合わせることによって、全体厚み110μmの偏光板を作製した(偏光板Aとする)。偏光板Aの透過軸と実施例1で得られた位相差フィルムの延伸軸が平行となるように、アクリル系の粘着剤で貼り合わせ、光学補償偏光板(偏光板Bとする)を得た。暗室内で照度10000ルクスのバックライト上に偏光板Aを配置し、さらにその上に偏光板Bを、偏光板Aの透過軸と直交するように配置し、目視にて光漏れの有無を評価したところ、光漏れは確認できなかった。
(比較例7)
偏光板Aの透過軸と比較例1で得られた位相差フィルムの延伸軸が平行となるように、アクリル系の粘着剤で貼り合わせ、光学補償偏光板(偏光板Cとする)を得た。実施例12の偏光板Bに代えて偏光板Cを用いて同様の光漏れの評価を実施したところ、正面から見た際の光漏れは感じられなかったものの、斜め45度の方向から見た際にスジ状の光漏れが確認された。
上記実施例に示すように、1枚のフィルムからなり、波長586.7nmにおけるフィルム流れ方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも大きく、さらに、以下のA、B、C、D、及びEのすべてを満たすことを特徴とする位相差フィルムを得ることができる。
A:波長λnmにおける正面位相差Re(λ)が、下記数式1を満たす。
B:波長586.7nmにおける、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、下記数式2で計算されるNZの値が、下記数式3を満たし、かつ、光弾性係数が3.0×10−11/N以下である。
C:フィルム厚みdが50μm以上、90μm以下である。
D:フィルム面内の任意の点を中心とした100mm×100mmの範囲において、10mm間隔で測定した100点の位相差値の標準偏差が0.50nm以下である。
E:フィルム面内の遅相軸方向と、フィルム流れ方向のなす角度が±1.5°以内である。
さらには、実施例3、実施例7、実施例8、実施例11に示すように、2対のニップロール間にフィルム流れ方向に2つ以上の温調可能な加熱ゾーンを有する縦延伸機を用い、低温ゾーンの後に高温ゾーンをフィルムが通過するように温度を設定し、かつ、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、高温ゾーンの温度が(Tg+5)℃以上とすることで、遅相軸ズレの範囲を小さくできることが分かる。
また、実施例12に示すように、上記条件を満たす位相差フィルムからなる光学補償偏光板は光漏れのない良好な表示特性を有する。
本発明において、位相差値の標準偏差を算出する際のサンプルに関して模式的に示したものである。 本発明において、隣接する山の頂点から谷の底点までの高さおよび、フィルム厚みの傾きの測定方法の模式図である。 本発明の位相差フィルム製造方法において用いられる、2対のニップロール間にフィルム流れ方向に2つ以上の温調可能な加熱ゾーンを有する縦延伸機の模式図である。 本発明の位相差フィルムの遅相軸ズレの分布を測定するにあたり、測定用のサンプルを切り出す方法を模式的に示したものである。 本発明の実施例において用いた、2対のニップロール間にフィルム流れ方向に2つの温調可能な加熱ゾーンを有する縦延伸機の模式図である。
符号の説明
(a) 隣接する山の頂点から谷の底点までの高さを表す。
(b) 隣接する山の頂点から谷の底点までの幅を表す。

Claims (15)

  1. 1枚のフィルムからなり、波長586.7nmにおけるフィルム流れ方向の屈折率が、フィルム幅方向の屈折率よりも大きく、さらに、以下のA、B、C、D、及びEのすべてを満たすことを特徴とする位相差フィルム。
    A:波長λnmにおける正面位相差Re(λ)が、下記数式1を満たす。
    B:波長586.7nmにおける、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向の屈折率nzに対して、下記数式2で計算されるNZの値が、下記数式3を満たし、かつ、光弾性係数が3.0×10−11/N以下である。
    C:フィルム厚みdが50μm以上、90μm以下である。
    D:フィルム面内の任意の点を中心とした100mm×100mmの範囲において、10mm間隔で測定した100点の位相差値の標準偏差が0.50nm以下である。
    E:フィルム面内の遅相軸方向と、フィルム流れ方向のなす角度が±1.5°以内である。
  2. 波長550nmにおける正面位相差Re(550)が下記数式4を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルム
  3. セルロース誘導体を80重量%以上含有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  4. 前記セルロース誘導体が、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアシル基によって置換されたセルロースアシレートであることを特徴とする請求項3に記載の位相差フィルム。
  5. 前記アシル基の置換度が、2.0以上、2.9以下であることを特徴とする請求項4に記載の位相差フィルム。
  6. 前記アシル基がアセチル基およびプロピオニル基であり、アセチル置換度をDSac、プロピオニル置換度をDSprで表した時に、下記数式5を満たすことを特徴とする請求項5に記載の位相差フィルム。
  7. 前記セルロースアシレートが、前記アセチル置換度、及び前記プロピオニル置換度のうち、少なくとも一方が異なる値である複数種からなることを特徴とする請求項6に記載の位相差フィルム。
  8. 前記セルロースアシレート100重量部に対して、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシ基で置換されたセルロースエーテルを1重量部以上、20重量部以下さらに含有することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  9. 前記アルコキシ基がエトキシ基であり、エトキシ置換度(DSet)が、下記数式6を満たすことを特徴とする請求項8に記載の位相差フィルム。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、フィルムを縦延伸する工程を含み、かつ、該縦延伸工程中に該フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して(Tg+5)℃以上の温度に該フィルムを保持する工程を更に含むことを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  11. 各々周速調整可能な、2個1対の入口側ニップロール、及び2個1対の出口側ニップロールの2対のニップロールを有するフィルム搬送装置、及び、各々温調可能な複数のゾーンを有するフィルム加熱装置を含む縦延伸機を用いて前記フィルムを処理する請求項10に記載の位相差フィルムの製造方法であって、前記フィルムを、入口側ニップロール、低温ゾーン、該低温ゾーンより高い温度に温調した高温ゾーン、出口側ニップロールの順に移動させる間に前記2対のニップロール間の周速差により前記縦延伸し、かつ、該高温ゾーンの温度を(Tg+5)℃以上に温調することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  12. 前記低温ゾーン、及び前記高温ゾーンを、それらの間の温度差が5℃以上となるように温調することを特徴とする請求項11に記載の位相差フィルムの製造方法。
  13. 前記低温ゾーンの温度を(Tg−5)℃以上、かつ(Tg+5)℃以下に温調することを特徴とする請求項11、又は12いずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  14. 前記入口側ニップロールの周速v、前記出口側ニップロールの周速v、前記入口側ニップロールにおける前記フィルムの幅Wと、前記出口側ニップロールにおける前記フィルムの幅Wが、下記数式7を満たすように前記縦延伸することを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  15. 請求項1から9のいずれか1項に記載の位相差フィルム、または、請求項10から14のいずれか1項に記載の製造方法により形成された位相差フィルムと、偏光板とを積層してなる光学補償偏光板。
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