JP2007304331A - 静電潜像現像用トナー、及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い帯電量を有し、帯電の環境依存性、帯電の経時での安定性及びトナーのアドミックス性に優れ、さらにトナーの流動性及び現像・転写性に優れる静電潜像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも、トナー粒子と、外添剤としてと、を有する静電潜像現像用トナーであって、前記外添剤の少なくとも1種が、疎水化された体積平均粒子径80〜300nmのシリカ粒子であり、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード50mm/sec、回転翼の進入角度−10°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量が300mJ以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法や静電記録法等において静電潜像を現像し、可視化するための静電潜像現像用トナー、及び画像形成方法に関する。
電子写真プロセスとしては、特公昭42−23910号公報等に記載されているように多数の方法が知られている。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー画像を形成した後、感光体表面のトナー画像を、中間転写体を介して若しくは介さずに、用紙等の転写材表面に転写し、この転写画像を加熱、加圧若しくは加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、定着画像が形成される。感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再び上記の複数の工程に供される。
従来、電子写真感光層上に形成された静電潜像を顕像化するのに用いられる電子写真用現像剤としては、結着樹脂中に着色剤を分散させて得られたトナーよりなる一成分現像剤、或いはトナーと鉄、フェライト、ニッケル等の粒子又はこれらを種々の樹脂で被膜したキャリアとを混合してなる二成分現像剤が一般に用いられている。ところで、これらの現像剤だけでは保存性(耐ブロッキング性)、流動性、現像性、転写性、帯電維持性等の特性が十分でないため、これらの特性を改善するためにトナーにシリカ粒子等の無機粒子添加剤を外添することがしばしば行われている。しかしながら、シリカ粒子は負帯電性が強く、また低温低湿下と高温高湿下での帯電性に大きな差を生じさせるという問題があり、濃度再現不良や背景カブリ等の原因となることがあった。
これらの点を改善するために、疎水化処理を施したシリカ粒子を用いたものが種々提案され、また、特開昭63−139367号公報に開示されているようなシランカップリング処理を施した後、更にシリコーンオイル処理を施して疎水性を向上させたシリカ粒子等を用いたものも提案されている。しかしながら、これらのものでは十分な効果が得られず、更にシリコーンオイル処理したシリカ粒子はオイルの粘度が高いために、処理時にシリカ粒子の凝集が起こり、粉体流動性に悪影響を与えるという問題があった。また、従来の疎水性シリカ粒子をトナーに外添した場合、帯電の速度、帯電量の分布、トナーのアドミックス性等の特性に対して悪影響を及ぼすという欠点があった。
この欠点を改善する目的で疎水性シリカ粒子と酸化チタン粒子を併用する方法が提案されているが、この方法では上記諸特性の改善はかれるものの、帯電量が非常に低くなるという問題が生じる。これに対しシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーンオイル等で酸化チタンを処理した疎水性酸化チタンが提案されており、これによりある程度の帯電量の低下は改善できるものの、疎水化度を上げることにより、逆に酸化チタンを添加することによる帯電の速度、トナーのアドミックス性の改善効果が失われてしまう。
また、従来の硫酸法等により脱水焼成された酸化チタンは、2次、3次凝集を形成しており、トナーの流動性に対し悪影響を及ぼすという欠点があり、特に近年カラー等の高画質化のためにトナー粒径を小径化した際に、この傾向はより顕著に現れてしまう。
また、特開平3−89358号公報、特開平3−93605号公報に、パーフルオロアルキル基を含有するケイ素化合物による表面処理をした金属酸化物粒子を添加したトナーが開示されており、パーフルオロアルキル基による滑り性が改善され、トナーの流動性がよくなることが報告されている。しかしながら、特にパーフルオロアルキル基を含有するケイ素化合物により表面処理されたシリカ粒子を用いた場合、帯電量、帯電の環境安定性、トナーのアドミックス性に優れた効果があるものの、スリーブやキャリア及び感光体表面に粒子が付着しやすくなり、耐久性、経時による帯電安定性やフィルミングの点で悪影響を及ぼすという欠点があった。
さらにフルカラー画像における高画質化要求により、トナーが小径化するに従い、転写程ではトナー粒子にかかるクーロン力に比べて、トナーの静電潜像担持体への付着力が大きくなるため、結果として転写残トナーが(残留トナー)増加し、静電潜像担持体の帯電不良が加速する傾向があった。
トナーの転写効率向上の手段として、トナー形状を球形に近づけることが提案されている(特開昭62−184469号公報など)。また、トナー粒度と粒度分布、トナーの平均円形度と円形度分布を規定することにより、転写効率に関して総合的に考慮した現像剤について提案されている(特開平11−344829号公報、特開平11−295931号公報など)。
これらの提案では、トナー形状/形状分布を球状に近づけることで転写効率は向上するものの、トナーを球状化することにより、現像剤としての流動性が上がり、また同時に固め嵩密度が高くなる。その結果として、現像器内でのトナー搬送量が不安定になるという現象が起こる。マグロール表面の表面粗さを制御するとともに、搬送量制御材とマグロールとの間隔を狭くすることにより、トナー搬送量の改善は可能であるが、トナーの嵩密度は益々高くなり、それに応じてトナーに加わる応力も強くなり、この応力に対するトナー構造維持性は逆に弱くなってしまう。
一方、このようなストレスに対して、トナー(着色粒子)への外添剤埋没を抑制するために、大粒径の無機粒子を用いることが有効であることが開示されている(特開平7−28276号公報、特開平9−319134号公報、特開平10−312089号公報など)。
しかし、いずれも外添剤粒子を大きくすると現像器内攪拌ストレスにより、外添剤の剥がれ等を避けられないものとなってしまう。
また、粒径50〜200nmの範囲の球状有機樹脂粒子をトナーに添加する技術が開示されている(特開平6−266152号公報など)。上記球状有機樹脂粒子を用いることにより、初期的には有効にスペーサー機能を発現させることが可能である。
しかし、球状有機樹脂粒子自身が変形するため、高いスペーサー機能を安定的に発現することは困難であると同時に無機粒子添加トナーの流動性阻害及び熱凝集悪化等の粉体特性への影響、及び有機樹脂粒子そのもの自身が帯電付与能力を有しており、帯電の観点での制御自由度が低くなってしまうという帯電、現像への影響が発生する。
特公昭42−23910号公報 特開昭63−139367号公報 特開平3−89358号公報 特開平3−93605号公報 特開昭62−184469号公報 特開平11−344829号公報 特開平11−295931号公報 特開平7−28276号公報 特開平9−319134号公報 特開平10−312089号公報 特開平6−266152号公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の課題を達成することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、高い帯電量を有し、帯電の環境依存性、帯電の経時での安定性及びトナーのアドミックス性に優れ、さらにトナーの流動性及び現像・転写性に優れた静電潜像現像用トナー、及び画像形成方法を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の静電潜像現像用トナーは、疎水化処理された体積平均粒子径80〜300nmのシリカ粒子を含有し、かつ通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード50mm/sec、回転翼の進入角度−10°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量が300mJ以下であることを特徴としている。
本発明の静電潜像現像用トナーにおいて、前記疎水化処理は、炭素数10以上のアルキル基を有するアルキル系シランカップリング剤を用いてなることがよい。
本発明の静電潜像現像用トナーにおいて、前記シリカ粒子は、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード50mm/sec、回転翼の進入角度−10°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量が40〜100mJであることが好適である。
一方、本発明の画像形成方法は、
静電潜像担持体を帯電する帯電工程と、
帯電した静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
上記本発明の静電潜像現像用トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像しトナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体上に転写して未定着の転写画像を形成する転写工程と、
記録媒体上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着工程と、
を有することを特徴としている。
本発明によれば、高い帯電量を有し、帯電の環境依存性、帯電の経時での安定性及びトナーのアドミックス性に優れ、さらにトナーの流動性及び現像・転写性に優れた静電潜像現像用トナー、及び画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<静電潜像現像用トナー>
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーと称する。)は、疎水化処理された体積平均粒子径80〜300nmのシリカ粒子を含有し、かつ通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード50mm/sec、回転翼の進入角度−10°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量が300mJ以下であることを特徴としている。ここで、本発明のトナーは、トナー粒子と、外添剤とを含み、当該外添剤の少なくとも1種として、前記外添剤の少なくとも1種が、疎水化処理された体積平均粒子径80〜300nmのシリカ粒子を含むことがよい。
本発明のトナーは、上記構成とすることで、高い帯電量を有し、帯電の環境依存性、帯電の経時での安定性及びトナーのアドミックス性に優れ、さらにトナーの流動性及び現像・転写性に優れることとなる。これは、以下に示す理由によるものと推測される。
現像・転写は、現像剤の均一な搬送性、転写時の電流等にも影響されるが、基本的にはトナー粒子を担持する担体の束縛力からトナー粒子を引き離し、対象体(潜像担持体又は転写材)に付着させる工程であるので、静電引力及びトナー粒子と帯電付与部材あるいはトナー粒子と潜像担持体の付着力のバランスに左右される。このバランスの制御は非常に困難であるが、この工程は、直接画質に影響する上、効率を向上させると、信頼性の向上及びクリーニングレス等による省力化等が見込まれるので、より高い現像・転写性が要求される。現像・転写は、F静電引力>F付着力の際に起こる。
従って、現像・転写の効率を向上させるには、静電引力を上げる(現像・転写力を強める)か、又は付着力を下げる方向に制御すればよいが、現像・転写力を強める場合、例えば、転写電場を高くすれば逆極トナーが発生する等、2次障害を起こしやすい。このため、付着力を下げる方が有効である。
付着力としては、ファンデルワールス力(Van der Waals 力:非静電的付着力)及び着色粒子の持つ電荷による鏡像力が挙げられる。両者の間には1オーダー近いレベル差があり、ほとんどファンデルワールス力で議論されるものと解釈できる。球状粒子間のファンデルワールス力Fは、下記の式で表されるが、
式:F=H・r・r/6(r+r)・a
(H:定数、r,r:接触する粒子の半径(nm)、a:粒子間距離(nm))
付着力の低減のため、トナーに比べ半径r(r,r)が非常に小さい微粉末を着色粒子及び潜像担持体表面又は帯電付与部材表面の間に介在させることにより、各々に距離aを持たせ、更に接触面積(接触点数)を減少させる手法が有効であり、その効果を安定に持続するには、体積平均粒子径80〜300nmのシリカ粒子を用いることが有効である。
また、上記シリカ粒子のように大粒径外添剤をトナーへ添加した際には、その大粒径外添剤が及ぼす帯電的影響も大きくなる。トナーの帯電性を安定させる為には高温高湿下と低温低湿下での帯電レベルに差を生じさせないこと、トナー追加時の帯電安定性(アドミックス性)が必要であり、疎水化処理を施したシリカ粒子を用いることで、これを実現させることができる。
これは、疎水化処理が、接触帯電が接触表面近傍の性質に大きく影響する為、帯電の環境安定性の向上に寄与すると共に、トナーとキヤリアとの接触帯電における電荷のやり取りを仲介する触媒的な役割を果たす為と考えられる。
また、シリカ粒子の疎水化度が上がり、高温高湿下での帯電レベルが上昇するばかりでなく、シリカ粒子の特性である帯電分布の広がりやアドミックス性の悪さを疎水化処理の効果により防止することができる。
そして、上記に加え、トナー(外添剤を付着させたトナー粒子)の基本流動性エネルギー量を300mJ以下とすることで、安定した流動性及び現像性・転写性を得ることができる。
以上から、本発明のトナーは、高い帯電量を有し、帯電の環境依存性、帯電の経時での安定性及びトナーのアドミックス性に優れ、さらにトナーの流動性及び現像・転写性に優れることとなる。
ここで、流動性エネルギー量について説明する。流動性エネルギー量とは、パウダーレオメータによる流動性測定により得られる流動性エネルギー量である。
粒子の流動性を測定する場合、液体や固体、或いは気体の流動性を測定する場合よりも、多くの要因から影響を受けるため、粒径や表面粗さ等の従来用いられているパラメータでは、正確な粒子の流動性を特定することが困難である。また、流動性を特定するための測定すべき因子(例えば、粒径等)を決定しても、実際にはその因子は流動性に与える影響が少ない場合や、他の因子との組み合わせによってのみその因子を測定する意義が発生する場合もあり、測定因子を決定することでさえ困難である。
更に、粉体の流動性は、外的環境要因によっても著しく異なる。例えば、液体であれば、測定環境が変動しても、流動性の変動幅は然程大きくはないが、粒子の流動性については、湿度や流動させる気体の状態等の外的環境要因によって大きく変動する。このような外的環境要因がいずれの測定因子に影響を与えるかは明確にはされていないため、厳密な測定条件下で測定しても、得られる測定値の再現性に乏しいのが実際である。
また、現像剤(トナー)を現像タンクに充填したときの流動性については、安息角や嵩密度などを指標としてきたが、これらの物性値は現像剤の流動性に対して間接的なものであり、現像剤の流動性を定量化して管理することが困難であった。
しかしながら、パウダーレオメーターでは、トナーから測定機の回転翼にかかる流動性エネルギー量を測定できるため、流動性に起因する各要因を合算した値で得ることができる。それゆえ、パウダーレオメーターでは、従来のように、表面の物性値や粒度分布を調整して得られたトナーについて、測定すべき項目を決定し、各項目について最適物性値を見出して測定することなく、流動性を直接的に測定できる。
その結果、パウダーレオメーターで上記数値範囲に該当するかの確認を行うだけで、静電荷像現像用に用いるトナーとして好適であるかの判断が可能となる。このようなトナーの製造管理は、トナーの流動性を一定に保つことに関して、従来の間接的な値で管理する方法に比べ、極めて実用に適した方法である。また、測定条件を一定とすることも容易であり、測定値の再現性も高い。
つまり、パウダーレオメーターによって得られる値で流動性を特定する方法は、従来の方法に比べて、簡便かつ正確で、信頼性も高い。
次に、パウダーレオメータによる流動性測定方法について説明する。
パウダーレオメーターは、充填した粒子中を回転翼が螺旋状に回転することによって得られる回転トルクと垂直荷重とを同時に測定して、流動性を直接的に求める流動性測定装置である。回転トルクと垂直荷重の両方を測定することで、粉体自身の特性や外部環境の影響を含めた流動性について、高感度に検出することができる。また、粒子の充填の状態を一定とした上で測定を行うため、再現性の良好なデータを得ることができる。
パウダーレオメーターとしてfreeman technology社製のFT4を用いて測定する。なお、測定前に温湿度の影響をなくすため、トナーは、温度22℃、湿度50%RHの状態で、8時間放置したものを用いる。
まず、トナーを内径50mmのスプリット容器(高さ89mmの160mL容器の上に高さ51mmの円筒を載せ、上下に分離できるようにしたもの)に、高さ89mmを越える量のトナーを充填する。
トナーを充填した後、充填されたトナーを穏やかに攪拌することによりサンプルの均質化を行う操作を実施する。この操作を以下ではコンディショニングと呼ぶことにする。
コンディショニングでは、充填した状態でトナーにストレスを与えないようトナーからの抵抗を受けない回転方向で回転翼を緩やかに撹拌して、過剰の空気や部分的ストレスのほとんどを除去し、サンプルをほぼ均質な状態にする。具体的なコンディショニング条件は、5°の進入角で、60mm/secの回転翼の先端スピードで攪拌を行う。
このとき、プロペラ型の回転翼が、回転と同時に下方向にも運動するので先端はらせんを描くことになり、このときのプロペラ先端が描くらせん経路の角度を進入角度と呼ぶ。
コンディショニング操作を4回繰り返した後、スプリット容器の容器上端部を静かに動かし、高さ89mmの位置において、ベッセル内部のキャリアをすり切って、160mL容器を満たすキャリアを得る。コンディショニング操作を実施するのは、流動性エネルギー量を安定して求めるためには、常に安定して体積一定の粉体を得ることが重要であるからである。
以上のようにして、得られたトナーを内径50mm、高さ140mmの200mL容器に移す。トナーを200mL容器に移した後、更にこのような操作を5回実施した後、容器内を底面からの高さ110mmから10mmまで、進入角度−10°で移動しながら回転翼の先端スピード50mm/secで回転するときの、回転トルクと垂直荷重を測定する。このときのプロペラの回転方向は、コンディショニングと逆方向(上から見て右回り)である。
底面からの高さHに対する回転トルク又は垂直荷重の関係を図1(A)、図1(B)に示す。回転トルクと垂直荷重から、高さHに対してのエネルギー勾配(mJ/mm)を求めたものが、図2である。図2のエネルギー勾配を積分して得られた面積(図2の斜線部分)が、流動性エネルギー量(mJ)となる。底面からの高さ10mmから110mmの区間を積分して流動性エネルギー量を求める。
また、誤差による影響を少なくするため、このコンディショニングとエネルギー測定操作のサイクルを5回行って得られた平均値を、流動性エネルギー量(mJ)とする。
回転翼は、freeman technology社製の図3に示す2枚翼プロペラ型のφ48mm径である。
そして、上記回転翼の回転トルクと垂直荷重を測定する際、容器底部から通気せず、即ち通気流量0ml/minで測定した流動性エネルギー量が「基本流動性エネルギー量」である。なお、当該容器底部から所定の通気流量で空気を流入しながら測定した流動性エネルギー量を、「通気流動性エネルギー量」という。freeman technology社製のFT4では、通気量の流入状態は制御されている。
上記条件下で測定した場合の現像剤(トナー)の流動性エネルギー量が上記範囲内となるようにするには、例えば、トナー粒子の形状、ワックス量、粒度分布、外添剤の種類(その特性含む)及び添加量を調整する方法が挙げられ、これらの方法を組み合わせて用いることも好適である。
以下、トナーの各組成、及び物性について説明する。
本発明のトナーは、トナー粒子と、外添剤と、を含んで構成されている。そして、トナー粒子は、少なくとも、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含んで構成されている。
そして、本発明のトナーは、上述のように基本流動性エネルギー量が300mJ以下であることが必要であるが、好ましくは20〜200mJであり、さらに好ましくは50〜150mJである。この基本流動性エネルギー量が300mJよりも大きいと、ディスペンス性の悪化によりトナー詰まりが発生したり、現像・転写性に悪影響を及ぼす。一方で、この基本流動性エネルギー量が小さすぎるとあまりにもトナー流動性が良過ぎて、トナー補給時に必要以上にトナーが流れ出てしまったり、現像機内へのアドミックス不良が発生してしまうことがあるため、好ましくない。
[結着樹脂]
トナー粒子に含まれる結着樹脂は、トナー粒子に用いうる公知のものを適宜選択することができる。具体的には、例えば、スチレン、クロロスチレンなどのスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル、などのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸のエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、などの単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジンなどを挙げることができる。
これらの中でも、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂とポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
結着樹脂の分子量は樹脂の種類によって異なるが、おおよそ重量平均分子量Mwは、10,000〜500,000であることが好ましく、15,000〜300,000であることがより好ましく、20,000〜200,000であることが更に好ましい。数平均分子量Mnは、2,000〜30,000であることが好ましく、2,500〜20,000であることがより好ましく、3,000〜15,000であることが更に好ましい。
上記重量平均分子量及び数平均分子量の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定したものをいう。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。実験条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いる。
結着樹脂のガラス転移温度は、高温環境下における流動性の悪化の防止と、低温定着性の両立の観点から、40℃〜80℃であることが好ましく、45℃〜75℃であることがより好ましい。
ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた値をいう。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とする。
[着色剤]
トナー粒子に含まれる着色剤としては、特に制限はなく、それ自体公知の着色剤を挙げることができ、目的に応じて適宜選択することができる。前記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラックや、デュポンオイルレッド、オリエントオイルレッド、ローズベンガル、C.I.ピグメントレッドの5、112、123、139、144、149、166、177、178、222、48:1、48:2、48:3、53:1、57:1、81:1や、C.I.ピグメントオレンジの31、43や、キノリンイエロー、クロームイエロー、C.I.ピグメントイエローの12、14、17、93、94、97、138、174、180、188や、ウルトラマリンブルー、アニリンブルー、カルコイルブルー、メチレンブルークロライド、銅フタロシアニン、C.I.ピグメントブルーの15、60、15:1、15:2、15:3や、C.I.ピグメントグリーンの7や、マラカイトグリーンオキサレート、ニグロシン染料などが挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせて用いることも可能である。これらはあらかじめフラッシング分散処理されたものであってもよい。
また、着色剤としては、磁性粉も使用することができる。磁性粉としては、公知の磁性体、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の金属及びこれらの合金、Fe,γ−Fe,コバルト添加酸化鉄等の金属酸化物、MnZnフェライト、NiZnフェライト等の各種フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の粉末が使用でき、更にそれらの表面をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の表面処理剤で処理したもの、珪素系化合物やアルミニウム系化合物など無機系材料でコーティングしたもの、あるいはポリマーでコーティングしたもの等でも良い。
着色剤は、トナー粒子に対して、3質量%〜15質量%の範囲で添加することが好ましく、4質量%〜10質量%の範囲で添加することがより好ましい。但し、着色剤として磁性粉を用いる場合は、トナー粒子に対して、12質量%〜48質量%の範囲内で添加することが好ましく、15質量%〜40質量%の範囲で添加することがより好ましい。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒色トナー、緑色トナー等の各色トナーが得られる。
(離型剤)
トナー粒子に含まれる離型剤としては、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等を使用できる。誘導体としては酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物などを含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も使用できる。
具体的には、低分子量ポリプロピレンや低分子量ポリエチレン等の炭化水素系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、シリコーン樹脂、ロジン類、エステル系ワックス、ライスワックス、カルナバワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックスなどが挙げられる。
離型剤の割合はトナー粒子に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1〜8質量%の範囲内である。離型剤の含有量が、上記下限値より少ないと、トナーの離型性能が低下しオフセットが発生する場合があり、一方、上記上限値を越えると、トナー表面に存在しやすくなるため、帯電性能の低下や、外添剤の埋め込み等が生じやすくなる場合があり、それぞれ好ましくない。
[外添剤]
トナー粒子の表面に付着させる外添剤の少なくとも1種としては、シリカ粒子を少なくとも1種使用する。このシリカ粒子は、疎水化処理された体積平均粒径80〜300nmのシリカ粒子である。
シリカ粒子の体積平均粒径は、80〜300nmであるが、好ましくは90〜250nm、より好ましくは100〜200nmである。体積平均粒径が80nmよりも小さいと非静電的付着力低減に有効に働かなくなり易い。特に、現像機内のストレスにより、トナーに埋没しやすくなり、現像、転写向上効果が著しく低減する。一方、体積平均粒径が300nmを超えると、トナー粒子から離脱しやすくなり、非静電的付着力低減に有効に働かないと同時に接触部材に移行しやすくなり、帯電阻害、画質欠陥等の問題を引き起こしてしまう場合がある。
ここで、体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−910)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全外添剤に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50pとして求めることができる。
シリカ粒子を疎水化処理するために疎水化処理剤を用いることができ、具体的な疎水化処理剤としては、アルキル系カップリング剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤、シリコーンオイル、ポリマーコーティング処理剤などが挙げられる。
これらの中でも、アルキル系カップリング剤、特に、炭素数10以上(好ましくは炭素数10〜20、より好ましくは12〜18)のアルキル基を有するアルキル系カップリング剤が好ましい。
アルキル系カップリング剤、特に、炭素数10以上のアルキル基を有するアルキル系カップリング剤は、特に、帯電性が接触表面近傍の性質に大きく影響する為、帯電量の環境安定性に優れ、これにより被覆された大径粒子が実質的に該アルキル系カップリング剤そのものと同様の働きを有すると共に、該アルキル系カップリング剤が、トナーとキヤリアとの接触帯電における電荷のやり取りを仲介する触媒的な役割を果たすことができる。
また、該アルキル系カップリング剤を被覆した大粒径外添剤を用いた場合には、該大粒径外添剤の表面に存在する疎水化処理剤は少量でも効果を発現することができ、さらに、シリカ粒子は該アルキル系カップリング剤よりも硬度が高いことから、粒子から処理剤が取れにくいといった利点を奏する。
また、炭素数10以上のアルキル基を有することで、シリカ粒子の疎水化度が上がり、高温高湿下での帯電レベルが上昇するばかりでなく、シリカ粒子の特性である帯電分布の広がりやアドミックス性の悪さを処理剤の効果により防止することができる。なお、炭素数が10よりも少ないとこれらの効果が十分でなく、安定した帯電が得られないことがある。
ここで、疎水化処理の方法としては、液相処理でも気相処理でも良く、特に制限されるものではない。例えば、液相処理としては、該アルキル系カップリング剤が可溶な溶剤中に該アルキル系カップリング剤、シリカ粒子を投入して攪拌混合し、その後に溶媒を除去し、更に乾燥、粉砕することによって表面処理する方法が挙げられる。
また、気相処理としては、該アルキル系カップリング剤を溶かした溶媒を、浮遊させた粒子に噴霧して表面に吸着させて乾燥させるスプレードライ法、該アルキル系カップリング剤とシリカ粒子を混合後、機械的シェアストレスをかけて被処理粒子表面に該アルキル系カップリング剤を延伸固着させるメカニカル法が挙げられる。なお、液相処理、或いはスプレードライ法では、凝集粒子の発生が避けられず、また溶媒を多量に使用するため、環境を配慮するとメカニカル法が好ましい。
シリカ粒子は、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード50mm/sec、回転翼の進入角度−10°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量が40〜100mJであることが好ましく、より好ましくは45〜90mJであり、さらに好ましくは50〜80mJである。なお、基本流動性エネルギー量については、既述の通りである。
ここで、大粒径外添剤はトナーとの付着性が弱く、接触部材への移行などが起こり、結果的に転写性の低下に繋がる。長期において安定した帯電性や転写性を保つ為には、大径外添剤がトナー表面から脱離・埋没することなく付着していなければならない。また、トナーと外添剤をブレンドする際に、外添剤の流動性も重要な要素となってくる。
つまり、外添剤の流動性があまりにも良すぎると、トナーと混ざり合うことなく浮遊した状態で存在し、トナー表面上に付着することができない。一方、外添剤の流動性が悪すぎでも外添剤が凝集した状態で存在することとなり、凝集体のままトナー表面上に存在したり、不均一な付着状態となり好ましくない。また、仮にブレンドシェアを強くして外添剤の凝集を解砕してトナー表面上に均一に分散させることが出来たとしても、外添剤がトナー中に埋没したり、トナーの劣化が発生したりする。
そこで、パウダーレオメータによる測定での基本流動性エネルギー量が上記範囲であるシリカ粒子を使用することで脱離・埋没することなく均一なトナー粒子への付着を実現することができる。
このため、上述したように基本流動性エネルギー量が40mJよりも小さいと、ブレンドの際にシリカ粒子がトナー粒子と混ざり合うことなく、浮遊した状態となりトナー表面上に付着することができないことがある。一方、基本流動性エネルギー量が100mJよりも大きいとシリカ粒子が凝集した状態で存在し、トナー粒子表面上に偏在して付着したり、凝集体のまま付着した状態となってしまうことがある。
なお、パウダーレオメータによる測定での基本流動性エネルギー量が40〜100mJであるシリカ粒子は、例えば、公知の方法で作製したシリカ粒子をさらに加熱・加圧処理することにより得ることができる。具体的にはシリカ粒子を高温高湿下のチャンバーの中にある時間保管した後に圧縮成型機により加圧することで実現するができる。また、加熱・加圧の条件はシリカ粒子によって調整することにより規定の基本流動性エネルギー量を満たすことが可能となる。
また、シリカ粒子は加圧成型によって完全に固まることはないので、粉体のままで存在しており、実際には見掛け密度が変化することで外添剤の流動性を低下させている。また、シリカ粒子の表面処理工程において発生した凝集体と比較し、加熱・加圧処理により新しく発生した凝集体はその結合力が弱いことから、トナー粒子表面への分散性が悪化することは無く、ブレンド時により簡単にほぐすことが可能である。要するに、トナー粒子とブレンドするにあたって、浮遊しがちなシリカ粒子を抑制することでトナー粒子との混合性を向上させ、ブレンド時のシェアによって、トナー粒子表面上に均一に付着させることが可能となる。
外添剤としては、上記シリカ粒子の他、転写性、流動性、クリーニング性及び帯電量の制御性、特に流動性エネルギー量を制御するために、他の無機粒子、有機粒子のいずれも用いることができる。
無機粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属酸化物やセラミック粒子などが挙げられる。
有機粒子としては、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、エチレン系重合体などのビニル系重合体や、エステル系、メラミン系、アミド系、アリルフタレート系などの各種重合体、フッ化ビニリデンなどのフッ素系重合体、ユニリンなどの高級アルコールからなる粒子などを挙げられる。
また、例えば、大粒径(例えば体積平均粒径80〜300nm)の外添剤と小粒径(例えば体積平均粒径5〜20nm)の外添剤とを組み合わせるなと、粒径が異なる2種類以上の外添剤を用いることにより、トナー粒子表面の微細な凹凸を制御し、トナー粒子間の付着性、トナー粒子の転がりやすさを調整することにより、パウダーレオメーターにおける流動性エネルギー量を好適に制御することができる。また、例えば、大粒径の無機粒子を、小粒径の無機粒子よりも先に外添してトナーを調製することで、小粒径無機粒子がトナー粒子表面を被覆すると同時に大粒径外添剤表面を被覆することにより、トナー最表面の微細な凹凸を制御することができ、それによって所望の流動性を確保できる。
外添剤全体としての使用量は、トナー粒子に対して、0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、0.6質量%〜8質量%であることがより好ましく、0.8質量%〜6質量%であることが更に好ましい。
[その他添加剤]
本発明のトナーには、上記組成物のほか、現像剤に使われている公知の材料を適宜添加することができる。例えば、例えば、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、有機粒体、滑剤、研磨材などが挙げられる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体などが挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集時や融合時の安定性に影響するイ
オン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。前記有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用することができる
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げられる。前記研磨材としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
[製法]
本発明のトナーは、トナー粒子と外添剤とをサンプルミルやヘンシェルミキサーなどで機械的衝撃力を加えることで、トナー粒子表面に外添剤を付着又は固着することで得ることができる。
トナー粒子は、公知の製造方法に従って製造することができる。前記製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができる。
例えば、結着樹脂と着色剤、離型剤、所望により帯電制御剤等を予備混合した後、混練機にて溶融混練し、冷却後粉砕した後、上述のように振動篩分機や風力篩分機等を用いて分級を行う、混練粉砕方式を用いて製造することができる。また、湿式球形化法、懸濁造粒法、懸濁重合法、乳化重合凝集法等によって製造することができる。
[物性]
(トナー粒子の体積平均粒径)
トナー粒子の体積平均粒径は、4μm〜12μmが好ましく、より好ましくは4.5μm〜10μmであり、更に好ましくは5μm〜9μmである。トナー粒子の体積平均粒径が4μm未満であると、流動性が著しく低下するため、層規制部材等による現像剤層の形成が不充分となり、画像にカブリやダートが発生する場合がある。一方、12μmを超える場合は、解像度が低下し、高画質の画像が得られない場合が生じたり、現像剤単位重量当たりの帯電量が低下し、現像剤層の層形成維持性が低下し、画像にカブリやダートが発生する場合がある。
トナー粒子の体積平均粒径の測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0〜60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
(トナー粒子の粒度分布)
トナー粒子の好ましい粒度分布としては、粒径4μm以下のトナー粒子の占める割合が、45個数%以下の場合であり、40個数%以下の場合がより好ましく、35個数%以下の場合が更に好ましい。
また、上記体積平均粒径D50vを求めるときと同様に、小粒径側から体積累積分布を引いた場合に累積84%となる粒径をD84vとし、小粒径側から個数累積分布を引いた場合に累積16%となる粒径をD16p、50%となる粒径をD50p(個数平均粒径)とすると、D84v/D50vが1.35以下であることが好ましく、1.30以下であることがより好ましい。また、D50p/D16pが1.45以下であることが好ましく、1.40以下であることがより好ましい。
このような粒度分布を有するトナー粒子を得るには、重力式の分級機、遠心分離式の分級機、慣性方式の分級機、あるいは、篩による選別により、所望の粒度分布に合わせることができる。
トナー粒子の粒度分布が、上記範囲よりも広い場合には、既述のパウダーレオメーターによる流動性エネルギー量が規定の範囲から外れる傾向にある。
なお、トナー粒子の粒度分布は、体積平均粒径の測定と同様の方法によって得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積84%となる粒径をD84v、小粒径側から個数累積分布を引いて、累積50%となる粒径をD50p、累積16%となる粒径をD16pとしたとき、粗粉側粒度分布指標を体積平均粒径D84v/体積平均粒径D50vとし、微粉側粒度分布指標を個数平均粒径D50p/個数平均粒径D16pとして求めた値をいう。
(トナー粒子の形状係数)
トナー粒子は、本発明にかかる流動性エネルギー量とするために、形状制御することが好ましい。下記式で表されるトナー粒子の形状係数SF1は、135以下であることが好ましく、130以下であることがより好ましい。
式:SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
トナー形状係数SF1は、スライドグラス上に散布したトナー粒子、又はトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、1000個以上のトナーの最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られるものである。SF1は100に近づくほど真球とみなされ、数値が大きくなるほど不定形となることを意味する。
上記トナー形状係数を有するトナー粒子は、粉砕、分級後に熱処理、機械的衝撃力による処理等を施しトナー形状の球形化を制御したり、或いは乳化凝集法等の湿式製法を適用したりすることによって得ることができる。
(トナー粒子の平均円形度)
トナー粒子の平均円形度は0.94〜0.99の間であることが好ましい。前記範囲より下回ると形状が不定形側になり、転写性、耐久性、流動性などが低下し好ましくない。また前記範囲を超える場合、球形粒子の割合が多くなりクリーニング性が困難になる。平均円形度の更に好ましい範囲は0.95〜0.98である。
ここで、平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められ、測定対象となるトナーを吸引採取し、非常に扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(例えばシスメックス社製のFPIA−2100)によって求めることができる。なお、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個である。
なお、本発明のトナーは、トナー単独で用いる所謂、一成分現像剤として使用してもよいし、キャリアと組み合わせて用いる二成分現像剤として用いてもよい。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、少なくとも、静電潜像担持体を帯電する帯電工程と、帯電した静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、トナーを含む現像剤によって前記静電潜像を現像しトナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体上に転写して未定着の転写画像を形成する転写工程と、記録媒体上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着工程と、を有する画像記録方法である。そして、トナーとして、上記発明のトナーを適用する。
本発明の画像形成方法では、上記帯電工程、潜像形成工程(露光工程)、現像工程、及び転写工程については、公知の技術を適宜適用することができる。さらに、これらの工程に加え、転写工程後の静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング工程、転写された被記録材上のトナー像を定着させる定着工程等を行ってもよい。
ここで、本発明の画像形成方法に好適に適用される画像形成装置の概略構成図を図4に示す。図4に示す画像形成装置100は、電子写真感光体107と、電子写真感光体107を帯電させる帯電装置108と、帯電装置108に接続された電源109と、帯電装置108により帯電される電子写真感光体107を露光して静電潜像を形成する露光装置110と、露光装置110により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置111と、現像装置111により形成されたトナー像を被転写媒体500に転写する転写装置112と、転写後に電子写真感光体107に残留しているトナーを除去するクリーニング装置113と、除電器114と、定着装置115とを備える。
本発明においては、除電器114が設けられていない画像形成装置であってもよい。また、図4の画像形成装置100では、帯電装置108が接触型の帯電器となっているが、非接触型の帯電器であってもよい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中、「部」は「重量部」を意味する。
<各種特性の測定方法>
まず、実施例、比較例で用いた現像剤等の物性測定方法について説明する。
−体積平均粒径、粒度分布−
測定装置としては前述のようにコールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して、粒径を測定した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0〜60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000であった。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数それぞれについて小径側から累積分布を描き、体積で累積16%となる累積体積粒径をD16v、数で累積16%となる累積個数粒径をD16pと定義する。同様に、体積で累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、数で累積50%となる粒径を個数平均粒子径D50pと定義する。また、同様に、体積で累積84%となる累積体積粒径をD84v、数で累積84%となる累積個数粒径をD84pと定義する。体積平均粒径は該D50vである。
また、トナー粒子については、粒径4μm以下の粒子の占める割合を上記得られた粒度分布から求めた。
一方、測定する粒子直径が2μm未満の場合、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
−分子量分布の測定−
トナーの樹脂の分子量分布は以下の条件で行った。
東ソー(株)HLC−8120GPC、SC−8020装置を用い、カラムはTSK gei, SuperHM−H(6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。測定条件としては、試料濃度0.5質量%、流速を0.6ml/分、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃として、IR検出器を用いて測定した。
検量線は、東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:A−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は、300msとした。
−ガラス転移温度の測定−
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。
−重量平均分子量の測定−
既述の方法で測定を行った。
[実施例1]
(トナーの製造)
−トナー粒子の製造−
(樹脂粒子分散液の調整)
・スチレン:480部
・nブチルアクリレート:119部
・ドデカンチオール:9.4部
・デカンジオールジアクリレート:4.2部
・イオン交換水:250部
・アニオン性界面活性剤:12部
前記成分を混合溶解して混合溶液Aを調製し、他方、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス)1重量部をイオン交換水550重量部に溶解し、混合溶液A 430重量部を加えてフラスコ中で分散し乳化させた。引き続き、過硫酸アンモニウム9 重量部を溶解したイオン交換水52重量部を投入し、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを攪拌しながらオイルバスで系内が70℃になるまで加熱し、2時間そのまま乳化重合を継続した。
さらに、混合溶液A 444.6重量部にドデカンチオール5重量部を加えて分散し乳化させた液を系内に投入し、70℃で3時間乳化重合し、粒子の中心径が178nm、ガラス転移点が58.2℃、重量平均分子量が38,000、固形分量が42%の樹脂粒子分散液を得た。
(着色剤粒子分散液の調製)
・黒顔料(キャボット製、カーボン部落):50重量部
・非イオン性界面活性剤(花王社製、ノニポール400):5重量部
・イオン交換水:200重量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)により10分間分散し、中心径123nm、固形分量21.5%の着色剤粒子分散液を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
・ワックス(東洋ペトロライト社製、ポリワックス725;融点98℃):50重量部
・カチオン性界面活性剤(花王社製、サニゾール B50)):5重量部
・イオン交換水:200重量部
前記成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックスT50)で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で分散処理し、中心径180nm、固形分量21.0%の離型剤粒子分散液を得た。
(トナー粒子の調製)
・樹脂粒子分散液:278重量部
・着色剤粒子分散液:60重量部
・離型剤粒子分散液:88重量部
・ポリ塩化アルミニウム(10%水溶液):3.6重量部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス T50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら52℃まで加熱し、52℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液を137重量部を追加して緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.5に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら95℃まで加熱して4時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌、洗浄した。
この洗浄操作を5回繰り返し、No5Aろ紙を用い、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間継続してトナー粒子を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が6.4μmであった。
(外添トナーの調整)
トナー粒子:100部に、ルチル型酸化チタン(体積平均粒径15nm)1.0部、下記シリカ粒子2.0部を、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで、15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを作製した。このトナーの基本流動性エネルギー量は210mJであった。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。精製した四塩化珪素を酸水素火炎中で燃焼して得られた90nmのシリカ粒子100部とデシルシラン5部をエタノール500部に溶解し、撹拌混合した後、エバポレーターを用いて、溶剤のエタノールを除き、乾燥して、処理済みシリカ粒子を得た。次に、自動乳鉢を用いて本処理品を解砕し、105μmメッシュの篩を用いて篩分した後、シリカ粒子を得た。
得られたシリカ粒子(デシルシラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が65mJ、体積平均粒径100nmであった。
(現像剤の調整)
下記キャリア100部と、外添トナー6部と、をV−ブレンダーにより40rpmで20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより電子写真用現像剤を作製した。
−キャリアの作製−
トルエン17部、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:40/60)3部、及びカーボンブラック(R330:キャボット社製)0.2部を混合し、10分間スターラーで撹拌させて、カーボンブラックが分散した被覆層形成用溶液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:45μm)100部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを作製した。このキャリアは、1000V/cmの電界印加時の体積固有抵抗値が1014Ωcmであった。
[実施例2]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。精製した四塩化珪素を酸水素火炎中で燃焼して得られた260nmのシリカ粒子を使用する以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(n−デシルシラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が75mJ、体積平均粒径280nmであった。
[実施例3]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。精製した四塩化珪素を酸水素火炎中で燃焼して得られた75nmのシリカ粒子を使用する以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(n−デシルシラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が53mJ、体積平均粒径85nmであった。
[実施例4]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。実施例1記載のシリカ粒子の作製においてデシルシラン5部を20部に変えた以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(n−デシルシラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が98mJ、体積平均粒径100nmであった。
[実施例5]
−シリカ粒子の基本流動エネルギー量が40に近い実施例−
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。実施例1記載のシリカ粒子の作製においてデシルシラン5部を2部に変えた以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(n−デシルシラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が42mJ、体積平均粒径100nmであった。
[実施例6]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。実施例1記載のシリカ粒子の作製においてデシルシラン5部をC16シラン5部に変えた以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(C16シラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が90mJ、体積平均粒径100nmであった。
[実施例7]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。実施例1記載のシリカ粒子の作製においてデシルシラン5部をC24シラン5部に変えた以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(C24シラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が100mJ、体積平均粒径100nmであった。
[比較例1]
下記シリカ粒子2.0部を、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行ったこと以外は実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。なお、外添トナーの基本流動性エネルギー量は350mJであった。
また、上記キャリア100部と、この外添トナー6部と、をV−ブレンダーにより40rpmで20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより電子写真用現像剤を作製した。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。実施例1記載のシリカ粒子の作製においてデシルシラン5部をシリコーンオイル10部に変えた以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(シリコーンオイル疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が150mJ、体積平均粒径100nmであった。
[比較例2]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。精製した四塩化珪素を酸水素火炎中で燃焼して得られた350nmのシリカ粒子を使用する以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(デシルシラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が125mJ、体積平均粒径360nmであった。
[比較例3]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。精製した四塩化珪素を酸水素火炎中で燃焼して得られた40nmのシリカ粒子を使用する以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(デシルシラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が35mJ、体積平均粒径45nmであった。
[比較例4]
−シリカ粒子の基本流動エネルギー量が100を超えた比較例−
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにしてゾルゲル法により作製した。ゾルゲル法で得られたシリカゾルにデシルシラン処理を行い、乾燥、粉砕により単分散球状シリカを得た。
得られたシリカ粒子(デシルシラン疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が320mJ、体積平均粒径100nmであった。
[比較例5]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。精製した四塩化珪素を酸水素火炎中で燃焼して得られた12nmのシリカ粒子を使用し、かつデシルシラン5部をシリコーンオイル10部に変えたこと以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(シリコーンオイル疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が12mJ、体積平均粒径15nmであった。
[比較例6]
下記シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして外添トナーを作製し、電子写真現像剤を得た。
−シリカ粒子の作製−
シリカ粒子を次のようにして気相酸化法により作製した。実施例1記載のシリカ粒子の作製においてデシルシラン5部をHMDS(ヘキサメチルジシラザン)5部に変えた以外は実施例1で記載した同様の方法でシリカ粒子の作製を行った。
得られたシリカ粒子(HMDS疎水化処理済み)は、基本流動性エネルギー量が26mJ、体積平均粒径30nmであった。
[評価]
上記それぞれの現像剤を用い、DocuCenterColor400、(富士ゼロックス社製)によって、以下の方法により転写性の評価を行った。
−トナー帯電量測定−
低温低湿下(温度10度/湿度15%)及び高温高湿下(温度30度/湿度85%)において初期及び1万枚後の現像器のスリーブ(現像剤担持体)表面の現像剤を0.3〜0.7g程度採取し、帯電量測定装置(TB200:東芝社製)を用い、ブローオフ法により測定した。
−初期及び1万枚後の転写性の評価−
高温高湿下(温度30度/湿度85%)において転写工程終了時にハードストップを行い、2個所の中間転写体上のトナー重量を上記同様テープ上に転写し、トナー付着テープ重量を測定し、テープ重量を差し引いた後に平均化することにより転写トナー量aを求め、同様に感光体上に残ったトナー量bを求め、次式により転写効率を求めた。
転写効率η(%)=a×100/(a+b)
好ましい値は、転写効率η≧99%であり、η≧99%を○、90%≦η<99%を△、η<90%を×として評価した。
−トナー粉体特性−
外添トナー2gを目開き75μmの篩にのせ、振幅1mmで90秒間振動させて、篩上に残る粉体の量に基づいて判断した。具体的な評価基準は、以下の通りである。
○:篩上にトナーが残らない
△:篩上にトナーが若干残る
×:篩上にかなりのトナーが残る
−初期及び1万枚後の現像性の評価−
高温高湿下(温度30度/湿度85%)において、5cm×2cmのソリッドパッチを現像させ、感光体表面の現像トナー画像を、テープ表面の粘着性を利用して転写し、その質量(W1)を測定した。
[現像性評価基準]
・○:W1が4.0g/m以上
・△:W1が3.5以上4.0g/m未満
・×:W1が3.5g/m未満
以上の評価結果と共に、得られた現像剤(外添トナー)の各組成特性につき、表1、表2にまとめて示す。
Figure 2007304331
Figure 2007304331
以上の結果より、本実施例では、高い帯電量を有し、帯電の環境依存性、帯電の経時での安定性及びトナーのアドミックス性に優れ、さらにトナーの流動性及び現像・転写性に優れることがわかる。特に、炭素数10以上のアルキル基を有するアルキル系カップリング剤によって疎水化処理されたり、所定の基本流動性エネルギー量を有するシリカ粒子を外添剤として使用することで、特に、長期にわたって帯電性・転写性の安定した、優れたトナーとなることがわかる。
パウダーレオメーターでの流動性エネルギー量の測定方法を説明するための図である。 パウダーレオメーターで得られた、垂直荷重とエネルギー勾配との関係を示す図である。 パウダーレオメーターで用いる回転翼の形状を説明するための図である。 本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
100 画像形成装置
107 電子写真感光体
108 帯電装置(帯電ロール)
110 露光装置
111 現像装置
112 転写装置
115 定着装置(定着ロール)

Claims (4)

  1. 疎水化処理された体積平均粒子径80〜300nmのシリカ粒子を含有し、かつ
    通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード50mm/sec、回転翼の進入角度−10°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量が300mJ以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 前記疎水化処理は、炭素数10以上のアルキル基を有するアルキル系シランカップリング剤を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記シリカ粒子は、通気流量0ml/min、回転翼の先端スピード50mm/sec、回転翼の進入角度−10°の条件でパウダーレオメーターによって測定したときの基本流動性エネルギー量が40〜100mJであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 静電潜像担持体を帯電する帯電工程と、
    帯電した静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像しトナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、
    前記トナー像を記録媒体上に転写して未定着の転写画像を形成する転写工程と、
    記録媒体上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着工程と、
    を有することを特徴とする画像形成方法。
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