JP2007304123A - 変形可能ミラー装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反射膜(ミラー面)3が形成された可撓性部材2に対して所定の強度分布パターン2aを与える。この強度分布パターン2aの形成パターンによって、可撓性部材2に圧力が印加された際のミラー面の形状として球面収差を補正することのできる所定の形状を得ることができる。その上で、ミラー面を変形させるための駆動アクチュエータとしては方向を可変として圧力を発生することができるように構成する。これによってミラー面中心とはズレた点を頂点としたミラー面の変形を行うことができ、球面収差と共に軸外収差についても補正が可能となる。
【選択図】図11
Description
このように対物レンズを介してレーザ光を照射する場合、光ディスク記録媒体のレーザ光の入射する側の面(記録側の面)から記録層までのカバー層の厚さ(カバー厚)によっては、球面収差が生じることが知られている。すなわち、対物レンズを含む光ディスク装置の光学系の構成としては、対応する光ディスク記録媒体に想定されるカバー厚の値に応じて球面収差が最小となるように設計されていることから、カバー厚が想定値と異なる場合には球面収差が生じてしまうことになる。例えば記録層が単層の場合、カバー厚ムラのある部分で球面収差が生じることが知られている。
球面収差が生じている場合、結像性能が悪化して信号の記録再生性能も悪化することから、これを補正する何らかの手段が必要となる。
つまり、上記特許文献1に記載の変形可能ミラーは、表面にミラー面を形成した変形プレートと、この変形プレートの裏側の数カ所を加圧する圧電アクチュエータとを設け、各圧電アクチュエータに印加する電圧を変化させることで、上記ミラー面を球面収差を補正できる所望の形状に変化させるようにしている。
また、上記特許文献2に記載の変形可能ミラーは、ミラー面を表面に形成した可撓性部材と、その下部に所定形状の参照面を形成した上で、参照面に対して可撓性部材を吸着する、或いは吸着を解除するようにして、2つの所望の形状を得るようにしている。つまり、参照面の形状として、吸着された際のミラー面の形状が球面収差を補正できる形状となるように設定しておくことで、球面収差の補正が可能となる。
例えば、近年の高密度ディスクに対応する場合、レーザビーム径は例えば4mm程度となっており、この範囲内で複数の圧電アクチュエータを構成するとなると、その実現は非常に困難なものとなる。
つまり、表面にミラー面が形成されると共に、変形態様についての状態が異なるようにされた部分が所定パターンにより形成された可撓性部材と、方向を可変として圧力を発生することができるように構成された圧力発生手段とを備えるようにしたものである。
また、上記可撓性部材の上記状態の異なる部分の形成パターンによっては、印加される圧力のレベルに応じて段階的に所望の変形形状が得られるようにすることも可能となる。これにより、従来のように参照面に吸着させて所望の変形形状を得る場合とは異なり、ミラー面の変形形状は2種以上を得ることができる。
このようにして、可撓性部材への圧力の印加方向又は印加点を可変とすることができれば、単に同方向・同位置でのみしか圧力を印加できない場合とは異なり、軸外収差に対応させて可撓性部材(ミラー面)の変形時の頂点位置を中心点からずらすことができ、これによって球面収差補正のみならず、コマ収差や非点収差など軸外収差の補正を行うためのミラー面の変形形状も得ることができる。
また、上記可撓性部材の構成によれば、印加される圧力のレベルに応じて段階的に所望の変形形状が得られるようにすることも可能であり、これによって従来のように参照面に可撓性部材を吸着させて所望の変形形状を得る場合とは異なり、ミラー面の変形形状は2種以上を得ることができる。
先ずは、図1に、本実施の形態の変形可能ミラー装置(変形可能ミラー装置1、変形可能ミラー装置20)の外観斜視図を示す。
なお、この場合、第1の実施の形態の変形可能ミラー装置1と第2の実施の形態の変形可能ミラー装置20とはその外観構成は共通となるので、ここでまとめて説明しておく。
この場合、可撓性部材2は、少なくとも上記反射膜3が成膜された面(ミラー面とも呼ぶ)が可撓性を有するように構成される。
先ず、図2においては、光ディスク100が示されている。
実施の形態においては、この光ディスク100として、例えばブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)等の高記録密度ディスクを想定しており、例えば対物レンズ51の開口数(NA)=0.85、レーザ波長405nmにより記録再生が行われる。
先ず、光ディスク100においてレーザ光が入射する側の面(記録面)から最も近い位置に、第1記録層101が形成される。この場合、記録面から第1記録層101まで間隔は、例えば0.075mmとされる。すなわち、第1記録層101までのカバー厚は、0.075mmとなる。
そして、この第1記録層101から所定間隔を空けて第2記録層102が形成されている。
これら各記録層の間隔は、例えば25μmとされる。従って第2記録層102のカバー厚は0.100mmとなっている。
しかしながら、このように第1記録層101の合焦時に球面収差量が最小となるように設定すると、当然、第2記録層102の合焦時には球面収差量は増大する傾向となってしまう。
なお、ここで言う軸上収差とは、対物レンズに対して光束が傾斜せずに入射したときに生じる収差であり、軸外収差とは対物レンズに対して光束が傾斜して入射したときに生じる収差であるとする。
以下、このような収差補正を行うための変形可能ミラー装置として、先ずは第1の実施の形態の変形可能ミラー装置1について説明する。
先ず、図4は、第1の実施の形態の変形可能ミラー装置1が備える、上述した可撓性部材2の構造を示している。図4において、図4(a)は可撓性部材2におけるミラー面とは逆側の面(つまりミラー面の裏側)の平面図を示しており、図4(b)は可撓性部材2の断面図を示している。
この強度分布パターン2aは、図示するように反射膜3が形成されたミラー面とは逆側の面において、ミラー面とは逆側方向に凸となるパターンを形成するようにしている。そして、このような凸状のパターンとして、本実施の形態の場合は、それぞれ図示するミラー面中心Cを同じ中心としてもつ、複数の楕円部2A、2B、2C、2D、2Gを有するパターンを形成するものとしている。
変形可能ミラー装置(1,20)では、このように可撓性部材2における外周部に形成されたフレーム2Eの末端部が、先の図1に示したベース4に対して固着されるものとなる。
このようにして強度が確保された最外周部のフレーム2Eと隣接する肉薄部2Gにおいて、圧力の印加時に大きな変形曲率が得られることによっては、その分、当該肉薄部2Gのミラー面中心C側に隣接する楕円部2Dの面積を小さく設定しても、ミラー面の変形形状を所望の変形形状に一致させることをより容易にできる。
つまり、このようにフレームEと隣接する部分に意図的に断面厚を薄くした肉薄部2Gが設けられない場合には、ミラー面のレーザ入射部分(収差補正のために必要な変形部分)における変形形状を所望の変形形状と一致させるにあたっては、その分、その場合の最薄部となる楕円部2Dの面積を広めにとるようにされていたが、このような肉薄部2Gを設れば、外周のフレーム2Eと近い部分から所望の変形形状を得ることがより容易となり、これによって楕円部2Dの面積を小さく設定してもミラー面の変形形状を所望の変形形状に一致させることをより容易とすることができる。
このようにして楕円部2Dの面積が小さくて済めば、可撓性部材2はより小型とすることができ、このように可撓性部材2を小型化できることで、変形可能ミラー装置1としても小型化が図られる。
図5は、変形可能ミラー装置1を図1に示したX軸とY軸とによるX−Y平面方向に切断したときの断面図であり、図6は図1に示したY軸とZ軸とによるY−Z平面方向に切断したときの断面図であり、図7は図1に示したX軸とZ軸とによるX−Z平面方向に切断したときの断面図である。
なお、第1の実施の形態を始め、後述する第2の実施の形態も含めて以下で示す図では、可撓性部材2のミラー面(反射膜3)は省略して示すが、実際には図4においても説明したように、可撓性部材2の表面にはミラー面が形成されているものとする。
そして、特に図6、図7の断面図を参照してわかるように、このようにしてベース4と固着された可撓性部材2における、ミラー面中心Cを含むようにされた楕円部2Aに対しては、コイルホルダ5が固着される。このコイルホルダ5は、図6のZ−Y断面、図7のX−Z断面の形状が共に逆凹字型となる形状とされ、この逆凹字型の上面部分において、楕円部2Aを勘合するための勘合部が形成されている。すなわち、この勘合部において楕円部2Aとコイルホルダ5とが固着されるようになっている。
このとき、上記勘合部は、楕円部2Aとコイルホルダ5とが勘合された場合にミラー面中心Cとコイルホルダ5のX−Y平面における中心位置とが一致するようにしてその形成位置が定められている。
つまり、例えば図5において示される第1コイル8は、このように四角形を為すように巻回された第1コイル8の、Z軸方向に延びる2辺の断面が示されているものであり、また例えば図5における第3コイル14も、同様に四角形を為すように巻回された第3コイル14のZ軸方向に延びる2辺の断面が示されているものである。
また、一方で図6に示される第3コイル14は、上記のように四角形を為すように巻回された第3コイル14のX軸方向に延びる2辺の断面が示されているものであり、同様に図7に示される第1コイル8としても、四角形状に巻回された第1コイル8のY軸方向に延びる2辺の断面が示されているものである。
これら4つのヨークは、それぞれ断面形状が凹字型とされて、その凹字形状の上部の開口部分によりそれぞれ対応する脚部を挟み込むようにされる。
第1ヨーク6は、図示するようにしてコイルホルダ5における第1コイル8が巻回された脚部を挟み込むようにして設けられ、この第1ヨーク6における上記第1コイル8と対向する面には、第1マグネット7が固着されている。
同様に、第2ヨーク9はコイルホルダ5における第2コイル11が巻回された脚部を挟み込むようにして設けられ、この第2ヨーク9における上記第2コイル11と対向する面には、第2マグネット10が固着されている。
さらに、第3ヨーク12はコイルホルダ5における第3コイル14が巻回された脚部を挟み込むようにして設けられ、この第3ヨーク12における上記第3コイル14と対向する面には、第3マグネット13が固着されている。
また、第4ヨーク15はコイルホルダ5における第4コイル17が巻回された脚部を挟み込むようにして設けられ、この第4ヨーク15における上記第4コイル17と対向する面には、第4マグネット16が固着されている。
また、各ヨークでは閉磁路が形成されるように、図6、図7に示すようにしてマグネットを固着する部分がマグネットの背面を全て覆うように、そのZ軸方向の長さが設定されている。
なお、この図8では、先の図5に示した変形可能ミラー装置1の各構成要素のうち主に第1コイル8、第2コイル11、第3コイル14、第4コイル17のみを抽出して示しており、他の部分については省略している。
この場合、図示するようにして各コイルに対しては駆動回路60への配線が接続されており、これによって各コイルに独立して駆動電流を供給することができるようになっている。
なお、上記図9においては、先の図6と同様に変形可能ミラー装置1のY−Z平面での断面図を示しており、上記図10及び図11では、先の図7と同様に変形可能ミラー装置1のX−Z平面での断面図を示している。
このように各コイルに同レベルの駆動電流を供給した場合、コイルホルダ5の各脚部にはZ軸方向へ移動させる駆動力が等しくはたらくため、コイルホルダ5はZ軸方向(つまり真上方向)に移動されるようになる。
これによると、楕円部2Aが上記コイルホルダ5と勘合固着された可撓性部材2には、その中心部に対し、Z軸方向への一様な押圧力が印加される。そして、これに応じては、図示するように可撓性部材2はその中心部を頂点として撓むようにして凸状に変形する動作が得られる。
これによれば、上記強度分布パターン2aの形成パターンによっては、上記中心部への一様な押圧力の印加に応じて得られる可撓性部材2の変形形状を、第2記録層102の合焦時に生じる球面収差を補正することができる所定形状となるように設定することが可能となる。つまり、これによって第2記録層102の合焦時に生じる球面収差の補正が可能となるようにミラー面を変形させることができる。
そして、上記可撓性部材2の構成によれば、上記強度分布パターン2aの形成のしかたにより、このように段階的に変化されるZ軸方向への印加圧力に応じて、段階的に異なる所定の変形形状を得るようにするといったことも可能となる。すなわち、このような可撓性部材2の構成によれば、各コイルに供給する駆動電流レベル(すなわち可撓性部材2に印加される圧力レベル)に応じて所定の複数の変形状態を得ることができる。
これによれば、記録層が3層以上とされる場合にも、例えば第3、第4の記録層に対応させて有効に球面収差補正を行うことができる。
これによれば、各コイルに対し供給する駆動電流レベルのバランスを変化させることができ、これによってコイルホルダ5の周囲4つの脚面に対して与えられるZ軸方向への駆動力のバランスを変化させることができる。すなわち、このような駆動力(駆動電流)のバランスにより、可撓性部材2に対する圧力は、その方向を可変として発生させることができる。
そして、このように可撓性部材2に対する圧力をその方向を可変として発生させることができれば、コイルホルダ5をZ軸方向とはズレた方向に押し上げるようにして駆動することもできる。
この図11では、一例として、第2コイル11の駆動電流レベルを他の第1コイル8、第3コイル14、第4コイル17の駆動電流レベルよりも低くした場合の動作について示している。
このように第2コイル11の駆動電流レベルのみを相対的に他のコイルよりも低くした場合、コイルホルダ5は、図示するようにして第2コイル11が巻回された側が傾きつつ、全体としては可撓性部材2を押し上げる方向に移動されるようにして駆動されるようになる。これに伴い、可撓性部材2に対して印加される圧力としても、Z軸方向から第2コイル11の巻回される側にズレた方向に印加されるものとなる。
これにより、本実施の形態の変形可能ミラー装置1によれば、軸外収差についての補正も行うことができる。
このようにして第1記録層101への合焦時には、軸外収差補正のために必要なミラー面の変形形状が得られるように、各コイルに供給する駆動電流レベルのバランス、及び駆動電流レベルそのものを制御することで、対象とする軸外収差についての補正を行うことができる。
これにより、可撓性部材2の中心部分への圧力印加方向は維持したまま、Z軸方向にはたらく圧力量を所定分上昇させることができる。
Z軸方向にはたらく圧力量を所定分上昇させることができれば、上述した強度分布パターン2aが設定された可撓性部材2としては、全体的には球面収差補正のために必要な形状となるように変形することとなる。その上でこの場合は、さらに軸外収差の補正に必要な頂点位置のシフトが行われるようになるので、この結果、第2記録層102の合焦時に対応して、球面収差補正と共に対象とする軸外収差の補正も行うことができるようになる。
これにより、球面収差補正が可能となるミラー面の変形形状を得るにあたって、例えば従来のように可撓性部材の複数箇所を複数の圧電アクチュエータにより駆動するといった構成を採る必要はなくなる。
このようにして実施の形態の変形可能ミラー装置1によれば、簡易な構成で且つ単純な制御により球面収差補正を行うことができる。
これによって可撓性部材2に対しては、Z軸方向からズレた方向にも圧力を印加することができ、この結果球面収差と共に軸外収差についても補正を行うことができる。
つまり、記録層が3以上形成される場合にも、光学系の設計の基準とされた記録層以外の他のすべての記録層において有効に収差補正を行うことができる。
これによれば、ミラー面の変形の応答性としても高速化が可能となり、例えばディスク100の一周内のカバー厚の変化に追従して対象とする収差の補正を行うといった場合にも、有効に補正を行うことが可能な変形可能ミラー装置を提供できる。
このような状況に対応しては、ディスク1周内で生じる球面収差を補正して記録再生性能の低下を防止することが考えられるが、近年の高密度ディスクではディスク回転速度としても高速化しているものがあるので、このためにはミラー面の変形速度も比較的高速なものとする必要がある。
このことから、上記のようにミラー面の変形速度を比較的高速なものとできる本実施の形態によれば、ディスク1周内でのカバー厚ムラに対応した収差補正動作を有効に行うことが可能な変形可能ミラー装置を提供できる。
そして、ディスク1周内でのカバー厚ムラに対応した収差補正動作を有効に行うことが可能となれば、粗悪ディスクに対しても記録再生性能の悪化を防止できる。また、これを換言すれば、現状よりもディスクのカバー厚ムラの許容範囲を広げることができ、これによって光ディスク100の製造コストの削減を図ることも可能となる。
このようにした場合、第1記録層101への合焦時と第2記録層102への合焦時との双方で収差補正を行うようにされることになる。このとき、記録面から最も遠い側となる第2記録層102への合焦時には、これまでに説明したようにミラー面としては凸状に変形させればよいが、この場合の第1記録層101への合焦時には、ミラー面を逆に凹状に変形させる必要がある。
このようにミラー面を凹状に変形させる場合には、コイルホルダ5に巻回された各コイルに供給する駆動電流の極性を反転させればよい。これによって同様に球面収差補正と軸外収差補正とを行うことができる。
なお、第2記録層102の合焦時に球面収差量が最小となるように設定した場合も、第1記録層101への合焦時にはミラー面を凹状に変形させることになるが、その場合も駆動電流の極性を逆とすれば同様に収差補正を行うことができる。
続いては、第2の実施の形態の変形可能ミラー装置20について説明する。
図12、図13、図14は、変形可能ミラー装置20の内部構造を示す断面図であり、図12は、変形可能ミラー装置20を図1に示したX軸とY軸とによるX−Y平面方向に切断したときの断面図であり、図13は図1に示したY軸とZ軸とによるY−Z平面方向に切断したときの断面図であり、図14は図1に示したX軸とZ軸とによるX−Z平面方向に切断したときの断面図である。
なお、第2の実施の形態において、既に第1の実施の形態にて説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。
先ず、図12〜図13に示されるように、変形可能ミラー装置20には、第1圧電素子21、第2圧電素子22、第3圧電素子23、第4圧電素子24の4つの圧電素子が備えられる。これら圧電素子は、それぞれ四角柱状の形状を有しており、特に図12のX−Y断面図を参照してわかるように、第1圧電素子21と第2圧電素子22とは、X軸方向において中心Cを基準として対称となる位置にそれぞれ設けられ、また第3圧電素子23と第4圧電素子24とはY軸方向において同様に中心Cを基準として対称となる位置に設けられる。
この場合、第1圧電素子21と第2圧電素子との間、第3圧電素子23と第4圧電素子24との間には所定の間隔を空けるようにされ、これによってこれら圧電素子21〜圧電素子24のX−Y断面の外周形状が、図示されているように略十字形となるようにされている。
これら第1圧電素子21〜第4圧電素子24は、ベース4に対して形成された十字状の窪み部分にて位置決めされてベース4に対して固着される(図13、図14参照)。
なお、上記のようにして棒状部25aの先端部は半球状とされることで、例えば先端部が角状とされる場合と比較すれば、後述する可撓性部材2への圧力印加時(特に斜め方向への圧力印加時)における当該棒状部25aの当接部分の強度をより確保することができる。
なお、この図15では変形可能ミラー装置20における第1圧電素子21、第2圧電素子22、第3圧電素子23、第4圧電素子24と、図1に示した駆動回路60とを抽出して示している。
この場合としても、図示するようにして各圧電素子(厳密にはそれぞれ並列接続された電極板)に対しては、駆動回路60への配線が接続されており、これによって各圧電素子に独立して駆動電圧を供給(印加)することができるようになっている。
図16では、先の図13と同様に変形可能ミラー装置20のY−Z平面での断面図を示しており、上記図17では先の図14と同様に変形可能ミラー装置20のX−Z平面での断面図を示している。
この場合も、各圧電素子に同レベルの駆動電圧を印加することによっては、各圧電素子が同じ伸張量によりZ軸方向へ伸張するようにされることで、可撓性部材2に対してZ軸方向への押圧力を印加することができる。
つまり、この場合においては、各圧電素子が同じ伸張量によりZ軸方向へ伸張することで、各圧電素子と固着された押圧部材25がZ軸方向に移動するようにして駆動され、これによって棒状部25aが可撓性部材2の中心Cを押圧するようにして圧力を印加するものとなって、ミラー面は中心Cを頂点として凸状に変形するようにされる。
つまり、この場合としても、可撓性部材2に対する圧力は方向を可変として発生させることができる。
このように第2圧電素子22の駆動電圧レベルのみを相対的に他の圧電素子よりも低くした場合、押圧部材25は、図示するようにして第2圧電素子22が固着された側が傾きつつ、全体としては可撓性部材2を押し上げる方向に移動されるようにして駆動されるようになる。
この場合、圧力印加部としての押圧部材25は、このように所定方向に傾いた状態で駆動されることで、先の図16、図17で示したZ軸方向への圧力印加時と比較してわかるように、棒状部25aが中心Cからズレた部分を押圧するようにされることになる。
これにより、第2の実施の形態の変形可能ミラー装置20によっても、所定の軸外収差についての補正を行うことが可能となる。
これにより、可撓性部材2への圧力印加位置は維持したまま、Z軸方向にはたらく圧力量を所定分上昇させることができ、このようなZ軸方向にはたらく圧力量の所定分の上昇に応じて、上述した強度分布パターン2aが設定された可撓性部材2のミラー面の形状を、全体的には球面収差補正のために必要な形状となるように変形させることができる。つまり、これによって第2記録層102の合焦時に対応して球面収差補正を行うことができる。
そして、この場合としても、上記のようにして各駆動電圧のバランスが保たれてミラー面の頂点位置は軸外収差補正のできる位置にシフトされているので、第1記録層101の合焦時と同様に軸外収差補正を行うことができ、この結果第2記録層102への合焦時に対応して、球面収差補正と軸外収差補正との双方を行うことが可能となる。
従ってこの場合としても、第1の実施の形態の場合と同様に簡易な構成で且つ単純な制御により球面収差補正を行うことができる。
これにより第2の実施の形態においても、ミラー面の形状を中心点からズレた点を頂点位置とするように変形させることができ、この結果球面収差と共に軸外収差についても補正を行うことができる。
以上、各実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した実施の形態に限定されるものではない。
例えば、ミラー面が形成された可撓性部材の断面形状は、図4に示した強度分布パター2aに限定されない。
例えば入射されるレーザ光を180°反射する90°ミラーとして適用する場合に対応させて、強度分布パターンとしては、それぞれ同じ中心をもつ円の形状(つまり同心円状)により形成することもできる。
また、階段状に薄くすることも必須ではない。また、肉薄部(楕円部2G)も必須ではない。
ここで、ミラー面の変形のために圧力が印加される場合、可撓性部材では内部応力が発生する。そして、この際、仮に可撓性部材において応力が一点に集中するような部分があると、実施の形態のように可撓性部材が等質等方性な材質により構成される場合、この部分は急激に寸法の変化する箇所となる。
例えば、状態が異なるようにされた部分の形成パターンが同心でない(同じ中心を持つ円又は楕円でない)場合、各パターンは特定の方向で間隔が狭まったり広がったりすることになる。そして、この間隔が狭まった部分が、他の部分に比べて応力が集中しやすい部分となり、よって一様な圧力の印加に対して急激に寸法が変化する部分となる。
このように応力が集中する部分があると、この部分において可撓性部材の許容応力を超える可能性が高まり、これに伴って割れが発生する可能性が高くなる。また、可撓性部材の変形が繰り返し行われることで、この部分での疲労破壊を招く虞もある。
このため、上記のようにして同じ中心を持つ円又は楕円の形状によりパターンが形成されることで、各パターンの間隔は均等で、応力が一部に集中するような部分が生じないようにすることができ、上記割れや疲労破壊の効果的な防止を図ることができる。
但し、その場合には、例えば異なる材質が所定の位置に所定の割合で含まれるように可撓性部材を形成する必要があり、製造工程が複雑化し、製造コストが増大する可能性がある。これに対し断面圧の異なる部分を形成する実施の形態の手法によれば、可撓性部材は同一材質で構成することができ、強度分布パターンとしてはエッチングによって形成することが可能となるので、その分低コストで実現できるというメリットがある。
このチューブタイプの圧電素子としては、例えば円柱状の形状を有しており、下半分がZ軸方向への伸縮が可能に構成され、上半分がX−Y平面の任意方向への傾斜が可能に構成されたものである。このようなチューブタイプの圧電素子を用いれば、実施の形態の場合では4つの積層タイプの圧電素子を用いることで任意方向への圧力発生を実現していたものを、1つの圧電素子により実現することができるようになる。
或いはその逆に、第2の実施の形態において押圧部材25を可撓性部材2の楕円部2Aに固着して、第1の実施の形態のように可撓性部材2への圧力印加を行うように構成することも可能である。このように押圧部材25を第1の実施の形態の場合のように可撓性部材2側に固着した場合は、各圧電素子に印加する駆動電圧の極性を反転することで可撓性部材2(ミラー面)を凹状にも変形させることができる。
このように裏面に対しても反射膜3を成膜して、反射膜3・可撓性部材2・反射膜3のサンドイッチ構造とすることで、反射膜3の成膜に伴い可撓性部材2に生じる内部応力をバランスさせ、これによって可撓性部材2の反りをコントロールすることをより容易とすることができる。つまり、無変形状態でのミラー面の平面度を確保することをより容易とすることができる。
但し、可撓性部材2に対して断面形状が異なる強度分布パターン2aが与えられている場合は、表裏で同質・同厚の反射膜3を形成したのでは内部応力をバランスさせることができない。そこでこの場合には、強度分布パターン2aの断面厚に応じて裏面の反射膜3の厚さを調整するか、或いは強度分布パターン2aの断面厚ごとに異なる材質の反射膜3を形成することで、反射膜3の成膜により可撓性部材2に生じる内部応力をバランスさせることができる。
また、単一の記録層のみであっても、1周内のカバー厚の変化に追従した球面収差・軸外収差補正を行う光ディスク装置であれば好適に適用できる。
例えば現状において光ディスク装置としては、CD(Compact Disc)とDVD(Digital Versatile Disc)とブルーレイディスクなど、それぞれ異なる開口数・レーザ波長により信号の記録再生が行われる複数種の光ディスクに対応するようにされたものがある。この場合、各光ディスクに対応するレーザ光の発光点はそれぞれ異なるため、何れか1つのレーザ光が対物レンズに適正に入射するように光学系が設計されている。このため他のレーザ光の発光時には、レーザ光が対物レンズに対して斜め入射することになり、特にコマ収差などの軸外収差が生じるものとされている。
そのための対策として、現状では対物レンズの前段に液晶素子を設けてコマ収差補正を行うようにしているが、このような液晶素子を設ける分、ピックアップの小型化及び低コスト化が妨げられている。
このような状況に対し、本発明の変形可能ミラーによれば、もともと光学系に設けられる45°ミラー(或いは90°ミラー)によりこのような軸外収差補正のための液晶素子としての機能を実現することができ、これによってピックアップの小型・低コスト化を図ることができる。
Claims (9)
- 表面にミラー面が形成されると共に、変形態様についての状態が異なるようにされた部分が所定パターンにより形成された可撓性部材と、
方向を可変として圧力を発生することができるように構成された圧力発生手段と、
を備えることを特徴とする変形可能ミラー装置。 - 上記可撓性部材は、
上記変形態様についての状態が異なるようにされた部分として、断面形状が異なるようにされた部分が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の変形可能ミラー装置。 - 上記可撓性部材は、
それぞれ同じ中心を持つ円又は楕円の形状により上記変形態様についての状態が異なるようにされた部分が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の変形可能ミラー装置。 - 上記可撓性部材は、
その断面形状として最外周部の厚さが最も厚く、且つ上記ミラー面の中心から外周方向にかけては厚さが階段状に薄くなるように構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の変形可能ミラー装置。 - 上記圧力発生手段は、
上記可撓性部材の上記ミラー面とは逆側の面に対して圧力を印加するための圧力印加部を備えると共に、上記圧力印加部の複数箇所にそれぞれ独立して駆動力を与えるように構成されることで、上記圧力の発生方向が可変となるように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の変形可能ミラー装置。 - 上記圧力発生手段は、
複数の箇所にそれぞれ別々のコイルが巻回された上記圧力印加部と、上記コイル対応に設けられた磁性体とを備え、上記コイルに対してそれぞれ独立して駆動電力が供給できるように構成されることで、上記圧力印加部の複数箇所にそれぞれ独立して駆動力を与えるように構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の変形可能ミラー装置。 - 上記圧力発生手段は、
各々が上記圧力印加部と固着された複数の圧電素子を備え、上記圧電素子に対してそれぞれ独立して駆動電力を供給できるように構成されることで、上記圧力印加部の複数箇所にそれぞれ独立して駆動力を与えるように構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の変形可能ミラー装置。 - 上記圧力印加部は、上記可撓性部材の上記ミラー面とは逆側の面に対して固着されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の変形可能ミラー装置。 - 上記圧力印加部には、上記可撓性部材の上記ミラー面とは逆側の面に対して突出するようにして形成された棒状部分が設けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の変形可能ミラー装置。
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