JP2007302626A - Tsp−1産生誘導剤及び血管新生阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】血管内皮細胞の新生、成長、増殖を抑制し、それらが原因となる光老化や創傷、癌の増殖や転移、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、乾癬、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、加齢性黄斑変性、慢性気管支炎、粥状動脈硬化症、心筋梗塞等の疾患の治療及び予防に有効な薬剤を提供する。
【解決手段】カルボキシメチルβ(1,3)グルカンおよびその塩から成る群から選ばれる1又は複数種の薬剤を含有するトロンボスポンジン−1(TSP−1)産生誘導剤及び血管新生阻害剤。
【選択図】なし

Description

本発明はTSP−1産生誘導活性を示すカルボキシメチルβ(1,3)グルカンおよび/またはその塩を含有するTSP−1産生誘導剤及び血管新生阻害剤に関する。
血管新生とは、血管が新たに形成される現象をいう。血管は、組織又は器官においてタンパク質分解酵素の働きにより血管の基底膜が分解されることで血管内皮細胞が遊走し、増殖して細胞外マトリックスに接着し、その血管内皮細胞が分化して血管腔を形成することにより新たに形成される。血管新生は、創傷治癒過程のような正常反応の他に、癌の増殖や転移、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、炎症性皮膚疾患、乾癬、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、加齢性黄斑変性症、慢性気管支炎、粥状動脈硬化症、心筋梗塞等の様々な疾患の病因、又は病態の悪化に関与していることでも知られる。
血管新生因子のうち、血管内皮増殖因子「VEGF」は、血管内皮細胞の増殖誘導と生存維持、血管透過性の亢進、血圧の調節、血小板による遊走、マクロファージに対する走化性などをはじめとして、血管新生のみならず、血管・血液・凝固系など多彩に機能している。血管内皮細胞のVEGFの発現又は活性を阻害する化合物は血管新生阻害剤として、上記癌、糖尿病性網膜症、各種関節炎をはじめとする様々疾患の治癒や予防、あるいは皮膚老化の予防、改善のための薬剤として期待される。
VEGFとは対照的に、正常皮膚における血管新生抑制因子として主要な役割を演じているのは細胞外マトリックスタンパク質のトロンボスポンジン(TSP)ファミリーの二種、TSP−1とTSP−2である。TSPは、基底層のケラチノサイトを含む数種の皮膚の細胞により発現していて、真皮―表皮間の基底膜領域に堆積し、表皮の血管新生を防ぐ自然の抗血管新生バリアーとして働く。また、血管新生と血管の退行の間でTSPの発現が調節されていることも判明している。
TSP−1、TSP−2等の血管新生抑制因子ノックアウトモデル、又は皮膚において血管新生促進因子VEGFや血管新生抑制因子を過剰発現するトランスジェニックモデルを用いた in vivo の研究により、これらの血管新生促進因子や血管新生抑制因子のレベルの調節が、紫外線による損傷と皮膚のしわの程度、刺激性の皮膚反応、そして皮膚損傷の修復に著しい影響を及ぼすことが示されている(米国特許公開公報2005−281761)。
国際公開公報WO2003/084302 米国特許公開公報2005−281761
本発明の課題は、血管内皮細胞の新生の抑制に有効な薬剤を見出すことにある。
本発明者は鋭意検討の結果、カルボキシメチルβ(1,3)グルカンおよびその塩がTSP−1誘導活性を示すことを見出した。
従って、本発明は、カルボキシメチルβ(1,3)グルカンおよびその塩から成る群から選ばれる1又は複数種の薬剤を含有することを特徴とする、TSP−1産生誘導剤を提供する。
本発明はさらに、カルボキシメチルβ(1,3)グルカンおよびその塩から成る群から選ばれる1又は複数種の薬剤を含有することを特徴とする、血管新生阻害剤を提供する。
血管新生の病態は、糖尿病性の血管増殖性疾患や、腫瘍の増殖、リュ−マチ様関節炎などで解明されている。これらの病的な血管新生を阻害する治療法の開発が進行中であり、活用が期待できる。特に、血管新生阻害剤により腫瘍血管新生を阻害して、腫瘍の発育や転移を抑制することが可能になると考えられている。本発明に係るTSP−1産生誘導剤及び血管新生阻害剤は、血管内皮細胞に対して静細胞的に作用するために抗がん剤を比較して副作用が強くなく、標的が正常細胞であるために、薬剤耐性が生じにくいという利点を有するものと考えられる。
TSP−1の産生を誘導する薬剤のスクリーニングは、下記の実験において詳細に記載の通り、TSP−1プロモーターの下流にルシフェラーゼをレポーター遺伝子として結合させたDNA構築体を導入したHaCat細胞株に各種候補薬剤を作用させ、ルシフェラーゼ活性の測定を行い、そのルシフェラーゼ活性をもってTSP−1プロモーター活性とし、TSP−1プロモーター活性を有する薬剤を有効薬剤として選定することで行なった。
その結果、カルボキシメチルβ(1,3)グルカン(以下、単に「CMグルカン」と称する場合もある)がTSP−1の産生を誘導できることを見出した。カルボキシメチルβ(1,3)グルカンは、従来より保湿剤として化粧料中に配合されて用いられてきたもので、カラスムギ、大麦、小麦のほか、酵母、カビの細胞壁の骨格構造物や多くのきのこの主要な多糖成分として存在し、次の一般式(1)で表される。皮膚に対する作用としては、表皮細胞の細胞増殖促進作用、紫外線UVAによる酸化ストレス抑制作用が報告されている。また、カルボキシメチルβ(1,3)グルカン塩としては、CMグルカンナトリウム塩、CMグルカンカリウム塩が挙げられる。
Figure 2007302626
CMグルカンおよび/またはその塩を含有する本発明に係るTSP−1産生誘導剤及び/又は血管新生阻害剤は、TSP−1の産生を誘導することで、血管内皮細胞の新生、成長、増殖を原因とする老化や様々な疾患の予防、抑制するのに極めて有効であると考えられる。
血管内皮細胞の新生、成長、増殖を原因とする老化とは、皮膚傷害や紫外線に対する暴露による光老化等を意味する。本発明に係るTSP−1産生誘導剤及び/又は血管新生阻害剤は特に光老化の防止、抑制に有効であると考えられる。光老化とは、一般に日光に対する被曝が繰り返された結果として認められる皮膚の外見及び機能の変化を意味する。日光の構成要素である紫外線(UV)、特に中間UV(UVBと呼ばれる、波長290−320nm)が主として光老化を引き起こす。光老化を引き起こすのに必要なUVBの被曝量は現在のところ知られていない。しかしながら、紅斑や日焼けを引き起こすレベルでのUVBに対する繰り返しの被曝が、通常光老化に結びつく。臨床的には、光老化は肌荒れ、しわの形成、斑の着色、土色化、たるみの形成、毛細管拡張症の発症、ほくろの発生、紫斑病の発症、傷つき易くなる、萎縮、繊維症的色素除去領域の発生、前悪性腫瘍及び悪性腫瘍の発症等として特定され得る。光老化は普通、顔、耳、頭、首、と手のような、日光に習慣的に曝される皮膚に起こる。
また、本発明に係るTSP−1産生誘導剤及び/又は血管新生阻害剤は、創傷治癒の促進、血管内皮細胞の新生、成長、増殖が関与する癌の増殖や転移、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、炎症性皮膚疾患、乾癬、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、加齢性黄斑変性症、慢性気管支炎、粥状動脈硬化症、心筋梗塞等の疾患の治療及び予防等に有効な医薬品又は化粧品として利用できる。
本発明に係るTSP−1産生誘導剤及び/又は血管新生阻害剤は、その使用目的に合わせて用量、用法、剤型を適宜決定することが可能である。例えば、本発明に係るTSP−1産生誘導剤及び/又は血管新生阻害剤の投与形態は、経口、非経口、外用等であってよい。剤型としては、例えば錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤、又は注射剤、点滴剤、若しくは坐剤等の非経口投与剤軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等の外用剤を挙げることができる。
本発明に係るTSP−1産生誘導剤及び/又は血管新生阻害剤のCMグルカン及び/又はその塩の配合量は、当該剤全量中、乾燥物として0.0001〜20.0質量%、好ましくは0.0001〜10.0質量%である。
また、本発明に係るTSP−1産生誘導剤及び/又は血管新生阻害剤には、CMグルカン及び/又はその塩以外に、その用途に応じ、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等、あるいは通常の食品や医薬品に使用される成分、例えば賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料等、を必要に応じて適宜配合することができる。
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、カリンの果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、レチノイン酸、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類なども適宜配合することができる。
次に実験によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は質量%である。
実験方法
TSP−1プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子として結合させたDNA構築体をHaCaT細胞に安定的に導入した細胞株を用いた。上記細胞株をDMEM/F12 (Invitrogen)(10%のFBS及び1mg/mlのハイグロマイシンB(Invitrogen)含有)培地に懸濁して24穴プレートに一穴あたり、40000細胞となるように播種した。約30時間後、培地を無血清DMEM/F12培地に換え、5%CO2、37℃で25時間培養した。その後、パン酵母の細胞壁粉末(CM−グルカン)を2質量%になるように水で溶解したのち、最終濃度を図1で示すような濃度になるように培養液に添加して24時間培養した。培養上清液を除去後、細胞をPBSで洗浄して、Luciferase assay system(Promega)を用いてルシフェラーゼ活性測定を行った。そのルシフェラーゼ活性を持って、TSP−1プロモーター活性とした。コントロールは、CM−グルカンの代わりに水を作用させたものである。結果を図1に示す。その結果、CM−グルカンは濃度依存的にTSP−1のプロモーター活性を誘導していることが明らかになった。
CMグルカンのTSP−1産生誘導効果の結果を示す。

Claims (2)

  1. カルボキシメチルβ(1,3)グルカンおよびその塩から成る群から選ばれる1又は複数種の薬剤を含有することを特徴とする、TSP−1産生誘導剤。
  2. カルボキシメチルβ(1,3)グルカンおよびその塩から成る群から選ばれる1又は複数種の薬剤を含有することを特徴とする、血管新生阻害剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018002688A (ja) * 2016-07-08 2018-01-11 株式会社アウレオ トロンボスポンジン1遺伝子発現亢進用組成物

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