しかしながら、ファクシミリやコピー機では、読み取りも、読み取った画像データの出力先装置への出力も原稿単位で実行されるので、原稿に不要な画像データが含まれていても、読み取った原稿の全画像データが出力先装置に出力されてしまうという問題点があった。つまり、読取装置においては、不要な画像部分に対しても読取処理と出力処理とが実行されるので、読取処理全体にかかる時間が長時間化してしまうという問題点があった。一方、出力先装置側においても、不要な画像データを受信しなくてならず、その受信処理や出力処理に無駄に時間がかかり、さらに記録紙やインク等も無駄に消費されるという問題点があった。
また、ハンディスキャナであれば、部分的に原稿の画像データを読み取ること、即ち、操作者による読取開始指示と読み取り終了指示の操作により、原稿の一部の画像データを出力範囲として規定することはできるが、操作者が手動で原稿上を走査して画像データを読み取る方式であるため、読取精度が不良となり高品質の画像データを取得することが困難であるという問題点があった。具体的には、操作者は、手動操作によりハンドスキャナを原稿に対して移動させる作業と、原稿のどの部分を読み取っているか、またどの部分までを読み取る必要があるかという目視による確認作業とを並行して行わなければならず、読み取り精度を高めるには高度な技術を要する。
上記特許文献1〜3に記載の各装置には、読み取った画像データを順次表示する表示手段が備えられているので、現在の読取位置を表示手段にて確認することはできるが、かかる特許文献1〜3に記載される各装置では、原稿画像を部分的に読み取ることと、その読み取りを良好な精度で行うこととの両者を満足することはできず、原稿から部分的な画像を良好な画像品質で読み取ることができないという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、読み取った画像データの出力範囲を簡便に設定することのできる読取装置、その制御プログラム、画像データの読取方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の読取装置は、原稿の画像を画像データとして読み取る読取手段と、その読取手段と原稿とを相対的に移動させる移動機構と、前記読取手段と移動機構とを駆動し原稿の読取制御を行う読取制御手段と、各種データを受信可能に構成された出力先装置に前記読取手段にて読み取った画像データを出力する出力手段と、操作者により操作される複数の操作子を備えた操作部と、を備えており、更に、前記読取手段にて読み取った原稿の画像データを記憶部に記憶する画像データ記憶手段と、前記操作部に近接配置されると共に筐体の外表面側に配設された表示器と、前記画像データ記憶手段により記憶部に記憶される画像データを、所定順に従って順次、前記表示器に表示させる表示手段と、前記操作部を介して入力される所定の指令を検出する指令検出手段と、その指令検出手段により、所定の指令が検出されたタイミングで前記表示器に表示中の画像データの内容に基づき、前記出力手段が出力する前記原稿の画像データの出力範囲を規定する範囲規定手段とを備えている。
請求項2記載の読取装置は、請求項1記載の読取装置において、前記表示手段は、前記読取手段による原稿の読取位置と前記表示器における表示位置とが略同一となるように、前記読取手段にて読み取った画像データを、その読取手段の読取動作に連動して前記表示器に表示するものである。
請求項3記載の読取装置は、請求項1または2記載の読取装置において、前記範囲規定手段は、前記指令検出手段により所定の指令が検出されたタイミングで前記表示器に最後に表示された画像データを終端とし、原稿の読み取り開始端から前記終端までを出力範囲として規定するものである。
請求項4記載の読取装置は、請求項1から3のいずれかに記載の読取装置において、前記指令検出手段により所定の指令が1の原稿の読み取り中に検出された場合、その所定の指令が検出されたタイミングで、前記読取制御手段は、前記読取手段による原稿の読み取りを停止させると共に、前記移動機構による原稿と前記読取手段との相対移動を行い、原稿読み取り開始前の初期状態に移行するように制御する。
請求項5記載の読取装置は、請求項3又は4に記載の読取装置において、前記出力先装置を指定する装置指定手段を備えており、前記出力手段は、前記指令検出手段により所定の指令が検出されたタイミングで前記範囲規定手段によって規定された出力範囲の画像データを、前記装置指定手段にて指定された出力先装置に出力するものである。
請求項6記載の読取装置は、請求項4記載の読取装置において、前記読取制御手段は、前記読取手段の読取動作を停止した場合に、前記読取手段に次原稿に対する読取動作を再開させる読取再開手段を備えており、前記画像データ記憶手段は、前記範囲規定手段により先に規定された出力範囲の画像データを前記記憶部に記憶すると共に、前記読取再開手段にて前記読取手段による読取動作が再開された場合には、読み取りが開始された次原稿の画像データを、その直前に読み取られた原稿の画像データの終端に連続して前記記憶部に記憶する。
請求項7記載の読取装置は、請求項6記載の読取装置において、前記移動機構に設けられ複数枚の原稿を前記読取手段による画像データの読取位置へ1枚ずつ導入する導入手段と、その導入手段により読取位置に導入される原稿が、最終の原稿であるかを検出する最終原稿検出手段とを備えており、前記読取再開手段は、前記最終原稿検出手段にて最終原稿として検出されなかった原稿の読取動作が、前記所定の指令の検出により停止された場合に、前記読取手段に次原稿に対する読取動作を再開させるものである。
請求項8記載の読取装置は、請求項7記載の読取装置において、前記出力先装置を指定する装置指定手段を備えており、前記出力手段は、前記最終原稿検出手段により最終原稿を検出した場合には、その最終原稿に対する読取動作終了後、前記装置指定手段にて指定された出力先装置に、前記画像データ記憶手段により前記記憶部に記憶された画像データを出力する。
請求項9記載の読取装置は、請求項4または6から8のいずれかに記載の読取装置において、前記表示手段は、前記読取再開手段にて原稿の読取動作が再開された場合には、前記表示器において、読み取りが開始された次原稿の画像データの表示を、その直前に読み取られた原稿の画像データの表示の近傍に現出させる。
請求項10記載の読取装置は、請求項1から9のいずれかに記載の読取装置において、前記操作部を介して入力され前記範囲規定手段にて規定された画像データの出力範囲を変更する変更情報を検出する変更情報検出手段と、その変更情報検出手段により変更情報の入力が検出された場合、前記記憶部に記憶されている画像データの内、変更情報にて特定される範囲の画像データを前記範囲規定手段により規定された出力範囲の画像データに対し付加または削除して、画像データの出力範囲を変更する変更手段を備えており、前記出力手段は、前記変更手段による変更が実行された場合には、変更後の出力範囲に対応する画像データを出力するものである。
請求項11記載の読取装置は、請求項10記載の読取装置において、前記表示手段は、前記変更手段により、前記範囲規定手段にて規定された出力範囲から画像データの削除が行われた場合には、その削除部分の表示態様を他の部分とは異なる態様に変更する表示変更手段を備えている。
請求項12記載の制御プログラムは、原稿の画像を画像データとして読み取る読取手段と、その読取手段と原稿とを相対的に移動させる移動機構と、前記読取手段と移動機構とを駆動し原稿の読取制御を行う読取制御手段と、操作者により操作される複数の操作子を備えた操作部と、前記操作部に近接配置されると共に筐体の外表面側に配設された表示器と、を備えた読取装置において実行され、各種データを受信可能に構成された出力先装置に前記読取手段にて読み取った画像データを出力する出力ステップと、前記読取手段にて読み取った原稿の画像データを記憶部に記憶する画像データ記憶ステップと、前記画像データ記憶ステップにより記憶部に記憶される画像データを、所定順に従って順次、前記表示器に表示させる表示ステップと、前記操作部を介して入力される所定の指令を検出する指令検出ステップと、その指令検出ステップにより、所定の指令が検出されたタイミングで前記表示器に表示中の画像データの内容に基づき、前記出力ステップが出力する前記原稿の画像データの出力範囲を規定する範囲規定ステップとを備えている。
請求項13記載の画像データの読取方法は、原稿の画像を画像データとして読み取る読取手段と、その読取手段と原稿とを相対的に移動させる移動機構と、前記読取手段と移動機構とを駆動し原稿の読取制御を行う読取制御手段と、操作者により操作される複数の操作子を備えた操作部と、前記操作部に近接配置されると共に筐体の外表面側に配設された表示器と、を備えた読取装置において実行され、各種データを受信可能に構成された出力先装置に前記読取手段にて読み取った画像データを出力する出力ステップと、前記読取手段にて読み取った原稿の画像データを記憶部に記憶する画像データ記憶ステップと、前記画像データ記憶ステップにより記憶部に記憶される画像データを、所定順に従って順次、前記表示器に表示させる表示ステップと、前記操作部を介して入力される所定の指令を検出する指令検出ステップと、その指令検出ステップにより、所定の指令が検出されたタイミングで前記表示器に表示中の画像データの内容に基づき、前記出力ステップが出力する前記原稿の画像データの出力範囲を規定する範囲規定ステップとを備えている。
請求項1記載の読取装置によれば、読取手段にて読み取った原稿の画像データは、画像データ記憶手段によって記憶部に記憶され、表示手段により、所定順に従って順次、表示器に表示される。そして、操作部を介して入力された所定の指令が指令検出手段にて検出されると、そのタイミングにおいて表示器に表示中の画像データに基づき、出力手段によって出力する画像データの出力範囲が範囲規定手段により規定される。表示器における画像データの表示は刻々と変化するため、表示される画像データが所望の表示となったタイミングで操作者が操作子を操作して所定の指令を入力すれば、操作者所望の画像データを出力範囲として規定することができる。
よって、原稿の画像データの内、操作者が必要とする範囲を選択して出力することができ、不必要な画像データの無駄な出力を省略することができるという効果がある。言い換えれば、操作者が出力を所望する画像データが原稿の一部であるにも関わらず、原稿の全画像データが出力されるといった不具合が生じることがない。このため、出力先装置への画像データの出力に要する時間を短縮でき、効率的な画像データの出力を実行することができるという効果がある。
また、読み取った原稿の画像データを動的に表示(順次表示)することにより、操作者は操作子を操作するタイミングを判断する(所定の指令を入力する)だけで、簡便に、出力範囲を規定することができる。つまり、読み取った原稿の画像データを静的に表示して画像データの出力範囲を規定しようとすれば、表示器の表示画面上へのカーソル表示を出力する機構と、操作子の操作に応じてカーソル表示を移動する機構と、操作子の所定操作(移動操作とは別の操作)を認識してカーソル位置を確定する機構との3つの機構が必要となるが、本装置では、かかる機構を不要とすることができる。故に、静的に表示される画像データに対して出力範囲を規定する場合に比べて、装置構成を簡素化して、効率的且つ簡便に出力範囲を規定できる。その上、操作者には、カーソル移動操作やカーソル位置を確定する確定操作などが要求されないので、操作者に要求される操作子の操作を単純化して、作業性を向上させることができるという効果がある。
更に、表示器は、本装置の筐体の外表面側であって、操作部に近接して配設されている。このため、操作者は、読取動作を行うための作業(例えば読取装置への原稿のセットを行う作業)と、読み取った画像データの編集(範囲規定)作業とを、同じ場所(読取装置の設置場所)に留まって行うことができる。故に、読み取った画像データを読取装置からパーソナルコンピュータなどに出力し、そのパーソナルコンピュータにおいて出力範囲を規定する一般的な読取装置に比べて、装置間を行き来する操作者の手間や労力を軽減でき、効率的かつ省力的に原稿の読み取りを実現できるという効果がある。また、表示器と操作部とが近接して配設されることで、表示器の表示を確認しながら操作子を操作する作業が行いやすくなるという効果がある。
更に、本装置は、移動機構により原稿と読取手段とを相対移動させるので、ハンディスキャナに比較して安定した読み取りを実現しつつ、原稿の部分的な読み取りを実行することができるという効果がある。このため、読み取った画像の品質をハンディスキャナに比べて向上させることができ、原稿の部分的な画像データの読み取りと、良好な画質での画像データの読み取りとの両者を実現することができる。
尚、本装置は、所定の指令の検出(入力)タイミングで表示されている画像データを出力範囲とするもの(出力範囲の終端の指定)であっても良く所定の指令の検出(入力)タイミングで表示されている画像データ以外を出力範囲とするもの(出力範囲の始端の指定)であっても良い。また、操作子の操作回数は1回に限られるものでなく、複数回としても良く、例えば、2の入力操作を1対として、先の指令検出タイミングから後の指令検出タイミングの間に表示された画像データを出力範囲とするものであっても良い。
請求項2記載の読取装置によれば、請求項1記載の読取装置の奏する効果に加え、表示手段により、読取手段による原稿の読取位置と表示器における表示位置とが略同一となるように、読取手段の読取動作に連動して、読取手段にて読み取った画像データが表示器に表示される。よって、読み取りが原稿のいずれの位置まで進行したかを、操作者に容易に確認させることができるという効果がある。
請求項3記載の読取装置によれば、請求項1または2記載の読取装置の奏する効果に加え、指令検出手段により所定の指令が検出されたタイミングで表示器に最後に表示された画像データを終端とし、原稿の読み取り開始端から終端までが、範囲規定手段により出力範囲として規定される。よって、操作者は、出力範囲の発端を指定する必要が無く、出力範囲の終端とする所望の画像データが表示されたタイミングで操作子を操作するだけで(所定の指令が入力されるので)、出力範囲を確定することができる。故に、出力範囲を規定するために操作者に要求される操作を、単純且つ簡便なものとすることができるという効果がある。
請求項4記載の読取装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の読取装置の奏する効果に加え、検出手段により所定の指令が1の原稿の読み取り中に検出された場合、その所定の指令が検出されたタイミングで、読取制御手段にて、読取手段による原稿の読み取りが停止されると共に、移動機構によって原稿と読取手段との相対移動が行われる。そして、原稿読み取り開始前の初期状態に移行する。よって、所定の指令の検出により出力範囲が規定された場合、即ち、出力先装置へ出力する分の画像データについては既にその読み取りが終了している場合には、それ以降の画像データの読み取りを停止することができるので、出力範囲とは無関係な無駄な読取動作を低減して、読取動作全体に要する時間を短縮することができるという効果がある。
更に、請求項2に従属する読取装置によれば、表示器における表示と原稿の読み取りとが連動しているので、両者を同期させることにより、操作者が操作子を操作したタイミングで読取手段の動作を停止させることができる。つまり、操作者にとって必要な部分の読み取りが終了した場合に、直ちに、その原稿に対する読み取りを終了することができる。故に、無駄な読取動作(過分な読み取り)が排除された効率的な原稿読取を実行することができるという効果がある。また、一般に画像データはそのデータ量が膨大になりがちであるが、不要な読取動作(過分な読み取り)が省略されることにより、記憶部に不要な画像データが記憶されることを回避でき、その結果、記憶させるデータ量を低減することができる。従って、一般的に装置内に搭載されるRAMの動作領域の圧迫や、記憶部がデータフルとなって記憶不能となるという事態を抑制できるという効果がある。
請求項5記載の読取装置によれば、請求項3又は4に記載の読取装置の奏する効果に加え、所定の指令の検出により出力範囲が規定された画像データが、出力手段にて、装置指定手段にて指定された出力先装置に出力される。よって、操作者は、範囲規定を実行する操作を行うだけで、つまり、出力範囲を規定する操作と別に画像データを出力させるための操作をわざわざ行うことなく、指定の出力先装置に画像データを出力することができるという効果がある。一般に、読み取った画像データは、何らかの形で出力することにより、意味のあるものになることが多い。従って、操作者の多くは、読み取った画像データの出力を所望する。故に、出力範囲を規定する操作が行われたことを契機として出力先装置へ画像データを出力する処理を行っても、操作者に不利益が生じることはない。
請求項6記載の読取装置によれば、請求項4記載の読取装置の奏する効果に加え、読取手段の読取動作が停止された場合、読取再開手段により、次原稿に対する読取動作が再開される。そして、記憶部には、範囲規定手段により先に規定された出力範囲の画像データが記憶されると共に、読取再開手段にて読取手段による読取動作が再開された場合には、読み取りが開始された次原稿の画像データが、次原稿の読み取りの直前に読み取られた原稿の画像データの終端に連続して記憶される。
つまり、範囲規定手段により出力範囲が規定された原稿(所定の指令により読み取りが停止された原稿(次原稿の直前の原稿))の画像データの終端に連続して次原稿の画像データが記憶されるので、記憶部には、読み取られなかった原稿部分(直前の原稿の一部分)の画像データは記憶されず、また、その読み取られなかった原稿部分のデータが、余白として記憶されることもない。言い換えれば、直前の原稿において画像として読み取られた画像データに連続して、次原稿の画像データを記憶させることができる。よって、記憶部に記憶される画像データが、異なる原稿から読み取ったものであっても、その記憶される画像データを連続的に(一群のデータとして)取り扱うことができ、画像データを処理する際のデータの操作性を向上させ、その処理速度を向上させることができるという効果がある。
請求項7記載の読取装置によれば、請求項6記載の読取装置の奏する効果に加え、複数枚の原稿は、読取手段による画像データの読取位置へ導入手段によって1枚ずつ導入される。読取位置に導入される原稿が最終の原稿であるかは、最終原稿検出手段にて検出され、最終原稿として検出されなかった原稿の読取動作が所定の指令にて停止された場合に、読取再開手段によって、次原稿に対する読取動作が再開される。よって、読取動作を停止した場合であっても、次原稿がある場合には、読み取りを再開して、読み取るべき複数の原稿の読み取りを確実に実行することができるという効果がある。
また、次原稿の読み取りに際しては、原稿の導入を導入手段によって機械的に行わせることができるので、操作者がいちいち原稿をセットする必要がなく、次原稿をセットする操作者の手間を省略することができるという効果がある。その上、原稿の導入を導入手段によって行うことにより、次原稿のセットに操作者の操作が必要とされる場合に比べて、読取動作停止から読み取り再開までの処理を連続的に実行でき、読取動作停止後に読み取りが再開されるまでに要する時間を短縮することができるという効果がある。
請求項8記載の読取装置によれば、請求項7記載の読取装置の奏する効果に加え、最終原稿検出手段により最終原稿を検出した場合には、その最終原稿に対する読取動作終了後に、装置指定手段にて指定された出力先装置に、記憶部に記憶される画像データが出力される。よって、最終原稿の読取動作が終了したことを契機として出力先装置に画像データが出力されるので、複数枚の原稿に対する読取動作とその読み取った画像データの出力先装置への出力とを的確に実行することができるという効果がある。
更に、記憶部には、範囲規定手段により規定された出力範囲の画像データ(即ち、所定の指令にて読み取りが停止された原稿については、停止前までの部分の画像データ)が記憶されており、また、その画像データの終端に連続して次原稿の画像データが記憶されている。つまり、記憶部には、画像データが、1の連続する画像データとして取扱うことができるように記憶されている。このため、最終原稿の読取動作終了を契機として画像データを、例えば、回線を介して接続されるファクシミリ装置などの通信装置に出力する場合には、複数原稿の画像データを1の画像データとして送信することができ、その送信の制御を平易にすることができるという効果がある。
また、出力先装置が画像データを記録媒体に印刷または書込するものである場合、画像データからは不要な余白部分が削除されているので、記録媒体に、コンパクトにまとめられた画像データを印刷、書込することができ、記録媒体の効率的な利用およびその節約を行うことができるという効果がある。
請求項9記載の読取装置によれば、請求項4または6から8のいずれかに記載の読取装置の奏する効果に加え、読取再開手段にて原稿の読取動作が再開された場合には、表示器において、次原稿の画像データの表示は、その直前(次原稿直前)の原稿の画像データの表示の近傍に現出される。よって、表示器上において、次原稿の画像データとその直前の原稿の画像データ(範囲規定された画像データ)との間に非表示部分(画像データの無い部分)が大きく介在してしまうという事態を回避でき、表示器の表示画面上において、視認性の良好な読みやすい態様で画像データを表示することができるという効果がある。
一般に、読み取った画像データを表示する表示手段は、原稿の大きさに対応させて画像データを表示するように構成されており、画像データの無い部分は余白で表示される。かかる構成をそのまま適用すれば、上記のように読取動作が停止された場合には、単純には、読み取りが行われなかった原稿の残りの部分には表示する画像データが無いので、余白が表示されることとなる。これによれば、次原稿は、その直前の原稿と余白部分を隔てて表示されるので、場合によっては、次原稿の画像データとその直前の原稿の画像データとが大きく隔てられて表示されてしまう。すると、操作者が表示器において読み取った画像データの確認を行う場合に一度に視認できるデータ量が低下し、また、データの連続性の把握が高度になってしまうといった不具合が生じる(視認性不良)。
しかし、次原稿の画像データは、直前の原稿の画像データの表示の近傍に現出されるので、読み取った画像データをその原稿の大きさに対応させて単純に表示するように構成された場合に比べて、同じ画面サイズにおいて操作者が一度に視認できるデータ量を増加させることができる上、操作者によるデータの連続性の把握(認識)を容易とすることができる。
請求項10記載の読取装置によれば、請求項1から9のいずれかに記載の読取装置の奏する効果に加え、変更情報検出手段によって、操作部から入力された変更情報が検出されると、記憶部に記憶される画像データの内、変更情報にて特定される範囲の画像データが、範囲規定手段により規定された出力範囲の画像データに対し付加または削除され、画像データの出力範囲が変更される。
よって、範囲規定手段にて出力範囲が規定された後であっても、変更情報を入力することによって先に規定した出力範囲を変更することができるという効果がある。このため、範囲規定手段による出力範囲の規定後に、規定した出力範囲を見直した操作者が、その出力範囲の変更を所望した場合に、その要求に対応することができる。
特に、本装置は、表示器において刻々と変化する画像データが所望の表示となったタイミングで、操作者が所定の指令を入力することにより、そのタイミングにおいて表示中の画像データに基づいて出力範囲を規定するものであるため、操作者が所定の指令を入力する操作タイミングを誤ると、所望の出力範囲を規定できないという事態が生じる。しかし、変更情報を入力することによって、範囲規定手段にて規定された出力範囲を操作者の要求に応じて変更することができるので、範囲規定手段にて規定された出力範囲が操作者を満足させるものでなかった場合には、その補正を行って、最終的に操作者が所望する範囲を出力範囲とすることができるという効果がある。
また、変更手段による変更が実行された場合には、変更後の出力範囲に対応する画像データが出力手段によって出力されるので、操作者が所望する出力範囲の画像データを、確実に出力先装置に出力することができるという効果がある。尚、変更手段によって出力範囲が変更された場合は、前記記憶部に、範囲規定手段にて規定された出力範囲の画像データに代えて、変更後の出力範囲の画像データを記憶するようにしても良い。
請求項11記載の読取装置によれば、請求項10記載の読取装置の奏する効果に加え、変更手段により、範囲規定手段にて規定された出力範囲から画像データの削除が行われた場合には、表示変更手段によって、その削除部分の表示態様は、他の部分とは異なる態様に変更される。よって、操作者は、削除が実行された後の出力範囲を容易に認識することができるという効果がある。
尚、変更される画像データの態様としては、画像データの色、文字種、背景色などに加え、画像データの塗りつぶしや画像データを非表示とするなどの態様変更が例示される。
請求項12記載の制御プログラムによれば、読取手段にて読み取った原稿の画像データは画像データ記憶ステップにて記憶部に記憶される。その画像データ記憶ステップにより記憶部に記憶される画像データは、表示ステップにて所定順に従って順次、表示器に表示される。そして、操作部を介して入力される所定の停止が、指令検出ステップにより検出されたタイミングで、表示ステップが表示器に表示中の画像データの内容に基づき、出力ステップにて出力する原稿の画像データの出力範囲が、範囲規定ステップによって規定される。よって、原稿の画像データの内、操作者が必要とする範囲を選択して出力することができ、不必要な画像データの無駄な出力を省略することができるという効果がある。
また、操作部から入力された所定の指令が検出されたタイミングにおいて表示器に表示中の画像データに基づき画像データの出力範囲を規定することができ、画像データの出力範囲を単純な操作で規定することができるという効果がある。つまり、読み取った原稿の画像データを動的に表示(順次表示)することにより、操作者は、読取装置の操作子の操作によりタイミングを指定する(所定の指令を入力する)だけで、簡便に、出力範囲を規定することができる。また、本プログラムは、表示器に刻々と表示される(動的に表示される)画像データに対し、操作部を介して入力された所定の指令が検出されたタイミングにおいて表示器に表示中の画像データに基づき画像データの出力範囲を規定するものであるので、静的に表示される画像データに対して出力範囲を規定する場合に必要となる3つのステップ、表示器の表示画面上へのカーソル表示を出力するステップと、操作子の操作に応じてカーソル表示を移動するステップと、操作子の所定操作(移動操作とは別の操作)を認識してカーソル位置を確定するステップとを不要とすることができる。故に、プログラム構成を単純として、効率的且つ簡便に出力範囲を規定できる。その上、操作者には、カーソル移動操作やカーソル位置を確定する確定操作などが要求されないので、操作者に要求される操作子の操作を単純化して、作業性を向上させることができる。
請求項13記載の画像データの読取方法によれば、読取手段にて読み取った原稿の画像データは画像データ記憶ステップにて記憶部に記憶される。その画像データ記憶ステップにより記憶部に記憶される画像データは、表示ステップにて所定順に従って順次、表示器に表示される。そして、操作部を介して入力される所定の指令が、指令検出ステップにより検出されたタイミングで、表示ステップが表示器に表示中の画像データの内容に基づき、出力ステップにて出力する原稿の画像データの出力範囲が、範囲規定ステップによって規定される。よって、原稿の画像データの内、操作者が必要とする範囲を選択して出力することができ、不必要な画像データの無駄な出力を省略することができるという効果がある。
また、操作部から入力された所定の指令が検出されたタイミングにおいて表示器に表示中の画像データに基づき画像データの出力範囲を規定することができ、画像データの出力範囲を単純な操作で規定することができるという効果がある。つまり、読み取った原稿の画像データを動的に表示(順次表示)することにより、操作者は、読取装置の操作子の操作によりタイミングを指定する(所定の指令を入力する)だけで、簡便に、出力範囲を規定することができる。また、本読取方法は、表示器に刻々と表示される(動的に表示される)画像データに対し、操作部を介して入力された所定の指令が検出されたタイミングにおいて表示器に表示中の画像データに基づき画像データの出力範囲を規定するものであるので、静的に表示される画像データに対して出力範囲を規定する場合に必要となる3つのステップ、表示器の表示画面上へのカーソル表示を出力するステップと、操作子の操作に応じてカーソル表示を移動するステップと、操作子の所定操作(移動操作とは別の操作)を認識してカーソル位置を確定するステップとを不要とすることができる。故に、画像データの読取方法を単純にして、効率的且つ簡便に出力範囲を規定できる。その上、操作者には、カーソル移動操作やカーソル位置を確定する確定操作などが要求されないので、操作者に要求される操作子の操作を単純化して、作業性を向上させることができる。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は本発明の実施形態に係る読取装置の一例である複合機1の外観構成を示す斜視図である。図1に示すように、本複合機1は、下部に設けられたプリンタ2と、上部に設けられたスキャナ3と、スキャナ3の正面側に設けられた操作パネル4とを一体的に備えたMFP(Multi Function Peripheral、もしくはMulti Function
Printer)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能を有する。
複合機1は、主に不図示のコンピュータと接続されて、該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録用紙(被記録媒体)に画像や文書を記録するものである。さらに、複合機1は、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録したり、メモリカード等の各種記憶媒体を装填して、該記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することが可能である。なお、言うまでもないが、本複合機1は、記録用紙だけに限らず、OHP用の透明フィルムシートや布などにも画像を記録することが可能である。
更には、本複合機1は、原稿の読み取りを実行し、読み取った原稿の画像データを指定の出力先装置へと出力するように構成されている。そして、かかる原稿の読み取りにおいて、一時停止キー40B1(図2参照)が押下されると、その読み取りを一時停止し、後述するADFの場合であれば、原稿を排出し、後述するFBSの場合であれば、読取デバイスを規定の位置(ホームポジション)に戻す。て読取中の原稿を排出する。複合機1は、この一時停止キー40B3の押下による読取動作の中断によっては、読み取った分の画像データ(即ち、原稿の一部分の画像データ)をクリアせず、保持し、その画像データを動作中のモード(プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能)に応じた出力先の装置へと出力するように構成されている。言い換えれば、複合機1は、原稿の部分的な読み取りと出力とを実行することができ、必要部分の読み取りが完了したタイミング(原稿の全画像を読み取る前)に当該原稿に対する読取動作を終了させることができるようになっている。
スキャナ3は、原稿の画像を読み取るための装置であり、FBS(Flatbed
Scanner)として機能する原稿読取台6に対して、自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document
Feeder、以下「ADF」という。)7を備えた原稿カバー8が、背面側の蝶番を介して開閉自在に取り付けられてなる。原稿カバー8の下方には、平面視で横方向に長く且つ所定高さの直方体に形成されると共に、原稿カバー8によって開閉可能に被覆される原稿読取台6が配設されている。尚、原稿カバー8は、平面視で原稿読取台6と略同じ形状に形成されており、スキャナ3は、原稿読取部6と原稿カバー8とが一体で、略直方体の形状をなしている。
原稿読取台6の上面にはプラテンガラスが配設されており、かかるプラテンガラスは、縦幅より横幅が長い平面視で横長の長方形に形成されて、原稿読取台6の上面に組み込まれている。また、平面視での縦幅はレターサイズ用紙の短辺に合う長さにされ、横幅はA4サイズ用紙の長辺に合う長さにされている。そのため、レターサイズ用紙もA4サイズ用紙も、両方とも画像読取ができるようになっている。
原稿読取台6の内部には、図示しない画像読取ユニットが内蔵されており、該画像読取ユニットの移動スペースや、画像読取ユニット或いはそれを支持する部材および駆動させる機構などを配設するスペースが確保されている。このため、原稿読取台6はプラテンガラスよりも大きく形成されている。
このように構成されたスキャナ3をFBSとして使用する場合は、原稿カバー8を開いてプラテンガラス上、即ち、原稿読取台6の上面に原稿を載置し、その後、原稿カバー8を閉じて当該原稿を固定する。そして、読取開始指令が入力されると、上記画像読取ユニットがプラテンガラスの裏面(上面とは反対側)に沿って走査される。これにより、FBSによる原稿の画像読取りが行われる。
上記画像読取ユニットは、複合機1の奥行き方向を主走査方向とするラインイメージセンサを備えたものであり、光源を発光させて原稿に光を照射し、原稿からの反射光をレンズにより光電変換素子に導き、光電変換素子が反射光強度に応じた電気信号を出力することによって画像を読み取る。ラインイメージセンサとしては、密着型のCIS(Contact Image Sensor)、或いは、縮小光学系のCCD(Charge
Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal-Oxide
Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)などを適用することができる。なお、画像読取ユニットやスキャナ3の内部構成の構成は本発明に直接関係がないので、ここでは詳細な説明は省略する。
ADF7は、原稿トレイ9から原稿排出トレイ10へ原稿搬送路を通じて原稿を搬送するものである。ADF7による原稿の搬送過程において、原稿が原稿読取台6上のプラテンガラス上の所定位置(読取位置)を通過すると、該読取位置の下方に待機する上記画像読取ユニットによって該原稿の画像が読み取られる。つまり、ADF7を用いて行われる原稿画像の読み取りは、FBSとは逆に、画像読取ユニットを定位置(読取位置)にセットしたまま原稿を移動させることによって行われる。このようなADF7による画像読み取りは、原稿カバー8が原稿読取台6に対して閉じられた状態で行われる。なお、本発明においてADF7は任意の構成である。したがって、ADF7の詳細な説明については省略する。
原稿トレイ9は、複数枚の原稿を収納可能に構成されている。また、原稿トレイ9は、セットされた原稿を装置内部に導入するADF7の動作時に、装置内部に原稿を案内するための1対のガイド9aを備えている。1対のガイド9aは、導入方向に対して直交する方向(複合機1の奥行き方向)にスライド可能に形成されており、導入する原稿の幅(短辺の長さ)に応じて両者の間隔は調整される。かかる1対のガイド9aの間には、原稿トレイ9にセットされた原稿によって被覆される原稿検出センサ30が設けられている。
原稿検出センサ30は、原稿の有無を検出するセンサであって、付勢部材によって上方に向かって付勢され原稿トレイ9において上方に突出すると共に上下方向に可動可能に形成された可動片30aと、可動片30aの下方に設けられた電気的接点とを備えている。1枚以上の原稿が原稿トレイ9にセットされると、原稿の重みによって可動片30aは下方側へ押下されて電気的接点がオンとなる(原稿検出センサ30オン)。一方、原稿が取り除かれると付勢部材の付勢力によって可動片30aは上方へ移動され電気的接点がオフとなる(原稿検出センサ30オフ)。故に、原稿検出センサ30のオンとオフとにより、原稿の有無が検出されることとなる。
また、原稿検出センサ30は、現在読取中の原稿(装置内に導入された原稿)の次の原稿(次原稿)を検出するためのものであり、可動片30は、フィードされて装置内に導入された原稿の後端には接触しない位置に設けられている。つまり、原稿トレイ9に原稿がセットされた初期状態においては、可動片30aは原稿によって押下されるので原稿検出センサ30はオンとなる(次原稿有りの検出)。そして、原稿の読取開始指令が入力されると、ADF7に設けられた非図示のピッキングローラ等の駆動系が動作され、原稿トレイ9に堆積された原稿の1枚が装置内の読取位置まで案内される。読取位置にセットされた原稿の後端は、可動片30aには接触しない位置まで移動されるので、次原稿が無ければ、可動片30aは上方へ移動し、原稿検出センサ30はオフとなる(次原稿無しの検出)。
プリンタ2は、スキャナ3で読み取られた画像データ或いは外部から入力された画像データに基づいて、選択的にインク滴を吐出することによって、記録用紙上に画像を記録する所謂インクジェット方式の画像記録装置(インクジェット記録装置)である。このプリンタ2は、上述したように、スキャナ3の下方に配設されている。スキャナ3とプリンタ2は、それらの背面が同一面となるように位置決めされているため、複合機1の背面は凸凹のない平坦形状となっている。なお、言うまでもないが、上記インクジェット方式はプリンタ2による画像記録方式の単なる一例であり、電子写真方式や熱転写方式などの種々の画像記録方式を採用することができるのはもちろんである。
複合機1の正面側、換言すれば、プリンタ2の正面側には開口5が形成されている。この開口5内に給紙トレイ14及び排紙トレイ15が設けられている。給紙トレイ14と排紙トレイ15は上下二段となるように配設されており、上段に排紙トレイ15が設けられ、その下方に給紙トレイ14が設けられている。給紙トレイ14は、長方形の記録用紙を平面視で縦向きに収容するものである。給紙トレイ14は、レターサイズ用紙とA4サイズ用紙の両方が使用できるように、横幅はレターサイズ用紙の短辺に合わせてあり、縦幅はA4サイズ用紙の長辺に合わせてある。
上述したように原稿読取台6は、横長の直方体に形成されており、スキャナ3の正面側は、原稿読取台6の正面側の端面と原稿カバー8の正面側の端面とにより面一に形成された端面18を備えている。プリンタ2の正面側の端面17は、スキャナ3の正面側の端面18から所定幅だけ正面側に突出しており、複合機1の外形は平面視で略正方形に形成されている。以下、このように正面側に突出したプリンタ2の正面側の端部を突出部16と称する。
上述したように、原稿読取台6はレターサイズの原稿を横向きに載置可能なサイズに形成され、給紙トレイ14は記録用紙を縦向きに載置可能なサイズに形成されているため、上記突出部16の突出幅は、A4サイズの長辺からレターサイズの短辺を差し引いた幅に概ね設定される。従って、突出部16の上方には、プリンタ2の横幅がスキャナ3の横幅に合わせて形成されていることもあって、横長の直方体の空きスペースが生まれる。なお、後段で詳述するが、本複合機1の操作パネル4は当該空きスペースに配設される。
プリンタ2には、給紙トレイ14の奥側から上方へ延びた後に正面側へU字状に湾曲して排紙トレイ15に連結される用紙搬送路が設けられている。給紙トレイ14に収容された記録紙は、その短辺を先頭にして用紙搬送路に送り出され、Uターン搬送されることによって用紙搬送路中に設けられた画像記録位置に案内される。そして、該画像記録位置で、上記インクジェット記録装置によって画像が記録用紙に記録される。画像記録後の記録用紙は排紙トレイ15に排出される。
複合機1の正面側には、操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、突出部16の上方の空きスペースに適合するよう、図1および図2に示す如く横長形状に形成されている。換言すれば、操作パネル4は、その縦幅が、スキャナ3の縦幅からプリンタ2の縦幅を減じた長さ(空きスペースの縦幅)に収まる寸法に形成されている。操作パネル4は、プリンタ2やスキャナ3を操作するためのものであり、各種操作キー40と液晶表示部(LCD:Liquid Crystal Display)41とを具備する。
使用者は、操作パネル4を用いて、所望の指令を入力することができる。複合機1に所定の指令が入力されると、その入力された情報に基づいて該複合機1の動作が制御部20(図3参照)によって制御される。操作パネル4の具体的な構成については後段で詳述する。なお、複合機1は、操作パネル4から入力された指令のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからプリンタドライバやスキャナドライバ等を介して送信される指令に基づいて動作するようにシステム構成されている。
プリンタ2の上記開口5の上側には、接続パネル70が設けられている。この接続パネル70には、その左端側にUSB端子71が配設されている。USB端子71は、外部機器とUSB接続することにより該外部機器と本複合機1とを通信可能に接続するコネクタ端子である。また、接続パネル70の右端側にはスロット部72が配設されている。スロット部72はカード型メモリを装填可能な複数のカードスロットが設けられている。カードスロットにカード型メモリが装填され、該装填されたカード側メモリから画像データが後述の制御部20により読み出されると、その読み出された画像データや該画像データに関する情報が制御部20によってLCD41に表示される。或いは、選択された任意の画像がプリンタ2において記録用紙に記録される。
次に、複合機1の操作パネル4について詳細に説明する。
図2は、操作パネル4の構成を示す部分平面図である。図2に示すように、操作パネル4は、プリンタ2の突出部16の上方であって、スキャナ3の正面側に設けられている。この操作パネル4は、各種操作キー40とLCD41とを具備する。同図に示すように、LCD41は、平面視が横長矩形であり、その縦幅(縦寸法)が操作パネル4の奥行き寸法より若干小さいものの、該操作パネル4の奥行き寸法と略同寸法に形成されている。したがって、LCD41の奥側及び手前側には、操作パネル4に操作キー40を配置するためのスペースがない。換言すれば、LCD41は、操作パネル4に配置可能な最大の縦幅に大型化されている。このLCD41は、複合機1を使用状態に設置した場合において、操作者が容易に視認可能な位置に設けられるものであり、本実施形態では、複合機1の上面に配設されている。尚、LCD41は、必ずしも複合機の上面に設けられる必要はなく、操作者が操作パネル4を操作する際に視認可能な位置であれば、例えば、複合機1の正面側であっても良い。また、必ずしも操作パネル4に一体で設けられる必要はなく、着脱可能に構成されても良い。
LCD41は、図2に示すように、操作パネル4の幅方向の中央に配置されている。LCD41の幅寸法は、操作パネル4の幅寸法に比べると十分に小さい。したがって、LCD41の側方には、操作パネル4に操作キー40を配置するためのスペースが確保されている。LCD41を操作パネル4の中央に配置することにより、LCD41の左右両側に操作キー40を配置することができる。これにより、操作キー40の配置に対するLCD41の位置のバランスがよくなる。複合機1は、スキャナ3にて読み取った原稿の画像データを、このLCD41に出力し、操作者が読取状態を確認することができるように構成されている。
操作キー40は、LCD41の周囲に設けられた操作キー40A、操作パネル4の右端側に設けられた操作キー40B、操作パネル4の左端側に設けられた操作キー40Cの3つに大別される。操作キー40Aは、LCD41の周囲であって、左右の両側方にLCD41の側縁に沿って各々一列に配置されている。このように、LCD41の左右両側に操作キー40Aを配置することにより、LCD41の側方のスペースを有効利用できる。
LCD41の右方に設けられた操作キー40Aは、動作モード選択キー40A1〜40A3を備えている。動作モード選択キー40A1〜40A3は、複合機1の動作モードを指定するキーであり、FAX動作モード選択キー40A1、コピー動作モード選択キー40A2、スキャナ動作モード選択キー40A3で構成されている。複合機1は、通常状態では、ファクシミリデータを受信するファクシミリとして動作させるべく、ファクシミリモード(受信モード)が設定されている。動作モード選択キー40A1〜40A3による入力操作が実行されると、ファクシミリモード(受信モード)から、操作された動作モード選択キー40A1〜40A3に対応する動作モードに一時的に変更され、変更された動作モード(操作者に指定された動作モード)での各処理が実行される。
具体的には、FAX動作モード選択キー40A1は、ファクシミリモード(送信モード)での動作を要求するキーであり、このFAX動作モード選択キー40A1が押下されると、複合機1において、スキャナ3による原稿の読み取りと読み取った画像データの相手先ファクシミリへの送信とが実行可能となる。コピー動作モード選択キー40A2は、コピーモードでの動作を要求するキーであり、このコピー動作モード選択キー40A2が押下されると、複合機1において、スキャナ3による原稿の読み取りと読み取った画像データのプリンタ2への出力とが実行可能となる。スキャナ動作モード選択キー40A3は、スキャナモードでの動作を要求するキーであり、このスキャナ動作モード選択キー40A3が押下されると、複合機1において、スキャナ3による原稿の読み取りと読み取った画像データのPCへの出力とが実行可能となる。
つまり、かかる動作モード選択キー40A1〜40A3は、スキャナ3による読取動作を含む機能、即ち、ファクシミリ機能(画像データ送信)、コピー機能、スキャナ機能において、いずれを実行するかを指定するキーとなっている。
操作キー40Bは、一時停止キー40B1、確定キー40B2、戻しキー40B3,40B4を備えている。一時停止キー40B1は、上記したように、読取動作を一時停止するための停止指令(所定の指令)を入力するキーである。操作者にて、一時停止キー40B1が押下されると、原稿下端まで読み取りが完了していなくとも、そのタイミングで読取動作は終了され、原稿は、原稿排出トレイ10へ排出される。上記したように、一時停止キー40B1の押下による読取動作の中断によっては、読み取られた分の画像データ(即ち、原稿画像の一部分の画像データ)はクリアされることなく保持され、出力先装置へと出力される。即ち、一時停止キー40B1の押下によって、原稿の先端(読取開始端)から、停止指令(所定の指令)が入力されたタイミングまでに読み取られた画像データが、出力範囲として規定されることとなる。スキャナ3により読み取られた画像データは、その読取動作に応じて順次LCD41に表示されるので、操作者は、LCD41を視認しつつ一時停止キー40B1を操作することにより、読取対象の1の原稿において、所望の出力範囲を規定する(所望部分のみを読み取らせて出力する)ことができる。
戻しキー40B3,40B4は、出力範囲を変更するための操作キーである。一時停止キー40B1の入力操作により規定された出力範囲は、確定キー40B2が押下される前においては、この戻しキー40B3,40B4の操作によって、読み取った画像データの範囲内で変更することができる。
複合機1では、スキャナ3による原稿の読み取りは連続的に行われるため、操作者が一時停止キー40B1を操作したことにより指定される出力範囲は刻々と変化する。このため、操作者が操作タイミングを誤ると、操作者にとって不本意な位置でスキャナ3の読取動作が停止してしまい、操作者所望の出力範囲を規定することができないという事態が発生しかねない。そこで、複合機1には、一時停止キー40B1の入力操作に伴って規定された出力範囲を変更することができるように、戻しキー40B3,40B4が設けられている。
戻しキー40B3は、出力範囲を縮小するための操作キーである。複合機1では、主走査方向にラインイメージセンサにて読み取られた1ラインのデータを1単位とし、ライン単位で出力範囲の変更が実行し得るようになっており、戻しキー40B3が1回押下されると、その終端位置が現在位置から1ライン分、原稿先端(読み取りの開始端)側へ移動される。
戻しキー40B4は、出力範囲を拡張するための操作キーである。戻しキー40B4が1回押下されると、その終端位置が現在位置から1ライン分、原稿下端側へ移動される。このため、操作者は、縮小した出力範囲を再び拡張したい場合には、この戻しキー40B4を操作することにより所望の位置まで、出力範囲を復元することができる。
かかる戻しキー40B3,40B4が操作されると、画像データの出力範囲が変更されることとなり、LCD41の画像データの表示は、変更された出力範囲に応じて更新される。従って、操作者は、LCD41を視認しつつ戻しキー40B3,40B4を操作することにより、画像データの出力範囲を所望の範囲に的確に修正することができる
尚、読み取られた画像データを超えて出力範囲を拡張することはできないので、最大に拡張されたとしても、一時停止キー40B1の入力操作にて規定された出力範囲までとなる。
以下、図3のブロック図を参照しながら、上記複合機1の動作を制御する制御部20の概略構成について説明する。図3は、複合機1の電気的構成を示すブロック図である。制御部20は、プリンタ2、スキャナ3及び操作パネル4を含む複合機1の動作を統括的に制御するものである。制御部20は、図に示すように、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)21、そのCPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶した書き換え不能な不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)22、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM(Random Access Memory)23、書き換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)24を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、これらCPU21、ROM22、RAM23、EEPROM24は、バス25を介して相互に接続されている。またバス25は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)26に接続されている。図4及び図5に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラム22aの一部として、ROM33内に記憶されている。
CPU21は、ROM22に記憶される制御プログラム22aに基づいて、複合機1の各部を制御し、複合機1におけるFAX動作、コピー動作、スキャナ動作を実行する。
RAM23は、画像メモリ23a、表示用メモリ23b、ポインタメモリ23c、動作モードフラグ23dを備えている。画像メモリ23aは、スキャナ3にて読み取った原稿の画像データを記憶するメモリである。スキャナ3からは、1ライン毎にラインイメージセンサにて原稿が読み取られる毎に、逐次、読み取られた画像データ(ラインデータ)が出力され、その出力順に従って、この画像メモリ23aに画像データが記憶される。この画像メモリ23aに記憶される画像データは、指定された出力先装置に出力されることを契機として消去される。換言すれば、出力先装置に出力されるまで、読み取られた画像データは、この画像メモリ23aに保持される。
表示用メモリ23bは、LCD41に表示する画像データを記憶するメモリである。画像メモリ23aに記憶された画像データは、この表示用メモリ23bに書き込まれた後、この表示用メモリ23bからLCDコントローラ28に出力される。スキャナ3からは、読み取られた画像データが逐次、画像メモリ23aに書き込まれるので、この表示用メモリ23bにも随時新たな画像データが書き加えられる。LCD41には、この表示用メモリ23bに記憶される画像データが出力されるので、スキャナ3による読み取りが進行するに伴って、LCD41に表示される画像データは更新される。このため、LCD41には、読み取られた画像データが順次表示される。
また、上記したように、出力範囲が規定された後にLCD41に表示される画像データは、戻しキー40B3,40B4の操作に応じて変更される。即ち、出力範囲が縮小された場合には、表示用メモリ23bからその縮小されたデータ領域が削除される。縮小された出力範囲に対して拡張が行われた場合には、画像メモリ23aから対応する領域の画像データが読み出されて、表示用メモリ23bに書き加えられる。
ポインタメモリ23cは、画像メモリ23aに記憶される画像データの内、LCD41に表示される終端の画像データに対応するデータを示すためのメモリであり、対応する画像データの画像メモリ23aにおけるアドレスが記憶されている。このポインタメモリ23cには、1ライン分の画像データが画像メモリ23aに記憶される毎に、その画像データの記憶された最後のアドレスが、このポインタメモリ23cに書き込まれる。
このため、画像データの出力範囲が一時停止キー40B1の操作によって規定されると、このポインタメモリ23cには、出力範囲終端の画像データを記憶する画像メモリ23aのアドレスが記憶される。ここで、出力範囲の変更は、1ラインデータ毎に行われるので、1回の変更によって表示用メモリ23bから削除又は復元されるデータ領域は、1ライン単位、即ち、所定数のビットマップデータ単位である。いいかえれば、所定数のビットマップデータを記憶するアドレス単位n(所定数n)で、画像データの終端が移動する。このため、戻しキー40B3,40B4が操作されるとその操作に応じて、CPU21により、この所定数nがポインタメモリ23cに記憶されるアドレスに加減算されるようになっている。故に、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスによって、画像メモリ23aのどの位置に記憶される画像データまでがLCD41に表示されているかが(表示用メモリ23bに記憶されているか)示される。その結果、出力範囲の変更に伴って表示用メモリ23bから画像データが削除された場合に、その削減された領域を認識することができ、削減された領域を画像メモリ23aから読み出して出力範囲として復元することができる。
動作モードフラグ23dは、複合機1の動作モードを示すフラグである。言い換えれば、スキャナ3により読み取った画像データを出力する出力先装置を示すためのものであり、出力先装置に対応してFAXフラグ23d1、プリンタフラグ23d2、PCフラグ23d3の3つのフラグを備えている。
複合機1は、複数の機能、即ち、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能を有するものである。スキャナ3により画像データを読み取る処理は、ファクシミリ機能(画像データ送信時)、コピー機能、スキャナ機能に共通の動作であるため、いずれの機能を実行すべきかが示されていなければ、画像データの読み取り後、各機能に応じた処理を実行することができなくなってしまう。
このため、スキャナ3による画像データの読み取りが実行された場合に複合機1において実行する機能が、ファクシミリ機能(画像データの送信)、コピー機能、スキャナ機能のいずれであるかを示すべく、FAXフラグ23d1、プリンタフラグ23d2、PCフラグ23d3が動作モードフラグ23dとして、複合機1には設けられている。
各フラグ23d1〜23d3は、操作者の所定の入力操作に応じて、オンおよびオフされる。具体的には、操作パネル4から、FAX動作モード選択キー40A1が入力されると、操作者が本複合機1をファクシミリとして画像データを送信することを所望していると判断し、FAXフラグ23d1がオンされる一方、プリンタフラグ23d2とPCフラグ23d3とがオフされる。このFAXフラグ23d1のオンにより、複合機1に設定された動作モードがファクシミリモードであって、出力先装置がファクシミリであることが示される。
同様に、操作パネル4から、コピー動作モード選択キー40A2が入力されると、プリンタフラグ23d2がオンされる一方、FAXフラグ23d1とPCフラグ23d3とがオフされる。このプリンタフラグ23d2のオンにより、複合機1に設定された動作モードがコピーモードであり、出力先装置がプリンタ2であることが示される。また、操作パネル4から、スキャナ動作モード選択キー40A3が入力されると、PCフラグ23d3がオンされる一方、FAXフラグ23d1とプリンタフラグ23d2とがオフされる。このPCフラグ23d3のオンにより、複合機1に設定された動作モードがスキャナモードであり、出力先装置がPCであることが示される。
この動作モードフラグ23dは、後述する読取処理(図4参照)において、CPU21によって参照され、動作モードフラグ23dが示す動作モードに応じた機能が実現される。
尚、通常は、複合機1の動作モードは、ファクシミリ受信を実行するためのファクシミリモードとなっている。また、ファクシミリモード(画像データの受信モード)に設定されている状態において、パラレルI/F29やUSB端子71、スロット72からの画像データの受信や入力があった場合には、複合機1の動作モードは、一時的に、プリンタとして本複合機1を動作させるプリンタモードとなる。
ASIC26は、CPU21からの指令に従い、プリンタ2、スキャナ3、操作パネル4、及びスロット72の動作制御を行う。また、スキャナ3による読取動作の実行時においては、原稿検出センサ30からの検出値に応じて、駆動系のオンとオフとを実行する。プリンタ2、スキャナ3及びスロット72は、詳細な説明は省略するが、制御部20により、プリンタ2を駆動するモータやインクジェット記録ヘッド、スキャナ3のADF7を駆動するモータや画像読取ユニット等の動作が制御される。
また、ASIC26には、コンピュータとパラレルケーブル又はUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース29及びUSB端子71が接続されている。さらに、ASIC26には、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)31やモデム32が接続されている。モデム32は、画情報及び通信データを変調及び復調して伝送すると共に伝送制御用の各種手順信号を送受信するためのものであり、送信データを一時的に記憶する送信バッファ32aを備えている。ファクシミリ送信される画像データは、画像メモリ23aから1ライン分ずつこの送信バッファ32aに書き込まれ、この送信バッファ32aに一端記憶されてから、回線を介して接続される相手側ファクシミリ(出力先装置)へ送信される。
更に、ASIC26には、複合機1に所望の指令を入力する操作キー40を制御するパネルゲートアレイ27が接続されている。パネルゲートアレイ27は、操作キー40の押下を検出して、所定のコード信号を出力する。このキーコードは、複数の操作キー40に対応して割り当てられている。CPU21は、パネルゲートアレイ27から所定のキーコードを受信すると、所定のキー処理テーブルに従って、実行すべき制御処理を行う。キー処理テーブルは、キーコードと制御処理とを対応させてテーブル化したものであり、例えば、ROM22に記憶されている。
また、ASIC26には、LCD41の画面表示を制御するLCDコントローラ28が接続されている。LCDコントローラ28は、CPU21の指令に基づいて、LCD41にプリンタ2又はスキャナ3の動作に関する情報や、スキャナ3による読取画像或いは入力画像を画面に表示させる。LCD41に表示する画像データは、CPU21によってLCDコントローラ28に出力される。LCDコントローラ28は、内蔵するメモリに受信した画像データを記憶すると共に、一定周期で該内蔵メモリを走査して、当該内蔵メモリに記憶される画像データ(ビットマップデータ)に基づいて、LCD41に出力する各画素のRGB信号を生成している。従って、新たな画像データを受信する毎に内蔵メモリの内容が更新され、その更新された内容がLCD41の表示に反映される。つまり、既に表示された画像データ部分の表示は変わらないので、スキャナ3による画像の読み取りが進行するにつれて、新たな画像データがLCD41に現出され、読み取られた画像データがその読み取りに連動して順次表示されることとなる。尚、請求項に記載の「記憶部に記憶される画像データを、所定順に従って順次、前記表示器に表示させる」とは、画像メモリ23aから表示用メモリ23bに書き込まれた画像データを、このLCDコントローラ28の内蔵メモリへ書き込む書込動作と、かかる内蔵メモリからのLCD41への出力動作とを含む一連の動作によって、LCD41に読取順に従った画像データの表示を行うことが該当する。また、請求項記載の記憶部の一部として、該内蔵メモリが該当する。
LCD41は、RGB3原色それぞれに対応した、図示しないマトリクススイッチを備えている。このマトリクススイッチに電荷が加えられることによりマトリクススイッチの直下の液晶分子が光を透過する方向に揃うため、RGBのいずれかの色がLCD41に表示されることとなる。このマトリクススイッチ一つ一つが、RGBそれぞれの1ドット(1サブドット)に対応する。LCDコントローラ28で生成されるRGB信号は、RGB3原色にそれぞれ対応している。かかる生成されたRGB信号に応じてマトリクススイッチには電圧が印加され、LCD41にはCPU21が作成した情報(スキャナ3にて読み取った画像データを含む)に基づいた表示画面が表示されることになる。
ここで、スキャナ3による原稿の読み取りが開始されると、読み取られた画像データがLCD41に表示されるが、スキャナ3による原稿の読み取りに同期してLCD41に画像データが表示されるように、CPU21により、表示用メモリ23bからLCDコントローラ28に、画像データが出力される。具体的には、スキャナ3による読み取り中は、1ライン分の画像データが表示用メモリ23bに蓄積される毎に、表示用メモリ23bの画像データがLCDコントローラ28に出力される。LCDコントローラ28においては、表示用メモリ23bから新たな画像データを受信する毎に、内蔵メモリの内容が更新されることとなり、読み取られた画像データが順次(所定の単位量ずつ、本実施形態では1ライン分ずつ)LCD41に表示される。
次に、図4及び図5のフローチャートと、図6のメモリ動作の概要図とを参照して、上記のように構成された複合機1で実行される各処理を説明する。
図4は、複合機1で実行される読取処理を示したフローチャートである。この読取処理は、スキャナ3による原稿の読み取りと、その読み取った画像データの出力先装置への出力とを実行する処理であり、まず、動作モード選択キー40A1〜40A3からの入力があったかを確認する(S1)。ここで動作モード選択キー40A1〜40A3からの入力がなければ(S1:No)、ファクシミリ送信、コピー、スキャナのいずれの機能の使用も要求されていないので、この読取処理を終了する。ここで動作モード選択キー40A1〜40A3からの入力があれば(S1:Yes)、ファクシミリ送信、コピー、スキャナのいずれかの実行要求であるので、入力された動作モード選択キー40A1〜40A3に応じて動作モードフラグの状態を更新する(S2)。
具体的には、入力されたキーがファクシミリ動作モード選択キー40A1であれば、FAXフラグ23d1をオンしてスキャナ3にて読み取られた画像データの出力先装置が相手先のファクシミリであることを示すと共に、ファクシミリモードを設定する。入力されたキーがコピー動作モード選択キー40A2であれば、プリンタフラグ23d2をオンしてスキャナ3にて読み取られた画像データの出力先装置がプリンタ2であることを示すと共に、コピーモードを設定する。入力されたキーがスキャナ動作モード選択キー40A3であれば、PCフラグ23d3をオンしてスキャナ3にて読み取られた画像データの出力先装置がPCであることを示すと共に、スキャナモードを設定する。尚、入力された動作モードキーに対応する動作フラグ以外の他の2の動作フラグは、このS2の処理においてオフされる。
その後、オンされた動作モードフラグ23dが何であるかを確認し(S3)、オンされた動作モードフラグ23dが、FAXフラグ23d1であれば(S3:FAXフラグ)、ファクシミリ動作(ファクシミリ送信動作)を実行するために必要な各種のパラメータの設定を行うFAXパラメータ設定処理を行う(S4)。尚、このFAXパラメータ設定処理にて設定されるパラメータとしては、相手先ファクシミリの電話番号や解像度などが例示される。
次に、読み取られる画像データに対して、LCD41の表示画面上から出力範囲を規定する表示編集処理を実行してから(S5)、オンされている動作モードフラグ23dを調べ(S6)、オンされている動作モードフラグ23dがFAXモードフラグ23d1であれば(S6:FAXモードフラグ)、ファクシミリ通信(画像データの送信)を行うために回線を閉結する回線閉結処理を実行してから(S7)、画像メモリ23aに記憶される画像データの内、1ライン分の画像データをモデム32に出力する(S8)。出力された画像データはモデム32内に設けられた送信バッファ32aに書き込まれる。
その後、送信バッファ32aに書き込まれた画像データを、回線を介して相手先ファクシミリに送信(FAX送信)する(S9)。続いて、出力した画像データをモデム32および画像メモリ23aから消去してから(S10)、画像メモリ23aに記憶される画像データがあるかを確認し(S11)、記憶される画像データがなければ(S11:No)、この読取処理を終了する。一方、S11の処理で確認した結果、画像データが記憶されていれば(S11:Yes)、その処理をS8の処理に移行して、画像メモリ23aに記憶される画像データがなくなるまでS8〜S11の処理を繰り返す。
また、S3の処理で確認した結果、オンされた動作モードフラグ23dがプリンタフラグ23d2であれば(S3:プリンタフラグ)、要求された動作はコピーであるので、コピーを行うための各種パラメータを設定するコピーパラメータ設定処理を実行して(S12)、その処理を表示編集処理(S5)に移行する。更に、S3の処理で確認した結果、オンされた動作モードフラグ23dがPCフラグ23d3であれば(S3:PCフラグ)、要求された動作は読み取った画像データをPCに出力するスキャナ動作であるので、かかるスキャナ動作を行うための各種パラメータを設定するPCスキャナ設定処理を実行して(S13)、その処理を表示編集処理(S5)に移行する。
また、S6の処理で確認した結果、オンされた動作モードフラグ23dがプリンタフラグ23d2であれば(S3:プリンタフラグ)、読み取った画像データをプリンタ2に出力して印刷を行うコピー処理を実行して(S14)、この読取処理を終了する。一方、S6の処理で確認した結果、オンされた動作モードフラグ23dがPCフラグ23d3であれば(S3:PCフラグ)、読み取った画像データを、パラレルインタフェース29またはUSB端子71を介して接続されるPCに出力するPC送信処理を実行して(S15)、この読取処理を終了する。
図5は、図4の読取処理の中で実行される表示編集処理(S5)のフローチャートである。表示編集処理(S5)は、原稿から画像データを読み取ると共に、その読み取った画像データの出力範囲をLCD41の表示画面上から決定する処理であり、まず、スキャナ3を駆動して原稿画像を1ライン分読み取る(S21)。そして、読み取った画像データを画像メモリ23aに書き込んでから(S22)、図6(a)に示すように、画像メモリ23aに記憶された画像データの最終(最後)のアドレスを、ポインタメモリ23cに記憶する(S23)。図6においては、左方に画像メモリ23a、右方に表示用メモリ23c、画像メモリ23aと表示用メモリ23bとの中間にポインタメモリ23cを模式的に表示している。
次いで、画像メモリ23aに新たに記憶した画像データを、図6(a)に示すように、表示用メモリ23bに書き込み(S24)、表示用メモリ23bに記憶される画像データをLCD41に表示する(表示用メモリ23bの画像データをLCDコントローラ28に出力する)(S25)。これにより、スキャナ3による1ライン分の画像データの読み取りと、その読み取った画像データのLCD41への表示とは、連動して実行され、且つ、画像データの読み取り後、直ちに、LCD41への表示が行われることから、読み取りと表示とが同期して実行されることとなる。尚、表示用メモリ23bからLCDコントローラ28への画像データの出力は、必ずしも1ライン毎に限られるものではなく、予め定めた単位量、例えば、複数のラインの画像データ毎に行っても良い。
その後、一時停止キー40B1が押下されたかを確認し(S26)、ここで、一時停止キー40B1が押下されていなければ(S26:No)、読み取りの一時停止は要求されていないので、スキャナ3による原稿の読み取りが原稿の下端に達したか否かを確認する(S27)。原稿下端に達していれば(S27:Yes)、1の原稿に対する読み取りは完了であるので、次原稿があるかを原稿検出センサ30の検出値に基づいて判断する(S28)。その結果、次原稿なしと判断されると(S28:No)、全ての原稿の読み取りが完了しているので、この表示編集処理(S5)を終了する。表示編集処理(S5)の終了後は、読取処理において出力先装置へ画像データが出力される。つまり、読み取り原稿が最終原稿である(次原稿なし)と判断されると、画像データを出力先装置へ出力する処理が実行される。このため、操作者は、出力実行を指令するための操作をわざわざ行う必要がない。しかも、かかる次原稿有無の判断を行うステップ(S28)は、出力範囲を規定するステップおよび変更するステップの後に設けられているので、操作者所望の出力範囲が確定した後において画像データは出力されることとなり、的確なタイミングで画像データは出力される。
一方、S27の処理で確認した結果、スキャナ3による読み取りが原稿下端に達していなければ(S27:No)、その処理をS21の処理に移行し、一時停止キー40B1の押下による停止指令の入力または原稿下端に読み取りが到達するまでS21〜S27の処理を繰り返し、原稿の読み取りを実行する。また、S28の処理において、次原稿有りと判断されると(S28:Yes)、全ての原稿に対する読み取りは未完了であるので、次原稿に対する読み取りを実行するために、その処理をS21の処理に移行する。
更に、S26の処理で確認した結果、一時停止キー40B1が入力されていれば(S26:Yes)、1の原稿の読み取り途中で読み取りを停止する停止指令の入力であるので、スキャナ3を停止し(S31)、読み取り中であった原稿を原稿排出トレイ10へ排出する(S32)。このように、一時停止キー40B1のキー入力を契機として、S31,S32の処理を実行することにより、一時停止キー40B1の入力されたタイミングで読み取られた位置までが、原稿の読取範囲、即ち、出力先装置に出力可能な出力範囲となる。換言すれば、一時停止キー40B1の入力によって、原稿の内の、出力する画像データの範囲を規定することとなる(出力範囲の規定)。
一般的な読取装置では、読取中の1の原稿に対する読取動作が、原稿の終端に到達する前に停止されると、読み取りの取り消しとして認識され、読み取った画像データは破棄される。このため、読取動作が停止された場合には、停止前までに読み取った画像データを出力することは不能であった。しかし、本実施形態の装置では、読み取りが停止された場合であっても、画像データは保持されており、その停止を契機として画像データが破棄されることはない。このため、原稿の部分的な画像データの出力を実行することができる。
これによれば、原稿の画像データの内、必要な範囲が選択されて出力先装置に出力されるので、必要性の高いデータが否であるデータと混在した状態で出力されることを回避できる上、印刷を行う場合において、記録用紙等を節約することができる。
図6(b)には、2頁目の原稿の読み取り中に一時停止キー40B1が押下された状態を例示しており、画像メモリ23aには2頁目の原稿の全画像データは記憶されておらず、原稿途中までの画像データが記憶された状態となっていることが示されている。尚、説明を簡単にするために、1ライン分の画像データは、100のアドレス領域に記憶されることとし、1の原稿の全画像データは2000のアドレス領域に記憶されるものとする。従って、原稿の全画像データが読み取られた場合には、1頁目の原稿の画像データは、画像メモリ23aの0番地から1999番地に、2頁目の原稿の画像データは、2000番地から3999番地に記憶される。尚、図6(b)では、一時停止キー40B1の押下によって原稿の読み取りは途中までとなっているので、2頁目の原稿の画像データは、2000番地から3499番地までに記憶されている。また、画像メモリ23aに記憶された画像データは、直ちに、表示用メモリ23bに転送されるので、画像メモリ23aと同様に表示用メモリ23bにおいても0番地から3499番地まで画像データが記憶されている。
S32の処理の後は、戻しキー40B3,40B4が操作されたかを確認し(S33)、戻しキー40B3,40B4の入力があれば(S33:Yes)、一時停止キー40Bのキー入力によって規定された出力範囲に対する変更要求である。このため、そのキー入力による出力範囲の変更方向が、戻しキー40B3操作による出力範囲を縮小させる戻し方向であるか、戻しキー40B4操作による出力範囲を拡張させる復帰方向であるかを確認する(S34)。その結果、変更方向が戻し方向であると(S34:戻し方向)、表示用メモリ23bにおいて画像データの記憶されている最終アドレスから先頭方向へ1ライン分の画像データを消去する(S35)。図6の例においては、図6(c)に、戻しキー40B3の操作により、3ライン分、出力範囲が縮小された場合が示されている。この図6(c)では、戻しキー40B3が3回操作されて表示用メモリ23bから3ライン分に相当する画像データが消去されており、画像データが記憶される領域は、0番地から3199番地までとなっている。
そして、次に、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスから所定数n(1ライン分の画像データを記憶するアドレス単位n)を減算してポインタメモリ23cの値を更新する(S36)(図6(c)参照))。
一方、S34の処理で確認した結果、変更方向が復帰方向であると(S34:復帰方向)、ポインタメモリ23cに記憶されているアドレスに所定数nを加算する(S41)。戻しキー40B4のキー入力は、現在の出力範囲から1ライン分画像データが付加された出力範囲への変更要求である。図6(d)の場合では、表示用メモリ23bに記憶される画像データの最終アドレスが3199番地である状態、即ち、ポインタメモリ23cに3199番地が記憶されている状態において、戻しキー40B4が1回押下され、3299番地までの画像データを出力範囲に設定することが要求されている。故に、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスに所定数nとして100が加算され、そのアドレスが3299番地に更新されている。
続いて、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスに基づいて、1ライン分の画像データを画像メモリ23aから読み出し(S42)、読み出した1ライン分の画像データを、表示用メモリ23bにおける空きアドレスの最小番地から記憶する(S43)。これにより、例えば、図6(d)に示すように、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレスが3299番地であれば、3299番地から100番地先頭側まで、即ち、3200番地から3299番地の画像データが画像メモリ23aから読み出され、表示用メモリ23bの3200番地から3299番地に書き込まれる。つまり、一度、縮小した出力範囲を再度拡張(復帰)させることができる。尚、画像メモリ23aに記憶される以上の出力範囲が要求された場合、例えば図6において、表示用メモリ23bの3499番地まで画像データが記憶されているにもかかわらず戻しキー40B4が押下された場合には、画像メモリ23aから出力し得る画像データがないので、S42の処理においては画像データは読み出されず、S43の処理においても、新たに画像データを表示用メモリ23bに記憶することなく、その処理はS37に移行する。
本表示編集処理(S5)では、一時停止キー40B1が入力されることにより、原稿の全画像データが表示される(読み取られる)前に出力範囲を規定し、その後の操作によって出力範囲を確定することができる。このため、全画像データが表示されてから出力範囲を規定(確定)する場合に比べて、出力範囲を確定する操作を短時間で行うことができ、効率が良い。
S36またはS43の処理の後は、その処理をS37の処理に移行し、表示用メモリ23bに記憶される画像データをLCDコントローラ28に出力して、LCD41の表示を更新する(S37)。これにより、更新された表示用メモリ23bの内容に応じて、LCD41の表示が更新されることとなり、出力範囲が変更されたことを操作者に視認させることができる。
その後、確定キー40B2が押下されたかを確認し(S38)、押下されていると(S38:Yes)、画像メモリ23aにおいて、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレス以降に記憶されている画像データを消去する(S39)。確定キー40B2がキー入力された場合には、出力範囲が確定されたこととなるので、画像メモリ23aにおいて、ポインタメモリ23cに記憶されるアドレス以降に記憶される画像データ(現在においてLCD41に非表示の画像データ)は不要のデータ(出力範囲外)となる。例えば、図6(e)において示すように、0番地から3299番地までの画像データを出力範囲とする場合、3300番地から3499番地に記憶される画像データは不要となるので、画像メモリ23aから消去される。
尚、戻しキー40B3,40B4が操作されることなく、確定キー40B2が入力された場合には、一時停止キー40B1にて規定された出力範囲が、そのまま確定された出力範囲となる。言い換えれば、一時停止キー40B1にて規定された出力範囲で、画像データは出力先装置に出力される。
そして、S39の処理の後はS28の処理に移行し、次原稿の有無に応じてこの表示編集処理(S5)を終了する。一方、S33の処理で確認した結果、戻しキー40B3,40B4の入力がなければ(S33:No)、その処理をS38の処理に移行する。また、S38の処理で確認した結果、確定キー40B2が押下(入力)されていなければ(S38:No)、その処理をS33の処理に移行し、戻しキー40B3,40B4または確定キー40B2の入力を待機する。即ち、一時停止キー40B1の押下により原稿途中で読み取りを停止させた場合には、その一時停止キー40B1のキー入力によって出力範囲が規定されるが、確定キー40B2が押下されなければその原稿の出力範囲は確定されず、規定された出力範囲は、確定キー40B2が入力されるまでの期間において、戻しキー40B3,40B4の操作によって変更することができるようになっている。一時停止キー40B1の入力による出力範囲の規定が出力範囲を規定する唯一の処理であると、所望の出力範囲を規定するための操作子の操作に厳格な操作(タイミング)が要求されることとなり、装置の使い勝手が悪化する。従って、複合機1では、一時停止キー40B1による出力範囲の規定は暫定的なものとし、その規定された出力範囲を変更可能としている。
尚、本実施形態においては、原稿の読み取りが一時停止キー40B1の入力により停止された場合に、次原稿が存在すると、次原稿から読み取った画像データは、画像メモリ23aおよび表示用メモリ23bにおいて、先の原稿の画像データの終端に連続して記憶される。先の原稿の読み取りが途中で停止された場合には、原稿下端まで読み取りが実行された場合よりも取得された画像データ量は少ない。図6(e)の例では、原稿下端まで読み取りが遂行された場合には、2頁目の画像データは3999番地まで記憶されるが、原稿途中で読み取りが停止された後に更に出力範囲が縮小されて、実際には、3299番地までしかデータは記憶されていない。かかる場合に、本実施形態では、次原稿(3頁目)の画像データを4000番地から記憶するのではなく、3300番地から記憶することとしている。
ここで、2頁目の原稿の読み取りが実行されなかった部分(或いは出力範囲に規定されなかった部分)を余白とし、余白データを2頁目の原稿に対して確保された残りのメモリ領域(図6の例においては、3300番地から3999番地)に記憶させることもできる。つまり、画像メモリ23aおよび表示用メモリ23bに記憶させるデータを、画像データ+余白データのデータ構造とすることもできる。しかし、本実施形態の表示編集処理(S5)では、原稿の残り部分を余白データとして記憶する処理を設けておらず、次原稿の画像データは、S23の処理によって先の原稿の画像データに連続して記憶するようになっている。このため、画像メモリ23aおよび表示用メモリ23bを効率的に使用することができる。
更には、LCD41に表示する画像データは、表示用メモリ23bに記憶される画像データに基づくので、LCD41には、先の原稿の読み取り部分(出力範囲)の終端に連続して次原稿の画像データが表示される。このため、LCD41に無駄な余白(読み取った画像データが無い部分)が表示されることがなく、操作者が、LCD41にて複数枚の原稿の読み取り状態を確認する場合に、確認する必要のある画像データを連続的に視認することができ、効率的且つ簡潔に、確認作業を行うことができる。
図7は、上記の読取処理が実行された場合にLCD41に表示される表示画面例を示した図である。この図7においては、A4サイズの原稿を用いて読み取りが行われた場合を例示している。
表示画面内には、読み取り原稿の原稿サイズにて規定される枠(図7の例では、A4サイズに対応する枠)が表示されており、その枠内に、読み取った画像データが、スキャナ3の読取動作に同期して1ラインずつ表示される。
図7においてLCD41の縦方向に原稿の幅方向(複合機1の奥行き方向)が、LCD41の横方向に原稿の搬送方向が対応しており、枠の左端を原稿上端として、順次、右側方向に読み取られた画像データが表示される。また、最新の読取原稿の画像データは最前面の枠に表示され、それ以前に読み取られた画像データは、背面側に重ねて表示されるようになっている。
ここで、読取原稿にはアルファベットが「ABCD・・・」と記録されており、LCD41において最前面の枠内には、読み取られた原稿の画像データ「ABCD・・・」の文字が、現在の読取位置まで現出されている。本実施形態においては、このLCD41に現出されている画像データ(背面側の枠内の画像データも含む)が出力先装置に出力される画像データの出力範囲とされている。出力先装置においては、枠内に表示される一連の画像データが、1の原稿(1頁)に記録される。
尚、LCD41に表示される画像データの表示態様は、上記したものに限られるものではない。例えば、スクロール形式で全頁の画像データを表示しても良く、同一画面上に複数頁を表示し(マルチ表示)、画面上から1の頁が指定されることによりその指定頁を拡大表示するなど、各種の表示態様を適宜用いることができる。また、複数の表示態様を、操作者の選択によって切り換えて表示するように構成しても良い。
図7(a)には、一時停止キー40B1の入力により、原稿途中で読み取りが停止された状態を示している。具体的には、LCD41に表示されれいる最前面の枠において、枠の左端から中央付近の読取停止位置までは、「ABCD・・・」のアルファベットが表示される一方、中央付近(読取停止位置)から右方(2点鎖線で囲まれた範囲)は読み取られた画像データが無いので、画像データは現出されていない。
上記したように、LCD41には、スキャナ3の読取動作に同期して画像データが表示される。このため、操作者は、LCD41の表示を視認することでいずれの位置まで原稿が読み取られたかを把握することができ、所望の位置まで読取が終了すると、そのタイミングで一時停止キー40B1を押下して読み取りを停止させることができる。言い換えれば、一時停止キー40B1が押下されたタイミングでLCD41に表示されている画像データが、読み取った原稿の出力範囲として規定されることとなる。その後、確定キー40B2、戻しキー40B3,40B4の入力があるまで、一時停止キー40B入力までに読み取られた画像データが、継続してLCD41に表示される。
図7(b)は、一時停止キー40B1の入力後において、戻しキー40B3の入力により、出力範囲が縮小される様子を示した図である。戻しキー40B3が1回入力される毎に1ライン分ずつ画像データの表示が消失し(表示編集処理(S5)、S34〜S37の処理に対応する表示)、出力範囲の変更が操作者に報知される。
図7(c)は、戻しキー40B3の入力により縮小された出力範囲が、戻しキー40B4の入力により復帰(拡張)される様子を示した図である。戻しキー40B4が1回入力される毎に1ライン分ずつ画像データの表示が現出し(表示編集処理(S5)、S34,S42,S43,S37の処理に対応する表示)、出力範囲の変更(復元)が操作者に報知される。このため、操作者は、一時停止キー40B1の入力にて規定した出力範囲を、容易に変更することができ、また、その変更された範囲を的確に把握することができる。
以上説明したように、本実施形態においては、一時停止キー40B1の入力により原稿途中において読み取りを停止することができ、また、その停止位置まで読み取った画像データを画像メモリに保持することができるので、原稿全体ではなく、原稿中のある部分(操作者所望の部分)の画像データを選択的に出力することができる。これによれば、ハンディスキャナよりも安定した読み取りを実行しつつ、部分的な画像データの読み取りを実行することができる。
尚、上記実施形態において、請求項記載の移動機構の一部として、スキャナ3に設けられた画像読取ユニットを走査させる駆動系が該当する。
以上実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施形態では、次原稿の検出は原稿検出センサ30で行うため、複数頁の読み取りに際して「次原稿有り」の(S40:Yes)判断は、原稿の読み取りをADF7によって行う場合に限られた。つまり、FBSを使用した場合には、原稿の読み取りは単頁に限られ、複数頁を連続したデータとして出力すること及び2頁目以降の原稿について一時停止キー40B1入力によって部分的な原稿読み取りを実行することはできない構成とされた。これに代えて、FBSによって原稿読み取りを実行する場合には、読取処理の開始に先立って読み取る原稿枚数のセットを要求し、セットされた原稿枚数を記憶するメモリと、原稿の読取回数をカウントするカウンタとを設けると共に、次原稿有りかを判断するS40のステップを、上記カウンタにて示される読取回数が、記憶される原稿枚数に達したかによって次原稿の有無を判断する構成として、FBSを使用した原稿読み取りにおいても、複数頁を連続したデータとして出力すること及び2頁目以降の原稿について一時停止キー40B1入力によって部分的な原稿読み取りを実行することができるように構成しても良い。
また、本複合機1において、一時停止キー40B1の入力による出力範囲規定を、単頁のみの読み取りに限定して行うように構成しても良い。具体的には、表示編集処理(S5)において、次原稿有無を判断するS40の処理を非設とする。かかる場合には、1の原稿の読み取りが一時停止キー40B1の入力により停止され、出力範囲が確定されると、その出力範囲の画像データが、直ちに出力先装置に出力される。
更には、本実施形態においては、一時停止キー40B1、確定キー40B2、戻しキー40B3,40B4は、それぞれ個別に設けられたが、これに代えて、テンキーなど、複合機1に必須のキーで代用してもよい。テンキーは、読取処理の実行中においては、テンキーとして操作されることはないので、テンキーを上記各キー40B1〜40B4に流用しても支障が生じることはない。その上、かかるキー40B1〜40B4を非設とすることにより、操作パネル4のスペースを有効利用することができる。
また、本実施形態の表示編集処理(S5)においては、原稿の読み取りが原稿下端に達した場合には、出力範囲の変更は不能とされた。これに代えて、読み取りが原稿下端に達したと判断された後に、所定時間は、戻しキー40B3,40B4の入力を待機し、入力があれば、S34〜S37,S41〜S43と同様の処理を行い、確定キー40B2の入力によって出力範囲を確定するものとしても良い。
更には、複合機1を、読み取り速度を変更可能(高速と低速とに切換可能)とすると共に、操作者の操作に応じて読み取り速度を変更する構成とし、原稿の全画像データを読み取る場合には高速での読み取りを、原稿の一部の画像データを読み取る場合、即ち、操作者が一時停止キー40B1を操作する場合には、低速での読み取りを実現できるようにしても良い。これによれば、低速で表示が進行するLCD41を視認しつつ、操作者は一時停止キー40B1の押下タイミングを的確に判断でき、所望の出力範囲を確実に規定することができる。その上、出力範囲を規定する必要のない原稿については、高速で読取処理を実行でき、処理全体にかかる時間を短縮することができる。
また、表示編集処理(S5)において、画像メモリ23a、表示用メモリ23bには、異なる頁の画像データを連続して記憶させたが、これに代えて、各頁の画像データの終端のアドレスを管理する管理メモリを設け、LCD41および出力先装置への出力に際しては、かかる管理メモリに記憶されるアドレスに基づいて、画像データを読み出し、その表示および出力が連続的になされるようにしても良い。
また、必ずしも、次頁の画像データは、先の頁のデータ終端から連続して記憶させる必要はなく、所定の間隔をあけて(例えば1ラインデータ分の記憶領域を隔てて)記憶させても良い。