JP2007299982A - 配線回路基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属支持基板2、ベース絶縁層3および導体パターン4が順次積層された回路付サスペンション基板1において、半導電性層5を、導体パターン4の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面と、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(右側)におけるベース絶縁層3の側面と、その側面に連続する金属支持基板2の上面とに、幅方向にわたって連続するように形成し、カバー絶縁層6を、その半導電性層5の上に、形成する。
【選択図】図2
Description
そのため、例えば、図6に示すように、回路付サスペンション基板31において、半導電性層35を、カバー絶縁層36に被覆される、導体パターン34、ベース絶縁層33および金属支持基板32の各表面に、1対の配線39(例えば、リード配線とライト配線)の配列方向Wに沿って、連続するように形成して、その半導電性層35により、導体パターン34に帯電する静電気を除去することが試案される。
また、本発明の配線回路基板では、前記ベース絶縁層には、1対の前記配線の対向領域の外側片方において、厚み方向を貫通するベース開口部が形成されており、前記ベース開口部から露出する前記金属支持基板の上には、前記金属支持基板および前記半導電性層と接触するグランド接続部が設けられていることが好適である。
各配線9は、金属支持基板2の長手方向に沿って複数設けられ、金属支持基板2の幅方向において互いに間隔を隔てて対向して並列配置されている。
より具体的には、各配線9は、磁気ディスクのデータを読み込むためのリード配線であるか、または、磁気ディスクにデータを書き込むためのライト配線であるかのいずれかであって、その組合せにおいて、一方の1対の配線9aおよび9bでは、一方の配線9aがリード配線で他方の配線9bがライト配線であるかまたはその逆であり、他方の1対の配線9cおよび9dでは、一方の配線9cがリード配線で他方の配線9dがライト配線であるかまたはその逆となるように、組合せが選択されている。
外部側接続端子部8Bは、金属支持基板2の後端部に配置され、各配線9の後端部がそれぞれ接続されるように、幅広のランドとして複数並列して設けられている。この外部側接続端子部8Bには、リード・ライト基板の端子部(図示せず)が接続される。
そして、この回路付サスペンション基板1は、図2に示すように、金属支持基板2と、金属支持基板2の上に形成されるベース絶縁層3と、ベース絶縁層3の上に形成される導体パターン4と、ベース絶縁層3の上に、導体パターン4を被覆するように形成され、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(図2における右側)のみにおいて、金属支持基板2と接触する半導電性層5と、半導電性層5の上に形成されるカバー絶縁層6とを備えている。
金属支持基板2の長さ(長手方向長さ)および幅(幅方向長さ)は、目的および用途により、適宜選択される。
ベース絶縁層3は、金属支持基板2の上に、導体パターン4が形成される部分に対応して、金属支持基板2の周端部が露出するパターンとして形成されている。
導体パターン4は、ベース絶縁層3の上で、上記したように互いに間隔を隔てて対向して並列配置される複数の配線9(一方の1対の配線9aおよび9bと、他方の1対の配線9cおよび9d)と、各配線9の先端部および後端部にそれぞれ接続される磁気ヘッド側接続端子部8Aおよび外部側接続端子部8Bとを一体的に備える配線回路パターンとして形成されている。なお、以下、磁気ヘッド側接続端子部8Aおよび外部側接続端子部8Bは、特に区別が必要でない場合は、単に端子部8として説明する。
また、各端子部8の幅は、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μm、各端子部8間の間隔は、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μmである。
図示しない金属薄膜は、導体パターン4の表面に、すなわち、導体パターン4の各配線9の上面および側面に、必要により形成されている。
より具体的には、半導電性層5は、導体パターン4の上面および側面(導体パターン4が金属薄膜に被覆される場合には、その金属薄膜の上面および側面)と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面と、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(図2における右側)におけるベース絶縁層3の側面と、その側面に連続する金属支持基板2の上面とに、幅方向にわたって連続して形成されている。
半導電性層5と、金属支持基板2の上面との接触部分の長さ(長手方向長さ)は、目的および用途により適宜選択され、その幅(幅方向長さ)は、例えば、50〜50000μm、好ましくは、100〜20000μmである。
すなわち、カバー絶縁層6は、導体パターン4の上面および側面に形成される半導電性層5の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面および側面(一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側他方側(左側)のベース絶縁層3の周端部の上面および側面を除く。)に形成される半導電性層5の上面および側面と、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(右側)においてベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面に形成される半導電性層5の上面とに、幅方向に沿って連続するように形成されている。
カバー絶縁層6の長さおよび幅は、目的および用途により、上記形状となるように、適宜選択される。
なお、この回路付サスペンション基板1において、端子部8の上面には、図示しない金属めっき層が形成されている。
次に、この回路付サスペンション基板1の製造方法について、図3を参照して、説明する。
まず、この方法では、図3(a)に示すように、金属支持基板2を用意する。
金属支持基板2としては、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属箔が用いられる。好ましくは、ステンレス箔が用いられる。金属支持基板2の厚みは、例えば、10〜70μm、好ましくは、15〜30μmである。
ベース絶縁層3は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの樹脂からなる。耐熱性の観点からは、好ましくは、ポリイミド樹脂からなる。
次いで、この方法では、図3(c)に示すように、導体パターン4を、ベース絶縁層3の上に、互いに間隔を隔てて対向して並列配置される複数の配線9と、各配線9の先端部および後端部にそれぞれ接続される磁気ヘッド側接続端子部8Aおよび外部側接続端子部8Bとを一体的に備える配線回路パターンとして形成する。
アディティブ法では、まず、ベース絶縁層3の表面に、導体薄膜を形成する。導体薄膜は、スパッタリング、好ましくは、クロムスパッタリングおよび銅スパッタリングにより、クロム薄膜と銅薄膜とを積層する。
また、サブトラクティブ法では、まず、ベース絶縁層3および金属支持基板2の上面に、必要により接着剤層を介して導体層を積層し、次いで、この導体層の上に、導体パターン4の配線回路パターンと同一パターンのエッチングレジストを形成し、このエッチングレジストをレジストとして、導体層をエッチングして、その後に、エッチングレジストを除去する。
次いで、この方法では、必要により、図示しないが、金属薄膜を、導体パターン4の表面に形成する。
金属薄膜は、例えば、ニッケル、金、スズ、クロム、チタン、ジルコニウム、または、これらの合金などの金属からなり、好ましくは、ニッケルからなる。
無電解めっきでは、例えば、上記した金属のめっき溶液に、図3(c)に示す製造途中の回路付サスペンション基板1を浸漬することにより、金属薄膜を形成する。
次いで、この方法では、図3(d)に示すように、半導電性層5を、導体パターン4の全面(導体パターン4が金属薄膜に被覆される場合には、その金属薄膜の全面)と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の全面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の全面とに、上記したパターンで連続するように形成する。
金属は、例えば、酸化金属などが用いられ、酸化金属としては、例えば、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの金属酸化物が用いられる。好ましくは、酸化クロムが用いられる。
酸化金属からなる半導電性層5の形成は、特に制限されないが、例えば、金属をターゲットとしてスパッタリングした後、必要に応じて、加熱により酸化する方法、反応性スパッタリングする方法、酸化金属をターゲットとしてスパッタリングする方法などが用いられる。
酸化金属をターゲットとしてスパッタリングする方法では、例えば、スパッタリング装置において、酸化クロムなどの酸化金属をターゲットとして、アルゴンなどの不活性ガスを導入ガスとして導入して、スパッタリングすることにより、酸化金属からなる半導電性層5を形成する。
樹脂としては、例えば、導電性粒子が分散される半導電性樹脂組成物などが用いられる。
半導電性樹脂組成物は、例えば、イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体、導電性粒子および溶媒を含有している。
イミド樹脂前駆体としては、例えば、特開2004−35825号公報に記載されるイミド樹脂前駆体を用いることができ、例えば、ポリアミック酸樹脂が用いられる。
導電性粒子としては、例えば、導電性ポリマー粒子、カーボン粒子、金属粒子、酸化金属粒子などが用いられる。
ドーピング剤としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ノボラック樹脂、p−フェノールスルホン酸ノボラック樹脂、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などが用いられる。
カーボン粒子としては、例えば、カーボンブラック粒子、例えば、カーボンナノファイバーなどが用いられる。
酸化金属粒子としては、例えば、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの粒子、または、これらの複合酸化物の粒子、より具体的には、酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物の粒子(ITO粒子)、酸化スズと酸化リンとの複合酸化物の粒子(PTO粒子)などの粒子が用いられる。
導電性粒子は、その平均粒子径が、例えば、10nm〜1μm、好ましくは、10nm〜400nm、さらに好ましくは、10nm〜100nmである。なお、導電性粒子がカーボンナノファイバーである場合には、例えば、その直径が100〜200nmであり、その長さが、5〜20μmである。平均粒子径(直径)がこれより小さいと、平均粒子径(直径)の調整が困難となる場合があり、また、これより大きいと、塗布に不向きとなる場合がある。
導電性粒子の配合割合は、イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体100重量部に対して、例えば、1〜300重量部、好ましくは、5〜100重量部である。導電性粒子の配合割合が、これより少ないと、導電性が十分でない場合がある。また、これより多いと、イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体の良好な膜特性が損なわれる場合がある。
上記調製した半導電性樹脂組成物を、導体パターン4の全面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の全面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の全面とに、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法など公知の塗布方法により、均一に塗布する。その後、例えば、60〜250℃、好ましくは、80〜200℃で、例えば、1〜30分間、好ましくは、3〜15分間加熱して乾燥する。
これにより、半導電性層5を、導体パターン4の全面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の全面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の全面とに、連続するように形成することができる。
また、この半導電性層5の表面抵抗値は、例えば、105〜1013Ω/□、好ましくは、105〜1011Ω/□、さらに好ましくは、106〜109Ω/□の範囲に設定される。半導電性層5の表面抵抗値がこれより小さいと、実装される電子部品(磁気ヘッド)の誤作動を生じる場合がある。また、半導電性層5の表面抵抗値がこれより大きいと、静電破壊を防止することができない場合がある。
カバー絶縁層6は、ベース絶縁層3と同様の樹脂、好ましくは、感光性の合成樹脂、さらに好ましくは、感光性ポリイミドからなる。
カバー絶縁層6を上記したパターンとして形成するには、特に制限されず、公知の方法が用いられる。例えば、感光性樹脂(感光性ポリアミック酸樹脂)のワニスを、半導電性層5の表面に塗布し、塗布されたワニスを乾燥して、カバー皮膜を形成する。次いで、カバー皮膜を、フォトマスクを介して露光した後、必要により加熱後、現像により上記したパターンを形成させ、その後、例えば、減圧下、250℃以上で加熱することにより、硬化(イミド化)させる。
次いで、この方法では、図3(f)に示すように、カバー絶縁層6から露出する半導電性層5をエッチングにより除去する。エッチングは、例えば、エッチング液として水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いて、浸漬法またはスプレー法によって、カバー絶縁層6をエッチングレジストとして、ウエットエッチングする。
次いで、この方法では、必要により、導体パターン4が金属薄膜に被覆される場合には、端子部8の上面に形成される金属薄膜を、上記と同様のエッチングにより除去する。
その後、端子部8の上面に、図示しない金属めっき層を形成した後、図1に示すように、金属支持基板2を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバル10を形成するとともに、外形加工することにより、回路付サスペンション基板1を得る。
そのため、導体パターン4は、半導電性層5を介して、金属支持基板2と電気的に接続されるので、導体パターン4に帯電する静電気を効率的に除去することができる。
その結果、実装される電子部品の静電破壊を確実に防止することができ、しかも、回路付サスペンション基板1の接続信頼性の向上を図ることができる。
なお、上記説明においては、半導電性層5を、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(図2における右側)のみにおける金属支持基板2の上面に形成したが、例えば、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側他方側(左側)のみに形成することもできる。
例えば、図2に示すように、半導電性層5は、他方の1対の配線9cおよび9dの対向領域S’の幅方向外側一方側(右側)のみにおける金属支持基板2の上面に、形成されている。
図4は、本発明の配線回路基板の他の実施形態である回路付サスペンション基板の幅方向における断面図である。図4において、上記した各部に対応する各部については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上記説明において、回路付サスペンション基板1の半導電性層5を、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(図2における右側)において、金属支持基板2と直接接触させたが、例えば、図4に示すように、半導電性層5を金属支持基板2と直接接触させずに、ベース絶縁層3に、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(図4における右側)のみにおいて、厚み方向を貫通するベース開口部11を形成し、そのベース開口部11から露出する金属支持基板2の上に、金属支持基板2および半導電性層5と接触するグランド接続部7を形成することにより、半導電性層5を、グランド接続部7を介して金属支持基板2と電気的に接続させることもできる。
より具体的には、ベース絶縁層3には、グランド接続部7を形成するために、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(右側)において、一方の1対の配線9の一方(幅方向外側)の配線9aと、幅方向外側に間隔を隔てて、厚み方向を貫通するように開口されるベース開口部11が形成されている。
グランド接続部7は、図4に示すように、上記したベース絶縁層3のベース開口部11内に充填されるように形成される下部12と、下部12の上端から膨出するように形成される上部13とを、一体的に連続して備えている。
なお、グランド接続部7の上部13の表面には、必要により金属薄膜が形成されている。
グランド接続部7の下部12の幅は、例えば、40〜120μm、好ましくは、80〜100μm、グランド接続部7の上部13の幅は、例えば、60〜300μm、好ましくは、80〜200μmである。また、グランド接続部7の下部12および上部13の長さは、目的および用途に応じて、適宜選択される。
また、半導電性層5は、ベース絶縁層3の上で、グランド接続部7の幅方向外側において、ベース絶縁層3の周端部が露出するように、形成されている。
また、半導電性層5は、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側両方側における金属支持基板2の周端部と接触しておらず、電気的に遮断されている。
次に、この回路付サスペンション基板1の製造方法について、図5を参照して、説明する。
まず、この方法では、図5(a)に示すように、金属支持基板2を用意する。
金属支持基板2としては、上記と同様の金属箔が用いられ、好ましくは、ステンレス箔が用いられる。金属支持基板2の厚みは、上記と同様であり、好ましくは、15〜30μmである。
ベース絶縁層3は、上記と同様の樹脂からなり、好ましくは、ポリイミド樹脂からなる。ベース絶縁層3を上記したパターンとして形成するには、上記と同様の方法が用いられる。ベース絶縁層3の厚みは、上記と同様であり、好ましくは、8〜15μmである。
次いで、この方法では、必要により、図示しないが、金属薄膜を、導体パターン4の表面およびグランド接続部7の上部13の表面に形成する。
また、金属薄膜は、例えば、導体パターン4の表面およびグランド接続部7の上部13の表面に、上記と同様の方法、好ましくは、無電解めっきにより、金属薄膜を形成する。必要により形成される金属薄膜の厚みは、上記と同様であり、好ましくは、0.05〜0.3μmである。
次いで、この方法では、図5(e)に示すように、カバー絶縁層6を、上記したパターンで、半導電性層5の上に、形成する。
カバー絶縁層6を上記したパターンとして形成するには、上記と同様の方法が用いられる。カバー絶縁層6の厚みは、上記と同様であり、好ましくは、3〜5μmである。
次いで、この方法では、図5(f)に示すように、カバー絶縁層6から露出する半導電性層5を、上記と同様に、半導電性層5をエッチングレジストとしてエッチングにより除去する。
その後、この方法では、端子部8の上面に、必要に応じて、図示しない金属めっき層を形成した後、図1に示すように、金属支持基板2を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバル10を形成するとともに、外形加工することにより、回路付サスペンション基板1を得る。
しかも、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側両方側において、半導電性層5は、金属支持基板2と接触していないため、金属支持基板2からカバー絶縁層6へのイオンマイグレーションを確実に防止することができる。
その結果、実装される電子部品の静電破壊を確実に防止することができ、しかも、回路付サスペンション基板1の接続信頼性の向上を図ることができる。
なお、上記説明において、ベース開口部11を、ベース絶縁層3における、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側一方側(図4における右側)のみに形成し、そのベース開口部11から露出する金属支持基板2の上に、グランド接続部7を形成したが、例えば、ベース絶縁層3における、一方の1対の配線9aおよび9bの対向領域Sに対する幅方向外側他方側(左側)のみに、ベース開口部11を形成し、そのベース開口部11から露出する金属支持基板2の上に、グランド接続部7を形成することもできる。
例えば、図4に示すように、ベース開口部11は、ベース絶縁層3における、他方の1対の配線9cおよび9dの対向領域S’に対する幅方向外側一方側(右側)のみに形成されている。
また、上記した説明において、グランド接続部7を、図1の破線に示すように、平面視略矩形状に形成したが、その形状はこれに限定されず、例えば、平面視略円形状など、適宜の形状に形成することもできる。
実施例1
厚み20μmのステンレス箔からなる金属支持基板を用意した(図3(a)参照)。
次いで、その金属支持基板の表面に、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、スピンコーターを用いて均一に塗布し、次いで、塗布されたワニスを、90℃で15分加熱することにより、ベース皮膜を形成した。その後、そのベース皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、感光性ポリイミドからなるベース絶縁層を、金属支持基板の上に、導体パターンが形成される部分に対応し、かつ、金属支持基板の周端部が露出するように、形成した(図3(b)参照)。このベース絶縁層の厚みは、10μmであった。
その後、導体パターンの上面および側面に、無電解ニッケルめっきによって、ニッケル薄膜からなる厚み0.15μmの金属薄膜を形成した。
なお、スパッタリングは、特開2004−335700号公報の記載に準拠する方法で、下記の条件で実施した。
ターゲット:Cr
到達真空度:1.33×10-3Pa
導入ガス流量(アルゴン):2.0×10-3m3/h
動作圧:0.16Pa
アース電極温度:20℃
電力:DC180W
スパッタリング時間:3秒
スパッタリング皮膜の厚み:100nm
次いで、125℃、12時間、大気中で加熱することにより、クロム薄膜からなるスパッタリング皮膜の表面を酸化して、酸化クロム層からなる半導電性層を形成した(図3(d)参照)。酸化クロム層の厚みは、100nmであった。
次いで、上記した感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、半導電性層の表面に、スピンコーターを用いて均一に塗布し、90℃で10分加熱することにより、厚み7μmのカバー皮膜を形成した。その後、そのカバー皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ、180℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像することにより、カバー皮膜をパターンニングした。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させた。これにより、感光性ポリイミドからなるカバー絶縁層を、導体パターンの上面および側面に形成された半導電性層の上面および側面と、ベース絶縁層の上面および側面に形成された半導電性層の上面および幅方向外側一方側の側面と、一方の1対の配線の対向領域に対する幅方向外側一方側(右側)における金属支持基板の上面に形成された半導電性層の上面とに、形成した(図3(e)参照)。カバー絶縁層の厚みは、5μmであった。
次いで、端子部の上面に形成された金属薄膜を、エッチングにより除去した。
実施例2
厚み20μmのステンレス箔からなる金属支持基板を用意した(図5(a)参照)。
次いで、導体パターンおよびグランド接続部の表面に形成された金属薄膜と、ベース絶縁層と、金属支持基板との各表面に、クロムをターゲットとするスパッタリングによって、クロム薄膜からなるスパッタリング皮膜を形成した。
ターゲット:Cr
到達真空度:1.33×10-3Pa
導入ガス流量(アルゴン):2.0×10-3m3/h
動作圧:0.16Pa
アース電極温度:20℃
電力:DC180W
スパッタリング時間:3秒
スパッタリング皮膜の厚み:100nm
次いで、125℃、12時間、大気中で加熱することにより、クロム薄膜からなるスパッタリング皮膜の表面を酸化して、酸化クロム層からなる半導電性層を形成した(図5(d)参照)。酸化クロム層の厚みは、100nmであった。
次いで、上記した感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、半導電性層の表面に、スピンコーターを用いて均一に塗布し、90℃で10分加熱することにより、厚み7μmのカバー皮膜を形成した。その後、そのカバー皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ、180℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像することにより、カバー皮膜をパターンニングした。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させた。これにより、感光性ポリイミドからなるカバー絶縁層を、一方の1対の配線の対向領域の外側両方側のベース絶縁層の周端部の表面に形成された半導電性層が露出するように、形成した(図5(e)参照)。カバー絶縁層の厚みは、5μmであった。
次いで、端子部の上面に形成された金属薄膜を、エッチングにより除去した。
その後、端子部の表面に、金属めっき層を形成した後、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバルを形成するとともに、外形加工することにより、回路付サスペンション基板を得た(図1参照)。
実施例1および2により得られた回路付サスペンション基板の導体パターンに、85℃、85%RHの雰囲気下で、6Vの電圧を、1000時間、それぞれ印加した。
その結果、実施例1および2の回路付サスペンション基板は、ともに金属支持基板のステンレスのカバー絶縁層へのイオンマイグレーションが生じなかったことを断面SEM観察および元素分析により、確認した。
2 金属支持基板
3 ベース絶縁層
4 導体パターン
5 半導電性層
6 カバー絶縁層
7 グランド接続部
9a、9b 1対の配線(一方)
9c、9d 1対の配線(他方)
11 ベース開口部
Claims (3)
- 金属支持基板と、
前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層の上に形成され、互いに間隔を隔てて対向配置され、互いの電位が異なる少なくとも1対の配線を有する導体パターンと、
前記ベース絶縁層の上に、前記導体パターンを被覆するように形成され、1対の前記配線の対向領域の外側片方において、前記金属支持基板と電気的に接続される半導電性層と、
前記半導電性層の上に形成されるカバー絶縁層と
を備えていることを特徴とする、配線回路基板。 - 前記半導電性層は、1対の前記配線の対向領域の外側片方において、前記金属支持基板と接触していることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
- 前記ベース絶縁層には、1対の前記配線の対向領域の外側片方において、厚み方向を貫通するベース開口部が形成されており、
前記ベース開口部から露出する前記金属支持基板の上には、前記金属支持基板および前記半導電性層と接触するグランド接続部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
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