JP2007299686A - 電解質膜の形成方法、成膜装置及び固体燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体Wの表面に少なくとも2種類の金属を含む電解質膜4を形成する成膜方法において、前記金属を含む溶射用粉体Mを用いてプラズマ溶射を行いつつ前記金属を含む有機金属材料を用いてCVDにより成膜を行うことにより前記電解質膜を形成する。このように、CVD成膜法と溶射成膜法とを組み合わせることにより、緻密性及び密着性が高い電解質膜を得る。
【選択図】図1
Description
また例えば請求項3に規定するように、前記CVDによる成膜は常圧の雰囲気中で行われる。
また例えば請求項4に規定するように、前記電解質膜は、YSZ、或いはLSGMよりなる。
また例えば請求項5に規定するように、前記電解質膜は、固体燃料電池に用いられる。
この場合、例えば請求項7に規定するように、前記溶射粒子導入手段は、前記溶射用粉体の搬送途中で前記有機金属材料が混入されるように構成する。
また例えば請求項8に規定するように、前記溶射粒子導入手段は、前記溶射用粉体を前記溶射粒子とする際に前記有機金属材料が混入されるように構成する。
また例えば請求項11に規定するように、前記電解質膜は、YSZ、或いはLSGMよりなる。
また例えば請求項12に規定するように、前記電解質膜は、固体燃料電池に用いられる。
請求項13に係る発明は、前記成膜方法により形成された電解質膜を用いたことを特徴とする固体燃料電池である。
金属を含む溶射用粉体を用いてプラズマ溶射を行いつつ金属を含む有機金属材料を用いてCVDにより成膜を行って、CVD成膜法と溶射成膜法とを組み合わせることにより、緻密性及び密着性が高い電解質膜を得ることができ、しかも生産性を高めることができる。
図1は電解質膜を形成する本発明の成膜装置の第1実施例を示す構成図である。
図示するように、この成膜装置12は、例えばアルミニウム合金やステンレススチール等により形成された処理容器14を有している。この処理容器14内には、底部より支柱16により起立して支持された載置台18が設けられており、この載置台18上に、板状の支持体Wを載置し得るようになっている。この支持体Wの表面に、後述するように電解質膜を形成することになる。
上記処理容器14の側壁には、搬入口22が設けられており、この搬入口22にはゲートバルブのような開閉ドア24が設けられ、この開閉ドア24を開いた状態で上記支持体Wを容器内に対して搬出入できるようになっている。
そして、上記粉体放射管48と溶射用粉体Mを収容する粉体貯留槽50との間には、途中に開閉弁54を介設した粉体流路52が接続されている。そして、上記粉体貯留槽50には、途中にマスフローコントローラのような流量制御器56を介設した不活性ガス供給ノズル58が挿入され、このノズル58の先端は上記溶射用粉体M中に挿入されている。従って、不活性ガスを流量制御しつつ供給することにより、この不活性ガスにより上記溶射用粉体Mを巻き上げて、これを不活性ガスと共に粉体流路52を通って粉体放射管48へ搬送できるようになっている。ここでは不活性ガスとしてはArガスを用いている。
これにより上記Y含有有機金属材料ガスとZr含有有機金属材料ガスとO2 ガスとが、上記溶射用粉体Mに混合された状態で上記粉体放射管48へ供給されるようになっている。
まず、搬入口22を介して支持体Wを処理容器14内へ搬入し、処理容器14内の載置台18上に上記支持体Wを載置する。この支持体Wの表面には、図7に示す空気電極6と燃料電極8の内のいずれか一方の電極が前工程において予め形成されている。そして、溶射粒子導入手段36を駆動して、粉体放射管48から溶射用粉体MとY含有有機金属材料62のガスとZr含有有機金属材料70のガスと酸素との混合ガスを放射する。
また、溶射による成膜時間も少なくて済むので、従来の焼結方法と比較して、その生産性を上げてスループットを向上させることができる。そして、このように形成された電解質膜を図7に示すように、その両側を空気電極6と燃料電極8とで挟み込むことで、高効率の固体燃料電池を形成することができる。
ここで、上述した本発明方法を用いて実際にYSZ膜よりなる電解質膜を形成して固体燃料電池を製造して評価を行ったので、その評価結果について説明する。
図3は本発明方法を用いて形成した電解質膜を含む固体燃料電池の断面を示す電子顕微鏡であり、理解を容易にするために模式図を併記してある。
ここではCSZ(ジルコニウム添加 cermet supporter:Ni/ZrO2 −50wt% Al2 O3 )よりなる支持体(Support Tube)上に、燃料電極(Fuel Electrode:Ni−50wt% YSZ(4.5mol%Y2 O3 )、電解質膜(Electrolyte:YSZ)及び空気電極(Air Electrode:LaCoO3 )を順次積層して固体燃料電池を構成している。
マイクロ波パワー:2kW
Zr(DPM)4 :200sccm(200℃)
Y(DPM)3 :70sccm(200℃)
O2 :20sccm
溶射用粉体[YSZ]:8g/min、平均粒径:25μm
プロセス圧力:500Torr(66.7kPa)
成膜レート:30μm/min
上記固体燃料電池の発電評価を行ったところ、最大電流密度は210mA/cm2 、OCV(Open Circuit Voltage:理論値は燃料が水素として1.23V)は1.04V(ボルト)[動作温度:930℃)であり、良好な結果を得ることができた。
この場合にも、図1を参照して説明した装置例と同様な作用効果を発揮することができる。
次に、本発明に係る成膜装置の第2実施例について説明する。
上記第1実施例では、溶射用粉体Mと有機金属材料ガスとを搬送途中で混合したり、或いは図4に示す2重管構造の補助ノズル84を用いて放射直後に両者を混合させるようにしたが、これに限定されず、有機金属材料ガスを処理容器内へ直接的に噴射させるようにしてもよい。
図5に示すように、ここでは処理容器14内の処理空間Sに、有機金属材料を直接的に導入する有機金属材料導入手段90が設けられている。具体的には、この有機金属材料導入手段90は、上記処理容器14の天井部14Aに支持させた例えば石英ガラス管製の円形リング状の噴射管92を有しており、この噴射管92に、上記有機金属材料供給流路60を直接接続している。そして、この噴射管92の下面には、その周方向に沿って多数の噴射孔92Aが設けられており、この各噴射孔92Aから処理空間Sに向けて各有機金属材料ガスを放射できるようになっている。
また溶射による成膜時には、溶射温度の調整や酸素ラジカルの調整のために、H2 ガスを添加するのがよい。
また図6(B)中において、(a)はLSGMの基準X線回折波形を示し、(b)はLSGM膜の形成直後のX線回折波形を示しており、両者は略同じ波形を示しているので、LSGM膜を確実に成膜できることを確認することができた。
ここで、上記LSGM膜は、例えば700℃以上で高温アニール処理することにより、その結晶性を回復させることができる。
また、各実施例で説明した各プロセス条件は、単に一例を示したに過ぎず、ここで記載した数値例に限定されないのは勿論である。
4 電解質膜
6 空気電極
8 燃料電極
12 成膜装置
14 処理容器
18 載置台
20 加熱手段
28 排気系
36 溶射粒子導入手段
38 溶射管
44 マイクロ波発生器
48 粉体放射管
50 粉体貯留槽
62 Y含有有機金属材料
70 Zr含有有機金属材料
M 溶射用粉体
W 支持体
Claims (13)
- 支持体の表面に少なくとも2種類の金属を含む電解質膜を形成する成膜方法において、
前記金属を含む溶射用粉体を用いてプラズマ溶射を行いつつ前記金属を含む有機金属材料を用いてCVDにより成膜を行うことにより前記電解質膜を形成するようにしたことを特徴とする電解質膜の形成方法。 - 前記プラズマ溶射はマイクロ波を用いて行われることを特徴とする請求項1記載の電解質膜の形成方法。
- 前記CVDによる成膜は常圧の雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1又は2記載の電解質膜の形成方法。
- 前記電解質膜は、YSZ、或いはLSGMよりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電解質膜の形成方法。
- 前記電解質膜は、固体燃料電池に用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電解質膜の形成方法。
- 支持体の表面に少なくとも2種類の金属を含む電解質膜を形成する成膜装置において、
排気可能になされた処理容器と、
前記支持体を載置する載置台と、
前記支持体を加熱する加熱手段と、
前記金属を含む溶射用粉体をプラズマにより溶射粒子にすると共に、該溶射粒子とCVD用の原料として前記金属を含む有機金属材料とを前記処理容器内へ導入する溶射粒子導入手段と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。 - 前記溶射粒子導入手段は、前記溶射用粉体の搬送途中で前記有機金属材料が混入されるように構成したことを特徴とする請求項6記載の成膜装置。
- 前記溶射粒子導入手段は、前記溶射用粉体を前記溶射粒子とする際に前記有機金属材料が混入されるように構成したことを特徴とする請求項6記載の成膜装置。
- 支持体の表面に少なくとも2種類の金属を含む電解質膜を形成する成膜装置において、
排気可能になされた処理容器と、
前記支持体を載置する載置台と、
前記支持体を加熱する加熱手段と、
前記金属を含む溶射用粉体をプラズマにより溶射粒子にして前記処理容器内へ導入する溶射粒子導入手段と、
CVD用の原料として前記金属を含む有機金属材料を前記処理容器内へ導入する有機金属材料導入手段と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。 - 前記溶射粒子導入手段は、前記溶射粒子を形成するためのマイクロ波を発生するマイクロ波発生器を有していることを特徴とする請求項6乃至9のいずかれに記載の成膜装置。
- 前記電解質膜は、YSZ、或いはLSGMよりなることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の成膜装置。
- 前記電解質膜は、固体燃料電池に用いられることを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載の成膜装置。
- 請求項1乃至5に記載する成膜方法により形成された電解質膜を用いたことを特徴とする固体燃料電池。
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