JPH1040935A - 固体電解質の成膜方法 - Google Patents
固体電解質の成膜方法Info
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- JPH1040935A JPH1040935A JP8196648A JP19664896A JPH1040935A JP H1040935 A JPH1040935 A JP H1040935A JP 8196648 A JP8196648 A JP 8196648A JP 19664896 A JP19664896 A JP 19664896A JP H1040935 A JPH1040935 A JP H1040935A
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 空気極に電気化学蒸着法によって固体電解質
としてのYSZ膜を成膜する際に、空気極側の組織を損
傷することがないようにして高性能の燃料電池が作成で
きるようにする。 【解決手段】 この固体電解質の成膜方法は、多孔質の
基材21上に電気化学蒸着法によってイットリア安定化
ジルコニア膜23を成膜する前に同じイットリア安定化
ジルコニア層24をコーティングしておくことにより、
電気化学蒸着工程において基材中のマンガンやストロン
チウムの塩化物が遊離しないようにし、基材の組織を損
傷することなく固体電解質としてのイットリア安定化ジ
ルコニア(YSZ) 膜が成膜できるようにする。
としてのYSZ膜を成膜する際に、空気極側の組織を損
傷することがないようにして高性能の燃料電池が作成で
きるようにする。 【解決手段】 この固体電解質の成膜方法は、多孔質の
基材21上に電気化学蒸着法によってイットリア安定化
ジルコニア膜23を成膜する前に同じイットリア安定化
ジルコニア層24をコーティングしておくことにより、
電気化学蒸着工程において基材中のマンガンやストロン
チウムの塩化物が遊離しないようにし、基材の組織を損
傷することなく固体電解質としてのイットリア安定化ジ
ルコニア(YSZ) 膜が成膜できるようにする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池における固
体電解質の成膜方法に関する。
体電解質の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に円筒型固体電解質燃料電池として
は図2に示す構造のものが提案されており、この固体電
解質燃料電池7では、外側の多孔質空気極1にストロン
チウム添加ランタンマンガナイトLa(Sr)MnO
x、緻密な固体電解質2にイットリア安定化ジルコニア
(YSZ)、多孔質燃料極3にニッケル・ジルコニア・
サーメットのような燃料改質の触媒機能を有する材料が
使用されている。また燃料極3の内側に配置される改質
反応触媒材4には、主にニッケル、白金、コバルト、パ
ラジウム、ルテニウムなどの導電性を有すると共に燃料
改質反応の触媒機能を有する物質で、フェルト状にした
ものが用いられている。そして燃料供給兼導電管5には
その内部に供給されてくる燃料を改質反応触媒材4に通
過させ、かつ改質反応の触媒機能を有すると共に導電性
を有する物質としてSUS304、インコネル、ニッケ
ル、白金、コバルト、パラジウムあるいはニッケルジル
コニアサーメットを材料とし、多孔質のチューブ形状に
仕上げたものが用いられている。
は図2に示す構造のものが提案されており、この固体電
解質燃料電池7では、外側の多孔質空気極1にストロン
チウム添加ランタンマンガナイトLa(Sr)MnO
x、緻密な固体電解質2にイットリア安定化ジルコニア
(YSZ)、多孔質燃料極3にニッケル・ジルコニア・
サーメットのような燃料改質の触媒機能を有する材料が
使用されている。また燃料極3の内側に配置される改質
反応触媒材4には、主にニッケル、白金、コバルト、パ
ラジウム、ルテニウムなどの導電性を有すると共に燃料
改質反応の触媒機能を有する物質で、フェルト状にした
ものが用いられている。そして燃料供給兼導電管5には
その内部に供給されてくる燃料を改質反応触媒材4に通
過させ、かつ改質反応の触媒機能を有すると共に導電性
を有する物質としてSUS304、インコネル、ニッケ
ル、白金、コバルト、パラジウムあるいはニッケルジル
コニアサーメットを材料とし、多孔質のチューブ形状に
仕上げたものが用いられている。
【0003】これらの空気極1、固体電解質2、燃料極
3、改質反応触媒材4及び燃料供給兼導電管5を同心に
多重管となるように組み上げ、閉塞部材6で各管を固定
し、さらに中央の燃料供給兼導電管5の燃料供給口8側
をガスセパレータ9に固定することによって燃料電池全
体を支持するようにしている。
3、改質反応触媒材4及び燃料供給兼導電管5を同心に
多重管となるように組み上げ、閉塞部材6で各管を固定
し、さらに中央の燃料供給兼導電管5の燃料供給口8側
をガスセパレータ9に固定することによって燃料電池全
体を支持するようにしている。
【0004】このような構造の固体電解質燃料電池7
は、その複数本を束ねて支持し、空気極1同士を陽極1
0に接続し、また燃料供給兼導電管5同士を陰極11に
接続することによって所望の発電力を持つ固体電解質燃
料電池アセンブリとして組み立てられる。
は、その複数本を束ねて支持し、空気極1同士を陽極1
0に接続し、また燃料供給兼導電管5同士を陰極11に
接続することによって所望の発電力を持つ固体電解質燃
料電池アセンブリとして組み立てられる。
【0005】固体電解質燃料電池7内の発電作用につい
て説明すると、天然ガス、メタン、石炭ガス化ガスなど
の燃料ガスを水蒸気と共に燃料供給口8から燃料供給兼
導電管5内に導入することにより、この燃料供給兼導電
管5の多孔質の管壁を通じて燃料ガスと水蒸気が改質反
応触媒材4内に均等に流れ込む。そしてこの部分におい
て高温度条件下、通常、900℃〜1000℃の条件下
で、燃料供給兼導電管5、改質反応触媒材4及び燃料極
3の部分の触媒機能により、次式の改質反応が発生す
る。
て説明すると、天然ガス、メタン、石炭ガス化ガスなど
の燃料ガスを水蒸気と共に燃料供給口8から燃料供給兼
導電管5内に導入することにより、この燃料供給兼導電
管5の多孔質の管壁を通じて燃料ガスと水蒸気が改質反
応触媒材4内に均等に流れ込む。そしてこの部分におい
て高温度条件下、通常、900℃〜1000℃の条件下
で、燃料供給兼導電管5、改質反応触媒材4及び燃料極
3の部分の触媒機能により、次式の改質反応が発生す
る。
【0006】
【化1】 この改質反応で発生する水素に対して、固体電解質2を
介して対極する空気極1と燃料極3との部分で次の化2
式の発電反応を起こし、遊離した電子を集電することに
よって発電力を得る。
介して対極する空気極1と燃料極3との部分で次の化2
式の発電反応を起こし、遊離した電子を集電することに
よって発電力を得る。
【0007】
【化2】 つまり、燃料極3においては化2(a)式に示すよう
に、改質反応で生成された水素が、固体電解質2から供
給される酸化物イオンと反応して水蒸気と電子を生成す
る。そして燃料極3で生成された電子が改質反応触媒材
4と燃料供給兼導電管5とを経て陰極11から外部回路
に回り、陽極10を経て空気極1に到達すると、この空
気極1において、化2(b)式に示すように空気中の酸
素と反応して酸化物イオンを生成し、これが固体電解質
2に放出され、燃料極3側に到達して化2(a)式の反
応に供されるのである。
に、改質反応で生成された水素が、固体電解質2から供
給される酸化物イオンと反応して水蒸気と電子を生成す
る。そして燃料極3で生成された電子が改質反応触媒材
4と燃料供給兼導電管5とを経て陰極11から外部回路
に回り、陽極10を経て空気極1に到達すると、この空
気極1において、化2(b)式に示すように空気中の酸
素と反応して酸化物イオンを生成し、これが固体電解質
2に放出され、燃料極3側に到達して化2(a)式の反
応に供されるのである。
【0008】このような発電機構の燃料電池において、
空気極1、固体電解質2及び燃料極3の部分は次によう
にして形成している。まず空気極1となるランタンマン
ガナイト系の多孔質の基材に対して電気化学蒸着法、つ
まり、CVD(Chemical Vapor Deposition )−EVD
(Electrocheical Vapor Deposition )法を用いて薄
く、かつ緻密なYSZ膜を固体電解質2として形成し、
さらにこの内部にニッケル、ニッケル合金あるいはニッ
ケルジルコニアサーメットの粉末をスラリーコートし、
同じように電気化学蒸着法を施して多孔質の燃料極3を
成膜するのである。
空気極1、固体電解質2及び燃料極3の部分は次によう
にして形成している。まず空気極1となるランタンマン
ガナイト系の多孔質の基材に対して電気化学蒸着法、つ
まり、CVD(Chemical Vapor Deposition )−EVD
(Electrocheical Vapor Deposition )法を用いて薄
く、かつ緻密なYSZ膜を固体電解質2として形成し、
さらにこの内部にニッケル、ニッケル合金あるいはニッ
ケルジルコニアサーメットの粉末をスラリーコートし、
同じように電気化学蒸着法を施して多孔質の燃料極3を
成膜するのである。
【0009】そしてこの電気化学蒸着法は一般に、特開
平7−65846号公報に示され、また図3に示す手順
で行っている。同図(a)に示すように、真空に近い減
圧状態で、かつ約1000〜1100℃の温度条件下
で、多孔質の基材21の片側面には水素H2 、水蒸気H
2 Oの混合酸化ガスを導入し、他側面にはYSZ膜の原
料となるイットリウム、ジルコニウムの塩化物YC
l3 ,ZrCl4 の蒸気をキャリアガスであるアルゴン
ガスに混入して供給する。これによって、最初は基材2
1の多数の孔22を通ってくる酸化ガスと原料蒸気とが
化3式に示す反応をして同図(b)に示すようにYSZ
膜23を基材21の表面に生成し、徐々に基材21の多
数の孔22を閉塞していく。これがCVD段階である。
平7−65846号公報に示され、また図3に示す手順
で行っている。同図(a)に示すように、真空に近い減
圧状態で、かつ約1000〜1100℃の温度条件下
で、多孔質の基材21の片側面には水素H2 、水蒸気H
2 Oの混合酸化ガスを導入し、他側面にはYSZ膜の原
料となるイットリウム、ジルコニウムの塩化物YC
l3 ,ZrCl4 の蒸気をキャリアガスであるアルゴン
ガスに混入して供給する。これによって、最初は基材2
1の多数の孔22を通ってくる酸化ガスと原料蒸気とが
化3式に示す反応をして同図(b)に示すようにYSZ
膜23を基材21の表面に生成し、徐々に基材21の多
数の孔22を閉塞していく。これがCVD段階である。
【0010】
【化3】 このCVD段階が終了すると、原料蒸気と酸化ガスとは
直接に反応することはなくなり、酸化ガスからの酸素が
YSZ面上で還元されてYSZ膜23中を酸化物イオン
O2-として拡散し、化4式に示す反応を原料塩化物蒸気
と行うEVD段階へ進み、YSZ膜23が成長する。
直接に反応することはなくなり、酸化ガスからの酸素が
YSZ面上で還元されてYSZ膜23中を酸化物イオン
O2-として拡散し、化4式に示す反応を原料塩化物蒸気
と行うEVD段階へ進み、YSZ膜23が成長する。
【0011】
【化4】 こうして電気化学蒸着法によって固体電解質膜としてY
SZ膜23を成膜した後は、さらに上述した燃料極3を
スラリーコーティングした後に電気化学蒸着法によって
形成し燃料電池を作成することになる。
SZ膜23を成膜した後は、さらに上述した燃料極3を
スラリーコーティングした後に電気化学蒸着法によって
形成し燃料電池を作成することになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の固体電解質の成膜方法によれば、多孔質のランタ
ンマンガナイト系の基材上に電気化学蒸着法によって固
体電解質としてのYSZ膜を成膜するので、基材表面付
近でマンガンやストロンチウムの塩化物のような二次生
成物が発生し、基材表面付近の組成が変わり、高性能の
燃料電池が得られなくなる問題点があった。
従来の固体電解質の成膜方法によれば、多孔質のランタ
ンマンガナイト系の基材上に電気化学蒸着法によって固
体電解質としてのYSZ膜を成膜するので、基材表面付
近でマンガンやストロンチウムの塩化物のような二次生
成物が発生し、基材表面付近の組成が変わり、高性能の
燃料電池が得られなくなる問題点があった。
【0013】本発明はこのような従来の問題点に鑑みて
なされたもので、固体電解質としてのYSZ膜を電気化
学蒸着法によって成膜する際に基材中のマンガンやスト
ロンチウムが飛散するのを防止して組織の損傷を防ぎ、
高性能の燃料電池を得ることができるようにする固体電
解質の成膜方法を提供することを目的とする。
なされたもので、固体電解質としてのYSZ膜を電気化
学蒸着法によって成膜する際に基材中のマンガンやスト
ロンチウムが飛散するのを防止して組織の損傷を防ぎ、
高性能の燃料電池を得ることができるようにする固体電
解質の成膜方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の固体電
解質の成膜方法は、ランタンマンガナイト系の多孔質基
材上に電気化学蒸着法によって固体電解質膜としてイッ
トリア安定化ジルコニア膜を成膜するにおいて、前記基
材上に前記イットリア安定化ジルコニア膜とほぼ同一組
成のイットリア安定化ジルコニア粒子層をコーティング
し、その後、このイットリア安定化ジルコニア層上にイ
ットリア安定化ジルコニア膜を電気化学蒸着法によって
成膜するものである。
解質の成膜方法は、ランタンマンガナイト系の多孔質基
材上に電気化学蒸着法によって固体電解質膜としてイッ
トリア安定化ジルコニア膜を成膜するにおいて、前記基
材上に前記イットリア安定化ジルコニア膜とほぼ同一組
成のイットリア安定化ジルコニア粒子層をコーティング
し、その後、このイットリア安定化ジルコニア層上にイ
ットリア安定化ジルコニア膜を電気化学蒸着法によって
成膜するものである。
【0015】この請求項1の発明の固体電解質の成膜方
法では、多孔質の基材上に電気化学蒸着法によってイッ
トリア安定化ジルコニア膜を成膜する前に同じイットリ
ア安定化ジルコニア層をコーティングしておくことによ
り、電気化学蒸着工程において基材中のマンガンやスト
ロンチウムの塩化物が遊離することがなく、したがって
基材の組織を損傷することなくイットリア安定化ジルコ
ニア膜を成膜することができ、結果として高性能の燃料
電池の作成を可能とする。
法では、多孔質の基材上に電気化学蒸着法によってイッ
トリア安定化ジルコニア膜を成膜する前に同じイットリ
ア安定化ジルコニア層をコーティングしておくことによ
り、電気化学蒸着工程において基材中のマンガンやスト
ロンチウムの塩化物が遊離することがなく、したがって
基材の組織を損傷することなくイットリア安定化ジルコ
ニア膜を成膜することができ、結果として高性能の燃料
電池の作成を可能とする。
【0016】請求項2の発明は、請求項1の固体電解質
の成膜方法において、前記イットリア安定化ジルコニア
膜をプラズマ溶射法、泳動電着法又はスラリーコーティ
ング法によって形成するものである。
の成膜方法において、前記イットリア安定化ジルコニア
膜をプラズマ溶射法、泳動電着法又はスラリーコーティ
ング法によって形成するものである。
【0017】この請求項2の発明の固体電解質の成膜方
法では、多孔質の基材上に電気化学蒸着法によってイッ
トリア安定化ジルコニア膜を成膜する前に、基材の多数
の孔を閉塞するのに十分で、かつ可能な限り薄いイット
リア安定化ジルコニア層をコーティングすることがで
き、それだけ成膜されたイットリア安定化ジルコニア膜
と基材との密着性を損なうことが少ない。
法では、多孔質の基材上に電気化学蒸着法によってイッ
トリア安定化ジルコニア膜を成膜する前に、基材の多数
の孔を閉塞するのに十分で、かつ可能な限り薄いイット
リア安定化ジルコニア層をコーティングすることがで
き、それだけ成膜されたイットリア安定化ジルコニア膜
と基材との密着性を損なうことが少ない。
【0018】請求項3の発明は、請求項1又は2の固体
電解質の成膜方法において、前記イットリア安定化ジル
コニア層を形成した後、当該イットリア安定化ジルコニ
ア層を焼結させるものであり、この焼結処理によってイ
ットリア安定化ジルコニア層と基材との密着性をさらに
高めることができ、その後のイットリア安定化ジルコニ
ア膜の成膜性能をさらに良いものとすることができる。
電解質の成膜方法において、前記イットリア安定化ジル
コニア層を形成した後、当該イットリア安定化ジルコニ
ア層を焼結させるものであり、この焼結処理によってイ
ットリア安定化ジルコニア層と基材との密着性をさらに
高めることができ、その後のイットリア安定化ジルコニ
ア膜の成膜性能をさらに良いものとすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明の1つの実施の形態の固体電解質の成膜方
法を図1に基づいて説明すると、まず同図(a)に示す
ようにランタンマンガナイト(LaMnOx)系のポー
ラスな基材21(図2における空気極1となる)内にイ
ットリア安定化ジルコニヤ(YSZ)粉末をプラズマ溶
射法により、あるいは泳動電着法又はスラリーコーティ
ング法によって5μm〜10μmのYSZ層24を形成
し、多数の孔22を閉塞する。
する。本発明の1つの実施の形態の固体電解質の成膜方
法を図1に基づいて説明すると、まず同図(a)に示す
ようにランタンマンガナイト(LaMnOx)系のポー
ラスな基材21(図2における空気極1となる)内にイ
ットリア安定化ジルコニヤ(YSZ)粉末をプラズマ溶
射法により、あるいは泳動電着法又はスラリーコーティ
ング法によって5μm〜10μmのYSZ層24を形成
し、多数の孔22を閉塞する。
【0020】続いてこれを従来例と同じようにして同図
(b),(c)に示すように電気化学蒸着法によってイ
ットリウム及びジルコニウムの塩化物蒸気をYSZ層2
4上に蒸着、成長させて膜厚15〜50μmのYSZ膜
23を形成する。
(b),(c)に示すように電気化学蒸着法によってイ
ットリウム及びジルコニウムの塩化物蒸気をYSZ層2
4上に蒸着、成長させて膜厚15〜50μmのYSZ膜
23を形成する。
【0021】この発明の場合、この電気化学蒸着工程で
は、すでに基材21の多数の孔22がYSZ層24によ
って閉塞されているために酸化ガスが原料塩化物蒸気と
直接反応するCVD段階はなく、ほとんど最初からEV
D段階の反応によってYSZ層24上にYSZ膜23を
成長させることができる。またこの電気化学蒸着工程で
は約1000℃という高温度に昇温されるので、基材2
1上に最初にコーティングされたYSZ層24は焼結処
理と同じ作用を受けて基材21上に固く結び付くことに
なり、結果としてYSZ膜23と基材21との密着性も
従来と変わらない良いものとなる。
は、すでに基材21の多数の孔22がYSZ層24によ
って閉塞されているために酸化ガスが原料塩化物蒸気と
直接反応するCVD段階はなく、ほとんど最初からEV
D段階の反応によってYSZ層24上にYSZ膜23を
成長させることができる。またこの電気化学蒸着工程で
は約1000℃という高温度に昇温されるので、基材2
1上に最初にコーティングされたYSZ層24は焼結処
理と同じ作用を受けて基材21上に固く結び付くことに
なり、結果としてYSZ膜23と基材21との密着性も
従来と変わらない良いものとなる。
【0022】こうしてYSZ膜23が成膜された基材2
1に対しては、従来から一般に行われている方法によっ
て、ニッケル、ニッケル合金あるいはニッケルジルコニ
アサーメットなどの改質反応触媒機能を有する材料で燃
料極3を形成する。そしてさらに、図2に示したように
ニッケルフェルト材を改質反応触媒材4として収容し、
その中に燃料供給兼導電管5を挿入して燃料電池7を作
成する。
1に対しては、従来から一般に行われている方法によっ
て、ニッケル、ニッケル合金あるいはニッケルジルコニ
アサーメットなどの改質反応触媒機能を有する材料で燃
料極3を形成する。そしてさらに、図2に示したように
ニッケルフェルト材を改質反応触媒材4として収容し、
その中に燃料供給兼導電管5を挿入して燃料電池7を作
成する。
【0023】このようにして得られる燃料電池7は、空
気極1をなす基材21がその上にYSZ膜23を電気化
学蒸着法によって成膜する際に組織の損傷を受けること
がないので高性能のものとなる。
気極1をなす基材21がその上にYSZ膜23を電気化
学蒸着法によって成膜する際に組織の損傷を受けること
がないので高性能のものとなる。
【0024】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。この第2の実施の形態の固体電解質の成膜方
法では、図1(a)に示したように基材21上に泳動電
着法又はスラリーコーティング法によってYSZ層24
を形成した後、電気化学蒸着工程に入る前に、このYS
Z層24を焼結処理して基材21との密着性を良くし、
その後、第1の実施の形態と同様に電気化学蒸着法によ
ってYSZ膜23を成膜する。
説明する。この第2の実施の形態の固体電解質の成膜方
法では、図1(a)に示したように基材21上に泳動電
着法又はスラリーコーティング法によってYSZ層24
を形成した後、電気化学蒸着工程に入る前に、このYS
Z層24を焼結処理して基材21との密着性を良くし、
その後、第1の実施の形態と同様に電気化学蒸着法によ
ってYSZ膜23を成膜する。
【0025】これによってYSZ層24が基材21上に
焼結してその結び付きがより良くなるために、最終的に
YSZ膜23と基材21との密着性もより良いものとな
る。
焼結してその結び付きがより良くなるために、最終的に
YSZ膜23と基材21との密着性もより良いものとな
る。
【0026】
【実施例】次に、本発明の固体電解質の成膜方法の具体
的な実施例を説明する。
的な実施例を説明する。
【0027】(実施例1)ストロンチウム添加ランタン
マンガナイトLa(Sr)MnO3 を素材とし、円筒状
で肉厚2mm、外径20mmφ、長さ1mの空気極とな
る多孔質基材の内周面に厚さ10μmのYSZ粉末層を
泳動電着法によって形成した。この後、電気化学蒸着設
備において1000〜1100℃の温度条件下で、基材
の外側にH2 とH2 Oとの混合酸化ガスを導入し、内側
にイットリウム、ジルコニウムそれぞれの塩化物蒸気を
キャリアガスに混入して供給し、約3時間電気化学蒸着
を行い、厚さ30μmのYSZ膜を成膜した。
マンガナイトLa(Sr)MnO3 を素材とし、円筒状
で肉厚2mm、外径20mmφ、長さ1mの空気極とな
る多孔質基材の内周面に厚さ10μmのYSZ粉末層を
泳動電着法によって形成した。この後、電気化学蒸着設
備において1000〜1100℃の温度条件下で、基材
の外側にH2 とH2 Oとの混合酸化ガスを導入し、内側
にイットリウム、ジルコニウムそれぞれの塩化物蒸気を
キャリアガスに混入して供給し、約3時間電気化学蒸着
を行い、厚さ30μmのYSZ膜を成膜した。
【0028】この後、基材の組織をEPMA分析によっ
て調べたが、電気化学蒸着を行う前と組織状態はほぼ同
じであり、YSZ膜を電気化学蒸着法によって成膜して
も基材が損傷を受けないことが確認できた。
て調べたが、電気化学蒸着を行う前と組織状態はほぼ同
じであり、YSZ膜を電気化学蒸着法によって成膜して
も基材が損傷を受けないことが確認できた。
【0029】(実施例2)実施例1と同じ基材に厚さ1
0μmのYSZ粉末層をスラリーコーティング法によっ
て形成した。そしてこのYSZ層を約1100℃で焼結
し、その後、実施例1と同じ条件で電気化学蒸着を行
い、厚さ30μmのYSZ膜を成膜した。
0μmのYSZ粉末層をスラリーコーティング法によっ
て形成した。そしてこのYSZ層を約1100℃で焼結
し、その後、実施例1と同じ条件で電気化学蒸着を行
い、厚さ30μmのYSZ膜を成膜した。
【0030】この後、基材の組織をEPMA分析によっ
て調べたが組織状態は良好であり、また基材とYSZ層
及びYSZ膜間の密着性も良好なものであった。
て調べたが組織状態は良好であり、また基材とYSZ層
及びYSZ膜間の密着性も良好なものであった。
【0031】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明の固体電解
質の成膜方法によれば、多孔質の基材上に電気化学蒸着
法によって固体電解質としてのイットリア安定化ジルコ
ニア膜を成膜する前に同じイットリア安定化ジルコニア
層をコーティングするので、電気化学蒸着工程において
基材中のマンガンやストロンチウムの塩化物が遊離する
ことがなく、したがって基材の組織を損傷することなく
イットリア安定化ジルコニア膜を成膜することができ、
結果として高性能の燃料電池の作成が可能となる。
質の成膜方法によれば、多孔質の基材上に電気化学蒸着
法によって固体電解質としてのイットリア安定化ジルコ
ニア膜を成膜する前に同じイットリア安定化ジルコニア
層をコーティングするので、電気化学蒸着工程において
基材中のマンガンやストロンチウムの塩化物が遊離する
ことがなく、したがって基材の組織を損傷することなく
イットリア安定化ジルコニア膜を成膜することができ、
結果として高性能の燃料電池の作成が可能となる。
【0032】請求項2の発明によれば、多孔質の基材上
に電気化学蒸着法によってイットリア安定化ジルコニア
膜を成膜する前に、プラズマ溶射法、泳動電着法又はス
ラリーコーティング法によってYSZ層を形成するの
で、基材の多数の孔を閉塞するのに十分で、かつ可能な
限り薄いイットリア安定化ジルコニア層をコーティング
することができ、それだけ成膜されたイットリア安定化
ジルコニア膜と基材との密着性を良くすることができ
る。
に電気化学蒸着法によってイットリア安定化ジルコニア
膜を成膜する前に、プラズマ溶射法、泳動電着法又はス
ラリーコーティング法によってYSZ層を形成するの
で、基材の多数の孔を閉塞するのに十分で、かつ可能な
限り薄いイットリア安定化ジルコニア層をコーティング
することができ、それだけ成膜されたイットリア安定化
ジルコニア膜と基材との密着性を良くすることができ
る。
【0033】請求項3の発明によれば、基材上にイット
リア安定化ジルコニア層を形成した後、当該イットリア
安定化ジルコニア層を焼結するので、この焼結処理によ
ってイットリア安定化ジルコニア層と基材との密着性を
さらに高めることができ、その後のイットリア安定化ジ
ルコニア膜の成膜性能をさらに良いものとすることがで
きる。
リア安定化ジルコニア層を形成した後、当該イットリア
安定化ジルコニア層を焼結するので、この焼結処理によ
ってイットリア安定化ジルコニア層と基材との密着性を
さらに高めることができ、その後のイットリア安定化ジ
ルコニア膜の成膜性能をさらに良いものとすることがで
きる。
【図1】本発明の1つの実施の形態の工程図。
【図2】一般的な円筒型固体電解質燃料電池の断面図。
【図3】従来例の工程図。
21 基材 22 孔 23 イットリア安定化ジルコニア(YSZ)膜 24 イットリア安定化ジルコニア(YSZ)層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 兼田 波子 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内 (72)発明者 高岡 道雄 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内 (72)発明者 小野 幹幸 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内 (72)発明者 望月 正孝 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内 (72)発明者 永田 雅克 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内 (72)発明者 岩澤 力 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内
Claims (3)
- 【請求項1】 ランタンマンガナイト系の多孔質基材上
に電気化学蒸着法によって固体電解質膜としてのイット
リア安定化ジルコニア膜を成膜するにおいて、前記基材
上に前記イットリア安定化ジルコニア膜とほぼ同一組成
のイットリア安定化ジルコニア粒子層をコーティング
し、その後、このイットリア安定化ジルコニア層上にイ
ットリア安定化ジルコニア膜を電気化学蒸着法によって
成膜することを特徴とする固体電解質の成膜方法。 - 【請求項2】 前記イットリア安定化ジルコニア膜をプ
ラズマ溶射法、泳動電着法又はスラリーコーティング法
によって形成することを特徴とする請求項1記載の固体
電解質の成膜方法。 - 【請求項3】 前記イットリア安定化ジルコニア層を形
成した後、当該イットリア安定化ジルコニア層を焼結さ
せることを特徴とする請求項1又は2記載の固体電解質
の成膜方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8196648A JPH1040935A (ja) | 1996-07-25 | 1996-07-25 | 固体電解質の成膜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8196648A JPH1040935A (ja) | 1996-07-25 | 1996-07-25 | 固体電解質の成膜方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1040935A true JPH1040935A (ja) | 1998-02-13 |
Family
ID=16361278
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8196648A Pending JPH1040935A (ja) | 1996-07-25 | 1996-07-25 | 固体電解質の成膜方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1040935A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007299686A (ja) * | 2006-05-02 | 2007-11-15 | Tokyo Electron Ltd | 電解質膜の形成方法、成膜装置及び固体燃料電池 |
-
1996
- 1996-07-25 JP JP8196648A patent/JPH1040935A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007299686A (ja) * | 2006-05-02 | 2007-11-15 | Tokyo Electron Ltd | 電解質膜の形成方法、成膜装置及び固体燃料電池 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040401 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050315 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050726 |