JP2000182627A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質型燃料電池

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JP2000182627A
JP2000182627A JP10356773A JP35677398A JP2000182627A JP 2000182627 A JP2000182627 A JP 2000182627A JP 10356773 A JP10356773 A JP 10356773A JP 35677398 A JP35677398 A JP 35677398A JP 2000182627 A JP2000182627 A JP 2000182627A
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fuel electrode
solid electrolyte
electrode
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Shinji Takeuchi
伸二 竹内
Masayoshi Nishimura
正義 西村
Tsutomu Iwazawa
力 岩澤
Masataka Mochizuki
正孝 望月
Masakatsu Nagata
雅克 永田
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Fujikura Ltd
Kansai Electric Power Co Inc
Original Assignee
Fujikura Ltd
Kansai Electric Power Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セル長軸方向の温度分布が均一な円筒型イン
ターコネクタレスSOFCを提供することである。 【解決手段】 円筒形状を有する空気極と、前記空気極
の内表面に形成された固体電解質と、前記固体電解質の
内表面に形成された燃料極と、前記燃料極の内側に挿入
され、燃料ガスを供給する導電性チューブと、前記導電
性チューブと前記燃料極の間隙に備えられ、両者を電気
的に接続するとともに、前記燃料ガスの改質反応を促進
する触媒材料とを有し、前記燃料極が、前記導電性チュ
ーブの燃料ガス吹き出し口に近接する領域に最大厚みを
有し、該領域からの距離に従いその厚みを薄くしてい
る。燃料極の厚み調整により、水素濃度の高い領域では
固体電解質界面への水素ガス透過率を低減し、電池反応
の抑制を図り、水素ガス濃度の低い領域では水素ガスの
透過率を上げ、電池反応の促進を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円筒形状を有する
固体電解質型燃料電池に関し、特にインターコネクタを
円筒外表面に有さない電池セル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池の基本構造は、電解質とその両
側を挟む2つの電極より構成される。この2つの電極の
一方を燃料極、他方を空気極と呼ぶ。燃料極には外部よ
り水素ガス等の燃料ガスが供給され、空気極には外部よ
り空気等の酸化ガスが供給される。燃料電池は、燃料ガ
スと酸化ガスから水を生成する電気化学的反応を電解質
を介して行う過程で、直接電気エネルギーを外部に供給
できる。
【0003】燃料電池は、用いる電解質の材料の種類に
よりいくつかの種別に分類される。固体電解質型燃料電
池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)は、電解質
としてイオン導電性を有する酸化物固体を用いたもので
ある。この酸化物固体、即ち固体電解質が良好なイオン
導電性を示すには、高温条件が必要で有るため、通常、
SOFCは800℃〜1200℃の温度条件で動作され
る。
【0004】また、SOFCはその形状により、大きく
平板型SOFCと円筒型SOFCに分けられる。円筒型
SOFCは、平板型に比較し、動作領域にシール部を有
さないためシールに係る問題の発生が少ないとともに、
そりや歪みの問題も生じにくいという利点を有する。
【0005】図2は、従来の円筒型SOFCの単一セル
本体の構造例を示す概略断面図である。同図に示すよう
に、一般に、円筒形空気極101を支持管とし、その外
周囲に固体電解質102と燃料極103が順次形成され
ている。また、外表面には、円筒長軸方向に平行な帯状
領域に、空気極101とのみ電気的に接続されたインタ
ーコネクタ104が形成されている。
【0006】円筒形空気極101の内側には、空気もし
くは酸化ガスが供給され、外部回路を介して運ばれる電
子との作用で、酸素イオンが生成される。この酸素イオ
ンは固体電解質102を介して燃料極103に運ばれ、
ここで水素と反応し、副生成物である水とともに電子を
生成する。電子は、外部回路に取り込まれ、発電に寄与
する。
【0007】固体電解質102は、高い酸素イオン導電
性が必要であるとともに、空気極101、燃料極103
を介して一方の面は酸化雰囲気、他方の面は還元雰囲気
に接触するため、800℃〜1200℃の動作温度にお
ける酸化還元両雰囲気で、化学的に安定なことが必要と
される。併せて、電子導電性を有さず、ガスを通さない
ように気密性にすぐれた材料であることも望まれる。一
般に、このような要件を充たす材料として、安定化ジル
コニア(YSZ)等が選択されている。
【0008】燃料極103及び空気極101は、高い電
子導電性を示すことが必要である。また、隣接する固体
電解質102と熱膨張率が近似していることが望まれ
る。
【0009】燃料極103は、水素ガスに曝されるの
で、高温還元雰囲気で化学的に安定であることが必要で
あり、空気極101は、空気に曝される為、高温酸化雰
囲気で化学的に安定であることが必要である。
【0010】一般に、燃料極103としては、ニッケル
(Ni)とYSZのサーメット等、空気極101として
は、ランタンコバルトネート(LaCoO3)やランタ
ンマンガネート(LaMnO3)を母体としたペロブス
カイト型酸化物等が選択されることが多い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図2に示した従来の円
筒型SOFC本体は、内側より空気極、固体電解質、燃
料極が順に配置され、外表面の一部にインターコネクタ
形成領域を備える構成であったが、これに代わるものと
して、本願発明者等によりセル本体からインターコネク
タを無くした円筒型SOFC(以下、インターコネクタ
レスSOFCと表す。)構造が提案されている。
【0012】図3は、このインターコネクタレスSOF
Cの単一セルの構造例を示す。同図に示すように、ここ
に示すインターコネクタレスSOFCは、図2に示す従
来のSOFCとは逆に外側より支持体である円筒形の空
気極114、固体電解質113、燃料極112の順に各
層が配置されている。これらの層はほぼ均一な膜厚で形
成されている。
【0013】燃料極112の内側、円筒中心部には燃料
ガスを供給する導電性チューブ111が挿入されてい
る。同図に示すように、円筒片側を封じた構造のセルで
は、導電性チューブ111は、円筒の封じ部近くまで該
チューブが挿入される。
【0014】導電性チューブ111と燃料極112との
隙間には、導電性フェルト115、例えばNiフェルト
が充填されており、燃料極112と導電性チューブ11
1とを電気的に接続している。よって、導電性チューブ
111は、燃料ガスの供給管であるとともに、燃料極1
12の外部引き出し電極(リード)として用いることが
できる。また、この導電性フェルト115は燃料ガスか
ら水素ガスを生成する改質反応の触媒ともなる材料であ
る。
【0015】この構成によれば、セル外表面にインター
コネクタを形成せず、空気極114の内表面には、固体
電解質113、燃料極112の各層が完全に同心円状の
連続膜として形成される。よって、インターコネクタ形
成に必要となるマスキング工程が不要であるとともに、
電池として有効な動作領域を広く確保できるメリットが
ある。又、構造体としても異種材料の接合面が少なくな
り、室温から作動領域で発生する応力も軽減できる。
【0016】通常、導電性チューブ111からは、改質
反応により水素を生成可能な、例えばメタン(CH4
ガスや炭酸ガス(CO)等の種々の燃料ガスが少量の水
(H2Oとともに円筒内に供給される。導電性チューブ
111は、電池反応領域の端縁部まで挿入されており、
燃料ガスは該チューブから吹き出されるとすぐにセル封
じ部の壁につき当たりそこではね返って、導電性フェル
ト115の間隙をくぐりながら、図中右側の円筒開口端
の方へ戻っていく。この間に、導電性フェルト115を
触媒とし、650℃〜1050℃で、水(H2O)との
反応により、以下の改質反応が進行し、電池反応に必要
な水素(H2)ガスが生成され、これが燃料極112に
供給される。
【0017】
【数1】 CH4 +H2O → CO +3H2 −−(1)
【数2】 CO +H2O → CO2 + H2 −−(2) なお、上記改質反応に必要な高温条件は、電池動作温度
(800℃〜1200℃)がその条件を充たすととも
に、改質反応に使用される水(H2O)は、燃料ガスと
一緒に、或いは電池反応の副生成物として得られる水で
まかなわれる。
【0018】しかし、上述する改質反応は、セル円筒部
長軸方向で均一に進行するのではない。導電性チューブ
111から燃料ガスが吹き出し、触媒であるNiフェル
トに接触するとその近傍で、燃料ガスの大部分の改質反
応が一度に起こってしまうからである。
【0019】即ち、電池反応に寄与できる水素ガスは、
導電性チューブのガス吹き出し口近傍周辺において最も
高い濃度を示し、吹き出し口から離れるほど電池反応に
より消費され、水素濃度は希薄となる傾向がある。
【0020】反応ガスの濃度は電池反応の進行度合いに
直接影響を与えるため、上記水素ガス濃度が高い領域で
は電池反応が急激に進行し、水素ガスが希薄となる領域
においては電池反応の進行が鈍ることとなる。
【0021】電池反応は発熱を伴う反応であるため、反
応が局所的に進行すると、電池反応が盛んな領域と電池
反応が殆ど進行していない領域との間に温度差△tが生
じる。この温度差△tが大きいと、円筒セル内部に体積
膨張率差に起因する熱ストレスが発生し、亀裂や層界面
での剥離等を引き起こすことがある。
【0022】本発明は、上述する課題に鑑みてなされた
ものであり、インターコネクタレス円筒型SOFCにお
いて、電池反応領域における電池反応のより均一な発生
を目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の固体電解質型燃料電池の特徴は、円筒形状を有する空
気極と、前記空気極の内表面に形成された固体電解質
と、前記固体電解質の内表面に形成された燃料極と、前
記燃料極の内側に挿入され、燃料ガスを供給する導電性
チューブと、前記導電性チューブと前記燃料極の間隙に
備えられ、両者を電気的に接続するとともに、前記燃料
ガスの改質反応を促進する触媒材料とを有し、前記燃料
極が、前記導電性チューブの燃料ガス吹き出し口に近接
する領域に最大厚みを有し、該領域からの距離に従いそ
の厚みを薄くしていることである。
【0024】上記請求項1の発明の特徴によれば、燃料
ガスが大量に改質される導電性チューブの燃料ガス吹き
出し口近傍では、燃料極の膜厚が厚いため、燃料極内の
空隙を通り固体電解質との界面に達する改質ガスが少な
くなる。即ち水素ガスの透過率が実質的に低くなる。一
方、燃料ガス吹き出し口より離れ、水素ガス濃度が薄い
領域では、燃料極の膜厚が薄いため、水素ガスは固体電
解質界面に達しやすくなる。この結果、燃料極表面にお
ける燃料ガス濃度の濃淡分布に関わらず、固体電解質と
燃料極界面における水素濃度を均一化できる。この結果
電池反応を場所によらず均一に進行させることができ
る。
【0025】本発明の請求項2に記載の固体電解質型燃
料電池の特徴は、円筒形状を有する空気極と、前記空気
極の内表面に形成された固体電解質と、前記固体電解質
の内表面に形成された燃料極と、前記燃料極の内側に挿
入され、燃料ガスを供給する導電性チューブと、前記導
電性チューブと前記燃料極の間隙に備えられ、両者を電
気的に接続するとともに、前記燃料ガスの改質反応を促
進する触媒材料とを有し、前記燃料極が、該燃料極内表
面の水素ガス濃度が最大となる領域に最大厚みを有し、
水素ガス濃度の減少に従いその厚みを薄くしていること
である。
【0026】上記請求項2の発明の特徴によれば、燃料
ガスの改質反応により生じる水素ガス濃度が最大となる
領域では、燃料極の膜厚を最大膜厚としているため、燃
料極内の空隙を通り固体電解質との界面に達そうとする
水素ガスの透過率が実質的に低くなる。一方、改質反応
により生じる水素ガス濃度が薄い領域では、燃料極の膜
厚を薄くしているため、水素ガスは固体電解質界面に達
しやすくなる。この結果、燃料極表面における水素ガス
濃度の濃淡分布に関わらず、固体電解質と燃料極界面に
おける水素濃度を場所によらず均一化でき、電池反応を
場所によらず均一に進行させることができる。
【0027】なお、請求項2の特徴を有する固体電解質
型燃料電池において、請求項3に記載するように、該燃
料極内表面の水素ガス濃度が最大値CHmaxとなる領域
に、最大厚みTmaxを有し、水素ガス濃度が前記最大濃
度CHmaxの1/2となる領域に、最大厚みTmaxの1/
2〜1/3の厚みを有するようにすれば、より確実に固
体電解質と燃料極界面における水素濃度の均一化を図る
ことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実
施の形態について説明する。
【0029】図1は、本発明の実施の形態に係る円筒型
インターコネクタレスSOFCの単一セル構成を示すセ
ル断面図である。図中上側にセル長軸方向に平行な断面
を、図中下側にセル長軸方向に対し垂直な断面をそれぞ
れ示している。
【0030】ここでは、片側の円筒端部を封じた形状の
SOFCの例を示している。本実施の形態においても、
電池反応領域においては、ほぼ従来のインターコネクタ
レスSOFCと同様な構成を採用している。即ち、空気
極14を支持円筒体とし、空気極14の内表面全面に固
体電解質13の層が形成されており、さらに固体電解質
13の内表面全面に燃料極12の層が形成されている。
【0031】燃料極12の内側の空洞部中心には、燃料
ガスを供給するための導電性チューブ11が円筒封じ部
近傍まで挿入されている。この導電性チューブ11と燃
料極12の間隙には、改質反応の触媒となる導電性フェ
ルト15、例えばNiフェルトが充填され、燃料極12
と導電性チューブ11とを電気的に接続している。この
ため、導電性チューブ11は、燃料ガスの供給管である
とともに、燃料極12の引き出し電極(リード)として
の機能を兼ね備えている。
【0032】本実施の形態における円筒型インターコネ
クタレスSOFCが従来のそれと大きく異なる点は、燃
料極の厚みを円筒セルの奥に進む程厚く形成している点
である。即ち、燃料ガスを供給する導電性チューブ11
のガス吹き出し口近傍の燃料極12の厚みを最大とし、
セルの円筒開口部側に進む程膜厚を薄くしていることで
ある。
【0033】本実施の形態における円筒型インターコネ
クタレスSOFCの場合も導電性チューブ11は、電池
反応領域の端縁部まで挿入されており、燃料ガスは該チ
ューブ先端の吹き出し口から吹き出されるとすぐにセル
封じ部の壁に当たりそこではね返って、導電性フェルト
15の間隙をくぐりながら、図中右側の円筒開口端の方
へ戻っていく。
【0034】導電性フェルト15であるNiフェルト
は、燃料ガス改質反応の触媒でもあるため、導電性チュ
ーブ11の先端開口より吹き出した燃料ガスは、Niフ
ェルトに触れると(1)式または(2)式に示す改質反
応を起こし、電池反応に寄与する水素(H2)ガスを生
成する。
【0035】燃料ガス吹き出し口の近傍で改質反応が最
も活発に起こるため、改質反応により生成する水素ガス
濃度は、その領域で最も高くなり、ここから離れるにつ
れ改質反応の減少と電池反応による水素ガスの消費のた
め徐々に希薄となる。
【0036】一方、固体電解質13を介して燃料極12
と空気極14との間では、以下の電池反応が進行する。
【0037】
【数3】 燃料極側: H2 + O2- → H2O + 2e −−(3)
【数4】 空気極側: 1/2O2 + 2e → O2- −−(4) この電池反応は反応ガス濃度に依存するため、上記
(3)式の反応が燃料極内表面の水素ガス濃度に依存す
るとすれば、場所により電池反応速度に大幅な差が生じ
ることとなる。
【0038】しかし、上述の電池反応は、固体電解質1
3と燃料極12もしくは空気極14の界面で主に進行す
るものであるため、電池反応に直接影響を与えるのは、
燃料極内12表面の水素ガス濃度ではなく、固体電解質
13と燃料極12との界面における水素ガス濃度であ
る。
【0039】本願の実施の形態に係るセルでは、燃料ガ
スが大量に改質される導電性チューブの燃料ガス吹き出
し口付近の燃料極12の膜厚を最大膜厚Tmaxとし、こ
れより離れる程、燃料極12の膜厚を薄くしている。即
ち、燃料極12内表面での改質反応により生成される水
素ガス濃度に応じ、水素ガスが最大となる領域の燃料極
12の膜厚を最大膜厚Tmaxとし、水素ガス濃度の減少
に伴い各領域の膜厚を薄くしている。
【0040】燃料極12の内表面に接する水素ガスが燃
料極12を通過して固体電解質13界面に達する率、い
わゆる透過率は、燃料極の気孔率や、水素ガスの拡散係
数、濃度勾配等に左右されるが、燃料極の厚みにも大き
く依存する。燃料極の厚みが厚くなれば、ほぼ自然関数
的に水素ガスの透過率は減少する関係にある。
【0041】よって、水素ガス濃度が高い領域では燃料
極12の膜厚が厚いため水素ガスの固体電解質界面への
透過率が低減され、実質的な電池反応の進行が抑制され
る。
【0042】逆に水素ガス濃度が低い領域では燃料極1
2の膜厚が薄いため水素ガスの固体電解質13界面への
透過率が高くなる。また、燃料極表面の水素ガス濃度が
高い領域においての電池反応が抑制されるため、水素ガ
スの消費も低減し、その分燃料極表面の水素ガス濃度が
幾分増える。これらの影響により当該領域の電池反応は
促進される。
【0043】その結果、燃料極12と固体電解質13と
の界面での水素ガス濃度が均一化され、電池反応領域内
で場所によらずむらなく均一に電池反応を進行させるこ
とができる。即ち、セル内でむらなく発電を行うことが
でき、セルの発電効率は上昇する。
【0044】また、電池反応は発熱反応であるため、均
一な電池反応を進行できれば、セル内でほぼ均一な温度
分布を得ることができ、場所による温度差に起因するセ
ルの破壊等を阻止することができる。
【0045】次に、本実施の形態におけるインターコネ
クタレスSOFCの作製方法について簡単に説明する。
基本的な作製工程は、従来のインターコネクタレスSO
FCの作製工程とかわらない。
【0046】まず、支持管となる片側封じタイプの円筒
形空気極14を作製する。即ち、平均粒径3〜10μm
のペロブスカイト型の結晶構造を有するランタンストロ
ンチウムマンガネート(LaSrMnO3)粉末に、水
を20wt%、メチルセルロース等のバインダーを10
wt%となるように混合し、全体を良く混練して粘土状
にした後、これを押し出し成型法を用いて所定形状に加
工する。
【0047】さらにこれを乾燥後、大気雰囲気中、13
00℃〜1500℃で約5時間焼成し、多孔質焼結体を
形成する。焼結後の空気極14は、例えば外径約21m
mΦ、内径約17mmΦ、長さ約500mm〜900m
mの片側を封じた円筒となる。
【0048】次に、空気極の内壁に固体電解質13の層
を形成する。例えば、スラリーコーティング法を用いる
場合は、まず粒径0.1μm〜1.0μmのYSZ粉末
をエタノール等の希釈材に、その混合割合が約10wt
%〜40wt%となるように混合し、約1、000mP
aS〜2、000、000mPaSの粘度を有するスラ
リーを作製する。
【0049】例えば、空気極14の円筒内に出し入れで
きるようなチューブ状のスラリー供給管を用いて、上述
のスラリーを空気極14の内周表面全域に塗布する。こ
のとき、厚みができるだけ均一となるようにスラリー供
給部を一定速度で回転移動させたり、塗布直後にスクリ
ュー状のゴム製スクレーパを用いて、膜厚を調整するこ
とが好ましい。こうして塗布後の固体電解質13の膜厚
を約100μm〜150μmとする。塗布後、約100
0℃〜1600℃で、約1〜10時間焼成し、緻密な固
体電解質13の層を形成する。
【0050】燃料極12も、上述する固体電解質13と
同様にスラリーコーティング法で形成することができ
る。燃料極用スラリーとしては、ニッケル(Ni)粉
末、コバルト(Co)粉末、酸化ニッケル(NiO)粉
末、酸化コバルト(CoO)粉末あるいはジルコニアサ
ーメット粉末とYSZ粉末とを60wt%対40wt%
の割合で混合して混合粉末を作製する。さらにこの混合
粉末とセルロース系バインダとを50wt%対50wt
%で混合し、約1、000mPaS〜2、000、00
0mPaSの粘度を有するスラリーとする。
【0051】チューブ状のスラリー供給管を用いて、上
述のスラリーを空気極14の内周表面に塗布する。この
とき、円筒端の封じ部側の膜厚を厚くし、もう一方の円
筒開放端にいく程膜厚が薄くなるように調整する。この
膜厚調整は、例えばスラリー供給管を移動させる際、供
給量を徐々に変化させたり、あるいはスラリー供給管か
らの供給量を一定のまま、回転移動速度を徐々に変化さ
せる方法により調整できる。このような方法を用いて、
燃料極12の最大膜厚Tmaxを例えば150μm〜20
0μmとし、水素ガス濃度が半減する領域では、燃料極
12の膜厚を例えば50μm〜70μm、即ち、最大膜
厚Tmaxの1/2〜1/3程度となるように調整する。
【0052】その後、約1000℃〜1400℃で、約
1時間〜10時間焼成し、多孔質の燃料極12の層を形
成する。
【0053】あとは、図1に示すように、Ni等の導電
性フェルト15を導電性チューブ周囲に配し、導電性チ
ューブ11とともに挿入することにより円筒形状のイン
ターコネクタレスSOFCを完成できる。
【0054】なお、セルの形状は円筒片側を封じたもの
のみならず、両側を開放端としたものであってもよい。
また、導電性チューブの燃料ガス吹き出し口は必ずしも
先端一箇所に有する必要はなく、チューブ側面等に複数
箇所有してもよい。いずれも場合も、燃料極内表面の水
素ガス濃度が最大となる領域で当該燃料極の膜厚も最大
とし、水素ガスの濃淡に応じて各領域の膜厚を定めると
よい。この他、本発明は、上述する実施の形態の条件に
は限定されない。
【0055】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の固体電
解質型燃料電池の特徴は、円筒形状を有するインターコ
ネクタレスSOFCにおいて、燃料極が、前記導電性チ
ューブの燃料ガス吹き出し口に近接する領域に最大厚み
を有し、該領域からの距離に従いその厚みを薄くしてい
ることである。
【0056】燃料ガスが大量に改質され、水素ガス濃度
が高い吹き出し口近傍では、燃料極の膜厚が厚いため、
燃料極を通り固体電解質との界面に達そうとする水素ガ
スの透過率を実質的に低くし、電池反応が抑制する。一
方、燃料ガス吹き出し口より離れ、水素ガス濃度が薄い
領域では、燃料極の膜厚を薄くし、水素ガスを固体電解
質界面に達しやすくすることで、電池反応に直接寄与で
きる水素濃度を上げ、電池反応を促進する。
【0057】燃料極表面における水素ガス濃度の濃淡分
布に関わらず、電池反応領域のほぼ全域で均一な電池反
応を進行させ、効率の良い発電を行うことができる。ま
た電池反応は発熱を伴うため、円筒セル長軸方向の温度
分布を均一化することが可能となり、温度差に起因する
熱応力の発生を抑制し、支持体へのひびや層間剥離の発
生を阻止でき、電池寿命を延ばすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における円筒型SOFCの
装置断面図である。
【図2】従来の円筒型SOFCの単一セル構造を示す装
置斜視図である。
【図3】従来の円筒型インターコネクタレスSOFCの
単一セル構造を示す装置断面図である。
【符号の説明】
11・・・導電性チューブ 12・・・燃料極 13・・・固体電解質 14・・・空気極 15・・・導電性フェルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 正義 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 岩澤 力 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内 (72)発明者 望月 正孝 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内 (72)発明者 永田 雅克 東京都江東区木場1−5−1 株式会社フ ジクラ内 Fターム(参考) 5H018 AA06 AS02 CC03 CC06 DD01 DD08 EE02 EE04 5H026 AA06 CV02 CX06 HH03 HH05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒形状を有する空気極と、 前記空気極の内表面に形成された固体電解質と、 前記固体電解質の内表面に形成された燃料極と、 前記燃料極の内側に挿入され、燃料ガスを供給する導電
    性チューブと、 前記導電性チューブと前記燃料極の間隙に備えられ、両
    者を電気的に接続するとともに、前記燃料ガスの改質反
    応を促進する触媒材料とを有し、 前記燃料極が、 前記導電性チューブの燃料ガス吹き出し口に近接する領
    域に最大厚みを有し、該領域からの距離に従いその厚み
    を徐々に薄くしていることを特徴とする固体電解質型燃
    料電池。
  2. 【請求項2】 円筒形状を有する空気極と、 前記空気極の内表面に形成された固体電解質と、 前記固体電解質の内表面に形成された燃料極と、 前記燃料極の内側に挿入され、燃料ガスを供給する導電
    性チューブと、 前記導電性チューブと前記燃料極の間隙に備えられ、両
    者を電気的に接続するとともに、前記燃料ガスの改質反
    応を促進する触媒材料とを有し、 前記燃料極が、 該燃料極内表面の水素ガス濃度が最大となる領域に最大
    厚みを有し、該水素ガス濃度の減少に従いその厚みを薄
    くしていることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記燃料極が、 該燃料極内表面の水素ガス濃度が最大値CHmaxとなる領
    域に、最大厚みTmaxを有し、 水素ガス濃度が前記最大濃度CHmaxの1/2となる領域
    に、最大厚みTmaxの1/2〜1/3の厚みを有するこ
    とを特徴とする請求項2に記載の固体電解質型燃料電
    池。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006066387A (ja) * 2004-07-27 2006-03-09 Toto Ltd 燃料電池
JP2008192327A (ja) * 2007-01-31 2008-08-21 Kyocera Corp 横縞型燃料電池セルおよびセルスタック並びに燃料電池
JP2012054015A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Kyocera Corp 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池
JP2015065014A (ja) * 2013-09-25 2015-04-09 株式会社デンソー 燃料電池用アノードおよび燃料電池単セル

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